JP7016034B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光装置に関する。
従来より、蛍光体と、当該蛍光体を励起するレーザー光とを組み合わせてなる発光装置が知られている。そして、当該発光装置は、固体照明の小型化及び高出力化を可能にする装置として期待されている。
このような発光装置では、レーザー光のパワー密度の増加に伴う蛍光出力の飽和を抑制するために、超短残光性の蛍光を放つCe3+付活蛍光体が好ましく用いられる。なお、レーザー光のパワー密度の増加に伴う、蛍光体の出力飽和は、蛍光体のドループ現象とも言われている。そして特許文献1では、緑色系(青緑色または緑色)の蛍光を放つCe3+付活蛍光体と、暖色系(橙色または赤色)の蛍光を放つCe3+付活暖色蛍光体とを組み合わせることにより、蛍光出力飽和が少ない高演色性の照明光を実現できることが開示されている。
国際公開第2016/092743号
しかしながら、レーザー光とCe3+付活暖色蛍光体とを組み合わせてなる従来の発光装置は、赤色蛍光成分の割合が多い高出力光を得ることが困難であった。これは、青色光で高効率に励起することが可能なCe3+付活暖色蛍光体は、蛍光波長の長波長化に伴い、温度消光が大きくなることに起因する。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、青色レーザー光で蛍光体を励起するタイプの発光装置であっても、蛍光出力飽和が少なく、赤色蛍光成分の割合が多い高出力光を放つことが可能な発光装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る発光装置は、440nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つレーザー光を放つ青色光源と、580nm以上610nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つCe3+付活橙色蛍光体と、610nm以上660nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つEu2+付活赤色蛍光体と、を備える。そして、レーザー光を、Eu2+付活赤色蛍光体に直接照射することなく、Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射し、Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射されたレーザー光の散乱光をEu2+付活赤色蛍光体に照射する。
図1は、第一実施形態に係る発光装置の例を示す概略図である。図1(a)は発光装置の斜視図であり、図1(b)は図1(a)のI-I線に沿った断面図である。 図2は、第一実施形態に係る発光装置の例を示す断面図である。 図3は、第二実施形態に係る発光装置の例を示す断面図である。 図4は、第三実施形態に係る発光装置の例を示す概略図である。図4(a)は発光装置の斜視図であり、図4(b)は図4(a)のIV-IV線に沿った断面図である。 図5は、第三実施形態に係る発光装置の例を示す概略図である。図5(a)は発光装置の斜視図であり、図5(b)は図5(a)のV-V線に沿った断面図である。 図6は、第三実施形態に係る発光装置の例を示す断面図である。 図7は、実施例1の発光装置から放出された出力光の分光分布を示すグラフである。 図8は、実施例2の発光装置から放出された出力光の分光分布を示すグラフである。 図9は、実施例3の発光装置から放出された出力光の分光分布を示すグラフである。
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、いずれも本実施形態の好ましい具体例を示すものである。したがって、以下の実施形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、あくまで一例であって、本実施形態を限定する趣旨ではない。なお、図1乃至図6は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、図1乃至図6において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
[第一実施形態]
本実施形態の発光装置は、青色のレーザー光を放つ青色光源と、580nm以上610nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つCe3+付活橙色蛍光体と、610nm以上660nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つEu2+付活赤色蛍光体とを備えている。具体的には、図1に示すように、発光装置Aは、青色のレーザー光100を放つ青色光源1と、橙色の蛍光を放つCe3+付活橙色蛍光体及び赤色の蛍光を放つEu2+付活赤色蛍光体を保持する構造体2Aとを有している。
青色光源1は、青色のレーザー光100を放射する発光素子である。このような青色光源1は特に限定されないが、例えば、面発光レーザーダイオード等のレーザーダイオードを用いることができる。また、青色光源1としては、無機または有機のエレクトロルミネッセンス素子を用いることもできる。
青色光源1が発するレーザー光100は、440nm以上480nm未満、好ましくは445nm以上470nm未満の波長領域内に強度最大値を有することが好ましい。これにより、Ce3+付活橙色蛍光体を効率よく励起することが可能となる。また、レーザー光が上記波長領域内に強度最大値を有する場合には、レーザー光が視認性のよい青色光になり、蛍光体の励起光としてだけでなく、発光装置の出力光としても無駄なく利用することができる。
レーザー光100における光密度の具体的な数値は特に限定されないが、例えば3W/mm以上100W/mm未満であることが好ましい。レーザー光100の光密度が3W/mm以上の場合には、LED照明との違いが明瞭となるため、差別化商品としての価値が高い発光装置を得ることができる。レーザー光100における光密度が100W/mm未満の場合には、波長変換体のエネルギー損失に起因する発熱が低い発光装置を得ることができる。
なお、一般照明用として好ましいレーザー光100の光密度の最大値は、3W/mm以上20W/mm未満である。内視鏡用として好ましいレーザー光100の光密度の最大値は、10W/mm以上50W/mm未満である。プロジェクタ用として好ましいレーザー光100の光密度の最大値は、40W/mm以上100W/mm未満である。
図1に示す発光装置Aは、Ce3+付活橙色蛍光体及びEu2+付活赤色蛍光体を内部に保持する構造体2Aを備えている。具体的には、構造体2Aは、底壁3、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7からなり、外観視した場合に略直方体状の支持体を有している。また、構造体2Aは、底壁3、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7により仕切られてなる内部空間を有している。構造体2Aは上面が開口していることから、当該内部空間にレーザー光100が照射される。
構造体2Aの内部空間における底壁3の上面3aには、Ce3+付活橙色蛍光体を含有する第一の波長変換体10が保持されている。さらに、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7の内面には、Eu2+付活赤色蛍光体を含有する第二の波長変換体20が保持されている。つまり、図1に示すように、Ce3+付活橙色蛍光体を含有する第一の波長変換体10は、形状が板状又はフィルム状であり、支持体である底壁3に固定されていることが好ましい。同様に、Eu2+付活赤色蛍光体を含有する第二の波長変換体20も、形状が板状又はフィルム状であり、支持体である右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7に固定されていることが好ましい。これにより、第一の波長変換体10及び第二の波長変換体20の形状が安定化し、効率的にレーザー光100を波長変換することが可能となる。
