JP7036635B2 - 磁気記憶素子、垂直磁化膜の形成方法、および、磁気記憶素子の製造方法 - Google Patents

磁気記憶素子、垂直磁化膜の形成方法、および、磁気記憶素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記憶素子、垂直磁化膜の形成方法、および、磁気記憶素子の製造方法に関する。
垂直磁化膜を備える磁気記憶素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。垂直磁化膜は垂直磁気異方性を有し、垂直磁化膜の表面に対して垂直な磁場が垂直磁化膜に印加されることによって、表面に対して垂直な方向に沿って磁化される。垂直磁化膜を備える磁気記憶素子によれば、水平磁化膜を備える磁気記憶素子に比べて、磁気記憶素子への書き込みや読み出しのためにその磁気記憶素子に印加された磁場が、その磁気記憶素子に隣り合う磁気記憶素子に影響しにくいため、磁気記憶素子を高集積化することが可能である。
特開2013-235914号公報
こうした磁気記憶素子を構成する垂直磁化膜として、新規の材料を主成分とする垂直磁化膜が求められている。
本発明は、CoZnMnを主成分とする垂直磁化膜を備えることを可能とした磁気記憶素子、垂直磁化膜の形成方法、および、磁気記憶素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための磁気記憶素子は、100nm以下の厚さを有するCoZnMn層と、前記CoZnMn層の下地層である白金層と、を備える。
上記課題を解決するための垂直磁化膜の形成方法は、CoZnMnを主成分とするターゲットをスパッタして、下地層である白金層によって構成された被成膜面を含む成膜対象の被成膜面に、100nm以下の厚さを有する非晶質なCoZnMn層を形成することと、前記CoZnMn層を加熱して結晶化させることと、を含む。
上記課題を解決するための磁気記憶素子の製造方法は、白金を主成分とする白金ターゲットをスパッタして成膜対象の被成膜面に下地層である白金層を形成することと、前記白金層によって構成される被成膜面に垂直磁化膜を形成することと、を含む。前記垂直磁化膜を形成することは、上記垂直磁化膜の形成方法を含む。
本願発明者は、CoZnMn層の特性について鋭意研究するなかで、以下の事項を見出した。すなわち、本願発明者は、下地層であるPt層上に形成されたCoZnMn層の厚さが100nm以下であるときに、CoZnMn層が垂直磁化膜として機能することを見出した。そのため、上記構成によれば、垂直磁化膜としてのCoZnMn層を備えた磁気記憶素子を得ることができる。
上記垂直磁化膜の形成方法において、前記CoZnMn膜を加熱することは、前記CoZnMn膜の温度が250℃以上350℃以下であることを含んでもよい。上記構成によれば、垂直磁化膜として機能するような結晶性を有したCoZnMn膜を得る確実性が高まる。
上記垂直磁化膜の形成方法において、前記CoZnMn膜を形成することは、前記成膜対象が配置される空間の圧力が、0.07Pa以上1.0Pa以下であることを含んでもよい。上記構成によれば、垂直磁化膜として機能するCoZnMn膜が得られる確実性が高まる。
磁気記憶素子の一例における構造を模式的に示す断面図。 磁気記憶素子の製造方法における一部が実施されるスパッタ装置の構成を示すブロック図。 磁気記憶素子の製造方法を説明するためのフローチャート。 試験例のCoZnMn層における磁化曲線。 (a)試験例のCoZnMn層における保磁力と厚さとの関係を示すグラフ、(b)試験例のCoZnMn層における飽和磁束密度に対する残留磁束密度の比と厚さとの関係を示すグラフ。 試験例のCoZnMn層における磁化曲線。 試験例のCoZnMn層における磁化曲線。
図1から図7を参照して、磁気記憶素子、垂直磁化膜の形成方法、および、磁気記憶素子の製造方法の一実施形態を説明する。以下では、磁気記憶素子の構成、磁気記憶素子の製造方法における一部が実施されるスパッタ装置の構成、垂直磁化膜の形成方法を含む磁気記憶素子の製造方法、および、試験例を順に説明する。
[磁気記憶素子の構成]
図1を参照して磁気記憶素子の構成を説明する。
