JP7037953B2 - 金属配線の製造方法、金属配線付構造体及び金属配線製造装置 - Google Patents

金属配線の製造方法、金属配線付構造体及び金属配線製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、金属配線の製造方法、金属配線付構造体及び金属配線製造装置に関する。
回路基板は、基板上に導電性の配線を施した構造を有する。回路基板の製造方法は、一般的に、次の通りである。まず、金属箔を貼り合せた基板上にフォトレジストを塗布する。次に、フォトレジストを露光及び現像して所望の回路パターンのネガ状の形状を得る。次に、フォトレジストに被覆されていない部分の金属箔をケミカルエッチングにより除去してパターンを形成する。これにより、高性能の導電性基板を製造することができる。
しかしながら、従来の方法は、工程数が多く、煩雑であると共に、フォトレジスト材料を要する等の欠点がある。
これに対し、金属微粒子及び金属酸化物微粒子からなる群から選択された微粒子を分散させた分散体(以下、「ペースト材料」ともいう)で基板上に所望の配線パターンを直接印刷する直接配線印刷技術が注目されている。この技術は、工程数が少なく、フォトレジスト材料を用いる必要がない等、極めて生産性が高い。
直接印刷配線技術の一例としては、ペースト材料を基板の全面に塗布し、ペースト材料にレーザ光をパターン状に照射して選択的に熱焼成することで、所望の配線パターンを得る方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献2には、波長830nmのGaAlAsレーザ光を照射して描画を行ったとき、酸化銅薄膜上でのビーム径は5μmであり、レーザ光被照射部は局部加熱されたことにより酸化銅が還元され、ほぼ5μm幅の還元銅からなる還元金属領域が形成されることが記載されている。
国際公開第2010/024385号 特開平5-37126号公報
上述のように、レーザ光照射により描画を行って形成される還元金属領域の幅はビーム径とほぼ等しく、狭い。このため、より大きい還元金属領域を形成するには、レーザ光を酸化銅薄膜に繰り返し走査してレーザが照射される領域を広げる必要がある。
レーザ光の走査には、例えば、ガルバノスキャナーが用いられ、1点のレーザ光を照射して、一筆書きのように移動させ、酸化銅薄膜の表面の、所望の大きさ及び形状の領域にレーザ光を照射する。
回路基板において金属配線は抵抗値が均一であることが求められる。酸化銅薄膜上でレーザ光を走査させるとき、レーザ光による加熱条件にばらつきがあると、金属配線の抵抗値にばらつきが生じる原因となる。特に、金属配線の形状が単純な線状又は正方形或いは長方形でない場合に、抵抗値のばらつきが生じやすいことがある。
また、一筆書きのようなレーザ光による加熱が不十分な場合、酸化銅の還元及び焼結が不足し、十分に低抵抗な金属配線を容易に得ることができないことがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、均一な抵抗値の金属配線を容易に得ることができる金属配線の製造方法、金属配線付構造体及び金属配線製造装置を提供することを目的の一つとする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の金属配線の製造方法の一態様は、金属粒子を含む表面に光線を繰り返し走査して前記金属粒子を焼結させ、金属配線を形成する工程を具備し、前記金属配線を構成する走査線の長さに応じて前記光線を走査する速度を異ならせ、前記速度を、走査周期が実質的に同一になるように設定することを特徴とする。
この構成により、金属配線の形状が複雑で走査線の長さが異なる場合に、光線を走査する速度が一定であること起因して、1回の走査による蓄熱量に地点によって差が生じるのを防ぎ、金属粒子が焼結する程度を均一にし、均一な抵抗値の金属配線を容易に得ることができる。
本発明によれば、均一な抵抗値の金属配線を容易に得ることができる金属配線の製造方法、金属配線付構造体及び金属配線製造装置を提供することができる。
本実施の形態に係る金属配線の製造方法における金属配線及び光線の走査の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る金属配線の製造方法における絶縁領域に含まれる酸化銅粒子とリン酸エステル塩との関係を示す模式図である。 本実施の形態に係る金属配線付構造体を示す断面模式図である。 本実施の形態に係る金属配線製造装置の一例を示す模式図である。 本実施の形態に係る金属配線製造方法における互いに重複した走査線を示す模式図である。 本実施の形態に係る金属配線製造装置の説明図である。 本実施の形態に係る集光制御部の説明図である。 本実施の形態に係る金属配線付支持体の製造方法の各工程を示す説明図である。 本発明の実施例1における導電性パターンの表面の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。
<概要>
本発明者は、金属配線の形状が複雑になり走査線の長さが異なる場合、光線を走査する速度が一定であることに起因して、1回の走査による蓄熱量に地点によって差が生じることに着目した。
図1は、本実施の形態に係る金属配線の製造方法における金属配線及び光線の走査の一例を示す模式図である。図1に示すように、大きさが異なる2つの長方形状の領域1a、1bを組み合わせたパターンを有する金属配線1を得ようとする場合、紙面において垂直方向をX軸(主走査方向)、水平方向をY軸(副走査方向)として、光線を走査させることにより、金属配線1の全体を光線で照射する。図1中において、実線Iは、1点の光線を照射した部分(以下、照射点という)が、被処理層(後述)の表面を移動したことにより、その表面に含まれる金属粒子が焼結された線状の領域を示す。この実線Iの、照射点がX軸方向に1回移動したのに相当する部分を走査線Iaと呼ぶ。金属配線1は、複数の走査線Iaが集まって構成される。
図1に示すような金属配線1のパターンでは、領域1aと領域1bとでは、走査線Iaの長さが異なる部分が生じる。すなわち、金属配線1のうち、X軸方向の長さが長い領域1aでの走査線Iaの長さL1と、X軸方向の長さが短い領域1bでの走査線Iaの長さL2とを対比すると、L1>L2の関係になる。
このようなときに、領域1aに属する1つの地点A、及び、領域1bに属する1つの地点Bの近傍を、1回の走査(走査線Ia1本分の走査)によって光線が通過した後、次の1回の走査によって地点A、Bの近傍に戻ってくるまでの間隔を、走査周期(F)という。光線を走査する速度(V)を一定とした場合、走査周期(F)は走査線Iaの長さ(L)に依存して変化する。したがって、地点A、Bでの走査周期(F)は異なる。この結果、地点Aよりも地点Bでの1回の走査により被処理層の表面に蓄熱される熱量が大きくなる。すなわち、地点Aで被処理層の表面に加わる熱量よりも地点Bで被処理層の表面に加わる熱量が大きくなる。この結果、次の1回の走査により被処理層の表面に光が照射されたとき、当該表面の加熱温度に地点Aと地点Bとで違いが生じる。したがって、地点Aと地点Bとでは、被処理層の表面において金属粒子が焼結する程度(以下、焼結度という)に違いが生じる。その結果、領域1aと領域1bとでは、金属配線1の抵抗値に違いが生じ、不均一になる。また、このような現象は、隣接する走査線を互いに重複させるようにして金属配線1を形成するときに顕著であることがわかった。この理由は、走査線を重複させない場合よりも、重複させるように走査した方が、蓄熱量が増えるため、金属配線1の抵抗値に違いが生じやすいと考えられる。
そこで、本発明者は、金属配線1(図1参照)を構成する走査線Iaの長さ(L)に応じて光線を走査する速度(V)を異ならせることにより、金属粒子の焼結度にばらつきが生じるのを抑制し、均一な抵抗値の金属配線1を容易に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本実施の形態に係る金属配線1の製造方法は、金属粒子を含む表面に光線を繰り返し走査して金属粒子を焼結させ、金属配線1を形成する工程を具備し、金属配線1を構成する走査線Iaの長さに応じて光線を走査する速度(V)を異ならせることを特徴とする。
また、本実施の形態に係る金属配線1の製造方法においては、光線を走査する速度(V)を、走査周期(F)が実質的に同一になるように設定することが好ましい。
