JP7041015B2 - 電場ベクトル計測の校正方法 - Google Patents

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本開示は、テラヘルツ波の電場ベクトル計測に用いる校正方法に関する。
テラヘルツ波の電場ベクトル計測を行う技術として、例えば特許文献1に記載の電場ベクトル検出方法が挙げられる。この電場ベクトル検出方法では、プローブ光として超短パルス光が用いられ、テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出素子として光学的等方媒質の(111)面を切り出した電気光学結晶が用いられている。この方法では、円偏光であるプローブ光でテラヘルツ波をプローブした後、プローブ光を回転検光子で変調して検出する。そして、回転検光子の回転周波数に基づく参照信号を用いてプローブ光の検出信号をロックイン検出し、テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する。
特開2016-99309号公報
テラヘルツ波の電場ベクトル計測では、具体的には、テラヘルツ波の電場ベクトルの方向及び振幅を計測している。上記特許文献1の電場ベクトル計測においても、互いに直交するEx成分及びEy成分の計測が行われている。電場ベクトル計測の精度を高めるためには、Ex成分及びEy成分の検出誤差を抑える必要がある。しかしながら、実際には、計測プロセスにおけるEx成分及びEy成分の感度比や、基準となる直交座標に対する計測系の座標軸の角度ずれ或いは非直交性など、複数の要因によってEx成分及びEy成分の検出誤差が生じることが考えられる。
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、複合的な検出誤差要因を校正でき、電場ベクトル計測の精度を高めることができる電場ベクトル計測の校正方法を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本開示の一側面に係る電場ベクトル計測の校正方法は、テラヘルツ波の電場ベクトルについて互いに直交するE成分及びE成分を計測する電場ベクトル計測の校正方法であって、テラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得する第1のステップと、第1のステップで取得した複数の電場ベクトルの実測偏光方位をそれぞれ導出する第2のステップと、複数の誤差要因に関する補正係数を含む式を用い、複数の電場ベクトルの実測偏光方位を複数の設定偏光方位に対してフィッティングする第3のステップと、フィッティングの結果に基づいて複数の誤差要因に関する補正係数を取得する第4のステップと、を備える。
この電場ベクトル計測の校正方法では、偏光方位が異なる複数のテラヘルツ波の電場ベクトルを計測し、計測によって取得した複数の電場ベクトルの実測偏光方位を予め設定された複数の設定偏光方位とのフィッティングを行う。フィッティングでは、複数の誤差要因に関する補正係数を含む式を用いる。これにより、フィッティングの結果に基づいて複数の誤差要因に関する補正係数を取得することが可能となり、複合的な検出誤差要因を校正できるので、電場ベクトル計測の精度を高めることができる。
また、第3のステップにおいて、フィッティングを下記式に基づいて実行し、第4のステップにおいて、Ex成分及びEy成分の感度比、基準軸からの角度差、及び非直交性に関する補正係数を取得してもよい。
Figure 0007041015000001
(式中、θsetは設定偏光方位、θexは実測偏光方位、αは感度比、φはEx成分の計測角度差、φはEy成分の計測角度差を示す。)
上記式を用いることにより、Ex成分及びEy成分の感度比、基準軸からの角度差、及び非直交性を校正することができる。一般的な感度比の補正を行う場合、既知の強度のEx成分及びEy成分を有するテラヘルツ波をそれぞれ検出して感度を求める必要がある。しかも、計測系の座標軸に非直交性があると、感度の要因と非直交性の要因とを分離することが難しく、感度比の補正の信頼性が得られにくいという問題もある。これに対し、この手法では、複数の偏光状態における電場ベクトルの計測結果に基づいて、感度比を含む複合的な検出誤差要因の校正を一度に且つ精度良く行うことができる。
また、補正係数に基づいて第2のステップで取得した複数の電場ベクトルを補正する第5のステップを備えてもよい。これにより、テラヘルツ波の電場ベクトルのEx成分及びEy成分の真の値を得ることができる。
また、第5のステップにおいて、補正を下記式に基づいて実行してもよい。
Figure 0007041015000002
