JP7018798B2 - 鉄道車両復線装置 - Google Patents
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Description
この軌道構造は、レール対の内外であって、各レールの左右両側にスロープ板とガイド部材とを備えている。
そして、鉄道車両がレール上から左右どちらかの側に脱線してその勢いのまま走行する場合に、レール対の内外のスロープ板が道床と車輪との間に介在して鉄道車両をその上面で走行させつつ、車輪の踏面や下端面をレールの頂面以上の高さに押し上げるとともに、ガイド部材が車輪の側面に当接することによってその車輪をレール上に案内するようにして復線させるようになっている。
そこで、本発明者らが鋭意検討して、脱線した鉄道車両をスムーズに復線させるための技術を開発するに至った。
道床に設けられたレール対の上を走行する鉄道車両が前記レール対から脱線した場合に、その鉄道車両を前記レール対に復線させる鉄道車両復線装置であって、
前記レール対における各レールの外側に配設されており、上面が前記鉄道車両の進行方向に向かって徐々に高くなるように形成された軌間外側スロープ板と、
前記レール対における各レールの内側に配設されており、上面が前記鉄道車両の進行方向に向かって徐々に高くなるように形成された軌間内側スロープ板と、
前記軌間外側スロープ板の上端部の高さを維持するように、その上端側から延在して前記レールに沿って配設されている軌間外側踏面板と、
前記軌間内側スロープ板の上端部の高さを維持するように、その上端側から延在して前記レールに沿って配設されている軌間内側踏面板と、
少なくとも前記軌間内側踏面板の上面に配設されており、前記鉄道車両が前記軌間内側踏面板の上面を走行する場合に、前記鉄道車両の車輪の内側の側面に当接することによってその車輪を前記レール上に誘導する誘導部材と、
を備え、
前記軌間外側スロープ板と前記軌間内側スロープ板は同じ勾配を有するとともに、それぞれの上端部は前記鉄道車両の進行方向において同じ位置にあり、
前記軌間外側スロープ板の上端部の高さが前記レールの上面の高さであるとき、前記軌間内側スロープ板の上端部の高さが前記軌間外側スロープ板の上端部の高さよりも低くなるように、前記軌間外側スロープ板よりも前記軌間内側スロープ板の方が前記レールに沿う方向の長さが短く形成されているようにした。
前記軌間内側スロープ板の上端部の高さは、前記軌間外側スロープ板の上端部の高さよりも、前記車輪のフランジ高さ分低いようにする。
前記誘導部材は、前記軌間内側スロープ板から前記軌間内側踏面板に亘って漸次前記レールに近接するように設けられているようにする。
前記軌間外側スロープ板及び前記軌間内側スロープ板及び前記誘導部材における所定の高さ未満の部分は鋼材を用いて形成されており、所定の高さ以上の部分はコンクリートを用いて形成されているようにする。
前記誘導部材は、樹脂層を介して前記道床に固定されているようにする。
鉄道車両復線装置100は、道床Fに設けられたレール対(一対のレールR)上を走行する鉄道車両Tがレール対から脱線した場合に、その鉄道車両Tをレール対に復線させるための装置である。
なお、図1及び図2の図中、鉄道車両Tの進行方向を矢印で示している。
また、図中、道床F上の枕木や、その枕木にレールRを固定する締結器等の図示は省略している。
また、本実施形態での道床Fは、軌道スラブであるものとする。
軌間外側スロープ板10は、ボルトを用いて道床Fに固定されており、鉄道車両Tの進行方向に昇り傾斜となる向きに設置されている。
この軌間外側スロープ板10は、鉄道車両Tがレール対から脱線して走行する場合に、道床Fと鉄道車両Tの車輪Wとの間に介在して鉄道車両Tをその上面で走行させつつ、車輪Wをレール対の一方のレールRの高さまで押し上げる機能を有している。
軌間外側スロープ板10の厚みが薄い部分を鋼材で形成することで、鉄道車両Tが走行するための強度を好適に確保することができる。
軌間内側スロープ板20は、ボルトを用いて道床Fに固定されており、鉄道車両Tの進行方向に昇り傾斜となる向きに設置されている。
また、軌間内側スロープ板20と道床Fの間には、接着性を有する樹脂層60が設けられている。
この軌間内側スロープ板20は、鉄道車両Tがレール対から脱線して走行する場合に、道床Fと鉄道車両Tの車輪Wとの間に介在して鉄道車両Tをその上面で走行させつつ、車輪Wをレール対の他方のレールRの高さまで押し上げる機能を有している。