本実施形態の発光装置は、図1に示す反射型と呼ばれる構造を持つ発光装置A、又は、図2に示す透過型と呼ばれる構造を持つ発光装置Bであることが好ましい。反射型の発光装置Aは、レーザー光100が、Ce3+付活橙色蛍光体を含む第一の波長変換体10によって反射される方向に出力光を放つ。一方、透過型の発光装置では、レーザー光100が、Ce3+付活橙色蛍光体を含む第一の波長変換体10を透過する方向に出力光を放つ。
図1に示す反射型の発光装置Aの場合、支持体(底壁3)としては、光反射の機能を持つ光反射基板を用いることが好ましい。反射型の発光装置Aの支持体として光反射基板を用いることにより、後述するように、レーザー光100が第一の波長変換体10及び/又は底壁3により反射し、反射光により第二の波長変換体20を効率的に励起することが可能となる。光反射基板は、少なくともレーザー光100を反射できる基板であることが好ましく、例えば金属基板を用いることが好ましい。
図2に示す透過型の発光装置Bの場合、支持体(底壁3A)としては、透光性の機能を持つ透光性基板を用いることが好ましい。透過型の発光装置Bの支持体として透光性基板を用いることにより、後述するように、レーザー光100が第一の波長変換体10により散乱し、散乱光により第二の波長変換体20を効率的に励起することが可能となる。透光性基板は、少なくともレーザー光100を透光できる基板であることが好ましく、例えばサファイアからなる基板を用いることが好ましい。
なお、本明細書では、支持体によって固定された波長変換体を波長変換部材といい、波長変換体と区別することにする。
本実施形態の発光装置は、反射型と透過型のいずれの場合も、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20とを適宜組み合わせることによって、蛍光を放つ構造体を形成する。
第一の波長変換体10は、580nm以上610nm未満、好ましくは590nm以上610nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つCe3+付活橙色蛍光体を少なくとも含んでいる。また、第二の波長変換体20は、610nm以上660nm未満、好ましくは620nm以上650nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つEu2+付活赤色蛍光体を少なくとも含んでいる。
本実施形態の発光装置において、第一の波長変換体10に含まれるCe3+付活橙色蛍光体と、第二の波長変換体20に含まれるEu2+付活赤色蛍光体は、いずれもレーザー光100が持つ青色光成分によって励起される。そして、Ce3+付活橙色蛍光体とEu2+付活赤色蛍光体は、吸収した青色光成分を各々橙色光成分110と赤色光成分120に波長変換する。これにより発光装置は、青色光成分であるレーザー光100と橙色光成分110と赤色光成分120とを含む出力光を放つことができる。
本実施形態の発光装置において、第一の波長変換体10は、青色光源1から放出されるレーザー光100が直接照射される波長変換体である。また、第二の波長変換体20は、青色光源1から放出されるレーザー光100が直接照射されない波長変換体である。なお、本明細書における「レーザー光が直接照射される波長変換体」は、レーザー光100が最初に(真っ先に)照射される波長変換体をいう。
具体的には、図1に示す発光装置Aでは、青色光源1から放出されたレーザー光100は、構造体2Aの内部空間を通過し、第一の波長変換体10に到達する。この際、レーザー光100の一部は第一の波長変換体10に含まれるCe3+付活橙色蛍光体に吸収され、橙色光成分110に変換される。また、レーザー光100の一部は第一の波長変換体10の表面10a及び/又は底壁3の上面3aにより反射する。反射したレーザー光100は、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7により保持されている第二の波長変換体20に到達する。この際、レーザー光100の一部は第二の波長変換体20に含まれるEu2+付活赤色蛍光体に吸収され、赤色光成分120に変換される。
なお、第一の波長変換体10及び/又は底壁3で反射したレーザー光100の一部はEu2+付活赤色蛍光体に吸収されるが、レーザー光100の一部は第二の波長変換体20並びに/又は右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7で反射する。
同様に、図2に示す発光装置Bでは、青色光源1から放出されたレーザー光100は、構造体2Bの底壁3Aを通過し、第一の波長変換体10に到達する。この際、レーザー光100の一部は第一の波長変換体10に含まれるCe3+付活橙色蛍光体に吸収され、橙色光成分110に変換される。また、レーザー光100の一部は第一の波長変換体10を透過しつつ、Ce3+付活橙色蛍光体の粒子により散乱する。散乱したレーザー光100は、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7により保持されている第二の波長変換体20に到達する。この際、レーザー光100の一部は第二の波長変換体20に含まれるEu2+付活赤色蛍光体に吸収され、赤色光成分120に変換される。
なお、第一の波長変換体10で散乱したレーザー光100の一部はEu2+付活赤色蛍光体に吸収されるが、レーザー光100の一部は第二の波長変換体20並びに/又は右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7で反射する。
このように、本実施形態の発光装置A,Bにおいて、第一の波長変換体10は、レーザー光100が直接照射される。これに対して、第二の波長変換体20は、レーザー光100が直接照射されず、第一の波長変換体10及び/又は底壁3により反射及び/又は散乱したレーザー光100が照射される。
ここで、蛍光体に含まれるCe3+は希土類イオンの中で最も短い発光寿命(10-8~10-7s)を持つ発光中心であるため、Ce3+付活蛍光体では、励起状態にある蛍光体の電子エネルギーが極短時間で緩和される。このため、Ce3+付活蛍光体では、レーザー光照射による高密度励起下でも、励起状態にある蛍光体の電子エネルギーを極短時間で緩和することができる。したがって、第一の波長変換体10に含まれる蛍光体としてCe3+付活橙色蛍光体を用いることにより、発光飽和を抑制することができる。なお、発光飽和は、電子励起状態の数の増大による光出力の飽和現象である。
また、希土類イオンの安定な価数は三価であり、Ce3+は安定な三価の価数を持つ発光中心である。このため、Ce3+付活蛍光体は、レーザー光照射による高密度励起によって蛍光体が発熱したとしても、酸化による蛍光体結晶の変質も生じ難く、長期信頼性が高い。
これに対して、Eu2+付活赤色蛍光体は、レーザー光100の青色光成分を高効率に赤色光成分120に変換することができるものの、レーザー光が直接照射されると発光飽和する場合がある。また、レーザー光照射による高密度励起によって蛍光体が発熱した場合、Eu2+付活蛍光体は、蛍光体中のEu2+がEu3+へ酸化し、蛍光体結晶が変質する可能性がある。
