JP7041611B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、補機ケースを備えた燃料電池システムに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面にアノード電極が、他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備える。電解質膜・電極構造体は、セパレータによって挟持されることにより、発電セル(単位セル)が構成されている。通常、所定の数の発電セルを積層することにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池車両に搭載されている。
車載用燃料電池スタックでは、所定の数の発電セルが積層された積層体を、スタックケース内に収納する構成が採用されている。例えば、特許文献1の燃料電池システムでは、スタックケースにエンドプレートが固定され、このエンドプレートには補機類が取り付けられ、エンドプレートと別個に形成された補機ケース(補機カバー)がエンドプレートに取り付けられる。
特開2013-4352号公報
特許文献1の燃料電池システムでは、エンドプレートに補機ケースを取り付ける構造であるため、部品点数の増大を招くとともに、構造が複雑になるという問題がある。
そこで、本発明は、補機ケースの構造が比較的簡易であるとともに組立てがしやすい燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを収納するスタックケースと、前記スタックケースに接合され、燃料電池用補機を収納した補機ケースと、を備え、前記補機ケースは、前記燃料電池スタックに積層方向の締付荷重を付与するエンドプレート部を一体に有する、燃料電池システムである。
本発明の燃料電池システムによれば、補機ケースは、燃料電池スタックに積層方向の締付荷重を付与するエンドプレート部を一体に有するため、構造の合理化によりシール界面やフランジの削減が図られるとともに、コスト及び重量の低減を図りやすい。また、補機ケースの構造が比較的簡易であるため、組立てがしやすい。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムを備えた燃料電池車両の斜視図である。 ケースユニットの分解斜視図である。 補機ケースの構成説明図である。 図3に示した矢印X方向から第1ケース部材を見た図である。 燃料電池システムの概略図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池システム10を備えた燃料電池車両11は、例えば、燃料電池電気自動車である。以下の説明において、上方(上部)とは、鉛直方向の上方(上部)を意味する。燃料電池車両11において、燃料電池スタック12を収納したスタックケース14が、ダッシュボード16の前方(矢印Af方向)に形成されたフロントルーム(モータルーム)18内に配設されている。
燃料電池スタック12は、複数の発電セルが車両幅方向(矢印B方向)に積層されてなるセル積層体20asを備える。各発電セルは、アノード電極及びカソード電極を有し、アノード電極と一方のセパレータとの間に燃料ガス流路が形成され、カソード電極と他方のセパレータとの間に酸化剤ガス流路が形成されている。燃料電池スタック12には、燃料ガス流路に燃料ガスを供給する燃料ガス入口連通孔と、燃料ガスを排出する燃料ガス出口連通孔と、酸化剤ガス流路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス入口連通孔と、酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口連通孔と、冷却媒体を供給する冷却媒体入口連通孔と、冷却媒体を排出する冷却媒体出口連通孔とが、燃料電池スタック12の積層方向に沿って形成されている。
セル積層体20asの積層方向一端(矢印BL方向側)には、第1ターミナルプレート22a及び第1絶縁プレート24aが外方に向かって順次配設される。セル積層体20asの積層方向他端(矢印BR側)には、第2ターミナルプレート22b及び第2絶縁プレート24bが外方に向かって順次配設される。燃料電池スタック12は、後述するスタックケース14の右サイドパネル78と補機ケース15の第1ケース部材88との間にスペーサ(図示せず)を介して挟持され、積層方向に締付荷重が付与されている。
燃料電池システム10は、燃料電池スタック12を収納するスタックケース14と、燃料電池用補機70を収納する補機ケース15とを備える。スタックケース14と補機ケース15とにより、ケースユニット13が構成されている。スタックケース14と補機ケース15とからなるケースユニット13は平面視で四角形状(長辺が車両幅方向に沿って延在する長方形状)である。
