(第1の実施形態)
図1は、本発明を降圧型のスイッチング電源に適用した第1の実施形態を示す回路構成図である。以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本構成例のスイッチング電源1は、入力端子VINに供給される入力電圧Vinを降圧して所望の出力電圧Voutを出力端子VOUTに出力する、よく知られた降圧型のスイッチング電源を構成する。
スイッチング電源1は、出力トランジスタ2(本図の例ではpチャネル型のトランジスタ)、同期整流半導体素子3(本図ではnチャネル型のトランジスタ)、ソフトスタート回路4、オフセットコンパレータ5、エラーアンプ6、発振回路7、加算手段8、PWMコンパレータ9及び駆動回路10、並びに、インバータ20を備える。出力トランジスタ2は、スイッチング素子として、同期整流半導体素子3は、同期整流用トランジスタとして、それぞれ用意されている。出力トランジスタ2と同期整流半導体素子3は、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成するためにオン/オフされるスイッチング手段を構成する。同期整流半導体素子は、トランジスタではなく、ダイオードに置き換えてもよい。
さらに、スイッチング電源1に用意された複数の外部端子(VIN、SW、PGND、AGND、RT、COMP、SS、及びFB)には、種々の外部電圧ないしは外付け素子(入力電圧Vin、インダクタL、キャパシタC1~C3、抵抗R1~R4及び接地電位GND)が接続されている。スイッチング電源1は、これらの外部端子及び外付け素子によって入力電圧Vinを降圧する。
入力電圧Vinが印加される入力端子VINは、出力トランジスタ2のソースに接続される。出力トランジスタ2のドレインは、スイッチング端子SW及び同期整流半導体素子3のドレインに接続される。同期整流半導体素子3のソースは、接地端子PGNDを介して接地電位GNDに接続されている。接地電位GNDに接続される接地端子PGNDには大電流が流れる同期整流半導体素子3のソースのみが接続されている。接地端子PGNDとは別に用意された接地端子AGNDには、比較的小電流が流れる回路部が接続されている。接地端子AGNDは、接地電位GNDに接続される。こうした回路構成によって、小電流が流れる回路部の動作が、同期整流半導体素子3側に流れる大電流によって不具合を生じないようにしている。
インダクタLの一端は、スイッチング端子SWに接続されている。なお、スイッチング端子SWには、入力電圧Vinと接地電位GNDとの間でパルス駆動される矩形波状のスイッチング電圧Vswが現れる。インダクタLの他端は、出力端子VOUT及びキャパシタC3の一端に接続されている。キャパシタC3の他端は、接地電位GNDに接続されている。キャパシタC3は、インダクタLに蓄積された電磁エネルギーを平滑する。
出力端子VOUTと接地電位GNDとの間に直列接続された抵抗R1及びR2は、帰還電圧生成回路として動作する。抵抗R1及びR2は、互いの接続ノードに帰還電圧Vfbを出力する。帰還電圧Vfbは、帰還端子FBを介して、オフセットコンパレータ5の反転入力端子(-)及びエラーアンプ6の反転入力端子(-)にそれぞれ印加される。
ソフトスタート回路4は、例えば、抵抗、キャパシタC2及びスイッチング素子で構成されており、三角波状、または、のこぎり波状のソフトスタート電圧Vssを生成する。ソフトスタート回路4の一部であるキャパシタC2は、ソフトスタート端子SSに外部接続されている。キャパシタC2の一端はソフトスタート端子SSに、その他端は接地電位GNDにそれぞれ接続されている。キャパシタC2の容量値を選ぶことで、ソフトスタート電圧Vssの三角波状の振幅値やその傾きを調整することができる。
ソフトスタート回路4は、スイッチング電源1の起動と共に、ソフトスタート端子SSに接続されるキャパシタC2の充電を開始させる。キャパシタC2に充電された電圧は、ソフトスタート端子SSを介してソフトスタート回路4に入力され、ソフトスタート電圧Vssとして出力される。ソフトスタート電圧Vssの最大振幅値、傾きの設定は、キャパシタC2の容量値やキャパシタC2を充電する定電流値や抵抗値を適宜選ぶことで行われる。この様なソフトスタート回路4により、スイッチング電源1の起動時には、穏やかに上昇するソフトスタート電圧Vssを用いて、それに追従する帰還電圧Vfbの出力帰還制御が行われるので、出力電圧VoutのオーバーシュートやキャパシタC3への突入電流を未然に防止することが可能となる。ソフトスタート回路4は、例えば過電流保護信号OCPによりリセットされる。例えば、地絡状態すなわちスイッチング端子SWまたは帰還端子FBが接地電位GNDに接触した状態となり、出力トランジスタ2に過大電流が流れた場合には、ソフトスタート電圧VssをローレベルLになるようにリセットする。
オフセットコンパレータ5は、例えば、反転入力端(-)に入力されるソフトスタート電圧Vss(本図ではVss-ΔV)と、非反転入力端(+)に入力される帰還電圧Vfbとを比較し、その比較結果に応じてハイレベル(“H”)またはローレベル(“L”)のオフセット検出信号SSHをインバータ20を介して出力する。オフセット検出信号SSHは、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの電位差(=Vss-Vfb)が所定のオフセット電圧ΔV(例えば300mV)よりも大きい場合には例えばハイレベル(“H”)を、電位差(=Vss-Vfb)がオフセット電圧ΔVより小さい場合にはローレベル(“L”)を後段の駆動回路10に出力する。帰還電圧Vfbは、例えば0.6V~5Vである。なお、オフセット電圧ΔVは、オフセットコンパレータ5の外部で設定されてもよいが、本発明の一例では、オフセットコンパレータ5の内部で設定している。なお、オフセットコンパレータ5の内部回路及びその回路動作については後述する。
エラーアンプ6は、帰還電圧Vfbソフトスタート電圧Vssを第1参照電圧Vref1のいずれか低い方と比較し、その比較結果に応じた誤差信号Verrを出力する。エラーアンプ6の第1非反転入力端子(+)にはソフトスタート電圧Vss、第2非反転入力端子(+)には第1参照電圧Vref1、反転入力端子(-)には帰還電圧Vfbがそれぞれ印加される。エラーアンプ6は、各入力端子に入力された信号、電圧に応じて出力される誤差信号Verrを、PWMコンパレータ9の反転入力端子(-)に出力する。
エラーアンプ6の出力とPWMコンパレータ9の反転入力端子(-)との間を結ぶ信号経路には、位相補償端子COMPが用意される。位相補償端子COMPと接地電位GNDとの間には、抵抗R4及びキャパシタC1が直列に接続されている。
位相補償端子COMP及び接地電位GND間に直列接続された抵抗R4及びキャパシタC1は、位相補償回路として構成されている。抵抗R4及びキャパシタC1は、エラーアンプ6のゲイン(電圧利得)と周波数特性を設定する。このような位相補償回路によってスイッチング電源1の周波数特性が補正される。
発振回路7は、例えばよく知られたCR発振器や、インバータまたは差動増幅器をリング状に接続したリングオシレータで構成されている。発振回路7は、クロック信号CLKとランプ信号Vrampを生成する。クロック信号CLKは、後段の駆動回路10にセット信号Ssetとして供給される。ランプ信号Vrampは、クロック信号CLKに基づき生成され、後段のPWMコンパレータ9に供給されるスロープ信号Vslopeを生成するための元信号となる。なお、クロック信号CLK及びランプ信号Vrampの発振周波数は、外付け端子RTと接地端との間に接続された抵抗R3の抵抗値を調整することにより任意に設定することが可能である。
加算手段8は、ランプ信号Vrampと、信号線currを介して印加されるスイッチング電流Iswに応じた電圧成分とを加算することにより、スロープ信号Vslopeを生成してPWMコンパレータ9の非反転入力端子(+)に出力する。加算手段8から出力されるスロープ信号Vslopeは、出力トランジスタ2に流れるスイッチング電流Iswに応じた電圧成分が加味されたものとなり、スイッチング電源1を電流モード制御方式で作動させている。
PWMコンパレータ9は、例えば、非反転入力端(+)に入力されるスロープ信号Vslopeと、反転入力端(-)に入力される誤差信号Verrとを比較し、その比較結果に応じたリセット信号Sresetを後段の駆動回路10に出力する。
駆動回路10は、セット信号Sset、リセット信号Sreset及びオフセット検出信号SSHを受け、出力トランジスタ2を駆動するpMOSゲート信号Gp及び同期整流半導体素子3を駆動するnMOSゲート信号Gnをそれぞれ出力する。pMOSゲート信号Gpは出力トランジスタ2のゲートに、nMOSゲート信号Gnは同期整流半導体素子3のゲートにそれぞれ供給されている。
駆動回路10は、pMOSゲート信号Gp及びnMOSゲート信号Gnにより、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3を相補的にオン/オフする。駆動回路10の内部には図示しない、例えばRSフリップフロップが用意されており、このRSフリップフロップのセット端子には発振回路7で生成されるセット信号Ssetが、リセット端子にはPWMコンパレータ9から出力されるリセット信号Sresetがそれぞれ印加される。
このような構成の降圧型のスイッチング電源1の動作について以下に説明する。降圧モードにおけるスイッチング電源1は、出力トランジスタ2がオン状態で同期整流半導体素子3がオフ状態である場合、入力端子VINからインダクタLを介してキャパシタC3に電流が流れ、磁気エネルギーが蓄えられる。逆に、出力トランジスタ2がオフ状態で同期整流半導体素子3がオン状態である場合、同期整流半導体素子3とインダクタLを介してキャパシタC3に電流が流れることにより、インダクタLに蓄えられていた磁気エネルギーが放出される。このような動作により、入力電圧Vinが降圧され、出力端子OUTから出力電圧Voutが出力される。抵抗R1と抵抗R2は、出力端子VOUTから出力される出力電圧Voutを分圧して帰還電圧Vfbを生成し、帰還端子FBに送出する。