図1が示すように、磁気記憶素子10は、100nm以下の厚さを有するCoZnMn層11と、CoZnMn層11の下地層である白金層(Pt層)12とを備えている。CoZnMn層11の主成分はCoZnMnであり、CoZnMnの組成は、化学式CoZnMnを用いて表すことができる。この場合、x、y、および、zの合計は例えば1であり、xは0.2以上0.4以下であり、yは0.4以上0.7以下であり、zは0.05以上0.2以下である。CoZnMn層11は、厚さが100nm以下であり、かつ、CoZnMn層の下地層がPt層12であることによって、垂直磁化膜として機能することが可能である。
Pt層12は、CoZnMn層11の下地層である。Pt層12は、Pt層12の上層であるCoZnMn層11の結晶配向性を制御するための層である。Pt層12の厚さは、例えば1nm以上10nm以下であることが好ましい。
磁気記憶素子10は、下地層およびCoZnMn層11を支持する基板13を備えている。基板13には、例えば、熱酸化膜、言い換えればシリコン酸化層(SiO層)を備えるシリコン基板を挙げることができる。なお、基板13には、シリコン基板に限らず他の基板が用いられてもよい。
磁気記憶素子10は、CoZnMn層11、Pt層12、および、基板13以外の層を備えてもよい。磁気記憶素子10は、例えば、基板13とPt層12との間に下部電極層を備えることができる。下部電極層には、例えば銅などの金属から形成された層を挙げることができる。
[スパッタ装置の構成]
図2を参照してスパッタ装置の構成を説明する。以下に説明するスパッタ装置では、磁気記憶素子の製造方法における一部が実施される。
図2が示すように、スパッタ装置20は、CoZnMn層11を形成するための成膜空間を区画する真空槽21を備えている。真空槽21内には、CoZnMn層11が形成される基板13を支持する支持部22が位置している。支持部22は、例えば基板13を支持するステージである。基板13には、下地層であるPt層12が形成されている。Pt層12を備える基板13が、成膜対象の一例である。
真空槽21のなかで、支持部22と対向する位置には、ターゲット23が位置し、ターゲット23はバッキングプレート24を介して真空槽21に固定されている。バッキングプレート24には、ターゲット23に電圧を印加するためのターゲット電源25が接続されている。ターゲット電源25は、直流電源である。バッキングプレート24に対してターゲット23とは反対側には、ターゲット23のなかで、成膜空間に露出する面に磁場を形成する磁気回路26が位置している。
図2では、図示の便宜上、ターゲット23の全体とバッキングプレート24の全体とが、成膜空間内に位置しているが、ターゲット23とバッキングプレート24とのうち、少なくともターゲット23の被スパッタ面が成膜空間に露出していればよい。
バッキングプレート24は金属製であり、例えば銅などによって形成されている。ターゲット23の主成分は、基板13に形成されたCoZnMn層11の主成分である。上述したように、CoZnMn層11の主成分は、CoZnMnである。なお、ターゲット23において、ターゲット23の主成分において、Coが40at%以上50at%以下、Znが40at%以上60at%以下、Mnが5at%以上10at%以下の割合で含まれていればよい。また、CoZnMn層11において、CoZnMn層11の主成分において、Coが20at%以上40at%以下、Znが40at%以上70at%以下、Mnが5at%以上20at%以下の割合で含まれていればよい。
スパッタ装置20は、排気部27とガス供給部28とをさらに備えている。排気部27は、成膜空間を所定の圧力まで減圧する。排気部27は、例えば各種のポンプおよびバルブを含んでいる。ガス供給部28は、成膜空間内にプラズマを生成するためのガスを供給する。ガス供給部28の供給するガスには、例えばアルゴン(Ar)ガスなどの希ガスを挙げることができる。ガス供給部28は、所定の流量でガスを供給するマスフローコントローラーであり、スパッタ装置20の外部に位置するボンベに接続されている。
こうしたスパッタ装置20では、支持部22に基板13が配置されると、排気部27によって成膜空間内が所定の圧力にまで減圧される。次いで、ガス供給部28から所定のガスが供給された後に、ターゲット電源25からターゲット23に電圧が印加されることによって、成膜空間中のガスからプラズマが生成される。結果として、ターゲット23がスパッタされ、基板13上にCoZnMn層11が形成される。スパッタ装置20では、ターゲット23のスパッタが行われているときに、基板13における温度の制御を行っていない。言い換えれば、スパッタ装置20では、ターゲット23のスパッタが行われているときに、スパッタ粒子からの入熱以外に基板13に対して熱エネルギーを与えていない。これによって、基板13上には、非晶質の状態のCoZnMn層11が形成される。
