以下、図面を参照して、本発明の打込み工具の一例である釘打機の実施の形態について説明する。
<本実施の形態の釘打機の構成例>
図1は、本実施の形態の釘打機の一例を示す要部構成図、図2、図3は、本実施の形態の釘打機の一例を示す全体構成図である。また、図4~図7は、本実施の形態の釘打機の一例及び動作例を示す要部構成図である。
本実施の形態の釘打機1Aは、本体部10と、本体部10から延伸し、手で把持されるハンドル部11を備える。釘打機1Aは、本体部10の一方の側に、ファスナーが打ち出されるノーズ部12を備える。以下の説明では、釘打機1Aの使用形態を考慮して、ノーズ部12が設けられる側を下側、ノーズ部12が設けられる側の反対を上側とする。また、ハンドル部11が設けられる側を後側、ハンドル部11が設けられる側の反対を前側とする。
釘打機1Aは、燃料が充填された図示しない燃料タンクが着脱可能に取り付けられるタンク取付部13が、ハンドル部11の下方に略平行する形態で設けられる。また、釘打機1Aは、ノーズ部12にファスナーを共有するマガジン14が、タンク取付部13の下方に設けられる。更に、釘打機1Aは、圧縮された酸化剤として、エアコンプレッサ等の供給源から圧縮空気が供給されるエアホースが接続されるエアプラグ15が、本例ではタンク取付部13に設けられる。
また、釘打機1Aは、釘打機1Aを作動させる操作トリガ16がハンドル部11に設けられ、釘打機1Aの電源となるバッテリ17が取り付けられるバッテリ取付部18がハンドル部11に設けられる。
釘打機1Aは、圧縮空気と燃料との混合気体の燃焼圧で作動する打撃シリンダ2と、圧縮空気と燃料との混合気体を燃焼させる燃焼室3と、打撃シリンダ2と燃焼室3との間を開閉するヘッドバルブ4と、ヘッドバルブ4を支持するバルブ支持体5を備える。
打撃シリンダ2は打撃機構の一例で、マガジン14からノーズ部12に供給されたファスナーを打ち出すドライバ20と、ドライバ20が設けられたピストン21を備える。打撃シリンダ2は、ピストン21が摺動可能な円筒形の空間が設けられ、ピストン21の往復動作で、ドライバ20がノーズ部12の延伸方向に沿って移動する。
打撃シリンダ2は、上端の周縁に、上方に向けて径が大きくなるテーパ状に構成されたピストン位置規制部2aを備える。ピストン21が上方向に移動すると、ピストン21の外周面に設けたピストンリング21aがピストン位置規制部2aに係止されることで、ピストン21の上死点位置が規定される。なお、ピストン位置規制部2aによるピストン21の係止は、燃焼圧によりピストン21が押される力で解除され、ピストン21が燃焼圧で移動可能である。
また、打撃シリンダ2は、ピストン21が当てられる緩衝材22を備える。緩衝材22は、弾性を有する部材で構成され、打撃シリンダ2の下部に設けられる。打撃シリンダ2では、ファスナーを打ち出す動作で下方向へ移動したピストン21が緩衝材22に当たることで、ピストン21の下死点位置が規定され、ドライバ20及びピストン21の移動範囲が規制される。
燃焼室3は、打撃シリンダ2の軸方向であるドライバ20及びピストン21の軸方向に沿って打撃シリンダ2の上部に設けられる。打撃シリンダ2と燃焼室3は、仕切り部50で仕切られ、仕切り部50に、燃焼した高温高圧の空気が通る打撃シリンダ流入口51が設けられる。打撃シリンダ流入口51は打撃機構流入口の一例で、打撃シリンダ2の軸方向であるドライバ20及びピストン21の軸上に円形の開口を設けて構成される。
燃焼室3は、打撃シリンダ流入口51の周囲にバルブ支持体5が設けられ、バルブ支持体5の周囲にリング状の空間が形成される。
ヘッドバルブ4は弁体の一例で、円筒形状の金属の部材で構成される。図6、図7に示すように、ヘッドバルブ4は、円筒の軸方向に沿った下方の端面が閉塞し、円形で平面状のバルブ面40が形成される。ヘッドバルブ4は、バルブ面40の直径が、打撃シリンダ流入口51より大きく構成され、バルブ面40が仕切り部50に接した状態では、打撃シリンダ流入口51が閉塞される。
ヘッドバルブ4は、第1のシール部41と第2のシール部42を備える。第1のシール部41はシール部の一例で、ヘッドバルブ4の移動方向である軸方向に沿ったバルブ面40の外周に設けられ、第1のシール材41aが取り付けられる。第1のシール材41aは、ピストンリングと称す金属のリングで構成される。第1のシール部41は、第1のシール材41aが嵌る溝が円周方向に形成され、第1のシール材41aが取り付けられると、第1のシール材41aが円周面から所定量突出する。第1のシール部41は、本例では第1のシール材41aが、ヘッドバルブ4の軸方向に沿って2本取り付けられる。
第2のシール部42はシール部の一例で、ヘッドバルブ4の軸方向に沿って、第1のシール部41から所定の距離を開けてヘッドバルブ4の外周に設けられ、第2のシール材42aが取り付けられる。第2のシール材42aは、ゴム等の弾性体で構成された所謂Oリングである。第2のシール部42は、第2のシール材42aが嵌る溝が円周方向に形成され、第2のシール材42aが取り付けられると、第2のシール材42aが円周面から所定量突出する。
ヘッドバルブ4は、第1のシール部41及び第2のシール部42が、ヘッドバルブ4の円周面から外側に突出し、かつ、第1のシール部41に対して第2のシール部42の直径が大きく構成される。第2のシール部42は、第1のシール部41と対向する側の面が、高温高圧の気体で押される作動面43となる。作動面43は、リング状の面である。
ヘッドバルブ4は、バネ44で仕切り部50方向に付勢される。バネ44は付勢部材の一例で、コイルバネで構成され、バネ44の軸線が、打撃シリンダ2の軸上であるドライバ20及びピストン21の軸線上、すなわち、ヘッドバルブ4及び打撃シリンダ流入口51の同軸上に設けられる。バネ44は、ヘッドバルブ4の移動方向である軸方向に沿ってヘッドバルブ4に形成された上方が開口した凹部45に入り込むことで、ヘッドバルブ4とバネ44の一部が、軸方向に重なって配置される。このような配置をオーバーラップ配置と称す。また、バネ44がヘッドバルブ4の凹部45に入り込むようにするため、バネ44はヘッドバルブ4より小径であり、バネ44は打撃シリンダ2より小径化できる。
バネ44によりヘッドバルブ4を押す力は、作動面43に高温高圧の気体が作用しない状態では、バルブ面40が仕切り部50に接した状態を保つ力である。
ヘッドバルブ4は、バルブ支持体5により移動可能に支持される。