そのため、上記発光装置では、レーザー光100をEu2+付活赤色蛍光体に直接照射することなく、Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射し、Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射されたレーザー光100の散乱光をEu2+付活赤色蛍光体に照射している。これにより、蛍光出力飽和の課題を実質的に抱えないCe3+付活橙色蛍光体をレーザー光100で励起し、蛍光出力飽和の課題を抱えるEu2+付活赤色蛍光体をレーザー光100の散乱光で励起する構造になる。つまり、Eu2+付活赤色蛍光体を低密度の光で励起する構造になる。そのため、暖色系の光成分、つまり橙色及び赤色の蛍光出力飽和が少なく、かつ、赤色光成分の割合が多い光を放つ発光装置を得ることができる。
なお、上述の「レーザー光100をEu2+付活赤色蛍光体に直接照射することなく、Ce3+付活橙色蛍光体を直接照射する」とは、レーザー光100が、Eu2+付活赤色蛍光体よりも先にCe3+付活橙色蛍光体に照射されることを意味する。
Ce3+付活橙色蛍光体は、Eu2+付活赤色蛍光体よりも、励起光(レーザー光100)の照射によって生じる熱が大きい蛍光体であってもよい。つまり、Ce3+付活橙色蛍光体は、励起光(レーザー光100)の照射によって発熱する蛍光体であってもよい。例えば、Ce3+付活橙色蛍光体は、Eu2+付活赤色蛍光体よりも温度消光が大きい場合、波長変換体の温度上昇によって、Ce3+付活橙色蛍光体の波長変換効率が大きく低下して発熱するようになる。この結果、Ce3+付活橙色蛍光体は、Eu2+付活赤色蛍光体よりも、励起光の照射によって生じる熱が大きくなる。しかしながら、Ce3+付活橙色蛍光体の温度消光が大きい場合であっても、レーザー光100の散乱光によりEu2+付活赤色蛍光体を励起しているため、Eu2+付活赤色蛍光体の温度消光を抑制して、赤色光成分の割合を高い状態にすることができる。
図1及び図2に示すように、発光装置A,Bにおいて、Eu2+付活赤色蛍光体は、Ce3+付活橙色蛍光体を直接照射するレーザー光100の光軸上に配置されていないことが好ましい。つまり、青色光源1の中心を連ねる直線上にCe3+付活橙色蛍光体は配置されているが、Eu2+付活赤色蛍光体は配置されていないことが好ましい。これにより、蛍光出力飽和の課題を抱えるEu2+付活赤色蛍光体に、高光密度のレーザー光100が照射される恐れが少なくなる。さらに、十分に散乱された低密度のレーザー光100により、Eu2+付活赤色蛍光体を励起することができる。そのため、Eu2+付活赤色蛍光体に対する蛍光出力飽和の軽減と、当該赤色蛍光体から放出される赤色光成分の増強を容易にすることが可能となる。
第一の波長変換体10に含まれるCe3+付活橙色蛍光体は、ガーネット型の結晶構造を持つことが好ましい。ガーネット型の結晶構造を持つ蛍光体は、オーソドックスな製法で容易に製造できるので、工業生産に適する発光装置を得ることが可能となる。ガーネット型の結晶構造を持つCe3+付活橙色蛍光体としては、例えば、Ce3+で付活されたLuCaMg(SiOを用いることができる。また、Ce3+付活橙色蛍光体としては、Ce3+で付活され、LuCaMg(SiOを端成分としてなる固溶体を用いることができる。
第一の波長変換体10に含まれるCe3+付活橙色蛍光体は、ガーネット型の結晶構造を持たない蛍光体であってもよい。ガーネット型の結晶構造を持たないCe3+付活橙色蛍光体としては、例えば、LaSi11:Ce3+、CaAlSiN:Ce3+など、Ce3+で付活された窒化物系の化合物を挙げることができる。
第二の波長変換体20に含まれるEu2+付活赤色蛍光体は、窒化物系化合物であることが好ましい。窒化物系化合物からなる赤色蛍光体は、LED照明用としての研究が進み、高い実用実績を持つ。そのため、窒化物系化合物からなる赤色蛍光体を用いることによって、信頼性に優れる発光装置を得ることができる。
窒化物系化合物としてのEu2+付活赤色蛍光体としては、例えば、Eu2+で付活されたアルカリ土類金属窒化珪酸塩、アルカリ土類金属窒化アルミノ珪酸塩、アルカリ土類金属酸窒化珪酸塩、アルカリ土類金属酸窒化アルミノ珪酸塩などを挙げることができる。
具体的には、Eu2+付活赤色蛍光体としては、Eu2+で付活された、AESi、AE(Si,Al)(N,O)、AEAlSiN、AE(Al,Si)(N,O)、AEAlSi、AE(Al,Si)(N,O)などを挙げることができる。なお、前記AEは、アルカリ土類金属であり、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素である。
本実施形態の発光装置において、Ce3+付活橙色蛍光体は粒子群であり、Ce3+付活橙色蛍光体の平均粒子径は1μm以上15μm未満であることが好ましい。また、Ce3+付活橙色蛍光体の平均粒子径は、2μm以上10μm未満であることがより好ましく、3μm以上8μm未満であることがさらに好ましい。Ce3+付活橙色蛍光体が、複数の粒子からなる粒子群であり、当該蛍光体の平均粒子径が上記範囲内であることにより、第一の波長変換体10におけるレーザー光100の照射面(表面10a)の単位面積当たりの凹凸数が増加する。また、第一の波長変換体10における単位深さあたりの蛍光体粒子の数も増加する。そのため、第一の波長変換体10によりレーザー光100が散乱しやすくなり、レーザー光100の散乱の度合いが大きくなる。その結果、第一の波長変換体10によって、光密度が小さな散乱レーザー光を生成することができる。そのため、強いレーザー光100をCe3+付活橙色蛍光体に照射した場合であっても、Eu2+付活赤色蛍光体が蛍光出力飽和を引き起こすまでに至り難い構成となることから、発光装置の高出力化を図ることが可能となる。
なお、本明細書において、蛍光体の平均粒子径は、波長変換体を走査型電子顕微鏡で観察し、複数の蛍光体の粒子径を測定することにより、求めることができる。
本実施形態の発光装置において、Ce3+付活橙色蛍光体は粒子群であり、Ce3+付活橙色蛍光体の平均粒子径は15μm以上50μm未満であることも好ましい。また、Ce3+付活橙色蛍光体の平均粒子径は、20μm以上40μm未満であることも好ましく、25μm以上35μm未満であることも好ましい。Ce3+付活橙色蛍光体が、複数の粒子からなる粒子群であり、当該蛍光体の平均粒子径が上記範囲内であることにより、第一の波長変換体10中のCe3+付活橙色蛍光体がレーザー光100を効率よく吸収する。そして、当該橙色蛍光体に吸収された青色光は橙色光に変換されることになるので、青色蛍光成分の割合を抑え、橙色や赤色の蛍光成分の割合が多い、照明用途に適する低色温度の出力光を得ることが容易となる。
本実施形態の発光装置において、Ce3+付活橙色蛍光体及びEu2+付活赤色蛍光体は粒子群であり、Eu2+付活赤色蛍光体の平均粒子径は、Ce3+付活橙色蛍光体の平均粒子径よりも大きいことが好ましい。この際、Ce3+付活橙色蛍光体の平均粒子径が1μm以上15μm未満であることが好ましい。これにより、Eu2+付活赤色蛍光体を含む第二の波長変換体20は、青色のレーザー光100を効率よく吸収し、当該波長変換体に吸収されたレーザー光100は赤色光に変換される。一方で、Ce3+付活橙色蛍光体を含む第一の波長変換体10は、レーザー光100をさほど吸収せず、橙色光に変換される蛍光成分は少ないものになる。そのため、青色と橙色の蛍光成分の割合を抑制して、赤色の蛍光成分の割合が多く、照明用途に適する低色温度の出力光を得ることが容易となる。
視点を変えると、照明用途に適する本実施形態の発光装置は、レーザー光100の波長における第二の波長変換体20の光吸収率が、当該波長における第一の波長変換体10の光吸収率よりも大きくなる。
