JP7038678B2 - ゴルフクラブ - Google Patents

ゴルフクラブ Download PDF

Info

Publication number
JP7038678B2
JP7038678B2 JP2019026182A JP2019026182A JP7038678B2 JP 7038678 B2 JP7038678 B2 JP 7038678B2 JP 2019026182 A JP2019026182 A JP 2019026182A JP 2019026182 A JP2019026182 A JP 2019026182A JP 7038678 B2 JP7038678 B2 JP 7038678B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
golf club
layer
reinforced resin
circumferential direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019026182A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020130489A (ja
Inventor
修次 島
Original Assignee
キャスコ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by キャスコ株式会社 filed Critical キャスコ株式会社
Priority to JP2019026182A priority Critical patent/JP7038678B2/ja
Publication of JP2020130489A publication Critical patent/JP2020130489A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7038678B2 publication Critical patent/JP7038678B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Golf Clubs (AREA)

Description

特許法第30条第2項適用 (1)平成31年1月1日 「Zeus impact」第3~6頁及び第9~10頁(刊行物)(2)平成31年1月16日~18日、23日~25日 2019キャスコ春夏展示受注会(展示会)(3)平成31年1月28日 https://www.kascogolf.com/jp/media/news/details.php?id=5126(電気通信回線を通じた公開)(4)平成31年1月28日 https://www.youtube.com/watch?v=9ITPK9lbwII(電気通信回線を通じた公開)
本発明は、繊維強化樹脂層からなるシャフトと、該シャフトのチップ端側に取り付けられたヘッドとを備えるゴルフクラブに関する。
例えば、特許文献1に開示されるように、繊維強化樹脂層からなるシャフトと、シャフトのチップ端側に取り付けられたヘッドとを備えるゴルフクラブが知られている。このゴルフクラブでは、シャフトの軸方向の位置に応じて曲げ剛性を異なる大きさに調整すること、すなわち、シャフトの軸方向の曲げ剛性分布を調整することで、打球したゴルフボールの方向性や飛距離の向上を図っている。
特開平11-319170号公報
ところで、特に、アマチュアのゴルフプレーヤーでは、ゴルフクラブによりゴルフボールを打球したときに目標方向に対して真っすぐ飛ばすことができず、利き手の方向に曲がる(利き手に対応していない逆打ち用クラブを使用する場合を除く)、所謂、スライス飛球を生じ易い傾向にある。そこで、スライス飛球が生じることを防止できるゴルフクラブが求められる。
特許文献1のゴルフクラブでは、シャフトの軸方向の曲げ剛性分布は調整されているが、周方向の曲げ剛性分布については特に考慮されておらず、該周方向の全体で曲げ剛性が略同じ大きさとなっている。このようなゴルフクラブでは、スイング時にシャフトに対して、スイング方向に沿ったしなりのみではなく、スイング方向及びシャフトの軸方向の両方に垂直な方向のしなりや、ヘッドのフェースが目標方向に対して開く(トゥ側がヒール側よりもゴルフボール側から離間する)方向のしなりが生じることがある。このように、スイング時のシャフトに、スイング方向以外の上記の方向の成分が合成されたしなりが生じると、フェースが開いたままの状態で打球が行われ易くなり、スライス飛球を防止することが困難になる懸念がある。
