JP7020238B2 - 静電チャック装置 - Google Patents
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Description
例えば、この板状試料にプラズマ雰囲気下にてエッチング処理等を施す場合、プラズマの熱により板状試料の表面が高温になり、表面のレジスト膜が張り裂ける(バーストする)等の問題が生じる。
そこで、この板状試料の温度を所望の一定の温度に維持するために、静電チャック装置が用いられている。静電チャック装置は、上記の静電チャック部材の下面に、金属製の部材の内部に温度制御用の冷却媒体を循環させる流路が形成された温度調整用ベース部材を、シリコーン系接着剤を介して接合・一体化した装置である。
この静電チャック装置では、温度調整用ベース部材の流路に温度調整用の冷却媒体を循環させて熱交換を行い、静電チャック部材の上面に固定された板状試料の温度を望ましい一定の温度に維持しつつ静電吸着し、この板状試料に各種のプラズマ処理を施すようになっている。
本発明の一態様においては、前記碍子の前記静電チャック部材側の端面は、前記温度調整用ベース部材の前記静電チャック部材側の面と同一面上としてもよい。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る静電チャック装置について説明する。
なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率等は適宜異ならせてある。
以下の説明においては、載置板11の載置面11a側を「上」、温度調整用ベース部材3側を「下」として記載し、各構成の相対位置を表すことがある。
静電チャック部材2は、上面が半導体ウエハ等の板状試料を載置する載置面11aとされたセラミックスからなる載置板11と、載置板11の載置面11aとは反対の面側に設けられた支持板12と、これら載置板11と支持板12との間に挟持された静電吸着用電極13と、載置板11と支持板12とに挟持され静電吸着用電極13の周囲を囲む環状の絶縁材14と、静電吸着用電極13に接するように支持板12の固定孔15内に設けられた給電端子16と、を有している。
載置板11の載置面11aには、半導体ウエハ等の板状試料を支持するための多数の突起が立設され(図示略)ている。さらに、載置板11の載置面11aの周縁部には、ヘリウム(He)等の冷却ガスが漏れないように、幅が1mm以上かつ5mm以下、高さが上記の突起と同じ高さの周縁壁が形成され(図示省略)ている。この周縁壁の内側は、板状試料を静電吸着する吸着領域とされている。上記の冷却ガス導入孔17を介して、載置板11の載置面11aと突起頂面に載置された板状試料との隙間に、冷却ガスが供給されるようになっている。
支持板12は、載置板11と静電吸着用電極13を下側から支持している。
支持板12の厚さは、0.3mm以上かつ3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがより好ましい。支持板12の厚さが0.3mm以上であれば、充分な耐電圧を確保することができる。一方、支持板12の厚さが3.0mm以下であれば、静電チャック部材2の静電吸着力が低下することがなく、載置板11の載置面11aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性が低下することもなく、処理中の板状試料の温度を好ましい一定の温度に保つことができる。
静電吸着用電極13では、電圧を印加することにより、載置板11の載置面11aに板状試料を保持する静電吸着力が生じる。
絶縁材14は、静電吸着用電極13を囲繞して腐食性ガスおよびそのプラズマから静電吸着用電極13を保護するためのものである。
絶縁材14は、載置板11および支持板12と同一組成、または主成分が同一の絶縁性材料から構成されている。絶縁材14により、載置板11と支持板12とが、静電吸着用電極13を介して接合一体化されている。
給電端子16は、静電吸着用電極13に電圧を印加するためのものである。
給電端子16の数、形状等は、静電吸着用電極13の形態、すなわち単極型か、双極型かにより決定される。
