JP7038833B2 - シートセットおよび移動デバイス制御システム - Google Patents

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Description

本発明はシートセットおよび移動デバイス制御システムに関する。
紙などのシートにそのシート上の座標を示すパターンを印刷し、カメラのついた小型の装置でそのパターンを印刷することにより、その小型の装置のシート内の位置を検出する技術が存在する。
特許文献1には、マットに座標を示すパターンを印刷し、自走デバイスに備えられたカメラでマット上のパターンを撮影することで、自走デバイスのマット内の位置を測定する技術が開示されている。
国際公開第2018/025467号
シート内の位置の検出精度を確保するためには、パターンを高密度に並べる必要があるため、必然的に各パターンのサイズが制限される。そのサイズの制限により、パターンのそれぞれに埋め込める情報量に限界がある。このため、パターンで座標表現が可能な座標空間は、必ずしも十分なサイズとならない。
本件発明者らは、複数のシートにパターンで表現される座標空間の一部をそれぞれ割り当て、そのパターンを読み取った際に、自走デバイスに、シートにより異なる動作をさせることを検討している。しかし、上述のように座標空間は必ずしも十分なサイズを有していないので、複数のシートのそれぞれに座標空間内の座標を割り当てる場合に、座標空間内の領域の不足が生じる恐れがあった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のシートのそれぞれに座標を示すパターンを印刷する場合に、それらに割り当てるための座標領域内の領域の増大を抑える技術を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明にかかるシートセットは、複数のシートを含む。前記複数のシートのそれぞれは、所定のサイズを有し当該シートを識別する情報が符号化されたパターンが印刷され、前記パターンを読み取る自走デバイスが始めに配置されるスタート領域と、前記スタート領域の周囲に配置され、割り当てられた座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷される共通領域と、を含む。前記複数のシートのそれぞれの前記共通領域には、他の少なくとも1つのシートと重複する座標領域が割り当てられる。
また、本発明にかかる移動デバイス制御システムは、識別情報が符号化されたパターンが印刷されるスタート領域、および、スタート領域の周囲に配置され、割り当てられた座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷される共通領域を含むシートに印刷されたパターンを撮影するカメラを含み、前記シート上を自走する移動デバイスと、前記カメラにより撮影されたパターンから情報を復号する復号手段と、前記スタート領域に印刷されたパターンから復号された情報に基づいて、前記シートの識別情報を取得する識別手段と、前記共通領域に印刷されたパターンから復号された情報に基づいて、前記移動デバイスの位置を取得する位置取得手段と、前記取得された識別情報に紐づけられた前記共通領域のマップを取得するマップ取得手段と、前記取得されたマップおよび前記取得された前記移動デバイスの位置に基づいて、前記移動デバイスの動作を制御する制御手段と、を含む。
本発明によれば、複数のシートのそれぞれに座標を示すパターンを印刷する場合に、それらに割り当てるための座標領域内の領域の増大を抑えることができる。
本発明の一形態では、前記複数のシートのそれぞれの前記スタート領域には、前記スタート領域に割り当てられた座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷され、前記複数のシートのそれぞれの前記スタート領域には、他のシートのいずれとも重複しない座標領域が割り当てられてもよい。