本発明は上記した課題を解決するためになされたもので、スライス飛球を防止することが可能なゴルフクラブを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、繊維強化樹脂層からなりチップ端及びバット端を有するシャフトと、該シャフトの前記チップ端側に取り付けられたヘッドとを備えるゴルフクラブであって、前記シャフトは、該シャフトの他部位よりも曲げ剛性が4%以上大きい高曲げ剛性部を有し、前記高曲げ剛性部は、前記シャフトの軸方向に対しては、前記チップ端から前記バット端側に向かって300mm以下となる位置と前記バット端との間に亘って設けられ、且つ前記シャフトの周方向に対しては、前記ヘッドのトゥを前方に向けるとともにヒールを後方に向けたときの前記シャフトの周方向上の後端部を中心として該周方向の両側に延在することで、前記シャフトの全周の1/4となる部分に配置され、前記シャフトの全周の残余の3/4の部分に前記他部位が配置される。
このゴルフクラブでは、シャフトに対して上記のように高曲げ剛性部と他部位を配置して、シャフトの周方向の曲げ剛性分布を調整している。これによって、ゴルフクラブのスイング時に、スイング方向及びシャフトの軸方向の両方に垂直な方向のしなりや、ヘッドのフェースが目標方向に対して開く方向のしなりが生じることを抑制できる。その結果、フェースが開いたままの状態で打球が行われることを抑制して、スライス飛球を効果的に防止することが可能になる。
本発明の実施形態に係るゴルフクラブの概略全体側面図である。 図1のゴルフクラブのヘッドに接続されたシャフトを説明する要部概略平面図である。 図3Aは、シャフトの繊維強化樹脂層を構成するプリプレグシートの展開図であり、図3Bは、図3Aのプリプレグシートとシャフトとの軸方向の位置関係を説明する説明図である。 図3BのIV-IV線に沿った概略断面図である。 実施例及び比較例に係る硬化積層体の軸方向の全長、重量、スイング方向の振動数X、前後方向の振動数Y、トルクを示す図表である。 実施例に係るシャフトの1/4部分及び3/4部分のそれぞれについて、チップ端Tpからの距離と、曲げ剛性との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例に係るゴルフクラブを用いた打球テストの結果を示す図表である。
本発明に係るゴルフクラブについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るゴルフクラブ10は、チップ端Tp及びバット端Btを有するシャフト12と、シャフト12のチップ端Tp側に取り付けられたヘッド14と、シャフト12のバット端Bt側に取り付けられたグリップ16とを備える。
ヘッド14は、フェース面18と、ソール20と、クラウン22と、ホーゼル24とを有する。フェース面18は、ゴルフボール(不図示)を打撃する面である。ソール20は、ヘッド14の底面を構成する。クラウン22は、ヘッド14の上面を構成する。ホーゼル24は、クラウン22のヒール32側の端部に設けられ、ホーゼル孔26を有する。ホーゼル孔26にシャフト12のチップ端Tp側が挿入された状態で、シャフト12とヘッド14とが一体化されている。
このため、ヘッド14に取り付けられたシャフト12の軸方向と、ホーゼル孔26の軸方向とは一致する。すなわち、図2に示すように、シャフト12の中心軸Scは、ホーゼル孔26の中心軸Hcと同軸となる。また、シャフト12の周方向は、ホーゼル24の周方向と一致する。
図1に示すように、グリップ16の内部には挿入孔28が設けられる。挿入孔28にシャフト12のバット端Bt側が挿入された状態で、シャフト12とグリップ16とが一体化されている。ゴルフクラブ10を使用するプレーヤー(不図示)は、グリップ16を握って、図2のスイング方向にゴルフクラブ10をスイングする。
以下では、図1に示すように、プレーヤーがゴルフクラブ10を構え、予め定められたライ角及びロフト角通りに水平面(不図示)にヘッド14を接地させた際のトゥ30側を前方(プレーヤーから遠い方)とし、ヒール32側を後方(プレーヤーに近い方)とする。なお、ライ角は、ソール20を水平面に置いたときに、水平面とシャフト12の軸方向とがなす角度である。ロフト角は、シャフト12の軸線を含む鉛直平面とフェース面18とがなす角度である。
シャフト12は、積層された繊維強化樹脂層Fからなる管状体であり、例えば、チップ端Tp側からバット端Bt側に向かって外径が大きくなる。また、シャフト12は、高曲げ剛性部34と他部位36とを有する。高曲げ剛性部34では、他部位36よりも曲げ剛性が4%以上大きく設定されている。高曲げ剛性部34は、シャフト12の軸方向に対しては、チップ端Tpからバット端Bt側に向かって300mm以下となる位置とバット端Btとの間に亘って設けられる。