駆動回路10は、オフセットコンパレータ5(より正確にはインバータ20)から出力されるオフセット検出信号SSHを受け、後段の出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3に過大電流が流れるという不具合を抑制するよう作用する。すなわち、オフセット検出信号SSHが例えばハイレベル(“H”)のとき、出力トランジスタ2の動作を強制的にオフすることで、スイッチング電源1の動作を停止する。なお、オフセット検出信号SSHがローレベル(“L”)のときは、駆動回路10は、前述の通り、pMOSゲート信号GpとnMOSゲート信号Gnを出力し、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3を相補的にオン/オフする。
駆動回路10には、出力トランジスタ2から同期整流半導体素子3に向かって流れる過大な貫通電流を防止するため、pMOSゲート信号Gpがハイレベル(“H”)となり、nMOSゲート信号Gnがローレベル(“L”)となる区間、いわゆるデッドタイムが設けられている。デッドタイムの区間、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3は共にオフ状態となり、貫通電流の電流経路を阻止する。
以上述べたように、図1のスイッチング電源1は、帰還電圧Vfbとソフトスタート電圧Vssとの電位差がオフセット電圧ΔVに達した場合に、オフセット検出信号SSHを駆動回路10に供給し、駆動回路10によって出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3に過大電流が流れるという不具合を排除するというものである。
図2Aは、図1に係るスイッチング電源1が通常動作しているときのタイミングチャートである。本書でスイッチング電源1の“通常動作”とは、地絡事故が発生していない状態での回路動作をいう。また、“地絡”とは、スイッチング端子SWまたは帰還端子FBが接地電位GNDに接触した状態をいう。ただし、図示していないが、ソフトスタート電圧Vssにフィードバック電圧Vfbが安定して追従せずに、所定の電位差が開いてしまった場合も“地絡”として取り扱うものとする。
図2Aにおいて、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において一定の傾きで緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、時刻t2~t3においても時刻t1~t2と同じ傾きで上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、時刻t3で最大値Vmaxに達する。最大値Vmaxと第1参照電圧Vref1との差分電圧を示すマージン電圧Vmrは、オフセット電圧ΔVよりも小さくなるように設定されている(Vmr<ΔV)。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの上昇及び下降にそれぞれ追従する。帰還電圧Vfbは、時刻t1~t2の区間、一定の傾きで上昇する。時刻t2で帰還電圧Vfbが第1参照電圧Vref1に到達すると、時刻t2~t3の区間は、帰還電圧Vfbが第1参照電圧Vref1と同電位に維持される。従って、帰還電圧Vfbの上限値は、第1参照電圧Vref1に基づき設定される。こうした条件設定は、後述する他の実施形態でも同じである。
オフセット検出信号SSHは、オフセットコンパレータ5(より正確にはインバータ20)から出力される。オフセット検出信号SSHは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)を超えた場合、すなわち、Vss>(Vfb+ΔV)の場合には例えばハイレベルHを、超えていない場合、すなわち、Vss<(Vfb+ΔV)の場合にはローレベルLをそれぞれ出力する。図2Aに示したオフセット検出信号SSHは、時刻t1~t3の区間において、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)を超えていない状態、すなわち、ローレベルLであることを示している。従って、図1に示したスイッチング電源1のスイッチング端子SWに地絡が生じていない通常状態では、オフセット検出信号SSHは常時ローレベルLである。
図2Bは、図2Aと同様にスイッチング電源1が通常動作しているときのタイミングチャートである。図2Bが図2Aと異なるのは、マージン電圧Vmrとオフセット電圧ΔVとの大小関係が逆転していることである。すなわち、ソフトスタート電圧Vssとオフセット電圧ΔVとの大小関係がVmr>ΔVに設定された場合を示す。こうした条件下では図2Aとは異なる振る舞いとなる。
図2Bにおいて、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において一定の傾きで緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、時刻t2~t3においても時刻t1~t2と同じ傾きで上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、時刻t3でローレベルLにリセットされる。ソフトスタート電圧VssがローレベルLにリセットされるのは、後述する不所望な擬似地絡におけるオフセット検出信号SSHによって、ソフトスタート回路4にリセットが掛けられるからである。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの上昇及び下降にそれぞれ追従する。帰還電圧Vfbは、時刻t2で第1参照電圧Vref1に達すると、時刻t3まで第1参照電圧Vref1と同電位に維持され、時刻t3ではソフトスタート電圧Vssに追従してローレベルLに立ち下がる。
オフセット検出信号SSHは、時刻t1,t2ではローレベルLであるが、時刻t3で瞬間的にスパイク状のハイレベルHが表われる。これは、時刻t3でソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)を超えた結果、オフセットコンパレータ5の回路動作が反転するからである。通常動作では、本来、オフセット検出信号SSHは、ローレベルLであるはずであるが、Vmr>ΔVに設定された場合には、地絡が発生したときと同様に、ハイレベルHの電圧であるスパイク状のオフセット検出信号SSHが発生する。
以上述べたように、マージン電圧Vmrとオフセット電圧ΔVとの大小関係をVmr>ΔVに設定すると、地絡発生とは区別ができない擬似地絡が発生するという不具合が生じる。従って、図1のスイッチング電源1では、マージン電圧Vmrとオフセット電圧Δとの大小関係は、Vmr<ΔVになるように設定することが要求される。
図3は、図1に係るスイッチング電源1のスイッチング端子SWまたは帰還端子FBが接地電位GNDに接触した状態(いわゆる地絡が発生した状態)を想定したときのタイミングチャートを示す。地絡が発生するタイミングを予測することはできないが、説明の便宜上、地絡の発生タイミングを、次の3つに分けてそれぞれ説明する。
図3の状態(A)は、スイッチング電源1が起動する前の段階で既に地絡が発生している状態を想定したものである(以下、地絡状態(A)と記す)。
地絡状態(A)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において、緩やかに一定の傾きで上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、第1参照電圧Vref1の電位まで達することはなく、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfb(0V)にオフセット電圧ΔVを加えた電位、すなわち、オフセット電圧ΔVに達した時刻t2で、ローレベルLにリセットされる。
地絡状態(A)において、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に関わらず、時刻t1~t2の区間でローレベルLとなる。なぜならば、ソフトスタート電圧Vssが立ち上がる時刻t1よりも前から既に地絡が発生しているという想定下では、帰還端子FBに電圧が生じていないからである。
地絡状態(A)において、オフセット検出信号SSHは、時刻t1ではローレベルLである。オフセット検出信号SSHには、時刻t2で、瞬間的にスパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位よりも高くなり、オフセットコンパレータ5の出力がローレベルLからハイレベルHに遷移するからである。
図3の状態(B)は、スイッチング電源1が起動時(時刻t1以前)では地絡を発生していないが、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に到達する前の時刻t2で地絡を発生した状態を想定したものである(以下、地絡状態(B)と称する)。
地絡状態(B)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において一定の傾きで上昇する。時刻t2で地絡が発生すると、ソフトスタート電圧Vssは、瞬間的にローレベルLにリセットされる。これは、地絡が発生すると、出力トランジスタ2に過大電流が流れ、図示しない過電流保護回路から出力される過電流検出信号OCPにより、ソフトスタート回路4にリセットが掛けられるからである。
地絡状態(B)において、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に追従し、時刻t1~t2の区間では一定の傾きで緩やかに上昇するが、時刻t2で発生した地絡に伴い、ローレベルLとなる。
地絡状態(B)において、オフセット検出信号SSHは、時刻t1ではローレベルLである。時刻t2での地絡発生に伴い、オフセット検出信号SSHには、時刻t2で瞬間的にスパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが、帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位よりも高くなり、オフセットコンパレータ5の出力がローレベルLからハイレベルHに遷移するからである。