[磁気記憶素子の製造方法]
図3を参照して、磁気記憶素子10の製造方法を説明する。磁気記憶素子10の製造方法は、垂直磁化膜の形成方法を含んでいる。
磁気記憶素子10の製造方法は、下地層であるPt層12を形成することと、垂直磁化膜を形成することと、を含む。Pt層12を形成することは、基板13に白金を主成分とする白金ターゲットをスパッタして基板13の被成膜面に下地層である白金層を形成する。垂直磁化膜を形成することは、Pt層12によって構成される被成膜面に垂直磁化膜を形成する。
垂直磁化膜を形成することは、非晶質なCoZnMn層11を形成することと、CoZnMn層11を加熱して結晶化させることとを含む。非晶質なCoZnMn層11を形成することは、CoZnMnを主成分とするターゲットをスパッタして、下地層であるPt層12によって構成された被成膜面を含む成膜対象の被成膜面に、100nm以下の厚さを有する非晶質なCoZnMn層11を形成する。以下、図3を参照して、磁気記憶素子10の製造方法をより詳しく説明する。
図3が示すように、磁気記憶素子10の製造方法は、Pt層形成工程(ステップS11)、CoZnMn層形成工程(ステップS12)、および、アニール工程(ステップS13)を含んでいる。
Pt層形成工程は、基板13に下地層であるPt層12を形成する。Pt層形成工程では、上述したように、1nm以上10nm以下の厚さを有したPt層12を形成することが好ましい。なお、下地層形成工程に続くCoZnMn層形成工程、および、アニール工程は、垂直磁化膜の形成方法を構成する。垂直磁化膜の形成工程における成膜対象の一例は、基板13とPt層12とを含む。そのため、Pt層形成工程後の垂直磁化膜の形成方法において、成膜対象の被成膜面は、Pt層12によって構成されている。これにより、Pt層12上に形成されたCoZnMn層11の結晶配向性がPt層12によって制御され、垂直磁化膜として機能するCoZnMn層11を形成することが可能である。Pt層形成工程は、図2を参照して先に説明したスパッタ装置20に準じた構成を有するスパッタ装置によって実施することができる。
CoZnMn層形成工程は、Pt層12上にCoZnMn層11を形成する。CoZnMn層形成工程では、100nm以下の厚さを有したCoZnMn層11を形成する。非晶質なCoZnMn層11を形成することは、CoZnMn層11を形成する成膜空間の圧力が0.07Pa以上1.0Pa以下であることを含むことが好ましい。言い換えれば、CoZnMn層形成工程において、スパッタ装置20内の圧力が、0.07Pa以上1.0Pa以下であることが好ましい。成膜空間の圧力が0.07Pa以上1.0Pa以下であることによって、垂直磁化膜として機能するCoZnMn層11が得られる確実性を高めることができる。
また、CoZnMn層形成工程において、成膜対象の温度が150℃以下であることが好ましい。成膜対象の温度が150℃以下であることによって、成膜対象上に形成されるCoZnMn層11が非晶質である確実性が高まる。
アニール工程では、CoZnMn層11が250℃以上350℃以下の温度に加熱される。これにより、垂直磁化膜として機能するような結晶性を有したCoZnMn層11を得る確実性が高まる。上述したように、Pt層12およびCoZnMn層11は、それぞれ数十nm程度の厚さを有する。そのため、Pt層12およびCoZnMn層11の温度は、アニール工程が行われる空間の温度と同一の温度であると見なすことができる。アニール工程では、真空アニール炉を用いてCoZnMn層11をアニールすることができる。すなわち、アニール工程では、減圧された空間内に配置されたCoZnMn層11を加熱する。
[試験例]
図4から図7を参照して試験例を説明する。なお、図4、図6、および、図7の各々では、磁気記憶素子が有するCoZnMn層の表面に垂直な磁場、言い換えれば垂直方向の磁場が印加されたときの磁化曲線が実線で示されている。また、図4、図6、および、図7の各々では、CoZnMn層の表面に平行な磁場、言い換えれば水平方向の磁場が印加されたときの磁化曲線が一点鎖線で示されている。
[CoZnMn層の厚さ]
