JP7037856B2 - 駆動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動力制御装置に関し、特に、メインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載される駆動力制御装置に関する。
自動二輪車の中には、ドッグ式トランスミッションを備えるものがある。かかるドッグ式トランスミッションでは、運転者が、メインクラッチを操作することなく、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士(ドッグ歯同士)が当接してエンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態で、変速を行うことができる。かかる構成によれば、運転者が、メインクラッチの操作を省略して、迅速に変速を行うことが可能となる。
ところが、エンジンと駆動輪との一方が他方を駆動している状態では、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の接触面に大きな押圧力が作用している。このため、運転者が変速のためにドッグ同士を引き離そうとしても、接触面に押圧力に比例した大きな静止摩擦力が作用しているために、運転者の操作によりドッグ同士を引き離すことが困難となる傾向がある。
また、複数の気筒を有するエンジンに複数の気筒に対応して設けられた複数の燃料噴射弁を介して燃料を噴射する構成として、エンジンのクランクシャフトの回転に同期して各燃料噴射弁から燃料を噴射させる同期噴射と、加速時等の過渡運転時において同期噴射に加えクランクシャフトの回転に関係なく燃料を噴射させる非同期噴射と、を実行するものがある。
ところが、全部の気筒を非同期噴射の対象とすると、非同期噴射の不要な気筒に対しても燃料が噴射されるため、吸入空気量の増加に同期噴射のみで対処することができる気筒に対しても噴射増量がなされてしまうことになる。この結果、かかる構成では、ドライバビリティの向上は図れるものの、エミッションに不要な影響を与える傾向がある。
かかる状況下で、特許文献1は、駆動力制御装置に関し、メインクラッチの接続が検出されている状態においてドッグ式トランスミッションの変速操作が検出された場合には、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めてドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、モータ駆動部6を制御することによってスロットル開度に一時的な変化を生じさせて駆動力を一時的に変化させるメイン処理を実行する制御部5が、変速段検出部4によって検出されたドッグ式トランスミッションの変速段が切り換わるのに応じて、スロットル開度を所定開度からスロットル開度の一時的な変化が収束する方向へ変化させる復帰処理を実行するようにモータ駆動部6を制御する構成を開示し、変速完了後にトルクショックが発生することを抑制することを企図している。
また、特許文献2は、内燃機関の燃料噴射制御方法に関し、吸気行程に先立ち吸入空気量に応じた量の燃料を、クランクシャフト17の回転に同期させてインジェクタ29から複数気筒に各々噴射させると共に、スロットルバルブ25により吸気通路28の流路面積が急激に増大したときには、同期噴射に加え吸入空気量の増加分に応じた量の燃料を、クランクシャフト17の回転とは非同期にインジェクタ29から複数気筒に噴射させる構成において、流路面積の急増時点で吸気行程中の気筒を特定し、その時点でその気筒の吸入空気量の変化が終了しているか否かを判断し、吸入空気量の変化が終了しているときには、その特定した気筒での非同期噴射を禁止する構成を開示し、ドライバビリティの向上とエミッションへの不要な影響の抑制とを両立させることを企図している。
特開2016-98728号公報 特開平9-250387号公報
ここで、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示するようなスロットル開度の制御を含んだ駆動力制御を実行する駆動力制御装置においては、メイン処理を実行する期間にエンジンの駆動力を一時的に大きく変化させてドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めた後に、ドッグ同士の係合を解除しているか又は弱めている状態を維持するようにエンジンの駆動力を維持し、この際にスロットルバルブを高速で動作させるためにスロットル開度が目標スロットル開度に対してオーバーシュートする事象が発生する。かかる駆動力制御装置に特許文献2が開示するような非同期噴射を適用する場合には、このようなオーバーシュートに伴ってスロットル開度の増加量が大きくなった際にスロットルバルブの開操作と認識して、エンジンに非同期噴射で燃料を付加して供給する加速向け追加噴射(加速増量噴射)を実行するため、制御すべき駆動力に不要な影響が生じる。
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、変速時に加速増量噴射を適切に禁止することにより適切なエンジンの駆動力を発生させ、エンジンのエミッション性への不要な影響を抑制すると共に、運転者の変速フィーリングや車両のドライバビリティを向上することが可能な駆動力制御装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するべく、本発明は、メインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載され、前記メインクラッチの接続又は遮断を検出するクラッチ状態検出部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する変速操作検出部と、前記エンジンのスロットル開度を変化させるモータを駆動するモータ駆動部と、前記クラッチ状態検出部が前記メインクラッチの接続を検出している状態において前記変速操作検出部が前記ドッグ式トランスミッションの前記変速操作を