以下、図面を適宜参照して、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係るコードレス電話システムの構成例を示した図である。図1に示すように、コードレス電話システムは、コードレス電話機1と、ベースユニット2と、を有している。コードレス電話システムは、例えば、オフィスや住宅などに設置される。
コードレス電話機1およびベースユニット2は、DECT方式に準拠したTDMA(Time Division Multiple Access)方式の無線通信を行う。コードレス電話機1およびベースユニット2は、例えば、1.8GHz帯の電波または1.9GHz帯の電波を用いて、無線通信を行う。
ベースユニット2は、Ethernet(登録商標)またはPSTN(Public Switched Telephone Network)を介して、交換機またはサーバ(図示せず)に接続されている。コードレス電話機1は、ベースユニット2を介して、他の電話機と通話できる。
図1には、1台のコードレス電話機1しか示していないが、複数存在してもよい。複数のコードレス電話機1は、同時通話が可能である。例えば、図1に示すコードレス電話システムは、以下で詳述するが、狭帯域音声通話の場合および広帯域音声通話の場合ともに、最大で24台の同時通話が可能である。言い換えれば、図1に示すコードレス電話システムの通信チャネル数は、狭帯域音声通話の場合および広帯域音声通話の場合ともに、24チャネルである。
なお、コードレス電話機1は、例えば、ハンドセットと呼ばれてもよい。また、ベースユニット2は、例えば、基地局と呼ばれてもよい。広帯域音声通話は、ワイドバンド通話と呼ばれてもよい。狭帯域音声通話は、ナローバンド通話と呼ばれてもよい。
図2Aは、現行のDECT方式による、コードレス電話システムの最大同時通話数を説明する図である。図2Bは、本開示のコードレス電話システムの最大同時通話数を説明する図である。
図2Aに示すように、現行のDECT方式では、1台のベースユニットにおけるコードレス電話機の最大同時通話数は、狭帯域音声通話の場合12台である。広帯域音声通話の場合6台である。
これに対し、図1のコードレス電話システムでは、図2Bに示すように、1台のベースユニットにおける最大同時通話数は、狭帯域音声通話の場合および広帯域音声通話の場合ともに24台である。図1のコードレス電話システムは、音声品質の劣化を抑制しつつ、狭帯域音声通話における最大同時通話数および広帯域音声通話における最大同時通話数を増加させる。
図3は、コードレス電話機1のブロック構成例を示した図である。図3に示すように、コードレス電話機1は、制御部11と、無線部12と、オーディオ部13と、スピーカ14と、マイク15と、を有している。
制御部11は、コードレス電話機1全体を制御する。また、制御部11は、ベースバンド処理を行う。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)のいずれか一方または両方で構成されてもよい。制御部11は、メインプロセッサ・ベースバンド部と呼ばれてもよい。
無線部12には、制御部11から出力されるUL(UpLink)信号(ベースユニット2に送信する信号)が入力される。無線部12は、入力されたUL信号に対して、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行う。無線部12は、送信処理したUL信号を、アンテナを介して、ベースユニット2に送信する。
無線部12は、アンテナを介して、DL(DownLink)信号(ベースユニット2から送信された信号)を受信する。無線部12は、受信したDL信号に対して、増幅およびダウンコンバート等の受信処理を行う。無線部12は、受信処理したDL信号を、制御部11に出力する。
オーディオ部13は、制御部11から出力されるデジタル音声データ(DL信号)を、アナログ音声信号に変換し、スピーカ14へ出力する。また、オーディオ部13は、マイク15から出力されるアナログ音声信号(UL信号)を、デジタル音声データに変換して、制御部11へ出力する。
図4は、コードレス電話機1の制御部11のブロック構成例を示した図である。図4に示すように、コードレス電話機1の制御部11は、コーデック部21と、変調部22と、生成部23と、復調部24と、誤り検出部25と、記憶部26と、を有している。
コーデック部21は、ベースユニット2に送信する音声データ(UL信号)を符号化(圧縮)する。例えば、コーデック部21は、ベースユニット2に送信する音声データを、音声コーデックのCELT(Constrained Energy Lapped Transform)によって符号化する。コーデック部21は、符号化した音声データを変調部22に出力する。
また、コーデック部21は、復調部24で復調された音声データ(DL信号)を復号化(伸張)する。例えば、コーデック部21は、復調部24で復調された音声データを、CELTによって復号化する。コーデック部21は、復号した音声データをオーディオ部13に出力する。
変調部22は、コーデック部21によって符号化された音声データを多値変調する。また、変調部22は、その他のデータ(例えば、制御データ、CRCデータ等)を多値変調する。例えば、変調部22は、コーデック部21によって符号化された音声データをQPSK変調する。また、変調部22は、その他のデータをQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調する。
生成部23は、変調部22で変調されたデータを収容したハーフスロット(ハーフスロットについては以下で説明する)を生成する。生成部23は、生成したハーフスロットを無線部12に出力する。
復調部24は、無線部12から出力される、ベースユニット2から送信された信号(DL信号)を復調する。例えば、復調部24は、無線部12から出力される信号を、QPSK復調する。復調された信号(データ)に含まれる音声データは、コーデック部21に出力され、復号化される。
誤り検出部25は、復調部24で復調されたデータの誤りを検出する。例えば、誤り検出部25は、復調部24で復調されたデータの誤りを、CRC(Cyclic Redundancy Check)により検出する。
記憶部26には、例えば、制御部11が動作するためのプログラムが記憶される。また、記憶部26には、制御部11が計算処理を行うためのデータまたはコードレス電話機1の各部を制御するためのデータが記憶される。記憶部26は、制御部11の外にあってもよい。
