JP7026850B2 - 真空又は気体による電気絶縁のための誘電性構造 - Google Patents

真空又は気体による電気絶縁のための誘電性構造 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月19日に出願され、現在係属中の「CAPACITIVE STRUCTURES FOR HIGH ELECTRICAL ENERGY DENSITY」という名称の米国仮特許出願第62/733,174号に対する優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
分野
本発明は、概して、キャパシタ、回路基板、伝送ライン及びケーブル、半導体デバイスなどのための誘電体を含む、電気絶縁のための複合材料に関する。
背景
誘電体は、キャパシタ、伝送ライン、回路基板、半導体デバイス、機械的支持体及び他の用途を含む電気機器に望ましくない電流が流れないように電気的絶縁を提供する。誘電体は、誘電体が許容レベル未満の電流の流れを防ぐことができない電界レベルである、その絶縁耐力以下の電界での動作に制限される。誘電体を確実に動作させることができる最大電界は、他に要因がある中でもとりわけ、印加電圧、誘電体の厚さ及びシステム内の導体と誘電体との空間的関係に依存する。絶縁耐力は、材料特性、製造品質及び動作条件によって制限されるため、より高電圧での動作を可能にするために誘電体の厚さを増加させなければならないことが多い。高電圧動作に対応するために誘電体の厚さを増加させると、キャパシタ及び伝送ラインなどのデバイスのサイズが大きくなる。キャパシタの場合、誘電体の厚さを増加させると、単位面積当たりの静電容量として定義される静電容量密度が低下するため、より薄い誘電体を組み込んだキャパシタと同等の総静電容量を得るには、より大きいキャパシタ面積が必要になる。誘電体の厚さ及び面積の両方を増加させるために必要な材料を追加することにより、誘電体及びデバイス全体の体積及び重量がはるかに大きくなる。誘電体を組み込んだキャパシタ及び他の電気デバイスの多くの用途は、構成部品が小型化及び/又は軽量化されると恩恵を受けることになるため、誘電体を組み込んだ構成部品のサイズ及び重量を減らすために、より高い電界で動作することが可能な材料が必要とされている。誘電体に蓄積される単位体積又は単位質量当たりのエネルギーとして定義される電気エネルギー密度は、一般に、その材料特性に基づいて誘電体のサイズ及び/又は重量を評価するためのメトリックとして使用される。誘電体の電気エネルギー密度を高めることにより、その誘電体を組み込んだ構成部品を小型化し、軽量化できる場合が多い。
電気エネルギー密度W[J/m]は、電界E[V/m]において、誘電率εと一般に呼ばれる比誘電率を有する媒体の場合、以下の式によって計算することができる。自由空間の誘電率ε[F/m]は、ほぼ8.85×10-12F/mである。
Figure 0007026850000001
電気エネルギー密度は、電界の2乗に比例し、誘電率に直線的に比例する。したがって、媒体の絶縁耐力によって制限される動作電界及び/又は誘電体媒体に依存し、多くの場合、動作温度、周波数及び電界の関数である誘電率を増加させることにより、電気エネルギー密度が増加する。電気エネルギー密度を増加させるための努力の多くは、誘電率及び絶縁耐力の両方を高め、したがって動作電界を高めることを目指してきたが、誘電体媒体の絶縁耐力を増加させて動作電界を増加させると、2乗項による電気エネルギー密度のはるかに有意な利得を提供することができる。
静電キャパシタは、電界でエネルギーを蓄積する。本明細書で使用される静電キャパシタという用語は、電気二重層キャパシタと区別することを意図しており、直流電流(DC)だけでなく、交流電流(AC)又は過渡的な信号で使用されるデバイスも同様に含むと理解されるものとする。キャパシタは、従来、誘電体を使用してキャパシタの正電荷と負電荷とを分離してきたが、スーパーキャパシタ又はウルトラキャパシタと呼ばれることが多い電気二重層キャパシタには、通常、電荷を分離する誘電体がない。むしろ、導電性の電解質と電極とが直接接触しており、印加電圧が数ボルトの閾値電圧を超えない限り、電荷は、界面を越えて転送されない。このように、電気二重層キャパシタの静電容量密度及びエネルギー密度は、通常、静電キャパシタの静電容量密度及びエネルギー密度よりも大きいが、電気二重層キャパシタの電圧は、制限されている。電気二重層キャパシタを直列に配列して、動作電圧を高めたアセンブリを作成することができるが、直列スタック内の各電気二重層キャパシタの静電容量をほぼ等しくして、アセンブリの各要素にわたって均等に電圧を分布させるか、又は追加の電圧制御ハードウェアを使用して、個々のキャパシタが高すぎる電圧で動作することを防ぐかのいずれかを行わなければならない。したがって、電気二重層キャパシタは、多くの高電圧用途で高いエネルギー密度を提供するのに適していない。
電気二重層キャパシタよりも高い電圧で動作することが可能なキャパシタ(すなわち静電キャパシタ)は、通常、電気二重層キャパシタよりも静電容量密度及びエネルギー密度がはるかに小さい。静電キャパシタの分野では、静電容量密度を維持又は向上しつつ、エネルギー密度及び電力密度を増加させるように改良することが必要であり、したがって静電キャパシタの誘電体の改良が必要である。静電キャパシタ及び他の用途の誘電体に関係する重要な性能要因は、他にもいくつかあり、新たな誘電体材料で向上させることも可能である。第1に、多くの誘電体用途では、極端な高温及び低温、温度サイクルに耐える能力と、温度に対する誘電特性の変動が小さいこととの両方が求められる。第2に、誘電体の印加電圧/動作電界又は他の動作要因若しくは環境要因に対する誘電特性の変動を最小限に抑えることも重要であることが多い。例えば、特定の用途のための仕様内にとどまるために、キャパシタの誘電体は、使用電圧、周波数及び温度の範囲にわたり、それらの標準値から所定の割合を超えて変化してはならない。固体誘電体及び液体誘電体は、誘電率が電圧/電界、周波数及び温度に依存するため、これらのパラメータの影響に起因して大きい変動が生じる可能性がある。強誘電体のような誘電率が高い従来の誘電体は、環境変数及び動作変数による差異が大きい場合が多い。キャパシタの場合、温度及び印加電圧に対する静電容量及び定格電圧の安定性があれば、高エネルギー密度の蓄積機能を有するキャパシタの適用範囲が大幅に広がるであろう。第3に、多くのAC及び無線周波数(RF)用途では、高周波で効率的に動作するために低い誘電損失を必要とする。キャパシタ及びケーブルの中には、低誘電率ポリマー(例えば、εr<4のポリエチレン又はポリプロピレン)で生成された発泡体をベースにした低損失の誘電体又は単に電気的絶縁体としての気体若しくは真空で動作するものがある。しかしながら、これらの低損失の誘電体は、その実装上、絶縁耐力が弱いため、高エネルギー及び電力密度を求める高電界動作のためのデバイスでの使用が制限される。第4に、多くの用途で信頼性の向上が求められており、それは、通常、動作条件(例えば、キャパシタの誘電体における動作電界)を誘電体の最大能力からディレーティングして、長い動作寿命を実現することを必要とする。高い絶縁耐力を有する誘電体ほど、より大きいディレーティング係数で動作させることができるため、低いディレーティング係数を有する他の誘電体の同じ電界で動作させながら、寿命及び信頼性を向上させることができる。第5に、非常に高い電界での動作を実現するために、一般にポリマーフィルム誘電体で作られたフィルムキャパシタが開発され、誘電体内部で1つ又は複数の故障が生じた後に動作することができる。この機能は、一般的に自己クリアリング又は自己回復と呼ばれ、材料の欠陥又は汚染によってデバイス全体の早期の故障を引き起こす、誘電体の最も弱い点の限界を超えた動作を可能にする。この自己クリアリング特性又は自己回復特性のいずれも、非常に薄い電極及び適切な誘電体を使用することによって可能になる。誘電体材料は、自己クリアリング又は自己回復能力を決定する上で重要な要因であり、誘電体の中には、自己クリアリングに使用される方法と相容れないものがあることがわかっている。当技術分野で知られている誘電体には、既知の欠点があるため、動作条件の範囲にわたって誘電体に対する多くの要件を満たすために誘電体材料への新規なアプローチが必要である。
高エネルギー密度キャパシタのための材料 - 従来の高エネルギー密度キャパシタは、ポリマー、セラミックス又はポリマーとセラミックスとの複合材料の固体誘電体をベースにしている。場合により、固体誘電体に加えて、絶縁油などの液体誘電体が使用される。高エネルギー密度キャパシタのための薄膜ポリマー製造を成熟させるために、ここ数十年で多大な努力がなされてきた。二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)は、300MV/mのオーダーの電界強度で動作可能なミクロンのオーダーの厚さのフィルムが市販されている。これらの薄膜ポリマーは、実際に日常的に使用されており、故障時に電流のサージによって故障点周辺の電極を気化して、誘電体の故障点を絶縁することが可能な自己回復電極で作られているとき、エネルギー密度は、特に高くなる。これらのポリマーをベースにした薄膜は、ポリマーの特性のため、動作温度の範囲に制限がある。特に、ポリマーは、高温で軟化するか又はさもなければ劣化し、これにより絶縁耐力及びエネルギー密度が低下する。ポリマー特性は、ガラス転移温度にも依存し、低温性能に影響を与え得る。より高い動作温度を有する他のアクリル系ポリマーが1μm未満の厚さで商品化されている。厚さが薄く、ポリマーの化学的性質が異なることは、他のポリマーキャパシタ技術からの改良点であるが、この技術は、サブミクロンのポリマーの厚さで1,000MV/m近くの動作が実証されており、その限界に達している。
高い容量エネルギー密度を実現する他のアプローチは、高誘電率材料を使用する。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び極性基を有する他のポリマーなど、ポリマーの中には、10を超える誘電率を有するものがある。しかしながら、これらの極性ポリマーの絶縁耐力は、通常、前述したBOPP及びアクリル系薄膜ポリマーよりもはるかに低い。極性基は、交流信号下で著しい損失も引き起こし、これにより多くの用途に不適切になっている。誘電率が数千にも及ぶセラミック材料がキャパシタで使用されている。誘電率が最も高いセラミックは、チタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムなどの強誘電体である。これらのセラミックには多くの用途があるが、高エネルギー密度キャパシタでの使用は、強誘電体の飽和により、電圧の上昇とともに誘電率が大きく低下するために制限されている。これらのペロフスカイトセラミックは、RF周波数で高い誘電損失も示し、温度に対する特性が著しく変動し得る。他のセラミックが高エネルギー密度キャパシタに適用されている。アルミニウム電解キャパシタは、800MV/mまでの電界で酸化アルミニウム誘電体層を動作させる。誘電率がおよそ10である場合、800MV/mの電界強度は、28.3J/cm3に対応するが、動作電界及びエネルギー密度は、通常、低くなる。誘電率が25のタンタルキャパシタも高エネルギー密度の用途で使用されるが、通常、酸化アルミニウムよりも低い電界強度で使用される。これらのセラミックは、市販のキャパシタの最先端にあるが、セラミックは、すでに理論上の絶縁破壊限界(三方晶系酸化アルミニウムの場合に1.38GV/m及び立方晶系酸化タンタルの場合に370MV/m)付近で動作しているため、エネルギー密度を増加させる機会は、限られている。高エネルギー密度キャパシタのための別の活発な研究分野は、ポリマーとセラミックとの複合材料である。ポリマーマトリックス中のセラミック粒子のこれらの複合材料は、通常、無負荷のポリマーよりも高い誘電率を示し、同じ厚さの複合材料のセラミックよりも高い絶縁耐力を示す。しかしながら、絶縁耐力は、ポリマーの絶縁耐力によって決まる場合が多いため、ポリマーとセラミックとの複合材料のアプローチは、アクリル系ポリマー多層キャパシタで行われているような、ポリマー層がサブミクロンスケールであるポリマー多層キャパシタに対してほとんど又はまったく利点がない。
概要
本発明の実施形態は、本発明の構造において真空と電気的に均等な真空及び気体中での高電気エネルギー密度動作を可能にする新規な構造及びアセンブリを含む。真空の誘電率は、1であり、気体の誘電率は、1よりもわずかに大きいのみであるが、本発明の実施形態は、誘電率がそれよりも高い従来の誘電体で利用可能なものよりも高い電気エネルギー密度を実現する手段を提示する。これは、複数の絶縁破壊メカニズムに対処しつつ、さらに構造の真空又は真空に均等な気体部分に電界を集中させる固体-真空又は固体-気体複合構造を設計することによって達成される。本発明の材料の追加の恩恵は、極端な低温及び高温で動作すること、所与の電界で動作するためのディレーティング係数が大きくなること、自己回復又は自己クリアリングが可能であること並びに温度、印加電圧及び周波数に対する誘電特性及びエネルギー密度の依存性が低いことである。