検出した場合には、前記ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めて前記ドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、前記モータ駆動部を制御する駆動力制御処理を実行する制御部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速段を検出する変速段検出部と、を備える駆動力制御装置において、前記駆動力制御処理は、前記駆動力をアクセル開度に対応した値から一時的に変化させるように前記スロットル開度を変化させる第1の制御処理と、前記第1の制御処理に引き続き、前記駆動力を前記アクセル開度に対応した値に復帰させるように前記スロットル開度を変化させる第2の制御処理と、を含み、前記制御部は、前記スロットル開度の変化量に応じて燃料噴射量の加速増量噴射を実行可能であると共に、前記第1の制御処理の前記ドッグ同士の前記係合を解除しているか又は弱めている状態を維持している期間において、前記加速増量噴射を禁止し、前記維持している期間は、前記スロットル開度を前記アクセル開度に対応した開度から、全開開度若しくは前記全開開度の近傍開度、又は全閉開度若しくは前記全閉開度の近傍開度に向けて一時的に大きく増加又は減少させる期間に引き続く期間であることを第1の局面とする。
また、本発明は、第1の局面に加えて、前記状態は、前記スロットル開度が前記ドッグ同士の係合が解除可能な前記エンジンの運転状態を示すノーロードラインに対応するノーロード開度である状態であり、前記ノーロード開度は、エンジンの回転数に応じて変化することを第2の局面とする。
さらに、本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記制御部は、前記期間において前記アクセル開度が所定変化量以上となった場合には、前記加速増量噴射を禁止することを解除することを第3の局面とする。
本発明の第1の局面にかかる駆動力制御装置によれば、メインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載され、前記メインクラッチの接続又は遮断を検出するクラッチ状態検出部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する変速操作検出部と、前記エンジンのスロットル開度を変化させるモータを駆動するモータ駆動部と、前記クラッチ状態検出部が前記メインクラッチの接続を検出している状態において前記変速操作検出部が前記ドッグ式トランスミッションの前記変速操作を検出した場合には、前記ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めて前記ドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、前記モータ駆動部を制御する駆動力制御処理を実行する制御部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速段を検出する変速段検出部と、を備える駆動力制御装置において、前記駆動力制御処理は、前記駆動力をアクセル開度に対応した値から一時的に変化させるように前記スロットル開度を変化させる第1の制御処理と、前記第1の制御処理に引き続き、前記駆動力を前記アクセル開度に対応した値に復帰させるように前記スロットル開度を変化させる第2の制御処理と、を含み、前記制御部は、前記スロットル開度の変化量に応じて燃料噴射量の加速増量噴射を実行可能であると共に、前記第1の制御処理の前記ドッグ同士の前記係合を解除しているか又は弱めている状態を維持している期間において、前記加速増量噴射を禁止し、前記維持している期間は、前記スロットル開度を前記アクセル開度に対応した開度から、全開開度若しくは前記全開開度の近傍開度、又は全閉開度若しくは前記全閉開度の近傍開度に向けて一時的に大きく増加又は減少させる期間に引き続く期間であることにより適切なエンジンの駆動力を発生させ、エンジンのエミッション性への不要な影響を抑制すると共に、運転者の変速フィーリングや車両のドライバビリティを向上することができる。
また、本発明の第2の局面にかかる駆動力制御装置によれば、状態は、スロットル開度がドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示すノーロードラインに対応するノーロード開度である状態であり、ノーロード開度は、エンジンの回転数に応じて変化するため、オーバーシュートを加速意思と誤認識して加速増量噴射による不用意な駆動力増加を防止することができ、確実に変速することができる。
さらに、本発明の第3の局面にかかる駆動力制御装置によれば、制御部は、所定期間においてアクセル開度が所定変化量以上となった場合には、加速増量噴射を禁止することを解除するものであるため、加速増量噴射を禁止する期間であっても、運転者の加速意志が認められる場合には、その加速意志を反映した駆動力制御を実行することができる。
図1は、本発明の実施形態における駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。 図2は、本実施形態における駆動力制御装置による加速増量噴射禁止判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図3は、本実施形態における駆動力制御装置によるシフトアップ操作に伴う加速増量噴射禁止判断処理の流れを説明するための一例としてのタイミングチャートである。 図4は、本実施形態における駆動力制御装置によるシフトダウン操作に伴う加速増量噴射禁止判断処理の流れを説明するための一例としてのタイミングチャートである。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における駆動力制御装置につき、詳細に説明する。
