JP7034508B1 - 光硬化型シリカ微粒子の製造法、光硬化型シリカ微粒子及び光硬化型コーティング用組成物 - Google Patents

光硬化型シリカ微粒子の製造法、光硬化型シリカ微粒子及び光硬化型コーティング用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性に優れた硬化膜を形成可能な、光硬化型シリカ微粒子及び光硬化型組成物を、安全で生産効率及び生産コストに優れる工程で製造することができる方法を提供する。また、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性に優れた硬化膜を形成可能な、光硬化型シリカ微粒子及び光硬化型組成物を提供する。【解決手段】沸点90℃以上の親水性有機溶媒と比較的少量の特定範囲の量の水とを含む溶媒中で、テトラエトキシシラン(TEOS)を70℃以上の温度で加水分解し、得られたシリカ粒子分散液に光重合性官能基を有するシランモノマーを加えて光硬化型シリカ微粒子を得る。また、得られた光硬化型シリカ微粒子とウレタン(メタ)アクリレートとを含む光硬化型組成物とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、光硬化型シリカ微粒子の製造方法、これにより得られる光硬化型シリカ微粒子、当該シリカ微粒子を含有する光硬化型コーティング用組成物、当該組成物により形成される硬化膜、並びに当該硬化膜を含む光学フィルム及び光学機器に関する。
近年、液晶テレビ、携帯電話、通信機器、事務機器、生活機器などの多くの機器及びそれらの部品に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、又はポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂のフィルム又は成型品がガラスに代わって広く使用されている。これらの樹脂はガラスに比べ軽量であり加工も容易であるが、耐候性に劣り表面が傷つき易いことから、保護層を設けることが一般的に行われている。特に、ハードコートでは、高い硬度や耐擦傷性が求められ、成形品やディスプレイ等の屈曲部に使用される際には、耐屈曲性も求められる。
保護層を設ける方法として、シラノール基の縮合反応による熱硬化法と、ラジカル官能基の重合反応による光硬化法が知られており、熱硬化法としては、例えばシリコーン系の樹脂組成物を合成樹脂成型品に塗布して熱硬化させて保護膜を形成する方法が知られている(特許文献1)。
この熱硬化法で形成されるシリコーン系の保護膜は高い耐擦傷性を有するが、加熱処理を行うため硬化時にかなりのエネルギー及び時間が必要となり、生産性の点で問題がある。また、薄膜の場合には基材が熱によってダメージを受けてしまうため、基材に用いる材料等が制限される。
一方で、光硬化法は、ラジカル重合性モノマー、オリゴマー又はポリマーを主成分とする組成物を基材に塗布した後で紫外線等のエネルギー線を照射することで硬化させる方法であり、エネルギー線で迅速に硬化させることができるため、熱硬化法に比べて生産性に優れる。
また、光硬化法で得られる硬化膜の、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性を向上させる試みがなされており、シリカ微粒子を含有させたコーティング組成物が一般的に知られている(特許文献2~6)。
しかし、これらの従来のコーティング組成物では、市販のコロイダルシリカ又はオルガノシリカゾルを、ラジカル重合性官能基を持つシランカップリング剤で処理したシリカ微粒子を含み、得られる硬化膜は、耐屈曲性、硬度及び耐擦傷性の何れかの点では十分ではなかった(例えば、後述する比較例1-2、1-3、2-2、及び2-3参照)。
他方、ゾルゲル法によってアルコキシシランを加水分解してシリカ微粒子を合成し、得られたシリカ粒子を、ラジカル重合性官能基を持つシランカップリング剤で処理して光硬化型シリカ微粒子を製造する種々の方法が知られている(特許文献7~10)。
特許文献7では、ゾルゲル法によってアルコキシシランを加水分解してシリカ微粒子を合成し、得られたシリカ粒子を焼成し、その後特定の条件下シランカップリング剤で処理して光硬化型シリカ微粒子を製造する方法が開示されている。
また、特許文献8及び9では、大量の水中でアルコキシシランを加水分解し、次いで、有機塩基を添加して安定化した後に濃縮して安定なシリカ微粒子を得る方法が開示されている。
しかし、特許文献7に記載する方法では、シリカ粒子を焼成するため、そのための設備と大きなエネルギーが必要になり、生産効率及び生産コストの点で不利である。また、特許文献7では、ハードコートで要求される硬度、耐擦傷性、耐屈曲性等の特性は評価されておらず、これらの特性を向上させることを目的とする方法ではない(発明が解決しようとする課題参照)。
また、特許文献8及び9に記載する方法では、加水分解を促進するために大量の水を用い、加水分解反応直後に有機塩基を添加してシリカ粒子を安定化した後で、大量の水を除く濃縮工程を実施しているが、有機塩基による影響が懸念され、濃縮のために大きなエネルギーが必要になり、やはり生産効率及び生産コストの点で不利である。また、本発明者らが、得られる硬化膜の特性を試験したところ、硬度及び耐擦傷性の点では非常に優れるものの、耐屈曲性の点では必ずしも十分ではなかった(後述する比較例2-10、表11参照)。これは、シリカ成分が硬化膜表面に過剰に存在することによるものと考えられ、これは、シリカ粒子の特性に起因するものと推測される。
また、これらの文献は、もっぱらシリカ粒子の製造に関し、得られたシリカ粒子を如何なるラジカル重合性化合物と組み合わせて光硬化型組成物とするかについては、特に記載はない。
これに対して、特許文献10の方法では、多量のメタノールに少量の水を混合した溶媒中でテトラメトキシシランを加水分解してシリカ粒子分散液を得、これに(メタ)アクリル基を有するシランモノマーを加えて光硬化型シリカ微粒子の分散液を得、更に1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を加え、減圧下で溶媒及び加水分解で発生したメタノールを留去して、光硬化型組成物を製造する方法が開示されている。
この方法では、有機塩基を用いることなく、加水分解反応後のシリカ粒子分散液にシランモノマーが加えられてシリカ粒子の変性が行われ、溶媒中の水の量が少なく濃縮に多大のエネルギーを要しないため、生産効率及び生産コストの点で優れる。しかし、反応性の高いテトラメトキシシランを用いる一方で、これとの相溶性に優れるメタノールを主とする溶媒中で加水分解反応を行うため(比較例1-10、比較例1-15参照)、反応温度は50℃程度であり、この反応条件が、得られるシリカ粒子及び硬化膜の構造及び特性に影響を及ぼしていた。実際、本発明者らが試験したところ、得られるシリカ粒子は、歪な形状をしており、大きさのバラツキも大きかった(比較例1-11、図3)。また、得られる硬化膜は、硬度が十分ではなかった(比較例2-11、表9)。
また、この方法では、メタノールを主とする溶媒及びテトラメトキシシランを用いて加水分解反応を行うため、人体に有害なメタノールが揮散し、作業者が危険にさらされるという問題があった。
米国特許第4,006,271号 特開2001-113649号公報 国際公開2012/105297号公報 特開2015-86103号公報 特開2000-637516号公報 特開2017-132975号公報 特開2017-178659号公報 特開2018-104288号公報 国際公開2014/199903号公報 特開2020-12078号公報
本発明は、上記従来技術が抱える問題を解消することを目的とする。すなわち、本発明は、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性に優れた硬化膜を形成可能な、光硬化型シリカ微粒子及び光硬化型組成物を、安全で生産効率及び生産コストに優れる工程で製造することができる方法を提供することを第一の目的とする。本発明はまた、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性に優れた硬化膜を形成可能な、光硬化型シリカ微粒子及び光硬化型組成物を提供することを第二の目的とする。
本発明者らは、これらの目的を達成すべく鋭意検討を重ね、沸点90℃以上の親水性有機溶媒と比較的少量の特定範囲の量の水とを含む溶媒中で、テトラエトキシシラン(TEOS)を70℃以上の温度で加水分解し、得られたシリカ粒子分散液に光重合性官能基を有するシランモノマーを加えて光硬化型シリカ微粒子を得ること、並びに得られた光硬化型シリカ微粒子を特定の光重合性化合物と組み合わせることで、これらの目的を達成し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の光硬化型シリカ微粒子の製造法、光硬化型シリカ微粒子、光硬化型組成物等を提供する。
[1]テトラエトキシシラン(TEOS)を、該TEOS1モルに対して4~50モルの水と、沸点90℃以上の親水性有機溶媒とを含む溶媒中で、アンモニア、ジメチルアミン及びジエチルアミンの少なくとも1種を含む触媒の存在下で、70℃以上の温度で加水分解してシリカ粒子分散液を得、
該シリカ粒子分散液に光重合性官能基を有するシランモノマーを添加して、該シリカ粒子を変性する、光硬化型シリカ微粒子の製造方法。
[2]前記触媒は、アンモニアを含む、[1]に記載の方法。
[3]前記沸点90℃以上の親水性有機溶媒は、沸点90℃以上のアルコール又は沸点90℃以上のエーテルである、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記沸点90℃以上のアルコールは、n-プロパノール、n-ブタノール及びs-ブタノールからなる群から選択され、前記沸点90℃以上のエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される、[3]に記載の方法。
