〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本発明は、ゴミ焼却施設におけるピットの状態を監視する情報処理装置等に関するものであるから、まず、ゴミ焼却施設およびそれに備えられたピットについて、図2に基づいて説明する。
<ゴミ焼却施設の概要>
図2は、ピットを備えるゴミ焼却施設の概略構成を示す断面図である。本発明の実施形態1によるゴミ焼却施設100は、図2に示すように、ゴミ受入前測定設備1、ゴミ受入設備2、および、ゴミ焼却炉3の各設備を備えている。また、ゴミ焼却施設100には、操作者が、上述の各設備を監視したり、クレーン5を手動で操作したりするための操作室8が設けられている。
ゴミ受入前測定設備1では、ゴミ受入設備2に搬入される前のゴミに対して測定が実施され、ゴミに関する各種データが生成される。ゴミ受入設備2では、複数のゴミ収集車Qにより搬入されるゴミが一時的に貯留される。ゴミ焼却炉3は、ゴミ受入設備2に併設されており、ゴミを焼却する。ゴミ焼却炉3は、X方向(図2において、紙面に対して直交する方向)に並ぶように一対設けられている。操作室8には、各設備と通信して、ゴミ焼却施設100を統括的に制御する制御システムが敷設されている。操作室8は、ユーザがゴミ焼却施設100の各設備(特に、ピット21内の状態)を監視したり、クレーン5を手動で操作したりするために設けられる。
なお、実施形態1によるゴミ焼却施設100は、新たに建設してもよいし、既設のゴミ焼却施設であってもよい。制御システムに含まれる各装置は、互いに、ネットワークを介して通信可能であり、また、制御システムの各装置は、該ネットワークを介して、操作室8以外の遠隔に設置されている各装置とも通信可能である。
(ゴミ受入前測定設備1)
ゴミ受入前測定設備1は、ゴミ受入設備2よりも手前、すなわち、ゴミ焼却施設100の出入口近傍に設けられている。ゴミ受入前測定設備1には、重量測定装置11と、ゴミ種登録装置12とが設けられている。
重量測定装置11は、例えば、路面に埋め込まれ、上に停止したゴミ収集車Qの重量を測定する。重量測定装置11は、測定された重量からゴミ収集車Qの重量を差し引くことによって、ゴミ収集車Qに積載されたゴミの重量を取得する。重量測定装置11は、取得したゴミの重量を示すゴミ重量データを、ピット監視装置4(情報処理装置)に送信する。
ゴミ種登録装置12は、ゴミ収集車Qに積載されたゴミの種類(以下、ゴミ種)を登録する。本実施形態では、例えば、ゴミ種登録装置12は、積載されたゴミが、可燃ゴミか、不燃ゴミかを示すゴミ種データを、ピット監視装置4に送信する。
ゴミ種は、ゴミ受入前測定設備1を管理する係員などにより、ゴミ種登録装置12に対して登録されてもよい。あるいは、ゴミ収集車Qごとに、積載するゴミのゴミ種が決まっている場合に、ゴミ種登録装置12が、ゴミ収集車Qの車種または車両ナンバーなどに基づいて、ゴミ種を判別してもよい。あるいは、曜日および地域ごとに、収集されるゴミのゴミ種が決まっている場合に、ゴミ種登録装置12が、ゴミが搬入された曜日、および、ゴミ収集車Qがゴミを収集した地域に基づいて、ゴミ種を判別してもよい。車種、車両ナンバー、搬入曜日(日時)、および、収集地域などのパラメータは、係員などによりゴミ種登録装置12に入力されてもよいし、ゴミ種登録装置12が自動で取得してもよい。
(ゴミ受入設備2)
ゴミ受入設備2は、図2に示すように、ゴミ収集車Qにより搬入されるゴミを貯留するためのピット21と、ピット21に隣接して、ピット21内のゴミをゴミ焼却炉3に供給するためのホッパ22と、ピット21およびホッパ22を覆う建屋23とを含んでいる。なお、ホッパ22は、ゴミ焼却炉3と同様に、X方向に並ぶように一対設けられており、一対のゴミ焼却炉3のそれぞれに対応している。ピット21における、建屋23の出入口側、つまり、Y1方向側には、搬入扉24が1つ以上設けられている。
さらに、建屋23において、ピット21およびホッパ22の上方(Z1の方向)、例えば、建屋23の天井近傍には、クレーン5が設けられている。クレーン5は、X方向に移動可能に設けられたガーダ51と、ガーダ51の上に配置され、Y方向に移動可能に設けられた横行台車52とを有している。さらに、クレーン5は、ピット21内のゴミを掴むためのバケット53と、バケット53と横行台車52とを接続するワイヤ54と、ワイヤ54の長さを変化させることによりバケット53を高さ方向(Z方向)に昇降させる巻取機55とを有している。巻取機55は、例えば、横行台車52に設けられる。
クレーン5は、ゴミを攪拌する攪拌動作と、ゴミをゴミ焼却炉3に搬出する搬出動作とを実施可能なように構成されている。攪拌動作とは、図2に示すように、ピット21内のゴミを掴む動作(掴み)と、掴んだゴミをピット21内に投下する動作(投下)とを順に実施することよって、ピット21内のゴミを攪拌する動作のことを指す。この攪拌動作により、ピット21内のゴミのゴミ質(ゴミ種の構成割合)が均一化される。搬出動作とは、掴みと、掴んだゴミを、ホッパ22を介して、ゴミ焼却炉3に投入する動作(投入)とを順に実施することによって、ゴミをピット21からゴミ焼却炉3へ搬出する動作のことを指す。これにより、投入されたゴミが焼却される。
(ゴミ焼却炉3)
ゴミ焼却炉3は、燃焼室31、ゴミ案内通路32、灰取出口33、煙道34、および、蒸気タービン35を備えている。燃焼室31は、例えば、ストーカ式の燃焼室である。ゴミ案内通路32は、燃焼室31の前端側(Y1側)に設けられ、ホッパ22に接続されている。ホッパ22から投入されたゴミは、ゴミ案内通路32を通って燃焼室31に誘導される。灰取出口33は、燃焼室31の後端側(Y2側)に設けられており、燃焼室31においてゴミが燃焼されることによって生じた焼却灰は、灰取出口33から排出される。
煙道34は、燃焼室31の上後方側(Z1側かつY2側))に設けられている。煙道34には、煙道34を通る排気の熱を用いて給水を加熱蒸発させることによって、排気の熱エネルギーを回収するための蒸気タービン35が配置されている。なお、蒸気タービン35において、排気の熱エネルギーを効率的に回収するためには、安定的な燃焼が継続的に行われるのがよい。
また、ゴミ焼却炉3には、ゴミ焼却炉3内を監視するカメラ(図示せず)などの各種センサが設けられていてもよい。各種センサによって計測されたデータ、例えば、カメラの画像、または、蒸気タービン35における蒸気量のデータなどは、操作室8の焼却炉監視装置7に送信される。
(操作室8)
操作室8に敷設された制御システムは、本発明に係る情報処理装置として機能するピット監視装置4と、高さ計測装置13(3次元計測装置)とを含む。該制御システムには、さらに、クレーンPLC(Programmable Logic Controller)14および焼却炉監視装置7などが含まれていてもよい。
ピット監視装置4は、ピット21内で起こる各事象の発生を監視し、監視結果に基づいて、ピット21の状態を把握する。具体的には、ピット監視装置4は、ゴミ受入前測定設備1から「搬入」に係るデータを取得したり、高さ計測装置13からピット21内のゴミの高さに係るデータを取得したり、クレーンPLC14からクレーン5に係るデータを取得したりする。そして、取得したデータを分析して、ピット21における事象の発生を検知するとともに、検知した事象を識別する。
高さ計測装置13は、ピット21内各箇所のゴミ山の高さを計測する。本実施形態では、一例として、高さ計測装置13は、レーザセンサを搭載した3次元スキャナで実現される。高さ計測装置13は、ゴミ受入設備2内の、ピット21全体を見下ろすことができる任意の位置に設けられる。
クレーンPLC14は、ピット監視装置4または焼却炉監視装置7の指示に基づいて、クレーン5の駆動を制御する機能を有している。例えば、クレーン5に、攪拌動作(掴み+投下)を実施させたり、搬出動作(掴み+投入)を実施させたりする。具体的には、クレーンPLC14は、ガーダ51および横行台車52の移動制御、巻取機55の巻取制御、および、バケット53の開閉制御を行う。
前記移動制御において、クレーンPLC14は、ピット監視装置4から指示された、ピット21のX-Y平面における座標が指定する位置にバケット53が来るようにガーダ51および横行台車52を移動させる。
また、クレーンPLC14は、クレーン5の移動経路を記録しておいてもよい。また、クレーンPLC14は、図示しない、ゴミ重量検出部を含んでいてもよい。ゴミ重量検出部は、クレーン5のバケット53がゴミを掴んだ際のゴミの重量を検出する。クレーンPLC14は、記録しておいた移動経路と、検出されたゴミ重量とを、クレーン情報として定期的にピット監視装置4に送信してもよい。
焼却炉監視装置7は、ゴミ焼却炉3に設置された各種センサによって計測された各種データに基づいて、ゴミ焼却炉3にゴミを投入するか否かを判断する。焼却炉監視装置7は、ゴミの投入が必要と判断した場合には、ピット監視装置4に命令して、ゴミを搬出することを指示する搬出指示をクレーン5に向けて出させる。焼却炉監視装置7は、ゴミ焼却炉3に投入されたゴミのゴミ種に合わせて、ゴミ焼却炉3における投入ゴミの燃焼を制御するように構成されていてもよい。