バルブ支持体5は弁支持体の一例で、円筒形状の金属の部材で構成される。図6、図7に示すように、バルブ支持体5は、本例では、円筒の軸方向に沿った下部に仕切り部50が一体に設けられる。バルブ支持体5は、円筒形状の内側の空間にヘッドバルブ4が入れられると、ヘッドバルブ4の第1のシール部41の第1のシール材41aが摺接すると共に、第2のシール部42の第2のシール材42aが摺接する。バルブ支持体5は、ヘッドバルブ4の第1のシール部41の第1のシール材41aが摺接する部位と、第2のシール部42の第2のシール材42aが摺接する部位では、各シール部に合わせて内径が異なる。
バルブ支持体5は、ヘッドバルブ4が入れられると、ヘッドバルブ4の第1のシール部41及び第2のシール部42と、バルブ支持体5の内面の間に作動空間52が形成される。作動空間52は、環状の空間である。
バルブ支持体5は、燃焼室3と作動空間52をつなぐヘッドバルブ流入口53を備える。ヘッドバルブ流入口53は、ヘッドバルブ4のバルブ面40が仕切り部50に接した位置にある状態で、第1のシール部41の近傍に、バルブ支持体5を貫通する開口を設けて構成される。ヘッドバルブ流入口53が、バルブ支持体5の側面に形成されることで、燃焼室3と作動空間52をつなぐ流路が複雑化せず、流入抵抗の増加を防ぐことができる。
ヘッドバルブ流入口53は、図6に示すように、ヘッドバルブ4のバルブ面40が仕切り部50に接した位置にある状態、すなわち、打撃シリンダ流入口51がヘッドバルブ4で閉じられている状態では、作動空間52とつながる。
これに対し、ヘッドバルブ4の作動面43に高温高圧の気体が作用することで、図7に示すように、ヘッドバルブ4が上方に移動すると、打撃シリンダ流入口51が開き、ヘッドバルブ流入口53は、打撃シリンダ流入口51とつながる。
ヘッドバルブ流入口53を通る空気は、燃焼室3で圧縮空気と燃料との混合気体を燃焼させることで発生させた高温高圧の空気である。高温高圧の気体は、常温常圧の空気に比較して粘性が低いため、ヘッドバルブ流入口53の開口面積が小さくても、気体の流れに対する抵抗の増加が抑制される。
第1のシール部41は、外周に第1のシール材41aが設けられ、第1のシール材41aがバルブ支持体5の内面に接する。第1のシール材41aは溝に嵌められているので、作動空間52に露出する部位は最小限に抑えられる。
第2のシール部42は、外周に第2のシール材42aが設けられ、第2のシール材42aがバルブ支持体5の内面に接する。第2のシール材42aは溝に嵌められているので、作動空間52に露出する部位は最小限に抑えられる。
バルブ支持体5は、ヘッドバルブ4が当てられる緩衝材54を備える。緩衝材54は、弾性を有する部材で構成され、ヘッドバルブ4の上部に設けられる。バルブ支持体5では、ヘッドバルブ4の作動面43に高温高圧の気体が作用することで移動したヘッドバルブ4が緩衝材54に当たることで、ヘッドバルブ4の移動範囲が規制される。なお、緩衝材54によりヘッドバルブ4の移動範囲が規制されるが、ヘッドバルブ4が緩衝材54に当たる際、緩衝材54の弾性変形によって衝撃を吸収するので、ヘッドバルブ流入口53の高さは、ヘッドバルブ4のストローク以下にしておくことが好ましい。これにより、ヘッドバルブ4が緩衝材54に当たる位置まで移動した際、ヘッドバルブ流入口53にヘッドバルブ4が露出しないようにすることができ、ヘッドバルブ流入口53の全体が開く。このように、ヘッドバルブ流入口53の開口量を一定にすることで出力を安定させることができる。
燃焼室3は、ヘッド部30で上部の開口が密閉される。バルブ支持体5は、ヘッド部30に接するように緩衝材54が設けられることで、ヘッド部30に加わる衝撃が緩衝され、部品の耐久性向上、ヘッド部30を燃焼室3に取り付けるボルトの緩み防止、電気ノイズの低減などの効果が得られる。
図8は、ヘッド部の第1の実施の形態を示す斜視図、図9は、第1の実施の形態のヘッド部及び燃焼室の上面図、図10は、第1の実施の形態のヘッド部及び燃焼室の断面図である。また、図11は、図9のA-A断面図、図12は、図9のB-B断面図、図13は、図9のC-C断面図である。
ヘッド部30の第1の実施の形態としてのヘッド部30Aは、点火装置31が設けられる。また、ヘッド部30Aは、燃料が供給される燃料供給口30Feと、圧縮空気が供給される空気供給口30Eaが設けられる。ヘッド部30Aは、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaが並列して設けられる。
燃料供給口30Feは、ヘッド部30Aの燃焼室3と対向する内壁面である天面30Uを貫通する開口を設けて構成され、図2に示す燃料管路30Fiが接続される燃料管路接続部材30Fpが取り付けられる。また、空気供給口30Eaは酸化剤供給口の一例で、ヘッド部30Aの天面30Uを貫通する開口を設けて構成され、図2、図3に示す空気管路30Eiが接続される空気管路接続部材30Epが取り付けられる。
更に、ヘッド部30Aは、燃焼室3から燃料供給口30Feへの火炎、気体等の逆流を抑制する燃料側リードバルブ30FBと、燃焼室3から空気供給口30Eaへの火炎、気体等の逆流を抑制する空気側リードバルブ30EBを備える。また、ヘッド部30Aは、空気供給口30Eaから供給される圧縮空気の流出方向を変化させる空気攪拌部33を備える。
燃料側リードバルブ30FBは逆止弁の一例で、弾性を有する金属の板材で構成され、燃料供給口30Feを開閉する弁部34FBと、ヘッド部30Aに固定される固定部35FBと、弁部34FBと固定部35FBを繋ぐ弾性部36FBを備える。
燃料側リードバルブ30FBは、弁部34FBが、燃料供給口30Feの全体を覆う形状で構成される。また、燃料側リードバルブ30FBは、弁部34FBが燃料供給口30Feを覆う位置として、燃料供給口30Feから離れた側の固定部35FBが、ネジ37FBでヘッド部30Aの天面30Uに固定される。
ヘッド部30Aは、燃料供給口30Feの周縁の天面30Uに、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBが接するシール部30Fsが形成される。
これにより、燃料側リードバルブ30FBは、固定部35FBがヘッド部30Aの天面30Uに固定されると、弾性部36FBの弾性により、弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられ、燃料供給口30Feが閉状態となる。
また、燃料側リードバルブ30FBは、弾性部36FBが弾性変形することにより弁部34FBがシール部30Fsから離接する方向に移動することで、燃料供給口30Feを開閉する。
燃料側リードバルブ30FBは、弁部34FBをシール部30Fs方向に付勢する付勢部38FBを備える。付勢部38FBは、図13に示すように、弾性部36FBに所定の形状の曲げ部を設けることで構成され、弾性部36Bの弾性により弁部34Bで燃料供給口30Feを閉じた状態において、弁部34Bがシール部30Fsから浮き上がることを抑制する。
