本発明を回転式の塵芥収集車に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、塵芥収集車の前後左右を単に「前後左右」と言うこともある。また、図6、図7等に示すように、塵芥収集車の前後方向を「X方向」、塵芥収集車の左右方向を「Y方向」、塵芥収集車の高さ方向を「Z方向」と言うこともある。
図1、図2には、本発明の実施形態に係る人物認識装置を装備した塵芥収集車100を示している。塵芥収集車100では、車台1上には塵芥収容箱2と塵芥投入箱3とが設けられており、塵芥収容箱2の後方の開口部と塵芥投入箱3の前面の開口部とが連通されている。また、塵芥投入箱3は、その上部に設けられた左右方向の枢軸3aによって塵芥収容箱2に対して軸支されており、図示しない左右一対の傾動シリンダによって傾動されるようになっている。
また、塵芥投入箱3の背面における下寄りの部位には、ごみを投入するための略矩形状の塵芥投入口4が開口され、昇降可能なテールゲート5によって、塵芥投入口4が開閉されるようになっている。塵芥投入口4の左側方には、塵芥積込装置の作動などの操作のためのスイッチボックス6が設けられている。また、塵芥投入口4の下方には、塵芥投入口4の近傍のエリアに計測光としてのレーザ光を照射するようにセンサヘッド7が配設されている。塵芥投入口4の下方には、案内テーブル4cが設けられており、案内テーブル4cの基端側が、塵芥投入口4の幅方向に延びる回転軸(図示せず)に固定されている。案内テーブル4cは、水平位置(図1に実線で示す位置)と、直立位置(図1に破線で示す位置)との間で回動可能に設けられている。そして、ごみの収集作業時、テールゲート5が開放されるとともに、案内テーブル4cが水平位置で固定され、それ以外の場合、テールゲート5が閉鎖されるとともに、案内テーブル4cが直立位置で固定されるようになっている。
図3に示すように、塵芥投入箱3の内部には、投入されたごみを塵芥収容箱2に積み込む塵芥積込装置が装備されている。本実施形態の塵芥積込装置は、回転板(積込部材)10の回転によってごみを掻き上げるとともに、押込板20によって塵芥収容箱2内へと押し込む、いわゆる回転式の塵芥積込装置として構成されている。具体的には、塵芥投入箱3内の下部においてその幅方向に延びるように回転軸11が架設され、これに回転板10の基端側が固定されている。
図示の例では、回転軸11の端部に減速機構12を介して正逆回転可能な油圧モータ13が連結されている。この油圧モータ13の回転が減速機構12によりトルクアップされて回転軸11に伝達され、この回転軸11と一体に回転板10が回転されることで、その先端部は、断面略半円弧状に形成された塵芥投入箱3の底壁に沿って前後方向に移動するようになる。
一方、押込板20は、回転板10の上方において塵芥投入箱3の幅方向全体に亘って設けられ、その上部に設けられた左右方向の揺動軸21の周りに前後方向に揺動自在に支持されている。また、押込板20には、揺動軸21よりも上方に延びる延設部22が設けられ、この延設部22とその前方の支持ピン23との間に押込シリンダ24が架設されており、その伸縮作動によって押込板20を前後方向に揺動させるようになっている。
具体的には、図3に実線で示すように、押込板20が塵芥収容箱2の側に最も揺動した位置(前進限界位置)にあるときは、この押込板20に干渉することなく回転板10が上方に回動するようになり、これに遅れて押込板20が塵芥投入口4側へ揺動する。そして、押込板20が塵芥投入口4側に最も揺動し、図3に2点鎖線で示す後退限界位置に達した後も、回転板10の回動は継続される。
このようにして回転する回転板10は、ごみを塵芥収容箱2側に掻き込んで、図3に実線で示すように、前方の塵芥収容箱2側に延びる設定停止位置に一旦、停止する。そうすると、今度は押込板20が塵芥収容箱2側に揺動して、回転板10上のごみを塵芥収容箱2に押し込んでいく。そして、押込板20が再び前進限界位置に達すると、再び回転板10が上方へ回動するようになる。
このように互いに同期して回転板10の回転および押込板20の揺動が繰り返されることによって、塵芥投入箱3に投入されたごみが連続的に塵芥収容箱2に積み込まれる塵芥積込作動が行われる。このように回転板10および押込板20を作動させるための油圧回路および電子制御装置(制御系)の構成については後述する。
塵芥投入箱3の内部には、回転板10および押込板20の位置を検出するためのスイッチLS1~LS4が設けられている。具体的には、図3に示すように、押込板20が前進限界位置または後退限界位置にあるときにそれぞれオンになるスイッチLS1,LS2と、回転板10が設定停止位置にあるときにオンになるスイッチLS3と、その設定停止位置から回転板10が正の向き(図1の時計回り)に所定角度回転したときにオンになり、さらに所定角度回転したときにオフになるスイッチLS4とが設けられている。
なお、スイッチLS1,LS2は、押込板20の揺動軸21の端部に設けられた図示しないドグを検出するようになっており、スイッチLS3~LS4は、回転板10の回転軸11の端部に設けられた図示しないドグを検出するようになっている。また、これらのスイッチLS1~LS4としては、例えばリミットスイッチ、光電スイッチ、近接スイッチなどを用いることができる。
また、スイッチLS4は、図3にハッチングで示すように、回転板10が塵芥投入口4の前縁部4aの真下から、その後方へ回転しつつ下降して塵芥投入口4の後縁部4bに最も近接するまでの角度範囲(作動範囲)Z1を検出するもので、回転板10が塵芥投入口4の近傍にて作動していることを検出するためのセンサである。この角度範囲Z1においては回転板10が作業者の体の一部を巻き込む危険性があるので、以下では「危険な角度範囲Z1」と言う。
さらに、図1~図3に示すように、塵芥投入口4の近傍には、塵芥積込装置の作動を停止させるための緊急停止ボタン60,61や、緊急停止プレート62などが配設されている。図1に示すように、塵芥投入口4の左側のスイッチボックス6に緊急停止ボタン60が配設され、また、図3に破線で示すように、塵芥投入口4の右側に緊急停止ボタン61が配設されている。緊急停止プレート62は、塵芥投入口4の下方においてスイッチSW3をオンオフするように配設されている。また、図2に示すように、案内テーブル4cの先端部には、第1の人物認識報知部としての人物認識ランプ95が複数設けられており、人物認識ランプ95の作動状態は、消灯状態と、第1報知状態(例えば緑色の点灯状態)と、第2報知状態(例えば黄色の点灯状態)との間で変更可能になっている。
緊急停止プレート62は、塵芥投入口4の幅方向(左右方向)に沿って延びるように設けられており、緊急停止プレート62の左右方向の中央部に切欠部62aが形成されている。切欠部62aは、緊急停止プレート62を上方から切り欠くことによって形成されており、この切欠部62aにセンサヘッド7が収容されている。センサヘッド7は、塵芥投入口4の下方において車幅方向に延びるクロスフレーム4dに固定されている。センサヘッド7の一部は、緊急停止プレート62の表面から後方へ突出している。これにより、センサヘッド7は、計測光としてのレーザ光を車幅方向に照射することが可能となっている。センサヘッド7の左右には、車両後退時にセンサヘッド7を保護するためのヘッド保護部4eがそれぞれ設けられている。ヘッド保護部4eは、緊急停止プレート62の上端部であって切欠部62aの左右に固定されている。このヘッド保護部4eの後端は、センサヘッド7の後端よりも後方側へ突出している。このため、車両後退時、センサヘッド7が後方の物体に直接、衝突することが回避されるようになっている。また、センサヘッド7の上側には、ごみの収集作業時に塵芥投入口4や案内テーブル4cから落ちるごみや汚水が、センサヘッド7にかかるのを避けるための庇部材4fが配設されている。この庇部材4fによって、切欠部62aの上方開口が塞がれている。センサヘッド7は、クロスフレーム4dに対して移動不能に設けられている。一方、緊急停止プレート62は、ヘッド保護部4eと庇部材44fと一体となって、クロスフレーム4dに対して揺動可能に設けられている。なお、ヘッド保護部4eと庇部材4fを直接、クロスフレーム4dに取り付ける構成としてもよい。
