JP7039758B1 - 抵抗性零相電流検出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
請求項2に記載の発明は、上記発明において、正常時の位相角θ 1 は、任意に定めたタイミング毎に記憶されることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記制御部は、前記正常時電流ベクトルIco及び前記漏電検出時電流ベクトルIoがなす三角形に対し余弦定理を適用して、漏電時の電流である抵抗性零相電流Iorを算出することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記制御部は、前記正常時電流ベクトルIcoと前記漏電検出時電流ベクトルIoとの正弦及び余弦の関係により、R相の漏電電流の大きさとT相の漏電電流の大きさとを算出し、余弦定理による前記抵抗性零相電流Iorと比較することで、R相で漏電したか、T相で漏電したか、あるいはR相及びT相で漏電したか、を判別することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記制御部は、R相及びT相で漏電したものと判別した場合に、R相の漏電電流の大きさとT相の漏電電流の大きさとを合算することを特徴とするものである。
本発明は、下記の形態及び変更例に限定されない。
≪構成等≫
図1は、本発明の第1形態に係る抵抗性零相電流検出装置に相当する絶縁監視装置1を含む3相Δ結線回路DEの回路図である。
絶縁監視装置1は、コンピュータであり、制御部(例えばCPU)、記憶部(例えばメモリ)、入力部(例えばキーボード)、出力部(例えばモニタ)、通信部(例えばインターフェイス)を備えている。
3相Δ結線回路DEは、T相、R相、S相の3相と、接地Eとを有している。接地Eには、B種接地線が配置されている。
3相Δ結線回路DEでは、接地Eに対するT相の電圧VTE、接地Eに対するR相の電圧VRE、及びT相とR相との間の電圧VTR等がかかっている。
これら電圧VTE,VRE,VTRの大きさは、理想的には同一である。又、理想的には、電圧VREの位相は、電圧VTRの位相に対して60°進んでおり、電圧VTEの位相は、電圧VREの位相に対して60°進んでいる。
尚、基準電圧は、電圧VTE等、電圧VRE以外の電圧とされても良い。
絶縁監視装置1は、漏電発生後の所定タイミング到来時、電流Icoに代わり電流Ioを検出する。絶縁監視装置1は、電流Ioを記憶する。
実設備において、各相の対地静電容量CT,CR,CSには不平衡が生じている。例えば、開閉器における投入及び開放、並びに負荷の起動及び停止により各相の対地静電容量CT,CR,CSに不平衡が生じる。一般に、R相の対地静電容量CRが増加すると、T相の対地静電容量CTも増加し、R相の対地静電容量CRが減少すると、T相の対地静電容量CTも減少する。
図3に示すように、かような不平衡に基づき電流IcR>電流IcTとなった場合、正常時においても、電流Icoと基準電圧VREとの間の位相角差θは、120°未満(θ<120°)となる。
この場合、図3の電流Icoは図2の電流Icoに対して変化しており、その変化が当該位相角差θ=120°を前提として図2の電流Icoに対する抵抗性零相電流Iorの合成によるものと捉えてしまうと、漏電が発生していないにもかかわらず、見掛け上の抵抗性零相電流IorであるIor仮想値Ior*が把握されることとなる。
この場合、図4の電流Icoは図2の電流Icoに対して変化しており、その変化が当該位相角差θ=120°を前提として図2の電流Icoに対する抵抗性零相電流Iorの合成によるものと捉えてしまうと、漏電が発生していないにもかかわらず、見掛け上の抵抗性零相電流IorであるIor仮想値Ior*が把握されることとなる。この場合のIor仮想値Ior*の位相は、基準電圧VREの位相+180°(反対方向)となる。
すると、図5に示されるように、電圧VRE,VTEに影響が及び(対地電圧変動)、Ior仮想値Ior*が更に顕著に現れる。
