以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面に平行な任意の方向をZ方向と表記し、Z方向に直交する方向をX方向と表記する。また、XZ平面に垂直な上下方向はY方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が-方向であるものとして説明する。
図1は、本実施形態に係る工作機械システムSYSの一例を示す図である。図1に示すように、工作機械システムSYSは、第1工作機械10と、第2工作機械20と、ワーク中継装置30とを備える。第1工作機械10は、例えば平行2軸旋盤であり、+Z方向に正面側を向けて配置される。第1工作機械10は、本体部11と、ワーク載置部12とを有する。また、第1工作機械10は、第1ローダ40を有する。本体部11は、主軸15、16と、タレット17、18と、を有する。主軸15、16は、X方向に並んで配置される。主軸15、16は、Z方向に平行な軸線周りに回転可能に支持される。主軸15、16の+Z側の端部には、主軸側チャック13、14が配置される。主軸側チャック13、14には、それぞれ複数の把持爪13a、14aが設けられる。把持爪13a、14aは、主軸15、16の径方向に移動することでワークWを保持可能である。
タレット17、18は、主軸15の-X側、及び主軸16の+X側にそれぞれ配置される。タレット17、18のそれぞれには、不図示の回転駆動装置により、Z方向に平行な軸周りに回転可能である。タレット17、18の周面には、複数の切削工具(加工工具)T1が保持される。したがって、タレット17、18を回転させることにより、所望の切削工具T1が選択される。切削工具T1としては、ワークWに対して切削加工を施すバイト等の他、ドリルやエンドミル等の回転工具が用いられてもよい。また、タレット17、18は、不図示の駆動装置により、X方向及びZ方向に移動可能である。
ワーク載置部12には、第1工作機械10における加工対象であるワークWが載置される。ワーク載置部12としては、例えば固定台が用いられるが、これに限定されず、コンベアやロータリー式の台などが用いられてもよい。
第1ローダ40は、ローダヘッド41と、ローダ駆動部42とを備える。第1ローダ40は、ワーク載置部12と、主軸15、16と、ワーク中継装置30との間でワークWを搬送する。ローダヘッド41は、ローダチャック43を有する。ローダチャック43は、複数の把持爪43aによってワークWを把持する。ローダチャック43は、例えば、ワークWを把持して-Y方向に向けた姿勢と、-Z方向に向けた姿勢(主軸15、16にワークWを向けた姿勢)とに回転可能である。
ローダ駆動部42は、X駆動部44と、Z駆動部45と、Y駆動部46とを有する。X駆動部44は、X移動体44aをガイドレール44bに沿ってX方向に移動させる。ガイドレール44bの-X側端部は、ワーク載置部12の上方に設定され、ローダヘッド41がワーク載置部12に接続可能である。また、ガイドレール44bの+X側端部は、ワーク中継装置30の上方に配置される。これにより、ローダヘッド41がワーク中継装置30に接続可能である。Z駆動部45は、X移動体44aに形成され、Z移動体45aをZ方向に移動させる。Y駆動部46は、Z移動体45aに形成され、Y移動体46aを上下方向(Y方向)に移動させる。
ローダヘッド41は、Y移動体46aの下部に設けられている。ローダヘッド41のローダチャック43により把持したワークWは、X駆動部44、Z駆動部45、及びY駆動部46がそれぞれ駆動することにより、X方向、Y方向、Z方向、またはこれらを合成した方向に搬送される。
ローダヘッド41には、第1検出部47が配置される。第1検出部47は、例えば光センサである。第1検出部47は、下方(-Y方向)に向けて検出光を照射し、その反射光を検出することにより、ローダヘッド41の下方に配置される対象物を検出可能である。第1検出部47による検出結果は、第1制御部CONT1に送信される。以上のように構成される第1ローダ40の駆動は、第1制御部CONT1によって制御される。
第2工作機械20は、第1工作機械10に対してX方向に並んで配置される。本実施形態に係る第2工作機械20は、いわゆる対向2軸旋盤である。第2工作機械20は、本体部21と、ワーク載置部22とを有する。また、第2工作機械20は、第2ローダ50を有する。本体部21は、主軸25、26と、タレット27、28と、を有する。主軸25、26は、X方向に対向して配置される。主軸25、26は、X方向に平行な軸線周りに回転可能に支持される。主軸25の+X側の端部、及び主軸26の-X側の端部には、主軸側チャック23、24が配置される。主軸側チャック23、24には、それぞれ複数の把持爪23a、24aが設けられる。把持爪23a、24aは、主軸25、26の径方向に移動することでワークWを保持可能である。
タレット27、28は、主軸25の-Z側、及び主軸26の-Z側にそれぞれ配置される。タレット27、28のそれぞれは、X方向に平行な軸周りに回転可能である。タレット27、28の周面には、複数の不図示の切削工具(加工工具)が保持される。したがって、タレット27、28を回転させることにより、所望の切削工具が選択される。切削工具としては、バイト、ドリル、エンドミル等の回転工具が用いられてもよい。また、タレット27、28は、不図示の駆動装置により、X方向及びZ方向に移動可能である。
ワーク載置部22には、第2工作機械20によって加工された加工済みのワークWが載置される。ワーク載置部22としては、例えば固定台が用いられるが、これに限定されるものではなく、コンベアやロータリー式の台などが用いられてもよい。
第2ローダ50は、ローダヘッド51と、ローダ駆動部52とを備える。第2ローダ50は、ワーク中継装置30と、主軸25、26と、ワーク載置部22との間でワークWを搬送する。ローダヘッド51は、ローダチャック53を有する。ローダチャック53は、複数の把持爪53aによってワークWを把持する。ローダチャック53は、例えば、ワークWを把持して-Y方向に向けた姿勢と、+X方向又は-X方向に向けた姿勢(主軸25、26にワークWを向けた姿勢)とに移動可能である。