空気側リードバルブ30EBは逆止弁の一例で、弾性を有する金属の板材で構成され、空気供給口30Eaを開閉する弁部34EBと、ヘッド部30Aに固定される固定部35EBと、弁部34EBと固定部35EBを繋ぐ弾性部36EBを備える。
空気側リードバルブ30EBは、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaの並びに対して燃料供給口30Feから離れた側に固定部35EBが設けられ、固定部35EBと燃料供給口30Feとの間に、空気供給口30Eaを開閉する弁部34EBが設けられる。
空気側リードバルブ30EBは、弁部34EBが、空気供給口30Eaの全体を覆う形状で構成される。また、空気側リードバルブ30EBは、弁部34EBが空気供給口30Eaを覆う位置として、空気供給口30Eaから離れた側の固定部35EBが、ネジ37EBで空気攪拌部33と共にヘッド部30Aの天面30Uに固定される。
ヘッド部30Aは、空気供給口30Eaの周縁の天面30Uに、空気側リードバルブ30EBの弁部34EBが接するシール部30Esが形成される。
これにより、空気側リードバルブ30EBは、固定部35EBがヘッド部30Aの天面30Uに固定されると、弾性部36EBの弾性により、弁部34EBがシール部30Esに押し付けられ、空気供給口30Eaが閉状態となる。
また、空気側リードバルブ30EBは、弾性部36EBが弾性変形することにより弁部34EBがシール部30Esから離接する方向に移動することで、空気供給口30Eaを開閉する。
空気攪拌部33は攪拌部の一例で、空気供給口30Eaから供給される圧縮空気の圧力、燃焼室3内の燃焼圧での変形が抑制される所定の剛性を持つ金属の板材で構成され、燃焼室3の内周面に沿って延伸し、空気側リードバルブ30EBを覆う形状を有する。
空気攪拌部33は、燃料供給口30Feと離れた側が、天面30Uとの間に空気側リードバルブ30EBの固定部35EBを挟み、ネジ37EBで天面30Uに固定される。
空気攪拌部33は、天面30Uに固定された側から、空気側リードバルブ30EBの弁部34Bと対向する先端側に向かうに従い、天面30Uとの間隔が大きくなる方向に湾曲した形状で、空気攪拌部33の先端側と、空気側リードバルブ30EBで開閉される空気供給口30Eaとの間が、燃料供給口30Feに向かって開く。
空気攪拌部33は、空気側リードバルブ30EBが弾性変形し得る空間が、天面30Uとの間に設けられる。また、空気攪拌部33は、空気側リードバルブ30EBと対向し、弾性変形した空気側リードバルブ30EBが接し得る面が曲面で構成される。
更に、空気攪拌部33は、燃焼室3の内周面と対向する一方の側辺部が、燃焼室3の内周面に沿った円弧形状で構成される。
これにより、空気攪拌部33は、空気側リードバルブ30EBが開き、空気供給口30Eaから供給された圧縮空気を攪拌し、燃焼室3の内周面に沿うようにらせん状に渦を巻いて回転する空気の流れを作る。また、空気攪拌部33の先端側と、空気供給口30Eaとの間が、燃料供給口30Feに向かって開くことで、空気供給口30Eaから供給された圧縮空気が燃料供給口30Feに向かう。
釘打機1Aは、打撃シリンダ2のドライバ20及びピストン21を復帰させる気体を溜めるブローバックチャンバ6を備える。ブローバックチャンバ6は、打撃シリンダ2の周囲に設けられ、緩衝材22の近傍に設けられた流入排出口60で打撃シリンダ2内とつながる。
釘打機1Aは、打撃シリンダ2及び燃焼室3内の気体を排気させる排気バルブ7を備える。排気バルブ7は、ハンドル部11の延伸方向に対して打撃シリンダ2の一方の側部に設けられ、ブローバックチャンバ6に流入した気体で押される排気ピストン71と、打撃シリンダ2に形成された打撃シリンダ排気口23を開閉する第1の排気バルブ72と、燃焼室3に形成された燃焼室排気口32を開閉する第2の排気バルブ73と、排気ピストン71、第1の排気バルブ72及び第2の排気バルブ73を連結したバルブロッド74を備える。
排気バルブ7は、排気ピストン71と、第1の排気バルブ72と、第2の排気バルブ73と、バルブロッド74が、金属材で一体的に構成される。排気バルブ7は、排気ピストン71の動きがバルブロッド74を介して第1の排気バルブ72と第2の排気バルブ73に伝達され、第1の排気バルブ72と第2の排気バルブ73が連動して移動する。
また、排気バルブ7は、ブローバックチャンバ6とつながる排気シリンダ75と、打撃シリンダ排気口23及び燃焼室排気口32とつながる排気流路形成シリンダ76を備える。排気シリンダ75は、排気ピストン71が摺動可能な円筒形の空間が、ハンドル部11の延伸方向に対して打撃シリンダ2の一方の側部に設けられ、排気ピストン71の往復動作で、排気バルブ7がバルブロッド74の延伸方向に沿って移動する。
排気流路形成シリンダ76は、第1の排気バルブ72及び第2の排気バルブ73が摺動可能な円筒形の空間が、ハンドル部11の延伸方向に対して打撃シリンダ2の一方の側部に設けられ、ピストン21の移動方向に沿って延在する。
打撃シリンダ排気口23は、排気流路形成シリンダ76と外部との間を貫通した外開口23aと、排気流路形成シリンダ76と打撃シリンダ2との間を貫通した内開口23bで構成され、外部と打撃シリンダ2内を排気流路形成シリンダ76を介して連通させる。
打撃シリンダ排気口23は、ピストン21が下死点位置から上死点位置へ復帰する動作で、打撃シリンダ2内の気体を外部に排気できるようにするため、内開口23bがピストン21の上死点位置に対向して設けられる。また、打撃シリンダ排気口23は、外開口23aが打撃シリンダ2の側方に向かって開口し、外開口23aと内開口23bが一直線上に配置される。
燃焼室排気口32は、排気流路形成シリンダ76と外部との間を貫通した外開口32aと、排気流路形成シリンダ76と燃焼室3との間を貫通した内開口32bで構成され、外部と燃焼室3内を排気流路形成シリンダ76を介して連通させる。
燃焼室排気口32は、外開口32aが打撃シリンダ2の側方に向かって開口し、外開口32aと内開口32bが、第2の排気バルブ73の移動方向に沿って上下にオフセットされて配置される。
第1の排気バルブ72は、排気流路形成シリンダ76の内周面に合わせた略円柱形状で、排気流路形成シリンダ76の内面と摺接可能な直径を有した一対の封止部72a、72bと、一対の封止部72a、72bの間に設けられ、封止部72a、72bより小径の略円柱形状で、排気流路形成シリンダ76の内面との間に空間が形成される流路形成部72cを備える。