また、図2及び図4に示すように、高曲げ剛性部34は、シャフト12(ホーゼル24)の周方向に対しては、シャフト12の周方向上の後端部Sbを中心として該周方向の両側に延在することで、シャフト12の全周の1/4となる部分に配置されている。シャフト12の全周の残余の3/4の部分に、他部位36が配置されている。
シャフト12を構成する繊維強化樹脂層Fは、図3Aに示すように、複数のプリプレグシートS(プリプレグシートS1~S12)から形成される。各プリプレグシートSは、例えば、強化繊維をシート状とした繊維基材と、該繊維基材に含浸したマトリクス樹脂とを有する(何れも不図示)。本実施形態では、繊維基材は、強化繊維を一方向に配向させたUD材である。しかしながら、プリプレグシートSは、強化繊維の配向方向が複数方向やランダム方向である織物(クロス材)や不織布等からなる繊維基材を有していてもよい。
また、強化繊維の材料は特に限定されるものではないが、その一例として、炭素繊維、ガラス繊維、樹脂繊維等が挙げられる。比強度、比剛性に優れる等の観点からは、強化繊維として炭素繊維を用いることが好ましい。マトリクス樹脂は特に限定されるものではないが、その一例として、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。硬化収縮率が少なく、剛性及び靱性に優れる等の観点からは、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本実施形態では、図3Aに示す12枚のプリプレグシートS1~S12(これらを総称して、単に「プリプレグシートS」ともいう)を、図4に示すように巻回しつつ積層して環状の積層体とし、マトリクス樹脂を硬化させることで繊維強化樹脂層Fが形成される。1枚のプリプレグシートSから形成される繊維強化樹脂層Fの層数は、特に限定されるものではない。シャフト12の周方向に沿ったプリプレグシートSの長さ(以下、幅ともいう)を調整することで、すなわち、プリプレグシートSを巻回する際の周回数を調整することで、1枚のプリプレグシートSから形成される繊維強化樹脂層Fの層数を設定することができる。
プリプレグシートS1~S12は、シャフト12の径方向の中心側から外側に向かって参照符号が小さい順に積層される。すなわち、図3Aの図示では、下側に配置されたプリプレグシートSほど、シャフト12の径方向の外側に配置されることになる。また、図3Aの紙面における左右方向は、図3Bに示すシャフト12の軸方向に対応している。
プリプレグシートS1、S2、S5、S6から形成される繊維強化樹脂層Fはバイアス層である。プリプレグシートS3、S4、S7~S9、S11、S12から形成される繊維強化樹脂層Fはストレート層である。プリプレグシートS10から形成される繊維強化樹脂層Fはフープ層である。バイアス層と、ストレート層と、フープ層とは、シャフト12の軸方向に対する強化繊維の配向方向の角度(以下、配向角度ともいう)がそれぞれ異なっている。
すなわち、バイアス層は、シャフト12の軸方向に対して強化繊維が傾斜して配向している。本実施形態では、プリプレグシートS1、S5から形成される繊維強化樹脂層Fの配向角度が+45°であり、プリプレグシートS2、S6から形成される繊維強化樹脂層Fの配向角度が-45°であることとする。しかしながら、特にこれに限定されるものではない。バイアス層の配向角度の好適な例としては、±25°~±65°が挙げられる。
ストレート層は、シャフト12の軸方向に沿う方向に強化繊維が配向している。つまり、ストレート層では、配向角度が0°となる。なお、ストレート層の配向角度は、プリプレグシートSを積層する際に生じる誤差等の範囲で0°から±の方向にずれていてもよい。
フープ層は、シャフト12の軸方向に対して直交するように強化繊維が配向している。つまり、フープ層では、配向角度が90°となる。なお、フープ層の配向角度も、プリプレグシートSを積層する際に生じる誤差等の範囲で90°から±の方向にずれていてもよい。
プリプレグシートS1~S4、S11、S12から形成される繊維強化樹脂層Fは、シャフト12の軸方向のチップ端Tp側を部分的に構成する補強層である。プリプレグシートS5~S10から形成される繊維強化樹脂層Fは、シャフト12の軸方向の全体を構成する全長層である。つまり、補強層を形成するプリプレグシートS1~S4、S11、S12の軸方向の長さは、全長層を形成するプリプレグシートS5~S10の軸方向の長さよりも短い。
