JP7025121B2 - 炭酸アルコール飲料及びその製造方法 - Google Patents
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そこで、本発明の課題は、低糖質であっても、酒感が増強された炭酸アルコール飲料及びその製造方法を提供することにある。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕4-イソプロペニルトルエンを含有する、炭酸アルコール飲料。
〔2〕4-イソプロペニルトルエンの含有量が、0.1~10000ppbである、前記〔1〕に記載の炭酸アルコール飲料。
〔3〕糖質の含有量が2.0g/100mL以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の炭酸アルコール飲料。
〔4〕アルコール濃度が5v/v%以上である、前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
〔5〕甘味値が2以下である、前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
〔6〕エキス分が2%以下である、前記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
〔7〕ガスボリュームが、2.0以上、4.0以下である、前記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
〔8〕アルコール源として蒸留酒を含有する、前記〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
〔9〕アルコール含有液を調製する工程と、
前記アルコール含有液に、4-イソプロペニルトルエンを添加する工程を含む、
炭酸アルコール飲料の製造方法。
〔10〕4-イソプロペニルトルエンの添加量が0.1~10000ppbである、前記〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕更に、
糖質の含有量を2.0g/100mL以下に調整する工程と、
前記アルコール含有液のアルコール濃度を5v/v%以上に調整する工程と、
前記アルコール含有液の甘味値を2以下に調整する工程とを含む、前記〔9〕又は〔10〕に記載の製造方法。
〔12〕更に、
前記アルコール含有液のエキス分を2%以下に調整する工程を含む、前記〔9〕から〔11〕のいずれかに記載の製造方法。
〔13〕前記アルコール含有液を調製する工程は、蒸留酒を使用して前記アルコール含有液を調製する工程を含む、前記〔9〕から〔12〕のいずれかに記載の製造方法。
〔14〕アルコール含有液に4-イソプロペニルトルエンを添加することによる、炭酸アルコール飲料に酒感を付与する、又は増強する方法。
本実施態様に係る飲料は、アルコール源であるベース酒に、水等を加えてアルコール度数を調整した飲料である。ベース酒としては、蒸留酒が好ましく用いられる。蒸留酒としては、原料用アルコール、ジン、ウィスキー、ブランデー、焼酎、スピリッツ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、原料用アルコールが好ましく用いられる。
原料用アルコールとしては、好ましくは、廃糖蜜を発酵させて高度(例えばアルコール度数が90v/v%以上)に精製したものが用いられる。原料用アルコールは、安価であることから、製造コストを低減できる。また、原料用アルコールは、他のベース酒として香気成分の含有量が少ないため、すっきりとした味わいの飲料を得やすくなる。
4-イソプロペニルトルエンは、例えば4-イソプロペニルトルエンを含有するペッパー、パセリ、アニスの抽出物等を原料として配合したり、香料として添加すること等で飲料中に含有させることができる。
飲料中における4-イソプロペニルトルエンの含有量は、酒感を付与する観点から、好ましくは0.1ppb以上、より好ましくは1.0ppb以上、更に好ましくは10ppb以上である。また、4-イソプロペニルトルエンの含有量が多すぎる場合には、異臭が発生する場合がある。異臭が発生しにくいという点で、4-イソプロペニルトルエンの含有量は、好ましくは、10000ppp以下、より好ましくは8000ppb以下、更に好ましくは5000ppb以下、最も好ましくは3000ppb以下である。更に、4-イソプロペニルトルエンの含有量は、飲料の炭酸感にも関与する。炭酸感の観点から、4-イソプロペニルトルエンの含有量は、好ましくは0.1~1000ppb、より好ましくは1.0~500ppbである。
