JP7036989B2 - 診断システム、診断システムの運転方法、および診断プログラム - Google Patents
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- G05B23/00—Testing or monitoring of control systems or parts thereof
- G05B23/02—Electric testing or monitoring
Description
本願に係る明細書等において、プロセス流体とは、化学プラントを流通する原料、中間体、製品、および廃棄物の少なくとも一つを含む流体であると定義する。すなわち、プロセス流体とは、反応工程における反応物質や分離工程における分離対象の混合物などに対して直接に供給される物質、またはこれらの工程から直接に排出される物質に係る流体をいう。したがって、化学プラントにおいて用いられる流体であっても、化学プラントにおける生産活動において補助的に使用される流体(計装エアー、蒸気、冷媒、作動油など)は、プロセス流体の範疇に含めない。
本実施形態に係る診断システム1は、診断機10と、管理端末20と、サーバ装置30とを備える(図1)。診断機10は、超音波を測定可能な超音波測定部11(物理量測定部の例)と、温度を測定可能な温度測定部12(物理量測定部の例)と、演算処理が可能な演算部13と、各種の情報を記憶可能な記憶部14と、管理端末20と通信可能な通信部15と、RFIDタグリーダ16(読取部の例)と、を有する。管理端末20は、タブレット型コンピュータとして実装されており、使用者からの入力の受付および使用者に対する情報の表示が可能なタッチパネル21(表示部および入力部の例)と、各種の情報を記憶可能な記憶部22と、演算処理が可能な演算部23と、診断機10およびネットワークNと通信可能な通信部24と、を有する。サーバ装置30は、サーバ型コンピュータとして実装されており、各種の情報を記憶可能な記憶部31と、ネットワークNに接続可能な通信部32とを有する。
次に、タッチパネル21に表示される診断結果報告画面40(図3)の構成について説明する。診断結果報告画面40は、診断対象のプロセス機器ごとに作成される。診断結果報告画面40は、検査員が各プロセス機器についての診断結果を入力する際の入力インターフェースとして、かつ、検査員、管理者、およびその他の関係者が各プロセス機器についての診断結果を閲覧する際の出力インターフェースとして、機能する。診断結果報告画面40には、ロケーション情報41、流体情報42、機器情報43、運転情報44、診断結果45、補修状況46、平面図47、配管機器図48(P&ID48)、およびロケーション写真49が含まれる。
次に、本実施形態に係る診断システム1の運転方法について説明する。プロセス機器の診断にあたり、検査員は、診断機10および管理端末20を所持して、プラント内に設置された各プロセス機器を一つずつ検査する。なお、本実施形態では、検査対象とするプロセス機器の二次側がフレアスタックに接続されており、したがって各プロセス機器の二次側が大気圧である場合を例として説明する。
検査員が診断対象のプロセス機器(以下、診断対象機器という。)に到達すると、まず、診断機10のRFIDタグリーダ16により、診断対象機器に取り付けられたRFIDタグを読み取る。これにより、演算部13は、診断対象機器の管理番号を取得する。
演算部13は、検出された超音波の強度に基づく一次判定演算(第一診断演算処理の例)を行う(図5)。演算部13は、超音波測定部11により測定された超音波の強度(S11)と、所定の閾値とを比較する(S12)。超音波の強度が閾値未満である場合は、診断対象機器は漏れが生じていない「正常」の状態であると判定する。一方、超音波の強度が閾値以上である場合は、液晶ディスプレイ18に、診断対象機器の上流側および下流側の配管(以下、周辺部という。)についての測定を行うべき旨の指示が表示される。検査員は、診断対象機器の上流側および下流側の配管に探針10aを順次押し当てて、これらの配管の振動および温度を測定する(S13)。演算部13は、本体部の測定と同様に、周辺部の測定結果を取得する。また、周辺部の測定結果は、記憶部14に記憶される。
