JP2011194413A - 表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ微細加工技術を応用することによって、自由な曲面形状を視覚に応用でき、かつ、新たな視覚的効果を生み出すことを提案する。また、レーザ特有の加工痕(シェルマーク)を制御しながら積極的に付加することによって、反射や拡散において今までに無い見え方(視覚)を提案する。
【解決手段】まず加工対象物の加工面に対して所定の深さの加工を行うためのレーザ光のエネルギー密度を設定し、そのエネルギー密度のレーザ光を加工面に繰り返し照射した場合に、加工面に所望の微細形状が形成されるショット数を設定する。また、設定されたショット数のレーザ光を加工面に照射するための、加工面でのレーザ照射領域の移動速度を計算し、その計算された移動速度でレーザ照射領域に対して加工面を移動させながら、その設定されたエネルギー密度のレーザ光を照射し、微細形状が形成される加工面表面にレーザ光照射による加工痕にからなる超微細凹凸構造を形成するものである。
【選択図】図31
【解決手段】まず加工対象物の加工面に対して所定の深さの加工を行うためのレーザ光のエネルギー密度を設定し、そのエネルギー密度のレーザ光を加工面に繰り返し照射した場合に、加工面に所望の微細形状が形成されるショット数を設定する。また、設定されたショット数のレーザ光を加工面に照射するための、加工面でのレーザ照射領域の移動速度を計算し、その計算された移動速度でレーザ照射領域に対して加工面を移動させながら、その設定されたエネルギー密度のレーザ光を照射し、微細形状が形成される加工面表面にレーザ光照射による加工痕にからなる超微細凹凸構造を形成するものである。
【選択図】図31
Description
本発明は、例えば家庭用電化製品の外装及び筐体に用いる加飾技術に関するものであり、レーザを用いて3次元表面超微細加工形状を外装(筐体)に付加し、装飾性の高い外装(筐体)を供給する技術に係る。
近年、電気・電子機器の差異化において加飾技術の役割が、非常に大きくなっている。例えば、携帯分野では、クロスカット技法を用いてキラキラと光る視覚に訴えた携帯端末や、しぼり加工を施すことによって皮のような手触りのする触覚に訴えた携帯や、微細形状を付加することによって汚れや水滴がつかないようにした機能に訴えた携帯を発売している。そして、ノートPC分野では、カラフルな金属調をモデルとしたPCのラインナップを各社揃え、オーナーメードのようなオリジナルデザインが注目されている。
ここで重要となるのが樹脂成形品の表面に微細凹凸構造を形成することである。微細凹凸構造を持つ樹脂成形品はその微細形状効果により光透過特性や光反射特性が変化するため、この特性を積極的に利用して光学分野(拡散板や導光板といった光学機能性フィルム)や各種加飾構造部材分野(艶消し調やヘアライン調の金属外観を有するプラスチック部材)として広範囲な工業分野で使用されている。
例えば、樹脂成形品の表面に金属調外観を施す方法で、高級感を減ずることなく意匠性の高い従来の金属材料と置き換える事ができ、同時に軽量化、低コスト化、形状自由度の拡大といった利点を達成できるために、工業的に非常に有益である。
金属調外観を施す第1の方法として、
(1)表面に微細凹凸構造を有する剥離性シート上に蒸着や塗装により金属層を形成したシートを成形金型内に挟み込み、成形金型のキャビティ内に樹脂を射出し、充満させて樹脂成形品を得ると同時にその表面に転写シートを接着させた後、離型シートを剥離して金属層を樹脂成形品表面に形成する方法(成形同時転写法)(特許文献1〜3参照)がある。
また、第2の方法として、
(2)表面に微細凹凸構造を有する基材シート上に金属層等が形成されたインサートシートを成形金型内に挿入し、射出成形と同時に樹脂成形品表面にインサートシートを一体化する方法(インサート法)(特許文献4〜6参照)が挙げられる。
さらに、第3の方法として、
(3)光硬化性樹脂を用いて微細凹凸を作成する方法(特許文献7参照)や、第4の方法として、(4)複数の着色層を積層した転写材を樹脂成形品上に転写して、レーザエッチングによって任意の着色層を除去する方法(特許文献8)が挙げられる。
(1)表面に微細凹凸構造を有する剥離性シート上に蒸着や塗装により金属層を形成したシートを成形金型内に挟み込み、成形金型のキャビティ内に樹脂を射出し、充満させて樹脂成形品を得ると同時にその表面に転写シートを接着させた後、離型シートを剥離して金属層を樹脂成形品表面に形成する方法(成形同時転写法)(特許文献1〜3参照)がある。
また、第2の方法として、
(2)表面に微細凹凸構造を有する基材シート上に金属層等が形成されたインサートシートを成形金型内に挿入し、射出成形と同時に樹脂成形品表面にインサートシートを一体化する方法(インサート法)(特許文献4〜6参照)が挙げられる。
さらに、第3の方法として、
(3)光硬化性樹脂を用いて微細凹凸を作成する方法(特許文献7参照)や、第4の方法として、(4)複数の着色層を積層した転写材を樹脂成形品上に転写して、レーザエッチングによって任意の着色層を除去する方法(特許文献8)が挙げられる。
しかしながら、上記(1)〜(4)の方法では、微細凹凸構造として自由な曲面形状を付加して視覚に変化を与えるという発想はなかった。例えば(1)の方法において、微細凹凸構造は、物理的に傷をつける掘削法である。そして(2)の方法では、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷といった、印刷法が用いられる。また(3)の方法は、光硬化性樹脂を用いたヘアライン加工である。さらに(4)の方法は、着色層に加工を施す多色成形であり、微細凹凸形状を作成してはいない。
上記に加えて、従来のヘアライン加工技術は、サンドブラストやサンドマットを使用しているため、出来上がりは不均一で、「平均の粗さ」として制御できるだけであり、正確に設計した形状を制御することはできなかった。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、レーザ微細加工技術を応用することによって、自由な曲面形状を視覚に応用でき、かつ、新たな視覚的効果を生み出すことを提案するものである。また、レーザ特有の加工痕(いわゆるシェルマーク)を制御しながら積極的に付加することによって、反射や拡散において今までに無い見え方(視覚)を提案するものである。
本発明の表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法は、1ショットごとにレーザ照射領域を加工対象物の加工面に対して移動させながらレーザを加工面に繰り返し照射する、表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法であって、まず加工対象物の加工面に対して所定の深さの加工を行うためのレーザ光のエネルギー密度を設定し、そのエネルギー密度のレーザ光を加工面に繰り返し照射した場合に、加工面に所望の微細形状が形成されるショット数を設定する。また、設定されたショット数のレーザ光を加工面に照射するための、加工面でのレーザ照射領域の移動速度を計算し、その計算された移動速度でレーザ照射領域に対して加工面を移動させながら、その設定されたエネルギー密度のレーザ光を照射し、微細形状が形成される加工面表面にレーザ光照射による加工痕からなる超微細凹凸構造を形成するものである。
本発明によれば、照射レーザ光のエネルギー密度および加工面に対するレーザ照射領域の移動速度を適切に設定することにより、自由な微細形状を自由に形成でき、かつ、レーザ照射による加工痕を利用して微細形状表面に超微細形状を形成できる。
本発明によれば、レーザ微細加工技術を応用することによって、自由な曲面形状を視覚に応用でき、かつ、新たな視覚的効果を生み出すことができる。また、レーザ特有の加工痕(シェルマーク)を制御しながら積極的に付加することによって、反射や拡散において今までに無い視覚的効果を生む、表面超微細凹凸構造を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記項目の順に行う。
0.レーザ加工装置およびOG法の説明
1.第1の加工形態(直線(三角形)を有するマスクを用いた例)
2.第2の加工形態(楕円形の弧を有するマスクを用いた例)
3.第3の加工形態(直線(三角形)を有するマスクと楕円形の弧を有する
マスクを同一走査方向で重ね合わせた例)
4.第4の加工形態(直線(三角形)を有するマスクと楕円形の弧を有する
マスクを垂直な走査方向で重ね合わせた例)
5.超微細凹凸構造の説明
6.視覚的効果
7.製品例(表面超微細凹凸構造を有する成形品が適用された製品例)
0.レーザ加工装置およびOG法の説明
1.第1の加工形態(直線(三角形)を有するマスクを用いた例)
2.第2の加工形態(楕円形の弧を有するマスクを用いた例)
3.第3の加工形態(直線(三角形)を有するマスクと楕円形の弧を有する
マスクを同一走査方向で重ね合わせた例)
4.第4の加工形態(直線(三角形)を有するマスクと楕円形の弧を有する
マスクを垂直な走査方向で重ね合わせた例)
5.超微細凹凸構造の説明
6.視覚的効果
7.製品例(表面超微細凹凸構造を有する成形品が適用された製品例)
なお、以下に述べる実施の形態例は、本発明の好適な具体例である。そのため、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の技術範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。例えば、以下の説明で挙げる使用材料とその使用量、処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係も概略的なものである。
<0.レーザ加工装置およびOG法の説明>
[レーザ加工装置の構成]
