A.第1実施例:
A1.排水処理装置800の構成:
図1は、一実施例としての排水処理装置800の処理フローを示す説明図である。本実施例の排水処理装置800は、一般家庭等からの排水(原水とも呼ばれる)の浄化処理を行う(このような装置は「浄化槽」とも呼ばれる)。排水処理装置800は、複数のステップを経て浄化処理を行うために、上流側(図1の左側)から順番に、沈殿分離槽810、嫌気濾床槽820、接触濾床槽830、処理水槽840、消毒槽850を、有している。流入口802を通じて排水処理装置800に流入した排水は、沈殿分離槽810、嫌気濾床槽820、接触濾床槽830、処理水槽840、消毒槽850で順次処理された後に、放流口804を通じて排水処理装置800の外部に放流される。以下、各水処理槽を流れる水を「被処理水」あるいは、単に「水」と呼ぶ。
図2は、横を向いて見た排水処理装置800の概略図である。図3は、鉛直下方向を向いて見た排水処理装置800の概略図である。図2中の基準水位WLは、排水処理装置800に予め対応付けられた、通常時の水位である。また、図2、図3中には、3つの方向X、Y、Zが示されている。Z方向は、鉛直方向の下方から上方へ向かう方向を示し、X方向は、排水処理装置800の長手方向(水平な方向)であって、流入口802から放流口804へ向かう方向を示し、Y方向は、X方向とZ方向とのそれぞれと直交する方向(水平な方向)を示している。以下、Y方向を、幅方向Yとも呼ぶ。また、X方向側を「+X側」とも呼び、X方向の反対方向側を「-X側」とも呼ぶ。Y方向、Z方向についても、同様である。また、鉛直上方向を、上方向Zとも呼び、鉛直下方向を、下方向-Zとも呼ぶ。また、図中には、2つの方向D1、D2が示されている。第1方向D1は、X方向の反対の方向である。第2方向D2は、第1方向D1の反対の方向であり、X方向と同じである。
沈殿分離槽810は、排水中の固形物を分離する水処理槽である。沈殿分離槽810には、流入バッフル812が設けられている。沈殿分離槽810の+X側には、沈殿分離槽810と嫌気濾床槽820とを仕切る仕切板200が設けられている。本実施例では、仕切板200は、排水処理装置800の外壁801(槽本体801とも呼ぶ)に接続されており、槽本体801によって形成される内部空間を、X方向に対して垂直に、2つの部分に仕切っている。この仕切板200には、沈殿分離槽810と嫌気濾床槽820とを連通する移流開口814が、形成されている。
流入口802(図1)から沈殿分離槽810へ流入した水は、流入バッフル812によって、沈殿分離槽810の下部へ導かれる。そして、固形物が沈降分離された後の水は、移流開口814を通じて、嫌気濾床槽820へ移流する。
嫌気濾床槽820は、嫌気性微生物による嫌気処理を行う水処理槽である。嫌気濾床槽820内には、濾材826が収容され、そして、移流バッフル823が設けられている。濾材826には、嫌気性微生物が付着し得る。濾材826に付着した嫌気性微生物によって、嫌気処理が進行する。濾材826(図2)は、嫌気濾床槽820の底よりも高く、移流開口814よりも低い位置に、配置されている。濾材826としては、網状の部分を含む部材や、板状の部分を含む部材など、微生物を保持可能な種々の部材を採用可能である。
嫌気濾床槽820の+X側には、接触濾床槽830と処理水槽840とを含む空間と、嫌気濾床槽820と、を仕切る仕切板300が設けられている。本実施例では、仕切板300は、槽本体801に接続されており、槽本体801の内部空間を、X方向に対して垂直に、2つの部分に仕切っている。
移流バッフル823は、仕切板300の嫌気濾床槽820側に、固定されている。図3に示すように、鉛直下方向(-Z方向)を向いて見る場合に、移流バッフル823の形状は、アーチ状である。また、図2に示すように、移流バッフル823は、嫌気濾床槽820の底より高く、かつ、濾材826の下端以下の位置から、基準水位WLよりも高い位置まで、延びている。仕切板300のうち、この移流バッフル823に覆われた部分に、嫌気濾床槽820と接触濾床槽830とを連通する開口824が、形成されている。開口824は、仕切板300の上部に設けられており、基準水位WLは、この開口824の途中に位置している。
移流開口814(図2)から嫌気濾床槽820に流入した水は、濾材826が配置された領域を通って下方に流れる。そして、水は、移流バッフル823内を上方に向かって移動し、開口824を通じて、接触濾床槽830へ移流する。
嫌気濾床槽820では、濾材826に付着した嫌気性微生物による嫌気処理によって、被処理水中の有機物が分解される。また、後述するように、嫌気濾床槽820には、接触濾床槽830で好気処理された水(硝酸イオンを含む水(硝化液とも呼ばれる))が、循環エアリフトポンプ860と沈殿分離槽810とを通じて、流入する。嫌気濾床槽820では、嫌気性微生物に含まれる脱窒菌の働きにより、硝酸イオンが還元されて窒素ガスが生成され、生成された窒素ガスが空気中に放出される(いわゆる脱窒)。また、濾材826は、被処理水中の浮遊物を捕捉し得る。
仕切板300の+X側には、処理水槽840を形成する壁部材400が固定されている。図3に示すように、鉛直下方向を向いて見る場合に、壁部材400の形状は、U字状である。また、図2に示すように、壁部材400は、槽本体801の底の近傍から、基準水位WLよりも高い位置まで、延びている。壁部材400と仕切板300とで囲まれる空間が、処理水槽840に相当する。壁部材400と槽本体801とに挟まれる空間が、接触濾床槽830に相当する。開口824は、仕切板300における嫌気濾床槽820と接触濾床槽830との境界を成す部分に、形成されている。
接触濾床槽830は、好気性微生物による好気処理を行う水処理槽である。図3に示すように、接触濾床槽830は、処理水槽840の三方(+Y方向、+X方向、-Y方向)を囲むように形成されている。接触濾床槽830内には、好気性微生物が付着するための接触材832が、収容されている。接触材832は、処理水槽840の両側(+Y側と-Y側)に配置されている(図3)。また、接触濾床槽830は、接触材832よりも下に配置された散気装置834を有している。散気装置834には、図示しないブロワー(送風機)が接続される。散気装置834は、ブロワーによって供給された空気を、接触濾床槽830内に供給する。好気性微生物は、空気に含まれる酸素を利用して、被処理水中の有機物を分解する。接触濾床槽830で処理された水は、接触濾床槽830の底部と処理水槽840の底部とを連通する移流開口836を通じて、処理水槽840に移流する。
処理水槽840は、接触濾床槽830から移流した水を一時的に滞留して、水中の固形物(例えば、汚泥や浮遊物質等)を沈降・分離する水処理槽である。処理水槽840は、底部から水が流入する上向流の水処理槽である。
図2に示すように、処理水槽840の下部分849は、いわゆるホッパー構造を有している(以下、この下部分849を「ホッパー部分849」とも呼ぶ)。ホッパー部分849は、いわゆる3面ホッパー構造を有しており、処理水槽840の断面積(水平な断面積)は、底に近いほど小さい。処理水槽840において分離された固形物は、ホッパー部分849によって、処理水槽840の底部(処理水槽840の上部よりも狭い空間)に集められる。
図2に示すように、仕切板300の下端は、槽本体801の底面に接続されている。一方、壁部材400の下端は、槽本体801の底面から離れている。壁部材400の下端と、槽本体801の底面との間の隙間は、移流開口836に相当する。
図2に示すように、処理水槽840には、循環エアリフトポンプ860が設けられている。循環エアリフトポンプ860は、処理水槽840の底部から基準水位WLよりも上まで上方に向かって延びる第1移流管861と、第1移流管861の上部に接続されて、沈殿分離槽810の上方まで、緩い下り勾配で延びる第2移流管863と、を有している。第1移流管861の底部側の端は吸入口862を形成している。第2移流管863の沈殿分離槽810側の端は流出口864を形成している。流出口864は、流入バッフル812内に配置されている。循環エアリフトポンプ860は、処理水槽840の底部から沈殿分離槽810へ、固形物や水を移送(返送)する。上述したように、処理水槽840で分離された固形物は、処理水槽840のホッパー部分849によって、底部(ここでは、吸入口862の近傍)の狭い空間に集められる。この結果、循環エアリフトポンプ860は、分離された固形物を、処理水槽840から沈殿分離槽810へ、容易に移送できる。なお、循環エアリフトポンプ860は、上述した図示しないブロワーからの空気によって、駆動される。ブロワーからの空気の分配量は、図示しないバルブによって調整される。循環エアリフトポンプ860は定常的に駆動されてよい。また、循環エアリフトポンプ860を間欠駆動してもよい。
消毒槽850は、被処理水を消毒する水処理槽である。消毒槽850は、処理水槽840の上部に配置されている(図2)。消毒槽850には、基準水位WLの高さに配置された流入口852が設けられている。処理水槽840の基準水位WLの近傍の水(固形物が分離された水)は、流入口852から消毒槽850に流入する。消毒槽850は、消毒剤(例えば、固形塩素剤)が充填された薬剤筒854を有している。消毒槽850において、被処理水は消毒剤と接触し、消毒剤によって被処理水が消毒される。消毒された水は、放流口804を通じて、排水処理装置800の外部へ放流される。
図4は、外壁801と仕切板200、300との分解斜視図である。外壁801は、下槽部600と上槽部700とを有している。下槽部600は、上方向を向く開口690を形成する有底の容器状の部材であり、外壁801の下側の一部分を形成している。下槽部600は、開口690の縁を形成するとともに外周側に向かって突出する下フランジ部680を有している。下フランジ部680は、開口690の縁の全周に亘って、設けられており、水平な方向に拡がる板状の部分である。
上槽部700は、下方向を向く開口790を形成する有底の容器状の部材であり、外壁801の上側の一部分を形成している。上槽部700は、流入口802(図4中では、流入口802は、後ろに隠れている)と、複数のマンホール開口805と、放流口804と、を有している。また、上槽部700は、開口790の縁を形成するとともに外周側に向かって突出する上フランジ部780を有している。上フランジ部780は、開口790の縁の全周に亘って、設けられており、水平な方向に拡がる板状の部分である。
後述するように、排水処理装置800の製造時には、下槽部600に、仕切板200、300と、各水処理槽810~850の部材と、が取り付けられる。そして、下槽部600の上から、上槽部700が被せられる。下槽部600の下フランジ部680上に、上槽部700の上フランジ部780が重なった状態で、上槽部700が下槽部600に固定される(例えば、接着剤を用いてフランジ部780、680が固定される)。そして、下槽部600と上槽部700とによって、外壁801が形成される。このように、上槽部700と下槽部600とによって囲まれる空間内に、水処理槽810~850が収容される。
また、下槽部600は、内側に向かって凹む2つの凹部610、620を有している。第2凹部620は、第1凹部610よりも+X側に配置されている。凹部610、620は、それぞれ、X方向に垂直に、下フランジ部680の+Y側の部分から、下槽部600の底部を経由して、下フランジ部680の-Y側の部分へ至る、連続な溝状の部分である。下槽部600に凹部610、620を設けることによって、下槽部600の強度を向上できる。