一次判定演算によって「要確認」状態だと判定された場合、演算部23は、検出された温度に基づく二次判定演算(第二診断演算処理の例)を行う(図6)。演算部23は、入力されたプロセス流体の種類に基づいて、当該プロセス流体の沸点の値を記憶部22から取得する(S21)。なお、プロセス流体の種類が未入力の場合は、タッチパネル21にその入力を促す案内が表示される。また、記憶部22に当該プロセス流体の沸点の値が記憶されていない場合は、ネットワークNを介してサーバ装置30または他のコンピュータから当該沸点の値を取得する。
二次判定演算において、プロセス流体が液体ではない場合(一次側において気体である場合など)、および当該プロセス流体の沸点が気温より高い場合の少なくとも一方に該当し、「要確認」状態であると判定された場合、演算部23は検出された温度に基づく三次判定演算(第二診断演算処理の例)を行う(図7)。演算部23は、診断対象機器の上流側の温度と、診断時における診断対象機器の周辺気温とを比較する(S31)。ここで、上流側の温度が気温以下の場合、演算部23は、三次判定演算によっては診断対象機器の状態を断定できない「要確認」状態であると判定する。この場合、さらなる判定のためには後述する四次判定を要する。
以上の一次~三次判定により診断対象機器の状態を断定できない場合、四次判定を実施する(図8)。まず、診断対象機器の下流側に開閉可能なバルブが存在するか否かを確認する(S41)。そのようなバルブが存在しない場合や、そのようなバルブは存在するが運転状況などの事情により当該バルブを操作できない場合は、診断対象機器の状態を断定できないことが確定し、演算部23は診断対象機器の状態を「要確認」とする判定を確定する。
上記の診断システム1の運転方法により、各プロセス機器についての診断結果が蓄積される。検査員、プラント管理者、およびその他の関係者(以下、閲覧者という。)は、管理端末20、管理者用の管理者用端末、またはその他の任意の端末に、各プロセス機器についての診断結果報告画面40を表示させて、各プロセス機器の診断結果および関連情報を閲覧できる。また、閲覧者は、サーバ装置30の記憶部31に記憶された複数のプロセス機器に係る診断結果に基づいて、「漏れ」状態のプロセス機器の一覧、「要確認」状態のプロセス機器の一覧、プラントのエリアごとの「漏れ」状態のプロセス機器の個数の集計、などの二次的な情報を閲覧できる。さらに、プラントの平面図上に各診断対象機器の位置示すアイコンを重ねて表示し、各アイコンの色を各診断対象機器の状態に対応した色(「正常」は緑、「要確認」は黄、「漏れ」は赤)にした機器分布図も出力可能である。
同一のプラント機器に対する二回目以降の検査は、上記と同様に実施される。このとき、同一のプラント機器に対する複数回の診断結果が、サーバ装置30の記憶部31に蓄積される。このように、同一の診断対象機器に対する複数回の診断結果が蓄積されている場合、当該診断対象機器に対応する診断結果報告画面40をタッチパネル21に表示させると、初期状態では最新の診断結果が診断結果45として表示される。なお、過去の診断結果を閲覧することも可能である。この場合、最新の診断結果と過去の診断結果とを、順次表示する態様、並べて表示する態様、および重ねて表示する態様が選択できる。このように、同一のプラント機器に係る診断結果を定期的に蓄積すると、当該プラント機器の経時による劣化を察知しやすい。
最後に、本発明に係る診断システム、診断システムの運転方法、診断プログラムのその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
10 :診断機
10a :探針
11 :超音波測定部
12 :温度測定部
13 :演算部(診断機)
14 :記憶部(診断機)
15 :通信部(診断機)
16 :RFIDタグリーダ
17 :入力ボタン
18 :液晶ディスプレイ
20 :管理端末
21 :タッチパネル
22 :記憶部(管理端末)
23 :演算部(管理端末)
24 :通信部(管理端末)
30 :サーバ装置
31 :記憶部(サーバ装置)
32 :通信部(サーバ装置)
N :ネットワーク
40 :診断結果報告画面
41 :ロケーション情報
42 :流体情報
43 :機器情報
44 :運転情報
45 :診断結果
46 :補修状況
47 :平面図
47a :表示子(平面図)
48 :配管機器図
48a :表示子(配管機器図)