(式中、Ey’は感度比補正後のEy成分、Ey’’はEx軸上のEy’成分を示す。)
Figure 0007041015000003
(式中、Ex correctは真のEx成分、Ey correctは、真のEy成分を示す。)
上記式を用いて補正を行うことにより、テラヘルツ波の電場ベクトルのEx成分及びEy成分の真の値を好適に得ることができる。
また、第1のステップにおいて、直線偏光のテラヘルツ波に対してλ/2波長板を回転させることにより、テラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得してもよい。この場合、簡単な構成でテラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得できる。
また、第1のステップにおいて、円偏光の前記テラヘルツ波に対してワイヤグリッド偏光子を回転させることにより、テラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得してもよい。この場合、簡単な構成でテラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得できる。
本開示によれば、複合的な検出誤差要因を校正でき、電場ベクトル計測の精度を高めることができる。
電場ベクトル計測の校正方法の一実施形態を適用する電場ベクトル計測装置の構成例を示す概略図である。 テラヘルツ波検出素子におけるテラヘルツ波の電場ベクトルを示す図である。 解析装置の構成例を示すブロック図である。 電場ベクトル計測装置を用いて実行される電場ベクトル計測ステップの一例を示すフローチャートである。 電場ベクトルの誤差要因と計測への影響を示す図である。 校正を行う場合のテラヘルツ波発生モジュールの構成例を示す概略図である。 校正ステップの一例を示すフローチャートである。 電場ベクトルの計測結果の一例を示す図である。 フィッティングに用いる式中の係数の定義を示す図である。 フィッティング結果の一例を示す図である。 校正を行う場合のテラヘルツ波発生モジュールの変形例を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る電場ベクトル計測の校正方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
[電場ベクトル計測装置の構成]
図1は、電場ベクトル計測の校正方法の一実施形態を適用する電場ベクトル計測装置の構成例を示す概略図である。同図に示すように、電場ベクトル計測装置1は、プローブ光Laの偏光を調整する偏光調整部2と、テラヘルツ波Tを検出するテラヘルツ波検出素子3と、プローブ光Laを検出する光検出器4(第1の光検出器4A及び第2の光検出器4B)とを含む光学系MAを有している。また、電場ベクトル計測装置1は、テラヘルツ波Tを発生させるテラヘルツ波発生モジュール20(図6参照)を備えている。
プローブ光Laは、例えばフェムト秒パルスレーザを出射する光源からの出射光である。出射光は、例えば波長800nm、パルス幅100fs、繰り返し周波数100MHzとなっている。プローブ光Laは、ミラー5を経て偏光調整部2に導光される。偏光調整部2は、偏光子6と、λ/4波長板7とによって構成されている。偏光調整部2に導光されたプローブ光Laは、偏光子6によって所定方向の直線偏光となり、さらに、λ/4波長板7によって円偏光となる。円偏光となったプローブ光Laは、無偏光ビームスプリッタ8により偏光状態を維持したまま二分される。二分されたプローブ光Laの一方は、テラヘルツ波検出素子3に導光され、他方は、第2の光検出器4Bに導光される。
テラヘルツ波検出素子3は、例えば光学的等方媒質であるZnTeの(111)面を切り出した電気光学結晶によって構成されている。テラヘルツ波検出素子3の一方面は、テラヘルツ波Tが入射する入射面となっている。一方面には、テラヘルツ波Tを透過し、かつプローブ光Laを反射する反射コーティングが施されている。また、テラヘルツ波検出素子3の他方面は、プローブ光Laが入射する入射面となっている。他方面には、プローブ光Laの反射を抑制する反射防止コーティングが施されている。
図2は、テラヘルツ波検出素子におけるテラヘルツ波の電場ベクトルを示す図である。同図に示すように、テラヘルツ波Tの電場ベクトルEは、振幅|E|と、方位θとによって表される。方位θは、ZnTeの(111)面における<-211>方向を0°とし、これを基準として<0-11>方向を正方向としている。<-211>方向に対するテラヘルツ波Tの電場の傾きが2θである場合、複屈折は-θ方向に誘起される。テラヘルツ波Tの強さに応じて誘起される複屈折の大きさは、方向によらず一定となる。