図3の状態(C)は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1を超えて、さらにマージン電圧Vmrを超えるも、オフセット電圧ΔVに達する前に地絡が発生した状態を想定したものである(以下、地絡状態(C)と称する)。
地絡状態(C)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t3において、一定の傾きで緩やかに上昇し、地絡が発生した時刻t3でローレベルLにリセットされる。
地絡状態(C)において、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に追従し、時刻t1~t2の区間では一定の傾きで上昇し、時刻t2で第1参照電圧Vref1に達すると、時刻t2~t3の区間では第1参照電圧Vref1と同電位に維持されるが、時刻t3で発生した地絡に伴い、ローレベルLとなる。
地絡状態(C)において、オフセット検出信号SSHは、時刻t1~t2の区間はローレベルLであり、地絡発生の時刻t3において、オフセット検出信号SSHには、瞬間的にスパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位よりも高くなり、オフセットコンパレータ5の出力がローレベルLからハイレベルHに遷移するからである。なお、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t2で帰還電圧Vfbと同電位となった後も上昇を続けるので、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの電位差(Vss-Vfb)が開いていくが、時刻t2~t3では、オフセット電圧ΔVを超えるまでには至っていないので、オフセット検出信号SSHは、ローレベルLのままである。
次に、オフセット電圧ΔVの適正値について考察する。オフセット電圧ΔVが小さ過ぎると、ノイズ耐性が下がるので、誤動作を生じやすくなる。一方、オフセット電圧ΔVが小さい方が、地絡の発生からこれを検知するまでの時間を短縮することができるので、安全性を高めることができる。このようなトレードオフを鑑み、オフセット電圧ΔVについては、例えば、10mV<ΔV<Vref/3<Vref(=0.8V)となるように、設定することが望ましい。
(第2の実施形態)
図4は、本発明を適用した降圧型スイッチング電源の第2の実施形態を示す回路構成図である。第2の実施形態は、前述の第1の実施形態に存在する不具合を克服するために用意されている。第2の実施形態に係るスイッチング電源100は、図1に示したスイッチング電源1に地絡検出回路11及び論理積回路12を追加した点で異なる。その他の回路構成は同じである。ここでは、図4が図1と異なる回路構成について説明する。
図4において、地絡検出回路11は、例えばコンパレータで構成され、その反転入力端子(-)には帰還電圧Vfbが、非反転入力端子(+)には第2参照電圧Vref2がそれぞれ印加される。論理積回路12は、オフセットコンパレータ5(より正確にはインバータ20)から出力されるオフセット検出信号SSHと、地絡検出回路11から出力される第1地絡検出信号Vs1を受けて、ショート保護制御信号Vscpを駆動回路10に出力する。地絡検出回路11は、従前からよく採用される地絡検出手段であり、帰還電圧Vfbを第2参照電圧Vref2と比較し、ソフトスタート電圧Vssの起動後の所定時間経過後における帰還電圧Vfbが所定の電位に達していない場合には、地絡が発生していると判定する方式である。
地絡検出回路11では、帰還電圧Vfbを第2参照電圧Vref2と比較し、その比較結果に応じてハイレベル(“H”)またはローレベル(“L”)の第1地絡出力信号Vs1を出力する。すなわち、第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2より小さい場合にはハイレベル(“H”)を、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2より大きい場合はローレベル(“L”)を論理積回路12にそれぞれ出力する。
論理積回路12は、入力されるオフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1の2つの信号を論理積演算する回路であり、その演算結果をショート保護制御信号Vscpとして出力する。入力されるオフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1が共にハイレベル(“H”)のとき、地絡制御信号Vscpはハイレベル(“H”)を後段の駆動回路10に出力する。入力されたオフセット検出信号SSHと第1地絡検出信号Vsのどちらか一方がローレベル(“L”)、またはオフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1が共にローレベル(“L”)のとき、ショート保護制御信号Vscpはローレベル(“L”)を後段の駆動回路10に出力する。
駆動回路10は、論理積回路12からのショート保護制御信号Vscpを受け、出力トランジスタ2ないしは同期整流半導体素子3に、所定以上の電流(過大電流)が流れるという不具合を防止するいわゆるショート保護回路の回路動作を行う。すなわち、第1地絡検出信号Vs1がハイレベル(“H”)のとき、スイッチング電源1の回路動作を停止させる。なお、ショート保護制御信号Vscpがローレベル(“L”)のときは、駆動回路10は、前述の通り、pMOSゲート信号Gp及びnMOSゲート信号Gnを出力し、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3を相補的にオン/オフさせるという、通常の回路動作制御を行う。
図5Aは、図4に係るスイッチング電源100が通常動作しているときのタイミングチャートである。図5Aは、オフセット電圧ΔVがマージン電圧Vmrに比べて大きく設定された場合(ΔV>Vmr)である。こうした条件は前述の図2Aと同じである。
本書での通常動作とは、地絡事故が発生していない回路動作をいう。また、地絡とは、スイッチング端子SWまたは帰還端子FBが接地電位GNDに接触した状態をいう。
図5Aにおいて、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t4において、一定の傾きで緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、時刻t4において、第1参照電圧Vref1にマージン電圧Vmrを加えた大きさの最大値Vmaxに達する。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの上昇及び下降にそれぞれ追従する。帰還電圧Vfbは、時刻t1~t3の区間は一定の傾きで緩やかに上昇する。帰還電圧Vfbは、時刻t2で第2参照電圧Vref2を超え、時刻t3で第1参照電圧Vref1に達すると、時刻t4までの区間、第1参照電圧Vref1と同電位に維持される。
オフセット検出信号SSHは、オフセットコンパレータ5(より正確にはインバータ20)から出力される。オフセット検出信号SSHは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)を超えたとき、すなわち、Vss>(Vfb+ΔV)であるときハイレベルHを、超えていない場合、すなわち、Vss<(Vfb+ΔV)にはローレベルLをそれぞれ出力する。なお、前にも説明したように、帰還電圧Vfbの上限は第1参照電圧Vref1で制約される。
図5Aに示したオフセット検出信号SSHは、時刻t1~t4の区間において、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)を超えていない状態、すなわち、ローレベルLになることを示している。
第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2との比較により地絡検出回路11から出力される。第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも低い場合にはハイレベルHとなり、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも高い場合にはローレベルLとなる。従って、第1地絡出力信号Vs1は、時刻t1~t2の区間にはハイレベルHとなり、時刻t2~t4の区間にはローレベルLとなる。
ショート保護制御信号Vscpは、オフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1とを論理積演算して生成される。ショート保護制御信号Vscpは、時刻t1~t4の全区間においてローレベルLを出力する。ショート保護制御信号VscpがローレベルLであるとき、駆動回路10の制御に何ら影響を与えないので、駆動回路10は、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3を相補的にオン/オフさせるという通常の回路動作制御を行う。
図5Bは、図5Aと同様に、図4に係るスイッチング電源100が通常動作を行っているとき、すなわち、地絡が発生していないときのタイミングチャートである。図5Bは、図5Aとは異なり、マージン電圧Vmrとオフセット電圧ΔVとの大小関係が、Vmr>ΔVに設定された場合を想定している。すなわち、ソフトスタート電圧Vssの最大値Vmaxが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位よりも大きく設定された場合である(Vmax>(Vfb+ΔV))。こうした状態は、前述の図2Bに好ましくない例として示している。