また、隣接する走査線Iaを、互いに重複させるようにして金属配線1を形成することが好ましい。これにより、同じ出力の光源から射出された光線を用いて金属粒子の焼結度を高め、十分に低い抵抗値を有し、且つ、均一な金属配線を容易に得ることができる。
また、走査線Iaを、その幅方向において5%~99%重複させることが好ましい。
以下、本実施の形態に係る金属配線1の製造方法について、金属粒子を含む表面を、酸化銅粒子と、分散剤としてリン含有有機物とを含む分散体(酸化銅インク)から形成する場合を例に挙げて説明する。
図2は、本実施の形態に係る金属配線の製造方法における被処理層における酸化銅粒子とリン酸エステル塩との関係を示す模式図である。図2中の被処理層11とは、酸化銅粒子12及びリン含有有機物の一例であるリン酸エステル塩12を含む層であり、酸化銅インク層ともいう。図2中に示すように、被処理層11において、酸化銅粒子12の周囲には、リン酸エステル塩13が、リン13aを内側に、エステル塩13bを外側にそれぞれ向けて取り囲んでいる。リン酸エステル塩13は電気絶縁性を示すため、隣接する酸化銅粒子12との間の電気的導通は妨げられる。
したがって、酸化銅粒子12は半導体であり導電性であるが、電気絶縁性を示すリン酸エステル塩13で覆われているので、焼成処理(後述)前の被処理層11は、電気絶縁性を示し、断面視(図2中に示す上下方向に沿った断面)で、絶縁領域11の両側に隣接する金属配線(後述)の間の絶縁を確保することができる。
一方、金属配線1(図1参照)は、例えば、被処理層の表面の一部の領域に光照射し、当該一部の領域において、酸化銅を銅に還元する。このように酸化銅が還元された銅を還元銅という。また、当該一部の領域において、リン含有有機物は、リン酸化物に変性する。リン酸化物では、上述のエステル塩13b(図2参照)のような有機物は、光線の熱によって分解し、電気絶縁性を示さないようになる。
また、図2に示すように、酸化銅粒子12が用いられている場合、光線の熱によって、酸化銅が還元銅からなる銅粒子に変化すると共に焼結し、隣接する銅粒子同士が一体化する。これによって、優れた電気導電性を有する金属配線1(図1参照)を形成することができる。
金属配線1において、還元銅の中にリン元素が残存している。リン元素は、リン元素単体、リン酸化物及びリン含有有機物のうち少なくとも1つとして存在している。このように残存するリン元素は金属配線1中に偏析して存在しており、金属配線1の抵抗が大きくなる恐れはない。
<金属配線付構造体の構成>
図3は、本実施の形態に係る金属配線付構造体を示す断面模式図である。図3に示すように、金属配線付構造体20は、支持体21と、支持体21が構成する面上に、断面視において、酸化銅及びリン含有有機物を含む絶縁領域22と、銅粒子が焼結して形成された金属配線23と、が互いに隣接して配置された単一層24と、を具備することを特徴とする。絶縁領域22は、被処理層11(図2参照)のうち光線が照射されていない領域である。
<支持体>
支持体21は、単一層24を配置するための面を構成するものである。形状は、特に限定されない。
支持体21の材質は、絶縁領域22により離間された金属配線23の間での電気絶縁性を確保するため、絶縁材料であることが好ましい。ただし、支持体21の全体が絶縁材料であることは必ずしも必要がない。単一層24が配置される面を構成する部分だけが絶縁材料であれば足りる。
支持体21は、より具体的には、平板状体、フィルム又はシートであってもよい。板状体は、例えば、プリント基板等の回路基板に用いられる支持体(基材とも呼ばれる)である。フィルム又はシートは、例えば、フレキシブルプリント基板に用いられる、薄膜状の絶縁体であるベースフィルムである。
支持体21は、立体物であってもよい。立体物が構成する曲面又は段差等を含む面に単一層を配置することもできる。
立体物の一例としては、携帯電話端末、スマートフォン、スマートグラス、テレビ、パーソナルコンピュータ等の電気機器の筐体が挙げられる。また、立体物の他の例としては、自動車分野では、ダッシュボード、インストルメントパネル、ハンドル、シャーシ等が挙げられる。
<単一層>
本実施の形態では、単一層24は、絶縁領域22と金属配線23とが混在してなると言える。
単一層24において「単一」とは、層が多層構造でないこと、及び、層が断面視で連続していることを意味する。層が断面視で連続しているとは、例えば、プリント基板で見られるような、パターニングされた配線層の間をソルダーペーストで埋めて一層としているような状態を含まないことを意味している。
したがって、単一層24が単一であるとは、全体が均質であることを意味するものではなく、絶縁領域22と金属配線23との関係のように、電気導電性、粒子状態(焼成と未焼成)等に違いがあってもよいし、両者の間に境界(界面)が存在していてもよい。
<絶縁領域>
絶縁領域22は、酸化銅及びリン含有有機物を含み、電気絶縁性を示す。絶縁領域22は、光照射を受けていない未照射領域と言える。また、絶縁領域22は、光照射によって酸化銅が還元されていない未還元領域とも言える。また、絶縁領域22は、光照射によって焼成されていない未焼成領域とも言える。
<金属配線>
金属配線23は、銅を含み、電気導電性を示す。金属配線23は、レーザによる照射を受けた被照射領域と言える。また、金属配線23は、光照射によって酸化銅が還元された還元銅を含む還元領域とも言える。また、金属配線23は、絶縁領域22を光照射によって焼成した焼成体を含む焼成領域とも言える。
金属配線23の、平面視における形状、すなわちパターンは、直線状、曲線状、円状、四角状、屈曲形状等のいずれであってもよく、特に限定されない。パターンは、レーザ光による走査により形成されるので、形状による制約は受けにくい。
絶縁領域22と金属配線23との境界は、断面視において、単一層24の厚み方向(図Yに示す上下方向)に沿って直線であることが好ましいが、テーパ角がつけられていてもよく、特に限定されない。ただし、当該境界が明確であることは必須ではない。
金属配線23は、断面視において完全に還元されている必要はない。例えば、支持体21に近い部分に未還元部分があることが好ましい。これにより、金属配線23及び支持体21の間の密着性が高くなる。
<構造体の詳細>
以下、本実施の形態に係る金属配線付構造体20の各構成について具体的に説明する。しかし、各構成は、以下に挙げる具体例に限定されるものではない。
(支持体)
支持体の具体例として、例えば、無機材料からなる支持体(以下、「無機支持体」)又は樹脂からなる支持体(以下、「樹脂支持体」という)が挙げられる。
無機支持体は、例えば、ガラス、シリコン、雲母、サファイア、水晶、粘土膜、及び、セラミックス材料等から構成される。セラミックス材料は、例えば、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア及び窒化アルミニウム、並びに、これらのうち少なくとも2つの混合物である。また、無機支持体としては、特に光透過性が高い、ガラス、サファイア、水晶等から構成される支持体を用いることができる。
樹脂支持体としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリアセタール(POM)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルニトリル(PENt)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フェノールノボラック、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノール、ポリクロロピレン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、ナイロン樹脂(PA6、PA66)ポリブチルテレフタレート樹脂(PBT)ポリエーテルスルホン樹脂(PESU)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及びシリコーン樹脂等から構成される支持体を用いることができる。
また、上記に区別されないが、セルロースナノファイバーを含有した樹脂シートを支持体として用いることもできる。
特に、PI、PET及びPENからなる群から選択される少なくとも一種は、単一層との密着性に優れ、且つ、市場流通性が良く低コストで入手可能であり、事業の観点から有意であり、好ましい。
