JP6739324B2 - 燃料ガス用脱硫器 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料ガス用脱硫器に関する。
都市ガス、液化石油(LP:liquefied petroleum)ガス、天然ガス等の燃料ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の低級炭化水素ガスを含むため、工業用燃料や家庭用燃料として用いられるだけでなく、水素の製造用原料としても用いられる。
水素の工業的製造方法の1つである水蒸気改質法では、上記のような低級炭化水素ガスを、触媒の存在下で水蒸気を加えて改質することによって、水素を主成分とする改質ガスを生成させる。しかし、水蒸気改質法で用いられる触媒は、硫黄化合物によって被毒すると、触媒機能が低下する。
例えば、燃料電池システムの場合には、改質器の触媒だけでなく、発電セル内の電極触媒も硫黄化合物による被毒の影響を受けることから、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物は、予めできるだけ除去されることが望ましい。一般に、燃料電池システムでは、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物は、脱硫器を用いて除去される。
脱硫方式としては、常温吸着脱硫方式、水素化脱硫方式等が知られている。常温吸着脱硫方式は、常温下において、脱硫剤が充填された容器内にガスを流通させ、ガス中に含まれる硫黄化合物を脱硫剤の表面に物理的に又は化学的に吸着させる脱硫方式であり、水素化脱硫方式と比較して操作が簡易であることから多用されている。
常温吸着脱硫方式の脱硫技術としては、金属を担持したゼオライトを脱硫剤として利用する技術が多く報告されている。
例えば、都市ガス、LPガス、天然ガス等の燃料ガス中のサルファイド類及びメルカプタン類を同時に吸着除去する脱硫剤として、Y型ゼオライトに銀をイオン交換により担持させてなる硫黄化合物除去用吸着剤(所謂、銀担持ゼオライト)が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、吸着除去対象である硫黄化合物の一部を銀担持ゼオライトにより除去した後、残りの硫黄化合物を他の吸着剤(例えば、金属酸化物)により除去する複数段構成の脱硫方式が報告されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
さらに、吸着除去対象である硫黄化合物の一部を他の吸着剤(例えば、ニッケルを添着した活性炭)により除去した後、残りの硫黄化合物を銀担持ゼオライトにより除去する複数段構成の脱硫方式が報告されている(例えば、特許文献4参照)。
特許第4026700号公報 特許第4749589号公報 特開2015−135789号公報 特許第3895134号公報
ところで、燃料ガス中には、様々な種類の硫黄化合物が含まれている。例えば、燃料ガス中には、漏洩の検知を目的として添加される付臭剤として、メチルメルカプタン(MM:methyl mercaptan)、エチルメルカプタン(EM:ethyl mercaptan)、tert-ブチルメルカプタン(TBM:tertiary-butyl mercaptan)等のメルカプタン類、ジメチルスルフィド(DMS:dimethyl sulfide)、ジエチルスルフィド(DES:dimethyl sulfide)、ジメチルジスルフィド(DMDS):dimethyl disulfide)等のサルファイド類、テトラヒドロチオフェン(THT:tetrahydrothiophene)等のチオフェン類などの硫黄化合物が含まれている。
一般に添加される付臭剤は、TBM、DMS、及びTHTであり、例えば、都市ガスでは、TBM及びDMSの両方が使用されることが多い。燃料ガス中に含まれるこれらの付臭剤の濃度は、いずれも数ppm程度である。
なお、都市ガス中には、付臭剤以外の硫黄化合物として、硫化水素(HS)、硫化カルボニル(COS)等の原料由来のもの、導管を流れる間に混入したものなどが含まれることもある。
吸着対象である硫黄化合物が、メルカプタン類、サルファイド類、チオフェン類等、多岐にわたる場合、これらの硫黄化合物の全てを、特許文献1に記載された銀担持ゼオライトのみで吸着除去しようとすると、銀担持ゼオライトが多量に必要となる。銀担持ゼオライトは、原料が高価であるため、使用量が多くなると、脱硫コストが高くなる。
一方、特許文献2〜4に記載された複数段構成の脱硫方式では、銀担持ゼオライトと他の吸着剤とを組み合わせることで、特許文献1に記載された銀担持ゼオライトのみを使用する一段構成の脱硫方式よりも、銀担持ゼオライトの使用量を減らすことができる。しかし、燃料ガス中に複数種の硫黄化合物が含まれる場合には、銀担持ゼオライトの使用量をそれほど多く低減することはできない。
近年、家庭用燃料電池システムの普及が現実的なものとなっていることを考えると、燃料ガス用の脱硫器としては、より低コストに、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を吸着除去できること、また、小型化できることが必要であるといえる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるともに、脱硫器の小型化を実現し得る燃料ガス用脱硫器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、上記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、を備え、上記第1の脱硫剤は、活性炭と、上記活性炭に添着された金属と、を含み、上記金属は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含み、上記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライトを含む燃料ガス用脱硫器。
<2> 上記第1の脱硫剤は、上記金属として、銅とニッケルとを含み、上記銅の添着量に対する上記ニッケルの添着量の割合が、質量基準で、0.20〜2.50の範囲である<1>に記載の燃料ガス用脱硫器。
<3> 上記第1の脱硫剤は、上記金属として、銅とタングステンとを含み、上記銅の添着量に対する上記タングステンの添着量の割合が、質量基準で、0.10〜0.60の範囲である<1>に記載の燃料ガス用脱硫器。
<4> 上記第1の脱硫剤は、上記金属として、銅とモリブデンとを含み、上記銅の添着量に対する上記モリブデンの添着量の割合が、質量基準で、0.15〜2.00の範囲である<1>に記載の燃料ガス用脱硫器。
本発明によれば、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるともに、脱硫器の小型化を実現し得る燃料ガス用脱硫器が提供される。
本実施形態に係る燃料ガス用脱硫器を示す概略構成図である。 実施例の評価試験に用いた脱硫器の概略図である。 実施例の評価試験の結果に基づいて設計した脱硫器の構成を示すグラフである。 実施例の評価試験に用いた実験装置の概略図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、脱硫剤中の各成分の量は、各成分に該当する物質が脱硫剤中に複数存在する場合には、特に断らない限り、脱硫剤中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
[燃料ガス用脱硫器]