図5Bにおいて、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において一定の傾きをもって緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、時刻t2~t5においても、時刻t1~t2と同じ傾きで上昇する。なお、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t3で第1参照電圧Vref1と同じ電位に、時刻t4で第1参照電圧Vref1にオフセット電圧ΔVを加えた電位(=Vref1+ΔV)にそれぞれ達し、時刻t5で最大値Vmaxに達する。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの上昇及び下降の振る舞いにそれぞれ追随する。帰還電圧Vfbは、時刻t1で上昇し始め、時刻t2で第2参照電圧Vref2に達する。また、帰還電圧Vfbは、時刻t3で第1参照電圧Vref1に達すると、以後、その電位は時刻t4を越え時刻t5まで維持される。
オフセット検出信号SSHは、オフセットコンパレータ5(より正確にはインバータ20)から出力される。オフセット検出信号SSHは、時刻t1~t4の区間はローレベルLであり、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位を超える時刻t4以降ではハイレベルHとなる。こうした論理レベルの遷移は、前述の図5Aでは発生しなかった振る舞いとなる。
第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2とを地絡検出回路11で比較した結果出力される。第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも低い場合にはハイレベルHとなり、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも高い場合にはローレベルLとなる。従って、第1地絡出力信号Vs1は、時刻t2以前にはハイレベルHとなるが、時刻t2以後はローレベルLとなる。第2参照電圧Vref2は、第1参照電圧Vref1よりも低い電位に設定されている。これにより、第1地絡出力信号Vs1の出力タイミングを早め、かつ、オフセット検出信号SSHが発生するタイミングとの間に時間なマージンをもたせることができ、論理積回路12での論理積演算を適確に行うことができる。
ショート保護制御信号Vscpは、オフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1とを論理積回路12で論理積演算して生成される。ショート保護制御信号Vscpは、時刻t1~t5の区間においてローレベルLを出力する。ショート保護制御信号VscpがローレベルLであるとき、駆動回路10の制御に何ら影響を与えないので、駆動回路10は、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3を相補的にオン/オフさせるという通常の回路動作制御を行う。
図5Bは、図1のスイッチング電源1では好ましくない条件とされた、マージン電圧Vmrとオフセット電圧ΔVとの大小関係をVmr>ΔVにあえて想定した場合を示した。こうした条件下であっても図4のスイッチング電源100では、図1のスイッチング電源1とは異なり、本来の適正な回路動作を行うことができる。
図6は、図4に係るスイッチング電源100のスイッチング端子SWまたは帰還端子FBが接地電位GNDに接触した状態(いわゆる地絡が発生した状態)を想定したタイミングチャートである。こうした地絡の状態を、大きく次の3つの状態(A)~(C)に分けて、図4を参照しながら説明する。
図6の状態(A)は、スイッチング電源100が起動する前の段階で既に地絡が発生している状態を想定したものである(以下、地絡状態(A)と記す)。
地絡状態(A)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において一定の傾きで緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、オフセット電圧ΔVに達したタイミングの時刻t2でローレベルLにリセットされる。このリセットは、過電流保護信号OCPによって行われる。
地絡状態(A)において、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に関わらず、時刻t1~t2の区間においてローレベルLとなる。なぜならば、ソフトスタート電圧Vssが立ち上がる前から既に地絡が発生しているので、帰還端子FBに電圧が生じていないからである。
地絡状態(A)において、オフセット検出信号SSHは、時刻t1ではローレベルLである。時刻t2で、オフセット検出信号SSHには、瞬間的にスパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位よりも高くなり、オフセットコンパレータ5の出力がローレベルLからハイレベルHに反転するからである。
第1地絡出力信号Vs1は、時刻t1~t2の区間ハイレベルHを維持する。これは、第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2との比較に基づき出力されるが、地絡によって帰還電圧Vfbは常時ローレベルLであり、地絡検出回路11の非反転入力端子(+)に印加される第2参照電圧Vref2が帰還電圧Vfbよりも常時高くなっているからである。
地絡状態(A)において、ショート保護制御信号Vscpは、論理積回路12においてオフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1との論理積演算により生成される。ショート保護制御信号Vscpは、時刻t1ではローレベルLであり、時刻t2でスパイク状のハイレベルHが出力される。スパイク状のハイレベルHが出力される間、駆動回路10は、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3をオフさせる。
図6の状態(B)は、スイッチング電源1が起動時(時刻t1以前)では地絡が発生していなかったが、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に到達する前の時刻t3で地絡が発生した状態を想定したものである(以下、地絡状態(B)と称する)。
地絡状態(B)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t3において一定の傾きで上昇する。時刻t3で地絡が発生すると、ソフトスタート電圧Vssは、過電流保護信号OCPによりローレベルLにリセットされる。
地絡状態(B)において、帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に追従し、時刻t1~t2の区間は一定の傾きで上昇するが、時刻t3で発生した地絡に伴い、ローレベルにリセットされる。
地絡状態(B)において、オフセット検出信号SSHは、時刻t1~t2ではローレベルLである。時刻t3での地絡発生に伴い、オフセット検出信号SSHには、瞬間的にスパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位よりも高くとなり、オフセットコンパレータ5の出力がローレベルLからハイレベルHに遷移するからである。
地絡状態(B)において、第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2との比較が地絡検出回路11で行われる結果出力される。第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも低い場合にはハイレベルHとなり、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも高い場合にはローレベルLとなる。従って、第1地絡出力信号Vs1は、時刻t2~t3の区間はローレベルLとなるが、時刻t1以前と、時刻t3以降はハイレベルHとなる。
ショート保護制御信号Vscpは、オフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1とを論理積回路12で論理積演算して生成される。ショート保護制御信号Vscpは、時刻t1~t2の区間においてローレベルLを出力する。時刻t3に至るとオフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1が共にハイレベルHとなるタイミングが存在するので、ショート保護制御信号Vscpにスパイク状のハイレベルHが出力される。ショート保護制御信号Vspniスパイク状のハイレベルHが出力される間、駆動回路10は、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3をオフさせる。
図6の状態(C)は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1を超えた後に地絡が発生した状態を想定したものである(以下、地絡状態(C)と称する)。
地絡状態(C)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t4において一定の傾きで緩やかに上昇し、地絡が発生した時刻t4でローレベルLにリセットされる。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に追従し、時刻t1~t3の区間は一定の傾きで上昇し、時刻t3~t4の区間で第1参照電圧Vref1と同電位に維持される。帰還電圧Vfbの上限は、第1参照電圧Vref1によって設定される。