上槽部700は、凹部710、720を有している。第1凹部710は、下槽部600の第1凹部610の上方側に接続される凹部分であり、X方向に垂直に、上フランジ部780から上槽部700の最上部の手前まで延びている。第1凹部710は、上槽部700の+Y側の側壁部に形成される部分と、-Y側の側壁部に形成される部分(図4では、上槽部700の後ろに隠れて図示されていない)と、を含んでいる。第2凹部720は、下槽部600の第2凹部620の上方側に接続される凹部分である。第2凹部720の構成は、第1凹部710の構成と、同じである。上槽部700に凹部710、720を設けることによって、上槽部700の強度を向上できる。
なお、このように槽本体801の内側に向かって凹む凹部610、620、710、720は、コルゲートとも呼ばれる(以下、コルゲート610、620、710、720とも呼ぶ)。
図5は、仕切板200の説明図である。図5(A)は、仕切板200の+X側を示す斜視図であり、図5(B)は、仕切板200の-X側を示す斜視図である。
図5(A)、図5(B)に示すように、仕切板200は、X方向(すなわち、第2方向D2)におおよそ垂直な方向に延びる板状の部材である。仕切板200の外周側の縁部230は、第1方向D1側に向かって曲がっている。本実施例では、縁部230は、全周に亘って、第1方向D1側に向かって曲がっている。なお、図5(A)、図5(B)では、仕切板200の詳細な構成(例えば、移流開口814等)の図示は、省略されている。
図5(C)は、X方向(すなわち、第2方向D2)を向いて見た槽本体801と仕切板200との概略図である。図中には、外壁801の内面801iが示されている。外壁801の内面801iは、下槽部600の内面600iと、上槽部700の内面700iと、で構成されている。X方向を向いて見る場合に、仕切板200の形状(特に、基準水位WL以下の部分の外形)は、外壁801の内面801iの形状と、おおよそ同じである。このような仕切板200の縁部230を、外壁801の内面801iに、接着剤を用いて接着する場合、仕切板200と外壁801との間の隙間が塞がれる。この結果、仕切板200と外壁801との間を、適切に、シールできる。
図5(D)は、仕切板200と第1凹部610との接続部分の断面図である。図5(D)の断面は、Z方向に垂直な断面、すなわち、水平な断面を示している。仕切板200の縁部230は、第1方向D1側に曲がっている。そして、縁部230は、第2方向D2側を向く面232を形成している。部材の特定方向側を向く面とは、特定方向とは反対の方向を向いてその部材を観察する場合に、視認可能な面である。
下槽部600の凹部610は、3つの部分611、612、613を有している。第1部分611は、凹部610の底を形成する部分である。本実施例では、第1部分611は、X方向におおよそ平行である。第2部分612は、第1部分611の第1方向D1側の端部611aから、第1方向D1側に向かって延びる部分である。第2部分612は、第1部分611の端部611aから、槽本体801の外側に向かって斜めに傾斜する方向に、延びている。第3部分613は、第1部分611の第2方向D2側の端部611bから、第2方向D2側に向かって延びる部分である。第3部分613は、第1部分611の端部611bから、槽本体801の外側に向かって斜めに傾斜する方向に、延びている。
凹部610の第2部分612は、第1方向D1側を向く内面612iを形成している。仕切板200の縁部230の第1方向D1側を向く面232は、凹部610の第2方向D2側を向く内面612iに、接着剤900を用いて、固定される。なお、仕切板200の固定には、接着剤に加えて、仕切板200と下槽部600とを貫通する固定具(例えば、リベットや、ボルトなど)が用いられてよい。
図示を省略するが、上槽部700の凹部710の形状は、下槽部600の凹部610の形状と、同様である。そして、仕切板200の縁部230の第1方向D1側を向く面232は、上槽部700の凹部710の第2方向D2側を向く内面に、接着剤を用いて、固定される。
以上、仕切板200の形状と、仕切板200と外壁801との接続について説明した。図示を省略するが、仕切板300の構成は、仕切板200の構成と、同様である。仕切板300(図4)の外周側の縁部330は、第1方向D1側に向かって曲がっている。本実施例では、縁部330は、全周に亘って、第1方向D1側に向かって曲がっている。また、槽部600、700の第2凹部620、720の構成は、槽部600、700の第1凹部610、710の構成と、同様である。第2凹部620、720は、それぞれ、第1方向D1側を向く内面を形成している。そして、仕切板300の縁部330の第2方向D2側を向く面は、第2凹部620、720の第1方向D1側を向く内面に、接着剤を用いて、固定される。
なお、排水処理装置800内の水位は、排水処理装置800に流入する水の単位時間当たりの量の変化に応じて、変化し得る。ここで、排水処理装置800の通常の使用によって水面が到達し得ることが想定されている最も高い水位を最高水位と呼ぶ。仕切板200、300のうち、最高水位よりも上の部分は、外壁801の内面801iから離れていてもよい。例えば、図5(C)の点線で示される縁部230xのように、仕切板200の上の部分は、内面801iよりも内側に凹んでいてもよい。
次に、下槽部600の下フランジ部680と、上槽部700の上フランジ部780と、について、説明する。図4に示すように、下槽部600の下フランジ部680の外周側の端部670は、Z上方向Z側、すなわち、上槽部700の上フランジ部780側に向かって曲がることによって、上フランジ部780側に向かって突出している(以下、突出端部670とも呼ぶ)。本実施例では、突出端部670は、下フランジ部680の全周に亘って、形成されている。一方、上槽部700の上フランジ部780の外周側の端部は、下フランジ部680側に曲がらずに、水平に延びている。
図6は、下フランジ部680と上フランジ部780との説明図である。図6(A)、図6(B)には、下方向-Zを向いて見たフランジ部680、780が、示されている。図6(A)は、下槽部600に対する上槽部700の相対的な位置が適切な位置である場合を示している。下槽部600と上槽部700とは、このような適切な位置で、互いに固定される(以下、固定位置と呼ぶ)。図6(B)は、上槽部700が、固定位置から第2方向D2にずれている場合を示している。各図中では、下フランジ部680の突出端部670と、上フランジ部780と、のそれぞれに、ハッチングが付されている。
図示するように、フランジ部680、780は、それぞれ、おおよそ等幅のリング状の部分である。下フランジ部680のうち凹部610、620に接続された部分681、682は、凹部610、620と同様に、内周側に向かって凹んでいる(凹部681、682とも呼ぶ)。同様に、上フランジ部780のうち凹部710、720に接続された部分781、782は、凹部710、720と同様に、内周側に向かって凹んでいる(凹部781、782とも呼ぶ)。上フランジ部780のうち、凹部781、782の第1方向D1側に隣接する部分である隣接部分783、784は、内周側に向かって凹まずに、第1方向D1に沿って延びている。図6(A)、図6(B)には、凹部620、720を含む部分拡大図E1、E2が、示されている。
本実施例では、上フランジ部780は、下フランジ部680の突出端部670よりも、若干小さい。図6(A)のように下槽部600と上槽部700との相対位置が固定位置である場合、上フランジ部780の全体が、突出端部670の内周側に、嵌め込まれる。上フランジ部780の下方向-Z側の面は、下フランジ部680の突出端部670よりも内周側の部分である平らな部分660(平部分660とも呼ぶ)の上方向Z側の面上に、全周に亘って接触できる。上槽部700の上フランジ部780は、下槽部600の下フランジ部680に、このような状態で、接着剤900を用いて、固定される(詳細は後述)。
なお、下フランジ部680の上方向Z側の面には、微少な凹凸が設けられていてもよい。また、上フランジ部780の下方向-Z側の面には、微少な凹凸が設けられていてもよい。いずれの場合も、下フランジ部680と上フランジ部780との間には、細かい隙間が生じ得る。しかし、この場合も、上フランジ部780が全周に亘っておおよそ均等に下フランジ部680に接触できる場合、上フランジ部780は、下フランジ部680に、全周に亘って接触できるといえる。
図6(B)のように下槽部600に対する上槽部700の相対位置が固定位置から第2方向D2にずれた位置(シフト位置とも呼ぶ)である場合、上フランジ部780の一部が、下フランジ部680の突出端部670に、接触する。例えば、上フランジ部780の隣接部分783、784は、突出端部670のうち凹部681、682を形成する部分671、672に、それぞれ、接触する。また、上フランジ部780の第2方向D2側の端部785は、突出端部670のうちの第2方向D2側の端部675に、接触する。従って、上槽部700を、図6(B)の相対位置で、下槽部600上に配置する場合、上フランジ部780を突出端部670の内周側に嵌め込むことはできず、上フランジ部780は、下フランジ部680の突出端部670上に載る。
このように、上槽部700の位置が第2方向D2にずれている場合、上フランジ部780のうちの部分783、784、785は、突出端部670の部分671、672、675に接触することによって、上フランジ部780を、図6(A)の固定位置で固定された上フランジ部780と比べて、下フランジ部680から遠い位置で支持する。以下、上フランジ部780の部分783、784、785を、支持部783、784、785とも呼ぶ。支持部783、784、785は、下フランジ部680を、図6(A)の固定位置で固定された下フランジ部680と比べて、上フランジ部780から遠い位置で支持している、ともいえる。後述するように、排水処理装置800の製造時に、下槽部600上の上槽部700は、図6(B)のように固定位置からずれた相対位置に、一時的に配置され得る。
A2.排水処理装置800の製造方法:
図7は、排水処理装置800の製造方法の例を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、排水処理装置800の複数の部材が準備された後の手順を示している。S110では、仕切板に、下槽部600に仕切板を固定する前に仕切板に固定すべき部材が、固定される。例えば、仕切板300に、移流バッフル823と壁部材400とが、固定される。
S120では、下槽部600の凹部610、620に内面に、接着剤が塗布される。図8は、下槽部600の接着剤が塗布される面の説明図である。図8(A)は、下槽部600の斜視図であり、図8(B)は下方向-Zを向いて見た下槽部600の概略図である。図中の凹部610、620の内面のうちのハッチングが付された内面612i、622iは、第1方向D1側を向く面である。第1凹部610の内面612iは、図5(D)で説明した内面612iと同じである。第2凹部620の内面622iの構成は、第1凹部610の内面612iの構成と、同じである。図7のS120では、内面612i、622iの+Y側の端から-Y側の端までの全体に亘って、接着剤900が塗布される。
S130(図7)では、下槽部600に、仕切板200、300が固定される。図4には、下槽部600に固定された状態の仕切板200、300が示されている。仕切板200、300の第2方向D2側を向く面232、332のうちの下方向-Z側の部分が、下槽部600(図8(A)、図8(B))の凹部610、620の第1方向D1側を向く内面612i、622iに、固定される。ここで、接着剤900に加えて、リベットなどの固定具が用いられてよい。