本発明の燃料ガス用脱硫器は、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、を備え、第1の脱硫剤は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含み、該金属は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含み、第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライト(銀担持ゼオライト)を含む脱硫器である。
本発明の燃料ガス用脱硫器によれば、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫器の小型化を実現し得る。
本発明の燃料ガス用脱硫器が、このような効果を奏し得る理由については明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の燃料ガス用脱硫器は、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、を備えているので、燃料ガス用脱硫器に供給された硫黄化合物を含む燃料ガスは、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部を流通した後、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部を流通する。
第1の脱硫剤は、活性炭に、銅と、特定の金属(即ち、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種)と、を添着させた脱硫剤であり、脱硫性能に優れ、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。そのため、第1の脱硫剤は、例えば、特許文献4(特許第3895134号公報)に記載の活性炭にニッケルのみを添着させた従来の脱硫剤と比較して、少ない使用量で、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を吸着除去することができる。
なお、第1の脱硫剤は、都市ガス中に含まれる主たる硫黄化合物であるメルカプタン類(特に、TBM)の吸着能に特に優れる。
ところで、燃料ガス中には、硫黄化合物としてチオフェン類が含まれる場合がある。チオフェン類は、脱硫剤上で酸化され、吸着による除去が困難なチオフェンとなることがある。第1の脱硫剤は、活性炭に、銅と、特定の金属(即ち、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種)と、を添着させた脱硫剤であるため、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合であっても、チオフェンが生成し難い。
例えば、第1の脱硫剤が、活性炭に、銅とニッケルとを添着させた脱硫剤である場合には、銅の酸化力がニッケルによって抑制される結果、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合であっても、チオフェンの生成が抑制されると考えられる。
また、第1の脱硫剤では、金属の大部分が金属元素を含む化合物(酸化物、無機酸塩、有機酸塩等、特に酸化物)として活性炭に添着されていると考えられる。第1の脱硫剤が、活性炭に、銅とタングステンとの組み合わせ、又は、銅とモリブデンとの組み合わせを添着させた脱硫剤である場合、タングステンの酸化物及びモリブデンの酸化物は、酸素欠損が多いため、その欠損部にチオフェンを生成し得る硫黄化合物の硫黄が吸着することで、チオフェンの生成が抑制されると考えられる。
なお、酸化等の反応によってチオフェンを生成し得るチオフェン類としては、テトラヒドロチオフェン(THT)、2−メチルチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、4−メチルジベンゾチオフェン、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等のチオフェン類が挙げられる。
また、燃料ガス中には、様々な種類の硫黄化合物が含まれており、これらを同時に吸着除去することは困難である。銀担持ゼオライトは、硫黄化合物の吸着能に優れることが知られているが、複数種の硫黄化合物の全てを吸着させるには、使用量を多く必要とする。銀担持ゼオライトは、原料が高価であるため、その使用量はできるだけ低減したい。
本発明の燃料ガス用脱硫器では、燃料ガスが最初に流通する第1の脱硫部に使用する脱硫剤(即ち、第1の脱硫剤)として、活性炭に銅と特定の金属とを添着させた脱硫剤を選択することで、第1の脱硫部を流通した燃料ガス中の硫黄化合物の種類及び量は、第1の脱硫剤によって低減されている。そのため、第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置された第2の脱硫部では、硫黄化合物の吸着のために必要な第2の脱硫剤、即ち、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができる。しかも、第1の脱硫剤では、吸着による除去が困難なチオフェンの生成が抑制されているため、銀ゼオライトを増やす必要がない。
すなわち、本発明の燃料ガス用脱硫器は、脱硫剤として、銅と特定の金属とを添着させた活性炭と、銀担持ゼオライトと、を選択し、かつ、燃料ガスを、銅と特定の金属とを添着させた活性炭に流通させた後、銀担持ゼオライトを流通させる複数段構成の脱硫方式の脱硫器とすることで、銀担持ゼオライトの使用量を低減しながらも、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。また、銅と特定の金属とを添着させた活性炭は、硫黄化合物の吸着性能に優れることから、比較的少ない量で、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を吸着除去することができる。そのため、本発明の燃料ガス用脱硫器では、脱硫剤全体の使用量を低減することができる。その結果、脱硫器の小型化を実現し得る。
なお、本発明の燃料ガス用脱硫器は、脱硫剤(即ち、第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤)からリークする硫黄濃度(所謂、リーク硫黄濃度)が0.5ppb以下であるという優れた効果も奏し得る。
以下、本発明の燃料ガス用脱硫器について、詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る燃料ガス用脱硫器を、図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る燃料ガス用脱硫器を示す概略構成図である。
本実施形態に係る燃料ガス用脱硫器1は、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10と、第1の脱硫部10のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部20と、を備えている。第1の脱硫部10が備えている第1の脱硫剤(図示せず)は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含んでおり、該金属は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含んでいる。また、第2の脱硫部20が備えている第2の脱硫剤(図示せず)は、銀が担持されたゼオライト(銀担持ゼオライト)を含んでいる。
