JP7028914B2 - 外部磁場に対して非感受性である磁気的相互作用デバイスを備える計時器用共振器のための慣性可動コンポーネント - Google Patents

外部磁場に対して非感受性である磁気的相互作用デバイスを備える計時器用共振器のための慣性可動コンポーネント Download PDF

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Description

本発明は、振動軸を中心に振動するように構成しており少なくとも1つの磁性領域を備える計時器用共振器のための慣性可動コンポーネント(「慣性可動部品」と称することもできる)に関する。この磁性領域は、少なくとも1つの磁石又は少なくとも1つの磁化された強磁性領域を含む。
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような慣性可動コンポーネントを有し前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネントの振動を維持するための戻し手段を備える計時器用共振器に関する。
本発明は、さらに、ムーブメントが備える少なくとも1つのこのような共振器にパワー供給するように構成しているパワー供給及び/又はエネルギー格納手段と、及び相互作用するように共振器の前記少なくとも1つの可動慣性要素と係合するように構成している少なくとも1つのエスケープ車セットを備えるエスケープ機構とを備える計時器用ムーブメントに関する。
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのようなムーブメントを備える計時器、特に、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)、に関する。
本発明は、さらに、内部の磁気的相互作用手段を備える計時器用共振器における外部磁場に対する感受性(外部磁場の影響)を低くする方法に関し、この内部の磁気的相互作用手段は、振動軸のまわりを回転するように取り付けられる前記共振器の少なくとも1つの慣性可動コンポーネントと、前記共振器が備える、磁化されておりかつ/又は強磁性である、エスケープ車セット又は構造的要素の間で磁気的相互作用をし、前記慣性可動コンポーネントは、磁性要素を備える。
本発明は、計時器用機構、具体的には、計時器用共振器、の分野に関する。これは、磁気タイプであり、又はその稼働の少なくとも一部が、磁気的引力及び/又は反発に基づいており、特に、磁石を備える。
計時器に用いられる特定の機械式共振器は、磁石を備える。
例として、文献FR1113932、FR2132162及びUS2946183によって知られているクリフォード型機構、文献EP2887156及びEP3316046によって知られているSWATCH GROUPの直接同期式共振器が挙げられる。これらの発振器では、共振器にて磁石を用いることによって、摩擦接触なしで、共振器とエスケープ車の間の直接同期が可能になる。エスケープ車と共振器の間にパレットレバーがないことは、摩擦接触がないことと組み合わさって、効率が高くなるという利点を発生させる。
しかし、バランスが担持する磁石が外部磁場の存在の影響を受ける可能性がある。このために発生する摂動は小さいが日々のレートを変動させてしまうことがある。
Montres Breguetによる文献EP3273309A1は、外縁があるバランスを備えるばね仕掛けバランスのアセンブリーを備える計時器用発振器を開示している。この外縁は、バランスばねによって構造に対して回転するように戻され、これは、第1の側にて、アンカー要素によって構造に固定されるねじりワイヤによって、また、第1の側の反対側の第2の側にて、非接触式磁性ピボットによって、行われ、このバランスは、バランスとねじりワイヤが埋め込まれた第1の磁極を備え、この第1の磁極は、ばね仕掛けバランスのアセンブリーの軸に対して対称であり、構造にある第2の磁極と連係して、この第1の磁極を磁気的に懸架し、このアンカー要素とは反対側のねじりワイヤの遠位端にねじりワイヤを張るための磁力を与える。
The Swatch Group Research & Development Ltdによる文献EP2891930A2は、磁性構造と共振器の間の相対的な角速度を調整するデバイスであって、これらの磁性構造と共振器が互いに磁気的に連結しており磁気的エスケープを形成する発振器を形成するものを開示している。磁性構造には、磁性材料によって形成される少なくとも1つの環状経路があり、この磁性材料の1つの物理的パラメーターは、発振器の磁気的ポテンシャルエネルギーと相関しており、この磁性材料は、環状経路に沿って配置されていて、この物理的パラメーターが周期的に角度的に変動するようにされている。この環状経路には、角周期ごとに、発振器において、インパルス領域に半径方向に隣接している磁気的ポテンシャルエネルギーの蓄積領域がある。各蓄積領域において、磁性材料が、この磁性材料の物理的パラメーターが角度的に徐々に増加する又は角度的に徐々に減少するように構成している。
ETA Manufacture Horlogere Suisseによる文献EP3299907A1は、共振器と、この共振器にリンクされたエスケープと、及び少なくとも1つの時間的情報を表示するディスプレーとを備える機械式計時器用ムーブメントを開示している。このディスプレーは、カウンターギヤ列を介して機械式駆動デバイスによって駆動され、その動作レートは、エスケープによって設定される。大気圧よりも低い圧力となっているチャンバー内に少なくとも前記共振器が収容される。このエスケープは、非接触式磁気的連結システムを介して共振器に直接又は間接的に連結するエスケープ車を備える磁気的エスケープであり、この磁気的連結システムは、チャンバーの非磁性壁が磁気的エスケープを通り抜けるように形成され、これによって、エスケープの第1の部分がチャンバー内に配置され、エスケープの第2の部分がチャンバー外に配置される。