ローダ駆動部52は、X駆動部54と、Z駆動部55と、Y駆動部56とを有する。X駆動部54は、X移動体54aをガイドレール54bに沿ってX方向に移動させる。ガイドレール54bの-X側端部は、ワーク中継装置30の上方に配置される。これにより、ローダヘッド51がワーク中継装置30に接続可能である。また、ガイドレール54bの+X側端部は、第2工作機械20のワーク載置部22の上方に配置される。これにより、ローダヘッド51がワーク載置部22に接続可能である。
Z駆動部55は、X移動体54aに形成され、Z移動体55aをZ方向に移動させる。Y駆動部56は、Z移動体55aに形成され、Y移動体56aを上下方向(Y方向)に移動させる。ローダヘッド51は、Y移動体56aの下部に設けられる。ローダヘッド51のローダチャック53により把持したワークWは、X駆動部54、Z駆動部55、及びY駆動部56がそれぞれ駆動することにより、X方向、Y方向、Z方向、またはこれらを合成した方向に搬送される。
ローダヘッド51には、第2検出部57が配置される。第2検出部57は、第1検出部47と同様、例えば光センサである。第2検出部57は、下方(-Y方向)に向けて検出光を照射し、その反射光を検出することにより、ローダヘッド51の下方に配置される対象物を検出可能である。第2検出部57による検出結果は、第2制御部CONT2に送信される。以上のように構成される第2ローダ50の駆動は、第2制御部CONT2によって制御される。
図2は、ワーク中継装置30を正面側から見た場合を示す斜視図である。図3は、ワーク中継装置30を背面側から見た場合を示す斜視図である。図4は、ワーク中継装置30の平面図である。図5は、ワーク中継装置30の背面図である。ワーク中継装置30は、第1工作機械10と第2工作機械20との間に設置され(図1参照)、第1工作機械10と第2工作機械20との間でワークWの受け渡しを行う。ワーク中継装置30は、図2~図5に示すように、フレーム31と、ワーク載置台32と、移動機構33と、連絡部材34とを備える。
フレーム31は、ワーク載置台32、移動機構33及び連絡部材34を支持する。ワーク載置台32は、ワーク挿入部32aを有する。ワーク挿入部32aは、ワークWを上方から挿入して載置可能である。ワーク挿入部32aは、本実施形態ではX方向(移動方向)に2つ並んで配置されるが、これに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上設けられてもよいし、複数のワーク挿入部32aがZ方向(移動方向と直交する方向)に配置されてもよい。また、ワーク挿入部32aは、ワークWの端部を挿入する凹部を有する構成であるが、これに限定されず、ワークWを載置可能な板状であってもよい。
ワーク載置台32は、ワークWを載置した状態で第1位置P1と第2位置P2との間をX方向に移動可能である。第1位置P1は、第1ローダ40がワークWを受け渡し可能な位置である。第2位置P2は、第2ローダ50がワークWを受け渡し可能な位置である。移動機構33は、ワーク載置台32をX方向に移動させる。移動機構33は、第1ローダ40及び第2ローダ50のいずれか一方が移動する力を用いてワーク載置台32を移動させる。本実施形態では、第1ローダ40が移動する力を用いて、ワーク載置台32を第1位置P1から第2位置P2に+X方向に(第2工作機械20側に)移動させる。また、第2ローダ50が移動する力を用いて、ワーク載置台32を第2位置P2から第1位置P1に-X方向に(第1工作機械10側に)移動させる。
移動機構33は、第1レバー61と、第2レバー62と、伝達機構63と、レール64とを有する。第1レバー61は、円板状部材65と、連結部材66とを有する。円板状部材65は、第1ローダ40のローダチャック43(把持爪43a)によって把持可能である。連結部材66は、円板状部材65と後述する第1ラック71とを連結する。第1ローダ40のローダチャック43が円板状部材65を把持した状態でX方向に移動する場合、連結部材66は、第1ローダ40及び円板状部材65と一体となってX方向に移動する。すなわち、第1レバー61は、第1ローダ40によってX方向に移動する。
第2レバー62は、第1レバー61と同様に、円板状部材67と、連結部材68とを有する。円板状部材67は、第2ローダ50のローダチャック53(把持爪53a)によって把持可能である。連結部材68は、円板状部材67と後述する第2ラック72とを連結する。第2ローダ50のローダチャック53が円板状部材67を把持した状態でX方向に移動する場合、連結部材68は、第2ローダ50及び円板状部材67と一体となってX方向に移動する。すなわち、第2レバー62は、第2ローダ50によってX方向に移動する。
伝達機構63は、第1レバー61及び第2レバー62のX方向への移動を、ワーク載置台32に伝達する。伝達機構63は、第1ラック71と、第2ラック72と、第1ピニオンギア73と、第2ピニオンギア74と、第1回転部75と、第2回転部76と、伝達部材77とを有する。レール64は、フレーム31に支持される。レール64は、X方向に直線状に延びて配置され、上面にX方向の溝部64aを有する。溝部64aは、ワーク載置台32をX方向に案内するリニアガイド64b(図4参照)が配置される。
第1ラック71は、矩形の板状であって、第1レバー61の連結部材66に連結される。第1ラック71は、第1レバー61と一体でX方向に移動する。第1ラック71の下端の辺71e(図5参照)には、X方向に沿って複数の歯が形成される。第2ラック72は、第1ラック71と同様、矩形の板状であって、第2レバー62の連結部材68に連結される。第2ラック72は、第2レバー62と一体でX方向に移動する。第2ラック72の下端の辺72e(図5参照)には、X方向に沿って複数の歯が形成される。