本実施の形態に係る表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法は、光エネルギーを利用して加工対象物へ所望の3次元形状を形成するものである。また、3次元形状を形成しつつ、さらにレーザ特有の加工痕(シェルマーク)を制御して加工面表面に超微細凹凸形状を形成するものである。本発明に用いるレーザ加工装置は、樹脂に吸収され易い紫外領域の波長を持つレーザ光源と、レーザ光源から出射されるレーザ光を加工対象物(基板)の加工面に所定パターンで光学的に投影する光学系とを有するレーザ加工装置である。
[レーザ加工装置の構成]
本実施の形態に係る表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法は、光エネルギーを利用して加工対象物へ所望の3次元形状を形成するものである。また、3次元形状を形成しつつ、さらにレーザ特有の加工痕(シェルマーク)を制御して加工面表面に超微細凹凸形状を形成するものである。本発明に用いるレーザ加工装置は、樹脂に吸収され易い紫外領域の波長を持つレーザ光源と、レーザ光源から出射されるレーザ光を加工対象物(基板)の加工面に所定パターンで光学的に投影する光学系とを有するレーザ加工装置である。
紫外領域の波長を持つレーザ光は、例えばポリイミドのような、樹脂材料に吸収されやすく、その結果、高い光子エネルギーで分子間の結合を切断するアブレーションと呼ばれる方法でエッチング加工を実施することができる。アブレーション加工では、熱の発生が少ないために加工面エッジの熱ダレやドロス(盛り上がり)がなく、加工面にマスクパターンを正確に転写可能であるため、微細な形状の加工に非常に有利である。そして、レーザ光のエネルギーの時間当たりの積分量によって、微細な形状のエッチング深さ方向を制御できるため、自由な曲面の作成が可能となる。
以下に本発明の実施の形態に共通なレーザ加工装置の基本構成について、図面を参照して説明する。
図1は、表面微細凹凸構造を有する成形品を製造するためのレーザ加工装置の概略構成の一例を示す図である。図1に示すレーザ加工装置は、レーザ光源1と、ビーム整形器3と、マスクステージ4と、マスクMと、縮小投影レンズ5と、ミラー6と、ステージ7を含んで構成される。符号2で示された2点鎖線はレーザ光路である。
図1は、表面微細凹凸構造を有する成形品を製造するためのレーザ加工装置の概略構成の一例を示す図である。図1に示すレーザ加工装置は、レーザ光源1と、ビーム整形器3と、マスクステージ4と、マスクMと、縮小投影レンズ5と、ミラー6と、ステージ7を含んで構成される。符号2で示された2点鎖線はレーザ光路である。
レーザ光源1は、制御部8からの制御信号に基づいて、レーザ光強度のビームを出射するものである。以下に述べる実施の形態では、例えばエキシマレーザを用いる。エキシマレーザには、レーザ媒質の異なる複数の種類が存在し、波長の長いほうからXeF(351nm)、XeCl(308nm)、KrF(248nm)、ArF(193nm)、F2(157nm)が存在する。エキシマレーザの場合、200〜500Hzのパルス照射を行う。
ただし、レーザはエキシマレーザに限ることはなく、固体レーザの第2〜4高調波を備えるレーザ等であって構わない。固体レーザの場合、数十kHzのパルスによるビーム照射であり、一筆書きのようにして微細加工を施していく。ビーム整形器3は、レーザ光源1からのレーザ光の整形およびビーム強度の均一化を行い出力するものである。
マスクMは、加工形状に対応してレーザ光の透過、非透過の場所が設定された所定パターンの開口を有し、ビーム整形器3で整形されたレーザ光を通過させるものである。このマスクMは、例えば金属材料で形成された穴明きマスク、透明なガラス材料や金属薄膜で形成されたフォトマスク、誘電体材料で形成された誘電体マスク等が用いられる。マスクMの代わりに可変アパーチャを適用することもできる。マスクステージ4は、マスクMを載置し、制御部8からの制御信号に基づいて、レーザ光の光軸に垂直な平面に沿って移動位置決めが可能な機構を備えているものである。
縮小投影レンズ5は、マスクMのパターンを通過したレーザ光を集光し、所定倍率でステージ7上の加工対象物である基板Sの加工面に投影するものである。ステージ7は、縮小投影レンズ5に対して当該縮小投影レンズ5から投影されるレーザ光が基板Sの加工面に合焦するように配置されているものである。
このステージ7は、加工対象物である基板Sを真空吸着等によって保持するとともに、レーザ光が基板Sの加工面上を走査可能なように、制御部8からの制御信号に基づいて、レーザ光の光軸に垂直な平面(XY平面)に沿って移動位置決めが可能な機構を備えている。また、必要に応じて基板Sからの高さ方向(Z方向)に沿った移動もできるようになっている。
このレーザ加工装置では、所定形状の開口を有するマスクMを介してエキシマレーザ光を基板Sの表面に照射しつつ、ステージ7を移動させることで照射領域を走査すなわちレーザの照射領域を加工面上で移動させ、マスクMの開口形状に基づく基板加工を行う。このような加工は、以下に示す加工原理によるものである。
[OG法の加工原理]
図2は、OG法(Orthogonal method)の加工原理を説明する図である。すなわち、OG法は、所望の開口を備えたマスクMを介してレーザ光を加工対象物である基板Sに照射しつつ、照射領域を走査することで、基板Sに3次元形状を得る方法である。
図2は、OG法(Orthogonal method)の加工原理を説明する図である。すなわち、OG法は、所望の開口を備えたマスクMを介してレーザ光を加工対象物である基板Sに照射しつつ、照射領域を走査することで、基板Sに3次元形状を得る方法である。
マスクMには、レーザ光を透過する所定形状の開口m1と、レーザ光を透過しない遮光部m2とが設けられている。ここで、マスクMの開口m1とは、光を透過する部分のことであり、開口孔になっているものの他、透光窓になっているものを含む。このマスクMを介してレーザ光を照射すると、基板S上にはマスクMの開口m1の形状に応じたレーザ光が照射されることになる。
基板Sに開口m1の形状に応じたレーザ光が照射されると、レーザ光によるフォトンエネルギーによってアブレーションと呼ばれる光化学反応が発生し、熱的な影響を抑えつつ基板Sを加工することができる。
加工形状は、マスクMの開口m1を介したレーザ光の照射量の積分値で決定され、この積分値に応じてレーザ光による加工深さが決定される。具体的には、マスクMの開口面積が小さいほど照射量が少なくなることから、加工深さが浅くなる。
ここで、マスクMを介して照射されるレーザ光の照射領域を基板S上で走査すると、照射量は走査方向に沿った積分値となる。つまり、マスクMの開口m1の形状について、走査方向と直交する方向をx軸、走査方向をy軸とした場合、y軸方向に沿った開口m1の長さによって加工深さが異なる。
具体的には、y軸方向に沿った開口m1の長さが短いほど照射量の走査方向に沿った積分値が小さくなり、加工深さが浅くなる。一方、y軸方向に沿った開口m1の長さが長いほど照射量の走査方向に沿った積分値が大きくなり、加工深さが深くなる。照射領域を走査することで、この加工深さを断面とした形状が走査方向に連続し、走査方向に延設される3次元形状が形成されることになる。
例えば、図2に示すように、走査方向に沿って頂点が配置される三角形の開口m1を有するマスクMでは、三角形の頂点に対応する部分が最も深く加工され、x軸に沿う断面視三角形となる凹型形状が走査方向(y軸方向)に連続して形成されることになる。
また、レーザ光源1から出射されるレーザ光のエネルギーが一定の場合、レーザ光照射による加工深さは、照射領域の走査速度にも関係する。すなわち、走査速度が遅いほど単位時間・単位面積当たりの照射量が増加することから、深く加工される。これらのことより、マスクMの開口m1の形状および照射領域の走査速度の設定によって基板Sに形成される3次元形状を制御できることになる。
[OG法を用いた加工方法]
図3は、マスクと加工対象物である基板との相対位置を説明する模式斜視図である。マスクMには所定形状の開口m1が設けられており、このマスクMを介してレーザ光が縮小投影レンズ5に送られる。
図3は、マスクと加工対象物である基板との相対位置を説明する模式斜視図である。マスクMには所定形状の開口m1が設けられており、このマスクMを介してレーザ光が縮小投影レンズ5に送られる。
縮小投影レンズ5は、マスクMの開口m1の形状に対応した照射領域の大きさを例えば数分の1に縮小するものであり、照射エネルギーの集中によって高エネルギー密度を得る事を可能とする。
レーザ光を照射した状態で、基板SもしくはマスクM、またはそれらの両方を走査方向と反対方向に相対移動させる。これにより、レーザ光の照射領域が所定方向に走査され、この走査方向に沿って連続した加工が行われる。
また、1段分の走査が終了したら照射領域を走査方向と直交する方向に1段分移動させ、同様にレーザ光の照射および走査を行う。これを繰り返し行うことで、基板の広範囲にわたる加工が行われる。レーザ光の照射領域の一方向に沿った走査を図3に示すように複数段で行うと、走査方向に連続する3次元形状を形成できる。
また、走査方向に連続する3次元形状を形成した後、レーザ光の走査方向を先と直交する方向にして同様な走査を繰り返すと、直交する2方向の加工が重畳され、格子状の3次元形状を形成することができる。すなわち、マスクMを介したレーザ光の照射領域を一方向に沿って走査し、走査方向に沿った基板Sの加工を行った後、加工済みの基板Sに対して先の走査方向と直交する方向に走査方向を変えたレーザ光照射を行う。これにより、一方向の走査で加工された形状が、さらに直交する方向で加工され、格子状の3次元形状を得ることができる。
例えば、レーザ光の走査方向に沿って断面視半円形状が延びる3次元形状が形成される場合、この加工を直交する2方向で行うと、格子状に複数の半球形状(例えば、レンズ形状)が並ぶ加工を行うことできる。この直交する2方向の加工については、後に詳述する。
なお、2方向のレーザ光の走査において、2方向の走査の角度を直交以外にしてもよい。これにより、縦横サイズ比の異なる3次元形状を格子状に形成できることになる。さらに、照射方向は2方向に限らず、3方向(例えば基板Sを回転させて走査方向を120度ずつずらす等)や4方向なども考えられる。なお、3方向の走査を上記条件で行った場合、加工面を上方より見たときの3方向の走査が交わった箇所の加工形状は6角形になる。その他、異なる直径で円周方向へ走査、渦巻き状の走査、上記円周方向への走査と円周の中心から放射方向への走査とを組み合わせるなど、種々の走査方法が考えられる。
