JP7041376B1 - プリント配線板の検査方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1(A)に示されるように、一般的なプリント配線板100は導体回路4と導体回路4に繋がっているビア導体3を含む。そして、プリント配線板100の高密度化が進むにつれて、導体回路4の幅とビア導体3の径は小さくなり、導体回路4とビア導体3で形成される配線5の長さは長くなっている。配線5はプリント配線板100の表面Fから裏面Sまで延びている。配線5の数も増えている。従って、同じタイプのプリント配線板が大量に製造されると、大量のプリント配線板の中に異常なプリント配線板が含まれることがある。異常の1例は、図1(B)に示されている。図1(B)は平面図である。図1(B)では、導体回路4が欠落部6を含む。欠落部6では、導体回路4の一部が欠落している。欠落部6では、導体回路4の幅が極端に狭くなっている。しかしながら、配線5の長さが長い場合や配線5の幅が狭い場合には、欠落部6の有無によって配線5の抵抗は大きく変化しないと予測される。異常の別例は、図1(C)に示されている。図1(C)は断面図である。図1(C)では、導体回路4とビア導体3間の接続部に異物7が存在している。異物7の例は、樹脂絶縁層2を形成する樹脂である。図1(C)の例では、異物7により、導体回路4とビア導体3間の接触面積が減少する。しかしながら、配線5の長さが長い場合やビア導体3の径が小さい場合には、異物7の有無によって配線5の抵抗は大きく変化しないと予測される。従って、プリント配線板100の高密度化が進むと、測定結果と基準範囲を比較することで配線5の良否を判定することは難しくなると予想される。そして、図1(B)に示される異常な配線を含むプリント配線板が市場で使用されると、寿命が極端に短くなると推測される。同様に、図1(C)に示される異常な配線を含むプリント配線板が市場で使用されると、寿命が極端に短くなると推測される。
関係:10×前記標準偏差≦前記基準≦30×前記標準偏差
実施形態の検査方法は、強い相関を有する回帰直線を利用している。従って、第1抵抗の測定値を回帰直線に代入することで得られる第2抵抗の予測値と第2抵抗の測定値との差(残差)は小さいはずである。また、第1抵抗と第2抵抗は強い相関を有しているので、残差は適当な範囲内で変動する。残差の変動は安定している。変動の範囲は小さいはずである。実施形態の検査方法では、強い相関を有する回帰直線を用いて得られる残差から基準が決めている。そのため、実施形態の検査方法に用いられる基準は異常値に対し高い感度を有することができる。従って、実施形態の検査方法によれば、図1(B)に示される異常を含むプリント配線板を検査することができる。図1(C)に示される異常を含むプリント配線板を検査することができる。実施形態の検査方法でプリント配線板を評価することで、長期間、高い信頼性を維持するプリント配線板を提供することができる。例えば、プリント配線板内の配線の抵抗値が長期間安定している。
まず、第1ネットN1と第2ネットN2を有するプリント配線板100が繰り返し製造される。第1ネットN1の抵抗(第1抵抗)と第2ネットN2の抵抗(第2抵抗)が測定される。第1抵抗は変数Xであり、第2抵抗は変数Yである。第1抵抗と第2抵抗がX-Y平面にプロットされる。散布図が得られる。散布図から第1抵抗と第2抵抗との関係(回帰直線11)が求められる。回帰直線11の相関係数11は0.7以上である。相関係数11は0.9以上であることが好ましい。さらに、相関係数11は0.95以上であることが好ましい。第2抵抗と回帰直線11を用いて第2抵抗の残差Rが求められる。第2抵抗の残差Rを使って実施形態の検査方法の基準Wが決められる。
プロットと散布図作成との間に、一時的な散布図を作ることを追加することができる。一時的な散布図作成と散布図作成との間に、一時的な散布図から外れ値を削除することを追加することができる。基準Wは残差Rの標準偏差Σを用いて決めることができる。