なお、本実施形態では、プリプレグシートS8を全長層であることとするが、特にこれに限定されるものではない。プリプレグシートS8は、シャフト12のチップ端Tpからバット端Bt側に向かって300mm以下となる位置とバット端Btとの間に亘って延在するように軸方向の長さが設定されていればよい。
ここで、図3A及び図4を参照しつつ、全長層を形成するプリプレグシートS5~S10のそれぞれから形成される繊維強化樹脂層F5~F10(これらを総称して繊維強化樹脂層Fともいう)との関係でシャフト12のバット端Bt側における高曲げ剛性部34及び他部位36について説明する。
図4に示すように、プリプレグシートS5とプリプレグシートS6とは、各々の巻き始め位置S5a、S6aが、シャフト12の全周の1/4に相当する長さ(中心角が90°となる円弧の長さ)分、シャフト12の周方向の一方側にずれた状態で巻回される。例えば、プリプレグシートS5の巻き始めS5aは、シャフト12の周方向上の後端部Sbから、周方向の一方側に中心角が135°となる円弧の長さ分ずれた位置に配置される。また、プリプレグシートS5、S6のそれぞれの幅は、周回数が2となるように設定されている。このため、繊維強化樹脂層F5、F6は、シャフト12の周方向の略全ての位置で2層となる(巻き終わり位置で若干3層となってもよい)。
プリプレグシートS7の巻き始め位置S7aは、プリプレグシートS5の巻き始め位置S5aから、シャフト12の全周の1/2に相当する長さ(中心角が180°となる円弧の長さ)分、シャフト12の周方向の一方側にずれた位置に配置される。また、プリプレグシートS7の幅は、周回数が1となるように設定されている。このため、繊維強化樹脂層F7は、シャフト12の周方向の略全ての位置で1層となる(巻き終わり位置で若干2層となってもよい)。
プリプレグシートS8は、シャフト12の周方向において、高曲げ剛性部34が配置されるシャフト12の全周の1/4の部分に設けられる。つまり、プリプレグシートS8の幅は、シャフト12の全周の1/4に相当する長さ(中心角が90°となる円弧の長さ)であり、その周方向の中心が、シャフト12の周方向上の後端部Sbに配置されている。また、シャフト12の周方向において、他部位36が配置されるシャフト12の全周の3/4の部分には、プリプレグシートS8が設けられていない。
プリプレグシートS9の巻き始め位置S9aは、プリプレグシートS5の巻き始め位置S5aから、シャフト12の全周の3/4に相当する長さ(中心角が270°となる円弧の長さ)分、シャフト12の周方向の一方側にずれた位置に配置される。また、プリプレグシートS9の幅は、周回数が1となるように設定されている。このため、繊維強化樹脂層F9は、シャフト12の周方向の略全ての位置で1層となる(巻き終わり位置で若干2層となってもよい)。
プリプレグシートS10は、シャフト12の補強層が設けられていないバット端Bt側において最外層となる繊維強化樹脂層F10を形成する。繊維強化樹脂層F10には、高曲げ剛性部34を形成する部分のバット端Bt側に欠け部位38が設けられている。つまり、シャフト12の周方向において欠け部位38は、高曲げ剛性部34が設けられた位置に対応して配置される。このため、欠け部位38の周方向の長さは、シャフト12の全周の1/4に相当する。
図3Aに示すように、プリプレグシートS10の軸方向のバット端Bt側には、欠け部位38を形成するための切り欠き40が設けられている。切り欠き40よりもチップ端Tp側のプリプレグシートS10の幅は、周回数が1となるように設定されている。このため、繊維強化樹脂層F10は、欠け部位38を除く位置で1層となる(巻き終わり位置で若干2層となってもよい)。
上記のようにして全長層となるプリプレグシートS5~S10をそれぞれ巻回する前に、すなわち、シャフト12の径方向の中心側に配置されるように、補強層となるプリプレグシートS1~S4を巻回する。これによって、シャフト12のチップ端Tp側には、繊維強化樹脂層F5よりも径方向の中心側に、プリプレグシートS1~S4から形成される繊維強化樹脂層Fが配置される。
また、プリプレグシートS5~S10をそれぞれ巻回した後に、すなわち、シャフト12の径方向の外側に配置されるように、補強層となるプリプレグシートS11、S12を巻回する。これによって、シャフト12のチップ端Tp側には、繊維強化樹脂層F10よりも径方向の外側に、プリプレグシートS11、S12から形成される繊維強化樹脂層Fが配置される。