図7のS140では、下槽部600に上槽部700を固定する前に下槽部600と仕切板200、300とに固定すべき部材が、下槽部600と仕切板200、300とにそれぞれ固定される。例えば、濾材826(図2)が仕切板200と仕切板300とに固定される。接触材832(図3)が、壁部材400に固定される。循環エアリフトポンプ860が仕切板300に固定される。消毒槽850が壁部材400に固定される。
S150(図7)では、下フランジ部680に接着剤900が塗布される。S160では、仕切板200、300に接着剤900が塗布される。図9は、下槽部600と仕切板200、300との接着剤が塗布される面の説明図である。図9(A)は、仕切板200、300が固定された下槽部600の斜視図であり、図9(B)は、下方向-Zを向いて見た下槽部600と仕切板200、300の概略図である。
図示するように、下フランジ部680の平部分660の上方向Z側の面には、全周に亘って、接着剤900が塗布される。なお、平部分660のうちの接着剤900を塗布すべき部分に、溝が設けられてもよい。この構成によれば、容易に、平部分660上に接着剤900を塗布できる。
また、仕切板200、300の第2方向D2側を向く面232、332に、接着剤900が塗布される。なお、仕切板200、300の上方向Z側の部分(特に、最高水位よりも上の部分)には、接着剤900は塗布されなくてよい。
図7のS170では、上槽部700が、下槽部600の上方向Z側に配置される。ここで、下槽部600に対する上槽部700の相対位置は、図6(B)で説明したシフト位置に設定される。
図10は、下槽部600に上槽部700を固定する様子を示す説明図である。図10(A)~図10(C)のそれぞれには、Y方向を向いて見た下槽部600と上槽部700とが示されている。各図には、説明のために、仕切板200、300も示されている。また、図10(A)~図10(C)のそれぞれの左部には、部分拡大図V1、V2が示されている。第1部分拡大図V1は、仕切板200の縁部230と、上槽部700の第1凹部710と、を含む部分断面図を示している。この断面は、Z方向に垂直な断面、すなわち、水平な断面を示している。第2部分拡大図V2は、下フランジ部680と上フランジ部780との第1方向D1側の端部を含む部分断面図を示している。この断面は、Y方向に垂直な断面である。
下槽部600と上槽部700との相対位置は、図10(A)~図10(C)の順に変化する。図10(A)は、図7のS170で下槽部600の上に上槽部700の載せられた状態を、示している。図6(B)で説明したように、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675に、上フランジ部780の支持部783、784、785が接触するので、上フランジ部780は、下フランジ部680の平部分660から離れた高い位置に、維持される。第1部分拡大図V1に示すように、上槽部700の凹部710の内面712iは、仕切板200の縁部230の面232に塗布された接着剤900よりも第2方向D2側に、位置している。また、第2部分拡大図V2に示すように、上フランジ部780は、下フランジ部680に塗布された接着剤900よりも上方向Z側に、位置している。
図7のS180では、上槽部700が、下槽部600に対して、第1方向D1に移動される。そして、S190で、下槽部600に対する上槽部700の第1方向D1の位置は、図6(A)で説明した固定位置と同じ位置に、到達する。
図10(B)は、図7のS190での下槽部600と上槽部700とを示している。図示するように、下槽部600の凹部610、620の上方向Zに、上槽部700の凹部710、720が、位置している。また、第1部分拡大図V1に示すように、上槽部700の凹部710の内面712iと、仕切板200の縁部230の面232と、の間の隙間が小さくなり、接着剤900は、これらの面712i、232の間で押し広げられる。ただし、この段階では、上槽部700の凹部710の内面712iは、仕切板200の縁部230の面232から離れている。また、第2部分拡大図V2に示すように、上フランジ部780は、下フランジ部680に塗布された接着剤900よりも上方向Z側に、位置している。
下槽部600に対する上槽部700の第1方向D1の位置が固定位置と同じ位置に到達すると、上槽部700は、下槽部600に向かって、移動し、上フランジ部780は、下フランジ部680の突出端部670の内周側に、嵌め込まれる(図7:S200)。
図10(C)は、図7のS200での下槽部600と上槽部700とを示している。図示するように、上フランジ部780は、下フランジ部680の突出端部670の内周側に、嵌め込まれている。上フランジ部780の下方向-Z側の面は、下フランジ部680の平部分660の上方向Z側の面上に、全周に亘って接触できる。第1部分拡大図V1に示すように、上槽部700の凹部710の内面712iは、仕切板200の縁部230の面232に、接触できるほどに、近づく。そして、接着剤900は、これらの面712i、232の間で押し広げられる。また、第2部分拡大図V2に示すように、上フランジ部780は、下フランジ部680の平部分660に、接触できるほどに、近づく。そして、接着剤900は、フランジ部680、780の間で押し広げられる。
図7のS210では、下槽部600に上槽部700が固定される。例えば、下フランジ部680と上フランジ部780とを貫通する固定具(例えば、リベットやボルトなど)によって、下槽部600に上槽部700が固定される。そして、排水処理装置800の製造が終了する。
以上のように、本実施例では、排水処理装置800は、下槽部600(図4)と、上槽部700と、2個の仕切板200、300とを、備えている。下槽部600は、有底の容器状の下槽部600であって、上方向Zを向く開口690を形成している。上槽部700は、有底の容器状の上槽部700であって、下方向-Zを向く開口790を形成するとともに、下槽部600の上部に固定されている。2個の仕切板200、300は、下槽部600と上槽部700とによって囲まれる空間内に水平な第1方向D1に並んで配置されており、上記空間を第1方向D1に並ぶ3個の部分空間に仕切っている。また、図4、図5で説明したように、2個の仕切板200、300のそれぞれの縁部230、330は、第1方向D1側に曲がっている。そして、2個の仕切板200、300のそれぞれの縁部230、330は、上槽部700または下槽部600に接着剤900を用いて固定された部分である接着部分を含んでいる。ここで、接着部分は、図8、図9で説明したように、第2方向D2側を向く面232、332である。また、図4で説明したように、下槽部600は、開口690の縁を形成するとともに外周側に向かって突出する下フランジ部680を有している。上槽部700は、開口790の縁を形成するとともに外周側に向かって突出する上フランジ部780を有している。上フランジ部780は、下フランジ部680に接着剤を用いて固定されている。
さらに、下フランジ部680と上フランジ部780とは、以下の構成を有している。すなわち、下フランジ部680は、上フランジ部780側に向かって突出する突出端部670を有している。また、上フランジ部780(図6(B))は、支持部783、784、785を有している。支持部783、784、785は、図6(B)に示すように、上フランジ部780に対する下フランジ部680の相対位置が、固定位置から第1方向D1に平行な特定の方向であるシフト方向(ここでは、第1方向D1)にずれている場合に、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675に接触することによって、下フランジ部680を、固定位置で固定された下フランジ部680と比べて上フランジ部780から遠い位置で支持する(すなわち、上フランジ部780は、下フランジ部680の平部分660から離れている)。そして、上フランジ部780は、支持部783、784、785の第2方向D2側に配置された端783e、784e、785eを有している。端783e、784e、785eの第2方向D2側には、図6(A)のように相対位置が固定位置である場合に、突出端部670の部分671、672、675を受け入れるのに十分な大きさの空間が、設けられている。すなわち、端783e、784e、785eは、相対位置が固定位置である場合に突出端部670の部分671、672、675を受け入れる空間を形成する形成部の例である(形成部783e、784e、785eとも呼ぶ)。
下フランジ部680と上フランジ部780とが上記構成を有するので、排水処理装置800の製造時に、上フランジ部780に対する下フランジ部680の相対位置、すなわち、上槽部700に対する下槽部600の相対位置が、固定位置からシフト方向(ここでは、第1方向D1)にずれている場合、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675と、上フランジ部780の支持部783、784、785との接触によって、下フランジ部680と上フランジ部780との間の隙間が維持される。
下槽部600と上槽部700との間の相対位置が固定位置である場合、図6(A)のように、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675が上フランジ部780の形成部783e、784e、785eによって形成される空間に受け入れられる。従って、上フランジ部780は、相対位置が固定位置からずれている場合と比べて、下フランジ部680に近づくことができる。そして、下フランジ部680と上フランジ部780とが、全周に亘って互いに接触できる。このように、上槽部700に対する下槽部600の相対位置が固定位置からシフト方向(ここでは、第1方向D1)にずれている状態で下フランジ部680と上フランジ部780とが全周に亘って互いに接触することが抑制され、そして、下槽部600と上槽部700との間の相対位置が固定位置である場合に、適切に、仕切板と下槽部600と上槽部700とを固定できる。
一般的に、排水処理装置の大きさ(例えば、長手方向Xの長さ)は、人の身長と同程度、あるいは、それよりも大きい。従って、下槽部600の上に上槽部700を載せる場合、相対位置の厳密な調整は、容易ではない。例えば、下槽部600の上の固定位置に上槽部700を載せようとする場合であっても、下槽部600上に上槽部700が載った時の相対位置は、固定位置からずれた位置であり得る。
ここで、仮に、相対位置が固定位置からシフト方向(ここでは、第1方向D1)にずれている状態で、上フランジ部780と下フランジ部680とが全周に亘って互いに接触できると仮定する。この場合、仕切板の接着部分に塗布された接着剤とフランジ部(例えば、下フランジ部680)に塗布された接着剤とが、下槽部600または上槽部700の意図しない部分に接触し得る。例えば、図10(A)の状態で、上フランジ部780が、下フランジ部680の平部分660に接触する位置まで下がると仮定すると、仕切板200、300に塗布された接着剤900は、上槽部700の意図しない部分(具体的には、凹部710、720よりも第1方向D1側の部分)に付着し得る。