第1ピニオンギア73は、第1ラック71の下方に配置され、第1ラック71の歯と噛み合っている。第1ピニオンギア73は、第1ラック71がX方向に移動することによりZ軸周りに回転する。第2ピニオンギア74は、第2ラック72の下方に配置され、第2ラック72の歯と噛み合っている。第2ピニオンギア74は、第2ラック72がX方向に移動することによりZ軸周りに回転する。
第1回転部75は、例えば、外周の1周にわたって複数の歯を持つスプロケットであり、Z軸周りに回転可能である。第1回転部75は、伝達軸78を介して第1ピニオンギア73と連結される。第1回転部75は、第1ピニオンギア73の回転に伴ってZ軸周りに回転する。第1回転部75は、第1ピニオンギア73よりも大きい径を有する。したがって、第1回転部75は、第1ピニオンギア73が1回転した場合に、1回転以上回転する。なお、第1ピニオンギア73と第1回転部75との外径を変えることにより、第1ピニオンギア73の1回転に対して、第1回転部75の回転量を調整可能である。
第2回転部76は、第1回転部75と同様に、例えば、外周の1周にわたって複数の歯を持つスプロケットであり、Z軸周りに回転可能である。第2回転部76は、伝達軸79を介して第2ピニオンギア74と連結される。第2回転部76は、第2ピニオンギア74の回転に伴ってZ軸周りに回転する。第2回転部76は、第2ピニオンギア74よりも大きい径を有する。したがって、第2回転部76は、第2ピニオンギア74が1回転した場合に、1回転以上回転する。なお、第2ピニオンギア74と第2回転部76との外径を変えることにより、第2ピニオンギア74の1回転に対して、第2回転部76の回転量を調整可能である。なお、第1回転部75と第2回転部76とは同一の外径に設定されているが、これに限定されず、異なる外径であってもよい。
伝達部材77は、例えば、無端状のチェーンであり、第1回転部75と第2回転部76との間に架け渡される。伝達部材77は、第1回転部75または第2回転部76の回転により周回する。伝達部材77の一部には、ワーク載置台32が連結される。したがって、伝達部材77が周回することにより、ワーク載置台32がX方向に移動する。
図6は、移動機構33の動作の一例を示す図である。図6(A)に示す状態から第1レバー61を+X方向に移動させる場合、第1レバー61の移動により第1ラック71が+X方向に移動し、第1ピニオンギア73を-Z側から見て反時計回りに回転させる。第1ピニオンギア73の回転により第1回転部75が回転して伝達部材77を周回させ、図6(B)に示すように、ワーク載置台32が+X方向に移動する。また、図6では示していないが、伝達部材77の周回により第2回転部76が回転し、第2ピニオンギア74が回転することにより、第2ラック72を+X方向に移動させる。第2ラック72の移動により、第2レバー62が+X方向に移動する。
また、図示しないが、第2レバー62を-X方向に移動させる場合、第2レバー62の移動により第2ラック72が-X方向に移動し、第2ピニオンギア74を-Z側から見て時計回りに回転させる。第2ピニオンギア74の回転により第2回転部76が回転して伝達部材77を周回させ、ワーク載置台32が-X方向に移動する。また、伝達部材77の周回により第1回転部75が回転し、第1ピニオンギア73が回転することにより、第1ラック71を-X方向に移動させる。第1ラック71の移動により、第1レバー61が-X方向に移動して、図6(A)に示す状態となる。
このように、第1レバー61を移動させることにより、第1回転部75が駆動回転部となり、第2回転部76が第1回転部75の回転に従って回転する従動回転部となる。一方、第2レバー62を移動させることにより、第2回転部76が駆動回転部となり、第1回転部75が第2回転部76の回転に従って回転する従動回転部となる。
図2から図5に戻り、連絡部材34は、第1部分としての第1昇降部81と、第2部分としての第2昇降部82と、接続部83とを有する。第1昇降部81は、板状部84と、棒状部85とを有する。板状部84は、例えば円板状に形成され、レール64に設けられる筒状部35内に配置される。筒状部35は、円筒状に形成され、レール64の-X側の端部に配置される。板状部84は、水平面(XZ面)に沿って配置され、棒状部85の上端に取り付けられる。棒状部85は、板状部84から下方に延びた状態で、筒状部35を貫通して配置される。棒状部85は、板状部84と一体で上下方向(Y方向)に移動する。また、棒状部85は、係止部材85a(図7参照)を有する。係止部材85aは、板状部84が筒状部35に近接した位置で筒状部35に係止され、棒状部85の上下方向の移動を規制する。
第1昇降部81は、第1ローダ40が接続可能な位置に配置される。この配置により、例えば、第1ローダ40が板状部84の上面に当接した状態で下降することにより、第1昇降部81を押し下げることが可能となる。また、第1昇降部81は、ワーク載置台32の第1位置P1よりも-X側に配置される。また、第1昇降部81は、第1レバー61よりも-X側に配置される。これにより、ワーク載置台32及び第1レバー61が+X方向に移動する際には、第1昇降部81に干渉しないようにすることができる。
第2昇降部82は、第1昇降部81と同様に、板状部86と、棒状部87とを有する。板状部86は、例えば円板状に形成され、レール64に設けられる筒状部36内に配置される。筒状部36は、円筒状に形成され、レール64の+X側の端部に配置される。板状部86は、水平面(XZ面)に沿って配置され、棒状部85の上端に取り付けられる。棒状部87は、板状部86から下方に延びた状態で、筒状部36を貫通して配置される。棒状部87は、板状部86と一体で上下方向(Y方向)に移動する。また、棒状部87は、係止部材87a(図7参照)を有する。係止部材87aは、板状部86が筒状部36に近接した位置で筒状部36に係止され、棒状部87の上下方向の移動を規制する。係止部材87aは、例えば、ボールプランジャ等が用いられ、筒状部36に設けられた凹部にボールが入り込むことにより、棒状部87の移動を規制する。
