JP2022022196A - 金属配線の製造方法、金属配線製造装置、レーザ光照射制御装置及びレーザ光照射制御プログラム - Google Patents

金属配線の製造方法、金属配線製造装置、レーザ光照射制御装置及びレーザ光照射制御プログラム Download PDF

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正人 齋藤
Masato Saito
徹 湯本
Toru Yumoto
雅志 古川
Masashi Furukawa
智子 小園
Tomoko Kozono
ひとみ 大橋
Hitomi Ohashi
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Abstract

【課題】低抵抗で高信頼性の金属配線を製造すること。【解決手段】金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程を含む、金属配線の製造方法であって、照射領域パターンと、前記照射領域パターンの外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターンに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てることを含む、方法。【選択図】図2

Description

本発明は、金属配線の製造方法、金属配線製造装置、レーザ光照射制御装置及びレーザ光照射制御プログラムに関する。
回路基板は、基板上に導電性の配線を施した構造を有する。回路基板の製造方法は、一般的に、次の通りである。まず、金属箔を貼り合せた基板上にフォトレジストを塗布する。次に、フォトレジストを露光及び現像して所望の回路パターンのネガ状の形状を得る。次に、フォトレジストに被覆されていない部分の金属箔をケミカルエッチングにより除去してパターンを形成する。これにより、高性能の導電性基板を製造することができる。しかしながら、従来の方法は、工程数が多く、煩雑であると共に、フォトレジスト材料を要する等の欠点がある。これに対し、金属粒子及び金属酸化物粒子からなる群から選択された粒子を分散させた分散体で基板上に所望の金属配線を直接印刷する直接配線印刷技術が注目されている。この技術は、工程数が少なく、フォトレジスト材料を用いる必要がない等、極めて生産性が高い。
直接印刷配線技術の一例としては、分散体をスクリーン印刷、インクジェット印刷等によって基材上に印刷して塗膜を形成し、その後当該塗膜を、レーザ光の走査照射等によって熱焼成することで低抵抗な金属配線を得ることが知られている。熱焼成を要する部位にのみレーザ光を照射する方法によれば、基材の耐熱性が比較的低い場合であっても、所望の金属配線を容易に形成できる。例えば、従来、金属又は金属酸化物の微粒子を含む分散体を基材上に塗布して形成した塗膜上にレーザ光を走査する方法が提案されている。しかしこの方法においては、レーザ光による塗膜の加熱条件のばらつきによる金属配線の抵抗値のばらつき、及び、塗膜の加熱不足による金属配線の高抵抗化という問題があった。
特許文献1は、金属粒子を含む表面に光線を繰り返し走査して前記金属粒子を焼結させ、金属配線を形成する工程を具備し、前記金属配線を構成する走査線の長さに応じて前記光線を走査する速度を異ならせることを特徴とする金属配線の製造方法を記載する。
特開2019-140284号公報
レーザ光の照射スポットを、膜上で第1の方向に往復又は片道で走査しながら当該第1の方向とは異なる第2の方向に移動させて、膜上に隙間なくレーザを走査させる際、走査長が部位によって大きく異なると、照射領域内を通じて照射条件を均一にすることは極めて困難である。
本発明は上記の課題を解決し、低抵抗で高信頼性の金属配線を製造することが可能な、金属配線の製造方法、金属配線製造装置、レーザ光照射制御装置及びレーザ光照射制御プログラムの提供を目的とする。
本開示は、以下の態様を包含する。
[1] 金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程を含む、金属配線の製造方法であって、
前記レーザ光照射工程が、以下のステップ:
予め作成され1又は2以上の閉図形で構成された二次元の照射領域パターンと、前記照射領域パターンの外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターンを生成する、走査領域パターン生成ステップ;
前記走査領域パターンに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てる、パラメータ割り当てステップ;並びに
前記走査領域パターン及び前記走査パラメータに従って、前記レーザ光の照射ターゲット位置を前記外接平行四辺形内の全域に亘り前記外接平行四辺形の第1の辺の方向に走査しながら前記第1の辺に隣接する第2の辺の方向に移動させることによって、前記照射領域にレーザ光を照射する、照射ステップ、
を含み、
前記走査パラメータが、前記外接平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含む、方法。
[2] 前記レーザ光照射工程に供される前記膜が、基材上に形成されている、上記態様1に記載の方法。
[3] 前記レーザ光照射工程に供される前記膜が、前記基材上に形成された塗膜である、上記態様2に記載の方法。
[4] 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、上記態様1~3のいずれかに記載の方法。
[5] 前記外接平行四辺形が、最小外接矩形である、上記態様1~4のいずれかに記載の方法。
[6] 前記外接平行四辺形が長辺及び短辺を有する矩形であり、前記第1の辺が長辺である、上記態様1~5のいずれかに記載の方法。
[7] 前記照射領域パターンが2以上の閉図形で構成されており、各閉図形に対して前記外接平行四辺形を指定する、上記態様1~6のいずれかに記載の方法。
[8] 前記照射領域パターンが、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に生成された三次元パターンの二次元投影パターンである、上記態様1~7のいずれかに記載の方法。
[9] 前記照射領域パターンが、
XY平面上に予め生成した二次元ベースパターンを、予め取得した膜表面のXYZ三次元形状パターン上に投影して、照射領域決定用三次元パターンを生成すること、
前記二次元ベースパターン上のY軸方向の差渡し部Bの寸法B1を計測すること、
前記照射領域決定用三次元パターン上の、前記差渡し部Bの投影部の寸法B2を計測すること、
前記二次元ベースパターンの前記寸法B1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成すること、
によって生成された縮小補正パターンであり、
前記照射ステップにおいて、X軸方向を前記第1の辺の方向に指定し、Y軸方向を前記第2の辺の方向に指定する、上記態様1~7のいずれかに記載の方法。
[10] 前記レーザ光を、走査線の線幅方向にオーバーラップさせながら走査する、上記態様1~9のいずれかに記載の方法。
[11] 前記オーバーラップが、前記線幅の10%以上99%以下である、上記態様10に記載の方法。
[12] 前記膜が、銅及び/又は酸化銅を含む、上記態様1~11のいずれかに記載の方法。
[13] 前記膜が、分散剤を更に含む、上記態様1~12のいずれかに記載の方法。
[14] 基材と、前記基材上に配置された、金属及び/又は金属酸化物を含む膜とを含む構造体における、前記膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成するための金属配線製造装置であって、
前記金属配線製造装置が:
構造体を保持する構造体保持部;
レーザ光を発生させるレーザ発振装置;
前記レーザ発振装置から出射されたレーザ光を走査するレーザ光走査装置;並びに
前記レーザ発振装置及び前記レーザ光走査装置を制御する処理装置;
を備え、
前記処理装置が:
二次元の照射領域パターンと、前記照射領域パターンの外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターン;及び
前記走査領域パターンに割り当てられた走査パラメータ;
に従った走査制御信号を前記レーザ発振装置及び前記レーザ光走査装置に出力することによって、前記走査制御信号に従って、前記レーザ光の照射ターゲット位置を、前記外接平行四辺形内の全域に亘り前記外接平行四辺形の第1の辺の方向に走査しながら前記第1の辺に隣接する第2の辺の方向に移動させるように、前記レーザ発振装置及び前記レーザ光走査装置を動作させ、
前記走査パラメータが、平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含む、金属配線製造装置。
[15] 前記レーザ光走査装置が、ガルバノモータとガルバノミラーとを備えるガルバノスキャナであり、
前記処理装置が、前記レーザ発振装置のオンオフ切り替えによって前記レーザ光出射及び前記レーザ光不出射を制御する、上記態様14に記載の金属配線製造装置。
[16] 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、上記態様14又は15に記載の金属配線製造装置。
[17] 金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定した照射領域にレーザ光を照射するために金属配線製造装置のレーザ発振装置及びレーザ光走査装置を制御するレーザ光照射制御装置であって、
入力された二次元の照射領域パターンに対して外接平行四辺形を指定し、更に前記外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域を非照射領域パターンとして指定した上で、前記照射領域パターン及び前記非照射領域パターンで構成される走査領域パターンの座標データを生成する座標データ生成部と、
前記座標データに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てて、前記座標データ及び前記走査パラメータに従った走査制御信号を生成する走査制御信号生成部と、
前記走査制御信号をレーザ発振装置及びレーザ光走査装置に出力する出力部とを有し、
前記走査パラメータが、前記外接平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含むことを特徴とする、レーザ光照射制御装置。
[18] 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、上記態様17に記載のレーザ光照射制御装置。
[19] 前記外接平行四辺形が、最小外接矩形である、上記態様17又は18に記載のレーザ光照射制御装置。
[20] 前記外接平行四辺形が長辺及び短辺を有する矩形であり、前記走査長の方向が前記長辺の方向である、上記態様17~19のいずれかに記載のレーザ光照射制御装置。
[21] 前記照射領域パターンが、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に生成された三次元パターンの二次元投影パターンである、上記態様17~20のいずれかに記載のレーザ光照射制御装置。
[22] 前記照射領域パターンが、
XY平面上に予め生成した二次元ベースパターンを、予め取得した膜表面のXYZ三次元形状パターン上に投影して、照射領域決定用三次元パターンを生成すること、
前記二次元ベースパターン上のY軸方向の差渡し部Bの寸法B1を計測すること、
前記照射領域決定用三次元パターン上の、前記差渡し部Bの投影部の寸法B2を計測すること、
前記二次元ベースパターンの前記寸法B1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成すること、
によって生成された縮小補正パターンであり、
X軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査長の方向であり、Y軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査幅の方向である、上記態様17~20のいずれかに記載のレーザ光照射制御装置。
[23] 金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定した照射領域にレーザ光を照射するために金属配線製造装置のレーザ発振装置及びレーザ光走査装置を制御するレーザ光照射制御プログラムであって、
入力された二次元の照射領域パターンに対して外接平行四辺形を指定し、更に前記外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域を非照射領域パターンとして指定した上で、前記照射領域パターン及び前記非照射領域パターンで構成される走査領域パターンの座標データを生成し、
前記座標データに対して、予め設定した走査パラメータを割り当て、
前記座標データ及び前記走査パラメータに従った走査制御信号を生成し、
前記走査制御信号を出力する、
ことをレーザ光照射制御装置に実行させ、
前記走査パラメータが、前記外接平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含むことを特徴とする、レーザ光照射制御プログラム。
[24] 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、上記態様23に記載のレーザ光照射制御プログラム。
[25] 前記外接平行四辺形が、最小外接矩形である、上記態様23又は24に記載のレーザ光照射制御プログラム。