<駆動力制御装置の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態における駆動力制御装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態における駆動力制御装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態における駆動力制御装置1は、ECU(Electronic Control Unit)等の電子制御装置によって構成され、いずれも図示を省略するメインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介して内燃機関であるエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する典型的には自動二輪車等の鞍乗型車両に搭載されている。
駆動力制御装置1は、クラッチ状態検出部2、変速操作検出部3、変速段検出部4、制御部5、モータ駆動回路6、点火栓駆動回路7、及び燃料噴射弁駆動回路8を備えている。なお、これらのクラッチ状態検出部2、変速操作検出部3、変速段検出部4、及び制御部5は各々機能ブロックとして示している。また、駆動力制御装置1は、メモリ9を備えており、メモリ9内には、駆動力制御装置1に必要な制御プログラム及び制御データ(テーブルデータ等)等が格納されている。
具体的には、クラッチ状態検出部2は、運転者がメインクラッチを接続又は遮断する際のその操作に関する情報を担持するクラッチスイッチ11からの入力信号に基づいて、メインクラッチの接続又は遮断を検出する。クラッチ状態検出部2は、このように検出したメインクラッチの断続操作に応じた電気信号を制御部5に入力する。
変速操作検出部3は、運転者がドッグ式トランスミッションの変速操作を行う際のその変速操作に関する情報を担持する変速操作スイッチ12からの入力信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する。変速操作検出部3は、このように検出したドッグ式トランスミッションの変速操作の有無に応じた電気信号を制御部5に入力する。
変速段検出部4は、ギヤポジションセンサ13が出力するドッグ式トランスミッションのシフトドラムの回転位置に対応してドッグ式トランスミッションで選択されている変速段(ギヤポジション)に応じた信号に基づいて、ドッグ式トランスミッションで選択されている変速段を検出する。変速段検出部4は、このように検出した変速段を示す電気信号を制御部5に入力する。
制御部5は、変速制御時、つまりクラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出した場合には、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めた状態でドッグ式トランスミッションの変速を可能とするために、点火の停止及び/又は燃料の噴射の停止を実行するように点火栓駆動回路7及び/又は燃料噴射弁駆動回路8を制御すると共に、モータ駆動回路6を制御することによって実スロットル開度に一時的な変化を生じさせてエンジンの駆動力を一時的に変化させる駆動力制御処理を実行する。一方で、制御部5は、変速制御時以外の通常制御時においては、実スロットル開度が運転者の要求スロットル開度に相当する通常制御用目標スロットル開度に一致するようにモータ駆動回路6を制御する。制御部5は、このような、点火の停止、燃料の噴射の停止及びスロットル開度の調整のための各々の制御信号を、点火栓駆動回路7、燃料噴射弁駆動回路8及びモータ駆動回路6に入力する。
かかる変速制御時における駆動力制御処理は、シフトアップの際に、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値から一時的に減少させるように実スロットル開度を減少させるメイン処理と、メイン処理に引き続き、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値に復帰させるように実スロットル開度を増加させる復帰処理と、を含むものである。また、メイン処理は、実スロットル開度を、アクセル開度に対応した開度から全閉開度(0度)又はその近傍開度(数度)に向けて一時的に相対的に大きく減少させる第1の閉処理と、その第1の閉処理に引き続き、実スロットル開度を、ノーロードラインに対応するノーロード開度又はその近傍開度に維持する第2の閉処理と、を含む。
また、かかる変速制御時における駆動力制御処理は、シフトダウンの際に、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値から一時的に増加させるように実スロットル開度を増加させるメイン処理と、メイン処理に引き続き、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値に復帰させるように実スロットル開度を増加させる復帰処理と、を含むものである。また、メイン処理は、実スロットル開度を、アクセル開度に対応した開度から全開開度又はその近傍開度(数度)に向けて一時的に相対的に大きく増加させる第1の開処理と、その第1の開処理に引き続き、実スロットル開度を、ノーロードラインに対応するノーロード開度又はその近傍開度に維持する第2の開処理と、を含む。