実設備では、上述のように、対地静電容量CT,CR,CSの不平衡、及び対地電圧変動の双方が同時に発生しているものと考えられる。
ここで、対地静電容量CT,CR,CSは、何れも3.3μF(マイクロファラド)とされる。
本発明に属さない比較例として、B種接地線に通電する電流Icoの基準電圧VREに対する位相角差θが120°であることを前提として、電流Icoの変化時に抵抗性零相電流Iorを算出すると、実装備において、見掛け上のIor仮想値Ior*が影響して、実際の抵抗性零相電流Iorとは異なったものが算出される可能性がある。
比較例の抵抗性零相電流Ior**は、真の抵抗性零相電流Iorに対し、Ior仮想値Ior*が加わったものであり、真の抵抗性零相電流Iorは算出されない。
比較例の抵抗性零相電流Ior**は、真の抵抗性零相電流Iorに対し、Ior仮想値Ior*が加わったものであり、真の抵抗性零相電流Iorは算出されない。
比較例の抵抗性零相電流Ior**は、真の抵抗性零相電流Iorに対し、Ior仮想値Ior*が加わったものであり、真の抵抗性零相電流Iorは算出されない。
絶縁監視装置1は、絶縁低下が生じていないときのB種接地線電流Icoをベクトル値として(大きさ及び位相角を)記憶しておき、漏電発生時の電流Ioに対する電流Icoのベクトル差を求めることで、発生した漏電電流分である抵抗性零相電流Iorを求める。ベクトルとしての電流Ico,Io(それぞれの大きさ及び位相角)は、具体的には、B種接地線に設置された零相変流器により測定可能であり、絶縁監視装置1は、零相変流器から電流Ico,Ioを得て記憶する。
絶縁監視装置1は、余弦定理、即ち次の式(1)により、Iorの大きさを求める。
絶縁監視装置1は、電流Ico,Ioの基準電圧VREに対する位相角差θを120°と固定せず、式(1)によりIorを求めるため、真のIorの大きさにより近いIorを算出することができる。
この場合も、式(1)により、真のIorの大きさにより近いIorが算出される。
この場合も、式(1)により、真のIorの大きさにより近いIorが算出される。
図1の3相Δ結線回路DEの試験回路において、一般に注意レベルとされる50mA(ミリアンペア)程度の漏電発生がR相及びT相の少なくとも一方において模擬され、絶縁監視装置1により各種の電流が測定されて、Iorの算出試験が行われた。
対地静電容量CT,CR,CSは、実設備の一般的な規模等を想定して種々設定され、又これらの平衡時及び不平衡時を想定して種々設定された。
B種接地抵抗BRは、50Ωとされ、漏電に係る抵抗値Rgr,Rgtは、それぞれ4kΩとされた。
漏電に係る電流IrR,IrTは、この試験ではそれぞれクランプ電流計により実測され、これらの少なくとも一方から得られる漏電電流は真のIorとして参照され、絶縁監視装置1によるIorの算出結果と比べられた。
尚、実際の系統では、漏電が起こる地点は不明であり、漏電電流を実測するため実装備毎に各相の漏電発生の可能性のある箇所に電流計を配備することは、極めて多数の電流計を用意してくまなく行き渡らせる必要があり、現実的でない。
又、次の表3に、試験No.、平衡に設定された対地静電容量CT,CR,CS(μF)、実測された漏電電流IrR,IrT(mA)、絶縁監視装置1(本発明)で算出されたIor(mA)、絶縁監視装置1で漏電後に把握されたB種接地線の電流Io(mA)、電流Ico,Ioの位相角差θ(°,式(1)のθ)の対応関係が示される。
ここで、漏電電流IrR,IrTの双方が同程度の大きさで与えられた場合、R相とT相の位相角差が概ね60°であることから、漏電電流IrR,IrTが合成された漏電電流の大きさは、漏電電流IrRの大きさ又は漏電電流IrTの大きさのおよそ√3(≒1.73)倍となる。例えば、表2の試験No.4では、漏電電流IrR,IrTが順に51.8,51.2mAと実測され、51.8×√3≒89.6mAとなり、本発明のIor算出値85.7mAと同様となって、図8に示される比較例のように過大に算出されない。