さらに、PP、PA、ABS、PE、PC、POM、PBT、m-PPE及びPPSからなる群から選択される少なくとも一種は、特に筐体である場合、単一層との密着性に優れ、成型性や成型後の機械的強度に優れ、金属配線を形成するときのレーザ照射等にも十分耐えうる耐熱性も有しているため、好ましい。
樹脂支持体の荷重たわみ温度は、400℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましい。荷重たわみ温度が400℃以下の支持体は、低コストで入手可能であり、事業の観点から有意であり、好ましい。荷重たわみ温度は、例えば、JIS K7191に準拠したものである。
支持体の厚さは、例えば、1μm~10mmとすることができ、好ましくは25μm~250μmである。支持体の厚さが250μm以下であれば、作製される電子デバイスを、軽量化、省スペース化及びフレキシブル化できるため、好ましい。
なお、支持体が筐体である場合、その厚さは、例えば1μm~10mmとすることができ、好ましくは、200μm~5mmである。この範囲を選択することで、成型後の機械的強度や耐熱性を発現させることが、本発明者により明らかになった。
(単一層)
単一層は、酸化銅粒子及びリン含有有機物を含む絶縁領域と、銅を含む金属配線とが混在してなる。
(酸化銅粒子)
本実施の形態において、酸化銅は、例えば、酸化第一銅及び酸化第二銅を包含する。酸化第一銅は、低温焼結しやすい傾向にあるので特に好ましい。酸化第一銅及び酸化第二銅は、これらを単独で用いてもよいし、これらを混合して用いてもよい。
また、酸化銅粒子は、コア/シェル構造を有し、コア又はシェルのいずれか一方が酸化第一銅であってもよく、他に酸化第二銅を含んでもよい。
絶縁領域に含まれる酸化銅は、例えば、微粒子形状を成している。酸化銅を含む微粒子の平均粒子径は、1nm以上100nm以下、より好ましくは1nm以上50nm以下、さらに好ましくは1nm以上20nm以下である。粒子径が小さいほど、絶縁領域の電気絶縁性に優れるため、好ましい。
単一層において絶縁領域に銅粒子が含まれていてもよい。すなわち、後述の分散体に銅を添加しもよい。銅粒子の表面にもリン含有有機物が吸着し、電気絶縁性を示すことができる。
(リン含有有機物)
リン含有有機物は、絶縁領域において電気絶縁性を示す材料である。リン含有有機物は、酸化銅を、支持体に固定できることが好ましい。リン含有有機物は、単一分子であってよいし、複数種類の分子の混合物でもよい。また、リン含有有機物は、酸化銅の微粒子に吸着していてもよい。
リン含有有機物の数平均分子量は、特に制限はないが、300~300,000であることが好ましい。300以上であれば、電気絶縁性に優れる。
リン含有有機物は、光や熱によって分解又は蒸発しやすいものであることが好ましい。光や熱によって分解又は蒸発しやすい有機物を用いることによって、焼成後に有機物の残渣が残りにくくなり、抵抗率の低い金属配線を得ることができる。
リン含有有機物の分解温度は、限定されないが、600℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。リン含有有機物の沸点は、限定されないが、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。
リン含有有機物の吸収特性は、限定されないが、焼成に用いる光を吸収できることが好ましい。例えば、焼成のための光源としてレーザ光を用いる場合は、その発光波長の、例えば355nm、405nm、445nm、450nm、532nm、1064nmなどの光を吸収するリン含有有機物を用いることが好ましい。支持体が樹脂の場合、特に好ましくは、355nm、405nm、445nm、450nm、532nmの波長である。
また、構造としては、酸化銅に親和性のある基を有する高分子量共重合物のリン酸エステル塩がよい。例えば、化学式(1)の構造は、酸化銅と吸着し、また支持体への密着性にも優れるため、好ましい。
Figure 0007037953000001
エステル塩の一例として、化学式(2)の構造を挙げることができる。
Figure 0007037953000002
また、リン含有有機物の一例として、化学式(3)の構造を挙げることができる。
Figure 0007037953000003
リン含有有機物が有する有機構造としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリアセタール、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルニトリル(PENt)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フェノールノボラック、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノール、ポリクロロピレン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン(PSF)、ポリスルフィド、シリコーン樹脂、アルドース、セルロース、アミロース、プルラン、デキストリン、グルカン、フルクタン、キチン等の構造を用いることができる。これら構造の官能基を変性した構造を用いることもできるし、これら構造を修飾した構造を用いることもできるし、これら構造の共重合体を用いることもできる。ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造、ポリアセタール構造、ポリブテン構造、及びポリスルフィド構造から選択される骨格を有するリン含有有機物は、分解しやすく、焼成後に得られる金属配線中に残渣を残し難いため、好ましい。
リン含有有機物の具体例としては、市販の材料を用いることができ、具体的には、ビックケミー社製のDISPERBYK(登録商標)-102、DISPERBYK-103、DISPERBYK-106、DISPERBYK-109、DISPERBYK-110、DISPERBYK-111、DISPERBYK-118、DISPERBYK-140、DISPERBYK-145、DISPERBYK-168、DISPERBYK-180、DISPERBYK-182、DISPERBYK-187、DISPERBYK-190、DISPERBYK-191、DISPERBYK-193、DISPERBYK-194N、DISPERBYK-199、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2010、DISPERBYK-2012、DISPERBYK-2013、DISPERBYK-2015、DISPERBYK-2022、DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2152、DISPERBYK-2055、DISPERBYK-2060、DISPERBYK-2061、DISPERBYK-2164、DISPERBYK-2096、DISPERBYK-2200、BYK-405、BYK-607、BYK-9076、BYK-9077、BYK-P105、第一工業製薬社製のプライサーフ(登録商標)M208F、プライサーフDBS等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本実施形態における絶縁領域に含まれる酸化銅は、市販品を用いてもよいし、合成物を用いてもよい。市販品としては、例えば、イーエムジャパン社より販売されている平均一次粒子径18nmの酸化第一銅微粒子が挙げられる。
酸化第一銅を含む微粒子の合成法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
(1)ポリオール溶剤中に、水及び銅アセチルアセトナト錯体を加え、一旦有機銅化合物を加熱溶解させ、反応に必要な量の水を更に添加し、有機銅の還元温度に加熱して還元する方法。
(2)有機銅化合物(銅-N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン錯体)を、ヘキサデシルアミン等の保護剤の存在下、不活性雰囲気中で、300℃程度の高温で加熱する方法。
(3)水溶液に溶解した銅塩をヒドラジンで還元する方法。
上記(1)の方法は、例えば、アンゲバンテ・ケミ・インターナショナル・エディション、40号、2巻、p.359、2001年に記載の条件で行うことができる。
上記(2)の方法は、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ・1999年、121巻、p.11595に記載の条件で行うことができる。