本実施形態に係る燃料ガス用脱硫器1において、硫黄化合物を含む燃料ガスは、図1に示す矢印の方向に流れる。すなわち、燃料ガス用脱硫器1に供給された硫黄化合物を含む燃料ガスが、第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10を流通した後、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部20を流通することで、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物が、第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤に吸着され、除去される。
燃料ガス用脱硫器1に供給された硫黄化合物を含む燃料ガスは、まず第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10を流通する。第1の脱硫剤は、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着することができるため、比較的少ない使用量で、優れた吸着能を発揮する。第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部10を流通した燃料ガス中の硫黄化合物は、その大部分が第1の脱硫剤によって除去された後、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部20を流通する。第2の脱硫剤は、第1の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物を除去できればよく、また、第1の脱硫剤において生成し得る硫黄化合物(例えば、チオフェン)は少量であるため、第2の脱硫剤は多くの使用量を必要としない。その結果、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫器の小型化を実現することができる。
〔第1の脱硫部〕
第1の脱硫部は、第1の脱硫剤を備えている。
第1の脱硫部では、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物の大部分が第1の脱硫剤によって除去される。
<第1の脱硫剤>
第1の脱硫剤は、活性炭と、該活性炭に添着された金属と、を含み、該金属は、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含む。
第1の脱硫剤は、上記のような構成を有することで、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。
(活性炭)
第1の脱硫剤は、少なくとも1種の活性炭を含む。
活性炭としては、当該技術分野において、通常用いられる活性炭を特に制限なく用いることができる。
活性炭の原料としては、ヤシ殻、石炭(無煙炭、瀝青炭等)、木粉、ピート炭、竹炭などが挙げられる。
これらの中でも、活性炭の原料としては、平均細孔径が小さく、不純物の含有量が少ないという観点から、ヤシ殻が好ましい。
活性炭は、無機酸で処理された活性炭であることが好ましい。活性炭を無機酸で処理すると、不純物が除去され、比表面積が向上したり、活性炭の表面が親水化されたりするため、添着金属の分散度がより向上し得る。
活性炭を処理する無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
活性炭の形状としては、特に制限されず、粒状、柱状(例えば、円柱状)、繊維状、ハニカム状、破砕状等が挙げられる。
これらの中でも、活性炭の形状としては、例えば、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状からなる群より選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度が高く、かつ、微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
活性炭の形状が粒状である場合、活性炭の平均粒子径は、例えば、ガス流量が10L(リットル)/min以下では、ガスの偏流防止の観点及び脱硫剤の流出防止フィルターのメッシュ間隔との関係から、0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。
本明細書において、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径(Mv)をいい、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される値である。
活性炭の比表面積は、例えば、添着金属の分散度を向上させる観点から、600m/g以上であることが好ましく、1300m/g以上であることがより好ましい。
本明細書において、「比表面積」は、BET法により測定される値である。
活性炭の平均細孔径は、例えば、硫黄化合物の分子径に合った孔径であるという観点から、0.9nm以上2.0nm以下であることが好ましく、0.9nm以上1.5nm以下であることがより好ましい。
本明細書において、「平均細孔径」は、窒素ガス吸着法により測定される値である。
(金属)
第1の脱硫剤は、上述した活性炭に添着された金属を含み、該金属が、銅(Cu)と、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、及びモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含む。
活性炭に添着された上記の金属の大部分は、金属元素を含む化合物(酸化物、無機酸塩、有機酸塩等)として含まれていると考えられるが、金属単体として含まれていてもよい。
金属としては、銅と、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種と、の組み合わせを含んでいればよく、銅と組み合わせる金属は、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。金属としては、銅とニッケルとの組み合わせであってもよく、銅とタングステンとの組み合わせであってもよく、銅とモリブデンとの組み合わせであってもよい。
例えば、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去する観点からは、金属としては、銅とタングステンとの組み合わせ、又は、銅とモリブデンとの組み合わせを含むことが好ましく、銅とタングステンとの組み合わせを含むことがより好ましい。
例えば、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成を顕著に抑制する観点からは、金属としては、銅とニッケルとの組み合わせを含むことが好ましい。
なお、金属としては、銅とニッケルとタングステンとの組み合わせであってもよく、銅とニッケルとモリブデンとの組み合わせであってもよく、銅とタングステンとモリブデンとの組み合わせであってもよく、銅とニッケルとタングステンとモリブデンとの組み合わせであってもよい。
銅の添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がニッケルである場合、ニッケルの添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がタングステンである場合、タングステンの添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がモリブデンである場合、モリブデンの添着量は、例えば、第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がニッケルである場合、銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合(ニッケルの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.20〜2.70の範囲であることが好ましく、0.20〜2.50の範囲であることがより好ましく、0.30〜2.00の範囲であることが更に好ましく、0.30〜1.00の範囲であることが特に好ましい。
銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合が、上記範囲内であると、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、かつ、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成をより抑制することができる。
銅と組み合わせる金属がタングステンである場合、銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.10〜0.60の範囲であることが好ましく、0.15〜0.60の範囲であることがより好ましい。
銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合が、上記範囲内であると、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、かつ、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成をより抑制することができる。
なお、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去する観点からは、銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15〜0.55の範囲であることが更に好ましい。
また、チオフェンの生成をより抑制する観点からは、銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.25〜0.60の範囲であることが更に好ましい。
銅と組み合わせる金属がモリブデンである場合、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15〜2.00の範囲であることが好ましく、0.15〜1.80の範囲であることがより好ましい。
銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合が、上記範囲内であると、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、かつ、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成をより抑制することができる。
なお、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去する観点からは、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15〜1.60の範囲であることが更に好ましい。
また、チオフェンの生成をより抑制する観点からは、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.20〜1.60の範囲であることが更に好ましく、0.30〜1.60の範囲であることが特に好ましい。
活性炭に添着された金属が銅及びニッケルを含む場合、銅の添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上80質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上65質量%以下であることが特に好ましい。
また、ニッケルの添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、35質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。
活性炭に添着された金属が銅及びタングステンを含む場合、銅の添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、50質量%以上85質量%以下であることが好ましく、50質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。
また、タングステンの添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、15質量%以上50質量%以下であることが好ましく、25質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
活性炭に添着された金属が銅及びモリブデンを含む場合、銅の添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、30質量%以上85質量%以下であることが好ましく、35質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
また、モリブデンの添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、15質量%以上70質量%以下であることが好ましく、15質量%以上65質量%以下であることがより好ましい。
本明細書において、活性炭に添着された金属の量(即ち、添着量)は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により測定される値である。測定装置としては、例えば、Perkin−Elmer製のOptima 8000(製品名)を好適に用いることができる。但し、測定装置は、これに限定されない。
(他の成分)
第1の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、活性炭、銅、並びに、ニッケル、タングステン、及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種以外の他の成分を含んでもよい。
第1の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、不可避成分として、銅、ニッケル、タングステン、及びモリブデン以外の金属を含んでいてもよい。
〜第1の脱硫剤の形状〜
第1の脱硫剤の形状は、特に制限されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
第1の脱硫剤の形状としては、粒状、柱状(例えば、円柱状)、繊維状、ハニカム状、破砕状等の形状が挙げられる。
これらの中でも、第1の脱硫剤の形状としては、例えば、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状からなる群より選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度の高さ及び微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
〜第1の脱硫剤の製造方法〜
第1の脱硫剤の製造方法は、特に制限されず、活性炭に金属を添着させる方法として公知の方法を採用し、第1の脱硫剤を製造することができる。
第1の脱硫剤の製造方法の一例を説明する。第1の脱硫剤は、例えば、下記の方法により製造することができる。但し、第1の脱硫剤の製造方法は、これに限定されるものではない。
(1)活性炭に添着させる金属の元素を含む金属化合物を、溶媒に溶解又は分散させた溶液(含浸溶液)を調製する。
(2)含浸溶液に、活性炭を浸漬させる。
(3)含浸溶液に浸漬させた活性炭を乾燥させ、溶媒を除去する。
(4)乾燥した浸漬後の活性炭を焼成して、活性炭上に金属酸化物等を形成させて、金属添着炭(第1の脱硫剤)を得る。
以上の方法により、第1の脱硫剤を製造することができる。
