以下、本発明に係る車両用表示装置を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。
図1は、本実施形態における車両用表示装置が搭載された車両の例を示す図である。図1は、車両VEを後方側から見る図であり、図1に示すように本実施形態の車両VEは、車両用表示装置の一形態である標識灯1を備える。従って、車両用表示装置は車両VEの背面における左右方向のそれぞれに1つずつ設けられている。標識灯1は、テールランプ11と、リアターンランプ12と、ストップランプ13と、バックランプ14とを有する。本実施形態では、テールランプ11及びリアターンランプ12が、面発光型の表示パネルから構成され、ストップランプ13およびバックランプ14が、複数のLEDが配列されて構成される。ただし、上記ランプのうちの少なくとも一つが、面発光型の表示パネルから構成される限り、面発光型の表示パネルから構成されるランプは上記の組み合わせに限らず、例えば、全てのランプが面発光型の表示パネルから構成されても良い。
図2は、図1に示す標識灯1のII-II線での断面図である。図2に示すように、標識灯1は、筐体20を備える。筐体20は、アウターカバー21及びランプボディ22を有する。アウターカバー21及びランプボディ22は、例えば、互いに種類の異なる樹脂から構成されており、アウターカバー21は光透過性の材料から構成される。アウターカバー21とランプボディ22とは、融着やねじ止め等により互いに固定されており、互いに固定されたアウターカバー21とランプボディ22との間に内部空間が形成される。
テールランプ11及びリアターンランプ12は、筐体20の内部空間に配置されている。具体的には、テールランプ11及びリアターンランプ12は、筐体20の内部空間側からアウターカバー21に貼着されている。テールランプ11及びリアターンランプ12がアウターカバー21に貼着されるために、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)やOCR(Optical Clear Resin)が、テールランプ11及びリアターンランプ12とアウターカバー21との間に介在しても良い。こうして、アウターカバー21とテールランプ11とが一体とされ、アウターカバー21とリアターンランプ12とが一体とされている。なお、特に図示しないが、ストップランプ13及びバックランプ14も筐体20の内部空間に配置されている。
上記のように、本実施形態では、テールランプ11及びリアターンランプ12が、それぞれ面発光型の表示パネルから構成される。図3は、テールランプ11、リアターンランプ12を構成するそれぞれの表示パネルの背面図である。図3に示すように、本実施形態の表示パネル30は、基板31、表示部32、陽極33、及び陰極34を主な構成として備える。本実施形態では、表示パネル30は、基板31側から光を照射する構成とされる。なお、本実施形態の表示パネル30は、有機ELパネルとされる。この表示パネル30がテールランプ11を構成する場合には表示パネル30の表示部32は赤色に点灯し、表示パネル30がリアターンランプ12を構成する場合には表示パネル30の表示部32は橙色に点灯する。なお、表示パネル30がストップランプ13を構成する場合には表示パネル30の表示部32は赤色に点灯し、表示パネル30がバックランプ14を構成する場合には表示パネル30の表示部32は白色に点灯する。つまり、表示部32は、車両VEの外に向けて表示を行う。
図4は、図3に示す表示パネル30の表示部32を含む領域での断面図である。上記のように、本実施形態では、表示パネル30は基板31側から光Lを照射する構成とされるため、図3、図4に示すように、基板31は、光透過性とされ、ガラスや樹脂等から成る。基板31として、例えば、樹脂基板上にガラス基板が配置される積層基板が用いられても良い。
陽極33は、基板31上に配置されており、本実施形態では、表示部32が形成される領域を含み、当該領域からはみ出すように基板31上に形成されている。上記のように、本実施形態の表示パネル30は、基板31側から光Lを照射する構成とされ、基板31上に陽極33が配置されるため、いわゆるボトムエミッション型の有機ELパネルとされる。従って、本実施形態の陽極33は、光透過性の電極とされる。陽極33は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)や、酸化亜鉛等から成る。