センサヘッド7は、例えば特開2015-213251号公報に示されるような公知の構成とされており、塵芥投入口4の近傍のエリアを含むレーザ照射領域W1(図6、図7参照)にレーザ光(計測光)を照射するとともに、レーザ照射領域W1の物体によって反射されたレーザ光(反射光)を受光するように構成されている。具体的には、図5に示すように、センサヘッド7は、レーザ光源71、コリメートレンズ72、ポリゴンミラー73、揺動ミラー74、集光レンズ75、受光器76、主走査モータ77、副走査モータ78、主走査モータドライバ79、および副走査モータドライバ80を備えている。センサヘッド7は、レーザ制御部70に接続されている。センサヘッド7の詳細については後述する。
-塵芥積込装置の制御系-
次に、図4、図5を参照して、塵芥積込装置を作動させるための制御系について説明する。この制御系は、塵芥積込装置の油圧モータ13や、押込シリンダ24などに供給する油圧を制御する油圧回路と、この油圧回路に設けられた電磁制御弁V1,V2に制御信号を出力する制御装置PLC(プログラマブル ロジック コントローラ)とを備えている。
まず、図4を参照して油圧回路について説明する。この油圧回路は、油圧ポンプP1と、オイルリザーバT1と、押込シリンダ24を制御するための電磁制御弁V1と、油圧モータ13を制御するための電磁制御弁V2とを備えている。なお、油圧ポンプP1には、図示しないエンジンの駆動力がPTO(パワー テイク オフ)を介して伝達されるようになっている。
一例として、電磁制御弁V1,V2は、いずれも6ポート3位置の電磁式の方向切替弁からなる。電磁制御弁V1は、制御装置PLCによりソレノイドSOLaが励磁されると第1連通位置(図4の上位置)に切り替わって、油圧ポンプP1からの作動油を一対の押込シリンダ24のロッド側油室に供給する。一方、電磁制御弁V1は、制御装置PLCによりソレノイドSOLbが励磁されると第2連通位置(図4の下位置)に切り替わって、作動油をヘッド側油室に供給する。
電磁制御弁V1から作動油がヘッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24が伸長作動して押込板20を前方に揺動させる。一方、作動油がロッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24は収縮作動して、押込板20を後方に揺動させる。また、いずれのソレノイドSOLa,SOLbも励磁されていないときに、電磁制御弁V1は中立位置(図4の中央位置)に復帰するようになる。
電磁制御弁V2は、ソレノイドSOLcが励磁されると第1連通位置(図4の下位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の正転側油室に供給し、当該油圧モータ13を正転作動させるほか、押込シリンダ24も伸縮作動させることができる。一方、ソレノイドSOLdが励磁されると電磁制御弁V2は第2連通位置(図4の上位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の逆転側油室に供給し、当該油圧モータ13を逆転作動させる。
また、いずれのソレノイドSOLc,SOLdも励磁されていないときに、電磁制御弁V2は中立位置(図4の中央位置)に復帰するようになる。電磁制御弁V1,V2の両方が中立位置にあるとき、作動油はオイルリザーバT1へ還流するようになる。なお、図示の油圧回路において、符号V3はチェック弁であり、また、符号V4は、油圧ポンプP1の吐出圧の上限を設定するためのリリーフ弁である。
次に、図5を参照して制御装置PLCなどの信号の入出力状態について説明する。まず、制御装置PLCへの電力供給は図5の左上に示すバッテリBTによって行われる。このバッテリBTの正極から図5の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、塵芥収集車100のキースイッチSWK、PTOスイッチSWP、リレーコイルCR1などが介設されている。
また、キースイッチSWKおよびバッテリBTの中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、その上流側(バッテリBTに近い側)にはリレーコイルCR1の接点cr1が介設されている。この通電ラインK3には電源ランプL1が介設されており、リレーコイルCR1がオンになって接点cr1が閉じられると、通電ラインK3に通電することによって電源ランプL1が点灯する。また、キースイッチSWKおよびバッテリBTの中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK7の上流端が接続されている。この通電ラインK7は、後述する情報処理ユニット9に接続されている。通電ラインK7には、ACCスイッチが介設されており、ACCスイッチのオンに対応するACC信号が情報処理ユニット9へ入力されるようになっている。
また、リレーコイルCR1の接点cr1および電源ランプL1の中間において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が接続されており、これにより制御装置PLCの信号用電力供給部(図示せず)に電力が供給されるようになっている。つまり、接点cr1が閉じられると、通電ラインK3,K4を介して制御装置PLCに電力が供給される。
さらに、通電ラインK4から分岐する通電ラインK5によって、塵芥積込装置の塵芥積込作動中には必ず制御装置PLCに通電されるようになっている。つまり、通電ラインK5は、いわゆる積込継続信号を入力するラインであり、ここには、上述した緊急停止ボタン60,61および緊急停止プレート62の操作に対応して開閉されるスイッチSW1~SW3などが介設されている。
これらのスイッチSW1~SW3によって通電(つまり、積込継続信号の入力)が遮断されると、制御装置PLCの作動が停止される。これにより、電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdを励磁させるための制御装置PLCからの制御信号の出力が全て途絶えて、電磁制御弁V1,V2が中立位置に復帰するようになり、塵芥積込装置の作動が停止されるようになっている。
また、通電ラインK4にはその途中から分岐する複数の分岐ラインが接続されており、これらの分岐ラインのそれぞれに、上述したスイッチLS1~LS4が介設されている。そのうちのスイッチLS1~LS3からの信号は制御装置PLCに入力されるようになっており、これらの信号に基づいて塵芥積込装置の回転板10および押込板20の位置、言い換えれば作動状況が検出される。
さらに、スイッチLS1~LS3の他にも制御装置PLCへの入力側には、図示しない塵芥積込装置の始動および停止スイッチ、塵芥積込作動の単動または連続の選択スイッチ、塵芥積込作動および塵芥排出作動の選択スイッチ、回転板10や押込板20を単独で作動させるスイッチ、塵芥投入箱3を傾動させて開放するスイッチなども接続されている。一方、回転板10が危険な角度範囲Z1にあることを検出するスイッチLS4からの信号は、制御装置PLCにではなく、情報処理ユニット9へ入力されるようになっている。
センサヘッド7は、レーザ制御部70による制御に従って、パルス状のレーザ光(レーザパルス)をレーザ照射領域W1に向かって照射する。つまり、センサヘッド7は、レーザ照射領域W1に設定された主走査方向(図7のY方向)および副走査方向(図6のX方向)に沿ってレーザパルスを計測光として照射する。センサヘッド7は、主走査方向(Y方向)に沿ってレーザパルスを1ライン分、照射した後に、レーザパルスの照射位置を主走査方向に直交する副走査方向(X方向)に沿って一定のピッチだけ移動させて、再び主走査方向に沿ってレーザパルスを1ライン分照射するという動作を繰り返すことにより、レーザ照射領域W1の全域に亘ってレーザパルスを照射する。また、センサヘッド7は、レーザ照射領域W1の物体から戻ってくるレーザパルスの反射光を順次受光し、その反射光の受光強度を示す受光信号をレーザ制御部70に出力する。