[マスクの構成]
図4は、本実施の形態に係る表面微細凹凸構造を有する成形品の製造方法で用いられるマスクの一例を説明する図である。このマスクMは、複数の開口m1が縦横に並ぶ開口形成領域を備えている。マスクMの幅方向が図中横方向、マスクMを介したレーザ光の照射領域の走査方向(移動方向)が図中縦方向となっている。このマスクMの開口形成領域には、マスクMの幅方向に沿って複数の開口m1の列が設けられている。また、この複数の開口m1の列が、マスクMの幅方向と直交する方向に複数列設けられている。図4では、1列あたり数個の開口m1が走査方向に沿って4列にわたり形成されたマスクが例示されているが、開口数は適宜設計する。例えば150cm(約5インチ)角のマスクに、1個の開口の大きさを約22mm角で形成した場合、5×5(=25個)の開口を形成することができる。開口m1の大きさは、最終的に所望する加工面の微細凹凸形状と縮小投影レンズ5の縮小率等に応じて決定される。
図4は、本実施の形態に係る表面微細凹凸構造を有する成形品の製造方法で用いられるマスクの一例を説明する図である。このマスクMは、複数の開口m1が縦横に並ぶ開口形成領域を備えている。マスクMの幅方向が図中横方向、マスクMを介したレーザ光の照射領域の走査方向(移動方向)が図中縦方向となっている。このマスクMの開口形成領域には、マスクMの幅方向に沿って複数の開口m1の列が設けられている。また、この複数の開口m1の列が、マスクMの幅方向と直交する方向に複数列設けられている。図4では、1列あたり数個の開口m1が走査方向に沿って4列にわたり形成されたマスクが例示されているが、開口数は適宜設計する。例えば150cm(約5インチ)角のマスクに、1個の開口の大きさを約22mm角で形成した場合、5×5(=25個)の開口を形成することができる。開口m1の大きさは、最終的に所望する加工面の微細凹凸形状と縮小投影レンズ5の縮小率等に応じて決定される。
[マスクの基本概念]
このマスクを用いたOG法で所望の加工形状を得るためには、レーザ光の照射エネルギー、基板の送り速度およびマスクの開口率等の多くのパラメータがあり、これらのパラメータを適宜設定することにより、個々の加工形状に合ったマスクを設計できる。
このマスクを用いたOG法で所望の加工形状を得るためには、レーザ光の照射エネルギー、基板の送り速度およびマスクの開口率等の多くのパラメータがあり、これらのパラメータを適宜設定することにより、個々の加工形状に合ったマスクを設計できる。
図5は、ある曲線を示すグラフであり、この曲線は関数F(x)で表されるものとする。ここで、図5に示す関数F(x)で表される曲線を反映した凹型加工形状を得るマスクを考える。加工面の加工形状は、マスク内でレーザ光を透過する開口部の縁(エッジ)の形状に応じた積分値でレーザ光の加工深さが決定される。よって、図6に示す基板Sへの所望の凹形状を得るためには、基板表面からエッチングする断面積S(x)は、図6の斜線部に示すとおり、次式で表される。
S(x)=ab−∫F(x)dx
S(x)=ab−∫F(x)dx
この加工形状を得るためには、図7に示すような、図5の関数F(x)を含む略半円形状の開口m1のマスクMを用いればよい。
なお、一例として凸型形状を得るための基板のエッチング断面積S’(x)を説明する模式図を、図8に示す。この凸型形状を得るためのマスク形状を説明する模式図を、図9に示す。
次に、レーザ光の照射エネルギー及びテーブルの送り速度と、エッチング深さとの関係を説明する。
図10は、横軸にレーザ光の照射エネルギー、縦軸にエッチング深さをとった両者の関係を示す図である。また、図11は、横軸に基板のテーブルの送り速度、縦軸にエッチング深さをとった両者の関係を示す図である。これにより、レーザ光の照射エネルギーが大きいほどエッチング深さが深いことが分かる。また、基板のテーブルの送り速度が速いほどエッチング深さが浅いことが分かる。
図10は、横軸にレーザ光の照射エネルギー、縦軸にエッチング深さをとった両者の関係を示す図である。また、図11は、横軸に基板のテーブルの送り速度、縦軸にエッチング深さをとった両者の関係を示す図である。これにより、レーザ光の照射エネルギーが大きいほどエッチング深さが深いことが分かる。また、基板のテーブルの送り速度が速いほどエッチング深さが浅いことが分かる。
図12(a),(b)は、マスクおよびこのマスクによって得られた加工形状の断面を示す模式図である。今、図12(a)に示すマスクMの一つの開口m1におけるアスペクト比h/wと、図12(b)に示す実際に得られた加工のアスペクト比H/Wとをa倍したとする。そのときの関係式は、次式で表される。
a=(h/w)/(H/W)
a=(h/w)/(H/W)
上記の係数aは、レーザ光の照射エネルギーや基板のテーブルの送り速度によって変化する。したがって、このマスクに対応したf(x)についての係数aを実験で求めておく。
[レーザ光の重ね合わせ]
次に、レーザ光の重ね合わせについて説明する。
一例として、図8に示したような加工形状の一部がF(x)=−X2で表される関数の曲面を持つ凸型形状に加工する場合の例を示す。この場合、図9に示したマスクMを用い基板表面からレーザ加工(エッチング)される分の断面積S’(x)は、図8の斜線部に示す通りである。この断面積S’(x)は、次式で表される。
S’(x)=∫X2dx
次に、レーザ光の重ね合わせについて説明する。
一例として、図8に示したような加工形状の一部がF(x)=−X2で表される関数の曲面を持つ凸型形状に加工する場合の例を示す。この場合、図9に示したマスクMを用い基板表面からレーザ加工(エッチング)される分の断面積S’(x)は、図8の斜線部に示す通りである。この断面積S’(x)は、次式で表される。
S’(x)=∫X2dx
この加工形状を得るために、図13に示す関数f(x)=−1/2X2に対応する曲面を持つマスクMを用い、同じマスクMで同一照射領域に2回重ねて照射を行ってもよい。これにより、F(x)=−X2で表される凸型の加工形状を得ることができる。すなわち、図13に示すように、関数f(x)で表されるマスクを用いてレーザ光を2回重ねて照射すると、次のように表すことができる。
F(x)=f(x)+f(x)であり、これは、F(x)=−1/2X2−1/2X2となる。
F(x)=f(x)+f(x)であり、これは、F(x)=−1/2X2−1/2X2となる。
このことは、F(x)=−X2の関数で表わす加工形状を、f(x)=−1/2X2のマスクを2回重ねて照射することによって実現できることを表している。
これと同様に、例えば、F(x)=−2X2のプロファイルに対応した凸型形状を加工するには、上記f(x)=−1/2X2に対応したマスクを4回重ねて照射すれば、F(x)=−2X2に対応した加工形状が得られることになる。
すなわち、所望の関数に対応した加工形状を得るために、個別の関数からなる開口部を有するマスクを用い、これらのマスクを介して同じ位置に重ねてレーザ光を照射する。加工形状は、レーザ光を照射した開口部の積分値で決定されることから、所望の関数(多次元多項式)に対応した加工形状を得ることができる。
<1.第1の加工形態>
第1の加工形態は、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクを使用し、基板表面に平面的な微細形状を付加する例である。
第1の加工形態は、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクを使用し、基板表面に平面的な微細形状を付加する例である。
まず、図15(a)に示すように、開口m1の縁に直線を有するマスクM(1)を使用して、ある光エネルギーと加工対象物である基板Sの送り速度とを設定し、その結果得られた加工形状を予め測定しておく。
図15(b)は、マスクM(1)を用いて実際に加工した形状から得られたプロファイルを数学的に近似したグラフを示す図である。ここでは、加工される基板表面での加工部分図中左端を原点としたXY軸を設定している。これによる具体的な加工形状は、断面視で逆三角形となっており、深さ(エッチング量)が40、幅が160となっている。なお、数値の単位はμmである。このグラフから得られる近似式Y1は、次式で表される。
Y1=(X/4)−40
Y1=(X/4)−40
このような三角形に形成されたマスクMの開口形状を転写しながらステージ7を走査方向へ移動させることにより、三角形の開口形状に対応する2次元的なエネルギー分布を、時間積分して深さ方向のエッチング量に変換する。そして、上記近似式Y1により得られるXY平面に沿う断面の加工形状は、図16に示すような三角加工形状11となる。三角加工形状11は、底辺が幅160μm、高さ40μmであり、全体として底面が三角形の三角柱を、その三角柱の高さ方向が走査方向(矢印方向)に沿うように配置した形状であり、近似式Y1の傾きが当該三角加工形状11の斜面10の傾きに対応する。
図17に、図15のマスクを用いて成形した3次元形状を示す。図17に示す成形品は、断面形状が三角加工形状11である三角柱が、走査方向と垂直な方向(x軸方向)に複数形成され、頂上が鋭角な複数の山を持つ鋸歯状の微細形状を有する。この例では一つの山を三角柱としているが、反射面(斜面10)が平面となるような形状であれば、どのような形状でも問題ない。
図18は、図17に示した表面微細凹凸構造を有する成形品を用いた製品(筐体)の例を示す概略図である。この例では、三角加工形状11の表面微細凹凸構造を有する基板Sの加工面に色層12が成膜され、その上に保護層13が成膜されている。
この三角加工形状11(鋸歯状)の微細形状を有する成形品は、微細形状が無い場合に比べて約40度の視野角の広がりが観察された。その一方で、反射面(斜面10)が平面形状のため、臨界角を超えると全く反射が起こらなくなり、何の視覚的変化も見られなくなる。視覚評価については他の微細加工形状とともに後にさらに詳述する。