[26] 前記外接平行四辺形が長辺及び短辺を有する矩形であり、前記走査長の方向が前記長辺の方向である、上記態様23~25のいずれかに記載のレーザ光照射制御プログラム。
[27] 前記照射領域パターンが2以上の閉図形で構成されており、各閉図形に対して前記外接平行四辺形を指定する、上記態様23~26のいずれかに記載のレーザ光照射制御プログラム。
[28] 前記照射領域パターンが、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に生成された三次元パターンの二次元投影パターンである、上記態様23~27のいずれかに記載のレーザ光照射制御プログラム。
[29] 前記照射領域パターンが、
XY平面上に予め生成した二次元ベースパターンを、予め取得した膜表面のXYZ三次元形状パターン上に投影して、照射領域決定用三次元パターンを生成すること、
前記二次元ベースパターン上のY軸方向の差渡し部Bの寸法B1を計測すること、
前記照射領域決定用三次元パターン上の、前記差渡し部Bの投影部の寸法B2を計測すること、
前記二次元ベースパターンの前記寸法B1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成すること、
によって生成された縮小補正パターンであり、
X軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査長の方向であり、Y軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査幅の方向である、上記態様23~27のいずれかに記載のレーザ光照射制御プログラム。
[30] 前記レーザ光を、走査線の線幅方向にオーバーラップさせながら走査する、上記態様23~29のいずれかに記載のレーザ光照射制御プログラム。
[31] 前記オーバーラップが、前記線幅の10%以上99%以下である、上記態様30に記載のレーザ光照射制御プログラム。
[32] 上記態様23~31のいずれかに記載のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録機器。
本発明の一態様によれば、低抵抗で高信頼性の金属配線を製造することが可能な、金属配線の製造方法、金属配線製造装置、レーザ光照射制御装置及びレーザ光照射制御プログラムが提供され得る。
本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態における走査領域パターンの形成手順について説明する図である。 本実施形態の金属配線製造装置の構成例を示す模式図である。 本実施形態の金属配線製造装置の構成例を示すブロック図である。 本実施形態のレーザ光照射制御プログラムによって実行される処理について説明するフローチャートである。 本実施形態のレーザ光照射制御プログラムによって実行される処理について説明するフローチャートである。 本実施形態のレーザ光照射制御プログラムによって実行される処理について説明するフローチャートである。 実施例及び比較例における導電性評価の手順を説明する図である。 実施例及び比較例における導電性評価の手順を説明する図である。
本発明者らは、照射領域パターンに対して外接平行四辺形を指定し、当該外接平行四辺形内の全域に照射ターゲット位置を走査する一方、照射領域パターンに対応する照射領域のみにレーザ光を照射することによって、照射領域パターンの形状によらず、照射ターゲット位置の走査長を平準化できることを見出した。走査長の平準化によれば、膜の部位間での加熱の程度のばらつきが低減されるため、低抵抗かつ高信頼性の金属配線が製造され得る。
≪金属配線の製造方法≫
本発明の一態様は、金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程を含む、金属配線の製造方法を提供する。一態様において、レーザ光照射工程は、以下のステップ:
予め作成され1又は2以上の閉図形で構成された二次元の照射領域パターンと、照射領域パターンの外接平行四辺形内の照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターンを生成する、走査領域パターン生成ステップ;
走査領域パターンに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てる、パラメータ割り当てステップ;並びに
走査領域パターン及び走査パラメータに従って、レーザ光の照射ターゲット位置を外接平行四辺形内の全域に亘り平行四辺形の第1の辺の方向に走査しながら第1の辺に隣接する第2の辺の方向に移動させることによって、照射領域にレーザ光を照射する、照射ステップ、
を含む。
一態様において、走査パラメータは、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含む。
<膜形成>
一態様において、レーザ光照射工程に供される、金属及び/又は金属酸化物を含む膜は、塗工、貼り合わせ、蒸着等によって形成されていてよい。例えば、基材が構成する面上に、金属及び/又は金属酸化物を含む塗膜が形成されてよい。一態様において、膜は、金属及び/又は金属酸化物を含むペースト材料を塗布して形成された塗膜であってよい。塗布前に、基材の表面を予め洗浄しておいてもよい。ペースト材料は、金属及び/又は金属酸化物を含み、任意に有機物を含んでよく、さらに溶媒も含んでよい。一態様において、溶媒は、上記有機物を溶解又は分散、好ましくは溶解させることができ、金属及び/又は金属酸化物(例えばこれらの粒子)を分散させることができるものである。基材及びペースト材料のより詳細な好適例については後述する。
塗膜の塗布方法は、特に限定されないが、ダイコート、スピンコート、スリットコート、バーコート、ナイフコート、スプレーコート、ディップコート等の塗布方法を用いることができる。上記塗布後、必要に応じて塗膜に残存する溶媒を除去してよい。以上のようにして、基材と、基材上に配置された金属及び/又は金属酸化物を含む膜とを含む構造体が得られる。
<レーザ光照射工程>
本工程では、上記膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成する。レーザ光源の種類としては、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、YVO4(イットリウムバナデイト)、Yb(イッテルビウム)、半導体(GaAs,GaAlAs,GaInAs)、炭酸ガス、ファイバーレーザー等を用いることができる。レーザ光としては、基本波だけでなく必要に応じ高調波を取り出して使用してもよい。一態様において、レーザ光照射工程は以下のステップを含む。
[走査領域パターン生成ステップ]
本ステップにおいては、予め作成され1又は2以上の閉図形で構成された二次元の照射領域パターンと、当該照射領域パターンの外接平行四辺形内の照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターンを生成する。閉図形の形状は限定されず、異形形状(L字形、H字形等)、多角形(三角形、四角形等)、円、楕円等の種々の形状であってよい。
本開示で言及する平行四辺形とは、特記がない限り、対辺が厳密に平行である四角形に加え、走査長の平準化という本発明の利点を損なわない範囲で対辺の相対配置が平行からずれている四角形も包含する(すなわち、略平行四辺形である)ものと定義される。一態様において、本開示の平行四辺形は、上底/下底の長さ比が0.7以上1以下である台形も包含する。
一態様において、平行四辺形は矩形であってよい。なお本開示の矩形は、4つの内角が厳密に直角である四角形に加え、内角が直角から僅かに(例えば±5°以下で)ずれている四角形も包含する(すなわち、略矩形である)。
一態様において、平行四辺形は、長辺及び短辺を有する矩形(すなわち、正方形以外の矩形)であってよい。矩形は、レーザ光による膜の加熱の程度をより均一にする観点で有利である。また、上記長辺の方向を、照射ターゲット位置の走査の際の第1の辺の方向とすることが好ましい。この場合、走査線の本数低減によってプロセス効率を向上させることができる。
一態様において、平行四辺形は、照射領域パターンの最小外接平行四辺形である。本開示で、照射領域パターンの最小外接平行四辺形とは、照射領域パターンの外接平行四辺形のうち、平行四辺形の面積が最小となるものを意味する。最小外接平行四辺形は、照射ターゲット位置の走査面積の最小化によるプロセス効率向上の点で有利である。好ましい態様において、外接平行四辺形は、最小外接矩形(すなわち、外接矩形のうち面積が最小の矩形)である。
照射領域パターンの外接平行四辺形は、1又は2以上の閉図形を囲んでよい。例えば、図1Aに示すように、2以上の閉図形(すなわち、閉図形1,2)を囲む外接平行四辺形Aを指定してよく、又は図1Bに示すように、2以上の閉図形の各々(図1Bにおいては閉図形1及び閉図形2)に対して外接平行四辺形(図1Bにおいては外接平行四辺形A1及び外接平行四辺形A2)をそれぞれ指定してよい。図1A及び図1Cを参照し、2以上の閉図形を囲む外接平行四辺形を指定する場合において、第1の辺の少なくとも一部と第2の辺の少なくとも一部とを構成し得る閉図形1が存在する場合には、まず、閉図形1に基づいて第1の辺方向a及び第2の辺方向bを指定し、次いで、第1の辺とその対辺との間かつ第2の辺とその対辺との間に全閉図形が存在するとともに第1の辺及び第2の辺の長さがそれぞれ最小となるように頂点p3を指定することで、頂点p1,p2,p3,p4で囲まれた平行四辺形を指定してよい。
図2を参照し、L字形の照射領域パターン1に対して、外接平行四辺形A1を指定し、更に非照射領域パターン1aを指定して、照射領域パターン1と非照射領域パターン1aとで構成される走査領域パターン(すなわち外接平行四辺形A1で囲まれる領域のパターン)を生成してよい。
また、図3Aを参照し、三角形状の照射領域パターン2に対して照射領域パターン2の外接平行四辺形A2及び非照射領域パターン2a,2bを指定して、照射領域パターン2と非照射領域パターン2a,2bとで構成される走査領域パターンを生成してよい。1つの照射領域パターンに対して外接平行四辺形が複数指定できる場合には、そのうちのいずれかを選択してよい。例えば、図3Bを参照し、上記の照射領域パターン2に対し、照射領域パターン2の別の外接平行四辺形A3及び非照射領域パターン2cを指定してもよい。
また、図3Cを参照し、楕円状の照射領域パターン4に対して照射領域パターン4の外接平行四辺形A4及び非照射領域パターン4a,4b,4c,4dを指定して、照射領域パターン4と非照射領域パターン4a,4b,4c,4dとで構成される走査領域パターンを生成してよい。又は、図3Cに示す楕円状に代えて、真円状の照射領域パターンを用いることも好ましい一態様である。
照射ターゲット位置を第1の辺の方向D1に平行四辺形の全幅である走査長Sで走査しながら第2の辺の方向D2に移動させる際に、レーザ光の出射/不出射を切り替えることで、レーザ光出射部の走査長S1及びレーザ光不出射部の走査長S2を任意に設定できる。これにより、照射領域パターンの形状によらず照射ターゲット位置の走査長を平準化でき、レーザ光照射による膜の部位間での加熱の程度のばらつきを低減できる。
一態様において、膜表面のレーザ光の照射領域及び非照射領域は、前述の照射領域パターンと非照射領域パターンとの形状が、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に投影されてなる領域である。図4を参照し、照射領域Rは、外接平行四辺形Aが指定された照射領域パターンPを膜表面の三次元形状パターン41上に投影してなる領域である。膜表面の三次元形状パターンは、従来公知の手段で取得でき、例えば、膜表面の形状を、イメージセンサ等の画像認識装置で読み込んで取得してよい。取得した三次元形状パターン上に、照射領域パターン及び非照射領域パターンを投影する。照射領域パターンと膜表面の三次元形状パターンとの位置合わせは、当業者に公知のソフトウェア、又は手動で行ってよい。一態様においては、XYZ座標系及びその基準点(原点)を指定し、XYZ座標系内に、Z軸方向高さが最小となるように膜表面の三次元形状パターン41を配置するとともに、当該三次元形状パターンのZ軸方向上方(すなわち+の方向)のXY平面上に照射領域パターンPを配置し、所望により上面視画像等を用いて照射領域パターンPと膜表面の三次元形状パターン41との位置合わせを行った後、当該照射領域パターンPの形状を三次元形状パターン41上にZ方向に投影して、照射領域Rを生成してよい。
一態様において、照射領域パターンは、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に生成された三次元パターンの二次元投影パターンであってよい。図5を参照し、一態様においては、照射領域パターンPが、予め取得した膜表面の三次元形状パターン41上に照射領域決定用三次元パターン42を生成した後、照射領域決定用三次元パターン42を二次元に投影することによって生成されてよい。このようにして生成された照射領域決定用三次元パターンを用いる場合、膜表面の三次元形状を考慮した照射領域のより精密な設定が可能であり、金属配線の抵抗低減及び信頼性向上において特に有利である。上記投影によって生成した照射領域パターンPに対して、前述の手順で外接平行四辺形及び非照射領域パターンを指定してよい。図4を再び参照し、一態様において、照射領域Rは、照射領域パターンPを三次元形状パターン41上に逆投影して形成してもよい。
図6A及びBを参照し、一態様においては、照射領域パターンPが、
XY平面上に予め生成した二次元ベースパターン40を、予め取得した膜表面のXYZ三次元形状パターン41上に投影して、照射領域決定用三次元パターン42を生成すること、