第2の排気バルブ73は、排気流路形成シリンダ76の内周面に合わせた略円板形状で、外周面に封止部材73aを備える。封止部材73aは、例えばOリングで構成され、封止部材73aが排気流路形成シリンダ76の内周面に摺接する。
第1の排気バルブ72は、図1に示すように、流路形成部72cが打撃シリンダ排気口23の外開口23a及び内開口23bと対向する位置に移動すると、打撃シリンダ排気口23の外開口23aと内開口23bが、排気流路形成シリンダ76の内面と流路形成部72cとの間に形成される空間で連通し、打撃シリンダ排気口23が開く。
また、流路形成部72cが打撃シリンダ排気口23の外開口23a及び内開口23bと対向する位置に移動すると、流路形成部72cの上側の排気流路形成シリンダ76が一方の封止部72aで封止され、下側の排気流路形成シリンダ76が他方の封止部72bで封止される。
封止部72a、72bは金属で構成され、Oリング等の封止部材を備えていないが、封止部72a、72bの外径と排気流路形成シリンダ76の内径の寸法により、封止構造を実現している。
第2の排気バルブ73は、第1の排気バルブ72が打撃シリンダ排気口23を開いた状態では、図1に示すように、燃焼室排気口32の内開口32bの上側に移動することで、燃焼室排気口32の内開口32bと外開口32aの間が排気流路形成シリンダ76で連通し、燃焼室排気口32が開く。
また、第2の排気バルブ73が燃焼室排気口32の内開口32bの上側に移動した状態で、燃焼室排気口32の外開口32aの下側に、第1の排気バルブ72の封止部72aが位置し、打撃シリンダ排気口23と燃焼室排気口32の間が第1の排気バルブ72の封止部72aで封止される。
以上により、第1の排気バルブ72と打撃シリンダ排気口23及び排気流路形成シリンダ76で排気弁が構成され、第2の排気バルブ73と燃焼室排気口32及び排気流路形成シリンダ76で燃焼室排気弁が構成される。
また、第1の排気バルブ72と打撃シリンダ排気口23及び排気流路形成シリンダ76は、打撃シリンダ2の一方の側部に設けられ、打撃シリンダ排気口23が打撃シリンダ2の側方を向く。更に、第2の排気バルブ73と燃焼室排気口32及び排気流路形成シリンダ76が、燃焼室3の一方の側部に設けられ、燃焼室排気口32が燃焼室3の側方を向く。
また、排気バルブ7は、排気ピストン71が当てられる緩衝材77を備える。緩衝材77は、弾性を有する部材で構成される。排気バルブ7は、排気ピストン71が緩衝材77に当たることで、移動範囲が規制される。
また、排気バルブ7は、第1の排気バルブ72が打撃シリンダ排気口23を閉じ、第2の排気バルブ73が燃焼室排気口32を閉じる方向にバルブロッド74を付勢するバネ79を備える。バネ79は付勢部材の一例で、本例では圧縮コイルバネで構成され、打撃シリンダ2の側面に構成されたバネ受け部24と、バルブロッド74に取り付けられたばね押さえ74aとの間に入れられる。
バネ押さえ74aは、バルブロッド74と一体で移動し、バネ押さえ74aでバネ79を圧縮する方向へバルブロッド74が移動すると、第1の排気バルブ72が打撃シリンダ排気口23を開き、第2の排気バルブ73が燃焼室排気口32を開く。また、バネ79が延びる方向へバルブロッド74が移動すると、第1の排気バルブ72が打撃シリンダ排気口23を閉じ、第2の排気バルブ73が燃焼室排気口32を閉じる。
釘打機1Aは、ノーズ部12にコンタクト部材8を備える。コンタクト部材8は、ノーズ部12の延伸方向に沿って移動可能に設けられ、バネ80でノーズ部12から突出する方向に付勢される。コンタクト部材8は、リンク81を介して排気バルブ7と連結される。リンク81は、軸81dを支点として回転可能に打撃シリンダ2の側面に取り付けられ、一端側がコンタクト部材8と連結される。リンク81は、引っ張りコイルバネで構成されるバネ80で付勢されることで、コンタクト部材8がノーズ部12から突出する方向に回転する。
また、リンク81は、他端側がバルブロッド74に形成された長穴部78を介して排気バルブ7と連結される。長穴部78は、バルブロッド74の移動方向に沿って延在する開口で構成され、コンタクト部材8によりリンク81の位置が固定された状態で、バルブロッド74が移動可能に構成される。
これにより、コンタクト部材8の動きと連動してリンク81が回転し、排気バルブ7が作動する。また、リンク81と長穴部78の形状で、コンタクト部材8によりリンク81の位置が固定された状態で、リンク81とバルブロッド74の連結が切り離され、ブローバックチャンバ6に流入した気体で排気バルブ7が作動する。
<本実施の形態の釘打機の動作例>
次に、各図を参照して本実施の形態の釘打機1Aの動作について説明する。初期状態では、操作トリガ16が引かれておらず、また、コンタクト部材8が被打込材に押しけられておらず、バネ80で付勢されてノーズ部12から突出した初期位置にある。
コンタクト部材8が初期位置にある状態では、リンク81がバネ80で付勢されてバルブロッド74の長穴部78を押し、バルブロッド74がバネ79を圧縮する方向に移動する。排気バルブ7は、図1に示すように、第1の排気バルブ72の流路形成部72cが打撃シリンダ排気口23の外開口23a及び内開口23bと対向する位置に移動し、打撃シリンダ排気口23が開く。また、第2の排気バルブ73は、第1の排気バルブ72と連動し、燃焼室排気口32の内開口32bの上側に移動することで、燃焼室排気口32の内開口32bと外開口32aの間が排気流路形成シリンダ76で連通し、燃焼室排気口32が開く。これにより、打撃シリンダ2及び燃焼室3が大気に開放された状態である。
また、ヘッドバルブ4は、バネ44で押圧されてバルブ面40が仕切り部50に接した位置にある状態、すなわち、打撃シリンダ流入口51がヘッドバルブ4で閉じられている状態である。この状態では、ヘッドバルブ流入口53は作動空間52とつながる。
コンタクト部材8が被打込材に押し付けられると、バネ80を伸ばす方向にリンク81が回転することで、リンク81の回転に追従してバネ79が延びる方向へバルブロッド74が移動し、コンタクト部材8の動きがリンク81で排気バルブ7に伝達される。
排気バルブ7は、図4に示すように、第1の排気バルブ72の封止部72aが打撃シリンダ排気口23の外開口23a及び内開口23bと対向する位置に移動し、打撃シリンダ排気口23が閉じる。また、第1の排気バルブ72と連動して、第2の排気バルブ73は、燃焼室排気口32の外開口32aと内開口32bの間に移動し、燃焼室排気口32が閉じる。これにより、打撃シリンダ2及び燃焼室3が密閉された状態になる。