図2に示すように、スタックケース14は、平面視で四角形状のケース本体76を有する。ケース本体76は、左側(矢印BL方向側)に形成された四角形状の左開口部76aと、右側(矢印BR方向側)に形成された四角形状の右開口部76bと、後側(矢印Ar方向側)に形成された四角形状の後方開口部76cとを有し、箱型に構成されている。
ケース本体76の上部(図示例では、ケース本体76の鉛直方向の上面76s)の、補機ケース15が接合される側とは反対側の2つの角部には、スタックケース14を外部に連通する孔部14hが形成されている。孔部14hは、ケース本体76の上記2つの角部のうちいずれか一方のみに設けられていてもよい。孔部14hは、スタックケース14の鉛直方向の上面76s以外の側面の上部に設けられていてもよい。
スタックケース14は、さらに、ケース本体76の右開口部76bを閉じる右サイドパネル78と、ケース本体76の後方開口部76cを閉じる後方サイドパネル80とを備える。右サイドパネル78は、四角形状のパネルであり、ケース本体76の右端にボルト82により接合される。右サイドパネル78は、燃料電池スタック12(図1)に積層方向の締付荷重を付与する一方のエンドプレートを兼ねている。ケース本体76と右サイドパネル78との間には、弾性材料からなるシール部材81が、ケース本体76と右サイドパネル78との接合面の全周に亘って配置される。
後方サイドパネル80は、四角形状のパネルであり、ケース本体76の後端にボルト82により接合される。ケース本体76と後方サイドパネル80との間には、弾性材料からなるシール部材83が、ケース本体76と後方サイドパネル80との接合面の全周に亘って配置される。なお、後方サイドパネル80は、ケース本体76とは別部品ではなく、ケース本体76と一体であってもよい。
図1に示すように、補機ケース15は、燃料電池用補機70を保護するための保護ケースであり、スタックケース14の水平方向に隣接してスタックケース14に接合されている。補機ケース15内には、燃料電池用補機70として、燃料ガス系デバイス70A及び酸化剤ガス系デバイス70Bが収納されている。燃料ガス系デバイス70A及び酸化剤ガス系デバイス70Bは、補機ケース15内で水平方向に隣接して配置されている。
補機ケース15内に収納されている燃料ガス系デバイス70Aは、インジェクタ32、エジェクタ34、水素ポンプ42、バルブ類(図示せず)等である。補機ケース15内に収納されている酸化剤ガス系デバイス70Bは、エアポンプ48、加湿器50等である。燃料ガス系デバイス70Aは、燃料電池スタック12と酸化剤ガス系デバイス70Bとの間に配置されている。
補機ケース15は、スタックケース14に隣接して設けられた凹形状の第1ケース部材88と、第1ケース部材88に接合された凹形状の第2ケース部材90とを有し、第1ケース部材88内に燃料電池用補機70の少なくとも一部が収納されている。
本実施形態では、第1ケース部材88に、主要な燃料ガス系デバイス70Aが収納されており、第2ケース部材90に、主要な酸化剤ガス系デバイス70Bが収納されている。第1ケース部材88及び第2ケース部材90は、燃料ガス系デバイス70Aを外部荷重から保護する機能を実現するのに十分な強度・剛性をもたせるために金属材料(例えば、アルミ合金)により構成されている。なお、酸化剤ガス系デバイス70Bが収納される第2ケース部材90は、金属材料に限らず、樹脂材料やゴム材により構成されてもよい。
図2及び図3に示すように、スタックケース14と第2ケース部材90との間に第1ケース部材88が配置されている。第1ケース部材88は、ケース本体76の左端に複数のボルト82a(第1締結部材)により接合される。複数のボルト82aは、第1ケース部材88において周壁部88bよりも内方に設けられた複数のボルト挿通孔88hに、第1ケース部材88の内側からそれぞれ挿通されている。複数のボルト82aは、周壁部88bよりも内方で、ケース本体76の第1ケース部材88側の端部に設けられた複数のネジ穴83aにそれぞれ螺合している。ケース本体76と第1ケース部材88との間には、弾性材料からなるシール部材79が、ケース本体76と第1ケース部材88との接合面の全周に亘って配置される。これにより、ケース本体76と第1ケース部材88との間に気密シールが形成されている。
シール部材79は、ケース本体76と第1ケース部材88とを固定する複数のボルト82a(及び複数のボルト挿通孔88h)の外方に配置されている。従って、シール部材79は、複数のボルト82aを囲んでいる。シール部材79は、ケース本体76の第1ケース部材88に対向する端面に設けられたシール収納溝79rに収納されている。なお、シール収納溝79rは、第1ケース部材88のケース本体76に対向する端面に設けられてもよい。