二次元ベースパターン40上のY軸方向の差渡し部Bの寸法B1を計測すること、
照射領域決定用三次元パターン42上の、上記差渡し部Bの投影部の寸法B2を計測すること、
二次元ベースパターン40の寸法B1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成すること、
によって生成された縮小補正パターンであってよい。一態様においては、X軸方向寸法A1及びY軸方向寸法B1を有する二次元ベースパターン40のX軸方向全域に亘ってY軸方向の寸法B1を計測するとともに、各寸法B1に対応する部位の寸法B2を計測して、寸法B1と寸法B2との各対について、B1/B2の算出、及び寸法B1の縮小補正を行う。このようにして生成された照射領域パターンを用いる場合、膜表面の三次元形状を考慮した照射領域のより精密な設定が可能であり、金属配線の抵抗低減及び信頼性向上において特に有利である。上記縮小補正パターンを照射領域パターンとし、これに対して、前述の手順で外接平行四辺形及び非照射領域パターンを指定してよい。図4を再び参照し、一態様において、照射領域Rは、照射領域パターンPを三次元形状パターン41上に逆投影して形成してもよい。後述の照射ステップにおいて、上記X軸方向を第1の辺の方向に指定し、上記Y軸方向を第2の辺の方向に指定してよい。
[パラメータ割り当てステップ]
本ステップでは、上記の走査領域パターンに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てる。これにより、照射領域パターン及び非照射領域パターンの位置情報と、これに関連付けられた走査パラメータとを含む走査制御信号を生成できる。金属配線製造装置のレーザ発振装置及びレーザ光走査装置、並びに任意に出力調整機構、スポット調整機構等の機構は、このような走査制御信号を受信して、所望条件下でレーザ光照射を行うことができる。2以上の照射領域パターンが存在する場合の走査パラメータは、照射領域パターン間で互いに同じでも異なってもよく、好ましくは照射領域パターン間で互いに同じである。
走査パラメータは、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含む。照射ターゲット位置は、本開示の外接平行四辺形内の全域(したがって、照射領域パターン部及び非照射領域パターン部の両方)に対して走査されるが、レーザ光の照射は、照射領域パターン部のみに行われる。
一態様においては、非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる。この場合、レーザ光の出射と不出射との切り替えのみで照射ターゲット位置を照射領域パターン及び非照射領域パターンの両方に走査できるため、プロセス制御の容易性の点で有利である。
レーザ光の出射又は不出射以外の走査パラメータとしては、例えば以下を例示できる。
(中心波長、パルス周波数)
レーザ光の中心波長は、一態様において350nm以上600nm以下、好ましくは355nm又は532nmである。レーザ光は、CW波(連続波)であってもよいが、高い先頭値の光線を照射することで、熱の拡散を防ぎながら焼成を瞬間的に進行させることができる観点からは、パルス波であっても良い。パルス波の1パルスあたりの幅は、光線照射時の膜のアブレーションを抑制する観点から、好ましくは、1~100ナノ秒、又は2~50ナノ秒、又は3~30ナノ秒である。
(膜への侵入長)
一態様において、金属及び/又は金属酸化物を含む膜の内部には、光線が適切な侵入長で侵入する。侵入長とは、金属及び/又は金属酸化物を含む膜の厚み方向に光線を光強度I0で入射させたときに、光強度が当該膜の吸光によってI0/eに減衰するまでの当該膜の深さxである。金属及び/又は金属酸化物を含む膜の、ある波長の光の吸光度をαとしたとき、当該波長における、光強度I0/eとxとは、下記式:
0/e=I0×e(-αx)
の関係を満たし、したがって、xとαとは、下記式:
x=1/α
の関係を満たす。
一態様においては、金属及び/又は金属酸化物を含む膜に、侵入長0.25μm以上10.00μm以下でレーザ光を照射する。侵入長は、より好ましくは、0.30μm以上8.00μm以下、更に好ましくは0.35μm以上6.00μm以下、最も好ましくは0.40μm以上4.50μm以下の範囲である。侵入長が0.25μm以上である場合、レーザ光が膜の内部まで良好に侵入し、膜の表面のみでなく内部の焼結、粒子同士の接触等による導電体の形成も良好に進行し、金属配線が低抵抗になる。一方、侵入長が10.00μm以下である場合、光線が膜の内部まで侵入するとともに良好に光吸収され、結果として内部の焼結、粒子同士の接触等による導電体の形成が良好に進行し、金属配線が低抵抗になる。
侵入長は、金属及び/又は金属酸化物を含む膜に含まれる、金属及び/又は金属酸化物の含有量、金属及び/又は金属酸化物が粒子である場合の粒径、その他の成分(有機物等)の量、等によって調整できる。例えば、金属及び/又は金属酸化物の含有量を少なくすること、及び粒径を小さくすることは、侵入長を大きくする傾向があり、逆に、当該含有量を多くすること、及び粒径を大きくすることは、侵入長を小さくする傾向がある。また、吸光性有機材料(例えば後述のリン含有有機化合物)の存在により侵入長が小さくなる傾向がある。
(出力密度)
レーザ光の出力密度を適切な範囲に調整することにより、膜が吸収するエネルギー量を制御でき、内部の焼結、粒子同士の接触等による導電体の形成を良好に進行させることができる。レーザ光の出力密度は、好ましくは、0.001mW/μm2以上2.000mW/μm2以下、又は0.005mW/μm2以上1.900mW/μm2以下、又は0.010mW/μm2以上1.800mW/μm2以下、又は0.015mW/μm2以上1.500mW/μm2以下である。出力密度が0.001mW/μm2以上である場合、膜が良好に焼結、粒子同士の接触等により導体化され、金属配線が低抵抗になる。また、2.000mW/μm2以下である場合、膜の炭化又はアブレーションが生じにくく、所望の金属配線を容易に形成できる。
(スポット径、オーバーラップ率、走査線間隔)
レーザ光は、所望のスポット径で膜に照射されてよい。スポット径は、レーザ光の焦点からのずれ量によって調整され得る。一態様において、レーザ光は、膜上に複数回重複して照射されることが好ましい。例えば、レーザ光を、走査線の線幅方向にオーバーラップさせながら膜上に繰り返し走査する。この場合のオーバーラップ率(すなわち、1回目照射がされた部位のうち2回目照射もされた部位の、走査線幅方向での比率)は、好ましくは、10%以上99%以下、又は20%以上95%以下、又は30%以上90%以下、又は40%以上85%以下である。オーバーラップ率が10%以上であることで、金属及び/又は金属酸化物の焼結、粒子同士の接触等による導電体の形成が良好に進行し、99%以下であることで、産業的に実用性のある生産速度で配線を製造することができる。なお、2回目照射の走査線の方向は、1回目照射の走査線と同方向(すなわち片道走査)又は逆方向(すなわち往復走査)であってよい。レーザ光の走査線間隔は、例えば、所望のスポット径において所望のオーバーラップ率が得られるように目的に応じて設定してよい。
(デフォーカス値)
デフォーカス値は、上記のスポット径を所望の範囲に調整するために適宜指定してよい。好ましい態様において、デフォーカス値は、レーザ光の照射方向の高さにおいて集光位置を0としたときに-10.0mmから10.0mmの範囲に設定してよい。
(入射角)
レーザ光の膜への入射角は、好ましくは、0度以上50度以下、又は0度以上48度以下、又は0度以上45度以下である。入射角度が50度以下である場合、膜の表面でレーザ光が反射したり膜の内部に侵入したりする光線の光量が少ないことによる膜の焼結、粒子同士の接触等による導電体の形成の不足を防止し、金属配線の抵抗値を低く且つ均一にすることができる。
(走査速度)
レーザ光の走査速度(V)(単位:mm/秒)は、外接平行四辺形の形状に基づいて算出されるレーザ光走査長(L)(単位:mm)と、所望の走査周期(F)(単位:Hz)(例えば、15Hz)とから、下記式に従って算出される。
走査速度(V)=走査周期(F)×走査長(L)
(走査方向)
レーザ光走査方向は目的に応じて指定されてよい。走査方向は、例えば、最大走査長が最小となる方向、走査回数が最小となる方向、等であってよい。
一態様において、走査パラメータは、レーザ走査速度、レーザ出力密度、及びレーザスポット径から成る群から選択される1つ以上を含む。
一態様においては、複数のパラメータ要素(例えば、レーザ走査速度、レーザ出力強度、及びレーザスポット径)の数値の組合せを1つのテンプレートとしてよい。このようなテンプレートを複数準備しておき、走査領域パターンに対して、当該複数のテンプレートから選択した1つのテンプレートを割り当ててよい。典型的な態様において、各照射領域パターン内は同一の走査パラメータが適用されるが、1つの照射領域パターンにおいて、部位に応じた異なる走査パラメータが割り当てられてもよい。
走査パラメータは、膜の性状と当該性状に適したレーザ光照射条件との関係について予め検討した結果に基づいて予め設定されてよい。本実施形態においては、膜に対してレーザ光を照射して、当該膜の焼成物である金属配線を形成する。本実施形態における膜は、金属及び/又は金属酸化物を含む薄膜であり、一態様においては分散剤等の有機物を更に含む。このような膜においては、焼成状態がレーザ光照射要件によって大きく左右される。例えば、レーザ光の出力強度を変えずに走査速度を遅くすると、膜の加熱がより顕著になる傾向があるが、膜の加熱の程度は、膜の性状(化学組成、厚み、レーザ光侵入長、形態(孔の存在等)等)によって異なる。したがって、走査パラメータは、膜の性状に応じて適切に選択されることが望ましい。一態様においては、膜性状データと、当該膜性状データに対応付けられた走査パラメータデータ(例えば、前述のテンプレート)とを含むデータセットを複数生成して保存しておき、走査パラメータの割り当てを行う際に、当該データセットを読み込み、実際に使用する膜の性状と同一又は類似の膜性状データに対応付けられた走査パラメータを選択して、走査領域パターンに割り当ててよい。
又は、走査パラメータは、ユーザからの数値の直接入力に基づいて生成されてもよい。
走査制御信号は、照射領域パターンが複数存在する場合のレーザ光を最初に照射する照射領域パターンの指定、走査領域パターンにおけるレーザ光走査開始位置の指定等に関する情報を含んでもよい。
[照射ステップ]
本ステップにおいては、走査領域パターン及びこれに割り当てられた走査パラメータに従って、レーザ光の照射ターゲット位置を外接平行四辺形内の全域に亘り第1の辺の方向に走査しながら第1の辺に隣接する第2の辺の方向に移動させることによって、照射領域にレーザ光を照射する。好ましい態様において、第1の辺の方向は、平行四辺形の長辺方向である。本実施形態の方法によれば、照射領域の形状によらずに照射ターゲット位置の走査長を平準化できるため、低抵抗かつ高信頼性の金属配線を任意の所望の形状にて形成できる。
照射領域は、二次元又は三次元の領域として設定してよい。三次元の照射領域は、図4、5、6A及び6Bを参照して前述したように、膜表面の三次元形状パターン上に指定されていてよい。
照射時の雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは、5体積%以下、又は2体積%以下、又は1体積%以下である。酸素濃度は低い程望ましいが、工程管理の容易性の観点から、例えば、0.001体積%以上、又は0.01体積%以上、又は0.05体積%以上であってよい。
例えば以上のような手順で、本実施形態の金属配線を製造できる。
<基材、並びに金属及び/又は金属酸化物を含む膜>
本実施形態の金属配線の製造に好適な基材、並びに金属及び/又は金属酸化物を含む膜としては、以下を例示できる。
[基材]
基材は、金属及び/又は金属酸化物を含む膜を配置するための面を構成するものであれば形状は特に限定されない。基材の材質は、後述する金属配線との電気絶縁性を確保するため、絶縁材料であることが好ましい。ただし、基材の全体が絶縁材料であることは必ずしも必要がない。金属及び/又は金属酸化物を含む膜が配置される面を構成する部分だけが絶縁材料であれば足りる。
基材の、金属及び/又は金属酸化物を含む膜が配置される面は、平面又は曲面であってよく、また段差等を含む面であってもよい。基材は、より具体的には、基板(例えば、板状体、フィルム又はシート)、又は立体物(例えば、筐体等)であってよい。板状体は、例えば、プリント基板等の回路基板に用いられる支持体である。フィルム又はシートは、例えば、フレキシブルプリント基板に用いられる、薄膜状の絶縁体であるベースフィルムである。
立体物の一例としては、携帯電話端末、スマートフォン、スマートグラス、テレビ、パーソナルコンピュータ等の電気機器の筐体が挙げられる。また、立体物の他の例としては、自動車分野では、ダッシュボード、インストルメントパネル、ハンドル、シャーシ等が挙げられる。
基材の具体例として、例えば、無機材料からなる基材(以下、「無機基材」)又は樹脂からなる基材(以下、「樹脂基材」という)が挙げられる。
無機基材は、例えば、ガラス、シリコン、雲母、サファイア、水晶、粘土膜、及び、セラミックス材料等から構成される。樹脂基材としては、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が、金属配線との密着性に優れ、且つ、市場流通性が良く低コストで入手可能であり、事業上の観点から優位であり、好ましく、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)及びポリフェニレンスルフィド(PPS)からなる群から選択される少なくとも一種は、特に筐体である場合、金属配線との密着性に優れ、成型性や成型後の機械的強度に優れ、金属配線を形成するときのレーザ照射等にも十分耐えうる耐熱性も有しているため、好ましい。