[5]TEOS1モルに対して0.005~0.3モルの触媒、好ましくはアンモニアと、TEOS100質量部に対して24~144質量部の親水性有機溶媒とを含む混合溶液で加水分解反応を行う、[1]~[4]の何れかに記載の光硬化性シリカ微粒子の製造方法。
[6]前記シランモノマーが、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[5]の何れかに記載の方法。
[7]前記テトラエトキシシラン(TEOS)を、前記溶媒中に滴下後、75℃以上で加熱する、[1]~[6]の何れかに記載の方法。
[8]前記変性工程後に、水及び加水分解により発生するアルコールを除き、前記沸点90℃以上の親水性有機溶媒中に前記光硬化性シリカ微粒子を分散させる、[1]~[7]の何れかに記載の方法。
[9][1]~[8]の何れかに記載の方法で得られた光硬化性シリカ微粒子。
[10][9]に記載の光硬化性シリカ微粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとを混合する、光硬化型コーティング用組成物の製造方法。
[11][9]に記載の光硬化性シリカ微粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとを含む、光硬化型コーティング用組成物。
[12]前記光硬化性シリカ微粒子及び前記ウレタン(メタ)アクリレートの質量比(固形分換算値)が、80:20~20:80(光硬化性シリカ微粒子:ウレタン(メタ)アクリレート)である、[11]に記載の光硬化型コーティング用組成物。
[13]ハードコート用である、[11]又は[12]に記載の光硬化型コーティング用組成物。
[14]光学フィルム用である、[11]~[13]の何れかに記載の光硬化型コーティング用組成物。
[15][11]~[14]の何れかに記載の光硬化型コーティング用組成物を硬化した硬化物。
[16][15]に記載の硬化物で被覆されている光学フィルム又は光学機器。
本発明の光硬化型シリカ微粒子の製造方法は、テトラエトキシシラン(TEOS)を、TEOS1モルに対して4~50モルの水と、沸点90℃以上の親水性有機溶媒とを含む溶媒中で、アンモニア等の触媒の存在下で、70℃以上の温度で加水分解する。これにより、多大のエネルギーを要する濃縮を不要とし、且つメタノールが発生しない反応系にしながらも、加水分解反応を十分に進行させることができ、ほぼ球形で均一な大きさの光硬化型シリカ微粒子を得ることができる。また、本発明の製造方法は、TEOSの加水分解により得られたシリカ粒子分散液に、光重合性官能基を有するシランモノマーを添加して、該シリカ粒子を変性するため、多大のエネルギーを要する焼成やシリカ粒子を安定化するための有機塩基の添加を不要とし、生産効率及び生産コストの点で優れる。
また、本発明の硬化型コーティング用組成物は、本発明の製造方法により得られた光硬化型シリカ微粒子をウレタン(メタ)アクリレートと組み合わせており、これにより、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性に優れた硬化膜を形成することができる。
図1は、[実施例1-1]で得られたシリカ微粒子(a-1)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した鏡顕画像を示す。 図2は、[比較例1-12]で得られたシリカ微粒子(a-17)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した鏡顕画像を示す。 図3は、[比較例1-13]で得られたシリカ微粒子(a-18)を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した鏡顕画像を示す。 図4は、商品名:PGM-AC-2140Y、日産化学株式会社製の反応性シリカ微粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した鏡顕画像を示す。 図5は、実施例2-2で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-1))で形成された硬化膜を、原子間力顕微鏡により観察して得られた硬化膜表面構造の画像(a)、得られた画像データから求めた画像(a)の中央線での断面プロファイル(b)、及び得られた断面プロファイルから算出したFFTグラフ(c)を示す。 図6は、比較例2-14で得られた組成物(シリカ微粒子は、市販の反応性シリカ微粒子(商品名:PGM-AC-2140Y、日産化学株式会社製))で形成された硬化膜を、原子間力顕微鏡により観察して得られた硬化膜表面構造の画像(a)、得られた画像データから求めた画像(a)の中央線での断面プロファイル(b)、及び得られた断面プロファイルから算出したFFTグラフ(c)を示す。 図7は、比較例2-10で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-17))で形成された硬化膜を、原子間力顕微鏡により観察して得られた硬化膜表面構造の画像(a)、得られた画像データから求めた画像(a)の中央線での断面プロファイル(b)、及び得られた断面プロファイルから算出したFFTグラフ(c)を示す。 図8は、比較例2-11で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-18))で形成された硬化膜を、原子間力顕微鏡により観察して得られた硬化膜表面構造の画像(a)、得られた画像データから求めた画像(a)の中央線での断面プロファイル(b)、及び得られた断面プロファイルから算出したFFTグラフ(c)を示す。
本発明は、特定の反応条件により光硬化型シリカ微粒子を製造する方法、これにより得られる光硬化型シリカ微粒子、当該シリカ微粒子を含有する光硬化型コーティング用組成物、当該組成物により形成される硬化膜、並びに当該硬化膜を含む光学フィルム及び光学機器に関する。以下、本発明の実施形態を順次説明する。
1.本発明の製造方法
1-1.加水分解
本発明による光硬化型シリカ微粒子の製造方法は、ゾルゲル法によりアルコキシシランを加水分解してシリカ粒子分散液を調製する方法であって、特定の条件で加水分解を行うことを特徴とする。
本発明においては、テトラエトキシシラン(TEOS)を加水分解してシリカ微粒子を合成する。これにより、加水分解によりメタノールが発生することを回避でき、安全な反応系を構築できる。TEOSの量は、反応溶液中0.0247モル/Kg~3.24モル/Kgが好ましく、0.236モル/Kg~2.44モル/Kgがより好ましい。
また、加水分解反応は、アンモニア、ジメチルアミン及びジエチルアミンの少なくとも1種を含む触媒の存在下で行う。特に、アンモニアは、TEOSの加水分解反応を十分に進めることができ、且つ揮発し易く硬化膜に残存しないため高硬度を発現し易い点で好ましい。DBU又はグアニジンを触媒に使用した場合には、加水分解反応が十分に進行せず、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性の点で十分な特性の硬化膜が得られず、トリエチルアミンやギ酸を触媒に用いた場合には、反応液がゲル化してしまうのに対して、上記アンモニア等を触媒に使用した場合には、加水分解反応が十分に進行し、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性の点で十分な特性の硬化膜が得られる。ただし、TEOSの加水分解反応を十分に進めることができ、且つ硬化膜に残存しても物性に悪影響を及ぼさなければ、上記アンモニア等を他の触媒と組み合わせてもよい。
上記触媒(例えば、アンモニア)の量は、水の量及び加水分解温度に応じて調整することが好ましいが、加水分解反応を適切なレベルで進行させる点から、TEOS1モルに対して0.005~0.3モルとすることが好ましく、0.01~0.25モルとすることがより好ましい。
本発明においては、TEOSを、TEOS1モルに対して4~50モルの水と、沸点90℃以上の親水性有機溶媒とを含む溶媒中で加水分解する。
これにより、多大のエネルギーを要する多量の水の留去を不要とし、且つメタノールが不要な安全な反応系にすることができる。他方、加水分解反応温度を高めることで加水分解反応を十分に進行させることができ、これにより、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性に優れた硬化膜を形成可能なシリカ微粒子を得ることができる。
水は、軟水等を使用することが好ましく、水の量は、加水分解反応を適切なレベルで進行させると共に、シリカ粒子を合成した後の水の留去をできるだけ簡易とする観点で、TEOS1モルに対して7~25モルがより好ましく、8~15モルが特に好ましい。
沸点90℃以上の親水性有機溶媒としては、沸点が90℃以上で水及びTEOSと相溶性の有機溶媒であればよいが、例えば、沸点90℃以上のアルコール又は沸点90℃以上のエーテルが挙げられる。
沸点90℃以上のアルコールとしては、例えば、n-プロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール等が挙げられ、沸点90℃以上のエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。中でも、水及びTEOSとの相溶性に優れ、加水分解反応の温度を高温に設定可能であり、光硬化型コーティング用組成物を調製して基材に塗布した際にプラスチック系基材を侵しにくい点で、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
本発明の一実施形態では、親水性有機溶媒は、更に、沸点90℃未満のアルコール又はエーテルを含んでもよい。但し、調製される混合溶媒は、70℃以上の温度での加水分解を可能とするものでなければならず、加水分解温度を高める観点から、沸点90℃未満のアルコール又はエーテルは混合溶媒中の50%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、含まないことが特に好ましい。
