JP7041977B2 - 三次元培養表皮モデル及びその製造方法、ならびに三次元培養表皮モデルの使用方法 - Google Patents

三次元培養表皮モデル及びその製造方法、ならびに三次元培養表皮モデルの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、表皮を構成する各階層の細胞をリアルタイムで多方向から観察できる三次元培養表皮モデル及びその製造方法、ならびに該三次元培養表皮モデルの使用方法に関する。
皮膚は、大きく分けて表皮・真皮・皮下組織の3層構造をとっている。皮膚のうち、最外層に存在する表皮は、主にケラチノサイト(表皮角化細胞)により構成され、メラニン色素を産出するメラノサイト、抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞、触覚に関係するメルケル細胞なども含まれる。ケラチノサイトは、表皮の最下層である基底層で分裂し、成熟するにしたがって上方の層へ移行し、角化してやがて剥がれ落ちる(角質化)。したがって、表皮は成熟段階の異なる表皮角化細胞からなる複数の層(基底層、有棘層、顆粒層、角質層)により構成される。ケラチノサイトの幹細胞は、基底層に存在し、必要に応じて増殖と分化を繰り返し、表皮に新しい細胞を常に供給し、その結果、皮膚は絶えず再生を繰り返している。ところが、ケラチノサイトの増殖や分化に異常が起こると、様々な疾患の原因となる。例えば、乾癬はケラチノサイトの過剰増殖及び分化不全を特徴とする慢性炎症性疾患である。
近年、動物愛護の観点から、動物実験を行わずに医薬品や化粧品原料の安全性や有効性の評価試験を行う動物実験代替法が非常に注目されている。なかでも、皮膚に対する薬剤の有効性や毒性の評価、又は皮膚科学研究に応用するために、様々な三次元培養皮膚が開発されている。
しかしながら、従来の三次元培養皮膚は、皮膚の状態を観察及び評価するためには、パラホルムアルデヒド等による固定、パラフィン等による包埋、切片作製、染色といった非常に煩雑な一連の作業が必要であった(特許文献1、2)。また、組織切片の染色画像からは、一方向から観察される面からの限られた情報しか得ることができなかった。さらに、従来の方法では、作製された三次元培養皮膚を生きたまま観察することができず、生きた細胞や組織の情報をリアルタイムに取得することはできなかった。
特開2009-294200号公報 特開2010-193822号公報
従って、本発明は、上述した実情に鑑み、表皮細胞を多方向から生きたままリアルタイムに観察でき、表皮の状態をより正確に評価することができる三次元培養表皮モデルを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、あらかじめ蛍光色素で染色するか、蛍光タンパク質を導入したケラチノサイトを作製し、このケラチノサイトを三次元培養することにより作製された培養表皮は、各階層の細胞又はオルガネラが蛍光物質で三次元可視化され、それらの形態や分布を多方向から生きたままリアルタイムに観察できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1] 表皮を構成する各階層の細胞又はオルガネラが蛍光物質で三次元可視化されている、三次元培養表皮モデル。
[2] 前記蛍光物質が蛍光色素又は蛍光タンパク質である、[1]に記載の三次元培養表皮モデル。
[3] 前記細胞がケラチノサイト又はメラノサイトである、[1]又は[2]に記載の三次元培養表皮モデル。
[4] 以下の工程を含む、三次元培養表皮モデルの製造方法。
(1) ケラチノサイトを蛍光色素で染色又はケラチノサイトに蛍光タンパク質発現ベクターを導入する工程
(2) 工程(1)で得られたケラチノサイトを三次元培養する工程
[5] 前記ケラチノサイトの三次元培養を、蛍光タンパク質発現ベクターを導入したメラノサイトとともに行う、[4]に記載の三次元培養表皮モデルの製造方法。
[6] 前記三次元培養の開始前、三次元培養中、及び三次元培養の終了後から選ばれる少なくとも1つの段階で、ケラチノサイトに対して刺激を付与する工程をさらに含む、[4]又は[5]に記載の三次元培養表皮モデルの製造方法。
[7] [1]~[3]のいずれかに記載の三次元培養表皮モデルに被験物質を接触させ、該モデルの表皮細胞又はオルガネラを蛍光イメージングによって観察し、その観察結果に基づいて該被験物質の有効性又は安全性を評価する方法。
[8] [1]~[3]のいずれかに記載の三次元培養表皮モデルに被験物質を接触させ、該モデルの表皮細胞又はオルガネラを蛍光イメージングによって観察し、その観察結果に基づいて表皮機能の改善物質をスクリーニングする方法。