また、上フランジ部780と下フランジ部680とが全周に亘って互いに接触する状態で、上槽部700を、シフト位置(図6(B)、図10(A))から固定位置(図6(A)、図10(B))に移動させる場合には、下フランジ部680に塗布された接着剤900が、上槽部700の意図しない部分に付着し得る。図11(A)~図11(C)は、図10(A)の第2部分拡大図V2と同様に、下フランジ部680と上フランジ部780との第1方向D1側の端部を含む部分断面図である。上槽部700をシフト位置から固定位置へ移動させる場合、下フランジ部680と上フランジ部780との位置関係は、図11(A)~図11(C)の順に変化する。図11(A)は、図10(A)と同じ相対位置での位置関係を示している。上フランジ部780は、下フランジ部680上の接着剤900よりも第2方向D2側に位置している。また、上フランジ部780は、下フランジ部680の平部分660上に、載っている。この状態から上槽部700が第1方向D1へ移動すると、上フランジ部780は、平部分660上で、第1方向D1へ移動する。従って、図11(B)に示すように、上フランジ部780の第1方向D1側の端が、接着剤900に接触する。そして、上槽部700は、さらに、第1方向D1へ移動して、固定位置に到達する。すると、図11(C)に示すように、上フランジ部780は、接着剤900を、上フランジ部780よりも第1方向D1側へ、移動させる。この結果、下フランジ部680に塗布された接着剤900は、下フランジ部680と上フランジ部780との意図しない部分(例えば、突出端部670)に、付着し得る。
このように、接着剤900が意図しない部分に付着すると、接着すべき部分の接着剤の量が少なくなる。接着すべき部分の接着剤の量が少なくなると、止水性能が低下し得る。本実施例の排水処理装置800は、そのような不具合を抑制できる。
また、図10(A)のように下フランジ部680と上フランジ部780との間の隙間が維持される相対位置の範囲(すなわち、下槽部600に対する上槽部700の第1方向D1の相対位置の範囲)は、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675が、上フランジ部780の支持部783、784、785に接触し得る範囲である(支持範囲とも呼ぶ)。この支持範囲は、上記の部分671、672、675、783、784、785が大きいほど、広い。このような支持範囲は、通常は、下槽部600上に上槽部700を載せる場合の相対位置の制御可能な精度と比べて、十分に広い。従って、図7のS170では、固定位置のように厳密に決められた相対位置ではなく、図10(A)のように支持範囲内の相対位置で、下槽部600上に上槽部700を載せることとしてよい。これにより、下槽部600上に上槽部700を載せる場合の相対位置の制御の精度が粗くてもよいので、排水処理装置800を容易に製造できる。
また、図4、図5(A)、図5(B)等で説明したように、仕切板200、300の外周側の縁部230、330は、第1方向D1側に向かって曲がっている。そして、図9(A)、図9(B)で説明したように、仕切板200、300の接着部分は、縁部230、330の面のうちの第2方向D2側を向く面232、332である。ここで、本実施例では、図10(A)~図10(C)のように、仕切板200、300の面232、332に接着されるべき上槽部700の凹部710、720は、仕切板200、300の上方向Z側からではなく、仕切板200、300の第2方向D2側から、仕切板200、300の面232、332に近づく。従って、仕切板200、300の面232、332に塗布された接着剤900が、他の部材の意図しない部分に付着することが、抑制される。具体的には、以下の通りである。
図11(D)~図11(F)は、上槽部700の凹部710が仕切板200の上方向Z側から仕切板200の面232に近づくと仮定した場合の状態の変化を示す説明図である。各図には、-X方向を向いて見た下槽部600と上槽部700と仕切板200との概略が示されている。下槽部600と上槽部700との相対位置は、図11(D)~図11(F)の順に、変化する。図11(D)では、上槽部700の凹部710は、仕切板200の上方向Z側であって、仕切板200から離れた位置に、配置されている。この状態から、上槽部700は、下方向-Zに移動する。すると、図11(E)に示すように、上槽部700の凹部710(特に、下端)は、仕切板200の面232上の接着剤900に、接触する。そして、上槽部700は、さらに、下方向-Zに移動して、仕切板200の面232上の接着剤900を掻き落としながら、固定位置に到達する(図11(F))。このように、仕切板200の面232上の接着剤900は、下方向-Zに移動して、他の部材の意図しない部分(例えば、上槽部700の上フランジ部780や下槽部600の下フランジ部680など)に、付着し得る。本実施例では、このような不具合が、抑制される。
また、本実施例では、下フランジ部680(図6(A))の突出端部670の部分671、672、675と、上フランジ部780の支持部783、784、785と形成部783e、784e、785eとは、以下に説明する中心線CL1、CL2を用いて特定される位置に、配置されている。
図6(A)のように鉛直方向(例えば、下方向-Z)を向いて見る部材の図は、水平な面上に置かれた部材を水平な投影面上に鉛直方向に沿って投影する場合の投影面上の部材の図と、同じである。以下、鉛直方向を向いて見る部材の図を、水平な投影面上に投影された部材の図として扱う場合がある。例えば、図6(A)のように下方向-Zを向いて見た下槽部600と上槽部700とは、水平な面上に置かれた排水処理装置800を水平な投影面上に鉛直方向に沿って投影する場合の投影面上の排水処理装置800の槽本体801を示している。そして、図中の第1中心線CL1は、投影面上の排水処理装置800の長手方向Xに平行な中心線である。第2中心線CL2は、投影面上の排水処理装置800の幅方向Yに平行な中心線である。これらの中心線CL1、CL2は、投影面上の排水処理装置800の領域890の重心Gを通る直線である。図6(A)では、フランジ部680、780の内周側の部材の図示が省略されているが、排水処理装置800の領域890は、投影面上に排水処理装置800の全ての部材を投影する場合の全ての部材を表す領域である。なお、領域の重心は、領域内に質量が均等に分布していると仮定した場合の重心の位置である。
一般的に、排水処理装置800の製造時に、上槽部700を第1方向D1に移動させる場合、上槽部700の第2方向D2側の部分に、第1方向D1の力が印加される。このような力の印加は、人、または、機械によって、行われ得る。そして、上槽部700に適切に力を印加するために、力が印加される部分、すなわち、上槽部700の第2方向D2側の部分が、観察される。ここで、本実施例では、図6(A)に示すように、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675と、上フランジ部780の支持部783、784、785と形成部783e、784e、785eとは、下フランジ部680と上フランジ部780との第2方向D2側の部分、具体的には、第2中心線CL2よりも第2方向D2側の部分に設けられた部分である部分672、675と、支持部784、785と形成部784e、785eとを、含んでいる。力が印加される部分と共にこれらの部分672、675、784、785、784e、785eを観察することによって、突出端部670の部分672、675が、形成部784e、785eによって形成される空間に受け入れられたか否か、すなわち、上槽部700の相対位置が固定位置に到達したか否かを、容易に判断できる。そして、突出端部670の部分672、675が、形成部784e、785eによって形成される空間に受け入れられるまで上槽部700を第1方向D1に移動させることによって、下槽部600と上槽部700と仕切板200、300とを、適切に固定できる。
特に、本実施例では、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675と、上フランジ部780の支持部783、784、785と形成部783e、784e、785eとは、下フランジ部680と上フランジ部780との第2方向D2側の端部に設けられた部分である部分675と、支持部785と形成部785eとを含んでいる。従って、上槽部700の第2方向D2側の部分に力が印加される場合に、容易に、突出端部670の部分675が、形成部785eによって形成される空間に受け入れられたか否かを観察できる。
さらに、本実施例では、下フランジ部680の突出端部670の部分671、672、675と、上フランジ部780の支持部783、784、785と形成部783e、784e、785eとは、下フランジ部680と上フランジ部780との第1方向D1側の部分、具体的には、第2中心線CL2よりも第1方向D1側の部分に設けられた部分である部分671と、支持部783と形成部783eと、を含んでいる。従って、図10(A)に示すように、上槽部700の相対位置がシフト位置である場合に、上フランジ部780は、下フランジ部680の平部分660から離れた高い位置に、安定的に、維持される。
また、本実施例では、下フランジ部680(図6(A))の突出端部670の部分671、672、675と、上フランジ部780の支持部783、784、785と形成部783e、784e、785eとは、第1中心線CL1で区分される2つの領域(すなわち、第1中心線CL1の+Y側の領域と-Y側の領域)のそれぞれに設けられた部分を含んでいる。従って、図10(A)に示すように、上槽部700の相対位置がシフト位置である場合に、上フランジ部780は、下フランジ部680の平部分660から離れた高い位置に、安定的に、維持される。
また、図4、図6(A)等で説明したように、下フランジ部680の外周側の端部670は、上フランジ部780に向かって曲がることによって、上フランジ部780側に向かって突出する突出部を形成している。そして、上フランジ部780の第2方向D2側の部分は、支持部784、785と形成部784e、785eとを形成している。ここで、上フランジ部780と下フランジ部680の突出端部670とは、以下のように配置されている。図6(A)には、投影面上の第1中心線CL1上の2つのクリアランスC1、C2が示されている。第1クリアランスC1は、上フランジ部780の第1方向D1側の部分と、下フランジ部680の突出端部670の第1方向D1側の部分と、の間の第1中心線CL1に沿った距離である。第2クリアランスC2は、上フランジ部780の第2方向D2側の部分と、下フランジ部680の突出端部670の第2方向D2側の部分と、の間の第1中心線CL1に沿った距離である。図示するように、第1クリアランスC1は、第2クリアランスC2よりも、大きい。従って、図10(A)のシフト位置から、図10(C)のように突出端部670の部分671、672、675が、形成部783e、784e、785eによって形成される空間に受け入れられるまで、上槽部700を移動させる場合に、上フランジ部780の第1方向D1側の部分が突出端部670に接触することが抑制される。これにより、上槽部700を、固定位置に、適切に、移動できる。
また、図6(A)等で説明したように、下フランジ部680の外周側の端部670は、上フランジ部780側に向かって曲がることによって上フランジ部780側に向かって突出する突出部を形成している。そして、上フランジ部780は、支持部783、784、785を形成している。また、上フランジ部780の外周側の端は、形成部783e、784e、785eを形成している。従って、これらの突出端部670と支持部783、784、785と形成部783e、784e、785eを用いて、適切に、下槽部600と上槽部700との相対位置を、シフト位置から固定位置に移動できる。
B.第2実施例:
図12は、槽本体の第2実施例の分解斜視図である。本実施例の槽本体801aと図4の実施例の槽本体801との差異は、2点ある。第1の差異は、下槽部600aの下フランジ部680aから突出端部670が省略されている点である。第2の差異は、上槽部700aの上フランジ部780aの外周側の端部770aが、下方向-Z側、すなわち、下槽部600aの下フランジ部680a側に向かって曲がることによって、下フランジ部680a側に向かって突出している点である(以下、端部770aを、突出端部770aとも呼ぶ)。本実施例では、下フランジ部680aの構成は、図4の上フランジ部780の構成と、同じである。また、上フランジ部780aの構成は、図4の下フランジ部680を上下に反転させて得られる構成と、同じである。槽本体801aの他の部分の構成は、図4の槽本体801の対応する部分の構成と、同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。この槽本体801aは、図4の槽本体801の代わりに、利用可能である。以下、槽本体801aを用いて構成される排水処理装置を、排水処理装置800aと呼ぶ。
図13は、下フランジ部680aと上フランジ部780aとの説明図である。図13(A)、図13(B)には、下方向-Zを向いて見たフランジ部680a、780aが、示されている。図13(A)は、下槽部600aに対する上槽部700aの相対的な位置が適切な固定位置である場合を示している。図13(B)は、上槽部700aが、固定位置から第2方向D2にずれている場合を示している。
図13(A)において、下フランジ部680aと上フランジ部780aとの構成は、図6(A)の上フランジ部780と下フランジ部680との構成と、それぞれ同様である。以下に示す対応関係は、本実施例の構成(左側)と図6(A)の実施例の対応する構成(右側)と、の対応関係を示している。
上フランジ部780aの突出端部770a:下フランジ部680の突出端部670
上フランジ部780aの平部分760a :下フランジ部680の平部分660
上フランジ部780aの凹部781a :下フランジ部680の凹部681
上フランジ部780aの凹部782a :下フランジ部680の凹部682
突出端部770aの部分771a :突出端部670の部分671
突出端部770aの部分772a :突出端部670の部分672
下フランジ部680aの凹部681a :上フランジ部780の凹部781
下フランジ部680aの凹部682a :上フランジ部780の凹部782
下フランジ部680aの支持部683a :上フランジ部780の支持部783
下フランジ部680aの支持部684a :上フランジ部780の支持部784
下フランジ部680aの形成部683e :上フランジ部780の形成部783e
下フランジ部680aの形成部684e :上フランジ部780の形成部784e
なお、本実施例の支持部683a、684aは、凹部681a、682aの第2方向D2側に隣接する部分である。そして、形成部683e、684eは、支持部683a、684aの第1方向D1側に配置された端である。また、図13(A)、図13(B)には、凹部620、720を含む部分拡大図E3、E4が、示されている。
図13(A)のように下槽部600aと上槽部700aとの相対位置が固定位置である場合、下フランジ部680aの全体が、突出端部770aの内周側に、嵌め込まれる。上フランジ部780aの平部分760aの下方向-Z側の面は、下フランジ部680aの上方向Z側の面上に、全周に亘って接触できる。上槽部700aの上フランジ部780aは、下槽部600aの下フランジ部680aに、このような状態で、接着剤を用いて、固定される(詳細は後述)。
図13(B)のように下槽部600aに対する上槽部700aの相対位置が固定位置から第2方向D2にずれたシフト位置である場合、下フランジ部680aの支持部683a、684aは、突出端部770aの部分771a、772aに、それぞれ、接触する。また、下フランジ部680aの第1方向D1側の端部685aは、突出端部770aのうちの第1方向D1側の端部775aに、接触する。従って、上槽部700aを、図13(B)の相対位置で、下槽部600a上に配置する場合、下フランジ部680aを突出端部770aの内周側に嵌め込むことはできず、上フランジ部780aの突出端部770aは、下フランジ部680a上に載る。
本実施例の排水処理装置800aは、図7の実施例と同じ製造方法によって、製造される。S110~S160の処理は、第1実施例の排水処理装置800を製造する場合のS110~S160の処理と、それぞれ同じである。S170では、上槽部700aが、下槽部600aの上方向Z側に配置される。ここで、下槽部600aに対する上槽部700aの相対位置は、図13(B)で説明したシフト位置に設定される。
図14は、下槽部600aに上槽部700aを固定する様子を示す説明図である。図14(A)~図14(C)のそれぞれには、図10(A)~図10(C)と同様に、Y方向を向いて見た下槽部600aと上槽部700aと仕切板200、300とが示されている。図14(A)~図14(C)のそれぞれの左部には、部分拡大図V3が示されている。部分拡大図V3は、下フランジ部680aと上フランジ部780aとの第1方向D1側の端部を含む部分断面図を示している。この断面は、Y方向に垂直な断面である。
下槽部600aと上槽部700aとの相対位置は、図14(A)~図14(C)の順に変化する。図14(A)は、図7のS170で下槽部600aの上に上槽部700aが載せられた状態を、示している。図13(B)で説明したように、下フランジ部680aに、上フランジ部780aの突出端部770aの部分771a、772a、775aが接触するので、上フランジ部780aの平部分760aは、下フランジ部680aから離れた高い位置に、維持される。仕切板200、300と、上槽部700aの凹部710、720との位置関係は、図10(A)の位置関係と、同じである。また、部分拡大図V3に示すように、上フランジ部780aの平部分760aは、下フランジ部680aに塗布された接着剤900よりも上方向Z側に、位置している。また、図7のS150では、接着剤900は、下フランジ部680aの上方向Z側の面上における、図14(A)の状態の突出端部770aよりも内周側の位置に、塗布される。
図7のS180では、上槽部700aが、下槽部600aに対して、第1方向D1に移動される。そして、S190で、下槽部600aに対する上槽部700aの第1方向D1の位置は、図13(A)で説明した固定位置と同じ位置に、到達する。図14(B)は、図7のS190での下槽部600aと上槽部700aとを示している。フランジ部680a、780aを除いた他の部分の配置は、図10(B)の対応する部分の配置と、同じである。
下槽部600aに対する上槽部700aの第1方向D1の位置が固定位置と同じ位置に到達すると、上槽部700aは、下槽部600aに向かって、移動し、下フランジ部680aは、上フランジ部780aの突出端部770aの内周側に、嵌め込まれる(図7:S200)。
図14(C)は、図7のS200での下槽部600aと上槽部700aとを示している。フランジ部680a、780aを除いた他の部分の配置は、図10(C)の対応する部分の配置と、同じである。また、部分拡大図V3に示すように、下フランジ部680aは、上フランジ部780aの平部分760aに、接触できるほどに、近づく。そして、接着剤900は、フランジ部680a、780aの間で押し広げられる。図7のS210の処理は、第1実施例の排水処理装置800を製造する場合のS210の処理と、同じである。これにより、排水処理装置800aの製造が終了する。
以上のように、本実施例の排水処理装置800aの構成は、フランジ部680a、780aの構成が、第1実施例のフランジ部680、780の構成と入れ替えた点を除いて、排水処理装置800の構成と同じである。従って、排水処理装置800aは、第1実施例の排水処理装置800を用いる場合と同様に、種々の利点を奏する。
また、上フランジ部780a(図13(A))の突出端部770aの部分771a、772a、775aと、下フランジ部680aの支持部683a、684a、685aと形成部683e、684e、685eとは、以下に説明する中心線CL1a、CL2aを用いて特定される位置に、配置されている。図13(A)の下槽部600aと上槽部700aとは、水平な投影面上の排水処理装置800aの槽本体801aを示している。第1中心線CL1aは、投影面上の排水処理装置800aの長手方向Xに平行な中心線である。第2中心線CL2aは、投影面上の排水処理装置800aの幅方向Yに平行な中心線である。これらの中心線CL1a、CL2aは、投影面上の排水処理装置800aの領域890aの重心Gaを通る直線である。
上フランジ部780aの突出端部770aの部分771a、772a、775aと、下フランジ部680aの支持部683a、684a、685aと形成部683e、684e、685eとは、下フランジ部680aと上フランジ部780aとの第2方向D2側の部分、具体的には、第2中心線CL2aよりも第2方向D2側の部分に設けられた部分である部分772aと、支持部684aと形成部684eと、を含んでいる。従って、第1実施例と同様に、上槽部700aに力が印加される部分(上槽部700aの第2方向D2側の部分)と共にこれらの部分772a、684a、684eを観察することによって、突出端部770aの部分772aが、形成部684eによって形成される空間に受け入れられたか否かを、容易に確認できる。
C.第3実施例:
図15は、槽本体の第3実施例の分解斜視図である。本実施例の槽本体801bと図4の実施例の槽本体801との差異は、3点ある。第1の差異は、下槽部600bの下フランジ部680bから突出端部670が省略されている点である。第2の差異は、下フランジ部680bに、貫通孔を形成する孔形成部681b、682bが設けられている点である。第3の差異は、上槽部700bの上フランジ部780bの下方向-Z側の面に、下方向-Zに向かって突出する突出部781b、782bが設けられている点である。本実施例では、フランジ部680b、780bには、図6(A)の凹部681、682、781、782のような凹んだ部分は、形成されていない。すなわち、フランジ部680b、780bの幅は、凹部610、620、710、720に接続された部分において、広い。孔形成部681b、682bと突出部781b、782bとは、フランジ部680b、780bの凹部610、620、710、720に接続された広い部分に、設けられている。槽本体801bの他の部分の構成は、図4の槽本体801の対応する部分の構成と、同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。この槽本体801bは、図4の槽本体801の代わりに、利用可能である。以下、槽本体801bを用いて構成される排水処理装置を、排水処理装置800bと呼ぶ。
図16は、下フランジ部680bと上フランジ部780bとの説明図である。図16(A)、図16(B)には、下方向-Zを向いて見たフランジ部680b、780bが、示されている。図16(A)は、下槽部600bに対する上槽部700bの相対的な位置が適切な固定位置である場合を示している。図16(B)は、上槽部700bが、固定位置から第2方向D2にずれている場合を示している。
図16(A)のように下槽部600bと上槽部700bとの相対位置が固定位置である場合、突出部781b、782bは、孔形成部681b、682bによって形成される貫通孔に、それぞれ挿入される。上フランジ部780bのうちの突出部781b、782b以外の部分である平らな部分760b(平部分760bとも呼ぶ)の下方向-Z側の面は、下フランジ部680bの上方向Z側の面に、全周に亘って接触できる。上槽部700bの上フランジ部780bは、下槽部600bの下フランジ部680bに、このような状態で、接着剤を用いて、固定される(詳細は後述)。