第1ケース部材88は、燃料電池スタック12に積層方向の締付荷重を付与するエンドプレート部88aを一体に有する。エンドプレート部88aは、凹形状の第1ケース部材88の底壁部である。すなわち、第1ケース部材88の一部が、燃料電池スタック12(図1)に積層方向の締付荷重を付与する他方のエンドプレートを兼ねている。第1ケース部材88は、例えば、鋳造により成形されている。第1ケース部材88の底壁部であるエンドプレート部88aは、平坦形状である。エンドプレート部88aは、第1絶縁プレート24aに直接当接する。
図3に示すように、第1ケース部材88は、スタックケース14に接合された上記エンドプレート部88aと、エンドプレート部88aの周縁部88ae全周からエンドプレート部88aの厚さ方向(スタックケース14から離れる方向)(矢印BL方向)に延出した周壁部(第1周壁部)88bとを有する。エンドプレート部88aと周壁部88bとは、別々の部品を接合したものではなく、連続した一体の第1ケース部材88を構成している。エンドプレート部88aと周壁部88bとは、溶接により一体に構成したものでもよい。
エンドプレート部88aの上部は、スタックケース14の上面よりも上方に突出している。エンドプレート部88aの下部は、スタックケース14の面よりも下方に突出している。従って、補機ケース15の鉛直方向の外形寸法は、スタックケース14の鉛直方向の外形寸法よりも大きい。補機ケース15の内部の鉛直方向の寸法は、スタックケース14の内部の鉛直方向の寸法よりも大きい。第1ケース部材88のエンドプレート部88aは、スタックケース14の内部空間と補機ケース15の内部空間とを区画する。周壁部88bの突端(第2ケース部材90側の端部)には外方に突出した第1フランジ部88cが設けられている。第1フランジ部88cは、第1ケース部材88の開口部88dを囲む。
図2に示すように、エンドプレート部88aの上部には、スタックケース14の内部空間と補機ケース15の内部空間とを互いに連通させる複数の換気用連通孔94が設けられている。換気用連通孔94は、エンドプレート部88aを厚さ方向(矢印B方向)に貫通する孔であり、ケース本体76の左開口部76aに臨む。上記のシール部材79は、換気用連通孔94よりも外側に配置される。
複数の換気用連通孔94は、スタックケース14と補機ケース15との接合方向(矢印B方向)に対して垂直な水平方向(矢印A方向)に間隔を置いて配置されている。換気用連通孔94は、少なくとも補機ケース15の上部両側(スタックケース14と補機ケース15との接合方向に対して垂直な水平方向の両側)に設けられている。
第1ケース部材88のエンドプレート部88aには、燃料電池スタック12に設けられた酸化剤ガス入口連通孔、酸化剤ガス出口連通孔、燃料ガス入口連通孔、燃料ガス出口連通孔、冷却媒体入口連通孔及び冷却媒体出口連通孔にそれぞれ接続される接続配管(図示せず)を通すための配管用開口部96a、96bが形成されている。
図3に示すように、第2ケース部材90は、第1ケース部材88を閉じるカバー部材であり、第1ケース部材88にボルト82により接合される。第2ケース部材90の積層方向(矢印B方向)に沿った外形寸法は、第1ケース部材88の積層方向に沿った外形寸法よりも大きい。第2ケース部材90は、燃料電池スタック12から離れる方向(矢印BL方向)に凹んだ凹形状を有する。具体的に、第2ケース部材90は、第1ケース部材88のエンドプレート部88aに対向するとともに凹形状の底部を構成するケース壁部90aと、ケース壁部90aから第ケース部材88側(スタックケース14側)に向かって延出する周壁部(第2周壁部)90bとを有する。
周壁部90bの突端(第1ケース部材88側の端部)には外方に突出した第2フランジ部90cが設けられている。第2フランジ部90cは、第2ケース部材90の開口部90dを囲む。第2ケース部材90は、第1ケース部材88に複数のボルト82b(第2締結部材)により接合される。複数のボルト82bは、第1ケース部材88の第2ケース部材側90の端部に設けられた複数のネジ穴83bにそれぞれ螺合している。第1ケース部材88の第1フランジ部88cと第2ケース部材90の第2フランジ部90cとの間には、弾性材料からなるシール部材93が、第1ケース部材88と第2ケース部材90との接合面の全周に亘って配置される。これにより、第1フランジ部88cと第2フランジ部90cとの間に気密シールが形成されている。
シール部材93は、第1ケース部材88と第2ケース部材90とを固定する複数のボルト82bの内方に配置されている。従って、シール部材93は、複数のボルト82bに囲まれている。シール部材93は、第1ケース部材88の第2ケース部材90に対向する端面に設けられたシール収納溝93rに収納されている。なお、シール収納溝93rは、第2ケース部材90の第1ケース部材88に対向する端面に設けられてもよい。
第1ケース部材88と第2ケース部材90とを固定する複数のボルト82bは、ケース本体76と第1ケース部材88とを固定する複数のボルト82aよりも外方に配置されている。