また、コンタクト部材8と操作トリガ16の操作に連動して、空気弁30EVと燃料弁30FVが開き、燃焼室3に気化した燃料と圧縮空気が供給される。例えば、コンタクト部材8が被打込材に押し付けられると燃料弁30FVが開き、操作トリガ16が操作されると空気弁30EVが開く。なお、コンタクト部材8が被打込材に押し付けられ、操作トリガ16が操作されると、空気弁30EVと燃料弁30FVを所定のタイミングで開くようにしても良い。また、コンタクト部材8が被打込材に押し付けられると、空気弁30EVと燃料弁30FVを所定のタイミングで開くようにしても良い。
空気供給口30Eaに圧縮空気が供給されると、空気側リードバルブ30EBの弁部34EBが圧縮空気の圧力で押され、弁部34EBがシール部30Esから離れる方向に弾性変形することで、空気供給口30Eaが開く。空気供給口30Eaから燃焼室3に圧縮空気が供給されると、空気攪拌部33により攪拌されることで、燃焼室3の内周面に沿うようにらせん状に渦を巻いて回転する空気の流れが作られる。また、空気攪拌部33の先端側と、空気供給口30Eaとの間が、燃料供給口30Feに向かって開くことで、空気供給口30Eaから供給された圧縮空気が燃料供給口30Feに向かう。
更に、空気側リードバルブ30EBの開度が空気攪拌部33で規制され、空気側リードバルブ30EBの必要な開度を確保しながら、弾性部36EBの変形量が大きくなることが抑制され、塑性変形することが抑制される。
空気弁30EVが閉じ、所定量の圧縮空気の供給が終了すると、空気側リードバルブ30EBの弁部34EBを押す圧力が下がり、弾性部36EBの弾性で弁部34EBがシール部30Esに押し付けられ、空気供給口30Eaが閉じる。
燃料供給口30Feに燃料が供給されると、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBが燃料の圧力で押され、弁部34FBがシール部30Fsから離れる方向に弾性変形することで、燃料供給口30Feが開く。燃料供給口30Feから燃焼室3に燃料が供給されると、空気供給口30Eaから燃焼室3に供給され、空気攪拌部33により攪拌された圧縮空気と混合し、圧縮空気と燃料の混合気体が燃焼室3内に充満する。
燃料弁30FVが閉じ、所定量の燃料の供給が終了すると、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBを押す圧力が下がり、弾性部36FBの弾性と付勢部38FBの付勢力で弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられ、燃料供給口30Feが閉じる。
燃焼室3に圧縮空気が供給されると、燃焼室3内の圧力が上がる。但し、圧縮空気による燃焼室3内の圧力上昇では、ヘッドバルブ4は、バネ44で押圧されてバルブ面40が仕切り部50に接した状態を保ち、打撃シリンダ流入口51がヘッドバルブ4で閉じられる。よって、圧縮空気の供給で燃焼室3内が圧力上昇しても、打撃シリンダ2内では圧力上昇が発生せず、ピストン21は作動しない。
コンタクト部材8が被打込材に押し付けられ、操作トリガ16が操作されることで空気弁30EVと燃料弁30FVが開き、空気側リードバルブ30EBが開いて空気供給口30Eaから圧縮空気が供給され、燃料側リードバルブ30FBが開いて燃料供給口30Feから燃料が供給された後、空気側リードバルブ30EBが閉じ、燃料側リードバルブ30FBが閉じる所定のタイミングで点火装置31が作動すると、燃焼室3内の圧縮空気と燃料との混合気体が燃焼する。燃焼室3内で混合気体が燃焼すると、燃焼室3内の圧力が上がる。
空気供給口30Eaを閉じた状態の空気側リードバルブ30EBは、燃焼室3内の圧力が上がることにより、弁部34EBがシール部30Esに押し付けられる力が増加し、燃焼室3内で混合気体が燃焼することで発生する火炎等が空気供給口30Eaから逆流することが抑制される。
また、燃料供給口30Feを閉じた状態の燃料側リードバルブ30FBは、燃焼室3内の圧力が上がることにより、弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられる力が増加し、燃焼室3内で混合気体が燃焼することで発生する火炎等が燃料供給口30Feから逆流することが抑制される。
燃焼室3内の圧力が上がり、バルブ支持体5のヘッドバルブ流入口53から作動空間52に高温高圧の気体が流入し、作動空間52内の圧力が上がると、ヘッドバルブ4の作動面43に高温高圧の気体が作用することで、ヘッドバルブ4がバネ44を圧縮しながら上方に移動する。ここで、作動空間52内の圧力が上がると、第1のシール部41の作動空間52と対向する面にも圧力が掛かる。但し作動面43の方が面積が大きいので、ヘッドバルブ4がバネ44を圧縮しながら上昇する。
図7に示すように、ヘッドバルブ4が上方に移動すると、打撃シリンダ流入口51が開き、ヘッドバルブ流入口53は、打撃シリンダ流入口51とつながる。これにより、高温高圧の気体が、燃焼室3から打撃シリンダ流入口51を通り打撃シリンダ2に流入し、打撃シリンダ2の圧力が上がる。
打撃シリンダ2の圧力が上がると、ピストン21が押され、ピストン21及びドライバ20がファスナーを打ち出す方向に移動し、ファスナーの打ち込み動作が行われる。ピストン21及びドライバ20がファスナーを打ち出す方向に移動すると、ピストン21で仕切られた打撃シリンダ2内の一方の室であるピストン下室25aの気体(空気)が、流入排出口60からブローバックチャンバ6に流入する。更に、ピストン21が緩衝材22を圧縮変形させながら流入排出口60を通過するため、ブローバックチャンバ6には、ピストン21を駆動させた高温高圧の気体の一部が流入する。
打撃シリンダ2内の気体(空気)がブローバックチャンバ6に流入し、ブローバックチャンバ6内の圧力が上がると、図5に示すように、排気バルブ7の排気ピストン71が押される。排気バルブ7とリンク81は、バルブロッド74に形成された長穴部78を介して連結されており、コンタクト部材8によりリンク81の位置が固定された状態で、リンク81とバルブロッド74の連結が切り離されて、排気バルブ7は緩衝材77に衝突する位置まで移動することが可能である。緩衝材77によって排気バルブ7の移動量を規制しているので、排気バルブ7の耐久性が向上する。
これにより、排気バルブ7の排気ピストン71が押されると、第1の排気バルブ72は、流路形成部72cが打撃シリンダ排気口23の外開口23a及び内開口23bと対向する位置に移動し、打撃シリンダ排気口23が開く。また、第2の排気バルブ73は、第1の排気バルブ72と連動し、燃焼室排気口32の内開口32bの上側に移動することで、燃焼室排気口32の内開口32bと外開口32aの間が排気流路形成シリンダ76で連通し、燃焼室排気口32が開く。
よって、打撃シリンダ2及び燃焼室3が大気に開放された状態になり、燃焼室3内の気体は、燃焼室排気口32から外部に排気される。また、燃焼室3内の圧力が低下することで、ヘッドバルブ4は、バネ44で押圧されてバルブ面40が仕切り部50に接した位置に移動し、打撃シリンダ流入口51がヘッドバルブ4で閉じられる。
更に、ピストン21及びドライバ20がファスナーを打ち出す方向に移動し、ピストン21が下死点まで移動して緩衝材22に当たると、緩衝材22の弾性でピストン21及びドライバ20が上方に移動しようとする。ピストン21が流入排出口60を通過して、流入排出口60の上側に移動すると、圧力が高まっているブローバックチャンバ6内の気体(空気)が打撃シリンダ2内に流入し、ピストン21を押す。ピストン21が押されると、ピストン21で仕切られた打撃シリンダ2内の他方の室であるピストン上室25bの気体が打撃シリンダ排気口23から外部に排気され、ピストン21及びドライバ20が上死点に復帰する。
コンタクト部材8が被打込材から離れると、リンク81がバネ80で付勢されてバルブロッド74の長穴部78を押し、バルブロッド74がバネ79を圧縮する方向に移動する。これにより、図1に示すように、第1の排気バルブ72が打撃シリンダ排気口23を開き、第2の排気バルブ73が燃焼室排気口32を開いた状態が維持される。
<本実施の形態の釘打機の作用効果例>
本実施の形態の釘打機1Aでは、圧縮空気と燃料を燃焼室3に供給し、混合気体を燃焼させることで高圧の気体を発生させ、この高圧の気体で打撃シリンダ2のピストン21を押すことで、ピストン21及びドライバ20でファスナーを押す力が強くなる。
これにより、常圧の気体を使用した従来のガス燃焼式釘打機と比較して、ファスナーを打ち込むための出力を高めることができる。
また、燃焼室3と打撃シリンダ2との間の打撃シリンダ流入口51を開閉するヘッドバルブ4を備えることで、燃焼室3に圧縮空気を供給しただけでは、打撃シリンダ2を作動しないようにすることができる。更に、ヘッドバルブ4を混合気体の燃焼圧で作動させることで、ヘッドバルブ4を駆動するための別途の動力源が不要である。これにより、ヘッドバルブ4及びその駆動機構の構造が簡略化でき、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
空気側リードバルブ30EBは、空気供給口30Eaに圧縮空気が供給されると、弁部34EBが圧縮空気の圧力で押され、弁部34EBがシール部30Esから離れる方向に弾性部36EBが弾性変形することで、空気供給口30Eaが開く。
また、圧縮空気の供給が終了すると、空気側リードバルブ30EBの弁部34EBを押す圧力が下がり、弾性部36EBの弾性で弁部34EBがシール部30Esに押し付けられ、空気供給口30Eaが閉じる。
これにより、簡単な構成の空気側リードバルブ30EBで、圧縮空気の供給の有無により空気供給口30Eaを開閉できる。
また、空気供給口30Eaを閉じた状態の空気側リードバルブ30EBは、燃焼室3内の圧力が上がることにより、弾性部36EBの弾性に加え、弁部34EBがシール部30Esに押し付けられる力が増加し、弁部34EBがシール部30Esに押し付けられた状態が保持される。
空気側リードバルブ30EBは、天面30Uに設けられ、弁部34EBで空気供給口30Eaを閉じた状態では、空気供給口30Eaが燃焼室3に露出しない。
これにより、燃焼室3内で混合気体が燃焼することで発生する火炎等が空気供給口30Eaから空気管路30Eiに逆流することを抑制でき、空気管路30Ei、空気弁30EVの破損を抑制できる。また、空気管路30Eiは、燃焼圧に対応した耐圧性能を持つ必要がなく、耐圧性能を下げることができる。これにより、柔軟性を有する材質の使用が可能となり、打込時の振動等による破損を抑制できる。
更に、空気側リードバルブ30EBの開度が空気攪拌部33で規制され、圧縮空気の圧力により変形する空気側リードバルブ30EBの変形量が大きくなることを抑制して、空気側リードバルブ30EBが塑性変形することを抑制できる。
また、空気攪拌部33は、弾性変形した空気側リードバルブ30EBが接し得る面が曲面で構成されるので、圧縮空気の圧力により変形する空気側リードバルブ30EBが空気攪拌部33に押し付けられても、空気側リードバルブ30EBに折り目が付く等の塑性変形を抑制できる。
燃料側リードバルブ30FBは、燃料供給口30Feに燃料が供給されると、弁部34FBが燃料の圧力で押され、弁部34FBがシール部30Fsから離れる方向に弾性部36FBが弾性変形することで、燃料供給口30Feが開く。
また、燃料の供給が終了すると、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBを押す圧力が下がり、弾性部36FBの弾性と付勢部38FBの付勢で弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられ、燃料供給口30Feが閉じる。
これにより、簡単な構成の燃料側リードバルブ30FBで、燃料の供給の有無により燃料供給口30Feを開閉できる。
また、燃料供給口30Feを閉じた状態の燃料側リードバルブ30FBは、燃焼室3内の圧力が上がることにより、弾性部36FBの弾性と付勢部38FBの付勢に加え、弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられる力が増加し、弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられた状態が保持される。
燃料側リードバルブ30FBは、天面30Uに設けられ、弁部34FBで燃料供給口30Feを閉じた状態では、燃料供給口30Feが燃焼室に3に露出しない。
これにより、燃焼室3内で混合気体が燃焼することで発生する火炎等が燃料供給口30Feから燃料管路30Fiに逆流することを抑制でき、燃料管路30Fi、燃料弁30FVの破損を抑制できる。また、燃料管路30Fiは、燃焼圧に対応した耐圧性能を持つ必要がなく、耐圧性能を下げることができる。これにより、柔軟性を有する材質の使用が可能となり、打込時の振動等による破損を抑制できる。更に、燃料供給口30Fe内、燃料管路30Fi内に燃料が残存している場合でも、この残存した燃料が不完全燃焼することが抑制され、煤が燃料管路30Fi内に付着することを抑制できる。
