JP7023824B2 - 貫通孔形成方法及び貫通孔形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、貫通孔形成方法及び貫通孔形成装置に関するものである。
航空機部品の板材(例えばスキン)を複数枚重ね合わせる際、複数の板材間に流動性材料であるシーラントを塗布する場合がある。特に板材がアルミニウム合金の場合、防食化を図るため、シーラントの塗布が必要とされる。重ね合わされた板材は、リベット等の締結部品によって互いに結合される。
リベットを挿通するための貫通孔は、板材間にシーラントが塗布されて重ね合わされた後、ドリル等の加工装置によって複数の板材に一気通貫に形成される。シーラントが塗布された層も貫通孔の内部に面するため、貫通孔が形成された後、板材間から貫通孔内部へシーラントが流入することがある。
なお、下記の特許文献1では、切削によって生じ残留した切片を吸引によって除去する技術が開示されている。
米国特許第5213454号明細書
貫通穴内にシーラントが残留したままリベットを打鋲すると、リベットの変形がシーラントによって妨げられてリベットの変形が不十分となり、貫通孔において板材とリベットの間に隙間又はシーラント層が設けられてしまう。その結果、リベットによって固定された複数の部材は、隙間又はシーラント層以外の部分において板材からリベットへ荷重が伝達されるため、リベットの外周全面を用いて荷重を伝達することができない。その結果、重ね合わされた板材の強度が所定値よりも低下する。そのため、打鋲品質を維持する観点から、貫通孔を形成し、貫通孔の内面からシーラントを除去した後、リベットを固定する必要がある。
シーラントを除去する方法として、作業員が一つずつ貫通孔を清掃することが考えられる。しかし、貫通孔形成とリベット打鋲の間において、機械による自動化作業が中断されてしまう。また、手作業による清掃は手間と時間がかかるという問題がある。
さらに、貫通孔の内面からのシーラント除去作業を自動化することが考えられる。しかし、従来の穴明けヘッド、打鋲ヘッドを有する機械に対して、シーラント清掃ヘッドを追加する必要がある。また、貫通孔形成、貫通孔清掃、リベット打鋲の作業ごとにヘッドの切り換えが必要となり、自動化作業であるが、切り換え回数が多いため、時間がかかってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、部材間に流動性材料が塗布された複数の部材に対して貫通孔が形成された後、貫通孔の内部に流入する流動性材料を迅速かつ簡易に除去することが可能な貫通孔形成方法及び貫通孔形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の貫通孔形成方法及び貫通孔形成装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る貫通孔形成方法は、切削工具が軸周りに回転し、複数の部材間に流動性材料が配設されている前記複数の部材に対して貫通孔を形成するステップと、前記貫通孔が形成された後、前記切削工具が軸周りの回転を所定時間又は所定回転回数継続し、前記貫通孔の内部に流入した前記流動性材料を除去するステップとを備える。
この構成によれば、軸周りに回転する切削工具によって、複数の部材間に流動性材料が配設されている複数の部材に対して貫通孔が形成され、貫通孔が形成された後、切削工具において、軸周りの回転が所定時間又は所定回転回数継続される。その結果、複数の部材間から貫通孔の内部に流入した流動性材料が除去される。
上記発明において、前記所定時間は0.1秒以上10秒以下であり、より適切には1秒以上2秒以下であるとよい。
上記発明において、前記所定回転回数は5回転以上であり、より適切には100回以上であるとよい。
上記発明において、前記切削工具によって前記貫通孔が形成されている間、所定の第1圧力を前記複数の部材に付与して、前記複数の部材を挟んでもよい。
上記発明において、前記貫通孔が形成された後、前記第1圧力よりも低い所定の第2圧力を前記複数の部材に付与して、前記複数の部材を挟んでもよい。
本発明に係る貫通孔形成装置は、軸周りに回転する切削工具と、前記切削工具を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、複数の部材間に流動性材料が配設されている前記複数の部材に対して貫通孔を形成するように前記駆動部を制御する貫通孔形成部と、前記貫通孔が形成された後、前記切削工具が、所定回転回数又は所定時間で、軸周りの回転を継続し、前記貫通孔の内部に流入した前記流動性材料を除去するように前記駆動部を制御する流動性材料除去部とを備える。
