JP7026380B2 - 動揺度測定装置、動揺度測定プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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口腔内カメラ2は、公知の歯科用の口腔内カメラであり、口腔内の歯牙T等を撮影する。口腔内カメラとしては、従来種々の製品が市販され、概ね次のような特長を有している。例えば、(1)全長が200mm以下であり、操作者が鉛筆を持つのと同じようにして掴むことができる。(2)カメラレンズの周りに複数の照明用LEDを備え、数ミリメートルの撮影距離で撮影可能である。(3)横1024画素×縦768画素等の高解像度の静止画像を撮影するモードや、所定解像度の動画を撮影するモード等を有する。(4)口腔内カメラで撮影された画像を表示する動作プログラムが附属ソフトウェアとしてセットで販売されている。
動揺度測定装置1において、口腔内カメラ2として、このような市販品を採用することができる。以下では、口腔内カメラ2は、一例として、歯牙Tの静止画を撮影するものとして説明する。
また、口腔内カメラ2は、演算装置4と通信可能に接続されている。なお、図1には、口腔内カメラ2と演算装置4とをUSB接続する通信ケーブルを表示したが、有線通信に限らず、無線通信であっても構わない。無線通信の場合、口腔内カメラ2は、例えば充電可能なバッテリを搭載する。
以下、各部の詳細について説明する。
画像処理手段10は、口腔内カメラ2によって、揺動部材3と共に撮影された少なくとも2枚の歯牙の画像から所定の基準位置の移動距離を算出する処理を行い、この算出した移動距離を動揺度として測定するものである。口腔内カメラ2と揺動部材3とを分解した分解斜視図を図3に示す。また、歯牙Tを揺動する様子の模式図を図4~図7に示す。また、以下の説明では、図4~図7に示すように測定対象の歯牙をT1、その両隣の歯牙をT0,T1と表記し、特に区別しない場合、単にTと表記する。
画像切出手段11は、必須構成ではないが、口腔内カメラ2で撮影された画像全体を対象として画像処理する場合に比べて、処理速度を向上させたり、CPU等の処理負荷を低減させたりすることができることから、備えることが好ましい。
画像特徴抽出手段12は、例えば、入力画像から局所的な特徴点やエッジを検出する。画像特徴抽出手段12には公知のフィルタ処理やエッジ検出オペレータ等を用いることができる。画像特徴抽出手段12には、移動量を算出するために所定の基準位置が設定されている。画像特徴抽出手段12は、例えば、歯牙Tを揺動する前に撮影された画像における基準位置と、揺動した後に撮影された画像における基準位置と、の差分を、画像特徴量として抽出する。
移動量算出手段13は、画像特徴抽出手段12によって抽出された画像特徴量から、基準位置の移動量を算出する。算出された移動量は、動揺度として表示装置5に表示される。
動揺度測定装置1において、図1に示すように口腔内カメラ2に揺動部材3が取り付けられている。そして、揺動部材3が歯牙Tに当接したときの歯牙Tの咬合面から口腔内カメラ2までの距離は予め分かっており、事前校正により、撮影画像の長さ(画素数)と実空間上の距離とが対応付けられている。これにより、移動量算出手段13は、例えば、歯牙Tを揺動する前後に取得されたそれぞれの基準位置の画像上における差分を、実空間上の長さに換算する。
一方、動揺度測定装置1においては、例えば、歯牙を動かす前に撮影した画像を取得し、歯牙を一方向に動くところまで動かした後に撮影した画像を取得する。このため、この場合、歯牙Tを揺動する前後に取得されたそれぞれの基準位置の画像は、片方向の振幅の長さを反映している。そこで、移動量算出手段13は、基準位置の画像上における差分から算出した実空間上の長さを2倍することで、動揺度の判定に対応した長さとして、最終的な実空間上の移動量を算出する。
「無」は、臨床では0度と呼ばれ、ほとんど動かない場合、または、生理的にしか動かない場合(0.2mm未満)とされている。