オフセット検出信号SSHは、時刻t1~t3の区間はローレベルLであり、地絡発生の時刻t4において、オフセット検出信号SSHには、瞬間的にスパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位よりも高くなり、オフセットコンパレータ5の出力がローレベルLからハイレベルHに反転するからである。なお、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t3で帰還電圧Vfb(=第1参照電圧Vref1)に達した後も上昇を続けるので、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの電位差(=Vss-Vfb)が開いていくが、時刻t3~t4では、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfb(=第1参照電圧Vref1)にオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vref1+ΔV)を超えるまでには至っていないので、オフセット検出信号SSHは、ローレベルLのままである。
地絡状態(C)において、第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも低いときにハイレベルHとなり、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも高いときにローレベルLとなる。従って、第1地絡出力信号Vs1は、時刻t2~t4の区間はローレベルLとなるが、時刻t2以前と、時刻t4以降はハイレベルHとなる。
ショート保護制御信号Vscpは、時刻t1~t3の区間においてローレベルLを出力する。時刻t4に至るとオフセット検出信号SSHと第1地絡出力信号Vs1が共にハイレベルHとなるタイミングが存在するので、ショート保護制御信号Vscpにスパイク状のハイレベルHが出力される。スパイク状のハイレベルHが出力される間、駆動回路10は、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3をオフさせる。
以上では、図4のスイッチング電源100の地絡状態を想定し、図6の状態(A)~状態(C)を用いて説明した。いずれにしても地絡が発生した場合には、ソフトスタート電圧Vssがオフセット電圧ΔVを超えるまでは、地絡の検出は実行されないということである。これは、図4(第2の実施形態)だけではなく、前述の図1(第1の実施形態)についても同じことが言える。
(第3の実施形態)
図7は、本発明を降圧型のスイッチング電源に適用した第3の実施形態を示す回路構成図である。図7は、新たに保護信号選択回路13を設けているという点で、図4に示した第2の実施形態とは異なる。また、ソフトスタート回路4側か地絡検出信号SSH1を保護信号選択回路13に入力していることでも異なる。さらに、保護信号選択回路13から取り出した第2地絡出力信号Vs2を論理積回路12の一方の入力端子に入力した点でも異なる。その他の回路構成は同じである。図7が図4と異なる回路構成について、以下説明する。
保護信号選択回路13は、マルチプレクサの役割を有し、ソフトスタート回路4から出力される信号を地絡検出信号SSH1とし、オフセットコンパレータ5の出力をオフセット検出信号SSH2とし、これら2つの信号を各別に2つの入力側で受け、どちらか一方を選択し、その出力側から後段の論理積回路12に第2地絡出力信号Vs2を出力する。保護信号選択回路13にマルチプレクサの役割をもたせる理由については後述する。
地絡検出信号SSH1は、図1及び図4にそれぞれ示した第1の実施形態及び第2の実施形態では採用しなかった信号である。すなわち、地絡検出信号SSH1は、オフセットコンパレータ5側から取り出す信号ではなく、ソフトスタート回路4側から取り出している。地絡検出信号SSH1は、地絡発生のタイミングに関わらず、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達したときに、ローレベルLからハイレベルHに遷移する信号である。
論理積回路12は、第1地絡出力信号Vs1と、保護信号選択回路13の出力である第2地絡出力信号Vs2の入力を受け、ショート保護制御信号Vscpを後段の駆動回路10に出力する。
第1地絡出力信号Vs1は、前述のとおり帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2とを比較して地絡状態の有無を検出する信号である。
なお、本図中の破線で囲まれたソフトスタート回路4、オフセットコンパレータ5、及び、保護信号選択回路13は、第2地絡出力信号Vs2を生成する地絡出力信号生成部14として機能する。
図8は、図7に係るスイッチング電源1000が通常動作しているときのタイミングチャートである。
図8において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t4において一定の傾きで緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、時刻t3で第1参照電圧Vref1に達し、時刻t4で最大値Vmaxに達する。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの上昇及び下降にそれぞれ追従する。帰還電圧Vfbは、時刻t1~t2の区間、一定の傾きで緩やかに上昇する。時刻t3で第1参照電圧Vref1に達すると、時刻t4までの区間、第1参照電圧Vref1と同電位に維持される。
地絡検出信号SSH1は、ソフトスタート回路4から出力される。地絡検出信号SSH1は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達するタイミングである時刻t3でローレベルLからハイレベルHに遷移する。従って、第2地絡出力信号Vs2として地絡検出信号SSH1が選択出力される場合には、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達するまで、第1地絡出力信号Vs1がマスクされることになる。すなわち、地絡検出信号SSH1は、地絡検出回路11の地絡検出結果を所定期間に亘ってマスクするためのマスク信号として理解することができる。
図8に示したオフセット検出反転信号SSH2iは、オフセットコンパレータ5(より正確にはインバータ20)から出力されるオフセット検出信号SSH2の論理反転信号であり、保護信号選択回路13の内部で生成される(詳細は後述)。すなわち、オフセット検出反転信号SSH2iは、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとの比較結果信号を論理反転させた信号である。オフセット検出反転信号SSH2iは、オフセット電圧ΔVとマージン電圧Vmrとの大小関係がΔV>Vmrに設定されているならば、スイッチング電源1000の通常動作時において、時刻に関わらずローレベルLとなる。
第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2とを比較した結果出力される。第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも低い場合にはハイレベルHとなり、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも高い場合にはローレベルLとなる。従って、第1地絡出力信号Vs1は、時刻t1~t2の区間はハイレベルHとなるが、時刻t2~t4の区間はローレベルLとなる。
第2地絡出力信号Vs2は、保護信号選択回路13で選択されたオフセット検出反転信号SSH2iと同じとなる。したがって、第2地絡出力信号Vs2は、時刻に関わらず常時ローレベルLとなる。
ショート保護制御信号Vscpは、第1地絡出力信号Vs1と第2地絡出力信号Vs2とを論理積演算して生成される。ショート保護制御信号Vscpは、時刻t1~t4の全区間においてローレベルLを出力する。ショート保護制御信号VscpがローレベルLである場合は、駆動回路10の制御に何ら影響を与えないので、駆動回路10は、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3を相補的にオン/オフさせるという通常の回路動作制御を行う。
図9は、図7に係るスイッチング電源1000のスイッチング端子SWまたは帰還端子FBが接地電位GNDに接触した状態(いわゆる地絡の発生した状態)を想定した場合のタイミングチャートである。こうした地絡の状態を、大きく次の3つの状態に分け、図7を参照しながら説明する。
図9の状態(A)は、スイッチング電源100を起動する前の段階で既に地絡が発生している状態を想定したものである(以下、地絡状態(A)と記す)。
地絡状態(A)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において一定の傾きで緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、オフセット電圧ΔVに達する時刻t2でローレベルLにリセットされる。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に関わらず、時刻t1~t2の区間でローレベルLとなる。なぜならば、ソフトスタート電圧Vssが立ち上がる前から既に地絡が発生しているので、帰還端子FBに電圧が生じていないからである。
地絡検出信号SSH1は、時刻t1~t2ではローレベルLである。これは、地絡検出信号SSH1は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1を超えたときにソフトスタート回路4からハイレベルHを発生するようにしているからである。地絡検出信号SSH1を第2地絡出力信号Vs2として用いる場合には、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達するまでの間、第1地絡出力信号Vs1を用いた地絡検出機能はマスクされることになる。
オフセット検出反転信号SSH2iは、時刻t1ではローレベルLである。オフセット検出反転信号SSH2iには、時刻t2で、スパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)よりも高くなり、オフセットコンパレータ5の出力であるオフセット検出信号SSH2がハイレベルHからローレベルLに遷移したからである。
