JP7022666B2 - ワーク搬送システム - Google Patents
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本実施形態のワーク搬送システムは、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)製の車体フロア構造を製造する際に使用するものを想定している。このワーク搬送システムは、車体フロア構造を構成する複数種類の部品(ワーク)同士を接着剤にて接着するにあたり、これらの複数種類の部品(ワーク)を順次に搬送するシステムである。
図1は、本実施形態に係るワーク搬送システムSの構成説明図である。
図1に示すように、ワーク搬送システムSは、ワーク搬送機構としてのマテリアルハンドロボット1と、ワークWに接着剤を塗布する接着剤塗布機構としての接着剤塗布ロボット2と、接着剤が塗布されたワークWを被着体Aに圧着する圧着機構としての圧着ツール3と、を備えている。
なお、本実施形態のワーク搬送システムSは、被着体Aとしてのフロアパネルに圧着させるダッシュパネルロアをワークWとして搬送する場合を例にとって説明する。
ちなみにワークWとしては、前記のダッシュパネルロアのほか、図示を省略するが、例えばフロアトンネル部、サイドシル・前後ピラー組立体、後部隔壁などが挙げられる。
図2は、図1のワーク搬送システムSを構成するマテリアルハンドロボット1(ワーク搬送機構)と、接着剤塗布ロボット2(接着剤塗布機構)との斜視図である。
図2に示すように、マテリアルハンドロボット1は、基台11と、旋回部12と、複数の腕部13と、手首旋回部14と、手首曲げ部15と、手首回転部16と、を有する6軸自由度の構造を有する多軸ロボットである。
各腕部13は、関節軸13aを介して回転自在に連結されている。腕部13内には、各関節軸13a周りに各腕部13を回動させる不図示のモータを有している。
手首曲げ部15の先端には、図2中、仮想線(二点鎖線)で示すワークWの取付部(ワーク取付部4)が配置されている。このワーク取付部4については、後に詳しく説明する。
接着剤塗布ロボット2の手首旋回部14の先端には、接着剤を所定流量で突出する接着剤塗布ガン27を備えている。
次に、ワーク取付部4について説明する。
図3は、ワーク取付部4の分解斜視図である。
図3に示すように、ワーク取付部4は、マテリアルハンドロボット1(図2参照)の手首回転部16側から順番に、親治具5(ベースユニット)と、子治具6(中間ユニット)と、孫治具7(ワーク直付けユニット)と、を備えている。
図4に示すように、親治具5(ベースユニット)は、支持フレーム5aと、支持板5bと、を備えている。
これら4つのアダプタ81は、親治具5(ベースユニット)の重心Gを挟んで対を形成しており、各アダプタ81は、重心Gから等距離に位置している。
支持フレーム6aは、長短それぞれ一対の軸部材で矩形の枠状に形成されている。支持フレーム6aの親治具5側には、親治具5のアダプタ81と対応する位置に、後記するクランプ本体82がそれぞれ配置されている。
このクランプ本体82は、後記するように親治具5のアダプタ81と係合する。
これら4つのアダプタ81は、子治具6(中間ユニット)の重心Gを挟んで対を形成しており、各アダプタ81は、重心Gから等距離に位置している。
補強部材6bは、支持フレーム6aを構成する一対の長軸部材の長手方向の略中央部で、これら長軸部材に渡し架けられる一対の軸部材で形成されている。
このようなワーク搬送システムSにおいては、ダッシュパネルロアとは異なるワークWを搬送する際に、マテリアルハンドロボット1(図1参照)は、ワークWに対応した子治具60に持ち変えることとなる。
支持フレーム7aは、長短それぞれ一対の軸部材で矩形の枠状に形成されている。支持フレーム7aの子治具6側には、子治具6のアダプタ81と対応する位置に、後記するクランプ本体82がそれぞれ配置されている。
孫治具7のクランプ本体82は、子治具6のアダプタ81と係合する。
補強部材7bは、支持フレーム7aを構成する一対の長軸部材の長手方向の略中央部で、これら長軸部材に渡し架けられる軸部材で形成されている。
レール部材7eには、長手方向に沿った複数箇所にワークWに対する支持手段7fが設けられている。本実施形態での支持手段7fは、ワークWの所定の箇所に形成された穴7f3に挿通されるねじ7f1と、このねじ7f1に螺合するナット7f2とで構成されている。
ちなみに、複数種類のワークWのそれぞれには、これに対応する孫治具7が予め支持手段7fを介して取り付けられている。つまり、このワーク搬送システムSにおいては、ワークWと孫治具7との一体物が搬送されることとなる。
図3に示すように、固定装置8は、アダプタ81と、このアダプタ81に位置決めされて係合するクランプ本体82と、を備えている。
図5に示すように、アダプタ81は、略円筒形状を有している。このアダプタ81の内側には、アダプタ81の一端側の開口からクランプ本体82の円錐台部材82eが嵌入される。
アダプタ81の内周側には、径方向内側に突出する突起81aを有している。この突起81aには、クランプ本体82の円錐台部材82eが当接するテーパ壁81a1と、クランプ本体82のクランプアーム82dの先端部82d1が係止される係止壁81a2と、が形成されている。
このテーパ壁81a1は、クランプ本体82の後記するベース部82a側から離れるほど突起81aの突出高さが高くなるように傾斜している。
係止壁81a2は、突起81aが径方向内側に突出するほどベース部82a側に近づくように傾斜している。
ピストン82bは、支持部82a1によってベース部82aの内周側に配置されている。このピストン82bは、アクチュエータ82cによって、アダプタ81の内周側に向けて突出し、又は後退するように駆動する。
また、ピストン82bの先端は、円錐台形状になっており、アダプタ81の内周側に向けて突出した際に、クランプアーム82dの先端部82d1をアダプタ81の径方向外側に変位させるようになっている。
また、ピストン82bがアダプタ81の内側から後退することで、係止壁81a2に係止されたクランプアーム82dの鉤状の先端部82d1は解除可能となる。
次に、図1に示す圧着ツール3(圧着機構)について説明する。
圧着ツール3は、マテリアルハンドロボット1(図1参照)から取り外されたワークW(図1参照)と、前記のフロアパネルなどの被着体A(図1参照)とを圧着する。
本実施形態では、子治具6(図3参照)と孫治具7(図3参照)との間に配置された固定装置8(図3参照)において、アダプタ81(図5参照)に対するクランプ本体82(図5参照)の固定が解除されることで、孫治具7とワークWとの一体物は、子治具6から分離される。
図6に示すように、圧着ツール3は、孫治具7を介してワークWを支持する支持フレーム3aと、支持フレーム3aを被着体A(図1参照)に向けて押圧するスライダ3bと、を備えている。図6中、符号3cは、孫治具7を支持フレーム3aに脱着自在に取り付ける連結装置である。この連結装置3cは、前記の固定装置8(図5参照)と同様に構成することができる。
このような圧着ツール3(圧着機構)は、図1に示すように、接着剤塗布ロボット2(接着剤塗布機構)に隣接して配置されている。
次に、本実施形態のワーク搬送システムSの奏する作用効果について説明する。
本実施形態のワーク搬送システムSにおけるマテリアルハンドロボット1(ワーク搬送機構)のワーク取付部4は、親治具5と、親治具5に脱着自在に固定される子治具6と、子治具6に脱着自在に固定されるとともにワークWを固定する孫治具7と、を有している。
また、このワーク搬送システムSによれば、孫治具7を小型・軽量化できるので、親治具5と子治具6も軽量化できる。また、これら治具5,6,7の合体時の重量は、マテリアルハンドロボット1の過般重量を超えることがないように設定する。これにより固定された接着剤塗布ロボット2の接着剤塗布ガンに対するワークWの移動を、マテリアルハンドロボット1は容易に行うことができる。
また、合体した治具5,6,7は、各治具5,6,7の三つに分割することによって、メンテナンス性を向上させることもできる。
このような固定装置8によれば、マテリアルハンドロボット1(ワーク搬送機構)におけるワークWの固定性能、及び位置決め精度が一段と向上する。これにより接着剤塗布ロボット2(接着剤塗布機構)の接着剤塗布ガン27による接着剤の塗布がより正確に行われる。
この場合の重心Gは、マテリアルハンドロボット1の把持する親・子・孫治具5,6,7及びワークWの全体に対する重心位置となる。
なお、マテリアルハンドロボット1に設定される把持部の重量とこの重心位置は設計値となる。また、ワークWがCFRP製部材などのように軽量の場合は、重心Gは、親・子・孫治具5,6,7の組立体の重心とすることもできる。
このようなマテリアルハンドロボット1(ワーク搬送機構)によれば、接着剤塗布ロボット2(接着剤塗布機構)の接着剤塗布ガン27に対してワークWを正確な軌跡で移動させることができる。
このようなワーク搬送システムSによれば、接着剤塗布工程において速硬化性の接着剤を使用することによって、車体フロアの生産性を一段と向上させることができる。
このようなワーク搬送システムSによれば、複数種類のワークWに適用する場合であっても、ワーク取付部4のより一層の小型化・軽量化を達成することができる。
図7は、変形例に係るワーク取付部4の分解斜視図である。
図7に示すように、ワーク取付部4は、ワークWとしてのフロアトンネル部を締結する孫治具7と、孫治具7を脱着自在に取り付ける子治具6と、を備えている。
なお、図7においては、作図の便宜上、子治具6を脱着自在に取り付ける親治具5(図3参照)の記載を省略している。
ワーク保持部9は、支持フレーム7aにおける一対の短辺のそれぞれに設けられ、相互に対向する一対の板体で形成されている。
ワーク保持部9の平面形状は、ワークW(フロアトンネル部)における逆U字の凹部10aに対応する凸部10bで形成されている。
つまり、ワーク保持部9は、ワークWの凹部10aに嵌入した凸部10bにおける頂点で、ワークWを支持している。
支持フレーム7aの子治具6側には、子治具6のアダプタ81と対応する位置に、後記するクランプ本体82がそれぞれ配置されている。
孫治具7のクランプ本体82は、子治具6のアダプタ81と係合する。
支持フレーム6aの孫治具7側の四隅には、孫治具7のクランプ本体82と係合するアダプタ81が配置されている。
図7中、符号82は、親治具5(図3参照)のアダプタ81(図3参照)と係合する子治具6のクランプ本体である。
これによりワーク取付部4は、ワークWの固定性能、及び位置決め精度が一段と向上する。
2 接着剤塗布ロボット(接着剤塗布機構)
3 圧着ツール(圧着機構)
4 ワーク取付部
5 親治具
6 子治具
7 孫治具
7f 支持手段
8 固定装置
9 ワーク保持部
10a 凹部
10b 凸部
15 手首曲げ部(アーム先端)
27 接着剤塗布ガン
60 子治具
81 アダプタ
82 クランプ本体
A 被着体
G 重心
P 位置決め手段
S ワーク搬送システム
W ワーク
Claims (8)
- 多軸ロボットのアーム先端に固定される親治具と、
前記親治具に脱着自在に固定される子治具と、
前記子治具に脱着自在に固定されるとともにワークを固定する孫治具と、
を有するワーク搬送機構を備え、
前記ワーク搬送機構は、前記親治具と前記子治具との間、及び前記子治具と前記孫治具との間のそれぞれに配置されて前記各治具同士を脱着自在に固定する固定装置を有し、
前記固定装置は、アダプタと、前記アダプタに位置決めされて係合するクランプ本体とで構成される位置決め手段を有し、
前記親治具と前記子治具との間に設けられる前記位置決め手段は、少なくとも一対、前記親治具の重心に対して等しい距離に配置され、
前記子治具と前記孫治具との間に設けられる前記位置決め手段は、少なくとも一対、前記子治具の重心に対して等しい距離に配置されているワーク搬送システム。 - 前記ワーク搬送機構は、前記孫治具に前記ワークを支持させる支持手段を有し、
前記支持手段は、前記ワークに形成された穴に挿通されるねじと、前記ねじに螺合するナットとにより構成されている請求項1のワーク搬送システム。 - 前記ワークの所定箇所に接着剤を塗布する接着剤塗布ガンを有する接着剤塗布機構をさらに備え、
前記ワーク搬送機構は、前記接着剤塗布ガンに対して相対的に前記ワークを移動させて前記接着剤を塗布する請求項1のワーク搬送システム。 - 前記ワークは、予め決められた複数種類からなるとともに、前記子治具は、複数種類の前記ワークのそれぞれに応じて複数種類が準備され、準備された複数の前記子治具の置き場所は、前記ワーク搬送機構に隣接するように設定されている請求項3のワーク搬送システム。
- 前記ワークは、凹部を有し、
前記孫治具は、前記ワークの前記凹部に対応する凸部を有し、
前記ワークの前記凹部に嵌入した前記孫治具の前記凸部における頂点で、前記孫治具に前記ワークが支持されている請求項1のワーク搬送システム。 - 前記接着剤を介して前記ワークを被着体に圧着させる圧着機構をさらに備え、
前記圧着機構は、前記接着剤塗布機構に隣接して配置されている請求項3のワーク搬送システム。 - 前記圧着機構には、前記孫治具を介して前記ワークが取り付けられている請求項6のワーク搬送システム。
- 前記ワークは、予め決められた複数種類からなり、複数種類の前記ワークのそれぞれに応じた複数種類の前記孫治具を有している請求項1のワーク搬送システム。
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