本実施形態の発光装置A,Bにおいて、出力光は、第一の光成分と第二の光成分と第三の光成分とを含むことが好ましい。そして、第一の光成分は青色光源1が放つレーザー光100であり、第二の光成分はCe3+付活橙色蛍光体が放つ蛍光成分(橙色光成分110)であり、第三の光成分はEu2+付活赤色蛍光体が放つ蛍光成分(赤色光成分120)である。これにより、青色光成分と暖色光成分を少なくとも含む、需要の多い出力光を放つ発光装置を得ることができる。
第二の光成分(橙色光成分110)と第三の光成分(赤色光成分120)の混合成分からなる蛍光スペクトルは、600nmを超え640nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つことが好ましい。また、当該蛍光スペクトルは、610nmを超え640nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つことがより好ましい。これにより、出力光が、赤味の強い蛍光成分を放つようになるので、高い演色性を示す照明光、特に平均演色評価数Raや特殊演色評価数R9が高い照明光を得ることが可能となる。
第二の光成分(橙色光成分110)の蛍光ピーク波長と、第三の光成分(赤色光成分120)の蛍光ピーク波長との波長差は、50nm未満であることが好ましい。また、当該波長差は、40nm未満であることが好ましく、30nm未満であることがより好ましい。これにより、第二の光成分(橙色光成分110)と第三の光成分(赤色光成分120)の色調の差異が小さくなる。そのため、仮に、第二の光成分を放つ第一の波長変換体10と第三の光成分を放つ第二の波長変換体20の位置関係の精度が低下しても、第二の光成分と第三の光成分の色調差を判別し難い発光装置となる。このような発光装置は、出力特性が装置構成の精度ばらつきによる影響を受け難いことから、工業生産の面で有利なものになる。
上述のように、Ce3+付活橙色蛍光体は、第一の波長変換体10に含有されている。ここで、Ce3+付活橙色蛍光体は、無機化合物のみからなる波長変換体を構成することが好ましい。つまり、Ce3+付活橙色蛍光体を含む第一の波長変換体10は、無機化合物のみからなることが好ましい。これにより、第一の波長変換体10は、蛍光体の放熱に有利な熱伝導性に優れる波長変換体になる。そのため、温度消光の面で若干の不安を抱えるCe3+付活橙色蛍光体も使用することが可能となる。また、このような第一の波長変換体10は有機成分を含まないので、高密度光で励起したときの発生熱によって有機成分が焦げて波長変換体が着色し、出力低下することを抑制することができる。
また、レーザー光100に直接照射される蛍光体はいずれも、無機化合物のみからなる波長変換体を構成することが好ましい。つまり、レーザー光100に直接照射される蛍光体を含む波長変換体は、無機化合物のみからなることが好ましい。これにより、レーザー光100が照射される波長変換体は、蛍光体の放熱に有利な熱伝導性に優れるものになる。その結果、高出力のレーザー光100を利用して蛍光体を励起できるようになることから、高出力化しやすい発光装置を得ることができる。また、波長変換体が焦げる恐れが無くなるので、比較的高いエネルギー密度のレーザー光を照射できるようにもなり、発光装置の高出力化を図ることが可能となる。
ここで、無機化合物からなる波長変換体としては、蛍光体の単結晶、蛍光体の焼結体、蛍光体の圧粉体、蛍光体粒子をガラス封止した構造物、無機化合物からなる結着剤及び/又は微粒子で蛍光体粒子を接合した構造物、蛍光体と化合物を融着させてなる複合体からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、波長変換体としては、これらと他の蛍光体粒子と組み合わせてなる複合体を用いることができる。なお、蛍光体と化合物を融着させてなる複合体としては、蛍光体とアルミナを融着させてなる複合体を挙げることができる。
一方、レーザー光100に直接照射されない蛍光体は、樹脂材料と共に波長変換体を構成することが好ましい。具体的には、レーザー光100が直接照射されない第二の波長変換体20は、Eu2+付活赤色蛍光体を樹脂材料で封止してなる波長変換体であることが好ましい。樹脂材料で封止することにより得られる波長変換体は製造が比較的容易であるため、所望の波長変換体を安価に製造することができる。なお、樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂などの透明有機材料を用いることができる。
このように、本実施形態の発光装置A,Bは、440nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つレーザー光100を放つ青色光源1を備える。発光装置A,Bは、さらに、580nm以上610nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つCe3+付活橙色蛍光体と、610nm以上660nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つEu2+付活赤色蛍光体とを備える。発光装置A,Bでは、レーザー光100を、Eu2+付活赤色蛍光体に直接照射することなく、Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射し、Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射されたレーザー光100の散乱光を、Eu2+付活赤色蛍光体に照射する。これにより、Ce3+付活橙色蛍光体をレーザー光100で直接励起し、Eu2+付活赤色蛍光体をレーザー光100の散乱光で励起する。つまり、Eu2+付活赤色蛍光体を、レーザー光100が散乱してなる低エネルギー密度の光で励起する。そのため、暖色系の光成分の蛍光出力飽和が少なく、かつ、赤色光成分の割合が多い光を放つ発光装置を得ることができる。
なお、発光装置A,Bにおいて、青色光源1と構造体2A,2Bとの間には、青色光源1から放射されたレーザー光100を第一の波長変換体10に集光するためのレンズを介在させてもよい。また、青色光源1と構造体2A,2Bとの間には、青色光源1から放射されたレーザー光100を第一の波長変換体10に伝送して集光するための光伝送路を介在させてもよい。光伝送路としては、例えば光ファイバーを用いることができる。
発光装置A,Bにおいて、出力光は、照明光として利用されることが好ましい。これにより、産業上の利用価値が高く需要が多い発光装置となる。なお、発光装置A,Bは、屋外照明、店舗照明、調光システム、施設照明、海洋照明、及び内視鏡のいずれかの用途向けの装置であることが好ましい。また、当然のことながら、近年、技術の進展が目覚しいIoT又はAIを利用した発光装置とすることもできる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る発光装置について、図面に基づき詳細に説明する。なお、第一実施形態の発光装置A,Bと同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態の発光装置は、第一実施形態と同様に、青色光源1と、Ce3+付活橙色蛍光体と、Eu2+付活赤色蛍光体とを備えている。そのため、当該発光装置は、第一の光成分(青色光成分であるレーザー光100)と、第二の光成分(橙色光成分110)と、第三の光成分(赤色光成分120)とを含む出力光を放つことができる。