上記(3)の方法において、銅塩としては、二価の銅塩を好適に用いることができ、その例として、例えば、酢酸銅(II)、硝酸銅(II)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)等を挙げることができる。ヒドラジンの使用量は、銅塩1モルに対して、0.2モル~2モルとすることが好ましく、0.25モル~1.5モルとすることがより好ましい。
銅塩を溶解した水溶液には、水溶性有機物を添加してもよい。該水溶液に水溶性有機物を添加することによって該水溶液の融点が下がるので、より低温における還元が可能となる。水溶性有機物としては、例えば、アルコール、水溶性高分子等を用いることができる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等を用いることができる。水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体等を用いることができる。
上記(3)の方法における還元の際の温度は、例えば-20~60℃とすることができ、-10~30℃とすることが好ましい。この還元温度は、反応中一定でもよいし、途中で昇温又は降温してもよい。ヒドラジンの活性が高い反応初期は、10℃以下で還元することが好ましく、0℃以下で還元することがより好ましい。還元時間は、30分~300分とすることが好ましく、90分~200分とすることがより好ましい。還元の際の雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気であることが好ましい。
上記(1)~(3)の方法の中でも、(3)の方法は操作が簡便で、且つ、粒子径の小さい粒子が得られるので好ましい。
(金属配線)
金属配線における銅は、例えば、銅を含む微粒子同士が互いに融着した構造を示していてもよい。また、微粒子の形状が無く、全てが融着した状態になっていてもよい。さらに、一部分は微粒子の形状であって、大部分は融着した状態であってもよい。
また、金属配線は、銅の他に酸化銅(酸化第一銅、酸化第二銅、亜酸化銅)や、リン含有有機物を含んでいてもよい。例えば、金属配線の表面側の部分は、銅を含む微粒子同士が互いに融着した構造であり、支持体側の部分は、酸化銅又はリン含有有機物を含む構造であってもよい。これにより、酸化銅又はリン含有有機物が銅粒子同士の強固な結合を生じ、さらに酸化銅又はリン含有有機物が支持体との密着性を高めることができるため、好ましい。
金属配線における銅の含有率は、単位体積に対して、50体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、70体積%以上がさらに好ましく、100体積%であってもよい。銅の含有率が50体積%以上あることで、導電率が高くなるため、好ましい。
<金属配線の製造方法>
本実施の形態に係る金属配線体の製造方法においては、例えば、まず、酸化銅粒子を含む表面を有する支持体を用意する。例えば、まず、支持体が構成する面上に、酸化銅粒子及びリン含有有機物を含む被処理層(酸化銅インク層)を配置する。この方法としては、(a)酸化銅粒子及びリン含有有機物を含有する分散体(酸化銅インク)を塗布する方法、(b)酸化銅粒子を散布し、次いでリン含有有機物を塗布する方法、(c)リン含有有機物を塗布し次いで酸化銅粒子を散布する方法等が挙げられる。以下、(a)の方法を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
(分散体の調製方法)
次に、まず分散体の調製方法について説明する。まず、酸化銅粒子をリン含有有機物と共に分散媒に分散させた酸化銅分散体(酸化銅インク)を調製する。
例えば、上記(3)の方法で合成された酸化銅粒子は、軟凝集体であり、このままでは塗布に適さないため、分散媒に分散させる必要がある。
上記(3)の方法で合成が終了した後、合成溶液と酸化銅粒子との分離を、例えば遠心分離のような公知の方法で行う。得られた酸化銅粒子に、分散媒、リン含有有機物は、を加え、例えばホモジナイザのような公知の方法で撹拌し、酸化銅粒子を分散媒に分散させる。
本実施の形態に係るリン含有有機物は、分散剤として機能する。しかし、絶縁領域の電気絶縁性に影響がない範囲であれば、他の分散剤を追加しても構わない。
なお、分散媒によっては、酸化銅粒子が分散しにくく、分散が不充分な場合がある。このような場合は、例えば、分散しやすいアルコール類、例えばブタノールなどを用い、酸化銅を分散させた後、所望の分散媒への置換と所望の濃度への濃縮を行う。一例として、UF膜による濃縮、並びに、所望の分散媒による希釈及び濃縮を繰り返す方法が挙げられる。
(塗布)
上述のような支持体の表面に、本実施の形態に係る分散体からなる薄膜(以下、被処理層という)を形成する。より具体的には、例えば、分散体を支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥により分散媒を除去し、被処理層を形成する。当該被処理層の形成方法は、特に限定されないが、ダイコート、スピンコート、スリットコート、バーコート、ナイフコート、スプレーコート、ディツプコート等の塗布法を用いることができる。これらの方法を用いて、支持体上に均一な厚みで分散体を塗布することが望ましい。
(焼成処理)
本実施の形態では、酸化銅粒子を還元し、銅粒子を生成させると共に、生成された銅粒子同士の焼結(融着)による一体化が生じる条件下で加熱処理を施し、金属配線を形成する。この処理を焼成処理と呼ぶ。
(金属配線製造装置)
図4は、本実施の形態に係る金属配線製造装置の一例を示す模式図である。図4に示すように、金属配線製造装置30は、光源の一例であるレーザ光源31を備える。
(ガルバノスキャナー)
レーザ光源31から射出されたレーザ光32は、光線走査部の一例であるガルバノスキャナー33に入力される。ガルバノスキャナー33は、X軸ガルバノミラー33a、X軸ガルバノモータ33b、Y軸ガルバノミラー33c及びY軸ガルバノモータ33dを具備する。また、図示されないfθレンズやZ軸調整用駆動レンズを具備してもよい。
また、ガルバノスキャナー33のX軸ガルバノモータ33b及びY軸ガルバノモータ33dには、速度制御部の一例であるスキャナ制御部34に電気的に接続されている。
ガルバノスキャナー33は、スキャナ制御部34からの制御信号に従って、X軸ガルバノモータ33b及びY軸ガルバノモータ33dの回転角及び回転速度を制御可能に構成されている。
レーザ光32は、ガルバノスキャナー33により、走査され、支持体の一例である基板35の上に形成された、酸化銅粒子及び分散剤を含む被処理層36の表面に照射される。
また、本実施の形態では、ガルバノスキャナー33は、X軸方向及びY軸方向の移動にX軸、Y軸ガルバノミラー33a、33cを用いているが、いずれか一方、例えば、X軸方向のみの移動にガルバノミラーを用い、Y軸方向の移動は基板35を載置する載置台(図示せず)をモータ等でY軸方向に沿って移動させることによって行ってもよい。
ここで、光線走査部として、ガルバノスキャナー33を例に挙げて説明したが、特に限定されるものではない。例えば、光線走査部は、ガルバノスキャナー33に代えて、載置台として、被処理層36を備えた基板35をX軸方向及びY軸方向の両方に移動できるX-Yステージを用い、レーザ光32の照射点Pを移動させる代わりに基板35を移動させてもよい。
(走査速度制御)
上述のような金属配線製造装置30における走査速度制御について説明する。まず、スキャナ制御部34に、所望の金属配線のパターン(形状、位置及び大きさ)を示すスキャン用データ(座標データ)を入力する。スキャナ制御部34は、スキャン用データに基づいて、パターンのX軸方向に沿った長さから走査線の長さ(L)(単位:mm)を算出する。次に、スキャナ制御部34は、算出された走査線の長さ(L)に基づいて、以下の式(1)により、所定の走査周期(F)(単位:Hz)(例えば、15Hz)になるように、レーザ光を走査する速度(以下、走査速度という)(V)(単位:mm/秒)を算出する。
走査速度(V)=走査周期(F) x 走査線の長さ(L)・・・・(1)
次に、スキャナ制御部34は、このように算出された走査速度に従って、ガルバノスキャナー33にレーザ光32の照射点P(図4参照)をX軸方向に移動させ、1回の走査を実行させる。
その後、スキャナ制御部34は、ガルバノスキャナー33に、レーザ光32の照射点PをY軸方向に移動させる。