(ピット21について)
ピット21の詳細を図2および図3に基づいて説明する。図3は、ピット21およびホッパ22を上方から見た様子を示す図である。図3に示すように、ピット21は、X-Y平面に広がる直方体の箱状に形成されている。ピット21は、ピット監視装置4により、X-Y平面において複数のエリアPに仮想的に区画されている。図示の例では、ピット21は、80(=5×16)個のエリアP(i,j)(i:a~e、j:1~16)に仮想的に区画されている。なお、図示の例では、一例として、ピット21は、i行がY方向に並
び、j列がX方向に並ぶように、操作室8などの位置から見て横長に区画されている。
図面を簡略化する目的で、ピット21を区画するピッチは、5×16マス程度としているが、本実施形態では、各々のエリアPは、高さ計測装置13が、ピット21のX-Y平面における各箇所の高さを計測するときのピッチ(数cm角単位)に合わせて区画される。例えば、ピット21は、100×320マス程度に区画されてもよい。
ピット21のY1方向側に、1または複数の搬入扉24が設けられている。図3に示す例では、搬入扉24が6つ設けられている。搬入扉24は、ゴミ収集車Q(図2参照)が、積載するゴミをピット21内に搬入するために設けられている。建屋23の出入口から見てピット21の奥側、すなわち、Y2方向側には、各ゴミ焼却炉3に対応するホッパ22が一対設けられている。
本実施形態では、一例として、搬入扉24に近い、d行およびe行のエリアを(搬入されたゴミの)受入エリアと称し、ホッパ22に近い、a~b行のエリアを攪拌エリアと称する。
ここで、ゴミ収集車Qのゴミがピット21内に搬入されると、ゴミの搬入が実施されたことがピット監視装置4によって認識される。ピット監視装置4は、搬入を、重量測定装置11から送信されたゴミ重量データまたはゴミ種登録装置12から送信されたゴミ種データを受信したことに基づいて認識してもよいし、ゴミ受入前測定設備1から送信された搬入扉24の開閉データに基づいて認識してもよいし、ピット21のゴミ山の高さの変化に基づいて認識してもよいし、これらのことを組み合わせて、総合的に判断してもよい。
(事象について)
これまで述べてきたとおり、ピット21に積もっているゴミ山の高さが変化する原因となる事象としては、以下がある;
「搬入」・・・ゴミ収集車Qによって、搬入扉24から、ゴミが新しくピット21内に搬入されること、
「攪拌(=掴み+投下)」・・・クレーン5が、ピット21内でゴミを掴んだ上で、ある高さからピット21内に投下すること、および、
「搬出(=掴み+投入)」・・・クレーン5が、ピット21内でゴミを掴んだ上で、ピット21外にある別の設備(ホッパ22、ゴミ焼却炉3など)に投入すること。
これらの事象に加えて、ゴミ山の高さが変化する原因となる事象がある。その一例が、「山崩れ」である。「山崩れ」は、ゴミ山が、クレーン等の人為的な介入なしに雪崩を起こし、ゴミがゴミ山の高い位置から低い位置へと移動することを指す。山崩れは、上述の3つの事象の発生と因果関係がないことがほとんどであり、人がその事象の発生または抑制を制御できないという点で、上述の3つの意図的に発生させることが可能な事象とは性質が異なる。
本実施形態では、ピット監視装置4は、意図的に発生させられる制御可事象、および、自然に発生し得る制御不可事象について、いずれの事象であっても、その発生を認識し、発生した事象を識別することが可能である。
<ピット監視装置4の構成>
図1は、ピット監視装置4の要部構成の一例を示すブロック図である。なお、ピット監視装置4は、上述の操作室8内に配置してもよいし、他の場所に配置してもよい。図示のとおり、ピット監視装置4は、制御部40、記憶部41、表示部42および操作部43を備えている。制御部40は、ピット監視装置4の各部を統括して制御する。記憶部41は、ピット監視装置4が使用する各種データを記憶する。表示部42は、記憶部41に記憶されている各種データをユーザが視認可能な状態で該ユーザに対して提示する。操作部43は、ピット監視装置4に対するユーザの操作を受け付ける。なお、表示部42は、ピット監視装置4と一体に構成されていてもよいし、外付けされていてもよい。
また、図示していないが、ピット監視装置4は、他の装置(図1に示す例では、重量測定装置11、ゴミ種登録装置12、高さ計測装置13、クレーンPLC14、および、焼却炉監視装置7)と通信するための通信部を備えている。
制御部40は、機能ブロックとして、データ取得部60、事象判定部61、堆積情報生成部62、指示部63および表示制御部64を有している。上述した制御部40の各機能ブロックは、例えば、CPU(central processing unit)などが、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)などで実現された記憶装置
(記憶部41)に記憶されているプログラムを不図示のRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。記憶部41には、搬入データ70、計測データ71、クレーンデータ72、事象情報73および堆積情報74が記憶されている。
データ取得部60は、図示しない通信部を介して他の装置から各種データを取得し、これらを必要に応じて処理して、記憶部41に格納する。例えば、データ取得部60は、ゴミ受入前測定設備1の各装置から取得した各種データに必要な対応付けを施して、搬入データを生成し、記憶部41に格納する。より具体的には、データ取得部60は、重量測定装置11から取得したゴミ重量データと、ゴミ種登録装置12から取得したゴミ種データとを対応付けて、搬入データ70を生成する。
また、データ取得部60は、ピット21内の高さを計測した計測データを高さ計測装置13から取得して、計測データ71として記憶部41に格納する。計測データは、ピット21内のX-Y平面における座標ごとにゴミ山の高さを示した情報である。
なお、本実施形態では、高さ計測装置13は、ゴミ収集車Qによる搬入、クレーン5による攪拌および搬出のいずれかの事象が発生する間隔よりも短い間隔で実施されることが好ましい。例えば、搬入、攪拌および搬出のいずれかの事象が、平均して、3分おきに発生する場合には、高さ計測装置13は、1分間隔でピット21の上面をスキャンして各箇所の高さを計測する。したがって、データ取得部60は、計測データを1分ごとに取得して、少なくとも分単位で示された計測(取得)日時と対応付けて、計測データ71を記憶部41に格納する。
これにより、ピット監視装置4は、ピット21の状態、とりわけ、ピット21内全体のゴミ山の高さをほぼリアルタイムで監視することが可能となり、ピット21内で発生した事象を逐一正確に把握することができる。
また、データ取得部60は、クレーンPLC14から、クレーン5の移動経路およびバケット53が掴んだゴミのゴミ重量などを取得し、これらをクレーンデータ72として記憶部41に格納する。
事象判定部61は、データ取得部60によって取得された各種データ(搬入データ70、計測データ71およびクレーンデータ72)に基づいて、ピット21内で発生した事象を判定する。事象判定アルゴリズムについては、後に詳述する。事象判定部61は、判定結果を含む事象情報73を生成し、記憶部41に格納する。
堆積情報生成部62は、搬入データ70、計測データ71および事象情報73に基づいて、ピット21内の最新の状態を示す堆積情報74を生成し、記憶部41に格納する。堆積情報74は、ピット21内のゴミ山の攪拌状態を示す情報である。例えば、ピット21内のX-Y-Zの3次元座標ごとに、該座標位置の空間に属するゴミブロックの属性情報が対応付けられている。属性情報は、例えば、前記ゴミブロックが含有するゴミのゴミ種、ゴミ種ごとの構成割合、ゴミの攪拌度合または攪拌回数などを含む。この属性情報に基づいて、ユーザは、ゴミブロックの攪拌状態を知ることができる。
さらに、ゴミブロックの属性情報として、ゴミの燃焼度が含まれていてもよい。燃焼度は、例えば、前記ゴミ種または該ゴミ種ごとの前記構成割合に基づいて定められる。一例として、燃焼度は、「上」、「中」および「下」の3段階で設定される。燃焼度「上」が設定されたゴミブロックは、その焼却時に高い熱量(例えば、期待される程度以上の高い熱量)が得られることを示す。燃焼度「中」は通常の熱量(例えば、最低限必要とされる熱量)が得られることを示す。燃焼度「下」は、低い熱量(例えば、期待される程度よりも低い熱量)が得られることを示す。
堆積情報生成部62は、さらに、ゴミブロックごとに設定された燃焼度(必要に応じて、ゴミ種ごとの構成割合、および、攪拌度合など)に基づいて、焼却時に得られると予測される熱量(カロリー)を算出し、算出したカロリーをゴミブロックごとに付与してもよい。これにより、ユーザは、堆積情報74を確認して、高いカロリーが付与されているゴミブロックがホッパ22に投入されるように、ピット監視装置4およびクレーンPLC14を制御することができる。