ここで、本実施形態の発光装置において、出力光は、第一乃至第三の光成分に加えて、480nm以上580nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ第四の光成分130をさらに含むことが好ましい。また、出力光は、490nm以上560nm未満、より好ましくは500nm以上540nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ第四の光成分130をさらに含むことが好ましい。これにより、発光装置の出力光は、レーザー光100の青色光成分と、Ce3+付活橙色蛍光体が放つ橙色光成分と、Eu2+付活赤色蛍光体が放つ赤色光成分と、緑色系(青緑~緑~黄色)の光成分とを含むものとなる。これにより、発光装置の出力光は白色光となる。つまり、発光装置は、青色光と緑色系光と赤色系光の加法混色による白色光を出力することができるものになる。そのため、産業上の利用価値が高い照明用途の出力光を放つ発光装置を得ることができる。
第四の光成分130は、レーザー光又は蛍光とすることができる。ただ、第四の光成分130は、蛍光体が放つ蛍光であることが好ましい。この場合には、第四の光成分130を得ることが容易になることから、工業生産する上で有利な発光装置となる。
第四の光成分130を放つ蛍光体は、青色光を吸収して第四の光成分130に変換することが好ましい。また、第四の光成分130を放つ蛍光体は、青色光源1から発せられるレーザー光100を吸収して第四の光成分130に変換することがより好ましい。この場合、第四の光成分130を励起させるために青色光源1以外の光源を必要とせず、青色光源が放つレーザー光100を利用して第四の光成分130を得ることができる。そのため、発光装置の構成を単純化することが可能となる。
第四の光成分130を放つ蛍光体Pとしては、LED照明用の蛍光体を挙げることができる。具体的には、蛍光体Pとしては、(1)Ce3+付活蛍光体、(2)Eu2+付活蛍光体、(3)Mn4+付活蛍光体を挙げることができる。
(1)Ce3+付活蛍光体
第四の光成分130を放つ蛍光体Pとしては、ガーネット型の結晶構造を持つ化合物を母体とする蛍光体を挙げることができる。また、ガーネット型の結晶構造を持つ化合物としては、アルミン酸塩、珪酸塩、アルミノ珪酸塩などを挙げることができる。このような蛍光体Pとしては、例えば、LuGa(AlO:Ce3+、LuAl(AlO:Ce3+、YGa(AlO:Ce3+、YAl(AlO:Ce3+、(Y,Gd)Al(AlO:Ce3+、CaSc(SiO:Ce3+、(Lu,Ca)(Al,Mg)((Al,Si)O:Ce3+からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
また、第四の光成分130を放つ蛍光体Pとしては、希土類元素又はアルカリ土類金属を含む窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を挙げることができる。このような蛍光体Pとしては、例えば、LaSi11:Ce3+(低Ce3+付活量タイプ)、CaAlSiN:Ce3+、Ca(Al,Si)(N,O):Ce3+からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
(2)Eu2+付活蛍光体
第四の光成分130を放つ蛍光体Pとしては、アルカリ土類金属オルト珪酸塩を母体とする蛍光体を挙げることができる。このような蛍光体Pとしては、例えば、(Ba,Sr)SiO:Eu2+を用いることができる。
また、第四の光成分130を放つ蛍光体Pとしては、アルカリ土類金属を含む酸窒化物を母体とする蛍光体を挙げることができる。このような蛍光体Pとしては、例えば、SrSi:Eu2+及びBaSi12:Eu2+の少なくとも一方を用いることができる。
(3)Mn4+付活蛍光体
第四の光成分130を放つ蛍光体Pとしては、アルカリ金属を含むフッ化物を母体とする蛍光体を挙げることができる。このような蛍光体Pとしては、例えば、KSiF:Mn4+を用いることができる。
本実施形態の発光装置において、第四の光成分を放つ蛍光体Pは、Ce3+付活蛍光体であり、かつ、Ce3+付活橙色蛍光体を直接照射するレーザー光100の光軸上に配置されていることが好ましい。具体的には、図1に示す発光装置Aにおいて、第四の光成分を放つ蛍光体Pは、第一の波長変換体10に含まれる構成とすることができる。または、蛍光体Pを含む第三の波長変換体30を、支持体である底壁3の上面3aに保持する構成とすることができる。蛍光体Pを、レーザー光100で直接励起しても出力飽和し難いCe3+付活蛍光体にすることにより、レーザー光100を直接照射するCe3+付活橙色蛍光体と混合して利用することができる。また、蛍光体PをCe3+付活蛍光体にすることにより、蛍光体PをCe3+付活橙色蛍光体に近接させて利用することや、第一の波長変換体10を透過したレーザー光の散乱光で蛍光体Pを励起することもできる。つまり、蛍光体PとしてCe3+付活蛍光体を用いることで、レーザー光100により蛍光体Pを高密度光で励起することが可能となる。また、光源設計の自由度が増加するため、第四の光成分130の出力割合を高めることが可能となる。
本実施形態の発光装置において、第四の光成分を放つ蛍光体Pは、Ce3+付活橙色蛍光体を直接照射するレーザー光の光軸上に配置されていないことも好ましい。具体的には、図3に示す発光装置Cのように、略直方体状の構造体2Cを構成する右側壁4、左側壁5、前側壁6、後側壁7の内面の一部に、蛍光体Pを含む第三の波長変換体30が保持されている構成とすることができる。これにより、蛍光出力飽和の課題を抱える蛍光体を蛍光体Pとして利用できるため、蛍光体Pの材料選択の幅が広がり、出力光のスペクトル設計を容易にすることが可能となる。
また、Ce3+付活橙色蛍光体と蛍光体Pとが、必然的に空間を隔てて配置される構成となる。そのため、異種蛍光体を混合したときなどに生じる、蛍光特性の相互干渉による悪影響が生じ難い構成になる。つまり、蛍光体Pが放つ蛍光成分が、Ce3+付活橙色蛍光体に吸収されることによってスペクトル形状が変化するなどの悪影響が生じ難い構成になる。
このように、本実施形態の発光装置は、出力光が、第一乃至第三の光成分に加えて、480nm以上580nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ第四の光成分130をさらに含んでいる。これにより、発光装置は、第一の光成分(青色光成分であるレーザー光100)、第二の光成分(橙色光成分110)、第三の光成分(赤色光成分120)、及び第四の光成分130が加法混色された出力光を放つことが可能となる。なお、図3の発光装置は反射型となっているが、透過型であってもよい。
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る発光装置について、図面に基づき詳細に説明する。なお、第一実施形態の発光装置A,B及び第二実施形態の発光装置Cと同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
第一実施形態の発光装置A,Bで用いられる構造体2A,2B及び第二実施形態の発光装置Cで用いられる構造体2Cは、底壁3,3A、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7からなり、外観視した場合に略直方体状の支持体を有している。しかしながら、本実施形態の発光装置に用いられる支持体の形状は、このような略直方体状に限定されない。
図4では、透過型の発光装置の変形例を示している。図4に示す発光装置Dにおいて、構造体2Dは、底壁3A、右側壁4、前側壁6及び後側壁7からなる支持体を有している。そして、底壁3AにはCe3+付活橙色蛍光体を含有する第一の波長変換体10が保持され、右側壁4、前側壁6及び後側壁7にはEu2+付活赤色蛍光体を含有する第二の波長変換体20が保持されている。つまり、構造体2Dは、第一実施形態の発光装置Bで用いられている構造体2Bから左側壁5を除いた構成となっている。