[9] [1]~[3]のいずれかに記載の三次元培養表皮モデルを含む、皮膚評価用キット。
本発明によれば、表皮を構成する各階層の細胞又はオルガネラが蛍光物質で三次元可視化されている三次元培養表皮モデル及びその製造方法が提供される。本発明の三次元培養表皮モデルは、従来の三次元培養表皮モデルのように、皮膚の状態を観察及び評価する場合に、固定、包埋、切片作製、染色といった煩雑な作業を行うことなく、生きたままの細胞(生細胞)を多方向から観察でき、細胞の情報(数、形態、局在、移動など)を多方向から取得できる。また、本発明の三次元培養表皮モデルでは、生きたまま細胞観察を行うことが可能であるため、タイムラプスイメージングにより、細胞の形態変化や動きをリアルタイムで観察することも可能である。また、当該三次元培養表皮モデルを薬剤等で刺激を付与することによって、創傷や角化異常症などの皮膚疾患を再現した表皮モデルとすることもできる。よって、本発明の三次元培養表皮モデルは、皮膚のターンオーバーの促進やメラニン生成抑制のための化粧品や薬剤の開発、皮膚のターンオーバーや美白作用のメカニズムの研究、乾癬や接触性皮膚炎などの難治性皮膚疾患の発症機序の解明などに有用である。
図1Aは、セルトラッカーオレンジ(CTO)で染色したケラチノサイトの共焦点レーザー顕微鏡像、三次元培養の模式図、及び、蛍光染色ケラチノサイトを用いて作製された三次元培養表皮の共焦点レーザー顕微鏡像による立体画像を示す(R:赤く染色された細胞)。図1Bは、作製された三次元培養表皮の深さ方向(水平方向)の共焦点レーザー顕微鏡像を示す(画像中の値は、角質層からの距離を示す)。 図2Aは、緑色蛍光タンパク質GFP発現ベクター(pTagGFP2-C)を導入したケラチノサイト(G-HEK)の共焦点レーザー顕微鏡像、及び当該ケラチノサイトを三次元培養して作製された三次元培養表皮(G-HEK由来三次元培養表皮)の垂直方向の断面の共焦点レーザー顕微鏡像を示す(G:緑色に光る細胞)。図2Bは、G-HEK由来三次元培養表皮の深さ方向(水平方向)の断面の共焦点レーザー顕微鏡像を示す(画像中の数値は、角質層からの距離を示す)。 図3Aは、G-HEKと、赤色蛍光タンパク質RFP発現ベクター(pTagRFP-C)を導入したケラチノサイト(R-HEK)の混合細胞の共焦点レーザー顕微鏡像、及び当該混合細胞を三次元培養して作製された三次元培養表皮の垂直方向の断面の共焦点レーザー顕微鏡像を示す(点線で囲んだ細胞:R-HEK、無印の細胞:G-HEK)。図3Bは、当該混合細胞を三次元培養して作製された三次元培養表皮の中のR-HEKの形態を共焦点レーザー顕微鏡立体的に観察した画像を示す。 図4Aは、核移行シグナルを付加したGFP発現ベクター(pAcGFP1-Nuc Vector)を導入したケラチノサイト(NG-HEK)を三次元培養して作製された三次元培養表皮(NG-HEK由来三次元培養表皮)の共焦点レーザー顕微鏡による立体画像を示す。図4Bは、NG-HEK由来三次元培養表皮の深さ方向(水平方向)の断面の共焦点レーザー顕微鏡像を示す(画像中の数値は、角質層からの距離を示す)。 図5は、pTagRFP-C及びpAcGFP1-Nuc Vectorを同時に導入したケラチノサイト(R-NG-HEK)と通常のHEK(遺伝子導入を行っていない)の混合細胞を三次元培養して作製された三次元培養表皮の垂直方向の断面の共焦点レーザー顕微鏡像を示す(NC:有核細胞、ENC:脱核細胞、Y1:黄色に光る核、Y2:黄色に光る細胞質全体)。 図6は、NG-HEKを三次元培養して作製された三次元培養表皮を、皮膚刺激物質であるSDSで処理した後の共焦点レーザー顕微鏡による深さ方向(水平方向)の断面の共焦点レーザー顕微鏡像を示す(画像中の数値は、角質層からの距離を示す。また、矢頭は、アポトーシスを起こした細胞を示す)。 図7は、G-HEKと、RFP発現ベクターを導入したメラノサイト(R-HEM)の混合細胞を三次元培養して作製された三次元培養表皮の共焦点レーザー顕微鏡による立体画像を様々な角度から観察した像を示す(点線で囲んだ細胞:R-HEM、無印の細胞:G-HEK)。 図8は、通常のケラチノサイトを三次元培養して作製された三次元培養表皮の組織切片を抗チロシナーゼ(Tyrosinase)抗体、DAPIで染色した蛍光顕微鏡像を示す(点線で囲んだ細胞:メラノサイト)。
1.三次元培養表皮モデル
本発明の三次元培養表皮モデルは、表皮を構成する各階層の細胞(表皮細胞)又はオルガネラが蛍光物質で三次元可視化されていることを特徴とする。