熱酸化膜(SiO膜)によって構成される被成膜面を備えるシリコン基板を準備した。そして、被成膜面上に10nmの厚さを有するPt層を形成し、Pt層上にCoZnMn層を形成した。次いで、CoZnMn層上にアニール中のCoZnMn層の変質を抑制するためのキャップ層として3nmの厚さを有するPt層を形成した。基板、Pt層、CoZnMn層、および、Pt層から構成される多層体を加熱した。これにより、試験例1の磁気記憶素子を得た。CoZnMn層の厚さは、試験例1‐1において20nmに設定し、試験例1‐2において60nmに設定し、試験例1‐3において100nmに設定した。
なお、CoZnMn層を成膜するときの成膜条件、および、多層体を加熱するときの加熱条件をそれぞれ以下のように設定した。
[成膜条件]
・ターゲット CoZnMnターゲット
・電力 200W
・スパッタガス アルゴン(Ar)ガス
・成膜空間の圧力 0.07Pa
[加熱条件]
・加熱温度 300℃
・加熱時間 10分
試験例1‐1の磁気記憶素子、試験例1‐2の磁気記憶素子、および、試験例1‐3の磁気記憶素子の各々について、磁気記憶素子に印加する磁場の強さに応じた磁束密度の変化を測定することによって、磁化曲線を得た。試験例1‐1の磁気記憶素子における磁化曲線は図4(a)に示す通りであり、試験例1‐2の磁気記憶素子における磁化曲線は図4(b)に示す通りであり、試験例1‐3の磁気記憶素子における磁化曲線は図4(c)に示す通りであった。
図4(a)が示すように、試験例1‐1の磁気記憶素子では、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したとき、および、垂直方向の磁場を印加したときの両方において、ヒステリシスを有するS字状の磁化曲線が得られた。
CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときと、CoZnMn層に垂直方向の磁場を印加したときとでは、飽和磁化の大きさが同程度であることが認められた。一方で、CoZnMn層に対して垂直方向の磁場を印加したときの保磁力が、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときの保磁力よりも小さいことが認められた。これらの結果から、Pt層上に形成され、かつ、20nmの厚さを有したCoZnMn層は、垂直磁化膜として機能すると言える。なお、20nmよりも薄い膜厚を有したCoZnMn層は、垂直磁化膜として有効に機能しなかった。
図4(b)が示すように、試験例1‐2の磁気記憶素子では、試験例1‐1の磁気記憶素子と同様、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したとき、緩やかなS字状磁化曲線が得られ、垂直方向の磁場を印加したときにおいて、ヒステリシスを有する磁化曲線が得られた。
また、CoZnMn層に対して垂直方向の磁場を印加したときの保磁力が、大幅に大きくなり、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときの保磁力が殆ど消失することが認められた。これらの結果から、Pt層上に形成され、かつ、60nmの厚さを有するCoZnMn層は、垂直磁化膜として機能すると言える。なお、50nm以上70nm以下の範囲の膜厚を有したCoZnMn層において同様の結果が得られ、垂直磁化膜として特に有効に機能すると言える。
図4(c)が示すように、試験例1‐3の磁気記憶素子では、試験例1‐1および試験例1‐2の磁気記憶素子と同様、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したとき、緩やかなS字状磁化曲線が得られ、垂直方向の磁場を印加したときにおいて、ヒステリシスを有する磁化曲線が得られた。
また、CoZnMn層に対して垂直方向の磁場を印加したときの保磁力が、試験例1‐2に比べて小さくなることが認められた。加えて、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときに保磁力が現れないが、試験例1‐2に比べてS字形状が鮮明になることが認められた。これらの結果から、Pt層上に形成され、かつ、100nmの厚さを有するCoZnMn層は、垂直磁化膜として機能すると言える。なお、100nmよりも厚い膜厚を有したCoZnMn層は、垂直磁化膜として有効に機能しなかった。