なお、本加工形態では、基板Sはポリカーボネート材を使用しているが、アクリル材、ポリエチレン材、ポリイミド材等、レーザ波長を吸収する材料であれば金属材料を含めて高品位の加工が可能である。また、このように直接、微細形状を加工するのではなく、成形品を原版として金型を起こして形状を転写したり、フィルムを作成して貼り付けたりする方法も可能である。微細形状を持つ原版が得られることで、フィルム積層や印刷に比べて量産性が向上し、製造コストの抑制に繋がる。また、この例では、色層12を通して表面微細凹凸構造を見る場合を想定しているが、基板Sに透明な材料を使用し、色膜12の反対側から透明な基板Sを通して表面微細凹凸構造を見るようにしてもよい。この場合、保護層13は製品表面に現れないので、保護層13を削除してもよい。
<2.第2の加工形態>
第1の加工形態は、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクを使用し、基板表面に曲面的な微細形状を付加する例である。
第1の加工形態は、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクを使用し、基板表面に曲面的な微細形状を付加する例である。
まず、図19(a)に示すように、開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクM(2)を使用して、ある光エネルギーと加工対象物である基板Sの送り速度とを設定し、その結果得られた加工形状を予め測定しておく。
図19(b)は、マスクM(2)を用いて実際に加工した形状から得られたプロファイルを数学的に近似したグラフを示す図である。ここでは、凸型の加工形状における底部の図中左端を原点としたXY軸を設定している。これによる具体的な加工形状は、断面視で凸型の高さが16、底部が160となっている。なお、数値の単位はμmである。
このグラフから、0<X<80のとき楕円の近似式として、
{(X−80)2/(80)2}+{(Y2+16)2/(16)2}=1…(1)
が得られる。
また、80<X<160のとき楕円の近似式として、
{(X−80)2/(80)2}+{(Y2+32)2/(32)2}=1…(2)
が得られる。
{(X−80)2/(80)2}+{(Y2+16)2/(16)2}=1…(1)
が得られる。
また、80<X<160のとき楕円の近似式として、
{(X−80)2/(80)2}+{(Y2+32)2/(32)2}=1…(2)
が得られる。
このような楕円形の弧を含むマスクMの開口形状を転写しながらステージ7を走査方向へ移動させることにより、楕円形の弧を含む開口形状に対応する2次元的なエネルギー分布を、時間積分して深さ方向のエッチング量に変換する。そして、上記近似式Y2により得られるXY平面に沿う断面の加工形状は、図20に示すような凸型加工形状21となる。凸型加工形状21は、底辺(直線部分)が幅160μm、高さ16μmであり、全体として底面が略楕円形の円柱を、その円柱の高さ方向が走査方向(矢印方向)に沿うように配置した形状であり、近似式Y2の楕円形の弧が凸型加工形状21の曲面20に対応する。
この凸型加工形状21の場合、断面形状が凸型加工形状21である半円柱が、走査方向と垂直な方向(x軸方向)に複数形成され、頂上部が曲面の複数の山を持つ微細形状を有する。つまり、図17において、三角加工形状11の頂上部に丸みを持たせて凸型加工形状21に置き換えたような成形品となる。
この凸型加工形状21の微細形状を有する成形品は、微細形状が無い場合に比べて、第1の加工形態に係る三角加工形状11の微細形状を有する成形品(約40度の視野角の広がり)を超える視野角の広がりが観察された。これは、加工形状が直線ではない、特に加工形状の頂上部が三角形の頂点ではなく楕円形の弧であるために反射方向が一定にならず、視野角が大幅に広がったと考えられる。
さらに、本実施の形態に係る微細形状を有する成形品では、後方反射効果により色の深みが観察された。図21は、図20に示した凸型加工形状21からなる表面微細凹凸構造の後方反射効果を説明する図である。図21の例では、2つの凸型加工形状21−1,21−2を有し、凸型加工形状21−1,21−2の頂上部に入射したレーザ光A,Bはそれぞれ当該入射方向と反対方向に反射している。さらに、一方の凸型加工形状21−1の曲面のうち接線が傾斜する斜め部分に入射したレーザ光Bが、隣接する他方の凸型加工形状21−2の曲面へ向かって反射する。そして、凸型加工形状21−2の曲面へ向かって反射したレーザ光Bは、当該凸型加工形状21−2の曲面の斜め部分で入射方向と平行かつ逆方向へ反射し、凸型加工形状21−2の頂上部で反射したレーザ光Bと干渉する。このようなレーザ光の干渉により、微細形状のない成形品の(反射光が正反射のみとなる)場合と比較して色の深みが増す。
本加工形態では、加工形状の頂上部の曲面は、三角加工形状11のような直線ではなく、半円など何らかの曲線であれば楕円形の弧を有する凸型加工形状21と同じような効果が得られる。視覚評価については他の微細加工形状とともに後にさらに詳述する。
なお、本加工形態においても、第1の加工形態と同様に、基板Sの材料としてレーザ波長を吸収する種々の材料を適用できる。また、微細形状を直接加工するのではなく、成形品を原版として金型を起こして形状を転写したり、フィルムを作成して貼り付けたりする方法も可能である。
<3.第3の加工形態>
第3の加工形態は、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクと、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクとを使用し、基板表面に曲面的な微細形状を付加する例である。
第3の加工形態は、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクと、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクとを使用し、基板表面に曲面的な微細形状を付加する例である。
式(1)乃至式(2)から、0<X<80のときは式(3)、80<X<160のときは式(4)となる。そして、実際のエッチング量は、式(5)となる。
Y2={1/5√(6400−(X−80)2}−16・・・(3)
Y2={2/5√(6400−(X−80)2}−32・・・(4)
Y=Y1+Y2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
Y2={1/5√(6400−(X−80)2}−16・・・(3)
Y2={2/5√(6400−(X−80)2}−32・・・(4)
Y=Y1+Y2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
よって、図15(a)に示す直線のマスクM(1)と、図19(a)に示す楕円形の弧を有するマスクM(2)とを用いて重ねてレーザ光を照射すれば、加工形状として、図22で示す合成のプロファイルを得ることができる。
ここで、図22(a)は、式(9)に対応するY1、および数学的に近似された式(12)、式(13)に対応するY2を示している。また、図22(b)は、実際に得られる形状を示したもので、Y1、Y2および重ねてレーザ光を照射した際に得られるエッチング量Yを示している。
図22(b)のような設計を行った場合、図23に示すような断面形状が非対称かつ曲面30を有する凸型加工形状31が形成される。この凸型加工形状31は、三角加工形状11の角を丸くしたような形状となっている。
図24に、図22(b)の設計に基づいて成形した3次元形状を示す。図24に示す成形品は、断面形状が凸型加工形状31である柱状形状が、走査方向と垂直な方向(x軸方向)に複数形成され、頂上部が曲面の複数の山を持つ微細形状を有する。
この凸型加工形状31の微細形状を有する成形品は、曲面30を付加したことにより反射角度が拡大し、第1の実施の形態の三角加工形状11を有する微細形状よりもさらに20度広い反射視野角の増加が確認できた。視覚評価については他の微細加工形状とともに後にさらに詳述する。
このように、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクを使用し、その後で図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクを使用し、三角加工形状11(三角柱形状)に曲面を持つ凸型加工形状21(シリンドリカル形状)の要素を付加することができる。すなわち、本実施の形態のレーザ加工技術では、複数の形状を組み合わせた複合形状の加工が可能であり、基板Sの加工面に光学特性を考慮した自由な微細形状を形成できる。
なお、本加工形態においても、第1および第2の加工形態と同様に、基板Sの材料としてレーザ波長を吸収する種々の材料を適用できる。また、微細形状を直接加工するのではなく、成形品を原版として金型を起こして形状を転写したり、フィルムを作成して貼り付けたりする方法も可能である。
上述した第1〜第3の加工形態に係るマスク構成によれば、複雑なプロファイルの加工形状を得るためのマスクであっても、マスク設定の時間や作成費用を節約することができる。また、少ない関数(多次元単項式)で与えられるマスクであっても、組み合わせ次第で種々の関数(多次元多項式)に対応したプロファイルでの加工形状を得ることができるようになる。
また、マスクパターンのアスペクト比と加工形状のアスペクト比とを倍数で管理ことにより、マスクの開口率等に左右されずに、2次元マスクから3次元加工形状へ正確に転写することができる。
また、多次元多項式の曲線をCADで設計する必要がないため、変換のソフトを必要としない。さらに、変換時のエラーも避けることができる。
さらに、レーザを用いた3次元微細加工形状を外装(筐体)に付加することにより、耐久性が高くて高品位の外装(筐体)を提供できる。
<4.第4の加工形態>
第4の加工形態は、レーザ加工で曲面を有する自由な表面微細形状を作成できる例として、蝶や蛾の翅に見られる、瓦構造を模した複合瓦形状を作成した場合の例である。
第4の加工形態は、レーザ加工で曲面を有する自由な表面微細形状を作成できる例として、蝶や蛾の翅に見られる、瓦構造を模した複合瓦形状を作成した場合の例である。