蛍光物質には、蛍光色素及び蛍光タンパク質が含まれる。蛍光色素としては、細胞の形態や局在などの観察が可能で、生細胞に対して毒性がなく、細胞の染色に適したものであれば特に限定はされないが、例えば、セルトラッカー(CellTracker;登録商標)の各シリーズ(Orange CMRA, Green CMFDA, Blue CMAC, Violet BMQC, Red CMTPX等)、アレクサフルオール(Alexa Fluor:登録商標)の各シリーズ、Cy3、Cy5、Hoechst 33342、Hoechst 33258などが挙げられる。蛍光タンパク質としては、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン色蛍光タンパク質(CFP)等が挙げられる。これらの蛍光物質は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
表皮を構成する各階層とは、皮膚表面から深いほうから順に基底層(1層)、有棘層(5~10層)、顆粒層(2~3層)、角質層(約10層)に含まれるすべての層をいう。
表皮細胞には、表皮角化細胞(ケラチノサイト)、色素細胞(メラノサイト)、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、毛母細胞、毛乳頭細胞等が含まれる。また、オルガネラ(細胞内小器官)には、核、小胞体、リボソーム顆粒、細胞骨格(アクチン、微小管、中間径フィラメント)、ゴルジ体、エンドソーム、ミトコンドリア等が含まれる。
2.三次元培養表皮モデルの製造方法
本発明の三次元培養表皮モデルの製造方法は、(1)ケラチノサイトを蛍光色素で染色又はケラチノサイトに蛍光タンパク質発現ベクターを導入する工程と、(2) 工程(1)で得られたケラチノサイトを三次元培養する工程を含む。
まず、工程(1)では、ケラチノサイトを蛍光色素で染色又はケラチノサイトに蛍光タンパク質発現ベクターを導入する。ケラチノサイトは、不死化ケラチノサイトでも正常ケラチノサイトでもよいが、不死化ケラチノサイトが好ましい。不死化方法については、ケラチノサイトなどの上皮細胞の培養細胞を不死化させ、かつ細胞死を誘導しない方法であれば限定はされないが、例えば、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、ウイルス遺伝子(SV40T、HPV E6-E7、EBV等)による方法などが挙げられる。細胞の由来は哺乳動物であれば特に限定はされず、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ等が挙げられるが、ヒトであることが好ましい。
蛍光色素及び蛍光タンパク質の種類は、前述のとおりである。蛍光タンパク質のケラチノサイトへの導入は、蛍光タンパク質をコードする遺伝子を挿入したベクター(蛍光タンパク質発現ベクター)を作製し、これをエレクトロポレーション法、トランスフェクション法、マイクロインジェクション法等を用いてケラチノサイトに導入することにより行うことができる。また、表皮細胞内の特定のオルガネラや細胞内構造を観察する場合は、例えば蛍光タンパク質をコードする遺伝子を、各種オルガネラ移行シグナルペプチドをコードするDNAや、各種オルガネラ構成タンパク質をコードする遺伝子と結合させた遺伝子を適当なベクターに挿入し、これを上記方法にてケラチノサイトに導入すればよい。また、蛍光タンパク質をコードする遺伝子を、皮膚機能や皮膚疾患に関連する各種遺伝子(例えば、アトピー性皮膚炎の発症や皮膚バリア機能異常に関連する遺伝子、色素異常症の原因遺伝子、炎症に関連する遺伝子等)特異的プロモーター配列の下流に結合させた遺伝子をケラチノサイトに導入した場合は、当該各種遺伝子の三次元培養皮膚内での発現パターンをリアルタイムにモニタリングすることが可能である。
次に、工程(2)では、蛍光色素で染色したケラチノサイト又は蛍光タンパク質発現ベクターを導入したケラチノサイトを用いて三次元培養を行う。三次元培養は、ケラチノサイトを空気暴露により重層化させ皮膚を再構成させるという、当分野で一般的に用いられている下記の三次元培養皮膚の作製方法に従って行うことができる。
三次元培養皮膚の作製は、細胞の増殖培養工程と分化誘導工程からなる。増殖培養工程においては、蛍光色素で染色したケラチノサイト又は蛍光タンパク質発現ベクターを導入したケラチノサイト(以下、単にケラチノサイトという)を、培養インサート等の培養容器内で底面にコンフルエントになるまで増殖培養させる。具体的には、ケラチノサイトを細胞増殖用培地に分散し、この細胞分散液を、液透過性膜を底面に有する培養インサートに播種し、培養インサートの外部も同じ細胞増殖用培地で満たして、液透過性膜上のケラチノサイトが細胞増殖用培地中に浸漬した状態で培養する。液透過性膜によって、培養インサートの内部と外部とは培地が透過可能なように連通している状態が維持される。ここで、細胞培養インサートに添加するケラチノサイトの数は、特に限定されないが、通常15×10~120×10細胞/cmが好ましく、30×10~90×10細胞/cmがより好ましい。
