JP7039022B2 - 発泡金属の製造方法 - Google Patents
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Description
また、前駆体を発泡させる工程では、発泡金属の成型のために金型が利用されていた(例えば、非特許文献1の図1(e)を参照)。
また、発泡温度に温度を上昇させるまでに、時間がかかった。
そして、金型は不透明であるため、金型の内部の発泡の状態を観察することができなかった。また、電気炉の内部の観察も困難であった。
しかしながら、発泡金属は気孔を有しているので、加工の際にかかる負荷によって変形してしまうことがあり、所望の形状に加工することが難しかった。
しかし、発泡金属の成型に金型を利用すると、光が金型内へ透過しないので、前駆体に光を照射することができない。
また、金型や鋳型を利用しないで発泡させると、上述したように、所望の形状とするためには、発泡した後に加工が必要になるが、気孔を有するために加工の際に変形しやすく、所望の形状に加工することが難しくなる。
また、前駆体に光を照射して前駆体を加熱する場合には、従来の金型を使用した場合と比較して、型による熱のロスが少なく、効率良く前駆体を加熱することができる。これにより、雰囲気加熱よりも低いコストで加熱することができ、比較的低いコストで発泡金属を製造することができる。
アルミニウムやアルミニウム合金等を発泡金属の原料とする場合には、銅やスチール等を針状の部材の材料として使用することができる。
先端部は、より好ましくは、柱状の部分の断面積よりも広い断面積で形成されている構成とする。
また、先端部は、釘や金属製ピンのように、柱状の部分と同じ材質で一体に形成されている構成であることが望ましいが、柱状の部分と異なる材質(例えば、異種の金属、非金属と金属)で柱状の部分に取り付けられている構成とすることも可能である。
また、針状の部材の先端部だけでなく、柱状の部分も成型に使用してもよい。
基盤は、平板状の基盤、もしくは、断面半円状や半球状等の曲面形状とされた基盤を用いることができる。
基盤に光を透過する材料を用いてもよく、その場合、基盤を通して前駆体に光を照射することも可能になる。
基盤への針状の部材の取り付け方法は、特に限定されない。そして、針状の部材の先端部の高さが、製造すべき発泡部材の表面形状に対応するように、それぞれの針状の部材の高さを調整して基盤に取り付ける。
後者の場合は、針状の部材の間から前駆体に光を照射することも可能であるが、特に型のうちの光が透過する材料の部分から前駆体に光を照射すれば、光が針状の部材で遮られることがないので、光の利用効率をさらに向上することができる。
この透明材は、発泡した金属と接触するので、発泡した金属と接触しても、分解や変形をしないような耐熱性を有する必要がある。そのため、原料の金属の融点によって、使用可能な透明材の範囲が異なる。
アルミニウム、マグネシウム、亜鉛及びそれらの合金は、比較的融点が低いので、上述したガラス、サファイア、石英ガラス、水晶等、広い範囲の透明材を使用することができる。
例えば、1つの方向において針状の部材を密に配置して、その方向に垂直な方向において針状の部材を疎に配置することが可能である。この場合、針状の部材を密に配置した方向と平行な方向から、光を型の内部の前駆体に照射することが可能である。
針状の部材の隙間から光を照射する場合には、柱状の部分が細いほど、また、針状の部材の間隔が広いほど、光の透過率が上がり、エネルギーの利用効率が上がる。
また、発泡金属の発泡によって針状の部材が変形することがなく、発泡金属の形状を制御するために、針状の部材の特に柱状の部分の強度は、ある程度以上必要である。
さらに、発泡金属が発泡中の柔らかい状態では表面張力があるため、針状の部材の先端部の間隔がある程度以下ならば、発泡金属がはみ出さないようにすることができる。先端部の間隔が広すぎると、先端部の間から発泡した発泡金属がはみ出してしまう。従って、先端部の間隔を、原料の発泡中の金属の表面張力の状態に応じて、許容されるはみ出し量によって適切な範囲内とする。