本発明の実施形態にかかる制御システムの一例を示す図である。 制御システムのハードウェア構成を示す図である。 台車の一例を示す図である。 台車が配置されるシートの一例を示す図である。 座標空間内の領域の割り当ての概要を示す図である。 共通割当領域を概略的に示す図である。 スタート割当領域の内訳を概略的に示す図である。 制御システムが実現する機能を示すブロック図である。 台車を制御する処理の一例を示すフローチャートである。 台車を制御する処理の一例を示すフローチャートである。 マップ情報の一例を示す図である。 台車が配置されるシートの他の一例を示す図である。 追加マップの情報が符号化されたパターンを概略的に説明する図である。 追加パターンとマップ情報との対応の一例を示す図である。 追加マス領域におけるマス属性と座標との関係の一例を示す図である。 追加付加領域における付加情報と座標との関係の一例を示す図である。 追加命令領域における命令と座標との関係の一例を示す図である。 追加マップを読み取る処理の一例を示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。出現する構成要素のうち同一機能を有するものには同じ符号を付し、その説明を省略する。本発明の実施形態では、制御システムとして、ユーザが簡易的な言語を用いて実習用のプログラム(以下では「実習プログラム」と記載する)を作成し、その実習プログラムを実行することにより迷路上で自走式のデバイスを走行させるプログラミング教材について説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる制御システムの一例を示す図である。図2は、本発明の実施形態にかかる制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。本発明にかかる制御システムは、デバイス制御装置10と、台車20a,20bと、コントローラ17と、カートリッジ18とを含む。台車20a,20bはカメラ24を有する移動デバイスであり、どちらも同じ機能を有する。以下では特に区別する必要がない限り、これらの台車20a,20bを台車20と記載する。デバイス制御装置10は、無線を介して台車20を制御する。コントローラ17はユーザによる操作を取得する入力装置であり、ケーブルによりデバイス制御装置10に接続されている。図3は、台車20の一例を示す図である。図3は、台車20を下からみた図である。台車20は、電源スイッチ250、スイッチ222、2つの車輪254をさらに含む。
デバイス制御装置10は、プロセッサ11、記憶部12、通信部13、入出力部14を含む。台車20は、プロセッサ21、記憶部22、通信部23、カメラ24、2つのモータ25を含む。デバイス制御装置10は、制御のための専用の装置であってもよいし、汎用的なコンピュータであってもよい。
プロセッサ11は、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作し、通信部13、入出力部14などを制御する。プロセッサ21は、記憶部22に格納されているプログラムに従って動作し、通信部23、カメラ24、モータ25などを制御する。上記プログラムは、カートリッジ18内のフラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるが、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。
記憶部12は、デバイス制御装置10に内蔵されるDRAMおよびフラッシュメモリと、カートリッジ18内のフラッシュメモリ等によって構成されている。記憶部22は、DRAMおよびフラッシュメモリ等によって構成されている。記憶部12,22は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12,22は、プロセッサ11,21や通信部13,23等から入力される情報や演算結果を格納する。
通信部13,23は他の機器と通信するための集積回路やアンテナなどにより構成されている。通信部13,23は、例えばBluetooth(登録商標)プロトコルに従って互いに通信する機能を有する。通信部13,23は、プロセッサ11,21の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ11,21や記憶部12,22に入力し、他の装置に情報を送信する。なお、通信部13はLANなどのネットワークを介して他の装置と通信する機能を有してもよい。
入出力部14は、コントローラ17などの入力デバイスからの情報を取得する回路と、音声出力デバイスや画像表示デバイスなどの出力デバイスを制御する回路とを含む。入出力部14は、入力デバイスから入力信号を取得し、その入力信号が変換された情報をプロセッサ11や記憶部12に入力する。また入出力部14は、プロセッサ11などの制御に基づいて、音声をスピーカに出力させ、画像を表示デバイスに出力させる。
モータ25は、プロセッサ21により回転方向、回転量および回転速度が制御される、いわゆるサーボモータである。2つのモータ25のそれぞれには、1つの車輪254が割り当てられており、モータ25は、割り当てられた車輪254を駆動する。