培養インサートの液透過性膜は、播種したケラチノサイトが接着又は固定され、その上でケラチノサイトが増殖でき、支持体となりうるものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等の膜が挙げられる。また、当該膜にコラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン等の細胞外マトリックスやポリL-リジン等の細胞の接着を補助するものをコーティングしてもよい。
さらに、支持体として培養インサートを用いる他に、コラーゲンゲル、コラーゲンスポンジもしくは上皮や線維芽細胞が除去された無細胞化真皮を用いてもよい。これらを支持体として用いる場合には、適宜線維芽細胞を組み込んでもよい。また、これらの支持体には支持体表面にガラスリングを設置し、その中にケラチノサイトの細胞懸濁液を添加するのが好ましい。
増殖培養は、例えば1~6日間、好ましくは2~4日間行う。また、この間、培地を適宜交換してもよい。培養インサートにおいて増殖したケラチノサイトがコンフルエントの状態にあるかどうかは、CnT-ST-100 stain kit(CELLn TEC社製)等の細胞染色試薬により確認することができる。また、培養インサート内の培養液の液面が、培養インサート外の培養液の液面よりも高くなったときに、ケラチノサイトがコンフルエントになったと判断することもできる。
次に、分化誘導工程では、培養インサートの内部及び外部の培地を細胞増殖用培地から細胞分化用培地に変更し、当該培地にてケラチノサイトを6~48時間程度浸漬培養した後、培養インサートの内部及び外部のすべての培地をアスピレーターで除去し、インサート外部に細胞分化用培地を添加し、培養インサート内部のケラチノサイトは空気(大気)に暴露し、5~12日間培養して、重層化した表皮細胞に分化誘導する。
上記の細胞増殖用培地としては、例えば、ケラチノサイトの増殖や継代培養に適した基本培地であれば、特に限定はされないが、無血清・低カルシウム濃度の基本培地であることが好ましく、例えば、Keratinocyte-SFM(Thermo Fisher Scientific社製)、MCDB153培地(Sigma社製)、Humedia-KG2(クラボウ社製)、正常ヒト表皮角化細胞用無血清培地(DSファーマバイオメディカル社製)等の市販の培地を使用すればよい。上記培地には、増殖因子として塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、白血球遊走阻止因子(LIF)、Stem Cell Factor(SCF)等が含有されていてもよい。また、増殖速度を増大させるために、必要に応じて、上皮細胞増殖因子(EGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、ビタミン類、インターロイキン類、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、ウシ血清アルブミン(BSA)、L-グルタミン、フィブロネクチン、プロゲステロン、セレナイト、B27-サプリメント、N2-サプリメント、ITS-サプリメントが含有されてもよい。また、必要に応じて、抗生物質を添加してもよい。細胞増殖用培地のカルシウム濃度は、約0.03~0.15mMが好ましい。
上記の細胞分化用培地としては、ケラチノサイトの分化誘導に適した基本培地であれば、特に限定はされないが、CnT-Prime 3D Barrier Culture Medium(CELLn TEC社製)等の市販の培地を使用すればよい。また、細胞分化用培地のカルシウム濃度は、約1.2~1.5mMが好ましい。
増殖及び分化誘導のための培養温度は、細胞の由来により異なるが、例えばヒト由来の場合30℃~40℃が好ましく、36~38℃がより好ましい。また、COガス濃度は、例えば約1~10%が好ましく、約2~5%がより好ましい。
上記の蛍光色素で染色したケラチノサイト又は蛍光タンパク質を導入したケラチノサイトを培養して重層化した表皮細胞を作製する工程は、ミリセルセルカルチャーインサート(Millipore社製)、ケラチノサイト三次元培養スターターキット(フナコシ社製)等の市販の培養表皮作製用キットを利用してもよく、該キットに梱包された培地、培養インサートを用いて該キットに添付の指示書に従って行うことができる。
