JP6682351B2 - 光学解析装置及び光学解析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学解析装置及び光学解析方法に関する。
従来、異方性材料の光学的なパラメータを導出する方法がある。例えば非特許文献1には、異方性材料の回転角度ごとにテラヘルツ波の時間波形を取得し、軸の方位を決定した後に、各軸の複素屈折率を導出する方法が開示されている。また、非特許文献2には、円偏光のテラヘルツ波パルスで異方性材料をプローブし、その結果を所定の計算式を用いて解析することで複屈折パラメータを導出する方法が開示されている。
しかしながら、非特許文献1に記載された方法では、異方性材料を所定の角度ずつ回転させながら、角度ごとに時間波形を取得するため、計測に手間と時間を要するおそれがある。また、軸の方位を高分解能で決定するためには、細かく角度を変化させて時間波形を取得する必要があり、簡便な計測が困難である。
また、非特許文献2に記載された方法では、用いる計算式の性質上、被測定物が所定の厚みを有している場合、又は、被測定物の進相軸と遅相軸との屈折率差が大きい場合でなければ測定が困難である。また、同方法では、異方性材料に屈折率の波長分散がないことが前提となっているため、吸収ピークなどの分布を持つ材料の測定が困難である。このように、非特許文献2に記載の方法では、測定することができる被測定部に制限があり、簡便な計測が困難である。
本発明は、被測定物の光学パラメータを簡便に計測することができる光学解析装置及び光学解析方法を提供することを目的とする。
一態様に係る光学解析装置は、異方性を有する被測定物の光学パラメータを解析する光学解析装置であって、テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生部と、テラヘルツ波発生部によって発生したテラヘルツ波の偏光状態を互いに異なる第1の偏光状態又は第2の偏光状態に切り替える偏光切替部と、偏光切替部によって偏光状態が切り替えられたテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出部と、偏光切替部とテラヘルツ波検出部との間の光路上に配置された被測定物の配置部と、テラヘルツ波検出部によって検出されたテラヘルツ波の電場ベクトルを計測する電場ベクトル計測部と、電場ベクトル計測部による電場ベクトルの計測結果に基づいて被測定物の光学パラメータを解析する解析部と、を備え、解析部は、第1の偏光状態におけるテラヘルツ波の電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づく第1の解析データと、第2の偏光状態におけるテラヘルツ波の電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づく第2の解析データとの交点から被測定物の光学パラメータを決定する。
このような光学解析装置では、被測定物に入力された第1の偏光状態のテラヘルツ波の電場ベクトルと第2の偏光状態のテラヘルツ波の電場ベクトルとが電場ベクトル計測部によって計測される。そして、これらの計測結果が解析部によって解析されることで、被測定物の光学パラメータを含む第1の解析データ及び第2の解析データが得られる。ここで、被測定物の光学パラメータは、テラヘルツ波の偏光状態に依存しないので、第1の解析データ及び第2の解析データのいずれにおいても、正しい光学パラメータの値は共通している。そのため、第1の解析データと第2の解析データとの交点から被測定物の光学パラメータを一意に定めることができる。このように、上記の光学解析装置によれば、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のテラヘルツ波を用いて測定を行うことにより、被測定物の光学パラメータを簡便に計測することができる。
また、一態様の光学解析装置では、解析部は、配置部に被測定物が配置されていない状態で計測された第1の偏光状態におけるテラヘルツ波の電場ベクトルをリファレンスとして用いて第1の解析データを得るとともに、配置部に被測定物が配置されていない状態で計測された第2の偏光状態におけるテラヘルツ波の電場ベクトルをリファレンスとして用いて第2の解析データを得る構成でもよい。このように、被測定物が配置されていない状態でのテラヘルツ波をリファレンスとすることによって、光学パラメータの絶対値を導出することができる。
また、一態様の光学解析装置では、テラヘルツ波は、互いに異なる複数の周波数成分を含み、解析部は、複数の周波数成分ごとに光学パラメータを決定してもよい。この場合、例えば、周波数成分ごとに取得された光学パラメータの平均を求めることによって、計測精度を高めることができる。
また、一態様の光学解析装置では、解析部は、複数の周波数成分ごとに解析された光学パラメータの散らばりの指標を導出してもよい。例えば、異方性材料の光学軸の方位を決定する場合などに、散らばりの度合いの小さいパラメータを選択することによって、計測精度を高めることができる。
また、一態様の光学解析装置では、偏光切替部は、テラヘルツ波を円偏光又は楕円偏光に変換する波長板を有し、テラヘルツ波の伝播方向に平行な軸を回転中心として波長板を回転させることによって、テラヘルツ波を第1の偏光状態と第2の偏光状態とに変換してもよい。この場合、光学素子の回転という簡便な操作によってテラヘルツ波を第1の偏光状態と第2の偏光状態とに確実に変換することができる。
また、一態様の光学解析装置では、偏光切替部は、テラヘルツ波を互いに偏光方位が直交する2つの直線偏光にするとともに、2つの直線偏光を互いに時間的に分離する偏光分離部と、2つの直線偏光を円偏光又は楕円偏光に変換する波長板とを含んでもよい。この場合、特別な操作を行くことなく、テラヘルツ波が第1の偏光状態と第2の偏光状態とに変換される。