ここで、かかるノーロードラインは、エンジンの駆動力がエンジンのその抵抗力(機械的な摩擦力や潤滑油の粘弾性力等)と釣り合った状態のエンジンの運転状態を示し、典型的には、エンジン回転数及びスロットル開度をパラメータとし、エンジン回転数に応じて変化すると共に、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示す特性データから成って、予め設定されてメモリ9内に記憶されている。詳しくは、ノーロードラインは、ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合状態が減速時(駆動輪がエンジンを駆動している時)の係合状態と加速時(エンジンが駆動輪を駆動している時)の係合状態との間で切り換わるエンジンの運転状態の境界を規定するもので、ドッグ同士が互いに離間又は押圧せずに単に当接している状態、及びドッグ同士が切り離し可能な状態で互いを緩やかに押圧している状態におけるエンジン回転数及びスロットル開度間の関係を規定するものである。つまり、ノーロードラインは、エンジン回転数及びスロットル開度を各々の座標軸とする直交座標系において、単なる線のみならず、それを含んである程度の上下幅を有して延びる領域となる。つまり、かかるノーロードラインに対応するスロットル開度は、ドッグ同士が互いに離間又は押圧せずに単に当接している状態を実現するもののみならず、ドッグ同士が切り離し可能な状態で互いを緩やかに押圧している状態を実現するものをも含んでもよく、また、かかるノーロードラインに対応するスロットル開度は、厳密にスロットル開度に合致するもののみならず、それから数度程度上下に偏位したものを含み得る。なお、変速制御時における駆動力制御処理を簡素化する観点からは、第1の閉処理を省略することも可能である。
また、制御部5は、実スロットル開度の増加量に応じて、アクセル開度に応じた基本燃料噴射量に所定の燃料量を付加して増量し、増量した燃料をエンジンに噴射して供給する加速増量噴射を行う加速増量噴射処理を実行する一方で、変速制御時における駆動力制御処理の実行中やそれが完了した後に引き続く所定期間においては、加速増量噴射を行わないように加速増量噴射処理の実行を禁止するものである。
また、制御部5は、変速制御時における駆動力制御処理を含む駆動力制御処理や加速増量噴射処理を実行する際に、大気圧センサ15、スロットルポジションセンサ16、アクセル開度センサ17、及びクランク角センサ18からの入力信号等を用いる。大気圧センサ15は、鞍乗型車両の周囲の大気圧に応じた電気信号を入力する。スロットルポジションセンサ16は、エンジンのスロットルバルブの実際の開度、つまり実スロットル開度に応じた電気信号を入力する。アクセル開度センサ17は、鞍乗型車両のアクセルグリップ等のアクセル操作部材の操作量(アクセル開度)に応じた電気信号を入力する。また、クランク角センサ18は、エンジンのクランク角(クランク軸の回転角度)に応じた電気信号を入力する。
また、制御部5は、表示装置21が備えるインジケータ駆動回路22を介して表示装置21のインジケータ23を制御することにより、ドッグ式トランスミッションの変速段に関する種々の情報等を表示する。
モータ駆動回路6は、制御部5からの制御信号に従って、スロットルモータ14を駆動することによってスロットル開度を制御する。
点火栓駆動回路7は、制御部5からの制御信号に従って、エンジンの点火栓19によるエンジンへの点火動作、つまり点火の開始、停止及び再開といった一連の点火動作を制御する。
燃料噴射弁駆動回路8は、制御部5からの制御信号に従って、エンジンに燃料を噴射する燃料噴射弁20の、つまり燃料噴射の開始、停止及び再開といった一連の燃料噴射動作を制御する。
以上のような構成を有する駆動力制御装置1は、以下に示す加速増量噴射禁止判断処理を実行することによって、変速時に加速増量噴射を適切に禁止することにより適切なエンジンの駆動力を発生させ、エンジンのエミッション性への不要な影響を抑制すると共に、運転者の変速フィーリングや車両のドライバビリティを向上する。以下、更に図2から図4をも参照して、加速増量噴射禁止判断処理を実行する際の駆動力制御装置1の動作について、詳細に説明する。
<加速増量噴射禁止判断処理>
図2は、本実施形態における駆動力制御装置による加速増量噴射禁止判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3は、本実施形態における駆動力制御装置による加速増量噴射禁止判断処理の流れを説明するための一例としてのタイミングチャートである。なお、図3では、上から下に、(a)ではスロットル開度の経時変化、(b)では変速制御時の駆動力制御処理実施フラグ、(c)では加速噴射禁止タイマのカウント値の時間変化、(d)ではタイマセット許可フラグの経時変化、及び(e)では加速増量噴射禁止フラグの経時変化を各々示している。また、(a)のスロットル開度の時間的変化において、THCEGSは、変速制御時以外の場合の駆動力制御処理に適用されるアクセル開度に対応した目標スロットル開度(アクセル開度に応じた目標TH)、THCTRGEGSは、変速制御時の場合の駆動力制御処理に適用される目標スロットル開度(目標TH)、及びTHEGSは、これらの目標開度の内の対応するものに一致するようにスロットルバルブの開度がフィードバック制御された結果得られた実スロットル開度(実TH)を各々示している。また、(c)でそのカウント値の経時変化を示す加速噴射禁止タイマは、加速増量噴射を禁止している期間が所定期間になったか否かを計測するための典型的にはプログラムタイマであって、一例として減算タイマとして構成しているが、必要に応じて加算タイマとして構成してもよい。
まず、変速制御においてシフトアップする際における加速増量噴射禁止判断処理について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。
図2に示すフローチャートは、鞍乗型車両のイグニッションスイッチがオンされて駆動力制御装置1が起動されたタイミングで開始となり、加速増量噴射禁止判断処理はステップS1の処理に進む。加速増量噴射禁止判断処理は、鞍乗型車両が起動されて駆動力制御装置1が起動されている間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、制御部5が、駆動力制御処理の実施要求があったか否かを判断する。ここで、駆動力制御処理の実施要求の有無に関する情報は、制御部5が、加速増量噴射禁止判断処理を実行する前提の別処理において、事前に毎回、駆動力制御処理要求フラグの値として得ている。典型的には、制御部5は、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出した場合に、駆動力制御処理実施フラグの値を1(駆動力制御処理実行要求有り)にセットし、クラッチ状態検出部2がメインクラッチの接続を検出している状態において変速操作検出部3がドッグ式トランスミッションの変速操作を検出しない場合には、駆動力制御処理実施フラグの値を0(駆動力制御処理実行要求無し)にセットしている。判別の結果、駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)の場合、制御部5は、駆動力制御処理の実施要求があったと判断し(ステップS1:YES)、加速増量噴射禁止判断処理をステップS2の処理に進める。一方、駆動力制御処理実施フラグの値が0(駆動力制御処理実行要求無し)の場合には、制御部5は、駆動力制御処理の実施要求がないと判断し(ステップS1:NO)、加速増量噴射禁止判断処理をステップS4の処理に進める。