第2ケース部材90側から第1ケース部材88をケース本体76側に向かって(図3の矢印X方向に)見た場合、図4に示すように、第1ケース部材88と第2ケース部材90とを固定する複数のボルト82b(及び複数のネジ穴83b)は、ケース本体76と第1ケース部材88とを固定する複数のボルト82a(及び複数のネジ穴83a)に対して、交互に配置されている。従って、複数のボルト82aと複数のボルト82bとは、第1ケース部材88の外周部(周壁部88b)に沿って千鳥状(ジグザグ)に配置されている。
第1ケース部材88の周壁部88b及び第1フランジ部88cの内面において、互いに隣接するネジ穴83bの間には、第1ケース部材88の外周面に向かって窪む凹部85(切欠き)が設けられている。従って、第1ケース部材88の内面には、第1ケース部材88の内周部に沿って複数の凹部85が間隔を置いて設けられている。複数の凹部85に対向する位置に、複数のボルト82a及びネジ穴83aが配置されている。
図2に示すように、補機ケース15の上部(図示例では鉛直方向の上面72s)の、スタックケース14が接合される側とは反対側の2つの角部には、補機ケース15を外部に連通する孔部15hが形成されている。具体的に、孔部15hは、第2ケース部材90の上部の2つの角部に形成されている。孔部15hは、第2ケース部材90の上部の2つの角部のうちいずれか一方のみに設けられていてもよい。孔部15hは、第2ケース部材90の鉛直方向の上面72s以外の側面の上部に設けられていてもよい。
図1に示すように、燃料電池システム10は、ケースユニット13(スタックケース14及び補機ケース15)から燃料ガスを排出するための排気装置98を備える。図2に示すように、外部からスタックケース14内に空気を導入してスタックケース14内を換気するために、スタックケース14には換気用空気導入孔99が設けられている。換気用空気導入孔99は、スタックケース14の下部(図示例では、右サイドパネル78の下部及び後方サイドパネル80の下部)に複数設けられている。また、補機ケース15の下部(図示例では、第1ケース部材88の下部及び第2ケース部材90の下部)にも換気用空気導入孔99が設けられている。
図1において、ケースユニット13の上部には排気装置98が接続されており、燃料電池スタック12又は燃料電池用補機70(燃料ガス系デバイス70A及び酸化剤ガス系デバイス70B)から燃料ガスが漏出した場合に、燃料ガスが排気装置98を介して車外に排出されるようになっている。排気装置98は、ケースユニット13に接続された換気用ダクト100を有する。換気用ダクト100は、平面視でケースユニット13の4つの角部に接続されている。具体的に、排気装置98は、スタックケース14に接続された換気用ダクト100(以下、「第1換気用ダクト100a」という)と、補機ケース15に接続された換気用ダクト100(以下、「第2換気用ダクト100b」という)とを有する。
第1換気用ダクト100aは、スタックケース14に設けられた孔部14hに接続されている。従って、第1換気用ダクト100aは、スタックケース14の上部において、補機ケース15と接続される側とは反対側の2つの角部に接続されている。第1換気用ダクト100aは、スタックケース14の2つの孔部14hに接続された2つの接続管部102a、102bと、2つの接続管部102a、102bが合流した合流管部102cとを有する。合流管部102cは、右側フェンダー部108Rに設けられた右側排気口110Rに接続されている。
第2換気用ダクト100bは、補機ケース15に設けられた孔部15hに接続されている。従って、第2換気用ダクト100bは、補機ケース15の上部において、スタックケース14と接続される側とは反対側の2つの角部に接続されている。第2換気用ダクト100bは、補機ケース15の2つの孔部15hに接続された2つの接続管部104a、104bと、2つの接続管部104a、104bが合流した合流管部104cとを有する。合流管部104cは、左側フェンダー部108Lに設けられた左側排気口110Lに接続されている。
第1換気用ダクト100aと第2換気用ダクト100bとは、連結配管112を介して相互に接続されている。連結配管112は、第1換気用ダクト100aの前方側の接続管部102aと、第2換気用ダクト100bの前方側の接続管部104aとに接続されている。従って、第1換気用ダクト100aと、第2換気用ダクト100bとは、平面視で、スタックケース14と補機ケース15との接続方向に対して垂直な方向(矢印A方向)の一方側(前方側)において、相互に接続されている。連結配管112は、第1換気用ダクト100aの後方側の接続管部102bと、第2換気用ダクト100bの後方側の接続管部104bとに接続されてもよい。連結配管112は、第1換気用ダクト100aの接続管部102aと接続管部102bとの間の中間管部102dと、第2換気用ダクト100bの接続管部104aと接続管部104bとの間の中間管部104dとに接続されてもよい。
