JP7024302B2 - ベルト張力測定装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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この構成によれば、ベルトの張力を測定する場合、ボディの先端部に設けられたねじ部がハウジングの貫通孔に螺合されることによって、ボディの先端部は貫通孔に嵌合される。このため、測定子をより安定させた状態でベルトの張力を測定することができる。
この構成によれば、ベアリングホルダが回転しようとしたとき、その回転方向において係合突部がボディの一部分に対して係合する。このため、ベアリングホルダの回転がより確実に抑えられる。
上記のベルト張力測定装置において、前記測定子は、前記ボディの内部に収容される退避位置と、前記ボディの先端部から突出する測定位置との間を移動することが好ましい。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、図示しない車体に固定されるハウジング11を有している。ハウジング11はその筒状の本体12が車体の左右方向(図1中の左右方向)へ延びるように設けられる。本体12にはラック軸13が挿通されている。ラック軸13の両端にはそれぞれ図示しないボールジョイントを介して車輪(転舵輪)Wが連結される。ラック軸13が自身の軸方向へ移動することによって車輪Wの向きが変えられる。
本体12の右端寄りの部位には第1の収容部14が設けられている。第1の収容部14は、本体12の軸線方向(図1中の左右方向)に対して斜めに交わる方向へ延びている。第1の収容部14には、ピニオンシャフト15が挿入された状態で回転可能に支持されている。ピニオンシャフト15の内端部に設けられるピニオン歯は、ラック軸13の右端寄りの一定範囲に形成されるラック歯に噛み合う。また、ピニオンシャフト15のピニオン歯と反対側の外端部は、図示しない複数のシャフトを介してステアリングホイールHに連結される。したがって、ステアリング操作に伴いラック軸13は自身の軸線方向に沿って直線運動を行う。ステアリング操作を通じてピニオンシャフト15に作用するトルクは、第1の収容部14に設けられたトルクセンサ16により検出される。
本体12の左端寄りの部位には第2の収容部17が設けられている。第2の収容部17は、本体12よりも大径の円筒部分の下部が下方へ延びてなる。第2の収容部17の下部右側壁には、モータ18が固定されている。モータ18の出力軸18aは、ラック軸13の軸線に沿って延び、かつ第2の収容部17の側壁を貫通して内部に挿入されている。第2の収容部17の内部には、動力変換機構20が設けられている。動力変換機構20にはモータ18の出力軸18aが連結されている。動力変換機構20は、モータ18の回転運動をラック軸13の直線運動に変換する。すなわち、モータ18の回転力の利用を通じてラック軸13の動作が補助されることにより、ステアリング操作が補助される。モータ18は、図示しない制御装置によりトルクセンサ16の検出結果などに応じて制御される。
図2に示すように、第2の収容部17は、円筒状の支持部21、および段付き円筒状の蓋部材22を有している。支持部21は、本体12の左端に一体形成されている。支持部21の下部は下方へ延設されていて、当該延設された部分における図中右側の側壁21aには孔21bが形成されている。孔21bには、その右方からモータ18の出力軸18aが挿入されている。支持部21の左開口部は蓋部材22により塞がれている。これら支持部21と蓋部材22との間に形成される空間に動力変換機構20が設けられている。
図2に示すように、動力変換機構20は、ベルト伝動機構30およびボールねじ機構40を有している。ベルト伝動機構30は、モータ18の回転運動をボールねじ機構40に伝達する。ボールねじ機構40は、ベルト伝動機構30を通じて伝達されるモータ18の回転運動をラック軸13の直線運動に変換する。
ボールねじ機構40は、ラック軸13に設けられたボールねじ部41、円筒状のボールナット42および多数のボール43を有している。
ベルト伝動機構30は、円筒状の駆動プーリ31、円筒状の従動プーリ32および無端状のベルト33を備えている。
つぎに、玉軸受44および従動プーリ32の固定構造を説明する。
図2に示すように、ボールナット42の外周面に従動プーリ32および玉軸受44が嵌められた状態で、雄ねじ部42aにロックナット45を締め付けることにより従動プーリ32および玉軸受44はそれぞれボールナット42に固定される。
つぎに、モータ18の固定構造を説明する。本例では、第2の収容部17(正確には、支持部21)に対するモータ18の取付け位置を調節することが可能である。
