JP7030720B2 - 先端巨大症、先端巨大症がん、sst-r5発現腫瘍、2型糖尿病、高血糖症、及びホルモン関連腫瘍の治療において使用するための、生理学的条件において難溶性であるベルドレオチド - Google Patents

先端巨大症、先端巨大症がん、sst-r5発現腫瘍、2型糖尿病、高血糖症、及びホルモン関連腫瘍の治療において使用するための、生理学的条件において難溶性であるベルドレオチド Download PDF

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Description

本開示は、ペプチド又はそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、ペプチドは水溶性であるが、生理学的条件において低い溶解性を有する、医薬組成物、及びそのような医薬組成物を使用するための方法を対象とする。
直鎖ペプチドの薬物としての使用を妨げる主要な問題は、そのようなペプチドが、多数のコンフォメーション間において急速平衡で存在する一方で、これらのコンフォメーションのうちごくわずかしか生体活性ではないという事実に関連する。この柔軟性が、不良な選択性、急速なタンパク質消化、及び低いバイオアベイラビリティにつながる。この問題を克服する最良の方法の1つは、ペプチドに対してコンフォメーションの拘束を導入する、環化によるものである。
天然に存在する環状ペプチドにおいては、環化は、ペプチド内の特定の側鎖及び/又は末端基を一緒に連結する。環化の典型的形式と呼ばれるこれらの形式の環化は、環化に供されるアミノ酸側鎖及びペプチド末端の数が少ないことに起因して、高度に制限される。したがって、可能性のある、所与の配列の拘束された「典型的」環状類似体の多様性は小さい。
主鎖環化は、これらの制限を克服する(Afargan et al., Novel Long-Acting Somatostain Analog with Endocrine Selectivity: Potent Suppression of Growth Hormone But Not of Insulin, Endocrinology, 142:1 (2001) 477-486)。この技術を適用することで、ペプチド主鎖中の1又は2以上のα-窒素の、互いに対する、又はアミノ若しくはカルボキシ末端に対する、又は側鎖に対する共有結合性の相互接続によって環化が起こる。
ソマトスタチンは、中枢神経系及び末梢組織の両方において見られる環状テトラデカペプチドである。ソマトスタチンは元来、哺乳動物の視床下部から単離され、脳下垂体前葉からの成長ホルモン分泌の重要な阻害因子として同定された。その多数の生物学的活性には、膵臓からのグルカゴン及びインスリンの分泌の阻害、大部分の消化管ホルモンの調節、並びに中枢神経系全体にわたる、運動活性及び認知過程に関与する他の神経伝達物質の放出の調節が含まれる(Lamberts, Endocrine Rev., 9:427, 1988を参照されたい)。加えて、ソマトスタチン及びその類似体は、様々な種類の腫瘍の治療にとって潜在的に有用である、抗増殖剤である。
その天然型において、ソマトスタチンは、2つの望ましくない性質:不良なバイオアベイラビリティ及び短い作用持続期間を呈するため、治療剤としての用途が制限されている。この理由から、成長ホルモン、インスリン、又はグルカゴンの放出の阻害に関して、効力、生体内安定性、作用持続期間、又は選択性のいずれかにおいて優位性を有するソマトスタチン類似体を発見するための多大な努力が、過去20年間なされてきた。
ソマトスタチン類似体(米国特許第4,310,518号明細書及び同第4,235,886号明細書)の群には、臨床的に利用可能な、初めて認可されたソマトスタチン類似体である、オクトレオチド(octreotide)が含まれる。
別のソマトスタチン類似体は、コンフォメーション的に拘束された主鎖環状合成ペプチドである、ベルドレオチド(veldoreotide)である(以前にはPTR3173又はDG3173として公知であった)。ベルドレオチドは、図1に描写されており、以下の通りである。
-γ-Abu-Phe-Trp-D-Trp-Lys-Thr-Phe-N-カルバモイルメチル
式中、Abuは、アミノブチリルである。
ベルドレオチド酢酸塩は、より一般には、シクロ(-γ-アミノブチリル-L-フェニルアラニル-L-トリプトファニル-D-トリプトファニル-L-リジル-L-スレオニル-L-フェニルアラニル-N-カルバモイルメチル-γ-アミノブチリル)、酢酸塩又はシクロ(-γ-Abu-Phe-Trp-D-Trp-Lys-Thr-Phe-N-カルバモイルメチル-γ-Abu)、酢酸塩として記載される。
オクトレオチド及びベルドレオチドは、注射用蒸留水に対して同様の溶解性を有するが、生理学的条件下においては非常に異なった溶解性を有する。かつてベルドレオチド酢酸塩の人体研究が進行していた頃、ベルドレオチド酢酸塩は、GH阻害に関してオクトレオチドと同様の受容体親和性を有するものの、両方とも乳酸緩衝液で注射された場合、同様の薬理学的効果のためには用量の増加が必要とされることが分かった。この問題の原因を調査したところ、ベルドレオチド酢酸塩が生理学的条件において難溶性であり、「急変する」薬物動態(“flip-flop” pharmacokinetics)につながることが発見された。ベルドレオチド酢酸塩に関する以前の研究では、ベルドレオチド酢酸塩の溶液の注射は、等張溶液に対するその溶解性が比較的低いことに起因して、有害な注射部位反応及び制限されたバイオアベイラビリティを結果としてもたらすことが分かった。したがって、生理学的(等張)溶液に対するベルドレオチド酢酸塩の溶解性を向上させるための方法が必要とされる。
米国特許第4,310,518号明細書 米国特許第4,235,886号明細書
Afargan et al., Novel Long-Acting Somatostain Analog with Endocrine Selectivity: Potent Suppression of Growth Hormone But Not of Insulin, Endocrinology, 142:1 (2001) 477-486 Lamberts, Endocrine Rev., 9:427, 1988
本開示は、注射可能なペプチド又はその薬学的に許容される塩の溶解性及び分散を向上させ、バイオアベイラビリティ及び分布を改善し、注射部位における有害反応を低減する製剤を提供することを目的とする。
本開示において本明細書内で考察される理論及び機序に関わらず、本発明の趣旨は、実際の機序とは関係なく、本明細書に記載される組成物の、改善された生理化学的性質及び薬物動態学的性質、並びにその使用を包括する。
一実施形態(実施形態1)においては、医薬組成物は、脱イオン水における溶解性が100~350mg/mlであり、脱イオン水に溶けやすいが、生理学的条件下において、又は別様に塩化物イオンを有する溶液において溶解性が2~3mg/mlであり、溶けにくい、ペプチド又はその薬学的に許容される塩であって、ペプチド又は薬学的に許容される塩が、3mg/ml超の濃度で塩析することによって沈殿する、ペプチド又はその薬学的に許容される塩、薬学的に許容される担体又は希釈剤、及び環状多糖若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせである、賦形剤を含む。
ある特定の実施形態においては、ベルドレオチドの独特な表面活性の性質が活用される。例えば、ベルドレオチドは、水の表面張力を30%を超えて低減させ、その独特な両親媒性の性質は、界面活性剤としてのその用途と一貫している。この表面張力における低減は、デキストロース又は環状多糖の添加によって部分的に軽減される。
したがって、ベルドレオチド、及び担体又は希釈剤中のデキストロース又は環状多糖のいずれかを含む組成物が提供され、組成物の表面張力は、担体単独の約60%~約80%である。他の実施形態においては、組成物の表面張力は、5℃の温度で測定した場合、約40ダイン/cm~約60ダイン/cmである。
本発明はまた、高分子ミクロスフェアを製造するための方法であって、
(i)環状多糖若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせを含む、賦形剤と、ペプチド又はその薬学的に許容される塩とを水中で混合して、第1の水性混合物を形成するステップであって、ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、脱イオン水における溶解性が100~350mg/mlであり、脱イオン水に溶けやすいが、生理学的条件下において、又は別様に塩化物イオンを有する溶液において溶解性が2~3mg/mlであり、溶けにくく、ペプチド又は薬学的に許容される塩が、3mg/ml超の濃度で塩析することによって沈殿する、ステップ、
(ii)ポリマーを、ジクロロメタンなどの有機溶媒中に混合して、ポリマー溶液を形成するステップ、
(iii)第1の水性混合物を、ポリマー有機溶液中に混合して、油中水型一次エマルションを含む第1の分散体混合物を形成するステップ、
(iv)ポリビニルアルコール(PVA,polyvinyl alcohol)を、リン酸緩衝生理食塩水又は生理食塩水中に、0.1~3重量%の量で混合して、第2の水性混合物を形成するステップ、
(v)一次エマルションを、PVAの第2の水性混合物中に混合して、水中油中水型の二重エマルションを形成して、二次分散体混合物を提供するステップ、
(vi)二次分散体混合物中の有機溶媒を蒸発させて、固体高分子ミクロスフェアを形成するステップであって、ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、高分子ミクロスフェア内にカプセル封入されている、ステップ、
(vii)高分子ミクロスフェアを洗浄及び単離するステップ、並びに
(viii)乾燥過程中に、界面活性剤及びマンニトールの混合物を添加して、又は添加せずに、制御条件下でミクロスフェアを乾燥させるステップ
を含む、前記方法も提供する。
本発明はまた、上の方法によって生成される、持続放出性医薬組成物も提供する。この実施形態においては、ベルドレオチドを含む複数の高分子ミクロスフェアであって、例えば、ブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller;BET)法によって測定した場合、約7m/g~約12m/gの表面積を有する、高分子ミクロスフェアが提供される。ある特定の実施形態においては、複数の高分子ミクロスフェアは、約10μm~約100μmの、より好ましくは約10μm~約30μmの範囲の平均直径を有する。ある特定の実施形態においては、高分子ミクロスフェアは、非常に少量、例えば高分子ミクロスフェアの総重量に対して、約0.1重量%~約1重量%のデキストロースを含んでもよい。他の実施形態においては、高分子ミクロスフェアは、高分子ミクロスフェアの総重量の約1重量%~約10重量%、より好ましくは約2.5重量%~約5重量%の環状多糖を含んでもよい。ある特定の実施形態においては、ベルドレオチドは、高分子ミクロスフェアの総重量の約10重量%~約30重量%、より好ましくは約15重量%~約20重量%を構成する。
本発明はまた、高分子ミクロスフェアを製造するための組成物であって、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩、環状多糖若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせを含む、賦形剤、及びポリマーを含む、組成物も提供する。
本発明はまた、先端巨大症、先端巨大症がん、SST-R5発現腫瘍、2型糖尿病、高血糖症、カルチノイド腫瘍、クッシング症候群、及びホルモン関連腫瘍からなる群から選択される疾患又は状態を治療するための方法であって、請求項1~37のいずれかに記載の医薬組成物を、前記疾患又は状態を有する患者に投与するステップを含む、方法も提供する。
前述の態様及び本発明に付随する利点の多くについては、これらを、添付の図面と併せて以下の発明を実施するための形態を参照することによってより良好に理解することで、より容易に認識されるであろう。
ベルドレオチドの化学構造である。 ベルドレオチド酢酸塩及びオクトレオチド酢酸塩の両方の三次元構造である。 80:20の綿実油:注射用水(WFI,water for injection)中の、ベルドレオチド酢酸塩、オクトレオチド酢酸塩、及びゴセレリンの油中水型(w/o,water-in-oil)エマルション製剤の写真である。 賦形剤を伴う又は伴わない、ベルドレオチド酢酸塩の様々な製剤を注射されたラットにおける、ベルドレオチド酢酸塩の血漿濃度のグラフである。 0.3mg/kg、DEX:PEPの比率が5:1のデキストロース/生理食塩水IR製剤の、ラットにおけるCOR005 PKプロファイルに対する効果を例証するグラフである。 デキストロース/生理食塩水IR製剤、HPB/生理食塩水(HPB:PEP、15:1)の、ラットにおけるCOR005 PKプロファイルに対する効果を例証するグラフである。 0.4mg/kgでのミニブタにおける、HPB及びDEX SC製剤を比較するグラフである。 0.4mg/kgでのミニブタにおける、HPB製剤を乳酸に対して比較するグラフである。 ミニブタにおける、COR005酢酸塩IR製剤、SC、0.4mg/KgのPKプロファイルに対するDEXの効果を示すグラフである。 ミニブタにおける、COR005酢酸塩IR製剤、SC、0.1mg/KgのPKプロファイルに対するDEXの効果を示すグラフである。 SC治療群B9~13のCOR005血漿濃度のプロットを示す図である。 単回SC用量に関する、SC治療群B9~13の「バースト」薬物動態のグラフである。 COR005 PLGA MSのバースト放出に対するHPBの効果を示す図である。 COR005 PLGA MSのバースト放出に対するDEXの効果を示す図である。 ミニブタにおける、PSI13のミクロスフェア(B12、DXE:PEP 1:8)のPKプロファイルに関する、DEX:PEP 1:8の効果を示す図である。 ミニブタにおける、バースト放出ミクロスフェア製剤B13のPKプロファイルに関する、HPB:PEP 1:2の効果を示す図である。 ミニブタにおける、組成物B14のミクロスフェアからのバースト放出のPKプロファイルに関する、HPB:PEP 1:4の効果を示す図である。 ミクロスフェア製剤B9~13からのCOR005の比較用IVRプロファイルを示す図である。 基礎的ミクロスフェア製剤B10の外部形態のSEM顕微鏡写真である。 基礎的ミクロスフェア製剤B10の内部形態の顕微鏡写真である。 製剤B12の外部形態のSEM画像である。 製剤B12の内部形態のSEM画像である。 製剤B13の外部形態のSEM画像である。 製剤B13の内部形態のSEM画像である。 HPBを有するがペプチドを有しない、プラセボMSの外部形態及び内部形態を示す図である。 DEXを有するがペプチドを有しない、プラセボMSの外部形態及び内部形態を示す図である。 様々な比率のHPB:PEPを有するMS製剤の内部マトリックスの形態のSEM画像である。 ベルドレオチド酢酸塩を用いて製剤化されたリポソームのSEM顕微鏡写真である。 ベルドレオチド酢酸塩リポソームを注射されたラット対乳酸ビヒクル中のベルドレオチド酢酸塩を注射されたラットにおける、経時的(時間、横軸)なベルドレオチドの血漿濃度(ng/mL、縦軸)を示す図である。
本明細書において引用されるすべての特許及び刊行物は、それらにおいて引用されたあらゆる参考文献を含めて、それら全体が参照により援用される。
本明細書において使用される場合、「ポリマー」とは、例えばホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、及び同類のものを含む、任意の種類のポリマーを指す。否定されない限り、本明細書に記載される種は、すべての可能な個別の異性体、例えば各エナンチオマー及びジアステレオマー、並びに異性体の混合物、例えばラセミ混合物又はスカレミック混合物などを含む。エナンチオマー種は、異なる異性体型又はエナンチオマー型で存在してもよい。別途特定されない限り、本明細書において考察される、それらの異性体型に対する言及を伴わないエナンチオマー種は、すべての様々な異性体型だけでなく、異性体型のラセミ混合物も含むものとする。例えば、乳酸に対する言及は、本明細書においては、L-乳酸、D-乳酸、乳酸のL-異性体及びD-異性体のラセミ混合物を含むものとし、ラクチドに対する言及は、本明細書においては、L-ラクチド、D-ラクチド、及びDL-ラクチド(DL-ラクチドは、ラクチドのL-異性体及びD-異性体のラセミ混合物を指す)を含むものとし、同様に、ポリ(ラクチド)に対する言及は、本明細書においては、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)、及びポリ(DL-ラクチド)を含むものとし、同様に、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)に対する言及は、本明細書においては、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(D-ラクチド-co-グリコリド)、及びポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)を含むものとする。
本明細書において使用される場合、「生理学的条件」という用語は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、又はヒト)の身体において通常存在する条件、例えば、溶質(例えば、塩化物イオンを含む塩)を哺乳動物の体液において見られる濃度と同等の濃度で含有する溶液などを指す。本明細書において使用される場合、「等張」という用語は、何らかの他の溶液、特に細胞又は体液における浸透圧と同じ浸透圧を有する流体、溶液を指す。一部の事例においては、等張溶液、例えば等張生理食塩水溶液などは、血液と同じ溶質濃度を有する。
本明細書において使用される場合、「ベルドレオチド」という用語は、シクロ(-γ-アミノブチリル-L-フェニルアラニル-L-トリプトファニル-D-トリプトファニル-L-リジル-L-スレオニル-L-フェニルアラニル-N-カルバモイルメチル-γ-アミノブチリル)としても公知である環状ポリマーである。ベルドレオチドは、「COR-005」、「COR005」としても公知であり、本明細書においては互換的に使用される。ベルドレオチドは、以前には、PTR3173又はDG3173として公知であった。本明細書においては互換的に使用される、「ベルドレオチド酢酸塩」、「COR-005酢酸塩」、「COR005酢酸塩」という用語は、ベルドレオチドのモノ酢酸塩を指す。
本発明は、コンフォメーション的に拘束された主鎖環状合成ペプチド類似体を、等張溶液における溶解性を増加させるため、及びそのようなペプチドが注射によって送達される場合の吸収率及びバイオアベイラビリティを増加させるために、賦形剤と組み合わせる。本発明はまた、改善された薬物動態及び低減された注射部位反応を実証する、賦形剤を伴う又は伴わない、コンフォメーション的に拘束された主鎖環状合成ペプチド類似体の製剤についても開示する。
本発明の組成物は、限定されるものではないが、がん、2型糖尿病、先端巨大症、及びホルモン関連腫瘍を含む様々な疾患を治療するための本発明の方法において使用することができる。
本医薬組成物は、水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含んでもよい。
本医薬組成物は、水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマー形成性ミクロスフェアと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含んでもよい。
本医薬組成物は、水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーがPLGAである、ポリマー形成性ミクロスフェアと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含んでもよい。
本医薬組成物は、水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーと、賦形剤とを含んでもよく、医薬組成物はゲルを形成する。
本医薬組成物は、水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、油相と、水性相と、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含むエマルションを形成してもよく、医薬組成物はエマルションである。
本医薬組成物は、水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、リポソームを形成するリポソーム製剤と、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含んでもよい。
実施形態のうちのいずれかにおけるペプチド又はその薬学的に許容される塩は、環状ペプチド、ペプチド両親媒性物質、イオン性水溶性界面活性剤、ソマトスタチン類似体、環状ソマトスタチン類似体、コンフォメーション的に拘束された主鎖環状ペプチド、コンフォメーション的に拘束された主鎖環状ソマトスタチン類似体、コンフォメーション的に拘束された主鎖環状単一アミンソマトスタチン類似体、ベルドレオチド及びその薬学的に許容される塩、例えばベルドレオチド酢酸塩であってもよい。ペプチド又はその薬学的に許容される塩は、油中水型乳化剤として作用することができ、3~8の間の親水性親油性バランスを有する。
薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、パモ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p-アミノ安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、亜硝酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エチレンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、スルファニル酸塩、カンファースルホン酸塩、マンデル酸塩、o-メチルマンデル酸塩、水素-ベンゼンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、アジピン酸塩、D-o-トリル酒石酸塩、タルトロン酸塩、α-トルイル酸塩、(o,m,p)-トルイル酸塩、ナフチルアミンスルホン酸塩、オクタン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、脂肪酸塩、他の鉱酸塩、及びカルボン酸であってもよい。
糖は、単糖、二糖、多糖、環状多糖、シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、又はデキストロースであってもよい。デキストロースは、組成物の約2.5重量%で存在してもよい。アミノ酸は、リジン若しくはアルギニンを含む任意のアミノ酸、又はその塩酸塩などの薬学的に許容される塩、例えばL-リジン塩酸塩若しくはL-アルギニン塩酸塩であってもよい。疎水性捕捉剤は、少なくとも1つの遊離アミン基を有してもよい。
薬学的に許容される担体又は希釈剤としては、等張酢酸緩衝液、乳酸、生理食塩水、及びリン酸緩衝生理食塩水を挙げることができる。薬学的に許容される担体は、組成物の約0.45重量%の濃度、例えば0.45%生理食塩水で存在してもよい。
ポリマーとしては、マトリックスを形成するポリマー、粒子を形成するポリマー、ミクロスフェアを形成するポリマー、ゲルを形成するポリマー、及び生体適合性であるポリマーを挙げることができる。ポリマーとしては、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)又はカルボキシメチルセルロースを挙げることができる。ミクロスフェアを形成するポリマーとしては、PLGAを挙げることができる。PLGAは、50:50の比率の乳酸対グリコール酸を含み得る。ゲルを形成するポリマーとしては、セルロースガム及びそれらの誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。ゲルを形成するために使用されるポリマーは、粘度調整剤、増粘剤、及びゲル化剤として特徴付けられ得る。そのような薬剤は、それらが添加される流体の粘度を増加させ、ゲルを形成することができる。そのようなポリマーは、1%水溶液において、1500~3000cpsの平均粘度を有し得る。また、そのようなポリマーは、ペプチド又はその薬学的に許容される塩及びシクロデキストリンと相互作用して、ゲルを形成し得る。
リポソームを形成するリポソーム製剤としては、ホスファチジルコリン及びその誘導体を含む、任意の薬学的に許容されるリポソーム製剤、例えば、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、HSPC、コレステロール、DSPG、DOPC、DPPG、LIPOVA-E120、LECIVA-S70、LECIVA-S90、卵PG、MPEG-DSPE、ダイズ油、ポリソルベート-80、卵スフィンゴミエリン、及びホスファチジルコリンなどを挙げることができる。
ポリマーがミクロスフェアを形成する、本明細書に記載される医薬組成物は、賦形剤を伴わないミクロスフェアと比較して、増加した多孔性、増加した表面積、増加したペプチド放出、患者に対して医薬組成物を注射した後最初の24時間の間における増加したペプチドの放出を有し得る。また、ポリマーがミクロスフェアを形成する医薬組成物は、患者に対して医薬組成物を注射した後、少なくとも1週間、2週間、又は4週間の間、持続放出性プロファイルを呈し得る。加えて、ポリマーは、賦形剤、ペプチド若しくはその薬学的に許容される塩、又は賦形剤とペプチド若しくはその薬学的に許容される塩との両方をカプセル封入してもよく、ペプチド又はその薬学的に許容される塩と賦形剤とは、ポリマー内に共存してもよい。また、前述の実施形態のポリマーは、約7~約17キロダルトン又は38~54キロダルトンの平均分子量を有してもよい。
医薬組成物は、27Gほど小さい小ゲージ針によって注射可能であり得る。
油相としては、綿実若しくは油、又は任意の薬学的に許容される油を挙げることができる。前述の実施形態の水性相としては、水又は任意の薬学的に許容される水性ビヒクルを挙げることができる。医薬組成物は、油中水型エマルションであるエマルションを形成してもよい。油相の水性相に対する比率は、50.1:49.9~99.9:0.01であり得る。油相の水性相に対する比率は、80:20であってもよい。エマルションを形成する医薬組成物においては、ペプチド又はその薬学的に許容される塩は、約1重量/体積%の濃度で、乳化剤として作用し得る。
リポソーム製剤を含む医薬製剤は、少なくとも48時間、ペプチド又はその薬学的に許容される塩の徐放性プロファイルを呈し得る。この徐放性プロファイルには、少なくとも48時間の、治療有効血漿濃度のペプチド又はその薬学的に許容される塩が含まれ得る。
本明細書の実施形態は、開示される構成要素の任意の潜在的組み合わせを採用し得ることを理解されたい。例えば、医薬組成物は、ペプチド又はその薬学的に許容される塩、薬学的に許容される担体又は希釈剤、及び賦形剤の任意の可能な組み合わせを含み得る。
ある特定の態様においては、賦形剤を伴った注射と比較して、患者における注射部位副作用を低減するための方法は、本明細書の実施形態の医薬組成物を賦形剤とともに製剤化することと、医薬組成物を前記患者に対して注射によって投与することとを含む。一部の実施形態においては、ペプチド又はその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティを増加させるための方法は、前述の実施形態の医薬組成物を賦形剤とともに製剤化することと、医薬組成物を前記患者に対して注射によって投与することとを含む。そのような実施形態においては、ペプチド又はその薬学的に許容される塩は、治療有効用量で投与され得る。
一部の態様においては、ゲルを形成するポリマーを含む、本明細書の実施形態の医薬組成物を製剤化するための方法は、ペプチド又はその薬学的に許容される塩、及び賦形剤を混合することと、ポリマーを緩徐に添加することとを含む。
ある特定の態様においては、疾患を治療するための方法は、本明細書の実施形態の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む。この疾患は、がん、2型糖尿病、先端巨大症、代謝障害、内分泌障害、外分泌障害、又はホルモン関連腫瘍であり得る。本医薬組成物は、注射、例えば皮下注射又は静脈内注射などによって投与され得る。加えて、ペプチド又はその薬学的に許容される塩は、治療有効用量で投与され得る。
注目すべきペプチドは、ベルドレオチドであり、その薬学的に許容される塩は、ベルドレオチド酢酸塩である。本発明は、ベルドレオチド及び/又はベルドレオチド酢酸塩に関する特定の実施形態及び実施例として記載されるものの、本開示に記載される組成物、プロセス、及び方法は、他のソマトスタチン類似体を含む、他のペプチド又はペプチド塩に対しても応用可能である。
ベルドレオチド酢酸塩は、改善された結合選択性、及びSST受容体サブタイプであるSST-R2、SST-R4、及びSST-R5に対する独特な結合プロファイルを有し、カルチノイド腫瘍、先端巨大症、及び糖尿病関連合併症を治療するための、明確な治療的可能性を有する薬物候補を提供し、独特なソマトスタチン受容体サブタイプ2-、4-、5-選択的類似体は、オクトレオチド非応答性腫瘍であっても、ヒトGH分泌下垂体腺腫におけるGH分泌を効果的に低減する。ベルドレオチド酢酸塩は、インスリン又はグルカゴンに対する非選択的効果を有しない、成長ホルモン阻害において利用可能であるソマトスタチン類似体と等効力であるという点において、現在入手可能であるオクトレオチドを含む任意の他のソマトスタチン類似体を上回る、有意な利点を有する。したがって、ベルドレオチド酢酸塩は、成長ホルモン及びIGF-1の過剰分泌と関連する内分泌異常に対する薬物療法の利用可能性を、より良好な選択性及びこれらの患者のより良好な血糖コントロールによって、改善することができる。
本発明によれば、コンフォメーション的に拘束された主鎖環状合成ペプチド類似体は、患者に対して投与するための医薬組成物を形成するために、賦形剤と組み合わせてもよい。例えば、ベルドレオチド酢酸塩は水溶性分子であるものの、ある特定の賦形剤は、予想外なことに、等張条件におけるベルドレオチド酢酸塩の溶解性を改善する。
ペプチド又はその薬学的に許容される塩と、賦形剤とを含む本医薬組成物は、患者に対して投与するための組成物を製剤化するために、薬学的に許容される担体又は希釈剤と組み合わせてもよい。
環状ペプチドであるベルドレオチドは、アミノ酸残基の特定の組み合わせで構成されており、これらのアミノ酸残基が、ベルドレオチドの生物学的作用機序に加え、その独特な物理化学的性質にも寄与している。荷電アミンのLysの2つの親水性頭部基、及びThr10の極性ヒドロキシル頭部基に相対する、所定の位置の疎水性アミノ酸の組み合わせ、Phe、Trp、D-Trp、Phe11が、2つの特徴的な親水性ドメイン対疎水性ドメインを形成している。その特徴的な疎水性ドメイン及び親水性ドメイン、三次元ベータターン、並びに単一の酢酸対イオンの特定の塩形態の結果として、ベルドレオチド酢酸塩は、両親媒性の特性を有し、したがって、ペプチド両親媒性物質と考えられ、界面活性剤の性質も有する。図2は、ベルドレオチド酢酸塩及びオクトレオチド酢酸塩の三次元構造の比較を示しており、ベルドレオチド酢酸塩が、リジン残基において、単一の酢酸対イオンを伴う単一の遊離アミンを有しているのに対し、オクトレオチドは、リジン残基に1つ及び末端アミンに1つという、2つの酢酸対イオンを有していることを示している。
ソマトスタチン類似体、具体的には、乳化剤及びゲル形成剤、並びに油中水型界面活性剤として増加した両親媒性の性質を有する主鎖環状ソマトスタチン類似体であるベルドレオチド酢酸塩の薬学的有用性を考慮すると、そのような組成物は、限定されるものではないが、がん、2型糖尿病、先端巨大症、代謝障害、内分泌及び外分泌障害、並びにホルモン関連腫瘍を含む、様々な疾患及び障害を、より少ない有害効果及び延長された薬物作用によって特徴付けられる、改善された薬物療法によって治療するために使用することができる。
本医薬組成物の別の利点は、本開示の賦形剤を伴うベルドレオチド酢酸塩の組成物が、バイオアベイラビリティを改善し、驚くべきことに、有害な注射部位反応を低減するという点である。
ベルドレオチド酢酸塩及び他の主鎖環状ソマトスタチン類似体は、酵素による分解に対して相当な生体内代謝安定性を保有することが分かっている。
ベルドレオチド酢酸塩は、延長された作用持続期間で、成長ホルモン-IGF-1軸に対して、薬物オクトレオチドと同様の規模の有意な阻害を及ぼすが、インスリン分泌の阻害などのオクトレオチドの不利益は有しない。また、ベルドレオチド酢酸塩は、グルカゴンの放出に対する影響がオクトレオチドよりも相当に低いため、高血糖症を引き起こさないという利点を有し、このことが、ベルドレオチド酢酸塩を、先端巨大症の患者の血糖コントロールの改善及び2型糖尿病の治療にとって非常に魅力的な化合物としている。
ベルドレオチド酢酸塩は、CHO細胞発現クローン化ヒトSST-R5の有意な成長阻害を示しており、SST-R5発現腫瘍(例えば、カルチノイド、下垂体腫瘍)の治療における潜在的役割を示している。ベルドレオチド酢酸塩は、ヒトカルチノイド細胞株からのクロモグラニンAの放出を阻害しており、抗腫瘍効果が示される。
動物において評定した場合のベルドレオチド酢酸塩の独特な薬物動態学的プロファイルは、様々な酵素及び組織ホモジネートに対してインビトロで評定した場合のその代謝安定性と一貫している。長時間作用薬であるオクトレオチドの循環半減期は40分でしかないが、ラットに対して皮下投与した後、ベルドレオチド酢酸塩は、オクトレオチドを有意に上回る、約3時間の循環半減期を有した。この延長された半減期は、ベルドレオチド酢酸塩の注射部位からの徐放性の結果である、その独特な「急変する」動態に起因するものである。
ベルドレオチド酢酸塩は、ソマトスタチン受容体に対して選択的であり、他のヒトクローン化Gタンパク質共役受容体に対する結合は、オクトレオチドよりも有意に少ない。非ソマトスタチン受容体に対する結合は、ヒトにおいて潜在的な有害効果を引き起こし得るため、この特性は有利である。
また、ベルドレオチド酢酸塩は、ヒト末梢血リンパ球増殖アッセイにおいて、ヒトリンパ球に対して分裂促進的ではないことも分かっている。
ベルドレオチド酢酸塩は、水、5%デキストロース、アセトン、並びにエタノール、グリセロール及びプロピレングリコールを含む様々なアルコールに対して、比較的高い溶解性を有することが分かっている。また、ベルドレオチド酢酸塩は、乳酸、酢酸、及びトリフルオロ酢酸などの酸性水溶液に対しても比較的高い溶解性を有することが分かっている。予想外なことに、塩酸に対するベルドレオチド酢酸塩の溶解性は、濃度依存的であることが分かっている(塩化物濃度の増加は、ペプチド沈殿/塩析に起因して、溶解性の低下をもたらした)。この塩化物との不適合性は、pH依存性ではない、生理学的条件(すなわち、0.9%の塩化ナトリウム、pH4.5及びリン酸緩衝生理食塩水、pH7.2)におけるベルドレオチド酢酸塩の比較的低い溶解性の発見につながった。
生理学的条件におけるベルドレオチド酢酸塩のこの制限された溶解性は、このペプチドにとって非常に特異的な性質であり、以前には知られていなかった。水に対する比較的高い溶解性を考慮すれば、ベルドレオチド酢酸塩は水溶性の薬物であると考えられる。水溶性の薬物であるベルドレオチド酢酸塩が、生理学的条件下において低い溶解性を有することが分かったのは、驚くべきことであり、予想外であった。
ベルドレオチド酢酸塩の三次元構造は、ソマトスタチン類似体の大部分において一般的なコンフォメーションである、特定のII型βターンを含む。このコンフォメーションの結果として、このペプチドの三次元柔軟性は拘束され、水性環境に面する、ペプチド環の外側に曝露された疎水性(芳香族)残基の重ね合わせをもたらす。
他の環状ソマトスタチン類似体、すなわちオクトレオチド、ランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドは、2つの遊離アミン基(正に荷電した頭部基)を含み、一方はリジン残基のアミンであり、他方はこれらのペプチドのアミノ末端にあるアミンである。ベルドレオチド酢酸塩は、極性頭部基としての遊離アミンを1つしか有しない。そのアミノ末端は、アミドである。
加えて、1~2つのフェニルアラニン及び1つのトリプトファンというアミノ酸を有する大部分のソマトスタチン類似体とは異なり、ベルドレオチド酢酸塩は、その配列中に2つのフェニルアラニン及び2つのトリプトファンというアミノ酸を有する。
ベルドレオチドは、環状分子である。環化の主な役割は、分子の立体配座空間又は三次元(3D)形状を低減又は拘束することである。したがって、このように、ベルドレオチドは、コンフォメーション的に拘束された分子である。しかしながら、このペプチドは、その環状構造によって拘束されているものの、様々な水性媒体中におけるその3D構造又はコンフォメーションは、H-H結合の分子間及び分子内相互作用に依存する場合がある。H-H結合は、ペプチド及びポリペプチドの3D構造の支配的要因である。
ベルドレオチド酢酸塩は、一連のH供与体及び受容体:12個の水素供与体及び10個の水素受容体を有する。他の環状ソマトスタチン類似体は、同様の比率の水素供与体対水素受容体を有する。例えば、オクトレオチド酢酸塩は、13個の水素供与体及び10個の水素受容体を有する。
ベルドレオチドは、2倍の数の疎水性アミノ酸-2個のTrp及び2個のPheを有し、カチオン/アミンを1個しか有しないため、疎水性基対親水性基の比率は5:2である。注目すべきことに、ベルドレオチド酢酸塩中には、親水性基よりも多くの疎水性基が存在する。オクトレオチド酢酸塩は、1個のTrp及び2個のPheしか有しないが、さらに重要なことには、2個のカチオン/アミンと、さらなる末端OHとを有し、疎水性基対親水性基の比率は3:5である。このことが、オクトレオチド酢酸塩を、ベルドレオチド酢酸塩よりも水溶性にし、その表面活性をより小さくしている。
ベルドレオチドペプチドは、疎水性アミノ酸がペプチドの親水性部分を圧するという、独特な組成を有する。この組成により、比較的高い度合いの両親媒性がもたらされる。この両親媒性の性質は、水性媒体中でのペプチド分配に影響を及ぼす。ベルドレオチドは、疎水性残基を空気に対して曝露して、熱力学的安定性をもたらすために、媒体の表面に集中する傾向がある。ベルドレオチドが水の表面に集中する場合、それは溶液の表面張力を低減する。
表面張力は、流体/空気の境界面において、流体の分子が、空気の分子よりも、互いに対して強力に結合するという性質であり、流体に、その表面が伸展された弾性膜によって覆われているかのように挙動させる。多くの場合、溶質は、純粋な溶媒の表面張力と比較した場合、表面張力を低減させることになる。水及び様々な等張溶液は、25℃において約65~72ダイン/cmの範囲の表面張力を有する。表面活性を有するペプチドは、表面張力を低下させることになる。溶質の表面活性が高ければ高いほど、表面張力はより低くなり、分子又は物体がより自由に境界面を通過できるようになる。ベルドレオチド酢酸塩は、再蒸留水(pH=5.0)の表面張力を、約45ダイン/cmまで低減する(表3を参照されたい)。
ペプチドが水溶液に溶解された場合、疎水性アミノ酸が通常、保護された疎水性領域を形成する一方で、親水性アミノ酸は、溶媒和の分子と相互作用し、ペプチドに、周りの水分子との水素結合を形成させる。ペプチド表面が十分に親水性である場合、ペプチドは水に溶解することができる。例えば、0.9%のNaCl又はPBSなどの、生理学的媒体中における塩濃度が増加した場合、水分子の一部は塩イオンによって引き付けられ、これにより、ペプチドの荷電部分と水素結合によって相互作用することができる水分子の数が低下する。溶媒分子に対する需要が増加した結果として、ペプチド-ペプチド相互作用の方が溶媒-溶質相互作用よりも強くなり、ペプチドの脱溶媒和がもたらされる。ペプチド分子は、互いと疎水性相互作用を形成することによって凝析する。この過程は、塩析として公知である。
ベルドレオチド酢酸塩は、その両親媒性の性質に基づき、エマルション配合を用いて評定された。しかしながら、ベルドレオチド酢酸塩は、水中油型o/w乳化剤としては作用しないことが分かった。驚くべきことに、ベルドレオチド酢酸塩は、油中水型(w/o)乳化剤であることが分かった。油中水型のベルドレオチド酢酸塩によって得られる乳化は、安定なw/oエマルションをもたらした。したがって、ベルドレオチド酢酸塩は、6の親水性親油性バランス(HLB,hydrophilic lipophilic balance)を有する、w/oイオン性界面活性剤又はヒドロトロープと考えられ得る。
ベルドレオチド酢酸塩は、疎水性基対極性頭部基の比率が高い(4:1)ことに起因して、表3のデータによって実証されるように、より両親媒性であり、界面活性剤としての挙動が向上されている。
様々な賦形剤を伴うベルドレオチドの製剤化
賦形剤は、Vベルドレオチド酢酸塩などの注射用ペプチドの溶解性、分散、及びバイオアベイラビリティを改善することができる。そのような賦形剤としては、疎水性捕捉剤、糖、及びアミノ酸、例えばヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、L-リジンHCl、及びデキストロースなどを挙げることができる。
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン
β-シクロデキストリン、例えばヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD又はHPBCD,hydroxypropyl-β-cyclodextrin)などは、本発明において使用するための、例示的部類の賦形剤である。HPBCDは、1-4結合を通じて接合された7個のデキストロース単位で構成される環状オリゴ糖であり、比較的親油性の内側と比較的親水性の外側を保有し、包接複合体を形成する傾向がある(Chang、米国特許第7,259,153号明細書)。
