JP7042772B2 - 印刷用塗工紙 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷機に使用される印刷用塗工紙に関し、特に、塗工量が片面あたり4g/m以下の微塗工の印刷用塗工紙に関する。
印刷機メーカー各社がデジタル印刷機を発表する中、印刷業においては、依然としてオフセット印刷機を、雑誌、書籍、画集、写真集、MOOK本、冊子、カタログ、チラシ及びパンフレットなどの商業印刷物の生産に活用する。商業印刷物に使う用紙は、光沢紙及びマット紙だけに限らない。近年の用紙は、光沢感及び艶消し感、平滑の程度、色合い、手触り感などにおいて様々な品質が存在する。市場では、高い光沢感を有する重厚な印刷用塗工紙が好まれる。一方で、雑誌、MOOK本、冊子及びカタログでは、光沢感及び滑らか感を抑えたラフな肌合いを有する印刷用塗工紙の人気もある。
一般に、紙の価格は紙の重さに左右される。従って、コストを抑えるために印刷業者は、塗工量が少ない微塗工用紙及び/又は密度が小さい嵩高用紙を求める傾向にある。
低塗工量にもかかわらず、嵩高で白色度が高く、印刷面感に優れ、不透明度が高く、印刷作業性が良好な印刷用塗工紙として、原紙上に顔料と接着剤とを有する塗工層を一層以上有し、下記(1)~(5)の条件を満足する印刷用塗工紙が公知である(例えば、特許文献1参照)。
(1)原紙にクラフトパルプを、全パルプの乾燥重量に対して50重量%以上含有する。(2)原紙にパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有する。
(3)塗工層の片面塗工量が0.5~5g/mである。
(4)印刷用塗工紙の密度が0.70g/cm以下である。
(5)印刷用塗工紙の灰分が10重量%以上である。
特開2014-077216号公報
塗工量が片面あたり4g/m以下である微塗工の印刷用塗工紙では、インキを受理するための塗工量が少ないためにインキ吸収性に劣る。塗工層を有しない普通紙であれば、普通紙を構成する原紙の空隙によってインキ吸収性が得られる。比較的多い塗工量を有する印刷用塗工紙であれば、厚みのある塗工層によってインキ吸収性を得ることができる。印刷用塗工紙がインキ吸収性に劣ると、インキの乾燥が遅れ、結果として得られる印刷物に裏移りなどのインキ汚れが発生する。
特に、ラフな肌合いを有する微塗工の印刷用塗工紙では、塗工層による原紙の被覆性に劣るためにインキ転移性に劣る。印刷用塗工紙がインキ転移性に劣ると、オフセット印刷機のブランケットから印刷用塗工紙へインキが転移する量に違いが発生し、結果として得られる印刷物に色の差異が生まれる。
また、ラフな肌合いを有する微塗工の印刷用塗工紙は、製造にあたり、ラフな肌合いを得るために塗工層を設けた後にカレンダー処理を施さない場合が多い。そのため、印刷用塗工紙は、塗工層の成分がオフセット印刷機のブランケットに付着する場合がある。付着が発生すると、結果として得られる印刷の画像部に斑点状の欠点を有する。
上記を鑑みて本発明の目的は、微塗工紙であって、インキ吸収性及びインキ転移性が良好であり、画像部への斑点状欠点の発生を抑えた印刷用塗工紙を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明の目的は、以下によって達成される。
[1]パルプ及び填料を含有する原紙と、前記原紙の少なくとも片面に1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が白色顔料及びバインダーを含有し、前記白色顔料が、体積基準の粒度分布における粒子径2μm以下の累積頻度が90体積%以上である炭酸カルシウム及び体積基準の粒度分布における粒子径5μm以下の累積頻度が40体積%以上かつ体積基準の粒度分布における累積頻度50体積%の粒子径(D50)が4.5μm以上7.0μm以下であるカオリンを少なくとも含み、最外塗工層を含む塗工層の合計塗工量が片面あたり2.5g/m以上4g/m以下である印刷用塗工紙。
本発明により、微塗工紙であって、インキ吸収性及びインキ転移性が良好であり、画像部への斑点状欠点の発生を抑えた印刷用塗工紙を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
印刷用塗工紙は、パルプ及び填料を含有する原紙と、前記原紙の少なくとも片面に1層又は2層以上の塗工層とを有する。
前記パルプは、製紙分野で従来公知のものである。パルプの例としては、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、BCTMP(Bleached ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプを挙げることができる。パルプの原料としては、例えば、針葉樹及び広葉樹、さらに麻、リンター、わら、竹、サトウキビ、ヨシ、果実、コウゾ、ミツマタ及びガンピなどを挙げることができる。