一態様では、物品は、誘電体構造を含み得る。誘電体構造は、4よりも大きい誘電率を有する少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域と、真空又は気体の複数の領域とを含む。1つ又は複数の固体材料領域のうちの少なくとも1つの領域は、第1の平均粒子寸法(dmaj)及び第2の平均粒子寸法(dmin)を有する。加えて、真空又は気体の少なくとも1つの領域は、第1の平均粒子寸法(d’maj)及び第2の平均粒子寸法(d’min)を有する。少なくとも1つの固体材料領域のdminに対するdmajのアスペクト比は、4以上であり、及び/又は少なくとも1つの真空又は気体領域のd’minに対するd’majのアスペクト比は、4以上である。真空又は気体の複数の領域は、誘電体構造への電界の印加時、少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域における平均電界が真空又は気体の複数の領域における平均電界よりも小さいように、少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域全体にわたって分散される。
本発明の他の目的及びさらなる目的は、それに付随する新規性の特徴とともに以下の説明の過程で明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
本明細書の一部を形成し、本明細書と合わせて読まれる添付の図面では、同様の参照番号は、様々な図において同様又は類似の部分を表示するために使用される。
本発明の実施形態による、電界内の真空又は気体中の電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の実施形態による、電界内の真空又は気体中の電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の一実施形態による、2つの電極間の固体と、真空又は気体との交互の層の誘電体で構成された容量性構造の断面図である。 本発明の一実施形態による、図3の容量性構造の斜視図であり、誘電体の厚さに比べて長さ及び幅の寸法が大きいことを示す。 本発明の一実施形態による、図3の容量性構造の電極に垂直な線に沿って印加された電界の絶対値のプロットである。 本発明の一実施形態による、図3の容量性構造の電極に垂直な線に沿った電気エネルギー密度の絶対値のプロットである。 本発明の一実施形態による、図3の容量性構造の固体絶縁体に蓄積された合計エネルギーに対する、真空又は気体に蓄積された合計エネルギーの比率のプロットである。 本発明の一実施形態による、誘電体構造の単一の孔又は粒子を含む扁球の断面図及び印加電界との関係の図である。 本発明の一実施形態による、固体マトリックス内の面心立方配列における扁球の真空又は気体孔の斜視図である。 本発明の一実施形態による、図9の固体マトリックス内の扁球の断面図である。 本発明の一実施形態による、固体マトリックス内の真空又は気体孔の扁球の複合構造の、図10の二次元断面上の電界の絶対値のプロットである。 本発明の実施形態による、図11のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。 本発明の実施形態による、図11のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。 本発明の実施形態による、図11のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。 本発明の一実施形態による、固体マトリックス内の真空又は気体孔の扁球の複合構造の、図10の二次元断面上の電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の実施形態による、図15のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の実施形態による、図15のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の実施形態による、図15のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の一実施形態による、真空又は気体のマトリックス内の固体粒子の扁球の複合構造の断面図である。 本発明の一実施形態による、真空又は気体のマトリックス内の固体粒子の扁球の複合構造の、図19の二次元断面上の電界の絶対値のプロットである。 本発明の実施形態による、図19のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。 本発明の実施形態による、図19のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。 本発明の実施形態による、図19のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。 本発明の一実施形態による、真空又は気体のマトリックス内の固体粒子の扁球の複合構造の、図19の二次元断面上の電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の実施形態による、図19のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の実施形態による、図19のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の実施形態による、図19のプロットからの電極に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。 本発明の一実施形態による、アルミホイル上に堆積されたキャパシタ層の構造の一例の図である。 本発明の一実施形態による、支持構造上に構築された層状のキャパシタ構造の図である。
詳細な説明
次に、図面を参照しながら本発明を説明するが、図面では、全体を通して同様の参照番号が同様の部分を指す。本発明の特徴をわかり易く図示するために、図面では、各要素の比例関係は、必ずしも維持されているわけではない。図面に含まれている寸法は、単に例として提供されており、それに提供されるもの以外の寸法も本発明の範囲内であることが認識されるであろう。
以下の本発明の詳細な説明は、本発明を実践し得る特定の実施形態を参照する。実施形態は、当業者が本発明を実践することができるように本発明の態様を十分に詳細に説明することを意図している。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、変更形態がなされ得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、したがって、説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の範囲を限定しないものとする。
本発明の実施形態は、本発明の構造において真空と電気的に均等な真空及び気体中での高電気エネルギー密度動作を可能にする新規な構造及びアセンブリを含む。真空の誘電率は、1であり、気体の誘電率は、1よりもわずかに大きいのみであるが、本発明の実施形態は、誘電率がそれよりも高い従来の誘電体で利用可能なものよりも高い電気エネルギー密度を実現する手段を提示する。これは、複数の絶縁破壊メカニズムに対処しつつ、さらに構造の真空又は真空に均等な気体部分に電界を集中させる固体-真空又は固体-気体複合構造を設計することによって達成される。本発明の材料の追加の恩恵は、極端な低温及び高温で動作すること、所与の電界で動作するためのディレーティング係数が大きくなること、自己回復又は自己クリアリングが可能であること並びに温度、印加電圧及び周波数に対する誘電特性及びエネルギー密度の依存性が低いことである。
高い電気エネルギー密度に必要な電界レベル - 媒体の電気エネルギー密度は、前述したように、誘電率及び動作電界の両方に依存する。真空の場合、誘電率又は比誘電率は、1である。気体の場合、誘電率は、密度にわずかに依存するが、事実上1である。このため、真空又は気体で高い電気エネルギー密度を実現するために、電界は、従来の液体又は固体誘電体で使用される電界よりも高くなければならない。
図1は、4.75ギガボルト/メートル(GV/m)までの電界内の真空又は気体の電気エネルギー密度のプロットである(GV/mは、1×10ボルト/メートル(V/m)又は1ボルト/ナノメーター(V/nm)である)。1GV/mでは、電気エネルギー密度は、4.43ジュール1/立方センチメートル(J/cm)である。このエネルギー密度は、ほとんどのパッケージデバイスよりも高いが、現在利用可能な高エネルギー密度キャパシタの誘電体内のエネルギー密度よりも低い。電界を2GV/mに上げると、電気エネルギー密度は、17.7J/cmである。このエネルギー密度は、約625MV/mの電界強度で動作する高エネルギー密度アルミニウム電解キャパシタのアルミナ膜内のエネルギー密度に匹敵する。2.6GV/mでは、真空又は気体誘電体は、29.9J/cmの密度でエネルギーを蓄積することができる。これは、高エネルギー密度アルミニウム電解キャパシタにおけるアルミナの最大電界(28.3J/cm)として挙げた800MV/mで動作するアルミナ誘電体よりも高い。2.9GV/mを超えて動作する場合、真空又は気体の電気エネルギー密度は、他のすべての既知の誘電体よりも優れている。図1に示すように、電気エネルギー密度は、急速に増加し、それにより、真空又は気体中の4.75GV/mの動作電界は、ほぼ100J/cmを蓄積する。
図2は、10GV/mまでの電界内の真空又は気体中の電気エネルギー密度のプロットである。このプロットは、真空又は気体誘電体が10GV/m未満の電界で1立方センチメートル当たり数百ジュールを蓄積する可能性があることを図示す。この大きさの電界強度を実現することには課題があるが、これらの電界強度は、基本的シュウィンガー限界よりも数桁小さいことに留意されたい。
真空中の電界の基本的限界 - 固体及び液体などの従来の誘電体には、それらの材料を形成する結合を壊すのに必要なエネルギーに関連して、その絶縁耐力に限界があるが、真空中には、それに匹敵する限界がない。真空内にのみ存在する可能性のある電界の基本的限界を考察するために、容量性配列のアノード及びカソードの影響並びにすべての支持材料は、無視するものとする。古典的な量子電磁力学では、最大電界は、電子-陽電子対がそこで生じたために電界が非線形になる電界として導出されている。非線形になる前の最大電界は、シュウィンガー限界と呼ばれる場合が多く、およそ1.32×1018V/mであると導出されている。この電界強度は、従来の誘電体で実現されている電界強度(例えば、アルミナでは約1×10~1×10)及び誘電体として真空又は気体を使用する最先端技術を上回るエネルギー密度に必要な電界強度(例えば、1×10~1×1010)よりも数桁高い。このように、真空の絶縁破壊の基本的限界は、最先端技術で利用可能なものよりも高いエネルギー密度を実現する上で制限とならない。真空ギャップの絶縁破壊の原因に対処して、高エネルギー密度を実現するために適切な設計を行わなければならない。
真空絶縁破壊及びパッシェン曲線 - 真空又は気体は、従来のデバイス構造では絶縁破壊メカニズムが発生するため、これまで高電気エネルギー密度の蓄積に使用されていなかった。真空絶縁破壊は、パッシェン曲線によって表される場合が多く、これは、絶縁破壊電圧対ガス圧と電極ギャップ距離との積をプロットしたものである。パッシェン曲線のユニークな側面は、最小の絶縁破壊電圧を有し、圧力と距離との積を大きくしても、圧力と距離との積を小さくしても、いずれも絶縁破壊電圧が上昇することである。パッシェンの最小値の右側では、絶縁破壊電圧の上昇が複数の状況で理解できる。電極距離を大きくすると、所与の電圧に対してギャップ内の平均電界が減少する。より大きいギャップ距離の絶縁破壊を実現するために電圧を上げなければならない。ギャップ間隔が一定である場合、ガス圧を上げると、電子-中性粒子衝突間の平均自由行程が減少する。自由電子が電界で加速されると、衝突が発生する前に下側ピークエネルギーに達する。電子のピークエネルギーが、原子又は分子をイオン化するのに必要なエネルギーよりも小さければ、電子なだれは、起こらない。電子が十分なエネルギーを得、追加の原子をイオン化して、電子なだれ降伏を起こすことができるようにするために、電圧を大きくし、したがってギャップ内の電界も大きくしなければならない。
圧力と距離との積がパッシェンの最小値よりも小さい場合、絶縁破壊を起こすのに必要な電圧の増加は、異なるメカニズムによって説明することができる。非常に低圧では、衝突の平均自由行程が電極間の距離よりも大きいため、電子なだれプロセスがアーク放電に発展することはない。圧力と距離との積の値がパッシェンの最小値よりも小さい場合、パッシェン曲線は、非常に高い絶縁破壊電圧まで上昇するように表示される場合が多い。しかしながら、それらの曲線を作成するために使用されるデータは、ギャップ距離を比較的大きく(すなわち1mmのオーダー)保ち、ガス圧を下げて圧力と距離との積を非常に小さくすることによって生成される場合が多い。非常に小さい距離では、パッシェン曲線に示されるように、絶縁破壊電圧の上昇を制限する他の影響が支配的になる可能性がある。