上述のように、レーザ光32の走査速度(V)を、走査線の長さ(L)に基づいて、常に、すなわち、金属配線1(図1参照)内のいずれの地点A、Bにおいても、走査周期(F)が同一になるように設定することができる。
このように、金属配線1を構成する走査線Iaの長さ(L)に応じて走査速度(V)を異ならせることにより、図1を参照して説明したように、地点Aと地点Bとでの、酸化銅粒子が還元して生成される銅粒子(金属粒子の一例)の焼結度のバラツキが生じるのを抑制し、領域1aと領域1bとでの金属配線1の抵抗値を均一にすることができる。
なお、本実施の形態において、走査周期(F)は正確に同一である必要はなく、金属配線の抵抗値を実用上問題がない程度に均一にすることができれば、走査周期(F)にばらつきがあってもよい。したがって、本実施の形態において、走査周期(F)が実質的に同一になるように走査速度(V)を設定すればよい。
(走査線のオーバーラップ)
また、上述のように、レーザ光32の照射点P(図4参照)のY軸方向の移動量は、任意に設定することができるが、本実施の形態では、隣接する走査線を互いに重複させるような移動量に設定することが好ましい。図5は、本実施の形態に係る金属配線製造方法における互いに重複した走査線を示す模式図である。図5に示すように、ある走査線41と、それに隣接する走査線42が、互いに重複している。これにより、走査線41、42が重複したオーバーラップ領域において蓄熱量が大きくなるため、銅粒子の焼結度を高め、その結果、金属配線1(図1参照)の抵抗値をより低くすることができる。
走査線41、42の幅W1(例えば、320μm)に対する走査線41、42が重複している領域の幅W2の比を、走査線41、42とのオーバーラップ率(%)と定義する。オーバーラップ率は、5%~99.5%の範囲であることが好ましく、10%~99.5%の範囲であることがより好ましく、15%~99.5%の範囲であることがさらに好ましい。オーバーラップ率が5%以上であることにより銅粒子の焼結度を高めることができ、99.5%以下であることにより工業的に実用性のある速度でY軸方向に移動させながら焼結することができる。
なお、レーザ光32(図4参照)の走査によって、隣接する走査線Iaが互いに重複していれば、図1に示すように、走査方向、すなわち照射点のX軸に沿った移動方向(図1中矢印Dで示す)が、互いに逆方向であってもよいし、同じ方向であっても、いずれでもよい。
上述のようにして製造される、本実施の形態に係る金属配線付構造体は、金属粒子の一例である酸化銅を含む表面に、光線の繰り返し走査によって酸化銅粒子が焼結して形成された金属配線1(図1参照)を具備し、金属配線1は、隣接する走査線Iaが互いに重複させるようにして形成されていることを特徴とする。
このような構成により製造された金属配線1は、オーバーラップ率が少ない物に比べて焼結度を高くすることができるので、脆くなく、堅い金属配線1にすることができる。例えば、金属配線1をフレキシブル基板上に形成して曲げたときに、金属配線1が割れることなくフレキシブル基板に追従させることができる。
(光線の集光制御)
上述の焼成処理においては、金属粒子の光吸収波長に応じて、最適な波長がある。金属粒子の焼結をレーザ光で行うことで、波長を自由に選択することができるため、焼結に適した波長の光を照射することができ、金属粒子を効果的に焼結できる。しかしながら、最適な波長の光を選択したとき、金属粒子の焼結に必要な出力が得られないことがあり、焼結が不十分になる恐れがある。
例えば、酸化銅粒子を含む被処理層に対しては、400nm以上532nm以下の連続波(CW、Continuous Wave)にて、10-20W程度の出力が必要とされる。一方、単一光源で最適波長且つ最適出力を備えた光を得ることは難しい。そこで、本実施の形態においては、複数の光線を集束することで、金属粒子の焼結に適した波長の光線を、焼結に適した出力で、金属粒子を含む被処理層に照射できるようにすることが好ましい。
これにより、複数の光線を集束できるため、出力を金属粒子の焼結に適した値まで高めた状態で、金属粒子を含む表面に光線を照射でき、金属粒子を効果的に焼結して、低抵抗な金属配線1(図1参照)を得ることができる。
(集束制御部)
また、光源と、金属粒子を含む表面との間に配設される集束制御部を用いて、光線を、金属粒子を含む表面に集束することが好ましい(図4及び図6参照)。これにより、複数の光線を、光源の位置を調整することなく、金属粒子を含む表面に容易に集束できる。
集束制御部において、少なくとも一つの光線を透過させ、残りの光線を反射させて、金属粒子を含む表面に集束することが好ましい。複数の光線を同一の光軸上に重ねた状態で金属粒子を含む表面に照射できるため、異なる位置から出射される各光線を表面内で集光する場合よりも、集光された複数の光線が金属粒子を含む表面に当たる面積が小さくなり、金属粒子を含む表面を精細にパターニングできる。
このような集束制御部としては、例えば、波長選択ミラー又は波長選択プリズムのような波長選択部材であることが好ましい(図7A参照)。波長選択部材は、異なる波長の光線を集束する。すなわち、特定波長域の光を反射し、その他の波長域の光を透過する。例えば、2つの光線の波長が互いに異なる場合、波長選択部材は、一方の波長域の光線を透過させ、他方の波長域の光線を反射させることができる。これにより、波長域が互いに異なる光線を同一の光軸上に重ねて、金属粒子を含む表面に集束できる。波長選択部材としては、具体的にはダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムを用いることができる。
また、集束制御部としては、例えば、反射偏光板であることが好ましい(図7B参照)。反射偏光板は、異なる偏光のレーザ光を集束する。よって、例えば、2つの光線の波長が互いに同一であっても、2つの光線の偏光が互いに異なれば、反射偏光板は、一方の偏光の光線を透過させ、他方の偏光の光線を反射させることができる。すなわち、反射偏光板は、例えば、S偏光の光線を透過させ、P偏光の光線を反射させる。これにより、偏光が互いに異なる光線を同一の光軸上に重ねて、金属粒子を含む表面に集束できる。
反射偏光板は、S偏光及びP偏光のいずれか一方を透過させ、他方を反射する構成であればよい。反射偏光板としては、例えば、ワイヤグリッド偏光子を用いることができる。反射偏光板は、例えば、2つの光線の偏光が互いに異なれば、2つの光線の波長が互いに異なる場合でも、2つの光線を同一の光軸上に重ねることができる。
また、入射面と出射面とを有する集束制御部において、複数の光線を入射面に入射させ、出射面から出射させて、金属粒子を含む表面に集束することが好ましい。簡易な構成で複数の光線を集束できるため、光源の数を増やし易く、出力を効果的に上げることができる。また、互いに波長が異なる光線であっても、互いに波長が同一の光線であっても集束できる。
このようなこのような集束制御部としては、例えば、レンズであることが好ましい(図7C参照)。複数の光線がレンズに入射して出射されれば、複数の光線を、金属粒子を含む表面に集束かつ集光できる。光線の出力を、金属粒子の焼結に適した値まで効果的に高める観点から、2つ以上の光線がレンズで集束されることが好ましく、3つ以上の光線であることがより好ましく、4つ以上の光線であることがさらに好ましい。
また、レンズは、互いに波長が異なる光線であっても、波長が同一の光線であっても集束できる。金属粒子を含む表面に対してレンズの位置を容易に調整できるため、金属粒子を含む表面内で集束された光線の焦点位置を調整できる。
次に、図6を参照して、集束制御部の構成及び集束制御部のレーザ光の集束方法について詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る金属配線製造装置の説明図である。図7は、本実施の形態に係る集束制御部の説明図である。図7Aは、集束制御部として、波長選択ミラー又は波長選択プリズムを用いた場合、図7Bは、反射偏光板を用いた場合、図7Cは、レンズを用いた場合を示している、なお、図7では、光線走査部57は省略している。
図6に示すように、金属配線製造装置50は、レーザ光源51、52と、レーザ光源51、52から出射された各レーザ光53、54を集束する集束制御部55と、を備えて構成される。集束制御部55は、レーザ光源51、52と、基板56a及び被処理層56bで構成される構造体56との間に配置され、レーザ光源51、52から出射された各レーザ光53、54を、基板56aの表面に形成される被処理層56bに集束するように制御する。集束制御部55で集束されたレーザ光53、54は、光線走査部の一例であるガルバノスキャナー33(図4参照)を構成するX軸ガルバノミラー33a及びY軸ガルバノミラー33b(図4参照)により走査されて、被処理層56bに照射される。光線走査部57と構造体56の間に、集束されたレーザ光を集光するためのレンズがあってもよい。
