以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器としての税計算機の外観構成を示す正面図である。本実施形態では、税計算機を計算専用の電卓10として実現している。
なお、税計算機は、電卓10として構成する他、計算機能を有する(計算処理プログラムが実装された)パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、タッチパネル式PDA(personal digital assistants)、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成することができる。なお、電卓10のような物理的なキー(ボタン)が実装されていない税計算機は、電卓10のキーと同様なソフトウェアキーボードを表示し、このソフトウェアキーボードに対するキー操作に応じて計算処理を実行する。
本実施形態における電卓10は、複数の税率、例えば5種類の税率により税計算をする税計算機能が設けられている。例えば、インドでは消費税として、5種類の税率(0%、5%、12%、18%、28%)が用いられている。従って、本実施形態における電卓10は、インドなどにおいて、5種類以下の複数の消費税が混在する商品の総額などを算出する税計算に好適である。
電卓10の筐体正面には、複数のキーを含むキー入力部11、表示部12およびソーラーパネル13が設けられる。キー入力部11には、数値キー、演算キー、税計算機能キー、機能キー、検算機能キーが設けられる。数値キーには、例えば[00][0]~[9]のそれぞれに対応する複数のキーを含む。演算キーには、四則演算による通常計算に使用する、例えば[+](加算)キー11h1、[-](減算)キー11h2、[×](乗算)キー11h3、[÷](除算)キー11h4、[=](演算実行)キー11h0のそれぞれに対応する複数のキーを含む。
税計算機能キーには、税計算キー([GST+n(TAX-n)])11b、税計算合計キー([GST GT(GT)])11c、税計算モード切替キー([GST+/TAX-])11dが設けられる。ここで、GSTとは、インドの消費税を意味する「Goods and Service Tax」に対する略記号である。また、[ ]内の文字列(ただし、( )内の文字列を除く。)は、各税計算キー11bのキートップに印刷された文字列を示しており、[ ]内のさらに( )内の文字列は、電卓10の筐体正面に印刷された文字列を便宜的に示すものとする。本明細書では、税計算キー11bに限らず、同様の表記とする。
税計算キー([GST+n(TAX-n)])11bには、税0計算キー([GST+0(TAX-0)])11b0、税1計算キー([GST+1(TAX-1)])11b1、税2計算キー([GST+2(TAX-2)])11b2、税3計算キー([GST+3(TAX-3)])11b3、税4計算キー([GST+4(TAX-4)])11b4が含まれる。税0計算キー([GST+0(TAX-0)])11b0は、税率0を用いた税計算の実行指示を入力するために操作される。同様にして、税1計算キー([GST+1(TAX-1)])11b1、税2計算キー([GST+2(TAX-2)])11b2、税3計算キー([GST+3(TAX-3)])11b3、税4計算キー([GST+4(TAX-4)])11b4は、それぞれ税率1、税率2、税率3、税率4を用いた税計算の実行指示を入力するために操作される。本明細書では、このように、税計算キー([GST+n(TAX-n)])11bと表現する場合、「n」は0~4までの各数値の代わりに用いられる。本明細書では、税計算キー11bに限らず、「n」が取り得るすべての数値(0~4の整数)のうち、いずれの数値であるかを特段限定しない場合には、具体的な数値ではなく「n」を用いて便宜的に説明する。
1つの税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)は、税込み計算キー[GST+n]と税抜き計算キー[TAX-n]を兼ねている。税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)は、税計算モード切替キー([GST+/TAX-])11dの操作に応じて切り替えられる税計算モードに応じて、税込み計算キー[GST+n]あるいは税抜き計算キー[TAX-n]として使用される。1つの税計算キー11bを税込み計算キー[GST+n]と税抜き計算キー[TAX-n]として共用することで、限られた筐体正面の面積を有効に利用して、複数(5種類)の税率のそれぞれに対応する税込み計算処理および税抜き計算処理を実行可能なキーを設けている。
なお、税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)に割り当てられる既定の税率(税率0~税率4)は、電卓10の工場出荷時に予め設定されている。例えば、税n計算キー11b0~11b4には、インドにおける使用に合わせて、5種類の税率(0%、5%、12%、18%、28%)がそれぞれ設定される。また、税n計算キー11b0~11b4に割り当てられる税率(税率0~税率4)は、ユーザ操作によって任意に設定することができる。
本実施形態における電卓10は、工場出荷前に電池交換された場合には、複数の税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)に対して、工場検査プログラム(税率自動設定プログラム)によって、予め設定された税率を設定する税率自動設定処理を実行する。これにより、工場出荷前における税計算キー11bに対する税率設定作業を効率化している。一方、電卓10は、工場出荷後のユーザの利用時に電池交換された場合には、税計算キー11bに設定された税率が電池交換前とは異なることが容易にわかる税率を設定する。本実施形態では、ユーザ使用時の電池交換時には、税計算キー11bに設定された税率を例えば「0%」に設定する(税率設定クリア)。これにより、税計算キー11bの操作により税計算を実行しても、入力した数値と税計算後の数値が同じとなり、税計算キー11bに対して既定の税率が設定されていないことを容易に認識することができる。
また、本実施形態における電卓10は、工場検査後に出荷され、ユーザが開梱し、電源を最初にオンにしたときに、確実に既定の計算モードで起動されるようにするための制御処理を実行する。電卓10の制御部は、工場検査後に、第1の制御方法、第2の制御方法、あるいは第3の制御方法の何れかを実行することで、出荷後に確実に既定の計算モードで起動されるようにする。
第1の制御方法では、制御部は、工場出荷前に、ある処理(工場検査処理)を実行した場合、計算モード(税計算モード)を既定の計算モード(例えば、税込み計算モード)へ設定し、ある処理の実行終了後、最初に電源がオフになるまでのある期間は少なくとも、計算モードを変更するための既定の操作(例えば、税計算モード切替キー11dの通常操作)が実行されても、計算モードを変更せず、既定の計算モードのまま保持するための制御をする。
第2の制御方法では、制御部は、ある処理(工場検査処理)を実行した場合、計算モードを既定の計算モード(例えば、税込み計算モード)へ設定し、ある処理の実行終了後、最初に電卓10の電源がオフになるとき、計算モードを既定の計算モードへ再度設定する計算モード設定処理を実行する。そして、制御部は、ある処理の実行終了後、2回目以降に電卓10の電源がオフになるとき、既定の計算モードへ再度設定する計算モード設定処理を実行せず、電源がオフになる前の操作によって設定された計算モード(電子機器の電源がオフになるときの処理モード)を保持する。
第3の制御方法では、制御部は、ある処理(工場検査処理)を実行した場合、計算モードを既定の計算モード(例えば、税込み計算モード)へ設定し、ある処理の実行終了後、最初に電卓10の電源がオフからオンになるとき、計算モードを既定の計算モードへ再度設定する計算モード設定処理を実行する。そして、制御部は、ある処理の実行終了後、2回目以降に電卓10の電源がオフからオンになるとき、既定の計算モードへ再度設定する計算モード設定処理を実行せず、電源がオフになる前の操作によって設定された計算モード(電子機器の電源がオフからオンになるときの処理モード)を保持する。
第1の制御方法、第2の制御方法、第3の制御方法の詳細については後述する。なお、電卓10の制御部は、工場検査後に、第1の制御方法、第2の制御方法、あるいは第3の制御方法の何れかを実行することで、出荷後にユーザが最初に利用する際には既定の計算モードで起動するが、その後、ユーザ操作によって計算モードの変更がされた場合には、次に電源がオンになる時には、ユーザ操作によって設定された、前回、電源がオフになったときの計算モードで起動する。
税計算合計キー([GST GT(GT)])11cは、四則計算や定数計算などの通常計算(基本計算)について総合計を表示させるためのグランドトータルキー([GT]キー)と、税計算の計算結果について総合計を表示させるためのGSTグランドトータルキー([GST GT]キー)を兼ねる。なお、税計算合計キー11cがGSTグランドトータルキーとして機能する場合、税計算が実行されるとともに、電卓10の処理モードが税合計リコールモード(GST GTリコールモード)へ遷移する。一方、税計算合計キー11cがグランドトータルキーとして機能する場合、電卓10の処理モードは特に遷移するわけではなく、単に、合計メモリエリア22hに記憶されている数値が呼び出され、表示部12に表示される。