絶縁監視装置1では、漏電電流の検出は、電流Ico,Ioの位相角差θが所定程度以上となったタイミングで行われる。
即ち、絶縁監視装置1は、電流Icoを監視し、最新の電流Icoの位相角差θnと記憶した電流Icoの位相角差θn-1とにおいて、差の絶対値が所定程度以上となると、最新の電流Icoを漏電発生時の電流Ioとして扱い、Iorを算出する。電流Icoベクトルが更新(書き換え)され、最新の電流Icoが参照されることで、対地静電容量CT,CR,CS等が変動する場合においても、より正確に漏電が判定される。尚、記憶した電流Icoの位相角差は、θn-1に代えて、θn-1,θn-2…(最新の数個)の平均等とされても良い。
絶縁監視装置1は、電流Icoの大きさについても、位相角差と同様に書き換えされる。電流Icoの書き換えは、後にもう一度説明される。
そこで、絶縁監視装置1では、(最大の)対地静電容量CT,CR,CSの程度によって、漏電電流の検出のトリガーとなる位相角差の差の絶対値(所定程度)を変える。
かような関係に基づき、絶縁監視装置1では、次の表4で示されるように、対地静電容量CT,CR,CSの程度によって段階的に漏電電流の検出のトリガーとなる位相角差の差の絶対値を変える。ここで、漏電電流の感度(漏電電流として扱う最低の電流の大きさ)は、50mAを想定している。尚、漏電電流の感度は、50mA以外の値が想定されても良い。
又、絶縁監視装置1は、対地静電容量等が1μFを超えて3μF以下である場合、位相角差θが20°以上となると、漏電の検出と取り扱う。
更に、絶縁監視装置1は、対地静電容量等が3μFを超えて6μF以下である場合、位相角差θが10°以上となると、漏電の検出と取り扱う。
又更に、絶縁監視装置1は、対地静電容量等が6μFを超える(例えば9μFの)場合、位相角差θが5°以上となると、漏電の検出と取り扱う。
図13に示されるように、絶縁低下による漏洩電流IrR,IrTの発生がなくても、対地静電容量CT,CR,CSの不平衡及び対地電圧変動の少なくとも何れかによって、B種接地線電流Ic1からB種接地線電流Ic2への変動が生じて、見掛け上のIor仮想値Ior$が創出される場合がある。
絶縁監視装置1では、式(1)による算出結果が、真の抵抗性零相電流Iorであるのか、あるいはIor仮想値Ior$であるのかを、次の通り判別する。
絶縁低下により生じるIorは、電路と対地間電圧の同相分として生じることから、実数軸を基準とした位相角φは60°となる。対地静電容量CT,CR,CSの不平衡、及び対地電圧変動を考慮しても、位相角φ≒60°となる。
図14,図15におけるaは、次の式(2)で表され、bは、次の式(3)で表される。
次の表5,表6は、絶縁監視装置1によるIorとIor$との判別試験に関する。
即ち、図1の3相Δ結線回路DEの試験回路において、対地静電容量CT,CRを平衡である状態(表5の試験No.37)から不平衡である状態(表5の試験No.38,39)へ移行させた場合に実際に測定されたIor$の位相角φ等、及び対地静電容量CT,CRを平衡である状態(表5の試験No.40)から不平衡である状態(表5の試験No.41,42)へ移行させた場合に実際に測定されたIor$の位相角φ等が、表5に示される。尚、位相角φ等の測定は、実装備では、上述の漏電電流IrR,IrTの実測と同様の理由で現実的でない。
又、図1の3相Δ結線回路DEの試験回路において、漏電電流IrR,IrTの少なくとも一方を試験として実際に与えた場合に実測された位相角φ等が、表6に示される。
表5,表6におけるB種接地線電流は、B種接地抵抗BRの値が50Ωである場合のものである。
表6によれば、漏電電流IrR,IrTを与えた場合の位相角φは、53.9~90.0°の範囲内となり、60°及びその隣接値域に入る。よって、絶縁監視装置1は、表6のような場合に、漏電電流IrR,IrTと電圧VRE,VTEとが同相であるとみなして、実際のIorを算出したと判別可能である。
<R相の絶縁低下時>
図16は、R相の絶縁低下によるIorを示すベクトル図である。