陽極33の表示部32が形成される領域には、発光素子層35が配置されている。上記のように本実施形態では、表示パネル30が有機ELパネルであるため、上記発光素子層35は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層等を含む有機EL素子層から成る。この場合、陽極33側に正孔輸送層が形成される。上記のように表示パネル30がテールランプ11を構成する場合には発光素子層35は赤色に発光可能な材料から構成され、表示パネル30がリアターンランプ12を構成する場合には発光素子層35は橙色に発光可能な材料から構成される。なお、表示パネル30がストップランプ13を構成する場合には発光素子層35は赤色に発光可能な材料から構成される。また、表示パネル30がバックランプ14を構成する場合には、発光素子層35は、特に図示しないが、例えば、青色に発光可能な材料から構成され、青色の光を吸収して赤色や緑色を発光するカラーフィルターが陽極33上に設けられ、これらの色が合成されることで表示部32が白色に発光する。或いは、発光素子層35は、赤色、緑色、青色に光るそれぞれの材料が積層されて、それぞれの層から出射するそれぞれの色の光が合成されることで、カラーフィルターが設けられずに、白色に発光しても良い。また、本実施形態では、表示部32がマトリックス型ディスプレイではなく、発光素子層35が単一の素子から形成されている。従って、表示部32の全体が点灯するか、表示部32の全体が消灯するかのいずれかとされる。なお、表示部32が点灯する場合には、その明るさが調整される。
また、発光素子層35上には、陰極34が配置される。この陰極34は、表示部32が形成される領域、及び、当該領域からはみ出すように配置されており、表示部32が形成される領域からはみ出す陰極34は、図3に示すように、陽極33と離間して基板31上に配置されている。陰極34は、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウム合金等の金属膜から成る。
つまり、表示部32が形成される領域では、陽極33と陰極34との間に発光素子層35が配置され、陽極33と発光素子層35と陰極34とで表示部32が形成されている。陰極34上には、封止基板36が配置されている。この封止基板36は、発光素子層35が外気に触れることを防止する基板であり、金属、ガラス、樹脂等から形成されている。なお、図3では、図が煩雑になることを抑制するために、封止基板36の記載が省略されている。
ただし、上記説明と異なり、表示部32は、光透過性の陰極34が基板31上に配置され、当該陰極34上に発光素子層35が配置され、発光素子層35上に陽極33が配置されても良い。すなわち、表示パネル30は、いわゆるトップエミッション型の有機ELパネルであっても良い。
このように表示パネル30は、発光素子層35が陽極33と陰極34とに挟まれて成る表示部32を含み、さらに、基板31の表示部32の周囲に位置する領域である非発光部37とを含む。非発光部37は、陽極33のうち表示部32からはみ出る領域、及び陰極34のうち表示部32からはみ出る領域、基板31上に他の層が配置されない領域を含む。この表示パネル30の非発光部37は表示部32の周囲に位置し、本実施形態では、非発光部37は表示部32を囲んでいる。
上記のようにテールランプ11及びリアターンランプ12は、アウターカバー21に貼着され、テールランプ11及びリアターンランプ12とアウターカバー21とが一体とされている。従って、テールランプ11を構成する表示パネル30およびリアターンランプ12を構成する表示パネル30は、それぞれアウターカバー21に貼着されてアウターカバー21と一体とされる。なお。上記のように本実施形態の表示パネル30は、基板31側から光を照射するため、表示パネル30は、基板31における表示部32側と反対側の面がアウターカバー21と対向して、アウターカバー21に貼着される。