いかなる特定の仮説にも束縛されるものではないが、HPBCDは、ベルドレオチドの疎水性部分と包接複合体を形成し、それによってベルドレオチドの有効な疎水性を低下させることができる。1:2又はそれ以上(例えば10:1)というHPBCD:PEPの比率は、生理学的条件におけるこのペプチドの溶解性を改善する。しかしながら、所望される薬物動態プロファイル及びバイオアベイラビリティを達成するために使用される比率(1HPBCD:4PEP)は、生理学的媒体(生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水)中の高濃度のベルドレオチドの溶解性を改善せず、表面張力によって裏付けられるように、このペプチドの物理的性質を調節することが示されている。ベルドレオチド酢酸塩とのHPBCDの複合体は、複合体を形成していないベルドレオチド酢酸塩の場合の45ダイン/cmと比較して、50ダイン/cmを上回る表面張力をもたらした(表3を参照されたい)。このことは、HPBCD:ベルドレオチド酢酸塩複合体は、表面における作用がより少なく、バルク溶液中における作用がより大きいことを示している。溶解性を改善させる、シクロデキストリンとの複合体形成は、観察された比率とは真逆の、シクロデキストリン対ペプチドの比率が1:1~10:1において起こる。HPBCDを伴うベルドレオチド酢酸塩の改善された溶媒和は、HPBCDを伴わないベルドレオチド酢酸塩と比較して、表面張力におけるより小さな変化をもたらす。
本発明は、環状ソマトスタチン類似体を、等張溶液における溶解性を増加させるため、及びそのようなペプチドが注射によって送達される場合の吸収率及びバイオアベイラビリティを増加させるために、HP-β-CDと組み合わせる。加えて、驚くべきことに、注射部位における有害副作用の低減が見出される。
L-リジンHCl
ベルドレオチド酢酸塩の溶解性は、塩化物イオンを含有する溶液において低減されることが観察されている。例えば、ベルドレオチド酢酸塩は、0.1NのHClに対しては溶けるが、0.9NのHClに対しては溶けない。同様に、ベルドレオチド酢酸塩は、0.9%生理食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水を含む、塩化物を含有する等張溶液に対しては、制限された溶解性を有する。
予想外なことに、ベルドレオチド酢酸塩は、20mMのトリス-HClに対しては、この緩衝溶液の塩化物含有量にもかかわらず、高度に溶解性であることが発見された。しかしながら、塩化物濃度が増加するにつれて、ベルドレオチド酢酸塩の溶解性は大幅に低減される。例えば、ベルドレオチド酢酸塩の溶解性は、トリス-HClの濃度が137mMに増加された場合、又は117mMのNaClが添加された場合、有意に低減される。
トリスの構造から明白であるように、TRIZMA/トリス緩衝液部分は、遊離アミンで構成されている。したがって、TRIZMAアミンが、ベルドレオチド酢酸塩のリジン残基の遊離アミンと、溶液中の塩化物に関して競合しているという仮説が立てられる。塩化物濃度が増加した場合でも、この効果は、ペプチドが、遊離アミン基の周囲の塩化物がより少ないことによって溶解できるため、ペプチドの溶解性の増加をもたらす。このことは、塩化物濃度を増加させるにつれて、トリス-HClに対するベルドレオチド酢酸塩の溶解性が低下することによって確認される。
トリス-HClに対するベルドレオチド酢酸塩の溶解性の観点から、ベルドレオチド酢酸塩の溶解性を、L-リジン及びL-リジンHClを含有する溶液中で試験した。
予想外なことに、L-リジンは、ベルドレオチド酢酸塩のアミンと塩化物に関して競合する遊離アミンを有するにもかかわらず、ベルドレオチド酢酸塩の溶解性を実質的に改善することはなかった。しかしながら、より驚くべきことに、L-リジンHClの添加が、等張媒体に対するベルドレオチド酢酸塩の溶解性を実質的に改善し、このペプチドの沈殿を制限することが発見された。
デキストロース
また、予想外なことに、等張溶液及び生理学的溶液中のベルドレオチド酢酸塩のバイオアベイラビリティが、賦形剤としてデキストロースを添加することによって改善されることも発見された。ベルドレオチド酢酸塩は、5%デキストロース(USP(米国薬局方))に対して約400mg/mlの溶解性を有し、溶けやすいことが分かっている。驚くべきことに、5%デキストロースは、生理学的媒体(生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水)中の高濃度のベルドレオチドの溶解性を改善しない。これは、5%デキストロース水溶液に対するベルドレオチドの非常に高い溶解性とは反対である。LARの薬物動態学的プロファイル及びバイオアベイラビリティの改善は、使用されたデキストロース:ペプチドの比率が低いにもかかわらず(1:8)達成される。そのような低い比率が、生理学的媒体に対するペプチドの溶解性を改善することは予想されていないが、ここでは、表面張力の挙動によって裏付けられるように、このペプチドの物理的性質を調節することが示されている。
いかなる特定の仮説にも束縛されるものではないが、デキストロースは、ペプチド極性基の周囲の水の溶媒和を改善させる。デキストロースを伴うベルドレオチド酢酸塩の改善された溶媒和は、デキストロースを伴わないベルドレオチド酢酸塩と比較して、表面張力におけるより小さな変化をもたらす。ベルドレオチド酢酸塩とのデキストロースの複合体は、複合体を形成していないベルドレオチド酢酸塩の場合の45ダイン/cmと比較して、50ダイン/cmを上回る表面張力をもたらした(表3を参照されたい)。このことは、デキストロース:ベルドレオチド酢酸塩複合体は、表面における作用がより少なく、バルク溶液中における作用がより大きいことを示している。この相互作用が、ベルドレオチドの親水性を増加させるため、より多くのペプチドが、表面ではなくバルク溶液中に集中することになる。このことによって、ベルドレオチドのバイオアベイラビリティが改善される。
本発明は、環状ソマトスタチン類似体を、等張溶液における溶解性を増加させるため、及びそのようなペプチドが注射によって送達される場合の吸収率及びバイオアベイラビリティを増加させるために、デキストロースと組み合わせる。加えて、驚くべきことに、注射部位における有害副作用の低減が見出される。
ニコチンアミドが、本組成物において有用な別の賦形剤である(米国特許第6,331,520号明細書を参照されたい)。
持続放出性(Sustained Release;SR)製剤
ミクロスフェア製剤
環状ソマトスタチン類似体の薬物動態を考慮すると、多くの場合、インビボでの持続放出用の製剤を提供することが望ましい。持続放出を実現するために、例えばPLGAミクロスフェア及びヒドロゲルの使用などの、様々なポリマー系製剤の使用を含む、いくつかの方法を使用することができる。また、エマルション及びリポローム製剤も有用であり得る。エマルション、ゲル、ミクロスフェア、及びリポソームを含む持続放出性製剤が、注射部位反応を減少させ、バイオアベイラビリティを改善し、持続放出性プロファイルを提供することができる一方で、即時放出性製剤用の賦形剤に関する所見に基づき、そのような賦形剤の持続放出性製剤における使用について調査すると、驚くべきことに、そのような賦形剤の使用は、インビボでの環状ソマトスタチン類似体の薬物動態を改善し、注射部位反応を低減させることが分かった。
環状ソマトスタチン類似体は、実施例7に開示されている技法などの、当業者に周知の従来の技法を使用して、PLGAミクロスフェア中において調製されてもよい。また、環状ソマトスタチン類似体は、それらの特定の性質に基づき、エマルション及びゲルへと製剤化されてもよい。
いかなる特定の仮説にも束縛されるものではないが、ミクロスフェア間における差異は、その表面活性に関連し得るベルドレオチドの3D構造と、賦形剤がどのように相互作用するかに起因し得る。表3に示されるように、デキストロース-ベルドレオチド酢酸塩溶液の表面張力は、HPBCD-ベルドレオチド酢酸塩溶液の表面張力と同様であり、それぞれ54及び51ダイン/cmである。しかし、HPBCDで調製されたミクロスフェアの微視的構造は、デキストロースで調製されたミクロスフェアの微視的構造とは異なっている。
HPBCDは、ペプチドの分子量(molecular weight;MW)と概ね同じ範囲の、デキストロースよりも遥かに高いMWを有する。HPBCDは、ペプチドの疎水性残基などの疎水性部分と相互作用することができる疎水性コアを有し、ペプチドの疎水性部分と1又は2以上の包接複合体を形成する。包接複合体中に封入されたペプチドの部分は、疎水性ポリマーが導入された場合、このポリマーへのアクセスに関してより少ない可動性及びより少ない利用可能性を付与し得る。HDPCDを伴う複合体は、ペプチドの疎水性における効果的な減少をもたらす。結果として、ペプチドとポリマー溶液との間の表面相互作用は支持されにくく、HPBCDとペプチドとの複合体は水を引き付ける。このことから、ポリマー溶液に対するHPBCDのより少ない希釈/分散がもたらされることになり、それにより、大きい液滴という内部構造が生まれ、結果として、デキストロースを含むミクロスフェアと比較して、より少ないものの、より大きい直径及びより小さい表面積を有する細孔が形成される。
デキストロースを含むミクロスフェアにおいては、より多数の小径細孔が観察された。小分子として、デキストロースは、HPBCDと比較して遥かに多く、ペプチド溶液に対して分散/希釈される。この希釈されたデキストロースは、ペプチドのより良好な可動性を可能とする。より良好な可動性は、ポリマー溶液内におけるペプチドのより良好な分布につながることになる。このペプチドのより良好な分布/分散は、その疎水性の性質に起因する。疎水性ポリマーが添加された場合、ペプチドの疎水性部分は、疎水性ポリマーに対して引き付けられる傾向がある。要約すると、デキストロースは、H-H結合を介してペプチドの3D構造に影響を及ぼし、その溶媒和を改善し、そのMWが小さいことに起因して、デキストロースは疎水性ポリマー溶液内のペプチドの分布及び分散を改善させる。結果は、ミクロスフェア内のより高密度の細孔である。ミクロスフェアの内部構造における変化は、BETなどの好適な方法によって測定した場合、高分子ミクロスフェアの表面積に反映されている。ミクロスフェアを形成するために使用される一次乳化に、デキストロース又はHPBCDがある特定の比率、例えば1:8(デキストロース対ベルドレオチド)及び1:2又は1:4(HPBCD対ベルドレオチド)などで添加される場合、結果として得られるミクロスフェアは、約7m/g~約12m/gの表面積を有する。ミクロスフェアの形成におけるデキストロースの効果が、概ね、ベルドレオチドの表面活性を修正するデキストロースの能力の関数となり得るように、最終的なミクロスフェア生成物中に残存するデキストロースは痕跡量のみであり得ることが理解されるべきである。この効果については、下で明示される実施例において、より詳細に考察する。しかしながら、HPBCDがミクロスフェアを形成するための一次エマルションにおいて使用される場合、HPBCDの多くは、最終的なミクロスフェア生成物中に保持されるようである。
したがって、ある特定の実施形態においては、ミクロスフェアを形成するための一次エマルションにおける、デキストロース対ベルドレオチドの質量比は、約1:1~約1:16であり、より好ましくは約1:4~約1:8である。したがって、一部の実施形態においては、この質量比は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、又は1:16であり得る。
ある特定の他の実施形態においては、ミクロスフェアを形成するための一次エマルションにおける、HPBCD対ベルドレオチドの質量比は、約1:1~約1:8であり、より好ましくは約1:2~約1:4である。したがって、一部の実施形態においては、この質量比は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、又は1:8であり得る。
さらなる実施形態においては、ミクロスフェアを形成するための一次エマルションは、上に明示されるようなベルドレオチドに対する様々な質量比で、デキストロース及びHPBCDの両方を含んでもよい。
リポソーム製剤
また、ベルドレオチド酢酸塩は、ベルドレオチド酢酸塩の血漿濃度が治療有効レベルにある、持続放出性プロファイルを少なくとも48時間呈するリポソームへと製剤化できることも分かった。
リポソームは、同心円状の二重層ベシクルであり、その中には、水性の塊が、天然又は合成リン脂質で主に構成されている脂質二重層によって完全に囲い込まれている。リポソームは、脂質の薄膜又は脂質ケーキが水和され、多量の脂質結晶性二重層が流体となり、膨潤した際に形成される。撹拌中、水和された脂質シートは脱離し、自己会合してベシクルを形成し、これにより、水と、二重層の炭化水素コアとの縁部における相互作用は防止される。そのようなリポソームとしては、単一のリン脂質で構成される多重膜ベシクル(MLV,multilamellar vesicle)が挙げられ、このリン脂質は、ホスファチジルコリンであり、より好ましくは1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)である。
エマルション及びヒドロゲル製剤
先述されたように、ベルドレオチド酢酸塩は、界面活性剤として作用し、水を油中に乳化できることが分かった。加えて、その両親媒性の性質を考慮すると、ベルドレオチド酢酸塩は、ヒドロゲルへと製剤化することもできる。ビヒクルは両方とも、持続放出性製剤を提供することができる。
驚くべきことに、油中水型エマルション製剤としてのベルドレオチド酢酸塩の注射は、注射部位反応の発症を低減及び遅延させ、27Gほど小さい針を使用して注射することができることが分かった。
加えて、ベルドレオチド酢酸塩は、安定なヒドロゲルを形成することで、注射部位反応の誘発を遅延させることができ、同様に27Gほど小さい針を使用して注射可能であることが分かった。
したがって、ベルドレオチド酢酸塩のエマルション及びヒドロゲル製剤は、ベルドレオチド酢酸塩の持続放出性製剤を提供しながら、注射がより容易であり、もたらす注射部位反応はより少ないことが分かった。
[実施例]
本発明は、以下の実施例において実証されるが、これらの実施例は例証のみを目的とするものであり、本発明はそれらに限定されることを意図するものではないことを理解されたい。
材料
COR005酢酸塩(Lonza社, DADR-APJ-001-5AN1R)
ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン-HPB(Merck KGaA社, Darmstadt, Germany (医薬品グレード) Cyclodextrin HPB Ph.Eur., NF 1.4220.0050)
デキストロース5%-USP-DEX(Teva Medical社 Dextrose 5% AWB0064 pH 4.0 252mOsmol/L pH 4.0 252mOsmol/L)
無菌注射用水-WFI(Norbrook laboratories社 Northern Ireland. B.W. 4364-90)
マンニトール-M200(Merck KGaA社, Darmstadt, Germany (医薬品グレード) Parteck M200 Emprove exp Ph Eur, BP, JP, USP, E 421)
乳酸溶液(90%)-(Sigma Aldrich社 USP spec. L6661 Batch #MKBR6268V)
通常生理食塩水、0.9%NaCl、pH5.0(Teva Medical社 AWB1324 lot XP5E035 pH 5.0, 308mOsmol/L)
カルシウム及びマグネシウムを伴わないPBS、10mM、pH7.4(Dulbecco's Phosphate Buffered Saline Biological Industries REF02023-1A)
略語
NS-通常生理食塩水(0.9% NaCl)、IR-即時放出性、F-IRビヒクルのIVのAUCに対して計算された絶対的バイオアベイラビリティ(ラット又はミニブタ)、MS-ミクロスフェア、SC-皮下、BA-絶対的バイオアベイラビリティ、Cmax-最大血漿濃度、MAN-マンニトール、HPB-ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン、DEX-デキストロース、PEP-ペプチド-COR005酢酸塩、Lys-HCl-リジン塩酸塩、Est.-UV-Vis.によって推定、NT-試験されず、NE-変動性により該当なし
水性媒体に対するベルドレオチド酢酸塩の溶解性を、以下の方法によってスクリーニングした。固定量の10ミリグラムのペプチドを秤量し、周囲温度で、完全な溶解、すなわち澄んだ/透明な溶液及びあらゆる沈殿物の不在が観察されるまで、増加する(増加的な)体積の試験媒体によって溶解させた(溶解のエンドポイントの値は、USPガイダンスに従って画定された)。スクリーニング研究の結果に従って、いくつかの媒体を、HPLCによるペプチド濃度(最大の溶解性)の定量的評価に基づく検証研究用に選択した。スクリーニング研究の結果は、表1に描写されており、一方で検証研究の結果は、表2に含まれている。データから認識することができるように、ベルドレオチド酢酸塩は、水及び他の水性媒体に対する高い溶解性を実証しているが、等張媒体に対しては制限された溶解性に悩まされている。
Figure 0007030720000001
Figure 0007030720000002
表3は、様々な水性媒体に対するCOR005酢酸塩の溶解性の値、生理食塩水及び生理学的条件におけるペプチドの溶解性に対するDEX及びHPBなどの添加剤の効果、並びに対照としての添加剤を伴わないCOR005と比較した、これらの添加剤を伴って調製されたIR及びMS製剤のPKプロファイルについて要約している。
水性媒体に対するCOR005酢酸塩の溶解性
水及び等張5%デキストロースに対するCOR005酢酸塩の溶解性(下を参照されたい)は、比較的高い(少なくとも300mg/ml)。一方で、水に対するその高い溶解性と比較すると、COR005酢酸塩の溶解性は、等張PBS pH7.4及び生理食塩水において観察されるように、生理学的(水性)条件においては有意に低い(1~2mg/mlの範囲内)。両方の媒体(PBS又は生理食塩水)は生理学的濃度の塩化物を含んでおり、このことは、塩化物イオンの存在下におけるペプチドの不適合性及び塩析を示していることに留意されたい。
添加剤の効果
デキストロース:500mg/ml超という、(水中)5%デキストロースに対するCOR005酢酸塩の比較的高い溶解性は、デキストロースを伴う水に対するペプチドの改善された溶解性を示している。等張生理食塩水に対するデキストロースの添加は、2.5%のデキストロース及び0.45%の生理食塩水(NaCl)という最終濃度を有する、通常生理食塩水中に希釈された5%デキストロースに対して、2mg/mlから約6~7mg/mlというペプチドの溶解性における増加をもたらす。なお、生理食塩水中に1:1で希釈されたこのデキストロースを、ラット及びミニブタにおけるCOR005酢酸塩のIR研究のビヒクルとして使用した(DEX:PEPの比率は5:1であった)。
Figure 0007030720000003
ラット及びミニブタに皮下注射されたIR製剤に関するPKデータは、デキストロースビヒクルが、他のIR製剤を上回って、COR005酢酸塩のCmax及び絶対的バイオアベイラビリティの値を増加させることを示している(ラット-デキストロースにおけるCOR005のCmax-544ng/mlに対して、対照としての乳酸緩衝液におけるCOR005のCmax、345ng/ml。ミニブタ-デキストロースにおけるCOR005 0.4mg/KgのCmax-238ng/ml及びBA88.4に対して、対照としての乳酸緩衝液におけるCOR005 0.4mg/KgのCmax、108ng/ml及びBA69%、COR005 0.1mg/KgのBAは、それぞれ、91%対45%であった)。このPKデータは、2つの主な理由:1)デキストロースは、MSからペプチドが放出された後の、その溶解性及びBAを増加させることができること、及び2)デキストロースは、多孔性薬剤として公知であり、MSの透過性を向上させ、それによってMSマトリックスからのペプチドの放出を改善できることのために、デキストロースをMS製剤に添加する、可能な理論的根拠をもたらした。
予想外なことに、PBSに対するデキストロースの溶解性の結果は、生理食塩水に対するペプチドの溶解性に対するデキストロースの効果とは有意に異なった。表3に示されているように、デキストロースは、等張PBS pH7.4において観察されるように、DEX:PEPの比率が5:1及び1:8で、生理学的条件におけるペプチドの溶解性を改善せず、ここでの溶解性はそれぞれ、1.6mg/ml及び2mg/mlでしかない。PBS中のデキストロースでペプチドの溶解性が不良(不変)であることの可能な理由は、生理食塩水と比較して、増加されたPBSのイオン強度である。PBSが、0.02% KCl、0.02% KHPO4、0.115% NaHPO4、及び0.8% NaClを含む一方で、生理食塩水は、0.9% NaClしか含まない。
DEX:PEPの比率、1:8は、MS製剤B12又はPSI13に使用された比率であった。これは、基礎的MS製剤B10(DEXなし)よりも高いCmax及び絶対的BAを呈した、これらのDEX製剤におけるCOR005酢酸塩の観察されたPKプロファイルが、DEXが添加されたPBSに対するCOR005酢酸塩の溶解性は1~2mg/mlでしかないことから、生理学的条件におけるペプチドの溶解性の改善に起因するものではないことを示し得る。したがって、生理学的条件において溶解性を増加させる効果を超える、MS製剤におけるペプチドに対するDEXの効果が存在するようである。
デキストロースがMSからのCOR005の放出及びBAを向上させる機序については、下の表面張力対SEM要約データにおいて、詳細に考察する。