本実施態様に係る飲料は、炭酸飲料である。飲料の炭酸ガス圧は、好ましくは2.0~4.0ガスボリューム、より好ましくは2.5~3.3ガスボリュームである。炭酸ガス圧を上記の範囲内とすることは、酒らしい飲みごたえ、後味のすっきり感、雑味の少なさ、及び不快臭の少なさ等の観点から、好ましい。
本実施態様の飲料は、糖質量は限定しないが、好ましくは2.0g/100mL以下、より好ましくは0.5g/mL以下である。糖質の含有量が多すぎる場合には、4-イソプロペニルトルエンを添加することによる酒感増強効果がさほど見られないのに対し、糖質含有量が2.0g/100mL以下である飲料においては、4-イソプロペニルトルエン添加による酒感の増強効果が顕著に得られる。
尚、糖質とは、食物繊維ではない炭水化物をいう。糖質は、栄養表示基準(一部改正 平成21年 消費者庁告示第9号)の別表第2に記載の方法(当該食品の重量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除して算定する)に従って算出できる。尚、本実施態様は、アルコール飲料であるので、アルコール重量も控除して算出する。
本実施態様に係る飲料は、甘味値が2以下であることが好ましい。甘味値とは、飲料の甘さの強さを示すパラメータであり、飲料中に含まれる甘味料の含有量を、甘味の観点からショ糖に換算して求めたパラメータである。具体的には、飲料に含まれる各甘味料について、その濃度(g/100ml)に、当該甘味料の「甘味度」を乗じることにより、ショ糖に換算した時の各甘味料の含有量(g/100ml)が求められる。そして、飲料に含まれる全甘味料についてのショ糖換算含有量の合計値(g/100ml)が、飲料の「甘味値」として求められる。
尚、「甘味度」とは、ショ糖と比較した時の各甘味料の甘味の強さを示すパラメータであり、本発明においては、「甘味度」として、「飲料用語事典、平成11年6月25日発行、株式会社ビバリッジジャパン社、資11」の値を採用する。尚、甘味度の値に幅がある場合には、その中央値を採用する。
例えば、代表的な甘味料の甘味度は、以下の通りである。
ブドウ糖(甘味度0.65)
果糖(甘味度1.5)
スクラロース(甘味度600)
アセスルファムカリウム(甘味度200)
アスパルテーム(甘味度200)
甘味値は、好ましくは2以下、より好ましくは0.5以下、最も好ましくはゼロである。
但し、好ましくは、高甘味度甘味料を含有しないことが好ましく、甘味料無添加であることがより好ましい。
尚、本発明において、高甘味度甘味料とは、ショ糖に比べて10倍以上の甘味度を有する甘味料を言う。高甘味度甘味料としては、例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、及びステビア甘味料などが挙げられる。
飲料は、エキス分が2%以下であることが好ましい。エキス分を2%以下とすることにより、食事との相性をよくすることができる。一方、一般的に、エキス分が低い炭酸飲料は、酒感が得られにくい。しかしながら、本実施態様によれば、4-イソプロペニルトルエンを用いることにより酒感を付与することができる。すなわち、本実施態様の飲料によれば、食事との相性が良くなるようにエキス分が抑えられているのにも関わらず、ユーザは酒感を楽しむことができる。エキス分は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
尚、エキス分とは、飲料中に含まれる不揮発性固形分の含有量を示す数値である。エキス分は、温度15度のときにおいて原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいう。エキス分の測定は、第四回改正国税庁所定分析法注解(平成5年2月20日、第四回改正版、財団法人日本醸造協会発行)を用いて行うことができる。
飲料のアルコール度数は、5v/v%以上であることが好ましく、より好ましくは7v/v%以上、更に好ましくは8v/v%以上である。また、アルコール度数は、好ましくは15v/v%以下、より好ましくは13v/v%以下、更に好ましくは11v/v%以下である。アルコール度数を5v/v%以上とすることにより、お酒らしい飲みごたえを付与することができる。また、不快臭及び雑味を減らすことができ、更に、後味をすっきりとさせることができる。