税計算合計キー11cは、税計算合計キー11cが操作された直前の動作状態に応じて、グランドトータルキー([GT]キー)あるいはGSTグランドトータルキー([GST GT]キー)の何れかとして機能する。つまり、例えば、税計算キー11bの操作によって税計算が実行された直後に税計算合計キー11cが押下された場合には、税計算キー11bは、税計算の計算結果について総合計を表示させるGSTグランドトータルキー([GST GT]キー)として機能する。また、例えば、演算実行キー([=]キー)11h0の操作によって通常計算が実行された直後に税計算合計キー11cが押下された場合、すなわち、税計算キー11bの操作によって税計算が実行された直後でない場合には、税計算キー11bは、通常計算(基本計算)について総合計を表示させるためのグランドトータルキー([GT]キー)として機能する。なお、ここでの税計算合計キー11cの押下時間は、予め定められた任意の時間よりも短い時間であり、次に述べる「長押し」よりも短い時間である。また、短い時間押下することを、本明細書では便宜的に「短押し」、または通常の押下する操作等と記述する。
さらに、税計算合計キー11cは、通常の押下する操作とは異なる操作(例えば、長押し)がされた場合には、前述とは逆のキーとして機能する。つまり、例えば、税計算キー11bの操作によって税計算が実行された直後に税計算合計キー11cが長押しされた場合には、税計算合計キー11cは、グランドトータルキー([GT]キー)として機能する。また、例えば、演算実行キー([=]キー)11h0の操作によって通常計算が実行された直後に税計算合計キー11cが長押しされた場合、すなわち、税計算キー11bの操作によって税計算が実行された直後でない場合には、税計算合計キー11cは、GSTグランドトータルキー([GST GT]キー)として機能する。なお、税計算合計キー11cに対する通常と異なる操作は、前述した長押しする操作(上述の予め定められた任意の時間以上、押下した状態を継続する操作)以外の他の操作を用いることも可能である。
機能キーには、例えばオールクリアキー([AC]キー11a)、クリアキー([C]キー)、複数のメモリキー([MRC][M-][M+])、ルートキー([√]キー)、[%]キー11gなどが含まれる。[AC]キー11aは、通常の計算処理において、表示された数値をクリア(「0」表示)させるクリアキーと使用される。また、[AC]キー11aは、電卓10が電源オフの状態の場合には、電源オンするための電源オンキーとして使用される。なお、[AC]キー11aは、電卓10が電源オンの状態の場合には、他の予め決められたキー(例えば、[SHIFT]キー)と組み合わせた操作により電源オフするための電源オフキーとして使用することも可能である。さらに、[AC]キー11aは、工場出荷前に工場検査をするために設定された工場検査モードにある場合には、工場検査モードを終了させて通常の計算処理をする通常モードに移行させるためのモード切替キーとして使用される。[%]キー11gは、パーセント計算のために使用される他、税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)のそれぞれに対応する税率をキー操作によって入力される値に設定するための税率設定処理を起動するために使用される。
検算機能キーは、先に実行された計算の内容について確認/修正するための検算機能において使用されるキーである。検算機能キーには、確認キー([CHECK BACK]キー11e、[CHECK FOWARD]キー11f)と、修正キー([CORRECT]キー)11kが含まれる。[CHECK BACK]キー11e及び[CHECK FOWARD]キー11fは、先に実行された計算の内容(計算データ)をステップ単位で切り替えて表示させるためのキーである。[CHECK BACK]キー11eが操作された場合、ステップ数が少ない方向のステップの計算データに表示を切り替え、[CHECK FOWARD]キー11fが操作された場合、ステップ数が多い方向のステップの計算データに表示を切り替える。なお、1ステップは、計算のために入力された「置数+ファンクション」が単位となる。「ファンクション」には、四則計算、税込み計算、税抜き計算などのために操作されたキーのコードが記憶される。修正キー11kは、[CHECK BACK]キー11eあるいは[CHECK FOWARD]キー11fの操作により表示された計算の内容(「置数+ファンクション」)の修正を指示するためのキーである。修正キー11kの操作後に修正後の計算の内容を入力することで、表示された先に入力された計算データを修正することができる。
ラウンドセレクタ11yは、端数処理の計算方法を設定する。例えば、「F」設定は、表示部12に小数点以下を含む表示可能な最大桁の表示を指定する。「CUT」設定は、小数点セレクタ11zで指定された桁の切り捨てを指定する。「UP」設定は、小数点セレクタ11zで指定された桁の切り上げを指定する。「5/4」設定は、小数点セレクタ11zで指定した桁の四捨五入を指定する。小数点セレクタ11zは、小数点以下を何桁まで表示部12に表示させるかを設定する。なお、「ADD2」設定は、入力された数値に対して所定の桁数への小数点設定を指定する。
表示部12は、ドットマトリクス型の液晶表示ユニットからなる。表示部12のメイン表示部には、キー入力部11のキーに対する操作により入力された数値が表示される。表示部12のメイン表示部には、限られた行数分(例えば1行)の数値が表示される。また、表示部12の辺に沿って設けられた状態表示エリアには、設定中の計算モードや各種設定状態を示す文字や記号(シンボル)が表示される。例えば、状態表示エリアには、ステップ数12a、税計算モードシンボル12b、税計算キーシンボル12c、税合計リコールモードシンボル12d、総合計表示シンボル12e、メモリシンボル12f、設定シンボル12g、[%]シンボル12hなどが表示される。なお、図1では、状態表示エリアを説明するため、表示可能なすべてのシンボルを同じ画面上に便宜的に示したが、電卓10が取り得る任意の状態において、このように多数のシンボルが同じ画面上に同時に表示されるとは限らない。
ステップ数12aは、キー入力部11のキーに対する操作により入力された「置数+ファンクション」を1ステップとした、現在の表示対象としているステップの位置を示す。税計算モードシンボル12bは、現在の税計算モードを示すもので、税込み計算を実行する税込み計算モードの場合には例えば[GST+]を表示し、税抜き計算を実行する税抜き計算モードの場合には、例えば[TAX-]を表示する。
税計算キーシンボル12cは、税計算キー11bの操作により税計算が実行された場合に、税計算に用いた税率と、税込み計算あるいは税抜き計算の何れかを示すシンボルである。税計算キー11bが税込み計算キー[GST+n]として使用された場合、税率0~4のそれぞれに対応する[GST+0]、[GST+1]、[GST+2]、[GST+3]、[GST+4]の何れかが表示される。また、税計算キー11bが税抜き計算キー[TAX-n]として使用された場合、税率0~4のそれぞれに対応する[TAX-0]、[TAX-1]、[TAX-2]、[TAX-3]、[TAX-4]の何れかが表示される。
税合計リコールモードシンボル12dは、税計算合計キー([GST GT(GT)])11cの操作により税合計リコールモード(GST GTリコールモード)に遷移したことを示すシンボルであり、例えば「RCL」が表示される。税合計リコールモードでは、税計算合計キー11cに対するキー操作に応じて、各税率(税率0~4)で計算した税計算の総合計として、税込総合計額、税抜総合計額、税額総合計額を切替表示させることができる。また、税合計リコールモードでは、税計算キー11bに対するキー操作により表示対象とする税率(税率0~4)を指定し、指定した税率別の税計算の総合計として、税込合計額、税抜合計額、税額合計額を切替表示させることができる。
総合計表示シンボル12eは、演算実行キー[=]11h0の操作に応じて行われる通常計算の計算結果が合計メモリエリア22hに記憶されていることを示すシンボルであり、例えば「GT」が表示される。メモリシンボル12fは、メモリキー([M-][M+])の操作に応じて、メモリ機能により数値が記憶されていることを示すシンボルである。
設定シンボル12gは、税計算キー11bに対する税率を設定するための税率設定処理を実行するモードを示すシンボルであり、例えば[SET]が表示される。
[%]シンボル12hは、パーセント計算のために[%]キー11gが操作された場合、及び税率設定処理において[%]キー11gが操作された場合に表示されるシンボルであり、例えば[%]が表示される。
ソーラーパネル13は、電卓10を使用する際の周辺環境光の照度がある程度明るいとき、発電する。ソーラーパネル13は、発電中、電卓10の電源部26(図2に示す)として機能し、電卓10の各部へ給電する。また、ソーラーパネル13が発電していないときは、電卓10が別途備える電源部26としての一次電池より電卓10の各部へ給電される。
なお、電卓10は、オートパワーオフ(APO:AUTO POWER OFF)機能が設けられている。電卓10は、APO機能によって、予め決められた時間(APO時間)、キー入力操作がなかった場合に、電源部26からの各部への給電を停止して電源オフ状態となる。
図2は、本実施形態における電卓10の電子回路の構成を示すブロック図である。電卓10の電子回路は、CPU21を含む、コンピュータを構成する複数のユニットを備えている。