49 :ロケーション写真
49a :ズーム写真
49b :アウト写真
49c :表示子(ズーム写真)
49d :表示子(アウト写真)
49e :ズーム写真の代替例
49f :熱画像
Claims (12)
- 化学プラントを流通する原料、中間体、製品、および廃棄物の少なくとも一つを含むプロセス流体の流通を制御するプロセス機器を診断可能な診断システムであって、
診断対象の前記プロセス機器である診断対象機器に係る物理量を測定可能な物理量測定部と、
前記物理量に基づいて前記診断対象機器における前記プロセス流体の漏れの有無を判定する診断演算処理をコンピュータにより実行可能な演算部と、
前記診断対象機器を識別する機器識別情報、前記物理量測定部により測定した前記物理量および前記診断演算処理の結果に係る情報を含む診断結果情報、前記診断対象機器の設置場所に係る情報を含む設置場所情報、前記診断対象機器により流通が制御される流体に係る情報を含む流体情報、前記診断対象機器の型式に係る情報を含む機器情報、および前記診断対象機器の規定の運転状態としての当該診断対象機器の運転頻度に係る情報を含む運転情報、を前記診断対象機器ごとに記憶可能な記憶部と、
前記診断対象機器についての前記機器識別情報、前記診断結果情報、前記設置場所情報、前記流体情報、前記機器情報、および前記運転情報を含む診断結果報告画面を表示可能な表示部と、を備え、
前記物理量測定部は、前記診断対象機器に係る超音波を測定可能な超音波測定部と、前記診断対象機器に係る温度を測定可能な温度測定部とを有し、
前記演算部は、前記診断演算処理として、前記超音波に基づき、かつ前記温度に基づかずに、前記プロセス流体の漏れの有無を判定する第一診断演算処理と、前記温度に基づき、かつ前記超音波に基づかずに、前記プロセス流体の漏れの有無を判定する第二診断演算処理とをコンピュータにより実行可能であり、
前記第一診断演算処理を、前記第二診断演算処理より前に実行するように構成されており、
前記演算部は、前記第一診断演算処理において前記診断対象機器に漏れが生じていないと判断したときは、前記第二診断演算処理を実行しない診断システム。 - 前記記憶部に記憶された各情報を更新可能な入力部をさらに備える請求項1に記載の診断システム。
- 前記記憶部は、前記診断演算処理において前記プロセス流体の漏れがあると判定された前記診断対象機器について、当該漏れに対する補修措置の状況に係る情報を含む補修情報をさらに記憶可能であり、
前記診断結果報告画面は、前記補修情報をさらに含む請求項1または2に記載の診断システム。 - 前記診断結果報告画面の表示および前記補修情報の更新が可能であり、かつ、前記記憶部に記憶されている情報のうち前記補修情報の他の情報の更新は不可能である管理者用端末をさらに備える請求項3に記載の診断システム。
- 前記設置場所情報は、
前記診断対象機器が設置されているプラントの平面図において前記診断対象機器が設置されている位置を特定する平面図上位置情報と、
前記診断対象機器が設置されているプラントの配管機器図において前記診断対象機器を特定する配管機器図上特定情報と、を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の診断システム。 - 前記診断結果報告画面は、
前記診断対象機器に係る前記平面図上位置情報に基づいて、前記平面図において前記診断対象機器の位置を示す平面図部分と、
前記診断対象機器に係る前記配管機器図上特定情報に基づいて、前記配管機器図において前記診断対象機器を特定して示す配管機器図部分と、を含む請求項5に記載の診断システム。 - 前記診断対象機器に取り付けられた、当該診断対象機器に係る前記機器識別情報を特定可能な識別タグを読取可能な読取部をさらに備え、
前記演算部は、前記読取部が読み取った前記機器識別情報に基づいて前記診断対象機器を特定して前記診断演算処理を実行し、
前記記憶部は、前記診断演算処理の結果に基づいて、前記読取部が読み取った前記機器識別情報により特定される前記診断対象機器に係る診断結果情報を記憶する請求項1~6のいずれか一項に記載の診断システム。 - 前記診断対象機器を撮影可能な撮影部をさらに備え、