「小」は、臨床では1度と呼ばれ、0.2~1mmの動きがあり、唇舌方向に動く場合とされている。
「中」は、臨床では2度と呼ばれ、1.0~2mmの動きがあり、唇舌方向・近遠方向に動く場合とされている。
「大」は、臨床では3度と呼ばれ、2mm以上の動きがあり、唇舌方向・近遠方向・垂直方向に動く場合とされている。
移動量算出手段13は、実空間上の長さで移動量を算出するので、操作者である歯科医師は、測定結果を直感的にミラーの分類にあてはめることができる。さらに、操作者は、動揺度を実空間上の長さで定量的に把握することができる。
これにより、動揺度測定装置1は、目視に比べて拡大された撮影画像を表示装置5に表示することができる。そのため、操作者である歯科医師は、表示装置5を介して揺動前後の動きを確認することで、感覚的に揺動部材3を動かす力の加減を認識し易くなる。
本体21は、回路基板等を内蔵した円筒形の部材である。本体21の外周面は、操作者が操作部24を操作する際に把持するグリップとしても機能する。
操作部24は、手元で撮影を行うためのボタンやモード切替ボタンを含んでいる。
連結部32は、本体部31の基端側に設けられ、口腔内カメラ2と連結するための部材である。連結部32は、口腔内カメラ2の先端部22に対して、この揺動部材3を着脱自在(交換可能)に構成されている。連結部32は、中空の円筒を略半円の筒になるように切断した形状で形成されている。
揺動部材3は、撮影画像の中央に映った歯牙を機械的に保持できるような口腔内カメラ2の部位に連結部32で取り付けられている。すなわち、図4および図5に示すように、上から撮影対象の歯牙T1を撮影することができるように取り付けられている。
また、動揺度測定装置1によって歯の動揺度を定量的に測定した結果は、診断に用いることができる。例えば、歯周疾患の治療において、治癒の度合いを簡便に定量評価できる。このように簡便に定量的な歯の動揺度測定ができるようになるため、苦痛の少ない迅速な診療が提供可能となる。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。また、以下のように変形してもよい。例えば、動揺度測定装置1の構成は図1に示したように口腔内カメラ2や揺動部材3を含んで実現することも可能であるし、口腔内カメラ2や揺動部材3を含まずに演算装置4で実現することも可能である。また、一般的なコンピュータを、動揺度測定装置として機能させる動揺度測定プログラムにより動作させることで実現することも可能である。このプログラムは、通信回線を介して提供することも可能であるし、CD-ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。この記録媒体を装着されたコンピュータが、この記録媒体に記録された動揺度測定プログラムに基づいた各機能を実現することができる。
また、演算装置4と表示装置5とは、ノート型パーソナルコンピュータとして一体的に構成されているものとしたが、タブレット端末やスマートフォンで構成してもよい。また、演算装置4と表示装置5とを分離して、デスクトップ型やタワー型のコンピュータで構成してもよい。
前記実施形態では、揺動部材3の当接部33がピンセットであるものとして説明したが、当接部33の形状はこれに限らない。
当接部は、把持部34をつまんだときに開き、把持部34を手放すと閉じるような逆動作のピンセットであっても構わない。また、揺動部材3において把持部34の位置は、本体部31の前側に限らず、本体部31の後側であってもよい。
当接部33および把持部34は、例えばネクタイピンの留め具のようにバネの力で挟む構造であっても構わない。
前記実施形態では、揺動部材3の当接部33が、開閉可能なピンセットであるものとして説明したが、開閉可能でなくても構わない。当接部は、例えば、棒状で先端が丸くなっている形状、すなわちピン形状でもよい。
前記実施形態では、揺動部材3で保持した歯牙T1以外の組織に基準位置を設定しておくものとして説明したが、基準位置の設定箇所はこれに限らない。
