JP7040429B2 - 負極 - Google Patents
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Description
図1に示したように、本開示における負極10は、負極層1と、負極集電体2とを有しており、Li元素を含有する金属箔3が、負極層1の内部に、厚み方向に交差する方向に沿って配置されている。図2に示したように、金属箔3は1つ以上の貫通孔Hを有している。また、貫通孔Hは内部に固体電解質と導電材とが充填されている。
本開示における負極層は、負極活物質としてSi系活物質を含有する。Si系活物質は、Liと合金化可能な活物質であることが好ましい。Si系活物質としては、例えば、Si単体、Si合金、Si酸化物が挙げられ、特にSi酸化物(例えばSiO)が好ましい。Si合金は、Si元素を主成分として含有することが好ましい。Si合金中のSi元素の割合は、例えば、50mol%以上であってもよく、70mol%以上であってもよく、90mol%以上であってもよい。
本開示における負極は、負極層の集電を行う負極集電体を有する。負極集電体には、全固体リチウムイオン電池の集電体として使用可能な金属を適宜用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一または二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。なお、負極集電体の厚さ、形状については、電池の用途に応じて適宜選択することができる。
本開示における全固体リチウムイオン電池用負極の製造方法は、負極集電体上に、第一の負極合材層を形成する工程と、上記第一の負極合材層上に、1つ以上の貫通孔を有するLi箔を配置する工程と、上記Li箔上に、固体電解質と導電材を含むスラリーを塗工する工程と、上記スラリーを塗工した上記Li箔上に、第二の負極合材層を形成する工程と、を有する、全固体リチウムイオン電池用負極の製造方法とすることができる。
図4に示したように、本開示における電池20は、正極層4および正極集電体5を有する正極11と、負極層1および負極集電体2を有する上述した負極10と、上記正極層4と上記負極層1の間に形成された固体電解質層12とを有する、全固体リチウムイオン電池とすることができる。
負極については、上記「1.負極」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
正極は、正極層と正極層の集電を行う正極集電体とを有する。正極層は、少なくともLiを含有する正極活物質を含み、さらに、固体電解質、導電材、バインダーの少なくとも一つをさらに含有していてもよい。
固体電解質層(セパレート層とも称する)は、固体電解質を含有する層であり、バインダーをさらに含有していてもよい。固体電解質としては、例えば無機固体電解質が挙げられる。無機固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質、ハロゲン化物固体電解質が挙げられる。
本開示における全固体リチウムイオン電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。また、全固体電池は、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層を有する発電要素を一つ有する電池であってもよく、複数の発電要素を有する電池であってもよい。後者の場合、全固体電池は、複数の発電要素を並列に接続した電池であってもよく、複数の発電要素を直列に接続した電池であってもよい。また、隣り合う発電要素は、集電体を共有していてもよい。
(硫化物固体電解質の合成)
Li2S(日本化学工業社製)0.7656g、P2S5(アルドリッチ社製)1.2344gを出発原料として秤量し、メノウ乳鉢で5分混合した。その後、得られた混合物にヘプタン4gを加え、遊星型ボールミルを用いて40時間メカニカルミリングすることで固体電解質を得た。
上記固体電解質792mg、活物質としてSiO1g、導電材としてVGCF(昭和電工社製)15mg、バインダー溶液(PVDFを75mol%含有するバインダーの、5重量%酪酸ブチル溶液)150mg、を有機溶媒(酪酸ブチル)に溶かしてスラリーを調製した。このスラリーを、負極集電体(Cu箔)上に、ベーカーアプリケータを用いて均一な厚みとなるように塗工した。その後、乾燥させて、第一の負極合材層を形成した。この第一の負極合材層上に、ハトメ抜きにて所定の大きさ、面積量の孔をあけた金属箔(Li箔)を隙間なくかぶせた。そして、Li箔上に、上記固体電解質とVGCFとを有機溶媒(ヘプタン)中で混合して調製したスラリーを塗工して、Li箔上をへらで擦切った。さらに、このLi箔上に上記第一の負極合剤層と同様の方法で、第二の負極合材層を形成し、負極集電体および負極層を有する負極を得た。なお、Li箔の貫通部分を考慮しないで求められる、負極活物質および固体電解質の合計体積に対する、負極活物質の体積の割合(SiO/(SiO+SE))は55vol%であった。
ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNi3/5Co1/5Mn1/5O2)の表面をLiNbO3で表面処理して、正極活物質を準備した。この正極活物質1g、導電材としてVGCF(昭和電工社製)15mg、上記固体電解質300mg、バインダー溶液(PVDFを75mol%含有するバインダーの、5重量%酪酸ブチル溶液)150mg、を有機溶媒(酪酸ブチル)に溶かしてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体(Al箔)上に、ペーカーアプリケータを用いて均一な厚みとなるように塗工した。その後、乾燥させて、正極を得た。なお、正極容量に対する負極容量が2.5となるように、厚さおよび重量を調整した。
1.2cm2のセラミックス製の型に上記固体電解質を12.5mg秤量し、1ton/cm2でプレスしてペレット状のセパレート層を作製した。上記負極を、Φ11.84mmで打ち抜き、負極層上に上記セパレート層を載せた。また、上記正極を、Φ11.28mmで打ち抜いた。正極の正極層と、負極の負極層とを、セパレート層を介して対向するように配置し、6ton/cm2でプレスすることにより、電池を得た。
表1および図5に示したように、Li箔における貫通孔1つあたりの面積を変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして電池を得た。
表2および図6に示したように、Li箔における貫通孔の面積比率およびLi箔の厚みを変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして電池を得た。なお、Li箔の厚みを調整することで、Li量(Liドープで生じる空隙の量)が一定となるようにした。
表3に示したように、負極層中のLi箔の位置を変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして電池を得た。
表4に示したように、Li箔の貫通部分を考慮しないで求められる、負極活物質および固体電解質の合計体積に対する、負極活物質の体積の割合を変更したこと以外は、実施例1-1と同様にして電池を得た。なお、負極層の厚みを調整することで、容量比が一定となるようにした。
比較例1および2は、貫通孔を有しないLi箔を用いたこと、または、Li箔自体用いなかったこと以外は実施例1-1と同様にして電池を得た。比較例3は、比較例1(貫通孔なし)において、Li箔の位置を、負極層と負極集電体との界面に配置したこと以外は、比較例1と同様にして電池を得た。
拘束冶具により、作製した各電池を3MPaで拘束して4時間以上保持した。その後、0.2mAで4.35VまでCC/CV充電を行って、圧力増加量ΔPを測定した。Li箔自体を有しない比較例2(Li箔なし)のΔPを100として、相対値で各電池を評価した。結果を表1~4、図7~10に示す。
また、表2および図8に示したように、Li箔における貫通孔の面積比率が28%(実施例1-1)で圧力増加が最も抑制されていた。これは、貫通孔の面積比率が小さすぎるとSiOの局所的な膨張が生じたため、貫通孔の面積比率が大きすぎるとLi箔がなくなって生じた隙間を十分に活かせなかったためと推測される。
また、表3および図9に示したように、負極層において、厚みの中心付近にLi箔が配置された場合に最も拘束圧増加量が抑制されていた。Li箔の位置が、負極集電体または固体電解質層に近すぎる場合、負極活物質の局所的な膨張が発生してしまったためと推測される。
さらに、表4および図10に示したように、SiOの体積の割合が55%で最も拘束圧増加量が抑制されていた。一方、SiOの体積の割合が小さすぎたり、大きすぎたりする場合、拘束圧を十分に抑制することができなかった。これは、SiOの体積の割合が小さい場合は、負極の容量が低下するために負極層の厚みを大きくする必要が生じたため、また、SiOの体積の割合が大きい場合は、緩衝材となる固体電解質が少なかったためと推測される。
2 …負極集電体
3 …金属箔
4 …正極層
5 …正極集電体
10…負極
11…正極
12…固体電解質層
20…全固体電池
H …貫通孔
Claims (1)
- 全固体リチウムイオン電池に用いられる負極であって、
Si系活物質を含有する負極層と、前記負極層の集電を行う負極集電体とを有し、
前記負極層は、内部に、Li元素を含有する金属箔を有し、
前記金属箔は、固体電解質と導電材とが充填された1つ以上の貫通孔を有する、負極。
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