例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛や亜鉛合金、銅や銅合金、鉄や鉄合金等が挙げられる。
ただし、原料の金属の融点と合うように、発泡する温度が適切な範囲の発泡剤を選定することが望ましい。
例えば、金属粉末と発泡剤粉末を混合して固化成型する方法や、特許文献2や特許文献3に記載された、金属板に発泡剤粉末を摩擦攪拌ツールにより混合する方法等、各種の作製方法を適用して、前駆体を作製することが可能である。
製造すべき発泡金属が比較的複雑な表面形状(凹部等)を有する場合等では、複数個の前駆体を適切な位置に配置することにより、その表面形状の発泡金属を型に沿ってより確実に製造することができる。
そして、前駆体を加熱して、前駆体に発泡金属を作製するのに十分なエネルギーを与えることができるように、光源の出力、光源の光の波長範囲、照射時間等の条件を選定する。
これにより、製造すべき発泡金属が、針状の部材の先端部や柱状の部分だけでは作製が難しいような形状を一部分に有する場合でも、別の成型用の型を用いたプレスによりその部分の形状を付与することが可能になる。
なお、プレスのための成型用の型にも針状の部材の先端部の群を用いて成型面が形成されているものを使うことができる。
予め製造すべき発泡金属の寸法・形状が分かっている場合には、その寸法・形状(例えば、設計データ)を用いて、針状の部材の先端部の位置を決定する。
また、製造すべき発泡金属の形状に対応する物品を用いて、この物品の型取りを行って、物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得し、取得した物品の寸法及び形状に関するデータに基づいて、成型用の型のそれぞれの針状の部材の先端部の基盤からの高さ(位置座標)を決定することができる。そして、決定した先端部の群により、発泡金属の成型面が形成された成型用の型を作製し、作製した成型用の型を使用して発泡金属を作製することができる。
また、例えば、義手や義足を発泡金属で作製する場合には、ユーザーの他の手(指、掌、腕)や足(脚、足)を型取りすることができる。
なお、この立体的に型取りする方法を採用する場合、型取り治具の針状の部材と、発泡金属の成型用型の針状の部材を、全く同一の配置とすれば、型取り治具で型取りして取得した位置座標を、そのまま成型用型の針状の部材の先端部の位置座標に適用することができる。しかしながら、型取り治具の測定に基づいて得られた物品の表面形状から、成型用型の針状の部材の先端部の位置座標を求めることが可能であるので、型取り治具の針状の部材と、発泡金属の成型用型の針状の部材とは、全く同一の配置でなくても構わない。従って、型取り治具と成型用型において、それぞれ針状の部材の寸法・数・配置等を適切に選定することが望ましい。例えば、型取り治具では針状の部材を密に配置して、より精密に型取りを行い、成型用型では針状の部材を疎密の分布を有して部材の隙間から光を照射できる配置とすることができる。
即ち、発注側に第1のコンピュータを設け、製造側に第2のコンピュータを設ける。そして、発注側において、物品の型取りを行って、物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得する。さらに、取得した物品の表面の寸法及び形状に関するデータ自体、もしくは、当該データに基づいて算出した物品の表面の形状のデータを、第1のコンピュータから第2のコンピュータに送信する。また、製造側において、第2のコンピュータが受信したデータに基づいて、成型用の型のそれぞれの針状の部材の先端部の基盤からの高さを調整して、成型用の型を作製する。そして、作製した成型用の型を使用して発泡金属を作製する。
また、比較的短い時間で所望の寸法形状の発泡金属を製造することができる。
なお、本発明は、請求の範囲に規定された範囲内の任意の構成を採りうるものであり、以下の実施の形態や実施例の構成に限定されるものではない。
本発明の第1の実施の形態を、図1A及び図1Bの概略断面図に示す。
本実施の形態は、上下に針状の部材を延ばした成型用の型を使用する場合である。
それぞれの基盤3に設けられた針状の部材1は、上方向と下方向に延びている。