第2昇降部82は、第2ローダ50が接続可能な位置に配置される。この配置により、例えば、第2ローダ50が板状部86の上面に当接した状態で下降することにより、第2昇降部82を押し下げることが可能となる。また、第2昇降部82は、ワーク載置台32の第2位置P2よりも+X側に配置される。また、第2昇降部82は、第2レバー62よりも+X側に配置される。これにより、ワーク載置台32及び第2レバー62が-X方向に移動する際には、第2昇降部82に干渉しないようにすることができる。
接続部83は、軸部88と、シーソー部89とを有する。軸部88は、軸固定部88a(図7参照)によってレール64に固定される。シーソー部89は、X方向に延びた棒状であって、ほぼ中央部分が軸部88に揺動可能に支持される。シーソー部89は、Z方向の軸周りに揺動し、両側の端部である第1端部89a及び第2端部89bを上下方向に移動させることができる。シーソー部89の-X側の第1端部89aには、第1昇降部81の棒状部85が回転可能に取り付けられる。また、シーソー部89の+X側の第2端部89bには、第2昇降部82の棒状部87が回転可能に取り付けられる。シーソー部89は、第1端部89a及び第2端部89bのうち一方が上側に配置された場合には、他方が下側に配置される。
第1昇降部81は、シーソー部89の第1端部89aが上側に配置された場合、第2昇降部82に対して上側に配置される。第2昇降部82は、シーソー部89の第2端部89bが上側に配置された場合、第1昇降部81に対して上側に配置される。以下、第1昇降部81及び第2昇降部82の一方が他方に対して上側に配置される状態を第1配置と表記し、下側に配置される状態を第2配置と表記する。本実施形態では、第1昇降部81が第1配置である場合、第2昇降部82は第2配置となる。また、第2昇降部82が第1配置である場合、第1昇降部81は第2配置となる。
第1昇降部81は、第1配置である場合、板状部84が筒状部35に対して上方に離れた位置に配置される。この場合、板状部84は、第1ローダ40の第1検出部47によって検出可能である。一方、第1昇降部81は、第2配置である場合、板状部84が筒状部35に当接又は近接した位置に配置される。この場合、板状部84は、第1ローダ40の第1検出部47によって検出されない。また、第1昇降部81は、第2配置である場合、係止部材85aが筒状部35に係止される。これにより、第1昇降部81が第2配置にある状態を保持し、第1昇降部81が不用意に第1配置に移動するのを防止できる。
第2昇降部82は、第1配置である場合、板状部86が筒状部36に対して上方に離れた位置に配置される。この場合、板状部86は、第2ローダ50の第2検出部57によって検出可能である。一方、第2昇降部82は、第2配置である場合、板状部86が筒状部36に当接又は近接した位置に配置される。この場合、板状部86は、第2ローダ50の第2検出部57によって検出されない。また、第2昇降部82は、第2配置である場合、係止部材87aが筒状部36に係止される。これにより、第2昇降部82が第2配置にある状態を保持し、第2昇降部82が不用意に第1配置に移動するのを防止できる。
図7は、連絡部材34の動作の一例を示す図である。第1昇降部81が第1配置であり、第2昇降部82が第2配置である状態から、第1ローダ40によって第1昇降部81の板状部84を押し下げることにより、板状部84及び棒状部85が下降する。板状部84及び棒状部85の下降により、シーソー部89の第1端部89aが下降する。これにより、第2端部89bが上昇し、第2昇降部82の係止部材87aの係止が解除され、第2昇降部82の棒状部87及び板状部86が上昇する。その結果、図7(A)に示すように、第2昇降部82が第1配置ST1となり、第1昇降部81が第2配置ST2となる。
図7(A)に示す状態から、第2ローダ50によって第2昇降部82の板状部86を押し下げることにより、板状部86及び棒状部87が下降する。板状部86及び棒状部87の下降により、シーソー部89の第2端部89bが下降する。これにより、第1端部89aが上昇し、第1昇降部81の係止部材85aの係止状態が解消され、第1昇降部81の棒状部85及び板状部84が上昇する。その結果、図7(B)に示すように、第2昇降部82が第2配置ST2となり、第1昇降部81が第1配置ST1となる。
このように、連絡部材34においては、第1昇降部81及び第2昇降部82のうち、第1配置にある一方が、第1ローダ40又は第2ローダ50によって押し下げられると、押し下げられた一方が第2配置に切り替わる。このとき、接続部83が他方を上昇させることで、他方が第1配置に切り替わる。すなわち、連絡部材34は、接続部83によって、第1部分(第1昇降部81)が第1配置ST1のときに第2部分(第2昇降部82)が第2配置ST2に、第1部分(第1昇降部81)が第2配置ST2のときに第2部分(第2昇降部82)が第1配置ST1に切り換えている。
また、本実施形態のワーク中継装置30は、図4に示すように、第1昇降部81、第1レバー61(円板状部材65)、ワーク載置台32(ワーク挿入部32a)、第2レバー62(円板状部材67)、及び第2昇降部82が、X方向(すなわちワークWの移送方向)に直線状に並んで配置されている。これにより、ワーク中継装置30のZ方向(ワークWの移送方向と直交する方向)の寸法を小さくして、装置をコンパクトにすることができる。なお、上記のように第1昇降部81等を直線状に配置することに限定されず、各部材がY方向にズレた状態で配置されてもよい。
また、図1に示す第1制御部CONT1は、所定の加工プログラムに基づいて第1工作機械10の動作を統括的に制御する。また、第2制御部CONT2は、所定の加工プログラムに基づいて第2工作機械20の動作を統括的に制御する。第1制御部CONT1及び第2制御部CONT2は、不図示の通信部により、第1工作機械10及び第2工作機械20の動作状況あるいは使用工具など、上位のコントローラとの間で各種情報の送受信が可能である。