また、一態様に係る光学解析方法は、異方性を有する被測定物の光学パラメータを解析する光学解析方法であって、被測定物に入力された第1の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第1のサンプル計測工程と、被測定物に入力された第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第2のサンプル計測工程と、第1のサンプル計測工程で得られた電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第1の解析データを得るとともに、第2のサンプル計測工程で得られた電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第2の解析データを得る解析データ取得工程と、第1の解析データと第2の解析データとの交点から被測定物の光学パラメータを決定する光学パラメータ決定工程と、を備える。
このような光学解析方法では、被測定物を透過した第1の偏光状態のテラヘルツ波の電場ベクトルと第2の偏光状態のテラヘルツ波の電場ベクトルを計測し、その計測結果を解析することによって被測定物の光学パラメータを決定している。ここで、被測定物の光学パラメータは、被測定物を透過するテラヘルツ波の偏光状態に依存しない。すなわち、第1の偏光状態のテラヘルツ波に基づく第1の解析データと、第2の偏光状態のテラヘルツ波に基づく第2の解析データとのいずれにおいても、被測定物の正しい光学パラメータが反映されている。そのため、第1の解析データと第2の解析データとの交点に基づいて被測定物の光学パラメータを一意に定めることができる。このように、上記の光学解析方法によれば、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のテラヘルツ波を用いて測定を行うことにより、被測定物の光学パラメータを簡便に計測することができる。
また、一態様の光学解析方法では、被測定物に入力されていない第1の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第1のリファレンス計測工程、及び、被測定物に入力されていない第2の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第2のリファレンス計測工程をさらに備え、解析データ取得工程では、第1のサンプル計測工程で得られた電場ベクトルと回転行列との積と、第1のリファレンス計測工程で得られた電場ベクトルと回転行列との積とをフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第1の解析データを得るとともに、第2のサンプル計測工程で得られた電場ベクトルと回転行列との積と第2のリファレンス計測工程で得られた電場ベクトルと回転行列との積とをフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第2の解析データを得てもよい。この場合、被測定物に入力されていないテラヘルツ波をリファレンスとすることによって、光学パラメータの絶対値を導出することができる。
また、一態様の光学解析方法では、光学パラメータは光学軸の方位角、屈折率、吸光係数及び誘電率の少なくとも一つを含んでもよい。
また、一態様の光学解析方法では、テラヘルツ波は、互いに異なる複数の周波数成分を含み、光学パラメータ決定工程において、複数の周波数成分ごとに光学パラメータを決定してもよい。この場合、例えば、周波数成分ごとに取得された光学パラメータの平均を求めることによって、計測精度を高めることができる。
また、一態様の光学解析方法では、光学パラメータ決定工程において、複数の周波数成分ごとに決定された光学パラメータの散らばりの指標を導出してもよい。例えば、異方性材料の光学軸の方位を取得する場合などに、散らばりの度合いの小さいパラメータを選択することによって、計測精度を高めることができる。
一態様の光学解析装置及び光学解析方法によれば、被測定物の光学パラメータを簡便に計測することができる。
一実施形態に係る光学解析装置の光学系を示す構成図である。 テラヘルツ波検出素子におけるテラヘルツ波の電場ベクトルを示す図である。 図1に示した光学解析装置の光学系に接続される解析装置の構成例を示すブロック図である。 解析装置による解析結果を説明するための図である。 解析装置による解析結果を説明するための図である。 解析装置による解析結果を説明するための図である。 解析装置による解析結果を説明するための図である。 一実施形態に係る光学解析方法を示すフローチャートである。 電場ベクトル検出方法を示すフローチャートである。 解析装置による解析結果を説明するための図である。 他の実施形態に係る光学解析装置の光学系を示す構成図である。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る光学解析装置の光学系を示す図である。光学解析装置1は、複屈折材料のような光学的な異方性を有する被測定物Sの光学パラメータを解析する。光学パラメータは、例えば被測定物の光学軸の方位角、屈折率、吸光係数、誘電率等である。図1に示すように、光学解析装置1の光学系1Aは、テラヘルツ波発生素子(テラヘルツ波発生部)11と、偏光切替部13と、テラヘルツ波検出素子(テラヘルツ波検出部)30と、被測定物Sの配置部15とを含んでいる。テラヘルツ波発生素子11によって発生したテラヘルツ波Tは、偏光切替部13によって偏光状態が切り替えられ、配置部15に配置された被測定物Sに入射される。被測定物Sに入射されたテラヘルツ波Tは、テラヘルツ波検出素子30によって検出される。以下、光学解析装置1の光学系1Aについて詳細に説明する。