カメラ24は、台車20の下方を撮影するように配置され、台車20が置かれているシート31など(図4参照)に印刷されたパターンを撮影する。本実施形態では、シート31などには赤外線の周波数領域で認識されるパターンが印刷されており、カメラ24は、その赤外線の画像を撮影する。
図4は、台車20が配置されるシート31の一例を示す図である。図4は、複数のシート31が冊子状にまとめられている例を示している。それぞれのシート31には、ユーザが視認できる画像が印刷されており、さらに、カメラ24により撮影可能なパターンが印刷されている。図4の例では、ユーザが視認できる画像として、5×5のマスからなる迷路が印刷されている。この迷路はプログラミング教材のためのものである。ユーザは実習プログラムを作成し、台車20は、実習プログラムに従って移動する。マスの属性としては、スタートマス33a、ゴールマス33b、通行不能マス33i、通常マス33n、アクションマス33qなどがある。
ユーザは、実習プログラムを制御システムに読み込ませたのちに、台車20のうち1台をスタートマス33aに配置し、制御システムが実習プログラムに応じて台車20を走行させる。例えば図4の例では、カートリッジ18により提供されるプログラムにより、制御システムは、台車20が通行不能マス33i上を走行しないように台車20を制御する。また台車20が通常マス33nやアクションマス33qを通ってゴールマス33bに到着すると、デバイス制御装置10はユーザがプログラムの作成に成功したことを意味する音声等を出力する。
シート31等に印刷されるパターンについてより詳細に説明する。シート31上には、所定の大きさ(例えば0.2mm角)の単位パターンがマトリクス状に並んでいる。単位パターンのそれぞれは、そのパターンが配置される位置の座標が符号化された画像である。パターンとして符号化されるデータの大きさはあらかじめ決まっており、符号化される座標の最大・最小値(座標空間の大きさ)は、そのデータの大きさと単位パターンの配置間隔とにより定まる。
本実施形態にかかる制御システムでは、台車20のカメラ24がシート31等に印刷された単位パターンを撮影し、台車20またはデバイス制御装置10がその単位パターンを復号して座標を取得する。これにより、台車20のシート31等の上における位置が認識される。また、台車20またはデバイス制御装置10は、カメラ24により撮影された画像内にある複数の単位パターンのそれぞれから座標を取得し、その撮影された画像における複数の単位パターンの位置と、取得された座標とに基づいて、台車20の向きも算出する。
本実施形態では、シート31等に印刷されるパターンを利用することにより、ステレオカメラなどの他のデバイスを用いることなくシート31等の上における台車20の位置を高精度に認識することができる。
図5は、座標空間内の領域の割り当ての概要を示す図である。座標空間はxy座標の範囲により複数の割当領域に分割されており、分割された割当領域の一部は本実施形態におけるプログラミング教材のアプリケーション(本アプリケーション)に割り当てられ、また分割された領域の他の一部(他アプリケーション領域)は他のアプリケーションに割り当てられている。本アプリケーションに割り当てられた割当領域としては、共通割当領域、スタート割当領域、命令カード領域、追加マス領域、追加命令領域、追加付加領域がある。これらの割当領域のそれぞれの詳細については後述する。
以下では、冊子に含まれる複数のシート31のそれぞれのうち、スタートマス33aの領域(スタート領域)を除く領域を共通領域とよぶ。共通領域は、スタート領域の周囲に配置される領域である。共通領域には、共通割当領域の一部の領域が割り当てられる。また、シート31には、複数のパターンが並んで印刷されており、そのパターンのそれぞれは、その割り当てられた領域のうちそのパターンの位置に対応する座標が符号化されたものである。
図6は、共通割当領域を概略的に示す図である。共通割当領域は、スタートマス33aを中心とする9×9のマスに相当する領域である。図6に示されるマスの大きさはシート31に印刷される迷路のマスの大きさに対応する。図6の一点鎖線は図4に示されるシート31に印刷される座標空間内の領域を示している。各シート31の共通領域には、共通割当領域の9×9のマスのうち一部の領域が割り当てられる。より厳密には、共通領域には、共通割当領域に含まれる5×5のマスからスタートマス33aを除いた領域が割り当てられる。また図6の例では、共通割当領域におけるスタートマス33aの位置は固定されており、共通割当領域のうちシート31に割り当てられる領域は、シート31におけるスタートマス33aの位置に応じて変化する。