レーザ光源51、52から出射された各レーザ光53、54は集束制御部55で集束され、光線走査部57に入射される。そして、集束されたレーザ光53、54は、光線走査部57により基板56aの表面に形成される被処理層56bに走査される。
このように、集束制御部55で、例えば、2つのレーザ光53、54を集束できるため、出力を銅粒子の焼結に適した値まで高めた状態で、レーザ光53、54を被処理層56bに照射できる。よって、被処理層56bの銅粒子を効果的に焼結して、低抵抗な金属配線を形成できる。また、集束制御部55を用いることにより、レーザ光53、54を、レーザ光源51、52の位置を調整することなく、被処理層56bに容易に集束できる。また、集束制御部55に集束されたレーザ光53、54は、光線走査部57で被処理層56bに走査されるため、被処理層56bを所望のパターンに焼結して、所望の形状の金属配線を形成できる。
レーザ光源51、52は、少なくとも2つ備えられていることが好ましく、出射されるレーザ光53、54を集束して、金属粒子の焼結に適した値まで出力を高めるため、2つ以上のレーザ光源51、52が備えられていることが好ましい。銅粒子の焼結に適した10-20Wの出力を得る観点から、4つ以上のレーザ光源51、52が備えられることが最も好ましい。
レーザ光源51、52は、レーザ光53、54の波長選択の自由度があり、被処理層56bの光吸収波長や基板56aの吸収波長を考慮して選択できる。レーザの種類としてはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、YVO(イットリウムバナデイト)、Yb(イッテルビウム)、半導体レーザ(GaAs、GaAlAs、GaInAs、GaN、InGaN、AlGaNなど)、炭酸ガス、ファイバレーザーなどを用いることができ、基本波だけでなく必要に応じ高調波を取り出して使用してもよい。被処理層56bに含まれる銅粒子を効果的に焼結できる、中心波長が400nm以上550nm以下のレーザ光53、54を出射する観点から、半導体レーザや第二高調波を用いることがより好ましい。また、レーザ光53、54は、パルス波(Pulsed Operation)、連続波(CW)とすることが可能であるが、被処理層56bの銅粒子の焼結には、連続波が照射されることが好ましい。
また、ビームスキャンによる露光が可能であり、被処理層56b全面への露光、もしくは部分露光の選択など、露光範囲の調整が容易である。露光量は、光強度、発光時間、光照射間隔、回数で調整可能であり、基板56aの光透過性が大きければ、耐熱性の低い樹脂基板、例えば、PET、PENや紙などへも、金属配線1(図1参照)形成が可能となる。
特に、レーザ光53、54の発光波長は、中心波長が355nm以上550nm以下であることが好ましい。この範囲の波長のレーザ光53、54を照射することにより、被処理層56aに銅、銀、金及びアルミニウムなどの金属粒子が含まれていた場合に、金属粒子を効果的に焼結できる。また、レーザ光53、54の発光波長は、中心波長が400nm以上550nm以下であることが好ましい。これにより、被処理層56bに含まれる銅粒子を効果的に焼結できる。また、レーザ光53、54の波長は、基板56aが樹脂の場合、例えば、355nm、405nm、445nm、450nm、532nmが好ましい。このように、金属配線製造装置50は、被処理層56bの銅粒子の焼結に適した中心波長が400nm以上550nm以下のレーザ光53、54を、銅粒子の焼結に適した出力で照射できる。
図7A、Bに示すように、集束制御部55は、レーザ光源51から出射されたレーザ光53を透過させ、レーザ光源52から出射されたレーザ光54を反射させて、レーザ光53、54を被処理層56bに集束する構成としてもよい。
このような集束制御部55は、図7Aに示すように、例えば、波長選択部材61であることが好ましい。波長選択部材61は、異なる波長のレーザ光を集束する。すなわち、特定波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する。よって、レーザ光源51から出射されるレーザ光53と、レーザ光源52から出射されるレーザ光54の波長が異なる場合、波長選択部材61は、例えば、レーザ光源51からのレーザ光53を透過させ、レーザ光源52からの、レーザ光53とは異なる波長のレーザ光54を反射させることで、レーザ光53、54を同一の光軸上に重ねて被処理層56bに集光する。異なる波長のレーザ光53、54が集束できれば、波長選択部材61は、2つ以上配設されてもよい。これにより、レーザ光源51、52を増やして複数のレーザ光53、54を集束できるため、レーザ光源51、52の出力を、金属粒子の焼結に適した値まで効果的に高めることができる。
なお、波長選択部材61と、レーザ光源52との間にミラー58(図6)等を配設し、レーザ光源52から出射されるレーザ光54を、ミラー58で反射させて波長選択部材61に入射させてもよいし、レーザ光源52から波長選択部材61に直接入射してもよい。図7Bにおいて、集光制御部55として反射偏光板62を用いる場合も同様である。
また、図7Bに示すように、集束制御部55は、例えば、反射偏光板62であることが好ましい。反射偏光板62は、異なる偏光のレーザ光を集束する。よって、レーザ光源51から出射されるレーザ光53と、レーザ光源52から出射されるレーザ光54の波長が同一の場合であっても、レーザ光53とレーザ光54とを異なる偏光にすれば、反射偏光板62は、例えば、レーザ光源51からのレーザ光53を透過させ、レーザ光源52からの、レーザ光53とは異なる偏光のレーザ光54を反射させることができる。すなわち、反射偏光板62は、例えば、S偏光のレーザ光53を透過させ、P偏光のレーザ光54を反射させる。これにより、反射偏光板62は、レーザ光53、54を同一の光軸上に重ねて被処理層56bに集光できる。
反射偏光板62は、S偏光及びP偏光のいずれか一方を透過させ、他方を反射する構成であればよい。反射偏光板62としては、例えば、ワイヤグリッド偏光子を用いることができる。
レーザ光53、54は、レーザ光源51、52から出射した後、偏光子(不図示)によって、それぞれ異なる偏光にされた後、反射偏光板62に入射される。また、反射偏光板62は、レーザ光53、54が互いに異なる偏光であれば、レーザ光53、54の波長が互いに異なる場合であっても、レーザ光53、54を同一の光軸上に重ねることができる。
図7A、図7Bのように、集光制御部55として波長選択部材61、反射偏光板62が用いられる場合、レーザ光53、54を同一の光軸上に重ねることができるため、被処理層56bを精細にパターニングできる。
図7Cに示すように、集束制御部55として、例えば、レンズ63を用いて、レーザ光53、54を被処理層56bに集光する構成としてもよい。
レンズ63は、入射面63aと出射面63bとを有している。レンズ63は、レーザ光53、54を入射面63aに入射させ、レーザ光54、55を出射面63bから出射させることで、レーザ光53、54を被処理層56bに集光する。レンズ63は、凸レンズ、凹レンズ、凹凸等であることが好ましく、例えば、凹レンズであると、光軸調整が行いやすくより好ましい。レンズ63のサイズは、用いられるレーザ光源51、52の数により調整できる。
レーザ光がレンズ63に入射して出射されれば、レンズ63は、2つ以上のレーザ光源51、52から出射される複数のレーザ光53、54を、被処理層56bに集光できる。レーザ光源51、52の出力を、金属粒子の焼結に適した値まで効果的に高める観点から、2つ以上のレーザ光源51、52から出射されるレーザ光53、54がレンズ63で集光されることがより好ましく、3つ以上のレーザ光源が用いられることがさらに好ましく、銅粒子の焼結に適した10~20Wの出力を得る観点から、4つ以上のレーザ光源51、52が用いられることが最も好ましい。
集束制御部55としてレンズ63が用いられることで、簡易な構成で複数のレーザ光線53、54を集束できるため、レーザ光源51、52の数を増やし易く、出力を効果的に上げることができる。また、互いに波長が異なるレーザ光53、54であっても、波長が同一のレーザ光53、54であっても集光できる。また、被処理層56bに対してレンズ63の位置を容易に調整できるため、集束されたレーザ光53、54の焦点位置を被処理層56b内で調整できる。