図5に示すように、燃料電池車両11は、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行う燃料電池スタック12を有する燃料電池システム10と、燃料電池システム10から流出したカソード排ガスを車両外部へと排出する排気管60とを備える。燃料電池車両11はさらに、燃料電池システム10の発電や燃料電池車両11の走行を制御するECU(Electronic control unit)62や、燃料電池システム10で発電した電力を電源として動作する走行用モータ等の電装品を備える。
燃料電池システム10は、さらに、燃料電池スタック12に燃料ガス(例えば、水素ガス)を供給する燃料ガス供給装置25と、燃料電池スタック12に酸化剤ガスである空気を供給する酸化剤ガス供給装置26と備える。図示は省略するが、燃料電池システム10はさらに、エネルギ貯蔵装置であるバッテリと、燃料電池スタック12に冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置とを備える。
燃料電池スタック12を構成する各発電セルは、電解質膜(例えば、固体高分子電解質膜)の両面にそれぞれアノード電極及びカソード電極が配置されて構成された電解質膜・電極構造体と、この電解質膜・電極構造体を両側から挟持する一対のセパレータとを有する。
燃料ガス供給装置25は、高圧の燃料ガス(高圧水素)を貯留する燃料ガスタンク28と、燃料ガスを燃料電池スタック12へと導く燃料ガス供給ライン30と、燃料ガス供給ライン30に設けられたインジェクタ32と、インジェクタ32よりも下流側に設けられたエジェクタ34とを有する。燃料ガス供給ライン30は、燃料電池スタック12の燃料ガス入口20aに接続されている。インジェクタ32とエジェクタ34とにより燃料ガス噴射装置が構成されている。
燃料電池スタック12の燃料ガス出口20bには、燃料ガス排出ライン36が接続されている。燃料ガス排出ライン36は、燃料電池スタック12のアノードで少なくとも一部が使用された燃料ガスであるアノード排ガス(燃料オフガス)を、燃料電池スタック12から導出する。燃料ガス排出ライン36には、循環ライン40が連結されている。循環ライン40は、アノード排ガスをエジェクタ34に導く。循環ライン40には、水素ポンプ42(循環ポンプ)が設けられている。なお、水素ポンプ42は設けられなくてもよい。
燃料ガス排出ライン36には、気液分離器38が設けられる。気液分離器38の液体排出口38bには、接続ライン37が接続されている。接続ライン37には、ECU62によって開閉制御される排水バルブ39が設けられている。
酸化剤ガス供給装置26は、燃料電池スタック12の酸化剤ガス入口20cに接続された酸化剤ガス供給ライン44と、燃料電池スタック12の酸化剤ガス出口20dに接続された酸化剤ガス排出ライン46と、燃料電池スタック12に向けて空気を送給するエアポンプ48と、燃料電池スタック12に供給する空気を加湿する加湿器50とを有する。
エアポンプ48は、空気を圧縮するコンプレッサ48aと、コンプレッサ48aを回転駆動するモータ48bと、コンプレッサ48aに連結されたエキスパンダ48c(回生機構)とを有する。エアポンプ48は、ECU62により制御される。コンプレッサ48aは、酸化剤ガス供給ライン44に設けられている。酸化剤ガス供給ライン44において、コンプレッサ48aよりも上流側にはエアクリーナ52が設けられている。空気は、エアクリーナ52を介してコンプレッサ48aに導入される。
エキスパンダ48cは、酸化剤ガス排出ライン46に設けられている。エキスパンダ48cのインペラは、連結シャフト48dを介して、コンプレッサ48aのインペラに連結されている。コンプレッサ48aのインペラと、連結シャフト48dと、エキスパンダ48cのインペラとは、回転軸aを中心に一体に回転する。エキスパンダ48cのインペラにはカソード排ガスが導入されて、カソード排ガスから流体エネルギを回生する。回生エネルギは、コンプレッサ48aを回転させるための駆動力の一部を賄う。
加湿器50は、水分が透過可能な多数の中空糸膜を有し、中空糸膜によって、燃料電池スタック12に向かう空気と、燃料電池スタック12から排出された多湿のカソード排ガスとの間で水分交換させて、燃料電池スタック12に向かう空気を加湿する。
酸化剤ガス供給ライン44において、加湿器50と燃料電池スタック12の酸化剤ガス入口20cとの間に、気液分離器54が設けられている。気液分離器54に接続ライン37が接続されている。気液分離器54の液体排出口54aにはドレイン管55の一端が接続されている。ドレイン管55の他端は排気管60に接続されている。ドレイン管55にはオリフィス56が設けられている。なお、気液分離器54は設けられなくてもよい。気液分離器54が設けられない場合、接続ライン37は酸化剤ガス供給ライン44に直接接続されてもよい。
排気管60はエキスパンダ48cの出口48eに接続されている。排気管60は、エキスパンダ48cの出口48eから延出し、車体底部に沿って、車体後部まで延在している。
次に、上記のように構成された燃料電池システム10の作用を説明する。