含浸溶液を調製するための金属化合物としては、金属硝酸塩、金属酢酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物、金属リン酸塩等の金属塩類が挙げられる。
具体的には、硝酸銅三水和物、酢酸銅一水和物、硝酸ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、12−タングストリン酸n水和物、モリブデン酸アンモニウム四水和物等が挙げられる。
含浸溶液を調製するための溶剤としては、特に制限されず、水、酸性水溶液(硝酸水溶液等)、塩基性水溶液(アンモニア水溶液等)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素系溶剤(トルエン等)などが挙げられる。
これらの中でも、含浸溶液を調製するための溶媒としては、焼成後に残留しない等の観点から、水が好ましい。
含浸溶液の調製には、溶媒を1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
含浸溶液における金属化合物の濃度は、特に制限されず、例えば、金属化合物の種類、活性炭に添着させる金属の添着量、活性炭の種類等に応じて、適宜設定することができる。
浸漬温度は、特に制限されず、例えば、10℃〜80℃の範囲とすることができる。
浸漬時間についても、特に制限されず、例えば、5分間〜2時間の範囲とすることができる。
乾燥方法は、特に制限されず、例えば、加熱により乾燥させる方法が挙げられる。
加熱温度は、特に制限されず、例えば、50℃〜150℃の範囲とすることができる。
焼成温度は、例えば、金属化合物の分解促進、及び金属添着炭の発火抑制の観点から、150℃〜300℃の範囲であることが好ましい。
焼成時間は、特に制限されず、例えば、1時間〜24時間の範囲とすることができる。
〔第2の脱硫部〕
第2の脱硫部は、既述の第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備えている。
第2の脱硫部では、第1の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物及び第1の脱硫剤において生成し得る硫黄化合物(例えば、チオフェン)を第2の脱硫剤に吸着し、除去する。
第1の脱硫部を流通した燃料ガス中の硫黄化合物の種類及び量は、第1の脱硫剤によって低減されているため、第2の脱硫剤は、多くの使用量を必要としない。
<第2の脱硫剤>
第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライト(銀担持ゼオライト)を含む。
第2の脱硫剤は、銀担持ゼオライトを含むことで、第1の脱硫剤では吸着しきれない硫黄化合物及び第1の脱硫剤において生成し得る硫黄化合物(例えば、チオフェン)を吸着除去することができる。
(銀担持ゼオライト)
銀ゼオライトは、ゼオライトに銀(Ag)が担持されたものであり、燃料ガス中の水分濃度にかかわらず、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができる。
ゼオライトとしては、特に制限されず、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、β型ゼオライト等が挙げられる。
これらの中でも、ゼオライトとしては、例えば、脱硫性能の観点から、Y型ゼオライトが好ましく、特に水分濃度が高い場合には、β型ゼオライトが好ましい。
銀の担持量は、例えば、脱硫性能の観点から、ゼオライトの質量に対して、3質量%以上であることが好ましい。
銀の担持量の上限は、特に制限されず、例えば、20質量%以下とすることができる。
(他の成分)
第2の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、ゼオライト、及び銀以外の他の成分を含んでもよい。
他の成分としては、成形材料としてのバインダーが挙げられる。バインダーとしては、アルミナ、シリカ、粘土鉱物等が挙げられる。
第2の脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、不可避成分として、銀以外の金属を含んでいてもよい。
〜第2の脱硫剤の形状〜
第2の脱硫剤の形状は、特に制限されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
第2の脱硫剤の形状としては、粒状、柱状(例えば、円柱状)、ハニカム状、破砕状等の形状が挙げられる。
これらの中でも、第2の脱硫剤の形状としては、例えば、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状からなる群より選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度の高さ及び微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
〜第2の脱硫剤の製造方法〜
第2の脱硫剤の製造方法は、特に制限されず、ゼオライトに銀を担持させる方法として公知の方法を採用し、第2の脱硫剤を製造することができる。ゼオライトに銀を担持させる方法としては、例えば、イオン交換法が挙げられる。
第2の脱硫剤としては、市販品を用いることができる。第2の脱硫剤の市販品の例としては、FKS−A(商品名、形状:粒状、ゼオライトの種類:Y型ゼオライト、銀の担持量:ゼオライトの質量に対して14質量%、日揮触媒化成(株))が挙げられる。
[燃料ガス用脱硫器の用途]
本発明の燃料ガス用脱硫器は、燃料として使用される燃料ガス中に含まれる硫黄化合物を除去する用途に適用される脱硫器であり、例えば、0℃〜60℃の温度範囲で硫黄化合物を含む燃料ガスと接触させ、脱硫剤の表面に物理的又は化学的に硫黄化合物を吸着させることによって、燃料ガス中の硫黄化合物を除去する、いわゆる常温吸着脱硫方式の脱硫に使用される脱硫器である。
硫黄化合物を含む燃料ガスとしては、都市ガス、LPガス、天然ガス、消化ガス、排ガス等が挙げられる。本発明の燃料ガス用脱硫器は、これらの燃料ガスのいずれに対しても適用することができる。
本発明の燃料ガス用脱硫器は、燃料ガス中に含まれる硫化水素(HS)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン類〔メチルメルカプタン(MM)、エチルメルカプタン(EM)、tert-ブチルメルカプタン(TBM)等〕、サルファイド類〔ジメチルスルフィド(DMS)、ジエチルスルフィド(DES)、ジメチルジスルフィド(DMDS)等〕、チオフェン類〔テトラヒドロチオフェン(THT)等〕などの種々の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、従来の銀担持ゼオライトを使用した脱硫器と比較して、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫器の小型化を実現することができるため、例えば、都市ガス、LPガス、天然ガス、消化ガス、排ガス等の燃料ガスを利用した燃料電池システムにおける前処理段階の脱硫器(即ち、常温吸着脱硫器)として好適である。
なお、本発明の燃料ガス用脱硫器は、銀担持ゼオライトの使用量を低減することができることから、特に、脱硫器の低コスト化及び小型化が求められる、家庭用燃料電池システムにおける脱硫器として、好適に用いられる。
[燃料ガス用脱硫器の製造方法]
本発明の燃料ガス用脱硫器は、例えば、第1の脱硫剤と第2の脱硫剤とを順に所定の容器に充填することで製造することができる。
容器の材料としては、ステンレス鋼(SUS)、樹脂等が挙げられる。
容器の形状としては、円筒状、角筒状等が挙げられる。