基材の厚さは、基材が例えば板状体、フィルム又はシートである場合、1μm~10mmとすることができ、好ましくは25μm~250μmである。基材の厚さが250μm以下である場合、作製される電子デバイスを、軽量化、省スペース化及びフレキシブル化でき好ましい。
なお、基材が立体物である場合、その最大寸法(すなわち1辺の最大長さ)は、例えば1μm~10mmとすることができ、好ましくは、200μm~5mmである。上記範囲の厚さを有する基材においては、成型後の機械的強度や耐熱性が良好である。
[金属及び/又は金属酸化物を含む膜]
(金属及び/又は金属酸化物)
金属及び/又は金属酸化物を含む膜に含まれる金属は、例えば、銀、銅、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、タンタル、スズ、クロム、コバルト、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、タングステン、亜鉛、インジウム、錫等であり、これらの2種以上を含む合金又は混合物であってもよい。また金属酸化物としては、上記で例示した金属の酸化物が挙げられ、特に酸化銅(CuO、及びCu2O)が好ましい。
また、金属及び/又は金属酸化物は粒子であってよく、錯体であっても良い。粒子の場合は、コア/シェル構造を有してよい。例えば、コア及び/又はシェルが金属及び/又は金属酸化物であってよく、コアとシェルとが互いに異なる金属及び/又は金属酸化物を含んでもよい。
粒子は、例えば、酸化銅を含む微粒子であってよい。酸化銅を含む微粒子の平均一次粒子径は、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは1nm以上50nm以下、さらに好ましくは1nm以上20nm以下である。平均一次粒子径が小さいほど、後述する光線の侵入長をコントロールしやすいため、好ましい。平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって測定される値である。平均一次粒子径が25nm以下では透過型電子顕微鏡を用い、25nmを超えたときは走査型電子顕微鏡を用いて測定する。
(有機物)
金属及び/又は金属酸化物を含む膜は、金属及び/又は金属酸化物のほかに、有機物を含んでいても良い。一態様において、有機物は、金属及び/又は金属酸化物の分散性を向上させる分散剤として機能する。有機物は光線を吸収できるものであっても良い。
分散剤としては、数平均分子量300~300,000の有機物を例示できる。数平均分子量が300以上であると、絶縁性に優れるとともに、金属及び/又は金属酸化物を含む膜の材料としてのペースト材料の分散安定性向上への寄与も大きい。また、数平均分子量が300,000以下であると、光線照射によって金属及び/又は金属酸化物を含む膜が容易に焼成されるため好ましい。分散剤は、金属又は金属酸化物に対する親和性を有する基を有していることが好ましく、この観点から、リン含有有機化合物が好ましく、ポリマーのリン酸エステルが更に好ましい。リン含有有機化合物は、配線パターン間に電気絶縁性の絶縁領域を形成できる点でも有利である。なお本開示で、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用い、標準ポリスチレン換算で求められる値である。
金属及び/又は金属酸化物を含む膜中、金属及び/又は金属酸化物の含有量に対するリン含有有機化合物の含有量の質量比率は、好ましくは、0.01以上0.4以下、又は0.03以上0.35以下、又は0.05以上0.25以下、又は0.1以上0.2以下である。上記範囲は、リン含有有機化合物による、吸光性向上、並びに金属及び/又は金属酸化物に吸着してこれらを基材に固定するという利点が顕著である点で好ましい。
リン含有有機化合物は、光及び/又は熱によって分解又は蒸発しやすいものであることが好ましい。光及び/又は熱によって分解又は蒸発しやすい有機物を用いることによって、焼成後に有機物の残渣が残りにくくなり、抵抗率の低い金属配線を得ることができる。
リン含有有機化合物の分解温度は、限定されないが、600℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることがさらに好ましい。分解温度は、リン含有有機化合物の安定性の観点から、好ましくは、160℃以上、又は210℃以上、又は260℃以上であってよい。
リン含有有機化合物の吸収特性は、限定されないが、金属及び/又は金属酸化物を含む膜の焼成に用いる光を吸収できることが好ましい。一態様において、レーザ光の発光波長としての、355nm、405nm、445nm、450nm、532nm、1064nm等の光を吸収するリン含有有機化合物を用いることが好ましい。基材が樹脂の場合、リン含有有機化合物は、355nm、405nm、445nm、450nm、及び/又は532nmの波長の光を吸収できることが好ましい。なお上記で光を吸収できるとは、紫外可視分光光度計で測定される吸収係数が0.10cm-1以上であることを意味する。
また、リン含有有機化合物の構造としては、酸化銅に対して親和性である水酸基を有する点で、リン酸のモノエステル又はジエステルが好ましい。例えば、下記一般式(1):
Figure 2022022196000002

(式中、Rは1価の有機基である。)
で表されるリン酸モノエステルは、酸化銅への吸着性及び基材への密着性に優れるため、好ましい。Rとしては、置換又は非置換の炭化水素基等を例示できる。
リン酸モノエステルの一例として、下記式(2):
Figure 2022022196000003

で表される構造を有する化合物を例示できる。
また、リン酸モノエステルの一例として、下記式(3):
Figure 2022022196000004

(式中、lは、1~20の数であり、mは、1~20の数であり、nは、1~20の数である。)
で表される構造を有する化合物も例示できる。
式中、lは、好ましくは、1~15、又は1~10であってよい。
式中、mは、好ましくは、1~15、又は1~10であってよい。
式中、nは、好ましくは、1~15、又は1~10であってよい。
リン含有有機化合物が有する有機構造としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリイミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリアセタール、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルニトリル(PENt)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリカルボジイミド、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フェノールノボラック、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノール、ポリクロロピレン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン(PSF)、ポリスルフィド、シリコーン樹脂、アルドース、セルロース、アミロース、プルラン、デキストリン、グルカン、フルクタン、キチン等の化合物に由来する(具体的には、官能基の変性若しくは修飾、又は重合等を経た)構造を有してよい。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアセタール、ポリブテン、及びポリスルフィドから選択されるポリマー骨格を有するリン含有有機化合物は、分解しやすく、焼成後に得られる金属配線中に残渣を残し難いため、好ましい。
リン含有有機化合物としては、市販品を用いることができ、具体的には、ビックケミー社製のDISPERBYK(登録商標)-102、DISPERBYK-103、DISPERBYK-106、DISPERBYK-109、DISPERBYK-110、DISPERBYK-111、DISPERBYK-118、DISPERBYK-140、DISPERBYK-145、DISPERBYK-168、DISPERBYK-180、DISPERBYK-182、DISPERBYK-187、DISPERBYK-190、DISPERBYK-191、DISPERBYK-193、DISPERBYK-194N、DISPERBYK-199、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2010、DISPERBYK-2012、DISPERBYK-2013、DISPERBYK-2015、DISPERBYK-2022、DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2152、DISPERBYK-2055、DISPERBYK-2060、DISPERBYK-2061、DISPERBYK-2164、DISPERBYK-2096、DISPERBYK-2200、BYK-405、BYK-607、BYK-9076、BYK-9077、BYK-P105、第一工業製薬社製のプライサーフ(登録商標)M208F、プライサーフDBS等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
(ヒドラジン及びヒドラジン水和物)
金属及び/又は金属酸化物を含む膜は、金属及び/又は金属酸化物の還元焼結性の観点から、ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を含むことが好ましい。ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物は、金属及び/又は金属酸化物を含む膜中に含ませることができる。当該膜がヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を含むことで、ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物が還元剤として機能し、光線照射後に得られる配線の抵抗がより低下する。当該膜中のヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物の含有量は、ヒドラジン量基準及び質量基準で、当該膜中の金属及び/又は金属酸化物の合計含有量に対して下記範囲であることが好ましい。
0.0001≦[(ヒドラジン質量)/(金属及び/又は金属酸化物の合計質量)]≦0.10
ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物の上記質量比率が0.0001以上である場合、金属配線の抵抗が低く好ましい。また、上記質量比率が0.10以下である場合、構造体の長期安定性が良好であり好ましい。
有機物の含有量は、膜の形成に用いるペースト材料100質量%中、好ましくは、0.1質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1質量%以上であり、好ましくは、30質量%以下、又は20質量%以下、又は10質量%以下である。
溶媒の具体例としては、アルコール類(1価アルコール及び多価アルコール(例えば、グリコール))、アルコール(例えばグリコール)のエーテル類、アルコール(例えばグリコール)のエステル類等を使用できる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよく、塗布方式に応じ、蒸発性、塗布機材、被塗布基材の耐溶剤性等を考慮し選択する。
溶媒としては、炭素数10以下のモノアルコールがより好ましい。中でも、金属及び/又は金属酸化物の分散性の低下を抑制する観点、及び配線の抵抗値低減の観点から、モノアルコールの炭素数は8以下であることがさらに好ましい。炭素数8以下のモノアルコールの中でも、炭素数2~4のモノアルコール、具体的には、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、及びt-ブタノールは、分散性、揮発性及び粘性がペースト材料の塗布に特に適しておりさらにより好ましい。これらのモノアルコールもまた、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
膜の形成に用いるペースト材料100質量%中の溶媒の量は、30質量%以上95質量%以下が好ましく、40質量%以上95質量%以下がさらに好ましく、50質量%以上90質量%以下が最も好ましい。
膜の形成に用いるペースト材料は、還元剤を更に含むことができる。ペースト材料が還元剤を含む場合、特に低抵抗な配線が得られ好ましい。還元剤としては、前述のヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物が好ましい。還元剤の含有量は、ペースト材料100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上、又は0.02質量%以上、又は0.05質量%以上であり、好ましくは、30質量%以下、又は10質量%以下、又は5質量%以下である。
≪金属配線の特性≫
本実施形態で製造される金属配線は、以下に例示する特性を有し得る。
一態様において、本開示で製造される金属配線の厚みは、好ましくは、0.1μm以上、又は0.5μm以上、又は1μm以上であってよく、好ましくは、20μm以下、又は10μm以下、又は8μm以下であってよい。
