JP7019110B1 - 表面実装リレー用液晶性樹脂組成物及びそれを用いた表面実装リレー - Google Patents
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Abstract
Description
前記(A)液晶性樹脂は、必須の構成成分として、下記構成単位(I)~(VI)からなり、
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量は50~70モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量は0.5モル%以上4.5モル%未満であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量は10.25~22.25モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量は0.5モル%以上4.5モル%未満であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量は5.75~23.75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(VI)の含有量は1~7モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)と構成単位(IV)との合計の含有量は1モル%以上5モル%未満であり、
全構成単位に対して構成単位(I)~(VI)の合計の含有量は100モル%であり、
構成単位(V)と構成単位(VI)との合計に対する構成単位(VI)のモル比が0.04~0.37である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルアミドであり、
前記(B)繊維状ウォラストナイトのアスペクト比は、8以上であり、
前記液晶性樹脂組成物全体に対して、
前記(A)液晶性樹脂の含有量は、55~75質量%、
前記(B)繊維状ウォラストナイトの含有量は、2.5~17.5質量%、
前記(C)マイカの含有量は、15~32.5質量%、
前記(B)繊維状ウォラストナイト及び前記(C)マイカの合計の含有量は、25~45質量%
であり、
前記表面実装リレーは、ベースと、前記ベースから突出する端子とを備え、前記端子をプリント基板に半田付けするようにした表面実装リレーである液晶性樹脂組成物。
本発明に係る表面実装リレー用液晶性樹脂組成物は、特定の液晶性樹脂と、繊維状ウォラストナイトと、マイカとを所定量ずつ含み、繊維状ウォラストナイトのアスペクト比は、8以上であり、前記表面実装リレーは、ベースと、前記ベースから突出する端子とを備え、前記端子をプリント基板に半田付けするようにした表面実装リレーである。以下、本発明に係る液晶性樹脂組成物を構成する成分について説明する。
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、上記全芳香族ポリエステルアミドである液晶性樹脂が含まれる。上記全芳香族ポリエステルアミドは、融点が低いため、加工温度を低くすることができ、溶融時の分解ガスの発生が抑制される。液晶性樹脂は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
(B)繊維状ウォラストナイトのアスペクト比、即ち、平均繊維長/平均繊維径の値は8以上である。上記アスペクト比は、本発明に係る液晶性樹脂組成物から得られる表面実装リレー用部品等の成形体の変形抑制効果等の観点から、好ましくは10~25であり、より好ましくは15~20である。
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、マイカが含まれる。本発明に係る液晶性樹脂組成物にマイカが含まれることにより、液晶性樹脂組成物の流動性が向上しやすく、また、変形が抑制された成形体を得ることができる。マイカは、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
マイカとは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄等を含んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。本発明において使用できるマイカとしては、白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母等が挙げられ、これらのうち色相が良好であり、低価格であるという点で白雲母が好ましい。
本発明に係る液晶性樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の重合体、その他の充填剤、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等のその他の成分も要求性能に応じ適宜添加することができる。その他の成分は1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る液晶性樹脂組成物を成形することにより、本発明に係る表面実装リレー用部品を得ることができる。本発明に係る表面実装リレー用部品は、耐熱性及び気密性に優れ、変形とフィラーの脱離とが抑制されている。本発明に係る表面実装リレーは、上記部品を備えるため、(1)耐熱性に優れ、半田リフロー処理に耐えることができ、(2)半田リフロー処理後でも気密性及び形状を保持することができ、(3)フィラーの脱離が抑制され、導通不良等の機能障害が発生しにくい。
下記の実施例及び比較例において、液晶性樹脂LCP1~LCP4は、以下の通りにして製造した。その際、ペレットの融点及び溶融粘度の測定は、それぞれ下記の条件で行った。
TAインスツルメント社製DSCにて、液晶性樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の測定後、(Tm1+40)℃の温度で2分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度、20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピークの温度を測定した。