本発明によれば、部材間に流動性材料が塗布された複数の部材に対して貫通孔が形成された後、貫通孔の内部に流入する流動性材料を迅速かつ簡易に除去することができる。
本発明の第1実施形態に係る貫通孔形成装置を示す概略図である。 本発明の第1実施形態に係る貫通孔形成装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るクランプ装置及び貫通孔形成装置を示す概略図である。 本発明の第2実施形態に係るクランプ装置及び貫通孔形成装置の一連の動作を示す概略図である。 本発明の第2実施形態に係るクランプ装置、貫通孔形成装置及び打鋲装置の一連の動作を示す概略図である。 本発明の第2実施形態に係るクランプ装置の動作を示すフローチャートである。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る貫通孔形成装置1について、図1を用いて説明する。
貫通孔形成装置1は、例えば、ドリル(切削工具)2と、駆動部3と、制御部4を備える。貫通孔形成装置1は、ドリル2によって、ワーク50を切削して、ワーク50に円形状の貫通孔52を形成する。ワーク50に設けられた貫通孔52には、リベットが挿通されて固定される。
ワーク50は、例えば、板材51が複数枚重ね合わされたものであり、かつ、複数の板材51間にシーラント(流動性材料)が塗布されている。板材51は、例えばアルミニウム合金、チタン合金、複合材などである。ワーク50には、リベットを固定するための貫通孔52が形成される。
ドリル2は、切削工具の一例であり、軸線周りに回転しながら、送り方向に移動することによって、ワーク50を切削できる。
駆動部3は、主軸モータと送りモータを有する。主軸モータは、電力を受けて駆動し、ドリル2を軸線周りに回転させる。送りモータは、電力を受けて駆動し、ドリル2を軸線方向(送り方向)に移動させる。なお、駆動部3は、電力駆動ではなく油圧駆動又はエア駆動でもよい。
制御部4は、例えば、貫通孔形成部5と、移動量検出部6と、シーラント除去部7などを有する。
貫通孔形成部5は、複数の板材51間にシーラントが配設されている複数の板材51に対して貫通孔52を形成するように駆動部3を制御する。例えば、貫通孔形成部5は、形成する貫通孔52ごとに予め決定された回転数や送り速度に設定してドリル2を駆動させる。ドリル2の回転数は、例えば750rpm~18000rpmである。
移動量検出部6は、回転時のドリル2の軸方向の移動量を検出する。移動量検出部6は、回転時のドリル2が所定の移動量を移動したか否か、すなわち、複数の板材51が重ね合わされたワーク50の板厚分をドリル2が移動したか否かに応じて、ドリル2による貫通孔52の形成が継続していることを検出したり、又は、ドリル2が複数の板材51を貫通し終えて貫通孔52が形成されたことを検出したりすることができる。
シーラント除去部7は、移動量検出部6において、貫通孔52が形成されたことが検出された後、ドリル2が、予め記録された所定回転回数分又は所定時間分、軸周りの回転を継続するように駆動部3を制御する。これにより、貫通孔52が形成された後に、ドリル2が、所定回転回数分又は所定時間分、空転することによって、ドリル2が貫通孔52の内部に流入したシーラントを掻き出して、シーラントが貫通孔52から除去される。上記所定回転回数は5回転以上であり、より適切には100回以上であるとよい。また、上記所定時間は0.1秒以上10秒以下であり、より適切には1秒以上2秒以下であるとよい。
所定回転回数又は所定時間は、メモリ等において予め記録されており、結合する板材51の組み合わせごとに設定されてもよい。所定回転回数又は所定時間は、実際の製造の前に行われる試験又はシミュレーションにおいて、貫通孔52に流入したシーラントが除去されたか否かを確認することで取得される。
制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る貫通孔形成装置1の動作について説明する。
複数の板材51が重ね合わされたワーク50に貫通孔52を形成するため、ワーク50と貫通孔形成装置1を準備する(ステップS1)。例えば、ワーク50をクランプ装置11に設置し、貫通孔形成装置1が、クランプ装置11に設置されたワーク50へ移動する。
そして、ワーク50に対して所定の回転数及び送り速度でドリル2を駆動させて(ステップS2)、ワーク50に貫通孔52を形成する。このとき、移動量検出部6において、回転時のドリル2の軸方向の移動量が検出され、貫通孔52の形成が完了しているか否かが判断される(ステップS3)。複数の板材51間にシーラントが塗布されて配設されていることから、貫通孔52が形成されることによって、貫通孔52の内部にシーラントが流入する。