これにより、複数のシート31のそれぞれの共通領域には、スタートマス33aとの相対位置を示す座標のパターンが印刷される。また、複数のシート31のそれぞれの共通領域には、他の少なくとも1つのシートの共通領域と重複する座標領域が割り当てられる。
一方、スタートマス33aに相当するスタート領域には、シートを識別する情報が符号化されたパターンが印刷されている。より具体的には、スタート領域には、スタート割当領域内の座標領域が割り当てられ、その座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷される。スタート領域には、他のシート31のいずれとも重複しない座標領域が割り当てられる。
図7は、スタート割当領域の内訳を概略的に示す図である。スタート割当領域は、11×11のマスを有しており、これらのマスのそれぞれの大きさはシート31に印刷されるスタートマス33aの大きさに対応する。シート31のスタート領域には、スタート割当領域のうちいずれか1つのマスが割り当てられ、そのマスの座標が符号化されたパターンが印刷されている。図7の各マスに記載されている「1-1」などの符号は、そのマスに関連付けられたIDを示しており、そのIDはシート31を識別するものである。
制御システムは、カメラ24で撮影されたスタート領域のパターンが示す座標がスタート割当領域のどのマスに属するか判定し、そのマスに関連付けられたシート31のIDを取得する。スタートマス33aには、始めにユーザにより自走する台車20が配置されるので、自走する台車20が移動を開始する前にどのシート31上にいるかを判定することができ、あるシート31と他のシート31とで、重複する座標が印刷されていても、制御システムはシート31に関連付けられたマップ等の情報に応じて台車20の動きを制御することができる。
次に、これまでに説明したシート31等を用いる制御システムの動作について、より詳細に説明する。図8は、制御システムが実現する機能を示すブロック図である。制御システムは、機能的に、初期位置取得部50、現在位置取得部51、スタート制御部52、実習プログラム取得部53、実習プログラム実行部54、追加情報取得部56、マップ格納部72を含む。初期位置取得部50、現在位置取得部51、スタート制御部52、実習プログラム取得部53、実習プログラム実行部54、追加情報取得部56は、主に、デバイス制御装置10に含まれるプロセッサ11が記憶部12に格納されるプログラムを実行し、通信部13を介して台車20を制御することにより実現される。また、初期位置取得部50、現在位置取得部51などの機能の一部または全部は、台車20に含まれるプロセッサ21が記憶部22に格納されるプログラムを実行し、通信部23を介してデバイス制御装置10とデータをやり取りし、カメラ24やモータ25を制御することにより実現される。
マップ格納部72は、デバイス制御装置10に含まれる記憶部12により実現され、複数のシート31のそれぞれについてのマップやマップに関連する情報が格納されている一種のデータベースである。
初期位置取得部50は、カメラ24により撮影された画像から、座標が符号化されたパターンから情報を復号する。具体的には復号される情報は、シート31のうち台車20が配置された箇所の座標であり、シート31を識別することのできる情報である。
スタート制御部52は、初期位置取得部50により取得された台車20の座標に基づいて、実習プログラム実行部54の動作に関する設定をする。スタート制御部52は、機能的に、シート識別部61およびマップ特定部62を含む。シート識別部61は、初期位置取得部50により取得された情報(具体的には台車20の座標)に基づいて、台車20が配置されているシート31を識別する情報を取得する。マップ特定部62は、シート31の識別する情報に基づいて、シート31に関連付けられたマップの情報を取得する。マップの情報は、共通領域およびスタート領域にある各マスの属性の情報や、スタート位置から実習プログラムに従って移動する台車20を邪魔する他の台車20の動作プログラム、その他の付加的な情報を含む。
現在位置取得部51は、カメラ24により撮影された画像から、座標が符号化されたパターンを認識し、そのパターンが示す座標から、台車20の位置する座標と台車20の向きとを取得する。初期位置取得部50と現在位置取得部51は、実質的に同じものであってもよく、同じプログラムが実行されることにより実現されてもよい。
実習プログラム取得部53は、スタート位置に配置される台車20を走行させるための実習プログラムであって、ユーザが作成した実習プログラムを取得する。