図1において、絶縁低下時のB種接地線の電流は、絶縁低下による漏電電流IrR,IrTと対地静電容量CT,CRによる電流IcR,IcTの合成和になる。B種接地線の電流は、商用周波において正弦(sin)と余弦(cos)に分けて表すことができ、漏電電流IrR,IrTと電流IcR,IcTの合成和も、正弦(sin)と余弦(cos)に分けて表すことができる。
即ち、次の関係が成立する。
B種接地線電流正弦=漏電電流IrR,IrTと電流IcR,IcTの合成和の正弦
B種接地線電流余弦=漏電電流IrR,IrTと電流IcR,IcTの合成和の余弦
これらの関係から、次のように絶縁低下時のIor算出式が導出され、Ior(R相の絶縁低下時ではIrRと同一)が算出可能となる。
ここで、ioは実効値Ioにおける交流である、漏電時にB種接地線に通電する電流Ioであり、irRは実効値IrRにおける交流である、R相について抵抗値Rgrを介してB種接地線へ流れる漏電電流IrRであり、icRは実効値IcRにおける交流である、R相から対地静電容量CRを介してB種接地線へ通電する電流IcRであり、icTは実効値IcTにおける交流である、T相から対地静電容量CTを介してB種接地線へ通電する電流IcTである。厳密には、ioは最大値√2Ioにsin(ωt)が乗ぜられるところ、等式を解く分には、定数(√2)を常に乗ずるか否かの違いしかなく、実効値Ioで考えても同じ結論となる。この点、他の電流等においても同様である。
図17は、T相の絶縁低下によるIorを示すベクトル図である。
T相の絶縁低下時においても、次のようにR相と同様にして、T相の絶縁低下時のIor即ち漏電電流IrTの算出式が導出される。ここで、基準電圧VREに対する電圧VTEの位相角は、α2とされる。又、irTは実効値IrTにおける交流である、T相について抵抗値Rgtを介してB種接地線へ流れる漏電電流IrTである。
図18は、R相及びT相の絶縁低下によるIorを示すベクトル図である。
R相及びT相の絶縁低下時においても、次のようにR相あるいはT相と同様にして、R相及びT相の絶縁低下時のIor即ち漏電電流IrR,IrTの算出式が導出される。ここで、基準電圧VREに対する電圧VTEの位相角は、α2とされる。
図1の3相Δ結線回路DEの試験回路において、模擬的に漏電電流IrR,IrTの少なくとも一方を実測可能に与え、絶縁監視装置1において上述の式(13),(18),(24),(25)で算出された漏電電流と比べる試験が行われた。
その試験結果が、次の表7に示される。
R相及びT相の両相が漏電した場合、式(1)(余弦定理)で得たIorは、何れの4式の算出値と所定程度以上異なる値となる。絶縁監視装置1は、かように式(1)のIorと4式の算出値とが所定程度以上異なる場合、R相及びT相の両相漏電と判断し、漏電電流IrR,IrTを式(24),(25)で算出する。
絶縁監視装置1は、算出した漏電電流IrR,IrTを合計することにより、これらをスカラー量として取り扱うことができる。
図19は、絶縁監視装置1の動作例に係るフローチャートである。
絶縁監視装置1は、任意に定めたタイミング(例えば所定周期)毎に、図19に係る処理を実行する。
絶縁監視装置1は、まず、B種接地線電流との位相角を検出する基準として、基準電圧を整定する(ステップS1)。ここでは、絶縁監視装置1は、電圧VREを基準電圧と整定する。
次に、絶縁監視装置1は、検出する位相角差θを整定する(ステップS2)。
そして、絶縁監視装置1は、B種接地線電流Icoを常時監視する(ステップS4)。
絶縁監視装置1は、位相角差θ=θ1-θ2(図6,図7,図8参照)を検出し、θの絶対値が位相角差の整定値(ステップS2)を超えると(ステップS5でYes)、位相角差θ及び電流Ioを記憶して(ステップS6)、ステップS9以降の処理に移る。
他方、絶縁監視装置1は、ステップS5でNoとなると、記憶部において電流Icoと位相角θ1,θ2とを記憶し(ステップS7)、電流IcR,IcTを算出し正常時の対地静電容量電流として表示部において表示して(ステップS8)、ステップS3に戻る。