また、基板31上における表示部32、陽極33、陰極34を囲う領域には、ヒータ40が配置されている。本実施形態では、ヒータ40は、基板31における表示部32が配置される側の面上において、表示部32を囲って配置される。ヒータ40は、抵抗型のヒータとされ、例えば、カーボンペーストや、鉄-クロム-アルミニウム合金膜や、ニッケル-クロム合金膜や、ITO等から成る。つまり、ヒータ40は、表示パネル30における非発光部37上に配置されて、非発光部37と一体とされている。上記のように表示パネル30がアウターカバー21と一体とされるため、ヒータ40が表示パネル30の非発光部37と一体とされることで、表示パネル30及びヒータ40は、アウターカバー21よりも車両VEの内側に配置され、互いに重なり一体とされる。なお、ヒータ40がITOから成る場合、ヒータ40が光透過性となる。本実施形態では、上記のように基板31が光透過性であるため、ヒータ40が光透過性であることにより、基板31上に配置されたヒータ40が車両VEの外側から目立たなくなるため好ましい。
このようにヒータ40が配置されることで、本実施形態では、図3に示すように、表示部32とヒータ40とが重ならず、さらに、表示部32を平面視する場合に、ヒータ40と表示部32との間に隙間SPが形成される。この隙間SPは、例えば、1mm以上5mm以下とされる。また、本実施形態では、上記のように表示部32を平面視する場合に、ヒータ40と陽極33及び陰極34との間にも隙間が形成されている。この隙間は、例えば、0.1mmから2mmとされることが、ヒータ40と陽極33及び陰極34との短絡を抑制する観点から好ましい。
また、陽極33の一部、陰極34の一部、ヒータ40の一部と重なって、配線基板60が配置されている。配線基板60は、例えば、フレキシブルプリント配線基板から成り、不図示の複数の配線を有している。この複数の配線が、陽極33、陰極34、及びヒータ40と接続されている。
また、配線基板60における表示パネル30と重なる位置に、温度センサ50が配置されている。従って、本実施形態では、温度センサ50は、配線基板60を介して、表示パネル30の温度を検知している。温度センサ50も配線基板60の配線と接続されている。なお、上記のように標識灯1では、アウターカバー21、表示パネル30の非発光部37、及びヒータ40が互いに重なり一体とされている。このため、アウターカバー21、表示パネル30の非発光部37、及びヒータ40は概ね同じ温度となり、温度センサ50は、上記のように表示パネル30の温度を検知すると共に、アウターカバー21及びヒータ40の温度を検知していると理解することができる。
図5は、本実施形態の標識灯1を含む車両用表示システムを示すブロック図である。図5に示すように、車両用表示システムは、車両用表示装置である標識灯1と、制御回路100とを含む。制御回路100は、点灯回路130と、ヒータ駆動回路140とを含む。
点灯回路130は、車両VEからの信号に基づいて、表示パネル30の表示部32に電流を印加、すなわち陽極33と陰極34との間に電流を印加する。従って、テールランプ11が点灯する場合、点灯回路130は、テールランプ11を構成する表示パネル30の陽極33から陰極34に電流を印加する。また、リアターンランプ12が点灯する場合、点灯回路130は、リアターンランプ12を構成する表示パネル30の陽極33から陰極34に電流を印加する。なお、点灯回路130は、ストップランプ13も点灯させる。ストップランプ13が、表示パネル30から構成される場合、点灯回路130は、ストップランプ13を構成する表示パネル30の陽極33から陰極34に電流を印加する。また、点灯回路130は、バックランプ14も点灯させる。バックランプ14が、表示パネル30から構成される場合、点灯回路130は、バックランプ14を構成する表示パネル30の陽極33から陰極34に電流を印加する。
また、点灯回路130は、表示部32に電流を印加する電流値を調整することで、表示部32の明るさを制御する。例えば、ブレーキ動作時に、ストップランプ13が点灯すると共に、テールランプ11がストップランプの一部として点灯する場合、テールランプ11を構成する表示パネル30がテールランプとして点灯する際に点灯回路130が当該表示パネル30の表示部32に印加する電流値よりも、この表示パネル30がストップランプとして点灯する際に点灯回路130が当該表示パネル30の表示部32に印加する電流値の方が大きくされる。このため、表示パネル30がテールランプとして点灯するときよりも、表示パネル30がストップランプとして点灯するときの方が、当該表示パネル30の表示部32は明るく光る。