レーザ光源71は、レーザ制御部70による制御に従って、一定波長を有するレーザパルスをコリメートレンズ72へ出射するとともに、レーザパルスの繰り返しタイミングを示すタイミング信号をレーザ制御部70へ出力する。コリメートレンズ72は、レーザ光源71から入射されるレーザパルスを平行光に変換してポリゴンミラー73へ出射する。ポリゴンミラー73は、レーザパルスを反射するための複数(例えば3つ)の鏡面を有する多面体である。ポリゴンミラー73の回転軸は、主走査モータ77の回転軸と結合されている。主走査モータ77の回転によって、ポリゴンミラー73は、図5中の矢印で示す方向に回転する。ポリゴンミラー73の回転により、コリメートレンズ72からポリゴンミラー73に入射したレーザパルスは、揺動ミラー74へ向かって反射されるとともに、主走査方向に沿って走査される。
揺動ミラー74は、ポリゴンミラー73の回転軸に直交する軸回りに揺動可能に設置された平板状ミラーである。揺動ミラー74の回転軸は、副走査モータ78の回転軸と結合されている。副走査モータ78の回転によって、揺動ミラー74は、図5中の矢印で示す方向に揺動する。揺動ミラー74の揺動により、ポリゴンミラー73から揺動ミラー74に入射したレーザパルスは、センサヘッド7の外部(つまり、レーザ照射領域W1)へ向かって反射(出射)されるとともに、副走査方向に沿って走査される。
すなわち、センサヘッド7からレーザ照射領域W1に照射されるレーザパルスの水平角φ(レーザ照射領域W1を平面視した場合における、主走査方向とレーザパルスの照射方向との間の角度;図7参照)は、ポリゴンミラー73の回転によって制御される。また、センサヘッド7からレーザ照射領域W1に照射されるレーザパルスの垂直角θ(レーザ照射領域W1を側面視した場合における、副走査方向とレーザパルスの照射方向との間の角度;図6参照)は、揺動ミラー74の揺動によって制御される。
上述のような水平角φおよび垂直角θの制御によって、レーザパルスは、主走査方向および副走査方向に沿って走査され、その結果、レーザ照射領域W1の全域に亘ってレーザパルスが照射される。そして、反射されて戻ってくるレーザパルスの反射光は、揺動ミラー74およびポリゴンミラー73を介して集光レンズ75に入射する。集光レンズ75は、レーザパルスの反射光を受光器76の受光面に集光させる。受光器76は、集光レンズ75によって集光されたレーザパルスの反射光の光電変換を行い、その反射光の受光を示す受光信号をレーザ制御部70へ出力する。
主走査モータ77は、主走査モータドライバ79から入力される駆動信号に応じて回転するモータである。主走査モータドライバ79は、レーザ制御部70による制御に従って、主走査モータ77を一定速度で回転させるための駆動信号を生成して主走査モータ77へ出力する。上述のように、主走査モータ77の回転により、ポリゴンミラー73は回転する。副走査モータ78は、副走査モータドライバ80から入力される駆動信号に応じて回転するモータである。副走査モータドライバ80は、レーザ制御部70による制御に従って、揺動ミラー74を所定角および所定タイミングで揺動させるための駆動信号を生成して副走査モータ78へ出力する。上述のように、副走査モータ78の回転により、揺動ミラー74は揺動する。
また、図5に示すように、上述のように各種スイッチが入力側に接続されている一方、制御装置PLCの出力側には、上述した電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdなどが接続されている。そして、制御装置PLCは、スイッチSW1~SW3,LS1~LS3などから入力する信号に基づいて、予め設定された手順に従い、油圧モータ13や押込シリンダ24などを作動させるべく、対応するソレノイドSOLa~SOLdに出力するようにプログラムされている。
具体的には、塵芥積込装置が塵芥積込作動するときには、通電ラインK2上のキースイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれも閉じられて、リレーコイルCR1に通電される。これにより、リレーコイルCR1の接点cr1が閉じられるので、通電ラインK3~K5によって通電されることにより、制御装置PLCが作動可能な状態になって適宜、ソレノイドSOLa~SOLdに制御信号を出力するようになる。
この制御信号を受けてソレノイドSOLa~SOLdが励磁され、電磁制御弁V1,V2の位置が適宜、切り替えられることで、油圧モータ13や押込シリンダ24などに作動油圧が供給される。これにより、油圧モータ13や押込シリンダ24などがそれぞれ作動し、上述したように、回転板10の回転および押込板20の揺動が互いに同期して繰り返されることになる。
詳細には、まず図3に実線で示すように押込板20が前進限界位置にあって、スイッチLS1からオン信号が出力されるとともに、回転板10が設定停止位置にあって、スイッチLS3からもオン信号が出力されるときに、始動スイッチの信号を受けた制御装置PLCから制御信号が出力され、電磁制御弁V2が第1連通位置に切り替えられて、油圧モータ13が正転作動を開始する。これにより、回転板10は上方に回動し始める。
そして、所定の期間が経過すると制御装置PLCから電磁制御弁V1のソレノイドSOLaへ制御信号が出力されて、電磁制御弁V1が第1連通位置に切り替えられ、押込シリンダ24が収縮作動を開始する。これにより押込板20は後方の塵芥投入口4側へ揺動するようになり、この押込板20が後退限界位置に達すると、スイッチLS2からオン信号が出力される。
これを受けて制御装置PLCがソレノイドSOLaへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込板20の揺動が停止する。また、そうして押込板20が揺動している間も回転板10の回動は継続しており、ごみを塵芥収容箱2側に掻き込んでゆくが、こうして回動する押込板20が設定停止位置に至り、スイッチLS3からオン信号が出力される。
これを受けて制御装置PLCが、電磁制御弁V2のソレノイドSOLcへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V2が中立位置に復帰し、油圧モータ13の回動が停止する。また、制御装置PLCは、電磁制御弁V1のソレノイドSOLbへ制御信号を出力し、電磁制御弁V1が第2連通位置に切り替えられて、押込シリンダ24が伸長作動を開始することで、押込板20が前方へ揺動し始める。
こうして前方の塵芥収容箱2側に揺動する押込板20が、回転板10上のごみを塵芥収容箱2に押し込んでいき、前進限界位置に達すれば、スイッチLS1からオン信号が出力される。これを受けて制御装置PLCがソレノイドSOLbへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込シリンダ24の伸長作動、つまり、押込板20の前方への揺動が停止し、一連の動作が終了する。
また、図5に示すように、緊急停止用のスイッチSW1~SW3が介設されている通電ラインK5には、情報処理ユニット9が介設されているとともに、この情報処理ユニット9をバイパスするバイパスラインK6によって制御装置PLCに通電するための切替スイッチSWSも介設されている。また、情報処理ユニット9の出力側(図5の右側)には、運転席周辺に設けられたパイロットランプ94、および第1の人物認識報知部としての人物認識ランプ95が接続されており、その点灯制御が行われる。さらに、情報処理ユニット9の出力側には、第2の人物認識報知部としてのスピーカ96が接続されており、その作動制御が行われるようになっている。スピーカ96の作動状態は、消音状態と、第1報知状態(例えばテンポが緩やかな通常音での作動)と、第2報知状態(例えばテンポが速い警告音での作動)との間で変更可能になっている。
情報処理ユニット9は、情報処理装置であり、例えば図1に破線で示すように、運転席周辺に配設されている。情報処理ユニット9は、作業者Hなどの人物が塵芥投入口4近傍のエリアにいるか否かを判定する。図6には、塵芥投入口4の近傍に立った作業者H(人物)が、ごみ袋を積み込む様子が示されており、この作業者Hが検知エリアR1、あるいは警告エリアR2にいるか否かを情報処理ユニット9が判定するようになっている。情報処理ユニット9には、通電ラインK8を介して、センサヘッド7を制御するレーザ制御部70が接続されている。また、情報処理ユニット9には、上記通電ラインK4~K8に加え、レーザ制御部70からのデータを画像変換処理した結果を表示するためのモニタ93へつながる通電ラインK9が接続されている。情報処理ユニット9には、図5に模式的に示すように、所定のプログラムを実行して各種の制御を行う中央処理部CPUと、レーザ制御部70からのデータに基づいて公知の画像処理を行う画像処理部DSPと、中央処理部CPUや画像処理部DSPにおいて使用されるデータを記憶するメモリMと、中央処理部CPUの指令を受けて開閉されるリレースイッチSW4とが設けられている。