実習プログラム実行部54は、取得された実習プログラムを実行し、取得されたマップと現在位置取得部51により取得された台車20の位置とに基づいてシート31上に配置された台車20の動作を制御する。実習プログラム実行部54は、機能的に、走行マス特定部65、マス属性取得部66、動作制御部67を含む。
走行マス特定部65は、現在位置取得部51が取得した座標に基づいて、台車20が配置されるシート31上の領域が分割された複数のマスのうち、台車20が現在走行しているマスを特定する。
マス属性取得部66は、マスのそれぞれと、台車20の動作を特定する動作情報とを関連付けて記憶するマップ格納部72から、走行マス特定部65により特定されたマスに関連付けられた動作情報を取得する。
動作制御部67は、取得された動作情報および現在の座標に基づいて、台車20の動作を制御する。
追加情報取得部56は、印刷されたパターンを自走するデバイスで読み取ることにより、マップの情報を取得し、取得されたマップの情報をマップ格納部72に格納する。
以下では、スタート制御部52および実習プログラム実行部54の処理について説明する。図9および10は、台車20を制御する処理の一例を示すフローチャートである。図10には、図9のステップS208の処理がより詳細に示されている。なお、図9,10に示される処理を行う前に、実習プログラム取得部53はユーザが作成した実習プログラムを取得している。
はじめに、スタート制御部52に含まれる初期位置取得部50は、カメラ24により撮影されたパターンを復号し、シート31において台車20が置かれている現在の座標および向きを取得する(ステップS201)。次に、スタート制御部52に含まれるマップ特定部62は、取得された座標がスタート領域内にあることを示すか否か判定する(ステップS202)。より具体的には、マップ特定部62は、取得された座標がスタート割当領域内の座標であれば、取得された座標がスタート領域にある、言い換えれば、台車20がスタート領域にあると判定する。取得された座標により台車20がスタート領域にないと判定された場合には(ステップS202のN)、台車20をシート31のスタートマス33aに置くことを促すエラーを出力して処理を終了する(ステップS203)。
取得された座標により台車20がスタート領域にあると判定された場合には(ステップS202のY)、マップ特定部62は、現在の座標が示すマップIDを特定する(ステップS203)。より具体的には、マップ特定部62は、初期位置取得部50により取得された座標がスタート割当領域にある複数のマスのうちどのマスに属するか判定し、そのマスに関連付けられたマップIDを取得する。
そして、マップ特定部62はマップIDに応じたマップ情報をマップ格納部72から取得し、記憶部12のRAMに格納する(ステップS205)。図11は、あるシート31に紐づけられたマップ情報の一例を示す図である。図12は、台車20が配置されるシート31の他の一例を示す図である。図11のマップ情報は、図12のシート31に対応している。
マップ情報は、マス情報と、命令情報と、付加情報とを含む。マス情報は、シート31に配置される5×5のマスのそれぞれの属性を示す。命令情報は、実習プログラムに従って動作する台車20(自台車)と異なる台車20(他台車)を動作させるプログラムを示す。付加情報は、その他の情報であり、スタート向き、CPU向き、課題種別、巻数を含む。スタート向きはスタート時の自台車の向きであり、図11の例ではシート31の上側を北とした方角によりあらわされている。CPU向きは、スタート時の他台車の向きである。課題種別は、シート31において、実習プログラムを実行する際の動作の種別を表しており、例えば、他台車があるか否かなどを表している。命令情報は、他台車を動かすプログラムの命令列であり、そのプログラムは課題種別が他台車の存在を示す場合に実行される。以下では、「台車20」と記載がある場合、特に断りがない場合は自台車を指すものとする。