一態様において、本開示で製造される金属配線の表面には、0.3μm2以上700μm2以下の開口面積を有する孔が存在してよい。金属配線上に発生する異常部を少なくする観点から、孔の開口面積は、一態様において0.3μm2以上700μm2以下、好ましくは0.3μm2以上600μm2以下、より好ましくは0.5μm2以上500μm2以下である。
一態様においては、金属配線の表面の面積に対する、0.3μm2以上700μm2以下の開口面積を有する孔の面積割合が0.5%以上70%以下である。上記面積割合は、金属配線上に発生する異常部を少なくする観点から、一態様において0.5%以上70%以下であり、好ましくは1%以上50%以下、より好ましくは1.5%以上30%以下、さらに好ましくは2%以上25%以下、さらに好ましくは2.5%以上20%以下、さらに好ましくは3%以上20%以下である。
レーザ光照射時には、通常、膜が体積収縮するが、孔の面積割合が上記範囲内にある金属配線においては、レーザ光照射時に膜が体積収縮する際の応力が緩和されているため、又は、レーザ光照射時の熱が膜の外に放熱されているため、クラック、基材の部分的な焦げ等の異常部が低減されていることができる。
金属配線の断面には、0.3μm2以上700μm2以下の断面積を有する孔が少なくとも1つ存在することが好ましい。金属配線上に発生する異常部を少なくする観点から、孔の上記断面積は、好ましくは0.3μm2以上700μm2以下、より好ましくは0.3μm2以上600μm2以下、さらに好ましくは0.5μm2以上500μm2以下である。金属配線の断面方向に孔が存在する場合、レーザ光照射時に膜が体積収縮する際の応力が緩和され、又はレーザ光照射時の熱が膜の外に放熱されているため、クラック、基材の部分的な焦げ等の異常部が低減されていることができる。
なお、上記の開口面積又は断面積を有する孔の存在の確認、及び上記の面積割合の算出は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、以下の条件で行う。
測定装置:走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社日立ハイテク製、FlexSEM1000)
測定条件:加速電圧 5kV
測定モード:二次電子観察(表面観察について)、又は反射電子観察(断面観察について)
観察倍率:2000倍(表面観察について)、又は2500倍(断面観察について)
観察及び画像解析の視野サイズ:40μm×40μm(表面観察について)、又は[金属配線厚み]×[当該厚み方向に対して垂直の方向の長さ40μm]の矩形
孔の面積及び上記面積割合は、SEM画像から、解析ソフトImageJ(オープンソース、パブリックドメインの画像処理ソフトウェア)を用いた画像解析により求められる値である。具体的には、孔が識別できるように画像を2値化(一態様において閾値は80とする)して、孔と孔以外の部分との面積比を求め、上記面積割合を算出する。
孔の大きさは、レーザ光照射時のレーザ光の走査速度及びスポット径によって制御されていてよい。レーザ光の走査速度を大きくすると孔のサイズが大きくなる傾向があり、レーザ光走査速度を小さくすると孔のサイズが小さくなる傾向がある。また、スポット径を大きくすると孔のサイズが大きくなる傾向があり、スポット径を小さくすると孔のサイズが小さくなる傾向がある。
金属配線の表面における孔の上記面積割合は、レーザ光を前述のように重複照射する場合のオーバーラップ率によって制御されていてよい。オーバーラップ率を低くすると面積割合が大きくなる傾向があり、オーバーラップ率を高くすると面積割合が小さくなる傾向がある。
≪金属配線製造装置、レーザ光照射制御装置、レーザ光照射制御プログラム≫
本発明の一態様は、基材と、当該基材上に配置された、金属及び/又は金属酸化物を含む膜とを含む構造体における、膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成するための金属配線製造装置を提供する。
本発明の一態様はまた、金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定した照射領域にレーザ光を照射するために金属配線製造装置のレーザ発振装置及びレーザ光走査装置、並びに任意に出力調整機構、スポット調整機構等の機構を制御するレーザ光照射制御装置、並びにレーザ光制御プログラムを提供する。
図7は、本実施形態の金属配線製造装置の構成例を示す模式図であり、図8は、本実施形態の金属配線製造装置の構成例を示すブロック図である。図7及び8を参照し、一態様において、金属配線製造装置100は、構造体を保持する構造体保持部101、レーザ光を発生させるレーザ発振装置102、レーザ発振装置から出射されたレーザ光を走査するレーザ光走査装置103、並びに、レーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103を制御する処理装置104を備え、典型的には、記憶装置105、表示装置106、入力装置107、及び、本開示の出力部の一態様でもあるインターフェース装置108を更に備える。金属配線製造装置100は、出力調整機構(図示せず)、スポット調整機構(図示せず)等の機構を更に備えてよい。なお金属配線製造装置100を構成する装置の形態は限定されず、各装置が別個の機器を構成してもよいし、2以上の装置が1の機器を構成してもよい。
処理装置104は、記憶装置105、表示装置106、入力装置107及びインターフェース装置108とともにレーザ光照射制御装置400を構成する。レーザ光照射制御装置400は専用のハードウェアとして構成されてよく、又は、汎用コンピュータにプログラムをインストールしてレーザ光照射制御装置400として機能させてよい。処理装置104は、走査制御信号を、インターフェース装置108経由でレーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103、並びに任意に出力調整機構、スポット調整機構等の機構に出力してこれらの動作を制御する。
<構造体保持部101>
構造体保持部101は、基材11aと膜11bとを含む構造体11を保持し、一態様においては試料室である。試料室は窓部を有してよい。窓部は、基材11a上に配置された膜11bに、当該窓部を介してレーザ光Laを到達させ得る光透過性を有している。一態様においては、窓部の波長355nmにおける光線透過率が80%以上であり、好ましくは、85%以上、又は90%以上であってよい。上記光線透過率は理想的には100%であるが、窓部の形成容易性の観点から、例えば、98%以下、又は95%以下であってもよい。上記光線透過率は、紫外可視分光光度計で測定される値である。試料室は不活性ガス導入口を有してよく、例えば、不活性ガス発生器(図示せず)で発生させた不活性ガスが不活性ガス導入口を介して試料室内に導入されるように構成されていてよい。構造体保持部101は、構造体をXYZ三次元方向に移動又は傾斜させる駆動機構(例えばモータ等)を備えてもよい。
<レーザ発振装置102>
レーザ発振装置102は、所望の波長のレーザ光を出射するように構成されている。レーザ発振装置102は例えばレーザ発振器である。レーザ光源は、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、YVO4(イットリウムバナデイト)、Yb(イッテルビウム)、半導体(GaAs,GaAlAs,GaInAs)、炭酸ガス、ファイバーレーザー等であってよい。レーザ光としては、基本波だけでなく必要に応じ高調波が取り出されてよい。レーザ発振装置は、冷却装置等を備えてよい。一態様において、レーザ発振装置は、パルス光を出射するように構成されてよい。パルス波の1パルスあたりの幅は、好ましくは、1~100ナノ秒、又は2~50ナノ秒、又は3~30ナノ秒であってよい。この場合、レーザ発振装置は、パルス光の初期パルスを抑制するパルス抑制機構を備えてよい。パルス抑制機構は、出射開始時の過大なパルス光が膜に照射されるのを防止することで、アブレーション又は炭化を防止する。パルス抑制機構は、例えば、ファーストパルスサブレッション機能(FPS機能)、すなわち、初期パルスの余分な出力を前もって予測し、その余分な出力を低下させる機能を有してよい。
<レーザ光走査装置103>
レーザ光走査装置103は、レーザ発振装置102から出射されたレーザ光Laを走査する。一態様において、レーザ光走査装置は、ガルバノモータとガルバノミラーとを備えるガルバノスキャナであり、図7では当該ガルバノスキャナを例示している。レーザ光走査装置103としてのガルバノスキャナは、X軸ガルバノミラー103a、X軸ガルバノモータ103b、Y軸ガルバノミラー103c及びY軸ガルバノモータ103dを有する。ガルバノスキャナは、fθレンズ(図示せず)、Z軸調整用駆動レンズ(図示せず)等を有してもよい。X軸ガルバノモータ103b及びY軸ガルバノモータ103dは、処理装置104に電気的に接続されている。
ガルバノスキャナは、処理装置104からの走査制御信号に従って、X軸ガルバノモータ103b及びY軸ガルバノモータ103dの回転角及び回転速度を制御可能に構成されている。レーザ光Laは、レーザ光走査装置103により走査されて膜11bの表面に照射される。
上記では、レーザ光走査装置103としてガルバノスキャナを例示したが、ガルバノスキャナ以外のレーザ光走査装置も使用可能である。例えば、レーザ光走査装置103は、ガルバノスキャナに代えて、構造体11をX軸方向及びY軸方向の両方に移動できるX-Yステージを載置台として用い、レーザ光Laの照射点pを移動させる代わりに構造体11を移動させてもよい。
図7に示す、レーザ光走査装置103としてのガルバノスキャナは、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの移動に、X軸ガルバノミラー103a、Y軸ガルバノミラー103cのそれぞれを用いているが、ガルバノミラーをX軸及びY軸のいずれか一方に用いること、例えば、X軸方向のみの移動にガルバノミラーを用い、Y軸方向の移動には構造体11を載置している載置台(図示せず)のモータ等を用いることも可能である。
<出力調整機構>
金属配線製造装置は、レーザ光の出力を調整する出力調整機構(図示せず)を有してもよい。出力の調整によりレーザ光照射時のアブレーション又は炭化を抑制できる。出力調整機構の一例は、レーザ光の経路上に配置されるアッテネータである。アッテネータは、処理装置104に電気的に接続され、処理装置104からの制御信号により出力値を任意の値に変更することが出来る。又は、出力調整機構は、出力値を手動操作により変更可能であるように構成されていてもよい。
<スポット調整機構>
金属配線製造装置は、レーザ光の焦点位置におけるスポット径を調整するスポット調整機構(図示せず)を有してよい。スポット調整機構は、レーザ光の集光密度を制御してスポット径を調整することで、アブレーション又は炭化を防止する。スポット調整機構の一例は、ガルバノスキャナに入射する光線の直径を拡大若しくは縮小させる装置であり、例えばビームエキスパンダを利用することが出来る。レーザ光の直径を変化させることで、集光レンズによって集光された焦点におけるスポット径を変化させることが出来る。レーザ光の直径を拡大することでスポット径は小さくなり、レーザ光の直径を縮小することでスポット径は大きくなる。一態様においては、ビームエキスパンダを、Z軸方向のレーザ光照射位置に応じて制御してよい。
<処理装置104>
処理装置104は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理装置104として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
処理装置104は、レーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103を制御し、更に、出力調整機構及び/又はスポット調整機構が存在する場合にはこれらも制御する。処理装置104は:
二次元の照射領域パターンと、当該照射領域パターンの外接平行四辺形内の照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターン;及び
走査領域パターンに割り当てられた走査パラメータ;
に従った走査制御信号を、出力部としてのインターフェース装置108経由で、レーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103、並びに任意に出力調整機構、スポット調整機構等の機構に出力する。これにより、レーザ光Laの照射ターゲット位置pを、走査制御信号に従って、平行四辺形内の全域に亘り平行四辺形の第1の辺の方向(例えば図7中のX軸方向)に走査しながら第1の辺に隣接する第2の辺の方向(例えば図7中のY軸方向)に移動させるように、レーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103、並びに任意に出力調整機構、スポット調整機構等の機構を動作させる。
一態様において、処理装置104は、記憶装置105に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、座標データ生成部410、及び走査制御信号生成部420として機能する。
座標データ生成部410は、入力された二次元の照射領域パターンに対して外接平行四辺形を指定し、外接平行四辺形内の照射領域パターン以外の領域を非照射領域パターンとして指定した上で、照射領域パターン及び非照射領域パターンで構成される走査領域パターンの座標データを生成する。
一態様において、座標データ生成部410は、パターン生成手段411、図形指定手段412、図形評価手段413、及びデータ変換手段414を有する。