図25は、瓦構造を模した複合瓦形状の例を示す図である。基板Sに形成された微細形状の一つの山である加工形状41は、一方向から見ると三角加工形状42の平面形状であり、その直角方向から見ると凸型加工形状43の曲面形状である。この曲面形状は前述のOG法を用いれば、マスクを変えるとともに走査方向を垂直な方向に変えるだけで容易に作成できる。例えば、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクと、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクの走査方向を直交させて形成することができ、三角加工形状42側の幅160μm、凸型加工形状43側の幅160μmである。
以下、図26に示したフローチャートを参照しながら、図25に示した表面微細形状を有する製品の製造方法を説明する。
図26において、まず透明樹脂部品である基板Sを用意し、基板内側Si(図27(a))が加工面となるようにしてステージ7に載置する(ステップS1)。次に、図15の開口m1の縁に直線を有するマスクを使用してレーザ加工を行い、基板内側Siに三角加工形状11(図27(b):三角柱パターン)を形成する(ステップS2)。
図26において、まず透明樹脂部品である基板Sを用意し、基板内側Si(図27(a))が加工面となるようにしてステージ7に載置する(ステップS1)。次に、図15の開口m1の縁に直線を有するマスクを使用してレーザ加工を行い、基板内側Siに三角加工形状11(図27(b):三角柱パターン)を形成する(ステップS2)。
次に、ステージ7を用いて基板Sを先の走査方向に対して90度回転させ、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクを使用してレーザ加工を行い、基板内側Siに凸型加工形状21(図27(c):半円柱パターン)を形成する(ステップS3)。この処理が終了すると、一方向から見ると三角加工形状42の平面形状、その直角方向から見ると凸型加工形状43を有する加工形状41(図27(d))が形成される。
続いて、蒸着等の手法により、多数の加工形状41が形成された加工面に反射膜44(図27(e))を成膜する(ステップS4)。さらに、反射膜44の反射作用を補助する目的で裏打ち用の黒色の色膜45(図27(f))を付加する(ステップS5)。
そして、加工形状11を有する基板Sの加工面側を製品に合わせて取り付ける。基板Sの外側(加工面と反対側)に保護膜46を成膜し(図27(g))、外側から視覚効果を確認する(ステップS6)。なお、この保護膜46については、加工形状11が形成される加工面側ではないので、成膜するかどうかは任意に決定すればよい。
このようにして形成される微細形状(図25)は、後方反射効果により色の深みが観察された。本実施の形態に係る微細形状は、第1〜第3の実施の形態の微細形状と比較して、曲面の形状が複雑なため、複雑な干渉を引き起こしてより色の深みが出るので、これまでにない視覚効果を持つ外装(筐体)を提供できる。例えば、光の反射領域を拡大する等、色の複雑なグラディエーションを生み出すことができる。
<5.超微細凹凸構造の説明>
[エキシマレーザによる三角加工形状における加工痕]
ここで述べる超微細凹凸構造を持つ加工形態の例は、レーザを用いた微細加工特有の加工痕を意図的に発生させるようにしたものである。ここでいう加工痕とは、マスクを介してレーザを加工面に照射し、1ショットごとにマスクまたはステージを微小送りしてレーザ照射領域を加工面に対して移動させながら照射することにより生じる、マスクエッジによる不連続な加工の痕をいう。また、その加工痕により形成されるパターンは、特にシェルマークとも呼ばれる。
以下の例では、特に、エキシマレーザとマスクを用い、加工面に深さ方向数百ナノオーダーの加工痕をつけて超微細な凹凸形状を形成するようにしている。深さ数十ナノオーダーでは、人間が回折の効果を認識できるとされ、かつ、回折限界である波長レベルよりサイズが小さいため、拡散効果が極端に少ない。マスクの開口と遮断部の境界線(マスクエッジ)の形状が、基板移動時に加工面に大量の照射痕として転写される。
[エキシマレーザによる三角加工形状における加工痕]
ここで述べる超微細凹凸構造を持つ加工形態の例は、レーザを用いた微細加工特有の加工痕を意図的に発生させるようにしたものである。ここでいう加工痕とは、マスクを介してレーザを加工面に照射し、1ショットごとにマスクまたはステージを微小送りしてレーザ照射領域を加工面に対して移動させながら照射することにより生じる、マスクエッジによる不連続な加工の痕をいう。また、その加工痕により形成されるパターンは、特にシェルマークとも呼ばれる。
以下の例では、特に、エキシマレーザとマスクを用い、加工面に深さ方向数百ナノオーダーの加工痕をつけて超微細な凹凸形状を形成するようにしている。深さ数十ナノオーダーでは、人間が回折の効果を認識できるとされ、かつ、回折限界である波長レベルよりサイズが小さいため、拡散効果が極端に少ない。マスクの開口と遮断部の境界線(マスクエッジ)の形状が、基板移動時に加工面に大量の照射痕として転写される。
図28は、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクを使用して加工痕を発生させる例を説明する図である。三角形のマスクパターンを使用しているため、図28に示すように、三角加工形状11の特に斜面10に複数の直線の加工痕51が付加されている。
このような加工痕51を発生する方法は2つある。一つ目は、レーザ加工により三角加工形状11を形成すると同時に、加工痕51を生成する方法である。二つ目は、三角加工形状11を形成した後に、再度同じ場所を走査して三角加工形状11に加工痕51を生成する方法である。この場合、三角加工形状11を形成した後に同一部分に再度レーザ光が照射されるため、より多くの加工痕が加工面に形成されることとなり、拡散効果が高くなる。また、基板Sに照射されるレーザ光のエネルギー密度は制御部8によって、三角加工形状11の形状が著しく変形せず、かつ、適度な深さの加工痕が発生する範囲に調整する必要がある。
加工痕51は、マスク開口形状、エネルギー密度、ステージ送り速度、フォーカス位置等を設計することによって、そのエッチング深さや幅、形状などを自由に制御できる。この加工痕のエッチング深さや幅、形状などを自由に制御する方法については、後述する。なお、図28では、説明の都合上、加工痕のピッチを実際のものより大きくして表示している。
[エキシマレーザによる凸型加工形状の加工痕]
図29は、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクと、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクとを使用し、2つのマスクを重ね合わせて加工痕52を生成している。この場合、後から照射したマスク開口に依存する加工痕が残る。図29は、図15のマスク→図19のマスクの順番で重ねあわせを実施したときの例である。図15に示す開口m1で形成された斜線(図28の加工痕51)は打ち消され、図19に示す開口m1に依存する形状が残る。図19(a)に示すマスクMの場合、開口m1の縁に楕円形の弧と直線が存在するが、図29に示すマスクMの場合、加工痕52として、マスクMの相対的進行方向後方の形状に当たる直線形状が付加される。仮にマスクMを180度反転させて楕円形状が相対的進行方向後方の形状になると、加工痕52はレーザ照射方向から見て略半円状の曲線形状になる。
図29は、図15に示す開口m1の縁に直線を有するマスクと、図19に示す開口m1の縁に楕円形の弧を有するマスクとを使用し、2つのマスクを重ね合わせて加工痕52を生成している。この場合、後から照射したマスク開口に依存する加工痕が残る。図29は、図15のマスク→図19のマスクの順番で重ねあわせを実施したときの例である。図15に示す開口m1で形成された斜線(図28の加工痕51)は打ち消され、図19に示す開口m1に依存する形状が残る。図19(a)に示すマスクMの場合、開口m1の縁に楕円形の弧と直線が存在するが、図29に示すマスクMの場合、加工痕52として、マスクMの相対的進行方向後方の形状に当たる直線形状が付加される。仮にマスクMを180度反転させて楕円形状が相対的進行方向後方の形状になると、加工痕52はレーザ照射方向から見て略半円状の曲線形状になる。
[固体レーザによる加工痕]
次に述べる加工形態では、ビーム径が小さく、マスクを使わず直描するタイプの固体レーザを用いた場合の加工痕について説明する。固体レーザはビーム径が約Φ10〜50umのため、ビーム径に同期した、すなわちビーム径に対応した形状の加工痕が加工面に付加される。
次に述べる加工形態では、ビーム径が小さく、マスクを使わず直描するタイプの固体レーザを用いた場合の加工痕について説明する。固体レーザはビーム径が約Φ10〜50umのため、ビーム径に同期した、すなわちビーム径に対応した形状の加工痕が加工面に付加される。
図30は、固体レーザを用いた場合の加工痕を説明する図である。固体レーザを用いた場合、加工痕53はビーム径の丸形状を走査方向に重ね合わせたような形状となる。例えば、第4高調波(266nm)の固体レーザを用いた場合、ビーム径は一般にΦ10〜50umとなるため、そのビームエッジによる、深さ数百ナノオーダーの加工痕が加工表面に付加される。
このような加工痕(シェルマーク)を利用した超微細凹凸構造は、エッチング深さ数十nmでは波長レベルより回折サイズが小さいため、加飾の効果が薄いが、数百nmのサブミクロンオーダーになるとより効果が現れる。つまり加工痕の深さが波長レベルであれば、加工痕による拡散効果が生じ、色の艶、深みが増すという視覚効果(構造色効果)が表れる。また、加工痕の拡散効果により非干渉性が生まれて、反射視野角が広がる。この超微細凹凸構造の視覚効果は、エッチング深さが数10nmレベルでは生じないもしくは視覚効果が弱いことが実験により得られている。
以下、加工痕を利用した超微細形状の形成について、さらに詳細に説明する。