例えば、揺動部材3で保持した歯牙T1に基準位置を設定してもよい。その場合、歯牙T1に詰め物や被せ物があれば、それでもよい。また、歯牙T1に接触している揺動部材3の当接部33に基準位置を設定してもよい。
そこで、背景の側を画像処理により固定させ、相対的に、撮影画像では位置の変化のない歯牙T1の位置が変化して見えるように画像処理を行う。
例えば撮影画像の各画素値を所定の閾値と比較することで、2値化画像を生成する処理を行うことで、歯牙T1や当接部33に対応する画像オブジェクトとその背景画像とを分離できる。これにより、背景の位置が固定された画像上で、歯牙T1を保持する当接部33の位置の変化を判別することができる。そのため、当接部33の移動量を定量的に数値化することができる。この値を動揺度の定量評価値としてもよい。
前記実施形態では、対象となる歯牙の静止画を画像処理するものとして説明したが、動画であっても構わない。
揺動部材3で歯牙T1を保持し、口腔内カメラ2ごと歯牙T1を揺らすことにより、歯牙T1は撮影された映像中で常に固定された位置で映る。このとき、固定した歯牙T1以外の組織が動いて映ることになる。ここで、例えば、背景の側を画像処理により固定させ、相対的に、撮影された映像では静止していた歯牙T1が動いて見えるように、動画を構成するフレーム画像の移動処理を行う。例えば2値化処理を行うことで、歯牙T1や当接部33に対応する画像オブジェクトとその背景画像とを分離できる。これにより、背景の位置が固定された画像上で、歯牙T1を保持する当接部33の位置の変化を判別することができる。このとき、連続する2枚の画像から基準位置の移動方向および移動距離を算出する処理を、歯牙T1を揺動する前の画像から、歯牙T1を揺動した後の画像にかけて順次行い、それらの総和を求める。結果として、連続する例えば数十枚の画像から、基準位置の最終的な移動距離を算出する。なお、動画において2枚の連続画像から移動体(画像オブジェクト)を抽出し、抽出した画像オブジェクトを追跡することにより、その移動距離を算出する方法は特に限定されず、例えば公知の動画解析ソフトウェアを用いてもよい。そして、歯牙T1に接触している揺動部材3の当接部33に基準位置を設定しておくことで、画像オブジェクトに対応する当接部33の移動量を定量的に数値化することができる。この値を動揺度の定量評価値としてもよい。
あるいは、背景の側を固定させる画像処理を行わずに、例えば、歯牙T1以外の組織に基準位置を設定しておくことで、画像オブジェクトに対応する基準位置の移動量を定量的に数値化することもできる。この値を動揺度の定量評価値としてもよい。
このように動画を表示装置5に表示させることで、操作者である歯科医師は、動揺度を感覚的に確認できる。
前記実施形態では、対象となる歯牙T1を保持する揺動部材3と、口腔内カメラ2とを一体的に動かすものとして説明したが、歯牙を揺動する揺動部材と、口腔内カメラ2とを分離して別々に動かしても構わない。
図8は、本発明の実施形態に係る動揺度測定装置の変形例を示す模式図である。
図8に示す固定部材50は、口腔内カメラ2を口腔内に固定するための部材であり、口腔内カメラ2の先端部に脱着可能に構成されている。この例では、撮影に際して、口腔内カメラ2の先端部に嵌入された固定部材50が、測定対象の歯牙に隣接する2つの歯牙を跨ぐようにこれらの歯牙にそれぞれ固定されている。固定部材50は、測定対象の歯牙の周囲で基準位置を設定可能な他の歯牙等が口腔内カメラ2で撮影可能であれば、その形状やサイズは適宜設計変更することができる。固定部材50は、例えば滅菌可能な部材からなる。
この変形例においても、揺動部材60で揺動する歯牙以外の組織に基準位置を設定しておけばよい。この場合、揺動前後のそれぞれの撮影画像においては、固定部材50が固定された2つの歯牙の位置に変化はなく、揺動された歯牙の位置、または、揺動部材60の位置の変化を判別することができる。そのため、揺動部材60の移動量を定量的に数値化することができる。この値を動揺度の定量評価値としてもよい。