マス情報に含まれる各マスの属性について説明する。通常マス33nは、自台車が移動可能なマスであり、かつ実習プログラムに基づく停止や方向転換が可能なマスである。一方、滑り床33sは氷上のような滑りやすい環境を模したマスであり、自台車は滑り床33sのマスへ移動可能であるが、いったん滑り床33sの上に移動すると、自台車は実習プログラムの命令に関わらず滑り床33sと異なる属性のマスの上へ移動するか、壁(例えば通行不能マス33i)と衝突するまで同じ方向に動き続ける。このように、マスの属性は、台車20の動作を規定する動作情報の一種であり、あらかじめ定められているマスの属性の種別(例えば通常マス33nや滑り床33s)は、動作の種別にも相当する。また、マスの属性はモーションデータとも関連付けられている。モーションデータは台車20の走行の態様を示す情報であり、モーションデータは、例えば、少し進んでは止まりながら進む(例えば通常マス33n上)、左右にふらつきながら進む、詰まらずにまっすぐ進む(例えば滑り床33s上)などの動作の詳細を定義する情報である。なお、マスの属性が、モーションデータの代わりに動作を制御する動作プログラムを特定してもよい。つまり、マスの属性に応じて複数の動作プログラムを準備しておき、マスの属性に応じた動作プログラムが実行されることで動作を規定してもよい。
マップ特定部62がマップ情報を取得すると、スタート制御部52は、付加情報に含まれるスタート向きと、初期位置取得部50により取得された台車20の位置および向きとに基づいて、台車20のスタート位置および向きを調整する(ステップS207)。
スタート位置および向きが調整されると、実習プログラム実行部54は、実習プログラムの実行を開始する。実習プログラム実行部54は、実習プログラムの命令(ステップ)を順に実行し、今回のステップにおける移動先を取得し、移動先まで台車を移動させる(ステップS208)。そして、今回のステップが最後のステップでない場合には(ステップS210のN)、実習プログラム実行部54は次のステップを実行対象とし、ステップS208から処理を繰り返す。一方、今回のステップが最後のステップである場合には(ステップS210のY)、実習プログラム実行部54は、実習プログラムの実行を終了し、台車20がゴールマス33bに到達したか否かに応じたメッセージを出力する(ステップS212)。より具体的には、実習プログラム実行部54は、台車20がゴールマス33bに到達した場合には、ミッションが成功したことを示す音声や画像を出力し、到達しない場合には、ユーザに再度のチャレンジを促す音声や画像を出力する。
ここで、ステップS208の処理について図10を用いてさらに詳細に説明する。はじめに、実習プログラム実行部54に含まれる走行マス特定部65は、ユーザが作成した実習プログラムに基づいて、台車20の移動先となる次のマスを決定する(ステップS251)。より具体的には、走行マス特定部65は、実習プログラムの命令を順序にしたがって実行し、その命令が前方に1マスすすむなどの台車20の移動を伴う命令である場合や、滑り床33sにより命令による前回の移動から継続している場合には、その命令に従って次のマスを決定する。実習プログラム実行部54に含まれる動作制御部67は、次のマスが設定されない、または次のマスへ移動することが許されない場合には(ステップS252のN)、ステップS208の処理を終了し、ステップS210の処理へ遷移する。次のマスへ移動することが許されない場合とは、例えば移動先のマスの種別が通行不能マス33iである場合である。つまり、動作制御部67は、台車20が次に向かうマスの種別に応じて、台車20の移動を抑制している。
次のマスへ移動することが許される場合には(ステップS252のY)、実習プログラム実行部54に含まれるマス属性取得部66は、現在のマスの属性と、次のマスの属性とを取得する(ステップS254)。そして、実習プログラム実行部54に含まれる動作制御部67は、現在および次のマスの属性に応じた台車20の移動態様を決定する(ステップS255)。動作制御部67は、例えば現在のマスが通常マス33nで次のマスが滑り床33sである場合には、前半では通常マス33n上を少し進んでは止まりながら進み、後半では滑り床33s上を一定の速度で進むように台車20の動くような台車20の移動態様を決定する。次に、動作制御部67は、決定された移動態様により台車20を移動させる(ステップS256)。なお、走行マス特定部65は、移動後のマス(次のマスとして決定されたマス)を現在のマスとして設定する(ステップS257)。
このように、マスの属性を設定し、その属性に応じた移動態様を設けることで、例えばシート31ごとに専用のプログラムを作成しなくても、台車20の移動のバリエーションを増やすことが可能になる。また、バリエーションを増やしつつ、マップの追加や変更が容易になる。
本実施形態では、追加情報取得部56は、自走する台車20を用いて印刷されたパターンを読み込むことにより、新たなシート31についてのマップを追加することができる。以下では、追加情報取得部56の処理の詳細を説明する。
