JP7033766B2 - 炭素繊維、および炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、近年、自動車用・航空機用への利用が注目され、従来からは釣り竿やゴルフクラブのシャフト等にも利用されてきた炭素繊維強化複合材料を得るための炭素繊維、および炭素繊維と樹脂との接着性向上のための表面改質を含む炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維とマトリクス樹脂とから成る炭素繊維強化複合材(以下、単に「複合材料」ともいう)は、強度・弾性率に優れる上、軽量であるため、自動車部材、航空機部材、船舶部材およびスポーツ用品等の多くの分野で利用されている。複合材料で製造された製品の性能は、強度を発揮する炭素繊維とその周囲に配置されるマトリクス樹脂との接着状態によって大きく変動する。
製品の性能向上、特に強度の向上には、元来マトリクス樹脂に対する濡れ性が低い炭素繊維を、如何にして相溶性を高めることができるかに係っていると言っても過言ではない。
この濡れ性向上(炭素繊維とマトリクス樹脂との接着性向上といっても良い)のため、炭素繊維の表面処理として、酸化処理(電解酸化、薬液による酸化、空気酸化など)を施し、炭素繊維の表面にカルボキシル基や、水酸基といった酸素含有官能基の導入する方法がある。例えば、アルカリ性電解質溶液中で通電処理する方法(特許文献1)がある。但しこのような方法には、接着性の向上を目的として電解処理量を増やすと、炭素繊維表面により多くの酸素含有官能基を導入できるものの、過剰に酸化された脆い層が表面に生成し、却って接着性を低下させる、という課題があった。
そこで、アルカリ性水溶液中で電解処理した後に、酸性水溶液中で電解処理し、その際に特定の条件下で電解処理を行うと、前記の炭素繊維表面の脆弱化が押さえられるとの提案(特許文献2)がなされている。ただ、電解処理を何度も繰り返すなど改良の余地が残るものであった。
その他、酸素濃度21~25容量%の酸化性雰囲気にて、550~750℃で0.2~1.0分間加熱する気相酸化法(特許文献3)が提案されている。この方法によれば、オゾンやプラズマを使用する必要がないので、効率が良く工業的規模で行うことができるというものである。しかし、高温下での処理が必要なために、表面処理としてはエネルギー消費の大きなものとなろう。
また、大気圧下において、炭素繊維の表面にプラズマ化した反応性ガス(窒素及び酸素の混合ガス)を吹き付けてプラズマ処理する方法(特許文献4)もある。この方法によれば表面処理後の炭素繊維を洗浄する必要がなく、炭素繊維の形態が短繊維であっても連続的に処理を施すことが可能である。ただ、反応性ガスを吹き付けるに際して炭素繊維の配置等の状態によっては、表面全体を均一に処理することは困難となる場合がある。
特開平4-361619号公報 特開2014-122445号公報 特開2000-96429号公報 再公表WO2016/093250号公報
本発明の課題は、炭素繊維の表面にマトリクス樹脂に対する接着性に優れた官能基を効率的に付与した炭素繊維を提供し、さらに、その製造方法について提案することである。
本発明は、炭素繊維を正極側として使用すると共に、マイクロバブルを炭素繊維の表面に作用させつつ電圧を印加することにより、表面がマトリクス樹脂との接着性に優れた炭素繊維の製造する方法に関する。
電解液溶液中で炭素繊維を正極として処理する電解酸化によりマトリクス樹脂との接着性を向上させる技術は公知である。しかし。本発明のように、電解質を実質的に含まない水(電気伝導率が0.1mS/m(25℃)以下)において電場を印加し、更にマイクロバブル処理を併用する方法についてはこれまで知られていない。
また、前記マイクロバブルが、酸化力の強いオゾンだけでなく、酸素、空気、或いは不活性ガスである窒素、アルゴンであっても良い。これらのバブルと電圧印加の相乗作用によって、単に一方だけで処理する場合に比較して、特に不活性ガスであっても表面処理の効果が飛躍的に高まるのである。