本発明は、外部磁場に対して非感受性である共振器を作ることを目的とする。
このために、本発明は、請求項1に記載の共振器の慣性可動コンポーネントに関する。
本発明は、さらに、このような慣性可動コンポーネントを備える共振器に関する。
本発明は、さらに、このような共振器を備えるムーブメントに関する。
本発明は、さらに、このようなムーブメントを備える、計時器、特に、携行型時計、に関する。
本発明は、さらに、内部の磁気的相互作用手段を備える計時器用共振器における外部磁場に対する感受性(外部磁場の影響)を低くする方法に関し、この内部の磁気的相互作用手段は、振動軸のまわりを回転するように取り付けられる前記共振器の少なくとも1つの慣性可動コンポーネントと、前記共振器が備える、磁化されておりかつ/又は強磁性である、エスケープ車セット又は構造的要素の間で磁気的相互作用をし、前記慣性可動コンポーネントは、磁性要素を備える。
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点を明確に理解することができる。
図の上側にて共振器の慣性可動コンポーネントを備えた計時器用ムーブメントの一部を上から見た図であり、戻し手段は図示しておらず、この慣性可動コンポーネントは、このムーブメントのエスケープ機構が備えるエスケープ車セットと係合するように構成している2つの磁性パレット石を備える。この場合、慣性可動コンポーネントはバランスであり、エスケープ車セットはエスケープ車である。 基準三面体を基準として図1における慣性可動コンポーネントの合計の合成磁気モーメントを示しているグラフであり、Z軸は慣性可動コンポーネントの振動軸である。理想的には、磁気モーメントは、Z軸と整列する成分のみによって形成されるべきである。Z軸に対して垂直な成分は、修正すべきエラーを表している。 コンパスの針と比べて、慣性可動コンポーネントの合成磁気モーメントと外部磁場Bextの間の干渉の影響を示している図である。外部磁場は、慣性可動コンポーネント上に摂動トルクを発生させる。これは、外部磁場に現れる第1次の摂動の結果であり、理想的には打ち消すべきである。 図1と同様な図であり、同じ機構を磁気的補償要素を追加することによって改善している。この磁気的補償要素のXOY平面内における磁気モーメント成分は、この平面内における2つのパレット石の合成磁気モーメントに対抗している。 図4の慣性可動コンポーネントの合計の合成磁気モーメントを示している図2と同様なグラフであり、磁気的補償要素の追加のおかげでZ軸上にある。 図4の機構についての図3と同様な図である。 図7~10は、調整可能である磁気的補償要素のいくつかの例を示しており、各例において、左から右へ順に、前の状態を上から見た図、調整後の状態を上から見た図、そして、所望の方向における補償用磁気モーメントを得るための磁気モーメント図を示している。図7において、凹部内を回転することができる2つの円筒状の磁石が、直径方向に磁化されており、慣性可動コンポーネントの振動軸に平行な回転軸を有し、モーメントμc1及びμc2は回転されて、その合成モーメントの方向と強度の両方を調整する。 合成磁化がゼロであるような半径方向に磁化された円筒状の磁石を示している。したがって、この磁石の一部を取り除くことによって調整を行う。 必要に応じて部分的に取り除かれる±Xと±Yの方向におけるマイクロ磁石(磁気ピクセル)を示している。 球状の凹部内に位置しており振動軸にしたがって磁化された球状の磁石を示している。これによって、補償に必要な成分を発生させるために球状の磁石が傾くことが可能になる。 図4と同様な図であり、できるだけ振動軸の近くに図7における円筒状補償用磁石を追加することによって改善される同じ機構を示している。 図4と同様な図であり、パレット石が振動軸に平行な磁気モーメントを有するような同様の機構を示している。この場合、慣性可動コンポーネントの振動軸に対する合成磁気モーメントの整列エラーがすでに修正されていると仮定されている。 X方向において強度勾配がある外部磁場Bzがある状況において、慣性可動コンポーネントが振動しているときの2つのパレット石の合成磁気モーメントの変位を示している図である。この強度勾配は、密度が高くなるほど灰色の濃度を濃くすることによって示している。この図は、不均質な外部磁場の存在下でのみ現れ理想的には修正されるべきである第2の摂動の結果をわかりやすく示している。 図12と同様な図であり、同じ機構をバランス用磁石を追加することによって改善したものを示しており、この機構は、さらに、振動軸に平行な磁気モーメントを有し、振動軸に対してパレット石の反対側に取り付けられている。このバランス用磁石の目的は、第2の摂動の結果を排除することである。 図13と同様な図であり、同じ外部磁場がある状況における図14における2つのパレット石及びバランス用磁石の合成磁気モーメントの変位を示している図である。外部磁場がある状況におけるバランス用磁石の変位に起因する相互作用エネルギーの変動が、2つのパレット石の変位に起因するものを打ち消す。 図1と同様な図であり、同様の機構において、移動止めピン、バンキング又は同様の要素のような計時器用ムーブメントの固定構造の要素と、慣性可動コンポーネントの磁性領域との間の磁気的相互作用が発生する。これらの磁性領域は、この場合、振動軸に対してパレット石の反対側に示されている。 図4及び14と同様な図であり、同様の機構が補償用磁石とバランス用磁石の両方を備える。 ムーブメントを備える、計時器、特に、携行型時計、を示しているブロック図であり、このムーブメントは、少なくとも1つの前記のような共振器にパワー供給するように構成しているパワー供給及び/又はエネルギー格納手段と、及び相互作用によって前記のような慣性可動コンポーネントと係合するように構成している少なくとも1つのエスケープ車セットを備えるエスケープ機構とを備える。