中央処理部CPUは、塵芥積込装置の積込作動時において、回転板10が危険な角度範囲Z1にあってスイッチLS4からのオン信号が入力され、かつ、画像処理部DSPから人物が警告エリアR2に入っているという信号を受けていた場合、リレースイッチSW4を開放させて、通電ラインK5による制御装置PLCへの通電を遮断する。すなわち、塵芥積込装置の積込作動時には、キースイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれも閉じられており、通電ラインK3~K5によって制御装置PLCに通電されている。そして、その通電ラインK5の途中に情報処理ユニット9が介設されているので、この状態でリレースイッチSW4が開放されると、制御装置PLCへの通電が遮断されて、塵芥積込装置の作動が停止されることになる。
-人物認識装置および緊急停止装置-
ところで、上述したように塵芥積込装置が塵芥積込作動をしているときには、塵芥投入口4にごみを投入している作業者Hが不注意から回転板10などに巻き込まれるおそれがある。そこで、本実施形態の塵芥収集車100においては、塵芥積込装置による塵芥積込作動時、塵芥投入口4の近傍のエリアをセンサヘッド7によって走査し、塵芥投入口4の近傍の検知エリアR1または警告エリアR2(図6参照)に、作業者Hなどの人物がいるか否かを判定するようにしている。
塵芥投入口4の下方に設けられたセンサヘッド7から照射されるレーザ光(レーザパルス)のレーザ照射領域W1は、上述した垂直角θ(図6参照)が、例えば10°~85°の範囲になっており、上述した水平角φ(図7参照)が、例えば0°~180°の範囲になっている。具体的には、主走査方向(Y方向)に沿って、水平角φが0°~180°の範囲で、一定のピッチ(例えば、0.3°~2°)でレーザパルスが照射される。レーザパルスが主走査方向(Y方向)に沿って、1ライン分(水平角φが0°~180°の範囲)、照射された後、レーザパルスの照射位置を副走査方向(X方向)に沿って、一定のピッチ(例えば、1.5°~3°)だけ移動する。このように、レーザパルスを主走査方向に沿って1ライン分照射した後に、レーザパルスの照射位置を副走査方向に沿って移動させる動作が繰り返されることによって、レーザ照射領域W1の全域に亘ってレーザパルスが照射される。本実施形態では、副走査方向のレーザパルスの照射が、垂直角θが10°~85°の範囲において、3°ごとのピッチで行われる。このため、主走査方向のレーザパルスの照射が、合計26ライン分だけ行われるようになっている。このように、レーザ制御部70は、レーザ光源71、主走査モータドライバ79、および副走査モータドライバ80を制御することにより、センサヘッド7の動作(つまり、レーザパルスの垂直角θおよび水平角φ)を制御する。なお、上述した水平角φの範囲やピッチ、垂直角θの範囲やピッチは一例であって、センシング精度や、動作速度、センサヘッド7の設置箇所等に応じて適宜変更可能である。ただし、垂直角θの下限値(10°)が大きすぎると、塵芥投入口4の近傍に立った作業者Hの脚を認識しにくくなるため、垂直角θの下限値は5°~15°であることが好ましい。
また、センサヘッド7から出射されたレーザパルスによって、塵芥投入口4の近傍のエリアが走査されると、レーザ照射領域W1に物体(例えば図6の作業者H)が存在すれば、その物体によってレーザパルスが反射される。このレーザパルスの反射光がセンサヘッド7に入射されると、受光器76によってレーザパルスの反射光の光電変換が行われ、レーザ制御部70へ受光信号が出力される。レーザ制御部70は、レーザ光源71から入力されるタイミング信号と、受光器76から入力される受光信号との時間差(遅延時間)に基づいて、センサヘッド7と物体における計測点P(レーザパルスの反射位置)との間の距離Lを演算する。そして、レーザ制御部70は、距離Lに加えて、物体における計測点Pにレーザパルスを照射したときのレーザパルスの垂直角θおよび水平角φを計測点Pの位置情報である3次元極座標データ(距離L,垂直角θ,水平角φ)として取得する。このように、レーザ照射領域W1の全域へのレーザパルスの照射によって、レーザパルスの反射光の受光信号がレーザ制御部70へ入力された全ての計測点Pに対して、各計測点Pの3次元極座標データが取得される。
また、レーザ制御部70は、取得した各計測点Pの3次元極座標データをXYZ直交座標データ(3次元直交座標データ)に変換する。このとき、XYZ直交座標データのX座標Pxは、[L・sinθ・cosφ]となり、Y座標Pyは、[L・sinθ・sinφ]となり、Z座標Pzは、[Z0-L・cosθ]となる(Z0は、センサヘッド7の地面からの高さであって、例えば、500mm~600mmに設定される)。このようにして得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)は、物体の表面においてレーザパルスが照射(反射)された位置に対応する。この場合、各計測点PのXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)は、センサヘッド7直下の地面の座標を原点(0,0,0)として算出される。このような座標変換が、各計測点Pの3次元極座標データに対してそれぞれ行われる。そして、各計測点Pの位置情報であるXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)は、レーザ制御部70から情報処理ユニット9へ出力される。
上述のようにセンサヘッド7からのレーザパルスの照射によって得られた複数の計測点Pの3次元位置情報に基づいて、作業者Hなどの人物が、塵芥投入口4の近傍のエリアにいるか否かを判定する人物認識処理を行うようにしている。本実施形態では、人物認識を行うための判定エリアとして、検知エリアR1および警告エリアR2が設定されている。具体的には、まず、作業者Hなどの人物が塵芥投入口4近傍の検知エリアR1(その外縁を図7に破線で示す)にいるか否かが判定される。そして、検知エリアR1に人物が入っていると判定すれば、検知エリアR1のうち塵芥投入口4に最も近傍の警告エリアR2(その外縁を図7に実線で示す)に人物が入ったか否かが判定される。この警告エリアR2に人物が入ったと判定すれば、人物認識ランプ95を点灯させたり、スピーカ96から警告音を発したり、塵芥積込装置の作動を停止させるようにしている。
図7に示すように、検知エリアR1は、作業者Hがごみの積込作業を行う際に通常の人物認識を行うエリアであり、塵芥投入口4の近傍の平面視で略矩形のエリアに設定される。検知エリアR1は、XZ平面に平行な対向する1対の平面と、YZ平面に平行な対向する1対の平面とによって囲われた領域になっている。例えば、検知エリアR1は、左右方向(Y方向)の長さが、塵芥収集車100の車幅よりも若干大きい長さであり、2000mm~2200mmに設定され、また、前後方向(X方向)の長さが、原点を基準として、800mm~2000mmに設定される。警告エリアR2は、作業者Hに警告を行い、さらに塵芥積込装置の回転板10が上述した危険な角度範囲Z1にある場合に積込停止を行うエリアであり、塵芥投入口4の後縁部4b付近の平面視で略矩形のエリアに設定される。警告エリアR2は、XZ平面に平行な対向する1対の平面と、YZ平面に平行な対向する1対の平面とによって囲われた領域になっている。警告エリアR2は、検知エリアR1の内側に設定されている。例えば、警告エリアR2は、左右方向(Y方向)の長さが、塵芥投入口4の幅と略同じ長さであり、1600mm~1800mmに設定され、また、前後方向(X方向)の長さが、原点を基準として300mm~500mmに設定される。なお、上記の検知エリアR1および警告エリアR2の設定は一例であって、上記以外の設定を行ってもよい。
-情報処理のルーチン-