上記のようにして構成されたシャフト12の周方向では、高曲げ剛性部34が配置される部分にのみ、ストレート層である繊維強化樹脂層F8が配設される。すなわち、高曲げ剛性部34が配置されるシャフト12の全周の1/4の部分は、ストレート層からなる繊維強化樹脂層F8を、シャフト12の全周の残余の3/4の部分よりも1層多く含む。
シャフト12を製造する製造方法では、上記の順序及び配置となるようにしてプリプレグシートSを不図示のマンドレル(芯金)に巻回し、加圧及び加熱する。これにより、マトリクス樹脂を硬化させた後、マンドレルを引き抜いて硬化積層体を得る。この硬化積層体に対し、必要に応じて、軸方向の少なくとも一方の端部をカットしてチップ端Tp又はバット端Btを平坦としたり、硬化積層体の表面に研磨や塗装を施したりすることによって、シャフト12が得られる。
なお、図3AのプリプレグシートS1~S12では、理解を容易にするため、硬化積層体のカットされる端部に相当する部分の図示が省略されている。しかしながら、実際には、硬化積層体の端部をカットすること等を考慮して、プリプレグシートSに、シャフト12のチップ端Tp又はバット端Btよりも軸方向の外側に余分に延在する部分が設けられてもよい。
得られたシャフト12のチップ端Tpにヘッド14を装着し、バット端Btにグリップ16を装着することによってゴルフクラブ10が得られる。シャフト12にヘッド14を装着する際、シャフト12の最外層の繊維強化樹脂層F10に設けられた欠け部位38の周方向の中心と、ヘッド14のホーゼル24の周方向上の後端部Hbとが一致するように位置決めする。これによって、ゴルフクラブ10では、ヘッド14のトゥ30を前方に向けるとともにヒール32を後方に向けたときのシャフト12の周方向上の後端部Sbを中心として該周方向の両側に延在してシャフト12の全周の1/4となる部分に高曲げ剛性部34が配置される。また、シャフト12の全周の残余の3/4の部分には、他部位36が配置される。
以上から、本実施形態に係るゴルフクラブ10では、シャフト12に対して上記のように高曲げ剛性部34と他部位36を配置して、シャフト12の周方向の曲げ剛性分布を調整している。これによって、ゴルフクラブ10のスイング時に、スイング方向及びシャフト12の軸方向の両方に垂直な方向(前後方向)のしなりや、ヘッド14のフェースが目標方向に対して開く方向のしなりが生じることを抑制できる。その結果、フェースが開いたままの状態で打球が行われることを抑制して、スライス飛球を効果的に防止することが可能になる。
また、上記のように前後方向のしなりが生じることを抑制できるため、打球時のヘッド14のトゥ30側がアドレス時よりも下がる、所謂、トゥダウンが生じることを抑制できる。これによってもスライス飛球を防止することが可能になるとともに、打球スポットがずれることによるミスショットを減らすことが可能になる。
上記の実施形態に係るゴルフクラブ10では、高曲げ剛性部34が配置されるシャフト12の全周の1/4の部分は、強化繊維がシャフト12の軸方向に沿って配向したストレート層からなる繊維強化樹脂層F8を、シャフト12の全周の残余の3/4の部分よりも少なくとも1層多く含むこととした。繊維強化樹脂層Fは、ストレート層を含むことによって曲げ剛性を高めることができる。このため、上記のようにストレート層の層数や配置を調整することにより、シャフト12の全周の1/4の部分に、残余の3/4の部分よりも曲げ剛性が高い高曲げ剛性部34を比較的容易に設けることが可能になる。
なお、高曲げ剛性部34が配置されるシャフト12の全周の1/4の部分に、残余の3/4の部分よりも多く含まれるストレート層は、繊維強化樹脂層F8の1層に限定されるものではなく、2層以上であってもよい。
上記の実施形態に係るゴルフクラブ10では、シャフト12の高曲げ剛性部34を形成する部分の最外層の繊維強化樹脂層F10に欠け部位38が設けられていることとした。この場合、シャフト12の周方向の何れの部分に高曲げ剛性部34が形成されているかを容易に確認することが可能になる。例えば、シャフト12の周方向における欠け部位38の中心となる位置と、ホーゼル24の周方向における後端部Hbの位置とを一致させ、この状態で、シャフト12にヘッド14を取り付ける。これによって、高曲げ剛性部34が上記の配置となるように高精度に調整されたゴルフクラブ10を容易に得ることが可能になる。
なお、本実施形態では、シャフト12のバット端Bt側の端部で、最外層となる繊維強化樹脂層F10に欠け部位38を配設することとしたが、欠け部位38は、シャフト12の強度を大きく損なうことがない範囲であれば、シャフト12の軸方向の何れの位置に設けられてもよい。