本発明は、外部磁場に対して非感受性である計時器用機構の製造に関し、具体的には、外部磁場に対して非感受性である、磁気タイプの計時器用共振器、又はその稼働の少なくとも一部が磁気的引力及び/又は反発に基づいてるもの、特に、磁石を備えるもの、に関する。
本発明は、計時器用共振器100のための慣性可動コンポーネント1に関する。この慣性可動コンポーネント1は、振動軸D1を中心に振動するように構成しており、少なくとも1つの磁性領域10を備える。この磁性領域10は、少なくとも1つの磁石又は少なくとも1つの磁化された強磁性領域を備える。
本発明によれば、慣性可動コンポーネント1が備えるすべての磁性領域10の合計の合成磁気モーメントは、振動軸D1の方向に整列(align)する。このために、慣性可動コンポーネント1は、振動軸D1に対して垂直な方向の磁化成分が振動軸D1の方向に整列する合計の合成磁気モーメントを得るように調整することができるような少なくとも1つの磁気的補償要素4を担持している。
具体的には、慣性可動コンポーネント1の磁気中心は、振動軸D1上に位置する。この磁気中心は、振動軸D1の方向における磁気モーメントの成分の第1次のモーメントxB、yB、zBによって定められる。
Figure 0007028914000001
これらの式において、磁気モーメントμiのすべての無限小要素に対して合計が計算され、振動軸D1に沿った成分μizのみが考慮される。
具体的には、この慣性可動コンポーネント1が備える磁性領域10のすべては、永久磁化されているものである。
より具体的には、慣性可動コンポーネント1は、すべて永久磁石によって形成される、磁性領域10と少なくとも1つの磁気的補償要素4を例外として、いずれの強磁性コンポーネントも強磁性領域も含まない。
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような慣性可動コンポーネント1を備えこの少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1の振動を維持するための戻し手段を備える計時器用共振器100に関する。
本発明によれば、少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1に担持されるすべての磁性領域10の合成磁気モーメントは、振動軸D1に対して垂直ないずれの平面内においても成分がゼロである。
具体的には、共振器100に備えられ振動軸D1が同じすべての慣性可動コンポーネント1が担持するすべての磁性領域10の合成磁気モーメントは、振動軸D1に対して垂直な任意の平面内における成分がゼロである。
具体的には、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1のすぐ近くにおける共振器100が備えるすべての領域は、磁気モーメントがゼロであり、いずれの強磁性コンポーネントも強磁性領域も磁石も含まない。
具体的には、共振器100に備えられ振動軸D1が同じ各慣性可動コンポーネント1のすぐ近くにおける共振器100が備えるすべての領域は、磁気モーメントがゼロであり、いずれの強磁性コンポーネントも強磁性領域も磁石も含まない。
本発明は、さらに、ムーブメント1000が備える少なくとも1つの前記のような共振器100にパワー供給するように構成しているパワー供給及び/又はエネルギー格納手段300と、及び相互作用によって共振器100の少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1と係合するように構成している少なくとも1つのエスケープ車セット2を備えるエスケープ機構200とを備える計時器用ムーブメント1000に関する。具体的には、このエスケープ車セット2は、その周部にてエスケープ磁石を担持している。
本発明によれば、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1及びこれが係合する前記少なくとも1つのエスケープ車セット2はそれぞれ、すべて永久磁石によって形成される、磁性領域、少なくとも1つの磁気的補償要素4及びエスケープ磁石を備え、この少なくとも1つの磁気的補償要素4及びエスケープ磁石の磁性領域10を例外として、いずれの強磁性コンポーネントも強磁性領域も含まない。これは、この少なくとも1つのエスケープ車セット2及び慣性可動コンポーネント1を含まない共振器100の全体及びエスケープ機構200の構成要素と同様である。
具体的には、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1は、磁気的相互作用によって、振動軸D1に対して垂直な平面内又は振動軸D1に対して傾斜している平面内において、ムーブメント1000が備える、磁化されているかつ/又は強磁性体である、前記少なくとも1つのエスケープ車セット2及び/又は構造的要素3と係合するように構成している。