このような発光装置Dにおいて、第二の波長変換体20は右側壁4、前側壁6及び後側壁7に保持されているため、構造体2Dは三枚の第二の波長変換体20を備えている。つまり、構造体2Dでは、第二の波長変換体20の数が奇数となっている。発光装置の構造体に保持されている第二の波長変換体20の数が奇数の場合には、出射方向によって色調や強度が異なる出力光を放つことができる。そのため、差別化商品としての価値が高い発光装置を得ることができる。なお、図4の発光装置は透過型となっているが、反射型であってもよい。
また、図4に示す発光装置Dにおいて、構造体2Dは、底壁3A、右側壁4、前側壁6及び後側壁7からなる支持体を有している。しかしながら、このような態様に限定されず、構造体2Dから右側壁4を除き、構造体が底壁3A、前側壁6及び後側壁7からなる略U字状の支持体を有している態様であってもよい。また、構造体2Dから右側壁4及び後側壁7を除き、構造体が底壁3A及び前側壁6からなる略L字状の支持体を有している態様であってもよい。
図5では、反射型の発光装置の変形例を示している。図5に示す発光装置Eは、底壁3、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7からなる支持体を備えた構造体2Eを備えている。そして、構造体2Eは、外観視した場合に略四角錐台状であり、上面が開口した支持体を有している。
構造体2Eにおいて、底壁3にはCe3+付活橙色蛍光体を含有する第一の波長変換体10が保持されている。さらに、右側壁4、左側壁5、前側壁6及び後側壁7には、Eu2+付活赤色蛍光体を含有する第二の波長変換体20及び蛍光体Pを含む第三の波長変換体30が保持されている。このように、構造体2Eが略四角錐台状の形状を有し、上面が広く開口していることにより、発光装置Eは、第二の波長変換体20や第三の波長変換体30が放つ蛍光成分を比較的多く含む出力光を放つことが可能となる。
図6では、透過型の発光装置の変形例を示している。図6に示す発光装置Fは、第二の波長変換体20が、第一の波長変換体10と平行に配置された構造を持つ。つまり、第一の波長変換体10は透光性基板からなる支持体(底壁3A)に保持されており、第二の波長変換体20も透光性基板からなる支持体8に保持されている。そして、第一の波長変換体10を備えた波長変換部材と、第二の波長変換体20を備えた波長変換部材とが略平行に配置された構造を有している。この際、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20は互いに対向しており、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20との間には空隙が存在する。
なお、図6に示す発光装置Fでは、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20は対向していることから、Ce3+付活橙色蛍光体及びEu2+付活赤色蛍光体は共に、レーザー光100の光軸上に配置されている。
発光装置Fでは、青色光源1から放出されたレーザー光100は、構造体2Fの底壁3Aを通過し、第一の波長変換体10に到達する。この際、レーザー光100の一部は第一の波長変換体10に含まれるCe3+付活橙色蛍光体に吸収され、橙色光成分110に変換される。また、レーザー光100の一部は第一の波長変換体10を透過しつつ、Ce3+付活橙色蛍光体の粒子により散乱する。散乱したレーザー光100は、支持体8により保持されている第二の波長変換体20に到達する。この際、レーザー光100の一部は第二の波長変換体20に含まれるEu2+付活赤色蛍光体に吸収され、赤色光成分120に変換される。そして、レーザー光100、橙色光成分110及び赤色光成分120が加法混色された出力光が、上方に向けて出射される。
発光装置Fのように、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20とを略平行に配置することにより、装置の小型化が容易になるだけでなく、出射方向における赤色の色調差が小さな出力光を放つことが可能となる。
なお、図6に示す発光装置Fでは、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20は互いに対向し、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20との間には空隙が存在する。しかしながら、このような態様に限定されず、第一の波長変換体10と第二の波長変換体20は接触していてもよい。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、図1と同様の、反射型の発光装置を作製した。
(第一の波長変換部材の作製)
Ce3+付活橙色蛍光体として、LuCaMg(SiO:Ce3+を使用した。なお、LuCaMg(SiO:Ce3+は、蛍光ピーク波長が約600nmであり、顕微鏡で測定した平均粒子径が約18μmである市販品を用いた。
Ce3+付活橙色蛍光体の粒子と基板、及び、Ce3+付活橙色蛍光体の粒子同士を結着する結着剤として、ナノ粒子(材質:フッ化マグネシウム、平均粒子径≒20nm)を使用した。なお、結着剤としてのナノ粒子は、当該ナノ粒子をジブチルエーテル中に8質量%の濃度で分散させた状態のナノ粒子分散液を使用した。
まず、前記ナノ粒子分散液1.6g中に、粒子状のLuCaMg(SiO:Ce3+蛍光体を6.2g投入し、スターラーで混合した。これにより、LuCaMg(SiO:Ce3+蛍光体とナノ粒子とを混合した混合分散液を準備した。
さらに、第一の波長変換体の支持体となる金属基板(材質:アルミニウム、大きさ:縦20mm、横20mm、厚さ0.5mm)を準備した。なお、第一の波長変換体の作製に際して、金属基板には、予め金属基板の片面の外縁部を囲うようにカプトン(登録商標)のテープを張り付け、テープの段差を利用して、縦が約10mm、横が約10mm、深さが約0.1mmの窪みを作製した。
次に、金属基板に作製した窪みに、上述の混合分散液を滴下し、ウエットコーティング技術(バーコーター)によって、前記混合分散液の塗布膜を形成した。そして、金属基板上に形成した塗布膜を100℃で60分間乾燥させることによって、LuCaMg(SiO:Ce3+蛍光体とナノ粒子(フッ化マグネシウム)からなる第一の波長変換体を得た。なお、得られた第一の波長変換体は無機化合物からなる膜であり、膜厚は約100μmであった。
その後、金属基板に貼り付けたカプトンテープを剥がすことによって、支持体となる金属基板上に、厚膜状の第一の波長変換体が固着した構造を持つ第一の波長変換部材を得た。なお、得られた第一の波長変換体の断面を電子顕微鏡で観察した。その結果、LuCaMg(SiO:Ce3+蛍光体と金属基板、及び、LuCaMg(SiO:Ce3+蛍光体の粒子同士が、ナノ粒子又は当該ナノ粒子の集合体を介して固着された構造体になっていることが分かった。
(第二の波長変換部材の作製)
Eu2+付活赤色蛍光体として、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+を使用した。なお、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+は、蛍光ピーク波長が約625nmであり、顕微鏡で測定した平均粒子径が約17μmである市販品を用いた。
まず、実施例1と同じナノ粒子分散液6g中に、粒子状の(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体を5g投入し、スターラーで混合した。これにより、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体とナノ粒子とを混合した混合分散液を準備した。