なお、3次元座標のピッチは、任意である。例えば、堆積情報74は、ピット21内空間をバケット単位(1~2m角単位)で区画したブロックごとに上述の各種情報を含むように構成されてもよいし、ピット21内空間を数cm角単位で区画したより細かいブロックごとに上述の各種情報を含むように構成されてもよい。
指示部63は、クレーン5に実行させる動作を具体的に指定して、クレーンPLC14に対して、クレーン5の運転制御を指示する。具体的には、指示部63は、掴み動作を実施する位置(X-Y平面上の座標)と、投下動作または投入動作を実施する位置(X-Y平面上の座標)とをクレーンPLC14に送信して、攪拌または搬出を指示する。
指示部63は、攪拌または搬出の指示送出を、操作部43を介してピット監視装置4に入力された、ユーザのクレーン運転指示にしたがって実施してもよいし、焼却炉監視装置7からの投入指示にしたがって実施してもよいし、更新された堆積情報74に基づいて、自身で必要性を判断した上で実施してもよい。さらに、指示部63は、現在のゴミ山の高さに基づいて、バケット53の昇降位置(Z座標)をクレーンPLC14に送信してもよい。
表示制御部64は、記憶部41に格納されている各種データまたは情報を、可視化した画像を生成し、表示部42に表示させる。具体的には、表示制御部64は、搬入データ70、計測データ71、クレーンデータ72、事象情報73および堆積情報74の少なくともいずれか1つを表示部42に表示させることができる。
<各種データの構造>
(搬入データ)
図4は、搬入データ70のデータ構造の一具体例を示す図である。搬入データ70は、例えば、搬入日時、搬入口、搬入量、および、ゴミ種の各項目を含む。データ取得部60は、1台のゴミ収集車Qによる1回の搬入ごとに、搬入データ70を生成する。
「搬入日時」は、ゴミ収集車Qが収集したゴミが、ピット21に搬入された日時を示す情報である。データ取得部60は、係員が、ゴミ受入前測定設備1に設置されている情報処理装置(例えば、ゴミ種登録装置12)に対して入力した日時を、搬入日時として取得してもよい。あるいは、データ取得部60は、重量測定装置11がゴミ重量データを取得、生成または送信した日時、もしくは、ゴミ種登録装置12がゴミ種データを取得、生成または送信した日時を、搬入日時として取得してもよい。あるいは、データ取得部60は、搬入扉24が開閉された日時を、搬入扉24の開閉を制御する情報処理装置(図示せず)から受信し、これを搬入日時として取得してもよい。
「搬入口」は、図3に示す搬入扉24のうち、どの搬入扉24からゴミが搬入されたのかを示す情報である。例えば、各搬入扉24には、IDが付与されており、開閉された搬入扉24のIDを、上述の搬入扉24の開閉を制御する情報処理装置が、ピット監視装置4に送信してもよい。データ取得部60は、受信した搬入扉24のIDを、搬入口として取得する。搬入口(搬入扉24のID)は、ピット監視装置4が、図3に示すピット21のどのエリアにゴミが新たに追加されたのかを推測するために利用される。
「搬入量」は、ピット21に搬入されたゴミの量を示す情報である。例えば、データ取得部60は、重量測定装置11から受信したゴミ重量データを、搬入量として取得する。搬入量は、ゴミの体積を示す情報であっても構わない。
「ゴミ種」は、ピット21に搬入されたゴミのゴミ種を示す情報である。データ取得部60は、ゴミ種登録装置12から受信したゴミ種データを、ゴミ種として取得する。例えば、データ取得部60は、「可燃ゴミ」または「不燃ゴミ」を示す情報を「ゴミ種」の項目に格納する。
(計測データ)
図5の(a)および(b)は、計測データ71のデータ構造の一具体例を示す図である。計測データ71は、ピット21のX-Y平面上のXY座標ごとに、ゴミ山の高さを示す高さ情報が関連付けられているデータ構造を有する。
図5の(a)は、高さ計測装置13から供給される計測データ71の一例を示す。同図に示す3次元グラフは、高さ計測装置13が、XY座標ごとに、レーザ照射によって測定した距離に基づいて、ゴミ山の高さを求め、その高さの値をZ座標にプロットすることにより得られる。
別の実施形態では、計測データ71は、上述の3次元グラフに基づいて、図5の(b)に示す2次元テーブルに変換されてもよい。図5の(b)には、ピット21のX-Y平面を16×5の80マスに区画した場合の例が示されている。各マス目には、マス目に相当するエリアのゴミ山の高さを示す数値(cm)が関連付けられている。計測データ71は、同図の例では、5×16=80マスで構成されているが、高さ計測装置13のスキャン性能(解像度)に応じて、100×320マス、さらに、それ以上のピッチで構成されていてもよい。
計測データ71は、表示制御部64を介して、表示部42に提示されてもよい。図5の(a)に示すように、3次元グラフの表示態様にて提示されてもよいし、図5の(b)に示すように2次元テーブルの表示態様にて提示されてもよい。
本実施形態では、高さ計測装置13は、1分間隔でピット21の上面の走査を行う。したがって、計測データ71は、1分おきに、ピット監視装置4に送信される。データ取得部60は、計測データ71を受信する度に、計測日時を関連付けて、記憶部41に蓄積していく。
(クレーンデータ)
図6は、クレーンデータ72のデータ構造の一具体例を示す図である。計測データ71は、例えば、運転日時、X座標、Y座標、および、バケット重量の各項目を含む。データ取得部60は、クレーンPLC14からこれらの各項目を受信して、クレーンデータ72として格納する。
「運転日時」は、X座標、Y座標、および、バケット重量の各項目がクレーンPLC14によって計測された日時を示す情報である。
「X座標」は、ゴミ受入設備2のX方向におけるバケット53の位置、すなわち、ガーダ51の位置を示す情報である。
「Y座標」は、ゴミ受入設備2のY方向におけるバケット53の位置、すなわち、横行台車52の位置を示す情報である。
「バケット重量」は、バケット53によって掴まれているゴミ重量を示す情報である。
クレーンデータ72が蓄積され、運転日時ごとにバケット53の位置をXY座標にプロットすれば、クレーン5(バケット53)の移動経路を得ることができる。また、バケット53内のゴミ重量の増減に基づいて、クレーン5がいつ、どの位置で、どの量のゴミを掴んだのか(あるいは離したのか)を把握することができる。
クレーンPLC14は、数秒または数分おきに、バケット53の位置(XY座標)およびバケット重量を計測し監視している。クレーンPLC14は、計測した度に(数秒または数分おき)に、1つのクレーンデータ72をピット監視装置4に送信してもよいし、数十分~数時間おきにまとめて複数のクレーンデータ72を送信してもよい。
(事象情報)
図7の(a)および(b)は、事象情報73のデータ構造の一具体例を示す図である。事象情報73は、例えば、図7の(a)に示すとおり、発生日時、判定結果、増加エリア、増加量、減少エリア、および、減少量の各項目を含む。事象判定部61は、最新の計測データ71が記憶部41に格納される度に、該最新の計測データ71と、1つ前に格納された前回の計測データ71とを比較して、事象判定処理を実行する。事象判定処理の結果、何らかの事象(または事象の一部)が発生したと判定した場合には、事象判定部61は、発生したと判定した事象について、事象情報73を生成する。
事象には、1分程度の短期間に発生する短期的事象と、数分程度の期間に発生する中期的事象と、数十分~数時間以上に亘って徐々に発生する長期的事象とがある。例えば、「搬入」および「山崩れ」は、短期的事象であり、たいてい、1回の比較に基づく1回の事象判定処理によって事象を判定することが可能である。「攪拌」および「搬出」は、中期的事象であり、複数回(例えば、2回)の比較に基づく複数回の事象判定処理によって、事象を判定することが可能である。例えば、事象判定部61は、ある時点で、クレーン動作の「掴み」を判定し、その数分後に「投下」を判定すれば、この2回の判定に基づいて、「攪拌」が発生したと判定することができる。また、事象判定部61は、ある時点で、クレーン動作の「掴み」を判定し、その後の「投下」を判定しないまま、数分後に再び「掴み」を判定した場合には、前回判定した「掴み」は、「搬出」のための動作の一部であるとして、「搬出」が発生したと判定することができる。なお、「搬出」について、事象判定部61は、クレーンデータ72を併せて参照することにより、2回目の「掴み」の判定を行うよりも先に「搬出」が発生したと判定することができる。その他長期的事象については、後に詳述するが、多数の計測データ71に基づいて、山の高さの経時的変化を追跡することにより、事象(例えば、ゴミの自重による「沈み込み」)を判定することが可能である。