テラヘルツ波検出素子3に入射したプローブ光Laは、入射したタイミングでのテラヘルツ波Tの電場によって変調され、偏光状態が楕円偏光などに変化する。テラヘルツ波Tをプローブした後のプローブ光Laは、テラヘルツ波検出素子3の一方面3aで反射して無偏光ビームスプリッタ8に再び入射する。二分されたプローブ光Laの一方は、回転検光子9に入射し、他方は戻り光となる。
回転検光子9は、モータなどにより、検光子が面内で回転する素子である。プローブ光Laが検光子に入射すると、特定の直線偏光のみが出力される。したがって、検光子が回転する場合、プローブ光Laが変調される。回転検光子9で変調されたプローブ光Laは、第1の光検出器4Aに入射する。戻り光は、λ/4波長板7によって直線偏光に近い楕円偏光となり、大部分が偏光子6でカットされる。
第1の光検出器4A及び第2の光検出器4Bは、例えばフォトダイオードである。第1の光検出器4Aは、テラヘルツ波Tをプローブした後のプローブ光Laを検出する光検出器であり、回転検光子9によって変調されたプローブ光Laを検出する。第2の光検出器4Bは、パワー変動のモニタリングに用いられる光検出器であり、テラヘルツ波検出素子3に向かわずに無偏光ビームスプリッタ8を透過したプローブ光Laを検出する。
図3は、上述した電場ベクトル計測装置1の光学系MAに接続される解析装置NAの構成例を示すブロック図である。同図に示すように、解析装置NAは、差動検出器11と、ロックイン検出器12と、電場ベクトル検出部13とを備えている。
差動検出器11は、第1の光検出器4Aからの検出信号と第2の光検出器4Bからの検出信号との差分を検出する部分である。差動検出器11は、第1の光検出器4Aからの検出信号と第2の光検出器4Bからの検出信号との差分に基づく検出信号をロックイン検出器12に出力する。差動検出を行うことにより、プローブ光Laにおけるパワー変動成分が除去される。このとき、第1の光検出器4A及び第2の光検出器4Bは、テラヘルツ波Tが入射しない状態で、かつ回転検光子9を配置していないときの差動検出器11の検出信号の強度がゼロとなるように感度調整されていることが好ましい。
ロックイン検出器12は、第1の光検出器4Aからの検出信号(ここでは差動検出器11からの検出信号)をロックイン検出する部分である。本実施形態のロックイン検出器12は、2位相ロックイン検出器であり、参照信号の周波数に同期して変化する検出信号の振幅と位相とを同時に検出する。差動検出器11からの検出信号は、回転検光子9が1/2回転することで1周期分変動する。したがって、回転検光子9の回転周波数をfとした場合、ロックイン検出器12の参照信号の周波数を2fとすればよい。ロックイン検出器12からの検出信号は、電場ベクトル検出部13に出力される。回転周波数fは、例えば20Hz~100Hzである。
電場ベクトル検出部13は、ロックイン検出器12からの検出信号に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルを検出する部分である。電場ベクトル検出部13は、物理的には、CPU、メモリ、通信インタフェイス等を備えたコンピュータシステムによって構成されている。
ロックイン検出器12からの検出信号に含まれる振幅A及び位相φと、テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅|E|及び方位θとの間には、下記の関係が成り立つ。下記式におけるAは、テラヘルツ波検出素子3として用いる電気光学結晶の非線形光学定数及び厚さ、プローブ光Laの波長などに基づいて決定される定数である。下記式により、ロックイン検出器12からの検出結果に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルを一意に決定できる。
Figure 0007041015000004
Figure 0007041015000005
なお、テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅が十分に小さい場合には、下記式が成立する。この場合には、ロックイン検出器12の検出信号に含まれる振幅Aを、そのままテラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅|E|としてもよい。
Figure 0007041015000006