図31は、加工痕を利用した超微細形状の形成の説明に供する図であり、(a)は第1の加工形態(三角加工形状)の断面図であり、(b)はマスクパターン(レーザ照射領域)の重なりを示す上面図である。図32は、加工痕の連続パターンを示す上面図である。なお、図32に示したx−x線は、図31(a)の第1の加工形態の断面形状の断面を描くべき方向を示した図である。
図31は、加工痕を利用した超微細形状の形成の説明に供する図であり、(a)は第1の加工形態(三角加工形状)の断面図であり、(b)はマスクパターン(レーザ照射領域)の重なりを示す上面図である。図32は、加工痕の連続パターンを示す上面図である。なお、図32に示したx−x線は、図31(a)の第1の加工形態の断面形状の断面を描くべき方向を示した図である。
図31(a)の断面図に示した断面形状60の例は、幅が約160μm、高さが約3μmの三角加工形状(第1の加工形態に相当)である。高さ3μmの断面形状60を形成するには、加工前の加工面表面から3μmエッチングする必要があるが、レーザ1ショット当たりのエッチング量(エッチングレート)は、加工対象である基板の材料が同じならば、照射するレーザのエネルギー密度によって決まる。例えば、本実施の形態で使用した樹脂材料では、以下のようなデータが得られている。
エネルギー密度(mJ/cm2) エッチングレート(nm/ショット)
(a) 100 約46
(b) 200 約93
(c) 300 約142
(a) 100 約46
(b) 200 約93
(c) 300 約142
高さ3μmの微細形状を得るためには、図31(b)に示すように、マスクと基板の移動量を制御し、マスクパターンすなわちレーザ照射領域の一部が重なるようにして、レーザ照射領域61,62,63を進行方向にWμmずつ移動させながら、加工面にレーザを複数回照射する。そして、Wμmピッチの加工痕が連続して形成される(図32参照)。上記データ(高さ約3μm)の場合、エネルギー密度100mJ/cm2のときで64ショット、同200mJ/cm2のときで32ショット、同300mJ/cm2のときで21ショットが必要である。ここで、マスクの開口のエッジによって形成される超微細形状による視覚効果は、エッチング深さが100nmオーダーのときに強く生じるため、上記3(a)〜(c)であれば、超微細形状の深さは(c)の約142nmが好ましい。よって、(c)のエネルギー密度300mJ/cm2のレーザを用いて微細加工を行うことにより、視覚効果の得られる超微細形状を作ることが可能になる。同じ微細形状を得られる(a)では、微細形状作成時に得られる超微細形状の深さが浅く、視覚に影響を与える拡散効果を得られない。
なお、(b)のエネルギー密度200mJ/cm2のレーザを用いて微細加工する場合は、十分な視覚効果を得られる場合もある。
ここで、隣接する加工痕間の距離(ピッチ)は、レーザ照射領域の加工面上の移動速度(ステージに載置された基板に対するマスクの相対的な送り速度)、レーザ照射の周波数を制御して調整する。例えば、ピッチを大きくする場合は、レーザ照射領域の移動速度を速くするか、レーザ照射の周波数を低くするか、或いはその両方を行う。逆に、ピッチを小さくする場合は、レーザ照射領域の移動速度を遅くするか、レーザ照射の周波数を高くするか、或いはその両方を行う。
このように、加工対象物の材料、レーザ光の波長、レーザ光のエネルギー密度から、超微細加工形状のエッチングレートが決まる。一方、必要形状すなわち形成しようとする微細形状から、マスクの開口形状およびエネルギー密度が決まる。使用可能なエネルギー密度の中から、超微細形状の深さ方向に注目して、最適エネルギー密度を選択することにより、超微細形状による視覚効果(構造色効果)を得ることができる。逆に言うと、レーザ加工の際、この手順を踏んで超微細形状に注目した総合的な条件設定を実施しなければ、加飾に使用できる視覚効果を得られない。
図33は、超微細形状による視覚効果(構造色効果)が強く得られる場合の加工痕の断面形状の測定例を示す図である。また図34は、構造色効果が弱い場合の加工痕の断面形状の測定例を示す図である。図33および図34はともに、第1の加工形態つまり断面形状が三角加工形状の場合の例である。
図33の場合、三角加工形状の幅が約160μm、高さが約3μmであって、斜面部分の超微細形状の加工痕のピッチが約7.1μm、深さが約0.2μmである。このように超微細形状深さが数百nmオーダーの場合、強い構造色効果を得ることができる。
一方、図34の場合、三角加工形状の幅が約160μm、高さが約0.6μmであって、斜面部分の超微細形状の加工痕のピッチが約7.1μm、深さが約0.05μmである。このような超微細形状深さが数十nmオーダーの場合では、構造色効果が弱い。
図33の場合、三角加工形状の幅が約160μm、高さが約3μmであって、斜面部分の超微細形状の加工痕のピッチが約7.1μm、深さが約0.2μmである。このように超微細形状深さが数百nmオーダーの場合、強い構造色効果を得ることができる。
一方、図34の場合、三角加工形状の幅が約160μm、高さが約0.6μmであって、斜面部分の超微細形状の加工痕のピッチが約7.1μm、深さが約0.05μmである。このような超微細形状深さが数十nmオーダーの場合では、構造色効果が弱い。
[加工面に形成される加工痕のパターン]
なお、上記加工痕は加工面におけるレーザ照射領域の移動方向によって変化し、それによって加工面を同一方向から見たときの構造色効果も異なる。以下、加工面に形成される加工痕のパターンもしくは向きについて説明する。
なお、上記加工痕は加工面におけるレーザ照射領域の移動方向によって変化し、それによって加工面を同一方向から見たときの構造色効果も異なる。以下、加工面に形成される加工痕のパターンもしくは向きについて説明する。
レーザ照射領域の重なっている部分では、前にレーザ照射した領域に再度レーザが照射され、前のレーザ照射領域の加工痕は消えるか、もしくは薄くなる。つまり、レーザ照射領域の重なっている部分では、レーザ照射順が後のレーザ照射領域により形成される加工痕が優位になる。これを利用してレーザ照射により生じる加工痕のパターンを制御することができる。
図35は、三角形の開口を有するマスクを用いた場合に形成される加工痕の説明に供する図である。
直角三角形の開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図35(a))を使用して、レーザ照射領域71,72,73を直角三角形の斜辺でない一辺と垂直方向に移動させる(図35(b))。図35(c)左図の矢印のように、直角三角形の斜辺が重なるようにレーザ照射領域71,72,73を移動させた場合、当該移動方向に垂直な辺によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図35(c)右図の矢印ように、直角三角形の斜辺が重ならないようにレーザ照射領域71,72,73を移動させた場合、斜辺によって形成される加工痕が支配的になる。
直角三角形の開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図35(a))を使用して、レーザ照射領域71,72,73を直角三角形の斜辺でない一辺と垂直方向に移動させる(図35(b))。図35(c)左図の矢印のように、直角三角形の斜辺が重なるようにレーザ照射領域71,72,73を移動させた場合、当該移動方向に垂直な辺によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図35(c)右図の矢印ように、直角三角形の斜辺が重ならないようにレーザ照射領域71,72,73を移動させた場合、斜辺によって形成される加工痕が支配的になる。
図36は、凹曲面を含む開口を有するマスクを用いた場合に形成される加工痕の説明に供する図である。
凹曲面を含む開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図36(a))を使用して、レーザ照射領域81,82,83を凹曲面に対向する辺と垂直方向に移動させる(図36(b))。図36(c)左図の矢印のように、凹曲面が重なるようにレーザ照射領域81,82,83を移動させた場合、当該移動方向に垂直な辺によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図36(c)右図の矢印ように、凹曲面が重ならないようにレーザ照射領域81,82,83を移動させた場合、凹曲面によって形成される加工痕が支配的になる。
凹曲面を含む開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図36(a))を使用して、レーザ照射領域81,82,83を凹曲面に対向する辺と垂直方向に移動させる(図36(b))。図36(c)左図の矢印のように、凹曲面が重なるようにレーザ照射領域81,82,83を移動させた場合、当該移動方向に垂直な辺によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図36(c)右図の矢印ように、凹曲面が重ならないようにレーザ照射領域81,82,83を移動させた場合、凹曲面によって形成される加工痕が支配的になる。
図37は、凸曲面を含む開口を有するマスクを用いた場合に形成される加工痕の説明に供する図である。
凸曲面を含む開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図37(a))を使用して、レーザ照射領域91,92,93を凸曲面に対向する辺と垂直方向に移動させる(図37(b))。図37(c)左図の矢印のように、凸曲面が重なるようにレーザ照射領域91,92,93を移動させた場合、当該移動方向に垂直な辺によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図37(c)右図の矢印ように、凸曲面が重ならないようにレーザ照射領域91,92,93を移動させた場合、凸曲面によって形成される加工痕が支配的になる。