図8を参照して、本実施の形態に係る金属配線付支持体の製造方法について、より具体的に説明する。図8は、本実施の形態に係る金属配線付支持体の製造方法の各工程を示す説明図である。図8中(a)において、水、プロピレングリコール(PG)の混合溶媒中に酢酸銅を溶かし、ヒドラジンを加えて攪拌する。
次に、図8中(b)、(c)において、遠心分離で上澄みと沈殿物に分離した。次に、図8中(d)において、得られた沈殿物に、分散剤(リン含有有機物)及びアルコールを加え、分散する。
次いで、図8中(e)、(f)において、UF膜モジュールによる濃縮及び希釈を繰り返し、溶媒を置換し、酸化銅粒子を含有する分散体Iを得る。
図8中(g)、(h)において、分散体Iをスプレーコート法によりPET製の支持体(図8(h)中、「PET」と記載する)上に塗布し、酸化銅及びリン含有有機物を含む塗布層(被処理層)(図8(h)中、「CuO」と記載する)を形成する。
次に、図8中(i)において、塗布層に対してレーザ照射を行い、塗布層の一部を選択的に焼成し、酸化銅を銅(図8(i)中、「Cu」と記載する)に還元する。この結果、図8中(j)において、支持体上に、酸化銅及びリン含有有機物を含む絶縁領域(図8(j)中、「A」と記載する)と、銅を含む金属配線(図8(j)中、「B」と記載する)と、が互いに隣接して配置された単一層が形成された金属配線付構造体が得られる。
<適用例>
本実施の形態に係る金属配線付構造体は、例えば、電子回路基板等の配線材(プリント基板、RFID、自動車におけるワイヤハーネスの代替など)、携帯情報機器(スマートフォン等)の筐体に形成されたアンテナ、メッシュ電極(静電容量式タッチパネル用電極フィルム)、電磁波シールド材、及び、放熱材料、に好適に適用することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る金属配線の製造方法及び金属配線製造装置によれば、金属配線1(図1参照)を構成する走査線Iaの長さ(L)に応じて光線を走査する速度(V)を異ならせることにより、金属粒子の焼結度にばらつきが生じるのを抑制し、均一な抵抗値の金属配線1を容易に得ることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
(実施例1)
<酸化第一銅分散液>
蒸留水(共栄製薬株式会社製)7560g、1,2-プロピレングリコール(関東化学株式会社製)3494gの混合溶媒中に酢酸銅(II)一水和物(関東化学株式会社製)806gを溶かした。得られた溶液を、外部温調器によって液温-5℃にした。溶液にヒドラジン一水和物(東京化成工業株式会社製)235g(製)を20分間かけて加え、30分間攪拌した。その後、溶液を、外部温調器によって液温25℃にし、90分間攪拌した。攪拌後、溶液を遠心分離で上澄みと沈殿物に分離した。得られた沈殿物390gに、DISPERBYK-145(ビッグケミー製)13.7g(分散剤含有量4g)、サーフロンS611(セイミケミカル製)54.6g、及び、エタノール(関東化学株式会社製)907gを加え、ホモジナイザを用いて分散し、酸化第一銅分散液1365gを得た。
[ヒドラジン定量方法]
標準添加法によりヒドラジンの定量を行った。
試料(銅ナノインク)50μLに、ヒドラジン33μg、サロゲート物質(ヒドラジン15)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加えた。最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行った。
同じく、試料(銅ナノインク)50μLに、ヒドラジン66μg、サロゲート物質(ヒドラジン15)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加えた。最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行った。
同じく、試料(銅ナノインク)50μLに、ヒドラジン133μg、サロゲート物質(ヒドラジン15)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加えた。最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行った。
最後に、試料(銅ナノインク)50μLに、ヒドラジンを加えず、サロゲート物質(ヒドラジン15)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加え、最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行った。
上記4点のGC/MS測定からm/z=207のクロマトグラムラムよりヒドラジンのピーク面積値を得た。次にm/z=209のマスクロマトグラムよりサロゲートのピーク面積値を得た。x軸に、添加したヒドラジンの重量/添加したサロゲート物質の重量、y軸に、ヒドラジンのピーク面積値/サロゲート物質のピーク面積値をとり、標準添加法による検量線を得た。
検量線から得られたY切片の値を、添加したヒドラジンの重量/添加したサロゲート物質の重量で除しヒドラジンの重量を得た。
[粒子径測定]
酸化銅インクの平均粒子径は大塚電子製FPAR-1000を用いてキュムラント法によって測定した。
分散液は良好に分散されていた。酸化第一銅の含有量は20gであり、粒子径は21nmであった。ヒドラジン量は3000ppmであった。
<塗布膜>
得られた分散液を、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン500H、厚み125μm)にスピンコート法によって塗布し、40℃のオーブンで2時間保持して塗膜内の溶媒を揮発させて試料1を得た。得られた試料1の塗膜厚は略1000nmであった。
<金属配線製造装置>
レーザ光源として、連続波発振(Continuous Wave:CW))、中心波長445nm、出力2.0Wの半導体レーザを2式用意した。2式のレーザ光線を1つの凹レンズに入射させ、略1つのレーザ光線に集束されるように調整して結合レーザ光線を得た。更に、結合レーザ光線をガルバノスキャナーに入射させ、前述の試料1の塗膜表面に焦点が合うように調節した。なお、結合レーザ光線の出力を測定した結果、3.6Wであった。
<金属配線の製造>
大きさが異なる長方形状の領域(主走査方向)を組み合わせたパターンデータを準備し、金属配線製造装置に入力した。パターンデータは、主走査方向の長さがL1=20mm、L2=10mmで、主走査方向に垂直な方向の長さ(幅とする)はそれぞれ3mmである。走査周期(F)が15Hzになるように下記の通り走査速度(V1、V2)を算出させ、走査速度制御しながら結合レーザ光線を走査した。
走査速度V1 = F × L1 = 300mm/s
走査速度V2 = F × L2 = 150mm/s
また、結合レーザ光線を主走査方向に往復走査させるときに、走査線をオーバーラップ率=96%になるように主走査方向に垂直な方向の移動ピッチを制御した。
結合レーザ光線を照射した部分は、塗布膜中の酸化銅が還元され、還元銅からなる大きさが異なる長方形状の導電性パターンが得られた。
<抵抗測定>
得られた導電性パターンを、L1=20mm、幅3mmと、L2=10mm、幅3mmの領域で切断し、4端子測定法で比抵抗値を評価した。この結果、導電性パターンの長さに依らず略50μΩcmであり、金属配線として使用するのに十分低抵抗であった。
<オーバーラップ部の観察>
得られた導電性パターンの表面を光学顕微鏡で観察した。観察の様子を図9に示す。図9は、本発明の実施例1における導電性パターンの表面の光学顕微鏡写真である。観察により、結合レーザ光線の走査線が、13.2μmの間隔で確認できた。また、導電性パターンの走査終端部のオーバーラップしていない部分の軌跡の幅は320μmであった。下記の式によりオーバーラップ率を計算すると、95.9%であった。
(オーバーラップ率)=(320μm-13.2μm)÷320μm
(実施例2)
レーザ光源として、連続波発振(Continuous Wave:CW)、中心波長532nm、レーザ光線出力6.0Wを用いて、走査周期(F)が20Hzになるように走査速度(V)を算出させ、走査速度制御しながら結合レーザ光線を走査した、こと以外は実施例1と同様の方法によって導電性パターンを得た。実施例1と同様に抵抗測定した結果、略70μΩcmであり、金属配線として使用するのに十分低抵抗であった。