パッシェン曲線からの逸脱 - カソードからの電子の電界放出は、ギャップへの電子の源を提供する。ギャップ内で電子と原子又は分子との衝突がほとんど又はまったく発生しない場合、電子は、アノードと衝突するまで加速する。カソードからアノードへのこの電子移動により、漏れ電流が発生する。漏れ電流のみであれば、動作の観点から許容できる場合もあるが、ギャップの放電が大きくなり、誘電体の故障につながる可能性がある。これらの故障は、複数の理由で発生する可能性があり、異なる条件下でのメカニズムについて科学的な討論がなされている。電界放出は、高電流密度が加熱を引き起こし得る、電極の非常に小さい面積に局在化する可能性がある。爆発性の放出とは、電界放出サイトが突然破裂し、固体、液体及び/又は気体材料をギャップに排出することを指す。これらの排出された材料は、ギャップに存在している間に放電を起こすか、又はアノード若しくはカソードに定着して、ギャップを元々の構造から改変し、電圧を抑える能力を損なう可能性がある。電界放出が故障につながる第2のメカニズムは、加速された電子の高エネルギーの衝突がアノードに及ぼす影響によるものである。電子は、アノードからの気体の脱離を引き起こし、その結果、ギャップ内の圧力が上昇し、絶縁破壊電圧が低下する可能性がある。高エネルギーの電子がアノード材料の排出を引き起こす可能性もある。アノードによって放たれたイオンがギャップを越えて加速され、カソードと衝突すると、追加の電子又は材料がギャップに排出される。このプロセスは、放電及び/又はギャップの絶縁破壊電圧の低下点の到来を急激に早める可能性がある。これらの影響により、真空キャパシタ及び気体キャパシタは、比較的低い動作電圧及び電界に制限されるため、液体誘電体及び/又は固体誘電体を使用する他の技術よりもエネルギー密度が低くなる。
真空又は気体中での1GV/mを超える電界強度の実現 - 真空又は気体のエネルギー密度が固体誘電体に匹敵し、それを上回るためにGV/m(V/nm)のオーダーの電界レベルが必要であることは、先に説明した。GV/m(V/nm)のオーダーの電界強度では、マイナス電位にある電極は、アノードに向かって電子を放出する。電子のこの電界放出は、最初に小さい漏れ電流のみが生じることがある。しかしながら、電界放出された電子は、パッシェン曲線に関連して論じたように、真空又は気体の誘電体の絶縁破壊を引き起こす可能性がある。電子と気体分子との高エネルギーの衝突によりイオン化が起こり、タウンゼンド型の放電に進行する可能性がある。加えて、電界放出が継続するか又は閾値に達すると、カソードでの爆発性の放出又はアノード材料の真空ギャップへの浸食が絶縁破壊を引き起こす可能性がある。したがって、真空又は気体の誘電体を、1GV/mを超える電界強度で確実に動作させ、高エネルギー密度動作と適合させるために、電界放出を最小限に抑えなければならない。
本発明の一実施形態では、電界放出は、1つ又は複数の電極上にコーティングされた固体絶縁層によって制限される。1つ又は複数の電極上の固体絶縁層は、真空又は気体との界面を有する電極上に存在する電界に比べて電極界面での電界強度を低減させる。この電極表面での電界の低減により、真空又は気体領域への電子の電界放出を低減又は防止することができ、誘電体構造内の電荷の蓄積を減少させ、誘電体構造の絶縁耐力を高めることができる。DCリンクキャパシタのような単極バイアスを有するデバイスのカソードは、例えば、電子放出を防ぐために絶縁層でコーティングすることができる。バイポーラデバイスでは、電極の電界レベルが、電子の電界放出が発生するGV/mの大きさに達する場合、すべての電極を絶縁層でコーティングすることができる。
いくつかの実施形態では、絶縁層は、固体誘電体であるが、いくつかの実施形態では液体誘電体でもあり得る。いずれの場合にも、誘電体は、電極表面の動作電界レベルを上回る絶縁耐力を有する。固体又は液体の誘電率及び導電率は、真空又は気体よりも高くなるため、1つ又は複数の絶縁層を導入することによって電界を再分布させることになる。本明細書でより詳細に説明するように、この再分布により、電界は、固体又は液体層で低くなり、真空又は気体で高くなる。真空又は気体中の電界をこのように集中させることは、電界放出を制限することに加えて、構造をより高電圧で動作させるためにも有益である。
絶縁コーティングは、多くの形態をとり得るが、電極に直接接合されるように優先的に形成される。いくつかの好適な実施形態では、絶縁層は、電極の酸化若しくは陽極酸化又は他の化学反応によって形成される。金属酸化膜絶縁層は、電極がアルミニウム、チタン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、シリコン又はそれらの組み合わせで構成されている場合、容易に形成することができる。炭素、ニッケル、銀、金又はそれらの組み合わせなど、これらの電極材料及び他の電極材料も化学的又は物理的堆積によって絶縁層に隣接させることができる。他の考えられる絶縁層としては、ダイヤモンド、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。真空又は気体中の電界の濃度は、絶縁層の誘電率が高くなるにつれて高くなるため、絶縁層の絶縁耐力及び導電率が同等である場合、誘電率が高い方が好ましい。絶縁層の誘電率をさらに増加させることによる収穫逓減があるため、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、窒化アルミニウム又はそれらの組み合わせを絶縁層として使用する好適な実施形態では、9又は10の誘電率が選択される。したがって、固体又は絶縁層は、アルミナ、ダイヤモンド、酸化タンタル、ハフニア、ニオビア、チタニア、シリカ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素又はそれらの組み合わせの少なくとも1つから選択することができる。
一実施形態では、絶縁層内のエネルギー密度が真空又は気体中のエネルギー密度よりも低いため、絶縁コーティングの厚さは、最小限に抑えられる。しかしながら、その厚さは、真空又は気体中への電子の放出をもたらし得るトンネル現象又は他の現象を防ぐのに十分な大きさである。絶縁コーティングの厚さは、誘電体構造の合計厚さの10%未満であることが好ましい。
電極上の絶縁コーティングは、電界放出を制限することを意図している。しかしながら、真空又は気体中には、電界によって加速される自由電子が依然としていくつか存在する可能性がある。これらの電子は、絶縁コーティングによって完全に除去されていない電界放出、宇宙線によるギャップ内のイオン化又は高エネルギー粒子による同様のボンバード、絶縁層の表面に蓄積された空間電荷の部分放電及び他のメカニズムにより存在する可能性がある。一実施形態では、電子なだれ又はこれらの自由電子からの二次放出に起因する絶縁破壊の可能性に対処するために、真空又は気体均等領域のギャップ間隔を電界と平行な方向に小さくなっている。
理想的ではない真空では、中性の気体粒子は、電極又は固体絶縁体によって占められていない体積に存在するであろう。これらの自由電子は、イオン化、加熱及び気体分子、アノード又は固体絶縁層との衝突によって構造の絶縁特性を劣化させる他の影響を引き起こすのに十分なエネルギーを得ることができる。気体分子との衝突を考慮すると、真空又は気体体積に存在する高電界によって加速された自由電子は、衝突時に気体分子を励起するか又はイオン化することができる。これらの衝突に起因して自由電子の数が増加すると、電気的絶縁体としての構造の故障につながる可能性がある。代わりに、1つ又は複数の電子がアノードと高エネルギーで衝突することにより、電子、イオン又はアノード材料が排出され、アノードから材料が脱離する可能性がある。これらの電子、イオン又はアノードからの他の材料の導入により、構造内の構造又は電界分布が変化し、絶縁体としての構造の劣化又は故障につながる可能性がある。真空又は気体領域とアノードとの間に別の固体絶縁体がある場合、高エネルギーの電子が固体絶縁体と衝突する可能性がある。絶縁体に空間電荷が蓄積すると、絶縁体の電界を変え、経年劣化の原因となる可能性がある。電子に十分なエネルギーがある場合、最初の電子が絶縁体に衝突することで2つ以上の二次電子が放出され得る。空間電荷の追加の蓄積及び構造内の電界分布の改変を防ぐために、自由電子の数の増加を避けるべきである。高エネルギーの衝突は、固体絶縁層の加熱、空間電荷の蓄積及び他の有害な影響も引き起こす可能性がある。したがって、構造は、自由電子が気体分子、アノード又は固体絶縁層と衝突する前に、自由電子によって得られるエネルギーを制限するように設計される。
電子と、気体分子、アノード及び固体絶縁層との高エネルギーの衝突を最小限に抑えるために、いくつかの実施形態では、印加電界に平行な軸に沿った真空又は気体のギャップ距離は、以下の要因によって制限される。高エネルギーの電子による気体分子のイオン化を最小限に抑えるために、一実施形態では、ギャップ距離は、平均自由行程と同じか又はそれより小さいオーダーの大きさである。気体中の電子平均自由行程は、気体の種類、ガス圧、電子のエネルギー及び衝突で得られる断面を含むいくつかの要因に依存する。大気圧では、平均自由行程は、ミクロンのオーダーである。ガス圧が低下すると、平均自由行程は、何メートルにも増大し得る。しかしながら、本発明の好適な実施形態における任意の単一の真空又は気体ギャップの寸法は、印加電界と平行な軸に沿って1ミクロン未満であるため、電子と気体分子との間のイオン化衝突を防ぐために大気圧未満に圧力を下げる必要がない場合が多い。自由電子と気体分子とが衝突する確率が低いため、大気圧以下の気体は、これらの小さいサイズスケールの自由電子の観点から見ると、事実上真空である。このように自由電子の観点から真空と気体との間が同等であるため、絶縁構造の非固体成分を指すのに真空、部分真空又は気体を総称して且つ互換的に使用している。本発明のいくつかの実施形態におけるガス圧は、温度が上昇するにつれてガス圧が上昇する、密閉されたデバイスの高温動作を可能にするために下げることができる。構造を部分真空にすることにより、高温でのピークガス圧を制限することで、平均自由行程が部分真空領域の最大ギャップ間隔よりも大きいままであることを保証するだけでなく、キャパシタの封じ込めが高温で過圧になることも防ぐ。
印加電界によって加速された自由電子は、固体絶縁層又はアノードのいずれかと衝突する。これらの電子は、絶縁体又は金属のいずれかによって二次電子を放出させることができる。一次入射電子に対する、放出された二次電子の比率が二次電子放出利得である。構造内の空間電荷の蓄積を最小限に抑えるために、二次放出からの利得は、通常、1未満に保たれる。二次電子放出利得は、入射する一次電子のエネルギーに応じて変わる材料依存性の特性である。低エネルギーでは、利得は、1未満である。入射電子のエネルギーが増加すると、二次電子放出利得が増加する。閾値エネルギー値であるEでは、利得は、1であり、入射電子エネルギーがさらに増加すると、2つ以上の二次電子が発生する。E未満のエネルギーを有する電子に衝突された絶縁体は、電子の蓄積により、マイナスに帯電しがちになる。Eを上回り、且つ第2の閾値であるEを下回るエネルギーを有する電子に衝突された絶縁体は、絶縁体に衝突した数よりも多くの電子を放出し、プラスに帯電しがちになる。本発明の好適な実施形態の多くの絶縁体の場合、Eの値は、数十電子ボルトのオーダーである(例えば、酸化アルミニウムの場合、およそ74±8eV)。10~200eVのこれらの比較的低い電子エネルギーレベルでは、これらの構造に関わる固体絶縁体への電子の侵入深さは、ナノメートルのオーダーである。この浅い侵入深さのため、およそ1keV未満の電子エネルギーで電子が単一の固体絶縁層を透過することはまずない。空間電荷の蓄積は、絶縁構造の電界分布を変化させ、早期の絶縁破壊につながる可能性があるため、過剰な自由電荷の発生を避けなければならない。空間電荷の蓄積を制限しながら、構造が高電界で動作できるようにするために、最大限理想電界レベル及びギャップ間隔を選択して、選択した固体絶縁体のEレベルまで自由電子を加速することができる。例えば、Eの値が70eVの場合、構造は、2GV/mの電界及び35nmのギャップ間隔で動作するように設計され得る。構造内の電界分布が固体絶縁体内の電界にその絶縁破壊強度を超えさせないことを条件として、ギャップ間隔を小さくすれば、より高い電界が可能になる。第2の例として、17.5nmのギャップ間隔を有する真空又は気体中で4GV/mで動作する構造であれば、二次電子放出のユニティ利得の同じ70eVの値を得ることが可能である。なお、真空又は気体中の電界レベルと、ギャップ間隔とのこれらの組み合わせは、本発明の実施形態の誘電体構造の恩恵を実現するのに不可欠ではないことに留意されたい。所与のギャップ間隔に対して、絶縁体は、過剰な自由電子の発生を最小限に抑えるために計算された電界よりも低い電界及びそれよりも高い電界のいずれでも動作させることができる。