図5は、ベースユニット2のブロック構成例を示した図である。図5に示すように、ベースユニット2は、制御部31と、無線部32と、インタフェース部33と、を有している。
制御部31は、ベースユニット2全体を制御する。また、制御部31は、ベースバンド処理を行う。制御部31は、例えば、CPUおよびDSPのいずれか一方または両方で構成されてもよい。制御部31は、メインプロセッサ・ベースバンド部と呼ばれてもよい。
無線部32は、アンテナを介して、UL信号(コードレス電話機1から送信された信号)を受信する。無線部32は、受信したUL信号に対して、増幅およびダウンコンバート等の処理を行う。無線部32は、増幅およびダウンコンバート等の処理を行ったUL信号を制御部31に出力する。
無線部32には、制御部31から出力されるDL信号(コードレス電話機1に送信する信号)が入力される。無線部32は、入力されたDL信号に対して、増幅およびアップコンバート等の処理を行う。無線部32は、増幅およびアップコンバート等の処理を行ったDL信号を、アンテナを介して、コードレス電話機1に送信する。
インタフェース部33は、交換機またはサーバとの間の通信制御を行う。例えば、インタフェース部33は、制御部31から出力されるデータ(コードレス電話機1から送信された信号)を交換機またはサーバに送信する。また、インタフェース部33は、交換機またはサーバから送信されたデータ(コードレス電話機1に送信する信号)を受信し、制御部31に出力する。
図6は、ベースユニット2の制御部31のブロック構成例を示した図である。図6に示すように、ベースユニット2の制御部31は、コーデック部41と、変調部42と、生成部43と、復調部44と、誤り検出部45と、記憶部46と、を有している。
コーデック部41は、インタフェース部33から出力される音声データ(DL信号)を符号化(圧縮)する。例えば、コーデック部41は、インタフェース部33から出力される音声データを、音声コーデックのCELTによって符号化する。
また、コーデック部41は、復調部44で復調された音声データ(UL信号)を復号化(伸張)する。例えば、コーデック部41は、復調部44で復調された音声データを、CELTによって復号化する。コーデック部41は、復号した音声データをインタフェース部33に出力する。
変調部42は、コーデック部41によって符号化された音声データを多値変調する。また、変調部42は、その他のデータ(例えば、制御データ、CRCデータ等)を多値変調する。例えば、変調部42は、コーデック部41によって符号化された音声データをQPSK変調する。また、変調部42は、その他のデータをQPSK変調する。
生成部43は、変調部42で変調されたデータを収容したハーフスロットを生成する。生成部43は、生成したハーフスロットを無線部32に出力する。
復調部44は、無線部32から出力される、コードレス電話機1から送信された信号(UL信号)を復調する。例えば、復調部44は、無線部32から出力される信号を、QPSK復調する。復調された信号(データ)に含まれる音声データは、コーデック部41に出力され、復号化される。
誤り検出部45は、復調部44で復調されたデータの誤りを検出する。例えば、誤り検出部45は、復調部44で復調されたデータの誤りを、CRCにより検出する。
記憶部46には、例えば、制御部31が動作するためのプログラムが記憶される。また、記憶部46には、制御部31が計算処理を行うためのデータまたはコードレス電話機1の各部を制御するためのデータが記憶される。記憶部46は、制御部31の外にあってもよい。
図7は、DECT方式のフレーム構成を示した図である。DECT方式では、10msのフレームで無線通信が行われる。10msのフレームは、5msのダウンリンクのフレームと、5msのアップリンクのフレームとに分けられている。図7には、ダウンリンクのフレームの例が示してある。
DECT方式では、フルスロット(Full Slot)のフレームと、ロングスロット(Long Slot)のフレームと、ハーフスロット(Half Slot)のフレームとの3種類のフレームが規定されている。フルスロットのフレームは、図7の矢印A1に示すように、12個のスロットから構成される。ロングスロットのフレームは、矢印A2に示すように、6個のスロットから構成される。
ハーフスロットのフレームは、矢印A3に示すように、12個のスロットから構成され、1つのスロットは、さらにL=0とL=1との2つのスロットに分割される。従って、ハーフスロットのフレームは、24個のスロットから構成される。
上記したように、フルスロットのフレームは、12スロットで構成される。従って、フルスロットの通信チャネル数は12であり、最大同時通話台数は12台となる。ロングスロットのフレームは、6スロットで構成される。従って、ロングスロットの通信チャネル数は6であり、最大同時通話台数は6台となる。
ハーフスロットのフレームは、24スロットで構成される。従って、ハーフスロットの通信チャネル数は24であり、最大同時通話台数は24台となる。なお、以下で説明するが、ハーフスロットのフレームは、音声品質の劣化が激しいため、現状では使用されていない。
図7には、ダウンリンクのフレームを示したが、アップリンクのフレームも同様の構成を有している。
図8は、DECT方式のスロット構成を示した図である。図8の矢印A12に示すように、フルスロットは、S-Fieldと、A-Fieldと、B-Fieldと、X-Fieldと、Z-Fieldと、GAPと、を有している。
S-Fieldには、スロットおよびフレームの同期を取るための情報が格納される。A-Fieldには、無線通信を制御するための制御データが格納される。制御データは、例えば、呼び出し要求や通話開始等のメッセージ等が含まれている。B-Fieldには、音声データが格納される。X-FieldおよびZ-Fieldには、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check)等の誤り検出を行うための情報が格納される。GAPは、無線部が無線周波数(無線チャネル)を切り替えるために設けられた区間である。
図8の矢印A13に示すように、ハーフスロットもフルスロットと同様に、S-Fieldと、A-Fieldと、B-Fieldと、X-Fieldと、Z-Fieldと、GAPと、を有している。ハーフスロットは、B-Fieldの長さが、フルスロットのB-Fieldより短くなっている。ハーフスロットの全長は、フルスロットの全長の半分となっている(図7の矢印A3に示すハーフスロットも参照)。