(比較例1)
結合レーザ光線を往復走査させる際の走査速度を調節せず、一定速度300mm/sで走査すること以外は、実施例1と同様の方法で導電性パターンを得た。得られた導電性パターンをL1=20mm、幅3mmと、L2=10mm、幅3mmの領域で切断し、4端子測定法で比抵抗値を評価した。この結果、L1=20mm、幅3mmの領域の比抵抗値は50μΩcmで、L2=10mm、幅3mmの領域は一部が焦げてしまい、抵抗測定ができなかった。焦げてしまった領域は、走査速度が遅く、蓄熱量が多くなり一部が焦げてしまったと推測される。
(比較例2)
結合レーザ光線を往復走査させながら試料1に照射する際に、走査線を3%オーバーラップさせながら走査すること以外は、実施例1と同様の方法で導電性パターンを得た。得られた導電性パターンをL1=20mm、幅3mmと、L2=10mm、幅3mmの領域で切断し、4端子測定法で比抵抗値を評価した。この結果、導電性パターンの長さに依らず略500μΩcmであり、金属配線として使用するのに不十分であった。オーバーラップが小さく、銅の焼結度が高まらなかったために高抵抗になったと推測される。
なお、本発明は、上記実施の形態や実施例に限定されるものではない。当業者の知識に基づいて上記実施の形態や実施例に設計の変更等を加えてもよく、また、上記実施の形態や実施例を任意に組み合わせてもよく、そのような変更等を加えた態様も本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、金属粒子として酸化銅粒子を例に挙げて説明したが、金属粒子を含む表面を焼結させ、金属配線を形成する場合に、本発明は適用することができる。したがって、金属粒子としては、銅、銀、金及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一つが挙げられる。
また、酸化銅粒子以外の金属酸化物粒子(例えば、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ニッケルなどの微粒子)を含む表面を焼結させ、金属配線や電極を形成する場合にも、本発明は適用することができる。本発明は、金属酸化物粒子を焼成して金属配線を形成する際に、金属酸化物粒子還元して金属粒子を生成し、金属粒子同士を焼結させるときに、還元及び焼結の程度にバラツキが生じるのを抑制し、抵抗値が均一な金属配線を形成できる。
また、上記実施の形態では、支持体上に金属粒子を含む被処理層を形成し、金属粒子を含む表面を構成している。しかしながら、支持体自体に金属粒子を含有させることにより、金属粒子を含む表面を構成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、金属粒子を含む表面を、金属粒子及び分散剤としてのリン含有有機物を含む分散体から形成する場合を例に挙げて説明したが、分散剤は、リン含有有機物以外の分散剤であってもよい。
本発明により、均一な抵抗値の金属配線を容易に得ることができる金属配線の製造方法、金属配線付構造体及び金属配線製造装置を提供することができる。したがって、電子回路基板等の配線材、メッシュ電極、電磁波シールド材及び放熱材料の製造に好適に利用できる。
1、23 金属配線
11、36、56a 被処理層
12 酸化銅粒子(金属粒子)
13 リン酸エステル塩
20、56 金属配線付構造体(構造体)
21 支持体
22 絶縁領域
24 単一層
30、50 金属配線製造装置
31、51、52 レーザ光源(光源)
32、53、54 レーザ光(光線)
33 ガルバノスキャナー(光線走査部)
34 スキャナ制御部(速度制御部)
35、56b 基板(支持体)
41、42 走査線
55 集束制御部
61 波長選択部材
62 反射偏光板
63 レンズ

Claims (24)

  1. 金属粒子を含む表面に光線を繰り返し走査して前記金属粒子を焼結させ、金属配線を形成する工程を具備し、
    前記金属配線を構成する走査線の長さに応じて前記光線を走査する速度を異ならせ、前記速度を、走査周期が実質的に同一になるように設定することを特徴とする金属配線の製造方法。
  2. 隣接する前記走査線を、互いに重複させるようにして前記金属配線を形成することを特徴とする請求項1に記載の金属配線の製造方法。
  3. 前記走査線を、その幅方向において5%~99.5%重複させることを特徴とする請求項2に記載の金属配線の製造方法。
  4. 前記金属粒子は、銅、銀、金及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
  5. 前記金属粒子は、金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
  6. 前記金属酸化物粒子は、酸化銅粒子であることを特徴とする請求項5に記載の金属配線の製造方法。
  7. 前記金属粒子を含む表面を、前記金属粒子及び分散剤を含む分散体から形成することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
  8. 前記分散剤は、リン含有有機物を含有することを特徴とする請求項7に記載の金属配線の製造方法。
  9. 前記光線が、中心波長が355nm以上550nm以下のレーザ光であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
  10. 複数の光源から出射された各光線を、前記金属粒子を含む表面に集束するように制御して、前記金属粒子を焼結することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
  11. 前記光源と、前記金属粒子を含む表面との間に配設される集束制御部を用いて、前記光線を、前記金属粒子を含む表面に集束することを特徴とする請求項10に記載の金属配線の製造方法。
  12. 前記集束制御部において、少なくとも一つの前記光線を透過させ、残りの前記光線を反射させて、前記金属粒子を含む表面に集束することを特徴とする請求項11に記載の金属配線の製造方法。
  13. 前記集束制御部は、波長選択部材であり、異なる波長の前記光線を集束することを特徴とする請求項12に記載の金属配線の製造方法。
  14. 前記集束制御部は、反射偏光板であり、異なる偏光の前記光線を集束することを特徴とする請求項12に記載の金属配線の製造方法。
  15. 入射面と出射面とを有する前記集束制御部において、複数の前記光線を前記入射面に入射させ、前記出射面から出射させて、前記金属粒子を含む表面に集束することを特徴とする請求項11に記載の金属配線の製造方法。
  16. 前記集束制御部は、レンズであることを特徴とする請求項15に記載の金属配線の製造方法。
  17. 前記光線が、中心波長が355nm以上550nm以下であるレーザ光であることを特徴とする請求項11から請求項16のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
  18. 金属粒子を含む表面に光線を繰り返し走査して金属配線を形成する光線走査部と、前記光線走査部による前記光線を走査する速度を、前記金属配線を構成する走査線の長さに応じて異ならせ、前記速度を、走査周期が実質的に同一になるように設定する速度制御部と、を具備することを特徴とする金属配線製造装置。
  19. 複数の光源と、前記複数の光源から出射された各光線を、前記金属粒子を含む表面に集束するように制御する集束制御部と、をさらに有することを特徴とする請求項18に記載の金属配線製造装置。
  20. 前記集束制御部は、波長選択部材であることを特徴とする請求項19に記載の金属配線製造装置。
  21. 前記集束制御部は、反射偏光板であることを特徴とする請求項19に記載の金属配線製造装置。
  22. 前記集束制御部は、レンズであることを特徴とする請求項19に記載の金属配線製造装置。
  23. 前記光源は、中心波長が355nm以上550nm以下のレーザ光を出射することを特徴とする請求項19に記載の金属配線製造装置。
  24. 前記中心波長が、400nm以上532nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の金属配線製造装置。
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