CPU21は、メモリ22に記憶された工場検査プログラム22a、計算処理プログラム22bなどのプログラムを実行することにより、回路各部の動作を制御する制御部として機能する。キー入力部11への入力操作が行われると、CPU21は、キー入力部11からのキー入力信号により入力操作がされたキーを検出し、検出された各キーに応じた各種の計算処理を実行する。電卓10は、CPU21が工場検査プログラム22aあるいは計算処理プログラム22bに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウェアとハードウェアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる起動時の処理、計算機能による処理などを実現する。制御部として機能するCPU21は、工場検査プログラム22aに基づいて、前述した第1の制御方法、第2の制御方法、あるいは第3の制御方法の何れかを実行する。第1の制御方法、第2の制御方法、あるいは第3の制御方法の何れを実行するかは、予め決められているものとする。
工場検査プログラム22a及び計算処理プログラム22bは、予めメモリ22に記憶されていても良いし、記録媒体読取部24を介してメモリカード等の外部記録媒体23から読み込まれても良いし、あるいは通信部25を介して通信ネットワークN(インターネット等を含む)上のサーバ30からダウンロードされても良い。
メモリ22には、工場検査プログラム22a及び計算処理プログラム22bが記憶される他に、工場検査プログラム22aによる工場検査処理が実行済み(処理完了)であるか否かを示す工場検査後フラグ(完了データ)を記憶する工場検査後フラグエリア22cが設けられる。工場検査後フラグエリア22cは、電池交換時などの電源部26(ソーラーパネル13)からの給電が停止された場合でも、工場検査後フラグの状態を保持することができる不揮発性の記憶エリアである。
また、メモリ22には、税計算の計算結果を記憶するエリア(税メモリ)、税率記憶エリア22e、税率別税合計メモリエリア22g、合計メモリエリア22h、税合計リコールモードエリア22k、税計算モードエリア22m、バッファメモリエリア22n、表示メモリエリア22pなど各データを記憶するエリアが設けられる。税メモリ(第1メモリ)には、税率別合計メモリエリア22d、税率別税合計メモリエリアが含まれる。税率別合計メモリエリア22dには、税率0~4のそれぞれに対応する合計メモリエリア(税率0合計メモリエリア、税率1合計メモリエリア、税率2合計メモリエリア、税率3合計メモリエリア、税率4合計メモリエリア)が設けられる。税率別合計メモリエリア22dの税率0合計メモリエリアは、税率0に基づいた税計算により算出されるデータを記憶するためのエリアである。税率0合計メモリエリアには、税率0の税込み計算の結果に基づく数値が記憶される。具体的には、最後に[AC]キー11aを入力操作してから後に1回以上行われた税率0の税込み計算の結果としての税込み額(第0税込み額)、税額(第0税額)、税抜き額(第0税抜き額)の各合計額が、第0税込合計額、第0税抜合計額、第0税合計額として、それぞれ記憶される。
税率1合計メモリエリア、税率2合計メモリエリア、税率3合計メモリエリア、税率4合計メモリエリアは、前述した税率0合計メモリエリアと同様にして、それぞれの税率1~4に基づいた税計算により算出されるデータを記憶するためのエリアである。詳細な説明については省略する。
税率記憶エリア22eは、税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)のそれぞれに設定された税率0~4を示す数値が記憶される。例えば、税n計算キー11b0~11b4には、工場出荷時に、インドにおける使用に合わせて、5種類の税率(0%、5%、12%、18%、28%)が設定される。この場合、税率記憶エリア22eには、税n計算キー11b0~11b4に対応する税率0~4のそれぞれに対して、「0」、「5」、「12」、「18」、「28」の数値が記憶される。
税率別税合計メモリエリア22gは、全ての税率0~4に基づいた税計算により算出される数値の合計を示すデータを記憶するためのエリアである。税率別税合計メモリエリア22gには、税計算合計キー11cの入力操作に応じて、第0~第4税込合計額を合計した税込総合計額、税込総合計額に対応する税抜総合計額、税込総合計額に対応する税総合計額が記憶される。
合計メモリエリア22hは、通常計算により算出される数値の合計を示すデータを記憶するためのエリアである(第2メモリ)。合計メモリエリア22hには、演算実行キー[=]11h0の操作に応じて通常計算の計算結果が算出されることにより、計算結果とする数値が合計メモリエリア22hに記憶された数値に加算される。
税合計リコールモードエリア22kは、税計算合計キー11cに対する入力操作に応じて、リコールモードの状態にあるか否かを示す税合計リコールモードフラグが、オン状態またはオフ状態に設定される。税合計リコールモードは、税計算キー11bの操作による税計算の直後に税計算合計キー11cが押下された場合、あるいは通常計算の直後に税計算合計キー11cが長押しされた場合にオンされる(税合計リコールモードへの遷移)。また、税合計リコールモードは、税合計リコールモードをオフするための予め定められた指示として、例えば[AC]キー11aが操作された場合にオフされる。なお、税合計リコールモードのオン/オフの切り替えは、税計算合計キー11cと[AC]キー11aの操作に限られるものではない。例えば、別のキー操作に応じて、あるいは電卓10の処理結果に応じて、税合計リコールモードのオン/オフを切り替えるようにしても良い。
税合計リコールモードがオン状態の場合には、税計算合計キー11cが操作(押下)される毎に、税率別税合計メモリエリア22gに記憶された税込総合計額、税抜総合計額、税総合計額を切り替えて表示させることができる。また、税合計リコールモードがオン状態の場合には、税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)が操作(押下)される毎に、税率別税合計メモリエリア22dに記憶された、税込合計額、税抜合計額、税合計額を切り替えて表示させることができる。
税合計リコールモードのオン状態は、キー入力部11の数値キー及び演算キーの入力がされた場合も維持される。従って、税計算合計キー11cあるいは税計算キー11b(11b0~11b4)の入力操作によって税計算の結果を表示させて確認しながら、数値キー及び演算キーを用いた通常計算を実行することができる。税合計リコールモードのオン状態における通常計算では、税計算の結果とする数値を表示部12に表示させて、表示部12に表示された置数に対して、四則計算などを実行することができる。
税計算モードエリア22mは、税計算モード切替キー11dに対する入力操作に応じて切り替えられる、税込み計算モードあるいは税抜き計算モードの何れの状態にあるかを示す税計算モードデータが記憶される。
バッファメモリエリア22nは、最後に入力されたファンクションと組になって単位をなすように入力された置数が記憶される。また、表示メモリエリア22pは、そのときに表示部12に表示されている数値が記憶される。例えば、数値キーの操作により置数として数値「100」と、ファンクションとして税1計算キー([GST+1(TAX-1)])11b1とが順次操作された場合、バッファメモリエリア22nには置数としての数値「100」が記憶され、表示メモリエリア22pには税率1の税込み計算の結果として表示部12にも表示されている数値「105」が記憶されている(ただし、税率1を5%とした場合)。このように、バッファメモリエリア22nおよび表示メモリエリア22pに記憶されている各数値は、最新の入力操作に応じて、順次上書き更新される。
次に、本実施形態における電卓10の動作について説明する。図3は、本実施形態における電卓10の工場出荷前に実行される処理を示すフローチャート、図4は、本実施形態における電卓10の第1の制御方法を説明するためのフローチャートである。図5及び図6は、図4のフローチャートに示す切替キー処理の詳細を示すフローチャートである。図7は、具体的な処理内容を説明するためのキー操作と表示例を示す図である。
まず、工場出荷前に電卓10により実行される処理から説明を始める。
本実施形態における電卓10は、工場検査処理により各種の動作チェックがされた後、電源部26における電池が新しいものに交換されてから、出荷される。工場検査前は、工場検査後フラグエリア22cの工場検査後フラグがオフとなっている。
CPU21は、電池交換に伴って起動されたかどうかを判別する(ステップS1)。この判別は、電源部26から供給される電圧を検知した結果に基づいて行われてよい。ここで、電池交換に伴う起動でない場合(ステップS1:No)、CPU21は、後述するステップS5の処理を実行する。一方、電池交換に伴って起動された場合(ステップS1:Yes)、CPU21は、全初期化処理を実行する(ステップS2)。
全初期化処理において、CPU21は、税率記憶エリア22eを含めた、メモリ22の全ての内容と表示部12の表示内容とをクリアする。即ち、CPU21は、全初期化処理において、メモリ22の税率別税合計メモリエリア22d、税率記憶エリア22e、税合計メモリエリア22g、合計メモリエリア22h、バッファメモリエリア22n、表示メモリエリア22pを全てクリアする。また、CPU21は、税合計リコールモードエリア22kに記憶された税合計リコールモードフラグをオフする。CPU21は、先の税計算結果などの数値が表示された状態から電池交換が行われた場合には、先に表示された数値をクリアして「0」を表示する。また、CPU21は、表示部12の状態表示エリアに先のシンボルが表示された状態から電池交換が行われた場合には、先に表示されたシンボルをクリアして非表示にする。