電動パワーステアリング装置10では、モータ18のトルクの伝達効率を確保するなどの観点から、ベルト33の張力が芯間距離ΔLの調節を通じて適切に設定される。電動パワーステアリング装置10の抜き取り検査においては、ベルト33の張力が適切に設定されているかどうかについての検査が行われる。本例では、接触式の測定装置を使用してベルトの張力を測定する。測定装置の一例としてはつぎの通りである。
<ボディ>
ボディ71は、ケース81、クランプ82、カバー83、スペーサ84,ホルダ85およびナット86を有し、全体として円筒状をなしている。
クランプ82は、ケース81の上端部に連結されている。図7に示すように、クランプ82は、中央に取り付け孔82aを有する円環の一部分がスリット82bにより円周方向に分断されてなる締め具である。クランプ82のスリット82bを介して互いに対向する2つの端部をボルト82cで締め付けることにより、取り付け孔82aに挿入された棒状部材が締め付けられて固定される。
図5に示すように、送り機構72は、マイクロメータヘッド91、カップリング92、シャフト93、および回転吸収機構部94を有している。
ベアリングホルダ111は、その上端部が開口した有底円筒状をなしている。ベアリングホルダ111の外径は、ボディ71(より正確には、ケース81およびカバー83)の内径よりも若干小さく設定されている。ベアリングホルダ111の内部には、シャフト93の下端部が挿入されている。シャフト93の下端部とベアリングホルダ111の内底面との間には若干の隙間が形成されている。
図6に示すように、軸力センサ73は、ベアリングホルダ111の下端部に取り付けられている。軸力センサ73は、その軸方向に作用する荷重である軸力を検出する。軸力センサ73は、センサ本体121、2つの取付部122,123、およびケーブル124を有している。センサ本体121は円筒状をなしていて、その内部には印加される軸力に応じた電気信号を生成する歪ゲージあるいは圧電素子などのセンサ素子が設けられている。ケーブル124は、センサ素子により生成される電気信号を図示しないコントローラなどの外部機器に伝達する。ケーブル124は、センサ本体121からカバー83のスリット83cを介してボディ71の外部に引き出されている。
測定子74は、棒状をなしている。測定子74の後端部(図6中の上端部)には、雄ねじ部131が設けられている。雄ねじ部131は、軸力センサ73における取付部123の雌ねじ部123aに螺合されている。これにより、測定子74は、軸力センサ73に固定されている。したがって、測定子74は、その軸方向に沿って軸力センサ73と一体的に移動する。すなわち、測定子74は、マイクロメータヘッド91のスピンドル104に連動して、軸線方向に沿って移動する。
ベルト33の張力を測定する場合、電動パワーステアリング装置10のハウジング11は、張力測定用の貫通孔17aが上を向く姿勢に保たれる。この状態で、測定装置70をハウジング11に取り付ける。具体的には、つぎの通りである。
図11に示すように、測定装置70をハウジング11に取り付けた後、シンブル102の回転操作を通じて測定子74を図11に実線で示される退避位置から、まずベルト33の背面に接触する位置へ移動させ、さらに図11に二点鎖線で示される測定位置まで移動させる。これにより、測定子74の先端がベルト33に押し付けられて、所定のたわみ量δがベルト33に与えられる。このベルト33にたわみ量δを与えたときの荷重F(押圧反力)が軸力センサ73により検出される。軸力センサ73を通じて検出される荷重Fあるいは荷重Fに応じた張力の値は、軸力センサ73とケーブル124を介して接続されるコントローラなどの外部機器の表示部に表示される。
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ボディ71(より正確には、ホルダ85)の先端部には、ハウジング11に設けられた張力測定用の貫通孔17aに螺合される雄ねじ部85cが設けられている。そして、ベルト33の張力を測定する場合、ボディ71の雄ねじ部85cがハウジング11の貫通孔17aに螺合されることによって、ボディ71の先端部は貫通孔17aに嵌合した状態で固定される。このため、ボディ71に支持される測定子74のぐらつきなどが抑制される。したがって、測定子74を安定させた状態でベルト33の張力を測定することができる。
なお、前記実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・本例では、シャフト93はカップリング92を介してスピンドル104に連結したが、他の連結手段を採用してもよい。