第1制御部CONT1は、第1ローダ40の第1検出部47からの検出結果に基づいて、ワーク載置台32が第1位置P1に配置されているか否かを判断する。例えば、第1制御部CONT1は、所定の検出位置で第1レバー61の円板状部材65が検出された場合、ワーク載置台32が第1位置P1に配置されていると判断する。また、第1制御部CONT1は、所定の検出位置で円板状部材65が検出されない場合、ワーク載置台32が第1位置P1に配置されていないと判断する。
第1制御部CONT1は、第1検出部47からの検出結果に基づいて、ワーク載置台32にワークWが載置されているか否かを判断する。例えば、第1制御部CONT1は、ワーク載置台32のワーク挿入部32aにワークWが検出された場合、ワーク載置台32にワークWが載置されていると判断する。また、第1制御部CONT1は、ワーク載置台32のワーク挿入部32aにワークWが検出されない場合、ワーク載置台32にワークWが載置されていないと判断する。
第1制御部CONT1は、第1検出部47からの検出結果に基づいて、第1ローダ40によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であるか否かを判断する。例えば、第1制御部CONT1は、第1検出部47により第1昇降部81の板状部84が検出された場合、第1ローダ40によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であると判断する。また、第1制御部CONT1は、第1検出部47により第1昇降部81の板状部84が検出されない場合、第1ローダ40によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しができないと判断する。すなわち、第1昇降部81は、第1ローダ40に対して、ワーク載置台32へのワークWの受け渡しが可能であるか否かを報知する。
第2制御部CONT2は、第2ローダ50の第2検出部57からの検出結果に基づいて、ワーク載置台32が第2位置P2に配置されているか否かを判断する。例えば、第2制御部CONT2は、所定の検出位置で第2レバー62の円板状部材67が検出された場合、ワーク載置台32が第2位置P2に配置されていると判断する。また、第2制御部CONT2は、所定の検出位置で円板状部材67が検出されない場合、ワーク載置台32が第2位置P2に配置されていないと判断する。
第2制御部CONT2は、第2検出部57からの検出結果に基づいて、ワーク載置台32にワークWが載置されているか否かを判断する。例えば、第2制御部CONT2は、ワーク載置台32のワーク挿入部32aにワークWが検出された場合、ワーク載置台32にワークWが載置されていると判断する。また、第2制御部CONT2は、ワーク載置台32のワーク挿入部32aにワークWが検出されない場合、ワーク載置台32にワークWが載置されていないと判断する。
第2制御部CONT2は、第2検出部57からの検出結果に基づいて、第2ローダ50によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であるか否かを判断する。例えば、第2制御部CONT2は、第2検出部57により第2昇降部82の板状部86が検出された場合、第2ローダ50によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であると判断する。また、第2制御部CONT2は、第2検出部57により第2昇降部82の板状部86が検出されない場合、第2ローダ50によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しができないと判断する。すなわち、第2昇降部82は、第2ローダ50に対して、ワーク載置台32へのワークWの受け渡しが可能であるか否かを報知する。
次に、上記のように構成された工作機械システムSYSの動作を説明する。まず、図1に示すように、第1制御部CONT1は、ワーク載置部12に予め載置されたワークWを、第1ローダ40によって例えば主軸15の把持爪13aにワークWを保持させる。その後、第1制御部CONT1は、タレット17の切削工具T1でワークWの加工を行う。また、不図示の反転装置によりワークWを反転させてワークWを主軸16の把持爪14aに保持させ、タレット18の切削工具T1でワークWの加工を行ってもよい。
ワークWの加工後、第1制御部CONT1は、主軸15(または主軸16)からローダチャック43にワークWの受け渡した後、ワークWを保持したローダヘッド41を上昇させ、さらに、ローダヘッド41を+X方向(ワーク中継装置30側)へ移動させてワーク中継装置30の上方に配置させる。その後、ワークWは、ワーク中継装置30を用いることにより、第1工作機械10から第2工作機械20に中継される(受け渡される)。
図8から図23は、ワークWの中継動作の一例を示す図である。以下、図8から図23を参照して、ワーク中継装置30におけるワークWの中継動作を説明する。上記のようにローダヘッド41がワーク中継装置30の上方に配置された後、第1制御部CONT1は、図8に示すように、第1検出部47から検出光を照射させ、第1昇降部81の板状部84を検出させる。第1制御部CONT1は、第1検出部47により第1昇降部81の板状部84が検出された場合、第1昇降部81が第1配置ST1(図7参照)にあり、第1ローダ40によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であると判断する。
なお、第1制御部CONT1は、第1検出部47により板状部84を検出しない場合、ワーク載置台32に対してワークWの受け渡しができないと判断し、例えば、所定時間待機させてもよい。この場合、第1制御部CONT1は、所定時間待機した後、第1検出部47により板状部84を検出するか、改めて検出動作を指示してもよい。以下、ワークWの受け渡しが可能である場合を例に挙げて説明する。