ヒータ駆動回路140は、所定の条件においてヒータ40に電圧を印加する。本実施形態では、車両VEからヒータ40がオンにされる信号が制御回路100に入力すると、ヒータ駆動回路140は、ヒータ40に電圧を印加する。なお、本実施形態では、図5に示す通り、点灯回路130とヒータ駆動回路140とが接続されており、点灯回路130を介して車両VEからの信号がヒータ駆動回路140に入力する。ただし、図5と異なり、車両VEからヒータ40がオンにされる信号が、点灯回路130を介さずに、ヒータ駆動回路140に直接入力してもよい。
また、本実施形態では、ヒータ駆動回路140は、制御部を含んでおり、所定の温度条件でヒータ40に電圧を印加する。具体的には、温度センサ50が検知する温度が所定の温度以下の場合にヒータ40に電圧を印加する。この所定の温度は、例えば、表示部32の発光素子層35の耐熱温度の上限とされる。例えば、有機EL素子は、高温の環境下では劣化し易いことが知られている。従って、本実施形態のように表示部32の発光素子層35が有機EL素子層であり、有機EL素子層を構成する有機EL素子の耐熱温度が80度である場合、上記所定の温度は80度より低い温度とされる。ただし、常温である25度より高温の環境下では、アウターカバー21に着雪することはなく、また、曇りも発生しづらい。一方、アウターカバー21への着雪の抑制のためには、アウターカバー21の温度が0度以上であることが好ましい。従って、上記の所定の温度は、例えば、0度以上25度以下のいずれかの温度とされる。この場合、0度以上25度以下における所定の温度以下でヒータ40は発熱する。また、ヒータ駆動回路140は、温度センサ50が検知する温度が低いほどヒータ40に印加する電圧を高くしても良く、この場合、ヒータ駆動回路140は温度センサ50が検知する温度が所定の温度範囲に入るようにヒータ40に電圧を印加してもよい。
なお、ヒータ駆動回路140は、例えば、車両VEからのヒータ40がオンにされる信号の有無に関わらず、上記所定の温度条件が満たされる場合にヒータ40に電圧を印加してもよい。また、ヒータ駆動回路140は、常にヒータ40に電圧を印加してもよい。ただし、ヒータ40に使用する電力を抑える観点から、ヒータ駆動回路140は、上記所定の温度条件が満たされる場合にヒータ40に電圧を印加することが好ましく、車両VEの乗員の利便性の観点から、ヒータ駆動回路140は、車両VEからヒータ40がオンにされる信号が入力される場合にヒータ40に電圧を印加することが好ましい。
また、図5のように、点灯回路130とヒータ駆動回路140とが接続される場合、例えば、温度センサ50が検知する温度の情報が、ヒータ駆動回路140を介して点灯回路130に入力し、点灯回路130は、温度センサ50が検知する温度に応じて表示部32に印加する電流値を調整することとしても良い。例えば本実施形態のように表示パネル30が有機ELパネルである場合、着雪が生じ得る温度よりも高い温度である常温の方が当該パネルは効率良く発光することが知られている。従って、点灯回路130は、例えば、常温において表示部32に印加する電流よりも、常温よりも低い温度おいて表示部32に印加する電流を高くしても良い。この場合、点灯回路130が温度によらず表示部32に印加する電流を一定の値とする場合と比べて、常温における表示部32の明るさと、常温よりも低い温度における表示部32の明るさとの差が、抑制され得る。なお、温度センサ50が検知する温度の情報が、点灯回路130に入力する場合、上記と異なり、ヒータ駆動回路140を介さず、温度センサ50が検知する温度の情報が直接点灯回路130に入力してもよい。
次に、図5に示す車両用表示システムおよび車両用表示システムに含まれる車両用表示装置である標識灯1の動作について説明する。