HPB:表3に示されているように、添加剤HPBは、濃度依存的様式で、生理食塩水及びPBSの両方に対するCOR005酢酸塩の溶解性を向上させる。HPB:PEPの比率が1:2である場合(MS製剤B13、下を参照されたい)、HPBを伴わない場合よりも、溶解性におけるわずかな増加が観察された(2.2から2.5mg/mlへの増加)。HPB:PEPの比率が、1:1、10:1及び15:1、並びにそれ以上に増加された場合、HPBは溶解性をさらに改善させ、最終的に10mg/mlの溶解性に到達する。なお、HPB:PEPの比率が1:4である場合(MS製剤B14、下を参照されたい)のCOR005の溶解性は、PBS単独に対するペプチドの不良な溶解性と同じ範囲内であった。
IR製剤におけるCOR005酢酸塩への添加剤としてのHPBのPKデータは、ラットにおけるCmax及びBAの増加、並びにミニブタにおける有意な増加を示している(両方の場合において、これは、2番目に高いCmax及びBAを有するIR製剤であった)。ラット-HPBにおけるCOR005のCmax-451ng/mlに対して、対照としての乳酸緩衝液におけるCOR005のCmax、345ng/ml。ミニブタ-HPBにおけるCOR005のCmax-255ng/ml及びBA85.3%に対して、対照としての乳酸緩衝液におけるCOR005のCmax、108ng/ml及びBA69%)。
これらのPK結果は、デキストロースと同じ効果を達成するためにMS製剤においてHPBを使用する、同様の理論的根拠をもたらした。デキストロース及びHPBは両方とも多孔性薬剤であり、MSにおけるそれらの組成が、MSの透過性の向上及びペプチド放出の増加につながり得る。また、HPBの場合においては、予測される多孔性の効果に加えて、(特に、溶解性データに描写されているように、HPB:PEPの比率が1:2の場合に)HPBが生理学的条件におけるペプチドの溶解性をわずかに改善させ得るという仮説を立てた。
しかしながら、予想外なことに、添加剤としてのHPBを伴うMSの齧歯動物におけるPKデータは、MS製剤B13及びB14における、バースト(burst)及びBAに対するHPBの2つの明瞭な効果を示している。HPB:PEPの比率が1:2(この比率は、生理学的条件においてペプチド溶解性のわずかな増加をもたらす)で調製されたMS製剤である、ラットにおいて試験した2つのうちの1つでしかなかったB13の場合においては、ラットにおけるPKは、基礎的製剤B10と比較して、バースト放出及び最初の24時間の間の絶対的BA(BA0~24時間)の有意な増加を示している。COR005-B13のCmax、211ng/ml及びBA(0~24時間)11%に対して、COR005-B10のCmax、30ng/ml及びBA(0~24時間)2%。
この傾向は、ミニブタPK研究においても観察及び検証された。1:4の低減されたHPB:PEP比率を有するB14の場合においては、予想された結果は、生理学的条件(表に描写されているように)におけるペプチドの溶解性がより低く、ミクロスフェアの多孔性が低減されれば、結果的に、経時的なペプチド放出及び血漿濃度が低減されるであろうというものであった。
驚くべきことにかつ予想外なことに、ミニブタにおけるB14に関するPKデータは、正反対の効果を示している。HPB:PEPの低減された比率は、ペプチド放出の有意な増加をもたらし、Cmax、BA、及び血漿ペプチドレベルは、B13、B12、及び基礎的MS製剤B10に関して観察された値よりも有意に高い。
なお、B14(HPB:PEP 1:4)、並びにB12及びPSI13(各々、DEX:PEP 1:8を有する)はすべて、PEPに対して比較的低い比率のHPBを有する。これらの低い比率は、生理学的条件におけるペプチドの溶解性の改善を示さなかった。この低い溶解性にもかかわらず、B12及びPSI13の値と比較した場合、インビボにおけるCOR005酢酸塩の高いBA及び延長された経時的な血漿濃度によって実証されるように、B14 MSからのペプチドの放出において有意な増加が存在した。したがって、生理学的条件において溶解性を増加させる効果を超える、MS製剤におけるペプチドに対するHPBの効果が存在するようである。
HPBがMSからのCOR005の放出及びBAを向上させる機序については、下の表面張力対SEM要約データにおいて、詳細に考察する。
水の密度、pH、及び表面張力に対するベルドレオチド酢酸塩の効果を、表4に示されているように分析した。ベルドレオチド酢酸塩は、ペプチド両親媒性物質として挙動し、水の表面張力を低減させることが分かった。しかしながら、水の表面張力の低減は、用量依存的様式で減少したわけではなく、ベルドレオチド酢酸塩が、界面活性剤ではなくヒドロトロープとして挙動することを示唆している。
ツイーン80を、比較用の対照界面活性剤として使用した。密度は、1mLの固定体積試料で測定した。すべての試験を、25℃において3連で行った。再蒸留水(DDW,double distilled water)のpHに対するベルドレオチド酢酸塩の効果は、すべてのベルドレオチド酢酸塩濃度において同じであった。DDWのpH5.0は、pH4.5に低減された。DDWの密度(DDWの出発密度は1.003g/mlであった)に対するベルドレオチド酢酸塩の効果は、1.4mg/mlから21.5mg/mlの濃度依存的であり、密度はそれぞれ、0.986~0.998g/mlの範囲であった。しかしながら、45及び102mg/mlのベルドレオチド酢酸塩濃度においては、密度は、DDWの出発密度を上回って増加した。これらの結果から、45mg/ml超のペプチドのDDW溶液は飽和していることが示された。DDWの表面張力(出発表面張力は64.9ダイン/cmであった)に対するベルドレオチド酢酸塩の効果は、ペプチド両親媒性物質(界面活性剤)として挙動するベルドレオチド酢酸塩と一貫していた。DDWの表面張力は、ベルドレオチド酢酸塩によって、最大で64.9から45ダイン/cmまで低減された。この効果の意味を解明するために、ツイーン80を基準界面活性剤として使用した。他の界面活性剤としては、ポロキサマー188が挙げられる。ツイーン80によって誘発された表面張力の低減は、ベルドレオチド酢酸塩の30%(64.9ダイン/cmから約45ダイン/cm)と比較して、40%の範囲であった(64.9ダイン/cmから約39ダイン/cm)。なお、これらの実験条件の下で、ツイーン80の効果は、濃度-効果の相関を示した。一方で、表面張力の低減に対するベルドレオチド酢酸塩の効果は、試験したすべての濃度に関して同じ範囲であった。
Figure 0007030720000004
表5は、注射用水(WFI)中における、オクトレオチド(ソマトスタチン類似体)及びゴセレリン(LHRH類似体)と比較した、ベルドレオチド酢酸塩の比較用表面張力を示している。
Figure 0007030720000005
ミクロスフェア製剤におけるCOR005酢酸塩の表面活性
表4のデータは、WFI中の、添加剤を伴う又は伴わない、高度に濃縮されたCOR005酢酸塩(200mg/ml)の表面活性を示しており、これは、ミクロスフェアの一次エマルションの調製条件を模している。試験1及び2の結果(表4)は、水の表面張力に対するCOR005酢酸塩の効果を示している。COR005酢酸塩が水に溶解された場合、表面張力は、水単独の場合の68.5ダイン/cmから、200mg/mlのCOR005酢酸塩を伴う水溶液の場合の44ダイン/cmまで、約36%低減される。
表5及び図3のデータは、両親媒性ペプチド対照としてここでは提供されているオクトレオチド及びゴセレリンに対する、COR005の比較用の乳化性質を示している。このデータは、対照ペプチドと比較して独特なCOR005の表面活性を示している。COR-005は、オクトレオチドよりも高い表面活性を有し、ゴセレリン(オクトレオチドよりも疎水性のペプチドである)と同様の表面活性を有する。
図3は、16.6重量%の綿実油(CSO,cottonseed oil)、74.2重量%の注射用水WFI、及び9.2重量%のペプチドを有する、オクトレオチド及びゴセレリンに対するCOR005の乳化試料の写真を示している。これらの試料は、25Gシリンジを使用して混合し、室温でボルテックス混合した。乳化結果は、エマルションの形成を可能にする、油/水境界面に対するCOR005の有意な親和性を示している。オクトレオチドは、不十分な乳化効率を示し、ゴセレリンは、エマルション形成にとって最も低い潜在性を示している。これらの結果は、COR005の、界面活性剤としての独特な両親媒性の性質を確認するものである。
いかなる特定の仮説にも束縛されるものではないが、水性媒体中において、COR005は、図2に示されるようなその疎水性アミノ酸(2個のトリプトファン、2個のフェニルアラニン、及び1個しかないアミン型のカチオン)に起因して、空気と水との間の境界面に対して好ましい親和性を有するようである。結果的に、ペプチドの疎水性に起因して、失われることになる水のエントロピーはより少なくなる。水の熱力学は、最大のエントロピー、水分子の無秩序、及びそれらの動的水素結合によって特徴付けられる。疎水性部分が水と混合されると、疎水性部分は水分子の自然な無秩序を妨害し、水のエントロピーを低減させる「氷の檻」を形成し、結果として水分子は、エントロピーの喪失を最小化するために、疎水性部分を表面に追い払う。
水及び油、又は水性媒体及びPLGAなどの疎水性ポリマーなどの分散系においては、COR005は、その両親媒性の性質に起因して、親油性/疎水性の境界面に対して高い親和性を有することになる。MSの一次エマルションに対して予測される効果は、一次エマルションにおけるより小さな液滴サイズ、ペプチドによって低減された系の表面張力に起因するエマルションの安定性の増加、並びに境界面で疎水性「面」を形成するPLGAポリマー中における、ペプチドのより良好な相互作用、配向及び分散が形成されるであろうというものであった。
観察された基礎的B10 MS製剤からのCOR005のインビトロ放出プロファイルは、最も低い放出速度を示した。加えて、SEM画像(下を参照されたい)は、ペプチドの放出プロファイルと相関する、基礎的製剤B10のMSの中実かつ密なマトリックスを示した。また、ミニブタにおけるPKデータは、B10製剤に関して、COR005の不良な経時的血漿濃度を実証している(表3)。
COR005酢酸塩の表面活性に対するHPBの効果、HPB:PEP 1:2
HPB:PEPの比率1:2でのHPBの添加は、ペプチドの表面活性の低減をもたらす。観察された、添加物を伴わない水中におけるペプチドの表面活性(44ダイン/cm)は、HPBが1:2の比率で添加されると、水(68ダイン/cm)へと増加する方向に戻される(52ダイン/cm)。この結果は、HPBが、水に対するペプチドの溶解性を増加させることによって、界面活性剤として作用するペプチドの潜在性を低減していることを示している。低減されたペプチドの表面活性及びより高い水溶性の結果は、境界面に存在するペプチドがより少なくなることである。
MSの一次エマルションに対するこの効果は、(HPBを伴わないペプチドの基礎的製剤と比較して)一次エマルションの比較的高めの表面張力、及びポリマー溶液に対して、水の境界面におけるペプチドの比較的低めの濃度となるであろう。加えて、HPBに対する水の高い親和性に起因して、MSの沈殿中に、PLGAマトリックス内に比較的多めの水が保持されることになる。
観察された、B13(HPB:PEPが1:2の比率)からのCOR005のインビトロ及びインビボバースト放出(Cmax)は、基礎的B10、並びにDEX-B12及びPSI13 MS組成物の中で最高であった。また、ラットにおけるB13のPKデータは、ペプチドの大部分が最初の24時間の間に放出され、総AUC(0~28日目)の約20%が「ダンピング」された後、残りの27日間の間は有意に低めの血漿レベルが続いたことを示している。
COR005酢酸塩の表面活性に対するHPBの効果、HPB:PEP 1:4
試験4の結果(表4)は、HPB:PEPの比率を1:2(製剤B13)から1:4(製剤B14)に低減したことの効果を示している。表面張力の結果は、HPB:PEP 1:4の低減された濃度(45ダイン/cm)が、水中におけるCR005酢酸塩と同じ表面活性(44ダイン/cm)を有することを示しており、この低めの比率においては、ペプチドの界面活性剤の性質に対するHPBの効果はないことを示している。
この場合、ペプチドは、HPB:PEP 1:2の場合よりも、境界面において高い濃度を有することが予想されるであろう。低減されたHPB:PEPの比率1:4の予測される効果は、製剤B13のIVR及びPKプロファイルと比較して、低減されたインビトロ放出及びBA、並びにPKプロファイルとなるであろう。基礎的な仮定は、HPB:PEP 1:4由来のMS製剤における低減されたHPB濃度は、HPB:PEP 1:2由来のものと比較して、ペプチド/HPB複合体に引き付けられる水がより少なくなるであろうことから、より密集したコアを有するミクロスフェアが形成されるであろうというものであった。また、MS表面の透過性も低減されるであろうことが予想される(より少ないHPB=より少ない細孔)。HPB:PEPの比率1:4を有するMSのこれらの可能な効果のすべては、製剤B13(HPB:PEP 1:2)のPKプロファイルと比較して、MSからのCOR005の低減されたバースト放出と、その後の経時的により緩徐な放出をもたらすであろう。換言すれば、製剤B13で観察されたような、最初の数日間の間のMSからのペプチドの急速放出を有する代わりに、B14製剤は、より長い期間をかけて、同じ量のペプチドを放出するはずである。
予想外なことに、このHPB:PEPの比率1:4のIVR及びPK研究は、正反対の効果を示した。低減されたHPB:PEPの比率は、増加されたIVRをもたらす(PSIシリーズのIVRを参照されたい)。同じ傾向は、PK研究においても観察された。B14のPKプロファイルは、製剤B13を上回る、より高いバースト(Cmax)をもたらしている。加えて、製剤B14から放出されたCOR005の経時的血漿レベルは、製剤B13よりも有意に高く、製剤B10及びB12をも上回った。
COR005酢酸塩の表面活性に対するDEXの効果、DEX:PEP 1:8
試験5の結果(表4)は、DEX:PEPの比率が1:8でMS製剤に添加された場合のDEX:PEPの効果を示している。表面張力の結果は、DEX:PEP 1:8の溶液の見かけの表面張力(54ダイン/cm)が、試験3のHPB:PEP 1:2の場合(51ダイン/cm)に匹敵することを示している。この効果は、より多くのペプチドが、境界面ではなくバルク溶液中に集中することを示唆している。実際、ペプチドに対するこれらのDEX及びHPBの比率の下でのペプチドの表面活性は、ペプチド単独の場合(44ダイン/cm)と比較して、低減される。水中に集中する添加剤は、一次エマルションの間、ペプチドの周囲に引き付けられる水の増加につながり得る。このことは、B13製剤で起こることが予想されたような、内部マトリックスにおける比較的高めの含水量に起因する、ミクロスフェアの多孔性の増加につながり得る。
しかしながら、製剤B12(DEX:PEP)及びB13(HPB:PEP)の比較用PKデータは、これらの仮定を支持していない。製剤B13のペプチド放出及び血漿レベルが、高いバースト放出及び低い経時的血漿濃度を示した一方で、製剤B12からのバースト放出は低減され、経時的な血漿レベルは、製剤B13のものを上回って、有意に増加されている。これらの予想外な結果は、一次エマルションの表面張力及び最終的MSの外部多孔性が、観察されるペプチドのPKプロファイルに影響を及ぼす唯一の因子ではないことを示している。
したがって、MSの外部多孔性及びペプチドの表面張力を結び付けて、IVR及びPK研究において観察された添加剤の予想外な効果を(経験的に)支持する別の因子を探索した。様々なMS製剤の内部(外部ではなく)形態に対する、様々な条件の効果を評定する試みの後に、この因子が特定された。加えて、下で考察されるSEM画像は、表面張力の測定値が、添加剤HPB及びDEXの濃度を変化させることによって影響を及ぼされる、変動するペプチドの境界面濃度の条件を特定するという仮説を支持した。実際に、ミクロスフェアの内部組織を曝露するためにミクロスフェアを切断することによってSEM画像撮影を繰り返すことによって初めて、COR005 MS製剤の表面活性データとIVR及びPKデータとの間の結び付きが観察された(下を参照されたい)。
表6は、生理学的条件下(37℃)におけるCOR005酢酸塩の表面活性プロファイルに対する添加剤の効果について要約しており、この条件は、注射部位でのCOR005の放出を模している。
Figure 0007030720000006
表6に描写されるデータは、COR005酢酸塩に対する両方の添加剤DEX又はHPBの比率が、生理学的条件におけるCOR005酢酸塩の溶解性を改善しないことを示している(表3及び4において、DEXはPBSに対するペプチドの溶解性を改善せず、HPBはPBSに対するペプチドの溶解性を、濃度依存的様式で改善することが示されていた)。MS製剤に関して使用される濃度で添加剤を伴うペプチドの溶解性は、溶解性に起因する、観察されたペプチドの放出及びBAの増加を支持しない。HPB:PEPが10:1という高い比率でHPBを伴うCOR005の表面張力(50ダイン/cm)は、この仮定及び観察されるペプチド表面活性に対するHPBの効果を確認するものである。HPBの増加は、より多くのペプチドが境界面ではなくバルク溶液中に存在することになるため、ペプチドの溶解性を増加させ、ペプチドの表面活性を低減させることになる。1:2から1:4へとHPB:PEPが低減される場合、溶液の表面張力も低減される。系内のより少ないHPBは、より大きなペプチドの表面活性をもたらし、より多くのペプチドが境界面において利用可能となる。これらの結果は、製剤B14に対する、製剤B13の観察されたIVR及びPKデータを支持している。MSにHPBが添加された場合、多孔性が増加され、ペプチド放出は、MSの内部空間の微小環境における、ペプチドとHPBとの間の相互作用の程度(包接複合体)によって影響を及ぼされる。HPB:PEPが比較的高い製剤B13の場合、より多くの細孔がMS内に生成され、より多くのペプチドが、ポリマーマトリックス内ではなく細孔の内部表面に存在する。より多くの水が(外部シェルにおけるより多くの細孔に起因して)内部マトリックスにとって利用可能となり、内部マトリックスへの急速な水の拡散が起こる。内部マトリックスでは、ペプチドの大部分が、HPBの効果に起因して、ポリマーから放出され得る。これは、最初の数日間の間のバースト及び急速放出の増加と、その後のより低い経時的血漿濃度を示した、製剤B13のIVR及びPKにおいて観察されるような、比較的急速なペプチドの放出をもたらす。
同じ傾向は、1:4の低減されたHPB:PEPの比率(製剤B14)の効果によって支持される。表4は、この(低いHPBの)条件におけるペプチドの表面活性が、添加剤を伴わないペプチドの表面活性と同様であり、それぞれ34対39ダイン/cmであることを示している。この場合、MSの多孔性は、(より多くのHPBを伴う)製剤B13と比較して低減されており、ペプチドの表面活性は保持され、より多くのペプチドが細孔の境界面に配向されることにつながる。水がB14 MS内に拡散されると、ペプチドの放出は、内部高分子マトリックス及び細孔の内部空間からの放出によって影響を及ぼされる。
これらの観察及び結果は、HPBのMS製剤中のHPB残留濃度の分析によって支持される。実際、分析データ(下を参照されたい)によって、HPBの最終的MSにおいて同じ比率のHPB:PEPが維持されていることが確認され、したがって、表6の条件及びデータが検証される。
DEXの結果に関しては、最終MS中の残留DEXの分析データは、有意に低めのDEX:PEPの比率を示しており、これは、初期DEX含有量の大部分が、調製過程の間にMSから洗い流されたことを示している。したがって、HPBの場合とは異なり、注射部位におけるCOR005の表面活性に対するDEXの効果は、無視できるほどであると思われる。DEXの効果については、下のSEM分析セクションにおいて扱う。
ベルドレオチド酢酸塩即時放出性製剤(グループ1M~6M)を、下の表8に示されているように、HSD:SPRAGUE DAWLEY(登録商標)SD(登録商標)ラットへの注射用に調製した。下の表7に示されているように、製剤において使用するための乳酸ビヒクルを、以下の通りに調製した。
Figure 0007030720000007
ラットへの注射用の製剤を、表8に要約されているように調製した。
対象ラット(対象当たり約370グラムの平均体重)に、処置当たりラット5匹のグループで、上の投薬スケジュールに従って注射した。投薬の2日前に、ラットから、ベースラインとなる尾部血液試料を抜き取った。グループ1Mの場合、血液試料を、投薬の5分後、10分後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、及び24時間後に抜き取った。グループ2M~6Mの場合、尾部血液試料を、投薬の30分後、1時間後、2時間後、3時間後、6時間後、8時間後、12時間後、及び24時間後にラットから抜き取った。血液試料は、およそ300μLの全血であり、市販のK3 EDTAコーティングチューブに収集した。また、対象ラットは、投薬後最大5~7日間、注射部位反応についても観察した。
すべての皮下注射が、注射部位反応を誘発した。注射部位反応の評点を、表9に示す。
Figure 0007030720000008
Figure 0007030720000009
Figure 0007030720000010