次に、実施例1と同じ金属基板の窪みに、上述の混合分散液を滴下し、ウエットコーティング技術(バーコーター)によって、前記混合分散液の塗布膜を形成した。そして、金属基板上に形成した塗布膜を100℃で60分間乾燥させることによって、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体とナノ粒子(フッ化マグネシウム)からなる第二の波長変換体を得た。なお、第二の波長変換体は、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体とナノ粒子(フッ化マグネシウム)からなる無機化合物の膜であり、膜厚は約50μmであった。
その後、金属基板に貼り付けたカプトンテープを剥がすことによって、支持体となる金属基板上に、厚膜状の第二の波長変換体が固着した構造を持つ第二の波長変換部材を得た。なお、得られた第二の波長変換体の断面を電子顕微鏡で観察した。その結果、第一の波長変換体と同様に、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体と金属基板、及び、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体の粒子同士が、ナノ粒子又は当該ナノ粒子の集合体を介して固着された構造体になっていることが分かった。
ここで、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体の蛍光ピーク波長は約625nmであり、LuCaMg(SiO:Ce3+蛍光体の蛍光ピーク波長は約600nmである。そのため、LuCaMg(SiO:Ce3+蛍光体と(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+蛍光体との蛍光ピーク波長の差は、約25nmである。
得られた第一の波長変換部材と第二の波長変換部材を組み合わせることにより、波長変換部材の構造体を作製した。具体的には、一枚の第一の波長変換部材における対向する縁部に、二枚の第二の波長変換部材を、第二の波長変換体が対面するように組み付けた。そして、第一の波長変換部材の金属基板と第二の波長変換部材の金属基板とが接触している部分に接着剤を塗布し、これらを接着した。これによって、図1(b)に示すような、略U字型の構造体を作製した。つまり、図1(a)に示す構造体において、前側壁と後側壁を除いた状態のものを作製した。なお、実施例1の構造体は、図1(b)に示すように、第一の波長変換部材の金属基板に対して、第二の波長変換部材の金属基板が垂直となるように組み付けられた構造を持つ。
なお、説明の都合上、詳細は省略するが、上述の構造体と半導体レーザー素子とを組み合わせる簡易な構成によって、実施例1の発光装置を作製した。
次に、上述の構造体における第一の波長変換体の真正面となる方向から、青色レーザー光を第一の波長変換体に直接照射した。この際、青色レーザー光が、第二の波長変換体を直接照射することなく、第一の波長変換体を直接照射するように、半導体レーザー素子からのレーザー光の光軸を調整した。なお、レーザー光のピーク波長は444nmであり、第一の波長変換体に照射する光エネルギー密度は5W/mmとした。また、このときのレーザースポット径は、約1mm(0.5mm以上1.5mm未満)であった。
図7の(a)は、レーザー光照射によって、前記構造体から放出された出力光の分光分布を示している。比較のために、図7の(b)には、第一の波長変換部材、つまり、第二の波長変換部材を持たない構造体にレーザー光を照射したときに放出された出力光の分光分布を示している。
なお、出力光の分光分布の評価では、積分球(φ約30cm)を利用して出力光の強度を均一化するとともに、出力光の色調を均質化した。次に、均一化及び均質化がなされた出力光を、積分球の一部へ取り付けた導光ファイバーを通じて取り出した。そして、取り出した出力光の分光分布を、分光光度計(大塚電子株式会社製、製品名:MCPD-8000)を用いて測定した。
図7の(a)に示すように、実施例1の発光装置の出力光は、蛍光ピークが615nmである。そのため、実施例1の発光装置は、赤色の波長領域に蛍光ピークを持つ赤色蛍光成分を放つことが分かる。また、実施例1の発光装置は、第一の波長変換部材が放つ蛍光スペクトル(図7の(b))よりも、赤色蛍光成分が多い蛍光スペクトルを放つことが分かる。
このように、実施例1の発光装置の出力光は、LuCaMg(SiO:Ce3+の橙色の蛍光成分と、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+の赤色の蛍光成分とを混合した蛍光成分となる。そして、本例によれば、高光密度のレーザー光を、蛍光出力飽和しやすいEu2+付活赤色蛍光体に直接照射しないにも関わらず、赤色の蛍光成分割合が多い出力光を得ることができた。
その一方で、本例の発光装置は、高光密度のレーザー光を、蛍光出力飽和しにくいCe3+付活橙色蛍光体にのみ直接照射し、蛍光出力飽和しやすいEu2+付活赤色蛍光体には直接照射しない。そのため、赤色蛍光成分の出力飽和を抑制できることが分かる。
[実施例2]
実施例2では、図6と同様の、透過型の発光装置を作製した。
第一の波長変換体及び第二の波長変換体の支持体となる基板を透光性基板に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第一の波長変換体、第二の波長変換体、第一の波長変換部材及び第二の波長変換部材を作製した。透光性基板は、材質がサファイアであり、大きさが縦20mm、横20mm、厚さ0.7mmのものを使用した。なお、第一の波長変換部材と第二の波長変換部材の個数は、各々一つとした。
そして、第一の波長変換部材と第二の波長変換部材を組み合わせることにより、波長変換部材の構造体を作製した。具体的には、まず、図6に示すように、第一の波長変換部材における第一の波長変換体の表面と、第二の波長変換部材における第二の波長変換体の表面とが空間を隔てて対向するように配置した。次に、第一の波長変換部材の透光性基板と第二の波長変換部材の透光性基板を、固定具を利用して固定することで、実施例2の構造体を作製した。
なお、説明の都合上、詳細は省略するが、実施例2の構造体と半導体レーザー素子とを組み合わせる簡易な構成によって、実施例2の発光装置を作製した。
次に、上述の構造体における第一の波長変換部材の透光性基板側から、青色レーザー光を第一の波長変換体に直接照射した。この際、透光性基板の基板面に対してほぼ垂直方向から第一の波長変換体に照射するように、半導体レーザー素子からのレーザー光の光軸を調整した。なお、半導体レーザー素子は実施例1と同じものを使用し、レーザーの光エネルギー密度及びレーザースポット径なども、実施例1と実質的に同じ水準となるように調整した。そして、実施例1と同様の方法で、出力光の分光分布を評価した。
図8の(a)は、レーザー光照射によって、実施例2の構造体から放出された出力光の分光分布である。比較のために、図8の(b)には、第一の波長変換部材、つまり、第二の波長変換部材を持たない構造体にレーザー光を照射したときに放出された出力光の分光分布を示している。図8の(c)には、実施例1の出力光の分光分布を示している。そして、図8に示す分光分布は、分光分布の微妙な違いを判別しやすいように、各々の蛍光ピーク強度で規格化している。
図8の(a)に示すように、実施例2の発光装置の出力光は、蛍光ピークが616nmである。そのため、実施例2の発光装置は、赤色の波長領域に蛍光ピークを持つ赤色蛍光成分を放つことが分かる。また、実施例2の発光装置は、第一の波長変換部材が放つ蛍光スペクトル(図8の(b))よりも、赤色蛍光成分の割合が多い蛍光スペクトルを放つことが分かる。