このように、電池交換を伴う全初期化処理では、税率記憶エリア22eもクリアされるため、複数の税計算キー11bに対して設定される税率0~4もクリアされる。ここで、税率記憶エリア22eがクリアされることで、税率0~4の全てが「0」となるものとする。
次に、CPU21は、工場検査後フラグエリア22cを参照して、工場検査後フラグが、工場検査処理が実行済み(工場検査後フラグがオン)を示しているか判別する(ステップS3)。ここで、上述の通り、工場検査後フラグがオンでないので(ステップS3:No)、CPU21は、入力操作の待機状態となる。
ここで、キー入力部11に対する操作によって工場検査処理の実行が指示されると(ステップS5:Yes)、CPU21は、工場検査処理を実行する(ステップS6)。なお、工場検査処理の実行は、例えばユーザが電卓10を通常使用している場合には操作される可能性が極めて低い、例えば、複数のキー(例えば3キー以上)の組合せ、さらには長押しキー操作([AC]キー11aを長押しなど)を組合せて操作することで指示されるものとする。すなわち、工場検査処理は、出荷前の工場内のみで実行されるようにしている。具体的には、図7の(A)のキー操作に示すように、[+][5][M+]キーの同時押しと[AC]キー11aの長押しがされた場合に工場検査処理の実行が指示されたものと判別する。
CPU21は、工場検査処理によって、電卓10を構成する各部が正常に動作しているかを確認するための動作を各ユニットに実行させる。例えば、CPU21は、表示部12を構成する液晶表示ユニットに対して、点灯、点滅、消灯などを実行させて動作チェックをする。具体的には、図7の(A)に示すように、表示部12のメイン表示部には「8888888888」、ステップ数12aには「188」を表示させ、シンボル表示については全点灯させる。従って、税計算モードシンボル12bには、税込み計算モードを示すシンボル[GST+]と税抜き計算モードを示すシンボル[TAX-]の両方を同時に表示させる。また、CPU21は、動作クロックを高速/低速に切り替えて、それぞれの動作状態をチェックする。その他、CPU21は、各ユニットの動作チェックを実行する。
ここで、CPU21は、[AC]キー11aの操作によって工場検査処理の終了が指示されると(ステップS7:Yes)、工場検査処理を終了するタイミングで計算モード設定処理を実行し、既定の税計算モードを設定する(ステップS9)。本実施形態では、既定の税計算モードを、例えば税込み計算モードとする。本実施形態では、このように、工場検査処理(予め定めた処理)を終了するタイミングで設定される税計算モード(処理モード)のことを、既定の税計算モード(既定の処理モード)と言う。この場合、CPU21は、税計算モードエリア22mに税込み計算モードを示す税計算モードデータを記憶させる。また、CPU21は、工場検査処理が実行済みであることを示すように、工場検査後フラグエリア22cの工場検査後フラグをオンする(ステップS10)。
CPU21は、[AC]キー11aの操作に応じて、例えば図7の(A)に示すように、メイン表示部には「0」、ステップ数12aには「0」を表示させ、税計算モードシンボル12bには税込み計算モードを示すシンボル「GST+]を表示させる(シンボル[TAX-]を消去)。
こうして、工場検査処理によって動作チェックした後、CPU21は、工場検査後フラグをオンし、キー入力待処理を実行する(ステップS11)。キー入力待処理の詳細については後述する。
一方、ステップS5において、工場検査処理の実行が指示されない場合(ステップS5:No)、CPU21は、計算処理プログラム22bによる通常の計算処理(以下、従来処理と説明する場合がある)を実行する(ステップS8)。CPU21は、キー入力部11に対するキー操作に応じた処理を実行する。
次に、工場出荷前に、工場検査処理によって動作チェックされた後、電卓10の電池が交換された場合に、電卓10により実行される処理について説明する。
CPU21は、電池交換に伴って起動されると(ステップS1:Yes)、再度、前述と同様にして、全初期化処理を実行する(ステップS2)。
次に、CPU21は、工場検査後フラグエリア22cを参照して、工場検査後フラグが、工場検査処理が実行済み(工場検査後フラグがオン)を示しているか、再度判別する(ステップS3)。この場合、前述の通り、工場検査処理を実行後、工場検査後フラグがオンに設定されるので(ステップS10)、CPU21は、工場検査後フラグがオンであると判別し(ステップS3:Yes)、税率自動設定処理を実行する(ステップS4)。
税率自動設定処理では、CPU21は、税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)のそれぞれに対して予め設定された税率0~4を設定する。本実施形態では、CPU21は、インドにおいて使用される5種類の税率(0%、5%、12%、18%、28%)に合わせて、税率0~4のそれぞれに対して「0」、「5」、「12」、「18」、「28」の数値を、税率3合計メモリエリア22eに記憶させる。税率記憶エリア22eが税率自動設定処理において設定される税率0~4を示す数値は、例えば計算処理プログラム22aに予め設定されており、計算処理プログラム22aによる処理によって自動的に設定される。
従って、電卓10を工場から出荷する前に、工場検査処理を実行した場合には、操作者が電卓10に対してキー操作などをして、複数の税計算キー11b(税n計算キー11b0~11b4)のそれぞれに対して、既定の初期値とする税率を設定する作業をしなくても、複数の税計算キー11bに対して既定の税率0~4が設定された状態となる。また、この状態では、税計算キー11bに対して既定の税率が設定されているため、税計算キー11bの操作により既定の税計算をすることができる。
CPU21は、税率自動設定処理を完了した後、キー入力待処理を実行する(ステップS11)。詳しくは後述するが、キー入力待処理では、工場検査後、APO機能により最初に電源がオフされる時に工場検査後フラグエリア22cの工場検査後フラグをオフするか(図4のステップA4、図9のステップE3)、または、工場検査後、APO機能により最初に電源オフした後に、最初に電源がオンされる時に工場検査後フラグエリア22cの工場検査後フラグをオフする(図12のステップG5)。これにより、電卓10は、出荷後に最初にユーザにより使用される際には、工場検査後フラグエリア22cの工場検査後フラグがオフとなる。また、工場検査後フラグをオンする処理(ステップS10)は、工場検査処理後のみに実行され、工場検査処理(ステップS6)は、出荷後には通常実行されない。従って、電卓10が出荷後、ユーザ使用時には、工場検査後フラグをオンされることがない。したがって、出荷後、ユーザが電池交換を行った場合には、工場検査後フラグはオンではないので(ステップS3:No)、CPU21は、税率自動設定処理を実行せず、入力操作の待機状態となる。その後の処理は、前述と同様である。
次に、本実施形態における第1の制御方法によるキー入力待処理について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
CPU21は、工場検査処理後にキー入力がある場合(ステップA1:Yes)、CPU21は、後述するAPOカウンタをリセットしてから(ステップA10)、電源オフキー(例えば、[AC]キー11aと他の特定のキーとの組合せや、図示しない電源オフするための専用キー)の操作であるか判別する(ステップA6)。なお、電卓10が電源オフキーにより電源オフする機能を設けない場合には、APOカウンタをリセットした後(ステップA10)、電源オフキーの操作を判別する処理を省略し、ステップA7の処理へ移行する。
CPU21は、電源オフキーの操作でないと判別される場合(ステップA6:No)、税計算モード切替キー11d([GST+/TAX-])の操作であるか判別する(ステップA7)。税計算モード切替キー11dの操作でないと判別される場合(ステップA7:No)、CPU21は、キー入力に応じた処理(従来処理)を実行する(ステップA9)。
CPU21は、電源オフキーの操作であると判別される場合(ステップA6:Yes)、工場検査後フラグエリア22cを参照し、工場検査後フラグが、工場検査処理が実行済み(工場検査後フラグオン(第1情報))を示しているか判別する(ステップA11)。工場検査後フラグオンの場合(ステップA11:ON)、CPU21は、電源オフキーの操作を無効(NOP)にして(ステップA12)、処理をキー入力待処理の最初へ戻す(ステップA1)。つまり、工場検査後フラグオンである間、電源オフキーの操作を無効(NOP)にする。工場検査後フラグオフの場合(ステップA11:OFF)、CPU21は、キー入力に応じた処理(従来処理)を実行する(ステップA9)。
なお、ステップA11において、CPU21は、工場検査後フラグオン(第1情報)を示しているか否かを判別することにより、工場検査処理が実行済みか否かを判別するものとしたが、これに限らず、工場検査後フラグオフ(第2情報)を示していないか否かを判別することにより、工場検査処理が実行済みか否かを判別してもよい。この場合、CPU21は、工場検査後フラグがオフ(第2情報)を示していない場合に工場検査処理が実行済みであると判別し、工場検査後フラグがオフ(第2情報)を示している場合に工場検査処理が実行済みでないと判別する。