光学解析装置1の光学系1Aは、出射光Lとしてフェムト秒レーザを出射する光源2と、光源2からの出射光Lをプローブ光Laとポンプ光Lbとに分岐するビームスプリッタ3と、ポンプ光Lbを周期的に変調する光変調器5と、ポンプ光Lbをプローブ光Laに対して時間的に遅延させる遅延ステージ6と、ポンプ光Lbの入射によってテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生素子11と、テラヘルツ波Tの偏光状態を切り替える偏光切替部13と、テラヘルツ波Tを検出するテラヘルツ波検出素子30と、偏光切替部13とテラヘルツ波検出素子30との間の光路上に配置された配置部15と、プローブ光Laの偏光を調整する偏光調整部32と、プローブ光Laを検出する光検出器34とを含んで構成されている。
光源2から出射されるフェムト秒レーザは、例えば波長800nm、パルス幅100fs、繰り返し周波数100MHz、平均出力500mWとなっている。光変調器5は、例えば光チョッパであり、ポンプ光Lbを変調周波数fで時間的に変調する。変調周波数fは、例えば1kHz〜200kHzである。遅延ステージ6は、例えばビームスプリッタ3で分岐したポンプ光Lbの光軸方向に往復動可能なステージ6aと、ポンプ光Lbを折り返す一対のミラー6b,6cとを有している。遅延ステージ6を経たポンプ光Lbは、ミラー8によってテラヘルツ波発生素子11に導光される。
テラヘルツ波発生素子11は、例えばZeTeなどの非線形光学結晶、GaAsを用いた光スイッチなどのアンテナ素子、InAsなどの半導体、超伝導体などによって構成されている。これらの素子から発生するテラヘルツ波Tのパルスは、一般的には数ピコ秒程度である。テラヘルツ波発生素子11として非線形光学結晶を用いた場合、テラヘルツ波発生素子11に入射されたポンプ光Lbは、非線形光学効果によってテラヘルツ波Tに変換される。テラヘルツ波発生素子から出射されるテラヘルツ波は、偏光切替部13に入射される。このテラヘルツ波は、例えば0.1〜3THzの帯域の周波数成分を含む。
偏光切替部13は、入射されたテラヘルツ波Tの偏光状態を互いに異なる第1の偏光状態又は第2の偏光状態に切り替えて出射することができる。本実施形態における偏光切替部13は、例えばλ/4波長板13aを有している。λ/4波長板13aは、テラヘルツ波Tの伝播方向に平行な軸を回転中心として回転自在に支持されている。λ/4波長板13aを透過するテラヘルツ波Tの偏光状態は、λ/4波長板13aを回転させることによって任意に変更される。例えば、互いに異なる第1の回転位置と第2の回転位置とにλ/4波長板13aを切り替えることによって、テラヘルツ波Tを第1の偏光状態又は第2の偏光状態に切り替えることができる。本実施形態では、λ/4波長板13aに直線偏光のテラヘルツ波Tが入射される。この場合、λ/4波長板13aの回転制御によって、第1の偏光状態又は第2の偏光状態をもつ楕円偏光又は円偏光のテラヘルツ波が出射される。λ/4波長板13aの回転位置は、手動で制御されてもよいし、アクチュエータ等によって制御されてもよい。
被測定物Sが配置される配置部15は、偏光切替部13とテラヘルツ波検出素子30との間の光路上に配置されている。そのため、配置部15に被測定物Sが配置されている場合、λ/4波長板13aから出射されたテラヘルツ波Tは、被測定物Sを透過してテラヘルツ波検出素子30に入射する。一方、配置部15に被測定物Sが配置されていない場合、λ/4波長板13aから出射されたテラヘルツ波Tは、被測定物Sを透過することなく、テラヘルツ波検出素子30に入射する。配置部15は、被測定物Sの厚さ方向をテラヘルツ波Tの伝播方向に一致させるように配置されたホルダ等によって構成され得る。
プローブ光Laは、ミラー9を経て偏光調整部32に導光される。偏光調整部32は、偏光子36と、λ/4波長板37とによって構成されている。偏光調整部32に導光されたプローブ光Laは、偏光子36によって所定方向の直線偏光となり、さらに、λ/4波長板37によって円偏光となる。
円偏光となったプローブ光Laは、無偏光ビームスプリッタ38により偏光状態を維持したまま二分される。二分されたプローブ光Laの一方は、テラヘルツ波検出素子30に導光され、他方は、第2の光検出器34Bに導光される。
テラヘルツ波検出素子30は、例えば光学的等方媒質であるZnTeの(111)面を切り出した電気光学結晶によって構成されている。テラヘルツ波検出素子30の一方面30aは、テラヘルツ波Tが入射する入射面となっている。一方面30aには、テラヘルツ波Tを透過し、かつプローブ光Laを反射する反射コーティングが施されている。また、テラヘルツ波検出素子30の他方面30bは、プローブ光Laが入射する入射面となっている。他方面30bには、プローブ光Laの反射を抑制する反射防止コーティングが施されている。
図2は、テラヘルツ波検出素子30におけるテラヘルツ波の電場ベクトルを示す図である。同図に示すように、テラヘルツ波Tの電場ベクトルEは、振幅|E|と、方位θとによって表される。方位θは、ZnTeの(111)面における<−211>方向を0°とし、これを基準として<0−11>方向を正方向としている。<−211>方向に対するテラヘルツ波Tの電場の傾きが2θである場合、複屈折は−θ方向に誘起される。テラヘルツ波Tの強さに応じて誘起される複屈折の大きさは、方向によらず一定となる。
テラヘルツ波検出素子30に入射したプローブ光Laは、入射したタイミングでのテラヘルツ波Tの電場によって変調され、偏光状態が楕円偏光などに変化する。テラヘルツ波Tをプローブした後のプローブ光Laは、テラヘルツ波検出素子30の一方面30aで反射して無偏光ビームスプリッタ38に再び入射する。二分されたプローブ光Laの一方は、回転検光子39に入射し、他方は戻り光となる。
回転検光子39は、モータなどにより、検光子が面内で回転する素子である。プローブ光Laが検光子に入射すると、特定の直線偏光のみが出力される。したがって、検光子が回転する場合、プローブ光Laが変調される。回転検光子39で変調されたプローブ光Laは、第1の光検出器34Aに入射する。戻り光は、λ/4波長板37によって直線偏光に近い楕円偏光となり、大部分が偏光子36でカットされる。