車両VEにおいて所定の動作が行われると、車両VEのECU(Electronic Control Unit)等は、制御回路100に点灯信号等の所定の信号SIを入力する。具体的には、車両VEにてテールランプ11を点灯させる操作がなされ、当該操作を示す所定の信号SIが制御回路100に入力すると、点灯回路130は、テールランプ11を構成する表示パネル30の表示部32に電流を印加する。すると、テールランプ11の表示部32が赤色に点灯する。また、車両VEにて、方向指示機の操作がなされ、当該操作を示す所定の信号SIが制御回路100に入力すると、点灯回路130は、方向指示機が指示した側の標識灯1におけるリアターンランプ12を構成する表示パネル30の表示部32に電流を印加する。ただし、点灯回路130は、リアターンランプ12が点滅する間隔毎にリアターンランプ12の表示部32に電流を印加する。すると、リアターンランプ12の表示部32が点灯と消灯とを繰り返し、リアターンランプ12は橙色に点滅する。また、車両VEにてブレーキ動作がなされ、当該動作を示す所定の信号SIが制御回路100に入力すると、点灯回路130は、ストップランプ13を点灯させる。なお、ストップランプ13が表示パネル30から構成される場合、ブレーキ動作を示す所定の信号SIが制御回路100に入力すると、点灯回路130は、ストップランプ13を構成する表示パネル30の表示部32に電流を印加し、ストップランプ13の表示部32が赤色に点灯する。また、上記のようにテールランプ11がストップランプの一部を兼ねている場合、ブレーキ動作を示す所定の信号SIが制御回路100に入力すると、点灯回路130は、ストップランプ13を点灯させると共にテールランプ11を所定の輝度で点灯させる。この所定の輝度は、テールランプ11がテールランプとして点灯する場合の輝度よりも高い輝度である。つまり、点灯回路130は、テールランプ11がストップランプの一部として点灯する場合、テールランプ11がテールランプとして点灯する場合よりも、テールランプ11を構成する表示パネル30の表示部32に大きな電流を印加する。従って、テールランプ11が点灯している状態でブレーキ動作がなされると、ストップランプの一部を兼ねているテールランプ11はより高い輝度で点灯する。また、車両VEにてバック動作がなされ、当該動作を示す所定の信号SIが制御回路100に入力すると、点灯回路130は、バックランプ14を点灯させる。なお、バックランプ14が表示パネル30から構成される場合、バック動作を示す所定の信号SIが制御回路100に入力すると、点灯回路130は、バックランプ14を構成する表示パネル30の表示部32に電流を印加し、バックランプ14の表示部32が白色に点灯する。
また、車両VEからヒータ40がオンにされる信号が入力される場合、ヒータ駆動回路140は、温度センサ50が検知する温度に基づいて、上記の所定の温度条件でヒータ40に電圧を印加する。例えば、所定の温度が0度以上25度以下のいずれかの温度である場合、ヒータ駆動回路140は、車両VEからヒータ40がオンにされる信号が入力されると、温度センサ50が検知する温度が、この所定の温度以下の場合にヒータ40に電圧を印加する。ヒータ40は、ヒータ駆動回路140から電圧が印加されると、自身の抵抗により発熱する。つまり、温度センサ50が検知する温度が所定の温度より高い場合にはヒータ40が発熱しないため、ヒータ40は、温度センサ50が検知する温度が所定の温度以下となるように発熱する。ところで、上記のようにアウターカバー21、表示パネル30、及びヒータ40は互いに重なり一体とされている。従って、ヒータ40が発熱すると、この熱は、表示パネル30及びアウターカバー21に伝導する。このため、アウターカバー21が加熱され、アウターカバー21への着雪や曇りが抑制される。
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置の一形態である標識灯1は、表示パネル30及び抵抗型のヒータ40がアウターカバー21よりも車両VEの内側に配置され、アウターカバー21、表示パネル30における表示部32の周囲に位置する非発光部37、及びヒータ40が互いに重なり一体とされる。このような標識灯1によれば、上記のように、抵抗型のヒータが発熱することで、着雪や曇りを抑制できる。また、ヒータ40は、表示パネル30の表示部32の周囲に位置する非発光部37と重なり、表示パネル30と一体とされるため、表示部32を周囲から加熱することができる。有機ELは、一般的に、着雪や曇りが生じる冬の外気温よりも25度程度の常温の方が効率良く発光することが知られている。そのため、アウターカバー21に着雪等が生じるような気温で、上記のように表示部32が周囲から加熱されることで、表示部32が効率良く発光し得る。従って、本実施形態の標識灯1は、効率良く視認性の低下を抑制し得る。