軌間内側スロープ板20の厚みが薄い部分を鋼材で形成することで、鉄道車両Tが走行するための強度を好適に確保することができる。
また、軌間外側スロープ板10と軌間内側スロープ板20のそれぞれの上端部10a,20aはレールRを挟んで並ぶ位置にある。換言すれば、軌間外側スロープ板10と軌間内側スロープ板20のそれぞれの上端部10a,20aは鉄道車両Tの進行方向において同じ位置にある。
特に、軌間外側スロープ板10の上端部10aの高さがレールRの上面の高さであるとき、軌間内側スロープ板20の上端部20aの高さが軌間外側スロープ板10の上端部10aの高さよりも低くなるようにするため、軌間外側スロープ板10よりも軌間内側スロープ板20の方がレールRに沿う方向の長さが短く形成されている。
換言すれば、同じ勾配を有し、上端部10a,20aの高さが異なる軌間外側スロープ板10と軌間内側スロープ板20を、その上端部10a,20aを並べて配置するため、軌間外側スロープ板10の下端部10bよりも軌間内側スロープ板20の下端部20bの方が、鉄道車両Tの進行方向の後方に位置するように設置されている。
具体的に、軌間内側スロープ板20の上端部20aの高さは、軌間外側スロープ板10の上端部10aの高さよりも、車輪Wのフランジ高さ分(例えば、25mm)低く設計されている。
この軌間外側踏面板30は、コンクリート(ダクタルコンクリート)を用いて形成されており、ボルトを用いて道床Fに固定されている。
この軌間内側踏面板40は、コンクリート(ダクタルコンクリート)を用いて形成されており、ボルトを用いて道床Fに固定されている。
また、軌間内側踏面板40と道床Fの間には、接着性を有する樹脂層60が設けられている。
なお、誘導部材50の始端側と終端側は道床F上に設けられている。
そして、誘導部材50は、その始端側から徐々に軌間内側スロープ板20の上に載りかかり、軌間内側スロープ板20の途中から軌間内側踏面板40にかけては、誘導部材50全体がその上に載りかかった態様になっている。
この誘導部材50は、ボルトを用いて道床Fに固定されている。
また、誘導部材50と道床Fの間には、接着性を有する樹脂層60が設けられている。
誘導部材50の厚みが薄い部分を鋼材で形成することで、鉄道車両Tの車輪Wと接触して誘導するための強度を好適に確保することができる。
また、誘導部材50と軌間内側スロープ板20が重なっている部分(誘導部材50が軌間内側スロープ板20に載りかかっている部分)であって、高さ95mm以上の部分はダクタルコンクリートを用いて誘導部材50と軌間内側スロープ板20とが一体形成されている。
また、誘導部材50と軌間内側踏面板40が重なっている部分はダクタルコンクリートを用いて誘導部材50と軌間内側踏面板40とが一体形成されている。
つまり、この誘導部材50(軌間内側スロープ板20と一体の誘導部材50、軌間内側踏面板40と一体の誘導部材50)は、樹脂層60を介して道床Fに固定されている。
図3は、レールRから進行方向の右側に脱線した鉄道車両Tを部分的に示す説明図であり、その鉄道車両Tの車輪WとレールRとの位置関係を示している。
このとき、軌間外側スロープ板10と軌間内側スロープ板20は同じ勾配を有しているので、鉄道車両Tはそのスロープ板上をスムーズに走行するようになっており、従来技術のようにヨーイングしてしまうことはない。
こうして鉄道車両Tがスロープ板(軌間外側スロープ板10、軌間内側スロープ板20)上を昇るように走行することに伴い、鉄道車両Tの車輪Wが徐々にレールR上に押し上げられている。
また、進行方向の左側の車輪Wが左側のレールRに寄せられたことに伴い、進行方向の右側の車輪Wが右側のレールRに寄せられる。
ここで、軌間内側スロープ板20と道床Fの間には接着性を有する樹脂層60が設けられており、軌間内側スロープ板20と一体の誘導部材50は、樹脂層60を介して道床Fに固定されているので、誘導部材50が車輪Wに当接したことによる横方向への反力に抗しやすくなっている。
なお、図5に図示した領域ではないが、誘導部材50と道床Fの間には接着性を有する樹脂層60が設けられている。
また、進行方向の左側の車輪Wが左側のレールR上に誘導されたことに伴い、進行方向の右側の車輪Wが右側のレールR上に誘導される。