針状の部材1は、細い柱状の部分と、柱状の部分よりも太く形成された先端部2とから構成されている。
それぞれの針状の部材1の先端部2の群によって、成型用の型が構成されている。
なお、図1Aでは、型の内部に前駆体11を1個のみ配置しているが、2個以上配置しても構わない。
図2に示すように、先端部2が、横方向(x軸方向)及び縦方向(y軸方向)に多数配置されている。そして、先端部2は、横方向(x軸方向)には疎に配置され、縦方向(y軸方向)には密に配置されている。
このように、方向によって疎と密に先端部2を配置することにより、縦方向の密な配置によって発泡金属の表面形状を設定すると共に、横方向の疎な配置により、針状の部材1の柱状の部分の隙間から縦方向(y軸方向)に光Lを照射することができる。
この場合の先端部2の横方向(x軸方向)の間隔は、先端部2の間に形成される発泡金属のはみ出し量が許容範囲となるようにする。
なお、針状の部材1の配置が密で前駆体11に直接光が届かない場合でも、針状の部材1が金属等の熱伝導性を有する材質でできている場合には、基盤3が光照射により加熱され、針状の部材1にその熱が伝わり針状の部材1からの放熱で前駆体11を加熱することができる。また、そのような型であれば従来のように電気炉に入れて加熱してもよいことは言うまでもない。
また特に、平板状の基盤3を、光を透過する構成とした場合には、上又は下の少なくとも1つの方向から、平板状の基盤3を通して、前駆体11に光を照射することが可能である。
これにより、図1Bに示すように、針状の部材1の先端部2の群によって構成された型の内部に沿って、型に対応した寸法形状の発泡金属12が製造される。
本発明の第1の実施の形態に対する変形例を、図3~図5の概略断面図にそれぞれ示す。
これらの変形例は、針状の部材1を取り付ける基盤の数や形状を変えた構成である。
図3に示すように、針状の部材1を取り付ける平板状の基盤3を、上側と下側の他に、横(右側と左側)にも設けて、合計4枚の平板状の基盤3を配置して、成型用の型を構成している。針状の部材1は、それぞれの平板状の基盤3の面に対して垂直な方向に延びている。
図4に示すように、針状の部材1を取り付ける平板状の基盤3を、上下左右の他に、斜め方向(右上、右下、左上、左下)にも設けて、合計8枚の平板状の基盤3を配置して、成型用の型を構成している。針状の部材1は、それぞれの平板状の基盤3の面に対して垂直な方向に延びている。
本変形例の場合には、発泡金属12の表面を、8枚の基盤3に取り付けられた針状の部材1の先端部2で分担している。
図5に示すように、針状の部材1を取り付ける基盤として、断面半円状の基盤4を用いて、基盤4に垂直に針状の部材1を取り付けて、中心部から針状の部材1が放射状に延びるようにして、成型用の型を構成している。
断面半円状の基盤4は、2枚を接合すると円筒状になる構成である。
本発明の第2の実施の形態を、図6A及び図6Bの概略断面図に示す。
本実施の形態は、成型用の型の一部を、光が透過する材料(透明材)で構成した場合である。
そして、2枚の平板状の基盤3に取り付けられた針状の部材1の先端部2の群と、透明板5の表面とによって、成型用の型を構成している。
また、本実施の形態では、左側に透明板5を設けているので、左側から透明板5を通して前駆体11に光を照射することができる。
これにより、図6Bに示すように、針状の部材1の先端部2の群及び透明板5によって構成された型の内部に沿って、型に対応した寸法形状の発泡金属12が製造される。
また、針状の部材や基盤を透明材で構成してもよい。
続いて、本発明の第3の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、製造すべき発泡金属の形状に対応する物品を用いて、物品の型取りを行う場合である。
型取り用の治具22,23は、物品21に当接させて型取りを行うための多数の部材で構成されている。なお、図7では、可視化のために、型取り用の治具22,23の部材を棒状に表現しているが、細い針状の部材を使用しても構わない。
ただし、治具22,23を平板状とする場合には、位置を変えて型取りを行うか、複数個の治具22,23を平行に並べて型取りを行う。