また、本実施形態の標識灯1では、温度センサ50が、表示パネル30、及びヒータ40の少なくとも一つの温度を検知し、ヒータ40は、温度センサ50が検知する温度が所定の温度以下となるように発熱する。従って、アウターカバー21及び表示パネル30が不要に高い温度に加熱されることを抑制でき、より効率良く視認性の低下を抑制し得る。また、上記のように表示パネル30が有機ELパネルであれば、表示部32は、常温よりも高い所定の温度に対する耐性が低い場合があるが、上記のように表示パネル30が不要に高い温度に加熱されることが抑制されることで、表示パネル30の長寿命化が期待される。
また、本実施形態の標識灯1では、表示部32とヒータ40とが重ならない。従って、ヒータ40が高温になる場合であっても、ヒータ40と表示部32とが重なって一体とされる場合と比べて、ヒータ40からの熱により表示部32が劣化することを抑制することができる。
また、本実施形態では、表示部32を平面視する方向から見る場合に、ヒータ40と表示部32との間に隙間SPが形成されている。この隙間SPにより、ヒータ40が高温になる場合であっても、表示部32におけるヒータ40に近い領域がヒータ40からの熱で加熱され過ぎることを抑制できる。従って、表示部32が高温に弱い場合において、ヒータ40と表示部32との間に隙間ない場合と比べて、熱による表示部32の劣化を抑制することができる。
また、本実施形態では、ヒータ40は表示部32の周囲を囲んでいる。ヒータ40が表示部32の周囲を囲むことで、ヒータ40から発せられる熱が、ヒータ40が表示部32の周囲における一部にのみ配置される場合と比べて、アウターカバー21の表示部32と重なる領域に付着した雪や曇りを効率良く除去し得る。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図6は、本実施形態の標識灯に用いられる表示パネルを図3と同様の視点で示す図である。本実施形態の標識灯1は、表示パネル30の陽極33の一部とヒータ40とが重なる点において、第1実施形態の標識灯1と異なる。ヒータ40が重なる上記陽極の一部は、表示部32からはみ出ている部分であり、配線の一部と理解することができる。従って、本実施形態では、ヒータ40と表示パネル30の非発光部37に位置する配線とが重なっている。なお、本実施形態ではヒータ40と陽極33との間に不図示の絶縁層が設けられており、ヒータ40と陽極33との短絡が防止されている。
なお、本実施形態においても、表示部32とヒータ40との間に隙間SPが形成されている。
本実施形態の標識灯1によれば、ヒータ40と表示パネル30の非発光部37に位置する配線とが重なることで、配線への結露を抑制でき、短絡等の不具合を抑制し得る。
なお、本実施形態では、陽極33の一部とヒータ40とが重なる形態を例に説明したが、陰極34の一部とヒータ40とが重なっても良く、陽極33の一部及び陰極34の一部とヒータ40とが重なっても良い。これらの場合であっても、ヒータ40と陽極33との間、ヒータ40と陰極34との間には絶縁層が設けられる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図7は、本実施形態の標識灯に用いられる表示パネルを図3と同様の視点で示す図である。本実施形態の標識灯1は、ヒータ40が表示パネル30の表示部32と重なる点において、第1実施形態の標識灯1と異なる。具体的には、本実施形態のヒータ40は、表示部32の基板31側と反対側において、表示部32と重なる。上記のように、本実施形態の表示パネル30は、基板31側から光を出射するため、ヒータ40は、表示パネル30の光の出射側の面と反対側において表示部32と重なる。なお、図4を用いて説明したように、表示部32には封止基板36が配置されている。したがって、ヒータ40は、この封止基板36の陰極34側と反対側の面に配置されて、表示部32と重なっている。なお、封止基板36が導電性である場合、封止基板36とヒータ40との間に絶縁層等が配置される。ところで、表示パネル30は、基板31がアウターカバー21側を向き、アウターカバー21の内側に配置されるため、本実施形態におけるヒータ40の表示部32と重なる部位は、表示部32よりも車両VEの内側に配置されることになる。従って、ヒータ40は、表示部32から出射する光がアウターカバー21を透過するように、表示部32と重って配置されている。