走査制御信号生成部420は、座標データ生成部410が生成した座標データに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てて、座標データ及び走査パラメータに従った走査制御信号を生成する。
出力部としてのインターフェース装置108は、走査制御信号生成部420が生成した走査制御信号を、レーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103、並びに任意に出力調整機構、スポット調整機構等の機構に出力する。
<記憶装置105>
記憶装置105は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置105には、金属配線製造装置100又はレーザ光照射制御装置400の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置105にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
記憶装置105には、座標データ生成プログラム、走査制御信号生成プログラム及び走査制御信号出力プログラムで構成されたレーザ光照射制御プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。記憶装置105に記憶されたプログラムは、入力された二次元の照射領域パターンに対して外接平行四辺形を指定し、更に外接平行四辺形内の照射領域パターン以外の領域を非照射領域パターンとして指定した上で、照射領域パターン及び非照射領域パターンで構成される走査領域パターンの座標データを生成し、座標データに対して、予め設定した走査パラメータを割り当て、座標データ及び走査パラメータに従った走査制御信号を生成し、走査制御信号を出力することを、レーザ光照射制御装置に実行させる。
<表示装置106、入力装置107、インターフェース装置108>
表示装置106は、ディスプレイ(有機ELディスプレイ等)等であってよく、入力装置107に入力された情報、処理装置104の状態等を表示する。
入力装置107は、キーボード、マウス等の入力デバイスであってよく、ユーザからの入力を受け付ける。
インターフェース装置108は、USB等のハードウェアインターフェース、有線LAN(Local Area Network)若しくは無線LAN等のネットワークインターフェース等であってよく、レーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103並びに任意の他の機構と処理装置104との通信を可能にする。
<レーザ光照射制御処理>
図9A~Cは、本実施形態のレーザ光照射制御プログラムによって実行される処理について説明するフローチャートである。以下、図9A~Cに示したフローチャートを参照しつつ、金属配線製造装置100及びレーザ光照射制御装置400の動作の例を説明する。以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置105に記憶されているプログラムに基づき主に処理装置104により金属配線製造装置100の各要素と協働して実行される。
最初に、パターン生成手段411は、照射領域パターンを生成する(ステップS101)、照射領域パターンは、予め照射領域パターン情報が格納された外部装置からの入力、ユーザからの描画等による入力、予め記憶装置105に記憶させた照射領域パターン情報の読み出し等によって生成される。
一態様において、照射領域パターンは、以下の手順で生成されたものでもよい。図9Bを参照し、パターン生成手段411は、最初に、X軸方向長さA1及びY軸方向長さB1を有する二次元ベースパターンを生成する(ステップS11)とともに、膜表面のXYZ三次元形状パターンを生成する(ステップS12)。当該XYZ三次元形状パターンは、イメージセンサ等の画像認識装置で取得された形状情報に基づいて生成してよい。次いで、パターン生成手段411は、当該XYZ三次元形状パターン上に二次元ベースパターンを投影して照射領域決定用三次元パターンを生成し(ステップS13)、照射領域決定用三次元パターンの、X軸方向に対して垂直な方向の長さB2を計測し(ステップS14)、二次元ベースパターンのY軸方向長さB1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成して(ステップS15)、一連のステップを終了する。この縮小補正パターンを、照射領域パターンとする。
図9Aを再び参照し、ステップS101に次いで、図形指定手段412は、照射領域パターンの外接平行四辺形を指定する(ステップS102)。照射領域パターンが2以上の閉図形で構成されている場合、図形指定手段412は、当該2以上の閉図形に対して1つの外接平行四辺形を指定するか、1つの閉図形に対して1つの外接平行四辺形を指定するかを、座標データ生成プログラムの設定又はユーザからの入力に基づいて判定する。
図9Cは、ステップS102のより好適な処理例を示す。図9Cを参照し、図形指定手段412は、最初に、外接平行四辺形を生成し(ステップS21)、次いで指定する外接平行四辺形を矩形に限定するか否かを、座標データ生成プログラムの設定又はユーザからの入力に基づいて判定する(ステップS22)。
ステップS22において、指定する外接平行四辺形を矩形に限定する場合には、図形評価手段413が、外接平行四辺形が矩形であるか否かを判定し(ステップS23)、矩形に限定しない場合、図形指定手段412は、ステップS23を経ることなく、指定する外接平行四辺形を最小外接平行四辺形に限定するか否かを、座標データ生成プログラムの設定又はユーザからの入力に基づいて判定する(ステップS24)。
上記ステップS23において、外接平行四辺形が矩形である場合には、上記ステップS24に進み、外接平行四辺形が矩形でない場合には、上記ステップS21に戻る。
上記ステップS24において、指定する外接平行四辺形を最小外接平行四辺形に限定する場合には、図形評価手段413が、外接平行四辺形が最小であるか否かを判定し(ステップS25)、最小外接平行四辺形に限定しない場合には、ステップS25を経ずに外接平行四辺形の決定(ステップS26)に進んで、一連のステップを終了する。
上記ステップS25において、外接平行四辺形が最小である場合には、上記ステップS26に進んで一連のステップを終了し、最小でない場合には、上記ステップS21に戻る。
なおステップS102において、外接平行四辺形の指定がユーザによって行われてもよい。一態様に係るステップS102において、図形指定手段412は、照射領域パターンの形状データを出力し、そして外接平行四辺形の形状データを取得する。
図9Aを再び参照し、ステップS102に次いで、図形指定手段412は、ステップS102で指定した外接平行四辺形内の照射領域パターン以外の領域を非照射領域パターンとして指定する(ステップS103)。
パターン生成手段411は、ステップS101で生成した照射領域パターンと、ステップS103で指定された非照射領域パターンとに基づいて、これらで構成される走査領域パターンを生成する(ステップS104)。
ステップS104の後、パターン生成手段411は、膜表面の三次元形状パターン上への走査領域パターンの投影を実行するか否かを、座標データ生成プログラムの設定又はユーザからの入力に基づいて判定する(ステップS105)。
ステップS105において投影処理有りの場合、パターン生成手段411は、膜表面の三次元形状パターンを生成し(ステップS106)、当該三次元形状パターン上に走査領域パターンを投影して三次元の走査領域パターンを生成する(ステップS107)。当該三次元形状パターンは、イメージセンサ等の画像認識装置で取得された形状情報に基づいて生成してよいが、前述のステップS11において膜表面の三次元形状パターンが既に生成されている場合には当該パターンを用いてよい。
データ変換手段414は、ステップS107で生成した三次元の走査領域パターンのデータを取得して座標データに変換し、三次元の走査領域パターンを示す座標データを生成する(ステップS108)。
一方、ステップS105において投影処理無しの場合、データ変換手段414は、ステップS104で生成した二次元の走査領域パターンのデータを取得して座標データに変換し、二次元の走査領域パターンを示す座標データを生成する(ステップS108)。
なお一態様においては、ステップS105~S107の処理は省略され、パターン生成手段411は、膜表面の三次元形状パターン上への走査領域パターンの投影を実行するか否かを判定しなくてもよい。
次いで、走査制御信号生成部420は、予め走査パラメータ情報が格納された外部装置からの入力、ユーザからの入力、予め記憶装置105に記憶させた走査パラメータ情報の読み出し等によって、レーザ光照射条件を規定する走査パラメータを生成する(ステップS109)。走査パラメータは、平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含む。一態様において、走査パラメータは、レーザ光出射及びレーザ光不出射を制御するためのレーザ発振装置のオンオフ切り替えを含む。
走査制御信号生成部420は、ステップS109で生成された走査パラメータを、ステップS108で生成された座標データに割り当てることによって走査制御信号を生成する(ステップS110)。一態様において、非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータは、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる。すなわち一態様において、走査制御信号生成部420は、照射領域パターンと非照射領域とに対して、レーザ発振装置のオンオフ切り替え以外は同一の走査パラメータを割り当てる。
出力部としてのインターフェース装置108は、ステップS110で生成された走査制御信号を金属配線製造装置100のレーザ発振装置102及びレーザ光走査装置103、並びに任意に出力調整機構、スポット調整機構等の機構に出力して(ステップS111)、一連のステップを終了する。
なお本開示の金属配線製造装置、レーザ光照射制御装置及びレーザ光照射制御プログラムにおいて、上記以外の種々の態様(例えば、走査領域パターンの生成、走査パラメータ等の詳細)の具体例は、≪金属配線の製造方法≫において前述したのと同様であってよく、ここでは説明を繰り返さない。
≪記録媒体又は記録機器≫
本発明の一態様は、本開示のレーザ光照射制御プログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録機器も提供する。上記コンピュータは、CPU、メインメモリ、ストレージ、入出力デバイス、ハードウェアインターフェース等を含む一般的なハードウェア構成を有してよい。また、上記の記録媒体は、RAM、ROM等のメモリ装置、CD-ROM、DVD-ROM、光ディスク等の可搬用の記憶装置であってよい。上記プログラムは、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも包含する。上記記録機器は、上記プログラムがソフトウェア、ファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用若しくは専用の機器であってよい。プログラムに含まれる各処理及び機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のハードウェア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明の例示の態様を更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
[実施例1]
(ペースト材料の調製)
水800g及び1,2-プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬製)400gからなる混合溶媒中に、酢酸銅(II)一水和物(富士フイルム和光純薬製)80gを溶解し、ヒドラジン水和物(富士フイルム和光純薬製)20gを加えて攪拌した後、遠心分離を用いて上澄みと沈殿物とに分離した。
得られた沈殿物2.8gに、リン含有有機化合物としてDISPERBYK-145(商品名、ビックケミー社製)(BYK-145)0.4g、及び分散媒としてエタノール(富士フイルム和光純薬製)6.6gを加え、ホモジナイザを用いて分散した。さらにエタノールによる希釈と濃縮を繰り返し、これにより、酸化第一銅(酸化銅(I))を含む酸化第一銅微粒子を含有するペースト材料を得た。最終組成は沈殿物が2.8g、BYK-145が0.4g、エタノールが6.6g、ヒドラジン水和物が0.01gであった。
(膜の形成)
基材としてポリカーボネート基板を準備し、表面にUVオゾン処理を施した後、ペースト材料をスピンコート(500rpm×30秒)し、25℃で10分間乾燥後、60℃で2時間乾燥させ、基材上に厚み3.0μmの膜が形成された構造体1を得た。
(金属配線製造装置の準備)
レーザー発振器としてSpectraPhysics株式会社製Talon355、ガルバノスキャナとして株式会社安川電機社製YD-300、窒素発生器として株式会社サタコ製SUF-500、試料室として、アルミニウム合金A5052からなる箱形状の1つの面にガラスの窓部を取り付け、窒素ガス導入口と排気ガス排出口を設け、内部に酸素濃度計を配置した試料室、コンピュータとしてヒューレッドパッカード社製ZBook 15 G5、からなる金属配線製造装置を準備した。なお上記窓部のガラスについて、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV-3600)を用いて波長355nmの光線透過率を測定したところ、92.2%であった。