事象判定部61は、1回の比較に基づく1回の事象判定処理において、判定された1つの事象(またはクレーン動作)ごとに1つの事象情報73を生成する。つまり、「山崩れ」とクレーン動作の「掴み」がほぼ同時に起こった場合には、「山崩れ」についての事象情報73と、「掴み」についての事象情報73との2つの事象情報73を生成する。
「発生日時」は、事象判定部61が判定した事象が発生した日時を示す情報である。事象判定部61は、前回の計測データ71の第1計測日時を、発生日時としてもよいし、最新の計測データ71の第2計測日時を発生日時としてもよいし、第1計測日時と第2計測日時との中間時点を発生日時としてもよいし、第1計測日時から第2計測日時までの期間を発生日時としてもよい。
「判定結果」は、事象判定部61が実行した事象判定処理の結果を示す情報である。項目は、一例として、「事象」および「クレーン動作」の下位項目で構成される。「事象」は、判定した事象を示す情報であり、例えば、「山崩れ」、「搬入」、「攪拌」または「搬出」などの各事象が格納される。「クレーン動作」は、1回の事象判定処理で確定するクレーン5の動作を示す情報であり、例えば、「掴み」または「投下」などの各クレーン動作が格納される。なお、「投入」は、ゴミがホッパ22に投入される動作である。したがって、「投入」によって、ピット21のゴミ山の高さに変動が起きないため、事象判定部61は、計測データ71間の比較のみに基づいて「投入」を判定することはしない。
「増加エリア」は、ピット21における、ゴミの高さが増加した範囲を示す情報である。事象判定部61は、最新の計測データ71と、前回の計測データ71とを比較して、増加エリアを特定する。事象判定部61は、1回の比較で、ピット21内に、複数の増加エリアを特定してもよい。増加エリアは、XY座標の集合を指し示す任意のデータ形式によってその範囲が指定される。
「増加量」は、上述の増加エリアにおける増加したゴミの重量を示す情報である。事象判定部61は、上述の「搬入量」、「バケット重量」、または、ゴミ山の山崩れが起きた部分における山崩れ前の堆積情報74に基づいて、増加量を特定してもよい。
なお、事象判定部61は、判定したクレーン動作が「掴み」である場合、「掴み」の事象情報73においては、「増加エリア」および「増加量」の各項目を空欄(Null値)としてもよい。
「減少エリア」は、ピット21における、ゴミの高さが減少した範囲を示す情報である。事象判定部61は、最新の計測データ71と、前回の計測データ71とを比較して、1または複数の減少エリアを特定する。減少エリアは、XY座標の集合を指し示す任意のデータ形式によってその範囲が指定される。
「減少量」は、上述の減少エリアにおける減少したゴミの重量を示す情報である。事象判定部61は、「バケット重量」、または、ゴミ山の山崩れが起きた部分における山崩れ前の堆積情報74に基づいて、減少量を特定してもよい。
図7の(b)に基づいて、具体例を挙げて説明する。上述のとおり、1回の判定で、事象が確定した場合には、事象判定部61は、判定した短期的事象を、「事象」の下位項目に格納する。例えば、「2017/5/15 11:56」に「搬入」が発生したことを示す事象情報73を生成する。後の項目について記載を省略しているが、事象判定部61は、「搬入」の事象情報73について、「増加エリア」および「増加量」の各項目の値を埋める。なお、「搬入」の事象について、クレーン動作は関連しないので、事象判定部61は、「搬入」の事象情報73においては、「クレーン動作」の項目を空欄(Null値)としてもよい。
2回の判定で、1つの中期的事象が確定する場合には、事象判定部61は、まず、1回目の判定で確定したクレーン動作を、1回目の事象情報73における「クレーン動作」の下位項目に格納する。例えば、「2017/5/15 12:00」に「掴み」が発生したことを示す事象情報73を生成する。「掴み」の事象情報73について、事象判定部61は、さらに、「減少エリア」および「減少量」の各項目の値を埋める。
次に、2回目の判定で確定したクレーン動作を、2回目の事象情報73における「クレーン動作」の下位項目に格納する。例えば、「2017/5/15 12:02」に「投下」が発生したことを示す事象情報73を生成する。さらに、事象判定部61は、「投下」の事象情報73について、「増加エリア」および「増加量」の各項目の値を埋める。
そして、事象判定部61は、「掴み」の後に、「投下」が発生したと判定した場合に、これらをペアリングして、1回の「攪拌」が発生したと判定する。具体的には、事象判定部61は、「掴み」の事象情報73と、その直後の「投下」の事象情報73とをペアリングして、これらの一対の事象情報73に対応付けて、「攪拌」が発生したことを示す判定結果を「事象」の下位項目に格納する。
別の例では、例えば、1回目の判定で確定したクレーン動作について、事象判定部61は、「2017/5/15 12:03」に「掴み」が発生したことを示す事象情報73を生成する。そして、その次の2回目の判定で確定したクレーン動作について、事象判定部61は、「2017/5/15 12:08」に「掴み」が発生したことを示す事象情報73を生成する。
そして、事象判定部61は、前回の「掴み」から、「投下」が発生することなく、新たに「掴み」が発生したと判定した場合に、「12:03」に発生した前回の「掴み」に基づいて、1回の「搬出」が発生したと判定する。具体的には、事象判定部61は、前回の「掴み」の事象情報73に対応付けて、「搬出」が発生したことを示す判定結果を「事象」の下位項目に格納する。
なお、新たに判定された、「12:08」に発生した「掴み」が、「攪拌」のための掴みであるのか、「搬出」のための掴みであるのかは、この時点では、判明しない。したがって、事象判定部61は、今回「掴み」が判定された時点では、該「掴み」の事象情報73において、「事象」の下位項目を空欄にしておく。そして、次回以降に判定されるクレーン動作に基づいて、今回の事象を判定する。
事象判定部61は、「12:08」に発生した「掴み」を判定するよりも前に、「12:03」に発生した「掴み」が「搬出」によるものであるということを判定することができる。例えば、事象判定部61は、12:03~12:08の期間における、クレーンデータ72を参照し、該期間において、バケット53の位置(XY座標)がホッパ22上にあって、その位置で、バケット重量が、掴んだゴミの分だけ減少していれば、「12:03」に発生した「掴み」に基づいて、1回の「搬出」が発生したと判定することができる。
(堆積情報)
図8および図9は、堆積情報74のデータ構造の一具体例を示す図である。堆積情報74は、ピット21の3次元空間上の位置(XYZ座標)ごとに、その位置に属するゴミブロックの属性情報が関連付けられているデータ構造を有する。
例えば、図8に示すとおり、堆積情報74において、ピット21のX-Y平面上のXY座標ごとに、棒グラフがZ方向に1本対応付けられている。Z方向において、棒グラフの下端は、ピット21底面に対応し、棒グラフ上端は、ゴミ山の頂に対応する。すなわち、棒グラフのZ方向の長さは、ゴミ山の高さに対応する。
1本の棒グラフにおいて、Z座標ごとに、その位置(高さ)に属するゴミブロックの属性情報(具体的には、攪拌度合)が関連付けられている。攪拌度合は、ゴミがどれだけクレーン5によって攪拌されたのかを示す情報であり、攪拌度合が高いほど、ゴミ質(ゴミ種の構成割合)が均一化されていることを意味する。
攪拌度合は、例えば、攪拌回数0回を0%と表し、過去の知見等から得られている理想の攪拌回数を100%として、パーセンテージで表される。数値が高いほど、よく攪拌されていることを意味する。堆積情報生成部62は、事象情報73に基づいて事象判定部61によってカウントされた攪拌回数に基づいて、ゴミブロックの攪拌度合を決定することができる。別の例では、攪拌度合は、例えば、攪拌回数0回をレベル1、理想の攪拌回数をレベル5として、数段階のレベルで表されてもよい。レベルが高いほど、よく攪拌されていることを意味する。
棒グラフにおいて、ゴミブロックの高さに相当する棒グラフの部位に、該ゴミブロックの攪拌度合を示す値を割り当てる。該部位は、攪拌度合に応じて視覚的に異なる態様表示されることが好ましい。例えば、攪拌度合に応じて色分けされることが好ましい。
図8に示す例では、X座標が第4列(X4列)で、Y座標が第1行(Ya行)の棒グラフ741によれば、この位置の、下端からおよそ3分の1の高さまでのゴミブロックの攪拌度合がレベル1であり、それより上の残りの3分の2のゴミブロックの攪拌度合がレベル2であることが分かる。
さらに、堆積情報生成部62は、縦横斜めで隣り合う2本の棒グラフ対の間に対しても攪拌度合を1つ決定し、関連付けてもよい。堆積情報生成部62は、2本の棒グラフのうち、XY座標値の小さい棒グラフの上端(すなわち、その位置の山頂のゴミブロック)における攪拌度合を、該棒グラフ対に関連付ける攪拌度合として決定する。例えば、図8に示す例では、棒グラフ741と、棒グラフ741とX座標の値が大きくなる方向で隣り合う棒グラフ742との間の攪拌度合は、座標値の小さい棒グラフ741の上端の攪拌度合が、レベル2であることに基づいて、レベル2と決定される。こうして、隣り合う棒グラフの上端を線でつなぎ、その線を、棒グラフ対に関連付けられた攪拌度合に応じた色で表示することが好ましい。これにより、ユーザは、ピット21内のゴミ山全体の表面の攪拌度合を、直観的に把握することが可能となる。