また、他の態様として、上記の三次元培養を、2種の異なる蛍光タンパク質(例えばGFPとRFP)をそれぞれ導入した2種のケラチノサイトを混合して行うことにより、細胞ひとつひとつの形態の観察が容易である三次元培養表皮モデルを作製することができる。2種のケラチノサイトを用いて三次元培養を行う場合、例えばGFP導入ケラチノサイトの細胞数に対するRFP導入ケラチノサイトの細胞数の比は、三次元培養表皮の使用の目的により異なるが、例えば、約0.001~50%が好ましく、0.01~10%がより好ましい。
さらに別の態様として、上記の三次元培養を、蛍光タンパク質を導入したケラチノサイトと蛍光タンパク質を導入したメラノサイトを混合して行うことにより、メラノサイトを含む三次元培養表皮モデルを作製することができる。この場合、メラノサイトに導入する蛍光タンパク質として、ケラチノサイトに導入する蛍光タンパク質と異なる種類を用いることにより、メラノサイトの表皮組織における局在の観察が容易となる。メラノサイトの由来は上述した哺乳動物であれば特に限定はされないが、ヒト由来が好ましい。ケラチノサイトとメラノサイトをいっしょに三次元培養を行う場合のケラチノサイトの細胞数に対するメラノサイトの細胞数の比は、三次元培養表皮の使用の目的により異なるが、例えば、約0.1~30%が好ましく、5~20%がより好ましい。
また、ケラチノサイトの三次元培養の開始前、三次元培養中、及び三次元培養の終了後から選ばれる少なくとも1つの段階で、該ケラチノサイトに対して刺激を付与することによって、創傷や角化異常症などの皮膚疾患を再現又は模倣した表皮モデルとすることもできる。刺激には、紫外線照射、乾燥、熱、薬剤(界面活性剤、有機溶媒など)による刺激が含まれる。
本発明の上記三次元培養表皮モデルは、キット化してもよく、当該キットには、例えば、表皮細胞の培養に適した培地や容器、陽性や陰性の標準試料、キットの使用方法を記載した指示書等を含めることができる。
3.三次元培養表皮モデルの使用方法
本発明の三次元培養表皮モデルは、動物実験の代替法として、化粧品や皮膚外用剤、化学物質(洗剤、衣服用染料等)の有効性や安全性の評価に用いることができる。例えば、有効性の評価には、皮膚バリア機能、水分又は油分の保持・調節機能、シワ予防・改善機能、水分浸透性の有無等が挙げられ、安全性の評価としては、紅斑、発赤、炎症、色素沈着、腫脹、かぶれの発生の有無等が挙げられる。また、本発明の三次元培養表皮モデルは、表皮機能の改善物質のスクリーニングに用いることもできる。表皮機能改善には、表皮のバリア機能(水分保持機能、外部からの紫外線・化学物質・細菌などの侵入防止機能など)の向上、皮膚のターンオーバーの正常化機能、メラニン代謝正常化機能等が挙げられる。
本発明において、化粧品や医薬品の有効性や安全性の評価、及びスクリーニングは、本発明の三次元培養表皮モデルに被験物質を接触させ、該モデルの表皮細胞又はオルガネラの変化を蛍光イメージングによる観察によって行うことができ、表皮細胞又はオルガネラの変化が評価の指標となる。この際、被験物質と接触させない本発明の三次元培養表皮モデルを対照とし、その観察結果と比較すれば、評価がより正確となる。表皮細胞又はオルガネラの変化には、それらの数、形態、分布、局在、移動、消失などの変化が含まれる。例えば、表皮細胞の細胞死や増殖阻害を指標とすれば、被験物質が表皮に対して刺激性を与える物質であると評価でき、核の消失(脱核)を指標とすれば、被験物質を皮膚ターンオーバー促進剤の候補物質としてスクリーニングすることができ、メラノサイトの数の減少を指標とすれば、被験物質を美白剤の候補物質としてスクリーニングすることができる。被験物質は、培養インサート内に形成された三次元培養表皮モデルに、角質層表面側から及び/又は基底層表面側から接触させる。具体的には、培養インサート内の表皮モデルに上部から被験物質を投与又は塗布する方法、培養インサートの外部の培養液に被験物質を添加する方法により行うことができる。
被験物質は、主に化粧品及び/又は医薬品に利用できる成分を対象とし、例えば、動・植物組織の抽出物もしくは微生物培養物等の複数の化合物を含む混合物、またそれらから精製された標品;天然に生じる分子(例えば、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、ステロイド、糖タンパク質、プロテオグリカンなど);あるいは天然に生じる分子の合成アナログ又は誘導体(例えば、ペプチド擬態物など);及び天然に生じない分子(例えば、コンビナトリアルケミストリー技術等を用いて作製した低分子有機化合物);ならびにそれらの混合物などを挙げることができる。また、被験物質としては単一の被験物質を独立に試験しても、いくつかの候補となる被験物質の混合物(ライブラリーなどを含む)について試験をしてもよい。複数の被験物質を含むライブラリーとしては、合成化合物ライブラリー、ペプチドライブラリーなどが挙げられる。