上記の金属配線製造装置は、コンピュータから制御可能なアッテネータを備え、これによりレーザ光の出力を調節した。また、レーザ発振器は、内部にFPS機能を備え、出射開始時に過大な初期パルスが生成されることを防止した。さらに、ガルバノスキャナにレーザ光を導入する前の位置にビームエキスパンダーを設け、レーザ光の直径を拡大若しくは縮小させることで、焦点位置におけるスポット径の大きさを制御した。
(サンプルの設置)
構造体1を上記試料室に入れた。試料室内に取り付けられた酸素濃度計にて酸素濃度が1質量%以下になるまで、不活性ガスである窒素ガスをフローさせた。
(レーザ光による焼成及び導電性評価)
図10Aに示すL字形の照射領域パターンaに対して、外接平行四辺形Aを指定した。
レーザ光の照射位置を、点pを始点として、最大速度30mm/秒の速さで走査方向(長さ6mmである長手方向)に6mm動かした(1回目照射)後、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度30mm/秒の速さで動かす(2回目照射)ように、ソフトウェアで走査パラメータを設定した。この方法で照射位置を走査方向に垂直な方向に3mm動かした。
次に、レーザ光の照射位置を、最大速度30mm/秒の速さで走査方向に1mm動かし、レーザ光を照射せずに(休止区間b)同じ走査方向に最大速度30mm/秒の速さで5mm動かし、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度30mm/秒の速さで1mm動かし、レーザ光を照射せずに(休止区間b)、同じ走査方向に最大速度30mm/秒の速さで5mm動かすように、ソフトウェアで走査パラメータを設定した。他の走査パラメータは、中心波長355nm、周波数300kHz、パルス幅15ns、出力950mW、出力密度0.06mW/μm2とした。
上記レーザ光照射条件にて、図10Aに示す寸法の、銅を含む金属配線を得た。
得られた金属配線の導電性は、デジタルマルチメーターAD7461(ADVANTEST社製)を用いて評価した。評価の為に金属配線を図10Bに示す切断線Cにてパートcとパートdとに切断した。
パートc(6mm×3mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.40Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は30.0μΩcmであった。
パートd(2mm×1mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.39Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は29.3μΩcmであった。
パートcとパートdとは、ほぼ同じ体積抵抗率を示し、抵抗ばらつきの少ない金属配線が得られたことを確認した。
(オーバーラップ率)
実施例1で用いたレーザ光のスポット径を、オフィール社製ビームプロファイラーSP928を用いて計測した結果、直径142μmであった。実施例1で走査したときの走査線のオーバーラップ率を計算すると78.9%であった。
[比較例1]
レーザ光照射パターンの設定以外は実施例1と同様にして、サンプル作製及び抵抗値測定を行った。
図10Aに示すL字形閉図形パターンに対し、点pを始点として、レーザ光の照射位置を、最大速度30mm/秒の速さで走査方向(長手方向)に6mm動かした(1回目照射)後、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度30mm/秒の速さで動かす(2回目照射)ように、ソフトウェアで走査パラメータを設定した。この方法で、走査方向に垂直な方向に3mm動かした。
次いで、レーザ光の照射位置を、最大速度30mm/秒の速さで走査方向に1mm動かした後、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度30mm/秒の速さで動かすように、ソフトウェアで走査パラメータを設定した。他の走査パラメータは、中心波長355nm、周波数300kHz、パルス幅15ns、出力950mW、出力密度0.06mW/μm2とした。
上記レーザ光照射条件にて、図10Aに示す寸法の、銅を含む金属配線を得た。
得られた金属配線の導電性は、デジタルマルチメーターAD7461(ADVANTEST社製)を用いて評価した。評価の為に金属配線を図10Bに示す切断線Cにてパートdとパートdとに切断した。
パートc(6mm×3mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.42Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は31.5μΩcmであった。
パートd(2mm×1mm)の部分は膜が吹き飛んでおり、抵抗測定は出来なかった。
[実施例2]
用いたレーザ光のスポット直径を33μm、、出力を80mW、出力密度を0.09mW/μm、とすること以外は実施例1と同様にして、金属配線の形成、スポット径及びオーバーラップ率の評価、並びに導電性評価を行った。
走査線のオーバーラップ率を計算すると9.1%であった。
パートc(6mm×3mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、1.07Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は80.3μΩcmであった。
パートd(2mm×1mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.98Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は73.5μΩcmであった。
パートcとパートdとは、体積抵抗率に差が見られたが、抵抗ばらつきの比較的少ない金属配線が得られたことを確認した。
[実施例3]
走査方向に垂直な方向に移動させる値を20μmにすること以外は実施例2と同様にして、金属配線の形成、スポット径及びオーバーラップ率の評価、並びに導電性評価を行った。
走査線のオーバーラップ率を計算すると39.4%であった。
パートc(6mm×3mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.34Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は25.5μΩcmであった。
パートd(2mm×1mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.35Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は26.3μΩcmであった。
パートcとパートdとは、ほぼ同じ体積抵抗率を示し、抵抗ばらつきの少ない金属配線が得られたことを確認した。
[実施例4]
用いたレーザ光のスポット直径を142μm、出力を350mW、出力密度を0.02mW/μm2とすること以外は実施例1と同様にして、金属配線の形成、スポット径及びオーバーラップ率の評価、並びに導電性評価を行った。
走査線のオーバーラップ率を計算すると99.2%であった。
パートc(6mm×3mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、1.61Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は120.8μΩcmであった。
パートd(2mm×1mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、2.21Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は165.8μΩcmであった。
パートcとパートdとは、体積抵抗率に差が見られたが、抵抗ばらつきの比較的少ない金属配線が得られたことを確認した。
[実施例5]
(立体形状部への膜の形成)
基材として直径50mmのガラス円筒を準備し、水に浸して超音波洗浄を5分行い、さらにエタノールに浸して超音波洗浄を5分間行って乾燥させた後、表面にUVオゾン処理を5分間施し、実施例1で調製したペースト材料を満たした容器に漬け込み、ガラス円筒を引き上げた。さらに25℃で5分間乾燥後、90℃に設定した乾燥機で2時間乾燥させ、ガラス円筒の表面に1.8μmの塗布膜が形成された構造体2を得た。
(外接平行四辺形の設定)
実施例1と同じ配線パターン(以下、配線パターン1とする)の長辺と短辺をそれぞれ含むように外接する平行四辺形1を設定した。同様にして配線パターン1と左右対称とした配線パターン(以下、配線パターン2とする)の長辺と短辺をそれぞれ含むように外接する平行四辺形2を設定した。
(照射領域パターンの投影)
直径50mmのガラス円筒の塗布膜の表面形状上に、上述の外接する平行四辺形1と2を含む照射領域パターンを投影して、3次元の照射領域パターンXを作成した。
(レーザ光による焼成及び導電性評価)
ガラス円筒上の塗布膜の上でレーザ光のスポット直径がおよそ100μmになるようにガラス円筒の位置を調整した。配線パターン1について、レーザ光の照射位置を、最大速度25mm/秒の速さで走査方向(配線パターン1で長さ6mmである長手方向)に6mm動かした(1回目照射)後、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度25mm/秒の速さで動かす(2回目照射)ように、ソフトウェアで走査パラメータを設定した。この方法で照射位置を走査方向に垂直な方向に3mm動かした。
次に、レーザ光の照射位置を、最大速度25mm/秒の速さで走査方向に1mm動かし、レーザ光を照射せずに(休止区間b)同じ走査方向に最大速度25mm/秒の速さで5mm動かし、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度25mm/秒の速さで1mm動かし、レーザ光を照射せずに(休止区間b)、同じ走査方向に最大速度25mm/秒の速さで5mm動かすように、ソフトウェアで走査パラメータを設定した。この方法で照射位置を走査方向に垂直な方向に2mm動かした。このようにして配線パターン1の銅を含む金属配線を得た。
配線パターン2について、レーザ光の照射を、最大速度25mm/秒の速さで走査方向に1mm動かした後、レーザ光を照射せずに(休止区間b)同じ走査方向に最大速度25mm/秒の速さで5mm動かし、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度25mm/秒の速さで1mm動かし、レーザ光を照射せずに(休止区間b)、同じ走査方向に最大速度25mm/秒の速さで5mm動かすようにソフトウェアで走査パラメータを設定した。この方法で照射位置を走査方向に垂直な方向に2mm動かした。
次に、レーザ光の照射位置を、最大速度25mm/秒の速さで走査方向に6mm動かした(1回目照射)後、走査方向に垂直な方向に30μm移動させて再び走査方向に最大速度25mm/秒の速さで動かす(2回目照射)ように、ソフトウェアで走査パラメータを設定した。この方法で照射位置を走査方向に垂直な方向に3mm動かした。このようにして配線パターン2の銅を含む金属配線を得た。
得られた金属配線の導電性は、デジタルマルチメーターAD7461(ADVANTEST社製)を用いて評価した。評価の為に配線パターン1の金属配線を図10Bに示す切断線Cにてパートcとパートdとに分断した。
パートc(3mm×6mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.31Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は23.3μΩcmであった。
パートd(2mm×1mm)の長手方向の両端にテスターを当てて4端子測定法にて抵抗値を評価したところ、0.29Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は21.8μΩcmであった。
パートcとパートdとは、ほぼ同じ体積抵抗率を示し、抵抗ばらつきの少ない金属配線が得られたことを確認した。
同様に配線パターン2でも切断線Cにてパートcとパートdとに分断し、抵抗値を求めた所、パートcの抵抗値は0.30Ω(3回測定の平均値)であった。また体積抵抗率は22.5μΩcmであった。またパートdの抵抗値は0.29Ω(3回測定の平均値)で、体積抵抗率は21.8μΩcmであった。
パートcとパートdとは、ほぼ同じ体積抵抗率を示し、抵抗ばらつきの少ない金属配線が得られたことを確認した。
[比較例2]
実施例1と同様の方法で、図10Aに示すL字形の照射領域パターンaに対して、外接しない平行四辺形B(照射領域パターンaの外側に8mm×8mmの長方形)を設定したこと以外は実施例1と同様に銅を含む金属配線を作製した。特に、L字形の照射領域パターンaの中はレーザ光を照射し、それ以外の外接しない平行四辺形Bの中は不出射とした。その結果、銅を含む金属配線を作製するレーザ光を照射する処理時間が、実施例1と比較して2.1倍の時間が掛かり、生産性に課題を生じた。
本発明の一態様によって得られる金属配線は、電子回路基板等の配線材、メッシュ電極、電磁波シールド材、及び、放熱材料の作製に好適に利用できる。
1,2,4 閉図形
A,A1,A2,A3,A4 外接平行四辺形
1a,2a,2b,2c,4a,4b,4c,4d 非照射領域パターン
S 照射ターゲット位置の走査長
S1 レーザ光出射部の走査長
S2 レーザ光不出射部の走査長
D1 第1の辺の方向
D2 第2の辺の方向
40 二次元ベースパターン
41 膜表面の三次元形状パターン
42 照射領域決定用三次元パターン
P 照射領域パターン
R 照射領域
11 構造体
11a 基材
11b 膜