図16(B)のように下槽部600bに対する上槽部700bの相対位置が固定位置から第2方向D2にずれたシフト位置である場合、下フランジ部680bのうちの孔形成部681b、682bの第2方向D2側の部分683b、684bは、上フランジ部780bの突出部781b、782bに、それぞれ接触する(以下、部分683b、684bを、支持部683b、684bとも呼ぶ)。従って、上槽部700bを、図16(B)の相対位置で、下槽部600b上に配置する場合、上フランジ部780bの突出部781b、782bを下フランジ部680bの孔形成部681b、682bによって形成される貫通孔に挿入することができず、上フランジ部780bの突出部781b、782bは、下フランジ部680b上に載る。
本実施例の排水処理装置800bは、図7の実施例と同じ製造方法によって、製造される。S110~S160の処理は、第1実施例の排水処理装置800を製造する場合のS110~S160の処理と、それぞれ同じである。S150では、接着剤900は、下フランジ部680bの上方向Z側の面上における、孔形成部681b、682bによって形成される貫通孔以外の部分に、塗布される。S170では、上槽部700bが、下槽部600bの上方向Z側に配置される。ここで、下槽部600bに対する上槽部700bの相対位置は、図16(B)で説明したシフト位置に設定される。
図17は、下槽部600bに上槽部700bを固定する様子を示す説明図である。図17(A)~図17(C)のそれぞれには、図10(A)~図10(C)と同様に、Y方向を向いて見た下槽部600bと上槽部700bと仕切板200、300とが示されている。下槽部600bと上槽部700bとの相対位置は、図17(A)~図17(C)の順に変化する。図17(A)は、図7のS170で下槽部600bの上に上槽部700bが載せられた状態を、示している。図16(B)で説明したように、下フランジ部680bに、上フランジ部780bの突出部781b、782bが接触するので、上フランジ部780bの平部分760bは、下フランジ部680bから離れた高い位置に、維持される。仕切板200、300と、上槽部700bの凹部710、720との位置関係は、図10(A)の位置関係と、同じである。
図7のS180では、上槽部700bが、下槽部600bに対して、第1方向D1に移動される。そして、S190で、下槽部600bに対する上槽部700bの第1方向D1の位置は、図16(A)で説明した固定位置と同じ位置に、到達する。図17(B)は、図7のS190での下槽部600bと上槽部700bとを示している。フランジ部680b、780bを除いた他の部分の配置は、図10(B)の対応する部分の配置と、同じである。
下槽部600bに対する上槽部700bの第1方向D1の位置が固定位置と同じ位置に到達すると、上槽部700bは、下槽部600bに向かって、移動し、上フランジ部780bの突出部781b、782bは、下フランジ部680bの孔形成部681b、682bによって形成される貫通孔に、挿入される(図7:S200)。
図17(C)は、図7のS200での下槽部600bと上槽部700bとを示している。フランジ部680b、780bを除いた他の部分の配置は、図10(C)の対応する部分の配置と、同じである。上フランジ部780bの平部分760bは、下フランジ部680bに接触できるほどに、近づく。そして、接着剤900は、フランジ部680b、780bの間で押し広げられる。図7のS210の処理は、第1実施例の排水処理装置800を製造する場合のS210の処理と、同じである。これにより、排水処理装置800bの製造が終了する。
以上のように、本実施例の排水処理装置800bの構成は、フランジ部680b、780bの構成が、上記各実施例のフランジ部680、780、680a、780aの構成と異なる点を除いて、排水処理装置800、800aの構成と同じである。従って、排水処理装置800bは、上記各実施例の排水処理装置800、800aを用いる場合と同様に、種々の利点を奏する。
また、下フランジ部680bの孔形成部681b、682bと支持部683b、684bと、上フランジ部780bの突出部781b、782bとは、以下に説明する中心線CL1b、CL2bを用いて特定される位置に、配置されている。図16(A)の下槽部600bと上槽部700bとは、水平な投影面上の排水処理装置800bの槽本体801bを示している。第1中心線CL1bは、投影面上の排水処理装置800bの長手方向Xに平行な中心線である。第2中心線CL2bは、投影面上の排水処理装置800bの幅方向Yに平行な中心線である。これらの中心線CL1b、CL2bは、投影面上の排水処理装置800bの領域890bの重心Gbを通る直線である。
下フランジ部680bの孔形成部681b、682bと支持部683b、684bと、上フランジ部780bの突出部781b、782bとは、下フランジ部680bと上フランジ部780bとの第2方向D2側の部分、具体的には、第2中心線CL2bよりも第2方向D2側の部分に設けられた部分である孔形成部682bと支持部684bと突出部782bとを含んでいる。従って、第1実施例と同様に、上槽部700bに力が印加される部分(上槽部700bの第2方向D2側の部分)と共にこれらの部分682b、684b、782bを観察することによって、突出部782bが、孔形成部682bによって形成される貫通孔に受け入れられたか否かを、容易に確認できる。
さらに、本実施例では、下フランジ部680bの孔形成部681b、682bと支持部683b、684bと、上フランジ部780bの突出部781b、782bとは、下フランジ部680bと上フランジ部780bとの第1方向D1側の部分、具体的には、第2中心線CL2bよりも第1方向D1側の部分に設けられた部分である孔形成部681bと支持部683bと突出部781bとを含んでいる。従って、図17(A)に示すように、上槽部700bの相対位置がシフト位置である場合に、上フランジ部780bの平部分760bは、下フランジ部680bから離れた高い位置に、安定的に、維持される。
また、本実施例では、下フランジ部680b(図16(A))の孔形成部681b、682bと支持部683b、684bと、上フランジ部780bの突出部781b、782bとは、第1中心線CL1bで区分される2つの領域(すなわち、第1中心線CL1bの+Y側の領域と-Y側の領域)のそれぞれに設けられた部分を含んでいる。従って、図17(A)に示すように、上槽部700bの相対位置がシフト位置である場合に、上フランジ部780bの平部分760bは、下フランジ部680bから離れた高い位置に、安定的に、維持される。
また、本実施例では、下フランジ部680bのうちの第1方向D1側の部分の外周側の端部は、上フランジ部780b側に向かって曲がらずに、水平に延びている。そして、上フランジ部780bのうちの第1方向D1側の部分の外周側の端部は、下フランジ部680b側に向かって曲がらずに、水平に延びている。従って、下フランジ部680bのうちの第1方向D1側の部分と、上フランジ部780bのうちの第1方向D1側の部分と、の接触に起因する下フランジ部680bと上フランジ部780bとの間の意図しない隙間を、抑制できる。
D.第4実施例:
図18は、槽本体の第4実施例の分解斜視図である。本実施例の槽本体801cと図4の実施例の槽本体801との差異は、3点ある。第1の差異は、下槽部600cの下フランジ部680cから突出端部670が省略されている点である。第2の差異は、下フランジ部680cに、治具の取り付け位置を表す位置表示部681c、682cが設けられている点である。第3の差異は、上槽部700cの上フランジ部780cに、内周側に凹む凹部781c、782cが設けられている点である。凹部781c、782cは、凹部710、720の近傍に設けられている。槽本体801cの他の部分の構成は、図4の槽本体801の対応する部分の構成と、同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。この槽本体801cは、図4の槽本体801の代わりに、利用可能である。以下、槽本体801cを用いて構成される排水処理装置を、排水処理装置800cと呼ぶ。
図19は、排水処理装置800cの製造方法の例を示すフローチャートの一部である。本実施例の製造方法では、図7の手順に、後述する治具を下フランジ部680cに取り付けるステップS145と、治具を下フランジ部680cから取り外すステップS220と、が追加されている。図19(A)に示すように、S145は、S140とS150の間に行われる。図19(B)に示すように、S220は、S210の後に行われる。
図20は、位置表示部681cと治具との構成を示す概略図である。図20(A)は、下フランジ部680cの位置表示部681cを含む一部分の斜視図である。図20(B)は、下フランジ部680cに治具500が取り付けられた状態を示す斜視図である。図20(B)に示すように、本実施例では、治具500は、ヒンジ530と、ヒンジ530によって互いに回動可能に連結された第1部分510と第2部分520と、第1部分510と第2部分520とに互いに近づく方向の力を印加する図示しないスプリングと、を備えている。治具500は、いわゆるクランプのように、第1部分510と第2部分520との間に他の部材を挟んだ状態で、その部材を保持することができる。このような治具500が、下フランジ部680cの外周側の端部に、下フランジ部680cを挟むように、取り付けられる。位置表示部681cは、治具500の取り付け位置を表している。本実施例では、位置表示部681cは、下フランジ部680cの上方向Z側の面に設けられた凹部である。位置表示部681cの形状は、治具500の第1部分510のうちの他の部材に接触すべき部分512の形状、すなわち、第2部分520に対向する部分512の形状と、おおよそ同じである。治具500の第1部分510のこの部分512を、位置表示部681cに嵌めることによって、下フランジ部680c上の治具500の位置が、特定される。図示するように、下フランジ部680cに取り付けられた状態で、治具500の第1部分510は、下フランジ部680cの上方向Z側の面よりも上方向Z側に(すなわち、上フランジ部780c側に)突出している。位置表示部682cの構成も、位置表示部681cの構成と、同じである。
図21は、下フランジ部680cと上フランジ部780cとの説明図である。図21(A)、図21(B)には、下方向-Zを向いて見たフランジ部680c、780cが、示されている。図21(A)は、下槽部600cに対する上槽部700cの相対的な位置が適切な固定位置である場合を示している。図21(B)は、上槽部700cが、固定位置から第2方向D2にずれている場合を示している。図中には、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cのそれぞれに治具500が取り付けられた状態が、示されている。
図21のように下方向-Zを向いて下槽部600cと上槽部700cとを見る場合に、凹部781c、782cは、下槽部600cに取り付けられた治具500を受け入れるのに十分に大きい。そして、図21(A)のように下槽部600cと上槽部700cとの相対位置が固定位置である場合、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cに取り付けられた治具500は、上フランジ部780cの凹部781c、782cに、挿入される。上フランジ部780cの下方向-Z側の面は、下フランジ部680cの上方向Z側の面に、全周に亘って接触できる。上槽部700cの上フランジ部780cは、下槽部600cの下フランジ部680cに、このような状態で、接着剤を用いて、固定される(詳細は後述)。