第1の光検出器34A及び第2の光検出器34Bは、例えばフォトダイオードである。第1の光検出器34Aは、テラヘルツ波Tをプローブした後のプローブ光Laを検出する光検出器であり、回転検光子39によって変調されたプローブ光Laを検出する。第2の光検出器34Bは、パワー変動のモニタリングに用いられる光検出器であり、テラヘルツ波検出素子30に向かわずに無偏光ビームスプリッタ38を透過したプローブ光Laを検出する。
図3は、上述した光学解析装置1の光学系1Aに接続される解析装置1Bの構成例を示すブロック図である。本実施形態では、解析装置1Bによって、電場ベクトル計測部及び解析部が構成されている。同図に示すように、解析装置1Bは、差動検出器41と、周波数演算器42と、ロックイン検出器43と、電場ベクトル検出部44と、光学パラメータ解析部45とを備えている。
差動検出器41は、第1の光検出器34Aからの検出信号と第2の光検出器34Bからの検出信号との差分を検出する部分である。差動検出器41は、第1の光検出器34Aからの検出信号と第2の光検出器34Bからの検出信号との差分に基づく検出信号をロックイン検出器43に出力する。差動検出を行うことにより、プローブ光Laにおけるパワー変動成分が除去される。このとき、第1の光検出器34A及び第2の光検出器34Bは、テラヘルツ波Tが入射しない状態で、かつ回転検光子39を配置していないときの差動検出器41の検出信号の強度がゼロとなるように感度調整されていることが好ましい。
周波数演算器42は、回転検光子39の回転周波数と、ポンプ光Lbの変調周波数とに基づく周波数を生成し、ロックイン検出器43に参照信号を出力する。より具体的には、周波数演算器42は、回転検光子39の回転周波数をfとし、ポンプ光Lbの変調周波数をfとした場合に、f±2fとなる周波数を生成する。
ロックイン検出器43は、第1の光検出器34Aからの検出信号(ここでは差動検出器41からの検出信号)をロックイン検出する部分である。本実施形態のロックイン検出器43は、2位相ロックイン検出器であり、参照信号の周波数に同期して変化する検出信号の振幅と位相とを同時に検出する。ロックイン検出器43は、参照信号の周波数をf±2fとして、差動検出器41から出力される検出信号のロックイン検出を行う。ロックイン検出器43からの検出信号は、電場ベクトル検出部44に出力される。回転周波数fは、例えば20Hz〜100Hzである。
電場ベクトル検出部44は、ロックイン検出器43からの検出信号に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルを検出する部分である。電場ベクトル検出部44は、物理的には、CPU、メモリ、通信インタフェイス等を備えたコンピュータシステムによって構成されている。
ロックイン検出器43からの検出信号に含まれる振幅A及び位相φと、テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅|E|及び方位θとの間には、下記の関係が成り立つ。下記式におけるAは、テラヘルツ波検出素子30として用いる電気光学結晶の非線形光学定数及び厚さ、プローブ光Laの波長などに基づいて決定される定数である。下記式により、ロックイン検出器43からの検出結果に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルを一意に決定できる。
Figure 0006682351
Figure 0006682351
なお、テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅が十分に小さい場合には、下記式が成立する。この場合には、ロックイン検出器43の検出信号に含まれる振幅Aを、そのままテラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅|E|としてもよい。
Figure 0006682351
また、2位相ロックイン検出器は、参照信号の位相に従ってAcosφとAsinφとをそれぞれ出力することができる。テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅が十分に小さい場合、これらの出力とテラヘルツ波Tの電場ベクトルにおける互いに直交する2つの軸方向の成分との間には、下記式が成立する。したがって、ロックイン検出器43から出力される2つの出力に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルにおける互いに直交する2つの軸方向の成分に比例する信号ETx,ETyが得られることとなる。本実施形態では、例えば、ETxが水平方向を軸方向としており、ETyが垂直方向を軸方向としている。
Figure 0006682351
Figure 0006682351
光学パラメータ解析部45は、電場ベクトル検出部44によって計測された電場ベクトルに基づいて、被測定物Sの光学パラメータを解析する部分である。光学パラメータ解析部45は、物理的には、CPU、メモリ、通信インタフェイス等を備えたコンピュータシステムによって構成されている。光学パラメータ解析部45と電場ベクトル検出部44とは、同一のコンピュータシステムによって構成されてもよい。例えば、光学パラメータ解析部45は、計測された電場ベクトルのデータをメモリ等に保存しておき、必要に応じて呼び出すことができる。
本実施形態の光学パラメータ解析部45では、第1の偏光状態におけるテラヘルツ波の電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第1の解析データを取得する。また、第2の偏光状態におけるテラヘルツ波の電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第2の解析データを取得する。そして、第1の解析データと第2の解析データとの交点から被測定物Sの光学パラメータを決定する。以下、さらに詳細に説明する。