また、沸点90℃未満のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコ-ルが挙げられ、沸点90℃未満のエーテル類としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。但し、安全な反応系とする観点及び光硬化型シリカ微粒子を合成した後の溶媒置換の簡素化の観点からは、特にメタノールは含まないことが好ましく、更に他のアルコール及びエーテルも含まないことが好ましい。
親水性有機溶媒の量は、適切な反応温度を担保し適切なレベルでの加水分解反応を可能とすべく、TEOS100質量部に対して24~144質量部が好ましく、48~120質量部がより好ましく、水100質量部に対して17~600質量部が好ましく、50~200質量部がより好ましい。
本発明の好ましい一の実施形態において、TEOSは、TEOS1モルに対して0.005~0.3モルの触媒、好ましくはアンモニアと、TEOS1モルに対して4~50モルの水と、TEOS100質量部に対して24~144質量部の親水性有機溶媒とを含む混合溶液中で加水分解反応を行い、より好ましくは、TEOS1モルに対して0.01~0.25モルの触媒、好ましくはアンモニアと、TEOS1モルに対して8~15モルの水と、TEOS100質量部に対して48~120質量部の親水性有機溶媒とを含む混合溶液中で加水分解反応を行う。
本発明においては、70℃以上の温度で加水分解を行う。テトラアルコキシシランとしてTEOSを用い、TEOS1モルに対して4~50モルの水を含む溶媒を用いる一方で、加水分解温度を高めることで、加水分解反応を十分に進行させて、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性に優れた硬化膜を形成可能なシリカ微粒子を得ることができる。
加水分解温度としては、70℃以上であれば十分に加水分解反応が進行するが、75℃以上としてもよく、80℃以上としてもよい。他方、過剰に加水分解反応が進行しないように、水の沸点である100℃未満とすることが好ましく、生産効率を考えると95℃以下とすることが好ましい。
加水分解の手順について特に制限はないが、急激な反応を防止するために、例えば、水と有機溶媒とアンモニアを混合した混合物を、所定の反応温度まで昇温した後、TEOSを、0.5~5時間かけて滴下して加水分解及びケイ酸の縮合を生じさせることが好ましい。他の方法としては、一部の水と有機溶媒とアンモニアを混合した混合物を、所定の反応温度まで昇温した後、TEOS及び水を、0.5~5時間かけて滴下して加水分解及びケイ酸の縮合を生じさせる方法が挙げられる。
本発明の好ましい実施形態では、テトラエトキシシラン(TEOS)の滴下が完了した後、反応温度を維持、好ましくは昇温してより高い温度として反応を継続する。この追加の熟成工程により、TEOSの加水分解及びケイ酸の縮合を完全に生じさせ、高い硬度の硬化膜を得ることができる。昇温してより高い温度とする場合、例えば、75℃以上の温度とすることができる。もっとも、TEOSを滴下中の反応温度に対して、10℃以下の範囲で高めれば十分である。従って、例えば、TEOSを滴下中、70℃で加水分解反応を行った場合、71~80℃(例えば、75℃)でこの追加の熟成工程を行うことができ、TEOSを滴下中、75℃で加水分解反応を行った場合、76~85℃(例えば、80℃)でこの追加の熟成工程を行うことができる。また、この追加の熟成工程は、1~8時間程度の時間行えばよく、1~6時間がより好ましい。
加水分解反応又は追加の熟成工程が完了後、得られたシリカ粒子の分散液は、変性工程に供される。得られたシリカ粒子の分散液は、そのまま変性工程に供してもよいが、通常、60℃以下に冷却して変性工程に供される。
1-2.変性
本発明においては、加水分解反応又は追加の熟成工程で得られたシリカ粒子の分散液は、焼成工程又は濃縮工程に供されたり、有機塩基を添加することなく、光重合性官能基を有するシランモノマーがこれに添加され、シリカ粒子が変性(表面処理)される。加水分解反応又は追加の熟成工程で得られたシリカ粒子は、反応し易くそのまま放置した場合には、凝集を生じやすいが、分散液を得た直後に変性処理を行うことで、シリカ粒子を安定化させる処理が不要となる。この結果、生産効率及び生産コストの点で優れたプロセスとすることができる。
本発明において、光重合性官能基を有するシランモノマーについて特に制限はなく、変性により付与する特性に応じて適宜適切なシランモノマーを選択すればよい。好ましい光重合性官能基を有するシランモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有するシランモノマーを挙げることができる。また、(メタ)アクリロイル基を有するシランモノマーとしては、例えば、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、及び3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランを挙げることができ、ビニル基を有するシランモノマーとしては、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリエトキシシランを挙げることができる。中でも、シリカ粒子をシランモノマーで変性する際の反応性及び塗膜を光重合させる際の反応性の点で、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
光重合性官能基を有するシランモノマーは、シリカ粒子を構成するシリカ(SiO)1モル(TEOS1モルに相当する)に対して、0.02モル~0.5モルが好ましく、0.03モル~0.12モルがより好ましい。
変性工程(表面処理工程)は、一般的に知られている方法で行えばよい。例えば、シリカ粒子の分散液に60℃以下でシランモノマーを添加し、20~60℃の反応温度で、1~8時間反応させて実施することができる。
1-3.水及び加水分解により発生するアルコールの留去/溶媒置換
本発明の好ましい実施形態では、変性工程後に、得られたシリカ粒子分散液中の水及び加水分解により発生するアルコール(エタノール)を除外し、沸点90℃以上の親水性有機溶媒中にシリカ粒子が分散した組成物を調製する。この際、水及び加水分解により発生するアルコール(エタノール)を除外しながら、沸点90℃以上の親水性有機溶媒を添加すると効率的に溶媒置換できる。また、添加する親水性有機溶媒は、加水分解の際に用いた親水性有機溶媒を用いることが好ましい。留去は、例えば、沸点90℃以上の親水性有機溶媒の沸点未満、50℃以上の温度で、適宜減圧下として行うことができる。
水及び加水分解により発生したアルコールの留去/溶媒置換は、変性工程後に行ってもよいが、後述するウレタンアクリレートを混合後又は混合の際に行ってもよい。後者の場合、ウレタンアクリレートが変性工程後のシリカ粒子分散液に加えられ、その後に水及び加水分解により発生したアルコールの留去/溶媒置換が行われ、或いは変性工程後のシリカ粒子分散液に水及び加水分解により発生したアルコールの留去等を開始した後にウレタンアクリレートが加えられる。
2.光硬化性シリカ微粒子及び光硬化型コーティング用組成物
上記方法により得られる光硬化性シリカ微粒子は、後述する実施例で実証されるように、ほぼ球形で、均一な形状及び大きさの粒子である(図1)。シリカ微粒子の粒径は、水の量、触媒の量等の反応条件で変わり得るが、10~100μm程度である。
本発明による光硬化型コーティング用組成物は、上記方法により得られる光硬化性シリカ微粒子を含み、好ましい実施形態では、当該光硬化性シリカ微粒子とウレタンアクリレートとを含む。後述する実施例で実証する通り、上記方法により得られる光硬化性シリカ微粒子を1,6-ヘキサンジオールジアクリレートと組み合わせた組成物では、硬化膜の耐擦傷性が不十分となり、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと組み合わせた組成物では、硬化膜の耐屈曲性が不十分となるのに対して、ウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせた組成物では、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性の何れの点でも優れた特性の硬化膜が得られる。
本願明細書において「ウレタン(メタ)アクリレート」とは、ポリオール及びポリイソシアネートまたは(ポリ)イソシアネートと、水酸基を持つ(メタ)アクリレートとを反応させて得られる構造、またはポリオール及びポリイソシアネートまたはポリオールと、イソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートとを反応させて得られる構造を有する化合物を意味する。
従って、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、
A:2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートと水酸基含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物、
B:2官能以上のポリイソシアネートと水酸基含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物、
C:2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物、
D:2官能以上のポリオールとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物
を挙げることができる。