従って、工場検査後に、最初に電源オフになるまでの間、キー操作に応じた動作確認をすることができる。例えば、工場検査処理を終了させるための[AC]キー11aが操作された後、図7の(A)に示すように、キー入力部11の「1」「2」「3」「+」の各キーが操作された場合、CPU21は、メイン表示部には「123」、ステップ数12aには「1」、シンボル[+]を表示させる。続けて、電源オフキーが操作されても、メイン表示部の表示は変化しない。この間、税計算モードは税込み計算モードのままなので、CPU21は、税計算モードシンボル12bを変更せずに、シンボル「GST+]を表示させたままとする。CPU21は、キー入力部11の他のキーに対する操作があった場合に、キー操作に応じた通常処理(従来処理)を実行する。
一方、キー入力がない場合には(ステップA1:No)、CPU21は、APOカウンタを時間経過に応じて減算する(ステップA2)。APOカウンタは、工場検査処理の実行が終了された時(ステップS7:Yes)を開始時刻として、その後、APO機能により電源をオフするまでの時間をカウントするためのカウンタである。APOカウンタには、電源をオフするまでの時間に応じた値が予め設定されており、時間の経過に伴って減算されていく。CPU21は、APOカウンタが「0」でなければ(ステップA3:No)、CPU21は、処理をキー入力待処理の最初へ戻す(ステップA1)。
この間、税計算モード切替キー11dが操作されたことを検出すると(ステップA7:Yes)、CPU21は、切替キー処理を実行する(ステップA8)。第1の制御方法における切替キー処理は、第1切替キー処理あるいは第2切替キー処理の何れかを実行することができる。第1切替キー処理と第2切替キー処理の何れを実行するかは、予め決められていても良いし、別途実行されるモード設定処理において、ユーザ操作に応じて何れかが選択されるようにしても良い。
図5は、第1切替キー処理を示すフローチャートである。
CPU21は、税計算モード切替キー11dの操作に応じて、工場検査後フラグエリア22cを参照し、工場検査後フラグが、工場検査処理が実行済み(工場検査後フラグオン(第1情報))を示しているか判別する(ステップB1)。工場検査後フラグオンの場合(ステップB1:ON)、CPU21は、税計算モード切替キー11dの操作を無効(NOP)にする。すなわち、CPU21は、税計算モードを変更するための操作が実行された場合に、工場検査後フラグエリア22cの工場検査後フラグをオン状態のまま保持して、税計算モードを変更しない。
この場合、CPU21は、図7の(A)に示すように、税計算モード切替キー11d([GST+/TAX-])のキー操作に対して、税計算モードシンボル12bを変更せずに、シンボル[GST+]を表示させたままとする。
電卓10は、工場検査処理後に動作確認などがされた後、梱包されて出荷される。電卓10が梱包された状態で、CPU21は、APOカウンタを時間経過に応じて減算し(ステップA2)、APOカウンタが「0」になると(ステップA3:Yes)、APO機能により電源をオフする。例えば、図7の(A)に示すように、CPU21は、電卓10が6分間放置されて、キー操作がなかった場合には、CPU21は、APO機能により電源をオフする。この場合、CPU21は、工場検査後フラグエリア22cに、工場検査処理が実行済みであることを示さない工場検査後フラグオフ(第2情報)を記憶させる(ステップA4)。この第2情報は、第1情報とは異なる情報である。
CPU21は、工場検査後フラグエリア22cに工場検査後フラグオフを記憶させた後、通常の電源オフ処理(従来オフ処理)を実行して、電卓10の動作を停止させる(ステップA5)。
従って、第1の制御方法の第1切替キー処理では、工場検査後にAPO機能により最初に電源がオフになるまでの間では、税計算モード切替キー11dが操作された場合であっても、既定の税計算モード(税込み計算モード)が切り替えられない。
出荷後の電卓10は、例えばユーザによる[AC]キー11aに対する操作によって起動が指示される。CPU21は、[AC]キー11aのキー操作に応じて通常の電源オン処理を実行して、電卓10を起動させる。この時、税計算モードエリア22mには、工場検査後に設定された税込み計算モードを示す税計算モードデータが記憶されている。
従って、CPU21は、図7の(A)に示すように、[AC]キー11aの操作による最初の電源オン時には、税計算モードシンボル12bには税込み計算モードを示すシンボル[GST+]を表示させる。すなわち、工場検査後に設定された既定の税計算モードを確実に設定することが可能となる。CPU21は、起動された後、図4に示すキー入力待ち処理を実行する。従って、CPU21は、図7の(A)に示すように、キー入力部11の「1」「2」「3」「+」の各キーが操作された場合、前述と同様にして、メイン表示部には「123」、ステップ数12aには「1」、シンボル[+]を表示させる。また、CPU21は、税計算モード切替キー11dが操作された場合(ステップA7:Yes)、図5に示す第1切替キー処理を実行する。この場合、電源検査処理後の最初の電源オフ時に、工場検査後フラグエリア22cに工場検査後フラグオフが記憶されているため(ステップB1:OFF)、CPU21は、税計算モード切替キー11dの操作に応じて税計算モードを切り替える(ステップB2)。すなわち、図7の(A)に示すように、CPU21は、税込み計算モードの状態で税計算モード切替キー11dが操作された場合には、税抜き計算モードに切り替えて、税計算モードシンボル12bを、税抜き計算モードを示すシンボル[TAX-]に変更する。その後、CPU21は、税計算モード切替キー11dが操作される毎に、税込み計算モードと税抜き計算モードの間で計算モードを切り替える。
次に、第2切替キー処理について説明する。図6は、第2切替キー処理を示すフローチャートである。以下、前述した第1切替キー処理とは異なる処理について説明する。図7の(B)は、第2切替キー処理による具体的な処理内容を説明するためのキー操作と表示例を示している。
前述した第1切替キー処理では、税計算モード切替キー11dに対する操作を完全に無効としている。第2切替キー処理では、税計算モード切替キー11dに対する既定の操作とは異なる方法で操作されたと判別された場合のみ、税計算モード切替キー11dに対する操作を有効とする。
税計算モード切替キー11dに対する既定の操作とは異なる操作の方法としては、例えば税計算モード切替キー11dに対する長押し操作がある。長押し操作は、予め定められた任意の時間以上、押下した状態を継続する操作である。既定の操作は、「長押し操作」よりも短い時間押下する操作である。既定の操作は、便宜的に「短押し」、または通常押下等として説明する。
CPU21は、税計算モード切替キー11dの操作に応じて、工場検査後フラグエリア22cを参照し、工場検査後フラグが、工場検査処理が実行済み(工場検査後フラグオン(第1情報))を示しているか判別する(ステップC1)。工場検査後フラグオンの場合(ステップC1:ON)、CPU21は、税計算モード切替キー11dに対して長押し操作されているかを判別する(ステップC3)。長押し操作がされていないと判別された場合(ステップC3:通常押下)、CPU21は、第1切替キー処理と同様にして、税計算モード切替キー11dの操作を無効(NOP)にする。一方、長押し操作がされていると判別された場合(ステップC3:長押し)、CPU21は、税計算モード切替キー11dの操作に応じて税計算モードを切り替える(ステップC2)。この場合、CPU21は、税計算モードエリア22mに税抜き計算モードを示す税計算モードデータを記憶させる。
すなわち、CPU21は、図7の(B)に示すように、税計算モード切替キー11d([GST+/TAX-])の通常押下によるキー操作に対して、税計算モードシンボル12bを変更せずに、シンボル[GST+]を表示させる。また、CPU21は、図7の(B)に示すように、税計算モード切替キー11d([GST+/TAX-])の長押しによるキー操作に対して、税計算モードシンボル12bをシンボル[TAX-]に切り替えて表示させる。
従って、第1の制御方法の第2切替キー処理では、APO機能により電源オフされるまでの間、すなわち工場検査後に最初に電源がオフになるまでの間では、税計算モード切替キー11dが意図せず操作された場合には、既定の税計算モード(税込み計算モード)が切り替えられない。一方、既定の操作とは異なる操作により税計算モード切替キー11dが操作された場合には、意図的な操作であるとして、税計算モード切替キー11dに対する操作に応じて税計算モードを切り替える。こうして、工場検査後に税計算モード切替キー11dを特別な操作によって有効とすることにより、税計算モード切替キー11dを用いた動作確認などをすることが可能となる。
長押し操作により税計算モード切替キー11dが使用された場合には、税計算モードを変更した動作確認等が終了した後、APO機能により電源オフするまでの間に、同様にして、意図的な長押し操作により税計算モード切替キー11dを用いて、出荷時の既定の税計算モード(税込み計算モード)へ切り替えておく。この場合、CPU21は、税計算モードエリア22mに税込み計算モードを示す税計算モードデータを記憶させる。
前述と同様に、電卓10は、工場検査処理後に動作確認などがされた後、梱包されて出荷される。電卓10が梱包された状態で、CPU21は、APO機能により電源をオフし、工場検査後フラグエリア22cに、工場検査処理が実行済みであることを示さない工場検査後フラグオフ(第2情報)を記憶させる(ステップA4)。その後、CPU21は、通常の電源オフ処理(従来オフ処理)を実行して、電卓10の動作を停止させる(ステップA5)。