次に、図8のフローチャートを参照して、レーザ制御部70および情報処理ユニット9で実行される情報処理のルーチンについて説明する。まず、スタート後のステップS1において、ACCスイッチがオンか否か、言い換えれば、ACCスイッチのオンに対応するACC信号が情報処理ユニット9へ入力されたか否かが、情報処理ユニット9の中央処理部CPUにより判定される。このステップS1の判定は、通電ラインK7を介して情報処理ユニット9へ入力されるACC信号の有無に基づいて行われる。そして、ACC信号の入力があった場合(YES)、ステップS2へ進み、ACC信号の入力が無かった場合(NO)、ACC信号が入力されるまで待機する。ステップS2において、初期化処理が行われた後、ステップS3において、情報処理ユニット9の出力側に接続されているパイロットランプ94が、情報処理ユニット9により点灯(オン)される。
次に、ステップS4において、PTOがオンか否か、言い換えれば、上述した積込継続信号が情報処理ユニット9へ入力されたか否かが、情報処理ユニット9の中央処理部CPUにより判定される。このステップS4の判定は、通電ラインK5を介して情報処理ユニット9へ入力される積込継続信号の有無に基づいて行われる。そして、積込継続信号の入力があった場合(YES)、ステップS5へ進み、積込継続信号の入力が無かった場合(NO)、積込継続信号が入力されるまで情報処理ユニット9は待機する。そして、ステップS5において、センサヘッド7による走査が開始される。すなわち、レーザ制御部70によりセンサヘッド7が駆動され、塵芥投入口4の近傍のレーザ照射領域W1へレーザパルスが照射される。
次に、ステップS6において、検知エリアR1での人物認識処理が行われる。この検知エリアR1での人物認識処理の詳細について、図9のフローチャートを参照して説明する。まず、スタート後のステップS31において、全ての計測点Pに対して、各計測点Pの3次元位置情報である3次元極座標データ(L,θ,φ)が、レーザ制御部70により取得され、ステップS32において、レーザ制御部70が、各計測点Pの3次元極座標データをXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)に変換する。
そして、ステップS33において、情報処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップS32で得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、X座標PxおよびY座標Pyがともに、検知エリアR1内に入っているデータを人物認識処理の認識対象データとして抽出する。つまり、レーザ照射領域W1は、塵芥収集車100の後方へ7m程度、左右方向にも車幅の数倍広い領域になっている。このため、このレーザ照射領域W1に存在する物体をすべて認識しようとすると、作業者Hではなく塵芥収集車100から離れた通りすがりの歩行者を人物として認識したり、周囲の建物や置物等を人物として誤認識したりする可能性が高まる。本実施形態では、予め、塵芥収集車100の作業者Hが塵芥投入口4に近づく領域である検知エリアR1内に入っているデータだけを認識対象データとし、検知エリアR1の外に物体があったとしてもそのデータを無視して認識対象データとしないこととしている。
次に、図11~図13を参照して説明する。図11~図13では、センサヘッド7、塵芥投入口4の近傍の検知エリアR1内に立った作業者H(人物)、人物認識処理を行うための判定エリア(検知エリアR1および警告エリアR2)等を模式的に示している。ここでは、センサヘッド7からのレーザパルスが、塵芥投入口4の近傍の地面、言い換えれば、塵芥投入口4の近傍に立った作業者Hの2本の脚に向けて照射されるようになっている。
上述したように、センサヘッド7からのレーザパルスが、作業者Hに照射された位置の位置情報、言い換えれば、レーザパルスが反射された各計測点Pの位置情報が、レーザ制御部70において3次元極座標データ(L,θ,φ)として取得され、XYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)に変換される。そして、情報処理ユニット9が、各計測点PのX座標PxおよびY座標Pyがともに、検知エリアR1内に入っているデータを人物認識処理の対象データとして抽出する。図11~図13では、抽出された各計測点Pを、「+」印で示している。図13では、作業者Hを省略しており、この図13に示すような各計測点P(計測点群)の形状が、情報処理ユニット9で認識される物体の形状になっている。
次に、ステップS34において、情報処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップS33で抽出した認識対象データ(計測点群のデータ)のうち、Y座標PyおよびZ座標Pzがともに隣り合っている計測点群のデータを物体として抽出し、この物体として抽出した全ての計測点群のデータを基準平面としてのYZ平面上に投影(正射影)する(抽出した計測点群の全てのX座標Pxを0にする)。そして、YZ平面上に投影された計測点群のデータを、2次元形状の物体像A(第1の2次元物体像)として抽出する。この物体像Aは、原点からX方向(塵芥収集車100の後端からまっすぐ後方)を見たときの2次元形状となる。例えば、図14では、YZ平面上に投影された計測点群のデータを、「+」印で示している。図14では、YZ平面上に投影された計測点群のデータとして、2つの2次元形状が現れており、この2次元形状を、物体像A1,A2として抽出している。なお、図14では、2つの物体像A1,A2が抽出された場合を示しているが、この抽出処理によって得られる物体像Aの数は2つに限定されず、得られる物体像Aの数が、0や、1つ、あるいは3つ以上の場合もある。
そして、情報処理ユニット9は、ステップS34で得られた物体像A(YZ平面上に現れた物体像A)が人物であるか否かを判定する人物認識処理を行う。具体的には、まず、ステップS35において、YZ平面上の物体像Aの面積が所定値以上であるか否かを判定する。YZ平面上の物体像Aの面積は、例えば図14に示される「+」印の数に応じて算出することが可能である。例えば、YZ平面上の物体像Aに含まれる「+」印の数が、100個である場合、YZ平面上の物体像Aの面積が、100として算出される。
そして、YZ平面上の物体像Aの面積が所定値以上であれば(YES)、ステップS36へ進み、YZ平面上の物体像Aの面積が所定値未満であれば(NO)、ステップS41へ進む。ステップS41では、YZ平面上の物体像Aは、人物ではないと認識し、ステップS40へ進む。この判定により、塵芥投入口4の近傍の検知エリアR1内に、面積が比較的小さな物体(例えば塵芥投入口4の近傍の小動物や人形など)が存在していたとしても、その物体は人物ではないと認識される。
ステップS36において、YZ平面上の物体像Aの最小のZ座標Pzが、地面近傍であるか否かを判定する。ここでは、地面のZ座標が0であるため、物体像Aの最小のZ座標Pzが、0の近傍であるか否かが判定される。本実施形態では、センサヘッド7の副走査方向のレーザパルスの照射が3°ごとのピッチで行われるため、Z方向には所定のピッチずつしかデータを得ることができない。したがって、物体像Aのもととなった作業者Hが実際には地面に接していたとしても、物体像Aの最小Z座標が0でない場合がある。また、作業者Hが履いている靴のつま先が地面に対して反り上がっていることによって物体像Aの最小Z座標が0でない場合がある。そこで、それらのような誤差を考慮して、Z座標Pzが0の近傍となる所定範囲内であれば物体像Aは地面に接していると判定することとしている。
そして、YZ平面上の物体像Aの最小のZ座標Pzが、地面近傍であれば(YES)、ステップS37へ進み、YZ平面上の物体像Aの最小のZ座標Pzが、地面近傍でなければ(NO)、ステップS41へ進む。ステップS41では、YZ平面上の物体像Aは、人物ではないと認識し、ステップS40へ進む。この判定により、塵芥投入口4の近傍の検知エリアR1内で、空中に存在している物体(例えば、塵芥投入口4へ投入されるごみ袋など)があったとしても、その物体は人物ではないと認識される。
次に、ステップS37、S38において、YZ平面上の物体像Aが、人物の特徴を有するか否かを、情報処理ユニット9の画像処理部DSPがメモリMに保存されている人物特徴データを参照して判定する。このとき参照される人物特徴データは、人物の脚に関する特徴データであって、予め多くの人物の脚の画像を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したものである。