凸曲面を含む開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図37(a))を使用して、レーザ照射領域91,92,93を凸曲面に対向する辺と垂直方向に移動させる(図37(b))。図37(c)左図の矢印のように、凸曲面が重なるようにレーザ照射領域91,92,93を移動させた場合、当該移動方向に垂直な辺によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図37(c)右図の矢印ように、凸曲面が重ならないようにレーザ照射領域91,92,93を移動させた場合、凸曲面によって形成される加工痕が支配的になる。
図38は、円形の開口を有するマスクを用いた場合に形成される加工痕の説明に供する図である。
円形の開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図38(a))を使用して、レーザ照射領域101,102,103を、円の中心を通る直線上で移動させる(図38(b))。図38(c)左図の矢印のように、円の下側の弧が重なるようにレーザ照射領域101,102,103を移動させた場合、当該移動方向の上手、すなわち円の上側の弧によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図38(c)右図の矢印ように、円の上側が重なるようにレーザ照射領域101,102,103を移動させた場合、当該移動方向の上手、すなわち円の下側の弧によって形成される加工痕が支配的になる。
円形の開口m1と遮光部m2を有するマスクM(図38(a))を使用して、レーザ照射領域101,102,103を、円の中心を通る直線上で移動させる(図38(b))。図38(c)左図の矢印のように、円の下側の弧が重なるようにレーザ照射領域101,102,103を移動させた場合、当該移動方向の上手、すなわち円の上側の弧によって形成される加工痕が支配的になる。一方、図38(c)右図の矢印ように、円の上側が重なるようにレーザ照射領域101,102,103を移動させた場合、当該移動方向の上手、すなわち円の下側の弧によって形成される加工痕が支配的になる。
このように、マスクの開口形状とレーザ照射領域の移動方向によって、加工面に形成する加工痕のパターン(超微細形状)を制御できるので、ユーザの視覚に訴える効果に変化をもたらすことができる。例えば、微細形状は同じでも、ユーザに見せたい外装(筐体)の面に応じて加工痕のパターンを変えたりすることにより、同一製品において面ごとに構造色効果に変化をつけることができる。
図39および図40に、加工痕(シェルマーク)の一具体例を示す。図39の例は、大きな曲線を有する円状の加工痕の例であり、理解の一助として、縦方向の一本の加工痕111V、横方向の一本の加工痕111Hを強調して表現してある。また、図40の例は、ライン状の加工痕の例であり、縦方向の一本の加工痕112V、横方向の一本の加工痕112Hを強調して表現してある。
図39の例では、加工痕の状態から加工痕111Hの後に加工痕111Vが形成されたことがわかる。また、図40の例では、加工痕112Vの後に加工痕112Hが形成されたことがわかる。
図39の例では、加工痕の状態から加工痕111Hの後に加工痕111Vが形成されたことがわかる。また、図40の例では、加工痕112Vの後に加工痕112Hが形成されたことがわかる。
上述した加工形態における加工痕によれば、意図的に加工痕が形成された超微細形状を持つ形成品の角度を変えた時に、反射角が広がるだけでなく高品位な質感・色調も同様に広い角度で得られるという効果が確認された。
<6.視覚的効果>
[複数の微細形状による比較]
次に、微細形状が施された形成品の視覚評価について説明する。
図41は、視覚評価データの測定方法を説明する図である。机の上に置かれた角度計121のパネル面120に測定対象のサンプル122を置く。そして、サンプル122に対し上方から蛍光灯124の光を照射し、机に対する加工面122a,122bの角度を変えながら、加工面122a,122bをカメラ123で撮影し、加工面に形成された微細形状を視覚面から評価する。
[複数の微細形状による比較]
次に、微細形状が施された形成品の視覚評価について説明する。
図41は、視覚評価データの測定方法を説明する図である。机の上に置かれた角度計121のパネル面120に測定対象のサンプル122を置く。そして、サンプル122に対し上方から蛍光灯124の光を照射し、机に対する加工面122a,122bの角度を変えながら、加工面122a,122bをカメラ123で撮影し、加工面に形成された微細形状を視覚面から評価する。
図42は、さまざまな微細形状について、サンプルの角度を変えてカメラ65で撮影したときの視覚評価結果を示す図である。
撮影したサンプルは、微細加工なし、第1の加工形態に係る三角加工形状(高さ0.5μm)、第1の加工形態に係る三角加工形状(高さ3.0μm)、第3の加工形態に係る加工形状(高さ0.5μm)、第3の加工形態に係る加工形状(高さ3.0μm)である。
撮影したサンプルは、微細加工なし、第1の加工形態に係る三角加工形状(高さ0.5μm)、第1の加工形態に係る三角加工形状(高さ3.0μm)、第3の加工形態に係る加工形状(高さ0.5μm)、第3の加工形態に係る加工形状(高さ3.0μm)である。
サンプルの角度が0度のとき、サンプルは机に寝た状態であり、このときはいずれのサンプルも反射はない。次に、サンプルを30度に起こしたとき、第3の加工形態に係る加工形状(高さ0.5μm)並びに第3の加工形態に係る加工形状(高さ3.0μm)で反射が始まった。さらに、サンプルを50度に起こしたとき、第1の加工形態に係る三角加工形状(高さ3.0μm)で反射が始まった。一方、第3の加工形態に係る加工形状(高さ0.5μm)並びに第3の加工形態に係る加工形状(高さ3.0μm)は、正反射に近い反射量となった。
上記測定から、第3の加工形態に係る加工形状の反射視野角は、第1の加工形態に係る加工形状のそれと比較して30度広いことがわかった。また、第1の加工形態のエッチング深さ0.5μmのものだけは、超微細形状が数十nmオーダーのため、同じ第1の加工形態のエッチング深さ3.0μmのものと比較しても視野角特性が一段と低下している事がわかる。
図43は、図42の視覚評価結果を、特に反射開始角度と反射状態についてまとめた表である。hはエッチング深さである。
図43から理解されるように、第1の加工形態の場合、エッチング深さ0.5μmでは、反射しないが、第3の加工形態の場合、エッチング深さ0.5μmでは、30度から反射を開始する。また、第1の加工形態の場合、エッチング深さ1.5および3.0μmでは、50度から反射を開始する。これに対し、第3の加工形態の場合、エッチング深さ1.5および3.0μmでは、30度から反射を開始する。このように、第3の加工形態の場合、エッチング深さに拘わらず反射開始角度が浅く、良好な反射状態の結果が得られた。
図43から理解されるように、第1の加工形態の場合、エッチング深さ0.5μmでは、反射しないが、第3の加工形態の場合、エッチング深さ0.5μmでは、30度から反射を開始する。また、第1の加工形態の場合、エッチング深さ1.5および3.0μmでは、50度から反射を開始する。これに対し、第3の加工形態の場合、エッチング深さ1.5および3.0μmでは、30度から反射を開始する。このように、第3の加工形態の場合、エッチング深さに拘わらず反射開始角度が浅く、良好な反射状態の結果が得られた。
[蝶の翅の表面の微細構造の説明]
ここで、本発明の微細形状および超微細形状と類似の効果を持つ、蝶の翅の表面の微細構造について説明する。蝶の翅の表面の微細構造について、URL「http://mph.fbs.osaka-u.ac.jp/~ssc/scvol1pdf/yoshioka.pdf」に説明がある。図44は、モルフォ蝶の翅の表面の微細構造を示す模式図である。蝶の翅の表面を電子顕微鏡で見ると、図44のような規則な構造と不規則な構造の両方を併せ持っている。下層鱗と呼ばれる部分には、7段ほどの棚131a〜131fを持つミクロな構造体が林立している。上下の棚の間隔は、往復の光学距離が特定の光、例えば青色の波長に対応している。したがって、それぞれの棚からの反射光が多層膜干渉のように強め合い、青色を強く反射する(構造の規則性)。このような蝶の翅の表面にある多層干渉は、図44の131のような構造を再現するか、あるいは実際の製品においては一般的な蒸着膜を(加工表面またはその反対面に)用いて実現しており、本発明の本質にかかわるものではない。
ここで、本発明の微細形状および超微細形状と類似の効果を持つ、蝶の翅の表面の微細構造について説明する。蝶の翅の表面の微細構造について、URL「http://mph.fbs.osaka-u.ac.jp/~ssc/scvol1pdf/yoshioka.pdf」に説明がある。図44は、モルフォ蝶の翅の表面の微細構造を示す模式図である。蝶の翅の表面を電子顕微鏡で見ると、図44のような規則な構造と不規則な構造の両方を併せ持っている。下層鱗と呼ばれる部分には、7段ほどの棚131a〜131fを持つミクロな構造体が林立している。上下の棚の間隔は、往復の光学距離が特定の光、例えば青色の波長に対応している。したがって、それぞれの棚からの反射光が多層膜干渉のように強め合い、青色を強く反射する(構造の規則性)。このような蝶の翅の表面にある多層干渉は、図44の131のような構造を再現するか、あるいは実際の製品においては一般的な蒸着膜を(加工表面またはその反対面に)用いて実現しており、本発明の本質にかかわるものではない。
一方、左右に隣り合う下層燐131〜133の各々の棚の高さは、棚一つ分の高さほどのバラツキが見られる。この高さ方向の乱雑性(不規則性)は、隣り合う棚構造から反射された光が、実質的には規則的な干渉をしなくなることを意味している。この不規則性による非干渉を生じさせる構造が、本発明の微細形状に当たる。さらに、それぞれの棚構造からの反射光は、広い範囲の角度に渡って回折を起こして乱反射のような働きをする。この回折を生じさせる構造が超微細形状(加工痕)に当たる。これらがモルフォ蝶の翅がおよそどの角度から見ても青色であることの理由である。