図13は、追加マップの情報が符号化された追加パターンを概略的に説明する図である。また、図14は、追加パターンとマップ情報との対応の一例を示す図である。追加パターンは、読取開始を示す領域、マップIDが符号化された領域、マス情報が符号化された領域、付加情報が符号化された領域、命令情報が符号化された領域(命令情報1から19)、および、読取終了を示す領域が所定の方向に並んで印刷されたものである。読取開始の領域は、追加マップの情報の読取を開始する前に、ユーザがいずれかの台車20を配置する領域である。マップIDが符号化された領域には、読み取られるマップを識別する情報が符号化されたパターンが配置されており、具体的には、この領域には、図7に示されるスタート割当領域に属するマスのうちいずれかの領域にあるパターンが印刷されている。
マス情報の領域は、マス情報1から13のパターン領域からなる。付加情報の領域は、付加情報1から4のパターン領域からなる。命令情報の領域は、命令情報1から10のパターン領域からなる。マス情報1から13のパターン領域のそれぞれは、2つのマスの属性を示す情報が符号化されている。本実施形態ではマスの数は25であるため、マスの数の半分が小数点以下切り上げされた13がマス情報の数になっている。なお、マス情報1は、マス1-1,1-2の属性の情報が符号化されており、マス情報2以降も前のマス情報に続く2つのマスの属性の情報が符号化されている。命令情報1から10のパターン領域のそれぞれは、2つの命令を示す情報が符号化されている。命令情報1から10は、20の命令に復号される。
追加パターンに含まれるパターン領域のうち、読取開始を示す領域を除くものは、パターン領域が並ぶ方向の長さが、直行する方向の長さより短くなっている。これにより、読取に必要な領域を削減しつつ、台車20が逸脱する可能性を減らすことができる。
図14のパターンの欄に示される文字列は、座標空間内の各領域に紐づけられた一種の識別情報である。図15は、追加マス領域におけるマス属性と座標との関係の一例を示す図である。座標空間内の追加マス領域は、x軸方向に延びる境界線とy軸方向に延びる境界線とに囲まれる複数の矩形のセルに分割されており、それぞれのセルの座標領域はあるマスについて他の属性の種別と重複しないように割り当てられている。x軸の座標は、マス情報に属する2つのマスのうち先行するマスの属性を示し、y軸の座標は、あとに続くマスの属性を示している。図15の区分された領域内における文字列は、図14のパターンの欄に示される文字列に対応している。
パターン領域のそれぞれには、データに割り当てられた領域に属する複数の座標が符号化された単位パターンが並ぶように印刷されている。1つのパターン領域に複数の情報を持たせることで、座標空間内のより大きい領域を割り当てる必要が生じるが、読取に必要なパターン領域の数を減らすことができる。
図16は、追加付加領域における付加情報と座標との関係の一例を示す図である。y軸の座標は、課題種別、スタート向き、キャラ行動、追加マップ関連、巻情報などの付加情報の種別を表し、x軸の座標はその付加情報の種別に設定されるデータを示している。そのデータは図16の各セルに記載されている。ただし、課題種別については、y軸で課題種別のうち大種別も示しており、x軸はアクションの種類などの小種別を表している。課題種別のセルに記載される数値は、パターンの番号である。
図17は、追加命令領域における命令と座標との関係の一例を示す図である。マス情報と同様に、x軸の座標は、先行する命令を示し、y軸の座標は、あとに続く命令を示している。図15の区分された領域内における文字列は、図14のパターンの欄に示される文字列に対応している。
図18は、追加マップを読み取る処理の一例を示すフローチャートである。はじめに、追加情報取得部56は、カメラ24が撮影したパターンに基づいて、現在の台車20の座標および向きを取得する(ステップS101)。この処理は、初期位置取得部50の処理と同様である。
次に、追加情報取得部56は、台車20のスタート位置および向きを調整する(ステップS302)。より具体的には、現在の台車20のスタート位置および向きが許容範囲内にない場合に、スタートとして適正な位置及び向きになるように移動させる。
次に、追加情報取得部56は、台車20を設定された方向へ向けて走行させる(ステップS303)。設定された方向は、始めは読取方向であるが後述する処理により修正される。そして、追加情報取得部56は、カメラ24により撮影された画像から、座標が符号化されたパターンを認識し、そのパターンが示す座標から、台車20の位置する現在座標Pと台車20の向きとを取得する(ステップS303)。ステップS303の処理は現在位置取得部51の処理と同様である。ここで、現在座標Pを(x,y)とし、台車20がx軸の正方向に移動するものとする。ここで、パターンが配置されていない領域に移動したなどの理由により、現在位置が取得できなかった場合には(ステップS305のN)、追加情報取得部56はこれまでに読み取られた情報が適正であったか、読み取る量が必要より少なくなっていないか確認し(ステップS310)、適正でない場合はエラーメッセージを出力する。