蛍光イメージングによる細胞の観察は、三次元の表皮組織構造を正確に再現して可視化できる顕微鏡を用いて行うことができ、共焦点レーザー顕微鏡を用いることが好ましい。共焦点レーザー顕微鏡は、光学顕微鏡本体、共焦点スキャニングモジュール、及び検出器を備え、生細胞観察用に市販されている蛍光イメージング装置であれば特に限定はされず、例えば、共焦点レーザー顕微鏡LSM510(ZEISS社製)等が挙げられる。観察は、培養表皮モデル中の蛍光を直接肉眼で行ってもよく、又は写真撮影をして画像を取得し、該画像に基づいて行ってもよい。写真撮影により得られた画像に基づいて観察する場合、ある一定の時間でのみ撮影して画像を取得してもよいが、一定の時間間隔で経時的に連続撮影(タイムラプス撮影)を行って画像を取得することにより、細胞の変化の動的可視化を行うことができる。また、蛍光の観察は、可視化を目的とする細胞又はオルガネラの種類、被験物質の種類、蛍光物質の種類によって測定条件や時間を適宜変更して行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)蛍光指示薬により染色したケラチノサイトを用いる三次元培養表皮の作製及び共焦点レーザー顕微鏡による観察
まず、細胞不死化試薬(Lenti-hTERT Virus Cell Immortalization Reagent、Applied Biological Materials社製)により、正常ヒトケラチノサイト(Human epidermal keratinocyte、HEK、クラボウ社製)を製造者のプロトコールに従って不死化した。以降の実施例に記載するHEKは全てこの不死化HEKである。HEKは、Keratinocyte-SFM(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて培養した。培地に細胞質を特異的に染色する蛍光指示薬であるセルトラッカーオレンジ(CTO, Thermo Fisher Scientific社製)を加えて1時間培養することによってHEKを染色し、細胞質が光るHEKを作製した。
次に、この染色したHEKを用いて定法により三次元培養表皮を作製した。具体的には、上記HEKをミリセルセルカルチャーインサート(24well plate用)に20万個播種し、Keratinocyte-SFMにて3日間培養後(培地量はインサート内400μL、インサート外1000μL)、インサート内外の培地を除き、分化培地であるCnT-Prime 3D barrier medium(CELLnTEC社製)に交換した(培地量はインサート内400μL、インサート外1000μL)。翌日、インサート内外の培地を除き、インサート外部にのみCnT-Prime 3D barrier mediumを700μL添加し、空気暴露を10日間行い、三次元培養表皮を作製した(図1A)。作製した三次元培養表皮を共焦点レーザー顕微鏡LSM510を用いて観察したところ、各階層にある表皮細胞の形態を生きたまま垂直方向からも水平方向からも立体的に観察することができた(図1A、1B)。一方、CTOで染色していない通常のHEKを用いて三次元培養表皮を作製した後、その表皮組織をCTOで染色をしようとしても、一度形成された表皮組織は強固なバリア機能を有するためCTOが組織の中に入っていかず、組織の表面を染色するに過ぎなかった。
(実施例2)蛍光タンパク質発現ベクターを導入したケラチノサイトを用いる三次元培養表皮の作製及び共焦点レーザー顕微鏡による観察
Gene Pulser Xcell (BIORAD社製)を用いて、不死化させたHEKにGFP発現ベクター(pTagGFP2-C, Evrogen社製)をエレクトロポレーション法により遺伝子導入した。薬剤選択により安定発現株を樹立し、細胞全体が緑色に光るHEK(G-HEK)を樹立した。次に、当該細胞を用いて実施例1と同様にして三次元培養表皮を作製した(図2A)。作製した三次元培養表皮をLSM510を用いて観察したところ、各階層にある表皮細胞の形態を生きたまま垂直方向からも水平方向からも立体的に観察することができた(図2A、2B)。細胞像は、実施例1の蛍光指示薬と比較して、培養により蛍光が減退することがないため、より明確に観察することができた。