移動量検出部6は、回転時のドリル2が所定の移動量を移動したか否か、すなわち、複数の板材51が重ね合わされたワーク50の板厚分をドリル2が移動したか否かに応じて、ドリル2による貫通孔52の形成が継続していることを検出したり、又は、ドリル2が複数の板材51を貫通し終えて貫通孔52が形成されたことを検出したりする。
移動量検出部6において、貫通孔52が形成されたことが検出された後、ドリル2は、予め記録された所定回転回数分又は所定時間分、軸周りの回転を継続する(ステップS4)。予め記録された所定回転回数分又は所定時間分、軸周りの回転が継続された後、ドリル2は回転を停止する(ステップS5)。ドリル2が空転することによって、その間に、貫通孔52の内部に流入したシーラントが掻き出されて、シーラントが貫通孔52から除去される。
本実施形態によれば、作業員による手作業や、シーラント除去専用の工具を用いた自動化作業によらずに、貫通孔52を形成するために用いるドリル2によって、貫通孔52に流入したシーラントが除去される。したがって、貫通孔52の形成からリベットの打鋲までの間において、シーラントの除去にかかる時間や手間を低減できる。また、自動穴明け・打鋲機を用いる場合、シーラント除去専用の工具を取り付けずに、ドリル2を使用すればよいため、穴明けヘッド、打鋲ヘッドを有する機械に対してシーラント清掃ヘッドを追加する必要がない。
なお、発明者らによって、あるシーラントを所定量塗布した場合において、貫通孔52の内部に流入したシーラントが掻き出すためには、貫通孔52が形成されたことが検出された後、ドリル2の回転を100回転以上継続させると、シーラントが貫通孔52から確実に除去されるという知見が得られた。すなわち、100回転未満の回転回数では、依然としてシーラントが貫通孔52に残留していた。また、300回転、500回転のように回転回数を増加させた場合でも、100回転とした場合と同様の除去効果であった。作業時間を短縮させるためには、回転回数が少ない方が望ましく、100回転に設定することが望ましい。なお、回転回数に関する結果は適用するシーラントの種類や塗布量によって変わりうる。
また、発明者らによって、貫通孔52の内部に流入したシーラントが掻き出すためには、貫通孔52が形成されたことが検出された後、ドリル2の回転を1秒以上継続させると確実に、シーラントが貫通孔52から除去されるという知見が得られた。すなわち、1秒未満の空転時間では、依然としてシーラントが貫通孔52に残留していた。また、空転時間を1秒以上にした場合でも、1秒とした場合と同様の除去効果であった。作業時間を短縮させるためには、空転時間が短い方が望ましく、2秒以下に設定することが望ましい。なお、空転時間に関する結果は適用するシーラントの種類や塗布量によって変わりうる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る貫通孔形成装置1について、図3を用いて説明する。
本実施形態において、第1実施形態で説明したシーラント除去方法は同一である。本実施形態では、後述するとおり、クランプ装置11を動作させて実施されるワーク50のクランプ方法が更に追加される。
クランプ装置11は、図3に示すように、上方支持部12と、下方支持部13と、駆動部14と、制御部15などを有する。クランプ装置11は、上方支持部12と下方支持部13の間に配置されたワーク50を挟むことが可能である。
上方支持部12は、例えば円筒形状を有する筒状部材を備え、ワーク50の上面側に配置される。上方支持部12は、貫通孔52を形成する位置を中心にして、筒状部材の下端でワーク50を支持する。
下方支持部13は、例えば円筒形状を有する筒状部材を備え、ワーク50の下面側に配置される。下方支持部13は、貫通孔52を形成する位置を中心にして、筒状部材の上端でワーク50を支持する。上方支持部12と下方支持部13は、駆動部14によって、ワーク50に対して離隔したり接近したりする方向に移動可能に構成される。
上方支持部12の筒状部材の内部には、図4及び図5に示すように、貫通孔形成装置1のドリル2又は打鋲装置30のアンビル(押圧部)31が通過する。上方支持部12の筒状部材の径は、下方支持部13の筒状部材の径よりも大きい。そのため、上方支持部12がワーク50を支持する位置と、下方支持部13がワーク50を支持する位置は、ずれている。そのため、後述するとおり、ワーク50に第1圧力を付与すると、ワーク50が上方に凸状に撓む場合がある。
下方支持部13の筒状部材の内部には、図5に示すように、打鋲装置30のアンビル(押圧部)32が通過する。貫通孔形成装置1のドリル2が通過しない下方支持部13では、筒状部材の径を小さくすることによって、貫通孔52の形成作業及びリベット53の打鋲作業の際、下方支持部13の周囲に位置する他の部品と干渉しにくくなる。
なお、上方支持部12及び下方支持部13は、例えば円筒形状を有する筒状部材を備える場合に限定されず、上方支持部12及び下方支持部13は、貫通孔52を形成する位置を中心にして、貫通孔52を形成する位置の両側で1点ずつ、ワーク50を合計2点支持する構成を有するものでもよい。この場合、上方支持部12の支持点は、貫通孔52を形成する位置に対して、下方支持部13の支持点よりも外側に位置する。そのため、上方支持部12がワーク50を支持する位置と、下方支持部13がワーク50を支持する位置は、ずれている。
駆動部14は、例えばモータであり、電力を受けて駆動し、上方支持部12と下方支持部13の筒状部材の軸線方向に、上方支持部12と下方支持部13をそれぞれ移動させる。
制御部15は、例えば、第1クランプ力制御部16と、第2クランプ力制御部17とを備える。
第1クランプ力制御部16は、ドリル2によって複数の板材51が重ね合わされたワーク50に対して貫通孔52が形成されている間、上方支持部12及び下方支持部13が、所定の第1圧力をワーク50に付与した状態で、ワーク50を挟むように駆動部14を制御する。例えば、第1クランプ力制御部16は、予め設定された位置に、下方支持部13を移動させる。または、上方支持部12と下方支持部13の挟み込みによってワーク50に作用されている負荷を検出する検出部の検出結果に基づいて、下方支持部13を移動させる。その結果、所定の第1圧力がワーク50に付与された状態となる。
第1クランプ力制御部16によって、予め設定された位置に下方支持部13を移動させる場合、移動位置は、メモリ等において予め記録されており、クランプ装置11によって挟まれるワーク50ごとに設定されてもよい。移動位置は、実際の製造の前に行われる試験又はシミュレーションにおいて、所定の第1圧力がワーク50に付与された状態となる下方支持部13の位置を確認することで取得される。
所定の第1圧力は、重ね合わされた複数の板材51間のシーラントを貫通孔52に強制的に流出させるような圧力で設定される。
第2クランプ力制御部17は、貫通孔52が形成されてから、打鋲装置30によって貫通孔52に挿通された締結部品が複数の板材51に固定されるまでの間、上方支持部12及び下方支持部13が、第1圧力よりも低い所定の第2圧力をワーク50に付与した状態で、ワーク50を挟むように駆動部14を制御する。
例えば、第2クランプ力制御部17は、予め設定された位置に、下方支持部13を移動させる。または、上方支持部12と下方支持部13の挟み込みによってワーク50に作用されている負荷を検出する検出部の検出結果に基づいて、下方支持部13を移動させる。その結果、所定の第2圧力がワーク50に付与された状態となる。
第2クランプ力制御部17によって、予め設定された位置に下方支持部13を移動させる場合、移動位置は、メモリ等において予め記録されており、クランプ装置11によって挟まれるワーク50ごとに設定されてもよい。移動位置は、実際の製造の前に行われる試験又はシミュレーションにおいて、所定の第2圧力がワーク50に付与された状態となる下方支持部13の位置を確認することで取得される。
所定の第2圧力は、重ね合わされた複数の板材51が凸状又は凹状に撓まないような圧力で設定されることが好ましい。
制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
次に、図4~図6を参照して、本実施形態に係るクランプ装置11の動作について説明する。
ワーク50をクランプ装置11に挟むため、まず、図4(a)に示すように、クランプ装置11に複数の板材51が重ね合わされたワーク50を載置する(ステップS11)。
ワーク50を設置した後、上方支持部12を上方からワーク50のほうへ接近させて、上方支持部12の筒状部材の下端をワーク50に接触させる(ステップS12)。
次に、図4(b)に示すように、下方支持部13を下方からワーク50のほうへ接近させて、下方支持部13の筒状部材の上端をワーク50に接触させる。下方支持部13を移動して、上方支持部12及び下方支持部13が、所定の第1圧力をワーク50に付与した状態となるように、ワーク50を挟む(ステップS13)。
そして、図4(c)に示すように、第1圧力がワーク50に付与された状態でドリル2を駆動させて、ドリル2がワーク50に対して貫通孔52を形成する(ステップS14)。このとき、第1実施形態で説明したとおり、移動量検出部6において、回転時のドリル2の軸方向の移動量が検出され、貫通孔52の形成が完了しているか否かが判断される(図2のステップS3)。移動量検出部6は、回転時のドリル2の軸方向の移動量に応じて、ドリル2による貫通孔52の形成が継続していることを検出したり、又は、ドリル2が複数の板材51を貫通し終えて貫通孔52が形成されたことを検出したりする。
移動量検出部6において、貫通孔52が形成されたことが検出された後、ドリル2は、予め記録された所定回転回数分又は所定時間分、軸周りの回転を継続する(図2のステップS4)。予め記録された所定回転回数分又は所定時間分、軸周りの回転が継続された後、ドリル2は回転を停止する(図2のステップS5)。ドリル2が空転することによって、その間に、貫通孔52の内部に流入したシーラントが掻き出されて、シーラントが貫通孔52から除去される。
第1圧力の設定値は、重ね合わされた複数の板材51間のシーラントを貫通孔52に強制的に流出させるような圧力である。したがって、複数の板材51に対して貫通孔52を形成し、更に、ドリル2が空転しているとき、シーラントが貫通孔52に流出される。その結果、貫通孔52が形成され、ドリル2が抜かれた後に、シーラントが貫通孔52に流入する可能性を低減できる。
図5(d)に示すように、貫通孔52が形成された後、下方支持部13を移動して、上方支持部12及び下方支持部13が、第1圧力よりも低い所定の第2圧力をワーク50に付与した状態となるように、ワーク50を挟む(ステップS15)。
所定の第2圧力がワーク50に付与されることによって、重ね合わされた複数の板材51が凸状又は凹状に撓まない状態となる。これにより、複数の板材51間に付与される圧力が低減されるため、複数の板材51間から貫通孔52内部へシーラントが流出しにくくなる。
次に、図5(e)及び図5(f)に示すように、第2圧力がワーク50に付与された状態で、貫通孔52にリベット53を挿通し、打鋲装置30が、貫通孔52に挿通されたリベット53をワーク50に固定する(ステップS16)。貫通孔52の形成時よりも低い圧力で複数の板材51が挟まれて、重ね合わされた複数の板材51が凸状又は凹状に撓まない状態で、リベット53が打鋲装置30によって固定される。
その結果、リベット53と複数の板材51の間に隙間が形成されにくくなり、打鋲品質が向上する。すなわち、リベット53によって固定された複数の板材51は、隙間以外の部分において部分的に板材51からリベット53へ荷重が伝達されるのではなく、リベット53の外周全面を用いて荷重を伝達することができる。
なお、上記実施形態では、複数の板材51間にシーラントが塗布される場合について説明したが、本願発明はこの例に限定されない。複数の部材間に適用される流動性材料として、接着剤等の合成樹脂、グリースや防錆剤等の油脂などでもよい。
1 :貫通孔形成装置
2 :ドリル(切削工具)
3 :駆動部
4 :制御部
5 :貫通孔形成部
6 :移動量検出部
7 :シーラント除去部
11 :クランプ装置
12 :上方支持部
13 :下方支持部
14 :駆動部
15 :制御部
16 :第1クランプ力制御部
17 :第2クランプ力制御部
30 :打鋲装置
50 :ワーク
51 :板材
52 :貫通孔
53 :リベット

Claims (6)

  1. 切削工具が軸周りに回転し、複数の部材間に流動性材料が配設されている前記複数の部材に対して貫通孔を形成するステップと、
    前記貫通孔が形成された後、前記切削工具が軸周りの回転を所定時間又は所定回転回数継続し、前記貫通孔の内部に流入した前記流動性材料を除去するステップと、
    を備える貫通孔形成方法。
  2. 前記所定時間は0.1秒以上10秒以下である請求項1に記載の貫通孔形成方法。
  3. 前記所定回転回数は5回以上である請求項1に記載の貫通孔形成方法。
  4. 前記切削工具によって前記貫通孔が形成されている間、所定の第1圧力を前記複数の部材に付与して、前記複数の部材を挟む請求項1から3のいずれか1項に記載の貫通孔形成方法。
  5. 前記貫通孔が形成された後、前記第1圧力よりも低い所定の第2圧力を前記複数の部材に付与して、前記複数の部材を挟む請求項4に記載の貫通孔形成方法。
  6. 軸周りに回転する切削工具と、
    前記切削工具を駆動する駆動部と、
    前記駆動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    複数の部材間に流動性材料が配設されている前記複数の部材に対して貫通孔を形成するように前記駆動部を制御する貫通孔形成部と、
    前記貫通孔が形成された後、前記切削工具が、所定回転回数又は所定時間で、軸周りの回転を継続し、前記貫通孔の内部に流入した前記流動性材料を除去するように前記駆動部を制御する流動性材料除去部と、
    を備える貫通孔形成装置。
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