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し、液晶性樹脂の融点よりも10~30℃高い温度で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、液晶性樹脂の溶融粘度を測定した。なお、測定温度は、LCP1については360℃、LCP2については350℃、LCP3については380℃、LCP4については380℃であった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1385g(60モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:88g(2.8モル%)(HNA)
(III)1,4-フェニレンジカルボン酸:504g(18.15モル%)(TA)
(IV)1,3-フェニレンジカルボン酸:19g(0.7モル%)(IA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:415g(13.35モル%)(BP)
(VI)N-アセチル-p-アミノフェノール:126g(5モル%)(APAP)
酢酸カリウム触媒:120mg
無水酢酸:1662g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから20分かけて10Torr(即ち、1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は345℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸1380g(60モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸157g(5モル%)(HNA)
(III)1,4-フェニレンジカルボン酸484g(17.5モル%)(TA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル388g(12.5モル%)(BP)
(VI)N-アセチル-p-アミノフェノール126g(5モル%)(APAP)
酢酸カリウム触媒110mg
無水酢酸1659g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち、1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットの融点は336℃、溶融粘度は20Pa・sであった。
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:1040g(48モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:89g(3モル%)(HNA)
(III)1,4-フェニレンジカルボン酸:547g(21モル%)(TA)
(IV)1,3-フェニレンジカルボン酸:91g(3.5モル%)(IA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:716g(24.5モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:110mg
無水酢酸:1644g
撹拌機、還流カラム、モノマー投入口、窒素導入口、減圧/流出ラインを備えた重合容器に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、アシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。
(I)4-ヒドロキシ安息香酸:37g(2モル%)(HBA)
(II)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸:1218g(48モル%)(HNA)
(III)1,4-フェニレンジカルボン酸:560g(25モル%)(TA)
(V)4,4’-ジヒドロキシビフェニル:628g(25モル%)(BP)
酢酸カリウム触媒:165mg
無水酢酸:1432g
重合容器に原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に360℃まで5.5時間かけて昇温し、そこから30分かけて5Torr(即ち、667Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、その他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレット化した。得られたペレットについて、窒素気流下、300℃で3時間の熱処理を行った。ペレットの融点は348℃、溶融粘度は9Pa・sであった。
・繊維状充填剤
繊維状ウォラストナイト1:NYGLOS 8(NYCO Materials社製、アスペクト比17、平均繊維長136μm、平均繊維径8μm)
繊維状ウォラストナイト2:NYAD 325(NYCO Materials社製、アスペクト比5、平均繊維長50μm、平均繊維径10μm)
ミルドファイバー:日東紡(株)製PF70E001、繊維径10μm、平均繊維長70μm(メーカー公称値)
ガラス繊維:日本電気硝子(株)製ECS03T-786H、繊維径10μm、長さ3mmのチョプドストランド
・板状充填剤
マイカ;(株)山口雲母工業製AB-25S、平均粒子径25μm
タルク;松村産業(株)製クラウンタルクPP、平均粒子径10μm
[押出条件]
メインフィード口に設けられたシリンダーの温度を250℃とし、他のシリンダーの温度はすべて下記の通りとした。液晶性樹脂はすべてをメインフィード口から供給した。また、充填剤はサイドフィード口から供給した。
他のシリンダー温度:
360℃(実施例1~3並びに比較例1~7及び11)
350℃(比較例8)
370℃(比較例9及び10)
(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用し、液晶性樹脂の融点よりも10~30℃高い温度で、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、剪断速度1000/秒で、ISO11443に準拠して、液晶性樹脂組成物の溶融粘度を測定した。なお、測定温度は、LCP1を使用した液晶性樹脂組成物については360℃、LCP2を使用した液晶性樹脂組成物については350℃、LCP3を使用した液晶性樹脂組成物については380℃、LCP4を使用した液晶性樹脂組成物については380℃であった。結果を表1及び表2に示す。