ここで、図3に示す時刻t=t1において、制御部5は、駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)であると判別することによって、駆動力制御処理の実施要求があったと判断し、この判断結果は、一例として、駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)から0(駆動力制御処理実行要求無し)に切り換えられる時刻t=t4までは、駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)であるため同様となる。
ステップS2の処理では、制御部5が、スロットルポジションセンサ16が入力するエンジンのスロットル開度に応じた電気信号に基づいて、スロットル開度の閉動作(TH閉動作)があったか否かを判別する。判別の結果、スロットル開度の閉動作があった場合(ステップS2:YES)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS3の処理に進める。一方、スロットル開度の閉動作がない場合には(ステップS2:NO)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS4の処理に進める。
ここで、図3に示す時刻t=t1において、制御部5は、スロットル開度の閉動作があったと判断し、時刻t=t1以降もスロットル開度の動作は閉動作である。また、制御部5は、時刻t=t1からt=t3の期間で、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値THCEGSから一時的に減少させるように実スロットル開度THEGS(実TH)を減少させるメイン処理と、メイン処理に引き続き時刻t=t3からt=t4の期間で、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値に復帰させるように実スロットル開度THEGSをアクセル開度に対応した目標スロットル開度(アクセル開度に応じた目標TH)に向けて増加させる復帰処理と、を含む変速制御時における駆動力制御処理を実行する。また、制御部5は、メイン処理として、図3に示す時刻t=t1からt=t2の期間で、実スロットル開度THEGSを、アクセル開度に対応した目標スロットル開度THCEGSに一致した開度から目標スロットル開度THCTRGEGSが呈する全閉開度に向けて一時的に相対的に大きく減少させる第1の閉処理と、その第1の閉処理に引き続き時刻t=t2からt=t3の期間で、実スロットル開度THEGSを、目標スロットル開度THCTRGEGSが呈するノーロード開度の近傍開度に維持する第2の閉処理と、を実行する。かかる第2の閉処理を実行する時刻t=t2からt=t3の期間は、ドッグ同士の係合を解除しているか又は弱めている状態を維持している期間である。なお、必要に応じて、第1の閉処理を省略し、時刻t=t1からt=t3の期間で、実スロットル開度THEGSを、目標スロットル開度THCTRGEGSが呈するノーロード開度の近傍開度に維持する閉処理を実行してもよい。
また、メイン処理においてスロットルバルブを高速で動作させるために、図3に示す時刻t=t2からt=t3の第2の閉処理を実行する期間で、実スロットル開度THEGSが目標スロットル開度THCTRGEGSを下回るオーバーシュート(アンダーオーバーシュート)する事象が発生する。このようなオーバーシュートは、ノーロード開度をエンジン回転数に応じて変化させる場合に顕著に現れる。
ステップS3の処理では、制御部5が、加速増量噴射を禁止しているか否かを示す加速増量噴射禁止フラグの値が1(加速増量噴射禁止)であるか否かを判別することにより、加速増量噴射を禁止するか否かを判断する。判別の結果、加速増量噴射禁止フラグの値が1である場合(ステップS3:YES)、制御部5は、加速増量噴射を禁止すると判断し、加速増量噴射禁止判断処理をステップS4の処理に進める。一方、加速増量噴射禁止フラグの値が1でない場合には(ステップS3:NO)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS6の処理に進める。
ここで、図3に示す時刻t=t1からt=t5の期間において、制御部5は、加速増量噴射を禁止すると判断している。特に、時刻t=t2からt=t3の実スロットル開度THEGSが目標スロットル開度THCTRGEGSを下回るオーバーシュートする事象が発生する第2の閉処理を実行する期間で、制御部5は、加速増量噴射禁止フラグの値が1であるために加速増量噴射を禁止する。これにより、実スロットル開度THEGSが目標スロットル開度THCTRGEGSをオーバーシュートした状態から目標スロットル開度THCTRGEGSに収束する際において、実スロットル開度THEGSの増加量が所定量以上となる場合であっても加速増量噴射が実行されないため、制御すべき駆動力に不要な影響が生じることを防ぐことができる。
ステップS4の処理では、制御部5が、変速段検出部4が変速段の切り換わり(変速)が完了したことを検出したか否かを判別することにより、変速制御時における駆動力制御処理が完了したか否かを判別する。判別の結果、変速段検出部4が変速の完了を検出した場合、駆動力制御処理が完了したと判断し(ステップS4:YES)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS6の処理に進める。一方、変速段検出部4が変速の完了を検出しなかった場合には、駆動力制御処理が完了していないと判断し(ステップS4:NO)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS5の処理に進める。