そして、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1が担持するすべての磁性領域10の合成磁気モーメントは、振動軸D1に対して垂直な任意の平面内における成分がゼロである。
具体的には、共振器100が備える、振動軸D1が同じすべての慣性可動コンポーネント1が担持するすべての磁性領域10の合成磁気モーメントは、振動軸D1に対して垂直な任意の平面内における成分がゼロである。
具体的には、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1が備えるすべての磁性領域10のうち、第1の磁性領域セットが、少なくとも1つのエスケープ車セット2又は構造的要素3との磁気的相互作用のために配置され、第2の磁性領域セットが、第1の磁性領域セットのすべての磁性領域の合成磁気モーメントを補償するように構成しており、これによって、合成磁気モーメントは、振動軸D1に対して垂直な任意の平面内における成分がゼロであり、第2の磁性領域セットは、さらに、その構成要素と、共振器100のいずれかのエスケープ車セット2又はいずれかの構造的要素3との磁気的相互作用が、共振器100のいずれかのエスケープ車セット2又はいずれかの構造的要素3との第1の磁性領域セットの構成要素の磁気的相互作用の1/10よりも小さいように構成している。
具体的には、ムーブメント1000が備える、磁化されておりかつ/又は強磁性であり、磁気的相互作用によって少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1と係合するように構成している少なくとも1つのエスケープ車セット2又は少なくとも1つの構造的要素3においては、備えるすべての磁化された領域及びすべての磁石の合成磁気モーメントについて、振動軸D1に対して垂直な任意の平面内、又は回転可能に取り付けられた場合において自身の振動軸に対して垂直な任意の平面内における成分がゼロである。
具体的には、ムーブメント1000が備える、磁化されておりかつ/又は強磁性であり、磁気的相互作用によって少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1と係合するように構成している各エスケープ車セット2又は構造的要素3においては、備えるすべての磁化された領域及びすべての磁石の合成磁気モーメントについて、振動軸D1に対して垂直な任意の平面内、又は回転可能に取り付けられている場合に自身の振動軸に対して垂直な任意の平面内における成分がゼロである。
具体的には、第2の磁性領域セットは、少なくとも1つの磁化されたバランス用領域及び/又はバランス用磁石6を備え、上で定義されているその磁気中心の位置は、振動軸D1上に位置しておらず、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1の磁気的バランスを得るように計算によって調整される。
具体的には、第2の磁性領域セットが備える磁化された領域又は磁石はそれぞれ、磁気中心が振動軸D1上に位置しないような磁気モーメントを有する。
具体的には、第1の磁性領域セットは、磁気中心が振動軸D1上に位置しないような少なくとも1つの磁化されたバランス用領域又はバランス用磁石6を備え、これによって、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1の磁気的バランスを得る。
具体的には、第1の磁性領域セットが備える磁化された領域又は磁石はそれぞれ、磁気中心が振動軸D1上に位置しないような磁気モーメントを有する。
具体的には、第2の磁性領域セットは、磁気モーメントの向きが振動軸D1と一致していないような少なくとも1つの磁化されたバランス用領域及び/又はバランス用磁石6を備え、これによって、少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1の磁気的バランスを得る。
具体的には、第2の磁性領域セットが備える磁化された領域又は磁石はそれぞれ、向きが振動軸D1と一致していないような磁気モーメントを有する。
具体的には、第1の磁性領域セットは、磁気モーメントの向きが振動軸D1と一致していないような少なくとも1つの磁化されたバランス用領域又はバランス用磁石6を備え、これによって、少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1の磁気的バランスを得る。
具体的には、第2の磁性領域セットは、振動軸D1に対して、慣性可動コンポーネントが担持する他の磁石の磁気中心の反対側に磁気中心が位置するような少なくとも1つの磁化された領域又はバランス用磁石6を備え、これによって、少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1の磁気的バランスを得る。
具体的には、第1の磁性領域セットが備える磁化された領域又は磁石はそれぞれ、磁気モーメントの向きが振動軸D1と一致していないような磁気モーメントを有する。
具体的には、各慣性可動コンポーネント1が担持するすべての磁化された領域及びすべての磁石は、永久磁化されているものである。
具体的には、ムーブメント1000が備える、少なくとも1つのエスケープ車セット2又は構造的要素3が担持するすべての磁化された領域及びすべての磁石は、永久磁化されているものである。
具体的には、ムーブメント1000が備える、各エスケープ車セット2又は構造的要素3が担持するすべての磁化された領域及びすべての磁石は、永久磁化されているものである。
具体的には、少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1はバランスであり、少なくとも1つのエスケープ車セット2はエスケープ車である。