次に、第1制御部CONT1は、図9に示すように、板状部84を検出した位置から+X方向に所定距離だけローダヘッド41を移動させた後、第1検出部47から検出光を照射させ、第1レバー61の円板状部材65を検出させる。第1制御部CONT1は、円板状部材65が検出された場合、ワーク載置台32が第1位置P1に配置されていると判断する。なお、第1制御部CONT1は、第1検出部47により円板状部材65を検出しない場合、ワーク載置台32が第1位置P1にないと判断し、例えば、所定時間待機させてもよい。この場合、第1制御部CONT1は、所定時間待機した後、第1検出部47により円板状部材65を検出するか、改めて検出動作を指示してもよい。以下、ワーク載置台32が第1位置P1に配置されている場合を例に挙げて説明する。
第1制御部CONT1は、ワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であり、かつワーク載置台32が第1位置P1に配置されていることを確認した後、ローダヘッド41を第1位置P1に移動させる。その後、図10に示すように、第1制御部CONT1は、第1検出部47により検出光を照射させ、ワーク載置台32のワーク挿入部32aを検出させる。第1制御部CONT1は、ワーク載置台32のワーク挿入部32aにワークWが検出されない場合、ワーク載置台32にワークWが載置されていないと判断する。なお、第1制御部CONT1は、第1検出部47によりワークWを検出した場合、ワークWをワーク載置台32に載置できないとしてエラーを報知してもよい。以下、ワークWが載置されていない場合を例に挙げて説明する。
第1制御部CONT1は、図11に示すように、ワーク挿入部32aの上方にローダヘッド41のX方向の位置を調整する。続いて、第1制御部CONT1は、ローダヘッド41を下降させて、図12に示すように、ワークWをワーク挿入部32aに挿入して載置させる。ワークWをワーク挿入部32aに挿入した後、第1制御部CONT1は、ワークWを把持していた把持爪43aを開いてワークWを解放し、ローダヘッド41を上昇させ、されに-X方向に移動させ、第1レバー61の上方にローダヘッド41を配置させる。続いて、第1制御部CONT1は、図13に示すように、ローダヘッド41を下降させ、ローダチャック43の把持爪43aで第1レバー61の円板状部材65を把持させる。
次に、第1制御部CONT1は、図14に示すように、ローダチャック43に円板状部材65を把持させた状態で、ローダヘッド41を所定距離だけ+X方向(第2工作機械20側)に移動させる。これにより、第1レバー61が+X方向に移動する。第1レバー61の移動により第1ラック71が+X方向に移動し、第1ピニオンギア73及び第1回転部75がZ軸周りに回転する。第1回転部75の回転により伝達部材77が周回し、ワーク載置台32がワークWを載置した状態で第1位置P1から第2位置P2に移動する。
なお、ローダヘッド41の移動距離は、ワーク載置台32の第1位置P1から第2位置P2までの移動距離より短い。また、ローダヘッド41の移動距離については、ワーク載置台32が第2位置P2に移動するために必要な距離として、予め設定しておくことができる。また、伝達部材77の周回により、第2回転部76が従動して回転し、第2ピニオンギア74がZ軸周りに回転する。第2ピニオンギア74の回転により、第2ラック72及び第2レバー62が+X方向に移動する。
ワーク載置台32が第2位置P2に配置された後、第1制御部CONT1は、ローダチャック43による第1レバー61の把持を解放させてローダヘッド41を上昇させ、続いて、ローダヘッド41を-X方向に移動させて第1昇降部81の上方に配置させる。続いて、第1制御部CONT1は、図15に示すように、ローダヘッド41を下降させ、ローダチャック43を板状部84に当接させる。このとき、第2制御部CONT2は、第2ローダ50のローダヘッド51を第2昇降部82の上方に配置させ、第2検出部57から検出光を照射させて板状部86を検出させてもよい。なお、第2検出部57による板状部86の検出を開始するタイミングとしては、上記に限定されず、例えば、ローダヘッド41により第1昇降部81を下降させた後でもよい。
次に、第1制御部CONT1は、図16に示すように、ローダヘッド41を下降させて、第1昇降部81を押し下げる。第1昇降部81が下降することにより、第1昇降部81が第2配置に切り替わる。また、シーソー部89は、第1端部89aが下降し、第2端部89bが上昇するように揺動する。これにより、第2昇降部82が第1配置に切り替わる。第2昇降部82が第1配置となることにより、第2検出部57において板状部86が検出される。第2制御部CONT2は、第2検出部57により第2昇降部82の板状部86が検出された場合、第2ローダ50によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であると判断する。
次に、第2制御部CONT2は、図17に示すように、ローダヘッド51を第2位置P2の上方に移動させ、第2検出部57から検出光を照射させて、ワーク載置台32のワーク挿入部32aを検出させる。第2制御部CONT2は、ワーク挿入部32aにワークWが検出された場合、ワーク載置台32にワークWが載置されていると判断する。ワーク挿入部32aにワークWが検出されない場合、第2制御部CONT2は、例えば、エラーを上位コントローラ等に報知してもよい。また、第1ローダ40のローダヘッド41は上昇して第1工作機械10側に移動している。