試験例1‐4では、成膜条件および加熱条件を上述した試験例1‐1と同じ条件に設定し、かつ、CoZnMn層の厚さを20nmから100nmまでの範囲で、10nmずつ厚くすることによって、9つの磁気記憶素子を得た。そして、各磁気記憶素子が有するCoZnMn層に垂直方向の磁場を印加して、磁化曲線を得た。各磁気記憶素子の磁化曲線に基づき得られた保持力(Hc)と、CoZnMn層の厚さとの関係は、図5(a)に示す通りであった。また、各磁気記憶素子の磁化曲線に基づき得られた飽和磁束密度(Ms)に対する残留磁束密度(Mr)の比(Mr/Ms)と、CoZnMn層の厚さとの関係は、図5(b)に示す通りであった。
図5(a)が示すように、CoZnMn層の保磁力は、CoZnMnの厚さが60nmであるときに極大値を有することが認められた。また、CoZnMn層の保磁力は、CoZnMnの厚さが50nmまたは70nmであるときに、約3kOeであることが認められた。
図5(b)が示すように、CoZnMn層において、飽和磁束密度に対する残留磁束密度の比は、CoZnMn層の厚さが60nmおよび70nmであるときに極大値を有することが認められた。また、飽和磁束密度に対する残留磁束密度の比は、CoZnMn層の厚さが50nmであるときに約0.75であることが認められた。
このように、CoZnMn層の厚さが50nm以上70nm以下であるときに、CoZnMn層は、垂直磁化膜として特に好ましい特性を有することが認められた。
[下地層]
試験例2‐1では、試験例1‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。試験例2‐2では、下地層を形成しない以外は、試験例2‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。試験例2‐3では、下地層を形成する材料をクロム(Cr)に変更した以外は、試験例2‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。試験例2‐4では、下地層を形成する材料をタンタル(Ta)に変更した以外は、試験例2‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。
試験例2‐1から試験例2‐4の各々の磁気記憶素子において、磁気記憶素子に印加する磁場の強さに応じた磁束密度の変化を測定することによって、磁化曲線を得た。試験例2‐1の磁気記憶素子における磁化曲線は図6(a)に示す通りであり、試験例2‐2の磁気記憶素子における磁化曲線は図6(b)に示す通りであった。試験例2‐3の磁気記憶素子における磁化曲線は図6(c)に示す通りであり、試験例2‐4の磁気記憶素子における磁化曲線は図6(d)に示す通りであった。
図6(a)が示すように、下地層としてPt層を備える磁気記憶素子では、CoZnMn層に垂直方向の磁場を印加したときに、S字状のヒステリシスを有する磁化曲線が得られた。すなわち、Pt層上に形成されたCoZnMn層が垂直磁化膜として機能することが認められた。
これに対して、図6(b)が示すように、磁気記憶素子が下地層を有しない場合には、CoZnMn層に垂直方向の磁場を印加したときに、ほぼ直線状を有した磁化曲線が得られた。すなわち、CoZnMn層が垂直磁化膜として機能しないことが認められた。また、図6(c)および図6(d)に示されるように、下地層としてCr層またはTa層を形成したときにも、試験例2‐2の磁気記憶素子と同様、CoZnMn層に垂直方向の磁場を印加したときに、ほぼ直線状を有した磁化曲線が得られることが認められた。すなわち、CoZnMn層が垂直磁化膜として機能しないことが認められた。
[成膜空間の圧力]
試験例3‐1では、試験例1‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。試験例3‐2では、成膜空間の圧力を0.1Paに変更する以外は、試験例3‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。試験例3‐3では、成膜空間の圧力を0.4Paに変更する以外は、試験例3‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。試験例3‐4では、成膜空間の圧力を1.0Paに変更する以外は、試験例3‐1と同じ方法によって、磁気記憶素子を得た。