絶縁監視装置1は、ステップS9でNoと判断すると、算出した電流Iorが見掛け上の電流Ior$と判別し、ステップS7に移行する。
他方、絶縁監視装置1は、ステップS9でYesと判断すると、算出した電流Iorが絶縁低下による真の電流Iorと判別し、ステップS10以降の処理を行う。
次いで、絶縁監視装置1は、ステップS11において、式(13),(18),(24),(25)に基づき、正弦・余弦の関係による電流IrR,IrTを算出する。
一方、絶縁監視装置1は、電流IrRが電流Iorと同程度ではないが(ステップS12でNo)、電流IrTが電流Iorと同程度である場合(ステップS14でYes)、T相に漏電が発生したものと判定し、その旨を表示部にメッセージ及びアイコンの少なくとも一方等で表示して(ステップS15)、ステップS3に戻る。
他方、絶縁監視装置1は、電流IrTも電流Iorと同程度ではない場合(ステップS14でNo,ステップS16)、R相及びT相に漏電が発生したものと判定し、その旨を表示部にメッセージ及びアイコンの少なくとも一方等で表示すると共に(ステップS17)、電流IrRと電流IrTとの和(スカラー量)を表示して(ステップS18)、ステップS3に戻る。
又、絶縁監視装置1は、式(1)の電流Iorと、式(13),(18),(24),(25)による電流IrR,IrTとの比較から、漏電が発生した相を判定することができ、又R相とT相との両相漏電の場合、漏電電流のスカラー量を算出することができる。
図20(A)は、電流IcoがIco1からIco2に変動する場合であって、基準電圧に対するIco2の位相角がIco1の位相角に対して減少するときのベクトル図である。図20(B)は、電流IcoがIco1からIco2に変動する場合であって、基準電圧に対するIco2の位相角がIco1の位相角に対して増加するときのベクトル図である。
尚、IcR1はIco1を構成するR相に依存した電流であり、IcT1はIco1を構成するT相に依存した電流であり、IcR2はIco2を構成するR相に依存した電流であり、IcT2はIco2を構成するT相に依存した電流である。
これに対し、漏電監視装置1では、Ico2への変動に伴い、書き換えられたIco2に基づいて正しい電流Iorが算出される。
電流Ior#は、真の電流Iorに比べ、過大なものとなる。
これに対し、漏電監視装置1では、Ico2への変動に伴い、書き換えられたIco2に基づいて正しい電流Iorが算出される。
電流Ior#は、真の電流Iorに比べ、過小なものとなる。
以上の漏電監視装置1は、B種接地線電流を監視して(ステップS4)その位相角を記憶する記憶部と、正常時の前記位相角に対して所定程度以上前記位相角が変化した場合に、漏電を検出したものと取り扱う(ステップS5でYes)制御部と、を有する。よって、電流の大きさがさほど変わらないにもかかわらず、漏電の異常が発生している場合等において、漏電の異常が適切に検出される。
又、正常時の位相角は、書き換えられる(ステップS3)。よって、対地静電容量CT,CR,CS等の変動が起こる場合にも、適切に漏電が検出される。
又更に、制御部は、正常時電流ベクトルIcoと漏電検出時電流ベクトルIoとの正弦及び余弦の関係により、R相の漏電電流の大きさとT相の漏電電流の大きさとを算出し、余弦定理による抵抗性零相電流Iorと比較することで、R相で漏電したか、T相で漏電したか、あるいはR相及びT相で漏電したか、を判別する(ステップS11~S17)。よって、漏電に係る相の判定が可能となる。
加えて、制御部は、R相及びT相で漏電したものと判別した場合に、R相の漏電電流の大きさとT相の漏電電流の大きさとを合算する。よって、より複雑なR相及びT相の両相の漏電において、漏電電流の大きさが提供される。
各種の部材の全部又は一部は、同等なあるいは類似する他のものに置換されても良い。各種コンピュータの台数及びネットワーク上の配置、低圧設備の構成、各種の式、並びに制御に係る回路及び指令等のうちの少なくとも何れかは、論理的に同等な他のものに変えられても良い。
≪構成等≫