図8の矢印A11に示すように、ロングスロットもフルスロットと同様に、S-Fieldと、A-Fieldと、B-Fieldと、X-Fieldと、Z-Fieldと、GAPと、を有している。ロングスロットは、B-Fieldの長さが、フルスロットのB-Fieldより長くなっている。ロングスロットの全長は、フルスロットの全長の2倍となっている(図7の矢印A2に示すロングスロットも参照)。
DECT方式では、32kbpsの音声コーデック(G.726)を用いてもよいことが規定されている。図8の矢印A12に示すように、フルスロットのB-fieldには、320bitの音声データが収容される。これにより、フルスロットでは、32kbpsの音声データによる通話が可能となる。
また、DECT方式では、64kbpsの音声コーデック(G.722)を用いてもよいことが規定されている。図8の矢印A11に示すように、ロングスロットのB-fieldには、640bitの音声データが収容される。これにより、ロングスロットでは、64kbpsの音声データによる通話が可能となる。
ハーフスロットのB-fieldには、図8の矢印A13に示すように、80bitの音声データが収容される。これにより、ハーフスロットでは、8kbpsの音声データによる通話が可能となる。
しかし、音声データを8kbpsまで圧縮すると、音声品質の劣化が激しくなる。そのため、DECT方式のハーフスロットは、通信チャネル数が24と多いにも関わらず、現状、使用されていない。
これに対し、市場からは、通信チャネル数を増加することが要望されている。例えば、現状、フルスロットを使用する狭帯域音声通話(32kbps)の通信チャネル数は、上記したように12である。また、ロングスロットを使用する広帯域音声通話(64kbps)の通信チャネル数は、上記したように6である。市場からは、これらを超える通信チャネル数が要望されている。
そこで、本開示のコードレス電話システムでは、音声品質の劣化を抑制しつつ、狭帯域音声通話および広帯域音声通話の通信チャネル数を24に増加する。
図9は、DECT方式に準拠した本開示のコードレス電話システムのスロット構成を説明する図である。本開示のコードレス電話システムでは、通信チャネル数を増加するため、ハーフスロットのフレームを使用する。その際、音声品質の劣化を抑制するため、音声データに対し、QPSK変調による多値変調を行う。また、ハーフスロットの音声データの割り当て構成を変更する。QPSK変調による多値変調を行うことで、通信データのbit数を増やすことができる。すなわち、音声データのbitレートを高めることができ、音声品質の劣化を抑制できる。なお、Bitレートが低下すると音声データの圧縮率が高まり、符号化による量子化誤差が増え、音声品質が劣化する。
図9の矢印A21に示すハーフスロットは、現行のDECT方式のハーフスロットが示してある。図8の矢印A13でも説明したように、現行のDECT方式のハーフスロットのB-fieldには、80bitの音声データが収容される。なお、現行のDECT方式では、音声データに対し、2FSK(Frequency shift keying)変調が行われ、2FSK変調された音声データがB-fieldに収容される。
図9の矢印A22には、音声データにQPSK変調を適用した場合のハーフスロットが示してある。音声データにQPSK変調を適用することによって、ハーフスロットのB-fieldには、現行のDECT方式のB-fieldに対し、2倍の160bitの音声データが収容される。つまり、音声データにQPSK変調を適用することによって、B-fieldで送信される音声データは、図9の矢印A22に示すように、80bitから160bitになる。
同様に、制御データにQPSK変調を適用することによって、A-fieldで送信される制御データは、図9の矢印A22に示すように、64bitから128bitになる。また、誤り検出の情報にQPSK変調を適用することによって、X-Field,Z-Fieldで送信される誤り検出の情報は、図9の矢印A22に示すように、4bitから8bitになる。
図9の矢印A23には、本開示のコードレス電話システムのハーフスロットの構成例が示してある。本開示のコードレス電話システムでは、矢印A23に示すように、A-fieldの前半分の領域(64bit)をA-field(Original)とし、制御データを送信する領域とする。また、本開示のコードレス電話システムでは、矢印A23に示すように、A-fieldの後半分の領域(64bit)とB-fieled(160bit)とをB-field(Original)とし、音声データを送信する領域とする。
言い換えれば、本開示のコードレス電話システムでは、多値化した音声データの変調信号を、ハーフスロットのB-Fieldに収容するとともに、ハーフスロットのA-Fieldの一部にも収容する。また、本開示のコードレス電話システムでは、矢印A23に示すように、オプションであるZの領域もB-fieldとして使用する。
つまり、本開示のコードレス電話システムでは、音声データ、制御データ、および誤り検出情報をQPSK変調する。そして、図9の矢印A23に示すように、ハーフスロットの構成を変更する。これにより、音声データを収容するB-field(Original)は、232bit((A-fieldの後半分の64bit)+(B-fieldの160bit)+(Zの8bit)=232bit)となり、通信チャネル数が24で、かつ23.2kbpsの音声通信が可能になる。
なお、本開示のコードレス電話システムのハーフスロットは、図9の矢印A23に示すように、制御データを送信する領域として、64bitのA-field(Original)を有している。従って、本開示のコードレス電話システムでは、DECT方式を準拠できる。
音声データの変調として、16QAM(quadrature amplitude modulation)等の高多値化変調を用いることも考えられる。高多値化変調を用いると、通信できる音声データ量は増えるが、無線信号の受信感度が劣化し、無線の通信距離が短くなる。そのため、音声データの変調には、QPSK変調を用いるのが望ましい。もちろん、無線状況等によって、QPSK変調より大きい多値変調を用いてもよい。例えば8PSK(8 Phase Shift Keying)を用いてもよい。
また、本開示のコードレス電話システムは、音声データのコーデックに、可変bit rateに対応したCELTを用いる。本開示のコードレス電話システムは、音声データの変調として、4値のQPSK変調を適用し、無線信号の受信感度の劣化を抑制するとともに、CELTによる音声データの圧縮を、23.2kbpsまでの圧縮にとどめることができる。これにより、音声品質の劣化を抑制できる。また、16kbpsの圧縮でも音声劣化を許容できる音声帯域の音声データを扱う場合は、B-field(160bit)を用いて通信しても良い。