多くの場合、誘電体構造の望ましい動作電圧は、E閾値に対応する電圧よりも高くなる。より高い動作電圧は、固体絶縁体及び真空/気体のギャップの追加の層を加えることによって実現される。このように、誘電体構造は、固体絶縁体の層によって隔てられた真空/気体のギャップの多数の層に及んで広がることができる。固体絶縁体は、電界に平行な軸に沿ったギャップ距離を制限するだけでなく、機械的構造も提供する。固体絶縁体の各層間の距離は、単一の真空又は気体ギャップの一般的な場合について前述したのと同じ設計原理から決定することができる。
前述したように、固体絶縁体は、通常、真空又は気体中の高エネルギー密度の蓄積に必要なGV/mのオーダーの電界レベルで動作させることができない。したがって、完全固体構造に蓄積されるであろうよりも多くのエネルギーを真空又は気体のギャップに蓄積するために、電界を固体層と真空又は気体層との間に分布させることで、真空又は気体中の動作電界強度が固体層中の動作電界強度よりもはるかに高くなっていなければならない。この電界の分布は、固体絶縁体と、薄い真空又は気体領域との間の誘電率及び抵抗率の違いを活用することによって達成することができる。複合構造の一連のシミュレーションは、これらの異なる材料間で電界をどのように分布させるかを説明することと、これらの構造が真空又は気体領域で高エネルギー密度の電気蓄積をどのように可能にするかを示すこととの両方のために含まれている。
1GV/mを超える電界で動作可能である固体領域及び真空又は気体領域の構造の第1の例として、図3の層状構造が提示されている。図3は、一実施形態による、2つの電極306間の、固体材料領域302と真空又は気体領域304との交互の層の誘電体で構成された容量性構造300の断面である。図は、絶縁体の21の層(すなわち固体材料領域302及び真空又は気体領域304の21の層)を見せている構造の断面を示す。一実施形態では、固体材料領域302の固体材料は、誘電率が10の誘電体であり、事実上無限の抵抗である(例えば、固体材料領域302を事実上無限の抵抗等としてモデル化できるようなメガオーム以上のオーダーの抵抗)。一実施形態では、真空又は気体領域304の真空又は気体は、誘電率が1であり、事実上無限の抵抗である(例えば、真空又は気体領域304を事実上無限の抵抗等としてモデル化できるようなメガオーム以上のオーダーの抵抗)。一実施形態では、最上層及び最下層において、厚さ0.01nmの薄い電極層(すなわち電極306)は、事実上完全な導体(例えば、静電シミュレーションで事実上完全な導体等としてモデル化できるような、10S/m以上のオーダーの導電率を有する導体)として適用されている。このように、図3に図示されている容量性構造300の実施形態は、合計11の固体絶縁層(例えば、固体材料領域302)を有して形成されている。固体絶縁体(例えば、固体材料領域302)は、両方の電極306間にわたっている。合計10の真空又は気体領域304があり、すべての真空又は気体領域(すなわち層)が上下の固体材料領域302によって包含されている。図示されている実施形態では、すべての絶縁層(例えば、固体材料領域302及び真空又は気体領域304)の厚さは、21の領域/層のすべての合計厚さが30nmであるため、等しく、(30/21)nmに設定されている。一実施形態では、固体材料領域302は、金属酸化物、ダイヤモンド又は窒化物の少なくとも1つで構成されている。別の実施形態では、固体材料領域302は、アルミナ、ダイヤモンド、酸化タンタル、ハフニア、ニオビア、チタニア、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素又は窒化アルミニウムの少なくとも1つで構成されている。一実施形態では、気体領域304は、空気、窒素、六フッ化硫黄、酸素、水素、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン又はクロロフルオロカーボンの1つ又は複数で構成されている。一実施形態では、電極306は、電極導体で構成され、この電極導体は、金属、半導体材料、液体電解質又は固体電解質である。別の実施形態では、電極306は、電極導体で構成され、この電極導体は、アルミニウム、炭素、ハフニウム、ニオブ、シリコン、チタン、ニッケル、銀、金又はタンタルの少なくとも1つである。
絶縁層(例えば、固体材料領域302及び真空又は気体領域304)と、電極306とは、この実施形態の例では、1辺当たり10,000nmの正方形寸法を有して構築されている。これらの寸法により、容量性構造300の厚さに対して、容量性構造300の長さ及び幅、したがって面積を非常に大きくすること(例えば、300倍よりも大きくすること等)ができる。容量性構造の面積に比べて層/領域の厚さが小さいことにより、異なる層(例えば、固体領域302及び真空又は気体領域304)間の電界の分布に影響を与えず、容量性構造300を計算処理上の限界の範囲内で定義することができる。
容量性構造300の面積が大きいことにより、誘電体構造の外側のフリンジ静電容量によってもたらされる誤差の割合が少ない状態で構造の静電容量及びエネルギーを計算及び分析することができる。図4は、容量性構造300の大きい面積を厚さと対比して示すために、容量性構造300及び電極306全体の斜視図を提供している。
63.42Vの電位差を印加することにより、層状の容量性構造300の静電シミュレーションを行った。一方の電極306が+31.71Vの固定電位であると定義され、もう一方の電極306が-31.71Vの固定電位を有すると定義された。図3に図示されている容量性構造300の二次元断面上に投影された電界の結果として得られる絶対値は、固体絶縁体領域302での約400MV/mの値と、真空又は気体絶縁体領域304での4GV/mの値とが交互に現れる。固体領域302における電界に対する真空又は気体領域304における電界の比率は、真空又は気体の誘電率に対する固体材料の誘電率の比率にほぼ等しい。このように比率が均等であることは、層状の容量性構造300がどのように電界を低誘電率領域/層内に圧縮しているかを示す。
図5は、一実施形態による、図3の容量性構造300の21の誘電体領域/層を横断する(例えば、垂直に)単一の線に沿って印加される電界の絶対値のプロットであり、固体領域302及び真空又は気体領域304における電界の大きさの違いを示す。電界は、(ε=10である固体領域302での)400MV/m及び(ε=1である真空又は気体領域304での)4GV/mのいずれかになると、層間の遷移が明確に見られる。固体絶縁体領域302の電界レベル400MV/m及び誘電率10は、酸化アルミニウム誘電体を使用する高エネルギー密度キャパシタの動作レベルと一致していることに留意されたい。したがって、電界は、固体誘電体領域302の実用的な制限内にとどまる一方、真空又は気体領域304ではGV/mのオーダーのレベルまで高められる。固体誘電体領域302の電界は、容量性構造300では全固体構造よりもよりも低く、全固体誘電体全体で2.1GV/m(63.42Vが30nmにわたって均等に分布)を超える電界を有することになる。したがって、一実施形態では、容量性構造300により、合計誘電体厚さを、固体誘電体の既知の電界制限内で実現し得る全固体誘電体を有する容量性構造よりも薄くすることが可能になる。
電気エネルギー密度は、図3に図示されている容量性構造300の二次元断面上に投影することもできる。異なる領域/層での電界の明確な遷移後、電気エネルギー密度は、材料特性に応じて大きく異なる。エネルギー密度は、固体絶縁体領域302で7.08J/cmであり、真空又は気体絶縁体領域304で70.8J/cmである。
図6は、一実施形態による、図3の容量性構造300の21の誘電体領域/層を(例えば、垂直に)横断する線に沿った電気エネルギー密度の絶対値のプロットであり、固体領域302及び真空又は気体領域304における電気エネルギー密度の違いを示す。真空又は気体領域304の電界が10倍になると、固体絶縁体領域302の誘電率が高くなるにもかかわらず、真空又は気体領域304の電気エネルギー密度が10倍になる。
この容量性構造300に対して計算された静電容量は、およそ5.6×10-14Fである。容量性構造300の寸法が一定である場合、容量性構造300の誘電率は、およそ1.9である。この容量性構造300の例の最終的な分析は、材料ごとに蓄積された合計エネルギーの計算であった。この場合、容量性構造300を取り囲む背景を含めると、3つの誘電体材料が存在する。背景は、誘電率が1であると定義された。11の固体絶縁体領域302、10の真空又は気体絶縁体領域304及び周囲の背景に蓄積された合計エネルギーは、それぞれおよそ1.13×10-11J、1.01×10-10J及び1.57×10-12Jであると計算された。したがって、固体絶縁体領域302のおよそ8.9倍の合計エネルギーが真空又は気体絶縁体領域304に蓄積される。この実施形態の例では、追加の固体絶縁体領域302及び全体の領域/層の数が比較的少ないことにより、この係数は、10ではない。領域/層の数が増加し、余分な固体絶縁体領域302に起因する固体絶縁体領域302の余分な体積がさらに無視できるほどになると、この係数は、10に近づく。前述の例は、固体絶縁体と比較して、真空又は気体の層に非常に大量のエネルギーを蓄積することが可能であることを示す。
固体絶縁体領域302の電界に対する、真空又は気体領域304の電界の比率によって測定されるような電界圧縮の程度は、固体絶縁体の誘電率に依存する。固体絶縁体の誘電率が理論的に1である場合、すべての層の電界は、等しくなる。
図7は、一実施形態による、1から10に増加している固体絶縁体の誘電率に関して、図3の容量性構造300の固体領域302に蓄積された合計エネルギーに対する、真空又は気体領域304に蓄積された合計エネルギーの比率のプロットである。固体絶縁体の誘電率が高くなるほど、真空又は気体領域304に蓄積されている合計エネルギーの割合が大きくなるが、固体絶縁体の誘電率をさらに高めると、その見返りは、逓減する。固体誘電体に蓄積される最大合計エネルギーは、固体の絶縁耐力によって制限されるため、蓄積される合計エネルギーを最大化する複合構造の固体絶縁体の選択は、他の候補材料よりも誘電率が低い場合が多い。
実用的構造 - 前述の例は、固体領域302及び真空又は気体領域304の適切に設計された複合材料は、固体の動作電界の制限が同じである場合、全固体構造よりも高い電界で動作し、はるかに多くのエネルギーを一定の体積に蓄積できることを示す。しかしながら、いくつかの実施形態では、完全に絶縁された真空又は気体の領域/層を有することは、現実的ではない。固体領域302を支持し、真空又は気体領域304の寸法を維持するための何らかの機械的構造があり得る。固体マトリックス(例えば、固体領域302のマトリックス)内に(例えば、全体にわたって分散/分布させて)真空又は気体領域304(例えば、細孔、ギャップ、空間、穴、キャビティ、空隙等)を設けることができる複数のタイプの複合構造がある。いくつかの実施形態では、固体及び細孔の三次元(3D)ネットワークで構成された複合構造は、理想的な層状の例に十分な近似性を提供する。特に、細孔のアスペクト比及び位置合わせは、重要な要因と見なすことができる。
図8は、図3の容量性構造300内の細孔(例えば、真空又は気体の領域304)又は固体粒子(例えば、固体材料領域302)のいずれかを表すことができる、扁球802の断面及びこの扁球の印加電界Eに対する位置合わせの図である。断面の平面は、図8に示されているx軸及びy軸によって定義され、したがって、z軸は、ページから出て延びるであろう。電界は、y軸と平行であると定義されている。図8で扁球802によって表される細孔又は固体粒子は、異方性であり、1つの平面における平均粒子寸法dmaj又はd’majは、垂直平面における平均粒子寸法dmin又はd’minよりも大きくなっている。細孔又は粒子のアスペクト比は、dmaj/dmin又はd’maj/d’minとして定義される。アスペクト比が増大すると、扁球802の形状は、より平坦になり、理想的な層状の実施形態(例えば、図3に図示)により近いフレーク状、小板状又はリボン状によって描くことができる。図3に図示されている層状の実施形態と同様に、異方性形状(例えば、扁球802)の向きは、長寸法dmaj又はd’majが印加電界に垂直になるようなものである。しかしながら、完全な位置合わせは、現実的でも必要でもなく、角度αは、断面の長寸法の平面と、印加電界に垂直なx軸との間の角度として定義される。角度αが45°(π/4ラジアン)未満である場合、細孔又は粒子は、位置合わせされていると見なされ、概して印加電界に対して概ね垂直に位置合わせされていることを指す。したがって、本明細書の実施形態で使用する場合、「概ね垂直」という用語は、細孔又は粒子の長寸法が印加電界に対して垂直~45°以内(すなわち45°以下)であることを意味する。
真空又は気体領域のアスペクト比が1であり、等方性である場合、電界は、真空又は気体領域内に十分に圧縮されず、固体内の電界に対する真空又は気体領域内の電界の比率が不十分になり、誘電体に真空又は気体領域が含まれることが正当化される。したがって、本発明の実施形態の真空又は気体領域は、より板状であり、前述した例の高アスペクト比の層に類似している。一実施形態では、アスペクト比は、最小で4であり、層状構造の場合にアスペクト比が無限大になるため、最大はない。