・本例では、測定子74が退避位置に位置しているとき、測定子74の先端部はホルダ85の内部に収容されていた。しかし、測定装置70を保管する観点などから特に問題にならないのであれば、退避位置において測定子74の先端部がホルダ85の先端部から突出していてもよい。
・本例において、ケース81、カバー83、スペーサ84、およびホルダ85を一体形成してもよい。この場合、測定装置70としてナット86を割愛した構成を採用することができる。またこの場合、測定装置70をハウジング11に取り付ける際には、ボディ71の全体をその軸線周りに回転させる。
Claims (9)
- ハウジングに覆われる複数のプーリ間に掛け渡されるベルトの表面に対して、前記ハウジングに設けられる張力測定用の貫通孔を介して測定子を押し付けたときの荷重に基づき前記ベルトの張力を測定するベルト張力測定装置であって、
前記測定子を支持する筒状のボディと、
前記測定子を前記ボディに対してその軸方向に沿って所定量だけ進退させる送り機構と、
前記測定子が前記ボディの先端部から繰り出されて前記ベルトに押し付けられたときの荷重を検出する軸力測定器と、を備え、
前記ボディの先端部は、前記貫通孔に対して着脱可能に嵌合されるものであって、
前記送り機構は、外部からの動力が伝達されることによって回転しながら進退するシャフトを有し、前記シャフトに連動させて前記測定子を進退させるものであって、
前記送り機構は、前記ボディの内部において軸方向に沿った方向への移動および軸回りの回転が許容された状態で設けられる有底筒状のベアリングホルダと、前記シャフトを前記ベアリングホルダの内周面に対して回転可能に支持するベアリングと、を有し、
前記ベアリングホルダの底部は、前記軸力測定器を介して前記測定子の基端部に連結されているベルト張力測定装置。 - 請求項1に記載のベルト張力測定装置において、
前記送り機構は、前記ボディに対する前記測定子の移動長さを表示する表示部、または前記ボディに対する前記測定子の移動長さを計測する計測部を備えているベルト張力測定装置。 - 請求項1または請求項2に記載のベルト張力測定装置において、
前記ボディの先端部には、前記貫通孔に螺合されるねじ部が設けられているベルト張力測定装置。 - 請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のベルト張力測定装置において、
前記ボディは、前記先端部を含む部分である第1の分割体と、前記第1の分割体に対してその軸方向において連結される第2の分割体とを有することを前提として、
前記第1の分割体の前記先端部側から通された状態で前記第2の分割体の外周面に締め付けられることにより前記第1の分割体と前記第2の分割体とを連結するナットを有しているベルト張力測定装置。 - 請求項4に記載のベルト張力測定装置において、
前記第1の分割体の前記先端部と反対側の端部である基端部の外周面にはフランジ部が設けられていて、
前記ナットが前記第2の分割体の外周面に締め付けられた状態において、前記第1の分割体の前記フランジ部が前記第2の分割体における前記第1の分割体側の端部に押し付けられることにより、前記第1の分割体と前記第2の分割体とが連結されているベルト張力測定装置。 - 請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載のベルト張力測定装置において、
前記ベアリングホルダの外周面には、前記ボディの一部分に対してその周方向において係合する係合突部が設けられているベルト張力測定装置。 - 請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載のベルト張力測定装置において、
前記送り機構は、マイクロメータヘッドを有し、
前記マイクロメータヘッドは、回転操作される部分であるシンブル、および前記シンブルの回転操作を通じて回転しながら進退するスピンドルを有し、
前記スピンドルは、カップリングを介して前記シャフトと連結されているベルト張力測定装置。 - 請求項1~請求項7のうちいずれか一項に記載のベルト張力測定装置において、
前記測定子は、前記ボディの内部に収容される退避位置と、前記ボディの先端部から突出する測定位置との間を移動するベルト張力測定装置。 - 請求項3に記載のベルト張力測定装置によって張力の測定および調整が行われる前記ベルトを有するベルト伝動機構と、
前記ベルト伝動機構を収容する前記ハウジングと、を備え、
張力測定用の前記貫通孔の内周面は、前記ベルトの張力が測定される際に、前記ボディの先端部に設けられた前記ねじ部が螺合される雌ねじ部を有している電動パワーステアリング装置。
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