従って、第1の制御方法の第2切替キー処理では、工場検査後にAPO機能により最初に電源がオフになるまでの間では、税計算モード切替キー11dが既定の操作とは異なる操作をされた場合に限り、既定の税計算モード(税込み計算モード)が切り替えられる。
出荷後の電卓10は、例えばユーザによる[AC]キー11aに対する操作によって起動が指示される。CPU21は、[AC]キー11aのキー操作に応じて通常の電源オン処理を実行して、電卓10を起動させる。この時、税計算モードエリア22mには、工場検査後に設定された税込み計算モードを示す税計算モードデータが記憶されている。このため、出荷後にユーザが最初に電卓10を電源オンした場合には、確実に既定の税計算モード(税込み計算モード)によって起動される。
以下、図7の(B)に示すように、前述した第1切替キー処理を実行した場合と同様に、キー操作に応じた従来処理、あるいは税計算モード切替キー11dの操作(通常押下)に応じた税計算モードの切り替えが実行される。
本実施形態における第1の制御方法によれば、電卓10は、工場検査処理後に工場検査後フラグをオンにし(ステップS10)、かつ、APOカウンタが「0」になった場合のみ(ステップA3:Yes)、工場検査後フラグをオフしてから(ステップA4)、電源オフするものとした(ステップA5)。また、工場検査後フラグがオンである間、税計算モード切替キー11dの操作を無効(NOP)にしている(ステップB1:ON→ステップB3)。なお、電卓10は、電源オフキーの操作がそもそも実装されていないか、または、電源オフキーの操作が実装されていても、工場検査後フラグがオンである間、電源オフキーの操作を無効にしている(ステップA6:Yes→ステップA11:ON→ステップA12)。
したがって、電卓10は、工場検査処理後に動作確認などがされた後、梱包されて出荷されるが、出荷前に、意図しないキーに接触したとしても、APO機能により最初に電源がオフとなった後に意図せずキーに接触しないようにさえすれば、ユーザが開梱して電源オンしたときには、既定の計算モードで起動することができる。例えば、APO機能により最初に電源がオフとなる前に梱包作業を済ませるようにすれば、APO機能により最初に電源がオフとなった後に意図せずキーに接触されることはない。
このように、本実施形態の第1の制御方法を実行する電卓10は、工場検査後フラグのオンオフを適切に切り替えたり、工場検査後フラグの状態に応じて、特定のキーの操作を無効(NOP)となるように制御したりしていないものと比べて、工場検査出荷後に電源を最初にオンにしたとき、より確実に、既定の計算モードで起動させることができる。
なお、前述した説明では、工場検査処理後に工場検査後フラグがオンされると(ステップS10)、電源オフキーが操作されたとしても操作を無効にしているが(ステップA6,A11,A12)、APO機能により最初に電源がオフとなる前に、電源オフキーの操作に応じて電源オフできるようにしても良い。この場合、前述したAPO機能による電源オフと同様にして、最初の電源オフキーの操作に応じて、工場検査後フラグエリア22cに工場検査後フラグオフを記憶させた後、通常の電源オフ処理(従来オフ処理)を実行して、電卓10の動作を停止させる(ステップA5)。このような処理によれば、工場検査処理後、最初に電卓10の動作が停止するまでの間は、確実に、工場検査後フラグオンであるので、その間、税計算モード切替キー11dの操作に応じて税計算モードが切り替わることを防止できる。
あるいは、工場検査処理後、APO時間よりも短い予め定めた閾値時間が経過した場合、当該閾値時間が経過したと判別したことに応じて、工場検査後フラグエリア22cに工場検査後フラグオフを記憶させて、かつ、このとき、通常の電源オフ処理(従来オフ処理)を実行しなくてもよい。その後、APOカウンタが「0」になってAPO機能が作動するか、または、最初の電源オフキーの操作に応じて、通常の電源オフ処理(従来オフ処理)を実行することで、電卓10の動作を停止させてもよい。このような処理によれば、工場検査処理後、少なくとも上記閾値時間が経過するまでの間は、工場検査後フラグオンであるので、その間、税計算モード切替キー11dの操作に応じて税計算モードが切り替わることを、確実に防止できる。
次に、本実施形態における第2の制御方法について説明する。電卓10の工場出荷前に実行される処理は、前述した図3に示すフローチャートと同様に実行されるものとして詳細な説明を省略する。
以下、本実施形態における第2の制御方法によるキー入力待処理について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。図9は、図8のフローチャート中のAPO処理を示すフローチャートである。図10は、第2の制御方法における具体的な処理内容を説明するためのキー操作と表示例を示す図である。
CPU21は、工場検査処理後にキー入力がある場合(ステップD1:Yes)、CPU21は、後述するAPOカウンタをリセットしてから(ステップD8)、電源オフキーの操作であるか判別する(ステップD6)。電源オフキーの操作であると判別される場合(ステップD6:Yes)、ステップD9,D10において第1の制御方法と同様の処理を実行するため、説明を省略する。なお、第1の制御方法と同様、電卓10が電源オフキーにより電源オフする機能を設けない場合には、APOカウンタをリセットした後(ステップD8)、電源オフキーの操作を判別する処理を省略し、ステップD7の処理へ移行する。
また、CPU21は、電源オフキーの操作でないと判別される場合(ステップD6:No)、キー入力に応じた処理(従来処理)を実行する(ステップD7)。すなわち、第2の制御方法では、工場検査後に、最初に電源オフになるまでの間、税計算モード切替キー11dを含むキー操作に応じた通常処理(従来処理)を可能とする。従って、キー入力部11に対するキー操作に応じた動作確認をすることができる。
例えば、図10に示すように、工場検査処理を終了させるための[AC]キー11aが操作された後、税計算モード切替キー11dが操作された場合、CPU21は、税計算モードエリア22mに税抜き計算モードを示す税計算モードデータを記憶させて税計算モードを変更する。また、CPU21は、税計算モードシンボル12bを、税抜き計算モードを示す「TAX-]に変更する。
一方、キー入力がない場合には(ステップD1:No)、CPU21は、APOカウンタを時間経過に応じて減算する(ステップD2)。CPU21は、APOカウンタが「0」でなければ(ステップD3:No)、CPU21は、処理をキー入力待処理の最初へ戻す(ステップD1)。
電卓10は、工場検査処理後に動作確認などがされた後、梱包されて出荷される。電卓10が梱包された状態で、CPU21は、APOカウンタを時間経過に応じて減算し(ステップD2)、APOカウンタが「0」になると(ステップD3:Yes)、APO処理を実行する(ステップD4)。
APO処理では、CPU21は、工場検査後フラグエリア22cを参照し、工場検査後フラグが、工場検査処理が実行済み(工場検査後フラグオン(第1情報))を示しているか判別する。工場検査後フラグオンの場合(図9、ステップE1:ON)、CPU21は、計算モード設定処理を実行して、税計算モードを既定の計算モードに設定する。すなわち、CPU21は、税計算モードエリア22mに税込み計算モードを示す税計算モードデータ(GST+)を記憶させる(ステップE2)。その後、CPU21は、工場検査後フラグエリア22cに、工場検査処理が実行済みであることを示さない工場検査後フラグオフ(第2情報)を記憶させて(ステップE3)、APO処理を終了する。
CPU21は、APO処理により工場検査後フラグエリア22cに工場検査後フラグオフを記憶させた後、通常の電源オフ処理(従来オフ処理)を実行して、電卓10の動作を停止させる(ステップD5)。
出荷後の電卓10は、例えばユーザによる[AC]キー11aに対する操作によって起動が指示される。CPU21は、[AC]キー11aのキー操作に応じて通常の電源オン処理を実行して、電卓10を起動させる。この時、税計算モードエリア22mには、工場検査後に、APO処理において最初に電源オフされる際に設定された税込み計算モードを示す税計算モードデータが記憶されている。
従って、CPU21は、図10に示すように、[AC]キー11aの操作による最初の電源オン時には、税計算モードシンボル12bには税込み計算モードを示すシンボル[GST+]を表示させる。すなわち、工場検査後に設定された既定の税計算モードを確実に設定することが可能となる。CPU21は、起動された後、図8に示すキー入力待ち処理を実行する。従って、CPU21は、図8に示すように、キー入力部11の「1」「2」「3」「+」の各キーが操作された場合、前述と同様にして、メイン表示部には「123」、ステップ数12aには「1」、シンボル[+]を表示させる。また、CPU21は、税計算モード切替キー11dが操作された場合、従来処理により、税計算モードを切り替える処理を実行する。すなわち、図10に示すように、CPU21は、税抜き計算モードに切り替えて、税計算モードシンボル12bを、税抜き計算モードを示すシンボル[TAX-]に変更する。その後、CPU21は、税計算モード切替キー11dが操作される毎に、税込み計算モードと税抜き計算モードの間で計算モードを切り替える。
また、CPU21は、工場検査後の2回目以降に電源オフする場合、すなわち、電卓10が出荷され、ユーザが使用開始後にAPO処理により電源オフする場合には、工場検査後フラグエリア22cに工場検査後フラグオフが記憶されているため(ステップE1:OFF)、計算モード設定処理を実行せずに、税計算モードエリア22mに設定された税計算モードデータを保持したままにする。