図9は、一実施形態による、固体マトリックス904内の(例えば、全体にわたって分散/分布した)面心立方配列の扁球(例えば、扁球802等)の真空又は気体孔902を含む複合構造900の実施形態の一例の斜視図を示す。真空又は気体孔902及び固体マトリックス904は、電極906間に設けられている。図示されている実施形態では、電極906及び固体絶縁体マトリックス904は、細孔902を図示するために半透明になっている。
複合構造900の実施形態の例は、誘電率が10である固体マトリックス904で構成され、真空又は気体の多数の細孔902が含まれている(例えば、固体マトリックス全体にわたって分散/分布して)。細孔902は、誘電率が1であり、長寸法(d’maj)が40nmである扁球(例えば、扁球802等)として定義される。短寸法(d’min)は、アスペクト比が20である場合、2nmである。細孔902は、面心立方構造で配列されており、細孔間の間隔は、長寸法と平行な軸に沿って1nm、短寸法と平行な軸に沿って0.1nmの間隔である。扁球及び面心立方パッキングの選択は、本発明の実施形態で使用することが可能な多数の細孔の形状及びパッキングタイプの単なる一例にすぎない。いくつかの実施形態では、細孔902は、相互に接続されており、孤立した細孔902の使用は、単なる例示目的にすぎず、細孔902が相互に接続されている実施形態を限定することを意図していない。キャパシタ構造900の寸法は、細孔長寸法に平行な軸で204.5nm×206nmであり、短寸法に平行な軸で14.5nmである。複合構造900の実施形態の例の寸法、細孔の数及び細孔層の数は、限定することを意図していない。複合構造900の実施形態の例では、電極906は、10S/m以上のオーダーの導電率を有し、それにより、静電シミュレーションにおいて、長寸法と平行な2つの表面において0.01nmの厚さを有する完全導電電極としてモデル化することができる。固体絶縁体の層は、細孔902が存在する前に電極906との界面に沿って1nmの厚さで存在する。一実施形態では、固体マトリックス904は、金属酸化物、ダイヤモンド又は窒化物の少なくとも1つで構成されている。別の実施形態では、固体マトリックス904は、アルミナ、ダイヤモンド、酸化タンタル、ハフニア、ニオビア、チタニア、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素又は窒化アルミニウムの少なくとも1つで構成されている。一実施形態では、気体孔902は、空気、窒素、六フッ化硫黄、酸素、水素、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン又はクロロフルオロカーボンの1つ又は複数で構成されている。一実施形態では、電極906は、電極導体で構成され、この電極導体は、金属、半導体材料、液体電解質又は固体電解質である。別の実施形態では、電極906は、電極導体で構成され、この電極導体は、アルミニウム、炭素、ハフニウム、ニオブ、シリコン、チタン、ニッケル、銀、金又はタンタルの少なくとも1つである。
図10は、固体絶縁体マトリックス904の三次元ネットワーク内に分散/分布した細孔902を示す図9の複合構造900の断面図を示す。複合構造900は、12.25Vの印加電位差(例えば、第1の電極906に+7.625Vを印加し、第2の電極906に-7.625Vを印加する)でシミュレーションを行った。
図11は、一実施形態による、ε=10(Y=119.466)を有する固体マトリックス904内の真空又は気体孔902の扁球の複合構造900の、図10の二次元断面上の電界の絶対値のプロットである。扁球細孔902の面心立方パッキングは、この実施形態の例では、キャパシタ構造900の縁部まで延びていないため、キャパシタ構造900の縁部での電界は、無視することができる。重要な電界結果は、構造900の縁部から離れたところにあり、そこでは扁球細孔902が面心立方配列で完全にパッキングされている。図11では、網掛け部分は、1GV/mを超える電界を表す。
図11の分析から、複合構造900の細孔902のアスペクト比が大きいことは、電界を多孔性の体積内に圧縮させていることが明らかである。先に考察したような層状構造の単純な場合(例えば、図3)と異なり、細孔902内及び固体マトリックス904内の両方で電界の大きさの変動がある。細孔領域902及び固体マトリックス領域904の両方における電界の変動を数量化するために、図11の印加電界に平行である、1101、1102、1103と表示された3つの線に沿った電界をプロットすることにより、以下の3つのグラフを作成した。
図12は、図11に線1103(Y=119.466;X=102;Z=0~14.5)で図示されている電極906に垂直な軸に沿った電界のプロットである。電界の高い領域は、ε=1の細孔902に対応し、電界の低い領域は、ε=10の固体マトリックス904に対応する。細孔902内の電界は、およそ3.0GV/m~3.12GV/mの範囲であり、固体マトリックス904内の電界は、0.3GV/m未満~0.42GV/mで変動する。これらの範囲は、細孔902における電界の、マトリックス904における電界に対する比率7.14~10.4に対応する。
図13は、図11に線1102(Y=119.466;X=114;Z=0~14.5)で図示されている電極906に垂直な軸に沿った電界のプロットである。ここでもまた、高い電界は、細孔902の体積内に存在し、低い電界は、固体マトリックス904内に存在する。細孔902内の電界は、細孔902の領域でおよそ1.54GV/m~1.78GV/mである。固体マトリックス904内の電界は、固体マトリックス904の領域でおよそ0.154GV/m~0.256GV/mである。これらの値は、細孔902における電界の、固体マトリックス904における電界に対する比率6~11.6に対応する。構造900のこの領域における(例えば、線1102での)電界は、(例えば、図3の)層状の例における電界に最もよく類似している。
図14は、図11に線1101(Y=119.466;X=123;Z=0~14.5)で図示されている電極906に垂直な軸に沿った電界のプロットである。対象の線1101に沿った細孔902の領域は、およそ1.8GV/m~2.15GV/mの電界強度を有する。固体領域904における最大電界強度は、わずかに0.3GV/mよりも小さい一方、固体マトリックス904における最小電界は、およそ0.18GV/mである。したがって、細孔902における電界の、固体マトリックス904における電界に対する比率は、6~11.95の範囲であると計算することができる。
前述の図及び論述により、三次元薄層状複合構造900は、真空又は気体領域のアスペクト比が4よりも大きいとき、真空又は気体の低誘電率体積中の電界を圧縮できることが立証されている。単に電界圧縮することよりも重要であるのは、電界圧縮が十分である結果、真空又は気体の体積中の電気エネルギー蓄積密度が固体中よりも大きくなるかどうかである。
図15は、図11に示されている同じ断面のエネルギー密度の二次元プロットを示す。図15では、網掛け部分は、6J/cm以上のエネルギー密度を表す。図16~図18は、図15に示されている3つの線1101、1102、1103に沿った電気エネルギー密度のプロットである。図16~図18は、図12~図14を作成するために電界のプロットと同じ線に対応する。
図16は、図15に線1103(Y=119.466;X=102;Z=0~14.5)で図示されている電極906に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。図16では、固体マトリックス904よりも誘電率が低いにもかかわらず、真空又は気体で占められた領域902で電気エネルギー密度が著しく高くなっている。真空又は気体領域902におけるエネルギー密度は、40J/cm~43J/cmである。固体マトリックス904におけるエネルギー密度は、およそ4.2J/cm~7.75J/cmである。
図17は、図15に線1102(Y=119.466;X=114;Z=0~14.5)で図示されている電極906に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。真空又は気体領域902におけるエネルギー密度は、およそ10.5J/cm~14J/cmである。固体マトリックス領域904におけるエネルギー密度は、およそ1.05J/cm~2.9J/cmの範囲内である。
図18は、図15に線1101(Y=119.466;X=123;Z=0~14.5)で図示されている電極906に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。真空又は気体領域902におけるエネルギー密度は、およそ15.19J/cm~20.15J/cmである。固体マトリックス領域904におけるエネルギー密度は、およそ1.5J/cm~3.9J/cmの範囲である。
図16~図18は、固体において誘電率がより高い(固体ではε=10、真空又は気体ではε=1)にもかかわらず、真空又は気体領域902における電気エネルギー密度が固体マトリックス領域904における電気エネルギー密度よりも大きいことを確認している。したがって、本発明の実施形態によって説明したように、誘電体構造及び真空又は気体領域を組み込むことにより、固体のみを使用するよりも大きいエネルギー密度を実現することが可能になる。前述の例で説明したエネルギー密度は、単なる例示であり、はるかに高くなる可能性がある。例えば、図12~図14で観察された固体における最も高い電界は、およそ0.42GV/m(420MV/m)であった。この電界レベルは、酸化アルミニウム及びダイヤモンドを含むが、これらに限定されない、シミュレーションで使用される値10と同様の誘電率を有する既知の固体誘電体の絶縁耐力を下回っている。これは、固体マトリックス904の絶縁耐力の既知の限界内にとどまりながら、シミュレーションにおいて電圧を増加させることが可能であることを示唆している。印加電圧をおよそ1.9倍にすると、固体マトリックス904における最大電界は、0.8GV/m(800MV/m)に増加する。この値は、多くのアルマイト酸化膜の最大絶縁耐力に対応する。電界を1.9倍に増加させると、固体領域904及び真空又は気体領域902の両方でエネルギー密度が3.6倍に増加する。したがって、エネルギー密度は、図17の真空又は細孔領域902でおよそ37.8~50.4J/cmに増大するであろう。図18で予測されたピークエネルギー密度は、およそ72.5J/cmまで増加するであろう。酸化アルミニウムの絶縁破壊の理論値は、およそ1.38V/nm(1.38GV/m)であるため、前述の例では電界を3.28倍大きくし得、エネルギー密度は、10倍を超えて増大するであろう。したがって、真空又は気体中のエネルギー密度は、100J/cmを超える可能性がある。
前述の例は、真空又は気体の多数の細孔902が固体マトリックス904全体にわたって分散/分布した固体マトリックス904で構成された複合構造900に基づくものであった。本発明の別の実施形態の例は、固体誘電体の多数の粒子902が真空又は気体マトリックスの全体にわたって分散/分布した真空又は気体のマトリックスで構成された複合構造として説明することができる。この多孔性の複合構造900は、粒子の長軸が印加電界に概ね垂直であり、短軸が印加電界に概ね平行である高アスペクト比粒子で具体化することができる。好適な実施形態の粒子は、アスペクト比が4以上の小板又はフレークである。小板及びフレークは、印加電界に概ね垂直な平面に不規則な断面を有し得るが、粒子の寸法は、小板又はフレークと見なされるのと同じオーダーの大きさである。本実施形態に適用可能な代替的な粒子の形状としては、電界に垂直な平面の粒子の一方の寸法であるリボンの長さが、電界に垂直な平面の粒子の他方の寸法である幅よりもはるかに大きいリボン状の粒子がある。次に、粒子の最小アスペクト比は、リボンの厚さに対するリボンの幅によって決定される。他の代替的な実施形態は、小板又はフレークとリボン状の粒子との組み合わせで構成することができる。粒子のサイズ及びタイプの変形形態を選択して、単一の粒子サイズ又は粒子タイプで実現できない方法で構造及び多孔性を制御することができる。
高アスペクト比粒子によって形成された構造の一実施形態は、前述の例で使用されているものと同様のモデル構造(例えば、図9~図18)でシミュレートすることができる。しかしながら、図19の複合構造900’の第2の実施形態の例の断面図によって図示されているように、材料の定義が変更され、扁球領域1902は、ここでは誘電率が10の粒子であると定義され、それにより、周囲のマトリックス1904は、誘電率が1の真空又は気体であると定義される。マトリックス1904は、ここでは真空又は気体であるため、電極1906上に固体絶縁層が加わっている。やはり誘電率が10である固体絶縁体1908の層は、モデルの各電極1906と、最も近い高アスペクト比粒子の層との間に含められた。図19は、電極1906上に固体絶縁体1908を有する、真空/気体マトリックス1904中の高アスペクト比固体粒子1902に基づいてシミュレートされた複合材料の断面図を示す。この実施形態の例では、高アスペクト比粒子1902は、扁球(例えば、扁球802等)としてモデル化されているが、アスペクト比の基準が満たされていれば、粒子1902の形状は、例えば、矩形又はほぼ矩形の断面を有する形状を含む多くの形態をとることができる。