原紙のパルプは、上記パルプから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。原紙のパルプは、LBKP及びBCTMPを含むことが好ましい。また、原紙中のパルプに対してLBKP及びBCTMPの合計含有量は70質量%以上が好ましい。原紙中のパルプに対してLBKP及びBCTMPの合計含有量が100質量%に満たない場合は、LBKP及びBCTMPを除く上記パルプから成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有する。また、原紙におけるBCTMPに対するLBKPの含有質量比は1.2以上2.5以下が好ましい。また、LBKPの濾水度(CSF)は320ml以上390ml以下が好ましい。ここで、濾水度(CSF)は、JIS P8121:2012に準拠するカナダ標準濾水度試験方法に沿って測定した値である。
前記填料は、製紙分野で従来公知の白色顔料である。填料の例としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、活性白土、珪藻土、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料を、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの白色有機顔料を挙げることができる。填料は、これらから成る群から選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
原紙の填料は、タルク及び炭酸カルシウムを含むことが好ましい。さらに、炭酸カルシウムは軽質炭酸カルシウムが好ましい。また、原紙中の填料に対してタルク及び炭酸カルシウムの合計含有量は80質量%以上が好ましい。原紙中の填料に対してタルク及び炭酸カルシウムの合計含有量が100質量%に満たない場合は、タルク及び炭酸カルシウムを除く上記填料から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有する。さらに、原紙におけるタルクと炭酸カルシウムとの含有質量比は、[タルク:炭酸カルシウム]=1:9~5:5が好ましい。
原紙は、パルプ及び填料を含有し、さらに、サイズ剤、バインダー、定着剤、歩留まり剤、カチオン性樹脂や多価陽イオン塩などのカチオン化剤、紙力剤などの各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造して得られる抄造紙である。さらに原紙には、抄造紙にカレンダー処理、澱粉又はポリビニルアルコールなどで表面サイズ処理、あるいは表面処理などを施した上質紙が含まれる。さらに原紙には、表面サイズ処理あるいは表面処理を施した後にカレンダー処理した上質紙が含まれる。
紙料中には、その他の添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などから成る群から選ばれる一種又は二種以上を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。
原紙は、灰分が9質量%以上15質量%以下が好ましい。灰分は、JIS P8251:2003「紙、板紙及びパルプ-灰分試験方法-525℃燃焼法」に準拠して求められる値である。測定の原理は以下である。試験片を、耐熱坩堝に入れて質量を測定し、525℃±25℃のマッフル炉の中で燃焼し、灰化する。また、別の試験片で含有水分率を測定しておく。灰分(質量%)は、試料の含有水分率から求めた絶乾状態の試験片の質量に対する燃焼残さの質量比率として算出する。灰分は、原紙中に含まれる填料の含有量によって調整できる。
抄造は、紙料を酸性、中性又はアルカリ性に調整して、従来公知の抄紙機を用いて行われる。抄紙機の例としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機などを挙げることができる。
塗工層は、塗工層塗工液を塗工及び乾燥することによって、原紙の少なくとも片面に設けることができる。塗工層は1層又は2層以上である。塗工層中、原紙を基準として最も外側に位置する塗工層を最外塗工層という。最外塗工層は、白色顔料及びバインダーを含有する。塗工層が1層の場合は該塗工層が最外塗工層になる。塗工層が2層以上の場合、原紙と最外塗工層との間に存在する塗工層は、後記する白色顔料、バインダー及び各種添加剤の各々有無並びにそれらの種類について特に限定しない。
印刷用塗工紙は微塗工であるから、塗工層の塗工量は、片面あたり2.5g/m以上4g/m以下である。塗工層が2層以上の場合は、それらの合計の値である。
塗工層は、製造コストの観点から、1層が好ましい。
塗工層は、原紙の片面又は両面に有してよい。また片面の場合は、原紙において塗工層を有する側とは反対面に従来公知のバックコート層を有してよい。
原紙又は既存の塗工層に塗工層を設ける方法は特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて、塗工層塗工液を塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、サイズプレスなどを挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機などの各種乾燥装置を挙げることができる。
サイズプレスの例としては、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、フィルムトランスファー方式としてロッドメタリングサイズプレス、ロールメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレスを、ロッドメタリングサイズプレスではシムサイザー、オプティサイザー、スピードサイザー、フィルムプレスを、ロールメタリングサイズプレスではゲートロールコーターを挙げることができる。その他にも、ビルブレードコーター、ツインブレードコーター、ベルバパコーター、タブサイズプレス、カレンダーサイズプレスなどを挙げることができる。
塗工層はカレンダー処理を施すことができる。印刷用塗工紙は、ラフな肌合いを得るために、塗工層を設けた後にカレンダー処理を施さない場合が多い。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。本発明の印刷用塗工紙には、最外塗工層がキャスト処理された印刷用塗工紙を含めない。
最外塗工層は、白色顔料及びバインダーを含有する。
白色顔料は、塗工紙分野で従来公知のものである。白色顔料の例としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、活性白土、珪藻土、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料を、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの白色有機顔料を挙げることができる。最外塗工層は、これら顔料から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
最外塗工層の白色顔料は、炭酸カルシウム及びカオリンを少なくとも含む。最外塗工層において、炭酸カルシウム及びカオリンの含有量は、最外塗工層中の白色顔料に対して80質量%以上であることが好ましい。最外塗工層中の白色顔料に対して炭酸カルシウム及びカオリンの合計含有量が100質量%に満たない場合は、炭酸カルシウム及びカオリンを除く上記白色顔料から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有する。最外塗工層において、炭酸カルシウムとカオリンとの含有質量比は、炭酸カルシウム:カオリン=40:60~20:80が好ましい。
前記炭酸カルシウムは、体積基準の粒度分布における粒子径2μm以下の累積頻度が90体積%以上である。このような炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムが好ましい。
また、前記カオリンは、体積基準の粒度分布における粒子径5μm以下の累積頻度が40体積%以上かつ体積基準の粒度分布における累積頻度50体積%の粒子径(D50)が4.5μm以上7.0μm以下である。「体積基準の粒度分布における粒子径5μm以下の累積頻度が40体積%以上」とは、粒子径5μm以下の粒子が増す方向である。「体積基準の粒度分布における粒子径5μm以下の累積頻度」の上限は、D50との関係によって決まる。カオリンは、体積基準の粒度分布における粒子径5μm以下の累積頻度が65体積%以下が好ましい。
カオリンは、含水珪酸アルミニウム鉱物を主成分とする粘土鉱物である。このようなカオリンとして、市販の各等級カオリン、構造性カオリン及びデラミネーテッドカオリンなど従来公知のカオリンを挙げることができる。
体積基準の粒度分布において粒子径2μm以下の累積頻度が90体積%以上である炭酸カルシウム、体積基準の粒度分布における粒子径5μm以下の累積頻度が40体積%以上かつ体積基準の粒度分布における累積頻度50体積%の粒子径(D50)が4.5μm以上7.0μm以下であるカオリンは、比較的に粒子径の大きい市販の炭酸カルシウム及びカオリンから、乾式粉砕及び/又は湿式粉砕と整粒とによって得ることができる。