こうして得られる炭素繊維は、X線光電子分光分析法(XPS)で測定される表面における炭素原子数に対する酸素原子数の比(O/C)が、0.06~0.12の範囲であることが特徴である。表面処理が施された市販の炭素繊維でも、一般的にはO/Cが0.04程度であることからすれば、本発明の処理効果が高いものであることが判る。
このように炭素繊維の表面処理によって、マトリクス樹脂との相溶性(樹脂による炭素繊維の濡れ性)を向上させることができるために、成形後の製品には複合材料としての高強度を付与することができる。
本発明は、オゾンだけでなく不活性ガスのマイクロバブルであっても良く、水中で炭素繊維を正極側として使用して低電圧を印加するだけで、炭素繊維の表面に効率的に酸素を導入することができる。
酸素の導入によって炭素繊維とマトリクス樹脂との密着性が向上し、例えば、ポリプロピレンのような熱可塑性樹脂をマトリクスとして使用しても、成形品に充分な強度を付与することができ、軽量化と相まってこれまで利用が限定されていた製品にも応用展開が可能となった。
図1は、本発明の炭素繊維を表面処理する際の、装置構成の概要を示す図である。 図2は、電圧20V(a)または30V(b)の印加時に、それぞれ正極(各図の右側)、負極(各図の左側)がどのような状態になっているのかを示す図である。 図3は、本発明による表面処理がなされた炭素繊維を、XPSにより測定した結果示す図である。 図4は、オゾンマイクロバブル処理のみと、合わせて電圧を印加した場合のXPSで測定した結果のO/Cを示す図である。 図5は、グラファイトシートを用いて、電圧印加のみと、オゾンまたは窒素のバブル処理と合わせて印加した場合の、XPSで測定した結果のO/Cを示す図である。 図6は、強度試験に使用した複合材料(CFRTP)の成型方法について概略的に示した図である。 図7は、JIS7074-1988に準拠した三点曲げ試験の概要を示した図である。 図8は、三点曲げ試験で破壊されるまでの応力を測定した結果を示す図である。 図9は、マイクロドロップレット法の概要を示す図である。 図10は、マイクロドロップレット法で測定した各種表面処理済みの炭素繊維と、ポリプロピレン樹脂との界面せん断強度を示した図である。
本発明の炭素繊維の表面処理は、水中で炭素繊維を正極として使用すると共に、マイクロバブルを炭素繊維の表面に作用させつつ電圧を印加することにより、表面がマトリクス樹脂との接着性に優れた炭素繊維を製造する方法である。
本発明の対象となる炭素繊維は、レーヨン系、ピッチ系、ポリアクリロニトリル(PAN)系などいずれの原料を用いて製造したものであっても良い。特に好ましい炭素繊維は、PAN系炭素繊維で、東レ株式会社より市販されている炭素繊維トレカ(登録商標)などが使用できる。これらの市販品は元々マトリクス樹脂との親和性向上のために表面処理がなされて流通しているものもある。本発明の処理を適用することにより、従来品に比べて樹脂との接着性が向上し、成形品の強度をより増大させることができるようになる。
表面処理の間に炭素繊維を浸漬する水は、従来一般に使用されている電解質溶液ではなく、実質的には電解質を含まない、イオン交換水、純水などを使用することが好ましい。電解質溶液では電気分解反応が激しくなって、炭素繊維の劣化を招くおそれがあるからである。また、電解質を含まない水を使用することによって、炭素繊維の表面処理後に利用する際に、電解質等の不純物が残存することがなく、単に乾燥するだけで流通段階におくことができ、或いは成形直前に簡易的な表面処理を施すことも可能である。