燃料電池システム10は、通常運転時において、以下のように動作する。図5において、燃料ガス供給装置25では、燃料ガスタンク28から燃料ガス供給ライン30に燃料ガスが供給される。このとき、燃料ガスは、インジェクタ32によりエジェクタ34に向けて噴射され、エジェクタ34を介して、燃料ガス入口20aから燃料電池スタック12内の燃料ガス流路へと導入され、アノードに供給される。
一方、酸化剤ガス供給装置26では、エアポンプ48(コンプレッサ48a)の回転作用下に、酸化剤ガス供給ライン44に酸化剤ガスである空気が送られる。空気は、加湿器50にて加湿された後、酸化剤ガス入口20cから燃料電池スタック12内の酸化剤ガス流路に導入され、カソードに供給される。各発電セルでは、アノードに供給される燃料ガスと、カソードに供給される空気中の酸素とが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
アノードで消費されなかった燃料ガスは、アノード排ガスとして燃料ガス出口20bから燃料ガス排出ライン36に排出される。気液分離器38にはアノード排ガスとともにアノードから排出された液水が導入される。アノード排ガスは気液分離器38にて液水から分離され、気液分離器38の気体排出口38aを介して循環ライン40へ流入する。気液分離器38内の液量は、ECU62の指示に基づく排水バルブ39の開閉により調整される。なお、燃料電池スタック12の運転停止時に排水バルブ39は開弁され、気液分離器38内の液水は、重力により、接続ライン37を介して、酸化剤ガス供給ライン44に設けられた気液分離器54へ排出される。液水は、気液分離器54からドレイン管55及び排気管60を介して車外へと排出される。
アノード排ガスは、燃料ガス排出ライン36から循環ライン40を介してエジェクタ34に導入される。エジェクタ34に導入されたアノード排ガスは、インジェクタ32により噴射された燃料ガスと混合されて、燃料電池スタック12へと供給される。
燃料電池スタック12の酸化剤ガス出口20dからは、カソードで消費されなかった酸素を含む多湿のカソード排ガスと、カソードでの反応生成物である水とが、酸化剤ガス排出ライン46へと排出される。カソード排ガスは、加湿器50にて、燃料電池スタック12へと向かう空気と水分交換を行った後、エアポンプ48のエキスパンダ48cに導入される。エキスパンダ48cでは、カソード排ガスからエネルギ回収(回生)を行い、回生エネルギがコンプレッサ48aの駆動力の一部となる。カソード排ガス及び水は、エキスパンダ48cから排気管60へと排出され、排気管60を介して車外へと放出される。
燃料電池システム10の運転開始時に、ECU62が温度に基づき燃料電池スタック12の暖機が必要と判断した場合には、通常運転に先行して暖機運転を行う。暖機運転では、ECU62の指示により、気液分離器38に接続された接続ライン37に設けられた排水バルブ39が開けられる。そして、通常運転と同様に、燃料ガス供給装置25により燃料電池スタック12のアノードに燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス供給装置26により燃料電池スタック12のカソードに酸化剤ガスが供給されて、発電が行われる。
排水バルブ39は開弁しているため、接続ライン37を介して燃料ガスが酸化剤ガス供給ライン44に導入される。従って、燃料電池スタック12のカソードには、酸化剤ガスとともに燃料ガスも供給される。その結果、酸化剤ガスと燃料ガスとにより、カソード触媒で発熱反応(触媒燃焼)が生じる。この発熱反応に伴う熱と上記の発電反応に伴う熱とによって、燃料電池スタック12が迅速に加熱される。そして、暖機完了温度に到達したと判断された場合には、排水バルブ39が閉じられて、上述した通常運転に移行する。
この場合、本実施形態に係る燃料電池システム10は、以下の効果を奏する。
図3に示したように、この燃料電池システム10によれば、補機ケース15は、燃料電池スタック12に積層方向の締付荷重を付与するエンドプレート部88aを一体に有するため、構造の合理化が図られる。すなわち、この燃料電池システム10では、補機ケース15とエンドプレートとが別々の部品として設けられているのではなく、補機ケース15の一部が、エンドプレートを兼ねている(エンドプレートが補機ケース15に統合されている)。このため、構造の合理化によりシール界面やフランジの削減が図られるとともに、コスト及び重量の低減や小型化を図りやすい。また、補機ケース15の構造が比較的簡易であり、シール界面が少ないため、スタックケース14に対し、比較的簡単に補機ケース15を組み付けることができる(組立性が良い)。