炭酸カルシウムの粒度分布及びカオリンの粒度分布は、塗工紙となった状態から求めることができる。それぞれの白色顔料の粒度分布は、例えば、エネルギー分散型X線分光器などの元素分析機能付走査型電子顕微鏡を用いて印刷用塗工紙表面の電子顕微鏡写真を撮影し、撮影された粒子を面積が近似する球形と見なして粒子径を計算し、撮影画像内に存在するそれぞれ100個の粒子について粒子径を測定することによって得ることができる。縦軸が頻度(%)で横軸が粒子径(μm)として100個の粒子から測定された粒子径データから粒子画像解析ソフトウェアを用いて得られた粒度分布により、粒子径2μm以下の累積頻度、粒子径5μm以下の累積頻度、及び累積頻度が50体積%になる粒子径(D50)を算出することができる。
また、炭酸カルシウムの粒度分布及びカオリンの粒度分布は、レーザー回折・散乱法又は動的光散乱法を利用する測定により求めることもできる。その場合、粒度分布とは、レーザー回折・散乱式粒度分析計で測定した体積を基準とした粒度分布である。得られた粒度分布により、粒子径2μm以下の累積頻度、粒子径5μm以下の累積頻度、及び累積頻度が50体積%になる粒子径(D50)を算出することができる。装置としては、例えば、日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器Microtrac MT3300EXIIを挙げることができる。
バインダーは、塗工紙分野で従来公知の水分散性バインダー及び水溶性バインダーである。分散性バインダーの例としては、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体あるいはメチルメタクリレート-ブタジエン共重合体などのアクリル系共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はこれらの各種共重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体、あるいはメラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂を挙げることができる。水溶性バインダーの例としては、澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール又はシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体、カゼインやゼラチン又はそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミンなどの天然高分子樹脂又はこれらの誘導体、ポリアクリル酸ソーダなどのビニルポリマー、アルギン酸ソーダ、無水マレイン酸又はその共重合体などを挙げることができる。最外塗工層のバインダーは、上記水分散性バインダー及び上記水溶性バインダーから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。最外塗工層のバインダーは、スチレン-ブタジエン共重合体、澱粉又は澱粉誘導体が好ましい。
最外塗工層中のバインダーの含有量は、最外塗工層中の白色顔料100質量部に対して10質量部以上40質量部以下が好ましい。
最外塗工層は、白色顔料及びバインダー以外に、更に必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、発泡剤、滑剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、印刷適性向上剤などを挙げることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工量は乾燥固形分量を示す。
各実施例及び各比較例について、以下の手順により印刷用塗工紙を作製した。
<原紙>
紙料は下記の内容により調製した。
LBKP(濾水度(CSF)360ml) 54質量部
NBKP(濾水度(CSF)450ml) 20質量部
BCTMP 26質量部
炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム) 9質量部
タルク 4質量部
サイズ剤(アルキルケテンダイマー系) 0.15質量部
カチオン化澱粉 1.2質量部
<最外塗工層の塗工層塗工液>
塗工層塗工液は下記の内容により調製した。
炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム) 種類及び部数は表1に記載
カオリン 種類及び部数は表1に記載
スチレン-ブタジエン共重合体 10質量部
リン酸エステル化澱粉 10質量部
滑剤 0.4質量部
印刷適性向上剤 0.5質量部
上記の内容で配合し、水で混合分散して、濃度49質量%に調整した。