具体的には、ムーブメント1000は、少なくとも1つの構造的要素3を備え、この構造的要素3は、その磁性領域13、14において、磁気的相互作用によって前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1と係合するように構成しており、この構造的要素3は、特に、前記少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1又は同様の要素の移動を制限する移動止めピン33又はバンキングである。
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのようなムーブメント1000及び/又は少なくとも1つのこのような共振器100を備える、計時器2000、特に、携行型時計、に関する。
具体的には、この携行型時計2000は、磁気シールドを備えるケースを備え、これによって、携行型時計2000が備える各共振器100を包囲する。
本発明は、さらに、計時器用共振器100の外部磁場に対する感受性を低くする方法に関し、この計時器用共振器100は、振動軸D1のまわりを回転するように取り付けられ磁性要素10を備える共振器100の少なくとも1つの慣性可動コンポーネント1と、互いに直交する2つの基準軸OX及びOYが定められる、共振器100が備える、磁化されておりかつ/又は強磁性である、エスケープ車セット2又は構造的要素3との間で磁気的相互作用をする内部の磁気的相互作用手段を備える。
本発明は、以下の特徴に関連している。
- 共振器100は、安定状態の電力供給条件下で動作する。
- 共振器100の基準稼働状態を測定する。
- OX軸に沿って均質な第1の磁場が共振器に与えられる。
- この基準稼働状態と比べて、X方向における第1のレート差Δmxを測定する。
- OY軸に沿って均質な第2の磁場が共振器に与えられ、その磁束密度はOX軸に沿った第1の磁場の密度と同じである。
- この基準稼働状態と比べて、Y方向における第2のレート差Δmyを測定する。
- 補償用磁気モーメントμcのX方向における成分μcxとY方向における成分μcyをそれぞれ、第1のレート差Δmxと第2のレート差Δmyの関数として計算する。
- 補償用磁気モーメントμcを有する少なくとも1つの磁気的補償要素4を設け、あるいは合成磁気モーメントが補償用磁気モーメントμcと等しい磁気的補償及びバランス要素のセット5を設ける。
- 慣性可動コンポーネント1は、OX、OY及び振動軸D1に対して適切な幾何学的な向きの位置に位置している、少なくとも1つの磁気的補償要素4、又は磁気的補償及びバランス要素のセット5をそれぞれ備える。前記少なくとも1つの磁気的補償要素4は、振動軸D1上に又はそのすぐ近くに位置しており、又は前記磁気的補償及びバランス要素のセット5は、以下のものを備える。
- 一方では、振動軸D1上に又はそのすぐ近くに少なくとも1つの磁気的補償要素4を備える。
- 他方では、振動軸D1に対して慣性可動コンポーネント1の磁性要素10の合成結果の反対に配置された磁気的バランス要素6を備える。その磁気的バランスモーメントμeは、振動軸D1の方向、具体的には、振動軸D1の方、に向いている。
図面には、より具体的に、バランスである慣性可動コンポーネント1を備える共振器100に対する本発明の適用を示している。なお、これに限定されない。
振動軸D1を中心に回転するように取り付けられたバランス1であって、図1に示しているようにエスケープ軸D2を中心に回転するエスケープ車2と相互作用するように意図された磁石11、12を担持し、磁石11、12がエスケープ車2と直接相互作用するように意図された磁性パレット石であるものについて検討する。各磁石11、12は、特定の磁気モーメントを有する。
各磁石11、12は、磁石の全体積にわたっての磁化の積分として計算される網羅的なベクトル量である磁気モーメントを有する。磁気モーメントは、外部磁場があるときにトルクが与えられるコンパスの針として示すことができる。
共振器100に対する外部磁場の摂動の結果を最小にするために、バランス1が担持する磁石11、12の合計磁気モーメントは、ここでZ軸として表しているバランス1の振動軸D1の方向に整列していなければならない。
理想的には、磁気モーメントは、Z軸と整列する成分μzのみによって形成されるべきである。Z軸に対して垂直なこのモーメントの成分、すなわち、μxyは、理想的には修正されるべきエラーを表している。
具体的には、合計の合成磁気モーメントがZ軸と整列しておらず、したがって、図2における振動軸に対して垂直な磁気モーメントの成分が存在すると仮定する。合計磁気モーメントμtotは、共振器が担持するすべての磁石の磁気モーメントの合計である。この合計磁気モーメントは、外部磁場に対して共振器が影響を受けないことを確実にするために、図においてZ軸である振動軸D1と整列していなければならない。ベクトルμtotは、Z軸に対して垂直な平面XOY内の合計の合成磁気モーメントの成分を表すベクトルμxyと、このZ軸に沿った成分μzの和である。概説すると、成分μxyを最小化することが望まれ、可能であれば打ち消す。これは、合計磁気モーメントμtotのこの成分μxyが、バランス1が振動するときに方向を変えるからである。
外部磁場Bextの存在下では、この外部磁場に整列させようとする傾向があるトルクがバランス1に与えられ、その強度は、図3に示しているように、バランス3の角位置に依存する。外部磁場は、慣性可動コンポーネントにおいて摂動トルクを発生させる。これは、外部磁場に現れる第1次の摂動の結果であり、理想的には打ち消すべきである。