本実施形態の標識灯1によれば、表示部32とヒータ40とが重なることで、アウターカバー21の表示部32と重なる領域における着雪や曇りを効率良く除去し得る。
また、本実施形態では、上記のように、ヒータ40の表示部32と重なる部位が表示部32よりも車両VEの内側に配置されるため、アウターカバー21よりも車両VEの内側に配置される表示パネル30の表示部32が車両VEの外に向けて表示を行う際に、ヒータ40による表示部32の視認性の低下が抑制される。従って、本実施形態の標識灯1によれば、アウターカバー21の表示部32と重なる領域における着雪や曇りが効率良く除去されつつも、表示部32の視認性の低下が抑制され得る。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図8を参照して詳細に説明する。なお、第3実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図8は、本実施形態の標識灯に用いられる表示パネルを図3と同様の視点で示す図である。本実施形態の標識灯1は、ヒータ40が表示パネル30の表示部32と重なる点において、第3実施形態の標識灯1と同様である。しかし、本実施形態のヒータ40は、基板31における表示部32が配置される側と反対側の面に配置され、表示部32と重なる。上記のように、表示パネル30は、基板31がアウターカバー21側を向き、アウターカバー21の内側に配置されるため、本実施形態のヒータ40の表示部32と重なる部位は、表示パネル30とアウターカバー21との間に配置され、表示部32よりも車両VEの外側に位置する。上記のように、本実施形態の表示パネル30は基板31側から光を出射するため、本実施形態では、ヒータ40が表示パネル30の光の出射側に配置されて、表示部32と重なる。従って、本実施形態のヒータ40の少なくとも表示部32と重なる部位は光透過性とされる。このようなヒータ40は、例えばITOから形成される。なお、ヒータ40と配線基板60の配線とは、不図示の手段により接続されている。具体的には、例えば、基板31の配線基板60が配置される位置の一部に切欠きが形成されており、当該切欠きを介して、ヒータ40と配線基板60の配線とが接続される。
本実施形態の標識灯1によれば、ヒータ40が実施形態3のヒータ40よりもアウターカバー21に近い位置に配置されるため、アウターカバー21の表示部32と重なる領域における着雪や曇りを実施形態3の標識灯1よりも効率良く除去し得る。
なお、本実施形態では、ヒータ40の少なくとも表示部32と重なる部位は光透過性である旨の説明をしたが、ヒータ40の表示部32と重なる部位は、表示部32の視認性を阻害しない細さであれば光透過性でなくても良い。つまり、ヒータ40は、表示部32から出射する光がアウターカバー21を透過するように、表示部32と重なればよい。
また、本実施形態のように、ヒータ40が表示パネル30とアウターカバー21との間に配置され、ヒータ40と表示部32とが重ならない構成とされても良い。この場合、ヒータ40は、例えば、第1実施形態や第2実施形態と同様の外形とされ、表示パネル30とアウターカバー21との間に配置される。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図9、図10を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図9は、本実施形態における車両用表示装置が搭載された車両の例を示す図である。図9は、車両VEを前方側から見る図であり、図9に示すように本実施形態の車両VEは、車両用表示装置の一形態である車両用前照灯2を備える。従って、車両用表示装置は車両VEの全面における左右方向のそれぞれに1つずつ設けられている。