また、2位相ロックイン検出器は、参照信号の位相に従ってAcosφとAsinφとをそれぞれ出力することができる。テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅が十分に小さい場合、これらの出力とテラヘルツ波Tの電場ベクトルにおける互いに直交する2つの軸方向の成分との間には、下記式が成立する。したがって、ロックイン検出器12から出力される2つの出力に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルにおける互いに直交する2つの軸方向の成分に比例する値Ex,Eyが得られることとなる。
Figure 0007041015000007
Figure 0007041015000008
[電場ベクトル計測方法]
図4は、電場ベクトル計測装置1を用いて実行される電場ベクトル計測ステップの一例を示すフローチャートである。
同図に示すように、電場ベクトル計測ステップでは、まず、不図示の光源によって超短パルス光であるプローブ光Laが出射される(ステップS01)。プローブ光Laは、偏光調整部2に導光され、偏光状態が円偏光となる(ステップS02)。偏光状態が円偏光となったプローブ光Laは、テラヘルツ波検出素子3に入射し、テラヘルツ波Tのプローブがなされる(ステップS03)。このとき、テラヘルツ波Tの偏光状態は、テラヘルツ波Tの電場ベクトルによって変化する。プローブ後のプローブ光Laは、回転検光子9によって変調され(ステップS04)、第1の光検出器4Aによって検出される(ステップS05)。また、プローブに用いられなかったプローブ光Laは、第2の光検出器4Bによって検出される。
次に、第1の光検出器4A及び第2の光検出器4Bからの検出信号がそれぞれ差動検出器11に出力され、差動検出が行われる(ステップS06)。また、差動検出器11からの検出信号がロックイン検出器12に出力され、回転検光子9の回転周波数の2倍の周波数を参照信号としてロックイン検出が行われる(ステップS07)。ロックイン検出器12からの検出信号は、電場ベクトル検出部13に出力され、ロックイン検出器12からの検出信号に含まれる振幅及び位相に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅及び方向が検出される(ステップS08)。
[電場ベクトル計測の校正方法]
次に、電場ベクトル計測の校正方法について詳細に説明する。
上記の電場ベクトル計測では、互いに直交するEx成分及びEy成分の計測が行われている。電場ベクトル計測の精度を高めるためには、Ex成分及びEy成分の検出誤差を抑える必要がある。しかしながら、実際には、計測プロセスにおけるEx成分及びEy成分の感度比や、基準となる直交座標に対する計測系の座標軸の角度ずれや非直交性など、複数の要因によってEx成分及びEy成分の検出誤差が生じることが考えられる。
例えば図5(a)に示すように、電場ベクトルEが45°の方位をなす場合、理想的にはEx成分及びEy成分は同一の値となる。一方、Ex成分及びEy成分の感度に差がある場合、図5(b)に示すように、真の電場ベクトルEに対し、計測される電場ベクトルE’に方位及び振幅の誤差が生じ得る。また、図5(c)に示すように、計測系の座標軸に角度ずれが生じている(座標の直交性を維持したまま座標系全体が基準から回転している)場合、或いは図5(d)に示すように、計測系の座標軸に非直交性が生じている場合も、図5(b)と同様、真の電場ベクトルEに対し、計測される電場ベクトルE’に方位及び振幅の誤差が生じ得る。したがって、電場ベクトルの計測精度を高めるためには、これらの誤差要因を考慮した校正が必要となる。
図6は、校正を行う場合のテラヘルツ波発生モジュール20の構成例を示す概略図である。同図の例では、テラヘルツ波発生モジュール20は、偏光子21と、テラヘルツ波発生素子22と、λ/2波長板23とを備えている。偏光子21は、光源からのポンプ光Lbのうち、例えば0°の直線偏光成分のみを透過させる。
テラヘルツ波発生素子22は、例えば光学的等方媒質であるZeTeの(111)面を切り出した非線形光学結晶によって構成されている。当該結晶から発生するテラヘルツ波Tのパルス幅は、一般的には数ps程度であり、0.1THz~3THz程度の帯域の周波数成分を含んでいる。テラヘルツ波発生素子22では、ポンプ光Lbの入射により、0°の直線偏光のテラヘルツ波Tを発生させる。
λ/2波長板23は、ここでは、プリズム型波長板である。λ/2波長板23は、例えばテラヘルツ波Tの波長域で屈折率が3.41であるシリコンによって構成されている。λ/2波長板23は、互いに平行な入射面及び出射面と、入射面と出射面との間の光路上に位置する複数の全反射面とを有している。全反射面それぞれにおいてテラヘルツ波Tが全反射することで、p偏光成分とs偏光成分との間に位相差が生じる。この位相差は、全反射面におけるテラヘルツ波Tの入射角、λ/2波長板23の屈折率に依存し、位相差をπとすることでλ/2波長板が構成されている。