100 金属配線製造装置
101 構造体保持部
102 レーザ発振装置
103 レーザ光走査装置
103a X軸ガルバノミラー
103b X軸ガルバノモータ
103c Y軸ガルバノミラー
103d Y軸ガルバノモータ
104 処理装置
400 レーザ光照射制御装置

Claims (32)

  1. 金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程を含む、金属配線の製造方法であって、
    前記レーザ光照射工程が、以下のステップ:
    予め作成され1又は2以上の閉図形で構成された二次元の照射領域パターンと、前記照射領域パターンの外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターンを生成する、走査領域パターン生成ステップ;
    前記走査領域パターンに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てる、パラメータ割り当てステップ;並びに
    前記走査領域パターン及び前記走査パラメータに従って、前記レーザ光の照射ターゲット位置を前記外接平行四辺形内の全域に亘り前記外接平行四辺形の第1の辺の方向に走査しながら前記第1の辺に隣接する第2の辺の方向に移動させることによって、前記照射領域にレーザ光を照射する、照射ステップ、
    を含み、
    前記走査パラメータが、前記外接平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含む、方法。
  2. 前記レーザ光照射工程に供される前記膜が、基材上に形成されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記レーザ光照射工程に供される前記膜が、前記基材上に形成された塗膜である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記外接平行四辺形が、最小外接矩形である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記外接平行四辺形が長辺及び短辺を有する矩形であり、前記第1の辺が長辺である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記照射領域パターンが2以上の閉図形で構成されており、各閉図形に対して前記外接平行四辺形を指定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記照射領域パターンが、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に生成された三次元パターンの二次元投影パターンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記照射領域パターンが、
    XY平面上に予め生成した二次元ベースパターンを、予め取得した膜表面のXYZ三次元形状パターン上に投影して、照射領域決定用三次元パターンを生成すること、
    前記二次元ベースパターン上のY軸方向の差渡し部Bの寸法B1を計測すること、
    前記照射領域決定用三次元パターン上の、前記差渡し部Bの投影部の寸法B2を計測すること、
    前記二次元ベースパターンの前記寸法B1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成すること、
    によって生成された縮小補正パターンであり、
    前記照射ステップにおいて、X軸方向を前記第1の辺の方向に指定し、Y軸方向を前記第2の辺の方向に指定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記レーザ光を、走査線の線幅方向にオーバーラップさせながら走査する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記オーバーラップが、前記線幅の10%以上99%以下である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記膜が、銅及び/又は酸化銅を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記膜が、分散剤を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 基材と、前記基材上に配置された、金属及び/又は金属酸化物を含む膜とを含む構造体における、前記膜の予め設定された照射領域にレーザ光を照射して金属配線を形成するための金属配線製造装置であって、
    前記金属配線製造装置が:
    構造体を保持する構造体保持部;
    レーザ光を発生させるレーザ発振装置;
    前記レーザ発振装置から出射されたレーザ光を走査するレーザ光走査装置;並びに
    前記レーザ発振装置及び前記レーザ光走査装置を制御する処理装置;
    を備え、
    前記処理装置が:
    二次元の照射領域パターンと、前記照射領域パターンの外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域である非照射領域パターンとで構成される走査領域パターン;及び
    前記走査領域パターンに割り当てられた走査パラメータ;
    に従った走査制御信号を前記レーザ発振装置及び前記レーザ光走査装置に出力することによって、前記走査制御信号に従って、前記レーザ光の照射ターゲット位置を、前記外接平行四辺形内の全域に亘り前記外接平行四辺形の第1の辺の方向に走査しながら前記第1の辺に隣接する第2の辺の方向に移動させるように、前記レーザ発振装置及び前記レーザ光走査装置を動作させ、
    前記走査パラメータが、平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含む、金属配線製造装置。
  15. 前記レーザ光走査装置が、ガルバノモータとガルバノミラーとを備えるガルバノスキャナであり、
    前記処理装置が、前記レーザ発振装置のオンオフ切り替えによって前記レーザ光出射及び前記レーザ光不出射を制御する、請求項14に記載の金属配線製造装置。
  16. 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、請求項14又は15に記載の金属配線製造装置。
  17. 金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定した照射領域にレーザ光を照射するために金属配線製造装置のレーザ発振装置及びレーザ光走査装置を制御するレーザ光照射制御装置であって、
    入力された二次元の照射領域パターンに対して外接平行四辺形を指定し、更に前記外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域を非照射領域パターンとして指定した上で、前記照射領域パターン及び前記非照射領域パターンで構成される走査領域パターンの座標データを生成する座標データ生成部と、
    前記座標データに対して、予め設定した走査パラメータを割り当てて、前記座標データ及び前記走査パラメータに従った走査制御信号を生成する走査制御信号生成部と、
    前記走査制御信号をレーザ発振装置及びレーザ光走査装置に出力する出力部とを有し、
    前記走査パラメータが、前記外接平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含むことを特徴とする、レーザ光照射制御装置。
  18. 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、請求項17に記載のレーザ光照射制御装置。
  19. 前記外接平行四辺形が、最小外接矩形である、請求項17又は18に記載のレーザ光照射制御装置。
  20. 前記外接平行四辺形が長辺及び短辺を有する矩形であり、前記走査長の方向が前記長辺の方向である、請求項17~19のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御装置。
  21. 前記照射領域パターンが、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に生成された三次元パターンの二次元投影パターンである、請求項17~20のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御装置。
  22. 前記照射領域パターンが、
    XY平面上に予め生成した二次元ベースパターンを、予め取得した膜表面のXYZ三次元形状パターン上に投影して、照射領域決定用三次元パターンを生成すること、
    前記二次元ベースパターン上のY軸方向の差渡し部Bの寸法B1を計測すること、
    前記照射領域決定用三次元パターン上の、前記差渡し部Bの投影部の寸法B2を計測すること、
    前記二次元ベースパターンの前記寸法B1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成すること、
    によって生成された縮小補正パターンであり、
    X軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査長の方向であり、Y軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査幅の方向である、請求項17~20のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御装置。
  23. 金属及び/又は金属酸化物を含む膜の予め設定した照射領域にレーザ光を照射するために金属配線製造装置のレーザ発振装置及びレーザ光走査装置を制御するレーザ光照射制御プログラムであって、
    入力された二次元の照射領域パターンに対して外接平行四辺形を指定し、更に前記外接平行四辺形内の前記照射領域パターン以外の領域を非照射領域パターンとして指定した上で、前記照射領域パターン及び前記非照射領域パターンで構成される走査領域パターンの座標データを生成し、
    前記座標データに対して、予め設定した走査パラメータを割り当て、
    前記座標データ及び前記走査パラメータに従った走査制御信号を生成し、
    前記走査制御信号を出力する、
    ことをレーザ光照射制御装置に実行させ、
    前記走査パラメータが、前記外接平行四辺形の全幅である走査長、照射領域パターンに対するレーザ光出射及び非照射領域パターンに対するレーザ光不出射を含むことを特徴とする、レーザ光照射制御プログラム。
  24. 前記非照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータが、レーザ光を不出射とすることのみにおいて、前記照射領域パターンに割り当てられる走査パラメータと異なる、請求項23に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  25. 前記外接平行四辺形が、最小外接矩形である、請求項23又は24に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  26. 前記外接平行四辺形が長辺及び短辺を有する矩形であり、前記走査長の方向が前記長辺の方向である、請求項23~25のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  27. 前記照射領域パターンが2以上の閉図形で構成されており、各閉図形に対して前記外接平行四辺形を指定する、請求項23~26のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  28. 前記照射領域パターンが、予め取得した膜表面の三次元形状パターン上に生成された三次元パターンの二次元投影パターンである、請求項23~27のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  29. 前記照射領域パターンが、
    XY平面上に予め生成した二次元ベースパターンを、予め取得した膜表面のXYZ三次元形状パターン上に投影して、照射領域決定用三次元パターンを生成すること、
    前記二次元ベースパターン上のY軸方向の差渡し部Bの寸法B1を計測すること、
    前記照射領域決定用三次元パターン上の、前記差渡し部Bの投影部の寸法B2を計測すること、
    前記二次元ベースパターンの前記寸法B1にB1/B2を乗じて縮小補正パターンを生成すること、
    によって生成された縮小補正パターンであり、
    X軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査長の方向であり、Y軸方向がレーザ光の照射ターゲット位置の走査幅の方向である、請求項23~27のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  30. 前記レーザ光を、走査線の線幅方向にオーバーラップさせながら走査する、請求項23~29のいずれか一項に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  31. 前記オーバーラップが、前記線幅の10%以上99%以下である、請求項30に記載のレーザ光照射制御プログラム。
  32. 請求項23~31のいずれか一項に記載のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録機器。
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