そして、YZ平面上の物体像Aが、人物の特徴を有していれば(YES)、つまり、人物特徴データを参照し、この人物特徴データの条件を満たしていれば、ステップS39において、そのような物体像Aを、人物であると認識する。一方、YZ平面上の物体像Aが、人物の特徴を有していなければ(NO)、つまり、人物特徴データを参照し、この人物特徴データの条件を満たしていなければ、ステップS41において、YZ平面上の物体像Aは、人物ではないと認識する。この判定により、塵芥投入口4の近傍の検知エリアR1内に、比較的細長い物体(例えば塵芥投入口4の近傍に立てかけた長尺のごみなど)や、比較的幅広の物体(例えば段ボール箱など)が存在していたとしても、その物体は人物ではないと認識される。
次に、ステップS40において、情報処理ユニット9は、ステップS35~S39の人物認識処理を、ステップS34で得られた全ての物体像Aに対して行ったか否かを判定する。例えば、図14に示すように、2つの物体像A1,A2が得られた場合、各物体像A1,A2に対して、それぞれ人物認識処理が行われる。そして、全ての物体像Aに対する人物認識処理が終わっていれば、このルーチンを終了する(エンド)。
図8のフローチャートに戻り、ステップS7において、ステップS6(図9のステップS31~S41)の人物認識処理に基づいて、情報処理ユニット9は、検知エリアR1内の物体像Aが人物として認識されたか否かを判定する。つまり、YZ平面上に投影された物体像Aの面積が所定値以上であり、物体像Aの最小のZ座標Pzが地面近傍であり、かつ、物体像Aが人物特徴データの条件を満たしていれば(YES)、そのような物体像Aが、人物であると認識され、ステップS8へ進む。一方、検知エリアR1内の物体像Aが人物として認識されなかった場合や、検知エリアR1内で物体像Aが検出されなかった場合(NO)、ステップS18へ進む。
次に、ステップS8において、警告エリアR2での人物認識処理が行われる。この警告エリアR2での人物認識処理の詳細について、図10のフローチャートを参照して説明する。まず、スタート後のステップS51において、情報処理ユニット9は、上述した検知エリアR1内において人物であると認識された物体像A(第1の2次元物体像)の投影元となった計測点Pのうち、X座標PxおよびY座標Pyがともに警告エリアR2内に入っているデータのみを、人物認識処理の認識対象データとして抽出する。例えば、図15に示すように、検知エリアR1と警告エリアR2との境界線上にあってYZ平面と平行な仮想の境界平面よりも警告エリアR2側に入っている計測点Pのみを抽出し、その抽出した計測点P(計測点群)をYZ平面に正射影する(抽出した計測点PのX座標Pxを0にする)ことによって、図16に示すような新たな2次元形状の物体像B(第2の2次元物体像)を構成する。なお、図15、図16の例では、1つの物体像B1のみが抽出された場合を示しているが、この抽出処理によって得られる物体像Bの数は1つに限定されず、得られる物体像Bの数が、0や、あるいは2つ以上の場合もある。例えば、図17、図18では、作業者Hが図15、図16の場合よりもセンサヘッド7に近づいており、2つの物体像B1,B2が抽出された場合を示している。また、図19、図20では、作業者Hが図17、図18の場合よりもセンサヘッド7に近づいた状態で2つの物体像B1,B2が抽出された場合を示している。図16、図18、図20は、それぞれ図15、図17、図19に対して原点からX方向(塵芥収集車100の後端からまっすぐ後方)を見るように視点を変えた図であるが、この図16、図18、図20で現れた2次元形状が物体像B(B1、B2)となっている。なお、図16、図18、図20では、警告エリアR2に入っていない計測点Pが上記境界平面により隠されている。
次に、ステップS52において、情報処理ユニット9は、物体像Bの面積を算出する。物体像Bの面積は、例えば図16に示される「+」印の数に応じて算出することが可能である。例えば、物体像Bに含まれる「+」印の数が、30個である場合、物体像Bの面積が、30として算出される。そして、上述した物体像Aの面積に対する物体像Bの面積の割合(面積比)を算出する。例えば、図14に示す物体像A1に含まれる「+」印の数が、100個であり、図16に示す物体像B1に含まれる「+」印の数が、30個である場合、上記の割合は、0.3になる。
また、複数の物体像Bが抽出された場合、それぞれの物体像Bについて、上記の割合を算出する。例えば、図14に示す物体像A1に含まれる「+」印の数が、100個であり、図18に示す物体像B1に含まれる「+」印の数が、90個である場合、上記の割合は、0.9になる。また、図14に示す物体像A2に含まれる「+」印の数が、100個であり、物体像B2に含まれる「+」印の数が、30個である場合、上記の割合は、0.3になる。
また、例えば、図14に示す物体像A1に含まれる「+」印の数が、100個であり、図20に示す物体像B1に含まれる「+」印の数が、100個である場合、上記の割合は、1.0になる。また、図14に示す物体像A2に含まれる「+」印の数が、100個であり、物体像B2に含まれる「+」印の数が、90個である場合、上記の割合は、0.9になる。
次に、ステップS53において、算出した上記の割合が、所定値以上か否かを判定する。この所定値は、例えば0.5に設定される。複数の物体像Bが抽出され、それぞれの物体像Bについて上記の割合が算出された場合、そのうち最大の割合について、所定値以上であるか否かが判定される。そして、上記の割合が所定値以上の場合(YES)、ステップS54において、警告エリアR2内に人物が入っていると認識する。一方、上記の割合が所定値未満の場合(NO)、ステップS56において、警告エリアR2内に人物が入っていないと認識する。例えば、図15、図16の例では、上記の割合が0.3であり、警告エリアR2内に人物が入っていないと認識される。これに対し、図17、図18の例では、上記の割合が0.9であり、警告エリアR2内に人物が入っていると認識される。また、図19、図20の例では、上記の割合が1.0であり、警告エリアR2内に人物が入っていると認識される。
次に、ステップS55において、情報処理ユニット9は、ステップS52、S53の人物認識処理を、ステップS51で得られた全ての物体像Bに対して行ったか否かを判定する。そして、全ての物体像Bに対する人物認識処理が終わっていれば、このルーチンを終了する(エンド)。
図8のフローチャートに戻り、ステップS9において、情報処理ユニット9は、ステップS8(図13のステップS51~S56)の人物認識処理に基づいて、警告エリアR2内に人物が入ったことが認識されたか否かを判定する。つまり、物体像Aの面積に対する物体像Bの面積の割合(面積比)が所定値以上である場合(YES)、警告エリアR2内に人物が入ったことが認識され、ステップS10へ進む。一方、上記の割合が所定値未満である場合(NO)、ステップS15へ進む。
次に、ステップS10において、案内テーブル4cの先端部に設けられた人物認識ランプ95が点灯(オン)され、また、ステップS11において、スピーカ96が作動され、人物認識報知音が出力(オン)される。この場合、人物認識ランプ95およびスピーカ96は、警告エリアR2内に入ったことを作業者Hに伝えるため、第2報知状態で作動される。例えば、人物認識ランプ95は、黄色で点灯される。また、スピーカ96は、警告音を発する。この警告音は、後述するステップS20の通常音よりも断続のテンポが速くなっている。
上述のように、ステップS10、S11においては、人物認識報知部としての人物認識ランプ95およびスピーカ96により警告エリアR2内に人物が入っていることが報知される。この場合、塵芥積込装置が作動中であれば、作業者Hは、現在の自分の立ち位置のままであるとそのうち塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1に入って塵芥積込装置が停止されるということを、意識することができる。ごみの積込作業時において一挙に大量のごみを投入したり満載近くなったりすると、塵芥積込装置の作動中にごみが塵芥投入口4から外に飛び出しやすくなるので、作業者Hが一時的に警告エリアR2内に入ってごみの飛び出しを手で抑制することがある。このようなときに、作業者Hは、塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1に入る間だけ警告エリアR2の外に退避するタイミングを、人物認識ランプ95やスピーカ96の光や音の変化によって計り易くなる。これにより、作業者Hが望まない塵芥積込装置の強制停止を避けることができ、作業性を向上させることができる。