一方、現在座標が取得された場合には(ステップS305のY)、追加情報取得部56は、前回に取得された台車20の座標である前回座標PPと現在座標Pとの差が所定の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS306)。所定の閾値は、現在座標Pの測定間隔で移動しうる最大の距離より大きく、マス情報1などのパターン領域の読取方向の最小の長さより小さい。前回座標PPと現在座標Pとの差が所定の閾値より大きい場合には(ステップS306のY)、追加情報取得部56は台車20が別のパターン領域の上へ移ったと判断し、現在座標Pが示す情報を判定し、取得された情報をマップ格納部72(具体的にはメモリ)にマスと関連付けるように追加する(ステップS307)。前回座標PPと現在座標Pとの差が所定の閾値より小さい場合には(ステップS306のN)、追加情報取得部56は台車20が前回と同じパターン領域の上にあると判定し、ステップS307をスキップする。
ステップS307の処理が終了する、またはステップS306で位置の差が閾値以下であると判定された後に、追加情報取得部56は現在位置Pの座標から、台車20が移動の目標とする目標座標Tを算出し、目標座標Tと現在座標Pとに基づいて、走行する方向を設定する(ステップS308)。そして、ステップS303以降の処理を繰り返す。これにより、追加情報取得部56は、所定の方向に自走する台車20に備えられたカメラ24が撮影した画像に基づいて、所定の方向に並ぶパターン領域から順にパターンを読み取り、マスに関連付けられるマス属性や命令などの情報を取得することができる。また、プログラムやデータを格納するカートリッジ18が販売された後であっても、オフラインでマップなどのデータを追加することができる。

Claims (2)

  1. 複数のシートを含み、
    前記複数のシートのそれぞれは、
    所定のサイズを有し、当該シートを識別する情報が符号化されたパターンが印刷され、前記パターンを読み取る自走デバイスが始めに配置されるスタート領域と、
    前記スタート領域の周囲に配置され、割り当てられた座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷される共通領域と、
    を含み、
    前記複数のシートのそれぞれの前記共通領域には、他の少なくとも1つのシートと重複する座標領域が割り当てられ、
    前記複数のシートのそれぞれの前記スタート領域には、前記スタート領域に割り当てられた座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷され、
    前記複数のシートのそれぞれの前記スタート領域には、他のシートのいずれとも重複しない座標領域が割り当てられる、
    シートセット。
  2. 識別情報として割り当てられた座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷されるスタート領域、および、スタート領域の周囲に配置され、割り当てられた座標領域内の座標が符号化されたパターンが印刷される共通領域を含む複数のシートのいずれかに印刷されたパターンを撮影するカメラを含み、前記いずれかのシート上を自走する移動デバイスと、
    前記カメラにより撮影されたパターンから情報を復号する復号手段と、
    前記スタート領域に印刷されたパターンから復号された情報に基づいて、前記シートの識別情報を取得する識別手段と、
    前記共通領域に印刷されたパターンから復号された情報に基づいて、前記移動デバイスの位置を取得する位置取得手段と、
    前記取得された識別情報に紐づけられた前記共通領域のマップを取得するマップ取得手段と、
    前記取得されたマップおよび前記取得された前記移動デバイスの位置に基づいて、前記移動デバイスの動作を制御する制御手段と、
    を含み、
    前記複数のシートのそれぞれの前記スタート領域には、他のシートのいずれとも重複しない座標領域が割り当てられる、
    移動デバイス制御システム。
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