容器における第1の脱硫剤及び第2の脱硫剤の充填密度は、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物の吸着量、圧力損失等を考慮して、適宜設定することができる。
本発明の燃料ガス用脱硫器は、容器のガス流通方向下流側に、第2の脱硫剤の飛散を防止するためのフィルター等を備えていてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例では、破過時間を早期に判断するために、試験時の濃度及び流量を加速させた条件で試験を行っており、試験条件が実使用条件とは異なっている。
以下の実施例では、tert-ブチルメルカプタンを「TBM」と表記し、ジメチルスルフィドを「DMS」と表記し、硫化水素を「HS」と表記し、メチルメルカプタンを「MM」と表記し、ジメチルジスルフィドを「DMDS」と表記し、テトラヒドロチオフェンを「THT」と表記し、硫化カルボニルを「COS」と表記する。
[第1の脱硫剤の製造]
〔製造例1〕
硝酸銅三水和物19質量部と、硝酸ニッケル六水和物25質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得た。得られた含浸溶液に、無機酸で処理したヤシ殻活性炭(商品名:粒状白鷺C2X、形状:円柱状、比表面積:1200m/g〜1500m/g、大阪ガスケミカル(株)製)100質量部を、5分間浸漬した。浸漬後のヤシ殻活性炭を、ロータリーエバポレーター(型番:N1110型、東京理化器械(株)製)に備えられたフラスコに入れた。浸漬後のヤシ殻活性炭を、フラスコを回転させて撹拌しながら、突沸しないように、50℃の減圧下で120分間乾燥した。フラスコから乾燥処理した浸漬後のヤシ殻活性炭を取り出し、熱風循環乾燥器(型番:FS−60W、東京硝子器械(株)製)に入れ、空気流通下、焼成温度150℃にて15時間焼成し、ヤシ殻活性炭に銅及びニッケルが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、メノウ乳鉢を用いて破砕した後、目開き0.35μm〜0.75μmの篩にかけて整粒し、第1の脱硫剤Aとした。
なお、第1の脱硫剤Aにおける銅及びニッケルの添着量を、Perkin−Elmer製のOptima 8000(製品名)を用い、ICP発光分光分析法により測定したところ、第1の脱硫剤Aの全質量に対して、それぞれ3.3質量%及び3.1質量%であった。また、第1の脱硫剤Aにおける銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合(ニッケルの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.94である。
〔製造例2〕
硝酸銅三水和物38質量部と、硝酸ニッケル六水和物25質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びニッケルが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Bとした。
なお、第1の脱硫剤Bにおける銅及びニッケルの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Bの全質量に対して、それぞれ6.9質量%及び2.8質量%であった。また、第1の脱硫剤Bにおける銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合(ニッケルの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.41である。
〔製造例3〕
硝酸銅三水和物19質量部と、硝酸ニッケル六水和物50質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びニッケルが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Cとした。
なお、第1の脱硫剤Cにおける銅及びニッケルの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Cの全質量に対して、それぞれ2.7質量%及び5.5質量%であった。また、第1の脱硫剤Cにおける銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合(ニッケルの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、2.04である。
〔製造例4〕
硝酸銅三水和物19質量部と、硝酸ニッケル六水和物43質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びニッケルが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Dとした。
なお、第1の脱硫剤Dにおける銅及びニッケルの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Dの全質量に対して、それぞれ2.8質量%及び7.3質量%であった。また、第1の脱硫剤Dにおける銅の添着量に対するニッケルの添着量の割合(ニッケルの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、2.61である。
〔製造例5〕
硝酸銅三水和物38質量部と、12−タングストリン酸n水和物7.5質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びタングステンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Eとした。
なお、第1の脱硫剤Eにおける銅及びタングステンの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Eの全質量に対して、それぞれ7.1質量%及び1.4質量%であった。また、第1の脱硫剤Eにおける銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.20である。
〔製造例6〕
硝酸銅三水和物38質量部と、12−タングストリン酸n水和物16質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びタングステンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Fとした。
なお、第1の脱硫剤Fにおける銅及びタングステンの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Fの全質量に対して、それぞれ6.8質量%及び4.0質量%であった。また、第1の脱硫剤Fにおける銅の添着量に対するタングステンの添着量の割合(タングステンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.59である。
〔製造例7〕
硝酸銅三水和物38質量部と、モリブデン酸アンモニウム四水和物9.4質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びモリブデンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Gとした。
なお、第1の脱硫剤Gにおける銅及びモリブデンの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Gの全質量に対して、それぞれ7.8質量%及び2.0質量%であった。また、第1の脱硫剤Gにおける銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.26であった。
〔製造例8〕