第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2とを比較した結果出力される。第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも低い場合にはハイレベルHとなり、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも高い場合にはローレベルLとなる。従って、第1地絡出力信号Vs1は、常にハイレベルHとなる。なぜなら、地絡によって帰還電圧Vfbは常時ローレベルLであり、第2参照電圧Vref2が帰還電圧Vfbよりも常時高くなっているからである。
第2地絡出力信号Vs2は、保護信号選択回路13で選択されたオフセット検出反転信号SSH2iと同じとなる。したがって、第2地絡出力信号Vs2には、時刻t2でスパイク状のハイレベルHが出力される。
ショート保護制御信号Vscpは、論理積回路12において、第1地絡出力信号Vs1と第2地絡出力信号Vs2との論理積演算によって出力される。ショート保護制御信号Vscpは、時刻t1ではローレベルLであり、時刻t2でスパイク状のハイレベルHが出力される。ショート保護制御信号Vscpにスパイク状のハイレベルHが出力される間、駆動回路10は、出力トランジスタ2及び同期整流半導体素子3をオフさせて、これらに過大電流が流れるという不具合を排除する。
図9の状態(B)は、スイッチング電源1が起動時(時刻t1以前)では地絡が発生していなかったが、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に到達する前の時刻t3で地絡が発生した状態を想定したものである(以下、地絡状態(B)と称する)。
地絡状態(B)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t2において一定の傾きで緩やかに上昇する。時刻t3で地絡が発生すると、ソフトスタート電圧Vssは、瞬間的にローレベルLにリセットされる。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に追従し、時刻t1~t2の区間は一定の傾きで上昇するが、時刻t3で発生した地絡に伴い、ローレベルLにリセットされる。
地絡検出信号SSH1は、時刻t1~t3の全区間でローレベルLである。前述のとおり、地絡検出信号SSH1は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達するとハイレベルHに立ち上がるが、本図の例では、時刻t3においてもソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達していないので、地絡検出信号SSH1がハイレベルHに立ち上がることはない。
オフセット検出反転信号SSH2iは、時刻t2まではローレベルLである。オフセット検出反転信号SSH2iには、時刻t3で、瞬間的にスパイク状のハイレベルHが出力される。これは、時刻t3で地絡が発生したことにより、帰還電圧Vfbが接地電位またはその近傍値まで低下し、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)よりも高くなった結果、オフセットコンパレータ5の出力であるオフセット検出信号SSH2がハイレベルHからローレベルLに遷移したからである。
第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2とを比較した結果出力される。第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも低い場合にはハイレベルHとなり、帰還電圧Vfbが第2参照電圧Vref2よりも高い場合にはローレベルLとなる。従って、第1地絡出力信号Vs1は、時刻t2~t3の区間はローレベルLとなるが、時刻t1ではハイレベルHとなる。
第2地絡出力信号Vs2は、時刻t1~t2の区間ローレベルLを維持し、時刻t3でスパイク状のハイレベルHが発生する。第2検出信号Vs2は、保護信号選択回路13でオフセット検出反転信号SSH2iが選択されたものであるので、これら両者の信号は同じとなる。
ショート保護制御信号Vscpは、第1地絡出力信号Vs1と第2地絡出力信号Vs2とを論理積回路12で論理積演算して出力される。ショート保護制御信号VscpにハイレベルHが出力されるタイミングは、結果的には、オフセット検出反転信号SSH2iにハイレベルLが出力されるタイミングと同じとなる。
図9の状態(C)は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1を超えた後に、地絡が発生した状態を想定したものである(以下、地絡状態(C)と称する)。
地絡状態(C)において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t1~t4において一定の傾きで緩やかに上昇し、地絡が発生した時刻t4でローレベルLにリセットされる。
帰還電圧Vfbは、ソフトスタート電圧Vssの電位に追従し、時刻t1~t3の区間では、一定の傾きで緩やかに上昇し、時刻t3~t4の区間では、第1参照電圧Vref1と同電位に維持される。帰還電圧Vfbの上限は、第1参照電圧Vref1によって設定される。
地絡検出信号SSH1は、時刻t1~t3の区間はローレベルLであり、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1を上回る時刻t3において、ハイレベルHに立ち上がる。その後、地絡検出信号SSH1は、ソフトスタート電圧Vssがリセットされる時刻t4までハイレベルHに維持される。
オフセット検出反転信号SSH2iは、時刻t1~t3ではローレベルLである。オフセット検出反転信号SSH2iには、時刻t4で、スパイク状のハイレベルHが出力される。これは、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)よりも高くなり、オフセットコンパレータ5の出力であるオフセット検出信号SSH2がハイレベルHからローレベルLに遷移したからである。ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位(Vfb+ΔV)よりも高くなる時刻t4で地絡が発生したとの想定であるので、このようになる。
第1地絡出力信号Vs1は、時刻t1ではハイレベルHであるが、時刻t2~t4の区間はローレベルLとなる。第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2との比較により出力され、Vfb>Vref2のときはローレベルLとなり、Vfb<Vref2のときはハイレベルHとなる。
第2地絡出力信号Vs2は、時刻t1~t3ではローレベルLであり、時刻t4でスパイク状のハイレベルHが出力され、結果的には、オフセット検出反転信号SSH2iと同じになる。これは、保護信号選択回路13で第2地絡出力信号Vs2としてオフセット検出反転信号SSH2iが選択されているからである。
ショート保護制御信号Vscpは、第1地絡出力信号Vs1と第2地絡出力信号Vs2とを論理積演算して生成される。したがって、結果的には、ショート保護制御信号Vscpは、第2地絡出力信号Vs2と同じとなり、時刻t1~t3でローレベルLとなるが、時刻t4でスパイク状のハイレベルHが出力される。このように、ショート保護制御信号Vscpには、時刻t4でスパイク状のハイレベルHが出力され、結果的には、オフセット検出反転信号SSH2iと同じとなる。ショート保護制御信号Vscpにスパイク状のハイレベルHが発生すると、スパイク状のハイレベルHが発生している間、駆動回路10を介して出力トランジスタ2、同期整流半導体素子3を強制的にオフさせる。
図9では、図7に示した本発明の第3の実施形態において、地絡が3つのタイミングで発生したとの想定下で説明した。いずれにしても第3の実施の形態においても、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、地絡の検出は、帰還電圧Vfbとソフトスタート電圧Vssとの比較を行い、ソフトスタート電圧Vssが帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位に達したときに地絡検出の信号を発生させる。
さて、この種のスイッチング電源において、地絡検出は比較的多用されている。たとえば、図7に示した地絡検出回路11もその1つである。地絡検出回路11は、帰還電圧Vfbを第2参照電圧Vref2と比較する。地絡が発生すると、帰還電圧VfbはローレベルLとなるので、その電圧が所定の電圧以下であれば、地絡発生と判定することができる。また、図7のソフトスタート回路4から出力される地絡検出信号SSH1を用いて地絡検出のマスクを行うこともできる。このような第1の地絡検出方式(=地絡検出信号SSH1を用いて地絡検出のマスクを行う方式)に、第2の地絡検出方式(=オフセット検出信号SSH2を用いて地絡検出のマスクを行う方式)を組み合わせた構成については、後述の図10を用いて説明する。
第1の地絡検出方式については、これまで簡単に述べてきたが、ここで整理すると次のとおりである。すなわち、第1の地絡検出方式では、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達するまでの比較的長い時間に亘り、地絡検出がマスクされる。換言すれば、スイッチング電源が活性化されていても、地絡発生の知らせはソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達するまでの間マスクされるので、地絡に対する制御は行われないことになる。こうした第1の地絡検出方式のメリットは、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達したタイミングで地絡保護が行われるので、スイッチング電源の出力電圧が比較的安定した状態となり、出力電圧の変動や揺らぎが小さいので、負荷に与える影響を緩和することができる。一方、デメリットとしては、比較的長い時間、出力トランジスタ2に過大電流が流れてしまうので、出力トランジスタ2の劣化が加速されるということである。こうした第1の地絡検出方式のメリットを本発明の一実施の形態に取り入れたのが、図7の変形例を示す図10の回路構成である。