さらに、堆積情報生成部62は、縦横斜めで隣り合う3本の棒グラフ組に対しても攪拌度合を1つ決定し、関連付けてもよい。例えば、堆積情報生成部62は、3本の棒グラフのうちの1本における上端の攪拌度合に基づいて、棒グラフ組の攪拌度合を決定してもよい。そして、3本の棒グラフの各上端を頂点として形成される直角三角形に対して、棒グラフ組に関連付けられた攪拌度合に応じた色を付して表示することが好ましい。これにより、ユーザは、ピット21内のゴミ山全体の表面の攪拌度合を、より一層直観的に把握することが可能となる。
なお、堆積情報74は、2次元の表示態様にて表示部42に表示されてもよい。図9は、Y座標が第1行(Ya行)の一面についての堆積情報74を示す図である。例えば、図8に示す3次元の堆積情報74が表示部42に表示されているとき、ユーザは、Ya行を選択し、2次元の堆積情報74を表示する指示を操作部43を用いてピット監視装置4に入力する。これにしたがって、堆積情報生成部62は、Ya行の堆積情報74だけを読み出して、図9に示す2次元の堆積情報74を表示部42に表示する。これにより、ユーザは、ピット21内のゴミ山を輪切り状態にして、表面だけでなく下層のゴミブロックの攪拌度合を把握しやすくなる。例えば、同図に示す例では、ゴミ山の上層部分は比較的攪拌が進んでいるが、下層部分は攪拌がほとんど行われていないということが一目で分かる。
図8および図9は、見易さと説明の簡略化の目的から、3次元空間における座標ピッチを粗くして堆積情報74を示している。しかし、堆積情報74の座標ピッチは、図8および図9に示す例に限らず、さらに細かくてもよい。その分、堆積情報生成部62の処理負荷は増えるが、ピット21内のゴミ山の状態をさらにより詳細に正確に把握することが可能となる。
堆積情報生成部62は、事象判定部61によって事象情報73が生成される度に、新しく生成された事象情報73にしたがって、堆積情報74を更新する。具体的には、高さの変動が生じたエリアに対応する棒グラフの高さを変更したり、棒グラフ、棒グラフ対、または、棒グラフ組に対応付けられている攪拌度合を再計算して更新したりする。
<処理フロー>
(事象判定処理)
図10は、事象判定部61が実行する事象判定処理の流れを示すフローチャートである。新しい計測データ71がデータ取得部60によって取得され、記憶部41に格納されると(S101でYES)、事象判定部61は、事象判定処理を開始する。
事象判定部61は、今回格納された最新の計測データ71と、前回格納された1つ前の計測データ71とを記憶部41から読み出す(S102)。事象判定部61は、両者を比較する。ゴミ山の高さに所定値以上の増加または減少が見られる高さ変動エリアが1つ以上存在する場合(S103でYES)、事象判定部61は、高さ変動エリアのそれぞれについて、どのような事象が発生したのかを詳細に判定していく。
例えば、まず、事象判定部61は、ゴミ山の高さが所定値以上減少した減少エリアが1つ以上存在する場合(S104でYES)、その1つに注目して処理を進める(S105)。例えば、図5の(a)に示す計測データ71が、前回の計測データ71であって、図12に示す計測データ71が、今回の計測データ71である場合、両者を比較すると、図12において破線枠で示されるエリアに、ゴミ山の高さが所定値以上減少した減少エリアが認められる。事象判定部61は、この破線枠に示される減少エリアに注目して、何の事象が原因で高さが減少したのかを判定する。
事象判定部61は、記憶部41から、クレーンデータ72を読み出す。そして、前回の計測データ71の第1計測日時から今回の計測データ71の第2計測日時までの時間帯に、注目している減少エリア、および、該減少エリア近隣の場所で、クレーン5が稼動していたという履歴が残されているかどうか判断する(S106)。クレーン5が、前記時間帯および前記場所において稼動していたという履歴が残っていれば(S106でYES)、事象判定部61は、前記減少エリアで起きたゴミ山の高さの減少は、クレーン5の「掴み」動作によるものであると判定する(S107)。
続いて、事象判定部61は、今回の、クレーン動作「掴み」の判定結果より先に、クレーン動作「投下」とペアリングされていない、すなわち、「攪拌」か「搬出」かの判定が保留されている「掴み」が記憶部41に記録されているか否かを判定する(S108)。判定が保留されている「掴み」がある場合(S108でYES)、その前回の「掴み」の判定結果に基づいて、「搬出」が実施されたと判定する(S109)。クレーン5の動作として、「投下」が行われたと判定されることなく、「掴み」が2回連続して行われたと判定されたということは、この2回の「掴み」の間には、ゴミ山の高さに変動を与えない場所で、掴まれたゴミのリリース、すなわち、ホッパ22への「投入」が行われたと考えられるからである。
一方、判定が保留されている「掴み」がない場合(S108でNO)、事象判定部61は、現時点では、今回の「掴み」について、「攪拌」か「搬出」かの判定を保留してもよい(S110)。なお、事象判定部61は、今回の「掴み」が起こった時間帯以降のクレーン5の稼動履歴を参照できたときに、当該稼動履歴に基づいて、今回の「掴み」が「搬出」ためのクレーン5の動作であると判定することができる。具体的には、事象判定部61は、今回の「掴み」が起こった時間帯以降のクレーンデータ72(図6)を参照する。そして、クレーン5の位置を示すX座標およびY座標が、ホッパ22の位置を示すX座標およびY座標に一致または所定範囲内で近似する場合に、事象判定部61は、今回の「掴み」が起こった後、ホッパ22への「投入」が起こったと判断する。以上により、事象判定部61は、今回の「掴み」と「投入」とに基づいて、「搬出」が実施されたと判定することができる。
なお、S104において、減少エリアが1つも存在しない場合には、S105~S108の各処理は省略される。
一方、S106において、クレーン5が、前記時間帯および前記場所において稼動していたという履歴が残っていない場合(S106でNO)、事象判定部61は、S103で確認された増加エリアに注目を移し、該増加エリアについて検証を進める(S111)。クレーン5の稼動と無関係にゴミ山の高さが減少したということは、山崩れが原因である可能性が高い。事象判定部61は、「山崩れ」の判定を確定させるために以下の検証を進める。
事象判定部61は、注目した増加エリアが、S105で注目した減少エリアの周囲に分布しているか否かを判断する(S112)。前記減少エリアを囲うように、前記増加エリアが分布している場合(S112でYES)、事象判定部61は、前記減少エリアで起きたゴミ山の高さの減少と、前記増加エリアで起きたゴミ山の高さの増加とは、ともに、1つの「山崩れ」によるものであると判定する(S113)。
注目する増加エリアが、減少エリアとの位置関係に関してS112の条件を満たさない場合、または、S104において減少エリアが存在しない場合(S112でNO)、事象判定部61は、該増加エリアにおけるゴミの増加は、山崩れによるものではないと判断し、次の検証を進める。ゴミの増加が、山崩れに起因しないのであれば、「搬入」か「投下」である可能性が高い。事象判定部61は、ゴミの増加の原因が「搬入」および「投下」のいずれかを判別するために以下の検証を進める。
事象判定部61は、記憶部41から、搬入データ70を読み出す。そして、注目する増加エリアが、ピット21の受入エリアに属し、かつ、前記第1計測日時から前記第2計測日時までの時間帯に、該増加エリアの最寄りの搬入扉24からゴミが搬入されたという履歴が残されているかどうか判断する(S114)。S114でYESの場合、事象判定部61は、前記増加エリアで起きたゴミ山の高さの増加は、「搬入」によるものであると判定する(S115)。一方、S114でNOの場合、事象判定部61は、前記増加は、「投下」によるものであると判定する(S116)。ここで、記憶部41には、今回の「投下」の判定結果より先に、「掴み」の判定結果が記録されている。この「掴み」の判定結果は、「攪拌」か「搬出」かの判定が保留された状態で記録されている。そこで、事象判定部61は、その前回の「掴み」の判定結果と、今回の「投下」の判定結果とをペアリングし、これらの判定結果に基づいて、「攪拌」が実施されたと判定する(S117)。
事象判定部61は、注目した減少エリアまたは増加エリアについて、S107、S113、S115、または、S116で行った判定結果を紐付けた事象情報73を生成し、記憶部41に格納する(S118)。ここで、さらに、事象判定部61は、S109で行った判定結果に基づいて、記憶部41に格納されている事象情報73を更新する。