乳酸ビヒクルで製剤化されたベルドレオチド酢酸塩の注射液で、重度の注射部位反応が観察された。しかしながら、L-リジンHCl又は生理食塩水中のデキストロースで製剤化されたベルドレオチド酢酸塩を注射されたラット(それぞれ、グループ4M及び6M)は、比較的軽度の注射部位反応を呈した。
血液試料は、収集後、遠心分離の時間まで氷上に保持した。血液試料は、採血から60分以内に処理した。試料は、冷却遠心機(5℃)において、3000Gで15分間遠心分離させた。遠心分離後、血漿をチューブから取り出し、適切にラベル付けされた新しいチューブに入れ、移送するまで-65℃~-80℃で保管した。
血漿試料を、LC-MS/MSによって分析して、グループ1M~6Mに関して、ベルドレオチド酢酸塩の血漿濃度を決定した。ベルドレオチド酢酸塩標準は、メタノール:水(1:9)で段階希釈し、ラットのブランク血漿に添加して、較正標準及びQC試料を生成した。較正試料は、-70℃で保管した。その後、凍結試料を室温まで解凍した。ブランク血漿及び試薬ブランク(水)も調製した。各々100μLのアリコートの試料、較正物質又はQC試料に対して、25μL(約100ng/mL)の、メタノール:水(1:9)中の内部標準(オクトレオチド酢酸塩)、及び600μLのアセトニトリル:ギ酸(99:1)を添加し、試料を30秒間ボルテックス混合した。試料は、内部標準及びアセトニトリル:ギ酸溶液を添加する前に、20μLの血漿試料と180μLのブランク血漿とを混合することによって希釈し、100μLのアリコートにした。
その後、試料は、8℃で10分間、14,000rpmにおいて遠心分離させた。次いで、450μLの上(有機)層を蒸発管に移し、窒素下約50℃で蒸発させた。次いで、200μLの再構成溶液(70:30:0.2の水:アセトニトリル:ギ酸)中で、試料を再構成した。試料は、8℃で10分間、4000rpmにおいて遠心分離させた。160μLの各試料を取り出し、円錐形のガラスインサートを備えるオートサンプラーに入れ、LC-MS/MSによって分析した。
その後、ベルドレオチド酢酸塩の血漿濃度を、標準的な薬物動態学的技法を使用してプロット及び分析した。グループ1M~6Mに関して得られた薬物動態学的パラメーターを、表10に示す。グループ2M~6Mに関する、時間に対する血漿濃度のグラフ(片対数)を、図4に示す。
Figure 0007030720000011
COR005酢酸塩のIVに対するSCの比較用片対数PKプロファイルは、COR005酢酸塩が、急変する動態を呈することを示している。SC曲線の傾斜率は、IVの排出曲線と比較して、右にシフトしている。したがって、SC注射部位からのペプチドの見かけの吸収速度は、有意により緩徐であり、排出速度を上回って延長される。したがって、すべてのSC製剤の見かけの半減期の値は、実際には、薬物動態学的プロファイルの排出段階の効果を支配する、吸収の半減期である。
図5は、0.3mg/kg、DEX:PEPの比率が5:1のデキストロース/生理食塩水IR製剤(6m)の、ラットにおけるCOR005 PKプロファイル(profile)に対する効果を、対照として使用された乳酸緩衝液pH4中のCOR005(3m)と比較して例証するグラフである。図6は、デキストロース/生理食塩水IR製剤、HPB/生理食塩水(HPB:PEP、15:1)(5m)の、ラットにおけるCOR005 PKプロファイルに対する効果を、対照として使用された乳酸緩衝液pH4中のCOR005(3m)と比較して例証するグラフである。図7は、対照として使用された乳酸緩衝液pH4中のCOR005(3m)と比較して、0.4mg/kgでのミニブタにおける、HPB及びDEX sc製剤を比較するグラフである。図8は、対照として使用された乳酸緩衝液pH4中のCOR005(3m)と比較して、0.4mg/kgでのミニブタにおけるHPB製剤を比較するグラフである。図9は、対照として使用された乳酸緩衝液pH4と比較して、ミニブタにおける、COR005酢酸塩IR製剤、SC、0.4mg/KgのPKプロファイルに対するDEXの効果を示すグラフである。図10は、対照として使用された乳酸緩衝液pH4と比較して、ミニブタにおける、COR005酢酸塩IR製剤、SC、0.1mg/KgのPKプロファイルに対するDEXの効果を示すグラフである。
これらの比較用PKプロファイルは、デキストロース又はHPBのいずれもが、他のビヒクルを上回って、COR005の血漿Cmax及びその絶対的バイオアベイラビリティを向上させたことを示している。
表11は、ミニブタにおけるCOR005酢酸塩IR製剤(用量、0.4mg/Kg)の薬物動態学的パラメーターを要約しており、COR005のCmax及び絶対的BAに対するHPB及びDEXの効果が示され、乳酸緩衝液pH4が対照として使用されている。表12は、ミニブタにおけるCOR005酢酸塩IR製剤(用量、0.1mg/Kg)の薬物動態学的パラメーターを要約しており、COR005のCmax及び絶対的BAに対するDEXの効果が示され、乳酸緩衝液pH4が対照として使用されている。
Figure 0007030720000012
Figure 0007030720000013
HPBは、乳酸ビヒクル(M3)及びデキストロース(M6)と比較して、COR005吸収の半減期を増加させている(M2及びM5)。これは、HPBビヒクルからのCOR005のより緩徐な放出及び延長された吸収を示している。
グループ2M~6Mに関する24時間でのトラフ濃度もまた分析しており、表13に示している。
Figure 0007030720000014
留意され得るように、ベルドレオチド酢酸塩の静脈内注射は、入手可能な文献に基づいて予想された、13ml/min/kgのCLを確認するものである(Afargan et al., Novel Long-Acting Somatostain Analog with Endocrine Selectivity: Potent Suppression of Growth Hormone But Not of Insulin, Endocrinology, 142:1 (2001) 477-486を参照されたい)。加えて、賦形剤の添加は、ベルドレオチド酢酸塩の薬物動態学的性能を改善させる。例えば、生理食塩水中のデキストロースの添加(グループ6M)は、AUCを改善させ、100%超のF値をもたらす。図5~11において見られるように、賦形剤の添加は、ベルドレオチド酢酸塩のバイオアベイラビリティの改善をもたらす。加えて、表13に示されているように、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(グループ2M及び5M)及びデキストロース(グループ6M)などの賦形剤の添加は、24時間後に、ベルドレオチド酢酸塩の測定可能なトラフ濃度をもたらす。したがって、賦形剤の添加は、ラットモデルにおいて、注射部位反応を低減させるだけでなく、即時放出性ベルドレオチドの薬物動態を改善させることが実証された。
ベルドレオチド酢酸塩を、表14の製剤に従って、PLGA(ポリ(乳酸-co-グリコール酸))ミクロスフェアへと製剤化した。
Figure 0007030720000015
表14の製剤を、製剤B9及びB10の場合は23G針を使用して、製剤B11~B13の場合は19G針を使用して、注射によってラットに投与した。各動物に対して、厳密に0.5mLの体積の製剤を投与した。尾部血液試料を28日間にわたって様々な時間点で抜き取り、ベルドレオチド酢酸塩製剤の薬物動態を決定し、注射部位反応をモニタリングした。採用した方法論は、実施例3において開示されたものと同様である。
ラット血漿におけるPLGA-MS-COR005酢酸塩製剤の薬物動態学的分析
COR005の薬物動態の分析を、PK Solutions 2.0ソフトウェア(Summit Research Services, CO.社 USA)を使用して行った。このソフトウェアは、いかなる特定のコンパートメントモデルも推定することなく、非コンパートメント(面積)及びコンパートメント(指数項)の方法を使用して、結果を計算する。複数回用量及び定常状態パラメーターは、単回用量の結果から自動的に算出される。PKパラメーターの計算は、2つの標準的分析方法:(1)血液レベル曲線を説明する指数項を導出するための曲線回帰(又は残差法)、及び(2)曲線化面積の計算に基づいた。PK Solutions 2.0は、該当する場合、両方の方法を適用し、結果を並べて比較する。
PKデータ分析は、各グループの各動物のPKプロファイリングによって行った。様々な治療の比較用PKパラメーターは、各グループの平均±STDEVによって表した。
図11は、COR005酢酸塩のSC治療群B9~13の、PLGA-MS製剤の平均±STDEVの時間曲線としての、COR005血漿濃度の標準的プロットを示している(時間、0~28日目)。
図12は、単回SC用量、ラット(n=16)に関する、SC治療群B9~13の、PLGA-MS-COR005酢酸塩の平均±STDEVのCOR005血漿濃度時間曲線(時間、0~24時間)の標準的プロットとしての、「バースト」薬物動態のグラフを示している。
図13は、基礎的MS製剤と比較して、COR005 PLGA MSのバースト放出(時間、0~24時間)に対するHPBの効果を示している。
表15は、ラットにおけるMS製剤からのCOR005酢酸塩のバースト放出の、薬物動態学的パラメーターを要約しており、COR005のCmax及び絶対的BAに対するHPBの効果が示されている。
Figure 0007030720000016
図14は、基礎的MS製剤と比較して、COR005 PLGA MSのバースト放出(時間、0~24時間)に対するDEXの効果を示しているグラフである。
表16は、ラットにおけるMS製剤からのCOR005酢酸塩のバースト放出の、薬物動態学的パラメーターを要約しており、COR005のCmax及び絶対的BAに対するDEXの効果が示されている。
Figure 0007030720000017
表17は、ラットにおける全PKプロファイル-COR005 MS-PLGA 7~17kDa-製剤B13の絶対的及び相対的バイオアベイラビリティの値を要約している(時間、0~28日目)。
Figure 0007030720000018
表18は、ミニブタにおける、COR005酢酸塩PLGA-MS製剤の添加剤、HPB及びDEXの効果を要約している。
Figure 0007030720000019
図15は、対照としてのB10(基礎的MS製剤)と比較した、ミニブタにおける、PSI13のミクロスフェア(B12、DXE:PEP 1:8)の比較用PKプロファイルに関する、DEX:PEP 1:8の効果を示している。図16は、対照としてのB10(基礎的MS製剤)と比較した、ミニブタにおける、バースト放出ミクロスフェア製剤B13の比較用PKプロファイルのグラフで、HPB:PEP 1:2の効果を示している。図17は、対照としてのB10(基礎的MS製剤)と比較した、ミニブタにおける、組成物B14のミクロスフェアからのバースト放出の比較用PKプロファイルのグラフで、HPB:PEP 1:4の効果を示している。
表19及び20は、HPLCによって測定した、ミクロスフェアのバルク試料のペプチド含有量及びカプセル封入効率(EE,encapsulation efficiency)について要約している。
Figure 0007030720000020
Figure 0007030720000021
PLGAミクロスフェアからのベルドレオチド酢酸塩のインビトロ放出(IVR,In vitro release)を測定した。50mgの各ミクロスフェアのバッチ(B9~B13)を、20mLのガラスバイアルにおいて、10mLのリン酸緩衝液(10mM、pH=7.4、カルシウム、マグネシウム、又は塩化物を伴わない)に添加した。これらのバイアルを、150rpmの温度制御振盪機上で、37℃に維持した。試料を様々な時間点で回収し、NANOVUE(登録商標)UV-Vis分光光度計によって280nmで標準的較正曲線に対して分析した。表21に結果を要約する。図18は、ミクロスフェア製剤B9~13からのCOR005の比較用IVRプロファイルを示している。
Figure 0007030720000022
ミクロスフェア製剤B9~B13からのCOR005の比較用IVRプロファイルは、図18及び上の表21に描写されている。データは、ミクロスフェアの調製に使用した、2つの特定の種類のPLGA 50:50の間で、有意な差を示している。放出されたペプチドの累積量及び放出速度は、両方とも、より高い分子量の38~54kDaで調製されたミクロスフェア(38~54KD)と比較して、低い分子量のポリマー7~17kDaで調製されたミクロスフェア(7~17KD)から有意に増加した。基礎的製剤B10(添加剤を伴わない)と比較した、HPB又はDEX(それぞれ、B13及びB12)との間の比較用インビトロ放出プロファイルは、添加剤HPB又はDEXが、基礎的製剤を上回って、放出速度及びミクロスフェアから放出された全累積ペプチドを増加させたことを示している。添加剤HPBを伴って調製されたB13からのCOR005のインビトロ放出プロファイルは、約40%という最も高いバースト放出を示している。このバースト放出の後、次の14日間の間は非常に低い放出速度が続き、14日目に約45%の総放出で終了した。なお、B13のIVRプロファイルは、ラット及びミニブタにおけるPKデータにおいて示されているように、そのPKプロファイルと相関している。添加剤デキストロースを伴って調製されたB12からのCOR005のインビトロ放出プロファイルは、約20%という、B13と比較して低減されたバースト放出を示している。B12からのバースト放出の後、14日間の時間経過を経て放出速度は連続的に増加し、14日目に約40%の総放出で終了した。B13及びB10に対する、B12の比較用バースト放出のこのインビトロ放出プロファイルは、ラット及びミニブタにおけるB12のPKプロファイルと相関している。添加剤を伴わずに調製された基礎的製剤、B10からのCOR005のインビトロ放出プロファイルは、約5%という有意に低いバーストを示している。B10からのバースト放出の後、14日間の時間経過を経て放出は連続的に増加し、14日目に約20%の総放出で終了した。観察されたB10からの放出速度、及びこれらのミクロスフェアから放出された全累積ペプチドは、B12及びB13と比較すると有意に低かった。観察されたB10からのインビトロバースト放出は、そのPKプロファイルと相関している。B10は、ラット及びミニブタにおいて、B12及びB13と比較して、より低いインビボでのバースト放出を呈する。
製剤の「バースト」動態(0~24時間)及び28日間にわたる注射部位反応の結果を、それぞれ、表22及び23に示す。異なる製剤に関する薬物動態学的プロファイルについては、図11~18に示している。
Figure 0007030720000023
Figure 0007030720000024
Figure 0007030720000025
表23に示されているように、ラットにおいては、耐容性は注射部位においては0.5mg以下であり、約1mgで注射部位反応が誘発されるようである。
また、この実施例で調製した各バッチに由来するPLGAミクロスフェアを、電子顕微鏡(SEM)に供した。結果として得られた画像を、図19~27に示す。
図12及び13から観察することができるように、製剤B13(ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを伴う低分子量PLGAミクロスフェア中のベルドレオチド酢酸塩)は、最初の24時間の間に、他のベルドレオチド酢酸塩の製剤と比較して増加された「バースト」放出を呈した後、画定されたCminで28日間の持続性放出が続いた。製剤B10及びB12(それぞれデキストロースを伴わない又は伴う、低分子量PLGAミクロスフェア中のベルドレオチド酢酸塩)は、より小さな「バースト」を呈した後、約2週目から4週目にかけて、改善された耐容性を有する持続性放出を示す、注射部位反応の増加を伴わない放出の増加が続いた。B12は特に、B13に関して外挿されたAUCよりも有意に高いバイオアベイラビリティ(AUC)を実証した。しかしながら、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン又はデキストロースのいずれかを伴って調製されたベルドレオチド酢酸塩を含むPLGAミクロスフェアは、「バースト」段階において、賦形剤を伴わないPLGAミクロスフェアよりも向上された放出を呈した。理論に制限されるものではないが、これらの賦形剤が、ミクロスフェアの多孔性及び表面積の増加をもたらすものと思われる。全体として、B10が最も耐容性を示した製剤であり、「バースト」段階の間に、約30ng/mLの血漿レベル(Cmax)をもたらした。また、IVRは、注射部位反応と逆相関するものであり、製剤に関する注射部位反応の潜在性を予測するために使用することができることも注目すべきである。
添加剤の効果を示す、COR005酢酸塩PLGA-MS製剤の比較用SEM画像撮影
SEM画像撮影の第1の目的は、様々なMS製剤の外部形態を評定及び比較し、液滴サイズ及び表面張力に対する添加剤HPB及びDEXの効果を検証することであった。第2の目的は、様々なMSマトリックスの内部構造を評定及び比較することであった。より具体的には、COR005、添加剤(DEX及びHPB)、及び疎水性PLGAポリマーの間の、示唆される独特な相互作用(一次エマルションの間、及び最終的MSから注射部位においてペプチドが放出される間)、並びに(添加剤を伴う又は伴わない)COR005の観察されるIVR及びPKプロファイルに対する、これらの相互作用の効果と相関する、様々な内部マトリックス間における可能な差異を特定することであった。
図19は、添加剤を伴わないCOR005酢酸塩の基礎的ミクロスフェア製剤B10の外部形態のSEM顕微鏡写真を示している。図20は、添加剤を伴わないCOR005酢酸塩の基礎的ミクロスフェア製剤B10の内部形態の顕微鏡写真を示している。図20において、矢印は、内部形態を示すために切り開かれたミクロスフェアを示している。
図19及び20は、基礎的製剤B10の外部形態及び内部形態を描写している。このMS製剤の一次エマルションは、ペプチド水溶液を、塩化メチレン中のポリマーと、いかなる他の添加剤も伴わずに混合することに基づいた。なお、これらの調製条件の下では、COR005は、(表2、3及び4に描写されているように)その最大表面活性を保有する。図19は、製剤B10 MSの対称形の形状と、小さな細孔を数個だけ有する、MSの比較的滑らかな外面とを描写している。したがって、これらの外部細孔の帰結を、MSの内部形態とともに評定するために、別のSEMシリーズを、MS試料を切断した後に行った。図20のSEM画像は、低温切断の結果として曝露された、MSの内部構造を示している。観察された内部マトリックスは、細孔を数個しか有しない中実性のテクスチャーを有し、これはこの基礎的B10製剤の外部表面の観察と相関している。これらのSEM観察に基づき、製剤B10は、比較的低い透過性を有するミクロスフェアと説明するのが最良である。これらの結果は、COR005とポリマーとの間の親和性が高いという仮定を支持しており、比較的滑らかな外部表面と、中実かつ密な内部マトリックスをもたらす。この形態は、油中水型の、比較的疎水性の界面活性剤としてのCOR005の独特な表面活性、及びポリマーの塩化メチレン溶液との境界面における疎水性表面としてのその配向に起因する(図20、並びに表3、4及び5)。このペプチド:ポリマーの(化学的ではなく)物理的な相互作用の帰結として、製剤B10からのペプチドの予想される放出は、比較的緩徐であるはずである。実際、IVRデータは、製剤B10からのCOR005の放出速度は、HPB及びDEX MS製剤と比較して、最も緩徐であることを示している。この緩徐な放出速度は、製剤B12、B13、及びB14と比較して、ラット及びミニブタにおいて観察されたように、最も低いバースト放出(Cmax)を有し、ミニブタにおいて観察された、最も低い血漿レベルを有する、B10のインビボPKプロファイルと相関していた(表3)。なお、ラットにおけるPKは、製剤B12及びB13を上回る、B10 MS製剤からのCOR005の血漿レベルの増加を示していたが、B10動物群と関連する有意な変動性に起因して、これらの結果は不確定であったことに留意されたい。製剤B10からの徐放性COR005と、不良な血漿レベル及び低いBAとの間の決定的な相関関係は、表3に描写されているように、ミニブタにおけるPK研究において裏付けられた。基礎的B10製剤からのCOR005の放出速度は、ミニブタにおけるCOR005のクリアランス速度を克服するには緩徐であり過ぎ、結果として、不良な血漿レベルが経時的に得られた。
DEXを伴うB12製剤の外部形態及び内部形態
図21及び22は、それぞれ、製剤B12(PLGA-MS-DEX)の外部形態及び内部形態のSEM画像を描写している。図21に描写されている画像は、基礎的B10製剤において観察された非常に少ない細孔と比較して、表面に見える多くの細孔の結果としての外部表面の有意に高い多孔性を有する、製剤B12の代表的MSを示している。図22においては、MSの低温切断後の、製剤B12の内部マトリックスが曝露されている。この画像は、比較的薄い組織内の高分子境界によって分離された有意に多数の空隙を示しており、これらの境界が、内部マトリックス内の高密度の小さな空隙と、したがって空隙容積の増加とをもたらす。この増加された空隙容積による、第1の予想される影響は、内部マトリックスにおけるポリマー密度の低減である。所定の体積のMSに関して、MS内部の空隙がより多いことは、空隙の内部空間に起因して、ポリマーがより少なくなることに等しい。この高い空隙容積による、第2の予想される結果は、MSにおけるペプチド含有量の低減である。マトリックス内のポリマーがより少ないことは、MS内部におけるペプチドのカプセル封入がより少なくなることにつながり得る。この高い空隙容積による、第3の予想される影響は、製剤B10の基礎的MSの中実かつより密集したマトリックスと比較して、放出持続期間が短くなり、製剤B12 MSからのカプセル封入されたペプチドの放出が急速になることである。