このように、第2の制御方法では、工場検査後に最初にAPO機能により電源オフするまでの間では、税計算モード切替キー11dを含む各キー入力に応じた通常処理を実行可能とする。そして工場検査後に最初にAPO機能(APO処理)により電源オフする際に、計算モード設定処理により既定の税計算モード(税込み計算モード)を設定する。従って、工場検査後、税計算モード切替キー11dが操作された場合であっても、電卓10を既定の税計算モード(税込み計算モード)に設定した状態で出荷することができる。このため、出荷後にユーザが最初に電卓10を電源オンした場合には、確実に既定の税計算モード(税込み計算モード)によって起動される。
本実施形態における第2の制御方法によれば、電卓10は、工場検査処理後に工場検査後フラグをオンにし(ステップS10)、かつ、APOカウンタが「0」になった場合のみ(ステップD3:Yes)、既定の計算モード(税込み計算モード)へ設定して(ステップE2)、工場検査後フラグをオフしてから(ステップE3)、電源オフするものとした(ステップD5)。なお、電卓10は、電源オフキーの操作がそもそも実装されていないか、または、電源オフキーの操作が実装されていても、工場検査後フラグがオンである間、電源オフキーの操作が無効にしている(ステップD6:Yes→ステップD9:ON→ステップD10)。
したがって、前述の第1の制御方法と同様、本実施形態の第2の制御方法を実行する電卓10も、工場検査出荷後に電源を最初にオンにしたとき、より確実に、既定の計算モードで起動させることができる。
次に、本実施形態における第3の制御方法について説明する。電卓10の工場出荷前に実行される処理は、前述した図3に示すフローチャートと同様に実行されるものとして詳細な説明を省略する。以下、本実施形態における第3の制御方法によるキー入力待処理について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。図12は、出荷後の電卓10による[AC]キー11aの操作に応じた[AC]キー処理を示すフローチャートである。
CPU21は、工場検査処理後にキー入力がある場合(ステップF1:Yes)、CPU21は、後述するAPOカウンタをリセットしてから(ステップF6)、電源オフキーの操作であるか判別する(ステップF7)。電源オフキーの操作であると判別される場合(ステップF7:Yes)、ステップF8,F9において第1の制御方法と同様の処理を実行するため、説明を省略する。なお、第1の制御方法と同様、電卓10が電源オフキーにより電源オフする機能を設けない場合には、APOカウンタをリセットした後(ステップF6)、電源オフキーの操作を判別する処理を省略し、ステップF5の処理へ移行する。
また、CPU21は、電源オフキーの操作でないと判別される場合(ステップF7:No)、キー入力に応じた処理(従来処理)を実行する(ステップF5)。すなわち、第3の制御方法では、工場検査後に、税計算モード切替キー11dを含むキー操作に応じた通常処理(従来処理)を可能とする。従って、キー入力部11に対するキー操作に応じた動作確認をすることができる。
一方、キー入力がない場合には(ステップF1:No)、CPU21は、APOカウンタを時間経過に応じて減算する(ステップF2)。CPU21は、APOカウンタが「0」でなければ、前述したように、キー入力に応じた処理を実行する(ステップF1,F5)。
電卓10は、工場検査処理後に動作確認などがされた後、梱包されて出荷される。電卓10が梱包された状態で、CPU21は、APOカウンタを時間経過に応じて減算し(ステップF2)、APOカウンタが「0」になると(ステップF3:Yes)、APO機能による従来の電源オフ処理を実行する(ステップF4)。
こうして、第3の制御方法では、工場検査後に工場検査後フラグエリア22cに工場検査後フラグオン(第1情報)が記憶された状態で出荷される。
出荷後の電卓10は、例えばユーザによる[AC]キー11aに対する操作によって起動が指示される。CPU21は、電源オフの状態における[AC]キー11aのキー操作に応じて(図12、ステップG1:Yes)、通常の電源オン処理を実行して、電卓10を起動させる。
CPU21は、電源オン処理後に工場検査後フラグエリア22cを参照し、工場検査後フラグが、工場検査処理が実行済み(工場検査後フラグオン(第1情報))を示しているか判別する。工場検査後フラグオンの場合(ステップG3:ON)、CPU21は、計算モード設定処理を実行して、税計算モードを既定の計算モードに設定する。すなわち、CPU21は、税計算モードエリア22mに税込み計算モードを示す税計算モードデータ(GST+)を記憶させる(ステップG4)。その後、CPU21は、工場検査後フラグエリア22cに、工場検査処理が実行済みであることを示さない工場検査後フラグオフ(第2情報)を記憶させて(ステップG5)、従来の[AC]キー11aに対する操作に応じたAC処理を実行する(ステップG6)。
なお、CPU21は、電源オフの状態でない場合に[AC]キー11aが操作された場合には(ステップG1:No)、従来の[AC]キー11aに対する操作に応じたAC処理を実行する(ステップG6)。
図10は、第3の制御方法における具体的な処理内容を説明するためのキー操作と表示例を示す図である。すなわち、第3の制御方法では、前述した第2の制御方法と同様にしてキー操作に応じた表示がされる。ただし、第2の制御方法では、APO処理において、計算モード設定処理を実行して、既定の税計算モードを設定するのに対して、第3の制御方法では、APO機能により電源オフされた後の[AC]キー11aに応じた最初の起動時に、計算モード設定処理を実行して、既定の税計算モードを設定する。
このように、第3の制御方法では、工場検査後に最初にAPO機能により電源オフするまでの間では、税計算モード切替キー11dを含む各キー入力に応じた通常処理を実行可能とする。そして、出荷後にユーザが最初に電源オンする際に、既定の税計算モード(税込み計算モード)に設定して起動させる。すなわち、工場検査後、税計算モード切替キー11dが操作されて、税計算モードが変更されたとしても、確実に既定の税計算モード(税込み計算モード)によって起動させることができる。
本実施形態における第3の制御方法によれば、電卓10は、工場検査処理後に工場検査後フラグをオンにし(ステップS10)、かつ、電源オン中に[AC]キー11aが操作された場合のみ(ステップG1:Yes)、既定の計算モード(税込み計算モード)へ設定して(ステップG4)、工場検査後フラグをオフするものとした(ステップG5)。なお、電卓10は、電源オフキーの操作がそもそも実装されていないか、または、電源オフキーの操作が実装されていても、工場検査後フラグがオンである間、電源オフキーの操作が無効にしている(ステップF7:Yes→ステップF8:ON→ステップF9)。
したがって、前述の第1の制御方法と同様、本実施形態の第3の制御方法を実行する電卓10も、工場検査出荷後に電源を最初にオンにしたとき、より確実に、既定の計算モードで起動させることができる。
なお、上記の実施形態では、工場出荷前に実施されるある処理として工場検査処理を対象として説明したが、工場検査処理だけではなく、その他の予め定めた処理を対象としてもよい。各種の予め定めた処理としては、電子機器全般における設定初期化処理や再起動処理、当該機器が実行可能な機能のうち一部の機能が利用制限された制限モードを設定する処理などが挙げられる。この場合、電子機器の設定初期化処理や再起動処理の実行に応じて、当該電子機器が既定の処理モードに設定されたり、電子機器の制限モードを設定する処理の実行に応じて、当該電子機器が制限モードに設定されたりする。その後、上記の実施形態で述べた第1の制御方法、第2の制御方法、及び第3の制御方法の何れかが実行されることにより、当該機器の電源がいったんオフされた後にオンして以降は、設定されていた各種の処理モードが解除されてよい。
また、実施形態において記載した手法、すなわち図3、図4のフローチャートに示す処理等の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、外部記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した機能と同様の処理を実現することができる。
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク(インターネット)上を伝送させることができ、このネットワーク(インターネット)に接続されたコンピュータ(サーバ装置等)からプログラムデータを取り込み、前述した実施形態と同様の機能を実現することもできる。
なお、本願発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な制御部を備える電子機器であって、
前記制御部は、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるまでのある期間は少なくとも、前記処理モードを変更するための既定の操作を実行しても、前記処理モードを変更しない、電子機器。
[2]
前記制御部は、
前記ある期間に、前記既定の操作に用いられる特定のキーが、当該既定の操作とは異なる方法で操作されたと判別すると、前記電子機器に設定されている前記処理モードを当該設定されている処理モードとは異なる別の処理モードへ変更する、[1]記載の電子機器。
[3]