本発明の第2形態は、異容量V結線設備を漏電検出の対象とすることを除き、上記第1形態と同様に成る。
上記第1形態と同様に成る部材及び部分には、適宜、同じ符号が付され、説明が省略される。
異容量V結線回路VEは、異容量の電路を構成する。
異容量V結線回路VEは、T相、R相、S相の3相と、接地E,Nとを有している。接地Eには、B種接地線が配置されている。
ここでは、R-N間の電圧V1が基準電圧とされる。
異容量V結線回路VEでは、基本的に、基準電圧V1に対してT相(T-N間)の電圧の大きさが√3倍で、T相(T-N間)の電圧の位相が90°進んでいる。又、基準電圧V1に対してS相(S-N間)の電圧の大きさは同じで、S相(S-N間)の位相は180°進んでいる。
異容量V結線回路VEに係る絶縁監視装置101においても、位相角差による漏電電流の検出、及び式(1)による電流Iorの算出が可能である。
この場合においても、位相角差θ=電流Ioの位相角θ2-電流Icoの位相角θ1の監視により、より優れた精度における漏電電流の検出が可能である。
又、電流Io,Icoに係る三角形に関する式(1)により、抵抗性零相電流Iorの算出が可能である。
この場合においても、位相角差θ=電流Ioの位相角θ2-電流Icoの位相角θ1の監視により、より優れた精度における漏電電流の検出が可能である。
又、電流Io,Icoに係る三角形に関する式(1)により、抵抗性零相電流Iorの算出が可能である。
この場合においても、位相角差θ=電流Ioの位相角θ2-電流Icoの位相角θ1の監視により、より優れた精度における漏電電流の検出が可能である。
又、電流Io,Icoに係る三角形に関する式(1)により、抵抗性零相電流Iorの算出が可能である。
図21の異容量V結線回路VEの試験回路において、次の表8に示される各種の電圧等の正常時(健全時)の状態から、実測可能な各種の漏電電流を付与し、絶縁監視装置101により算出されるIorと、実測された漏電電流とを比べる試験が行われた。
次の表9は、実測された漏電電流及び絶縁監視装置101により算出されるIor(Ior算出値)等に関する表である。
Claims (5)
- B種接地線電流に係る、基準電圧の位相に対する、正常時の位相角θ 1 と、位相角θ 2 との位相角差の絶対値が整定値を超えると、漏電を検出したものと取り扱う制御部と、
正常時のB種接地線電流に係る大きさ及び位相角θ 1 を含むベクトルである正常時電流ベクトルIco、及び漏電を検出したものと取り扱われた時のB種接地線電流に係る大きさ及び位相角θ 2 を含むベクトルである漏電検出時電流ベクトルIoを記憶する記憶部と、
を有しており、
前記制御部は、
前記正常時電流ベクトルIcoと、前記漏電検出時電流ベクトルIoとを把握し、
次の式(A)~(C)を計算して、φが所定範囲外となると、漏電を検出したとの取り扱いを撤回する
- 正常時の位相角θ 1 は、任意に定めたタイミング毎に記憶される
ことを特徴とする請求項1に記載の抵抗性零相電流検出装置。 - 前記制御部は、前記正常時電流ベクトルIco及び前記漏電検出時電流ベクトルIoがなす三角形に対し余弦定理を適用して、漏電時の電流である抵抗性零相電流Iorを算出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抵抗性零相電流検出装置。 - 前記制御部は、前記正常時電流ベクトルIcoと前記漏電検出時電流ベクトルIoとの正弦及び余弦の関係により、R相の漏電電流の大きさとT相の漏電電流の大きさとを算出し、余弦定理による前記抵抗性零相電流Iorと比較することで、R相で漏電したか、T相で漏電したか、あるいはR相及びT相で漏電したか、を判別する
ことを特徴とする請求項3に記載の抵抗性零相電流検出装置。 - 前記制御部は、R相及びT相で漏電したものと判別した場合に、R相の漏電電流の大きさとT相の漏電電流の大きさとを合算する
ことを特徴とする請求項4に記載の抵抗性零相電流検出装置。
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