前記実施形態では、歯牙Tを揺動する前後にそれぞれ撮影された画像を画像処理するものとして説明したが、揺動した後の画像だけを用いても構わない。
例えば、歯牙を動かす前に当該歯牙を撮影せずに、歯牙を一方向に動くところまで動かした後に撮影した画像を取得した後、歯牙を反対方向に動くところまで動かした後に撮影した画像を取得する。この場合、歯牙Tを一方向および反対方向に動かした後に取得されたそれぞれの基準位置の画像は、両方向にまたがる全振幅の長さを反映している。そのため、移動量算出手段13は、基準位置の画像上における差分から算出した実空間上の長さを2倍することなく、そのまま、動揺度の判定に対応した長さとして、最終的な実空間上の移動量とする。これによれば、歯牙の一方向の揺れ幅と、歯牙の反対方向の揺れ幅とが大きく異なる場合、動揺度の測定結果の精度が向上する。
前記実施形態では、歯牙Tを揺動するときの基準位置を、歯牙または詰め物や被せ物に設定することとして説明したが、これに限らない。例えば、歯牙や口腔内の組織と区別し易いような色を有した人体に無害のマーカを歯牙の近傍に配置してもよい。また、基準位置を設定するための基準点の代用となる微小な点状のマーカや、基準線の代用となる微小な線状のマーカでもよい。マーカは、表面の光反射性が高く滅菌できる素材で構成されることが好ましい。例えば歯科医師が一方の手で把持するスティックの先端に点状のマーカを装着し、このマーカを歯牙の近傍に配置し、歯科医師が他方の手で把持した口腔内カメラ2を操作するようにしてよい。
2 口腔内カメラ
3,60 揺動部材
4 演算装置
5 表示装置
10 画像処理手段
11 画像切出手段
12 画像特徴抽出手段
13 移動量算出手段
23 撮影部
32 連結部
33 当接部
50 固定部材
Claims (8)
- 口腔内を撮影する撮影部を本体の先端部の表面に有する口腔内カメラと、
歯牙を揺動させる揺動部材と、
前記口腔内カメラによって、前記揺動部材と共に撮影された少なくとも2枚の歯牙の画像から所定の基準位置の移動距離を算出する処理を行い、前記算出した移動距離を動揺度として測定する画像処理手段と、を備え、
前記揺動部材は、前記口腔内カメラに連結されて前記口腔内カメラと一体的に動き、前記揺動部材が当接する歯牙に対して、前記歯牙の咬合面を前記撮影部が撮影できるように前記口腔内カメラを固定することを特徴とする動揺度測定装置。 - 前記所定の基準位置は、前記揺動部材で保持した歯牙以外の組織に設定される請求項1に記載の動揺度測定装置。
- 前記揺動部材は、前記口腔内カメラと連結する連結部を有する請求項1または請求項2に記載の動揺度測定装置。
- 前記揺動部材は、前記撮影部の撮影方向に対向して前記口腔内カメラを支持するように配置された状態で前記連結部によって前記口腔内カメラと連結され、
前記揺動部材は、前記連結部から前記撮影部が配置された側に延出して歯牙に当接する当接部を備える請求項3に記載の動揺度測定装置。 - 前記当接部は、ピンセットである請求項4に記載の動揺度測定装置。
- 前記口腔内カメラで撮影された画像を表示する表示装置をさらに備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の動揺度測定装置。
- コンピュータを、請求項1に記載の動揺度測定装置として機能させるための動揺度測定プログラム。
- 請求項7に記載の動揺度測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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JP2017201351A JP7026380B2 (ja) | 2017-10-17 | 2017-10-17 | 動揺度測定装置、動揺度測定プログラムおよび記録媒体 |
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2017
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