特に本実施形態では、補機ケース15は、スタックケース14に隣接した第1ケース部材88と、第1ケース部材88に接合された第2ケース部材90とを備える。スタックケース14と第2ケース部材90との間に第1ケース部材88が配置されている。第1ケース部材88は、スタックケース14に接合されたエンドプレート部88aと、エンドプレート部88aの周縁部88ae全周からエンドプレート部88aの厚さ方向で前記第2ケース部材側に延出した周壁部88bとを有する。そして、第1ケース部材88内に燃料電池用補機70の少なくとも一部が収納されている。この構成により、燃料電池用補機70を外部荷重から良好に保護することができる。
エンドプレート部88aの周縁部は、第1ケース部材88の周壁部88bより内方に配置された締結部材(ボルト82a)によりスタックケース14の端部に接合されている。この構成により、補機ケース15の内部空間をより大きく確保することができる。すなわち、燃料電池用補機70の配置スペースを確保しやすい。
スタックケース14と第1ケース部材88との間で締結部材(ボルト82a)の外方には全周に亘ってシール部材79が配置されている。この構成により、補機ケース15内で燃料ガスが漏れ出た場合でも、燃料ガスが補機ケース15内からボルト挿通孔88hを介して外部へと漏れることを確実に防止することができる。
エンドプレート部88aの周縁部は、第1ケース部材88の周壁部88bより内方に配置された複数の第1締結部材(ボルト82a)によりスタックケース14の端部に接合されている。第2ケース部材90は、複数の第2締結部材(ボルト82b)により第1ケース部材88の周壁部88bに接合されている。そして、図4に示したように、複数の第1締結部材(ボルト82a)と複数の第2締結部材(ボルト82b)とは、第1ケース部材88の外周部に沿って千鳥状に配置されている。この構成により、ケース本体76と第1ケース部材88とを第1締結部材(ボルト82a)により固定する際に、締結用の工具が第1ケース部材88に干渉しにくいため、組立性を容易に確保することができる。また、上記千鳥状の配置に伴うスペース効率向上により、第1ケース部材88を備えた補機ケース15(ひいては燃料電池システム10)の小型化が図られる。
第1ケース部材88の周壁部88b及び第1フランジ部88cの内面において、互いに隣接するネジ穴83bの間には、第1ケース部材88の外周面に向かって窪む凹部85が設けられている。この構成により、凹部85の箇所で周壁部88b及び第1フランジ部88cの肉厚を薄くすることができ、第1ケース部材88の軽量化が図られる。また、第1ケース部材88の内周部は凹部85の箇所で切り欠かれているため、第1締結部材(ボルト82a)の締結の際に用いる工具(締結工具)が第1ケース部材88の内周部に干渉することが効果的に防止され、締結工具を回しやすい。さらに、凹部85が設けられることで、ネジ穴83aとネジ穴83bとの中心間距離Lを小さくすることができ、第1ケース部材88を備えた補機ケース15の小型化が図られる。
特に、燃料電池用補機70は、燃料ガス系デバイス70Aを有し、燃料ガス系デバイス70Aは、第1ケース部材88内に収納されている。この構成により、燃料ガス系デバイス70Aを外部荷重から良好に保護することができる。
第2ケース部材90は、燃料電池スタック12から離れる方向に凹んだ凹形状を有する。燃料電池用補機70は、酸化剤ガス系デバイス70Bを有する。そして、酸化剤ガス系デバイス70Bは、第2ケース部材90内に収納されている。この構成により、酸化剤ガス系デバイス70Bから燃料ガスが漏れ出た場合でも、補機ケース15の換気機能により燃料ガスを所定領域(車外)へと適切に排出することができる。
なお、上述した本実施形態では、図1において、燃料電池スタック12の積層方向が車両幅方向(矢印B方向)を向くように燃料電池システム10が燃料電池車両11に搭載されているが、これとは異なり、燃料電池スタック12の積層方向が車両前後方向(矢印A方向)を向くように燃料電池システム10が燃料電池車両11に搭載されてもよい。上述した本実施形態では、スタックケース14が右側に配置され、補機ケース15が左側に配置されるように、燃料電池システム10が燃料電池車両11に搭載されているが、これとは異なり、スタックケース14が左側に配置され、補機ケース15が右側に配置されるように、燃料電池システム10が燃料電池車両11に搭載されてもよい。
本発明は、スタックケース14を備えない燃料電池システムにも適用可能である。この場合、図示は省略するが、例えば、燃料電池スタック12の積層方向一端側に配置された補機ケース15の第1ケース部材88と、燃料電池スタック12の積層方向他端側に配置されたエンドプレート部材とが、バー状又はロッド状の複数の連結部材により連結されることで、燃料電池スタック12に積層方向の締付荷重が付与される。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
10…燃料電池システム 11…燃料電池車両
12…燃料電池スタック 14…スタックケース
15…補機ケース 32…インジェクタ
50…加湿器 70…燃料電池用補機
70A…燃料ガス系デバイス 70B…酸化剤ガス系デバイス