この物品21の表面形状のデータに基づいて、成型用の型を構成する、針状の部材の先端部の基盤からの高さ(位置座標)を決定することができる。即ち、物品21の表面形状のデータと、針状の部材の位置とから、それぞれの針状の部材の先端部の位置座標を求めることができる。
そして、決定した針状の部材の先端部の群により成型用の型を作製して、成型用の型の内部に配置した前駆体に光を照射して加熱することにより、発泡金属を製造することができる。
なお、型取り用の治具22,23を成型用の型と同じ材質の細い針状の部材と基盤で構成すれば、針状の部材を物品21に当接させた後、基盤に固定して、これを成型用の型として利用してもよい。
続いて、本発明の第4の実施の形態を説明する。
本実施の形態は、発注側で物品に対する型取りを行って得たデータを製造側に送信し、製造側で型を作製して、型による発泡金属の製造を行う場合である。
図8に示すように、発注側110と製造側120に、それぞれコンピュータ111,121が設けられている。
そして、これらのコンピュータ111,121の間で、データの送受信が行われる。
製造側120には、第2のコンピュータ121、製造装置122が設けられている。製造装置122は、発泡金属を製造する。
有線による接続、無線による接続、インターネット等のネットワークを介した接続、等様々な構成が考えられる。
そして、第1のコンピュータ111は、物品の表面の寸法及び形状に関するデータ自体、もしくは、当該データに基づいて算出した物品の形状のデータを、図8中矢印Tで示すように、送信する。
第2のコンピュータ121が受信したデータに基づいて、成型用の型のそれぞれの針状の部材の先端部の基盤からの高さを調整して、成型用の型を作製する。
そして、作製した成型用の型を使用して、製造装置122において、発泡金属を製造する。
また、比較的短い時間で所望の寸法形状の発泡金属を製造することができる。
Claims (6)
- 発泡金属を製造する方法であって、
高さ調整可能に基盤に取り付けられた針状の部材の先端部の群により前記発泡金属の成型面が形成された型を用い、
金属に発泡剤が混合された前駆体を、前記型の内部に配置し、
その後に、前記前駆体を加熱することにより、前記前駆体を発泡させて、前記型により形状が制御された発泡金属を作製する
発泡金属の製造方法。 - 前記型の前記針状の部材の柱状の部分も成型に用いる請求項1に記載の発泡金属の製造方法。
- 前記型は、少なくとも一部が光を透過する材料により構成されている、請求項1に記載の発泡金属の製造方法。
- 前記前駆体が発泡した後に、さらに別の成型用の型によりプレスして追加的に形状を付与する請求項1に記載の発泡金属の製造方法。
- 製造すべき発泡金属の形状に対応する形状の物品を用いて、前記物品の型取りを行って、前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得し、
取得した前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータに基づいて、成型用の型の前記針状の部材の先端部の前記基盤からの高さを決定し、
決定した前記先端部の群により、前記成型面が形成された成型用の型を作製し、
作製した前記成型用の型を使用して発泡金属を作製する
請求項1に記載の発泡金属の製造方法。 - 発注側に、第1のコンピュータを設け、
製造側に、第2のコンピュータを設け、
前記発注側において、前記物品の型取りを行って、前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータを取得し、
取得した前記物品の表面の寸法及び形状に関するデータ自体、もしくは、当該データに基づいて算出した前記物品の表面の形状のデータを、前記第1のコンピュータから前記第2のコンピュータに送信し、
前記製造側において、前記第2のコンピュータが受信したデータに基づいて、前記成型用の型の前記針状の部材の前記先端部の前記基盤からの高さを調整する
請求項5に記載の発泡金属の製造方法。
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