前記記憶部は、前記撮影部により撮影した前記診断対象機器に係る画像データをさらに記憶可能であり、前記診断結果報告画面は、前記診断対象機器に係る前記画像データをさらに含む請求項1~7のいずれか一項に記載の診断システム。 - 前記撮影部は、前記診断対象機器の熱画像を撮影可能であり、
前記画像データは、前記診断対象機器に係る熱画像データを含み、
前記診断結果報告画面は、前記診断対象機器に係る前記熱画像データを含む請求項8に記載の診断システム。 - 前記記憶部は、複数回の診断に係る複数の診断結果情報を記憶可能であり、
前記表示部は、当該複数の診断結果情報を、順次、並べて、または重ねて表示できる請求項1~9のいずれか一項に記載の診断システム。 - 化学プラントを流通する原料、中間体、製品、および廃棄物の少なくとも一つを含むプロセス流体の流通を制御するプロセス機器を診断可能な診断システムの運転方法であって、
診断対象の前記プロセス機器である診断対象機器に係る物理量を取得する物理量測定工程と、
前記物理量に基づいて前記診断対象機器における前記プロセス流体の漏れの有無を判定する診断演算処理をコンピュータにより実行する演算工程と、
前記診断対象機器を識別する機器識別情報、前記物理量測定工程において測定した前記物理量および前記診断演算処理の結果に係る情報を含む診断結果情報、前記診断対象機器の設置場所に係る情報を含む設置場所情報、前記診断対象機器により流通が制御される流体に係る情報を含む流体情報、前記診断対象機器の型式に係る情報を含む機器情報、および前記診断対象機器の規定の運転状態としての当該診断対象機器の運転頻度に係る情報を含む運転情報、を前記診断対象機器ごとに記憶装置に記憶する記憶工程と、
前記診断対象機器についての前記機器識別情報、前記診断結果情報、前記設置場所情報、前記流体情報、前記機器情報、および前記運転情報を含む診断結果報告画面を表示装置に表示する表示工程と、を備え、
前記物理量測定工程は、前記診断対象機器に係る超音波を測定可能な超音波測定工程と、前記診断対象機器に係る温度を測定可能な温度測定工程とを有し、
前記演算工程において、前記診断演算処理として、前記超音波に基づき、かつ前記温度に基づかずに、前記プロセス流体の漏れの有無を判定する第一診断演算処理と、前記温度に基づき、かつ前記超音波に基づかずに、前記プロセス流体の漏れの有無を判定する第二診断演算処理とをコンピュータにより実行し、
前記第一診断演算処理を、前記第二診断演算処理より前に実行し、
前記第一診断演算処理において前記診断対象機器に漏れが生じていないと判断したときは、前記第二診断演算処理を実行しない診断システムの運転方法。 - 化学プラントを流通する原料、中間体、製品、および廃棄物の少なくとも一つを含むプロセス流体の流通を制御するプロセス機器を診断可能な診断プログラムであって、
診断対象の前記プロセス機器である診断対象機器について測定した物理量に基づいて、前記診断対象機器における前記プロセス流体の漏れの有無を判定する診断演算処理を行う演算機能と、
前記診断対象機器を識別する機器識別情報、前記物理量および前記診断演算処理の結果に係る情報を含む診断結果情報、前記診断対象機器の設置場所に係る情報を含む設置場所情報、前記診断対象機器により流通が制御される流体に係る情報を含む流体情報、前記診断対象機器の型式に係る情報を含む機器情報、および前記診断対象機器の規定の運転状態としての当該診断対象機器の運転頻度に係る情報を含む運転情報、を前記診断対象機器ごとに記憶装置に記憶する記憶機能と、
前記機器識別情報、前記診断結果情報、前記設置場所情報、前記流体情報、前記機器情報、および前記運転情報を含む診断結果報告画面を表示装置に表示する表示機能と、をコンピュータに実行させ、
前記物理量は、前記診断対象機器に係る超音波と、前記診断対象機器に係る温度と、を含み、
前記演算機能において、前記診断演算処理として、前記超音波に基づき、かつ前記温度に基づかずに、前記プロセス流体の漏れの有無を判定する第一診断演算処理と、前記温度に基づき、かつ前記超音波に基づかずに、前記プロセス流体の漏れの有無を判定する第二診断演算処理とを行い、
前記第一診断演算処理を、前記第二診断演算処理より前に行い、
前記第一診断演算処理において前記診断対象機器に漏れが生じていないと判断したときは、前記第二診断演算処理を実行しない診断プログラム。
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