ここで、燃焼室3に供給する燃料の量は、液化状態の燃料を燃料弁30FV内に設けた微小な計量室に送り、体積で計量する方法が用いられている。このため、計量室内に気体が混入すると、正確な計量が行えず、規定量の燃料の供給ができない。また、リードバルブを採用した逆止弁では、リードバルブの反りにより、弁部とシール部の間に隙間が生じる可能性がある。弁部とシール部の間に隙間が生じることで、燃料管路30Fiに圧縮空気が混入すると、圧縮空気の圧力の方が、燃料の供給圧より高いことから、燃料の供給が正常にできなくなる。
そこで、燃料側リードバルブ30FBは、弁部34FBをシール部30Fs方向に付勢する付勢部38FBを備えることで、燃料供給口30Feを閉じた状態において、弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられる力が増加する。
これにより、空気攪拌部33により攪拌された圧縮空気の圧力、燃焼圧等で弁部34FBがシール部30Fsから浮き上がること、弁部34FBがシール部30Fsから浮き上がることで燃料側リードバルブ30FBが振動することを抑制でき、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBとシール部30Fsとの封止が確実に行える。従って、燃料管路30Fiから燃料弁30FVに圧縮空気等の気体が混入することを抑制でき、燃料の計量が正常に行える。また、燃料の供給が正常に行える。
更に、空気供給口30Eaから燃焼室3に圧縮空気が供給されると、空気攪拌部33により攪拌され、燃焼室3の内周面に沿うようにらせん状に渦を巻いて回転する空気の流れが作られる。また、空気側リードバルブ30EBは、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaの並びに対して燃料供給口30Feから離れた側に固定部35EBが設けられ、燃料供給口30Feに向かう側が開くので、空気攪拌部33の先端側と、空気供給口30Eaとの間が、燃料供給口30Feに向かって開くことによって、空気供給口30Eaから供給された圧縮空気が燃料供給口30Feに向かう。
これにより、モータで駆動されるファンを用いることなく、燃焼室3全体に圧縮空気を行き渡らせることができ、燃料供給口30Feから供給された燃料と圧縮空気との混合が促進されると共に、燃焼室3内で混合気体の分布が片寄ることが抑制され、燃焼効率を向上させることができる。
<ヘッド部の他の実施の形態例>
図14は、ヘッド部の第2の実施の形態を示す斜視図である。ヘッド部30Bは、点火装置31が設けられる。また、ヘッド部30Bは、燃料が供給される燃料供給口30Feと、圧縮空気が供給される空気供給口30Eaが設けられる。ヘッド部30Bは、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaが並列して設けられる。
更に、ヘッド部30Bは、燃焼室3から燃料供給口30Feへの火炎、気体等の逆流を抑制する燃料側リードバルブ30FBと、燃焼室3から空気供給口30Eaへの火炎、気体等の逆流を抑制する空気側リードバルブ30EBを備える。また、ヘッド部30Bは、空気供給口30Eaから供給される圧縮空気を攪拌する空気攪拌部33を備える。
なお、第2の実施の形態のヘッド部30Bにおいて、空気側リードバルブ30EBと空気攪拌部33は、第1の実施の形態のヘッド部30Aと同じ構成であり、説明を省略する。また、燃料側リードバルブ30FBは、弾性部36FBが平板状に構成される。
燃料側リードバルブ30FBは、弁部34FBをシール部30Fs方向に付勢する付勢部材39FBを備える。付勢部材39FBは、弾性を有する金属の板材で構成され、所定の形状の曲げ部が設けられる。付勢部材39FBは、ネジ37FBで燃料側リードバルブ30FBと共に固定され、先端側が弁部34FBを押す。
これにより、燃料供給口30Feを閉じた状態において、弁部34FBがシール部30Fsに押し付けられる力が増加し、空気攪拌部33により攪拌された圧縮空気の圧力、燃焼圧等で弁部34FBがシール部30Fsから浮き上がること、弁部34FBがシール部30Fsから浮き上がることで燃料側リードバルブ30FBが振動することを抑制できる。
図15は、ヘッド部の第3の実施の形態を示す斜視図である。ヘッド部30Cは、点火装置31が設けられる。また、ヘッド部30Cは、燃料が供給される燃料供給口30Feと、圧縮空気が供給される空気供給口30Eaが設けられる。ヘッド部30Cは、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaが並列して設けられる。
更に、ヘッド部30Cは、燃焼室3から燃料供給口30Feへの火炎、気体等の逆流を抑制する燃料側リードバルブ30FBと、燃焼室3から空気供給口30Eaへの火炎、気体等の逆流を抑制する空気側リードバルブ30EBを備える。また、ヘッド部30Cは、空気供給口30Eaから供給される圧縮空気を攪拌する空気攪拌部33を備える。
なお、第3の実施の形態のヘッド部30Cにおいて、空気側リードバルブ30EBと空気攪拌部33は、第1の実施の形態のヘッド部30Aと同じ構成であり、説明を省略する。また、燃料側リードバルブ30FBは、弾性部36FBが平板状に構成される。
ヘッド部30Cは、燃料供給口30Feの空気供給口30Eaと対向する側に、空気供給口30Eaから供給された圧縮空気の流れを遮蔽する遮蔽部33Cを備える。遮蔽部33Cは、ヘッド部30Cの内周面から内側に向かい、天面30Uから突出する凸部を空気供給口30Eaと燃料供給口30Feとの間に設けて構成される。
これにより、空気側リードバルブ30EBが開いて空気供給口30Eaから供給された空気が、天面30Uに沿うようにして燃料供給口30Feの方向へ流れることが遮蔽部33Cで遮蔽され、燃料側リードバルブ30FBに付勢部を設けることなく、また、付勢部材で燃料側リードバルブ30FBを付勢することなく、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBがシール部30Fsから浮き上がることを抑制できる。
図16は、ヘッド部の第4の実施の形態を示す斜視図である。ヘッド部30Dは、点火装置31が設けられる。また、ヘッド部30Dは、燃料が供給される燃料供給口30Feと、圧縮空気が供給される空気供給口30Eaが設けられる。ヘッド部30Dは、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaが並列して設けられる。
更に、ヘッド部30Dは、燃焼室3から燃料供給口30Feへの火炎、気体等の逆流を抑制する燃料側リードバルブ30FBと、燃焼室3から空気供給口30Eaへの火炎、気体等の逆流を抑制する空気側リードバルブ30EBを備える。また、ヘッド部30Dは、空気供給口30Eaから供給される圧縮空気を攪拌する空気攪拌部33を備える。