前記制御部は、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになり、その後、最初に当該電子機器の電源がオンになって以降の電源オン中は、前記既定の操作が実行されたと判別すると、前記電子機器に設定されている前記処理モードを当該設定されている処理モードとは異なる別の処理モードへ変更する、[1]又は[2]記載の電子機器。
[4]
前記制御部は、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるまでの間、前記処理モードを変更するための既定の操作を実行しても、前記処理モードを変更しない、[1乃至[3の何れか一項記載の電子機器。
[5]
前記制御部は、
予め定めた処理を実行したことに応じて、前記既定モード設定処理を実行するとともに、当該予め定めた処理を実行済みであることを示す第1情報を前記電子機器の記憶部に記憶させ、
前記電子機器の電源がオフになるとき、前記予め定めた処理を実行済みであることを示さない第2情報を前記記憶部に記憶させ、
前記既定の操作が実行された場合、
前記記憶部に前記第1情報が記憶されていると判別すると、前記電子機器に設定されている前記処理モードを変更せず、
前記記憶部に前記第2情報が記憶されていると判別すると、前記電子機器に設定されている前記処理モードを当該設定されている処理モードとは異なる別の処理モードへ変更する、[1]乃至[4]の何れか一項記載の電子機器。
[6]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な制御部を有する電子機器であって、
前記制御部は、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるとき、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、2回目以降に前記電子機器の電源がオフになるとき、前記既定モード設定処理を実行しない、電子機器。
[7]
前記制御部は、
予め定めた処理を実行したことに応じて、前記既定モード設定処理を実行するとともに、当該予め定めた処理を実行済みであることを示す第1情報を前記電子機器の記憶部に記憶させ、
その後、前記電子機器の電源がオフになるとき、前記予め定めた処理を実行済みであることを示さない第2情報を前記記憶部に記憶させる、[6]記載の電子機器。
[8]
前記制御部は、
前記電子機器の電源がオフになるとき、前記記憶部に前記第1情報が記憶されていると判別すると、前記第2情報を前記記憶部に記憶させる、[7]記載の電子機器。
[9]
前記制御部は、
予め定めた処理を実行したことに応じて、前記既定モード設定処理を実行するとともに、当該予め定めた処理を実行済みであることを示す第1情報を前記電子機器の記憶部に記憶させ、
前記電子機器の電源がオフになるとき、前記記憶部に前記第1情報が記憶されていると判別すると、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記電子機器の電源がオフになるとき、前記記憶部に前記第1情報が記憶されていないと判別すると、前記既定モード設定処理を実行しない、
[6]乃至[8]の何れか一項記載の電子機器。
[10]
前記制御部は、
前記電子機器の電源がオンになるとき、前回、当該電子機器の電源がオフになったときの処理モードで、前記電子機器を起動する、
[1]乃至[9]の何れか一項記載の電子機器。
[11]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な制御部を有する電子機器であって、
前記制御部は、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、2回目以降に前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記既定モード設定処理を実行しない、電子機器。
[12]
前記制御部は、
予め定めた処理を実行したことに応じて、前記既定モード設定処理を実行するとともに、当該予め定めた処理を実行済みであることを示す第1情報を前記電子機器の記憶部に記憶させ、
前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記予め定めた処理を実行済みであることを示さない第2情報を前記記憶部に記憶させる、[11]記載の電子機器。
[13]
前記制御部は、
前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記記憶部に前記第1情報が記憶されていると判別すると、前記第2情報を前記記憶部に記憶させる、[12]記載の電子機器。
[14]
前記制御部は、
予め定めた処理を実行したことに応じて、前記既定モード設定処理を実行するとともに、当該予め定めた処理を実行済みであることを示す第1情報を前記電子機器の記憶部に記憶させ、
前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記記憶部に前記第1情報が記憶されていると判別すると、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記記憶部に前記第1情報が記憶されていないと判別すると、前記既定モード設定処理を実行しない、
[11]乃至[13]の何れか一項記載の電子機器。
[15]
前記制御部は、
前記予め定めた処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるまでの間、オートパワーオフ機能によって前記電子機器の電源をオフする、[4]、[6]乃至[8]、及び、[11]乃至[13]の何れか一項記載の電子機器。
[16]
前記制御部は、
前記予め定めた処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるまでの間、電源オフキーの操作を無効化する、[4]、[6]乃至[8]、及び、[11]乃至[14]の何れか一項記載の電子機器。
[17]
前記電子機器は、計算機であって、
前記処理モードは、前記計算機が実行可能な税込計算モード及び税抜計算モードの何れかであって、
前記処理モードに応じた処理は、税込計算処理及び税抜計算処理の何れかであって、
前記予め定めた処理は、前記計算機の工場検査処理である、[4]、[6]乃至[8]、及び、[11]乃至[15]の何れか一項記載の電子機器。
[18]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な電子機器のコンピュータを、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるまでの期間は少なくとも、前記処理モードを変更するための既定の操作を実行しても、前記処理モードを変更しない、ように機能させるためのプログラム。
[19]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な電子機器のコンピュータを
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるとき、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、2回目以降に前記電子機器の電源がオフになるとき、前記既定モード設定処理を実行しない、ように機能させるためのプログラム。
[20]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な電子機器のコンピュータを、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、2回目以降に前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記既定モード設定処理を実行しない、ように機能させるためのプログラム。
[21]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な制御部を備える電子機器の制御方法であって、
前記制御部は、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるまでの期間は少なくとも、前記処理モードを変更するための既定の操作を実行しても、前記処理モードを変更しない、制御方法。
[22]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な制御部を有する電子機器の制御方法であって、
前記制御部は、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフになるとき、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、2回目以降に前記電子機器の電源がオフになるとき、前記既定モード設定処理を実行しない、制御方法。
[23]
設定された処理モードに応じた処理を実行可能な制御部を有する電子機器の制御方法であって、
前記制御部は、
前記処理モードを既定の処理モードへ設定する既定モード設定処理を実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、最初に前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記既定モード設定処理を再度実行し、
前記既定モード設定処理の実行終了後、2回目以降に前記電子機器の電源がオフからオンになるとき、前記既定モード設定処理を実行しない、制御方法。