2官能以上のポリオールとしては、例えば、二価アルコール、三価アルコール、これらの縮合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,3’-ジメチロールへプタン、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3,3-ビス(ヒドロキシメチル)へプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリエーテル系ポリオール(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール)、ポリエステル系ポリオール(例えばポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物、プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物)等が挙げられる。2官能以上のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロールモノメタクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物、プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。また、2官能以上のポリオールとしては、分子量2000以下のポリオールが好ましく、分子量1000以下がより好ましい。このようなポリオールとしては、例えば、分子量1000以下のポリテトラメチレングリコール、分子量1000以下のポリカーボネートジオール等が挙げられる。
なお、本願明細書で「X官能のポリオール」という場合、水酸基数がX個のポリオールを意味する。
2官能以上のポリイソシアネートは、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族のイソシアネート及びポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、イソフォロンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート、ポリメリックMDI、ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリレンジイソシアネート(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート)、フェニレンジイソシアネート(1,4-フェニレンジイソシアネート)、ジフエニルジイソシアネート(例えば、4,4-ジフエニルジイソシアネート、3,3-ジメチル-4,4-ジフェニレンジイソシアネート)、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(例えば、1,5-ナフタレンジイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、ジイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体などのイソシアネート誘導体などが挙げられる。2官能以上のポリオールとしては、硬化膜の黄変を抑制する観点から、脂肪族または脂環式のポリイソシアネートが好ましい。例えば、イソフォロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びそれらのポリイソシアネート誘導体等が好ましい。
なお、本願明細書で「Y官能のポリイソシアネート」という場合、イソシアネート基数がY個のポリイソシアネートを意味する。
水酸基含有の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリレートのカプロラクトン付加物、アクリレートの酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート-アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン-酸化アルキレン付加物-ジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が挙げられる。水酸基含有の(メタ)アクリレートとしては、例えば、3官能以上の水酸基含有の(メタ)アクリレートが好ましく、3官能~5官能の水酸基含有の(メタ)アクリレートがより好ましく、3官能~5官能の(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートが特に好ましい。3官能~5官能の(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
なお、本願明細書で「Z官能の水酸基含有の(メタ)アクリレート」という場合、(メタ)アクリロイル基数がZ個の水酸基含有の(メタ)アクリレートを意味する。
イソシアネート含有の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1官能又は2官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。1官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、2-(2-メタクリロイルオキシ)エチルイソシアネートが挙げられ、2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)イソシアネートが挙げられる。また、これら(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、カレンズMOI、カレンズAOI、カレンズBEI、カレンズMOI-EG等が挙げられる。本発明のウレタン(メタ)アクリレートとしては、1官能又は2官能の(メタ)アクリレートが好ましく、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート又は1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)イソシアネートが好ましい。
なお、本願明細書で「A官能のイソシアネート含有の(メタ)アクリレート」という場合、(メタ)アクリロイル基数がA個のイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを意味する。
Aのウレタン(メタ)アクリレートとしては、上記で例示した2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートと水酸基含有の(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられ、より好ましくは、上記でそれぞれ好ましいとされた2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートと水酸基含有の(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられる。
Aのウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール分子量650とイソフォロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートを付加反応させた化合物やポリカーボネートジオール分子量500(旭化成株式会社製デュラノールT5650E)とジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられる。
Bのウレタン(メタ)アクリレートとしては、上記で例示した2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられ、より好ましくは、上記でそれぞれ好ましいとされた2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられる。
Bのウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系イソシアネートプレポリマー(旭化成株式会社製デュラネートD201)とジペンタエリスリトールペンタアクリレートを付加反応させた化合物やHDI系ポリイソシアネート(旭化成株式会社製デュラネート24A-100)とペンタエリスリトールトリアクリレートを付加反応させた化合物等を挙げることができる。
Cのウレタン(メタ)アクリレートとしては、上記で例示した2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられ、より好ましくは、上記でそれぞれ好ましいとされた2官能以上のポリオールと2官能以上のポリイソシアネートとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられる。
Cのウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ネオペンチルグリコールとイソフォロンジイソシアネートと1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)イソシアネートを付加反応させた化合物やグリセリンとHDI系ポリイソシアネート(旭化成株式会社製デュラネートTPA-100)とイソシアネートエチルアクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられる。
Dのウレタン(メタ)アクリレートとしては、上記で例示した2官能以上のポリオールとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられ、より好ましくは、上記でそれぞれ好ましいとされた2官能以上のポリオールとイソシアネート含有の(メタ)アクリレートを付加反応させた(メタ)アクリレートの付加反応物が挙げられる。
Dのウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、グリセリンと1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)イソシアネートを付加反応させた化合物やポリカーボネートジオール分子量1000(旭化成株式会社製デュラノールT5651)とイソシアネートエチルアクリレートを付加反応させた化合物等を挙げることができる。
これらウレタン(メタ)アクリレートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬度や耐SW性の観点から、A及びBのウレタン(メタ)アクリレートでは、水酸基含有の(メタ)アクリレートとして、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを使用した化合物が好ましく、3官能のペンタエリスリトール(メタ)アクリレートを使用した化合物がより好ましい。
同様の点で、C及びDのウレタン(メタ)アクリレートでは、イソシアネート含有の(メタ)アクリレートとして、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート又は1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)イソシアネートを使用した化合物が好ましい。なお、コスト面からはA又はBのウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量は200以上10000以下が好ましく、400以上5000以下がより好ましい。
光硬化型コーティング用組成物中のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、2~40質量%が好ましく、4~30質量%がより好ましい。
また、光硬化型コーティング用組成物中の光硬化性シリカ微粒子の含有量は、2~40質量%が好ましく、4~30質量%がより好ましい。
また、光硬化性シリカ微粒子及びウレタン(メタ)アクリレートの質量比(固形分換算値)は、硬度、耐SW性、屈曲性のバランスを取る上で、80:20~20:80(光硬化性シリカ微粒子:ウレタン(メタ)アクリレート)が好ましく、70:30~30:70(光硬化性シリカ微粒子:ウレタン(メタ)アクリレート)がより好ましく、60:40~40:60(光硬化性シリカ微粒子:ウレタン(メタ)アクリレート)が特に好ましい。
また、本発明のコーティング用組成物には、本発明による効果を損なわない範囲で、他の有機塗膜成分を含むことができる。
他の有機塗膜成分としては、例えばアクリルアクリレートが挙げられる。
アクリルアクリレートとしては、例えばポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられ、硬度及び柔軟性の点からペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートやイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等の3官能オリゴマーが好ましい。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述の通り、光硬化型コーティング用組成物は、変性処理後の光硬化性シリカ微粒子の分散液、或いは更に水及び加水分解により発生したアルコールの留去等を行った後又はその最中の光硬化性シリカ微粒子の分散液に、ウレタン(メタ)アクリレートを添加して調製することができる。
本発明による光硬化型コーティング用組成物は、他の成分について特に制限はないが、必要に応じて、光重合開始剤を含んでもよい。
光重合開始剤は、光を受けて励起し、光硬化性シリカ微粒子及びウレタン(メタ)アクリレートの官能基に励起エネルギーを与えて紫外線照射による硬化反応を開始させるものであり、所望の特性の硬化膜を得る上で添加した方が好ましい。
光重合開始剤は、特に制限はなく、コーティング組成物中での相溶性および硬化性の観点から適宜選択すればよく、その具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2-ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイドなどのリン酸化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1やカンファーキノン等が挙げられ、硬化性の点から、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンが好ましい。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用して用いてもよく、要求される硬化膜性能に応じて、任意に組み合わせることができる。
光重合開始剤を使用する場合の含有量は、光硬化型コーティング用組成物中の固形分100質量部に対して0.5~10質量部であることが好ましい。
本発明による光硬化型コーティング用組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防汚剤、撥水剤、レベリング剤、着色剤、顔料、接着促進剤、赤外線吸収剤、光安定剤、金属酸化物微粒子等の他の成分を含んでもよい。
3.硬化膜、及び被覆物品
本発明の光硬化型コーティング用組成物を、基材に、直接又は少なくとも1種の他の層を介して塗布し、光照射することによって硬化させ、基材に被膜を形成することができる。
本発明において、塗布方法について特に制限はなく、公知の手法で行えばよい。例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を用いることができる。
塗膜の厚みについても特に制限はないが、硬化膜の強度、基材の保護、基材との密着性、及びクラック発生防止といった観点から、0.1~50μmが好ましく、1~20μmがより好ましい。
塗膜の硬化は、大気、窒素等の雰囲気下で紫外線を照射することによって行うことができる。
紫外線照射用ランプとしては、反応可能な範囲の波長領域を照射するものであればよく、例えば、ウシオ電機(株)製の高圧水銀ランプ(UV-7000)、メタルハライドランプ(MHL-250、MHL-450、MHL-150、MHL-70)、JMtech社製のメタルハライドランプ(JM-MTL2KW)、三菱電機(株)製の紫外線照射灯(OSBL360)、日本電池(株)製の紫外線照射機(UD-20-2)、(株)東芝製の蛍光ランプ(FL-20BLB)、Fusion社製のHバルブ、Hプラスバルブ、Dバルブ、Qバルブ、Mバルブ等が挙げられる。照射量は、100~12,000mJ/cmが好ましく、より好ましくは300~8,000mJ/cmであり、更に好ましくは500~6,000mJ/cm2である。
基材としては、特に限定はなく、例えば、プラスチック成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、及びそれらの複合物等が挙げられ、特にPET、ポリカーボネート、PMMA等が好ましい。
また、これらの基材の表面が、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液等で処理されていてもよい。また、プライマー層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層など、基材の表面に1種以上の層が形成され、その層に硬化膜を形成してもよい。
なお、形成された硬化膜上に、更に、化学気相成長(CVD)法による蒸着層、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の一層又は複数層が更に形成されてもよい。
本発明の光硬化型樹脂組成物を硬化して得られる被膜は、後述する実施例で実証されている通り、表面の凹凸が大きく、シリカ成分が硬化膜内に埋もれずに表面付近に配向している構造を有する。より具体的には、原子間力顕微鏡で観察された硬化膜の表面形状・構造の画像データから算出された算術平均高さ(Sa)、及び最大高さ(Sz)は、以下の数値範囲となる。
Figure 0007034508000001
また、硬化膜の特性は、やはり後述する実施例で実証されている通り、硬度、耐擦傷性及び耐屈曲性の何れでも優れた特性を有する。特に、硬化膜の硬度は大きく、ナノインデンテーション法による硬化膜強度の評価において以下の特性を有する。
Figure 0007034508000002
これらの特性から、本発明の光硬化型樹脂組成物は、特にハードコート用のコーティング剤として有用である。また、本発明の光硬化型樹脂組成物は、多様な製品のコーティング剤として使用できるが、可視光の透過性が高いため、特に光学フィルム又は光学機器用コーティング剤として有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
1.光硬化型シリカ微粒子の調製
[実施例1-1]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル480gと、水480gと、25%アンモニア水7.2gとを仕込み、70℃まで昇温した。テトラエトキシシラン500gを、フラスコに3時間かけて連続的に滴下し、滴下後75℃まで昇温して更に3時間加熱した。60℃まで冷却した後で、反応液に、シランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-5103、信越化学工業株式会社製)を35g添加し、60℃のまま3時間反応させた。反応液を約60℃のままフラスコ内を減圧することにより、水及び加水分解によって発生したアルコールを回収しつつ、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて溶剤置換して固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)(a-1)の分散液を得た。
[実施例1-2]
5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル240gと、イソプロパノール240gと、水480gと、25%アンモニア水7.2gとを仕込んだ以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-2)を得た。
[実施例1-3]
シランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM-5103:信越化学工業株式会社製)に代え、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-503、信越化学工業株式会社製)を37.2g添加した以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-3)を得た。
[実施例1-4]
5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル360gと、水360gと、25%アンモニア水7.2gとを仕込んだ以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-4)を得た。
[実施例1-5]
5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル960gと、水960gと、25%アンモニア水7.2gとを仕込んだ以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-5)を得た。
[比較例1-1]
5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル、水、及び25%アンモニア水を仕込んだ後、60℃まで昇温し、テトラエトキシシランを滴下した後で、そのままの温度で加熱した以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-6)を得た。
[比較例1-2]
5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾル(商品名:PGM-ST、日産化学株式会社製、粒子径12nm、固形分30%)480.8gと、水48gと、25%アンモニア水7.2gとを仕込み、60℃まで昇温した後で、シランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-5103、信越化学工業株式会社製)を35g添加した以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-7)を得た。
[比較例1-3]
5つ口フラスコに、NH 安定型コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスN40、日産化学株式会社製、粒子径22nm、固形分40%)360.8gと、水360gと、メタノール48gと、25%アンモニア水0.24gとを仕込み、60℃まで昇温した後で、シランカップリング剤として、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-503、信越化学工業株式会社製)を37.2g添加した以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-8)を得た。
[比較例1-4]
25%アンモニア水に代え、ジアザビシクロウンデセン7.2gを5つ口フラスコに仕込んだ以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-9)を得た。
[比較例1-5]
25%アンモニア水に代え、1,3-ジフェニルグアニジン7.2gを5つ口フラスコに仕込んだ以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-10)を得た。
[比較例1-6]
25%アンモニア水に代え、トリエチルアミン7.2gを5つ口フラスコに仕込んだ以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=16/1)の分散液(a-11)を得た。しかし、テトラエトキシシランの加水分解反応が十分に進まなかったため安定性が悪く、翌日ゲル化した。
[比較例1-7]
5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル312gと、水283.5gと、88%ギ酸7.2gとを仕込み、テトラエトキシシランを滴下後、そのまま3時間反応させ、シランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-5103、信越化学工業株式会社製)を70g添加した以外は、実施例1-1と同様にして実施した。しかし、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランを添加後の反応中にゲル化してしまい、シリカ微粒子(a-12)を得られなかった。
[比較例1-8]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー及び窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、メチルエチルケトン360gと、水259.2gと、ギ酸7.2gと、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-5103、信越化学工業株式会社製)562.4gとを仕込み、60℃まで昇温し、3時間反応した。減圧濃縮により水、メチルエチルケトン及び加水分解によって発生したアルコールを回収しつつ、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて溶剤置換して固形分35%のシランカップリング剤縮合物(シリカ/シランカップリング剤モル比=0/1)の分散液(a-13)を得た。
[比較例1-9]
シランカップリング剤を添加して反応させる工程を除いた以外は、実施例1-1と同様にして、固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=1/0)の分散液(a-14)を得た。
[比較例1-10]
テトラエトキシシランに代え、テトラメトキシシラン365.5gを、フラスコに滴下した以外は、実施例1-1と同様にしてシリカ微粒子の調製を実施したところ、滴下したテトラメトキシシランが滴下ロートの先で反応して白色析出物が発生し、液はゲル化した(a-15)。反応が過剰に進行したことによると考えられる。
[比較例1-11]
プロピレングリコールモノメチルエーテルに代え、メタノール480gを5つ口フラスコに仕込み、60℃まで昇温し、テトラエトキシシランを滴下後、65℃まで昇温した以外は、実施例1-1と同様にしてシリカ微粒子の調製を実施したところ、時間の経過と共に液がゲル化した(a-16)。加水分解反応が十分に起こらなかったためと考えられる。
[比較例1-12](特許文献8)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー及び窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、水3241.8gと、25%アンモニア水5.5gとを仕込み、80℃まで昇温した。次いで、テトラエトキシシラン365.8gを、フラスコに2時間かけて連続的に滴下し、滴下後80℃のまま1時間加熱し、その後90℃まで昇温して1時間加熱した。
次いで、得られたシリカ微粒子分散液3612.8gに対してトリn-プロピルアミンを1.4g添加した後、容器内の液を、蒸気を器外に排出させながら加熱し、液温が99℃になるまで濃縮した。次いで、フラスコ内を減圧することにより577.2gまで濃縮し、固形分25%のシリカ微粒子分散液を得た。
次いで、シリカ微粒子分散液の温度を60℃とした後で、分散液304gにメタノール32g加え、シランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM-5103:信越化学工業株式会社製)を12.6gとトリn-プロピルアミンを0.3gを添加し、60℃のまま3時間反応させた。
反応液を約60℃のままフラスコ内を減圧することにより、水及び加水分解によって発生したアルコールを回収しつつ、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて溶剤置換して固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=23.5/1)(a-17)を得た。
[比較例1-13](特許文献10)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、メタノール448.1gと、水18.1gと、25%アンモニア水25.3gとを仕込み、50℃まで昇温した。テトラメトキシシラン365.5gと、水51.5g及び25%アンモニア水20.2gを混合したアンモニア希釈水とを、フラスコに3時間かけて連続的に滴下し、滴下後そのまま更に1時間加熱した。
得られた分散液948.7gに、25℃で、シランカップリング剤として、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM-503:信越化学工業株式会社製)を25.6g添加し、25℃のまま3時間反応させた。反応液を約60℃とし、フラスコ内を減圧することにより、溶媒及び加水分解によって発生したアルコールを回収しつつ、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて溶剤置換して固形分35%のシリカ微粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=23.3/1)(a-18)を得た。
[比較例1-14]
テトラメトキシシランに代え、テトラエトキシシラン500gを滴下した以外は、比較例1-13と同様にして、シリカ微粒子の調製を実施したところ、液が白濁して粗い粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=23.3/1)が形成された(a-19)。また、時間の経過と共に、ゲル化した。加水分解反応が十分に起きなかったためと考えられる。
[比較例1-15]
5つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル448.1gと、水18.1gと、25%アンモニア水25.3gとを仕込み、50℃まで昇温し、テトラメトキシシラン等をフラスコに滴下した後、そのまま更に1時間加熱した以外は、比較例1-13と同様にして、シリカ微粒子の調製を実施したところ、液が白濁して粗い粒子(シリカ/シランカップリング剤モル比=23.3/1)が形成された(a-20)。
Figure 0007034508000003
Figure 0007034508000004
Figure 0007034508000005
2.光硬化型組成物の調製
[実施例2-1]
シリカ微粒子(a-1)分散液240g(固形分35%)とウレタンアクリレート(商品名:8UX-015A、大成ファインケミカル株式会社製15官能ウレタンアクリレート)(c-1)56gとをビーカーに入れ、攪拌しながら10分混合後、光重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン(商品名:Omnirad184、IGM社製) (d-1)を4.2g((a-1)及び(c-1)の固形分100質量部に対して3質量部に相当する)、レベリング剤としてフッ素系界面活性剤(商品名:フタージェント602A、ネオス株式会社製)を0.01g添加して更に攪拌を続けた。均一溶解したのを確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを92.9g添加して固形分36%の光硬化型組成物1を調整した。
[実施例2-2~2-20]
下の表に記載する組成にした以外は光硬化型組成物1に記載する手順と同様にして、組成物を調製した。
Figure 0007034508000006
Figure 0007034508000007
Figure 0007034508000008
Figure 0007034508000009
3.特性評価
3-1.硬化膜特性の評価
3-1-1.硬化膜の形成
実施例2-1~2-6、並びに比較例2-1~2-17で得られた各組成物を、PETフィルム(厚さ:100μ、東洋紡株式会社製A4300)にバーコーター(株式会社安田精機製作所社製、No.36)で塗工し、80℃で1分間の予備乾燥を行った。次に、空気下で紫外線照射装置(へレウス株式会社製ライトハンマー10)を用いて、照度1,500mW/cm、積算光量500mJ/cmの照射量となるよう紫外線照射を行い、PETフィルム上に約20μmの膜厚を有する硬化膜を形成した。なお、比較例2-9で得られた組成物で硬化膜を形成した際、硬化膜は白化した。
3-1-2.各評価方法
3-1-2-1.ナノインデンテーション法による硬化膜強度の評価
A.測定方法
導電層の硬さ(HIT)及び弾性変形仕事率(ηIT)を、ナノインデンター(株式会社エリオニクス社製、ENT-3100)で測定した。
測定は、バーコピッチ型のダイヤモンド製圧子を用いて、付加除荷試験モードで最大荷重1.0[mN]で押し込み、押込み硬さ[H_IT]、HV(ビッカース硬さ)相当値[HV*]、押し込み弾性率[E_IT]、最大押し込み深さ[h_max]を測定した。
各項目は、概略、以下の意義を有する。
・押し込み硬さ:半永久的な変形あるいは損傷に対する数値で有り、弾性により戻ることのない損傷の大きさを示す。この値が大きいと硬く傷つきにくく、小さいと傷つきやすい。
・HV(ビッカース硬さ)相当値:ナノインテンダーによって測定した値からビッカース硬さに変換した数値である。
・押し込み弾性率:変形のしにくさを表し、その材料のヤング率に相当する。柔軟性のある物質の値は低く、硬い物質の値は高くなる。
・最大押し込み深さ:柔らかい物質は高い数値となり、硬い物質は低くなる。
B.測定結果
実施例2-1、比較例2-10、2-11及び比較例2-14で得られた組成物で形成した硬化膜について得られた測定結果を以下の表に示す。
Figure 0007034508000010
Figure 0007034508000011
Figure 0007034508000012
Figure 0007034508000013
実施例2-1の組成物で形成された硬化膜は、押し込み硬さ[H_IT]、HV相当値及び押し込み弾性率[E_IT]が最も高く、最大押し込み深さ[h_max]が最も低い。従って、最も固い硬化膜が形成されたことを示す。他方、比較例2-11の組成物で形成された硬化膜は、最大押し込み深さ[h_max]が最も高く、最も柔軟性が高い硬化膜が形成されたことを示す。各例の硬さと柔軟性の順位は、以下の通りとなる。
・硬さ
実施例2-1>比較例2-10>比較例2-11>比較例2-14
・柔軟性
比較例2-11>比較例2-14>比較例2-10>実施例2-1
3-1-2-2.硬化膜の鉛筆硬度
JIS K 5600-5-4(1999)に準拠し、上記硬化膜付基材の塗工面について、荷重750gで鉛筆引っかき試験を実施した。
4H以上 ◎
3H 〇
2H △
H以下 ×
3-1-2-3.硬化膜の屈曲性
JIS K 5600-5-1に準じて、円筒形マンドレル屈曲試験機を用いて屈曲性の評価を行った。
評価用硬化膜を、塗膜面が外側になるように試験棒に巻きつけた際に、割れまたは剥がれが生じる最大の径(整数値、mm)を測定した。値が小さいほど屈曲性の高い塗膜であることを意味する。
6以上-16mm以下◎
17以上-25mm以下〇
26以上-32mm以下△
33mm以上 ×
3-1-2-4.硬化膜の耐SW性
スチールウール(日本スチールウール社製、ボンスター♯0000)を用い、500gの荷重をかけながら硬化膜の表面を10往復もしくは100往復させた後、表面の傷つき度合いを目視により観察した。
◎ 傷なし
〇 傷なし粉発生
△ 傷数本
× 傷数10本以上
3-1-2-5.硬化膜の透明性
JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH-5000)を用いて、硬化膜付基材のヘイズ値を測定した。
◎ 0.1%未満
〇 0.1%以上0.5%未満
△ 0.5%以上1%未満
× 1.0%以上
各物性の評価
実施例2-1、比較例2-12、比較例2-13、比較例2-10、比較例2-2、及び比較例2-16で得られた組成物で形成した硬化膜について、屈曲性及び耐SW性を評価した結果を以下に示す。
Figure 0007034508000014
上記の通り、シリカ微粒子(a-1)と、ウレタンアクリルレート(8UX-015A)を組み合わせた実施例2-1の組成物で形成した硬化膜では、屈曲性及び耐SW性の何れも優れた特性を示したのに対して、シリカ微粒子(a-1)に、1,6-HDDA又はDPHAを組み合わせた比較例2-12の組成物及び比較例2-13の組成物で形成した硬化膜では、耐SW性又は屈曲性の点で十分な特性が得られなかった。
また、特許文献8のシリカ微粒子(a-17)と、ウレタンアクリルレート(8UX-015A)を組み合わせた比較例2-10の組成物で形成した硬化膜では、耐SW性及び屈曲性の点で十分な特性が得られず、市販のシリカ微粒子(b-1)に、ウレタンアクリルレート(8UX-015A)又はDPHAを組み合わせた比較例2-2及び比較例2-16の組成物で形成した硬化膜でも、耐SW性及び屈曲性の点で十分な特性が得られなかった。
また、実施例2-1~2-6、比較例2-1~2-10、比較例2-15、比較例2-16、及び比較例2-18で得られた組成物で形成した硬化膜について、鉛筆硬度、屈曲性及び耐SW性を評価した結果を以下に示す。
Figure 0007034508000015
実施例2-11~2-8の組成物で形成された硬化膜は、鉛筆硬度、耐擦り傷性及び耐屈曲性の何れでも良好な特性を示した。
シリカ粒子形成の際の加水分解温度が低い比較例2-1の組成物で形成された硬化膜では、擦り傷性及び耐屈曲性で十分な特性が得られなかった。
市販のシリカ粒子を変性処理した比較例2-2及び2-3の組成物で形成された硬化膜では、シリカの硬さ若しくはシリカの表面修飾が不十分なためか、鉛筆硬度及び擦り傷性が十分でなかった。
触媒としてそれぞれDBU及びグアニジンを用いて調製した比較例2-4及び2-5の組成物で形成された硬化膜では、硬化膜中に触媒が残存したためか、鉛筆硬度耐擦り傷性及び耐屈曲性が十分でなかった。
シランカップリング剤のみの縮合物で粒子を調製した比較例2-8の組成物で形成された硬化膜では、シリカ分が無いため、鉛筆硬度が低かった。
市販の非反応性シリカ微粒子を配合した比較例2-15の組成物で形成された硬化膜では、硬度と耐擦り傷性が悪かった。市販の反応性シリカ微粒子を配合した比較例2-14の組成物で形成された硬化膜では、硬度は良好だが、耐屈曲性が悪く、耐擦り傷性評価後に硬化膜上にシリカ分の剥離由来と思われる粉が発生した。
シリカ粒子を配合せずウレタンアクリレートのみ配合した比較例2-17の組成物で形成された硬化膜では、耐擦り傷性が悪かった。
3-2.シリカ微粒子の評価
上記硬化膜評価により、実施例2-1の組成物で形成された硬化膜、比較例2-10の組成物で形成された硬化膜、比較例2-11の組成物で形成された硬化膜、及び比較例2-2の組成物で形成された硬化膜に特性の差異が認められたため、各組成物に配合したシリカ粒子の形状及び大きさ、並びに各組成物で形成された硬化膜の表面構造をTEM及びAFMにより精査した。
3-2-1.TEMによる粒子の形状の観察
透過型電子顕微鏡(商品名:HT7700 EXALENS、日立ハイテク社製)により、実施例1-1で得られたシリカ微粒子(a-1)、比較例1-12で得られたシリカ微粒子(a-17)、比較例1-13で得られたシリカ微粒子(a-18)、及び市販の反応性シリカ微粒子(商品名:PGM-AC-2140Y、日産化学株式会社製)の形状を観察した。
図1~4に示す通り、シリカ微粒子(a-1)及びシリカ微粒子(a-17)は、ほぼ球形であったのに対して、シリカ微粒子(a-18)及び市販のシリカ微粒子(PGM-AC-2140Y)は、歪な形状をしており、市販のシリカ微粒子(PGM-AC-2140Y)は、大きさのばらつきも大きかった。また、シリカ微粒子(a-1)は、20nm程度の直径を有していたのに対して、シリカ微粒子(a-17)は、30nm程度の直径を有していた。
3-2-2.AFMによる硬化膜表面の構造及び各パラメータの解析
原子間力顕微鏡(商品名:Bruker AXS社製)により、実施例2-2で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-1))、比較例2-10で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-17))、比較例2-11で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-18))、及び比較例2-14で得られた組成物(シリカ微粒子は、市販の反応性シリカ微粒子(商品名:PGM-AC-2140Y、日産化学株式会社製))で形成された硬化膜の表面形状・構造を分析し、得られた画像データから算術平均高さ(Sa)、最大高さ(Sz)、スキューネス(Ssk)及びクルトシス(Sku)を算出した。
各パラメータの技術的意義は以下の通り。
算術平均高さ(Sa):輪郭曲線(線粗さ)パラメータのRaを3次元に拡張したパラメータであり、測定対象領域において、Z(x,y)の絶対値(平均面からの高低差)の平均を表す。具体的には、以下の数式で表される。
Figure 0007034508000016

最大高さ(Sz):輪郭曲線(線粗さ)パラメータのRzを3次元に拡張したパラメータであり、測定対象領域において、最大山高さ(Sp)と最大谷深さ(Sv)の和を表す。従って、以下の数式で表される。
Figure 0007034508000017

スキューネス(Ssk):輪郭曲線(線粗さ)パラメータのRskを3次元に拡張したパラメータであり、測定対象領域において、Rskと同様に高さ分布のヒストグラムの偏り具合(歪度)を表す。具体的には、以下の数式で表される。
Figure 0007034508000018

クルトシス(Sku):輪郭曲線(線粗さ)パラメータのRkuを3次元に拡張したパラメータであり、測定対象領域において、Rkuと同様に高さ分布のヒストグラムのとがり具合(尖度)を表す。具体的には、以下の数式で表される。
Figure 0007034508000019
測定1
実施例2-2で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-1))及び比較例2-14で得られた組成物(シリカ微粒子は、市販の反応性シリカ微粒子(商品名:PGM-AC-2140Y、日産化学株式会社製))で形成された硬化膜の表面を以下の測定条件で測定した。
Figure 0007034508000020

Figure 0007034508000021
測定結果
分析の結果得られた、各硬化膜表面の構造を示す画像、断面プロファイル、及び断面プロファイルから算出されたFFTグラフを、図5(a)、(b)及び(c)並びに図6(a)、(b)及び(c)に示し、各硬化膜表面の構造に関する各パラメータ(Sa、Sz、Sku及びSsk)の数値を以下の表に示す。
Figure 0007034508000022
測定2
比較例2-10で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-17))及び比較例2-11で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-18))で形成された硬化膜の表面a-18を以下の測定条件で測定した。
Figure 0007034508000023

Figure 0007034508000024
測定結果
分析の結果得られた、各硬化膜表面の構造を示す画像、断面プロファイル、及び断面プロファイルから算出されたFFTグラフを、図7(a)、(b)及び(c)並びに図8(a)、(b)及び(c)に示し、各硬化膜表面の構造に関する各パラメータ(Sa、Sz、Sku及びSsk)の数値を以下の表に示す。
Figure 0007034508000025
図5~8並びに表15及び18に示す通り、実施例2-2で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-1))及び比較例2-10で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-17))で形成された硬化膜は、算術平均高さ(Sa)及び最大高さ(Sz)が大きく、表面の凹凸が大きい。これは、シリカ成分が表面に綺麗に配向していることを意味し、これにより、優れた擦り傷性が付与されたものと予想される。
これに対して、比較例2-11で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-18))a-18及び比較例2-14で得られた組成物(シリカ微粒子は、PGM-AC-2140Y)で形成された硬化膜では、算術平均高さ(Sa)及び最大高さ(Sz)が小さく、凹凸が太くなっている(特にP比較例2-14で得られた組成物(シリカ微粒子は、PGM-AC-2140Y)で形成された硬化膜は顕著である)。従って、シリカ成分が表面に均一に配向しておらず、これにより、擦り傷性が不十分になったものと予想される。
比較例2-10で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-17))で形成された硬化膜は、実施例2-2で得られた組成物(シリカ微粒子は(a-1))で形成された硬化膜よりも、算術平均高さ(Sa)及び最大高さ(Sz)が大きく、表面の凹凸が大きく、シリカ成分がより多く表面に存在することが示唆される。この過剰なシリカ成分が、屈曲性(マンドレル)に乏しい特性をもたらした可能性がある。
以上のことから、本書で開示するシリカ微粒子を含む光硬化型組成物及び硬化膜は硬度と耐擦傷性と耐屈曲性に優れているため、ハードコート用コーティング剤や光学フィルム用コーティング剤向けとして有用である。

Claims (16)

  1. テトラエトキシシラン(TEOS)を、該TEOS1モルに対して4~25モルの水と、アンモニア、ジメチルアミン及びジエチルアミンから選択される少なくとも1種を含む触媒の存在下で、沸点90℃以上のアルコールもしくは沸点90℃以上のエーテルを含む溶媒に、70℃以上100℃未満の温度で、0.5~5時間かけて滴下し、
    滴下後昇温して75℃以上の温度で1~8時間反応を継続してシリカ粒子分散液を得、
    該シリカ粒子分散液に、光硬化を可能とする官能基を有するシランモノマーを添加して、該シリカ粒子を変性する、光硬化型シリカ微粒子の製造方法。
  2. 前記触媒は、アンモニアを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記触媒は、アンモニアであるか、アンモニアおよびジメチルアミン若しくはジエチルアミンからなる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記沸点90℃以上のアルコールは、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、及びs-ブタノールからなる群から選択され、前記沸点90℃以上のエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記TEOS1モルに対して0.005~0.3モルの前記触媒と、前記TEOS100質量部に対して24~144質量部の前記溶媒とを含む混合溶液で加水分解反応を行う、請求項1~4の何れか1項に記載の光硬化性シリカ微粒子の製造方法。
  6. 前記TEOS1モルに対して0.01~0.25モルの前記触媒と、前記TEOS1モルに対して7~25モルの水と、前記TEOS100質量部に対して48~120質量部の前記溶媒とを含む混合溶液で加水分解反応を行う、請求項1~4の何れか1項に記載の光硬化性シリカ微粒子の製造方法。
  7. 前記シランモノマーが、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記変性工程後に、水及び加水分解により発生するアルコールを除き、前記溶媒中に前記光硬化性シリカ微粒子を分散させる、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
  9. 請求項1~8の何れか1項に記載の方法で得られた光硬化性シリカ微粒子。
  10. 請求項9に記載の光硬化性シリカ微粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとを混合する、光硬化型コーティング用組成物の製造方法。
  11. 請求項9に記載の光硬化性シリカ微粒子と、ウレタン(メタ)アクリレートとを含む、光硬化型コーティング用組成物。
  12. 前記光硬化性シリカ微粒子及びウレタン(メタ)アクリレートの質量比(固形分換算値)が、80:20~20:80(光硬化性シリカ微粒子:ウレタン(メタ)アクリレート)である、請求項11に記載の光硬化型コーティング用組成物。
  13. ハードコート用である、請求項11又は12に記載の光硬化型コーティング用組成物。
  14. 光学フィルム用である、請求項11~13の何れか1項に記載の光硬化型コーティング用組成物。
  15. 請求項11~14の何れか1項に記載の光硬化型樹脂組成物を硬化した硬化物。
  16. 請求項15に記載の硬化物で被覆されている光学フィルム又は光学機器。
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