また、HEKにRFP発現ベクター (pTagRFP-C, Evrogen社製)を遺伝子導入し、細胞全体が赤色に光るHEK (R-HEK)を樹立し、その細胞を、G-HEK(20万個)に対して0.01%の割合(20個)の細胞数で混ぜ、実施例1と同様にして三次元培養表皮を作製した(図3A)。LSM510を用いて、赤色に光るR-HEKに着目し、その形態を観察したところ、細胞ひとつひとつの形態変化をより詳細に観察することができた(図3A、3B)。さらに、タイムラプスイメージングにより、細胞の形態変化や動きをリアルタイムで観察することも可能であった。
(実施例3)オルガネラが特異的に光るケラチノサイトを用いる三次元培養表皮の作製及び共焦点レーザー顕微鏡による観察
HEKに、核移行シグナルを付加したGFP発現ベクター(pAcGFP1-Nuc Vector, Clontech社製)を遺伝子導入し、薬剤選択を行い、核が特異的に光るHEK(NG-HEK)を樹立した。
次に、NG-HEKを用いて実施例1と同様にして三次元培養表皮を作製し、LSM510を用いて観察した。その結果、各階層にある表皮細胞の核の形態を生きたまま詳細に観察することができた(図4A、B)。また、NG-HEKの分化が進行し、最外層である角質層まで移動すると、脱核により核が消滅する様子も確認された(図4B:角質層からの距離10.5μm付近)。
この現象をより詳細に観察するために、HEKに上述のpTagRFP-C及びpAcGFP1-Nuc Vectorを同時に導入し、細胞全体が赤色、核が緑色に光るHEKを樹立した(R-NG-HEK)。R-NG-HEKを遺伝子導入を行っていない通常のHEK(20万個)に対して0.01%の割合(20個)の細胞数で混ぜ、実施例1と同様にして三次元培養表皮を作製した。その結果、脱核を起こしてない細胞は、細胞質が赤で核が黄色(赤と緑が混ざる結果黄色に見える)に観察されるが、脱核を起こした細胞は細胞質全体が黄色に観察されることが分かった(図5)。これは、脱核を起こした細胞は核がないため、核移行シグナルを付加したGFPが細胞質に留まるためであると考えられる。従って、本発明の三次元培養表皮を用いれば表皮細胞の脱核の様子を生きたまま極めて詳細に解析できることとなる。なお、表皮組織の角質層と基底層の位置を知るために、作製された表皮組織を蛍光指示薬であるコムギ胚芽凝集素、Alexa FluorTM 488コンジュゲート(WGA)(Thermo Fisher Scientific社製)で染色(緑色)した。実施例1で示した通り、蛍光指示薬は、表皮組織の強固なバリアのため、組織の中に入っていかず、組織の表面を染色するため、基底層と角質層の位置が判別できる。
その他、アクチンやミトコンドリアを可視化するためのベクター(pAcGFP1-Actin Vector, pDsRed2-Mito Vector, Clontech社製)を用いて、それらのオルガネラが光るHEKを作製し、同様の実験を行ったところ、それらのオルガネラの形態変化を観察することができた。
以上に示した通り、オルガネラが特異的に光るケラチノサイトを用いて作製した三次元培養表皮によれば、表皮の状態が生きたまま非常に明確に判別することが可能であった。さらに、タイムラプスイメージングにより、細胞のオルガネラの形態変化や動きをリアルタイムで観察することも可能であった。
(実施例4)核が特異的に光るケラチノサイトを用いて作製した三次元培養表皮を用いた被験物質の評価
実施例3と同様にして、核が特異的に光るNG-HEKを用いて三次元培養表皮を作製し、当該三次元培養表皮を用いて被験物質が表皮に与える影響を評価できるか検討した。具体的には、空気暴露10日目の三次元培養表皮に角質層側から皮膚刺激反応を起こす代表的な物質SDS(sodium dodecyl sulfate, 和光純薬社製)を0.1%濃度で添加し、15分間静置した。その後、表皮をPBSにて二回洗浄し、再びCnT-Prime 3D barrier mediumで培養し、24時間後にLSM510で観察を行った。その結果、SDS処理した表皮では、核の凝縮が確認され、表皮細胞がアポトーシスしている様子が詳細に確認された(図6)。また、このような核が凝縮した細胞の割合は、SDSの濃度に依存して多くなる傾向があった(表1)。
Figure 0007041977000001
以上の結果から、核が特異的に光るNG-HEKを用いて作製した三次元培養表皮を用いれば、刺激物質であるか否かの評価が非常に詳細にかつ簡便にできることが明らかとなった。また、本評価法は、三次元培養表皮を生きたまま観察ができるので、例えばSDSにより受けたダメージやダメージからの回復過程の経時的な観察を同一サンプルを用いて行うことができる。これに対し、従来法では、三次元培養表皮の観察には、固定処理・包埋処理・切片作製処理などが必要であり、経時的な観察を行うためには、各日数ごとにサンプルを用意しなければならず、また同一サンプルの経時的な観察を行うことはできなかった。