新たなプリント配線板(別のプリント配線板)1001が製造される。新たなプリント配線板1001は検査対象である。検査対象1001の第1ネットN1の抵抗(第3抵抗)と第2ネットN2の抵抗(第4抵抗)が測定される。第3抵抗を回帰直線11に代入することで、第4抵抗の予測値が求められる。第4抵抗と第4抵抗の予測値との差R1と基準Wを比較することで、検査対象1001が検査される。差R1が基準W以下であると、第2ネットN2は良品である。プリント配線板100がヒートサイクルを受けても、第2ネットN2の抵抗は安定である。第2ネットN2は欠落部6を含んでいない。欠落部6を起点として、第2ネットN2は断線しない。第2ネットN2は、断線を引き起こす欠落部6を含んでいない。
各ネットNは配線の長さ(配線長)を有する。配線長はネットNを形成する全ての導体回路4の和である。ネットAとネットBの配線長が比較される。ネットAの配線長AとネットBの配線長Bとの比(配線長A/配線長B)が0.90以上、1.1以下であると、ネットAは第1ネットN1であり、ネットBは第2ネットN2である。比(配線長A/配線長B)が0.95以上、1.05以下であると、多数のネットNの中から、第1ネットN1と第2ネットN2を容易に絞ることができる。
ネットNを形成する導体回路4の中から、最も長い導体回路(最長の導体回路)4Lが抽出される。ネットAの最長の導体回路4Lの長さ4LAとネットBの最長の導体回路4Lの長さ4LBとの比(長さ4LA/長さ4LB)が0.97以上、1.03以下であると、ネットAは第1ネットN1であり、ネットBは第2ネットN2である。
ネットAは各導体層1に導体回路Aを有し、ネットBは各導体層1に導体回路Bを有する。各導体回路Aは長さ(長さA)を有し、各導体回路Bは長さ(長さB)を有する。導体層1ごとに、長さAと長さBが比較される。長さAと長さBとの比(長さA/長さB)が算出される。導体層1ごとに、比(長さA/長さB)が0.9以上、1.1以下であると、ネットAは第1ネットN1であり、ネットBは第2ネットN2である。導体層1ごとに、比(長さA/長さB)が0.95以上、1.05以下であると、多数のネットNの中から、第1ネットN1と第2ネットN2を容易に絞ることができる。
プリント配線板100内の各ネットNの抵抗が測定される。もし、Nが30であると、各ネットの抵抗の数は30である。ネットAの抵抗(抵抗A)とネットBの抵抗(抵抗B)を変数として、抵抗Aと抵抗Bとの関係(回帰直線AB)が求められる。ネットBの候補はネットA以外の全ネットNである。その場合、回帰直線ABを作成するネットNの組み合わせ(ネットAとネットB(ネットA以外の全ネットN))ABの数は(N1)である。従って、回帰直線の数は(N1)である。各回帰直線ABから各回帰直線ABの相関係数ABが求められる。相関係数ABの数も(N1)である。全組み合わせから0.7以上の相関係数ABを有する組み合わせAB7が抽出される。実施形態の検査方法では、第1ネットN1と第2ネットN2が組み合わせAB7を形成する。組み合わせAB7が複数である時、全ての組み合わせAB7が実施形態の検査方法の対象である。組み合わせAB7の中で、0.9以上の相関係数ABを有する組み合わせAB9を選ぶことが好ましい。さらに、組み合わせAB7の中で、0.95以上の相関係数ABを有する組み合わせAB95を選ぶことが好ましい。相関係数ABが大きいほど、実施形態の検査方法の精度が高くなる。
同じ導体層1内では、ネットAを形成する導体回路4とネットBを形成する導体回路4はほぼ平行に走っている。その場合、ネットAは第1ネットN1であり、ネットBは第2ネットN2である。
[統計的な手法1]
第1抵抗の平均値X1と標準偏差σ1が求められる。X1とσ1を求めるための第1抵抗の数は数Nである。第2抵抗の平均値X2と標準偏差σ2が求められる。X2とσ2を求めるための第2抵抗の数は数Nである。
第1抵抗が所定の範囲以外であると、それらの第1抵抗を含む第1データは外れ値である。所定の範囲はX1±2×σ1である。もしくは、所定の範囲はX1±3×σ1である。