本実施形態の車両用前照灯2は、アウターカバー21を備え、アウターカバー21の領域21Lをロービーム及びハイビームが透過する。また、車両用前照灯2では、この領域21Lを囲むように表示パネル30が配置されている。具体的には、表示パネル30がアウターカバー21の内側からアウターカバー21に第1実施形態と同様に貼着され、アウターカバー21と表示パネル30とが一体とされている。
この表示パネル30は、ポジションランプ、フロントターンランプ、デイランニングランプ(DRL)等とされる。表示パネル30がポジションランプである場合には、表示パネル30は、例えば白色に点灯し、表示パネル30がフロントターンランプである場合には、表示パネル30は、例えば橙色に点滅し、表示パネル30がデイランニングランプである場合には、表示パネル30は、例えば白色に点灯する。
図10は、図9に示す表示パネル30を図3と同様の視点で示す背面図である。図10に示すように、本実施形態の表示パネル30は、外形が第1実施形態の表示パネル30と異なるが、他の構成は第1実施形態の表示パネルと同様の構成とされる。従って、表示パネル30の非発光部37及びヒータ40は、互いに重なり一体とされる。このようにヒータ40と一体とされた表示パネル30は、特に図示しないが、ロービームやハイビームとなる光を出射する光源ユニットが配置される車両用前照灯2の内部空間側から、車両用前照灯2のアウターカバー21に貼着されている。従って、本実施形態においても、表示パネル30及びヒータ40はアウターカバー21よりも車両VEの内側に配置され、車両用前照灯2のアウターカバー21、表示パネル30、及びヒータ40が互いに重なり一体とされている。
本実施形態では、第1実施形態の標識灯1と同様に、ヒータ40が発熱するよう制御されても良い。また、車両VEからヒータ40がオンにされる信号が入力されずとも、車両用前照灯2のロービームやハイビームが点灯されると、ヒータ40が発熱するよう制御されても良い。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様にして、表示部32が効率良く発光し得、効率良く表示部32の視認性の低下を抑制し得る。また、本実施形態によれば、ヒータ40の加熱により、領域21Lに付着した雪や曇りを除去し得る。従って、ロービームやハイビームを適切に配光し得る。
なお、本実施形態の表示パネル30及びヒータ40は、第2実施形態から第4実施形態と同様の構成とされて、外形が本実施形態と同様にされても良い。
また、実施形態の表示パネル30は、領域21Lに重なっても良い。ただし、この場合、表示パネル30は、光透過型の発光パネルとされる。例えば、表示パネル30が光透過型の有機ELパネルとされ、ヒータ40がITO等の光透過性の抵抗型発熱体とされる。
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明の車両用表示装置は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、表示パネル30は、マイクロLEDアレイパネルや、無機ELパネルとされても良い。これらの表示パネルは、有機ELパネルよりも耐熱性に優れるため、車両VEの環境適応性を向上し得る。
また、標識灯1において、ストップランプ13が設けられていなくても良い。ただし、この場合、テールランプ11がストップランプとしても機能する必要がある。
また、表示部32は、マトリックス型の表示部であっても良い。この場合、表示パネル30は、マトリックス型ディスプレイとなる。この場合、表示パネル30は、文字等のキャラクターを表示しても良い。つまり、本発明の車両用表示装置は、標識灯や車両用前照灯に限らず、例えば、車両から路面に描画を行う車両用描画装置等を含む。
また、上記実施形態では、温度センサ50が設けられたが、温度センサ50は必須の構成では無い。しかし、ヒータ40を効率良く加熱する観点から、温度センサ50が設けられることが好ましい。また、温度センサ50が、アウターカバー21、表示パネル30、及びヒータ40の少なくとも一つの温度を検知する限りにおいて、温度センサ50の配置位置は上記実施形態と異なっていても良い。