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態に係るゴルフクラブ10では、プリプレグシートS1~S12のマトリクス樹脂を硬化させて形成される12層の繊維強化樹脂層Fからシャフト12が構成されることとしたが、特にこれに限定されるものではない。繊維強化樹脂層Fの層数、プリプレグシートSの枚数、強化繊維の配向方向、巻回位置、巻回順序、巻回回数等は、上記のように高曲げ剛性部34及び他部位36が配設されたゴルフクラブ10が得られるように、適宜設定されればよい。
また、ゴルフクラブ10では、高曲げ剛性部34は、シャフト12の軸方向に対しては、少なくともチップ端Tpからバット端Bt側に300mmとなる位置とバット端Btとの間に延在して設けられればよく、それより長く延在して設けられてもよい。すなわち、シャフト12の周方向の上記の1/4の部分であって、軸方向の全体に高曲げ剛性部34が設けられてもよい。
[実施例]
図3Aに示すプリプレグシートS1~S12を用いた上記の製造方法により、実施例に係る硬化積層体を得た。この硬化積層体について、軸方向の全長(mm)と、重量(g)と、スイング方向の振動数X(cpm)と、前後方向の振動数Y(cpm)と、トルク(°)とを測定した。その結果を図5に示す。
なお、振動数X、Yは、以下のようにして測定した硬化積層体の固有振動数である。すなわち、先ず、硬化積層体のチップ端Tp側の端部にヘッド14に相当する質量の重りを取り付けた。次に、硬化積層体のバット端Bt側の端部から50.8mmの位置をバット端Bt側の端部とした第1固定具(不図示)と、バット端Bt側の端部から177.8mmの位置をチップ端Tp側の端部とした第2固定具(不図示)とで硬化積層体を固定した。この状態で、スイング方向に硬化積層体を振動させることで振動数Xを求めることができる。また、前後方向に硬化積層体を振動させることで、振動数Yを求めることができる。
トルクは、硬化積層体のチップ端Tp側の端部とバット端Bt側の端部とをそれぞれチャックでクランプし、各チャックを介して硬化積層体にねじりトルク(1.36N・m)を加えたときのねじれ角である。
図5から、実施例の硬化積層体では、スイング方向の振動数Xに比して、前後方向の振動数Yの方が大きい。このことから、実施例の硬化積層体では、前後方向のしなりが、スイング方向のしなりよりも小さくなっていることが分かった。
次いで、実施例の硬化積層体について、そのチップ端Tp側の端部を切断して、実施例のシャフト12を作製した。このシャフト12について、プリプレグシートS8が配置された全周の1/4の部分と、残余の3/4の部分(以下、単に「1/4部分」、「3/4部分」ともいう)との曲げ剛性(N・m)をチップ端Tpからバット端Bt側への距離(mm)ごとにそれぞれ測定した。その結果を図6に示す。
具体的には、シャフト12を水平にし、曲げ剛性を測定する測定点からチップ端Tp側に距離(L/2)離れた点と、バット端Bt側に距離(L/2)離れた点とをそれぞれ支持する。このように2点で支持したシャフト12の測定点に上方から圧子を当接させて荷重(P)を加えたときのたわみ量(δ)を測定する。これによって、曲げ剛性=(L/48)×(P/δ)の計算式から、測定点の曲げ剛性を求める事が可能となる。また、支持位置をずらすことによって、シャフト12の軸方向の曲げ剛性を連続的に算出することが可能となる。
シャフト12の1/4部分の曲げ剛性を算出する場合には、該1/4部分の周方向の中心位置に圧子を当接させる。シャフト12の3/4部分の曲げ剛性を算出する場合には、シャフト12の1/4部分の周方向の中心位置から周方向の一方側に中心角が90°となる円弧の長さ分ずれた位置に圧子を当接させる。
図6から、シャフト12の1/4部分では、軸方向において、チップ端Tpからバット端Bt側に向かって300mmとなる位置とバット端Btの間に亘って、3/4部分よりも曲げ剛性が4%以上大きいことが確認された。なお、チップ端Tpからバット端Bt側に300mmとなる位置の1/4部分の曲げ剛性は20.6N・mであり、3/4部分の曲げ剛性である19.7N・mであった。
従って、実施例のシャフト12では、チップ端Tpからバット端Bt側に向かって300mm以下となる位置とバット端Btとの間に亘って高曲げ剛性部34が設けられていることが確認された。
次いで、実施例のシャフト12のチップ端Tp側にヘッド14を取り付けるとともに、バット端Bt側にグリップ16を取り付けて実施例のゴルフクラブ10を作製した。
[比較例]