理論的には、バランス1が担持する磁石11、12の磁化は、依然として、振動軸の方向に整列していると仮定することができる。しかし、実際には、組み付け、磁化又は他の原因に起因する不完全性が常に存在し、したがって、小さな整列エラーを避けることができず、前記の小さな摂動成分μxyの存在も避けられないことが知られている。
具体的には、整列エラーは、コンパスの針としてはたらく振動軸に対して垂直な平面内において前記のような小さな成分μxyを発生させる。このように、外部磁場Bextは、バランスの位置に依存する摂動トルクを発生させ、したがって、日ごとのレートのばらつきを発生させてしまう。具体的には、このような摂動トルクは、バランス1の角度によって非線形的にばらつき、共振器100の稼働に影響を与えることが知られている。
外部磁場に対する共振器の非感受性をいくつかのアプローチによって改善することができる。
したがって、提案される第1の改善方法は、図4に示しているように、バランス1に少なくとも1つの補償用磁石4を追加することを伴う。これは、エスケープ車2と相互作用しない追加の磁石であり、図5に示しているように、振動軸D1に対して垂直な成分μcは、バランス1が担持する他の磁石の成分μxy(振動軸D1に対して垂直)と強度が等しいが向きが反対であるように調整され、磁気モーメントμxyの影響を補償する。図5は、このようにして合計磁気モーメントがμzに低減され、したがって、バランス1の振動軸D1に対応するOZに沿って整列することを示している。このようにして、図6に示しているように、バランス1に外部磁場Bextが与えられると、補償用磁石4が受けるトルクは、合計トルクがゼロになるまで、バランス1が担持する他の磁石11、12が受けるトルクに対抗する。このようにして、摂動トルクを打ち消す。
図7~10に示しているように、振動軸に対して垂直な成分を調整することができる前記のような補償用磁石4を製造するいくつかの方法がある。
図7に示しているように方向と強度の両方に関して合成磁気モーメントを調整するように回転されるモーメントμc1及びμc2を有する共振器の振動軸D1に軸が平行であるような少なくとも2つの直径方向に磁化された円筒状の磁石を用いることが考えられる。
また、合成磁化がゼロであるような半径方向に磁化された円筒状の磁石を加えることもできる。したがって、図8に示しているようにこの磁石の一部を取り除くことによって調整を行う。
また、図9に示しているように、±X及び±Y方向を向いているマイクロ磁石(磁気ピクセル)を考えることができ、これらは必要に応じて取り除かれる。
また、図10に示しているように、振動軸に沿って磁化された球状の磁石も考えることができ、この磁石は、球状の凹部内に入っており、補償に必要な成分μcを作るようにこの磁石を傾斜させることができる。当然、磁石の方向を調整する他の任意の機械的手段も用いることができる。
この例示はすべてを網羅しているものではない。例えば、直径方向に磁化されてμxyの強度と等しい正しい強度を有しμcの方向を調整するように向きを合わせることができる単一の円筒状の磁石を加える別の手法がある。この磁石の強度を調整するために、その磁化に用いられる磁場に変化があるようにすることができる。
当然、調整可能な補償用磁石を作るためのこれらの手法のそれぞれは、好ましいことに、図11に示しているように、その振動軸D1の近くにてバランス1によって担持され、これは、図7に示している構成となっている。
調整に用いる方法にかかわらず、共振器の残りの感受性を事前に測定し、所望の補償を計算しなければならない。これを達成するために、均質な外部磁場Bx0を+X及び-Xに沿って単純に与え、これによって発生するレート差Δmxを測定する。Yに沿った磁場に対しても同じことを行う。補償用磁気モーメントの成分は、
μx=k・Δmx/(86400・Bx0
のようにして計算され、他の成分については、単純に、この式においてxをyで置き換える。ここで、
μx=磁気モーメント[A・m-2
k=バランスの戻りばねの回転剛性[N・m/rad=N・m] 例えば、ばね仕掛けバランスの場合、k=10-6 [N・m/rad]
Δmx=レート[秒/日]
x0=磁場[テスラ]
である。
ここで、この合計磁気モーメント整列操作を行って、振動軸D1に対して垂直な磁気モーメントの成分が無視できるようになったと仮定する。バランス1が外部磁場Bext下に配置されたときにバランス1の稼働に影響を与える次の摂動の結果は、図13に示しているように、非均質な磁場Bzにおける磁気モーメントの円弧状の変位によって発生する。具体的には、磁気的相互作用エネルギーは、共振器100の稼働に影響を与える摂動トルクを発生させる程度まで、バランス1の位置とともに非線形的に変わる。
図12は、OZ軸に沿って磁化された磁性パレット石11及び12を備えるバランス1を示しており、合成磁気モーメントμz1&2は、パレット石11及び12の磁気中心に位置する(重心に位置する車セットの合計質量と比較される)。図13は、不均質な磁場Bzにおいて得られる同じ磁気モーメントの変位を示しており、この場合、Xに沿った磁場強度の勾配を濃度が濃くなっている領域によって示している。磁気的相互作用エネルギーは、この磁場におけるバランス1の位置とともに非線形的に変わる。
この影響を打ち消すためには、合成磁気モーメントを振動軸D1(点O)上に配置するだけで十分である。それだけでも、エスケープ車2と相互作用する磁性パレット石11及び12は、この点まで変位することはできない。