温度調整用ベース部材3は、金属およびセラミックスの少なくとも一方からなる厚みのある円板状のものである。温度調整用ベース部材3の躯体は、プラズマ発生用内部電極を兼ねた構成とされている。温度調整用ベース部材3の躯体の内部には、水、Heガス、N2ガス等の冷却媒体を循環させる流路(図示略)が形成されている。また、温度調整用ベース部材3の躯体の内部には、静電チャック部材2と同様に、固定孔15も形成されている。さらに、温度調整用ベース部材3の躯体の内部には、温度調整用ベース部材3を厚さ方向に貫通する収容孔18が形成されている。
碍子21には、碍子21の中央部を、その厚さ方向に貫通する貫通孔22が形成されている。碍子21に設けられた貫通孔22は、静電チャック部材2および接合層4に設けられた冷却ガス導入孔17と連通している。すなわち、温度調整用ベース部材3における冷却ガス導入孔17は、収容孔18内に配置された碍子21を厚さ方向に貫通する貫通孔22である。
温度調整用ベース部材3側における水平断面の直径と、静電チャック部材2側における水平断面の直径との差が0.2mm以上であれば、碍子21と接合層4の界面の長さが長くなり、耐電圧性が十分に向上する。一方、温度調整用ベース部材3側における水平断面の直径と、静電チャック部材2側における水平断面の直径との差が1.0mm以下であれば、接合層4の厚さが厚くなることにより静電チャック部材2の温度の温度にばらつきが生じることを抑えられる。
温度調整用ベース部材3における少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理またはポリイミド系樹脂による樹脂コーティングが施されていることが好ましい。また、温度調整用ベース部材3の全面が、前記のアルマイト処理または樹脂コーティングが施されていることがより好ましい。
接合層4は、図2に示すように、硬化体であるシリコーン系樹脂組成物と、フィラーとを含有する複合材料41に、静電チャック部材2を平面視した場合に多角形状のセラミックスからなるスペーサ42が複数個、同一平面内に略一定の密度で略規則的に配列されている。静電チャック部材2を平面視するとは、静電チャック部材2を載置板11の載置面11a側から視ることである。また、接合層4は、温度調整用ベース部材3に設けられた収容孔18内に延在し、収容孔18に碍子21を接合・一体化している。さらに、さらに、接合層4の内部には、静電チャック部材2と同様に、固定孔15および冷却ガス導入孔17も形成されている。
シリコーン系樹脂組成物としては、公知文献(特開平4-287344号公報)に記載されているシリコーン樹脂を用いることができる。
このシリコーン樹脂は、耐熱性、弾性に優れた樹脂であり、シロキサン結合(Si-O-Si)を有するケイ素化合物重合体である。このシリコーン樹脂は、例えば、下記の化学式(1)、化学式(2)で表すことができる。
AlN+3H2O→Al(OH)3+NH3 (3)
被覆層の厚さが0.005μm以上であれば、窒化アルミニウム(AlN)の耐水性(耐湿性)を充分に発現することができる。一方、被覆層の厚さが0.05μm以下であれば、表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子の熱伝導性が低下することがなく、ひいては載置板11の載置面11aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性が低下することがない。したがって、処理中の板状試料の温度を好ましい一定の温度に保つことができる。
この表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子の平均粒径が1μmを下回ると、粒子同士の接触が不十分となり、結果的に熱伝導率が劣化する虞があり、また、粒径が細か過ぎると取扱等の作業性の低下を招くこととなり好ましくない。一方、平均粒径が20μmを越えると、局所的に見た場合、接合層4内におけるシリコーン系樹脂組成物の占める割合が減少し、接合層4の伸び性、接着強度の低下を招くことがあり、また、その場合、粒子の脱離が発生し易くなり、接合層4に空孔(ポア)が生じることとなり、結果的に熱伝導性、伸び性、接着強度の劣化を招くので好ましくない。
この表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子の含有量が20vol%を下回ると,接合層4の熱伝導性が低下し、ひいては載置板11の載置面11aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性が低下し、処理中の板状試料の温度を好ましい一定の温度に保つことが困難なものとなるからであり、一方、含有量が40vol%を越えると、接合層4の伸び性が低下して熱応力緩和が不充分となり、載置板11の載置面11aの平坦度、平行度が劣化するのみならず、支持板12と温度調整用ベース部材3との間の接合力が低下し、両者間で剥離が生じる虞があるからである。
この接合層4の厚みが50μmを下回ると、静電チャック部材2と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性は良好となるものの、熱応力緩和が不充分となるからであり、一方、接合層4の厚みが180μmを超えると、静電チャック部材2と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性を十分確保することができず、またプラズマ透過性も低下するからである。
例えば、直径298mmの静電チャック部材2と直径298mmの温度調整用ベース部材3とを接合する場合には、温度調整用ベース部材3の接合面に20g~22g、静電チャック部材2の接合面に15g~17g、それぞれ塗布する。
接合層の絶縁破壊強度を測定するために、図3に示す試験体を作製した。
図3に示す試験体100は、金属板101と、金属板101の一方の面(上面)101aに設けられた接合層102と、金属板101の一方の面101aにおいて、接合層102を囲繞するように設けられた筐体103と、筐体103により保持され、筐体103内にて一端部が接合層102内に配置された金属電極104と、導線105を介して金属板101と電気的に接続されるとともに、導線106を介して金属電極104と電気的に接続された高圧電源107と、を備える。
また、金属電極104は、その一端面(下面)104aが金属板101の一方の面101aと対向するように配置されている。
金属板101の一方の面101aに金属電極104の一端面104aが対向し、金属板101の一方の面101aと金属電極104の一端面104aの距離d1が所定の長さとなるように、金属電極104を配置した。
次いで、上記の接着剤を金属板101の一方の面101aに塗布して塗膜を形成し、その塗膜を150℃にて1時間加熱して硬化させ、金属板101の一方の面101aに接合層102を形成した。この際、金属電極104の一端部(一端面104a側の端部)を接合層102内に配置した。
次いで、高圧電源107を用いて、金属板101-金属電極104間に電圧を徐々に印加していき、絶縁破壊することで電流が流れる電圧を調べた。なお、金属板101の一方の面101aと金属電極104の一端面104aの距離d1を、0.2mm、0.5mm、1.0mmと変化させた。
結果を表1に示す。
接合層と碍子の界面の絶縁破壊強度を測定するために、図4に示す試験体を作製した。
図4に示す試験体200は、アルミナ板201と、アルミナ板201の一方の面(上面)201aに設けられた金属板202と、金属板202の一方の面(上面)202aに設けられた筒状の碍子203と、碍子203を厚さ方向に貫通する貫通孔203a内および金属板202を厚さ方向に貫通する貫通孔202a内に配置された金属電極204と、アルミナ板201の一方の面(上面)201aにおいて、金属板202の貫通孔202a内に設けられ、金属電極204をアルミナ板201および金属板202に接合する接合層205と、導線206を介して金属板202と電気的に接続されるとともに、導線207を介して金属電極204と電気的に接続された高圧電源208と、を備える。
また、金属電極204は、その一端面(下面)204aがアルミナ板201の一方の面201aと接するように配置されている。
アルミナ板201の一方の面201aに金属電極204の一端面204aが接し、金属板202の貫通孔202a内に配置された金属電極204の外面204bと、金属板202の貫通孔202aの内側面202bとの距離d2が所定の長さとなるように、金属電極204を配置した。
次いで、金属板202の貫通孔202a内において、アルミナ板201の一方の面201aに、上記の接着剤を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を150℃にて1時間加熱して硬化させ、アルミナ板201の一方の面201aに接合層205を形成した。この際、金属電極204の一端部(一端面204a側の端部)を接合層205内に配置した。