ステップS5の処理では、制御部5が、加速噴射禁止タイマのセットを許可しているか否かを示すタイマセット許可フラグの値を1(加速噴射禁止タイマのセット許可)にセットする。これにより、ステップS5の処理は完了し、加速増量噴射禁止判断処理はステップS7の処理に進む。
ここで、図3に示す時刻t=t1からt4の期間において、制御部5は、駆動力制御処理が完了していないと判断し、タイマセット許可フラグの値を1にセットしている。
ステップS6の処理では、制御部5が、加速噴射禁止タイマのセットを許可しているか否かを示すタイマセット許可フラグの値を0(加速噴射禁止タイマのセット禁止)にセットする。これにより、ステップS6の処理は完了し、加速増量噴射禁止判断処理はステップS7の処理に進む。
ここで、図3に示す時刻t=t4以降の期間において、駆動力制御処理が完了したと判断し、制御部5は、タイマセット許可フラグの値を0にセットしている。なお、一例として、図3に示す時刻t=t1以前の期間でも、タイマセット許可フラグの値は、0にセットされている。また、加速増量噴射禁止判断処理で、駆動力制御処理実施フラグの値を0(駆動力制御処理実行要求無し)にセットするのは、典型的には、図3に示す時刻t=t4のタイミング(変速段検出部4が変速が完了したことを検出したタイミング)である。
ステップS7の処理では、制御部5が、アクセル開度センサ17が入力するアクセル開度に応じた電気信号に基づいて、アクセル開度が所定変化量以上となったか否かを判別する。判別の結果、アクセル開度が所定変化量以上となった場合(ステップS7:YES)、制御部5は、運転者の加速意志(意思)があったと判断し、加速増量噴射禁止判断処理をステップS10の処理に進める。一方、アクセル開度が所定変化量以上となっていない場合には(ステップS7:NO)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS8の処理に進める。なお、図3では、アクセル開度が所定変化量以上となった場合については、示されていない。
ステップS8の処理では、制御部5が、タイマセット許可フラグの値が1(加速増量噴射禁止)であるか否かを判別する。判別の結果、タイマセット許可フラグの値が1(加速噴射禁止タイマのセット許可)である場合(ステップS8:YES)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS12の処理に進める。一方、タイマセット許可フラグの値が1(加速噴射禁止タイマのセット許可)でない場合には(ステップS8:NO)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS9の処理に進める。
ここで、図3に示す時刻t=t1からt=t4の期間において、制御部5は、タイマセット許可フラグの値が1であると判別している。一方で、図3に示す時刻t=t4以降の期間において、制御部5は、タイマセット許可フラグの値が0であると判別している。
ステップS9の処理では、制御部5が、加速増量噴射を禁止している期間が所定期間になったか否かを計測するための減算タイマである加速噴射禁止タイマのカウント値が0になったか否かを判別する。判別の結果、加速増量噴射禁止タイマのカウント値が0になった場合(ステップS9:YES)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS10の処理に進める。一方、加速増量噴射禁止タイマのカウント値が0になっていない場合には(ステップS9:NO)、制御部5は、加速増量噴射禁止判断処理をステップS11の処理に進める。
ステップS10の処理では、制御部5が、加速増量噴射を禁止しているか否かを示す加速増量噴射禁止フラグの値を0(加速増量噴射許可)にセットする。これにより、ステップS10の処理は完了し、今回の一連の加速増量噴射禁止判断処理は終了する。なお、図2中での図示は省略するが、制御部5が駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)から0(駆動力制御処理実行要求無し)に切り換える場合には、このステップS10の処理で、制御部5が、駆動力制御処理実施フラグの値を0(駆動力制御処理実行要求無し)にセットすればよい。
ここで、図3に示す時刻t=t5において、制御部5は、加速増量噴射禁止タイマのカウント値が0になったと判別し、加速増量噴射禁止フラグの値を0(加速増量噴射許可)にセットしている。
ステップS11の処理では、制御部5が、加速増量噴射禁止タイマのカウント値を減算する。これにより、ステップS11の処理は完了し、今回の一連の加速増量噴射禁止判断処理は終了する。
ここで、図3に示す時刻t=t4からt=t5の期間において、制御部5は、加速増量噴射禁止タイマのカウント値を減算している。ここで、かかる時刻t=t4からt5の期間において、加速増量噴射禁止フラグの値は1(加速増量噴射禁止)に維持されている。
ステップS12の処理では、制御部5が、加速増量噴射を禁止しているか否かを示す加速増量噴射禁止フラグの値を1(加速増量噴射禁止)にセットすると共に、加速噴射禁止タイマのカウント値を初期カウント値CNにセットする。これにより、ステップS12の処理は完了し、今回の一連の加速増量噴射禁止判断処理は終了する。
ここで、図3に示す時刻t=t1からt=t4の期間において、制御部5は、加速増量噴射禁止フラグの値を1(加速増量噴射禁止)にセットすると共に、加速増量噴射禁止タイマのカウント値を初期カウント値CNにセットしている。
次に、変速制御においてシフトダウンする際における加速増量噴射禁止判断処理について、図4を用いて詳細に説明する。