提案される第2の改善方法は、図14に示しているように、バランス用磁石6を追加することを伴う。このバランス用磁石6は、振動軸D1に対してエスケープ車2の反対側に位置し、エスケープ車2と相互作用しないようにエスケープ車2から十分離れている。
このバランス用磁石6は、振動軸D1の方向に磁化されている。これは、図14に示しているように、バランス1が担持する他の磁石11及び12の磁気中心の位置とは反対側に位置している。このようにして、外部磁場Bzにおいてバランス用磁石6の磁気モーメントが描く軌道は、バランス1が担持する他の磁石11及び12に与えられるものに対抗する第1次の摂動トルクを発生させる。この磁石の役割を説明する別の方法は、磁気バランス化を議論することである。その目的は、磁気モーメントの磁気中心として知られるものを振動軸上に持ってくることである。この磁気中心は、振動軸D1の方向にある合計の合成磁気モーメントの成分の第1次(xB、yB、zB)のモーメントによって定められる。
言い換えれば、重心の定義における質量をμzで置き換える。
Figure 0007028914000002
具体的には、磁気バランスを得るために、共振器100の合計磁化の磁気中心が、振動軸D1上に配置される。
このアプローチは、この例ではXに沿って、比較的安定した外部磁場勾配が存在する図13及び15(図13と同様に、外部磁場がある状況におけるバランス用磁石6の変位に加えてパレット石11及び12の磁気モーメントの変位を示している)に示している例に適用可能である。しかし、このアプローチは、外部磁場が顕著な非線形性を示して変わる場合には有効ではない。原理的には、バランス1の近傍に強磁性要素がない場合には、このような顕著な非線形性は生じない。したがって、実際には、この方法が効果的であるためには、強磁性コンポーネントをバランス1から十分遠くに動かす必要がある。
この磁気的バランス用磁石を追加するために、複数の方法を利用可能である。パレット石磁石11、12及び同様の要素を設計する際に、このバランス用磁石の幾何学的構成及び位置を計算することができることを明記すべきである。したがって、バランス用磁石6は、パレット石を製造するために用いる技術と同じ技術、すなわち、伝統的な機械加工、レーザー、薄膜堆積又は他の技術、を用いて製造することができる。他の手法としては、例えば、バランスの外縁上に磁性材料を噴霧することによって、付加的製造技術又は噴射によって、又は他の任意の適切な方法によって、バランス化させるために後にバランス用磁石を加えることを伴うものがある。当然、この例示は網羅的なものではない。
概説すると、本発明は、以下を提案している。
- 共振器、特に、振動バランス、の慣性質量体であって、すべてがこの慣性質量体の振動軸の方向に整列している磁石を担持するものを提案している。
- 振動軸に対して垂直な方向の磁化成分を有するこのような小さな補償用磁石が加えられる慣性質量体を提案している。この補償用磁石は、合計磁気モーメントと振動軸の間の整列エラーを補償するように調整されなければならない。
- 補償用磁石の有無にかかわらず、振動軸の方向に磁化された小さなバランス用磁石が追加された慣性質量体を提案している。このバランス用磁石は、磁気中心を振動軸上に持ってくるような大きさ及び位置を有する必要がある。
- これらの実施形態の1つに従う慣性質量体を備える代替形態であって、強磁性コンポーネントのすべてが取り除かれ又は設計上いかなる強磁性領域も含まないものを提案している。
- 上述の実施形態のうちの1つに従う少なくとも1つの慣性質量体を備える共振器を備える計時器用ムーブメントであって、その近傍において、この慣性質量体に係合する、エスケープ車セット、特に、エスケープ車、の磁石を例外として、すべての磁性及び/又は強磁性コンポーネントが取り除かれるものを提案している。
本発明は、外部磁場に及ぶ磁気的機能が組み込まれた共振器が、その部品の体積を著しく大きくせずに、かつ、低コストで、高い非感受性を得ることを可能にする。
本発明は、既に製造された機構と同様に新しい装置にも適用される。既に製造された機構は、合理的な経済的条件下で確実に改善することができる。
ここで、本発明について、計時器において最も感受性が高い部材である共振器である特定のケースに基づいて説明している。このような計時器においては、磁気摂動が直接的な影響を受けて、稼働が劣化することがある。また、時計技師であれば、磁気ストライク機構や他の機構のような携行型時計の感受性の低い他の機構にどのようにこの共振器を適用するかを知っているであろう。
磁気的相互作用を行う好ましい例に基づいて本発明を説明してきたが、この原理は、静電的相互作用、又は磁気と静電気が組み合わさった相互作用にも適用可能である。
1 慣性可動コンポーネント
2 エスケープ車セット
3 構造的要素
4 磁気的補償要素
6 バランス用磁石
10 磁性領域
100 共振器
200 エスケープ機構
300 パワー供給及び/又はエネルギー格納手段
1000 ムーブメント
2000 携行型時計
D1 振動軸

Claims (14)

  1. 振動軸(D1)を中心に振動するように構成しており、エスケープメント機構との磁気的相互作用のための少なくとも1つの磁性領域(10)を備える計時器用共振器(100)のための慣性可動部品(1)であって、
    この磁性領域(10)は、少なくとも1つの磁石又は少なくとも1つの磁化された強磁性領域を備え、
    当該慣性可動部品(1)は、前記振動軸(D1)に垂直な方向の磁化成分を有する少なくとも1つの磁気的補償要素(4)をさらに有し、
    この磁気的補償要素(4)は、前記振動軸(D1)に対して垂直な方向のすべての平面における前記慣性可動部品の合計の合成磁気モーメントを打ち消す