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形して成形体を得、ISO75-1,2に準拠して荷重たわみ温度を測定した。荷重たわみ温度を成形体の耐熱性を表す指標として用いた。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
360℃(実施例1~3並びに比較例1~7及び11)
350℃(比較例8)
370℃(比較例9及び10)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形して0.8mm厚の成形体を得、ASTM D790に準拠し、曲げ強度、曲げ歪、及び曲げ弾性率を測定した。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE100DU
シリンダー温度:
360℃(実施例1~3並びに比較例1~7及び11)
350℃(比較例8)
370℃(比較例9及び10)
金型温度:90℃
射出速度:33mm/sec
下記成形条件で、液晶性樹脂組成物を射出成形し(ゲート:ピンゲート、ゲートサイズ:φ0.3mm)、図3(a)及び図3(b)に示すような、リレーケースを得た。
[成形条件]
成形機:住友重機械工業(株)、SE30DUZ
シリンダー温度:
360℃(実施例1~3並びに比較例1~7及び11)
350℃(比較例8)
370℃(比較例9及び10)
金型温度:90℃
射出速度:200mm/sec
上述の通りにして得た図3(a)及び図3(b)に示すリレーケースの底面の寸法をミツトヨ製クイックビジョン404PROCNC画像測定機により測定した。測定は、下記条件で行ったリフローの前後で行い、以下の基準に従って評価した。
○(良好):リフロー前後の寸法変化の絶対値がリフロー前の寸法の0.6%未満であった。
×(不良):リフロー前後の寸法変化の絶対値がリフロー前の寸法の0.6%以上であった。
[リフロー条件]
測定機:(株)二葉科学製コンベア式熱風循環乾燥機DFC-27-022S
試料送り速度:0.45mm/min
リフロー炉通過時間:5分
プレヒートゾーンの温度条件:185℃
リフローゾーンの温度条件:295℃
ピーク温度:257℃
上述の通りにして得た図3(a)及び図3(b)に示すリレーケースの底面側から、図4(a)及び図4(b)に示す台座(材質はリレーケースと同一)を装着し、図5(a)に示す通り、リレーケース内部を密閉した。このリレーケースを、前述の条件で行ったリフローに供した後、水平な机の上に静置し、リレーケース天面の高さをミツトヨ製クイックビジョン404PROCNC画像測定機により測定した。その際、図5(b)において黒丸で示す複数の位置で高さを測定し、最小二乗平面からの最大高さと最小高さとの差をリレーケース天面の平面度として、以下の
基準に従って評価した。
○(良好):平面度が0.45mm未満であり、リレーケースにリフロー時膨れが生じなかった。
×(不良):平面度が0.45mm以上であり、リレーケースにリフロー時膨れが生じた。
上述の通りにして得た図3(a)及び図3(b)に示すリレーケースを、前述の条件で行ったリフローに供した後、充填剤の脱離状況を観察し、以下の基準に従って評価した。
○(良好):変化がなく、充填剤の脱離が抑制されていた。
×(不良):充填剤が脱離していた。
上述と同様にして、図5(a)に示す通り、リレーケース内部を密閉した。このリレーケースを、前述の条件で行ったリフローに供した後、70℃の温水に1分間浸漬した。その際の気泡の有無を観察し、以下の基準に従って評価した。
○(良好):気泡が観察されなかった。
×(不良):気泡が観察された。
2 ベース
3 ケース
4 コイルブロック
41 ボビン
42 コイル
43 鉄心
5 接極子ブロック
51 接極子連結部
52 接極子
6 端子
7 プリント基板
8 導体パターン
Claims (4)
- (A)液晶性樹脂と、(B)繊維状ウォラストナイトと、(C)マイカと、を含む表面実装リレー用液晶性樹脂組成物であって、
前記(A)液晶性樹脂は、必須の構成成分として、下記構成単位(I)~(VI)からなり、
全構成単位に対して構成単位(I)の含有量は50~70モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)の含有量は0.5モル%以上4.5モル%未満であり、
全構成単位に対して構成単位(III)の含有量は10.25~22.25モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(IV)の含有量は0.5モル%以上4.5モル%未満であり、
全構成単位に対して構成単位(V)の含有量は5.75~23.75モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(VI)の含有量は1~7モル%であり、
全構成単位に対して構成単位(II)と構成単位(IV)との合計の含有量は1モル%以上5モル%未満であり、
全構成単位に対して構成単位(I)~(VI)の合計の含有量は100モル%であり、
構成単位(V)と構成単位(VI)との合計に対する構成単位(VI)のモル比が0.04~0.37である、溶融時に光学的異方性を示す全芳香族ポリエステルアミドであり、
前記(B)繊維状ウォラストナイトのアスペクト比は、8以上であり、
前記液晶性樹脂組成物全体に対して、
前記(A)液晶性樹脂の含有量は、55~75質量%、
前記(B)繊維状ウォラストナイトの含有量は、2.5~17.5質量%、
前記(C)マイカの含有量は、15~32.5質量%、
前記(B)繊維状ウォラストナイト及び前記(C)マイカの合計の含有量は、25~45質量%
であり、
前記表面実装リレーは、ベースと、前記ベースから突出する端子とを備え、前記端子をプリント基板に半田付けするようにした表面実装リレーである液晶性樹脂組成物。
- 構成単位(III)と構成単位(IV)との合計のモル数が構成単位(V)と構成単位(VI)との合計のモル数の1~1.1倍であり、又は、構成単位(V)と構成単位(VI)との合計のモル数が構成単位(III)と構成単位(IV)との合計のモル数の1~1.1倍である請求項1に記載の液晶性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物からなる表面実装リレー用部品。
- 請求項3に記載の部品を備える表面実装リレー。
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