図10は、狭帯域音声通話における通信チャネル数の増加を説明する図である。図10の矢印A31には、現行のDECT方式による狭帯域音声通話のアップリンクのフレーム構成が示してある。図10の矢印A32には、DECT方式に準拠した本開示の狭帯域音声通話のアップリンクのフレーム構成が示してある。
現行のDECT方式による狭帯域音声通話(8kHzサンプリング)の音声データは、図10の矢印A31に示すように、フルスロットでベースユニットに送信される。現行のDECT方式では、狭帯域音声通話の音声データをフルスロットでベースユニットに送信するため、通信チャネル数は12となる。
これに対し、本開示のコードレス電話機1は、マイク15で集音された、8kHzサンプリングの音声データをCELTで符号化(圧縮)する。そして、コードレス電話機1は、CELTで符号化した音声データをQPSK変調し、図10の矢印A32に示すように、ハーフスロットに収容する。コードレス電話機1は、CELTで8kHzサンプリングの音声データを符号化するとき、ハーフスロットのB-field(Original)に収容する音声データが23.2kbpsとなるように符号化する。コードレス電話機1は、狭帯域音声通話の音声データをハーフスロットでベースユニット2に送信するため、通信チャネル数は24となる。
上記では、アップリンクについて説明したが、ダウンリンクでも同様である。例えば、ベースユニット2は、インタフェース部33から出力される8kHzサンプリングの音声データを、CELTで符号化(圧縮)する。そして、ベースユニット2は、CELTで符号化した音声データをQPSK変調し、ハーフスロットに収容する。ベースユニット2は、CELTで8kHzサンプリングの音声データを符号化するとき、B-field(Original)に収容する音声データが23.2kbpsとなるように符号化する。ベースユニット2は、狭帯域音声通話の音声データをハーフスロットでコードレス電話機1に送信するため、通信チャネル数は24となる。
なお、コードレス電話機1のコーデック部21が、マイク15で集音された8kHzサンプリングの音声データをCELTにより符号化する。変調部22が、制御データと、CELTにより符号化された音声データとをQPSK変調する。生成部23が、QPSK変調された制御データの変調信号を、ハーフスロットの64bitのA-field(Original)に収容し、QPSK変調された音声データの変調信号を、ハーフスロットの232bitのB-field(Original)に収容して、ハーフスロットを生成する。無線部12が、生成されたハーフスロットをアップリンクのフレームに載せ、ベースユニット2に無線送信する。
また、ベースユニット2のコーデック部41が、インタフェース部33から出力される8kHzサンプリングの音声データをCELTにより符号化する。変調部42が、制御データと、CELTにより符号化された音声データとをQPSK変調する。生成部43が、QPSK変調された制御データの変調信号を、ハーフスロットの64bitのA-field(Original)に収容し、QPSK変調された音声データの変調信号を、ハーフスロットの232bitのB-field(Original)に収容して、ハーフスロットを生成する。無線部32が、生成されたハーフスロットをダウンリンクのフレームに載せ、コードレス電話機1に無線送信する。
図11は、広帯域音声通話における通信チャネル数の増加を説明する図である。図11の矢印A41には、現行のDECT方式による広帯域音声通話のアップリンクのフレーム構成が示してある。図11の矢印A42には、DECT方式に準拠した本開示の広帯域音声通話のアップリンクのフレーム構成が示してある。
現行のDECT方式による広帯域音声通話(16kHzサンプリング)の音声データは、図11の矢印A41に示すように、ロングスロットでベースユニットに送信される。現行のDECT方式では、広帯域音声通話の音声データをロングスロットでベースユニットに送信するため、通信チャネル数は6となる。
これに対し、本開示のコードレス電話機1は、マイク15で集音された、16kHzサンプリングの音声データをCELTで符号化(圧縮)する。そして、コードレス電話機1は、CELTで符号化した音声データをQPSK変調し、図11の矢印A42に示すように、ハーフスロットに収容する。コードレス電話機1は、CELTで16kHzサンプリングの音声データを符号化するとき、ハーフスロットのB-field(Original)に収容する音声データが23.2kbpsとなるように符号化する。コードレス電話機1は、広帯域音声通話の音声データをハーフスロットでベースユニット2に送信するため、通信チャネル数は24となる。
上記では、アップリンクについて説明したが、ダウンリンクでも同様である。例えば、ベースユニット2は、インタフェース部33から出力される16kHzサンプリングの音声データを、CELTで符号化(圧縮)する。そして、ベースユニット2は、CELTで符号化した音声データをQPSK変調し、ハーフスロットに収容する。ベースユニット2は、CELTで16kHzサンプリングの音声データを符号化するとき、B-field(Original)に収容する音声データが23.2kbpsとなるように符号化する。ベースユニット2は、広帯域音声通話の音声データをハーフスロットでコードレス電話機1に送信するため、通信チャネル数は24となる。
なお、コードレス電話機1のコーデック部21が、マイク15で集音された16kHzサンプリングの音声データをCELTにより符号化する。コーデック部21は、狭帯域音声通話のときの圧縮率より高い圧縮率で、音声データを符号化する。このとき、コーデック部21は、狭帯域音声通話より音声品質を高めるため、CELTの符号化処理のコンプレクシティ(complexity)を大きくする(計算量を増やす)。例えば、コーデック部21は、狭帯域音声通話のとき、第1のコンプレクシティの設定で符号化を行い、広帯域音声通話のとき、第1のコンプレクシティより大きい第2のコンプレクシティの設定で符号化を行う。変調部22が、制御データと、CELTにより符号化された音声データとをQPSK変調する。生成部23が、QPSK変調された制御データの変調信号を、ハーフスロットの64bitのA-field(Original)に収容し、QPSK変調された音声データの変調信号を、ハーフスロットの232bitのB-field(Original)に収容して、ハーフスロットを生成する。無線部12が、生成されたハーフスロットをアップリンクのフレームに載せ、ベースユニット2に無線送信する。