上述の通り、電場ベクトル検出部44では、テラヘルツ波Tの電場ベクトルにおける互いに直交する2つの軸方向の成分に比例する信号ETx,ETyが得られる。すなわち、電場ベクトルをEとすると、Eは以下の式によって表される。
Figure 0006682351
光学パラメータ解析部45では、以下の式に示すように、電場ベクトルEに回転行列をかけることによって、元の基準となる軸から任意の解析角度θだけ傾いた軸における電場ベクトルE’を取得する。本実施形態では、解析角度θが0°〜180°の範囲に設定されており、設定された範囲内において、任意の角度刻みで電場ベクトルE’が取得される。電場ベクトルE’では、信号ETxの軸から角度θだけ傾いた軸における電場ベクトルEの成分がETx’として取得され、信号ETyの軸から角度θだけ傾いた軸における電場ベクトルEの成分がETy’として取得される。
Figure 0006682351
次に、電場ベクトルE’が取得されたそれぞれの解析角度θにおいて、透過計測の解析を実行し、所望の光学パラメータを導出する。本実施形態では、配置部15に被測定物Sが配置された状態で計測された電場ベクトルをサンプル計測結果とし、配置部15に被測定物Sが配置されていない状態で計測された電場ベクトルをリファレンス計測結果とする。例えば、屈折率実部を求める場合、サンプル計測結果及びリファレンス計測結果で取得された電場ベクトルE’のETx’成分をフーリエ変換してスペクトルデータを求める。そして、スペクトルデータの位相成分におけるサンプル計測結果とリファレンス計測結果との差、及び、被測定試料の厚さに基づいて、それぞれの解析角度θと屈折率実部との関係を示す解析データが取得される。解析データは、第1の偏光状態におけるテラヘルツ波に基づく第1の解析データと、第2の偏光状態におけるテラヘルツ波に基づく第2の解析データとを含む。
図4、5は、解析データの一例である。この例では、電場ベクトル検出部44によって計測された電場ベクトルEの軸から光学軸が20°傾いた状態で配置された被測定物Sを測定したときの解析データを示している。すなわち、この被測定物Sは、基準となる信号ETxが得られる軸を0°として、20°の位置に遅相軸を有し、110°の位置に進相軸を有している。遅相軸における屈折率実部の値はn=2.4であり、進相軸における屈折率実部の値はn=2.0となっている。
図4は、第1の偏光状態のテラヘルツ波Tを用いて計測された第1の解析データを示すグラフである。この例では、入射されるテラヘルツ波Tの直線偏光の方向に対して、λ/4波長板13aが40°傾けられた状態となっている。また、図5は、第2の偏光状態のテラヘルツ波を用いて計測された第2の解析データを示すグラフである。この例では、入射されるテラヘルツ波Tの直線偏光の方向に対して、λ/4波長板13aが−35°傾けられた状態となっている。いずれのグラフにおいても横軸が解析角度θであり、縦軸が算出された屈折率実部の値である。
図6は、第1の解析データを示すグラフと第2の解析データを示すグラフとを重ね合わせたものである。図6に示されるように、2つのグラフは、解析角度θが20°の位置と110°の位置との2か所で交差している。光学パラメータ解析部45は、第1の解析データを示すグラフと第2の解析データを示すグラフとの交点における光学パラメータを導出する。すなわち、上記の例では、光学パラメータ解析部45は、遅相軸及び進相軸の位置として交点における方位角である20°及び110°を導出する。また、光学パラメータ解析部45は、屈折率実部の値として、一方の交点である20°における屈折率実部の値2.4と他方の交点である110°における屈折率実部の値2.0を導出する。
また、本実施形態では、被測定物Sに入射されるテラヘルツ波Tが少なくとも1〜2THzの帯域の周波数成分を含んでいる。そこで、光学パラメータ解析部45では、異なる周波数成分に対してそれぞれ第1の解析データ及び第2の解析データを導出してもよい。この場合、光学パラメータ解析部45は、それぞれの周波数成分における光学パラメータを導出することができる。図7は、1THz〜2THzの周波数帯において導出された一方の光学軸の方位をプロットしたグラフである。光学パラメータ解析部45では、各周波数成分で求められた方位の平均の値を算出して、光学軸の方位の値を決定することができる。
図8は、本実施形態における光学解析方法を示すフローチャートである。光学解析方法は、上述の光学解析装置1を用いて実行され得る。図8に示されるように、光学解析方法は、第1のリファレンス計測工程S1、第1のサンプル計測工程S2、第2のリファレンス計測工程S3、第2のサンプル計測工程S4、解析データ取得工程S5及び光学パラメータ決定工程S6を有している。
第1のリファレンス計測工程S1では、配置部15に被測定物Sが配置されていない状態で、第1の偏光状態のテラヘルツ波Tの電場ベクトルを計測する。また、第1のサンプル計測工程S2では、配置部15に被測定物Sが配置されている状態で、被測定物Sを透過した第1の偏光状態のテラヘルツ波Tの電場ベクトルを計測する。
続いて、λ/4波長板13aの回転位置が切り替えられる。そして、第2のリファレンス計測工程S3では、配置部15に被測定物Sが配置されていない状態で、第2の偏光状態のテラヘルツ波Tの電場ベクトルを計測する。また、第2のサンプル計測工程S4では、配置部15に被測定物Sが配置されている状態で、被測定物Sを透過した第2の偏光状態のテラヘルツ波Tの電場ベクトルを計測する。第1のリファレンス計測工程S1、第1のサンプル計測工程S2、第2のリファレンス計測工程S3及び第2のサンプル計測工程S4は、同様の環境条件の下で実施される。