比較のため、プリプレグシートS1~S12のうち、プリプレグシートS8を設けずに、比較例に係る硬化積層体を作製した。比較例の硬化積層体は、プリプレグシートS8を含まないことを除いては、実施例の硬化積層体と同様にして作製した。すなわち、比較例の硬化積層体は、繊維強化樹脂層F8を備えず、周方向の全体において略同じ曲げ剛性となっている。比較例の硬化積層体についても、実施例の硬化積層体と同様にして、軸方向の全長(mm)と、重量(g)と、振動数X、Y(cpm)と、トルク(°)とを測定した。その結果を図5に併せて示す。
図5から、比較例の硬化積層体の振動数X、Yは、互いに同じ大きさであった。このことから、比較例の硬化積層体では、スイング方向のしなりと同程度に前後方向のしなりが生じていることが分かった。
次いで、実施例のゴルフクラブ10と同様にして、比較例の硬化積層体から比較例に係るゴルフクラブ(不図示)を作製した。
[打球テスト]
実施例のゴルフクラブ10及び比較例のゴルフクラブについて、互いに同じ条件となるようにロボット装置により右利きのプレーヤーを想定した打球テストを行って、ボールの初速(m/s)と、打出し角(°)と、打出し方向(°)と、バックスピン量(rpm)と、飛距離(yard)と、左右方向のばらつき(yard)とをそれぞれ測定した。その結果を図7に示す。なお、図7に示す結果は、10回の打球テストを行って得られた測定結果の平均値である。
図7から、実施例のゴルフクラブ10では、比較例のゴルフクラブに比して、目標方向に対する打出し方向のずれが少なくなり、これによって、左右方向のばらつきが少なくなるようにボールを飛ばせることが分かった。また、実施例のゴルフクラブ10では、比較例のゴルフクラブに比して、打出し角及びバックスピン量が小さいことから、打球時のヘッド14のトゥダウンが抑制されており、結果として飛距離を伸ばすことができることが分かった。
以上から、実施例のゴルフクラブ10では、シャフト12に対して上記のように高曲げ剛性部34と他部位36を配置して、シャフト12の周方向の曲げ剛性分布を調整することで、周方向の曲げ剛性を略同じとした比較例のゴルフクラブに比して、スイング時に、スイング方向以外の方向にしなりが生じることを抑制できた。また、トゥダウンが生じることを抑制できた。これらによって、スライス飛球を効果的に防止することができ、しかも、打球スポットがずれることによるミスショットを減らすことができた。
10…ゴルフクラブ 12…シャフト
14…ヘッド 30…トゥ
32…ヒール 34…高曲げ剛性部
36…他部位 38…欠け部位
Bt…バット端 F…繊維強化樹脂層
Sb…後端部 Tp…チップ端

Claims (3)

  1. 繊維強化樹脂層からなりチップ端及びバット端を有するシャフトと、該シャフトの前記チップ端側に取り付けられたヘッドとを備えるゴルフクラブであって、
    前記シャフトは、該シャフトの他部位よりも曲げ剛性が4%以上大きい高曲げ剛性部を有し、
    前記高曲げ剛性部は、前記シャフトの軸方向に対しては、前記チップ端から前記バット端側に向かって300mm以下となる位置と前記バット端との間に亘って設けられ、且つ前記シャフトの周方向に対しては、前記ヘッドのトゥを前方に向けるとともにヒールを後方に向けたときの前記シャフトの周方向上の後端部を中心として該周方向の両側に延在することで、前記シャフトの全周の1/4となる部分に配置され、
    前記シャフトの全周の残余の3/4の部分に前記他部位が配置される、ゴルフクラブ。
  2. 請求項1記載のゴルフクラブにおいて、
    前記高曲げ剛性部が配置される前記シャフトの全周の1/4の部分は、強化繊維が前記シャフトの軸方向に沿って配向したストレート層からなる前記繊維強化樹脂層を、前記シャフトの全周の残余の3/4の部分よりも少なくとも1層多く含む、ゴルフクラブ。
  3. 請求項1又は2記載のゴルフクラブにおいて、
    前記シャフトは、前記高曲げ剛性部を形成する部分の最外層の前記繊維強化樹脂層に欠け部位が設けられている、ゴルフクラブ。
JP2019026182A 2019-02-18 2019-02-18 ゴルフクラブ Active JP7038678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019026182A JP7038678B2 (ja) 2019-02-18 2019-02-18 ゴルフクラブ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019026182A JP7038678B2 (ja) 2019-02-18 2019-02-18 ゴルフクラブ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020130489A JP2020130489A (ja) 2020-08-31