次いで、高圧電源208を用いて、金属板202-金属電極204間に電圧を徐々に印加していき、絶縁破壊することで電流が流れる電圧を調べた。なお、金属板202の貫通孔202a内に配置された金属電極204の外面204bと、金属板202の貫通孔202aの内側面202bとの距離d2を、0.2mm、0.5mm、1.0mmと変化させた。
結果を表1に示す。
また、接合層の絶縁破壊強度は、50kV以上であり、碍子の絶縁破壊強度よりも高く、接合層と碍子の界面の絶縁破壊強度の4倍以上であることが分かった。
以上の実験結果から、温度調整用ベース部材とウエハの間における絶縁破壊に起因する放電を防ぐために、十分な耐電圧性を確保するためには、接合層と碍子の界面の距離を確保する必要があることが分かった。
碍子のテーパ部の効果を確認するために、図5に示す静電チャック装置を作製した。テーパ部23における静電チャック部材2側の外径がd3、テーパ部23における温度調整用ベース部材3側の外径がd4となるように、碍子21を作製した。
まず、温度調整用ベース部材3の収容孔18内に碍子21を挿入し、加熱硬化型シリコーン接着剤4を介して、温度調整用ベース部材3に碍子21を接着した。
次に、碍子21の貫通孔22の位置と静電チャック部材2の冷却ガス導入孔17の位置を合せて、加熱硬化型シリコーン接着剤4を介して、温度調整用ベース部材3と静電チャック部材2を接着し、温度調整用ベース部材3と静電チャック部材2の間に接合層4を形成した。その際、接合層4が碍子21の貫通孔22内にはみ出さないように施工した。
静電チャック部材2における碍子21と対向する部分およびその近傍の耐電圧を評価するために、以下の試験を実施した。
まず、静電チャック部材2の冷却ガス導入孔17をテフロン(登録商標)テープで塞いだ後、静電チャック部材2側が下になるように静電チャック装置を配置した。
碍子21の貫通孔22の内部に水を注入し、貫通孔22の内部に電極を挿入し、温度調整用ベース部材3と電極間に10kVの電圧を印加し、10分間保持した。
10分間で電流値が増加した場合、絶縁破壊したとして不良と判定した。各条件で12箇所の貫通孔22の評価を行った。
結果を表2に示す。
このように、碍子にテーパ部を設けた場合でも、接合層の内部を通って最短距離で放電することはなく、強度が低い接合層と碍子の界面で放電することや、接合層と碍子の界面の距離で耐電圧性が決まることが分かった。
2 静電チャック部材
3 温度調整用ベース部材
4 接合層(加熱硬化型シリコーン接着剤)
11 載置板
11a 載置面
12 支持板
13 静電吸着用電極
14 絶縁材
15 固定孔
16 給電端子
17 冷却ガス導入孔
18 収容孔
21 碍子
22 貫通孔
23 テーパ部
31 高周波電源
32 絶縁材料
33 直流電源
41 複合材料
42 スペーサ
Claims (3)
- セラミックスからなる静電チャック部材と、金属からなる温度調整用ベース部材とを、接合層を介して接合してなる静電チャック装置であって、
前記静電チャック部材、前記温度調整用ベース部材および前記接合層に、その厚さ方向に貫通する冷却ガス導入孔が設けられ、
前記温度調整用ベース部材を厚さ方向に貫通する収容孔内に、前記接合層を介してセラミックスからなる碍子が接合され、
前記温度調整用ベース部材における前記冷却ガス導入孔は、前記収容孔内に配置された前記碍子を厚さ方向に貫通する貫通孔であり、
前記碍子は、前記静電チャック部材側の端部において、前記温度調整用ベース部材側から前記静電チャック部材側に向けて水平断面の面積が徐々に小さくなるテーパ部を有し、
前記テーパ部と前記接合層の間に界面がある静電チャック装置。 - 前記テーパ部は、前記温度調整用ベース部材側における水平断面の直径と、前記静電チャック部材側における水平断面の直径との差が0.2mm以上かつ1.0mm以下である請求項1に記載の静電チャック装置。
- 前記碍子の前記静電チャック部材側の端面は、前記温度調整用ベース部材の前記静電チャック部材側の面と同一面上にある請求項1または2に記載の静電チャック装置。
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