図21(B)のように下槽部600cに対する上槽部700cの相対位置が固定位置から第2方向D2にずれたシフト位置である場合、上フランジ部780cのうち凹部781c、782cの第1方向D1側の部分783c、784cは、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cに取り付けられた治具500に、それぞれ接触する(以下、部分783c、784cを、支持部783c、784cとも呼ぶ)。従って、上槽部700cを、図21(B)の相対位置で、下槽部600c上に配置する場合、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cに取り付けられた治具500を、上フランジ部780cの凹部781c、782cに挿入することができず、上フランジ部780cの支持部783c、784cは、治具500の上に載る。
本実施例の排水処理装置800cは、図7の製造方法に図19(A)、図19(B)のS145、S220を追加して得られる手順に従って、製造される。S110~S140、S150、S160の処理は、第1実施例の排水処理装置800を製造する場合のS110~S140、S150、S160の処理と、それぞれ同じである。S145(図19(A))では、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cに、それぞれ、治具500が取り付けられる。S150(図7)では、接着剤900は、下フランジ部680cの上方向Z側の面上における、位置表示部681c、682c以外の部分に、塗布される。S170では、上槽部700cが、下槽部600cの上方向Z側に配置される。ここで、下槽部600cに対する上槽部700cの相対位置は、図21(B)で説明したシフト位置に設定される。
図22は、下槽部600cに上槽部700cを固定する様子を示す説明図である。図22(A)~図22(C)のそれぞれには、図10(A)~図10(C)と同様に、Y方向を向いて見た下槽部600cと上槽部700cと仕切板200、300とが示されている。下槽部600cと上槽部700cとの相対位置は、図22(A)~図22(C)の順に変化する。図22(A)は、図7のS170で下槽部600cの上に上槽部700cが載せられた状態を、示している。図21(B)で説明したように、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cに取り付けられた治具500に、上フランジ部780cの支持部783c、784cが接触するので、上フランジ部780cは、下フランジ部680cから離れた高い位置に、維持される。仕切板200、300と、上槽部700cの凹部710、720との位置関係は、図10(A)の位置関係と、同じである。
図7のS180では、上槽部700cが、下槽部600cに対して、第1方向D1に移動される。そして、S190で、下槽部600cに対する上槽部700cの第1方向D1の位置は、図21(A)で説明した固定位置と同じ位置に、到達する。図22(B)は、図7のS190での下槽部600cと上槽部700cとを示している。フランジ部680c、780cを除いた他の部分の配置は、図10(B)の対応する部分の配置と、同じである。
下槽部600cに対する上槽部700cの第1方向D1の位置が固定位置と同じ位置に到達すると、上槽部700cは、下槽部600cに向かって、移動し、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cに取り付けられた治具500は、上フランジ部780cの凹部781c、782cに、それぞれ挿入される(図7:S200)。
図22(C)は、図7のS200での下槽部600cと上槽部700cとを示している。フランジ部680c、780cを除いた他の部分の配置は、図10(C)の対応する部分の配置と、同じである。上フランジ部780cは、下フランジ部680cに接触できるほどに、近づく。そして、接着剤900は、フランジ部680c、780cの間で押し広げられる。図7のS210の処理は、第1実施例の排水処理装置800を製造する場合のS210の処理と、同じである。これにより、排水処理装置800bが完成する。S220(図19(B))では、治具500が下フランジ部680cから取り外される。これにより、排水処理装置800bの製造が終了する。
以上のように、本実施例の排水処理装置800cの構成は、フランジ部680c、780cの構成が、上記各実施例のフランジ部680、780、680a、780a、680b、780bの構成と異なる点を除いて、排水処理装置800、800a、800bの構成と同じである。従って、排水処理装置800cは、上記各実施例の排水処理装置800、800a、800bを用いる場合と同様に、種々の利点を奏する。
また、上フランジ部780cの凹部781c、782cは、以下に説明する位置に配置されている。図21(A)には、水平な投影面上の下フランジ部680cの外周側の端を含む凸包686cが、示されている。この凸包686cは、下フランジ部680cの全体を包含する図形であって、内側に凹む部分のない、外に凸な最小の図形である。図21(A)の例では、凸包686cは、下槽部600cの外周側の端を示すラインと、同じである。水平な投影面上において、上フランジ部780cの凹部781c、782cは、この凸包686cよりも内周側に凹んでいる。下槽部600cと上槽部700cとの相対位置が固定位置である場合に、下フランジ部680cのうち凹部781c、782cに重なる位置に、治具500を取り付ければ、以下のように下槽部600cと上槽部700cと仕切板200、300との適切な固定が、可能である。下槽部600cに対する上槽部700cの相対位置が固定位置から第2方向D2にずれている場合、図22(A)に示すように、下槽部600cと上槽部700cとの間に挟まれた治具500によって、下槽部600cと上槽部700cとの間の隙間が維持される。下槽部600cと上槽部700cとの相対位置が固定位置である場合、図22(C)に示すように、治具500が上槽部700cの凹部781c、782cに受け入れられるので、下槽部600cと上槽部700cとは、全周に亘って接触できる。従って、上記の各実施例と同様に、接着剤900が意図しない部分に付着することが抑制される。そして、適切に、下槽部600cと上槽部700cとを固定できる。
また、下フランジ部680c(図21(A))は、位置表示部681c、682cを有している。位置表示部681c、682cは、治具500の取り付け位置を表す部分である。本実施例では、図21(A)の投影面上において、位置表示部681c、682cは、凹部781c、782cに囲まれる領域内の位置に配置された部分を含んでいる。すなわち、位置表示部681c、682cの少なくとも一部は、上槽部700cに重ならずに、凹部781c、782cによって形成される内周側に向かって凹んだ空間内に配置されている。下槽部600cのうちのこのような位置表示部681c、682cが設けられた位置に治具500を取り付ければ、図21(A)のように下槽部600cと上槽部700cとの相対位置が固定位置である場合に、治具500は、上槽部700cの凹部781c、782cに容易に受け入れられる。また、図21(B)のように下槽部600cと上槽部700cとの相対位置が固定位置からずれている場合、下フランジ部680cと上フランジ部780cとの間に治具500が挟まれて、下フランジ部680cと上フランジ部780cとの間の隙間を、容易に維持できる。従って、上記の各実施例と同様に、接着剤が、部材の意図しない部分に付着することを、抑制できる。そして、適切に、仕切板と下槽部と上槽部とを固定できる。
また、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cと、上フランジ部780cの凹部781c、782cと支持部783c、784cとは、以下に説明する中心線CL1c、CL2cを用いて特定される位置に、配置されている。図21(A)の下槽部600cと上槽部700cとは、水平な投影面上の排水処理装置800cの槽本体801cを示している。第1中心線CL1cは、投影面上の排水処理装置800cの長手方向Xに平行な中心線である。第2中心線CL2cは、投影面上の排水処理装置800cの幅方向Yに平行な中心線である。これらの中心線CL1c、CL2cは、投影面上の排水処理装置800cの領域890cの重心Gcを通る直線である。
下フランジ部680cの位置表示部681c、682cと、上フランジ部780cの凹部781c、782cと支持部783c、784cとは、下フランジ部680cと上フランジ部780cとの第2方向D2側の部分、具体的には、第2中心線CL2cよりも第2方向D2側の部分に設けられた部分である位置表示部682cと凹部782cと支持部784cとを含んでいる。従って、第1実施例と同様に、上槽部700cに力が印加される部分(上槽部700cの第2方向D2側の部分)と共に位置表示部682cに取り付けられた治具500とこれらの部分782c、784cを観察することによって、治具500が、凹部782cに受け入れられたか否かを、容易に確認できる。
さらに、本実施例では、下フランジ部680cの位置表示部681c、682cと、上フランジ部780cの凹部781c、782cと支持部783c、784cとは、下フランジ部680cと上フランジ部780cとの第1方向D1側の部分、具体的には、第2中心線CL2cよりも第1方向D1側の部分に設けられた部分である位置表示部681cと凹部781cと支持部783cとを含んでいる。従って、図22(A)に示すように、上槽部700cの相対位置がシフト位置である場合に、上フランジ部780cは、下フランジ部680cから離れた高い位置に、安定的に、維持される。
また、本実施例では、下フランジ部680c(図21(A))の位置表示部681c、682cと、上フランジ部780cの凹部781c、782cと支持部783c、784cとは、第1中心線CL1cで区分される2つの領域(すなわち、第1中心線CL1cの+Y側の領域と-Y側の領域)のそれぞれに設けられた部分を含んでいる。従って、図22(A)に示すように、上槽部700cの相対位置がシフト位置である場合に、上フランジ部780cは、下フランジ部680cから離れた高い位置に、安定的に、維持される。
また、本実施例では、下フランジ部680cのうちの外周側の端部は、上フランジ部780c側に向かって曲がらずに、水平に延びている。そして、上フランジ部780cの外周側の端部は、下フランジ部680c側に向かって曲がらずに、水平に延びている。従って、下フランジ部680cと上フランジ部780cとの接触に起因する下フランジ部680cと上フランジ部780cとの間の意図しない隙間を、抑制できる。
E.変形例:
(1)下フランジ部と上フランジ部とのそれぞれの構成は、上記各実施例の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、図15の実施例において、突出部781b、782bが、下フランジ部680bに設けられ、孔形成部681b、682bが、上フランジ部780bに設けられてもよい。貫通孔を形成する孔形成部681b、682bに代えて、有底の穴(すなわち、凹部)を形成する形成部が、設けられてもよい。孔形成部681b、682bに代えて、図6(A)の上フランジ部780の凹部781、782のように、内周側に凹む凹部が設けられてもよい。図18の実施例において、凹部781c、782cが、下フランジ部680cに設けられ、位置表示部681c、682cが、上フランジ部780cに設けられてもよい。図4の実施例において、上フランジ部780の外周側の端部の少なくとも一部が、下フランジ部680側とは反対側(すなわち、上方向Z)に向かって曲がっていてもよい。図12の実施例において、下フランジ部680aの外周側の端部の少なくとも一部が、上フランジ部780a側とは反対側(すなわち、下方向-Z)に向かって曲がっていてもよい。図15の実施例において、下フランジ部680bの外周側の端部の少なくとも一部(例えば、第1方向D1側の部分)は、上フランジ部780b側とは反対側(すなわち、下方向-Z側)に向かって曲がっていてもよい。また、上フランジ部780bの外周側の端部の少なくとも一部(例えば、第1方向D1側の部分)は、下フランジ部680b側とは反対側(すなわち、上方向Z)に向かって曲がっていてもよい。また、下フランジ部と上フランジ部とは、下フランジ部と上フランジ部との上述した複数の構成から任意に選択された複数の構成を、兼ね備えてもよい。例えば、下フランジ部は、突出端部670(図4)と孔形成部681b、682b(図15)とを備え、上フランジ部は、突出部781b、782b(図15)を備えてよい。また、図18のフランジ部680c、780cに、図15の突出部781b、782bと孔形成部681b、682bとが、設けられてもよい。