S103において、複数の減少エリアまたは増加エリアの存在が確認されている場合、事象判定部61は、S118の後、S104に戻って、次の減少エリアまたは増加エリアに注目を移し、S104~S118の各処理を繰り返し実行する。これにより、ピット監視装置4は、ほぼ同時に複数の事象が発生した場合でも、そのそれぞれを判定し、事象情報73として記録しておくことが可能となる。
なお、所定値以上のゴミ山の高さ変動がピット21内のどこにも見られない場合には(S103でNO)、事象判定部61は、事象は発生しなかったと判定し(S119)、事象情報73を生成せずに一連の処理を終了してもよい。そして、次の計測データ71を待機する状態に遷移する。
(堆積情報生成処理)
図11は、堆積情報生成部62が実行する堆積情報生成処理の流れを示すフローチャートである。新しい事象情報73が事象判定部61によって生成され、記憶部41に格納されると(S201でYES)、堆積情報生成部62は、堆積情報生成処理を開始する。
なお、本実施形態では、堆積情報74において、ゴミブロックは、ゴミブロックに相当する棒グラフで表現されている。そのため、以下のフローチャートの説明において、堆積情報生成部62がゴミブロックを処理する(移動させる、削り取る、追加するなど)と言うときには、具体的には、堆積情報生成部62が、該ゴミブロックに相当する棒グラフの部位を処理することを意味する。
事象情報73の判定結果が「山崩れ」を示している場合(S202でYES)、堆積情報生成部62は、堆積情報74を更新する。具体的には、減少エリア上部のゴミブロックを、増加エリアの上部に移動させる(S203)。堆積情報生成部62は、減少エリアおよび増加エリアを、事象情報73において指定されている座標に基づいて特定することができる。堆積情報生成部62は、事象情報73に含まれている発生日時と同じ(近い)計測日時の計測データ71を読み出し、移動後の各エリアのゴミ山の高さを特定することができる。また、堆積情報生成部62は、移動させるゴミブロックの量を、事象情報73に含まれている増加量および減少量に基づいて決定することができる。さらに、堆積情報生成部62は、移動させたゴミブロックの移動前の属性情報と、移動先のエリアのゴミブロックの属性情報とに基づいて、移動後のゴミブロックの属性情報を更新する。例えば、ゴミ種、ゴミ種ごとの構成割合などを更新する(S204)。なお、「山崩れ」も、クレーン5による「攪拌」と同様に、ゴミを移動させることにより、ゴミ質を均一化するのに貢献していると考えられる。そこで、堆積情報生成部62は、「山崩れ」に基づいて移動させたゴミブロックの攪拌回数、攪拌度合、燃焼度およびカロリーを更新してもよい。以上により、堆積情報74において、「高いゴミ山から低いエリアへゴミ山の崩れが起きた」という事象を把握し、このときのゴミの状態を正確に再現できる。
事象情報73の判定結果が「搬入」を示している場合(S205でYES)、堆積情報生成部62は、増加エリアの上部にゴミブロックを新規に追加する(S206)。追加するゴミブロックの量は、事象情報73の増加量、または、事象情報73が示す発生日時と近い搬入日時の搬入データ70に基づいて特定される。追加するゴミブロックの属性情報について、ゴミ種、ゴミ種ごとの構成割合、燃焼度およびカロリーは、搬入データ70に基づいて特定される。攪拌度合または攪拌回数は、搬入直後であるので当然ながら、初期値(例えば、0%、0回など)が設定される。以上により、堆積情報74において、「新しいゴミが搬入扉24の位置からピット21に搬入された」という事象を把握し、このときのゴミの状態を正確に再現できる。
事象情報73の判定結果が「掴み」を示している場合(S207でYES)、堆積情報生成部62は、今回の事象情報73よりも前に生成された、判定結果が「掴み」である事象情報73について、「搬出」が判定されたか否かを判断する(S208)。事象判定部61が「搬出」を判定しなかった場合(S208でNO)、前回の事象情報73に基づいて堆積情報74を更新することは不要であるので、堆積情報生成部62は、S209に進む。具体的には、今回の事象情報73に基づく減少エリア上部のゴミブロックを削り取り、削り取ったゴミブロックおよび該ゴミブロックの属性情報をキャッシュに退避させる(S209)。この時点では、今回の「掴み」が「攪拌」のためのものか「搬出」のためのものか確定しないため、削り取ったゴミブロックの移動先が確定しないためである。
一方、事象判定部61が「搬出」を判定した場合(S208でYES)、前の「掴み」に基づいて退避させていたゴミブロックは、ピット21内に戻さずに、キャッシュから削除する(S210)。これにより、堆積情報74において、「掴まれたゴミがホッパ22に投入された」という事象を把握し、このときのゴミの状態を正確に再現できる。
事象情報73の判定結果が「投下」を示している場合(S211でYES)、堆積情報生成部62は、判定結果が「掴み」である前回の事象情報73に基づいてキャッシュに退避させていたゴミブロックを、増加エリアに移動させる(S212)。
なお、クレーン5による「投下」の動作は、高さ計測装置13がピット21の上面をスキャンして高さを計測する時間間隔(例えば、1分)よりも長い時間をかけて継続されることも想定される。すなわち、1回の「掴み」が判定された後(図10のS107)に、「投下」が連続して複数回判定される(図10のS116)ことが想定される。そこで、堆積情報生成部62は、S212にてゴミブロックを増加エリアに移動させた後も、前記キャッシュに退避させていたゴミブロックを、当該キャッシュに保持しておくことが好ましい。堆積情報生成部62は、次回「掴み」の動作が事象判定部61によって判定されたタイミングで、保持しておいたゴミブロックをキャッシュから削除してもよい。次に「掴み」の動作が起こるということは、上述の「投下」はすでに完了していると考えられるからである。
さらに、堆積情報生成部62は、移動させたゴミブロックの移動前の属性情報と、移動先のエリアのゴミブロックの属性情報とに基づいて、移動後のゴミブロックの属性情報を更新する(S213)。例えば、ゴミ種、ゴミ種ごとの構成割合などを更新する。また、今回の判定結果が「投下」であるということは、「攪拌」が1回実施されたことを意味するので、堆積情報生成部62は、移動後のゴミブロックの攪拌度合または攪拌回数を更新する。これにより、堆積情報74において、「掴まれたゴミがピット21内の別の場所に投下され、攪拌された」という事象を把握し、このときのゴミの状態を正確に再現できる。
〔変形例〕
事象判定部61は、長期的事象として、ゴミの自重によるゴミ山の「沈み込み」を判定してもよい。事象判定部61は、計測データ71が生成されるごとに比較および事象判定処理を実行することに加えて、長期期間分(例えば、1時間分)の計測データ71が、記憶部41に複数蓄積されたときに、長期的事象を判定するための事象判定処理を実行してもよい。
例えば、1分おきの計測データ71の比較では、所定値以上のゴミ山の高さの減少が見られなくとも、1時間後の計測データ71との比較において、所定値以上のゴミ山の高さの減少が見られる場合がある。このような場合、かつ、上述の1時間の間にその他の短期的または中期的事象が発生していない場合に、事象判定部61は、この1時間で「沈み込み」が発生したと判定することができる。
堆積情報生成部62は、沈み込みが発生したと判定されたエリアについて、堆積情報74を更新する。具体的には、該エリアの棒グラフを、計測データ71のゴミ山の高さに基づいて低くなるように棒グラフ全体を圧縮する。以上により、堆積情報74において、「ゴミの自重によるゴミ山の沈み込み」という事象を正確に再現できる。
ゴミ焼却施設100のゴミ受入設備2において、クレーン5は、複数台設置されてもよい。この場合、事象判定部61は、「掴み」の動作、「攪拌」における「投下」の動作、および、「搬出」における「投入」の動作を、設置されたクレーン5ごとに判定してもよい。また、堆積情報生成部62は、堆積情報74を生成するためにキャッシュするゴミブロックおよびその属性情報を、クレーン5ごとにキャッシュしてもよい。これにより、クレーン5ごとに稼働率などを分析することができ、分析結果を、効率的なクレーン5の稼動制御を実現するために役立てることができる。
堆積情報生成部62は、「搬出」の判定結果に基づいて、ピット21外に搬出された、すなわち、ホッパ22に投入されたゴミブロックおよびその属性情報をキャッシュから削除する(図11のS210)構成である。しかし、この構成に限定されない。堆積情報生成部62は、キャッシュから削除した、ホッパ22に投入されたゴミブロックおよびその属性情報を、搬出データとして、記憶部41に不揮発的に格納する構成であってもよい。搬出データは、例えば、ホッパ22に投入されたときの日時を示す「投入日時」、どのホッパ22に投入されたのかを示す「投入先」、投入されたゴミブロックの量(重さまたは体積)を示す「投入量」、および、該ゴミブロックに設定された「属性情報」の各項目を含んでいる。属性情報は、上述したとおり、ゴミブロックの、ゴミ種、ゴミ種ごとの構成割合、攪拌度合、攪拌回数、燃焼度、および、カロリーなどである。