(実施例5)メラノサイト含有三次元培養表皮の作製及び共焦点レーザー顕微鏡による観察
Gene Pulser Xcellを用いて、ヒトメラノサイト(HEM;クラボウ社製)にpTagRFP-Cをエレクトロポレーション法により遺伝子導入し、細胞全体が赤色に光るHEM(R-HEM)を樹立し、その細胞を、G-HEK(20万個)に対して10%の割合(2万個)の細胞数で混ぜ、実施例1と同様にして三次元培養表皮を作製した。LSM510を用いて赤色に光るR-HEM(メラノサイト)に着目して観察を行った結果、メラノサイトの数、形態、局在を生きたまま観察することができた(図7)。なお、このメラノサイト含有三次元培養表皮モデルを用いて、メラノサイト増殖因子(SCF、エンドセリン、WNT)の効果を確認したところ、単位面積当たりのメラノサイトの数がこれらの因子により増加することが定量的に解析することができた。
比較として、従来法による三次元培養表皮の作製とそれを用いた観察を次のとおり行った。蛍光色素で染色又はケラチノサイトに蛍光タンパク質を導入していない通常のケラチノサイトHEK(20万個)に対して、通常のヒトメラノサイトHEMを10%の割合(2万個)で混ぜ、実施例1と同様にして三次元培養表皮を作製した。作製された培養表皮を4%パラホルムアルデヒドにて30分固定した。その後、組織をティシュー・テック クリオモルド プラスチック包埋皿(サクラファインテック社製)に入れ、そこにO.C.T. コンパウンド(サクラファインテック社製)を流し込み、-80℃で凍結させた(15分)。次に、クライオスタット ミクロトームにより切片を作製し、ドライヤーにて乾燥させた。組織切片をPBSにて洗浄後、メラノサイトのマーカータンパク質チロシナーゼに対する抗体(抗Tyrosinase抗体、Santa Cruz社製)と1時間反応させ(37℃)、その後Alexa Fluor 594で標識した抗IgG抗体(ライフテクノロジーズ社製)と30分反応させ、蛍光顕微鏡(OLYMPUS社製)により観察を行った(図8)。また、DAPI(dojindo社製)により、HEKとHEMの核を染色した。その結果、メラノサイトの局在は確認されたが、一方向からの情報しか得ることができず、また固定され死んだ組織の情報しか得られなかった。
表2に、従来法の三次元培養表皮の観察方法と本発明の三次元培養表皮の観察方法の比較を示す。
Figure 0007041977000002
表2に示した通り、本発明の三次元培養表皮は、従来法の三次元培養表皮に比較して非常に優れた利点を多数有する。
本発明の三次元培養表皮モデルは、表皮細胞を多方向から生きたままリアルタイムに観察でき、表皮の状態をより正確に評価することができる。従って、本発明の三次元培養表皮モデルによれば、動物実験を行わずに医薬品や化粧品原料の安全性や有効性の評価試験を行うことでき、当該表皮モデルは、化粧品や医薬品の製造分野、皮膚科学研究分野などに利用できる。

Claims (6)

  1. 2種の異なる蛍光タンパク質をそれぞれ発現させた2種のケラチノサイトの混合物を重層化させてなり、表皮を構成する各階層に含まれる2種のケラチノサイトがそれぞれ異なる蛍光タンパク質で三次元可視化されている、三次元培養表皮モデルであって、前記2種のケラチノサイトの混合物中の一方のケラチノサイトの細胞数に対する他方のケラチノサイトの細胞数の比が0.01~10%である、三次元培養表皮モデル
  2. 以下の工程を含む、三次元培養表皮モデルの製造方法。
    (1)ケラチノサイトに2種の異なる蛍光タンパク質をコードする遺伝子を発現するベクターをそれぞれ導入し、得られた2種のケラチノサイトを一方のケラチノサイトの細胞数に対する他方のケラチノサイトの細胞数の比が0.01~10%となるように混合する工程
    (2)工程(1)で得られたケラチノサイトの混合物を三次元培養する工程
  3. 前記三次元培養の開始前、三次元培養中、及び三次元培養の終了後から選ばれる少なくとも1つの段階で、ケラチノサイトに対して刺激を付与する工程をさらに含む、請求項2に記載の三次元培養表皮モデルの製造方法。
  4. 請求項1に記載の三次元培養表皮モデルに被験物質を接触させ、該モデルのケラチノサイトを蛍光イメージングによって観察し、その観察結果に基づいて該被験物質の有効性又は安全性を評価する方法。
  5. 請求項1に記載の三次元培養表皮モデルに被験物質を接触させ、該モデルのケラチノサイトを蛍光イメージングによって観察し、その観察結果に基づいて表皮機能の改善物質をスクリーニングする方法。
  6. 請求項1に記載の三次元培養表皮モデルを含む、皮膚評価用キット。
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