なお、第4の実施の形態のヘッド部30Dにおいて、空気側リードバルブ30EBと空気攪拌部33は、第1の実施の形態のヘッド部30Aと同じ構成であり、説明を省略する。また、燃料側リードバルブ30FBは、弾性部36FBが平板状に構成される。
ヘッド部30Dは、燃料側リードバルブ30FBが入る段差部30Drを天面30Uに備える。段差部30Drは、燃料側リードバルブ30FBの厚さと略同等の深さで、本例では、燃料側リードバルブ30FB全体が入る形状の凹部を設けて構成され、燃料側リードバルブ30FBの燃焼室3に対向した面と、天面30Uが略同一となる。
これにより、空気側リードバルブ30EBが開いて空気供給口30Eaから供給され、天面30Uに沿うようにして燃料供給口30Feの方向へ流れる空気が、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBとシール部30Fsとの間に当たることが抑制され、燃料側リードバルブ30FBに付勢部を設けることなく、また、付勢部材で燃料側リードバルブ30FBを付勢することなく、燃料側リードバルブ30FBの弁部34FBがシール部30Fsから浮き上がることを抑制できる。なお、燃料側リードバルブ30FBの全体ではなく、弁部が34FBが入るような段差部を設けても良い。
図17は、ヘッド部の第5の実施の形態を示す斜視図である。ヘッド部30Eは、点火装置31が設けられる。また、ヘッド部30Eは、燃料が供給される燃料供給口30Feと、圧縮空気が供給される空気供給口30Eaが設けられる。ヘッド部30Eは、燃料供給口30Feが空気供給口30Eaから離れた位置に設けられる。
更に、ヘッド部30Eは、燃焼室3から燃料供給口30Feへの火炎、気体等の逆流を抑制する燃料側リードバルブ30FBと、燃焼室3から空気供給口30Eaへの火炎、気体等の逆流を抑制する空気側リードバルブ30EBを備える。また、ヘッド部30Eは、空気供給口30Eaから供給される圧縮空気を攪拌する空気攪拌部33を備える。
なお、第5の実施の形態のヘッド部30Eにおいて、空気側リードバルブ30EBと空気攪拌部33は、第1の実施の形態のヘッド部30Aと同じ構成であり、説明を省略する。また、燃料側リードバルブ30FBは、弾性部36FBが平板状に構成される。
燃料側リードバルブ30FBは、燃料供給口30Feを開閉する弁部34FBと空気供給口30Eaの間に固定部35FBが設けられ、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaの並びに対して空気供給口30Eaに近い側に固定部35EBが設けられる。
燃料側リードバルブ30FBは、弁部34FBが燃料供給口30Feを覆う位置として、空気供給口30Eaに近い側に配置される固定部35FBが、ネジ37FBでヘッド部30Eの天面30Uに固定される。
これにより、空気側リードバルブ30EBが開いて空気供給口30Eaから供給され、空気攪拌部33で渦を巻くように攪拌された圧縮空気の流れに対し、上流側に燃料側リードバルブ30FBの固定部35FBが配置され、下流側に弁部34FBとシール部30Fsが配置されることで、燃料側リードバルブ30FBに付勢部を設けることなく、また、付勢部材で燃料側リードバルブ30FBを付勢することなく、弁部34FBがシール部30Fsから浮き上がることを抑制できる。
図18は、ヘッド部の第6の実施の形態を示す斜視図である。ヘッド部30Fは、点火装置31が設けられる。また、ヘッド部30Fは、燃料が供給される燃料供給口30Feと、圧縮空気が供給される空気供給口30Eaが設けられる。ヘッド部30Fは、燃料供給口30Feと空気供給口30Eaが並列して設けられる。
更に、ヘッド部30Fは、空気供給口30Eaから供給される圧縮空気を攪拌する空気攪拌部33を備える。空気攪拌部33は、燃料供給口30Feと離れた側が、ネジ37EBで天面30Uに固定される。
空気攪拌部33は、天面30Uに固定された側から、空気供給口30Eaと対向する先端側に向かうに従い、天面30Uとの間隔が大きくなる方向に湾曲した形状で、空気攪拌部33の先端側と、空気供給口30Eaとの間が、燃料供給口30Feに向かって開く。また、空気攪拌部33は、燃焼室3の内周面と対向する一方の側辺部が、燃焼室3の内周面に沿った円弧形状で構成される。
これにより、空気攪拌部33は、空気供給口30Eaから供給された圧縮空気を攪拌し、燃焼室3の内周面に沿うようにらせん状に渦を巻いて回転する空気の流れを作る。また、空気攪拌部33の先端側と、空気供給口30Eaとの間が、燃料供給口30Feに向かって開くことで、空気供給口30Eaから供給された圧縮空気が燃料供給口30Feに向かう。
従って、圧縮空気が燃焼室3内に供給された燃料を巻き込むように燃焼室3全体に行き渡り、燃料と圧縮空気との混合が促進されると共に、燃焼室3内で混合気体の分布が片寄ることが抑制され、燃焼効率を向上させることができる。
図19は、ヘッド部の第7の実施の形態を示す斜視図である。ヘッド部30Gは、点火装置31が設けられる。また、ヘッド部30Gは、燃料が供給される燃料供給口30Feと、圧縮空気が供給される空気供給口ノズル30Enが設けられる。ヘッド部30Gは、燃料供給口30Feと空気供給口ノズル30Enが並列して設けられる。
空気供給口ノズル30Enは攪拌部の一例で、筒状の部材が図示しない空気供給口から立設し、円周面に少なくとも1つの供給口30Eeが設けられる。空気供給口ノズル30Enは、供給口30Eeが燃料供給口30Feに向いて設けられる。
これにより、空気供給口ノズル30Enの供給口30Eeから供給された圧縮空気は、燃料供給口30Feに向かい、燃焼室3の内周面に沿うようにらせん状に渦を巻いて回転する流れとなる。
従って、燃焼室3全体に圧縮空気が行き渡り、燃料と圧縮空気との混合が促進されると共に、燃焼室3内で混合気体の分布が片寄ることが抑制され、燃焼効率を向上させることができる。なお、以上説明した各実施の形態を組み合わせても良く、例えば、燃料側リードバルブ30FBに付勢部材39FBを備えた図14に示す第2の実施の形態に、図15に示す第3の実施の形態の遮蔽部33Cを備える構成としても良い。また、空気側リードバルブ30EB及び燃料側リードバルブ30FBを、燃焼室3の内壁面として天面30Uに設ける構成としたが、燃焼室3の内壁面として内側面に設ける構成としても良い。更に、本実施の形態では、酸化剤として空気を用い、圧縮された酸化剤として圧縮空気と燃料の混合気体で作動する構成としたが、燃料の燃焼に必要な酸素を含んでいれば、圧縮空気に限らず、他の酸化剤を用いても良い。例えば空気の代わりに酸素、オゾン、一酸化窒素等を用いても良い。