JP7038678B2 true JP7038678B2 (ja) 2022-03-18

Family

ID=72261858

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019026182A Active JP7038678B2 (ja) 2019-02-18 2019-02-18 ゴルフクラブ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7038678B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003117034A (ja) 2001-10-11 2003-04-22 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフクラブシャフト
JP2018038463A (ja) 2016-09-05 2018-03-15 美津濃株式会社 中空筒体、曲げ部を有する筒状成形体、及び曲げ部を有する筒状成形体の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3224006B2 (ja) * 1994-12-29 2001-10-29 ダイワ精工株式会社 管状体とその製造方法
JP4055835B2 (ja) * 1997-06-26 2008-03-05 横浜ゴム株式会社 ゴルフクラブの分類方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003117034A (ja) 2001-10-11 2003-04-22 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフクラブシャフト
JP2018038463A (ja) 2016-09-05 2018-03-15 美津濃株式会社 中空筒体、曲げ部を有する筒状成形体、及び曲げ部を有する筒状成形体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020130489A (ja) 2020-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5261011B2 (ja) ゴルフクラブ用シャフト
US8882607B2 (en) Golf club
US8936516B2 (en) Golf club shaft
US8858355B2 (en) Golf club
US9220952B2 (en) Golf club
US9079075B2 (en) Golf club
US20130231201A1 (en) Golf club shaft
JP2013081702A (ja) ゴルフクラブシャフト
US10420995B2 (en) Golf club shaft
US9463362B2 (en) Golf club and shaft
JP7038678B2 (ja) ゴルフクラブ
JP6737051B2 (ja) ゴルフクラブシャフト
US20130143689A1 (en) Golf club shaft and golf club
JP6303161B2 (ja) ゴルフクラブ用シャフト
US10143901B2 (en) Golf club shaft
JP5190548B1 (ja) ゴルフクラブシャフト
JP7438927B2 (ja) ゴルフクラブ用シャフト及びこれを備えるゴルフクラブ
KR102606404B1 (ko) 아이언 골프 클럽
JP6715752B2 (ja) ゴルフクラブ用シャフト
JP5244255B2 (ja) ゴルフクラブシャフト及びゴルフクラブ
JP6936142B2 (ja) パタークラブ
JP2007252574A (ja) ゴルフクラブ用シャフト
JP3592170B2 (ja) ゴルフクラブ
JP2020146139A (ja) ゴルフクラブ用シャフト
JP5244254B2 (ja) ゴルフクラブシャフト及びゴルフクラブ

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20190312

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220308

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7038678

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150