飲料には、酸味料が含まれていてもよい。酸味料の具体例としては、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム及びリン酸が挙げられる。これらは、カリウム塩やナトリウム塩といった塩の形態で用いることも可能であるし、緩衝液の形態で用いることも可能である。好ましくは、酸味料として、クエン酸及び/又はクエン酸ナトリウムが挙げられる。
また、飲料の酸度は、例えば、0.01~2.0(g/100mL)、好ましくは、0.03~1.0(g/100mL)、より好ましくは0.05~0.5(g/100mL)である。尚、酸度は、クエン酸換算した酸度を示し、国税庁所定分析法 (平19国税庁訓令第6号)の8頁、総酸(遊離酸)にて定められた酸度の測定方法に基づいて算出される。
詳細には、酸度は、以下の方法により測定できる。
試料1~50mlを正確に量りとり、水で適宜希釈する。これを、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pHメーターで8.2を終点とし、下記の式により算出する。
(数式1):酸度(%)=A×f×100/W×0.0064(クエン酸酸度の場合)
A:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液による滴定量(ml)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の力価
W:試料重量(g)
なお、数式1中、「0.0064」は、「0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mlに相当する無水クエン酸の重量(g)」である。
飲料には、香料が含まれていてもよい。香料としては、例えばレモンフレーバーなどが用いられる。香料の含有量は、例えば、0.1~5.0(g/L)、好ましくは0.3~2.0(g/L)である。
飲料は、低果汁又は無果汁飲料であることが好ましい。一般的に、果汁含有量が少ない飲料は、食事との相性が良くなるものの、酒感が得られにくい。しかしながら、本実施態様によれば、4-イソプロペニルトルエンを用いることにより酒感を付与することができる。すなわち、本実施態様の飲料によれば、食事との相性が良くなるように、低果汁又は無果汁とした場合であっても、ユーザは酒感を楽しむことができる。好ましくは、飲料中の果汁の含有量は、5w/v%以下、より好ましくは3w/v%以下であり、更に好ましくは1w/v%以下であり、最も好ましくはゼロ(無果汁)である。
続いて、本実施態様に係る飲料の製造方法の一例を説明する。まず、アルコール含有液として、蒸留酒等のベース酒を用意し、必要に応じて飲用水等を加え、アルコール度数を調整する。次いで、所定の量で、4-イソプロペニルトルエン、及び必要に応じてその他の添加剤(酸味料、甘味料、香料、等)をアルコール含有液に添加する。次いで、アルコール含有液に、カーボネーションにより炭酸ガスを添加する。その後、容器に充填することにより、炭酸アルコール飲料を得ることができる。
飲料中の4-イソプロペニルトルエンの含有量は、例えば、以下の方法により分析することができる。
1mlの試料に、200μLの内部標準(10ppm リナロール-d5)を添加し、その後、超純水で50倍に希釈する。希釈した試料の香気成分を、Twisterに吸着(40℃、2時間)させ、GC-MS分析を行い、内部標準法により定量を行う。
〈GC条件〉
・装置:昇温気化型注入口(CIS4,Gerstel社製)、加熱脱着ユニット(TDU,Gerstel社製)、GC System(7890B、Agilent Technologies社製)、Mass Selective Detector(5977、Agilent Technologies社製)
・LTMカラム(1st:DB-WAX,20m×0.18mm;0.3μm、2nd:DB-5,10m×0.18mm;0.4μm,Agilent Technologies社製)
・TDU:20℃(1min)-(720℃/min)-250℃(3min)
・CIS4:-50℃(1.5min)-(12℃/sec)-240℃(45min)
・スプリット比:30:1
・注入口圧:508.28kPa
・ベント圧:314.11kPa
・1stカラム温度:40℃(3min)-(5℃/min)-180℃(0min)
・2ndカラム温度:40℃(31min)-(5℃/min)-180℃(0min)
・MSD:SCAN mode,m/z 29-230,20Hz,EI