88…第1ケース部材 88a…エンドプレート部
88b、90b…周壁部 90…第2ケース部材

Claims (13)

  1. 燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックを収納するスタックケースと、
    前記スタックケースに接合され、燃料電池用補機を収納した補機ケースと、を備え、
    前記補機ケースは、前記燃料電池スタックに積層方向の締付荷重を付与するエンドプレート部を一体に有
    前記補機ケースは、前記スタックケースに隣接した第1ケース部材と、前記第1ケース部材に接合された第2ケース部材とを備え、
    前記スタックケースと前記第2ケース部材との間に前記第1ケース部材が配置されており、
    前記第1ケース部材は、前記スタックケースに接合された前記エンドプレート部と、前記エンドプレート部の周縁部全周から前記エンドプレート部の厚さ方向で前記第2ケース部材側に延出した周壁部とを有する、燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムにおいて
    記第1ケース部材内に前記燃料電池用補機の少なくとも一部が収納されている、燃料電池システム。
  3. 請求項1記載の燃料電池システムにおいて
    記エンドプレート部の前記周縁部は、前記周壁部より内方に配置された締結部材により前記スタックケースの端部に接合されている、燃料電池システム。
  4. 請求項3記載の燃料電池システムにおいて、
    前記スタックケースと前記第1ケース部材との間で前記締結部材の外方には全周に亘ってシール部材が配置されている、燃料電池システム。
  5. 請求項1記載の燃料電池システムにおいて
    記エンドプレート部の前記周縁部は、前記周壁部より内方に配置された複数の第1締結部材により前記スタックケースの端部に接合されており、
    前記第2ケース部材は、複数の第2締結部材により前記第1ケース部材の前記周壁部に接合されており、
    前記複数の第1締結部材と前記複数の第2締結部材とは、前記第1ケース部材の外周部に沿って千鳥状に配置されている、燃料電池システム。
  6. 請求項2~5のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池用補機は、燃料ガス系デバイスを有し、
    前記燃料ガス系デバイスは、前記第1ケース部材内に収納されている、燃料電池システム。
  7. 請求項6記載の燃料電池システムにおいて、
    前記第2ケース部材は、前記燃料電池スタックから離れる方向に凹んだ凹形状を有し、
    前記燃料電池用補機は、酸化剤ガス系デバイスを有し、
    前記酸化剤ガス系デバイスは、前記第2ケース部材内に収納されている、燃料電池システム。
  8. 請求項7記載の燃料電池システムにおいて、
    前記補機ケースは、換気用空気導入孔を有する、燃料電池システム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記補機ケースは、前記スタックケースの水平方向に隣接して配置されており、
    前記補機ケースの鉛直方向の外形寸法は、前記スタックケースの鉛直方向の外形寸法よりも大きい、燃料電池システム。
  10. 請求項2~7のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記第2ケース部材の前記積層方向に沿った外形寸法は、前記第1ケース部材の前記積層方向に沿った外形寸法よりも大きい、燃料電池システム。
  11. 請求項6又は7記載の燃料電池システムにおいて、
    前記燃料ガス系デバイスは、燃料ガスを噴射するインジェクタを有する、燃料電池システム。
  12. 請求項7記載の燃料電池システムにおいて、
    前記酸化剤ガス系デバイスは、前記燃料電池スタックに向けて供給する酸化剤ガスを加湿する加湿器を有する、燃料電池システム。
  13. 燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックに隣接して配置され、燃料電池用補機を収納した補機ケースと、を備え、
    前記補機ケースは、前記燃料電池スタックに積層方向の締付荷重を付与するエンドプレート部を一体に有
    前記補機ケースは、前記燃料電池スタックに隣接した第1ケース部材と、前記第1ケース部材に接合された第2ケース部材とを備え、
    前記燃料電池スタックと前記第2ケース部材との間に前記第1ケース部材が配置されており、
    前記第1ケース部材は、前記エンドプレート部と、前記エンドプレート部の周縁部全周から前記エンドプレート部の厚さ方向で前記第2ケース部材側に延出した周壁部とを有する、燃料電池システム。
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