本実施形態の例では、シミュレートされたキャパシタ複合構造900’は、226×204.5nmの長さ及び幅寸法を有する。固体粒子1902の長寸法は、40nmであり、アスペクト比が20である場合、短寸法は、2nmである。電極に平行な両方の軸に沿った粒子1902間の距離は、1nmである。粒子は、多孔性構造で自立している(すなわち、高アスペクト比粒子1902は、互いに接触して、誘電体構造の機械的枠組みを形成する)ため、印加電界に平行な軸に沿った粒子1902間の距離は、ゼロである。一実施形態では、電極1906の厚さは、0.01nmである(例えば、静電シミュレーション等の目的のため)。各電極1906上の固体絶縁バリア層1908の厚さは、0.9nmである。固体層を含む合計誘電体厚さは、14nmである。印加電圧は、材料間の電界圧縮を無視した場合の平均電界およそ1.09GV/m(1.09V/nm)に対して、15.25Vであった。この電界レベルは、通常、固体絶縁体のみに適用される電界レベルよりも高いことに留意されたい。一実施形態では、高アスペクト比固体粒子1902及び/又は固体絶縁層1908は、金属酸化膜、ダイヤモンド又は窒化物の少なくとも1つで構成されている。別の実施形態では、高アスペクト比固体粒子1902及び/又は固体絶縁層1908は、アルミナ、ダイヤモンド、酸化タンタル、ハフニア、ニオビア、チタニア、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素又は窒化アルミニウムの少なくとも1つで構成されている。一実施形態では、気体マトリックス1904は、空気、窒素、六フッ化硫黄、酸素、水素、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン又はクロロフルオロカーボンの1つ又は複数で構成されている。一実施形態では、電極1906は、電極導体で構成され、この電極導体は、金属、半導体材料、液体電解質又は固体電解質である。別の実施形態では、電極1906は、電極導体で構成され、この電極導体は、アルミニウム、炭素、ハフニウム、ニオブ、シリコン、チタン、ニッケル、銀、金又はタンタルの少なくとも1つである。
図20は、一実施形態による、真空又は気体のマトリックス1904(ε=1)(Y=119.446)中の固体粒子1902(ε=10)の扁球の複合構造の図19の二次元断面上の電界の絶対値のプロットである。図20から、扁球によって形成された固体粒子1902における電界は、周囲の真空又は気体領域1904における電界よりもはるかに低いことが明らかである。同様に、電極1906上の固体バリア1908における電界は、真空又は気体領域1904における電界よりもはるかに低い。図20の網掛けした領域は、電界が1GV/mを超える領域を表す。これらの網掛けした領域は、真空又は気体の領域1904に対応する。
図21~図23は、電極1906の平面に垂直に延びるZ軸に沿った電界のプロットである。図21~図23の3つのグラフは、電極1906上の固体バリア1908、真空/気体領域1904及び固体粒子1902における電界レベルの違いを示す。3つの場合のすべてにおいて、固体層1908及び固体粒子1902における電界レベルは、400MV/m(0.4V/nm)未満である一方、電界は、真空又は気体領域1904において1.5GV/m(1.5V/nm)を超えるレベルまで高められている。
図21は、図20に線2003(Y=119.446;X=102;Z=0~14)で図示されている電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。図21に図示されているように、真空/気体領域1904における電界は、1.63GV/m~1.73GV/mである。固体領域1902における電界は、0.175GV/m未満でおよそ1桁低い。
図22は、図20に線2002(Y=119.446;X=114;Z=0~14)で図示されている電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。図21と比較すると、真空/気体領域1904における電界は、およそ2.3~3.56GV/mの範囲であるため、電界レベルは、図22でプロットされた領域の方が高くなっている。固体領域1902における電界は、0.29~0.343GV/mの範囲である。
図23は、図20に線2001(Y=119.446;X=123;Z=0~14)で図示されている電極に垂直な軸に沿った電界のプロットである。図23に示されている電界のグラフでは、真空/気体領域1904における電界は、2.23~2.97GV/mである。固体領域1902における電界は、0.227~0.304GV/mである。図21~図23が示すように、固体領域1902における電界は、真空/気体領域1904における電界を、従来の誘電体で使用されるレベルよりも高いレベルまで高めつつ、多くの固体絶縁体の絶縁破壊閾値よりも低く保たれている。図24~図27は、図20~図23の電界のグラフに対応するエネルギー密度値を示す。
図24は、図19に示されている同じ断面のエネルギー密度の二次元プロットを示す。固体層1908及び固体粒子1902から、周囲の気体又は真空領域1904への網掛けの違いによってわかるように、電気エネルギー密度は、固体領域1902及び1908において達したものよりも真空気体領域1904での方が高くなっている。図24では、真空又は気体の領域1904に対応する網掛けされていない領域は、7J/cm以上の電気エネルギー密度を表す。図25~図27のグラフは、一次元電界プロットと同じZ軸に沿った3つの線2001、2002、2003に沿った電気エネルギー密度のプロットである。真空又は気体領域1904において電界レベルがより高いことで、エネルギー蓄積密度は、固体領域1902及び1908におけるよりも真空/気体領域1904において最大で1桁高くなっている。
図25は、図24に線2003(Y=119.446;X=102;Z=0~14)で図示されている電極1906に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。図25に示されているように、真空/気体領域1904における電気エネルギー密度は、11.9~13.3J/cmの範囲である。固体領域1902及び1908における電気エネルギー密度は、1.21~1.36J/cmである。
図26は、図24に線2002(Y=119.446;X=114;Z=0~14)で図示されている電極1906に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。図26では、真空/気体領域1904及び1908における電気エネルギー密度は、38.1~56.2J/cmである。固体領域1902及び1908における電気エネルギー密度は、3.74~6.07J/cmである。
図27は、図24に線2001(Y=119.446;X=123;Z=0~14)で図示されている電極1906に垂直な軸に沿った電気エネルギー密度のプロットである。図27では、真空/気体領域1904における電気エネルギー密度は、22.0~39.1J/cmである。固体領域1902における電気エネルギー密度は、2.29~4.11J/cmである。
固体マトリックス904中の真空/気体孔902の前述の実施形態の例と同様に、固体絶縁層1908が電極1906と隣り合っている(すなわち電極に隣接している)真空/気体マトリックス1904中の固体粒子1902のこの実施形態の例は、固体において誘電率がより高い(固体ではε=10;真空又は気体ではε=1)にもかかわらず、真空又は気体領域における電気エネルギー密度は、固体マトリックス領域における電気エネルギー密度よりも大きいことを確認している。前述の例で説明したエネルギー密度は、単なる例示であり、はるかに高くなる可能性がある。例えば、図21~図23で観察された固体領域1902及び1908における最も高い電界は、およそ0.343GV/mであった。この電界レベルは、酸化アルミニウム及びダイヤモンドを含むが、これらに限定されない、シミュレーションで使用される誘電率と同様の誘電率を有する既知の固体誘電体の絶縁耐力を下回っている。これは、固体粒子及び固体絶縁体層の絶縁耐力の既知の限界内にとどまりながら、シミュレーションにおいて電圧を増加させることが可能であることを示唆している。印加電圧を2.3倍にすると、固体粒子における最大電界は、およそ800MV/mに増加し、これは、多くのアルマイト酸化膜の最大絶縁耐力に対応する値である。印加電圧、したがって電界を2.3倍に増加させると、固体領域1902及び1908並びに真空/気体領域1904の両方でエネルギー密度が5.29倍に増加する。したがって、エネルギー密度は、図26の真空/気体領域1904で200J/cmよりも大きくなるであろう。酸化アルミニウムの絶縁破壊の理論値がおよそ1.38V/nm(1.38GV/m)であるため、前述の例の電界は、酸化アルミニウムの絶縁破壊限界内にありながら、4倍大きくすることができ、これは、エネルギー密度の16倍の増大に対応する。このように、真空/気体領域において極めて高い電気エネルギー密度を実現することが可能である。
前述の例は、導電率がゼロである理想的な誘電体について考察した。それらの状況では、容量性構造内の電界の分布は、構造を含む材料の誘電率及び物理的配列によって決定される。一部の固体絶縁体の場合、特に長い時間スケール又は非常に低い動作周波数の場合、絶縁体の導電率は、無視できず、固体を介した導電が電界の分布に影響を与える可能性がある。しかしながら、これらの場合でも、本発明の実施形態の構造は、真空又は気体領域中に電界を圧縮する。
層状構造の場合(図3~図7を参照されたい)であれば、固体絶縁体内の電荷移動が進んで、固体層内の印加電界を打ち消すことになる。最も極端な場合、固体層で電界が完全に打ち消され、真空又は気体層全体にわたって全印加電圧が低下する。これは、真空又は気体層におけるエネルギー密度及び真空又は気体層に蓄積されたエネルギーの、固体層に蓄積されたエネルギーに対する比率を高める効果を有するであろう。この明らかな利点にもかかわらず、好適な実施形態は、固体絶縁体内の電荷移動が損失の一因となるであろうため、非常に低い導電率を有する固体絶縁体を含む。
アスペクト比が4よりも大きい固体絶縁体の三次元マトリックスで、マトリックス(図9~図18を参照されたい)全体にわたって細孔が分散又は分布している場合、好適な実施形態は、漏れ電流を制限するために、ここでもまた非常に低い導電率を有する固体絶縁体を含む。しかしながら、固体絶縁体の導電率の影響が無視できない場合でも、真空又は気体の細孔で電界が依然として圧縮されるであろう。電界のこの圧縮は、ここでもまた細孔のアスペクト比に起因する。細孔の中心部での電圧降下を考慮すると、抵抗性の電圧降下は、細孔の表面の周りに延在する固体絶縁体を通る長く曲がりくねった経路に依存する。細孔内の電界は、細孔の両側の電位差によって決まる。アスペクト比が大きくなると、固体を通る細孔の周りの経路は、細孔の真空又は気体を通る経路に比べて非常に長くなる。したがって、細孔の周りの比較的長い経路に沿った固体内の抵抗性の導電が原因の電圧降下は、印加電界の軸に沿った細孔の比較的短い距離にわたって適用される。真空又は気体における電界は、固体マトリックスにおける電界よりも高いため、細孔内で電界圧縮及びより高い電気エネルギー密度が依然として実現されている。同じ効果は、真空又は気体のマトリックス中に高アスペクト比の固体粒子の場合に実現される(図19~図27を参照されたい)。高アスペクト比の細孔を通る長く曲がりくねった導通経路は、固体粒子間の真空又は気体領域の比較的短い距離内に電界を圧縮する。
他の恩恵 - 本明細書では、エネルギー、電力及び静電容量の密度メトリック、極端な温度での動作、温度サイクルとの互換性、温度、印加電圧/電界及び周波数に対する特性の安定性、誘電損失、信頼性並びに自己クリアリング法との互換性を含む、誘電体に関するいくつかの改良領域が特定された。本発明の実施形態の誘電体構造は、当技術分野で知られている従来の誘電体に比べて複数の利点を提供する。真空/気体領域におけるエネルギー密度レベルは、固体誘電体で達成可能な値を上回るため、実施形態の例のシミュレーションでは、エネルギー密度の利点が立証されている。高エネルギー密度の値は、エネルギー蓄積の静電的な(すなわち電気化学的でない)性質により、高電力密度の値に対応する。誘電体構造は、急速に充放電することができるため、高い電力密度が可能になる。本発明の実施形態の誘電体構造は、固体誘電体よりも高い電界レベルで動作することが可能であるため、同等の印加電圧に対して、従来の固体誘電体よりも誘電体構造を薄くすることができる。本発明の実施形態の誘電体構造の等価誘電率は、従来の固体誘電体の誘電率よりも低いが、誘電体の厚さが小さくなることにより、従来の固体誘電体で実現されるよりも高い静電容量密度(F/m)を得ることができる。静電容量密度が高いほど、誘電体の面積が小さい(すなわち長さ及び/又は幅が小さい)定格静電容量のキャパシタを製作することが可能になる。誘電体が薄くなり、キャパシタ面積が小さくなるほど、多孔性誘電体をベースにしたキャパシタは、従来の固体誘電体を用いて作製されたものに比べて直接小型化及び軽量化される。同等の静電容量及び電圧定格の場合、小型化及び軽量化は、誘電体構造を用いて作られたデバイスのエネルギー密度及び電力密度の向上に対応する。