硝酸銅三水和物19質量部と、モリブデン酸アンモニウム四水和物9.4質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びモリブデンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Hとした。
なお、第1の脱硫剤Hにおける銅及びモリブデンの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Hの全質量に対して、それぞれ3.9質量%及び2.2質量%であった。また、第1の脱硫剤Hにおける銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.56であった。
〔製造例9〕
硝酸銅三水和物19質量部と、モリブデン酸アンモニウム四水和物19質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、製造例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びモリブデンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、製造例1と同様にして、破砕し、整粒して、第1の脱硫剤Iとした。
なお、第1の脱硫剤Iにおける銅及びモリブデンの添着量を、第1の脱硫剤Aと同様の方法により測定したところ、第1の脱硫剤Iの全質量に対して、それぞれ3.4質量%及び5.2質量%であった。また、第1の脱硫剤Iにおける銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、1.53であった。
[第1の脱硫剤の性能評価]
−評価試験用脱硫器の作製−
上記で得られた第1の脱硫剤A〜Iを用いて、評価試験用脱硫器を作製した。図2に示すような、円筒管100(内径:8.0mm)内に、脱硫剤200を充填層高38mmとなるように充填した。脱硫剤の充填量としては、約2cmとなる。なお、円筒管100は、出口部に目皿300を有している。
また、比較対象として、市販の脱硫用活性炭〔商品名:粒状白鷺NCC、無機酸で処理したヤシ殻活性炭にニッケルが添着したもの(ニッケルの添着量:無機酸で処理したヤシ殻活性炭の全質量に対して、10質量%〜20質量%)、形状:破砕状、比表面積:900m/g〜1100m/g、大阪ガスケミカル(株)製〕を用い、上記と同様にして、評価試験用脱硫器を作製した。
−硫黄化合物の吸着量の測定−
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を60℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みの都市ガス13Aに下記の表1に示す組成の硫黄化合物を添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、−60℃である。供試ガスは、図2に示す矢印の方向に流れる。
全ての硫黄化合物の破過点(破過基準:28.6mg/m)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから各硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、各硫黄化合物の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。
また、ガスクロマトグラフィの測定条件は、以下の通りである。
(測定条件)
ガスクロマトグラフィシステム:(株)島津アクセス製のGC−2014A(型番)
検出器:水素炎イオン化検出器
分析カラム:Shimalite 80/100 AW−AMDS−ST(商品名、4.1m×3.2mmI.D.、信和化工(株)製)
インジェクション量:3mL
カラム温度:170℃
代表として、TBM、THT、及びDMDSの吸着量の測定結果を下記の表2に示す。
なお、TBM、THT、及びDMDSの3種類合計の吸着量の値が高いほど、脱硫剤が硫黄化合物の吸着能に優れることを意味する。
−チオフェンの生成濃度の測定−
上記の硫黄化合物の吸着量の測定において、TBM又はMMの破過点が確認されるまでに、評価試験用脱硫器の出口から3時間毎に採取したガス中のチオフェン濃度を、TBM又はMMの破過点のどちらか早い方までの時間の平均濃度に換算したものをチオフェンの生成濃度とした。
チオフェンの生成濃度の測定は、ガスクロマトグラフィによる絶対検量線法により行った。ガスクロマトグラフィの測定条件は、上記の硫黄化合物の吸着量の測定における測定条件と同様である。なお、検量線は、上記のガスクロマトグラフィの測定条件により、標準チオフェンを用いて作成した。
チオフェンの生成濃度の測定結果を下記の表2に示す。
表2では、第1の脱硫剤Aを「A」と表記する。なお、第1の脱硫剤B〜Iについても同様に、それぞれ「B」〜「I」と表記する。
表2では、市販の脱硫用活性炭である粒状白鷺NCCを「NCC」と表記する。
表2において、「吸着量」の値は、破過点までに第1の脱硫剤に吸着した硫黄化合物の量を、吸着前の第1の脱硫剤の質量で除し、得られた値を硫黄元素に換算した値(単位:質量%S)を示す。
表2では、第1の脱硫剤における銅の添着量に対するニッケル、タングステン、又はモリブデンの添着量の割合(質量基準)を「添着比率(Ni、W、Mo/Cu)」と表記する。
[脱硫器の設計]
−第1の脱硫剤の量設定−
表2に示すTBMの吸着量の結果に基づき、第1の脱硫剤の量を設定した。
具体的には、脱硫済みの都市ガス13Aに、7.0mg/m〜14.0mg/mのTBM、0.7mg/m〜2.8mg/mのTHT、及び1.4mg/m〜7.0mg/mのDMDSを添加した供試ガスを、流通ガス量が5000mとなるように流した場合に、供試ガスに含まれるTBMの全てを吸着することができる第1の脱硫剤の量を、表2に示したTBMの吸着量の結果に基づき、下記の式(1)に従って、算出した。
第1の脱硫剤の量[cm]=供試ガス中のTBMの濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]÷(表2に示すTBMの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第1の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(1)
上記にて設定した第1の脱硫剤の量では、吸着しきれないTHT及びDMDSの量、並びにチオフェンの生成量を、それぞれ下記の式(2)、式(3)、及び式(4)に従って、算出した。なお、下記の式(2)、式(3)、及び式(4)では、上記にて算出した第1の脱硫剤の量[cm]を、g(グラム)単位に換算して用いた。換算式を式(1A)に示す。
第1の脱硫剤の量[g]=第1の脱硫剤の量[cm]×第1の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(1A)
THTの量[mg]=供試ガス中のTHTの濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]−第1の脱硫剤の量[g]×1000×(表2に示すTHTの吸着量[質量%S]/100)・・・式(2)
DMDSの量[mg]=供試ガス中のDMDSの濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]−第1の脱硫剤の量[g]×1000×(表2に示すDMDSの吸着量[質量%S]/100)・・・式(3)
チオフェンの生成量[mg]=表2に示すチオフェンの生成濃度[mg/m]×供試ガスの流通ガス量[m]−第1の脱硫剤の量[g]×1000×(表2に示すチオフェンの吸着量[質量%S]/100)・・・式(4)