前記水の電気伝導率は、0.1mS/m(25℃)以下であり、好ましくは0.05~0.01**mS/m(25℃)である。0.1mS/m(25℃)より大きくなると、電気分解が進行して炭素繊維の表面が脆くなるおそれがあるので、電圧を低くするなどの調整が必要となる。また、調整次第で、より短時間で処理を終えることもできる可能性があるという点では良いが、あまり短時間で印加電圧を停止すると各炭素繊維のロット間で表面処理効果にバラツキが生じやすくなるからである。一方、0.01mS/m(25℃)より小さくしても良いが、水の純度を上げることになるので、必要以上に電気伝導率を下げた水を準備するのは、コスト増に繋がるおそれがある。
前記水(例えばイオン交換水)に浸漬した状態で、電極(および表面処理の対象)としての炭素繊維に印加する電圧は、10~40V程度の範囲内である。電流を積極的に流して電解酸化を起こす事を意図しているわけではないので、電流値としては、30V印加時において30~100μA(オゾンマイクロバブル処理の場合には最大でも300μA)(電極面積240mm2)程度である。この値は、水の純度あるいはマイクロバブルを導入することによるpH変化により大きく変わる。
また、印加時間は10分~5時間、好ましくは30~90分程度である。このときの電気量は、多くて10C(クーロン)/g程度であり、従来の電解酸化による20~300C/g(例えば、特開2008-248427号等参照)と比較しても、相当に低い電流量であると言える。このことから、本発明の処理はこれまでの電解酸化とは異なる反応機構によって炭素繊維の表面処理が達成されていると考えられる。
本発明では、電圧印加とマイクロバブルの併用によって、酸化力の強いオゾンなどによる表面処理単独と比較して、炭素繊維表面のO/Cの比率を上げることができる。
表面における炭素原子数に対する酸素原子数の比(O/C)は、X線光電子分光分析法(XPS)で測定される。XPSは、X線照射により放出される光電子の運動エネルギー分布を測定し、試料表面(数nm程度の深さ)に存在する元素の種類・存在量・化学結合状態に関する知見を得る手法である。本発明の処理によって得られる炭素繊維の表面O/Cは、0.06~0.12の範囲である。
マイクロバブルと電圧印加という簡単な処理にも拘わらず、例えばプラズマ表面処理の場合でO/Cが0.07~0.24(引用文献4参照)と比較して、大差のないレベルまで酸素が導入されることがわかる。この酸素の比率の増加は、少なくともサイジング剤を使用する場合において有効である。
サイジング剤とは、繊維の表面に塗工することにより、繊維とマトリクス樹脂との結合を強化するために用いられる。このサイジング剤としてエポキシ化合物が利用され、炭素繊維表面にエポキシ基との化学結合形成に好適なCOOH基やCOH基が導入されることにより、炭素繊維とサイジング剤およびマトリクス樹脂との結合強化に効果があることは公知である。
ただし、本発明の処理により得られる炭素繊維は、必ずしもサイジング剤を使用しなくてもマトリクス樹脂との接着強度を向上させている点に特徴があり、しかもマトリクス樹脂にポリプロピレンなどの極性基を有しない材料を使用した場合であっても、強度向上に効果があるのである。具体的には後述の実施例にて説明する。
さて、本発明におけるマイクロバブルとは気泡径が1μm以上1000μm以下、ナノバブルとは気泡径が1000nm未満の気泡を指す。水中にはマイクロバブル、ナノバブルのいずれかが存在する必要があるが、両者が混在してもよい。但し、水中に気泡が分散するために気泡径が50μm程度より小さい方が望ましい。
マイクロバブルやナノバブルの生成方法は、キャビテーション法、加圧溶解法、気液せん断法、細孔法、電気分解法などの方法或いはそれらの組み合わせがあるが、いずれの手法を採用してもよい。また、マイクロバブルやナノバブルの発生は処理装置内外のいずれの場所で行ってもよいが、処理液に連続して供給できることが望ましい。
なお、マイクロバブルは、基本的には水中で縮小していき、ついには消滅してしまう気泡である。それに対してナノバブルは残存性の微小気泡であり、マイクロバブルとして発生させたのち、圧壊などの刺激を与えて製造する方法が一般的である。
前記バブルに内包する気体はオゾンのみに限定されず、酸素、窒素、アルゴン、空気またはこれらの混合ガスであっても良い。特に窒素や空気など入手しやすく、不活性なガスを利用することができる点で優れている。
以下本発明をより具体的に明らかにするために、いくつかの例を示す。
図1には本発明の炭素繊維を表面処理する際の、装置構成の概要を示す。水中にマイクロバブル(1)を発生させるためのバブル発生器(2)を備え、電極として正極側(3)には目的の炭素繊維(4)を配置する。バブルを発生させつつ、電源(5)により所望の電圧を印加して炭素繊維の表面を処理することができる。
水中でマイクロバブルを発生させながら、電圧を印加したときの状態を示す写真を図2に示す。図2には、電圧20V(a)または30V(b)の印加時に、それぞれ正極(各図の右側)、負極(各図の左側)がどのような状態になっているのかを示しており、図から明らかなように、正極側に気泡が集中的に付着していることが判る。
(実施例1)
マイクロバブル発生装置:Foamest.GE-A7(株式会社ナック製)を用いて、図1に示すような装置により炭素繊維の表面を処理した。このバブル発生装置は数10nm~数100nmの微細な孔が存在するフィルムを用いた細孔法を用いている。バブルに内包されるガスはオゾン、酸素、窒素、アルゴン、水素、空気の6種を使用した。なお、オゾンを使用する際にはその発生装置は、無声放電法を用い、原料には純粋な酸素ガスを用いた。
バブルに供給するガス流量は80mL/minとした。水量7200mL、水温は、投げ込みクーラー:アイラクールECS-30SS(東京理化製)、投げ込みヒーター:STNH-1101(Asone製)、デジタル卓上型温度調節器:TJA-550K(Asone製)を用いて40℃に制御した。
炭素繊維は、3KT300B3000-50B(東レ株式会社製)を用い、サイズは12.5cm×8.5cm、厚み0.28mmである。なお負極側にも対の電極として同様の炭素繊維を配置した。
印加電圧は、30Vとし、炭素繊維を浸漬した水はイオン交換水(電気伝導率0.01mS/m(25℃))である。バブル及び電圧の印加時間は、1時間に設定した。
こうして処理された炭素繊維を、XPSにより測定した。測定結果より、表面のO/C、COOH/C、OH/Cの計測結果を、図3に示す。比較として、図の左端にオゾンマイクロバブル処理のみを施したものの結果も合わせて示す。図3に示すようにオゾンによるバブル処理よりも酸素の比率が高くなっていることが判る。しかも、不活性なガスである窒素、アルゴンなどであってもオゾンと同等以上の効果があり、空気のような混合ガスを用いることも可能であることが示された。
(実施例2)
実施例1と同様の装置構成を使用して、炭素繊維の代替として表面が未処理の状態のグラファイトシート(Panasonic株式会社製)を用いて、オゾンマイクロバブル処理と合わせて電圧を10V、20V、30Vで印加した後の、XPS測定結果をそれぞれ図4に示す。同図の縦軸にO/Cを示し、左端は比較例としてオゾンマイクロバブル(OMB)処理のみの結果を示している。
図4の結果から、印加電圧を上げるに従ってO/Cの比率が増大する傾向があることがわかる。ただし、本条件で、電圧を上げるとグラファイト表面に突起状の隆起が現れた。炭素繊維についても同様であるが、複合材料の強度に悪影響は認められず、むしろアンカー効果として界面接着性に寄与している可能性がある。
(実施例3)
実施例2と同様にグラファイトシートを用いて、オゾンまたは窒素のバブル処理と合わせて電圧30Vで印加した後の、XPS測定結果をそれぞれ図5に示す。同図の縦軸にO/Cを示し、左端は比較例として表面処理を行う前、次にマイクロバブル処理を行わずに電圧を印加したのみの結果を示している。
本発明の処理によれば、未処理や電圧印加のみの場合に比較して、O/Cの比率が増加するだけでなく、オゾンよりもむしろ窒素の方が効果的である可能性も示された。このことは必ずしも全ての炭素繊維に当てはまるとは言えないが、少なくとも不活性ガス(しかも低コスト)の使用可能性を強く示唆している。