(2)仕切板の構成は、上記各実施例の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、仕切板の外周側の縁部のうち第1方向D1側に曲がっているのは、全周のうちの一部分のみであってもよい。また、仕切板の外周側の縁部のうちの一部は、槽本体よりも内側に凹んでいて、槽本体から離れていてもよい。
いずれの場合も、仕切板の外周側の縁部のうち上槽部または下槽部に接着剤を用いて固定された接着部分は、縁部のうちの第1方向D1側に曲がっている部分に設けられることが好ましく、縁部の面のうちの第2方向D2側を向く面に設けられることが特に好ましい。このような接着部分に上槽部または下槽部を接続する場合には、図11(D)~図11(F)のように、上槽部または下槽部が、仕切板に平行な方向から、仕切板に近づくのではなく、図10(A)、図10(B)のように、上槽部または下槽部が、仕切板の第2方向D2側から、仕切板に垂直な第1方向D1に向かって移動することによって、仕切板に近づくことが好ましい。ここで、仕切板の接着部分は、図5(D)の下槽部600の第2部分612の内面612iのように、槽本体の内面のうちの第1方向D1側を向く面に固定されることが好ましい。ただし、槽本体の内面のうちの第1方向D1に平行な内面に、仕切板の縁部が固定されてもよい。
(3)治具の取り付け位置を表す位置表示部の構成は、図20(B)の位置表示部681cのように治具の一部を嵌めることが可能な凹部に代えて、位置を表す任意に構成であってよい。例えば、治具として爪を有するバイスを用いる場合、位置表示部は、爪を挿入するための溝であってよい。また、位置表示部は、治具の一部を挿入するための貫通孔であってもよい。また、位置表示部は、フランジ部と治具との接触部分の輪郭を示す凸状の部分であってよい。また、位置表示部は、フランジ部と治具との接触部分の輪郭を示す着色ラインやマーカであってよい。このように、位置表示部は、凸部と凹部との少なくとも一方を含む立体的な部分であってよく、また、着色ラインやマーカのような2次元の印であってよい。
また、図15~図17の実施例において、突出部781b、782bは、治具に置換されてもよい。例えば、治具は、中心軸に沿って延びる柱状の部分である柱部分と、柱部分の一方の端面に接続され同じ中心軸に沿って延びるボルト部分と、で構成されてよい。柱部分の形状は、突出部781b、782bの形状と同じであり、例えば、中心軸に沿って延びる円柱である。ボルト部分の外径は、柱部分の外径よりも、小さい。上フランジ部780bには、突出部781b、782bに代えて、ボルト部分が挿入されるための貫通孔であるボルト貫通孔が設けられる(図示省略)。ボルト貫通孔の内径は、柱部分の外径よりも小さい。治具のボルト部分は、上フランジ部780bの下フランジ部680b側から、ボルト貫通孔に挿入される。ボルト部分には、ナットが締め付けられる。これにより、治具は、上フランジ部780bに固定される。図示を省略するが、上フランジ部780bのうちのボルト貫通孔を形成する部分である孔形成部は、位置表示部の例である。図16(A)に示す実施例と同様に、下槽部600bと上槽部700bとの相対位置が固定位置である場合、治具の柱部分は、孔形成部681b、682bによって形成される貫通孔に、それぞれ挿入される。図示を省略するが、図16(A)のような水平な投影面上において、ボルト貫通孔を形成する孔形成部は、柱部分を受け入れる貫通孔(ここでは、孔形成部681b、682bによって形成される貫通孔)に囲まれる領域内の位置に配置されている。このような治具を利用することによって、下槽部600bと上槽部700bとは、図17(A)~図17(C)の実施例と同じ手順に従って、互いに固定される。固定の後、ボルト部分からナットが取り外され、そして、治具は、孔形成部681b、682bを通じて、取り外される。なお、下槽部600bの下フランジ部680bにボルト貫通孔を形成する孔形成部が設けられ、そして、上槽部700bの上フランジ部780bに治具の柱部分を受け入れる貫通孔を形成する孔形成部681b、682bが設けられてもよい。また、図18の実施形態において、ボルト部分と柱部分とを備える治具が利用されてもよい。例えば、下フランジ部680cに、ボルト貫通孔を形成する孔形成部が設けられてよい。また、柱部分の形状は、円柱に代えて、他の任意の形状であってよい(例えば、四角柱)。また、柱部分の角は、面取りされてもよい。
このように、下フランジ部と上フランジ部とのうちの一方のフランジ部である第3フランジ部には、治具を受け入れるための貫通孔を形成する孔形成部が設けられてよい。図16(A)のような水平な投影面上において、治具を受け入れるための貫通孔を形成する孔形成部(例えば、孔形成部681b、682b)は、下フランジ部と上フランジ部とのうちの他方のフランジ部である第4フランジ部に重なる位置に、設けられてよい。また、第4フランジ部に設けられる位置表示部は、治具の一部を挿入するための貫通孔を形成する孔形成部であってよい。位置表示部の構成に拘わらず、第3フランジ部には、治具を受け入れるための凹部と貫通孔を形成する孔形成部との少なくとも一方が設けられてよい。
いずれの場合も、下フランジ部と上フランジ部とのうちの一方のフランジ部である第3フランジ部に、治具を受け入れるための凹部と貫通孔を形成する孔形成部との少なくとも一方が設けられる場合に、下フランジ部と上フランジ部とのうちの他方のフランジ部である第4フランジ部に位置表示部が設けられる。そして、水平な投影面上において、位置表示部は、第3フランジ部の凹部と孔形成部との少なくとも一方の縁に接する位置と凹部と孔形成部との少なくとも一方に囲まれる領域内の位置との少なくとも一方に配置された部分を含むことが好ましい。このような位置表示部によって表される位置に治具を取り付ければ、下フランジ部と上フランジ部との相対位置が適切な固定位置である場合に、第3フランジ部の凹部と孔形成部との少なくとも一方は、適切に、治具を受け入れることができる。なお、水平な投影面上において、位置表示部の一部は、第3フランジ部に重なる位置に設けられてもよい。また、水平な投影面上において、第3フランジ部の凹部の形状と大きさと孔形成部(ひいては、貫通孔)の形状と大きさとは、治具を受け入れることが可能な任意の形状と大きさとであってよい。
(4)下槽部と上槽部との接続の際に利用される治具は、図20(B)の治具500に代えて、他の任意の装置であってよい。例えば、治具は、図20(B)の治具500のようにフランジ部を挟む部分と、取っ手と、を備える鋏のようなバイスであってよい。また、フランジ部を挟む部分は、図20(B)の治具500のような湾曲する部分を含まずに、矩形状の部分であってよい。また、治具は、単純なスペーサであってよい。一般的には、治具は、第4フランジ部に治具が取り付けられた場合に、第4フランジ部から第3フランジ部側に突出する突出部を形成することが好ましい。このような治具を用いる場合、上フランジ部と下フランジ部との間に治具が挟まることによって、下フランジ部と上フランジ部との間の隙間を維持できる。
(5)排水処理装置の構成は、図1~図3で説明した構成に代えて、他の任意の構成であってよい。例えば、上記各実施例においては、仕切板200、300(図2)は、槽本体801、801a~801cの凹部610、620、710、720の流入口802側に固定されている。これに代えて、仕切板200、300は、凹部610、620、710、720の放流口804側に固定されてもよい。この場合、仕切板200、300の縁部230、330(図4等)は、放流口804側に向かって曲がっていることが好ましい。このように、長手方向Xが、第1方向D1として利用され、X方向の反対の方向が、第2方向D2として利用されてよい。
また、上槽部700、700a~700cから、凹部710、720が省略されてよい。この場合、上槽部700、700a~700cは、凹部710、720に代えて、上槽部700、700a~700cの内面に固定された骨材(リブとも呼ばれる)を、備えてよい。そして、仕切板200、300(図2)は、上槽部の骨材に固定されてよい。下槽部600、600a~600cも、同様に、凹部610、620に代えて、下槽部600、600a~600cの内面に固定された骨材を、備えてよい。そして、仕切板200、300(図2)は、下槽部の骨材に固定されてよい。一般的には、上槽部と下槽部とは、内部に向かって突出するとともに仕切板を支持する仕切板支持部を、備えてよい。凹部610、620、710、720や骨材は、仕切板支持部の例である。
また、接触濾床槽830と処理水槽840との間は、仕切板200と同様に、長手方向Xに垂直な仕切板によって仕切られてもよい。水処理のフローは、図1のフローに代えて、他の任意のフローであってよい。例えば、排水処理装置は、接触濾床槽830に代えて、担体が流動する担体流動槽を備えてよい。また、排水処理装置は、排水処理装置から放流される水の単位時間当たりの量を調整する装置(例えば、流量調整槽)を、備えてよい。また、排水処理装置に設けられる仕切板の総数は、1以上に任意の数であってよい。また、図4の実施例等と同様に、排水処理装置に設けられた全ての仕切板のそれぞれの縁部が、同じ方向側に曲がっていることが好ましい(第1方向D1と呼ぶ)。この構成によれば、図7のS170~S200のように、上槽部と下槽部とのうちの仕切板が固定されていない第1槽部を、仕切板が固定された第2槽部に対して相対的に第1方向D1に移動させることによって、全ての仕切版のそれぞれの縁部を、第1槽部の特定の部分(例えば、第1槽部の仕切板支持部の第1方向D1側を向く内面(例えば、図10(A)~図10(C)の内面712i))に、適切に接続できる。
(6)排水処理装置の製造方法は、図7、図19(A)、図19(B)に示す方法に代えて、他の任意の方法であってよい。例えば、S170(図7)では、上槽部は、下槽部上の固定位置に載せられてよい。そして、S180、S190、S200が、省略されてよい。この場合も、下槽部上に上槽部を載せる場合に、相対位置は、固定位置からずれ得る。ここで、上記各実施例と各変形例の排水処理装置を採用すれば、固定位置からずれた相対位置で上フランジ部が下フランジ部に密着することが抑制される。このように、上記の排水処理装置は、製造方法に依らずに、接着剤に関連する不具合を抑制できる。
(7)排水処理装置の製造に用いられる接着剤としては、任意の接着剤を利用可能である。例えば、エポキシ樹脂系接着剤やアクリル樹脂系接着剤が用いられてよい。また、シリコン樹脂などのシーリング材が、接着剤として利用されてもよい。また、接着剤の成分は、固定対象の部材に応じて、変更されてよい。例えば、下槽部と仕切板との固定に利用される接着剤は、下槽部と上槽部との固定に利用される接着剤と、同じであってよく、異なっていてもよい。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。