ここで、軌間内側踏面板40と道床Fの間には接着性を有する樹脂層60が設けられており、軌間内側踏面板40と一体の誘導部材50は、樹脂層60を介して道床Fに固定されているので、誘導部材50が車輪Wに当接したことによる横方向への反力に抗しやすくなっている。
また、軌間内側踏面板40の上面は、レールRの上面よりも車輪Wのフランジ高さ分低いので、進行方向の左の車輪Wは、軌間内側踏面板40からレールRにスムーズに移ることができる。
こうして進行方向の右側の車輪Wを右側のレールR上に載せ、進行方向の左側の車輪Wを左側のレールR上に載せたことで、脱線した鉄道車両TのレールR(レール対)への復線が完了する。
10a 上端部
10b 下端部
20 軌間内側スロープ板
20a 上端部
20b 下端部
30 軌間外側踏面板
40 軌間内側踏面板
50 誘導部材
60 樹脂層
100 鉄道車両復線装置
T 鉄道車両
W 車輪
R レール(レール対)
F 道床
Claims (5)
- 道床に設けられたレール対の上を走行する鉄道車両が前記レール対から脱線した場合に、その鉄道車両を前記レール対に復線させる鉄道車両復線装置であって、
前記レール対における各レールの外側に配設されており、上面が前記鉄道車両の進行方向に向かって徐々に高くなるように形成された軌間外側スロープ板と、
前記レール対における各レールの内側に配設されており、上面が前記鉄道車両の進行方向に向かって徐々に高くなるように形成された軌間内側スロープ板と、
前記軌間外側スロープ板の上端部の高さを維持するように、その上端側から延在して前記レールに沿って配設されている軌間外側踏面板と、
前記軌間内側スロープ板の上端部の高さを維持するように、その上端側から延在して前記レールに沿って配設されている軌間内側踏面板と、
少なくとも前記軌間内側踏面板の上面に配設されており、前記鉄道車両が前記軌間内側踏面板の上面を走行する場合に、前記鉄道車両の車輪の内側の側面に当接することによってその車輪を前記レール上に誘導する誘導部材と、
を備え、
前記軌間外側スロープ板と前記軌間内側スロープ板は同じ勾配を有するとともに、それぞれの上端部は前記鉄道車両の進行方向において同じ位置にあり、
前記軌間外側スロープ板の上端部の高さが前記レールの上面の高さであるとき、前記軌間内側スロープ板の上端部の高さが前記軌間外側スロープ板の上端部の高さよりも低くなるように、前記軌間外側スロープ板よりも前記軌間内側スロープ板の方が前記レールに沿う方向の長さが短く形成されていることを特徴とする鉄道車両復線装置。 - 前記軌間内側スロープ板の上端部の高さは、前記軌間外側スロープ板の上端部の高さよりも、前記車輪のフランジ高さ分低いことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両復線装置。
- 前記誘導部材は、前記軌間内側スロープ板から前記軌間内側踏面板に亘って漸次前記レールに近接するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両復線装置。
- 前記軌間外側スロープ板及び前記軌間内側スロープ板及び前記誘導部材における所定の高さ未満の部分は鋼材を用いて形成されており、所定の高さ以上の部分はコンクリートを用いて形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の鉄道車両復線装置。
- 前記誘導部材は、樹脂層を介して前記道床に固定されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の鉄道車両復線装置。
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JP2018063472A JP7018798B2 (ja) | 2018-03-29 | 2018-03-29 | 鉄道車両復線装置 |
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JP2003239204A (ja) | 2002-02-13 | 2003-08-27 | Railway Technical Res Inst | 鉄道車両車輪復線装置、及び鉄道車両車輪の復線方法 |
JP2006176982A (ja) | 2004-12-21 | 2006-07-06 | Railway Technical Res Inst | 軌道構造 |
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