重質炭酸カルシウム及びカオリンの体積基準の粒度分布は、日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器Microtrac MT3300EXIIを用いた測定により作成した。得た粒度分布から、粒子径2μm以下の累積頻度、粒子径5μmの累積頻度及び累積頻度が50体積%になる粒子径(D50)を算出した。
<微塗工紙の作製>
上記紙料を長網抄紙機で抄造し、坪量81g/mの原紙を得た。引き続き、オンマシンコーターに装備してあるフィルムトランスファーコーターを使用して、最外塗工層の塗工層塗工液を片面あたり4g/mの塗工量となるよう両面に、塗工及び乾燥した。乾燥後に、カレンダー処理は施さず、印刷用塗工紙を得た。
得た印刷用塗工紙について、インキ吸収性及びインキ転移性、並びに斑点状の欠点について下記の手順に従って評価した。
<インキ吸収性>
オフセット印刷機(三菱重工社製ダイヤ3H-4)を用い、平版オフセットプロセスインキを使用して4色印刷を印刷用塗工紙の片面に行った。印刷には、4cm×4cmの各色ベタ画像をランダムに配置した画像を用いた。印刷後の印刷物を順次重ねて1000枚を棒積みし、更にその上に0.5kg又は2kgの鉄板を重ねた。棒積みしてから24時間後、インキの裏移り状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
本発明において、印刷用塗工紙は、A又はBの評価であればインキ吸収性が良好であるとする。
A:裏移りが認められず、良好。
B:2kgの鉄板では極僅かに裏移りが認められるが、概ね良好。
C:上記Bより劣り且つ0.5kgの鉄板でも極僅かに裏移りが認められるが、
実用可能な範囲。
D:上記Cより劣り且つ裏移りが認められ、実用上許容できない。
<インキ転移性>
オフセット印刷機(三菱重工社製ダイヤ3H-4)を用い、平版オフセットプロセスインキを使用して4色印刷を印刷用塗工紙の片面に行った。印刷には、カラーチャート図の繰り返しを画像に用いた。印刷してから24時間経過後、繰り返し印刷されたカラーチャート図について、カラーチャート図間における色の差異を目視で観察し、下記の基準で評価した。
本発明において、印刷用塗工紙は、A又はBの評価であればインキ転移性が良好であるとする。
A:色の差異が無く、良好。
B:局所的に色の差異が極僅かに認められるが、概ね良好。
C:上記Bより劣り且つ局所的に色の差異が僅かに認められるが、実用可能な範囲。
D:上記Cより劣り且つ色の差異が認められ、実用上許容できない。
<斑点状の欠点>
オフセット印刷機(三菱重工社製ダイヤ3H-4)を用い、平版オフセットプロセスインキを使用して4色印刷を印刷用塗工紙の片面に行った。印刷には、4cm×4cmの各色ベタ画像をランダムに配置した画像を用いた。印刷物のベタ画像部を拡大鏡及び目視で観察し、下記の基準で評価した。
本発明において、印刷用塗工紙は、A、B又はCの評価であれば斑点状の欠点の発生を抑えたとする。
A:拡大鏡及び目視において、斑点状の欠点が認められず、良好。
B:拡大鏡においてのみ、斑点状の欠点が部分的に僅かに認められるが、概ね良好。
C:目視において、斑点状の欠点が部分的に僅かに認められるが、実用可能な範囲。
D:上記Cより劣り、欠点が認められ、実用上許容できない。
評価結果を表1に示す。
Figure 0007042772000001
表1から、本発明に該当する実施例1~7は、インキ吸収性及びインキ転移性が良好であり、並びに斑点状の欠点の発生を抑えた印刷用塗工紙であると分かる。一方、本発明の構成に該当しない比較例1~5は、インキ吸収性、インキ転移性及び斑点状の欠点に関して少なくとも一つを満足できない印刷用塗工紙と分かる。

Claims (1)

  1. パルプ及び填料を含有する原紙と、前記原紙の少なくとも片面に1層又は2層以上の塗工層とを有し、前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が白色顔料及びバインダーを含有し、前記白色顔料が、体積基準の粒度分布における粒子径2μm以下の累積頻度が90体積%以上である炭酸カルシウム及び体積基準の粒度分布における粒子径5μm以下の累積頻度が40体積%以上65体積%以下かつ体積基準の粒度分布における累積頻度50体積%の粒子径(D50)が4.5μm以上7.0μm以下であるカオリンを少なくとも含み、最外塗工層において炭酸カルシウムとカオリンとの含有質量比が、炭酸カルシウム:カオリン=40:60~20:80であり、最外塗工層を含む塗工層の合計塗工量が片面あたり2.5g/m以上4g/m以下である印刷用塗工紙。
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