試験例3‐1から試験例3‐4の各々の磁気記憶素子において、磁気記憶素子に印加する磁場の強さに応じた磁束密度の変化を測定することによって、磁化曲線を得た。試験例3‐1の磁気記憶素子における磁化曲線は図7(a)に示す通りであり、試験例3‐2の磁気記憶素子における磁化曲線は図7(b)に示す通りであり、試験例3‐3の磁気記憶素子における磁化曲線は図7(c)に示す通りであり、試験例3‐4の磁気記憶素子における磁化曲線は図7(d)に示す通りであった。
図7(a)が示すように、成膜空間の圧力が0.07Paであるときには、磁気記憶素子に対してCoZnMn層の表面に垂直な磁場を印加したときの保磁力が大幅に大きくなり、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときの保磁力が殆ど消失することが認められた。
これに対して、図7(b)が示すように、成膜空間の圧力が0.1Paであるときには、CoZnMn層の表面に垂直な磁場を印加したときの保磁力が、成膜空間の圧力が0.07Paであるときよりも大きくなり、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときの保磁力が僅かに発現することが認められた。
また、図7(c)が示すように、成膜空間の圧力が0.4Paであるときには、成膜空間の圧力が0.1Paであるときよりも、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときの保磁力が更に大きくなることが認められた。
また、図7(d)が示すように、成膜空間の圧力が1.0Paであるときには、成膜空間の圧力が低圧である条件と比べて、CoZnMn層の表面に垂直な磁場を印加したときの保磁力が小さくなり、CoZnMn層に対して水平方向の磁場を印加したときの磁化曲線が大きなS字を持つ磁化曲線であることが認められた。
このように、試験例3によれば、CoZnMn層を形成するときの成膜空間の圧力を、例えば0.4Pa以下、さらに好ましくは0.1Pa以下に低圧化することによって、垂直磁化膜として機能するCoZnMn層が得られる確実性が高まることが認められた。
以上説明したように、磁気記憶素子、垂直磁化膜の形成方法、および、磁気記憶素子の製造方法の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)垂直磁化膜として機能するCoZnMn層11を備えた磁気記憶素子10を得ることができる。
(2)非結晶のCoZnMn層11を250℃以上350℃以下の温度で加熱することによって、垂直磁化膜として機能するような結晶性を有したCoZnMn層11を得る確実性が高まる。
(3)CoZnMn層11を形成するときの成膜空間の圧力が、0.07Pa以上1.0Pa以下であることによって、垂直磁化膜として機能するCoZnMn層11が得られる確実性を高めることができる。
10…磁気記憶素子、11…CoZnMn層、12…白金層(Pt層)、13…基板、20…スパッタ装置、21…真空槽、22…支持部、23…ターゲット、24…バッキングプレート、25…ターゲット電源、26…磁気回路、27…排気部、28…ガス供給部。

Claims (4)

  1. 50nm以上70nm以下の厚さを有し、2.8kOe以上3.1kOe以下の保持力、および、0.75以上0.9以下の飽和磁束密度(Ms)に対する残留磁束密度(Mr)の比(Mr/Ms)を有するCoZnMn層と、
    前記CoZnMn層の下地層である白金層と、を備える
    磁気記憶素子。
  2. CoZnMnを主成分とするターゲットをスパッタして、下地層である白金層によって構成された被成膜面を含む成膜対象の被成膜面に、50nm以上70nm以下の厚さを有する非晶質なCoZnMn膜を150℃以下の温度で形成することと、
    前記CoZnMn膜を250℃以上350℃以下の温度で加熱して結晶化させることと、を含む
    垂直磁化膜の形成方法。
  3. 前記CoZnMn膜を形成することは、
    前記成膜対象が配置される空間の圧力が、0.07Pa以上1.0Pa以下であることを含む
    請求項に記載の垂直磁化膜の形成方法。
  4. 白金を主成分とする白金ターゲットをスパッタして成膜対象の被成膜面に下地層である白金層を形成することと、
    前記白金層によって構成される被成膜面に垂直磁化膜を形成することと、を含み、
    前記垂直磁化膜を形成することは、請求項2または3に記載された垂直磁化膜の形成方法を含む
    磁気記憶素子の製造方法。
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