しかしながら、予想外なことに、予測された3つの結果のすべてが、COR005のIVR及びPKデータにおいて観察されなかった。IVRデータ(下を参照されたい)は、製剤B10よりも延長されかつ一定である、製剤B12からのCOR005の放出を示しており、PKは、製剤B10を上回る、製剤B12の経時的に増加された血漿レベル及びより高い絶対的BAを示している。
これらの結果は、DEXを伴うCOR005の一次エマルションの場合、ペプチドは、PLGAマトリックス内に集中するのではなく、内部空隙のポリマーの表面に集中するという事実を指し示している。COR005は、疎水性PLGAポリマーに対するこのペプチドの高い親和性をもたらす、独特な表面活性を有するため、COR005は、ポリマーと、一次エマルションの内部水相との境界面に集中する。この帰結として、添加剤を伴わないMSの固化段階の間、COR005の大部分は、PLGA高分子鎖の間に集中することになる。
しかしながら、DEXが添加されると、マトリックス内部に形成された多くの空隙が、多くの小空間を提供し、これらがMS内部の表面積の向上をもたらす。この場合、MSの総表面積は、比較的中実性のマトリックスを有する製剤B10 MSの場合を上回る、有意な様式で増加する。このことが、B12からのCOR005の有意に延長された放出と、それに続く、より長い期間にわたって増加された血漿レベルとをもたらし、これらは、COR005が中実性の高分子構造からではなく、空隙の内部表面から放出されていることから説明できる。ペプチドが表面から放出されている場合にようやく、この放出の動態は、PKと相関する。
PLGA MSにおけるDEXの予想外な別の影響は、MSの一次エマルション及び固化の間の、COR005の分散及び分布に対するその効果である。デキストロースは、水に対するCOR005の溶解性を改善することが示されている(表3は、500mg/ml超という、5%デキストロース溶液に対する高い溶解性を示している)。この効果は、ペプチドのコンフォメーションを、分子の外側に曝露される疎水性部分がより少なくなった、より親水性のコンフォメーションへと変化させる、デキストロースとCOR005との間における潜在的な水素結合に起因し得る。換言すれば、高い水素結合能力及びデキストロースに対する水の親和性が、ペプチドの可溶化に役立ち得る。この効果は、MS内におけるペプチドの分散及び分布容積の改善につながる。一次エマルションが水性PVA相である二次エマルションに添加されると、デキストロースの大部分は、未発達なMSから連続相へと漏出する。ペプチドは再度、PLGAに対する高い親和性を有する、その元来の疎水性コンフォメーションを取ることになり、それによって、空隙の境界面及びポリマーマトリックス内部に集中する。これは、理論的積載量である4%のうち、最終的MSではデキストロースが約0.5%しか検出されないという、最終的MSにおける非常に低いデキストロースの回収率によって支持される(下の表25)。
Figure 0007030720000026
HPBを伴うB13製剤の外部形態及び内部形態
図23及び24は、製剤B13 MSの外部形態及び内部形態のSEM画像を描写している。図25は、製剤B13において使用されたものと同量のHPBを伴う、対照として調製されたプラセボMS(COR005酢酸塩を添加しなかった)の外部形態及び内部形態を描写している。図23に描写されているように、製剤B13の外部形態は、PLGA-MSにおける多孔性薬剤としてのHPBの予想された効果を支持している。幅広い範囲の細孔径を有する多くの細孔が、表面に存在している。しかしながら、図24は、低温切断によって切断された後の、製剤B13 MSの内部構造を示しており、これは、製剤B13の内部形態と製剤B12との間の有意な差異を指摘している。製剤B13の内部構造は、製剤B12における空隙のサイズと比較して、空隙サイズにおける有意な増加を呈している(図22)。また、製剤B13における内部のより大きい空隙の数は、製剤B12において見られた高密度の多くの小さな空隙と比較して、低減されている。これらの結果は、製剤B13の場合、内部空隙の形成に起因する総表面積の増加は、製剤B12の場合よりも少ないことを示している。
したがって、製剤B13におけるCOR005のカプセル封入効率は、内部表面積に起因して、製剤B10及びB12と比較すると低減されるであろうことが予想される。しかしながら、COR005のカプセル封入効率は、これらの3つのMS製剤に関して同様であった。これは、COR005が、MSの外部シェル周辺に比較的高濃度で集中しており、これがバースト放出の増加をもたらし得ることを意味している。また、包接複合体としてのHPBとCOR005との間の相互作用は、HPBとペプチドとの親水性複合体の濃度の増加をもたらすことになる。HPBとCOR005との間のこの相互作用に起因して、親水性複合体がより多くの水を引き付けることになり、PLGAの固化効率を制限することになり、これによって、図23及び24に示されているように、比較的大きな穴を有する内部マトリックスがもたらされることになる。
HPBの分子量は、DEXと比較して有意に高いため(COR005のレベルとほぼ同じ)、DEXのより高い分布容積と比較すると、MSの内部空間におけるHPBの可動性及び分散も制限されることになる。製剤B13において見られるような、明白な内部空隙のより大きいサイズ、及びこの内部表面積と関連する、結果として生じるペプチドの表面活性の効果は、製剤B13の独特なIVR及びPKプロファイルと相関している。製剤B13 MSの内部空間に水がアクセスすると、ペプチド周辺にHPBが多く存在していることに起因して、ペプチドの即時放出が起こる。HPBの大部分は、表25に示されているように、最終的MS内に残存し、これによって、HPB:PEPの理論的比率1:2と同じ、HPB:PEPの比率がもたらされる。加えて、これらの条件下では、表6に描写されているように、注射部位におけるペプチドの表面活性は低減される。これらの2つの効果の結果は、ペプチドの大部分は、MSの大きな空隙の内部空間の表面に、HPBとの親水性複合体として集中することになるというものである。
このデータは、水の浸透(注射後)の初期段階の間に、ペプチド積載量の大部分が即時放出され、その後、カプセル封入されていたペプチドの残りの非常に不良な放出が続くであろうことをさらに支持している。また、COR005:HPBの相互作用、及びカプセル封入されたペプチドの表面活性に対するこの独特な相互作用の影響をさらに確認するために、B13の「プラセボ」MS製剤を調製した。これは、製剤B13と同様に、HPBとPLGAとの組み合わせに基づいたが、ペプチドCOR005を伴わなかった。図25は、COR005酢酸塩を伴わないB13製剤の「MS」形態のSEM画像を示している。この画像は、COR005を伴わないHPBのカプセル封入が、中実性のミクロスフェアではなく、中空のマイクロカプセルをもたらすことを明確に示している。より具体的には、MSが固化している際にHPBは水を保持し、潜在的には、未発達なMSにおけるPLGAの固化を緩徐にしている。この効果は、プラセボに関して観察されたように、製剤B13のものよりも遥かに大きい、PLGAマトリックスにおける有意に大きい穴/細孔につながり得る。この裏付けは、PLGA-MS製剤における独特かつ予想外な内部表面をもたらす、HPBとCOR005との間の相互作用をさらに支持するものである。
図26は、DEX及び賦形剤を使用するがペプチドCOR005を伴わない、製剤B12の同様の「プラセボ」ミクロスフェア製剤のSEM顕微鏡写真を示している。これらの図は、ペプチド含有製剤と同じ入力量の添加剤のみ(COR005なし)で調製されたミクロスフェアの外部構造及び内部構造を示している。これらのプラセボミクロスフェアの外部形態は、非常に少ない表面細孔を示している。内部には、限られた数の大きな内部空隙が存在する。これらのミクロスフェアは、中空のコアを有する、ポリマーの「シェル」でしかない。これらは、マイクロカプセルと呼ばれることがある。いかなる特定の仮説にも束縛されるものではないが、油中水型の一次エマルションがいったん形成されると、WFI及び添加剤のみの表面張力は、より小さな液滴を合体させる。ポリビニルアルコール(PVA)は、未発達なミクロスフェア(一次エマルション)を、分離した液滴として保持する。溶媒蒸発過程は比較的緩徐であり、一次エマルションに、2つの相:添加剤を含有する内側の水相と、ポリマー及び塩化メチレンで構成される外側のポリマー溶液相とを形成させる。MSの表面は、有機ポリマー相内に微細分散された水滴によって形成された、わずかな細孔しか有しない。
図23及び24において、COR005をHPBと併せて添加することの効果が見られる。内側水性相における表面張力の変化は、ペプチド及びHPBのより小さな液滴を、溶媒蒸発過程全体を通じて残存させ、描写されているような内部構造及び表面構造が固まる。同様に、デキストロース及びCOR005の組み合わせも、多数の小さな内部空隙を有するミクロスフェアをもたらす(図22)。
B14(PSI12)パラダイム、並びにHPBを伴うCOR005の改善された放出プロファイル及びPK
カプセル封入されたペプチド含有量の大部分が即時放出された後、有意に低い血漿レベルが経時的に続くことを示している、製剤B13 IVR及びそのPKプロファイルの予想外なデータは、低減された比率のHPB:PEPを有するMS製剤の設計に関する基礎をもたらした。反直観的なIVR及びPKの結果は、1:2から1:4、さらには1:8へとHPB:PEPの比率を低減させることで、MSからのペプチド放出における予想外な増加がもたらされることを示している。これらのIVR及びPKの結果と、COR005の独特な表面活性との間の結び付きを調査するために、低減されたHPB:PEPの比率を有するMSの詳細なSEM分析を、それらの内部形態を評定することを目的として始めた。図27は、様々な比率のHPB:PEPを有するCOR005 MS製剤の内部マトリックスの形態を比較するSEM画像を示している。
図27の比較用SEM画像から確認できるように、HPB:PEPの比率の1:2(製剤B13)から1:4(製剤B14)への低減、並びに1:8及び1:10へのさらなる低減は、これらのミクロスフェアの内部マトリックスにおける空隙の数の予想外な増加をもたらす。また、1:2から1:4へと低減された比率は、B13と比較した場合のB14のHPB:PEP 1:4の例において確認できるように、MSの外部表面における細孔の分布の増加という、別の反直観的な結果につながる。低減されたHPB:PEPの比率の逆/予想外な効果は、1:10という最小のHPB:PEPの比率の場合に、この比率のSEM画像において描写されているように、さらに強化される。このSEM画像は、有意により密集した分布のより小さな空隙を有する内部マトリックスを示している。
結論として、HPB:PEPの比率が低減されるにつれて、より多くのCOR005が、MSの内部表面に配向される。この独特な表面活性は、増加及び延長されたペプチドの放出をもたらし、これは主に、増加した空隙を充填する内部表面積からのペプチドの放出に起因する。結果として、ペプチド放出は、製剤B14の場合のIVR及びPK研究において観察されたように、向上及び経時的に延長されることになる。なお、SEM分析によって観察されたHPB:PEP比率の間の逆の関係は、これらの様々なHPB:PEP比率の比較用IVR研究とも相関している。
表面積
ミクロスフェアの表面積は、Micromeritics ASAP 2020計器において、窒素ガス吸着を使用して測定した。15~25mgのミクロスフェアを、この機械の分析管に添加し、特殊なシールフリットを用いて管の内部に密封する。分析を、2段階:脱ガス及び窒素吸着測定で始めた。脱ガスは、熱及び真空を適用して、ミクロスフェアの内側に湿分及び他の閉じ込められたガスを除去する過程である。ミクロスフェアは、真空(100μmHg)下で脱ガスし、35℃で150分間加熱した。その後、試料管を、計器の分析バルブに移した。試料管を、液体窒素のデュワ内に下ろして、試料を77°Kに冷却する。窒素ガスを制御された様式で添加し、吸着等温線を生成するために、管の圧力をモニタリングする。等温線から、単位質量当たりの表面積を計算するために、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)理論を適用する。分析時間はおよそ4時間であり、試料当たりの総実行時間は6.5時間である。
細孔構造に影響を及ぼす表面張力の概念を、表面積測定によって再度確認する。上に記載されたように、賦形剤を伴わずに(PSI-7)、及びDEX又はHPBのいずれかを伴って(PSI-6及びPSI-12)調製された、いくつかの異なるミクロスフェアに対するこの試験の結果は、表26に要約されている。
Figure 0007030720000027
より高いレベルの表面積は、ミクロスフェアの内部空隙の数がより大きいことを示している。
ベルドレオチド酢酸塩、及び賦形剤としてのデキストロース又はHPBのいずれかを含むミクロスフェアは、約7m/g~約12m/g、例えば約7m/g~約10m/gなどの、複数の高分子ミクロスフェアの表面積を有する。
比較として、0、0.2%、又は1%のグルコースを伴う、PLGA及びオクトレオチド酢酸塩で調製されたミクロスフェアは、それぞれ、4.4、4.7、又は4.9m/gの表面積を有した(Biomaterials, 2004, 25, 1919-1927)。
80%(重量%)の綿実油、20%(重量%)の注射用水(WFI)、及び1%(重量%)のベルドレオチド酢酸塩を使用して、ベルドレオチドを油中水型エマルションとして製剤化した。具体的には、5mLのガラスバイアルにおいて、10mgのベルドレオチド酢酸塩を200μLのWFIに溶解させ、800mgの綿実油を添加し、結果として得られた混合物を、1000rpmの磁気撹拌下、室温で15分間撹拌した。次いで、このエマルションを光学顕微鏡で検分し、冷蔵下で保管した。結果として得られたエマルションは安定であり、27G針によって注射可能であることが分かった。
また、0.7%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(SIGMA C5013)高粘度、37.5%(w/v)のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、及び0.5%(w/v)のベルドレオチド酢酸塩を使用して、ベルドレオチド酢酸塩をヒドロゲルとして製剤化した。具体的には、10mgのベルドレオチド酢酸塩を、2mLのWFI中の75mgのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンと混合し、5mLのガラスバイアルにおいて透き通るまで混合した。14mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を、室温で磁気撹拌しながら混合物に注ぎ入れることによって緩徐に添加した後、冷蔵下で保管した。結果として得られたヒドロゲルも、27G針によって注射可能であることが分かった。驚くべきことに、製剤化の順序が、ゲルの安定性にとって重要であることが分かった。ベルドレオチド酢酸塩をヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンと組み合わせた後に、カルボキシメチルセルロースを添加すると、最初にカルボキシメチルセルロースをベルドレオチド酢酸塩に添加した場合又はこれらの構成要素を同時に組み合わせた場合よりも、強固なヒドロゲルがもたらされた。興味深いことに、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンと、カルボキシメチルセルロース単独との組み合わせは、ゲル形成をもたらさなかった。したがって、理論に束縛されるものではないが、ポリマーは、その独特な性質に起因して、シクロデキストリン及びペプチドと相互作用して、安定なゲルの形成をもたらすと考えられる。
エマルション製剤及びヒドロゲルの両方を、ラットの各側に1つの製剤となるように、27G針を使用して、注射部位当たり1mgの用量でラットに注射した。投薬後48時間まで、どちらの製剤でも、注射部位において腫脹は観察されなかった。投薬後48時間で、ヒドロゲルのみに関して、注射部位において腫脹が観察されたが、エマルションでは観察されなかった。投薬後72時間で、ゲル製剤に関して、腫脹及び小さな傷が観察された。エマルション製剤の注射部位は、いかなる有意な注射部位反応も呈せず、腫脹も脱毛も観察されなかった。
ラットを屠殺し、死体解剖を行って、真皮下の注射部位反応を評価した。ヒドロゲルの注射部位において、72時間で、浮腫、及び皮下組織の肥大を含む局所炎症の徴候が見られた。エマルションの注射部位においては、48時間で、真皮下組織は、腫脹、浮腫、炎症、又は皮下組織の肥大の徴候も観察されず、良性であった。
ベルドレオチド酢酸塩及び1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)を1:10の比率で組み合わせることによって、5mLのガラスバイアルにおいて、1mLのWFI中で、7mgのベルドレオチド酢酸塩及び70mgのDMPC(Avantiによる、14:0 PC (DMPC) 1,2-dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphocholine 850345、7重量%)を組み合わせることによって、ベルドレオチド酢酸塩をリポソーム(多重膜ベシクル)へと製剤化した。混合物を、磁気撹拌を使用して、室温で30分間1000rpmで撹拌した。この製剤を、図28に示されているように、SEM画像撮影を使用して分析した。リポソームを、冷蔵下で保管した。
2匹のラットに、実施例3の乳酸ビヒクル中のベルドレオチド酢酸塩を注射した。3匹のSD(登録商標)ラットに、ベルドレオチド酢酸塩のリポソームを注射した。注射は、約4.5mg/kgのベルドレオチド酢酸塩で行われ、投与された。血漿試料を、1時間、4時間、8時間、12時間、24時間、及び48時間で抜き取り、先に考察したように分析して、ng/mL単位で、ベルドレオチド酢酸塩の血漿濃度を決定した。このデータについては、図29にグラフ形状で示している。
リポソームは、少なくとも48時間の、治療濃度(1~5ng/mL超)でのベルドレオチド酢酸塩の持続性放出にとって好適な送達ビヒクルであることを実証した。これは、ヒトの場合、1週間に1回の剤形と相関し得る。リポソームは、当業者に公知の任意の方法によって形成されてもよく、ベルドレオチド酢酸塩対リポソーム製剤の比率は、少なくとも1:5~1:20の範囲であり得ることが理解され得る。加えて、任意の薬学的に許容される担体又は希釈剤が使用されてもよい。
ベルドレオチド酢酸塩を含有するPLGAミクロスフェアを調製した。500mgのPLGA 50:50(7~17kDa)を、5mLのジクロロメタン中に溶解させた(油相)。1mlのDDW中に50mgのベルドレオチド酢酸塩を含有する水溶液を、別個に調製した(内側水性相)。第1の水性相を、高速ホモジナイザー(Polytron社)を使用して、2~8℃で、異なる速度及び持続期間を用いて油相(PLGAを含有する)中に乳化させて、油中水型一次エマルションを形成した。PBS中1%のPVA溶液を含有する、100mlの外部水性相に、一次エマルションを(滴下)添加して、二次エマルションを形成した。PVAをPBS中に溶解させる理論的根拠は、水から外相へのベルドレオチド酢酸塩の漏出を最小限に低減するためである。次いで、湿潤したミクロスフェアを氷中において1000rpmで2時間撹拌して、DCMを蒸発させ、ミクロスフェアを固化させた。PBS中での3回の洗浄過程の後、湿潤したミクロスフェアを遠心分離によって回収し、次いで6mlの2%マンニトール中に懸濁させ、凍結乾燥した。乾燥したミクロスフェアの試料を、DDW:アセトン 1:1中に溶解させ、ペプチドの抽出量を、naoVue分光光度計によって推定した。ミクロスフェアにおけるベルドレオチド酢酸塩の最終薬物積載量は、6重量%であり、カプセル封入効率(EE)%は、77%であった。
本医薬組成物の実施形態としては、以下が挙げられる。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩であって、前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、パモ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p-アミノ安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、亜硝酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エチレンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、スルファニル酸塩、カンファースルホン酸塩、マンデル酸塩、o-メチルマンデル酸塩、水素-ベンゼンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、アジピン酸塩、D-o-トリル酒石酸塩、タルトロン酸塩、α-トルイル酸塩、(o,m,p)-トルイル酸塩、ナフチルアミンスルホン酸塩、オクタン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、脂肪酸塩、他の鉱酸塩、及びカルボン酸からなる群から選択される、ペプチド又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマー形成性ミクロスフェアと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマー形成性ミクロスフェアと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーがPLGAである、ポリマー形成性ミクロスフェアと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩である、ペプチド又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩である、ペプチド又はその薬学的に許容される塩であって、前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、パモ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p-アミノ安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、亜硝酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エチレンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、スルファニル酸塩、カンファースルホン酸塩、マンデル酸塩、o-メチルマンデル酸塩、水素-ベンゼンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、アジピン酸塩、D-o-トリル酒石酸塩、タルトロン酸塩、α-トルイル酸塩、(o,m,p)-トルイル酸塩、ナフチルアミンスルホン酸塩、オクタン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、脂肪酸塩、他の鉱酸塩、及びカルボン酸からなる群から選択される、ペプチド又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩である、ペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩である、ペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマー形成性ミクロスフェアと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩であって、前記ペプチドが、水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有する、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーがPLGAである、ポリマー形成性ミクロスフェアと、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、ポリマーと、賦形剤とを含む医薬組成物であって、ゲルである、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、油相と、水性相と、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、乳化剤として作用し、前記医薬組成物が、エマルションを形成する、医薬組成物。
水溶性であるが、等張条件において低い溶解性を有するペプチド又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、リポソームを形成するリポソーム製剤と、任意に、疎水性捕捉剤、糖、又はアミノ酸である賦形剤とを含む、医薬組成物。
前述の医薬組成物のいずれかの実施形態としては、以下が挙げられる。
ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、環状ペプチド、又はペプチド両親媒性物質、又はソマトスタチン類似体、又は環状ソマトスタチン類似体、又はコンフォメーション的に拘束された主鎖環状ペプチド、又はコンフォメーション的に拘束された主鎖環状ソマトスタチン類似体、又はコンフォメーション的に拘束された主鎖環状単一アミンソマトスタチン類似体、又はイオン性水溶性界面活性剤である、医薬組成物。
薬学的に許容される塩が、酢酸塩であるか、又は塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、パモ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p-アミノ安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、亜硝酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エチレンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、スルファニル酸塩、カンファースルホン酸塩、マンデル酸塩、o-メチルマンデル酸塩、水素-ベンゼンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、アジピン酸塩、D-o-トリル酒石酸塩、タルトロン酸塩、α-トルイル酸塩、(o,m,p)-トルイル酸塩、ナフチルアミンスルホン酸塩、オクタン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、脂肪酸塩、他の鉱酸塩、及びカルボン酸からなる群から選択される、医薬組成物。
賦形剤が、糖であり、前記糖が、サッカライドであるか、又は単糖、二糖、及び多糖からなる群から選択されるか、又は環状多糖であるか、又はシクロデキストリンであるか、又はβ-シクロデキストリンであるか、又はヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンであるか、又は単糖であるか、又はデキストロースであるか、又は組成物の総重量に対して約2.5重量%~約5.0重量%の濃度である、医薬組成物。
賦形剤が、アミノ酸であり、天然アミノ酸であり、前記アミノ酸が、リジン又はアルギニン、又はアミノ酸の塩酸塩、又はL-リジン塩酸塩若しくはL-アルギニン塩酸塩である、医薬組成物。
賦形剤が、疎水性捕捉剤であり、前記疎水性捕捉剤が、少なくとも1つの遊離アミン基を有する、医薬組成物。
薬学的に許容される担体又は希釈剤が、等張酢酸緩衝液、乳酸、生理食塩水、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択されるか、又は生理食塩水であるか、又は組成物の約0.45重量%の濃度である、医薬組成物。
ポリマーが、生体適合性であるか、又はマトリックスを形成するか、又は粒子を形成するか、又はミクロスフェアを形成する、医薬組成物。
ミクロスフェアが、賦形剤を伴わずに製剤化されたミクロスフェアと比較して増加した多孔性を有するか、又は賦形剤を伴わずに製剤化されたミクロスフェアと比較して増加した表面積を有するか、又は賦形剤を伴わずに製剤化されたミクロスフェアと比較して増加したペプチド放出を有するか、又は賦形剤を伴わずに製剤化されたミクロスフェアと比較して、患者に対して医薬組成物を注射した後の最初の24時間の間における増加したペプチドの放出を有するか、又は患者に対して医薬組成物を注射した後、少なくとも1週間の間、持続放出性プロファイルを呈するか、又は患者に対して医薬組成物を注射した後、少なくとも2週間の間、持続放出性プロファイルを呈するか、又は患者に対して医薬組成物を注射した後、少なくとも4週間の間、持続放出性プロファイルを呈する、医薬組成物。
ポリマーが、ポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)であるか、又は前記ポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)が、50:50の比率の乳酸対グリコール酸を含む、医薬組成物。
ポリマーが、ペプチド若しくはその薬学的に許容される塩、又は賦形剤、又はペプチド若しくはその薬学的に許容される塩と賦形剤との両方をカプセル封入する、医薬組成物。
ポリマーが、約7~約17キロダルトンの平均分子量を有するか、又は約38~約54キロダルトンの分子量を有する、医薬組成物。
ペプチド及び賦形剤が、ポリマー内に共存する、医薬組成物。
薬学的に許容される塩が、ベルドレオチド酢酸塩である、医薬組成物。
ポリマーが、ベルドレオチド若しくはその薬学的に許容される塩、又は賦形剤、又はペプチド若しくはその薬学的に許容される塩と賦形剤との両方、又はベルドレオチド若しくはその薬学的に許容される塩と賦形剤との両方をカプセル封入する、医薬組成物。
ベルドレオチド及び賦形剤が、ポリマー内に共存する、医薬組成物。
ミクロスフェアが、ベルドレオチド若しくはその薬学的に許容される塩、又は賦形剤、又はベルドレオチド若しくはその薬学的に許容される塩と賦形剤との両方をカプセル封入する、医薬組成物。
ポリマーが、粘度調整剤であるか、又は増粘剤であるか、又はゲル化剤であるか、又は1%水溶液において、1500~3000cpsの平均粘度を有するか、又はセルロースガム若しくはその誘導体であるか、又はカルボキシメチルセルロースであるか、又はペプチド若しくはその薬学的に許容される塩と相互作用するか、又はペプチド及びシクロデキストリンと相互作用して、ゲルを形成する、医薬組成物。
27Gほど小さい小ゲージ針によって注射可能である、医薬組成物。
エマルションであり、油相が、薬学的に許容される油若しくは綿実油を含むか、又は水性相が水を含むか、又は前記エマルションが、油中水型エマルションであるか、又は油相の水性相に対する比率が、約60:40~99.9:0.1であるか、若しくは約70:30~99.9:0.1であるか、若しくは約80:20~99.9:0.1であるか、若しくは約90:10~99.9:0.1であるか、若しくは約95:5~99.9:0.1であるか、若しくは約50.1:49.9~90:10であるか、若しくは約50.1:49.9~80:20であるか、若しくは約50.1:49.9~70:30であるか、若しくは約50.1:49.9~60:40であるか、若しくは約60:40~90:10であるか、若しくは約70:30~80:20であるか、若しくは約80:20である、医薬組成物。
リポソーム製剤が、ホスファチジルコリン若しくはその誘導体、又はDMPCである、医薬組成物。
他の実施形態としては、以下が挙げられる。
賦形剤を伴わない注射と比較して、患者における注射部位副作用を低減するための方法であって、(a)上の任意の実施形態の医薬組成物を賦形剤とともに製剤化するステップと、(b)医薬組成物を前記患者に対して注射によって投与するステップとを含む、方法。
賦形剤を伴わない注射と比較して、ペプチド又はその薬学的に許容される塩のバイオアベイラビリティを増加させるための方法であって、(a)上の任意の実施形態の医薬組成物を賦形剤とともに製剤化するステップと、(b)医薬組成物を前記患者に対して注射によって投与するステップとを含む、方法。
ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、治療有効用量で投与される、方法。
上の実施形態のうちいずれか1つの医薬組成物を製剤化するための方法であって、(a)ペプチド又はその薬学的に許容される塩、及び賦形剤を混合するステップと、(b)ポリマーを緩徐に添加するステップとを含む、方法。
疾患を治療するための方法であって、上の実施形態のうちいずれか1つの医薬組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
疾患が、がん、2型糖尿病、先端巨大症、代謝障害、内分泌障害、外分泌障害、及びホルモン関連腫瘍からなる群から選択される、方法。
医薬組成物が、注射、又は皮下注射、又は静脈内注射によって投与される、方法。
実施形態1の医薬組成物の具体的な実施形態としては、以下が挙げられる。
2.薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、パモ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p-アミノ安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、亜硝酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エチレンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、スルファニル酸塩、カンファースルホン酸塩、マンデル酸塩、o-メチルマンデル酸塩、水素-ベンゼンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、アジピン酸塩、D-o-トリル酒石酸塩、タルトロン酸塩、α-トルイル酸塩、(o,m,p)-トルイル酸塩、ナフチルアミンスルホン酸塩、オクタン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、脂肪酸塩、他の鉱酸塩、及びカルボン酸からなる群から選択される、医薬組成物。
3.薬学的に許容される塩が、ペプチドの酢酸塩である、実施形態1又は2に記載の医薬組成物。
4.薬学的に許容される担体又は希釈剤が、等張酢酸緩衝液、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの通常生理食塩水、注射用水、等張5%又は2.5%デキストロース、等張乳酸、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択される、実施形態1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
5.薬学的に許容される担体が、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの生理食塩水である、実施形態1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
6.薬学的に許容される担体又は希釈剤が、通常生理食塩水(水中0.9%のNaCl)である、実施形態1~5のいずれかに記載の医薬組成物。
7.ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、それぞれ、ベルドレオチド又はベルドレオチド酢酸塩である、実施形態1~6のいずれかに記載の組成物。
8.ペプチドが、ベルドレオチドである、実施形態1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
9.ペプチドの薬学的に許容される塩が、ベルドレオチド酢酸塩である、実施形態1~8のいずれかに記載の組成物。
10.賦形剤が、環状多糖である、実施形態1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
11.環状多糖が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、実施形態10に記載の医薬組成物。
12.ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:1~20:1である、実施形態11に記載の医薬組成物。
13.ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:1である、実施形態12に記載の医薬組成物。
14.ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ペプチド又は薬学的に許容される塩に対する質量比が、20:1である、実施形態12に記載の医薬組成物。
15.賦形剤が、デキストロースである、実施形態1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
16.デキストロースの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:1~約5:1、好ましくは5:1である、実施形態15に記載の医薬組成物。
17.デキストロースの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、5:1である、実施形態16に記載の医薬組成物。
18.ベルドレオチド酢酸塩と、等張酢酸緩衝液、等張乳酸、水、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの生理食塩水、注射用水、等張デキストロース5%又は2.5%、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択される、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)とを含む、実施形態1~10のいずれかに記載の医薬組成物。
19.ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、1:1~25:1である、実施形態18に記載の医薬組成物。
20.ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、1:1である、実施形態19に記載の医薬組成物。
21.ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、25:1である、実施形態19に記載の医薬組成物。
22.薬学的に許容される担体又は希釈剤が、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの注射用生理食塩水である、実施形態18~21のいずれかに記載の医薬組成物。
23.ベルドレオチド酢酸塩と、等張酢酸緩衝液、注射用水、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの注射用生理食塩水、等張乳酸、等張デキストロース5%又は2.5%、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択される、薬学的に許容される担体又は希釈剤と、デキストロースとを含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、及び15のいずれかに記載の医薬組成物。
24.デキストロースの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、1:1~約5:1である、実施形態23に記載の医薬組成物。
25.デキストロースの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、5:1である、実施形態23又は24に記載の医薬組成物。
26.薬学的に許容される担体又は希釈剤が、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの注射用生理食塩水である、実施形態23~25のいずれかに記載の医薬組成物。
27.水に溶けやすいが、生理学的条件において溶けにくい、ペプチド又はその薬学的に許容される塩、環状多糖若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせである賦形剤、及び
高分子ミクロスフェアを含み、前記ペプチド又は前記その薬学的に許容される塩及び前記賦形剤が、前記高分子ミクロスフェア内にカプセル封入されている、実施形態1~26のいずれかに記載の医薬組成物。
28.高分子ミクロスフェアが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、実施形態27に記載の医薬組成物。
29.賦形剤が、デキストロースである、実施形態27又は28に記載の医薬組成物。
30.デキストロースの量が、高分子ミクロスフェアの総重量に対して、約0.1重量%~約1.0重量%である、実施形態27~29のいずれかに記載の医薬組成物。
31.ベルドレオチド酢酸塩、デキストロース、及び高分子ミクロスフェアを含み、前記高分子ミクロスフェアが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含み、前記ベルドレオチド及び前記デキストロースが、前記高分子ミクロスフェア内にカプセル封入されている、実施形態27~30のいずれかに記載の医薬組成物。
32.賦形剤が、環状多糖である、実施形態27又は28に記載の医薬組成物。
33.環状多糖が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)である、実施形態27、28、及び32のいずれかに記載の医薬組成物。
34.HPBCDの量が、組成物の総ポリマー(PLGA)重量に対して、約2重量%~約20重量%である、実施形態27、28、32、及び33のいずれかに記載の医薬組成物。
35.ベルドレオチド酢酸塩、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)、及び高分子ミクロスフェアを含み、前記高分子ミクロスフェアが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含み、前記ベルドレオチド酢酸塩及び前記HPBCDが、前記高分子ミクロスフェア内にカプセル封入されている、実施形態27、28、32、33、及び34のいずれかに記載の医薬組成物。
36.ベルドレオチド酢酸塩、デキストロース及びHPBCD、並びに高分子ミクロスフェアを含み、前記高分子ミクロスフェアが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含み、前記ベルドレオチド、デキストロース及びHPBCDが、前記高分子ミクロスフェア内にカプセル封入されている、実施形態27又は28に記載の医薬組成物。
37.高分子ミクロスフェアの直径が、約10ミクロン~約100ミクロン、より好ましくは約10ミクロン~約30ミクロンである、請求項27~36のいずれかに記載の医薬組成物。
実施形態38.高分子ミクロスフェアを製造するための方法であって、
(i)環状多糖若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせを含む、賦形剤と、ペプチド又はその薬学的に許容される塩とを水中で混合して、第1の水性混合物を形成するステップであって、前記ペプチド又は前記その薬学的に許容される塩が、脱イオン水における溶解性が100~350mg/mlであり、脱イオン水に溶けやすいが、生理学的条件下において溶解性が2~3mg/mlであり、溶けにくく、前記ペプチド又は前記薬学的に許容される塩が、3mg/ml超の濃度で塩析することによって沈殿する、ステップ、
(ii)ポリマーを、ジクロロメタンなどの有機溶媒中に混合して、ポリマー溶液を形成するステップ、
(iii)前記第1の水性混合物を、前記ポリマー有機溶液中に混合して、油中水型一次エマルションを含む第1の分散体混合物を形成するステップ、
(iv)ポリビニルアルコール(PVA)を、リン酸緩衝生理食塩水又は生理食塩水中に、0.1~3重量%の量で混合して、第2の水性混合物を形成するステップ、
(v)前記一次エマルションを、前記PVAの第2の水性混合物中で混合して、水中油中水型の二重エマルションを形成して、二次分散体混合物を提供するステップ、
(vi)前記二次分散体混合物中の前記有機溶媒を蒸発させて、固体高分子ミクロスフェアを形成するステップであって、前記ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、前記高分子ミクロスフェア内にカプセル封入されている、ステップ、
(vii)前記高分子ミクロスフェアを洗浄及び単離するステップ、並びに
(viii)乾燥過程中に、界面活性剤及びマンニトールの混合物を添加して、又は添加せずに、制御条件下で前記ミクロスフェアを乾燥させるステップ
を含む、前記方法。
39.賦形剤が、環状多糖であり、前記環状多糖の、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、約1:2~約1:20である、実施形態38に記載の方法。
40.環状多糖が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)である、実施形態39に記載の方法。
41.HPBCDの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、約1:2~約1:4である、実施形態39に記載の方法。
42.賦形剤が、デキストロースであり、デキストロースの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:4~1:16である、実施形態38に記載の方法。
43.デキストロースの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:6~1:10である、実施形態42に記載の方法。
44.デキストロースの、ペプチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:8である、実施形態42又は43に記載の方法。
45.ペプチド又はその薬学的に許容される塩が、それぞれ、ベルドレオチド又はベルドレオチド酢酸塩である、実施形態38~44のいずれかに記載の方法。
46.ポリマー溶液が、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、実施形態38~45のいずれかに記載の方法。
実施形態47.実施形態38~46のいずれかに記載の方法によって生成される、持続放出性医薬組成物。
実施形態48.高分子ミクロスフェアを製造するための組成物であって、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩;環状多糖若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせを含む、賦形剤;及びポリマー溶液を含む、前記組成物。
49.賦形剤が、環状多糖、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)である、実施形態48に記載の組成物。
50.HPBCDの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、約1:1~約1:20、又は約1:2~約1:4、又は約1:4である、実施形態49に記載の組成物。
51.賦形剤が、デキストロースである、実施形態48に記載の組成物。
52.デキストロースの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:4~1:16、又は1:6~1:10、又は1:8である、実施形態51に記載の組成物。
53.ポリマー溶液がポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、実施形態48~52のいずれかに記載の組成物。
実施形態54.先端巨大症、先端巨大症がん、カルチノイドがん、クッシング症候群、SST-R5発現腫瘍、2型糖尿病、高血糖症、及びホルモン関連腫瘍からなる群から選択される疾患又は状態を治療するための方法であって、実施形態1~37のいずれかに記載の医薬組成物を、前記疾患又は状態を有する患者に投与するステップを含む、方法。
55.医薬組成物が、注射によって投与される、実施形態54に記載の方法。
56.医薬組成物が、皮下注射によって投与される、実施形態54に記載の方法。
57.医薬組成物が、筋肉内注射によって投与される、実施形態54に記載の方法。
58.医薬組成物が、注射準備済み等張溶液中の界面活性剤及びマンニトールで構成される、薬学的に許容される希釈剤中に分散される、実施形態54~57のいずれかに記載の方法。
本発明は、特定の実施形態に関して説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び修正を行うことができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ画定されることが意図される。

Claims (59)

  1. ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩、
    薬学的に許容される担体又は希釈剤、及び
    ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせである、賦形剤
    を含む、医薬組成物。
  2. 薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、パモ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p-アミノ安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、亜硝酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エチレンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、スルファニル酸塩、カンファースルホン酸塩、マンデル酸塩、o-メチルマンデル酸塩、水素-ベンゼンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、アジピン酸塩、D-o-トリル酒石酸塩、タルトロン酸塩、α-トルイル酸塩、(o,m,p)-トルイル酸塩、ナフチルアミンスルホン酸塩、オクタン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、脂肪酸塩、他の鉱酸塩、及びカルボン酸からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 薬学的に許容される塩が、酢酸塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 薬学的に許容される担体又は希釈剤が、等張酢酸緩衝液、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの通常生理食塩水、注射用水、等張乳酸、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 薬学的に許容される担体が、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの生理食塩水である、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 薬学的に許容される担体又は希釈剤が、通常生理食塩水(水中0.9%のNaCl)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. ベルドレオチドの薬学的に許容される塩を含む、請求項1に記載の組成物。
  8. ベルドレオチドの薬学的に許容される塩が、ベルドレオチド酢酸塩である、請求項7に記載の組成物。
  9. 賦形剤が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンである、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:1~20:1である、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:1である、請求項9に記載の医薬組成物。
  12. ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、20:1である、請求項9に記載の医薬組成物。
  13. 賦形剤が、デキストロースである、請求項1に記載の医薬組成物。
  14. デキストロースの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:1~約5:1である、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. デキストロースの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、5:1である、請求項13に記載の医薬組成物。
  16. ベルドレオチド酢酸塩を含み、薬学的に許容される担体又は希釈剤が、水中0.9%のNaCl及び水中0.45%のNaClの生理食塩水、注射用水、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択され、賦形剤が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  17. ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、1:1~20:1である、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、10:1である、請求項16に記載の医薬組成物。
  19. ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、15:1である、請求項16に記載の医薬組成物。
  20. ベルドレオチド酢酸塩を含み、薬学的に許容される担体又は希釈剤が、等張酢酸緩衝液、注射用水、水中0.9%のNaCl又は水中0.45%のNaClの注射用生理食塩水、等張乳酸、及びリン酸緩衝生理食塩水からなる群から選択され、デキストロースを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  21. デキストロースの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、1:1~約5:1である、請求項20に記載の医薬組成物。
  22. デキストロースの、ベルドレオチド酢酸塩に対する質量比が、5:1である、請求項20に記載の医薬組成物。
  23. ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩、
    ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせから選択される、賦形剤、及び
    高分子ミクロスフェア
    を含み、ベルドレオチド又は前記その薬学的に許容される塩及び前記賦形剤が、前記高分子ミクロスフェア内にカプセル封入されている、医薬組成物。
  24. 高分子ミクロスフェアが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
  25. 賦形剤が、デキストロースである、請求項23に記載の医薬組成物。
  26. デキストロースの量が、高分子ミクロスフェアの総重量に対して、約0.1重量%~約1.0重量%である、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 賦形剤が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)である、請求項23に記載の医薬組成物。
  28. HPBCDの量が、高分子ミクロスフェアの総重量に対して、約2.0重量%~約10重量%である、請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 高分子ミクロスフェアが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、請求項25~28のいずれかに記載の医薬組成物。
  30. 高分子ミクロスフェアの直径が、約10ミクロン~約100ミクロンである、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 高分子ミクロスフェアの直径が、約10ミクロン~約20ミクロンである、請求項29に記載の医薬組成物。
  32. 高分子ミクロスフェアの表面積が、約7m/g~約12m/gである、請求項23~31のいずれかに記載の医薬組成物。
  33. 表面積が、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法によって決定される、請求項32に記載の医薬組成物。
  34. 高分子ミクロスフェアを製造するための方法であって、
    (i)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせを含む、賦形剤と、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩とを水中で混合して、第1の水性混合物を形成するステップ、
    (ii)ポリマーを、ジクロロメタンなどの有機溶媒中に混合して、ポリマー溶液を形成するステップ、
    (iii)前記第1の水性混合物を、前記ポリマー溶液中に混合して、一次エマルションを
    含む第1の分散体混合物を形成するステップ、
    (iv)ポリビニルアルコール(PVA)を、リン酸緩衝生理食塩水又は生理食塩水中に混合して、第2の水性混合物を形成するステップ、
    (v)前記一次エマルションを、前記PVAの第2の水性混合物中に混合して、二重エマルションを形成し、それによって二次分散体混合物を提供するステップ、及び
    (vi)前記二次分散体混合物中の前記有機溶媒を蒸発させて、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩を含む、固体高分子ミクロスフェアを形成するステップ
    を含む、前記方法。
  35. 賦形剤が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)である、請求項34に記載の方法。
  36. HPBCDの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、約1:1~約1:10である、請求項35に記載の方法。
  37. HPBCDの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、約1:2~約1:4である、請求項35に記載の方法。
  38. 賦形剤が、デキストロースであり、デキストロースの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:4~1:16である、請求項34に記載の方法。
  39. 賦形剤が、デキストロースであり、デキストロースの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:6~1:10である、請求項34に記載の方法。
  40. 賦形剤が、デキストロースであり、デキストロースの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:8である、請求項34に記載の方法。
  41. ベルドレオチドの薬学的に許容される塩が、ベルドレオチド酢酸塩である、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  42. ポリマー溶液が、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  43. 高分子ミクロスフェアを製造するための組成物であって、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩;ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせを含む、賦形剤;及びポリマーを含む、前記組成物。
  44. 賦形剤が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)である、請求項43に記載の組成物。
  45. HPBCDの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、約1:1~約1:20、又は約1:2~約1:4、又は約1:4である、請求項44に記載の組成物。
  46. 賦形剤が、デキストロースである、請求項43に記載の組成物。
  47. デキストロースの、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩に対する質量比が、1:4~1:16、又は1:6~1:10、又は1:8である、請求項46に記載の組成物。
  48. ポリマーが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、請求項43~47のいずれかに記載の組成物。
  49. 複数の高分子ミクロスフェアを含む医薬組成物であって、
    前記複数の高分子ミクロスフェアが、ベルドレオチド又はその薬学的に許容される塩を含み、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)若しくはデキストロース、又はそれらの組み合わせをさらに含み、前記複数の高分子ミクロスフェアが、BETによって決定した場合、約7.00m/g~約12.00m/gの表面積を有する、前記医薬組成物。
  50. 複数の高分子ミクロスフェアが、デキストロースを含む、請求項49に記載の医薬組成物。
  51. デキストロースが、複数の高分子ミクロスフェアの総重量の約0.1重量%~約1.0重量%を含む、請求項50に記載の医薬組成物。
  52. 複数の高分子ミクロスフェアが、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を含む、請求項49に記載の医薬組成物。
  53. HPBCDが、複数の高分子ミクロスフェアの総重量の約1重量%~約10重量%である、請求項52に記載の医薬組成物。
  54. HPBCDが、複数の高分子ミクロスフェアの総重量の約2重量%~約5重量%である、請求項52に記載の医薬組成物。
  55. 複数の高分子ミクロスフェアが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む、請求項49~54のいずれかに記載の医薬組成物。
  56. 先端巨大症、先端巨大症がん、SST-R5発現腫瘍、2型糖尿病、高血糖症、及びホルモン関連腫瘍からなる群から選択される疾患又は状態を有する対象を治療するための、請求項1、23及び49のいずれかに記載の医薬組成物。
  57. 医薬組成物が、注射によって投与される、請求項56に記載の医薬組成物。
  58. 医薬組成物が、皮下注射によって投与される、請求項56に記載の医薬組成物。
  59. 医薬組成物が、筋肉内注射によって投与される、請求項56に記載の医薬組成物。
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