前記の構成によれば、ホッパ22に投入されたゴミのデータが記憶部41に蓄積されるので、ゴミ焼却炉3における燃焼と、投入されたゴミとの相関関係を得ることができる。この相関関係を分析することにより、どのようなゴミ種を含有するゴミブロック(またはどのような構成割合のゴミブロック)をどのようなタイミングで投入すればよいのかを判断することが可能となる。結果として、搬出データに基づいて、安定燃焼ためのゴミ焼却施設100の制御を実現することが可能となる。
高さ計測装置13としては、レーザセンサを搭載した3次元スキャナの他に、複数のカメラの視差から高さを計測する装置が採用されてもよいし、ステレオカメラを用いて高さを計測する装置が採用されてもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
ピット監視装置4の制御ブロック(特に、データ取得部60、事象判定部61、堆積情報生成部62、指示部63、および、表示制御部64)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、ピット監視装置4は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、前記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ピット内に堆積されるゴミを監視する情報処理装置であって、高さ計測装置によって計測の度に生成される、前記ゴミの高さを示す計測データを、複数取得するデータ取得部と、先の計測の結果生成された第1の計測データと、その後の計測の結果生成された第2の計測データとを比較することにより、ピット内で発生した事象を判定する事象判定部と、判定された事象に基づいて、前記ピット内に堆積されたゴミの状態を示す堆積情報を生成する堆積情報生成部と、を備えている構成である。
前記の構成によれば、事象判定部は、先の計測によって得られた計測データと、後の計測によって得られた計測データとの間の変化に基づいて、それぞれの計測が行われた間の時間帯においてピット内で発生した事象を判定することができる。そして、判定された事象に応じて、堆積情報生成部は、ピット内に堆積されたゴミの状態を示す堆積情報を生成することができる。これにより、計測データが得られるごとに、ピット内で発生した事象を把握するとともに、事象が発生した結果、ゴミの状態がどのように変化したのかを堆積情報において正確に再現することができる。
前記情報処理装置において、前記データ取得部は、前記ピット内で前記事象が発生する間隔よりも短い間隔で前記計測データを取得し、前記事象判定部は、前記計測データが取得される度に、取得された最新の前記第2の計測データと、1つ前に取得された前記第1の計測データとを比較して、前記事象を判定し、前記堆積情報生成部は、前記事象が判定される度に、前記堆積情報を更新することが好ましい。これにより、ピット内で発生する事象を見逃すことなく逐一把握することが可能となり、ゴミの状態を堆積情報においてより一層正確に再現することができる。
前記高さ計測装置は、前記ピット内に堆積されているゴミ全体の表面形状を計測する3次元計測装置であって、前記情報処理装置において、前記事象判定部は、前記ゴミの形状を示す3次元計測データとしての、前記第1の計測データと前記第2の計測データとを比較し、Z座標値で示されるゴミの高さが所定値以上変動したXY座標値の集合を、前記ピットにおける高さ変動エリアとして特定し、特定した高さ変動エリアごとに、発生した事象を判定してもよい。
前記構成によれば、ゴミ全体の表面形状を細部に亘って把握することができ、小規模で起きた事象についても見逃すことなく正確に把握することが可能となる。また、同時間帯に複数のエリアで何らかの事象が発生しても、エリアごとに個別に発生した事象を把握することが可能となる。
前記情報処理装置において、前記データ取得部は、前記ピット内でゴミを運搬するクレーンの動作履歴を示すクレーンデータと、前記ピット内に搬入されるゴミの搬入履歴を示す搬入データとを取得し、前記事象判定部は、前記高さ変動エリアのうち、ゴミの高さが減少した減少エリアと、該減少エリアの周囲にゴミの高さが増加した増加エリアとが特定され、かつ、前記第1の計測データが計測された第1計測日時から前記第2の計測データが計測された第2計測日時までの第1計測時間帯において、該高さ変動エリアで前記クレーンが稼働した履歴が前記クレーンデータになく、かつ、前記第1計測時間帯において、該高さ変動エリアでゴミが搬入された履歴が前記搬入データにない場合に、前記第1計測時間帯に、該高さ変動エリアにおいて、人為的な介入なしにゴミが高い位置から低い位置へと移動することを意味する山崩れの事象が発生したと判定してもよい。
前記構成によれば、従来、クレーンの稼動またはゴミ収集車からの搬入などの人為的な介入がないために、ゴミの最新の状態を取得できずにいたエリアも含めて、ピット内のすべてのエリアにおいて、自然に発生するゴミの移動も含めて、ゴミの移動に係るすべての事象を把握することができる。結果として、ピット内全体のゴミの状態をより一層正確に把握することができる。
前記情報処理装置において、前記事象判定部は、前記第1の計測データと前記第2の計測データとの比較によって前記減少エリアが特定され、かつ、前記第1計測時間帯において、該減少エリアで前記クレーンが稼働した履歴が前記クレーンデータにある場合に、該減少エリアで、前記クレーンがゴミを掴んだというクレーン動作を判定し、前記第2の計測データと、該第2の計測データよりも後に生成された第3の計測データとの比較によって前記増加エリアが特定され、かつ、前記第2計測日時から前記第3の計測データが計測された第3計測日時までの第2計測時間帯において、該増加エリアで前記クレーンが稼働した履歴が前記クレーンデータにある場合に、該増加エリアに、前記クレーンが掴んだゴミを投下したというクレーン動作を判定し、2つの前記クレーン動作に基づいて、攪拌の事象が1回発生したと判定してもよい。これにより、ピット内のすべてのエリアにおいて、人為的に発生するゴミの移動も含めて、ゴミの移動に係るすべての事象を把握することができる。結果として、ピット内全体のゴミの状態をより一層正確に把握することができる。
前記情報処理装置において、前記堆積情報生成部は、ピット内の平面上の位置を示すXY座標ごとにゴミの高さを示すZ座標値をプロットするとともに、ピット内の空間上の位置を示すXYZ座標ごとに、該座標に相当する位置にあるゴミブロックの攪拌度合を関連付けることにより、前記堆積情報を生成し、前記山崩れおよび前記攪拌の少なくともいずれか一方の事象が判定された場合に、前記堆積情報における、前記減少エリアのゴミブロックを前記増加エリアに移動させるとともに、移動後のゴミブロックの攪拌度合を更新することが好ましい。
自然に発生するゴミの移動も、人為的に発生するゴミの移動も含めて、ゴミの移動に係るすべての事象を把握し、事象の発生に応じて、ゴミブロックの攪拌度合を更新することができる。結果として、ピット内全体のゴミの攪拌状態をより一層正確に把握することができ、安定燃焼の実現に貢献することができる。
本発明の一態様に係る情報処理方法は、ピット内に堆積されるゴミを監視する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、高さ計測装置によって計測の度に生成される、前記ゴミの高さを示す計測データを、複数取得するデータ取得ステップと、先の計測の結果生成された第1の計測データと、その後の計測の結果生成された第2の計測データとを比較することにより、ピット内で発生した事象を判定する事象判定ステップと、判定された事象に基づいて、前記ピット内に堆積されたゴミの状態を示す堆積情報を生成する堆積情報生成ステップと、を含む。この情報処理方法によれば、前記情報処理装置と同様の作用効果を奏する。
上述の情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理装置をコンピュータにて実現させる情報処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ピット内に堆積されるゴミを監視する情報処理装置であって、高さ計測装置によって計測の度に生成される、前記ゴミの高さを示す計測データを、複数取得するデータ取得部と、先の計測の結果生成された第1の計測データと、その後の計測の結果生成された第2の計測データとを比較することにより、ピット内で発生した事象を判定する事象判定部と、判定された事象に基づいて、前記ピット内に堆積されたゴミの状態を示す堆積情報を生成する堆積情報生成部と、を備え、前記高さ計測装置は、前記ピット内に堆積されているゴミの表面形状を計測する3次元計測装置であって、前記事象判定部は、前記ゴミの形状を示す3次元計測データとしての、前記第1の計測データと前記第2の計測データとを比較し、Z座標値で示されるゴミの高さが所定値以上変動したXY座標値の集合を、前記ピットにおける高さ変動エリアとして特定し、特定した高さ変動エリアごとに、発生した事象を判定する。