図9は、第1のリファレンス計測工程S1、第1のサンプル計測工程S2、第2のリファレンス計測工程S3及び第2のサンプル計測工程S4に共通する電場ベクトルの計測方法を示すフローチャートである。図9に示すように、この電場ベクトルの計測方法では、まず、光源2によって超短パルス光である出射光Lが出射される(ステップS11:レーザ出射ステップ)。光源2から出射した出射光Lは、ビームスプリッタ3によってプローブ光Laとポンプ光Lbとに二分される。ポンプ光Lbは、光変調器5によって時間的に変調され(ステップS12:ポンプ光変調ステップ)、遅延ステージ6を通過することによって時間的に遅延させられる(ステップS13:遅延ステップ)。
遅延ステージ6を通過したポンプ光Lbは、テラヘルツ波発生素子11に入射し、テラヘルツ波Tを発生させる(ステップS14:テラヘルツ波発生ステップ)。テラヘルツ波発生素子11で発生したテラヘルツ波Tは、テラヘルツ波検出素子30に入射する(ステップS15:テラヘルツ波検出ステップ)。この際、第1のサンプル計測工程S2及び第2のサンプル計測工程S4では、テラヘルツ波Tが被測定物Sを透過している。一方、第1のリファレンス計測工程S1及び第2のリファレンス計測工程S3では、テラヘルツ波Tが被測定物Sを透過することなく、テラヘルツ波検出素子30に入射する。
一方、プローブ光Laは、偏光調整部32に導光され、偏光状態が円偏光となる(ステップS16:偏光状態調整ステップ)。偏光状態が円偏光となったプローブ光Laは、テラヘルツ波検出素子30に入射し、テラヘルツ波Tのプローブがなされる(ステップS17:テラヘルツ波プローブステップ)。このとき、テラヘルツ波Tの偏光状態は、テラヘルツ波Tの電場ベクトルによって変化する。
プローブ後のプローブ光Laは、回転検光子39によって変調され(ステップS18:プローブ光変調ステップ)、第1の光検出器34Aによって検出される(ステップS19:プローブ光検出ステップ)。また、プローブに用いられなかったプローブ光Laは、第2の光検出器34Bによって検出される。
次に、第1の光検出器34A及び第2の光検出器34Bからの検出信号がそれぞれ差動検出器41に出力され、差動検出が行われる。また、周波数演算器42によって、回転検光子39の回転周波数と、ポンプ光Lbの変調周波数とに基づく周波数が生成され、ロックイン検出器43に出力される(ステップS20:差動検出ステップ及び周波数演算ステップ)。
差動検出器41からの検出信号がロックイン検出器43に出力されると、周波数演算器42によって生成された周波数を参照信号としてロックイン検出が行われる(ステップS21:ロックイン検出ステップ)。ロックイン検出器43からの検出信号は、電場ベクトル検出部44に出力され、ロックイン検出器43からの検出信号に含まれる振幅及び位相に基づいて、テラヘルツ波Tの電場ベクトルの振幅及び方向が検出される(ステップS22:電場ベクトル検出ステップ)。
再び図8に戻り、解析データ取得工程S5では、第1のリファレンス計測工程S1及び第1のサンプル計測工程S2で得られた電場ベクトルEに基づいて第1の解析データを取得する。また、解析データ取得工程S5では、第2のリファレンス計測工程S3及び第2のサンプル計測工程S4で得られた電場ベクトルEに基づいて第2の解析データを取得する。
続いて、光学パラメータ決定工程S6では、解析データ取得工程S5で取得された第1の解析データと第2の解析データとの交点から被測定物Sの光学パラメータを決定する。解析データ取得工程S5及び光学パラメータ決定工程S6は、光学パラメータ解析部45によって実行される。
以上説明した光学解析装置1では、被測定物Sに入力された第1の偏光状態のテラヘルツ波Tの電場ベクトルEと第2の偏光状態のテラヘルツ波Tの電場ベクトルEとが電場ベクトル検出部44によって計測される。そして、これらの計測結果が光学パラメータ解析部45によって解析されることで、被測定物Sの光学パラメータを含む第1の解析データ及び第2の解析データが得られる。ここで、被測定物Sの光学パラメータは、テラヘルツ波Tの偏光状態に依存しないので、第1の解析データ及び第2の解析データのいずれにおいても、正しい光学パラメータの値は共通している。そのため、第1の解析データと第2の解析データとの交点から被測定物Sの光学パラメータを一意に定めることができる。このように、本実施形態の光学解析装置1によれば、第1の偏光状態及び第2の偏光状態のテラヘルツ波Tを用いて測定を行うだけで、被測定物Sの光学パラメータを簡便に計測することができる。
また、光学パラメータ解析部45は、配置部15に被測定物Sが配置されていない状態で計測されたテラヘルツ波Tの電場ベクトルをリファレンスとして用いているので、光学パラメータの絶対値を導出することができる。なお、リファレンスを用いない場合は、進相軸と遅相軸とにおける光学パラメータ同士の差を導出することができる。
また、光学パラメータ解析部45は、複数の周波数成分ごとに光学パラメータを導出し、これらの光学パラメータの平均を導出することができるので、光学パラメータの計測精度を高めることができる。
また、偏光切替部13では、λ/4波長板13aを回転させるという簡便な操作によって、テラヘルツ波を第1の偏光状態と第2の偏光状態とに変換することができる。
[第2実施形態]
上記の第1実施形態では、光学パラメータ解析部45が、異なる周波数成分のそれぞれに対して第1の解析データ及び第2の解析データを導出して、各周波数成分における光学パラメータを導出する例を示した。本実施形態は、光学パラメータ解析部45の機能に、周波数成分ごとに解析された光学パラメータの散らばりの指標を導出する機能が追加されている点のみにおいて第1実施形態と相違する。