図4は、本実施形態における駆動力制御装置によるシフトダウン操作に伴う加速増量噴射禁止判断処理の流れを説明するための一例としてのタイミングチャートである。なお、図4では、上から下に、(a)ではスロットル開度の経時変化、(b)では変速制御時の駆動力制御処理実施フラグ、(c)では加速噴射禁止タイマのカウント値の時間変化、(d)ではタイマセット許可フラグの経時変化、及び(e)では加速増量噴射禁止フラグの経時変化を各々示している。また、(a)のスロットル開度の時間的変化において、THCEGSは、変速制御時以外の場合の駆動力制御処理に適用されるアクセル開度に対応した目標スロットル開度(アクセル開度に応じた目標TH)、THCTRGEGSは、変速制御時の場合の駆動力制御処理に適用される目標スロットル開度(目標TH)、及びTHEGSは、これらの目標開度の内の対応するものに一致するようにスロットルバルブの開度がフィードバック制御された結果得られた実スロットル開度(実TH)を各々示している。また、(c)でそのカウント値の経時変化を示す加速噴射禁止タイマは、加速増量噴射を禁止している期間が所定期間になったか否かを計測するための典型的にはプログラムタイマであって、一例として減算タイマとして構成しているが、必要に応じて加算タイマとして構成してもよい。
変速制御においてシフトダウンする際における加速増量噴射禁止判断処理は、図2のステップS2においてTH閉動作か否かを判定する処理に代えてTH開動作か否かを判定する処理、及び図2のステップS4において駆動力制御が完了したか否かを判定する処理に代えてメイン処理が完了したか否かを判定する処理を実行する以外は図2と同一処理であるので、図2に相当する説明を省略する。
図4に示す時刻t=t11において、制御部5は、駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)であると判別することによって、駆動力制御処理の実施要求があったと判断し、この判断結果は、一例として、駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)から0(駆動力制御処理実行要求無し)に切り換えられる時刻t=t14までは、駆動力制御処理実施フラグの値が1(駆動力制御処理実行要求有り)であるため同様となる。
図4に示す時刻t=t11において、制御部5は、スロットル開度の開動作があったと判断し、時刻t=t11以降もスロットル開度の動作は開動作である。また、制御部5は、時刻t=t11からt=t13の期間で、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値THCEGSから一時的に増加させるように実スロットル開度THEGS(実TH)を増加させるメイン処理と、メイン処理に引き続き時刻t=t13からt=t14の期間で、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値に復帰させるように実スロットル開度THEGSをアクセル開度に対応した目標スロットル開度(アクセル開度に応じた目標TH)に向けて減少させる復帰処理と、を含む変速制御時における駆動力制御処理を実行する。また、制御部5は、メイン処理として、図3に示す時刻t=t11からt=t12の期間で、実スロットル開度THEGSを、アクセル開度に対応した目標スロットル開度THCEGSに一致した開度から目標スロットル開度THCTRGEGSが呈する全開開度に向けて一時的に相対的に大きく増加させる第1の開処理と、その第1の開処理に引き続き時刻t=t12からt=t13の期間で、実スロットル開度THEGSを、目標スロットル開度THCTRGEGSが呈するノーロード開度の近傍開度に維持する第2の開処理と、を実行する。かかる第2の閉処理を実行する時刻t=t12からt=t13の期間は、ドッグ同士の係合を解除しているか又は弱めている状態を維持している期間である。なお、必要に応じて、第1の開処理を省略し、時刻t=t11からt=t13の期間で、実スロットル開度THEGSを、目標スロットル開度THCTRGEGSが呈するノーロード開度の近傍開度に維持する開処理を実行してもよい。
また、メイン処理においてスロットルバルブを高速で動作させるために、図4に示す時刻t=t12からt=t13の第2の開処理を実行する期間で、実スロットル開度THEGSが目標スロットル開度THCTRGEGSを上回るオーバーシュートする事象が発生する。このようなオーバーシュートは、ノーロード開度をエンジン回転数に応じて変化させる場合に顕著に現れる。
図4に示す時刻t=t11からt=t15の期間において、制御部5は、加速増量噴射を禁止すると判断している。特に、時刻t=t12からt=t13の実スロットル開度THEGSが目標スロットル開度THCTRGEGSを上回るオーバーシュートする事象が発生する第2の開処理を実行する期間で、制御部5は、加速増量噴射禁止フラグの値が1であるために加速増量噴射を禁止する。これにより、実スロットル開度THEGSが目標スロットル開度THCTRGEGSをオーバーシュートした際において、実スロットル開度THEGSの増加量が所定量以上となる場合であっても加速増量噴射が実行されないため、制御すべき駆動力に不要な影響が生じることを防ぐことができる。
図4に示す時刻t=t11からt=t13の期間において、制御部5は、メイン処理が完了していないと判断し、タイマセット許可フラグの値を1にセットし、タイマセット許可フラグの値が1であると判別している。一方、図4に示す時刻t=t13以降の期間において、制御部5は、メイン処理が完了したと判断し、タイマセット許可フラグの値を0にセットし、タイマセット許可フラグの値が0であると判別している。なお、一例として、図3に示す時刻t=t11以前の期間でも、タイマセット許可フラグの値は、0にセットされている。また、加速増量噴射禁止判断処理で、駆動力制御処理実施フラグの値を0(駆動力制御処理実行要求無し)にセットするのは、典型的には、図4に示す時刻t=t13のタイミング(変速段検出部4が変速が完了したことを検出したタイミング)である。
図4に示す時刻t=t15において、制御部5は、加速増量噴射禁止タイマのカウント値が0になったと判別し、加速増量噴射禁止フラグの値を0(加速増量噴射許可)にセットしている。