第2抵抗が所定の範囲以外であると、それらの第2抵抗を含む第1データは外れ値である。所定の範囲はX2±2×σ2である。もしくは、所定の範囲はX2±3×σ2である。
[統計的な手法2]
スミルノフ・グラブス検定により、外れ値が除去される。
[統計的な手法2]
トンプソン検定により、外れ値が除去される。
基準Wは下記の関係1、2,3のいずれかを満足する。
関係1:10×標準偏差Σ ≦ 基準W ≦ 30×標準偏差Σ
関係2:15×標準偏差Σ ≦ 基準W ≦ 25×標準偏差Σ
関係3:17×標準偏差Σ ≦ 基準W ≦ 23×標準偏差Σ
例えば、基準Wは前記標準偏差Σの20倍である。
第1ネットN1と第2ネットN2を含むプリント配線板100が繰り返し製造される。実施例1では、第1ネットN1と第2ネットN2は選定の第4例を満たしている。プリント配線板100の数Nは30である。各プリント配線板100内の第1ネットN1と第2ネットN2の抵抗(第1抵抗と第2抵抗)が測定される。第1抵抗と第2抵抗がX-Y平面にプロットされる。一時的な散布図が作られる。一時的な散布図は外れ値を含まない。そのため、一時的な散布図は散布図である。第1抵抗と第2抵抗間の相関係数は0.95以上である。散布図を用いて、基準Wが決められる。基準Wは第2抵抗の残差Rの標準偏差Σの20倍である。検査対象1001が製造される。検査対象1001の第1ネットの抵抗(第3抵抗)と第2ネットの抵抗(第4抵抗)が測定される。第3抵抗を回帰直線11に代入することで第4抵抗の予測値が求められる。第4抵抗と第4抵抗の予測値との差(第4抵抗の残差)R1が求められる。第4抵抗の残差R1が基準W以下である。
実施例2の数Nは35である。第1ネットN1と第2ネットN2は選定の第1例を満足している。実施例2の一時的な散布図は外れ値を含む。一時的な散布図の相関係数は0.9である。統計的な手法1を用いて外れ値が除去さる。実施例2で採用される所定の範囲は次に示される。
第1抵抗の所定の範囲:X1±2×σ1
第2抵抗の所定の範囲:X2±2×σ2
一時的な散布図から外れ値が除去される。第3データの数Kは30である。第3データを用いて散布図が作られる。散布図の相関係数は0.95である。散布図を用いて、基準Wが決められる。基準Wは第2残差の標準偏差Σの25倍である。検査対象1001が製造される。検査対象1001の第1ネットN1の抵抗(第3抵抗)と第2ネットN2の抵抗(第4抵抗)が測定される。実施例1と同様に、検査対象1001が評価される。
実施例2の数Nは35である。第1ネットN1と第2ネットN2は選定の第2例を満足している。実施例2の一時的な散布図は外れ値を含む。一時的な散布図の相関係数は0.6である。統計的な手法2を用いて外れ値が除去さる。一時的な散布図から外れ値が除去される。第3データの数Kは30である。第3データを用いて散布図が作られる。散布図の相関係数は0.7である。散布図を用いて、基準Wが決められる。基準Wは第2残差の標準偏差Σの15倍である。検査対象1001が製造される。検査対象1001の第1ネットの抵抗(第3抵抗)と第2ネットの抵抗(第4抵抗)が測定される。実施例1と同様に、検査対象1001が評価される。
実施例3と実施例4では、外れ値を除去する方法が異なる。それ以外、実施例4は実施例3に準ずる。統計的な手法3を用いて外れ値が除去さる
実施例5の数Nは50である。第1ネットN1と第2ネットN2は選定の第3例を満足している。実施例5の一時的な散布図は一時的な散布図は外れ値を含む。一時的な散布図の相関係数は0.9である。統計的な手法1を用いて外れ値が除去さる。実施例5で採用される所定の範囲は次に示される。
第1抵抗の所定の範囲:X1±3×σ1
第2抵抗の所定の範囲:X2±3×σ2
一時的な散布図から外れ値が除去される。第3データの数Kは45である。第3データを用いて散布図が作られる。散布図の相関係数は0.95である。散布図を用いて、基準Wが決められる。基準Wは第2残差の標準偏差Σの20倍である。検査対象1001が製造される。検査対象1001の第1ネットの抵抗(第3抵抗)と第2ネットの抵抗(第4抵抗)が測定される。実施例1と同様に、検査対象1001が評価される。
