JP7027252B2 - 振動センサ及びセンサモジュール - Google Patents

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Description

以下の実施形態は、一般的に、振動センサ及びセンサモジュールに関する。
従来、構造物や電子機器などの微小な振動を検知し、そのものの状況や状態を把握するセンサとして、振動センサが存在する。振動センサは、構造物や電子機器などの安全性や信頼性等を確保する際、保守実施の必要性を見極める際などに非常に重要となる。
特開2011-177831号公報 特開2005-249785号公報 特開2011-247789号公報
Soner Sonmezoglu, Jeronimo S. Fernandez, Scott T. Block, Yuri Kusano, Julius M. Tsai, Rajeevan Amirtharajah, and David A. Horsley "Passive Signal Amplification Via Series-Piezoelectric Read-Out" Transducers 2017, Kaohsiung, Taiwan, 18-22 June, 2017. Takei R, Makimoto N, Okada H, et al., "Design of piezoelectric MEMS cantilever for low-frequency vibration energy harvester" Japanese Journal of Applied Physics, 2016, 55(6S1): 06GP14.
本発明の一つの実施形態は、微小な振動に対する感度を向上することが可能な振動センサ及びセンサモジュールを提供することを目的とする。
実施形態によれば、支持体から突出した構造物である振動センサであって、第1の端が前記支持体に固定され、前記支持体から突出して設けられた支持層と、前記支持層上の圧電層と、前記支持層と前記圧電層との間に設けられた絶縁層と、前記圧電層の第1の主面に設けられた共通電極と、前記圧電層の前記第1の主面とは反対側の第2の主面における第1領域に設けられた第1センシング電極と、前記圧電層の前記第2の主面における前記第1領域とは異なる第2領域に設けられた駆動電極と、からなる積層体を備え、前記第1領域は、前記支持層における前記第1の端付近に位置し、第1の積層体と第2の積層体とを含む複数の前記積層体を備え、前記第1の積層体における前記第1センシング電極は、前記第2の積層体における前記共通電極に電気的に接続され、前記第1の積層体における前記駆動電極は、前記第2の積層体における前記駆動電極に電気的に接続されている、振動センサが実現される。
図1は、第1の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係るセンシング電極のサイズを決定するための調査に使用した振動センサを説明するための図である。 図3は、第1の実施形態に係る振動センサの長さ方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図である。 図4は、第1の実施形態に係る振動センサの幅方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図である。 図5は、第2の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図である。 図6は、第3の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図である。 図7は、図6に示す振動センサにおけるセンサ部分の電気的な接続例を示す図である。 図8は、図6に示す振動センサにおける駆動部分の電気的な接続例を示す図である。 図9は、第3の実施形態に係る他の振動センサの概略構成例を示す図である。 図10は、図9に示す振動センサにおけるセンサ部分の電気的な接続例を示す図である。 図11は、図9に示す振動センサにおける駆動部分の電気的な接続例を示す図である。 図12は、第4の実施形態の第1例に係る振動センサの概略構成例を示す図である。 図13は、第4の実施形態の第2例に係る振動センサの概略構成例を示す図である。 図14は、第4の実施形態の第3例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図15は、第4の実施形態の第4例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図16は、第4の実施形態の第5例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図17は、第4の実施形態の第6例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図18は、第5の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図である。 図19は、第6の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図である。 図20は、第6の実施形態に係る振動センサの長さ方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図である。 図21は、第6の実施形態に係る振動センサの幅方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図である。 図22は、第6の実施形態において共通電極の形状及びサイズをセンシング電極の形状及びサイズに合せた場合の振動センサの共振周波数付近の感度特性を示す図である。 図23は、第6の実施形態において共通電極のサイズを圧電層と同じサイズに固定した場合の振動センサの共振周波数付近の感度特性を示す図である。 図24は、第6の実施形態に係る他の振動センサの概略構成例を示す図である。 図25は、第6の実施形態に係るさらに他の振動センサの概略構成例を示す図である。 図26は、第6の実施形態に係るさらに他の振動センサの概略構成例を示す図である。 図27は、第7の実施形態の第1例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図28は、第7の実施形態の第2例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図29は、第7の実施形態の第3例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図30は、第7の実施形態の第4例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図31は、第7の実施形態の第5例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図32は、第7の実施形態の第6例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。 図33は、第8の実施形態に係るセンサモジュールの概略構成例を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しながら、例示する実施形態にかかる振動センサ及びセンサモジュールを詳細に説明する。
振動センサには、ピエゾ抵抗効果を利用したピエゾ抵抗型、静電容量の変化を利用した静電容量型、圧電効果を利用した圧電型などが存在する。それらのうち、圧電型の振動センサは、外部電源が不要なため、センサの自由度が高く、また、検出データを無線送信する際の電力をセンサ自身の発電で賄うことが可能であるため、低消費電力であるという利点を有する。さらに、電圧を印加することで励振できるため、センシングだけではなくセンサ自身のキャリブレーションも可能であるというメリットを備える。
また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの圧電型振動センサは、低コスト化及び小型化の点において非常に有利である。その一方で、MEMSタイプの圧電型振動センサは、微小な振動に対する感度を高めることが困難であり、十分な感度を達成することが難しい場合が存在する。
そこで以下の実施形態では、微小な振動に対する感度を向上することが可能な振動センサ及びセンサモジュールを提供することを目的とする。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る振動センサについて、図面を参照して詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図であり、図1(a)は、振動センサ10の上視図であり、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る振動センサ10は、カンチレバー構造(以下、説明の都合上、片持ち梁構造という)を備えるMEMSタイプの圧電型振動センサであって、支持層101と、絶縁層102と、共通電極103と、圧電層104と、センシング電極105及び駆動電極106とを備えている。支持層101、絶縁層102、共通電極103、圧電層104、センシング電極105及び駆動電極106が、支持体100から突出した片持ち梁構造を構成している。
支持層101は、支持体100から突出した板状の構造物である。この支持層101は、少なくとも1つの主面が支持体100に対して実質的に垂直となるように、支持体100から突出していてもよい。また、支持層101は、支持体100と一体の部材であってもよいし、支持体100とは別の部材であってもよい。支持層101の材料には、たとえばバルクシリコンなど、種々の材料を用いることができる。なお、本説明において主面とは、その構造物における最も面積の広い面であるとする。また、支持層101は、例えば片持ち梁構造における先端部分に重さが集中する形状に加工されていてもよい。
板状の支持層101は、表と裏とで2つの主面を備えている。これら2つの主面のうち、一方の主面(これを表面又は上面ともいう)上には、たとえばこの主面と同程度のサイズの圧電層104が配置されている。この圧電層104には、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウム・スカンジウム(AlScN)、KNN((K,Na)NbO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZ)、亜鉛酸ニオブ酸鉛(Pb(Zn1/3Nb2/3)O:PZN-PT)、マグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O:PMN-PT)など、種々の圧電材料を用いることができる。
圧電層104の2つの主面のうち、支持層101側の一方の主面(これを第1の主面という)には、共通電極103が設けられている。共通電極103は、第1の主面全体を覆うサイズであってもよいし、第1の主面の一部を覆うサイズであってもよい。この共通電極103には、たとえばプラチナ(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)などの金属や、その他の導電材料を用いることができる。
共通電極103と支持層101との間には、絶縁層102が設けられている。これにより、共通電極103と支持層101とが電気的に分離されている。この絶縁層102には、たとえば酸化シリコン(SiO)など、種々の絶縁材料を用いることができる。なお、支持層101と絶縁層102とを同じ材料(例えば酸化シリコンなどの絶縁材料)で構成することも可能である。
圧電層104の2つの主面のうち、第1の主面と反対側の第2の主面には、センシング電極105及び駆動電極106が設けられている。センシング電極105及び駆動電極106には、たとえば金(Au)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)などの金属や、その他の導電材料を用いることができる。このセンシング電極105及び駆動電極106は、それぞれ圧電層104を挟んで共通電極103に対向する電極である。これらのうち、センシング電極105は、振動によって圧電層104表面に現れた分極を電気信号として取り出すための電極である。一方、駆動電極106は、圧電層104に電界を印加することで得られる逆圧電効果を利用して、振動センサ10をキャリブレーションするための電極である。
センシング電極105及び駆動電極106は、それぞれ最適なサイズ及び配置となるように設計されている。たとえばセンシング電極105は、圧電層104の第2の主面であって、支持体100から突出した構造物である振動センサ10の根元付近のエリアに設けられてもよい。一方、駆動電極106は、センシング電極105の周囲(ただし、根元側を除く。以下同じ)を数μm~数10μm程度離間しつつ取り囲むように、圧電層104の第2の主面における残りのエリアに設けられてもよい。
以上のような構成を備える振動センサ10が外部から振動を受けると、その根元付近に応力が発生する。その結果、圧電効果によって圧電層104の表面に発生した電荷が圧電層104を挟む共通電極103及びセンシング電極105に蓄積する。そこで、センシング電極105と共通電極103との間に発生した電位差を検出することで、振動を検出することができる。
その際、片持ち梁構造の共振を利用する構造とすることで、振動に対する感度を高めることが可能になるとともに、共振状態に有無に応じてその振動の周波数を特定することが可能になる。
さらに、振動センサ10自身の状態を確認するため、駆動電極106と共通電極103とに交流電圧を印加して振動を励起することで、キャリブレーションを実施することが可能である。その際、センシング電極105と共通電極103との電位差を利用してキャリブレーション時の振動センサ10の振幅をモニタリングすることで、振動センサ10自身の状態を把握することができる。
なお、センシング電極105を片持ち梁構造の根元付近に配置することで、センシング時の振動センサ10の出力電圧が大きくなるため、振動センサ10の振動に対する感度を向上することが可能となる。また、センシング電極105の周囲を取り囲むように駆動電極106を配置することで、効率よく振動センサ10を振動させることが可能となる。その結果、キャリブレーション時の駆動性能とセンシング感度とを両立することが可能となる。
つづいて、センシング電極105のサイズについて説明する。そこで本実施形態では、センシング電極105のサイズを決定するにあたり、圧電層104の第2の主面の長さL及び幅Wに対してセンシング電極105の長さ及び幅を変化させた際の感度の依存性を調査した。
図2は、本実施形態に係るセンシング電極のサイズを決定するための調査に使用した振動センサを説明するための図である。図2に示すように、本調査では、片持ち梁構造の長さ(支持層101の長さに相当)Lに対するセンシング電極105の長さの縮小率をLcとし、片持ち梁構造の幅(支持層101の幅に相当)Wに対するセンシング電極105の幅の縮小率をWcとし、圧電層104のサイズを支持層101のサイズと同じとし、圧電層104の長さLを400μmとし、幅Wを50μmとした。また、支持層101を膜厚3μmのSi層とし、絶縁層102を膜厚200nmのSiO層とし、共通電極103を膜厚100nmのPt層とし、圧電層104を膜厚3μmのPZT層とし、センシング電極105を膜厚100nmのAu層とした。さらに、本調査では、説明の簡略化のため、図2に示すように、駆動電極106を省略し、共通電極103のサイズを圧電層104の第1の主面のサイズと同じサイズとした。
図3は、本実施形態に係る振動センサの長さ方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図であり、図4は、本実施形態に係る振動センサの幅方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図である。なお、図3及び図4では、感度特性が、振動の周波数に対する上下電極(共通電極103及びセンシング電極105に相当)表面の電位差の絶対値(出力電圧に相当)として示されている。
図3には、センシング電極105の幅を圧電層104の幅Wと同じとした場合において、センシング電極105の長さ方向の縮小率Lcを、0.1~0.8まで0.1ずつ変化させた際の感度特性が示されている。図3に示されているように、縮小率Lcが0.5である場合、すなわち、センシング電極105の長さが片持ち梁構造の長さLの半分である場合、振動センサ10の感度特性が最も良好である。そして、縮小率Lcが0.3~0.7の範囲内であれば、振動センサ10の感度特性が良好な範囲に保たれている。ただし、縮小率Lcを0.1~0.3又は0.7~0.9の範囲内とした場合でも、十分な感度特性の振動センサ10が実現されていることが分かる。
また、図4には、センシング電極105の長さを圧電層104の長さLの半分とした場合において、センシング電極105の幅方向の縮小率Wcを、0.1~0.9まで0.1ずつ変化させた際の感度特性が示されている。図4に示されているように、センシング電極105の長さ方向の変化に対する振動センサ10の感度特性(図3参照)と比較して、センシング電極105の幅方向の変化に対し、振動センサ10の感度特性は安定している。ただし、縮小率Wcが0.5である場合、すなわち、センシング電極105の幅が片持ち梁構造の幅Wの半分である場合、振動センサ10の感度特性が最も良好となっている。そして、縮小率Wcが0.3~0.7の範囲内であれば、振動センサ10の感度特性が良好な範囲に保たれている。ただし、縮小率Wcを0.1~0.3又は0.7~0.9の範囲内とした場合でも、十分な感度特性の振動センサ10が実現されていることが分かる。ただし、センシング電極105の長さ及び幅には、製造プロセス上の制約から下限となる長さ及び幅が存在するため、センシング電極105の長さ及び幅は、この下限となる長さ及び幅(例えば数μm~10μm)以上であることが好ましい。
そして、これらの調査結果から、センシング電極105の幅と長さとの両方を片持ち梁構造の幅W及び長さLの半分とした場合に、振動センサ10の感度が最も高いことが分かる。
以上のように、本実施形態に係る振動センサ10は、片持ち梁構造を備えるMEMSタイプの圧電型振動センサであって、センシング電極105が片持ち梁構造の根元付近に設けられた構成を備える。このように、振動によって発生した応力が集中する根元付近に振動を検出するためのセンシング電極105を設けることで、より効果的に振動を検出することが可能となるため、結果として、振動に対する感度を高めることが可能となる。
また、本実施形態に係る振動センサ10は、片持ち梁構造の共振を利用することが可能である。それにより、振動に対する感度を高めることが可能になるとともに、共振状態に有無に応じてその振動の周波数を特定することが可能になる。
さらに、本実施形態に係る振動センサ10では、センシング電極105の周囲を数μm~数10μm程度離間しつつ取り囲むように、圧電層104における第2の主面の残りのエリア全体に駆動電極106が設けられている。それにより、駆動性能とセンシング感度とが両立された振動センサ10を実現することが可能となる。
(第2の実施形態)
つぎに、第2の実施形態に係る振動センサについて、図面を参照して詳細に説明する。第1の実施形態では、一方の端が固定端とされ、他方の端が自由端とされた片持ち梁構造の振動センサ10について説明した。これに対し、第2の実施形態では、両方の端が固定端とされた両持ち梁構造の振動センサについて、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成について、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
図5は、第2の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図であり、図5(a)は、振動センサ20の上視図であり、図5(b)は、図5(a)のB-B断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る振動センサ20は、第1の実施形態に係る振動センサ10と同様の構成において、支持層101と絶縁層102と共通電極103と圧電層104とよりなる積層体の両端が支持体100A及び100Bに固定された構成を備える。また、積層体の支持体100Aに対する根元付近には、センシング電極105Aが設けられ、支持体100Bに対する根元付近には、センシング電極105Bが設けられている。すなわち、本実施形態に係る振動センサ20では、2つの端それぞれの根元付近に発生した応力を利用して振動をセンシングする。それにより、第1の実施形態と同様に、より効果的に振動を検出することが可能となり、その結果、振動に対する感度を高めることが可能となる。
駆動電極206は、センシング電極105Aおよび105Bそれぞれの周囲を数μm~数10μm程度離間しつつ取り囲むように、圧電層104の第2の主面における残りのエリアに設けられてもよい。
なお、支持体100A及び100Bのうちの少なくとも一方は、固定された部材である必要はなく、たとえば重りとしての役割を果たすものであってもよい。その場合、振動センサ20からの出力電圧の振幅を大きくすることが可能となるため、感度を高めることが可能となる。
なお、振動センサ20の断面構造など、その他の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(第3の実施形態)
つぎに、第3の実施形態に係る振動センサについて、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、上述又は後述する実施形態に係る振動センサを複数接続して1つの振動センサを構成する場合について、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成について、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
まず、第1の実施形態に係る振動センサ10を複数接続して1つの振動センサを構成する場合について、図面を用いて詳細に説明する。図6は、第3の実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図である。図7は、図6に示す振動センサにおけるセンサ部分の電気的な接続例を示す図である。図8は、図6に示す振動センサにおける駆動部分の電気的な接続例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る片持ち梁構造の振動センサ30Aは、それぞれ例えば第1の実施形態に係る振動センサ10と同様の構成を備える複数の振動センサ10A~10Nがアレイ化された構成を備える。複数の振動センサ10A~10Nは、同じ支持体100に固定されていてもよいし、少なくとも一部が異なる支持体に固定されてもよい。
このような構成を有する振動センサ30Aのセンサ部分は、図7に示すように、ある振動センサ10(例えば振動センサ10A)のセンシング電極105が後段に配置された振動センサ10(例えば振動センサ10B)の共通電極103に接続された構成を備える。すなわち、センサ部分に着目した場合、複数の振動センサ10A~10Nが直列に接続されている。このような構成とすることで、振動センサ30Aからの出力電圧のゲインを、組み合わせる振動センサ10の数に応じて高めることが可能となる。
一方、振動センサ30Aの駆動部分は、図8に示すように、複数の振動センサ10A~10N間で、駆動電極106が並列接続されるとともに、共通電極103が並列接続された構成を備える。すなわち、駆動部分に着目した場合、複数の振動センサ10A~10Nが並列に接続されている。このような構成とすることで、例えばキャリブレーション時に、複数の振動センサ10A~10Nを一括駆動することが可能となる。
つぎに、第2の実施形態に係る両持ち梁構造の振動センサ20を複数接続して1つの振動センサを構成する場合について、図面を用いて詳細に説明する。図9は、第3の実施形態に係る他の振動センサの概略構成例を示す図である。図10は、図9に示す振動センサにおけるセンサ部分の電気的な接続例を示す図である。図11は、図9に示す振動センサにおける駆動部分の電気的な接続例を示す図である。
図9に示すように、本実施形態に係る片持ち梁構造の振動センサ30Bは、それぞれ例えば第2の実施形態に係る振動センサ20と同様の構成を備える複数の振動センサ20A~20Nがアレイ化された構成を備える。複数の振動センサ20A~20Nは、同じ支持体100A及び100Bに固定されていてもよいし、少なくとも一部が異なる支持体に固定されてもよい。
図10に示すように、振動センサ30Bのセンサ部分は、図6~図8に示す振動センサ30Aと同様に、複数の振動センサ20A~20Nが直列に接続された構成を備える。このような構成とすることで、振動センサ30Bからの出力電圧のゲインを、組み合わせる振動センサ20の数に応じて高めることが可能となる。なお、振動センサ20A~20Nそれぞれのセンシング電極105A側を直列接続した系列と、センシング電極105B側を直列接続した系列とは、互いに独立した系列であってもよいし、それぞれの系列がさらに直列接続されていてもよい。若しくは、振動センサ20A~20Nそれぞれのセンシング電極105A側とセンシング電極105B側とが交互に直列接続された構成であってもよい。
図11に示すように、振動センサ30Bの駆動部分についても、図6~図8に示す振動センサ30Aと同様に、複数の振動センサ20A~20Nが並列に接続された構成を備える。このような構成とすることで、例えばキャリブレーション時に、複数の振動センサ20A~20Nを一括駆動することが可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、出力電圧のゲインを組み合わせる振動センサ10の数に応じて高めることが可能となる。また、例えばキャリブレーション時には、複数の振動センサを一括駆動することが可能な振動センサ30A/30Bを実現することが可能となる。
なお、各振動センサ10/20の断面構造など、その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(第4の実施形態)
つぎに、第4の実施形態に係る振動センサについて、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施形態では、片持ち梁構造又は両持ち梁構造の振動センサ10/20を例示したが、本実施形態では、複数の振動センサにおいてそれぞれの一方の端が束ねることで複数の振動センサ間で駆動部分が共通化された構造を備える振動センサについて、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成について、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
・第1例
図12は、本実施形態の第1例に係る振動センサの概略構成例を示す図であり、図12(a)は、振動センサ40Aの上視図であり、図12(b)は、図12(a)のC-C断面図である。図12に示すように、第1例に係る振動センサ40Aは、所定間隔で配列した複数(本例では4つ)の片持ち梁構造のセンサ部41A~41Dと、センサ部41A~41Dの自由端側を拘束するコの字型の駆動部43Aとを備える。すなわち、第1例に係る振動センサ40Aは、片持ち梁構造の複数の振動センサにおける駆動部分(駆動部43Aに相当)が共通化されることで、センサ部41A~41Dの先端が共通に拘束された構造を備える。
各センサ部41A~41Dは、例えば上述した実施形態で例示した振動センサ10/20におけるセンサ部分と同様に、支持層401と、絶縁層402と、共通電極403と、圧電層404と、センシング電極405とが積層された構成を備えている。ただし、第1例では、センシング電極405の幅が圧電層404の幅Wと同じである。また、駆動部43Aも、振動センサ10/20における駆動部分と同様に、支持層401と、絶縁層402と、共通電極403と、圧電層404と、駆動電極406とが積層された構成を備えている。
このように、片持ち梁構造のセンサ部41A~41Dの自由端側をコの字型の駆動部43Aで拘束した構成とすることで、センサ部41A~41Dそれぞれの共振周波数のずれによるセンサ感度の低下を抑制することが可能となる。
・第2例
図13は、本実施形態の第2例に係る振動センサの概略構成例を示す図であり、図13(a)は、振動センサ40Bの上視図であり、図13(b)は、図13(a)のD-D断面図である。図13に示すように、第2例に係る振動センサ40Bは、所定間隔で配列した複数(本例では4つずつ)の片持ち梁構造のセンサ部41A~41D及び41E~41Hと、センサ部41A~41D及び41E~41Hの自由端側を拘束するエの字型の駆動部43Aとを備える。駆動部43Bの駆動電極416は、エの字型をしている。片持ち梁構造のセンサ部41A~41D及び41E~41Hのうち向かい合うセンサ部同士は、実質的には両持ち梁構造の振動センサを構成している。したがって、第2例に係る振動センサ40Bは、両持ち梁構造の複数の振動センサにおける駆動部分(駆動部43Bに相当)が共通化されることで、センサ部41A~41D及び41E~41Hの先端が共通に拘束された構造を備える。
各センサ部41A~41D及び41E~41H並びに駆動部43Bは、上述したセンサ部41A~41D及び駆動部43Aと同様の層構造を備えていてよい。
このように、センサ部41A~41D及び41E~41Hで構成された両持ち梁構造の振動センサにおける駆動部分を駆動部43Bで共通化して各センサ部41A~41D及び41E~41Hの自由端側を拘束した構成とすることで、第1例と同様に、センサ部41A~41D及び41E~41Hそれぞれの共振周波数のずれによるセンサ感度の低下を抑制することが可能となる。
・第3例
図14は、本実施形態の第3例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図14に示すように、第3例に係る振動センサ40Cは、所定間隔で配列した複数(本例では4つ)の片持ち梁構造のセンサ部41A~41D、41E~41H、41I~41L、及び、41M~41Pと、これらセンサ部41A~41Pの自由端側を拘束する矩形状の駆動部43Cとを備える。すなわち、第3例に係る振動センサ40Cは、中央に位置する矩形状の駆動部43Cがセンサ部41A~41D、41E~41H、41I~41L、及び、41M~41Pで周囲から取り囲むようにして吊るす構造を備える。なお、駆動部43Cは、センサ部41A~41D、41E~41H、41I~41L、及び、41M~41Pの先端を共通に拘束している。ただし、矩形状の駆動部43Cの角部分は、支持体100A~100Dそれぞれに接続されている。そして、駆動電極426も、矩形の角部分が支持体100A~100Dそれぞれに延在している。
各センサ部41A~41P及び駆動部43Cは、上述したセンサ部41A~41D及び駆動部43Aと同様の層構造を備えていてよい。
このように、中央の矩形状の駆動部43Cを四方から片持ち梁構造のセンサ部41A~41D、41E~41H、41I~41L、及び、41M~41Pで四方から吊るす構造とすることで、センサ部の数を増加させることが可能となるため、振動センサ40Eの感度をより高めることが可能となる。なお、駆動部43Cは、矩形状に限られず、円形や楕円形や三角形以上の多角形など、種々変形されてもよい。
・第4例、第5例及び第6例
図15は、本実施形態の第4例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図16は、本実施形態の第5例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図17は、本実施形態の第6例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。
図15に示すように、第4例に係る振動センサ40Dは、図12に示した第1例に係る振動センサ40Aと同様の構成において、センサ部41A~41Dそれぞれにおけるセンシング電極405がセンシング電極415に置き換えられている。同様に、図16に示すように、第5例に係る振動センサ40Eは、図13に示した第2例に係る振動センサ40Bと同様の構成において、センサ部41A~41D及び41E~41Hそれぞれにおけるセンシング電極405がセンシング電極415に置き換えられている。さらに同様に、図17に示すように、第6例に係る振動センサ40Fは、図14に示した第3例に係る振動センサ40Cと同様の構成において、センサ部41A~41Pそれぞれにおけるセンシング電極405がセンシング電極415に置き換えられている。センシング電極415は、例えば第1の実施形態と同様に、圧電層404の幅Wに対して所定の縮小率Wcで縮小された幅を有している。
このように、第4例、第5例及び第6例では、各センシング電極415の幅が最適化されている。それにより、振動センサ40D、40E及び40Fの感度をより向上することが可能となる。
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(第5の実施形態)
つぎに、第5の実施形態に係る振動センサについて、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施形態では、振動センサそれぞれにおいて、1つのセンサ部分が1つのセンシング電極105/405/415で構成されていた。これに対し、第5の実施形態では、各センサ部分におけるセンシング電極105/405/415が複数に分割されている場合について、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成について、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、以下では、説明の簡略化のため、第1の実施形態に係る振動センサ10をベースに説明するが、これに限らず、他の実施形態に係る振動センサに対しても同様に適用することが可能である。
図18は、本実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図であり、図18(a)は、振動センサ50の上視図であり、図18(b)は、図18(a)のE-E断面図である。
図18に示すように、本実施形態に係る振動センサ50は、第1の実施形態に係る振動センサ10と同様の構成において、センシング電極105が複数(本例では3つ)の分割電極105a~105cに置き換えられた構成を備える。
複数の分割電極105a~105cは、例えば電気的に直列に接続されている。それにより、より効果的に振動を検出することが可能となり、その結果、振動に対する感度を高めることが可能となる。
なお、振動センサ50の断面構造など、その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(第6の実施形態)
つぎに、第6の実施形態に係る振動センサについて、図面を参照して詳細に説明する。上述した実施形態では、共通電極103のサイズ及び形状を圧電層104の第1の主面のサイズ及び形状と同じとしていた。これに対し、本実施形態では、共通電極103のサイズ及び形状を、例えばセンシング電極105のサイズ及び形状に応じて変化させる場合について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成について、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、以下では、説明の簡略化のため、第1の実施形態に係る振動センサ10をベースに説明するが、これに限らず、他の実施形態に係る振動センサに対しても同様に適用することが可能である。
図19は、本実施形態に係る振動センサの概略構成例を示す図であり、図19(a)は、振動センサ60Aの上視図であり、図19(b)は、図19(a)のF-F断面図である。
図19に示すように、本実施形態に係る振動センサ60Aは、例えば第1の実施形態に係る振動センサ10と同様の構成において、共通電極103が共通電極103a及び103bに置き換えられた構成を備える。共通電極103aは、例えばセンシング電極105と同様のサイズ及びを有しており、共通電極103bは、例えば駆動電極106と同様のサイズ及びを有している。
なお、図19に示されているように、振動センサ60Aを製造する際の製造プロセスによっては、圧電層604に共通電極103a及び103b間のギャップに起因したトレンチ61が現れる。
つづいて、センシング電極105及び共通電極103aのサイズについて説明する。なお、本実施形態では、センシング電極105及び共通電極103aのサイズを決定するための調査において、図2を用いて説明した振動センサにおける共通電極103を共通電極103aに置き換えたものを使用した。ただし、共通電極103と共通電極103aとは、材料及び膜厚を同じとする。
図20は、本実施形態に係る振動センサの長さ方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図であり、図21は、本実施形態に係る振動センサの幅方向の電極縮小率に対する感度特性を示す図である。なお、図20及び図21では、図3及び図4と同様に、感度特性が、振動の周波数に対する上下電極(共通電極103a及びセンシング電極105に相当)表面の電位差の絶対値(出力電圧に相当)として示されている。
図20には、センシング電極105及び共通電極103aの長さ方向の縮小率Lcを、0.05~0.9まで変化させた際の感度特性が示されている。図20に示されているように、共通電極103aの形状及びサイズをセンシング電極105の形状及びサイズに合せた場合、縮小率Lcを小さくすればするほど、すなわち、片持ち梁構造の長さLに対する比率を小さくすればするほど、振動センサ60Aの感度特性が改善しており、縮小率Lcが0.1以下である場合が最も良好な感度特性となっている。そして、縮小率Lcが0.5以下であれば、振動センサ60Aの感度特性が良好な範囲に保たれ、縮小率Lcが0.9以下であれば、十分な感度特性の振動センサ60Aが実現されている。
また、図21には、センシング電極105及び共通電極103aの幅方向の縮小率Wcを、0.1~0.9まで0.1ずつ変化させた際の感度特性が示されている。図21に示されているように、センシング電極105及び共通電極103aの幅方向の変化に対して振動センサ60Aの感度特性は安定しているものの、縮小率Wcが0.5である場合に振動センサ60Aの感度特性が最も良好となっている。そして、縮小率Wcが0.3~0.7の範囲内であれば、振動センサ60Aの感度特性が良好な範囲に保たれている。ただし、縮小率Wcを0.1~0.3又は0.7~0.9の範囲内とした場合でも、十分な感度特性の振動センサ60Aが実現されていることが分かる。
ただし、センシング電極105及び共通電極103aの長さ及び幅には、製造プロセス上の制約から下限となる長さ及び幅が存在するため、センシング電極105及び共通電極103aの長さ及び幅は、この下限となる長さ及び幅(例えば数μm~10μm)以上であることが好ましい。
ここで、共通電極103のサイズを圧電層104と同じサイズに固定した場合(例えば第1の実施形態)と、共通電極103aの形状及びサイズをセンシング電極105の形状及びサイズに合せた場合(例えば本実施形態)とで、いずれの場合がより良い感度特性を得られるかについて説明する。なお、本説明では、それぞれの場合で、センシング電極105の長さ及び幅を圧電層104の長さL及び幅Wの半分、すなわち縮小率Lc及びWcをそれぞれ0.5とする。
図22は、共通電極の形状及びサイズをセンシング電極の形状及びサイズに合せた場合の振動センサの共振周波数付近の感度特性を示す図であり、図23は、共通電極のサイズを圧電層と同じサイズに固定した場合の振動センサの共振周波数付近の感度特性を示す図である。なお、図22及び図23では、図20及び図21と同様に、感度特性が、振動の周波数に対する上下電極(共通電極103/103a及びセンシング電極105に相当)表面の電位差の絶対値(出力電圧に相当)として示されている。
図22と図23とを比較すると明らかなように、共通電極103aの形状及びサイズをセンシング電極105の形状及びサイズに合せた場合(例えば本実施形態)の方が、共通電極103のサイズを圧電層と同じサイズに固定した場合(例えば第1の実施形態)よりも、振動センサの出力電圧が増加している。これは、共通電極103aの形状及びサイズをセンシング電極105の形状及びサイズに合せた構造の振動センサ(例えば振動センサ60A)の方が、共通電極103のサイズを圧電層と同じサイズに固定した構造の振動センサ(例えば振動センサ10)よりも、感度特性が向上していることを示している。
以上のことから、センシング電極105及び共通電極103aのサイズを最適化することにより、出力電圧を更に向上することができ、それにより、振動に対する感度をより高めることが可能となる。
なお、以上のような調査結果は、第1の実施形態に係る片持ち梁構造の振動センサ10をベースとした振動センサ60Aに限られるものではない。例えば図24に示すような、第2の実施形態に係る両持ち梁構造の振動センサ20をベースとした振動センサ60Bについても同様に当てはめることができる。なお、図24に示す振動センサ60Bでは、共通電極103が、センシング電極105Aに対応する共通電極103Aと、センシング電極105Bに対応する共通電極103Bと、駆動電極216に対応する共通電極103Cとに分割されている。また、圧電層614には、共通電極103A~103C間のギャップに起因したトレンチ61A及び61Bが現れている。
また、図19及び図24では、共通電極103をセンシング電極105/105A/105B及び駆動電極106/216の形状に合せて分離加工する場合を例示したが、これらの構成に限定されるものではない。例えば、図25に及び図26に示すように、共通電極103に加えて圧電層104も、センシング電極105/105A/105B及び駆動電極106/216の形状に合せて分離加工した構成とすることも可能である。
なお、図25に示されている振動センサ60Cは、例えば第1の実施形態に係る振動センサ10をベースとしたものであり、例えば図19に示す振動センサ60Aと同様の構成において、圧電層604が圧電層604a及び604bに置き換えられた構成を備える。圧電層604aは、例えばセンシング電極105と同様のサイズ及びを有しており、圧電層604bは、例えば駆動電極106と同様のサイズ及びを有している。そして、トレンチ62は、その底面に絶縁層102が露出している。
また、図26に示されている振動センサ60Dは、例えば第2の実施形態に係る振動センサ20をベースとしたものであり、例えば図24に示す振動センサ60Bと同様の構成において、圧電層614が圧電層614A、614B及び614Cに置き換えられた構成を備える。圧電層614Aは、例えばセンシング電極105Aと同様のサイズ及びを有しており、圧電層614Bは、例えばセンシング電極105Bと同様のサイズ及びを有しており、圧電層614Cは、例えば駆動電極216と同様のサイズ及びを有している。そして、トレンチ62A及び62Bそれぞれは、その底面に絶縁層102が露出している。
その他、振動センサ50の断面構造など、その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(第7の実施形態)
つぎに、第7の実施形態に係る振動センサについて、図面を参照して詳細に説明する。上述した第3の実施形態では、長さLが同じ振動センサ10/20をアレイ化して電気的に接続した。これに対し、本実施形態では、長さLが異なる振動センサをアレイ化して電気的に接続する場合について、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成について、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。
・第1例
図27は、第1例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図27に示すように、第1例に係る振動センサ70Aは、それぞれ長さLが異なる片持ち梁構造の振動センサ71A~71Nを1つずつ備える。振動センサ71A~71Nは、同じ支持体100に固定されていてもよいし、少なくとも一部が異なる支持体に固定されてもよい。また、センサ部及び駆動部の電気的な接続例、並びに、各振動センサ71A~71Nの断面構造は、例えば上述した実施形態における片持ち梁構造の振動センサのいずれかと同様であってよい。
・第2例
図28は、第2例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図28に示すように、第2例に係る振動センサ70Bは、第1例に係る振動センサ70Aと同様の構成において、同じ長さLの振動センサ71A~71Nを複数ずつ(本例では2つずつ)備えている。
・第3例
図29は、第3例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図29に示すように、第3例に係る振動センサ70Cは、第1例に係る振動センサ70Aと同様の構成において、各振動センサ71A~71Nの自由端側が支持体100B1~100Bnに固定された構成を有している。支持体100B1~100Bnは1つの支持体であってもよいし、複数に分割された支持体であってもよい。
・第4例
図30は、第4例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図30に示すように、第4例に係る振動センサ70Dは、第2例に係る振動センサ70Bと同様の構成において、同じ長さLを持つ振動センサ71A~71Nの自由端側が共通の支持体100B1~100Bnに固定された構成を有している。支持体100B1~100Bnは1つの支持体であってもよいし、複数に分割された支持体であってもよい。
・第5例
図31は、第5例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図31に示すように、第5例に係る振動センサ70Eは、例えば第3例に係る振動センサ70Cと同様の構成において、それぞれ長さLが異なる片持ち梁構造の振動センサ71A~71Nが、それぞれ長さLが異なる両持ち梁構造の振動センサ72A~72Nが、に置き換えられた構成を有する。なお、センサ部及び駆動部の電気的な接続例、並びに、各振動センサ72A~72Nの断面構造は、例えば上述した実施形態における両持ち梁構造の振動センサのいずれかと同様であってよい。
・第6例
図32は、第6例に係る振動センサの概略構成例を示す上視図である。図32に示すように、第6例に係る振動センサ70Fは、第5例に係る振動センサ70Eと同様の構成において、同じ長さLの振動センサ72A~72Nを複数ずつ(本例では2つずつ)備えている。
各振動センサ71A~71N及び72A~72Nは、長さLに応じた共振周波数を有している。そのため、上述した第1~第6例のように、長さLの異なる複数の振動センサをアレイ化することで、センシングの帯域を広げることが可能となる。
その際、第2、第4及び第6例のように、同じ長さLの振動センサを複数設けることで、各共振周波数の振動を検出した際の出力電圧のゲインを組み合わせる振動センサの数に応じて高めることが可能となる。
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(第8の実施形態)
つぎに、第8の実施形態に係るセンサモジュールについて、図面を参照して詳細に説明する。第8の実施形態では、上述した実施形態に係る振動センサを備えたセンサモジュールについて、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成について、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。また、以下では、説明の簡略化のため、第1の実施形態に係る振動センサ10を用いた場合を説明するが、これに限らず、他の実施形態に係る振動センサを用いることも可能である。
図33は、本実施形態に係るセンサモジュールの概略構成例を示すブロック図である。図33に示すように、センサモジュール80は、振動センサ10に加え、制御部81と、メモリ82とを備える。
制御部81は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの情報処理装置で構成され、センシング電極105と共通電極103との間に生じた電位差に基づいて振動センサ10に入力された振動を検出する。また、制御部81は、例えば振動センサ10のキャリブレーション時には、振動センサ10の共振周波数に相当する周波数の電圧信号を駆動電極106及び共通電極103に印加する。
メモリ82は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの記憶装置であり、制御部81の動作を実現するための各種プログラム及びパラメータや、振動センサ10で検出された振動のデータを記憶する。なお、各種プログラム及びパラメータには、振動センサ10のキャリブレーション時に使用するプログラム及びパラメータが含まれている。
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,10A~10N,20,20A~20N,30A,30B,40A~40F,50,60A~60D,70A~70F,71A~71N,72A~72N…振動センサ、41A~41P…センサ部、43A,43B,43C…駆動部、61,61A,61B,62,62A,62B…トレンチ、80…センサモジュール、81…制御部、82…メモリ、100,100A,100B,100B1~100Bn…支持体、101,401…支持層、102,402…絶縁層、103,103A~103C,103a,103b,403…共通電極、104,404,604,604a,604b,614,614A~614C…圧電層、105,105A,105B,405,415…センシング電極、105a~105c…分割電極、106,206,406,416,426…駆動電極。

Claims (19)

  1. 支持体から突出した構造物である振動センサであって、
    第1の端が前記支持体に固定され、前記支持体から突出して設けられた支持層と、
    前記支持層上の圧電層と、
    前記支持層と前記圧電層との間に設けられた絶縁層と、
    前記圧電層の第1の主面に設けられた共通電極と、
    前記圧電層の前記第1の主面とは反対側の第2の主面における第1領域に設けられた第1センシング電極と、
    前記圧電層の前記第2の主面における前記第1領域とは異なる第2領域に設けられた駆動電極と、
    からなる積層体を備え、
    前記第1領域は、前記支持層における前記第1の端付近に位置し、
    第1の積層体と第2の積層体とを含む複数の前記積層体を備え、
    前記第1の積層体における前記第1センシング電極は、前記第2の積層体における前記共通電極に電気的に接続され、
    前記第1の積層体における前記駆動電極は、前記第2の積層体における前記駆動電極に電気的に接続されている、
    振動センサ。
  2. 前記第2領域は、前記第1領域を前記第1の端以外の側から離間しつつ取り囲む領域である請求項1に記載の振動センサ。
  3. 前記圧電層の前記第2の主面における第3領域に設けられた第2センシング電極をさらに備え、
    前記支持層は、前記第1の端に加え、前記第1の端とは異なる第2の端が固定され、
    前記第3領域は、前記支持層における前記第2の端付近に位置する
    請求項1に記載の振動センサ。
  4. 記複数の積層体それぞれの前記支持層は、前記第1の端とは異なる第2の端側に他の支持層と共通の部分を含み、
    前記複数の積層体それぞれの前記駆動電極は、前記支持層の前記共通の部分上に位置する
    請求項1に記載の振動センサ。
  5. 前記複数の積層体は、第1の積層体と第2の積層体とを含み、
    前記第2の積層体は、前記共通の部分を挟んで前記第1の積層体とは反対側に位置する
    請求項に記載の振動センサ。
  6. 前記複数の積層体は、前記共通の部分を周囲から取り囲むように前記共通の部分に接続されている
    請求項に記載の振動センサ。
  7. 前記共通電極は、
    前記第1センシング電極と対向する面が前記第1センシング電極と同じ形状を有し、前記圧電層を挟んで前記第1センシング電極と対応する位置に設けられた第1電極と、
    前記駆動電極と対向する面が前記駆動電極と同じ形状を有し、前記圧電層を挟んで前記駆動電極と対応する位置に設けられた第2電極と、
    からなる請求項1に記載の振動センサ。
  8. 前記圧電層は、
    前記第1センシング電極と接する面が前記第1センシング電極と同じ形状を有する第1層と、
    前記駆動電極と接する面が前記駆動電極と同じ形状を有する第2層と、
    からなる請求項に記載の振動センサ。
  9. 前記圧電層は、前記支持層と対向する面が前記支持層と同じ形状を有する請求項に記載の振動センサ。
  10. 複数の前記積層体を備え、
    前記複数の積層体それぞれの前記第1の端を起点とした長さは、他の積層体の前記第1の端を起点とした長さとは異なる
    請求項1に記載の振動センサ。
  11. 複数の前記積層体を備え、
    前記複数の積層体のうち少なくとも1つの積層体の前記第1の端を起点とした長さは、他の積層体の前記第1の端を起点とした長さとは異なる
    請求項1に記載の振動センサ。
  12. 前記支持層と前記絶縁層とは、同じ材料で構成されている請求項1に記載の振動センサ。
  13. 前記第1センシング電極は、前記第2の主面の前記第1領域における分離した領域に形成された複数の分割電極より構成されている請求項1に記載の振動センサ。
  14. 前記複数の分割電極は、電気的に直列に接続されている請求項1に記載の振動センサ。
  15. 前記第1センシング電極は、前記第1の端側を起点とした長さが、前記支持層の前記第1の端を起点とした長さの半分である請求項1に記載の振動センサ。
  16. 前記第1センシング電極は、前記第1の端側を起点とした長さが、前記支持層の前記第1の端を起点とした長さの0.3倍以上0.7倍以下である請求項1に記載の振動センサ。
  17. 前記第1センシング電極は、前記第1の端側を起点とした長さが前記支持層の前記第1の端を起点とした長さの0.1倍以下である請求項に記載の振動センサ。
  18. 前記第1センシング電極は、前記第1の端側を起点とした長さが前記支持層の前記第1の端を起点とした長さの0.5倍以下である請求項に記載の振動センサ。
  19. 請求項1に記載の振動センサと、
    前記振動センサに接続され、前記第1センシング電極と前記共通電極との間に生じた電位差に基づいて前記振動センサに入力された振動を検出し、前記駆動電極と前記共通電極とに所定周波数の電圧信号を印加することで前記振動センサを励振させる制御部と、
    を備えるセンサモジュール。
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