図4に示す時刻t=t13からt=t15の期間において、制御部5は、加速増量噴射禁止タイマのカウント値を減算している。ここで、かかる時刻t=t13からt=t15の期間において、加速増量噴射禁止フラグの値は1(加速増量噴射禁止)に維持されている。
図4に示す時刻t=t11からt=t13の期間において、制御部5は、加速増量噴射禁止フラグの値を1(加速増量噴射禁止)にセットすると共に、加速増量噴射禁止タイマのカウント値を初期カウント値CNにセットしている。
以上の説明から明らかなように、本実施形態における駆動力制御装置1では、駆動力制御処理は、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値から一時的に変化させるようにスロットル開度を変化させるメイン処理と、メイン処理に引き続き、エンジンの駆動力をアクセル開度に対応した値に復帰させるようにスロットル開度を変化させる復帰処理と、を含み、スロットル開度の変化量に応じて燃料噴射量の加速増量噴射を実行可能であると共に、メイン処理のドッグ同士の係合を解除しているか又は弱めている状態を維持している期間において、加速増量噴射を禁止することにより適切なエンジンの駆動力を発生させ、エンジンのエミッション性への不要な影響を抑制すると共に、運転者の変速フィーリングや車両のドライバビリティを向上することができる。
また、本実施形態における駆動力制御装置1では、ドッグ同士の係合を解除しているか又は弱めている状態は、スロットル開度がドッグ同士の係合が解除可能なエンジンの運転状態を示すノーロードラインに対応するノーロード開度である状態であり、ノーロード開度は、エンジンの回転数に応じて変化するため、オーバーシュートを加速意思と誤認識して加速増量噴射による不用意な駆動力増加を防止することができ、確実に変速することができる。
さらに、本実施形態における駆動力制御装置1では、メイン処理のドッグ同士の係合を解除しているか又は弱めている状態を維持している期間においてアクセル開度が所定変化量以上となった場合には、加速増量噴射を禁止することを解除するものであるため、加速増量噴射を禁止する期間であっても、運転者の加速意志が認められる場合には、その加速意志を反映した駆動力制御を実行することができる。
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明は、変速時に加速増量噴射を適切に禁止することにより適切なエンジンの駆動力を発生させ、エンジンのエミッション性への不要な影響を抑制すると共に、運転者の変速フィーリングや車両のドライバビリティを向上することが可能な駆動力制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から車両等の駆動力制御装置に広く適用され得るものと期待される。
1…駆動力制御装置
2…クラッチ状態検出部
3…変速操作検出部
4…変速段検出部
5…制御部
6…モータ駆動回路
7…点火栓駆動回路
8…燃料噴射弁駆動回路
9…メモリ
11…クラッチスイッチ
12…変速操作スイッチ
13…ギヤポジションセンサ
14…スロットルモータ
15…大気圧センサ
16…スロットルポジションセンサ
17…アクセル開度センサ
18…クランク角センサ
19…点火栓
20…燃料噴射弁
21…表示装置
22…インジケータ駆動回路
23…インジケータ

Claims (3)

  1. メインクラッチ及びドッグ式トランスミッションを順に介してエンジンの駆動力を駆動輪に伝達する鞍乗型車両に搭載され、前記メインクラッチの接続又は遮断を検出するクラッチ状態検出部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速操作を検出する変速操作検出部と、前記エンジンのスロットル開度を変化させるモータを駆動するモータ駆動部と、前記クラッチ状態検出部が前記メインクラッチの接続を検出している状態において前記変速操作検出部が前記ドッグ式トランスミッションの前記変速操作を検出した場合には、前記ドッグ式トランスミッションのドッグ同士の係合を解除し又は弱めて前記ドッグ式トランスミッションの変速が可能となるように、前記モータ駆動部を制御する駆動力制御処理を実行する制御部と、前記ドッグ式トランスミッションの変速段を検出する変速段検出部と、を備える駆動力制御装置において、
    前記駆動力制御処理は、前記駆動力をアクセル開度に対応した値から一時的に変化させるように前記スロットル開度を変化させる第1の制御処理と、前記第1の制御処理に引き続き、前記駆動力を前記アクセル開度に対応した値に復帰させるように前記スロットル開度を変化させる第2の制御処理と、を含み、
    前記制御部は、前記スロットル開度の変化量に応じて燃料噴射量の加速増量噴射を実行可能であると共に、前記第1の制御処理の前記ドッグ同士の前記係合を解除しているか又は弱めている状態を維持している期間において、前記加速増量噴射を禁止し、
    前記維持している期間は、前記スロットル開度を前記アクセル開度に対応した開度から、全開開度若しくは前記全開開度の近傍開度、又は全閉開度若しくは前記全閉開度の近傍開度に向けて一時的に大きく増加又は減少させる期間に引き続く期間である、
    ことを特徴とする駆動力制御装置。
  2. 前記解除しているか又は弱めている状態は、前記スロットル開度が前記ドッグ同士の係合が解除可能な前記エンジンの運転状態を示すノーロードラインに対応するノーロード開度である状態であり、
    前記ノーロード開度は、エンジンの回転数に応じて変化する、
    ことを特徴とする請求項1記載の駆動力制御装置。
  3. 前記制御部は、前記維持している期間において前記アクセル開度が所定変化量以上となった場合には、前記加速増量噴射を禁止することを解除する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の駆動力制御装置。
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