図45は、曲線形状の有無による視覚評価の考察を説明する図である。図45(a)は、第1の加工形態に係る微細形状を持つ基板S、図45(b)は、第3の加工形態に係る微細形状を持つ基板Sである。第1の加工形態に係る微細形状では、直線による平面的な加工形状のため反射視野角は約50度〜90度である。一方、第3の加工形態に係る微細形状では、加工形状のR部分により光干渉エリアが広がり、反射視野角は約30度〜90度である。
[拡散効果]
次に、加工痕を利用した超微細形状による拡散効果について考察する。
図46は、加工痕の有無による視覚評価の考察を説明する図である。図46(a)は、第1の加工形態に係る微細形状を持つ基板S、図46(b)は、加工痕による超微細形状を持つ基板Sである。第1の加工形態に係る微細形状では、入射した光は平面的な加工形状の直線部分(斜面)で反射するだけである。一方、加工痕51が形成された超微細形状の場合、本来は平面的な加工形状の直線部分(斜面)に形成された加工痕51で光が散乱し、光が拡散されることによって、色に深みが出る。このことは、図44に示した蝶の翅における回折にあたる。
次に、加工痕を利用した超微細形状による拡散効果について考察する。
図46は、加工痕の有無による視覚評価の考察を説明する図である。図46(a)は、第1の加工形態に係る微細形状を持つ基板S、図46(b)は、加工痕による超微細形状を持つ基板Sである。第1の加工形態に係る微細形状では、入射した光は平面的な加工形状の直線部分(斜面)で反射するだけである。一方、加工痕51が形成された超微細形状の場合、本来は平面的な加工形状の直線部分(斜面)に形成された加工痕51で光が散乱し、光が拡散されることによって、色に深みが出る。このことは、図44に示した蝶の翅における回折にあたる。
次に、サンプルの、可視光に対する反射強度を分析した結果を説明する。
図47は、垂直な可視光に対する反射強度分布を示す図である。また、図48は、成形品を5度傾けたときの可視光に対する反射強度分布を示す図である。測定器は島津製作所製のUV2400、サンプルは、微細形状なし(Ptなし)、第1の加工形態に係る深さ0.5μmの微細形状、第3の加工形態に係る深さ0.5μmの微細形状である。測定時は測定器備品であるAl鏡面(反射率100%)を基準とした。
図47は、垂直な可視光に対する反射強度分布を示す図である。また、図48は、成形品を5度傾けたときの可視光に対する反射強度分布を示す図である。測定器は島津製作所製のUV2400、サンプルは、微細形状なし(Ptなし)、第1の加工形態に係る深さ0.5μmの微細形状、第3の加工形態に係る深さ0.5μmの微細形状である。測定時は測定器備品であるAl鏡面(反射率100%)を基準とした。
図47に示すように、垂直光では微細形状なしが最も反射率が高く、第1の加工形態に係る微細形状、第3の加工形態に係る微細形状では、反射率がやや下る。この反射率がやや下るという点は、散乱光が増えていることを示していると考えられる。また、図48に示すように、わずかでも(5度程度)傾けると、反射率は逆転し、第3の加工形態に係る微細形状、第1の加工形態に係る微細形状、微細形状なしの順になる。これは、第3の加工形態に係る微細形状、第1の加工形態に係る微細形状の順で、より多くの散乱光が生じていることを示している。これは、不規則性による非干渉及び回折の効果であると考えられる。
<7.製品例>
[電子機器に適用した例]
次に、本発明の表面微細凹凸構造を有する成形品を製品化した例を説明する。
図49は、表面微細凹凸構造を有する成形品が設けられた第1の製品例を示す図である。図49(a)のようなノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器140の筐体に、本発明の表面微細凹凸構造を有する成形品が適用される。例えば、図49(c)は、図49(b)の筐体天蓋140Tのx−x線断面図である。この例では、筐体天蓋140Tの透明外装内側141に3次元微細形状が形成されている。
[電子機器に適用した例]
次に、本発明の表面微細凹凸構造を有する成形品を製品化した例を説明する。
図49は、表面微細凹凸構造を有する成形品が設けられた第1の製品例を示す図である。図49(a)のようなノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器140の筐体に、本発明の表面微細凹凸構造を有する成形品が適用される。例えば、図49(c)は、図49(b)の筐体天蓋140Tのx−x線断面図である。この例では、筐体天蓋140Tの透明外装内側141に3次元微細形状が形成されている。
[ヘッドホンに適用した例]
図50は、表面微細凹凸構造を有する成形品が設けられた第2の製品例を示す図である。この例では、ヘッドホン150のヘッドホンユニット151に、表面微細凹凸構造を有する成形品が適用されている。透明樹脂部品2の裏面153に、微細加工および成膜が施され、その加工面とヘッドホンユニット151のカバー部分が接合されている。
図50は、表面微細凹凸構造を有する成形品が設けられた第2の製品例を示す図である。この例では、ヘッドホン150のヘッドホンユニット151に、表面微細凹凸構造を有する成形品が適用されている。透明樹脂部品2の裏面153に、微細加工および成膜が施され、その加工面とヘッドホンユニット151のカバー部分が接合されている。
上述した各実施の形態のように構成される本発明によれば、レーザ加工技術は自由な曲面形状を創出できるため、加工表面で複雑な光学特性を引き起こすことができる。それ故、光の反射領域を拡大する事ができたり、色の複雑なグラディエーションを生み出したりすることができる。さらに、レーザ加工特有の加工痕(シェルマーク)を利用した超微細形状によって、反射角を向上させるとともに、印刷等の単純な色合いではなく、色の艶・深みを提供することができる。
なお、上述した実施の形態では、2つのマスクを用いて微細加工を行う例を説明したが、3つ以上のマスクを用いて微細加工を行ってもよいことは勿論である。
また、本明細書において、時系列を伴う処理方法を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、ステップの順番が異なっていてもよい。
1…レーザ光源、2…レーザ光、3…ビーム整形器、4…マスクステージ、5…縮小投影レンズ、6…ミラー、7…ステージ、8…制御部、10…斜面、11…三角加工形状、20…弧、21…凸型加工形状、30…曲面、31,31−1,31−2…凸型加工形状、41…加工形状、42…三角加工形状、43…凸型加工形状、44…反射膜、45…色膜、51,52,53…加工痕、60…断面形状、61,62,63…レーザ照射領域、65…加工痕、71,72,73…レーザ照射領域、81,82,83…レーザ照射領域、91,92,93…レーザ照射領域、101,102,103…レーザ照射領域、111H,111V,112H,112V…加工痕、140…ノートPC、140T…筐体天蓋、141…加工面、150…ヘッドホン、151…ヘッドホンユニット、152…透明樹脂、153…加工面、M,M(1),M(2)…マスク、m1…開口、m2…遮光部、S…基板、Si…基板内側、So…基板外側
Claims (8)
- 1ショットごとにレーザ照射領域を加工対象物の加工面に対して移動させながらレーザを加工面に繰り返し照射する、表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法であって、
前記加工対象物の加工面に対して所定の深さの加工を行うためのレーザ光のエネルギー密度を設定し、
前記エネルギー密度のレーザ光を前記加工面に繰り返し照射した場合に、前記加工面に所望の微細形状が形成されるショット数を設定し、
前記設定されたショット数のレーザ光を前記加工面に照射するための、前記加工面でのレーザ照射領域の移動速度を計算し、
前記計算された移動速度で前記レーザ照射領域に対して前記加工面を移動させながら、前記設定されたエネルギー密度のレーザ光を照射し、前記微細形状が形成される加工面表面に前記レーザ光照射による加工痕からなる超微細凹凸構造を形成する
表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。 - 前記加工痕は、前記レーザ照射領域を決定する、マスクに設けられた開口の縁の形状に基づいて形成される
請求項1に記載の表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。 - 前記マスクの開口を通過したレーザ光により形成されるレーザ照射領域の前記加工面での移動方向によって、前記加工痕のパターンを制御する
請求項2に記載の表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。 - 複数の開口が幅方向に並び、前記複数の開口のピッチが同じで形状が異なる第1のマスクと第2のマスクを用い、第1のマスクと第2のマスクを介して加工対象物にレーザ光を照射しながら当該レーザ光のレーザ照射領域を前記幅方向と直交する方向に移動させ、第1のマスクと第2のマスクとで前記レーザ光の照射および前記レーザ照射領域の移動を前記加工対象物に対して同じ位置に行う
請求項3表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。 - 第1のマスクと第2のマスクを用い、前記光の照射領域の移動を、前記加工対象物上の相直交する2方向で行う
請求項4に記載の表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。 - 第1のマスクと第2のマスクを用い、前記光の照射領域の移動を、前記加工対象物上の同一方向で行う
請求項4に記載の表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。 - 前記加工面の加工痕のエッチング深さは、数百ナノメートルである
請求項4乃至6のいずれかに記載の表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。 - 前記加工痕は、照射されるレーザ光のビーム径に対応した形状に基づいて形成される
請求項1に記載の表面超微細凹凸構造を有する成形品の製造方法。
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