(実施例4)
実施例1で処理、製造された炭素繊維のうち、(a)バブル処理なし(電圧30V印加のみ)、(b)オゾンマイクロバブル処理(電圧30V)、(c)窒素マイクロバブル処理(電圧30V)した各材料を用いて、以下の方法によりポリプロピレンとの複合材料を成形した。
図6には複合材料(CFRTP)の成型方法について概略的に示している。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレンペレット(分子量250000以下;アルドリッチ社製)を用い、0.3mm厚のシートに成膜したもの(PP)で、前記炭素繊維シート(CF)を挟み、210℃、2MPaの圧力で5分間圧縮したものをプリプレグシート(PP/CF)とした。このプリプレグシートを2枚重ねて、210℃、10MPaの圧力で10分間圧縮して成形品(三点曲げ試験用の試料;60mm×15mm、厚み1mm)を得た。
図7には、JIS7074-1988に準拠した三点曲げ試験の概要を示している。複合材料(CFRTP)を下の台により二点で支え、上方から3mm/minの速度で圧子を降下させ、破壊されるまでの応力を8サンプル測定し、その平均を図8にグラフとして示している。縦軸は応力で単位はMPaである。
図8の結果より、単なる電気分解による処理に比較して、バブル処理を併用する方が、成形品の機械的強度を向上させること、窒素バブルであっても有効であることが示された。
(実施例5)
本発明で表面処理して製造された炭素繊維について、マイクロドロップレット法により炭素繊維-マトリクス樹脂間の界面せん断強度を評価した。マイクロドロップレット法による測定は、図9に示すように炭素繊維(3KT300B3000-50B(東レ株式会社製))を溶融ポリプロピレン樹脂(アイソタクチックポリプロピレンペレット(分子量250000以下;アルドリッチ社製))に埋め込み、引張力により樹脂から繊維を引き抜く際に得られた荷重(F)から、次式により界面せん断強度(τ)を算出する。埋め込み長さ(ドロップレット長さ)(L)は平均して115μmであった。
τ=F/dπL

τ:界面せん断強度(MPa)
F:引抜荷重(mN)
d:炭素繊維径(μm)
L:ドロップレット長さ(μm)
図10には、マイクロドロップレット法で測定した各種表面処理済みの炭素繊維と、ポリプロピレン樹脂との界面せん断強度を示している。左端から、未処理の炭素繊維、30分間アセトンにより浸漬洗浄した炭素繊維、30Vで1時間の電圧を印加した炭素繊維で、これらはいわゆる比較例に相当する。次いで、オゾン、酸素、窒素、アルゴン、空気の各バブル下それぞれ1時間、30Vの電圧を印加した炭素繊維を使用したものである。
図10から明らかなように、各比較例よりも本発明の処理により製造された炭素繊維の方が、ポリプロピレン樹脂との接着力に優れていることが判る。
本発明によれば、マイクロバブルと電圧印加という簡単な処理によって炭素繊維とマトリクス樹脂との接着強度が格段に向上できる。しかも例示したように(コスト、軽量、物性などの点で)熱可塑性の代表的な樹脂であるポリプロピレンとの成形品に適用できるので、炭素繊維複合材料を適用・代替できる製品が飛躍的に拡大する。例えば、今後の自動車産業、航空機産業など規模の大きな製品への需要が期待できるのである。以上のことから、本発明は産業上の利用価値は極めて高いものである。
1 マイクロバブル
2 バブル発生器
3 正極
4 炭素繊維
5 電源

Claims (1)

  1. 水中で炭素繊維を正極側として使用すると共に、マイクロバブルを炭素繊維の表面に作用させつつ電圧を印加することにより、表面がマトリクス樹脂との接着性に優れた炭素繊維の製造方法であって、
    前記水の電気伝導率が0.1mS/m(25℃)以下であり、電圧が、10~40Vの範囲で印加することを特徴とする前記炭素繊維の製造方法
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