本実施形態の光学パラメータ解析部45では、異なる周波数成分ごとに、直交する2つの軸(進相軸、遅相軸)の方位角が導出される。図10は、1THz〜2THzの周波数帯において導出された進相軸及び遅相軸の方位をプロットしたグラフの一例である。図10に示されるように、進相軸及び遅相軸の方位は、周波数によってばらつきがみられる。光学パラメータ解析部45では、進相軸及び遅相軸のそれぞれの方位の散らばりの指標を導出する。散らばりの指標は、例えば分散、標準偏差等であってよい。そして、光学パラメータ解析部45は、散らばりの度合いが小さい方の軸の方位を選択する。さらに、光学パラメータ解析部45では、選択された軸における方位の平均の値を算出することによって、一方の軸の方位の値を決定する。そして、光学パラメータ解析部45は、決定された方位の値に直交する方位を算出することによって、他方の方位の値を決定する。このように、散らばりの度合いの小さいパラメータを選択することによって、計測精度を高めることができる。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る光学解析装置101の光学系を示す図である。光学解析装置101では、偏光切替部の構成が第1実施形態及び第2実施形態の光学解析装置1と相違する。すなわち、図11に示すように、光学解析装置101の光学系101Aは、偏光切替部13に代えて偏光切替部113を有している。なお、光学解析装置101の光学系101Aは、第1実施形態及び第2実施形態の光学解析装置1と同様に、解析装置1Bに接続されている。
偏光切替部113は、偏光分離部13bとλ/4波長板13aとを有しており、テラヘルツ波発生素子11と被測定物Sとの間の光路上に配置されている。テラヘルツ波発生素子11から出射されるテラヘルツ波Tは、偏光分離部13bを透過して、λ/4波長板13aに入射される。偏光分離部13bは、入力したテラヘルツ波を互いに偏光方位が直交する直線偏光の2つのテラへルツ波にするとともに、これら2つのテラへルツ波を互いに時間的に分離して出力する。偏光分離部13bは、テラヘルツ波の伝播方向に平行な軸を中心にして回転自在であってよい。偏光分離部13bから出力される2つのテラへルツ波の直線偏光の方位は、偏光分離部13bの光学軸の方位に応じたものとなる。偏光分離部13bから出力される2つのテラへルツ波の振幅比は、入力されるテラヘルツ波の直線偏光の方位に対する偏光分離部13bの光学軸の方位に応じたものとなる。
偏光分離部13bは、複屈折材料(例えば、水晶、サファイア、BBO(BaB2O4)結晶など)を含む構成とすることができる。複屈折材料の厚さ及び屈折率は、出力する2つのテラヘルツ波間の時間的な間隔に応じて設定される。例えば、材料を厚くすると時間的な間隔が広がる。
なお、偏光分離部13bは、応力の印加に応じて屈折率が設定される光弾性素子を含む構成としてもよい。また、偏光分離部13bは、入力したテラヘルツ波を第1偏光ビームスプリッタにより偏光分離して2つのテラヘルツ波とし、これら2つのテラヘルツ波を第2偏光ビームスプリッタにより合成してもよい。
λ/4波長板13aは、偏光分離部13bから互いに時間的に分離されて出力された直線偏光の2つのテラヘルツ波を入力して、互いに異なる偏光状態をもつ楕円偏光又は円偏光のテラヘルツ波を出力する。λ/4波長板13aから出力される2つのテラヘルツ波の偏光の回転方向は互いに逆となる。
本実施形態では、偏光分離部13b及びλ/4波長板13aそれぞれの方位角の調整によって、λ/4波長板13aから時間的に分離されて出力される2つのテラヘルツ波の偏光状態を様々に設定することができる。これにより、λ/4波長板13aの回転を制御することなく、テラヘルツ波を第1の偏光状態と第2の偏光状態とに変換することができる。この場合、第1のリファレンス計測工程S1及び第1のサンプル計測工程S2と、第2のリファレンス計測工程S3及び第2のサンプル計測工程S4との間に偏光切替部113の制御を行う必要がない。そのため、例えば、第1のリファレンス計測工程S1及び第2のリファレンス計測工程S3を同時に実行することができ、第1のサンプル計測工程S2及び第2のサンプル計測工程S4を同時に実行することができる。
以上、各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではない。被測定物を透過したテラヘルツ波の電場ベクトルの計測は、上記計測方法以外の他の計測方法によって実行され得る。例えば、テラヘルツ波検出素子30として光学的等方媒質であるZnTeの(111)面を切り出した電気光学結晶を例示したが、電気光学結晶はGaPなどの他の光学的等方媒質の(111)面を切り出した結晶であってもよい。
また、第1実施形態において、λ/4波長板13aの角度を40°及び−35°に調整する例を示したが、これに限定されない。λ/4波長板13aは、テラヘルツ波Tを第1の偏光状態及び第2の偏光状態に調整できる2つの異なる角度に切り替えることができればよい。λ/4波長板13aは、例えば互いに2°以上異なる第1の回転位置と第2の回転位置に調整すればよい。例えば、λ/4波長板13aの角度を45°及び−45°に調整した場合には、回転方向が互いに逆となる2つの円偏光に調整される。
また、光学軸の方位及び屈折率実部を解析する例を示したが、これに限定されず、他の光学パラメータとして吸収係数、誘電率等を解析することができる。この場合、同一の被測定物において、すでに光学軸の方位が解析されている場合には、既に解析されている光学軸の方位を用いて他の光学パラメータを導出することができる。
また、第1の解析データと第2の解析データとの交点の導出においては、実際にグラフ同士を重ね合わせる必要はなく、演算によって交点の値を導出することができる。
1,101…光学解析装置、1A,101A…光学系、1B…解析装置、11…テラヘルツ波発生素子(テラヘルツ波発生部)、13…偏光切替部、13a…λ/4波長板、13b…偏光分離部、15…配置部、30…テラヘルツ波検出素子(テラヘルツ波検出部)、44…電場ベクトル検出部、45…光学パラメータ解析部(解析部)、S…被測定物、T…テラヘルツ波。

Claims (11)

  1. 異方性を有する被測定物の光学パラメータを解析する光学解析装置であって、
    テラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生部と、