図10は、図7に示す保護信号選択回路13の具体的な回路構成を示す回路図であり、また、図7に示した第3の実施形態の変形例でもある。図10に示す保護信号選択回路13は、端的にいうと、スイッチング電源1000が起動されたとき、例えば、イネーブル信号VenがローレベルLからハイレベルHに投入された後、最初の地絡発生の検出は、第1の地絡検出方式、すなわち、図7に示した地絡検出信号SSH1を第2地絡出力信号Vs1として用いて地絡の検出を行い、イネーブル信号Venが有効な状態でその後に発生する地絡の検出には、図1、図4、及び、図7で説明したオフセット電圧ΔVを用いる第2の地絡検出方式に切替えるというものである。換言すれば、図10に示した保護信号選択回路13は、第1の地絡検出方式と第2の地絡検出方式とを切替えるために好適な回路構成の一例である。
保護信号選択回路13は、インバータ21,22、論理和回路23,24、否定論理積回路25,26、及び、セレクタ27を有する。セレクタ27は、選択信号Vseに応じて第1入力信号Va及び第2入力信号Vbのいずれか1つを選択して、論理積回路12に第2地絡出力信号Vs2として出力する。
ラッチ回路RAは、地絡検出信号SSH1を処理するために用意されており、オフセット電圧ΔVをもって地絡を検出するオフセット検出信号SSH2は、処理の対象から外される。ラッチ回路RAは、否定論理積回路25,26及びインバータ22で構成されている。ラッチ回路RAは、よく知られた2入力NANDゲートR-Sラッチ回路である。ラッチ回路RAの一方の入力としてイネーブル信号Venが印加され、他方の入力として地絡検出信号SSH1がインバータ22を介して印加される。イネーブル信号Venは、スイッチング電源1000を起動するときに用いられるものである。ラッチ回路RAの出力信号は、否定論理積回路26の出力端子からラッチ出力Vraとして出力され、論理和回路24の一方の入力端子に印加される。なお、ラッチ回路RAは、否定論理積回路ではなく、否定論理和回路と必要に応じてインバータで組み合わせて構成してもよい。
論理和回路24の他方の入力端子には、第2地絡検出信号SSH2が印加される。論理和回路24では、ラッチ出力Vraと第2地絡検出信号SSH2との論理和演算を行い、その演算結果をセレクタ27の選択信号Vseとして出力する。
論理和回路23の一方の入力端子には、第1地絡検出信号SSH1が印加される。論理和回路23の他方の入力端子には、第2地絡検出信号SSH2がインバータ21を介して第2地絡検出反転信号SSH2iとして印加される。論理和回路23は、第1地絡検出信号SSH1と第2地絡検出反転信号SSH2iとの論理和演算を行い、第2入力信号Vbとして出力する。
図11は、図10の主なノードに表われる各種信号のタイミングチャートである。図11には、区間X1(時刻t1~t3)、区間X2(時刻t4~t5)、並びに、区間X3(時刻t6~t7)の3つの区間を示している。イネーブル信号Venが投入された後、最初に地絡が発生した区間X1では、第1の地絡検出方式が採用され、イネーブル信号Venが投入された状態で、地絡の2回目、3回目をそれぞれ示す区間X2及び区間X3では、本発明のオフセット電圧ΔVを用いる第2の地絡検出方式が採用される。なお、区間X1では、時刻t1に至る前に既に地絡が発生していたと想定している。さらに、区間X1から区間X2に至る時刻t3~t4の間に地絡が一旦開放され、時刻t4の前で再度地絡が発生したと想定している。ここで“開放”とは、地絡発生後、その地絡状態が何らかの事象の変化で一旦解除されて通常の回路動作にある状態を指している。さらに。区間X2から区間X3に至る時刻t5~t6の間において、区間X2で発生していた地絡が一旦開放された後、時刻t6の前で再々度地絡が発生したと想定している。
次に、区間X1、区間X2、及び、区間X3に示したタイミングチャートについて説明する。図11の区間X1において、イネーブル信号Venは、時刻t1でローレベルLからハイレベルHに切り替えられる。イネーブル信号VenがハイレベルHでスイッチング電源1000全体が活性状態となる。イネーブル信号Venは、時刻t1~t7の間、ハイレベルHが維持されている。
ソフトスタート電圧Vssは、イネーブル信号Venに追随して時刻t1より緩やかに上昇し、時刻t2ではオフセット電圧ΔVと同じ電位に達し、時刻t3では第1参照電圧Vref1に達する。時刻t1~t3までを時間tx1で表す。時間tx1は、地絡発生後に地絡を知らせる信号が発生するまでの時間に相当する。
帰還電圧Vfbは、時刻t1に至る前から既に地絡が発生しているので、時刻t1~t3の全区間に亘りローレベルLとなる。
地絡検出信号SSH1(Va)は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達したタイミングでハイレベルHとなるので、時刻t3でスパイク状のハイレベルHが発生する。地絡検出信号SSH1(Va)は、第1の地絡検出方式による地絡検出を行うために用意される。
オフセット検出信号SSH2は、時刻t1~t2はハイレベルHとなり、時刻t2~t3はローレベルLとなり、時刻t3以降はハイレベルHとなる。
オフセット検出反転信号SSHiは、オフセット検出信号SSH2の反転信号である。
第2入力信号Vbは、地絡検出信号SSH1とオフセット検出反転信号SSH2iとの論理和演算で生成される。
ラッチ出力Vraは、イネーブル信号Venと地絡検出信号SSH1の反転信号で生成される。ラッチ出力Vraは、時刻t1~t3の区間、ハイレベルHとなる。
選択信号Vseは、ラッチ出力Vraとオフセット検出反転信号SSH2iとの論理和演算で生成される。
第2地絡出力信号Vs2としては、セレクタ27で地絡検出信号SSH1が選択され、時刻t3でスパイク状のハイレベルHが出力される。
第1地絡出力信号Vs1は、時刻t1~t3の区間、ハイレベルHとなる。
ショート保護制御信号Vscpは、第1地絡出力信号Vs1と第2地絡出力信号Vs2との論理積演算で生成される。時刻t1~t2ではローレベルLとなるが、時刻t3でスパイク状のハイレベルHが発生する。スパイク状のハイレベルHが地絡発生を知らせる信号である。時刻t3は、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に達するタイミングである。したがって、地絡発生は時刻t3の前の時刻t1以前に既に発生しているが、地絡発生を知らせるタイミングは、イネーブル信号Venが投入され、かつ、ソフトスタート電圧Vssが立ち上がる時刻t1から地絡検出時間tx1が経過したタイミングとなる。すなわち、時間tx1の間、地絡検出がマスクされる。
図11の区間X2,X3は、区間X1で発生した地絡が開放され、イネーブル信号Venが投入された状態において、それぞれ2回目及び3回目の地絡が発生したと想定した場合のタイミングチャートを示す。
区間X2において、ソフトスタート電圧Vssは、時刻t4からt5において緩やかに上昇する。ソフトスタート電圧Vssは、オフセット電圧ΔVと同電位に達したタイミングでローレベルLにリセットされる。
帰還電圧Vfbは、時刻t4に至る前から既に地絡が発生しているとの想定下であるので、時刻t4~t5の区間に亘り、ローレベルLとなる。
地絡検出信号SSH1は、全区間に亘りローレベルLである。なぜならば、地絡検出信号SSH1は、ソフトスタートVssが第1参照電圧Vref1に達して初めてハイレベルHとなるものであり、ソフトスタート電圧Vssが第1参照電圧Vref1に至る前に、ソフトスタート電圧Vssがオフセット電圧ΔVに達する時刻t2で、ソフトスタート電圧VssがローレベルLにリセットされているからである。
第1入力信号Vaは、同一信号ライン上に表れる地絡検出信号SSH1と同じである。
オフセット検出信号SSH2は、ソフトスタート電圧Vssがオフセット電圧ΔVに達する時刻t5で、ハイレベルHからローレベルLに遷移する。すなわち、オフセット検出信号SSH2には、時刻t5において、スパイク状のローレベルLが発生する。
オフセット検出反転信号SSH2iはオフセット検出信号SSH2の反転信号である。
第2入力信号Vbは、地絡検出信号SSH1とオフセット検出反転信号SSH2iとの論理和演算で生成される。第2入力信号Vbには、時刻t5でスパイク状のハイレベルが発生する。
ラッチ出力Vraは、イネーブル信号Venと否定論理積回路25の一方の入力端子に印加される地絡検出信号SSH1で生成され、時刻t4~t5の区間において、ローレベルLとなる。
選択信号Vseは、ラッチ出力Vraとオフセット検出反転信号SSH2iとの論理和演算で生成され、時刻t5でスパイク状のハイレベルが発生する。
第2地絡検出信号Vs2は、セレクタ27で第2入力信号Vbが選択されて出力され、時刻t5でスパイク状のハイレベルHが出力される。
第1地絡出力信号Vs1は、帰還電圧Vfbと第2参照電圧Vref2とが地絡検出回路11で比較され生成される。地絡状態では帰還電圧VfbはローレベルLであり、常時第2参照電圧Vref2が高くなり、時刻に関わらず常にハイレベルHを維持する。
ショート保護制御信号Vscpは、第1地絡出力信号Vs1と第2地絡出力信号Vs2との論理積演算で生成される。したがって、時刻t4ではローレベルL、時刻t5ではスパイク状のハイレベルHが発生する。時刻t5で発生したスパイク状のハイレベルHによって駆動回路10を制御する。そのとき、駆動回路10は、出力トランジスタ2、半導体整流素子3に過大電流が流れるという不具合を排除する。
図11の区間X3は、区間X2で発生した2回目の地絡が開放されて、その後3回目の地絡が発生した状態を想定したタイミングチャートを示す。実質的に区間X2と同じであり、オフセット電圧ΔVを用いる地絡の検出が行われる。区間X3での時刻t6、t7はそれぞれ区間X2での時刻t4及びt5に置き換え、さらに地絡検出時間tx3をtx2に置き換えることができるので、詳細な説明は割愛する。