−第2の脱硫剤の量設定−
第2の脱硫剤として、市販の銀担持ゼオライト(商品名:FKS−A、形状:粒状、ゼオライトの種類:Y型ゼオライト、銀の担持量:ゼオライトの質量に対して14質量%、日揮触媒化成(株))を用いて、評価試験用脱硫器を作製した。図2に示すような、円筒管100(内径:8.0mm)内に、脱硫剤200を充填層高38mmとなるように充填した。脱硫剤の充填量としては、約2cmとなる。なお、円筒管100は、出口部に目皿300を有している。
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を60℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みの都市ガス13Aに、0.7mg/m〜2.8mg/mのTHT、1.4mg/m〜7.0mg/mのDMDS、及び0.05mg/m〜0.50mg/mのチオフェンを添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、−60℃である。供試ガスは、図2に示す矢印の方向に流れる。
全ての硫黄化合物について、破過点(THT、及びDMDSの破過基準:28.6mg/m、チオフェンの破過基準:28.6mg/m)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから各硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、各硫黄化合物の第2の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。ガスクロマトグラフィの測定条件は、上記の硫黄化合物の吸着量の測定における測定条件と同様である。
第2の脱硫剤におけるTHT、DMDS、及びチオフェンの吸着量の測定結果を下記の表3に示す。
表3において、「吸着量」の値は、破過点までに第2の脱硫剤に吸着した硫黄化合物の量を、吸着前の脱硫剤の質量で除し、得られた値を硫黄元素に換算した値(単位:質量%S)を示す。
表3に示す第2の脱硫剤におけるTHT、DMDS、及びチオフェンの吸着量の結果と、上記にて算出した、表2に示す第1の脱硫剤におけるTBMの吸着量の結果に基づいて設定した量の第1の脱硫剤では吸着しきれないTHT及びDMDSの量、並びにチオフェンの生成量と、に基づき、第2の脱硫剤の量設定を行った。具体的には、以下のようにして設定した。
まず、上記にて設定した量の第1の脱硫剤では吸着しきれないTHT及びDMDS、並びに生成するチオフェンの吸着に必要な第2の脱硫剤の量を、それぞれ下記の式(5)、式(6)、及び式(7)に従って、算出した。
THTの吸着に必要な第2の脱硫剤の量[cm]=式(2)により算出したTHTの量[mg]÷(表3に示すTHTの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第二の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(5)
DMDSの吸着に必要な第2の脱硫剤の量[cm]=式(2)により算出したDMDSの量[mg]÷(表3に示すDMDSの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第二の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(6)
チオフェンの吸着に必要な第2の脱硫剤の量[cm]=式(2)により算出したチオフェンの量[mg]÷(表3に示すチオフェンの吸着量[質量%S]/100)÷1000÷第二の脱硫剤の比重[g/cm]・・・式(7)
式(5)、式(6)、及び式(7)により算出した第2の脱硫剤の量のうち、最も多い量を第2の脱硫剤の量として設定した。
このようにして設定した第2の脱硫剤の量は、第1の脱硫剤でチオフェンが生成した場合には、第1の脱硫剤で吸着しきれないTHT及びDMDS、並びに第1の脱硫剤で生成したチオフェンの全てを吸着することができる量であり、第1の脱硫剤でチオフェンが生成しない場合には、第1の脱硫剤で吸着しきれないTHT及びDMDSの全てを吸着することができる量である。
以上の結果に基づいて設計した脱硫器の構成を下記の表4及び表5に示す。
表5及び図3に示すように、実施例1〜実施例9の脱硫器は、比較例1の脱硫器と比較して、第2の脱硫剤である銀担持ゼオライトの量を低く設定することができた。
また、実施例1〜実施例9の脱硫器は、比較例1の脱硫器と比較して、脱硫器全体の脱硫剤の量を低く設定することができた。
これらの結果から、本発明によれば、高価な銀担持ゼオライトの使用量を低減することができるとともに、脱硫剤全体の使用量も低減することができるため、脱硫器の低コスト化及び小型化を実現することができると考えられる。
<リーク硫黄量の評価>
図4に示すような実験装置を用いて、リーク硫黄量の評価試験を行った。
図4に示す実験装置は、実施例1の脱硫器1と、脱硫器1のガス流通方向下流に配置された改質器400(改質触媒:ルテニウム担持触媒、改質温度:450℃(上部)、680℃(下部))と、を備えている。
脱硫器1内に、都市ガス13Aを1.0L/minの流量で流し、改質器400の手前で、水を2.6cm/minの流量で流した。都市ガス13A及び水は、図4に示す矢印の方向に流れる。脱硫器1内に、都市ガス13Aを3000時間流した後、改質器400内の改質触媒に付着した硫黄分を定量することにより、脱硫器1からのリーク硫黄量を測定した。
改質触媒に付着した硫黄分は、炭素・硫黄分析装置(製品名:EMIA−920V2、測定方式:酸素気流中燃焼(高周波加熱炉方式)−赤外線吸収法、定量下限:0.002質量%、HORIBA製)を用いて測定した。
その結果、都市ガス13Aの流通ガス量と都市ガス13A中の総硫黄量とから求めたリーク硫黄量は、0.32ppbであり、従来の一般的な脱硫器におけるリーク硫黄量(数ppb程度、例えば、参考資料1(龍井 洋ら、「燃料電池ユニットの欧州展開」、Panasonic Technical Journal Vol. 60, No.2, Nov. 2014, p72, Table 1)を参照)と比較して、非常に少ないことが明らかとなった。
1・・・脱硫器、10・・・第1の脱硫部、20・・・第2の脱硫部、100・・・円筒管、200・・・脱硫剤、300・・・目皿、400・・・改質器

Claims (4)

  1. 第1の脱硫剤を備える第1の脱硫部と、前記第1の脱硫部のガス流通方向下流に配置され、第2の脱硫剤を備える第2の脱硫部と、を備え、
    前記第1の脱硫剤は、活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、
    前記金属は、銅とタングステンとの組み合わせであり
    前記第2の脱硫剤は、銀が担持されたゼオライトを含む燃料ガス用脱硫器。
  2. 前記タングステンの添着量が、前記第1の脱硫剤の全質量に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下である請求項1に記載の燃料ガス用脱硫器。
  3. 前記タングステンの添着量が、前記活性炭に添着された金属の全質量に対して、15質量%以上50質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の燃料ガス用脱硫器。
  4. 前記銅の添着量に対する前記タングステンの添着量の割合が、質量基準で、0.10〜0.60の範囲である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料ガス用脱硫器。
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