λ/2波長板23をテラヘルツ波Tの光軸回りに回転させることで、λ/2波長板23から出力されるテラヘルツ波Tの偏光状態は、直線偏光のまま方位のみが変化する。λ/2波長板23から出力されたテラヘルツ波Tは、テラヘルツ波検出素子3に入射し、プローブ光Laによってプローブされる。
図7は、校正ステップの一例を示すフローチャートである。同図に示すように、校正ステップでは、まず、複数の設定偏光方位についてテラヘルツ波Tの電場ベクトルを取得する(ステップS11:第1のステップ)。次に、ステップS11で取得した複数の電場ベクトルの実測偏光方位をそれぞれ導出する(ステップS12:第2のステップ)。設定偏光方位は、予め設定された偏光の方位であり、電場ベクトル取得時のλ/2波長板23の回転角度が基準となる。実測偏光方位は、設定偏光方位毎の計測結果から導出された電場ベクトルの方位である。
図8は、電場ベクトルの計測結果の一例を示す図である。同図の例では、λ/2波長板23の回転により、直線偏光の方位を90°~-90°の範囲(-90°を除く)で22.5°刻みで変化させた場合の電場ベクトルの計測結果を示している。図8では、電場ベクトルのEx成分及びEy成分が時間経過によって振動している様子が捉えられている。電場ベクトルの実測偏光方位の導出には、各電場ベクトルの波形において振幅が最大となる時間での電場ベクトルの方位を用いてもよく、全て或いは一部の計測点における電場ベクトルの方位の平均値としてもよい。また、XY平面への射影に対する直線近似によって電場ベクトルの方位を導出してもよい。
各電場ベクトルの実測偏光方位を導出した後、図7に示すように、複数の電場ベクトルの実測偏光方位を複数の設定偏光方位に対してフィッティングする(ステップS13:第3のステップ)。具体的には、複数の電場ベクトルの実測偏光方位を複数の設定偏光方位に対してプロットし、下記式を用いてフィッティングを行う。
Figure 0007041015000009
図9は、上記の式中の係数の定義を示す図である。図9(a)は、見た目上の電場ベクトルの計測系の状態を模式的に示しており、図9(b)は、実際の電場ベクトルの計測系の状態を模式的に示している。θsetは設定偏光方位、θexは実測偏光方位、αは感度比、φはEx成分の計測角度差、φはEy成分の計測角度差である。フィッティングを行った後、図7に示すように、フィッティングの結果に基づいて複数の誤差要因に関する補正係数を取得する(ステップS14:第4のステップ)。ここでは、E成分及びE成分の感度比、基準軸からの角度差、及び非直交性に関する補正係数として、α、φx、φを取得する。図10は、フィッティング結果の一例を示す図である。同図の例では、フィッティング結果に基づいて、αが0.87、φが2.68、φが7.96と算出される。
最後に、補正係数に基づいて第2のステップで取得した複数の電場ベクトルを補正する(ステップS15:第5のステップ)。感度比の補正では、例えばEy成分に1/αを乗じてEy’成分を得ればよい。また、計測系の座標軸の非直交性は、φとφとの差分によって求めることができる。計測系の座標軸の非直交性の補正では、例えばEy’成分をEx軸に直交するEy’’軸に投影すると考えると、下記式を用いて補正できる。
Figure 0007041015000010
(式中、Ey’は感度比補正後のEy成分、Ey’’はEx軸上のEy’成分を示す。)
Ey’’成分を求めた後、下記の回転行列を用いて計測系の座標軸の角度ずれを補正し、真のEx成分及び真のEy成分を導出する。
Figure 0007041015000011
(式中、Ex correctは真のEx成分、Ey correctは、真のEy成分を示す。)
以上説明したように、この電場ベクトル計測の校正方法では、偏光方位が異なる複数のテラヘルツ波Tの電場ベクトルを計測し、計測によって取得した複数の電場ベクトルの実測偏光方位を予め設定された複数の設定偏光方位とのフィッティングを行う。フィッティングでは、複数の誤差要因に関する補正係数を含む式を用いる。これにより、フィッティングの結果に基づいて複数の誤差要因に関する補正係数を取得することが可能となり、複合的な検出誤差要因を校正できるので、電場ベクトル計測の精度を高めることができる。
本実施形態では、フィッティングにより、Ex成分及びEy成分の感度比、基準軸からの角度差、及び非直交性を校正することができる。一般的な感度比の補正を行う場合、既知の強度のEx成分及びEy成分を有するテラヘルツ波をそれぞれ検出して感度を求める必要がある。しかも、計測系の座標軸に非直交性があると、感度の要因と非直交性の要因とを分離することが難しく、感度比の補正の信頼性が得られにくいという問題もある。これに対し、この手法では、複数の偏光状態における電場ベクトルの計測結果に基づいて、感度比を含む複合的な検出誤差要因の構成を一度に且つ精度良く行うことができる。