なお、図11の最下段には、スイッチング端子SWの端子電圧(すなわち出力トランジスタ2のオン/オフ状態)が示されている。本図から明らかなように、第2実施形態のスイッチング電源1000において、2回目以降の地絡発生時における地絡検出時間tx2及びtx3は、初回の地絡発生時における地絡検出時間tx1よりも短く設定されている(tx1≧tx2,tx3)。なお、地絡検出時間tx1~tx3は、それぞれ、出力トランジスタ2のスイッチング時間として理解することも可能である。
図10に示す保護信号選択回路13を図7に示すスイッチング電源1000に採用した場合の回路動作と地絡検出方式について図11を用いて説明した。
本発明に係るスイッチング電源を要約すると次のとおりである。すなわち、図1、図4に示すスイッチング電源1、スイッチング電源100では、地絡検出に際してソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbとを比較するにあたり、オフセット電圧ΔVが介在される。一方、図7に示すスイッチング電源1000では、図1、図4と同様にオフセット電圧ΔVを介在させる方式のみを用いて地絡検出を行う方式(X)と、オフセット電圧ΔVを介在させない方式とオフセット電圧ΔVを介在させる方式とを組み合わせて地絡検出を行う方式(Y)を併用することができる。
図12は、図1、図4、及び、図7に示すオフセットコンパレータ5の詳細な回路構成を示す一例である。オフセットコンパレータ5は、定電流源15、カレントミラー回路16、差動増幅器17、シュミットトリガーインバータ18、インバータ19、及び、nMOSトランジスタn3から構成されている。
定電流源15は、カレントミラー回路16を動作させる定電流i1を生成する。カレントミラー回路を構成するpMOSトランジスタp1~p3の各ソースは、入力電圧Vccに接続されている。定電流源15の一端は、pMOSトランジスタp1のドレイン及びpMOSトランジスタp1~p3のゲートに接続されており、他端は接地電位GNDに接続されている。pMOSトランジスタp2のドレインは、pMOSトランジスタp4のソース及びオフセット抵抗Rofの一端に接続されている。オフセット抵抗Rofの他端は、pMOSトランジスタp5のドレインに接続されている。pMOSトランジスタp4のゲートにはソフトスタート電圧Vss、pMOSトランジスタp5のゲートには帰還電圧Vfbがそれぞれ印加される。
オフセットコンパレータ5の入力段に用意される差動増幅器17は、差動対トランジスタとして、pMOSトランジスタp4とpMOSトランジスタp5とを有する。pMOSトランジスタp4のゲートとpMOSトランジスタp5のゲートとの間には、オフセット電圧ΔVが与えられている。pMOSトランジスタp4のドレインは、nMOSトランジスタn1のドレイン、nMOSトランジスタn1のゲート、及び、nMOSトランジスタn2のゲートに接続されている。pMOSトランジスタp5のドレインは、nMOSトランジスタn2のドレイン及びnMOSトランジスタn3のゲートに接続されている。nMOSトランジスタn1~n3の各ソースは、接地電位GNDに接続されている。pMOSトランジスタp3のドレイン(=折り返し電流i3の出力端)とnMOSトランジスタn3のドレインは互いに接続されており、互いの接続ノードはシュミットトリガーインバータ16の入力に接続されている。シュミットトリガーインバータ18の出力はインバータ19を介して出力される。
差動増幅器17は、差動対トランジスタであるpMOSトランジスタp4及びp5、オフセット抵抗Rof、nMOSトランジスタn1及びn2により構成されている。差動増幅器17は、反転入力端子(-)に印加されるソフトスタート電圧Vssと非反転入力端子(+)に印加される帰還電圧Vfbとの差分電圧を増幅し、増幅電圧Veaを出力する。増幅電圧Veaは、オフセット抵抗Rofにより調節され、増幅電圧Veaに応じて、nMOSトランジスタn3はオン/オフを繰り返すスイッチとして動作する。
図12において、pMOSトランジスタp4とp5が同じサイズであるとき、両トランジスタのソース・ゲート間の閾値電圧は同じになる。pMOSトランジスタp4とp5の閾値電圧をそれぞれVT4,VT5とすると、VT4=VT5に設定されている。こうした条件下では、差動増幅器17の回路動作バランスはとれている。すなわち、回路動作バランスがとれているときは、仮にオフセット抵抗Rofがなければ、両トランジスタのゲート電圧が等しいとき、両トランジスタに流れる電流は等しくなる。しかし、オフセット抵抗Rofによって2つのpMOSトランジスタp4及びp5に流れる電流を偏倚させることができる。オフセット電圧ΔVは、定電流i1とオフセット抵抗Rofの抵抗値rofとの積で決定され、オフセット電圧ΔVは、ΔV=i1×rofとして表される。オフセット抵抗Rofは、pMOSトランジスタp4のソース側ではなく、ドレイン側に挿入するようにしてもよい。また、ソフトスタート電圧Vssが優勢となるには、帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電位を超えなければならない。ソフトスタート電圧Vss、帰還電圧vfb、及び、ソフトスタート電圧ΔVとの関係において、Vss>(Vfb+ΔV)となっているとき、ソフトスタート電圧Vssがゲートに印加されるpMOSトランジスタp4はオフ状態となり、帰還電圧Vfbが印加されるpMOSトランジスタp5はオン状態となる。pMOSトランジスタp5がオン状態となると、nMOSトランジスタn3がオンとなり、ノードN1の電位はローレベルLとなり、オフセット検出信号SSH2はローレベルLとなる。
一方、Vss<(Vfb+ΔV)であるとき、ソフトスタート電圧Vssがゲートに印加されるpMOSトランジスタp4はオン状態となり、帰還電圧Vfbが印加されるpMOSトランジスタp5はオフ状態となる。pMOSトランジスタp5がオフ状態となると、nMOSトランジスタn3がオフとなり、ノードN1の電位はハイレベルHとなり、オフセット検出信号SSH2はハイレベルHとなる。
図1、図4、及び、図7には、オフセット電圧ΔVは、オフセットコンパレータ5の外部で設定されるように示したが、本図で示したように、オフセットコンパレータ5の内部で設定しても構わない。
なお、ノードN1の電位(VN1)は、nMOSトランジスタn3のスイッチング動作によりチャタリングと呼ばれる揺らぎを生じる。シュミットトリガーインバータ18は、こうした揺らぎの影響を排除するために用意されている。また、インバータ19は、信号の極性反転や波形整形のために用意されたものである。いずれにしてもシュミットトリガーインバータ18、インバータ19は設計事項の1つであり、必ずしも必要とはしない。
図13は、図12に示すオフセットコンパレータ5とは別の具体的な回路構成を示す。図12に示すオフセットコンパレータ5は、図12のものとは、オフセット抵抗Rofを採用していないこと、pMOSトランジスタp4,p5が、pMOSトランジスタm4,m5に置き換わっていること、さらに、pMOSトランジスタm4とm5の閾値電圧をそれぞれVT4,VT5とすると、VT4>VT5に選ばれている点で相違する。その他の回路部は同じである。差動対トランジスタであるpMOSトランジスタm4及びm5の閾値電圧の大小関係は、オフセットコンパレータ5の回路構成に応じて適宜設定される。
図13のオフセットコンパレータ5において、pMOSトランジスタm4,m5の閾値電圧を互いに異ならせるには、例えば、pMOSトランジスタm4,m5のゲート幅やゲート長を調節して簡単に設定することができる。なお、閾値電圧を異ならせるには、ゲート幅やゲート長を調節するのではなく、同一サイズのMOSトランジスタを複数個並列に接続し、この並列に接続するMOSトランジスタの数を異ならせて行うこともできる。
図12、図13では、オフセットコンパレータ5の一部である差動増幅器17の回路動作点を平衡させずに偏倚させるための具体的な回路構成を示した。しかし、オフセットコンパレータ5は、図12、図13の回路構成に限定されない。例えば、差動増幅器17はpMOSトランジスタp4とp5(またはm4とm5)で構成したが、nMOSトランジスタで構成してもよい。
nMOSトランジスタで差動増幅器を構成した場合には、オフセット抵抗は帰還電圧Vfbが印加されるMOSトランジスタではなく、ソフトスタート電圧Vssが印加されるMOSトランジスタ側となることもありうる。また、図12では、オフセット抵抗Rofは、ゲートに帰還電圧Vfbが印加されるpMOSトランジスタp5のソースのみに設けたが、オフセット抵抗Rofと異なる抵抗値を有する別のオフセット抵抗を、実質的な抵抗値が0Ωであるものを含め、pMOSトランジスタp4のソース側に設けてもよい。また、差動増幅器17は、nMOSやpMOSではなく、PNP型やNPN型のバイポーラトランジスタで構成することもできる。
差動増幅器17を一対のバイポーラトランジスタで構成する場合には、オフセット抵抗は、PNP型であってもNPN型であっても少なくともエミッタ側に接続される、また、こうしたオフセット抵抗を用いずにバイポーラトランジスタのベース・エミッタ間の順方向電圧を互いに異ならせてオフセット電圧をもたせるようにしてもよい。
また、オフセットコンパレータ5の実質的な出力であるノードN1に結合されたnMOSトランジスタn3のゲートをpMOSトランジスタp5(またはm5)及びnMOSトランジスタn2の共通ドレインではなく、pMOSトランジスタp4(またはm4)のドレイン側に接続するようにしてもよい。本発明に適用されるオフセットコンパレータ5の回路構成は、当業者には多くの回路構成が比較的容易に想到できるであろう。いずれにしても、本発明に適用されるオフセットコンパレータ5は、ソフトスタート電圧Vssと帰還電圧Vfbの一方にオフセット電圧ΔVが与えられ、ソフトスタート電圧Vssが、帰還電圧Vfbにオフセット電圧ΔVを加えた電圧値を超えたときに、オフセットコンパレータ5の回路動作を反転させ、反転された時に地絡が発生したとして判定し、後段の駆動回路10を介してスイッチング手段を構成するpMOSトランジスタp2をオフさせ、過大電流が継続して流れるという不具合を抑制するものである。
以上、本発明の一実施の形態は、降圧型のスイッチング電源について述べたが、昇圧型や昇降圧型のスイッチング電源にも適用することができる。