また、ベースユニット2のコーデック部41が、インタフェース部33から出力される8kHzサンプリングの音声データをCELTにより符号化する。コーデック部41は、狭帯域音声通話のときの圧縮率より高い圧縮率で、音声データを符号化する。変調部42が、制御データと、CELTにより符号化された音声データとをQPSK変調する。生成部43が、QPSK変調された制御データの変調信号を、ハーフスロットの64bitのA-field(Original)に収容し、QPSK変調された音声データの変調信号を、ハーフスロットの232bitのB-field(Original)に収容して、ハーフスロットを生成する。無線部32が、生成されたハーフスロットをダウンリンクのフレームに載せ、コードレス電話機1に無線送信する。
なお、狭帯域音声通話および広帯域音声通話は、コードレス電話機1およびベースユニット2の設定により切り替えることができる。
図12は、現行のDECT方式におけるエラー検出を説明する図である。図12の矢印A51には、フルスロットの一部の構成が示してある。図12の矢印A52には、ロングスロットの一部の構成が示してある。
図12の矢印A51および矢印A52に示すように、B-fieldのエラーは、B-fieldに続く4bitのX-CRCで検出される。現行のDECT方式では、エラー訂正や再送処理はなく、エラーが検出された場合には、ミュート(Mute)、ハーフミュート(Half Mute)、フィルタ(Filter)、およびPLC(Packet Loss Concealment)処理等によって、不快な異音が生じないように処理される。
4bitのX-CRCは、B-fieldの全bitを監視していない。4bitのX-CRCは、図12の矢印A51および矢印A52に示すように、連続した16bitの検査対象bit列(図12の太枠部分)を監視している。16bitの検査対象bit列は、B-field内に均等に配置されている。
CELTは、エラーが生じたときの音声の崩れが、現行のDECTで使用されているADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)と振る舞いが異なることが分かった。例えば、CELTで圧縮された音声データ(CELTデータ)の前半部分にエラーが生じると、音声の崩れが激しいが、後半部分にエラーが生じても音声崩れが少ないことが分かった。そこで、本開示のコードレス電話システムは、CELTデータの前半の一部をCRCエラーの検出対象とする。
図13は、本開示のコードレス電話システムにおけるエラー検出を説明する図である。図13に示すように、B-field(Original)のCELTデータのエラーは、B-field(Original)に続くCRCで検出される。
CRCは、B-field(Original)の全bitを監視していない。CRCは、B-field(Original)の前半の一部を監視する。具体的には、CRCは、CELTデータの先頭を含む連続した一部のデータに対し、エラー検出の対象とする。なお、CRCは、例えば、CELTデータのCRC対象のbit数を、CRC計算関数に入力することにより算出できる。
本開示のコードレス電話システムでは、CELTデータに誤りがあると、PLC処理を行う。また、CELTデータの誤りが連続して発生した場合、PLC処理から、音声データのミュートに切り替える。なお、PLC処理を連続して行うと、音声はロボットボイスとなる。そのため、CELTデータの誤りが連続して発生した場合、PLC処理から音声データのミュートに切り替える。
図14は、コードレス電話機1の音声処理の一例を示したフローチャートである。コードレス電話機1は、DLフレームのB-field(Original)のCELTデータを受信するたびに図14に示すフローチャートの処理を実行する。
コードレス電話機1は、DLのCELTデータに、CRCエラーが発生しているか否かを判定する(ステップS1)。
コードレス電話機1は、DLのCELTデータに、CRCエラーが発生していると判定した場合(S1の「YES」)、変数Nに1を加算する(ステップS2)。
コードレス電話機1は、変数Nに1を加算したあと、変数Nが閾値NTH以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
コードレス電話機1は、変数Nが閾値NTH以下であると判定した場合(S3の「YES」)、CELTデータに対し、PLC処理を行う(ステップS4)。そして、コードレス電話機1は、当該フローチャートの処理を終了する。
一方、コードレス電話機1は、変数Nが閾値NTH以下でないと判定した場合(S3の「NO」)、音声ミュート処理を行う(ステップS5)。そして、コードレス電話機1は、当該フローチャートの処理を終了する。
すなわち、コードレス電話機1は、CRCエラーの連続発生回数が、NTH回を超えた場合に、音声ミュート処理を行う。
コードレス電話機1は、ステップS1の処理において、DLのCELTデータに、CRCエラーが発生していないと判定した場合(S1の「NO」)、変数Nを0にする(ステップS6)。コードレス電話機1は、音声処理をせず(ステップS7)、当該フローチャートの処理を終了する。
なお、コードレス電話機1の誤り検出部25が、上記のエラー検出処理および音声処理を行う。また、上記では、コードレス電話機1の処理について説明したが、ベースユニット2においても同様である。ベースユニット2の誤り検出部45が、上記のエラー検出処理および音声処理を行う。
図15は、コードレス電話機1の音声処理の他の例を示したフローチャートである。図15において、図14と同じ処理には、同じステップの符号が付してある。以下では、図14と異なる処理について説明する。
図14の処理では、CRCエラーが発生しない場合、変数Nを0にした(図14のステップS6を参照)。これに対し、図15の処理では、CRCエラーが発生しない場合、変数Nを1ずつ減算する。すなわち、図15の処理では、CRCエラーが連続して発生した後、CRCエラーが発生しなくなっても、変数Nを直ちに0にせず、徐々に0に近づける。これにより、コードレス電話機1は、再びCRCエラーが発生した場合に、ミュート処理に移行しやすくする。
コードレス電話機1は、ステップS1の処理において、DLのCELTデータに、CRCエラーが発生していないと判定した場合(S1の「NO」)、変数Nが1より大きいか否かを判定する(ステップS11)。