    前記テラヘルツ波発生部によって発生した前記テラヘルツ波の偏光状態を互いに異なる第1の偏光状態又は第2の偏光状態に切り替える偏光切替部と、
    前記偏光切替部によって偏光状態が切り替えられた前記テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出部と、
    前記偏光切替部と前記テラヘルツ波検出部との間の光路上に配置された前記被測定物の配置部と、
    前記テラヘルツ波検出部によって検出された前記テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する電場ベクトル計測部と、
    前記電場ベクトル計測部による前記電場ベクトルの計測結果に基づいて前記被測定物の光学パラメータを解析する解析部と、を備え、
    前記解析部は、前記第1の偏光状態における前記テラヘルツ波の電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づく第1の解析データと、前記第2の偏光状態における前記テラヘルツ波の電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づく第2の解析データとの交点から前記被測定物の光学パラメータを決定する、光学解析装置。
  2. 前記解析部は、前記配置部に前記被測定物が配置されていない状態で計測された前記第1の偏光状態における前記テラヘルツ波の電場ベクトルをリファレンスとして用いて前記第1の解析データを得るとともに、前記配置部に前記被測定物が配置されていない状態で計測された前記第2の偏光状態における前記テラヘルツ波の電場ベクトルをリファレンスとして用いて前記第2の解析データを得る、請求項1に記載の光学解析装置。
  3. 前記テラヘルツ波は、互いに異なる複数の周波数成分を含み、
    前記解析部は、前記複数の周波数成分ごとに前記光学パラメータを決定する、請求項1又は2に記載の光学解析装置。
  4. 前記解析部は、前記複数の周波数成分ごとに解析された前記光学パラメータの散らばりの指標を導出する、請求項3に記載の光学解析装置。
  5. 前記偏光切替部は、前記テラヘルツ波を円偏光又は楕円偏光に変換する波長板を有し、前記テラヘルツ波の伝播方向に平行な軸を回転中心として前記波長板を回転させることによって、前記テラヘルツ波を前記第1の偏光状態と前記第2の偏光状態とに変換する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学解析装置。
  6. 前記偏光切替部は、前記テラヘルツ波を互いに偏光方位が直交する2つの直線偏光にするとともに、前記2つの直線偏光を互いに時間的に分離する偏光分離部と、前記2つの直線偏光を円偏光又は楕円偏光に変換する波長板とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学解析装置。
  7. 異方性を有する被測定物の光学パラメータを解析する光学解析方法であって、
    前記被測定物に入力された第1の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第1のサンプル計測工程と、
    前記被測定物に入力された前記第1の偏光状態とは異なる第2の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第2のサンプル計測工程と、
    前記第1のサンプル計測工程で得られた前記電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第1の解析データを得るとともに、前記第2のサンプル計測工程で得られた前記電場ベクトルと回転行列との積をフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて第2の解析データを得る解析データ取得工程と、
    前記第1の解析データと前記第2の解析データとの交点から前記被測定物の光学パラメータを決定する光学パラメータ決定工程と、を備える、光学解析方法。
  8. 前記被測定物に入力されていない前記第1の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第1のリファレンス計測工程、及び、前記被測定物に入力されていない前記第2の偏光状態のテラヘルツ波を検出し、当該テラヘルツ波の電場ベクトルを計測する第2のリファレンス計測工程をさらに備え、
    前記解析データ取得工程では、前記第1のサンプル計測工程で得られた前記電場ベクトルと回転行列との積と、前記第1のリファレンス計測工程で得られた前記電場ベクトルと回転行列との積とをフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて前記第1の解析データを得るとともに、前記第2のサンプル計測工程で得られた前記電場ベクトルと回転行列との積と前記第2のリファレンス計測工程で得られた前記電場ベクトルと回転行列との積とをフーリエ変換して得られるスペクトルデータに基づいて前記第2の解析データを得る、請求項7に記載の光学解析方法。
  9. 前記光学パラメータは光学軸の方位角、屈折率、吸光係数及び誘電率の少なくとも一つを含む、請求項7又は8に記載の光学解析方法。
  10. 前記テラヘルツ波は、互いに異なる複数の周波数成分を含み、
    前記光学パラメータ決定工程では、前記複数の周波数成分ごとに前記光学パラメータを決定する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の光学解析方法。
  11. 前記光学パラメータ決定工程では、前記複数の周波数成分ごとに決定された前記光学パラメータの散らばりの指標を導出する、請求項10に記載の光学解析方法。
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