次に、ステップS12において、情報処理ユニット9により、塵芥積込装置の回転板10が、危険な角度範囲Z1(図3参照)にあるか否かが判定される。この判定は、スイッチLS4からの信号の有無に基づいて行われる。そして、スイッチLS4からの信号がオンであると、塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1にある(YES)と判定されて、ステップS13へ進み、スイッチLS4からの信号がオフであると、回転板10が危険な角度範囲Z1に無い(NO)と判定されて、ステップS14へ進む。
ステップS13において、情報処理ユニット9は、制御装置PLCへの通電を遮断し、ステップS21へ進む。具体的には、具体的には、情報処理ユニット9の中央処理部CPUは、スイッチLS4からの信号がオン、かつ、画像処理部DSPから人物が警告エリアR2に入っているという信号を受けると、リレースイッチSW4を開放させる。すなわち、図示しないリレーコイルに通電してスイッチの接点を開くことにより、通電ラインK5による制御装置PLCへの通電を遮断する。これにより制御装置PLCの作動が強制的に停止されるので、仮に制御装置PLCに何らかの異常があっても、電磁制御弁V1,V2の全てのソレノイドSOLa~SOLdへの通電が停止されることになる。よって、第1連通位置または第2連通位置にある電磁制御弁V1,V2が全て中立位置に復帰するようになり、その結果、直ちに油圧モータ13および押込シリンダ24の作動が停止される。つまり、情報処理ユニット9において人物が警告エリアR2に入っており、かつ、塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1にあると判定されれば、塵芥積込装置の作動を停止させるようになっており、これにより、ごみを積み込む作業者Hなどの安全性の確保が図られている。
一方、上記ステップS12において、塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1に無い場合(NO)、ステップS14では、情報処理ユニット9の中央処理部CPUは、制御装置PLCへの通電を遮断せずに、塵芥積込装置の作動を継続可能とし、ステップS21へ進む。
また、ステップS9において、警告エリアR2内に人物が入ったことが認識されなかった場合(NO)、ステップS15へ進むが、このステップS15では、情報処理ユニット9の中央処理部CPUは、制御装置PLCへの通電を遮断せずに、塵芥積込装置の作動を継続可能にする。その後、ステップS16において、案内テーブル4cの先端部に設けられた人物認識ランプ95が中央処理部CPUにより点灯(オン)され、また、ステップS17において、スピーカ96が中央処理部CPUにより作動されて人物認識報知音が出力(オン)される。その後、上記ステップS21へ進む。この場合、人物認識ランプ95は、検知エリアR1内で人物が検出されたものの、その人物が警告エリアR2内へ入っていないことを作業者Hに伝えるため、第1報知状態で点灯される。また、スピーカ96は、通常の通知音を発する。通常の通知音は、例えば断続的でゆったりとしたテンポの音となっている。作業者Hは、人物認識ランプ95およびスピーカ96の第1報知状態での作動により、情報処理ユニット9が正常に動作していることを確認できる。
また、ステップS7において、検知エリアR1内で人物が検出されなかった場合(NO)、ステップS18へ進むが、このステップS18では、情報処理ユニット9の中央処理部CPUは、制御装置PLCへの通電を遮断せずに、塵芥積込装置の作動を継続可能にする。その後、ステップS19において、人物認識ランプ95が中央処理部CPUにより消灯され、また、ステップS20において、スピーカ96が中央処理部CPUにより消音される。その後、ステップS21へ進む。
ステップS21において、PTOがオフか否か、言い換えれば、上述した積込継続信号が情報処理ユニット9へ入力されなくなったか否かが情報処理ユニット9の中央処理部CPUにより判定される。そして、積込継続信号の入力がある場合(NO)、ステップS6に戻り、ステップS6~S20の処理を繰り返す。例えば、ステップS6~S20の処理を、1秒間に数回の周期で繰り返し実行するようにする。これにより、ごみの積込作業における作業者Hの動作や立ち位置の変化、および、塵芥積込装置の作動位置の変化に応じて、人物認識ランプ95の色の変化(黄色、緑色、消灯)と、スピーカ96の音の変化(警告音、通常の通知音、消音)と、制御装置PLCへの通電のオンオフの変化が連続的に行われる。
一方、ステップS21において、情報処理ユニット9に対する積込継続信号の入力がない場合(YES)、ステップS22へ進む。ステップS22において、センサヘッド7による走査が終了され、ステップS23において、人物認識ランプ95が消灯され、ステップS24において、スピーカ96の人物認識報知音がオフされ、情報処理ルーチンを終了する(エンド)。
上述したように、本実施形態の塵芥収集車100においては、センサヘッド7から塵芥投入口4の近傍のレーザ照射領域W1にレーザ光を照射し、センサヘッド7によって受光された反射光を用いて、物体の反射位置となる複数の計測点Pのそれぞれについて3次元位置情報を取得し、取得した複数の3次元位置情報に基づいて、塵芥投入口4の近傍の検知エリアR1に人物がいるか否かを判定する人物認識処理を行っている。このように、センサヘッド7によって得られた3次元位置情報を用いて人物認識処理を行うので、距離情報を取得できないカメラを用いた場合に比べて、より正確に人物を認識することができる。すなわち、周囲が暗い環境(夜間や悪天候時等)や、塵芥投入口4に対する人物の前後方向の立ち位置が変化した場合であっても、センサヘッド7による3次元センシングへの悪影響がほとんどないため、取得した3次元位置情報に基づいてセンサヘッド7から物体までの距離および物体の3次元形状を正確に計測することができ、人物認識の精度を高めることができる。また、人物認識の精度が高くなることにより、塵芥積込装置が作動停止してごみの積込作業が中断するような事態が発生することを抑制できる。その結果、安全性および作業性に優れた塵芥収集車100を提供することができる。
また、塵芥投入口4の上方にカメラを設けた場合、カメラによって斜め上方から撮影された画像に基づいて人物認識が行われるため、塵芥投入口4と人物との距離を正確に計測することが困難であり、人物認識の精度を確保できないという問題があった。しかし、本実施形態によれば、取得した3次元位置情報に基づいて、センサヘッド7から物体までの距離が計測されるので、塵芥投入口4と人物との距離を正確に計測することできる。そして、取得した3次元位置情報のXY座標が検知エリアR1内に含まれているか否かによって、検知エリアR1内に人物がいるか否かを判定するので、人物認識の精度を高めることができ、安全性を向上させることができる。
本実施形態では、センサヘッド7から塵芥投入口4の近傍の地面に向けてレーザ光を照射しており、塵芥投入口4の近傍に立った人物(作業者H)の脚を目標としてレーザ光を照射している。つまり、作業者Hがごみ袋を塵芥投入口4へ投入する際、作業者Hは塵芥投入口4の正面に立ち、かつ、ごみ袋を手で持って塵芥投入口4へ投入するので、ごみ袋は空中に浮き、地面から離れている一方、作業者Hの脚は地面に接することになる。このため、地面に立った作業者Hの脚を目標としてレーザ光を照射することによって、塵芥投入口4へ投入されるごみ袋を作業者Hであると誤認識することを抑制できるので、人物認識の精度を高めることができ、安全性を向上させることができる。
ここで、塵芥投入箱3の後方上部にカメラが配設されている場合、カメラと人物の間にごみ(特に、段ボールのような長尺物)が入ることによって人物認識が不可能になってしまう場合があった。しかし、本実施形態によれば、塵芥投入口4の下方からレーザ光が地面に向けて照射されるので、段ボールのような長尺物によって、人物認識が不可能になってしまうような状況を回避することができる。