コードレス電話機1は、変数Nが1より大きいと判定した場合(S11の「YES」)、変数Nから1を減算する(ステップS12)。
一方、コードレス電話機1は、変数Nが1より大きくないと判定した場合(S11の「NO」)、変数Nを0にする(ステップS13)。
なお、コードレス電話機1の誤り検出部25が、上記のエラー検出処理および音声処理を行う。また、上記では、コードレス電話機1の処理について説明したが、ベースユニット2においても同様である。ベースユニット2の誤り検出部45が、上記のエラー検出処理および音声処理を行う。
以上説明したように、ベースユニット2を介して通話先の電話機と通話を行うコードレス電話機1は、制御部11と無線部12とを備える。制御部11は、無線通信を制御する制御データおよび電話機に送信する音声データをQPSK変調し、QPSK変調した制御データの多値変調制御信号および音声データの多値変調音声信号をDECT方式のハーフスロットに収容する。制御部11は、多値変調制御信号をハーフスロットのA-fieldの一部に収容し、多値変調音声信号をハーフスロットのB-fieldに収容するとともにA-fieldの残りの部分に収容する。無線部12は、生成されたハーフスロットをベースユニット2に無線送信する。これにより、コードレス電話機1は、音声品質の劣化を抑制しつつ、通信チャネル数を増加できる。
また、コードレス電話機1と無線通信を行うベースユニット2は、制御部31と無線部32とを備える。制御部31は、無線通信を制御する制御データおよびコードレス電話機1に送信する音声データをQPSK変調し、QPSK変調した制御データの多値変調制御信号および音声データの多値変調音声信号をDECT方式のハーフスロットに収容する。制御部31は、多値変調制御信号をハーフスロットのA-fieldの一部に収容し、多値変調音声信号をハーフスロットのB-fieldに収容するとともにA-fieldの残りの部分に収容する。無線部32は、生成されたハーフスロットをコードレス電話機1に無線送信する。これにより、コードレス電話機1は、音声品質の劣化を抑制しつつ、通信チャネル数を増加できる。
なお、コードレス電話機1の制御部11は、図9の矢印A23のハーフスロットで説明したように、A-fieldの後半分の64bitに変調された音声データを収容したが、これに限られない。例えば、制御部11は、図9の矢印A22のハーフスロットに示すように、160bitのB-fieldのみに音声データを収容してもよい。そして、128bitのA-fieldに制御データを収容してもよい。この場合、制御部11は、変調された音声データが160kbpsとなるようにCELTによって符号化する。ベースユニット2の制御部31も同様に、図9の矢印A22のハーフスロットに示すように、160bitのB-fieldのみに音声データを収容してもよい。
また、上記では、図9の矢印A23のハーフスロットで説明したように、Zの領域をB-fieldとして使用したが、これに限られない。例えば、図9の矢印A23のハーフスロットは、X-Field,Z-Fieldの領域を有してもよい。この場合、図9の矢印A23のハーフスロットに示すB-fieldは、224bitとなる。
また、図9の矢印A23のハーフスロットが、例えば、X-Field,Z-Fieldの領域を有する場合、X-Field,Z-Fieldのそれぞれのビット数を、4bitとしてもよい。この場合も、B-fieldは、232bitとなる。
また、図9の矢印A23のハーフスロットのX-Fieldのビット数を4bitとしてもよい。この場合、B-fieldは、236bitとなる。
また、本開示のコードレス電話システムでは、広帯域音声通話および狭帯域音声通話の通信チャネル数は24(最大同時通話数を24)であるが、例えば、広帯域音声通話の場合の同時通話数を8とし、狭帯域音声通話の場合の同時通話数を16としてもよい。これにより、広帯域音声通話および狭帯域音声通話におけるチップの処理量を抑制できる。
また、CELTでは、処理のコンプレクシティを増やすことにより、音声品質を向上させることができるが、狭帯域音声通話の同時通話数を、広帯域音声通話の同時通話数より多くした場合、狭帯域音声通話のコンプレクシティを、広帯域音声通話のコンプレクシティより小さくしてもよい。狭帯域音声通話の同時通話数を、広帯域音声通話の同時通話数より多くした場合、狭帯域音声通話でのチップの処理量が多くなるが、狭帯域音声通話のコンプレクシティを小さくすることにより、チップの処理量を抑制できる。
また、コードレス電話機1は、旧型のベースユニット(現行のベースユニット)と同じ登録方法によって、ベースユニット2に登録されるようにしてもよい。そして、コードレス電話機1は、ファームウェアのアップデート方法を、旧型のコードレス電話機と同じにしてもよい。これにより、コードレス電話機1は、旧型のベースユニットにも登録できる。また、コードレス電話機1は、ファームウェアのアップデートを利用してソフトウェアを書き換え、ハーフスロット対応から、フルスロットおよびロングスロット対応の機能(現行のDECT対応の機能)に変更できる。
また、上記では、音声データのコーデックとしてCELTを用いるとしたがこれに限られない。他のコーデック方式を用いて、音声データをコーデックしてもよい。他のコーデックはDECT標準のADPCMよりも高圧縮のコーデックとして、AMR(Adaptive Multi-Rate)、AMR-WB(Adaptive Multi-Rate Wideband)、LC3(Low Complexity Communication Codec)、OPUS、EVS(Enhanced Voice Services)などがある。
また、上記では、コードレス電話機1は、制御データおよび音声データをQPSK変調し、図9の矢印A23に示したハーフスロットに収容したが、これに限られない。コードレス電話機1は、制御データおよび音声データを2値変調(例えば、2FSK変調)し、図8の矢印A13に示したハーフスロットに収容してもよい。これによって、コードレス電話機1は、通信チャネル数を増加できる。この場合、コードレス電話機1は、CELTによって、音声データを符号化し、2値変調してもよい。これにより、コードレス電話機1は、音声品質の劣化を抑制できる。ベースユニット2についても同様である。また同様に、制御データおよび音声データを8値変調(例えば8PSK変調)してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、中継器を備えるコードレス電話システムについて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分について説明する。