    ことを特徴とする慣性可動部品(1)。
  2. 前記少なくとも一つの磁性領域(10)と前記少なくとも一つの磁気的補償要素(4)は永久磁化されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の慣性可動部品(1)。
  3. 請求項1または2の慣性可動部品(1)によって及び当該慣性可動部品の振動を維持する戻り手段によって形成される共振器(100)と、前記共振器(100)を励磁するよう構成されたパワー供給及び/またはエネルギー格納手段(300)とを備えた計時器ムーブメントであって、
    前記計時器ムーブメントは、前記慣性可動部品(1)と磁気的相互作用をなすよう係合される少なくとも一つのエスケープホイールセット(2)を含むエスケープメント機構(200)をさらに備える
    ことを特徴とする計時器ムーブメント。
  4. 計時器用共振器が備える、磁化されておりかつ/又は強磁性である少なくとも一つの構造的要素(3)を有し、前記慣性可動部品(1)は、前記振動軸(D1)に垂直または傾斜した平面において、前記少なくとも一つのエスケープホイールセット(2)と前記少なくとも一つの構造的要素(3)と磁気的相互作用する
    ことを特徴とする請求項3に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  5. 前記慣性可動部品(1)が備えるすべての磁性領域(10、4、6)に第1の磁性領域セットと第2の磁性領域セットがあり、
    前記第1の磁性領域セットは、少なくとも1つのエスケープ車セット(2)との前記磁気的相互作用を達成するよう配置され、
    前記第2の磁性領域セットは、前記第1の磁性領域セットの磁性領域の合成磁気モーメントを小さくするように構成しており、
    これによって、前記合計の合成磁気モーメントは、前記振動軸(D1)に対して垂直な任意の平面内における成分が打ち消され、
    前記第2の磁性領域セットは、さらに、その構成要素と、前記共振器(100)のいずれかのエスケープ車セット(2)との磁気的相互作用が、前記第1の磁性領域セットの構成要素と、前記共振器(100)のいずれかのエスケープ車セット(2)との磁気的相互作用の10分の1よりも小さいように構成している
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  6. 前記各エスケープ車セット(2)は回転可能に装着されるとともに前記慣性可動部品(1)と磁気的相互作用をなすよう配置されており、備えるすべての磁化された領域とすべての磁石の合成磁気モーメントが、自身の振動軸に対して垂直な任意の平面内における成分がゼロである
    ことを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  7. 前記慣性可動部品(1)は、その磁性バランスを得る位置に設けられた少なくとも1つのバランス用磁化された領域又はバランス用磁石(6)を備え、前記慣性可動部品の磁気中心は前記振動軸(D1)上に置かれる
    ことを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  8. 前記少なくとも1つのバランス用磁化された領域又はバランス用磁石(6)は磁気中心を備え、その磁気中心の位置は、前記振動軸(D1)に対して、前記慣性可動部品が担持する他のすべての磁性領域及び磁石の磁気中心の反対側に位置しており、これによって、前記少なくとも1つの慣性可動部品(1)の磁気バランスを得る
    ことを特徴とする請求項7に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  9. 前記慣性可動部品(1)が担持するすべての磁化された領域及び磁石は、永久磁化されている
    ことを特徴とする請求項3~8のいずれか1項に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  10. 前記少なくとも1つのエスケープ車セット(2)が担持するすべての磁化された領域及びすべての磁石は、永久磁化されている
    ことを特徴とする請求項3~9のいずれか1項に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  11. 前記慣性可動部品(1)はバランスであり、少なくとも一つのエスケープホイールセット(2)はエスケープホイールである
    ことを特徴とする請求項3~10のいずれか1項に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  12. 当該ムーブメント(1000)は、構造的要素(3)が前記慣性可動部品(1)と磁気的に相互作用するように構成されており、
    前記構造的要素(3)は、前記少なくとも1つの慣性可動部品(1)の移動を制限する移動止めピン又はバンキングである
    ことを特徴とする請求項3~11のいずれか1項に記載の計時器ムーブメント(1000)。
  13. 請求項3~12のいずれか1項に記載の計時器ムーブメント(1000)を含む携行型時計(2000)。
  14. 磁気シールドを備えるケースを備え、これによって、前記ムーブメント(1000)が備える前記共振器(100)を包囲する
    ことを特徴とする請求項13に記載の携行型時計(2000)。
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