また、本実施形態では、直線偏光のテラヘルツ波Tに対してλ/2波長板23を回転させることにより、テラヘルツ波Tの電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得している。これにより、簡単な構成でテラヘルツ波Tの電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得することが可能となる。
[変形例]
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、図6に示したように、直線偏光のテラヘルツ波Tの方位をλ/2波長板23の回転によって変化させることによって、電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得しているが、複数の電場ベクトルの取得方法はこれに限られるものではない。図11に示す例では、テラヘルツ波発生モジュール20において、偏光子21及びλ/2波長板23に代えて、λ/4波長板24と、ワイヤグリッド偏光子25とが配置されている。
λ/4波長板24は、λ/2波長板23と同様のプリズム型波長板である。また、ワイヤグリッド偏光子25は、例えば平行に配列された複数の金属ワイヤからなる光学素子であり、透過するテラヘルツ波の偏光方向を一方向に制限することができる。このような構成によれば、テラヘルツ波発生素子22で発生したテラヘルツ波Tの偏光状態をλ/4波長板24によって円偏光に変換し、さらに、円偏光のテラヘルツ波Tに対してワイヤグリッド偏光子25を回転させることにより、簡単な構成で電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得することができる。
1…電場ベクトル計測装置、23…λ/2波長板、25…ワイヤグリッド偏光子、T…テラヘルツ波。

Claims (6)

  1. テラヘルツ波の電場ベクトルについて互いに直交するE成分及びE成分を計測する電場ベクトル計測の校正方法であって、
    前記テラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得する第1のステップと、
    前記第1のステップで取得した複数の電場ベクトルの実測偏光方位をそれぞれ導出する第2のステップと、
    複数の誤差要因に関する補正係数を含む式を用い、前記複数の電場ベクトルの実測偏光方位を前記複数の設定偏光方位に対してフィッティングする第3のステップと、
    前記フィッティングの結果に基づいて前記複数の誤差要因に関する補正係数を取得する第4のステップと、を備える電場ベクトル計測の校正方法。
  2. 前記第3のステップにおいて、前記フィッティングを下記式に基づいて実行し、
    前記第4のステップにおいて、E成分及びE成分の感度比、基準軸からの角度差、及び非直交性に関する補正係数を取得する請求項1記載の電場ベクトル計測の校正方法。
    Figure 0007041015000012
    (式中、θsetは設定偏光方位、θexは実測偏光方位、αは感度比、φはEx成分の計測角度差、φはEy成分の計測角度差を示す。)
  3. 前記補正係数に基づいて前記第2のステップで取得した前記複数の電場ベクトルを補正する第5のステップを備える請求項1又は2記載の電場ベクトル計測の校正方法。
  4. 前記第5のステップにおいて、前記補正を下記式に基づいて実行する請求項3記載の電場ベクトル計測の校正方法。
    Figure 0007041015000013
    (式中、Ey’は感度比補正後のEy成分、Ey’’はEx軸上のEy’成分を示す。)
    Figure 0007041015000014
    (式中、Ex correctは真のEx成分、Ey correctは、真のEy成分を示す。)
  5. 前記第1のステップにおいて、直線偏光の前記テラヘルツ波に対してλ/2波長板を回転させることにより、前記テラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得する請求項1~4のいずれか一項記載の電場ベクトル計測の校正方法。
  6. 前記第1のステップにおいて、円偏光の前記テラヘルツ波に対してワイヤグリッド偏光子を回転させることにより、前記テラヘルツ波の電場ベクトルを複数の設定偏光方位について取得する請求項1~4のいずれか一項記載の電場ベクトル計測の校正方法。
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