図16は、本開示の実施の形態2に係るコードレス電話システムの構成例を示した図である。図16において、図1と同じものには同じ符号が付してある。コードレス電話システムは、中継器51を有している。コードレス電話機1およびベースユニット2は、中継器51を介して無線通信を行う。
図16には、1台のコードレス電話機1しか示していないが、複数存在してもよい。複数のコードレス電話機1は、同時通話が可能である。例えば、図16に示すコードレス電話システムは、以下で詳述するが、狭帯域音声通話の場合および広帯域音声通話の場合ともに、最大で12台の同時通話が可能である。言い換えれば、図16に示すコードレス電話システムの通信チャネル数は、狭帯域音声通話の場合および広帯域音声通話の場合ともに、12チャネルである。
図17は、中継器51のブロック構成例を示した図である。図17に示すように、中継器51は、制御部61と、無線部62と、を有している。
制御部61は、中継器51全体を制御する。また、制御部61は、ベースバンド処理を行う。制御部61は、例えば、CPUおよびDSPのいずれか一方または両方で構成されてもよい。制御部61は、メインプロセッサ・ベースバンド部と呼ばれてもよい。
無線部62は、アンテナを介して、コードレス電話機1から送信されたUL信号を受信する。無線部62は、受信したUL信号に対して、増幅およびダウンコンバート等の受信処理を行う。無線部62は、受信処理したUL信号を制御部61に出力する。
無線部62には、制御部61から出力されるUL信号(ベースユニット2に送信する信号)が入力される。無線部62は、入力されたUL信号に対して、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行う。無線部62は、送信処理したUL信号を、アンテナを介して、ベースユニット2に送信する。
無線部62は、アンテナを介して、ベースユニット2から送信されたDL信号を受信する。無線部62は、受信したDL信号に対して、増幅およびダウンコンバート等の受信処理を行う。無線部62は、受信処理したDL信号を制御部61に出力する。
無線部62には、制御部61から出力されるDL信号(コードレス電話機1に送信する信号)が入力される。無線部62は、入力されたDL信号に対して、増幅およびアップコンバート等の送信処理を行う。無線部62は、送信処理したDL信号を、アンテナを介して、コードレス電話機1に送信する。
図18は、中継器51の制御部61のブロック構成例を示した図である。図18に示すように、中継器51の制御部61は、複製部71と、記憶部72と、を有している。
複製部71は、コードレス電話機1から受信したアップリンクのハーフスロットに収容されているデータを、アップリンクの次のハーフスロットに複製する。複製部71は、データを複製した次のハーフスロットを無線部62に出力する。
また、複製部71は、ベースユニット2から受信したダウンリンクのハーフスロットに収容されているデータを、ダウンリンクの次のハーフスロットに複製する。複製部71は、データを複製した次のハーフスロットを無線部62に出力する。
記憶部72には、例えば、制御部61が動作するためのプログラムが記憶される。また、記憶部72には、制御部61が計算処理を行うためのデータまたは中継器51の各部を制御するためのデータが記憶される。記憶部72は、制御部61の外にあってもよい。
図19は、狭帯域音声通話における通信チャネル数の増加を説明する図である。図19の矢印A61には、現行のDECT方式による狭帯域音声通話のダウンリンクのフレーム構成が示してある。図19の矢印A62には、DECT方式に準拠した本開示の狭帯域音声通話のダウンリンクのフレーム構成が示してある。
現行のDECT方式による狭帯域音声通話(8kHzサンプリング)の音声データは、図19の矢印A61に示すように、フルスロットで、中継器を介し、ベースユニットからコードレス電話機に送信される。コードレス電話とベースユニットとの間に中継器が介在する場合、ベースユニットは、図19の矢印A61に示すように、1スロット空けながら、音声データを中継器に送信する。
中継器は、ベースユニットから受信した音声データを次のスロットに複製してコードレス電話機に送信する。例えば、中継器は、スロット0で受信した音声データを、スロット1に複製し、コードレス電話機に送信する。現行のDECT方式では、狭帯域音声通話の音声データをフルスロットで通信するため、通信チャネル数は6となる。
これに対し、DECT方式に準拠した本開示の狭帯域音声通話(8kHzサンプリング)の音声データは、図19の矢印A62に示すように、ハーフスロットで、ベースユニット2からコードレス電話機1に送信される。ベースユニット2とコードレス電話機1との間に中継器51が介在する場合、ベースユニット2は、図19の矢印A62に示すように、1スロット空けながら、音声データを中継器51に送信する。
中継器51は、ベースユニット2から受信した音声データを次のハーフスロットに複製してコードレス電話機1に送信する。例えば、中継器51は、L=0のハーフスロットで受信した音声データを、次の(隣の)L=1のハーフスロットに複製し、コードレス電話機1に送信する。DECT方式に準拠した本開示のコードレス電話システムでは、狭帯域音声通話の音声データをハーフスロットで通信するため、通信チャネル数は12となる。
上記では、ダウンリンクについて説明したが、アップリンクでも同様である。例えば、中継器51は、コードレス電話機1から送信された音声データを受信する。中継器51は、受信した音声データを次のハーフスロットに収容し、ベースユニット2に送信する。
なお、複製部71が、ベースユニット2から送信された制御データおよび音声データを次のハーフスロットに複製する。例えば、ベースユニット2から送信される制御データは、ハーフスロットのL=0のA-field(Original)に収容され、音声データは、ハーフスロットのL=0のB-field(Original)に収容されている。複製部71は、この制御データおよび音声データを、次のハーフスロットのL=1のA-field(Original)およびハーフスロットのL=1のB-field(Original)に収容(複製)する。無線部62が、データが収容されたL=1のハーフスロットをダウンリンクのフレームに載せ、コードレス電話機1に無線装置する。