いくつかの用途では、より高いエネルギー及び/又は電力密度は、必要ないが、本発明の実施形態の誘電体構造を使用することにより、当技術分野の従来の誘電体に比べて追加の利点がある。これらの利点の多くは、電界が真空/気体領域内に圧縮されることで、エネルギーの大部分が真空/気体領域に蓄積されることによるものである。これらの恩恵は、液体又は固体誘電体と比べた場合、真空又は気体誘電体内に分極可能な分子が相対的に存在しないことで説明することができる。
誘電損失は、印加電界と誘電体の誘発分極との差から生じる。誘電損失は、極性の高い材料の場合及び印加電界の周波数が高いほど大きくなる傾向がある。真空には、分極した原子又は分子がないため、誘電損失の原因となるものがない。気体の原子及び分子は、分極することができるが、単位体積当たりの原子又は分子の密度が比較的低いことは、誘電率が1に非常に近く、液体又は固体と比較して損失が非常に低くなることを意味する。したがって、エネルギーの多くが蓄積される領域で真空又は気体を使用することにより、誘電損失は、液体又は固体誘電体から得られる誘電損失よりも低くなる。
印加電圧、周波数又は動作温度に伴う誘電特性の変動は、多くのキャパシタ用途にとって重要なパラメータである。ちょうど1の誘電率を有する真空及び1よりもごくわずかに大きい誘電率(例えば、εdry air=1.00059;εN2=1.00054;ε02=1.00049;εSF6=1.002)を有する気体は、印加電圧/電界、周波数及び動作温度に対してまったく変動しない(真空)か又はごくわずかにのみ(気体の場合、最大数分の1%まで)変動するかのいずれかである。したがって、本発明の実施形態の誘電体構造は、広範囲の印加電圧/電界、周波数及び動作温度にわたり、静電容量及びエネルギー密度を含む非常に安定した特性を有する。
高温及び低温で動作できることは、極端な環境での保守を必要とする多くの用途で重要である。真空の誘電率及び絶縁耐力は、温度の関数ではない。同様に、気体の誘電率の依存性は、温度への依存性が非常に弱い。各真空/気体領域のサイズスケールでの気体の絶縁耐力は、前述したように、温度依存性を有し得る電子なだれ現象に起因するものではないため、真空/気体領域の絶縁破壊に強い温度依存性はない。したがって、構造を形成する電極及び固体絶縁材料のみが、真空又は気体領域を組み込んだ容量性構造の動作温度に制限を課すことになる。金属電極及び安定した絶縁性の固体誘電体を使用する多くの実施形態では、動作温度は、産業上の要件を上回ることができる。例えば、酸化アルミニウムと乾燥窒素ガスとの誘電体構造を部分真空圧力で形成し、アルミニウム電極を有するキャパシタであれば、ポリマー誘電体よりも高い温度で動作することができる。アルミニウムの溶融温度は、およそ660℃であり、誘電体構造の変化を引き起こす可能性のある酸化アルミニウムの焼結温度は、通常、1000℃を優に上回る。
エネルギー及び電力密度に関する上記の論述は、主に体積の観点からの論述であったが、本発明の実施形態により、重量の軽減における利点も増加する。電気的絶縁性材料の必要量が少なくて済むことにより、重量が直接軽減される。加えて、誘電体のかなりの割合が真空又は気体で構成されるため、デバイスの重量は、液体又は固体で構成された同じサイズのキャパシタよりも軽くなる。従来、固体で構成された絶縁体に真空又は気体を独自に使用することにより、体積が同じでも重量が軽くなる。
自己クリアリング又は自己回復が高エネルギー密度キャパシタで使用され、絶縁されていない短絡した誘電体の、突然且つ永続的な場合が多い故障とは対照的に、誘電体の故障点を絶縁することにより、静電容量の漸減によっておだやかな故障を可能にする。本発明の実施形態は、当技術分野で知られている固体絶縁体の自己クリアリング又は自己回復のためのこれまでに開発された技術と互換性を有するが、少なくとも2つの方法で固体誘電体と比べて自己クリアリング性能をさらに向上させるための追加の設計要素も提供する。第1に、好適な実施形態は、ポリマー誘電体をベースにしていないため、故障部位での加熱により形成された残留物は、グラファイト又は他の導電性炭素系材料を発生させない。これにより、デバイスの損失の増加又は早期の故障の一因となり得る故障部位での漏れ電流を低減又は排除する。第2に、多孔性構造は、自己クリアリングプロセスを促進する可能性がある様々な気体、さらに液体の導入を誘電体構造に組み込むことを可能にする。細孔内の気体の選択を行って電極メタライズの気化及び/又は酸化を強化することができる。例えば、酸素を成分として有する混合気体を組み込むと、故障又は故障し易い他の「ホットスポット」と一致する高温に加熱された場合、電極メタライズが絶縁体に酸化することが可能になり得る。電極メタライズ又は多孔性構造と化学的に反応させて、自己クリアリング又は自己回復能力を強化するために他の気体を組み込むことも可能である。本発明の特定の実施形態で使用される電極のタイプに応じて、いずれかの又は両方の方法を使用して自己回復デバイスを作成し得る。
一部の用途では、構成部品の信頼性は、エネルギー又は電力密度よりも優先度が高い。前述したように、従来の誘電体は、構成部品の寿命を延ばし、及び/又は極端な環境(例えば、高温環境)における動作を可能にするために、その最大動作レベルからレベルをディレーティングして動作(例えば、誘電体の測定された絶縁破壊強度よりもはるかに低い電界で動作)させている。誘電体の寿命又は信頼性は、ディレーティング係数が増加する(すなわち誘電体を動作させるレベルが最大から低くなる)と、高くなる。より高い絶縁耐力のためにより高い最大動作電界を有することで、本発明の実施形態の誘電体構造は、同等の電界レベルで動作する従来の誘電体よりも高いディレーティング係数で動作させることができる。したがって、従来の誘電体と比較して誘電体の信頼性又は寿命を高めることができる。
多孔性構造を製造する方法 - 本明細書に記載されている仕様を満たす容量性構造を作製する複数の製造方法がある。本明細書では、3つの例示的な方法を説明する。すなわち、(1)両親媒性ブロック共重合体、(2)高アスペクト比の粒子のアセンブリ、及び(3)ナノリソグラフィーである。これらのアプローチをそれぞれ別々に説明する。当業者は、本明細書に記載の製造方法が例示的なものであり、非限定的なものであることを理解するであろう。
一実施形態では、本明細書に記載の容量性構造は、自己組織化して規則的な多孔性構造を作製する両親媒性ブロック共重合体によって製造される。これらの多孔性構造は、金属酸化物又は他の材料のゾル-ゲル混合物から形成されて、固体マトリックスと、自己組織化して三次元ネットワークになる両親媒性ブロック共重合体とを形成する。ゾル-ゲル混合物は、浸漬コーティング、スプレーコーティング、プリント、スロットダイコーティング又は当技術分野で知られている任意の他の塗布方法を含む、液体溶液を固体表面に塗布することが可能な多くの手段によって基板に塗布することができる。容量性構造を形成するために、ゾル-ゲル混合物は、電極上に予め形成された固体絶縁層の有無にかかわらず、電極基板に塗布され得る。電極が絶縁層を有する場合、絶縁層は、電極の酸化若しくは陽極酸化又は他の化学反応、化学的若しくは物理的方法による絶縁層の堆積又は導体に絶縁体を塗布する別の手段によって形成され得る。導体にエッチングして、表面積を増加させ得る。例えば、一実施形態では、電極は、アルミホイルとなるように選択され得る。アルミホイルは、ホイルの表面積を増加させるためにエッチングされ得るか、又は絶縁層は、ホイル表面の酸化若しくは陽極酸化又は他の化学反応によって酸化アルミニウムとして形成され得る。ゾル-ゲル混合物の層が電極又は絶縁体表面に塗布された後、両親媒性ブロック共重合体が自己組織化して、規則正しいネットワークになる。ゾル-ゲル層を加熱することにより、ブロック共重合体は、マトリックス構造を除去せずにアセンブリから除去することができる。アセンブリを加熱すると、マトリックス構造をアニール化又は焼結させて、その機械的安定性及び選択されたマトリックス材料に特徴的な他の特性を向上させることも可能である。ゾル-ゲル混合物の特性及び加熱プロセスを制御することにより、両親媒性ブロック共重合体の除去によって残された細孔のアスペクト比が4よりも大きくなるように、多孔性構造を加熱中に部分的に収縮させることができる。材料及びプロセスの選択を最適化することで、真空又は気体孔中に電界を適切に圧縮するのに十分な大きさのアスペクト比が可能になり得る。第2の電極は、固体絶縁コーティングの有無にかかわらず、多孔性固体マトリックス上に金属をスパッタリングすること、他の化学的若しくは物理的な堆積方法を含むいくつかの手段によって又は固体若しくは液体電解質の形式で塗布することができる。代わりに、絶縁層の有無にかかわらず、さらに多孔性固体マトリックスの有無にかかわらず、第2のホイルを第1の多孔性固体マトリックスの上に塗布することができる。
本発明の実施形態の容量性構造を作製する第2の技法は、小板、フレーク又はリボンを含む高アスペクト比の粒子を、それらの長寸法が印加電界に対して概ね垂直(例えば、垂直~45度以内等)であり、且つ最短寸法(例えば、粒子の厚さ)が印加電界に対して概ね平行であるようにパッキングすることを含む。粒子のパッキングが不完全であることにより、粒子間に細孔が存在し、細孔は、高いアスペクト比も有し、細孔の長寸法は、印加電界に対して概ね垂直であり、細孔の短寸法は、印加電界に対して概ね平行である。高アスペクト比を有する固体粒子は、固体絶縁コーティングの有無にかかわらず、電極に塗布することができる。前述の方法と同様に、粒子でコーティングする前に電極をエッチングして表面積を増加させ得る。固体粒子は、当技術分野で知られている任意のコーティングメカニズムで塗布することができる。次に、固体粒子は、加熱プロセス、固体絶縁層若しくは電極を追加するコーティングプロセス又は他の方法によって機械的又は化学的に所定の位置に固定され得る。例えば、一実施形態では、Kinsei Matec Co.製のSerath又はKawai Lime Industry Co. Ltd.製のSerasuのようなアルミナフレークは、アスペクト比が高いために使用することができ、これによりプレート状の構造、高い絶縁耐力及びおよそ9の高い誘電率が得られる。酸化アルミニウムフレーク又は小板を同じ向きで配列することにより、粒子の積層は、それらの間にやはり高アスペクト比を有する真空又は気体の領域を有することになる。酸化アルミニウム粒子間の真空又は気体領域の体積を増加させるために、低アスペクト比の粒子及び/又は形状の異なる粒子(例えば、フレーク及びリボン)を追加することを含めることができる。スパッタリング、他の化学的若しくは物理的堆積方法によって又は固体若しくは液体電解質の形式で別の固体絶縁コーティング及び別の電極を塗布することができる。
ナノリソグラフィーとは、1,000nm未満の寸法で構造及び構成部品を作製する方法を指す。ナノリソグラフィー法を利用して、本発明の実施形態の誘電体構造に関連するサイズスケールで構造を作成することができる。1つ又は複数の導電層又は半導体層から、薄い絶縁層を塗布し、本発明の実施形態のサイズスケールで真空又は気体のギャップを残すことが可能である。本発明の実施形態の容量性構造を作るために必要なサイズスケールでのナノリソグラフィーによる電極の塗布も可能である。一実施形態では、構造は、主として電極の列の形態又は交差指型電極の形態の二次元(2D)であり得、表面全体にわたって固体絶縁体及び真空/気体ギャップを組み込んだ容量性構造を作る。別の実施形態では、構造は、前述した層状構造又はプレート状の細孔を組み込んだ構造と同様の形態を有して三次元(3D)でもあり得る。
誘電体構造を構成部品に組み込む方法 - 本発明の実施形態の誘電体構造により、誘電体の厚さが非常に小さい状態での動作が可能になるため、多孔性誘電体は、非常に小さい厚み(例えば、5ミクロン未満)で機械的に自立しないことがあり得る。そのような薄膜の場合、誘電体は、例えば、電極ホイル又はプレートのような支持構造上に堆積することが必要であり得る。電極ホイル上に堆積する場合、反対側の電極は、自己クリアリングについて前述したものと一致する薄いメタライズとして誘電体上に堆積され得る。誘電体フィルム上にキャパシタを製作するために、これまでに多数の電極パターン及び構成が開発されてきた。それらのすべては、本発明の実施形態の誘電体構造での使用に適用可能であり得る。
図28は、誘電体層及び薄膜メタライズが導電性ホイル2806(例えば、アルミホイル等)に堆積されている実施形態の一例を図示する。図28では、層の厚さは、縮尺通りではなく、単に層の順序付けを示すことを意図している。導電性ホイル2806は、最初に、薄い固体絶縁体2808(例えば、酸化アルミニウム等)が上面及び底面に塗布されるプロセスを経る。この例に示されているように、導電性ホイル2806は、酸化されて、絶縁体2808の薄層を生成する。導電性ホイル2806の一方の縁部は、絶縁体2808によって完全に絶縁されており、その縁部からホイル2806の導電性部分への電気的接続を防いでいる。固体絶縁層2808の上には、多孔性誘電体構造2802の層が両面にコーティングされている。この多孔性誘電体構造2802は、主要なエネルギー蓄積領域であり、実際の構造の全体の厚さのかなりの割合を占める。別の固体絶縁層2808は、多孔性誘電体構造2802の露出した側に堆積され得る。最後に、フィルムの一方の側は、薄い導電性コーティング2804で金属化されて第2の電極を形成する。この第2の電極は、第1の導電性ホイル2806が露出されている縁部まで延びていなくてもよいが、反対側の縁部まで延び得る。代わりに、第2の電極は、第2のホイルによって形成され得る。図28の層状のフィルムを用いて、例えばフィルムを心棒に巻きつけることによってキャパシタを製作することができる。この配列により、巻回型キャパシタの反対側の縁部から2つの電極(例えば、導電性ホイル2806及び導電性コーティング2804等)への電気的接続が可能になる。当技術分野で知られているキャパシタ電極パターン及び製作方法には、多くの変形形態がある。この例は、本発明の実施形態の多孔性誘電体構造をキャパシタに実装し得る方法の1つを示す。
前述の説明から、層状フィルム及びキャパシタは、導電性電極ホイル2806などの支持構造から開始する場合、処理方法で形成することができる。しかしながら、電極の厚さは、キャパシタ全体のエネルギー密度の制限因子になる可能性があるため、キャパシタの層ごとに機械的に自立した構造を必要としない代替的な製造方法は、キャパシタ全体のサイズ及び重量を削減するのに有利である。単一の機械的支持構造上に複数の堆積を行うことで多層キャパシタを製作するための方法は、電極の体積及び重量を削減する手段を提供する。複数の層を生成するそのような1つの方法の一例には、回転する円筒形支持体上にキャパシタを層状に積み上げていくことが含まれる。円筒体の円周に沿って様々なコーティング又は処理装置が配置されており、それにより、円筒体上の一点を回転させると、多孔性誘電体、固体誘電体及び電極メタライズの複数の層を塗布することができる。金属化された電極が誘電体の層間に延びる円筒体の縁部が交互になるように、メタライズを制御することにより、1つの機械的支持体のみで多層キャパシタ構造を製作することができる。キャパシタが機械的に自立するように十分な層が製作された後、キャパシタは、その機械的支持体から取り外すことができる。これらの方法でキャパシタを製作するためのシステムのジオメトリは、回転円筒体に限定されず、複数のコーティング、堆積及び/又は処理ステーションを通してキャパシタを移送するためのコンベア又は他のシステムを有するシステムによって具体化することができる。これらの方法の他の実施形態は、コーティング、堆積又は処理装置がキャパシタの表面上を順に移動して、プリントのようなプロセスでキャパシタ構造を構築する固定キャパシタ製作プラットフォームを含み得る。
図29は、前述した代替的な製造方法を使用して、示されていない支持構造上に構築することが可能な層状構造の実施形態の一例を示す。この構造の例は、薄い金属化電極コーティング(例えば、多孔性誘電体構造2802、薄い導電コーティング2804、固体絶縁層2808等)のみを組み込んでいる。キャパシタの総静電容量を増加させるために、必要に応じて追加の層を加えることが可能である。
一態様では、物品は、誘電体構造を含み得る。例示的な物品は、キャパシタ、回路基板、伝送ライン及びケーブル、半導体デバイス、電子デバイス、コンピュータ、テレビ、スマートフォン、タブレット型コンピュータデバイス、ウェアラブル型コンピュータデバイス、パッケージ、箱、発送容器、車両、ステレオ/オーディオ装置及びデバイス、無人飛行機(UAV)(例えば、ドローン)などを含むが、これらに限定されない。誘電体構造は、4よりも大きい誘電率を有する少なくとも1つの固体材料(例えば、固体材料領域302、固体マトリックス904、固体粒子1902等)の1つ又は複数の領域と、真空又は気体の複数の領域(例えば、真空又は気体領域304、真空又は気体孔902、真空又は気体マトリックス1904等)とを含む。少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域のうちの少なくとも1つの領域は、第1の平均粒子寸法(dmaj)及び第2の平均粒子寸法(dmin)を有する。加えて、真空又は気体の複数の領域のうちの真空又は気体の少なくとも1つの領域は、第1の平均粒子寸法(d’maj)及び第2の平均粒子寸法(d’min)を有する。少なくとも1つの固体材料の少なくとも1つの領域のdminに対するdmajのアスペクト比は、4以上であり、及び/又は真空又は気体の少なくとも1つの領域のd’minに対するd’majのアスペクト比は、4以上である。真空又は気体の複数の領域は、誘電体構造への電界(E)の印加時、少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域における平均電界が真空又は気体の複数の領域における平均電界よりも小さいように、少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域全体にわたって分散される。
別の態様では、物品は、1つ又は複数の電極(例えば、電極306、電極906、電極1906等)をさらに含み得る。一実施形態では、上述した誘電体構造及び1つ又は複数の電極が一緒になって、容量性構造(例えば、容量性構造300、複合構造900、複合構造900’等)を構成する。
さらに別の態様では、物品は、1つ又は複数の電極への電気的接続のための2つ以上の端子をさらに含み得る。一実施形態では、上述した容量性構造及び2つ以上の端子が一緒になって、キャパシタを構成する。
別の態様では、物品は、少なくとも2つの導体で構成された少なくとも1つの伝送ラインをさらに含み得る。一実施形態では、上述した容量性構造及び少なくとも1つの伝送ラインが一緒になって、回路基板を構成する。
さらに別の態様では、物品は、少なくとも2つの導体で構成された少なくとも1つのケーブルをさらに含み得る。
上記から、本発明は、構造及び方法に固有の他の利点とともに上述のすべての目標及び目的を達成するように十分に適合されたものであることがわかるであろう。特定の特徴及び部分組み合わせが有用であり、他の特徴及び部分組み合わせを参照せずに使用可能であることが理解されるであろう。これは、特許請求の範囲によって企図され、特許請求の範囲内である。本発明の多くの可能な実施形態は、その範囲から逸脱することなくなされ得るため、本明細書に記載されるか又は添付の図面に示されるすべての事項は、例示として解釈されるものとし、限定的なものではないことも理解されたい。
上述し、図面で示した構造は、例として提示されているにすぎず、本発明の概念及び原理を限定することを意図していない。したがって、新規な発明のいくつかの実施形態が示され、説明されている。前述の説明から明らかなように、本発明の特定の態様は、本明細書に示されている例の特定の詳細によって限定されず、したがって他の修正形態及び応用形態又はその均等物が当業者に想到されることが企図されている。上記の本明細書で使用する「有する」及び「含む」という用語並びに同様の用語は、「必須」ではなく、「任意選択的」又は「含み得る」の意味で使用される。しかしながら、本構造の多くの変更形態、修正形態、変形形態並びに他の使用及び応用は、本明細書及び添付の図面を考察した後、当業者に明らかになるであろう。本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないこのような変更形態、修正形態、変形形態並びに他の使用及び応用は、すべて以下の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明によって網羅されていると見なされる。

Claims (22)

  1. 4よりも大きい誘電率を有する少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域であって、前記少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域のうちの少なくとも1つの領域は、第1の平均粒子寸法(dmaj)及び第2の平均粒子寸法(dmin)を有する、1つ又は複数の領域と、
    真空又は気体の複数の領域であって、前記真空又は気体の複数の領域のうちの真空又は気体の少なくとも1つの領域は、第1の平均粒子寸法(d’maj)及び第2の平均粒子寸法(d’min)を有する、真空又は気体の複数の領域と
    を含む誘電体構造であって、
    前記少なくとも1つの固体材料の少なくとも1つの領域のdminに対するdmajのアスペクト比は、4以上であること、及び
    前記真空又は気体の少なくとも1つの領域のd’minに対するd’majのアスペクト比は、4以上であること
    の少なくとも1つであり、
    前記真空又は気体の複数の領域は、前記誘電体構造への電界の印加時、前記少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域における平均電界が前記真空又は気体の複数の領域における平均電界よりも小さいように、前記少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域全体にわたって分散される、誘電体構造を含む物品。
  2. 前記少なくとも1つの固体材料の固体の1つ又は複数の領域は、1つ又は複数の固体絶縁体の三次元ネットワークで構成される、請求項1に記載の物品。
  3. 前記真空又は気体の複数の領域の体積は、前記少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域と、前記真空又は気体の複数の領域との合計体積の約10%~約99%である、請求項1に記載の物品。
  4. 真空又は気体の各領域のd’minに対するd’majの前記アスペクト比は、約1000以下である、請求項1に記載の物品。
  5. 前記少なくとも1つの固体材料は、金属酸化物、ダイヤモンド又は窒化物の少なくとも1つである、請求項1に記載の物品。
  6. 前記少なくとも1つの固体材料は、アルミナ、ダイヤモンド、酸化タンタル、ハフニア、ニオビア、チタニア、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素又は窒化アルミニウムの少なくとも1つである、請求項1に記載の物品。
  7. 前記気体は、空気、窒素、六フッ化硫黄、酸素、水素、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン又はクロロフルオロカーボンの1つ又は複数で構成される、請求項1に記載の物品。
  8. 前記真空又は気体の複数の領域のうちの前記真空又は気体の少なくとも1つの領域の前記第2の平均粒子寸法(d’min)は、1ミクロン以下である、請求項1に記載の物品。
  9. 前記少なくとも1つの固体材料の少なくとも1つの領域の前記第2の平均粒子寸法(dmin)は、1ミクロン以下である、請求項1に記載の物品。
  10. 1つ又は複数の電極をさらに含む、請求項1に記載の物品。
  11. 前記電極の少なくとも1つは、前記誘電体構造に隣接するその表面上において絶縁層でコーティングされる、請求項10に記載の物品。
  12. 前記絶縁層は、アルミナ、ダイヤモンド、酸化タンタル、ハフニア、ニオビア、チタニア、シリカ、窒化アルミニウム又は窒化ホウ素の少なくとも1つである、請求項11に記載の物品。
  13. 前記絶縁層は、前記少なくとも1つの電極の酸化、陽極酸化又は他の化学反応から形成される、請求項11に記載の物品。
  14. 前記1つ又は複数の電極は、電極導体で構成され、前記電極導体は、金属、半導体材料、液体電解質又は固体電解質である、請求項10に記載の物品。
  15. 前記1つ又は複数の電極は、電極導体で構成され、前記電極導体は、アルミニウム、炭素、ハフニウム、ニオブ、シリコン、チタン、ニッケル、銀、金又はタンタルの少なくとも1つである、請求項10に記載の物品。
  16. 前記絶縁層でコーティングされた前記少なくとも1つの電極は、単極デバイスのカソードを含む、請求項11に記載の物品。
  17. 前記誘電体構造の導電層及び絶縁層は、バイポーラデバイスの2つ以上の電極を含む、請求項11に記載の物品。
  18. 前記絶縁層は、絶縁層と前記誘電体構造との合計厚さの約10%未満である、請求項11に記載の物品。
  19. 前記真空又は気体の複数の領域における前記平均電界は、約1GV/mよりも大きい、請求項10に記載の物品。
  20. 前記1つ又は複数の電極への電気的接続のための2つ以上の端子をさらに含む、請求項10に記載の物品。
  21. 少なくとも1つの伝送ラインをさらに含み、前記少なくとも1つの伝送ラインは、少なくとも2つの導体で構成される、請求項10に記載の物品。
  22. 前記気体は、
    前記1つ又は複数の電極、及び
    前記少なくとも1つの固体材料の1つ又は複数の領域
    の少なくとも1つの、気化、酸化又は他の反応を補助して、誘電体の故障中又は後の電流を制限する、請求項10に記載の物品。
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