第1ネットN1と第2ネットN2は選定の第5例を満足している。それ以外、実施例6は実施例5に準ずる。
2 :樹脂絶縁層
3 :ビア導体
4 :導体回路
5 :配線
8 :電極
9 :端子
100 :プリント配線板
Claims (10)
- 第1ネットと第2ネットを有するプリント配線板を繰り返し製造することで複数のプリント配線板を得ることと、
前記プリント配線板の前記第1ネットの抵抗である第1抵抗を測定することと、
前記プリント配線板の前記第2ネットの抵抗である第2抵抗を測定することと、
前記第1抵抗と前記第2抵抗で形成される第1組のデータ[(X、Y)=(第1抵抗、第2抵抗)]を準備することと、
前記第1組のデータをX-Y平面にプロットすることで、散布図を作成することと、
前記散布図を用いて、前記第1抵抗と前記第2抵抗の回帰直線を求めることと、
前記第1抵抗を前記回帰直線に代入することで、第2抵抗の予測値を算出することと、
前記第2抵抗の予測値を前記第1組のデータに追加することで第2組のデータ[(X、Y、予測値)=(第1抵抗、第2抵抗、第2抵抗の予測値)]を準備することと、
前記第2抵抗と前記第2抵抗の予測値との差である第2抵抗の残差を算出することと、
前記第2抵抗の残差の標準偏差を求めることと、
前記第2抵抗の残差を用いて前記第2ネットの基準を決めることと、
前記第1ネットと前記第2ネットを有する別の前記プリント配線板(検査対象)を製造することと、
前記検査対象の前記第1ネットの抵抗である第3抵抗を測定することと、
前記検査対象の前記第2ネットの抵抗である第4抵抗を測定することと、
前記回帰直線に前記第3抵抗を代入することで、第4抵抗の予測値を求めることと、
前記第4抵抗と前記第4抵抗の予測値との差である第4抵抗の残差を求めることと、
前記第4抵抗の残差と前記基準を比較すること、とを有するプリント配線板の検査方法であって、
前記回帰直線の相関係数は0.7以上であり、
前記基準と前記標準偏差は次の関係を満足する。
関係:10×前記標準偏差≦前記基準≦30×前記標準偏差 - 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、前記第4抵抗の残差が前記基準以下であると、前記検査対象の前記第2ネットは良品である。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、前記複数のプリント配線板の数は30以上である。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、さらに、前記第1組のデータを準備することと前記散布図を作成することとの間に一時的な散布図を作成することと前記一時的な散布図から外れ値を除去することを含む。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、前記第1ネットを形成する配線の長さと前記第2ネットを形成する配線の長さは略等しい。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、0.7以上の相関係数を有する2つのネットが前記第1ネットと前記第2ネットとして選ばれる。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、0.9以上の相関係数を有する2つのネットが前記第1ネットと前記第2ネットとして選ばれる。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、0.95以上の相関係数を有する2つのネットが前記第1ネットと前記第2ネットとして選ばれる。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、前記第1組のデータの数は30以上である。
- 請求項1のプリント配線板の検査方法であって、前記残差の数は30以上である。
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