前記情報処理装置において、前記データ取得部は、前記ピット内で前記事象が発生する間隔よりも短い間隔で前記計測データを取得し、前記事象判定部は、前記計測データが取得される度に、取得された最新の前記第2の計測データと、1つ前に取得された前記第1の計測データとを比較して、前記事象を判定し、前記堆積情報生成部は、前記事象が判定される度に、前記堆積情報を更新してもよい。
前記情報処理装置において、前記データ取得部は、前記ピット内でゴミを運搬するクレーンの動作履歴を示すクレーンデータと、前記ピット内に搬入されるゴミの搬入履歴を示す搬入データとを取得し、前記事象判定部は、前記高さ変動エリアのうち、ゴミの高さが減少した減少エリアと、該減少エリアの周囲にゴミの高さが増加した増加エリアとが特定され、かつ、前記第1の計測データが計測された第1計測日時から前記第2の計測データが計測された第2計測日時までの第1計測時間帯において、該高さ変動エリアで前記クレーンが稼働した履歴が前記クレーンデータになく、かつ、前記第1計測時間帯において、該高さ変動エリアでゴミが搬入された履歴が前記搬入データにない場合に、前記第1計測時間帯に、該高さ変動エリアにおいて、人為的な介入なしにゴミが高い位置から低い位置へと移動することを意味する山崩れの事象が発生したと判定してもよい。
前記情報処理装置において、前記事象判定部は、前記第1の計測データと前記第2の計測データとの比較によって前記減少エリアが特定され、かつ、前記第1計測時間帯において、該減少エリアで前記クレーンが稼働した履歴が前記クレーンデータにある場合に、該減少エリアで、前記クレーンがゴミを掴んだというクレーン動作を判定し、前記第2の計測データと、該第2の計測データよりも後に生成された第3の計測データとの比較によって前記増加エリアが特定され、かつ、前記第2計測日時から前記第3の計測データが計測された第3計測日時までの第2計測時間帯において、該増加エリアで前記クレーンが稼働した履歴が前記クレーンデータにある場合に、該増加エリアに、前記クレーンが掴んだゴミを投下したというクレーン動作を判定し、2つの前記クレーン動作に基づいて、攪拌の事象が発生したと判定してもよい。
前記情報処理装置において、前記堆積情報生成部は、ピット内の平面上の位置を示すXY座標ごとにゴミの高さを示すZ座標値をプロットするとともに、ピット内の空間上の位置を示すXYZ座標ごとに、該座標に相当する位置にあるゴミブロックの攪拌度合を関連付けることにより、前記堆積情報を生成し、前記山崩れおよび前記攪拌の少なくともいずれか一方の事象が判定された場合に、前記堆積情報における、前記減少エリアのゴミブロックを前記増加エリアに移動させるとともに、移動後のゴミブロックの攪拌度合を更新してもよい。
本発明の一態様に係る情報処理方法は、ピット内に堆積されるゴミを監視する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、高さ計測装置によって計測の度に生成される、前記ゴミの高さを示す計測データを、複数取得するデータ取得ステップと、先の計測の結果生成された第1の計測データと、その後の計測の結果生成された第2の計測データとを比較することにより、ピット内で発生した事象を判定する事象判定ステップと、判定された事象に基づいて、前記ピット内に堆積されたゴミの状態を示す堆積情報を生成する堆積情報生成ステップと、を含み、前記高さ計測装置は、前記ピット内に堆積されているゴミの表面形状を計測する3次元計測装置であって、前記事象判定ステップでは、前記ゴミの形状を示す3次元計測データとしての、前記第1の計測データと前記第2の計測データとを比較し、Z座標値で示されるゴミの高さが所定値以上変動したXY座標値の集合を、前記ピットにおける高さ変動エリアとして特定し、特定した高さ変動エリアごとに、発生した事象を判定する。
本発明の一態様に係る制御プログラムは、前記情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記データ取得部、前記事象判定部および前記堆積情報生成部としてコンピュータを機能させるための制御プログラムである。
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ピット内に堆積されるゴミを監視する情報処理装置であって、高さ計測装置によって、所定時間間隔で実施される計測の度に生成される、前記ゴミの高さを示す計測データを、複数取得するデータ取得部と、先の計測の結果生成された第1の計測データと、前記先の計測の時点から前記所定時間経過後の計測の結果生成された第2の計測データとの比較を実行することにより、ピット内で発生した事象を判定する事象判定部と、を備え、前記事象判定部は、1回の前記比較の結果に基づいて判定できなかった前記事象を、2回の前記比較の結果に基づいて判定する。
前記情報処理装置において、前記データ取得部は、前記所定時間間隔として、前記ピット内で前記事象が発生する間隔よりも短い間隔で前記計測データを取得してもよい。
前記情報処理装置において、前記高さ計測装置は、前記ピット内に堆積されているゴミの表面形状を計測する3次元計測装置であって、前記事象判定部は、前記ゴミの形状を示す3次元計測データとしての、前記第1の計測データと前記第2の計測データとを比較し、Z座標値で示されるゴミの高さが所定値以上変動したXY座標値の集合を、前記ピットにおける高さ変動エリアとして特定し、特定した高さ変動エリアごとに、発生した事象を判定してもよい。
前記情報処理装置において、前記事象判定部は、前記ピット内でゴミを運搬するクレーンの動作履歴を示すクレーンデータ、および、前記ピット内にゴミが搬入された履歴を示す搬入データの少なくともいずれか1つと、前記比較の結果とに基づいて、前記事象または前記クレーンの動作を判定してもよい。
前記情報処理装置において、前記事象判定部は、1回の前記比較の結果から特定された、ゴミの高さが所定値以上減少した減少エリアにおいて、前記クレーンが動作していたことを示す前記クレーンデータが無い場合に、該減少エリアにおいて、ゴミが高い位置から低い位置へと移動する事象が発生したと判定してもよい。
前記情報処理装置において、前記事象判定部は、1回目の前記比較の結果と前記クレーンデータとに基づいて、前記クレーンによる前記ピット内のゴミを掴む掴み動作があったことを判定し、2回目の前記比較の結果と前記搬入データとに基づいて、前記クレーンによる掴んだゴミを前記ピット内に投下する投下動作があったことを判定した場合に、前記ピット内でゴミが攪拌される攪拌の事象が発生したと判定してもよい。
前記情報処理装置において、前記事象判定部は、1回目の前記比較の結果と前記クレーンデータとに基づいて、前記クレーンによる前記ピット内のゴミを掴む第1の掴み動作があったことを判定し、2回目の前記比較の結果と前記クレーンデータとに基づいて、前記クレーンによる第2の掴み動作があったことを判定した場合に、前記ピット外へゴミが搬出される搬出の事象が発生したと判定してもよい。
前記情報処理装置において、前記事象判定部は、前記所定時間が3つ以上連続した期間である長期期間に亘って前記データ取得部によって前記所定時間おきに取得された複数の計測データのうち、最先の前記計測データと、最後の前記計測データとを比較する比較処理をさらに実行し、前記比較処理の結果、所定値以上の前記ゴミの高さの減少が見られる場合、かつ、前記長期期間において、前記1回の比較および前記2回の比較の結果に基づいて前記事象が判定されなかった場合に、ゴミの自重によるゴミ山の沈み込みの事象が発生したと判定してもよい。
前記情報処理装置は、判定された事象に基づいて、前記ピット内に堆積されたゴミの状態を示す堆積情報を生成する堆積情報生成部を備えていてもよい。
本発明の一態様に係る情報処理方法は、ピット内に堆積されるゴミを監視する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、高さ計測装置によって、所定時間間隔で実施される計測の度に生成される、前記ゴミの高さを示す計測データを、複数取得するデータ取得ステップと、先の計測の結果生成された第1の計測データと、前記先の計測の時点から前記所定時間経過後の計測の結果生成された第2の計測データとの比較を実行することにより、ピット内で発生した事象を判定する事象判定ステップと、を含み、前記事象判定ステップでは、1回の前記比較の結果に基づいて判定できなかった前記事象を、2回の前記比較の結果に基づいて判定する。
本発明の一態様に係る制御プログラムは、前記情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記データ取得部および前記事象判定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラムである。