JP7021285B2 - 廃水処理システムとその運転方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、油含有水にアニオン界面活性剤を添加した後、膜面線速度1m/sec以上で膜分離する油含有水の膜分離方法の発明が記載されている。ろ過膜としては、MF膜、UF膜が例示され、内圧式チューブラー膜、スパイラス膜が好適であることが記載されている。
特許文献2には、廃水処理するときに管状RO膜による処理工程を実施する発明が記載されており、RO膜の材質としてセルロースアセテート、芳香族ポリアミド、スルホン化ポリエーテルスルホンなどが例示されている。
前記ろ過膜装置が、ろ過膜として酢酸セルロースからなるチューブラー型ろ過膜を含み、ろ過膜エレメントの1または2以上を一セットとして、これを複数セット有しているものであり、
前記廃水源と前記原水タンクがプレフィルターと廃水ポンプを備えた廃水ラインで接続されており、
前記原水タンクと前記ろ過膜装置の複数のろ過膜エレメントセットが、循環ポンプを備えた幹となる原水ラインと、前記幹となる原水ラインから分岐された複数の分岐原水ラインで接続され、前記幹となる原水ラインと前記複数の分岐ラインが1または2以上の原水ライン切り替え弁を介して接続されており、
前記ろ過膜装置の複数のろ過膜エレメントセットが、前記原水ライン切り替え弁を切り替えることで、原水が供給されるろ過膜エレメントセットと原水が供給されないろ過膜エレメントセットに分けることができるものであり、
前記ろ過膜装置のそれぞれのろ過膜エレメントのろ過水出口と前記ろ過水タンクがろ過水ラインで接続されており、
前記ろ過膜装置のそれぞれのろ過膜エレメントの濃縮水出口と前記原水タンクが第1濃縮水ラインで接続されており、
前記ろ過水タンクがろ過水ポンプを備えたろ過水採水ラインに接続されており、
前記原水タンク、前記原水ライン、前記ろ過膜装置、前記第1濃縮水ラインおよび前記原水タンクからなる循環ラインを有している、廃水処理システムと、その運転方法を提供する。
図1~図8により本発明の廃水処理システムの一態様を説明する。図1中、少なくとも破線で囲まれた範囲を有しているものが本発明の廃水処理システムとなる。
含油廃水中の油の種類や濃度は特に限定されるものではなく、例えば、特開2003-93803号公報に記載のn-ヘキサン抽出物量と同じ成分であって、同じ濃度範囲を基準とすることができる。
廃水ライン21には、廃水ポンプ10とプレフィルター2が設置されている。
プレフィルター2は、例えば金網フィルターであり、砂利、ゴミ、砂などを取り除くためのものである。
なお、廃水源からの廃水量などに応じて、廃水ピット1を設置することなく、廃水源から直接原水タンク3に含油廃水を送ることもできる。
原水タンク3の容量は、廃水処理量などに応じて設定することができるものであり、温度調節装置、水位計、温度計は原水タンク3の容量に応じて選択することができる。
例えば、原水タンク3の容量が50m3より少ない場合の水位計として、ロードセルのような重力測定器が設置されていてもよい。
温度調節装置は、図2に示すとおり、原水を加温するための加温装置30、原水を冷却するための冷却装置31および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置32から選ばれる1または2以上のものである。
温度調節装置は、手動、半自動、自動のいかなる運転モードでの運転制御が実施できるものでもよい。
原水を加温するための加温装置30は、公知のヒーター、熱交換器などを使用することができる。
原水を冷却するための冷却装置31は、公知のチラー、熱交換器などを使用することができる。
原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置32は、先端の攪拌部32aの位置を上下できるものを使用することもできるほか、原水タンク3内を循環できるポンプ装置を使用することもできる。
加温装置30、冷却装置31および攪拌装置32は、図示していない外部電源と電気的に接続されている。
なお、加温装置30、冷却装置31および攪拌装置32は、原水タンク3内に設置される必然性を有した装置部分が原水タンク3内に設置されていればよく、それ以外の装置部分は原水タンク3の外に設置することもできる。また、温度計は、原水タンク3内に設置することができるほか、原水タンク3外に設置された反射式温度計などを使用することもできる。
原水タンク3は、図2示すとおり、内部の原水温度を調節するための温度調節装置、温度計(図示していない)、水位計(図示していない)を備えたものを使用することができる。
原水を加温するための加温装置30および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置32の組み合わせからなるもの、
原水を冷却するための冷却装置31および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置32の組み合わせからなるもの、
原水を加温するための加温装置30、原水を冷却するための冷却装置31および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置32の組み合わせからなるもののいずれかの組み合わせからなるものを選択して使用することができる。
ろ過膜装置4は、酢酸セルロースからなるチューブラー型ろ過膜を備えているものであり、チューブラー型ろ過膜の本発明の好ましい一態様はチューブラー型RO膜である。
ろ過膜エレメント40は、図3に示すとおり、多孔支持管41内にチューブラー型RO膜42が配置されているものを使用することができる。
多孔支持管41は、合成樹脂(例えば繊維強化樹脂)または金属(例えばステンレス)からなるものであり、厚さ方向に貫通された多数の孔43が分散配置されている。
チューブラー型RO膜42は、不織布、紙などからなる支持管の内側にRO膜が形成されたものでもよい。
チューブラー型RO膜42の内径は、被処理水の濃度(固形分濃度)に応じて調整することができるものであり、例えば5~15mmの範囲にすることができる。
チューブラー型RO膜42は、廃水の流路が大きいため膜が閉塞し難く、廃水の流入が膜面閉塞物を剥離する方向に流れているため、廃水の高濃度濃縮および凝集物が存在する廃水処理に適している。
図4に示すろ過膜エレメントセット50は、直列配置されたろ過膜エレメント40のうち、隣接するろ過膜エレメント40同士がU字管51で連結されているものである。U字管51に代えて他の連結方法を使用することもできる。
ろ過膜エレメントセット50の第1端開口部50aには第2原水ライン22bが接続され、反対側の第2端開口部50bには第1濃縮水ライン28が接続されている。
ろ過膜エレメントセット50は、例えば、2~10本のろ過膜エレメント40が直列に接続されたものにすることができる。
モジュール型ろ過膜エレメントセット60は、両端面(第1端面62と第2端面63)が閉塞された筒状のケーシング61内にろ過膜エレメントセット50が巻き込まれて円柱状になった形態で収容されているものである。
筒状のケーシング61の第1端面62には、ろ過膜エレメントセット50の原水入り口63と濃縮水出口64が突き出されている。
筒状ハウジング61の側面64からは、ろ過水出口65が突き出されており、さらに図示していない通気孔が形成されている。
モジュール型ろ過膜エレメントセット60は、1または複数を組み合わせて使用することができる。
図6に示すろ過膜装置4は、4本のろ過膜エレメントからなる第1ろ過膜エレメントセット50Aと、4本のろ過膜エレメントからなる第2ろ過膜エレメントセット50Bの2セットを有している。
第1ろ過膜エレメントセット50Aは、第1原水ライン切換え弁35を介して、第2原水ライン22bと第1原水分岐ライン23aで接続されている。
第2ろ過膜エレメントセット50Bは、第1原水ライン切換え弁35を介して、第2原水ライン22bと第2原水分岐ライン23bで接続されている。
第1ろ過膜エレメントセット50Aと第2ろ過膜エレメントセット50Bは、第1ライン切換え弁35を切り替えることによって、第1ろ過膜エレメントセット50Aと第2ろ過膜エレメントセット50Bのいずれか一方のセットのみに原水を流し、他方のセットには原水を流さないようにすることができる。
第1ライン切換え弁35を切り替えは、原水を供給したろ過膜エレメントセット群のろ過膜エレメントのろ過性能の低下を目安として、または予め定められた時間で切り替えることができる。
例えば、過膜エレメントセット群の数が2つの場合は、それらを1日ごとに切り替えて、交互に原水を供給することができる。
図6に示すろ過膜装置4では、第2過膜エレメントセット50Bは第2ろ過水出口25bがろ過水ライン26と接続され、第2濃縮水出口28bが第1濃縮水ライン28と接続されている。
第1ろ過膜エレメントセット50Aは、第1原水ライン切換え弁36aを介して、第2原水ライン22bと第1原水分岐ライン23aで接続されている。
第2ろ過膜エレメントセット50Bは、第1原水ライン切換え弁36aを介して、第2原水ライン22bと第2原水分岐ライン23bで接続されている。
第3ろ過膜エレメントセット50Cは、第2ライン切換え弁36bを介して、第2原水ライン22b、第2原水分岐ライン23b、第3原水分岐ライン23cで接続されている。
(i)第1形態
第1原水ライン切換え弁36aを切り替え、第2原水ライン切換え弁36bを閉じることによって、第1ろ過膜エレメントセット50Aのみに原水を流し、残りの2セットには原水を流さないようにする形態。
(ii)第2形態
第1原水ライン切換え弁36aを切り替え、第2原水ライン切換え弁36bを閉じることによって、第2ろ過膜エレメントセット50Bのみに原水を流し、残りの2セットには原水を流さないようにする形態。
(iii)第3形態
第1原水ライン切換え弁36aを切り替え、第2原水ライン切換え弁36bを閉じることによって、第1ろ過膜エレメントセット50Aと第2ろ過膜エレメントセット50Bの両方に原水を流し、第3ろ過膜エレメントセット50Cには原水を流さないようにする形態。
(iv)第4形態
第1原水ライン切換え弁36aを切り替え、第2原水ライン切換え弁36bを開けることによって、第2ろ過膜エレメントセット50Bと第3ろ過膜エレメントセット50Cに原水を流し、第1ろ過膜エレメントセット50Aには原水を流さないようにする形態。
図7は2つの切換え弁を備えた実施形態であるが、切換え弁を3つ使用することで、第1ろ過膜エレメントセット50A、第2ろ過膜エレメントセット50B、第3ろ過膜エレメントセット50Cのそれぞれのみに原水が供給できるようにすることもできる。
第1ろ過膜エレメントセット50Aの第1濃縮水出口28aと第2過膜エレメントセット50Bの第1濃縮水出口28bは、共用ラインを介して第1濃縮水ライン28と接続されている。
図7に示すろ過膜装置4では、第3ろ過膜エレメントセット50Cは、第3ろ過水出口25cがろ過水ライン26と接続され、第3濃縮水出口28cが第1濃縮水ライン28と接続されている。
第1ろ過膜エレメントセット50Aは、第1原水ライン切換え弁37aを介して、第2原水ライン22bから分岐された第1原水分岐ライン23aと、第1原水分岐ライン23aから分岐された2本の第2原水分岐ライン24a、24bにより接続されている。
第2ろ過膜エレメントセット50Bは、第1原水ライン切換え弁37aを介して、第2原水ライン22bから分岐された第1原水分岐ライン23bと、第1原水分岐ライン23bから分岐された2本の第2原水分岐ライン25a、25bにより接続されている。
ろ過膜装置4の濃縮水出口は、第1濃縮水ライン28により原水タンク3に接続されている。
原水タンク3と濃縮水タンク7は、循環ポンプ11とろ過膜装置4の間の循環ラインから分岐された第2濃縮水ライン30で接続されている。
なお、必要に応じて各ラインには、液体の流れを阻止したり、流したりするための電磁弁などからなる開閉弁を設置することもできる。
図1~図9により本発明の廃水処理システムの運転方法の一態様を説明する。
ろ過工程において、循環ポンプ11を作動させ、原水タンク3内の原水を原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)によりろ過膜装置4に送ってろ過する。
ろ過工程で得られた濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に返送して、原水としてろ過工程を実施する。
ろ過水タンク5内のろ過水は、ろ過水採水ライン29から外部ろ過水タンク8に送って貯水して、必要に応じて工業用水、中水、洗浄用水、防火用水、植木用の水、融雪用や打ち水用の水として再利用することができる。
原水タンク3、原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)、ろ過膜装置4、第1濃縮水ライン28および原水タンク3からなる循環ラインを使用して、上記運転方法を継続実施する。
なお、原水タンク3に濃縮水を返送することで原水中の懸濁質濃度が過度になったときは、原水タンク3内の原水の一部を第2濃縮水ライン30から排出して、濃縮水タンク7に貯水する。
従来このような場合には、循環ポンプ11を停止した状態で廃水ポンプ10を作動させ、廃水ピット1内の廃水を原水タンク3内に供給していた。
しかし、本発明の運転方法では、図2に示す水位計を備えた原水タンク3を使用することで、循環ポンプ11を連続して作動させてろ過運転を継続した状態で、廃水ポンプ10を作動させ、廃水ピット1内の廃水を原水タンク3内に供給することで原水タンク3の水位を維持する水位維持工程を実施することができる。
図9(a)は、運転開始時において原水タンク3内に原水が満水である状態(満水水位:FL)を示している。
満水水位は予め設定することができるものであり、例えば、原水タンクの内容量の80~95%の範囲の原水を満たしたときの水位にすることができる。
このようにして原水タンク3内の原水量が満水水位から所定値(限界水位:LL)まで減少したときを水位計で検知し、図9(c)に示すとおり、廃水ポンプ10を作動させて廃水ピット1から原水タンク3に廃水ライン21により廃水を供給することで、原水タンク3内の水位を満水水位に維持する。
限界水位は、予め決められた原水タンク3の満水水位を基準水位として、前記基準水位から20~70%の範囲で水位が低下したときの水位にすることができる。
このような図9(a)~(c)を繰り返すことで、循環ポンプ11を停止することなく連続的に作動させた状態で、原水タンク3内の原水量(原水の水位)を維持することができる。
例えば、昼間と夜間、夏季と冬季などでは、廃水ピット1の周囲温度に大きな温度が生じることが考えられるため、廃水ピット1内の廃水温度にも違いが生じることになる。
このため昼間と夜間、夏季と冬季などでは、廃水ピット1の廃水が送水される原水タンク3内の原水温度にも変化が生じることになる。
従来このような場合には、原水温度が変化した場合でも、そのままろ過膜装置4に送ってろ過していた。
しかし、このように温度変化の大きい原水と接触を繰り返すろ過膜装置4のろ過膜は、温度変化によるストレスを継続的に受ける結果、劣化が促進され、使用寿命が低下されることになる。
基準温度は、ろ過膜が酢酸セルロース膜であることから、20~30℃の範囲の温度にすることができる。
原水タンク3から幹となる原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)からろ過膜装置4に原水を送るとき、原水ライン切り替え弁35を操作することで、第1ろ過膜エレメントセット50Aのみに原水を送ってろ過工程を実施し、第2ろ過膜エレメントセット50Bには原水は送らない。
第1ろ過膜エレメントセット50Aでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水し、濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
その後、原水ライン切り替え弁35を操作することで、第2ろ過膜エレメントセット50Bのみに原水を送ってろ過工程を実施し、第1ろ過膜エレメントセット50Aには原水は送らず、ろ過を停止する。
第2ろ過膜エレメントセット50Bでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水し、濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
その後は、原水ライン切り替え弁35を操作することで、第1ろ過膜エレメントセット50Aによるろ過運転の実施、第2ろ過膜エレメントセット50Bのろ過運転の停止、第1ろ過膜エレメントセット50Aによるろ過運転の停止、第2ろ過膜エレメントセット50Bのろ過運転の実施を繰り返す。
洗浄剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン型界面活性剤溶液を使用することができる。
洗浄剤濃度は、本発明の好ましい一態様は5~1,000mg/Lであり、本発明の別の好ましい一態様は50~250mg/Lである。
ろ過膜エレメントの浸漬時間は、本発明の好ましい一態様は5~1,440分であり、本発明の別の好ましい一態様は5~300分である。
また、浸漬洗浄と共に洗浄槽中の水溶液を洗浄液として使用し、洗浄槽内または洗浄槽の付近に設置されたポンプからの循環ライン(図示されていない)により循環運転して洗浄することもできる。
循環洗浄するときの洗浄時のろ過圧力(膜エレメントの入口圧力)は0.5~1.5MPa、洗浄時の低循環流量は5~15L/分にすることができる。
さらに、第1ろ過膜エレメントセット50Aおよび第2ろ過膜エレメントセット50Bのいずれか一方のろ過膜エレメントセットへの原水の供給を開始してろ過運転を開始したとき、原水の供給を開始した第1ろ過膜エレメントセット50Aおよび第2ろ過膜エレメントセット50Bのいずれか一方のろ過膜エレメントセットを50~500mg/Lのアニオン型界面活性剤水溶液を用いて、予め定められた時間ごとに、0.7~1.2MPaの入口圧、5~15L/分の循環流量で、1~10分間の循環運転を行う方法を適用できる。この循環運転中は、廃水処理運転を中断する。
前記の予め定められた時間は、一定間隔のろ過運転時間により設定できるほか、ろ過性能の低下を目安として設定することもできる。
(i)第1形態のろ過膜装置4を使用したろ過工程
原水タンク3から幹となる原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)を経てろ過膜装置4に原水を送るとき、第1ライン切換え弁36aを切り替え、第2ライン切換え弁36bを閉じることによって、第1ろ過膜エレメントセット50Aのみに原水を流してろ過工程を実施し、第2ろ過膜エレメントセット50B、第3ろ過膜エレメントセット50C残りのセットには原水を流さず、ろ過工程が実施されないようにする。
第1ろ過膜エレメントセット50Aでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水し、濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
原水タンク3から幹となる原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)を経てろ過膜装置4に原水を送るとき、第1ライン切換え弁36aを切り替え、第2ライン切換え弁36bを閉じることによって、第2ろ過膜エレメントセット50Bのみに原水を流してろ過工程を実施し、第1ろ過膜エレメントセット50Aと第3ろ過膜エレメントセット50Cには原水を流さず、ろ過工程が実施されないようにする。
第2ろ過膜エレメントセット50Bでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水し、濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
原水タンク3から幹となる原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)を経てからろ過膜装置4に原水を送るとき、第1ライン切換え弁36aを切り替え、第2ライン切換え弁36bを閉じることによって、第1ろ過膜エレメントセット50Aと第2ろ過膜エレメントセット50Bに原水を流してろ過工程を実施し、第3ろ過膜エレメントセット50Cには原水を流さず、ろ過工程が実施されないようにする。
第1ろ過膜エレメントセット50Aと第2ろ過膜エレメントセット50Bでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水し、濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
原水タンク3から幹となる原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)を経てろ過膜装置4に原水を送るとき、第1ライン切換え弁36aを切り替え、第2ライン切換え弁36bを開けることによって、第2ろ過膜エレメントセット50Bと第3ろ過膜エレメントセット50Cに原水を流してろ過工程を実施し、第1ろ過膜エレメントセット50Aには原水を流さず、ろ過工程が実施されないようにする。
第2ろ過膜エレメントセット50Bと第3ろ過膜エレメントセット50Cでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水し、濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
原水タンク3から幹となる原水ライン(第1原水ライン22aと第2原水ライン22b)を経てろ過膜装置4に原水を送るとき、原水ライン切り替え弁37aを操作することで、第1ろ過膜エレメントセット50Aのみに原水を送ってろ過工程を実施し、第2ろ過膜エレメントセット50Bには原水は送らない。
第1ろ過膜エレメントセット50Aでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水する。
第1ろ過膜エレメントセット50Aでろ過して生じた濃縮水は、濃縮水ライン切り替え弁37bを操作して、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
その後、原水ライン切り替え弁37aと濃縮水ライン37bを操作することで、第2ろ過膜エレメントセット50Bのみに原水を送ってろ過工程を実施し、第1ろ過膜エレメントセット50Aには原水は送らず、ろ過を停止する。
第2ろ過膜エレメントセット50Bでろ過したろ過水は、ろ過水ライン26からろ過水タンク5に送って貯水し、濃縮水は、第1濃縮水ライン28から原水タンク3に戻し、これを繰り返す。
その後は、原水ライン切り替え弁37aと濃縮水ライン切り替え弁37bを操作することで、第1ろ過膜エレメントセット50Aによるろ過運転の実施、第2ろ過膜エレメントセット50Bのろ過運転の停止、第1ろ過膜エレメントセット50Aによるろ過運転の停止、第2ろ過膜エレメントセット50Bのろ過運転の実施を繰り返す。
ろ過工程を実施しないろ過膜エレメントセットに対して、上記した浸漬洗浄を実施したり、循環洗浄を実施したりする。
図1と図5に示す廃水処理フローにより実施した。
日本国内の工場で発生したアルミダイカスト廃水を処理した。廃水ピット1には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を添加し、濃度が約33ppmになるように制御した。
また、原水タンク3は温度調節装置を備えたものを使用して、原水タンク3内の原水温度が20~30℃の範囲に維持されるようにした。
第1セット50Aと第2セット50Bは、1日毎に切換えて運転を実施した。
第1セット50Aと第2セット50Bのそれぞれの運転入口圧力は2.0~2.4MPa、循環流量は15~18L/分でろ過運転した。
第1セット50Aまたは第2セット50Bを使用したろ過運転開始から6時間後、12時間後、18時間後において、約330ppmの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩水溶液を用いて、低圧(1.0MPa)低循環流量(10L/分)で5分間の循環運転を行った。
また、ろ過運転を実施した第1セット50Aまたは第2セット50Bは、他のセットに切り替えた後、約130ppmの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩水溶液の中に浸漬して洗浄した。
阻止率(%)=(廃水値-ろ過水値)/廃水値×100
(廃水値は、廃水のCOD、BOD、n-ヘキサン抽出物濃度、カルシウム濃度、イオン状シリカ濃度であり、ろ過水値は、ろ過水のCOD、BOD、n-ヘキサン濃度、カルシウム濃度、イオン状シリカ濃度である。)
図10にろ過量と温度の関係を示す。ろ過量の回復値は、約2~2.5L/分で安定しており、長期間継続して廃水濃縮ができるようになる。
実施例1と同じ工場で発生したアルミダイカスト廃水を、実施例1と同じ廃水処理システムを用いて排水処理を行った。
但し、第1セット50Aと第2セット50Bとの切換え間隔および、第1セット50Aまたは第2セット50Bを使用したろ過運転開始から6時間後、12時間後、18時間後において、約330mg/Lの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩水溶液を用いて、低圧(1.0MPa)低循環流量(10L/分)で5分間の循環運転を行うことが定められていなかったことを除いて、実施例1と同様な運転方法で廃水処理を行った。
第2セット50Bから第1セット50Aへの切換え直後の濾過量の回復値は2.6L/分であったが、切り替えから36時間を過ぎて継続的に運転している際に、濾過量の回復値が約1.9L/分まで急激に落ち込む不具合が発生した。
約330mg/Lの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩水溶液を用いて、低圧(1.0MPa)低循環流量(10L/分)での循環運転を1時間行った結果、濾過量の回復値は2.8L/分まで回復した。
2 プレフィルター
3 原水タンク
4 ろ過膜装置
5 ろ過水タンク
13 ポンプ保護用ストレナー
Claims (11)
- 廃水源からの含油廃水が貯水される原水タンク、ろ過膜装置、ろ過水タンクを有する廃水処理システムであって、
前記ろ過膜装置が、ろ過膜として酢酸セルロースからなるチューブラー型ろ過膜エレメントを含むものであり、
前記ろ過膜装置が、1または2以上のろ過膜エレメントを一セットとして、これを複数セット有しているものであり、
前記廃水源と前記原水タンクがプレフィルターと廃水ポンプを備えた廃水ラインで接続されており、
前記原水タンクと前記過膜装置の複数のろ過膜エレメントセットが、循環ポンプを備えた幹となる原水ラインと、前記幹となる原水ラインから分岐された複数の分岐原水ラインで接続され、前記幹となる原水ラインと前記複数の分岐ラインが1または2以上のライン切り替え弁を介して接続されており、
前記ろ過膜装置の複数のろ過膜エレメントセットが、前記ライン切り替え弁を、前記原水を供給したろ過膜エレメントセット群のろ過膜エレメントのろ過性能の低下を目安として予め定められた時間で切り替えることで、原水が供給されるろ過膜エレメントセットと原水が供給されないろ過膜エレメントセットに分けることができるものであり、
前記ろ過膜装置のそれぞれのろ過膜エレメントのろ過水出口と前記ろ過水タンクが、ろ過水ラインで接続されており、
前記ろ過膜装置のそれぞれのろ過膜エレメントの濃縮水出口と前記原水タンクが、第1濃縮水ラインで接続されており、
前記ろ過水タンクがろ過水ポンプを備えたろ過水採水ラインに接続されており、
前記原水タンク、前記原水ライン、前記ろ過膜装置、前記第1濃縮水ラインおよび前記原水タンクからなる循環ラインを有している、廃水処理システム。 - 前記予め定められた時間が6時間~36時間未満である、請求項1記載の廃水処理システム。
- 前記予め定められた時間が6時間~24時間である、請求項1記載の廃水処理システム。
- 前記予め定められた時間が24時間である、請求項1記載の廃水処理システム。
- 前記過膜装置の複数のろ過膜エレメントセットが、第1ろ過膜エレメントセット、第2ろ過膜エレメントセット、第3ろ過膜エレメントセットの3つのろ過膜エレメントセットからなるものであり、
前記原水ラインが、2つの原水ライン切り替え弁を備えた3つの分岐ラインに分岐されており、前記2つの原水ライン切り替え弁が操作されることによって第1形態~第4形態のように原水の流れが制御されるものである、請求項1~4のいずれか1項記載の廃水処理システム。
(i)第1形態
第1ろ過膜エレメントセットのみに原水が流れ、残りの2セットには原水が流れないようにする形態。
(ii)第2形態
第2ろ過膜エレメントセットのみに原水が流れ、残りの2セットには原水が流れないようにする形態。
(iii)第3形態
第1ろ過膜エレメントセットと第2ろ過膜エレメントセットの両方に原水が流れ、第3ろ過膜エレメントセットには原水が流れないようにする形態。
(iv)第4形態
第2ろ過膜エレメントセットと第3ろ過膜エレメントセットに原水が流れ、第1ろ過膜エレメントセットには原水が流れないようにする形態。 - 前記原水タンクが、内部の原水温度を調節するための温度調節装置、温度計、水位計を備えており、
前記温度調節装置が、原水を加温するための加温装置、原水を冷却するための冷却装置および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置から選ばれる1または2以上のものであり、
前記温度調節装置が、
原水を加温するための加温装置および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置の組み合わせからなるもの、
原水を冷却するための冷却装置および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置の組み合わせからなるもの、
原水を加温するための加温装置、原水を冷却するための冷却装置および原水を攪拌して温度を均一にするための攪拌装置の組み合わせからなるもののいずれかの組み合わせであり、
さらに洗浄剤タンクを有しており、前記洗浄剤タンク内の洗浄剤を前記循環ラインに送水するための洗浄剤供給ラインを有している、請求項1~5のいずれか1項記載の廃水処理システム。 - 請求項1~6のいずれか1項記載の廃水処理システムの運転方法であって、
前記循環ポンプを作動させ、前記原水タンク内の原水を原水ラインにより前記複数のろ過膜装置に送ってろ過するろ過工程、
前記ろ過工程で得られたろ過水をろ過水ラインによりろ過水タンクに送って貯水するろ過水の貯水工程、
前記ろ過工程で得られた濃縮水を前記第1濃縮水ラインにより前記原水タンクに返送する工程を有しており、
前記ろ過工程において、前記原水タンクから前記幹となる原水ラインと前記複数の分岐原水ラインにより前記複数のろ過膜エレメントセットに原水を送るとき、前記ライン切り替え弁を操作することで、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットに分けてろ過するろ過工程を実施した後、
前記原水を供給したろ過膜エレメントセット群のろ過膜エレメントのろ過性能の低下を目安として予め定められた時間で、前記ライン切り替え弁を切り替えることで、原水を供給していたろ過膜エレメントセットへの原水の供給を停止し、原水を供給しなかったろ過膜エレメントセットへの原水の供給を開始し、
その後順番に、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットを切り替えてろ過する、廃水処理システムの運転方法。 - 前記ろ過工程において、原水を供給していたろ過膜エレメントセットへの原水の供給を停止した後、前記原水の供給を停止したろ過膜エレメントセットを洗浄剤が入った洗浄槽に浸漬することでろ過膜エレメントを浸漬洗浄する、請求項7記載の廃水処理システムの運転方法。
- 請求項6記載の廃水処理システムの運転方法であって、
前記循環ポンプを作動させ、前記原水タンク内の原水を原水ラインにより前記複数のろ過膜装置に送ってろ過するろ過工程、
前記ろ過工程で得られたろ過水をろ過水ラインによりろ過水タンクに送って貯水するろ過水の貯水工程、
前記ろ過工程で得られた濃縮水を前記第1濃縮水ラインにより前記原水タンクに返送する工程を有しており、
前記ろ過工程において、前記原水タンクから前記幹となる原水ラインと前記複数の分岐原水ラインにより前記複数のろ過膜エレメントセットに原水を送るとき、前記ライン切り替え弁を操作することで、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットに分けてろ過するろ過工程を実施した後、
前記原水を供給したろ過膜エレメントセット群のろ過膜エレメントのろ過性能の低下を目安として予め定められた時間で、前記ライン切り替え弁を切り替えることで、原水を供給していたろ過膜エレメントセットへの原水の供給を停止し、原水を供給しなかったろ過膜エレメントセットへの原水の供給を開始し、
その後順番に、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットを切り替えてろ過し、
さらに前記循環ポンプを連続して作動させてろ過運転を継続した状態で、前記原水タンク内の原水量が満水水位から所定値まで減少したときを水位計で検知し、前記廃水ポンプを作動させて前記廃水源から前記原水タンクに廃水を供給することで、前記原水タンク内の水位を満水水位に維持する水位維持工程と、
前記温度調節装置を作動させることで、前記原水タンク内の原水温度の変化を抑制する原水の温度調節工程を有している、廃水処理システムの運転方法。 - 請求項6記載の廃水処理システムの運転方法であって、
前記循環ポンプを作動させ、前記原水タンク内の原水を原水ラインにより前記複数のろ過膜装置に送ってろ過するろ過工程、
前記ろ過工程で得られたろ過水をろ過水ラインによりろ過水タンクに送って貯水するろ過水の貯水工程、
前記ろ過工程で得られた濃縮水を前記第1濃縮水ラインにより前記原水タンクに返送する工程を有しており、
前記ろ過工程において、前記原水タンクから前記幹となる原水ラインと前記複数の分岐原水ラインにより前記複数のろ過膜エレメントセットに原水を送るとき、前記ライン切り替え弁を操作することで、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットに分けてろ過するろ過工程を実施した後、
前記原水を供給したろ過膜エレメントセット群のろ過膜エレメントのろ過性能の低下を目安として予め定められた時間で、前記ライン切り替え弁を切り替えることで、原水を供給していたろ過膜エレメントセットへの原水の供給を停止し、原水を供給しなかったろ過膜エレメントセットへの原水の供給を開始し、
その後順番に、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットを切り替えてろ過し、
さらに前記循環ポンプを連続して作動させてろ過運転を継続した状態で、前記原水タンク内の原水量が満水水位から所定値まで減少したときを水位計で検知し、前記廃水ポンプを作動させて前記廃水源から前記原水タンクに廃水を供給することで、前記原水タンク内の水位を満水水位に維持する水位維持工程を有しており、
前記原水タンクの水位維持工程が、予め決められた原水タンクの満水水位を基準水位として、前記基準水位から20~70%の範囲で水位が低下したとき、前記廃水ポンプを作動させて前記廃水源から前記原水タンクに廃水を供給する工程であり
前記満水水位が、前記原水タンクの内容量の80~95%の範囲の原水を満たしたときの水位である、廃水処理システムの運転方法。 - 請求項6記載の廃水処理システムの運転方法であって、
前記循環ポンプを作動させ、前記原水タンク内の原水を原水ラインにより前記複数のろ過膜装置に送ってろ過するろ過工程、
前記ろ過工程で得られたろ過水をろ過水ラインによりろ過水タンクに送って貯水するろ過水の貯水工程、
前記ろ過工程で得られた濃縮水を前記第1濃縮水ラインにより前記原水タンクに返送する工程を有しており、
前記ろ過工程において、前記原水タンクから前記幹となる原水ラインと前記複数の分岐原水ラインにより前記複数のろ過膜エレメントセットに原水を送るとき、前記ライン切り替え弁を操作することで、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットに分けてろ過するろ過工程を実施した後、
前記原水を供給したろ過膜エレメントセット群のろ過膜エレメントのろ過性能の低下を目安として予め定められた時間で、前記ライン切り替え弁を切り替えることで、原水を供給していたろ過膜エレメントセットへの原水の供給を停止し、原水を供給しなかったろ過膜エレメントセットへの原水の供給を開始し、
その後順番に、原水を供給するろ過膜エレメントセットと原水を供給しないろ過膜エレメントセットを切り替えてろ過し、
さらに前記循環ポンプを連続して作動させてろ過運転を継続した状態で、前記温度調節装置を作動させることで、前記原水タンク内の原水温度の変化を抑制する原水の温度調節工程を有しており、
前記温度調節工程が、前記廃水源から前記原水タンク内に廃水を供給したとき、
運転開始時における前記原水タンク内の原水温度を基準温度として、
前記廃水の温度が前記基準温度よりも低いときは、前記加温装置で加温する方法、前記攪拌装置で攪拌する方法および前記二つの方法を組み合わせる方法のいずれか一つの方法を実施し、
前記廃水の温度が前記基準温度よりも高いときは、前記冷却装置で冷却する方法、前記攪拌装置で攪拌する方法および前記二つの方法を組み合わせる方法のいずれか一つの方法を実施する、廃水処理システムの運転方法。
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