次に、第2制御部CONT2は、図18に示すように、ローダヘッド51を下降させ、ワーク挿入部32aに挿入されたワークWをローダチャック53の把持爪53aによって把持させる。次に、第2制御部CONT2は、図19に示すように、ローダヘッド51を上昇させてワーク挿入部32aからワークWを取り出す。続いて、第2制御部CONT2は、ローダヘッド51を+X方向に移動させ、第2工作機械20のうち例えば主軸25(図1参照)に搬送し、主軸25の把持爪23aにワークWを保持させる。その後、第2制御部CONT2は、タレット27の工具を用いてワークWの加工を行う。ワークWの加工後は、例えば、第2ローダ50により第2工作機械20のワーク載置部22に加工済みのワークWが載置される。
また、第2制御部CONT2は、主軸25にワークWを渡した後、ローダヘッド51を-X方向に移動させて第2レバー62の上方に配置させ、ローダヘッド51を下降させる。次に、図20に示すように、ローダチャック53の把持爪53aにより第2レバー62の円板状部材67を把持させる。次に、第2制御部CONT2は、図21に示すように、ローダチャック53に円板状部材67を把持させた状態で、ローダヘッド51を所定距離だけ-X方向(第1工作機械10側)に移動させる。これにより、第2レバー62が-X方向に移動する。第2レバー62の移動により第2ラック72が-X方向に移動し、第2ピニオンギア74及び第2回転部76がZ軸周りに回転する。第2回転部76の回転により伝達部材77が周回し、ワーク載置台32がワークWを載置した状態で第2位置P2から第1位置P1に移動する。
なお、ローダヘッド51の移動距離は、ワーク載置台32の第2位置P2から第1位置P1までの移動距離より短い。また、ローダヘッド51の移動距離については、ワーク載置台32が第1位置P1に移動するために必要な距離として、予め設定しておくことができる。また、伝達部材77の周回により、第1回転部75が従動して回転し、第1ピニオンギア73がZ軸周りに回転する。第1ピニオンギア73の回転により、第1ラック71及び第1レバー61が-X方向に移動する。
ワーク載置台32が第1位置P1に配置された後、第2制御部CONT2は、ローダチャック53による第2レバー62の把持を解放させてローダヘッド51を上昇させ、続いて、ローダヘッド51を+X方向に移動させて第2昇降部82の上方に配置させる。続いて、第2制御部CONT2は、図22に示すように、ローダヘッド51を下降させ、ローダチャック53を板状部86に当接させる。このとき、第1制御部CONT1は、第1ローダ40のローダヘッド41を第1昇降部81の上方に配置させ、第1検出部47から検出光を照射させて板状部84を検出させてもよい。ローダヘッド41は、次に中継するワークWを保持した状態で第1昇降部81の上方に配置されている。なお、第1検出部47による板状部84の検出を開始するタイミングとしては、上記に限定されず、例えば、ローダヘッド51により第2昇降部82を下降させた後でもよい。
次に、第2制御部CONT2は、図23に示すように、ローダヘッド51を下降させて、第2昇降部82を押し下げる。第2昇降部82が下降することにより、第2昇降部82が第2配置に切り替わる。また、シーソー部89は、第2端部89bが下降し、第1端部89aが上昇するように揺動する。これにより、第1昇降部81が第1配置に切り替わる。第1昇降部81が第1配置となることにより、第1検出部47において板状部84が検出される。第1制御部CONT1は、第1検出部47により板状部84が検出された場合、第1ローダ40によりワーク載置台32に対してワークWの受け渡しが可能であると判断する。
その後、第1制御部CONT1は、上記した図8以降の動作を繰り返し行わせる。なお、上記した例では、ワークWを第1工作機械10から第2工作機械20に移送する場合を示しているが、ワークWを第2工作機械20から第1工作機械10に移送する場合も同様である。この場合、第2ローダ50がワーク載置台32にワークWを載置し、第1ローダ40でワーク載置台32のワークWを受け取るように動作する。すなわち、上記の説明における第1ローダ40の説明が第2ローダ50に適用され、第2ローダ50の説明が第1ローダ40に適用される。
図24は、変形例に係る移動機構33Aの動作を示す図である。なお、以下の説明は、第1ローダ40側の第1ラック71Aを例に挙げているが、第2ローダ50側の第2ラックについても同様である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。図24に示すように、移動機構33Aの第1ラック71Aは、第1レバー61Aの連結部材66に取り付けられる。第1ラック71Aは、第1レバー61Aとなって、不図示のガイドによって昇降可能である。第1ラック71Aの-X側の辺71Aeには、上下方向の複数の歯が形成され、第1ピニオンギア73の歯と噛み合っている。第1ピニオンギア73は、第1ラック71Aが上下方向に移動することによりZ軸周りに回転する。
図24(A)に示すように、第1ラック71Aが下降した位置から、円板状部材65を第1ローダ40のローダチャック43で把持してローダヘッド41を上昇させることにより(図24では、第1ローダ40の図示を省略している。)、図24(B)に示すように、第1ラック71Aの上昇によって、第1ピニオンギア73が図示においてZ軸を中心として反時計回りに回転する。これにより、伝達部材77が移動してワーク載置台32を+X方向に移動させることができる。また、第1ラック71Aが上昇した位置から、円板状部材65を第1ローダ40のローダチャック43で把持して(または把持することなく)ローダヘッド41を下降させることにより、第1ピニオンギア73がZ軸を中心として時計回りに回転する。これにより、伝達部材77が移動してワーク載置台32を-X方向に移動させることができる。