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。但し、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
原料用アルコール(アルコール度数95v/v%)に、表1に示される処方に従って、4-イソプロペニルトルエン、及び炭酸水を加え、参照1、及び試験例1乃至5に係る炭酸アルコール飲料を得た。尚、参照1に係る飲料については、4-イソプロペニルトルエンを添加しなかった。各飲料のアルコール度数は9v/v%、エキス分は0.1%、糖質含有量は0.09g/100mlであった。また、炭酸ガス圧を測定したところ、3.3ガスボリュームであった。また、酸度を分析したところ、0.07g/100mlであった。尚、甘味料も果汁も使用していないので、甘味値はゼロである。
得られた炭酸アルコール飲料について、5名の専門パネルによる官能評価を実施した。
官能評価は、お酒らしい風味、ボディ感、飲み応え、アルコール感、及び炭酸感のそれぞれについて、5段階で評価した。数値が大きい程、お酒らしい風味が強く、ボディ感が強く、飲み応えが強く、アルコール感が強く、炭酸感が強いことを示す。
尚、何れの評価項目についても、5名の専門パネルの平均値を結果とした。
次に、糖質含有量が2.0g/100mLを超える炭酸アルコール飲料について、試験例1と同様に、4-イソプロペニルトルエンによる効果を検討した。具体的には、表2に記載の処方に従って、参照2、試験例6及び7に係る炭酸アルコール飲料を得た。各飲料の糖質含有量は、2.3g/100ml、エキス分は2.3%であった。アルコール度数は9v/v%、炭酸ガス圧は3.3ガスボリューム、酸度は0.07g/100mlであった。得られた飲料について、実験例1と同様に官能評価を行った。結果を表2に示す。
Claims (12)
- 4-イソプロペニルトルエンを含有し、
4-イソプロペニルトルエンの含有量が、0.1~10000ppbである、
炭酸アルコール飲料(但し、アニスを含む飲料を除く。また、シトラールを含む飲料を除く。)。 - 糖質の含有量が2.0g/100mL以下である、請求項1に記載の炭酸アルコール飲料。
- アルコール濃度が5v/v%以上である、請求項1又は2に記載の炭酸アルコール飲料。
- 甘味値が2以下である、請求項1から3のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
- エキス分が2%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
- ガスボリュームが、2.0以上、4.0以下である、請求項1から5のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
- アルコール源として蒸留酒を含有する、請求項1から6のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
- アルコール含有液を調製する工程と、
前記アルコール含有液に、4-イソプロペニルトルエンを添加する工程と、
前記4-イソプロぺニルトルエンが添加されたアルコール含有液を用いて、炭酸アルコール飲料を調製する工程と、を含み、
前記4-イソプロペニルトルエンの添加量が0.1~10000ppbである、
炭酸アルコール飲料(但し、アニスを含む飲料を除く。また、シトラールを含む飲料を除く。)の製造方法。 - 更に、
前記アルコール含有液の糖質の含有量を2.0g/100mL以下に調整する工程と、
前記アルコール含有液のアルコール濃度を5v/v%以上に調整する工程と、
前記アルコール含有液の甘味値を2以下に調整する工程とを含む、請求項8に記載の製造方法。 - 更に、
前記アルコール含有液のエキス分を2%以下に調整する工程を含む、請求項8から9のいずれかに記載の製造方法。 - 前記アルコール含有液を調製する工程は、蒸留酒を使用して前記アルコール含有液を調製する工程を含む、請求項8から10のいずれかに記載の製造方法。
- アルコール含有液を調製する工程と、
前記アルコール含有液に、4-イソプロペニルトルエンを添加する工程と、
前記4-イソプロぺニルトルエンが添加されたアルコール含有液を用いて、炭酸アルコール飲料を調製する工程と、を含み、
前記4-イソプロペニルトルエンの添加量が0.1~10000ppbである、
炭酸アルコール飲料(但し、アニスを含む飲料を除く。また、シトラールを含む飲料を除く。)に酒感を付与する、又は増強する方法。
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