また、本実施形態では、センサヘッド7の上側に当該センサヘッド7を覆う庇部材4fが設けられているので、ごみの収集作業時に塵芥投入口4から落下したごみや汚水を庇部材4fで受けて、センサヘッド7が汚れるのを抑制することができる。これにより、センサヘッド7から照射されるレーザ光がセンサヘッド7に付着したごみや汚水によって遮られることを抑制できるので、人物認識の精度を高めて、安全性を向上させることができる。
また、本実施形態では、人物特徴データ(人物の脚に関する特徴データ)を参照して、3次元位置情報から抽出した2次元物体像が人物であるか否かを判定しているため、予め大量のサンプル画像を使用して情報処理装置に人物の特徴を学習させておくことで、例えば塵芥投入口4の近傍に立てかけた長尺のごみや、段ボール箱などを作業者Hであると誤認識することを抑制できるので、人物認識の精度を高めて、安全性を向上させることができる。
また、本実施形態では、上述した物体像Aの面積に対する物体像Bの面積の割合(面積比)に基づいて、この割合が所定値以上であるか否かによって、警告エリアR2内に人物が入ったか否かを判定している。これにより、所定値を比較的大きい値(例えば0.5)に設定することによって、人物の脚の一部分(例えば、膝や、つま先など)しか警告エリアR2内に入っていない場合、警告エリアR2内に人物が入っていないと判定することができ、警告エリアR2内に入ったという判定が頻繁に繰り返されることを抑制できる。一方、所定値を比較的小さい値(例えば0.1)に設定することによって、人物の脚の一部分でも警告エリアR2内に入っていれば、警告エリアR2内に人物が入っていると判定することができ、これにより、ごみを積み込む作業者Hの安全性を向上させることができる。
また、本実施形態では、検知エリアR1に人物が入っている場合には、人物認識ランプ95が第1報知状態(例えば緑色)で作動され、警告エリアR2内に人物が入った場合には、人物認識ランプ95が第2報知状態(例えば黄色)で作動される。また、検知エリアR1に人物が入っている場合には、スピーカ96が第1報知状態(例えば断続的でゆったりとしたテンポの通常の通知音)で作動され、警告エリアR2内に人物が入った場合には、スピーカ96が第2報知状態(例えば通常よりも断続のテンポが速い警告音)で作動される。これにより、人物認識ランプ95およびスピーカ96が第1報知状態で作動されたことを作業者Hが確認することによって、人物認識装置が正常に作動していることを容易に確認することができる。また、人物認識ランプ95およびスピーカ96が第2報知状態で作動されたことを作業者Hが確認することによって、自身が警告エリアR2内に入ったことを容易に認識することができ、警告エリアR2外へ退避することで、体の一部が巻き込まれる危険を回避することができる。これにより、作業者Hが望まない塵芥積込装置の強制停止を避けることができ、作業性を向上させることができる。なお、警告エリアR2内に人物が入った場合には、人物認識ランプ95を点滅させたり、スピーカ96から人の言葉を出力させたりしてもよい。また、人物認識ランプ95やスピーカ96以外の手段によって作業者Hへの報知を行うようにしてもよく、例えば複数の色を塗り分けた回転板を反転させることによって、作業者Hへの報知を行ってもよい。また、人物認識ランプ95を、案内テーブル4cの先端部に設けたが、これに限らず、塵芥投入口4の左側のスイッチボックス6や、塵芥投入口4の上縁部内側において塵芥投入箱3の左右の側壁同士をつなぐクロスバーに設けてもよい。
本実施形態では、警告エリアR2に人物が入っており、塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1にある場合、塵芥積込装置の作動を停止させるために、情報処理ユニット9自体を制御装置PLCへの通電ラインK5に介設しており、塵芥積込装置の作動を停止させるときには、情報処理ユニット9に備えたリレースイッチSW4を開放して、通電を遮断する。こうして通電を遮断することによって、制御装置PLCの作動が停止するので、この制御装置PLC自体に何らかの異常が発生していても、その影響を受けることはない。また、情報処理ユニット9自体を通電ラインK5に介設しているので、この情報処理ユニット9と制御装置PLCとの間の配線の不具合が問題になることもなく、より確実に塵芥積込装置を停止させることができる。
また、本実施形態では、制御装置PLCへの通電ラインK5において情報処理ユニット9をバイパスして制御装置PLCに繋がるバイパスラインK6を設けている。そして、通電ラインK5に介設した切替スイッチSWSによって、情報処理ユニット9を介して制御装置PLCへ通電する状態と、バイパスラインK6を介して制御装置PLCへ通電する状態とに切り替えるようにしている。具体的には、通常は、切替スイッチSWSが情報処理ユニット9に通電するように切り替えられており、この情報処理ユニット9の内部のリレースイッチSW4が閉じられているので、情報処理ユニット9を介して制御装置PLCへの通電が行われる。そして、上述したように人物が警告エリアR2内に入ったと判定されれば、リレースイッチSW4の開放によって制御装置PLCへの通電が遮断される。
一方、情報処理ユニット9の故障によってリレースイッチSW4が開放され、制御装置PLCへの通電が遮断されたままになってしまったときなどに、切替スイッチSWSをバイパスラインK6に切り替えて、情報処理ユニット9を介さず制御装置PLCに通電させる。こうすれば、情報処理ユニット9の故障に起因して通電が遮断されても、バイパスラインK6によって制御装置PLCに通電し、塵芥積込装置を作動させることができる。よって、利便性を高めることができる。
-その他の実施形態-
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
上記実施形態では、センサヘッド7を、レーザ光源(照射部)71と受光器(受光部)76とが一体的に設けられた構成とした。しかし、これに限らず、塵芥投入口4の近傍の地面に向けてレーザ光を照射可能であれば、レーザ光源71と受光器76とを別々の場所に設置してもよい。また、上記実施形態では、物体の3次元位置情報を取得するためのセンサとして、レーザ光源71、ポリゴンミラー73、揺動ミラー74、主走査モータ77、副走査モータ78等を備えるとともに、レーザ照射領域W1へレーザパルスを照射するセンサヘッド7を挙げたが、これに限らず、例えば、距離画像センサなどを用いて物体の3次元位置情報を取得してもよい。また、上記実施形態では、センサヘッド7が照射する計測光としてレーザ光を使用したが、これに限らず、計測光としてLED光を使用してもよい。
上記実施形態では、3次元極座標データ(L,θ,φ)をXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)に変換し、このXYZ直交座標データに基づいて、検知エリアR1や警告エリアR2での人物認識処理を行ったが、座標変換を行わずに直接、3次元極座標データに基づいて、検知エリアR1や警告エリアR2での人物認識処理を行ってもよい。
上記実施形態では、情報処理ユニット9を制御装置PLCへの通電ラインK4に介設して、リレースイッチSW4の開放により制御装置PLCへの通電を遮断するようにしている。しかし、これに限らず、例えば情報処理ユニット9において人物が警告エリアR2内に入ったと判定したときに、制御装置PLCに停止信号を出力し、これを受けた制御装置PLCによって電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdへの制御信号の出力を停止させるようにしてもよく、その他、塵芥積込装置の作動を停止させることができる構成であれば採用可能である。
また、上記実施形態では、物体像Aおよび物体像Bは、計測点Pを基準平面としてのYZ平面に投影された2次元物体像であったが、本発明はこれに限らず、基準平面としてXZ平面に平行な平面を使用するようにしてもよい。
上記実施形態では、いわゆる回転式の塵芥積込装置を装備した塵芥収集車100として本発明を具現化した場合について説明しており、塵芥積込装置の主要部は回転板10および押込板20により構成されている。しかし、これに限らず、塵芥積込装置の主要部は昇降板および押込板によって構成されていてもよく、その構造を特に限定するものではない。