図24に示す構成では、第1レバー61A及び不図示の第2レバーが昇降することにより、ワーク載置台32を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させることが可能である。なお、第1レバー61Aが上昇した際は第2レバーが下降し、第2レバーが上昇した際は第1レバーが下降する。このように、ローダヘッド41、51の昇降動作を利用して第1レバー61A及び不図示の第2レバーを昇降するので、ローダヘッド41、51の移動量(第1レバー61A等の移動量)を大きくすることが可能となる。例えば、第1レバー等をX方向に大きく移動させるためには、X方向のガイドレール44b、54b(図1参照)を長くする必要があり、互いのガイドレール44b、54bが干渉して延ばせない場合がある。これに対し、ローダヘッド41、51の昇降動作を利用することにより、X方向のガイドレール44b、54bを延ばすことなく、第1レバー61A等の移動量を大きくすることが可能となる。
図25(A)及び(B)は、変形例に係る連絡部材34Aを示す図である。上記した実施形態では、連絡部材34がシーソー部89を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。図25に示すように、連絡部材34Aは、円盤状の第1部分81A及び第2部分82Aと、棒状の接続部83Aとを有する。第1部分81A及び第2部分82Aは、接続部83Aの-X側端部、+X側端部にそれぞれ取り付けられる。接続部83Aは、レール64に設けられた筒状部35A内に配置される。
第1部分81Aは、筒状部35Aの-X側に配置され、第2部分82Aは、筒状部35Aの+X側に配置される。図25(A)に示すように、例えば、第1ローダ40により第1部分81Aを+X方向に押すことにより、第1部分81Aが筒状部35Aに近接し、第2部分82Aが接続部83Aにより押されて筒状部35Aから離れた状態となる。また、図25(B)に示すように、例えば、第2ローダ50により第2部分82Aを-X方向に押すことにより、第2部分82Aが筒状部35Aに近接し、第1部分81Aが接続部83Aにより押されて筒状部35Aから離れた状態となる。
第1部分81A及び第2部分82Aについて、筒状部35Aから離れた状態が第1配置であり、筒状部35Aに近接した状態が第2配置である。この場合、第1ローダ40の第1検出部47により、第1配置にある第1部分81Aを検出することが可能であり、第2ローダ50の第2検出部57により、第1配置にある第2部分82Aを検出することが可能である。したがって、第1部分81Aまたは第2部分82Aを押すといった簡単な動作で相手側のローダに対して情報を伝達することができる。
上記したように、本実施形態のワーク中継装置30によれば、移動機構33、33Aにおいて、第1ローダ40または第2ローダ50が移動する力を用いてワーク載置台32を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させるため、ワーク載置台32を移動させるための専用の駆動源及び電気配線等が不要となる。さらに、連絡部材34、34Aにおいて、第1部分及び第2部分のいずれか一方を第1配置とするときに他方が第2配置となるため、第1部分あるいは第2部分の位置を確認することにより、電気信号を用いなくても情報のやり取りが可能であり、ワーク載置台の位置を検出する検出センサ等が不要となる。これにより、ワーク中継装置30のコストの増加を抑えることができ、ワーク中継装置30を設置する際の工期を短縮できる。さらに、ローダが移動する力を用いるので、ローダを備える工作機械間で利用可能といった汎用性を付与できる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記した実施形態及び変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記した実施形態では、工作機械システムSYSとして、第1工作機械10が平行2軸旋盤であり、第2工作機械20が対向2軸旋盤であるが、この組み合わせに限定されず、工作機械の種類は任意に設定可能である。
また、上記した実施形態では、移動機構33において、第1ラック71と第2ラック72とが同一のX方向に移動するが、これに限定されず、第1ラック71と第2ラック72とが異なる方向に移動する構成であってもよい。
また、上記した実施形態では、第1ローダ40の第1検出部47、及び第2ローダ50の第2検出部57として光センサを用いているが、これに限定されない。例えば、カメラ等の撮像装置によって画像を取得し、この画像に基づいてパターンマッチング等の画像処理により、第1昇降部81(板状部84)が第1配置にあることを検出してもよい。この場合、第1レバー61の円板状部材65、あるいはワーク載置台32のワーク挿入部32aなどについても画像を取得してそれぞれの位置等を検出してもよい。また、画像を用いて検出する場合、カメラ等は第1ローダ40及び第2ローダ50のそれぞれに配置されなくてもよい。例えば、建屋の一部にカメラを配置して画像を取得してもよい。また、第1検出部47及び第2検出部57は、光センサ等の非接触式のセンサが用いられることに限定されず、接触式のセンサが用いられてもよい。
また、上記した実施形態では、第1ローダ40によりワーク載置台32を第1位置P1から第2位置P2に移動させ、第2ローダ50によりワーク載置台32を第2位置P2から第1位置P1に移動させているが、これに限定されない。例えば、第1ローダ40によりワーク載置台32を第1位置P1から第2位置P2に移動させ、かつ、ワーク載置台32を第2位置P2から第1位置P1に移動させてもよいし、第2ローダ50によりワーク載置台32を第2位置P2から第1位置P1に移動させ、かつ、ワーク載置台32を第1位置P1から第2位置P2に移動させてもよい。
また、上記した実施形態では、連絡部材34、34Aの接続部83、83Aとして、シーソー部89あるいは棒状の部材が用いられるが、これに限定されない。第1部分及び第2部分のいずれか一方が第1配置となるときに他方を第2配置とするような任意の接続部が適用可能であり、この接続部の一部に、例えば、ベルト、ワイヤー、またはチェーンなどが用いられてもよいし、カム及びカムフォロワ、歯車列等が用いられてもよい。