また、複製部71が、コードレス電話機1から送信された制御データおよび音声データを次のハーフスロットに複製する。例えば、コードレス電話機1から送信される制御データは、ハーフスロットのL=0のA-field(Original)に収容され、音声データは、ハーフスロットのL=0のB-field(Original)に収容されている。複製部71は、この制御データおよび音声データを、次のハーフスロットのL=1のA-field(Original)およびハーフスロットのL=1のB-field(Original)に収容(複製)する。無線部62が、データが収容されたL=1のハーフスロットをアップリンクのフレームに載せ、ベースユニット2に無線送信する。
また、上記では、中継器51は、L=0のハーフスロットで受信した音声データを、次の(隣の)L=1のハーフスロットに複製し、コードレス電話機1に送信するとしたがこれに限られない。例えば、中継器51は、L=0のハーフスロットで受信した音声データを、その後のいずれかのハーフスロットを用いて、コードレス電話機1に送信してもよい。
図20は、広帯域音声通話における通信チャネル数の増加を説明する図である。図20の矢印A71には、現行のDECT方式による広帯域音声通話のダウンリンクのフレーム構成が示してある。図20の矢印A72には、DECT方式に準拠した本開示の広帯域音声通話のダウンリンクのフレーム構成が示してある。
現行のDECT方式による狭帯域音声通話(16kHzサンプリング)の音声データは、図20の矢印A71に示すように、ロングスロットで、中継器を介し、ベースユニットからコードレス電話機に送信される。コードレス電話とベースユニットとの間に中継器が介在する場合、ベースユニットは、図20の矢印A71に示すように、1スロット空けながら、音声データを中継器に送信する。
中継器は、ベースユニットから受信した音声データを次のスロットに複製してコードレス電話機に送信する。例えば、中継器は、スロット0で受信した音声データを、スロット1に収容し、コードレス電話機に送信する。現行のDECT方式では、広帯域音声通話の音声データをロングスロットで通信するため、通信チャネル数は3となる。
これに対し、DECT方式に準拠した本開示の広帯域音声通話(16kHzサンプリング)の音声データは、図20の矢印A72に示すように、ハーフスロットで、ベースユニット2からコードレス電話機1に送信される。ベースユニット2とコードレス電話機1との間に中継器51が介在する場合、ベースユニット2は、図20の矢印A72に示すように、1スロット空けながら、音声データを中継器51に送信する。
中継器51は、ベースユニット2から受信した音声データを次のハーフスロットに複製してコードレス電話機1に送信する。例えば、中継器51は、L=0のハーフスロットで受信した音声データを、次の(隣の)L=1のハーフスロットに複製し、コードレス電話機1に送信する。DECT方式に準拠した本開示のコードレス電話システムでは、広帯域音声通話の音声データをハーフスロットで通信するため、通信チャネル数は12となる。
上記では、ダウンリンクについて説明したが、アップリンクでも同様である。例えば、中継器51は、コードレス電話機1から送信された音声データを受信する。中継器51は、受信した音声データを次のハーフスロットに収容し、ベースユニット2に送信する。
なお、複製部71が、ベースユニット2から送信された制御データおよび音声データを次のハーフスロットに複製する。例えば、ベースユニット2から送信される制御データは、ハーフスロットのL=0のA-field(Original)に収容され、音声データは、ハーフスロットのL=0のB-field(Original)に収容されている。複製部71は、この制御データおよび音声データを、次のハーフスロットのL=1のA-field(Original)およびハーフスロットのL=1のB-field(Original)に収容(複製)する。無線部62が、データが収容されたL=1のハーフスロットをダウンリンクのフレームに載せ、コードレス電話機1に無線装置する。
また、複製部71が、コードレス電話機1から送信された制御データおよび音声データを次のハーフスロットに複製する。例えば、コードレス電話機1から送信される制御データは、ハーフスロットのL=0のA-field(Original)に収容され、音声データは、ハーフスロットのL=0のB-field(Original)に収容されている。複製部71は、この制御データおよび音声データを、次のハーフスロットのL=1のA-field(Original)およびハーフスロットのL=1のB-field(Original)に収容(複製)する。無線部62が、データが収容されたL=1のハーフスロットをアップリンクのフレームに載せ、ベースユニット2に無線送信する。
また、上記では、中継器51は、L=0のハーフスロットで受信した音声データを、次の(隣の)L=1のハーフスロットに複製し、コードレス電話機1に送信するとしたがこれに限られない。例えば、中継器51は、L=0のハーフスロットで受信した音声データを、その後のいずれかのハーフスロットを用いて、コードレス電話機1に送信してもよい。
以上説明したように、DECT方式のハーフスロットを用いてコードレス電話機1とベースユニット2との間の無線通信を中継する中継器51は、制御部61と無線部62とを有する。制御部61は、コードレス電話機1から受信したアップリンクのハーフスロットに収容されている制御データおよび音声データを、アップリンクの次のハーフスロットに複製し、ベースユニット2から受信したダウンリンクのハーフスロットに収容されている制御データおよび音声データを、ダウンリンクの次のハーフスロットに複製する。制御部61は、コードレス電話機1の制御データをアップリンクの次のハーフスロットのA-fieldの一部に収容し、コードレス電話機1の音声データをアップリンクの次のハーフスロットのB-fieldに収容するとともにA-fieldの残りの部分に収容する。また、制御部61は、ベースユニット2の制御データをダウンリンクの次のハーフスロットのA-fieldの一部に収容し、ベースユニット2の音声データをダウンリンクの次のハーフスロットのB-fieldに収容するとともにA-fieldの残りの部分に収容する。無線部62は、アップリンクの次のハーフスロットをベースユニット2に無線送信し、ダウンリンクの次のハーフスロットをコードレス電話機1に無線送信する。これにより、中継器51は、音声品質の劣化を抑制しつつ、通信チャネル数を増加できる。
上記の実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。