このように、実施例2の発光装置の出力光は、LuCaMg(SiO:Ce3+の橙色の蛍光成分と、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+の赤色の蛍光成分とを混合した蛍光成分となる。そして、本例によっても、高光密度のレーザー光を、蛍光出力飽和しやすいEu2+付活赤色蛍光体に直接照射しないにも関わらず、赤色の蛍光成分割合が多い出力光を得ることができた。
その一方で、実施例1の分光分布(図8の(c))と比較すると、実施例2の分光分布は、550nm以上600nm未満の、緑~黄~橙に亘る広い波長範囲において、蛍光成分の強度が相対的に小さくなる傾向を示した。このことは、実施例2の発光装置の方が、実施例1と比べて、少なくとも緑色の光成分の割合が少ない出力光を放つことを意味する。また、実施例2の発光装置の方が、実施例1と比べて、赤色蛍光成分の割合が多い出力光を放つことを意味する。
[実施例3]
実施例3では、図3と同様の、反射型の発光装置を作製した。
(第三の波長変換部材の作製)
Ce3+付活緑色蛍光体として、YAl(AlO:Ce3+を使用した。なお、YAl(AlO:Ce3+は、蛍光ピーク波長が約555nmであり、顕微鏡で測定した平均粒子径が約18μmである市販品を用いた。
まず、実施例1と同じナノ粒子分散液1.6g中に、粒子状のYAl(AlO:Ce3+蛍光体を6.2g投入し、スターラーで混合した。これにより、YAl(AlO:Ce3+蛍光体とナノ粒子とを混合した混合分散液を準備した。
次に、実施例1と同じ金属基板の窪みに、上述の混合分散液を滴下し、ウエットコーティング技術(バーコーター)によって、前記混合分散液の塗布膜を形成した。そして、金属基板上に形成した塗布膜を100℃で60分間乾燥させることによって、YAl(AlO:Ce3+蛍光体とナノ粒子(フッ化マグネシウム)からなる第三の波長変換体を得た。なお、第三の波長変換体は、YAl(AlO:Ce3+蛍光体とナノ粒子(フッ化マグネシウム)からなる無機化合物の膜であり、膜厚は約50μmであった。
その後、金属基板に貼り付けたカプトンテープを剥がすことによって、支持体となる金属基板上に、厚膜状の第三の波長変換体が固着した構造を持つ第三の波長変換部材を得た。
第一の波長変換部材及び第二の波長変換部材は、実施例1と同じものを使用した。なお、第一の波長変換部材の個数は一つとし、第二の波長変換部材及び第三の波長変換部材の個数はいずれも二つとした。
そして、第一の波長変換部材と第二の波長変換部材と第三の波長変換部材を組み合わせることにより、波長変換部材の構造体を作製した。具体的には、一枚の第一の波長変換部材における対向する縁部に、二枚の第二の波長変換部材を、第二の波長変換体が対面するように組み付けた。そして、第一の波長変換部材の金属基板と第二の波長変換部材の金属基板とが接触している部分に接着剤を塗布し、これらを接着した。
さらに、第一の波長変換部材における第二の波長変換部材を接着していない対向する縁部に、二枚の第三の波長変換部材を、第三の波長変換体が対面するように組み付けた。そして、第一の波長変換部材の金属基板と第三の波長変換部材の金属基板とが接触している部分に接着剤を塗布し、これらを接着した。なお、実施例3の構造体は、図3に示すように、第一の波長変換部材の金属基板に対して、第二の波長変換部材の金属基板及び第三の波長変換部材の金属基板が、いずれも垂直となるように組み付けられた構造を持つ。
なお、説明の都合上、詳細は省略するが、上述の構造体と半導体レーザー素子とを組み合わせる簡易な構成によって、実施例3の発光装置を作製した。
次に、上述の構造体における第一の波長変換体の真正面となる方向から、青色レーザー光を第一の波長変換体に直接照射した。この際、青色レーザー光が、第二の波長変換体及び第三の波長変換体を直接照射することなく、第一の波長変換体を直接照射するように、半導体レーザー素子からのレーザー光の光軸を調整した。なお、半導体レーザー素子は実施例1と同じものを使用し、レーザーの光エネルギー密度やレーザースポット径なども、実施例1と実質的に同じ水準になるように調整した。そして、実施例1と同様の方法で、出力光の分光分布を評価した。
図9の(a)は、レーザー光照射によって、実施例3の構造体から放出された出力光の分光分布である。比較のために、図9の(b)には、第一の波長変換部材、つまり、第二の波長変換部材及び第三の波長変換部材を持たない構造体にレーザー光を照射したときに放出された出力光の分光分布を示している。図9の(c)には、実施例1の出力光の分光分布を示している。そして、図9に示す分光分布は、分光分布の微妙な違いを判別しやすいように、各々の蛍光ピーク強度で規格化している。
図9の(a)に示すように、実施例3の発光装置の出力光は、蛍光ピークが612nmである。そのため、実施例3の発光装置は、赤色の波長領域に蛍光ピークを持つ赤色蛍光成分を放つことが分かる。また、実施例3の発光装置は、第一の波長変換部材が放つ蛍光スペクトル(図9の(b))よりも、赤色蛍光成分の割合が多い蛍光スペクトルを放つことが分かる。
このように、実施例3の発光装置の出力光は、LuCaMg(SiO:Ce3+の橙色成分と、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+の赤色成分と、YAl(AlO:Ce3+の黄緑色成分とを混合した蛍光成分となる。そして、本例によっても、高光密度のレーザー光を、蛍光出力飽和しやすいEu2+付活赤色蛍光体に直接照射しないにも関わらず、赤色の蛍光成分割合が多い赤色蛍光成分を得ることができた。
その一方で、実施例1の分光分布(図9の(c))と比較すると、実施例3の分光分布は、500nm以上612nm未満の、緑~黄~橙に亘る広い波長範囲において、蛍光成分の強度が相対的に大きくなる傾向を示した。このことは、実施例3の発光装置の方が、実施例1と比べて、少なくとも緑色蛍光成分の割合が多いことを意味する。また、実施例3の発光装置の方が、実施例1と比べて、赤色蛍光成分だけでなく緑色蛍光成分の割合も多く、照明用として好ましい出力光を放つことを意味する。
このように、本実施例でも、高光密度のレーザー光を、蛍光出力飽和しにくいCe3+付活橙色蛍光体にのみ直接照射し、蛍光出力飽和しやすいEu2+付活赤色蛍光体には直接照射しない。そのため、赤色蛍光成分の出力飽和を抑制できることが分かる。
以上、本実施形態を実施例によって説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
特願2018-080465号(出願日:2018年4月19日)の全内容は、ここに援用される。
本開示によれば、青色レーザー光で蛍光体を励起するタイプの発光装置であっても、蛍光出力飽和が少なく、赤色蛍光成分の割合が多い高出力光を放つことが可能な発光装置を提供することができる。
A,B,C,D,E,F 発光装置
1 青色光源
100 レーザー光(第一の光成分)
110 橙色光成分(第二の光成分)
120 赤色光成分(第三の光成分)
130 第四の光成分

Claims (12)

  1. 440nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つレーザー光を放つ青色光源と、
    580nm以上610nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つCe3+付活橙色蛍光体と、
    610nm以上660nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つEu2+付活赤色蛍光体と、
    を備え、
    前記レーザー光を、前記Eu2+付活赤色蛍光体に直接照射することなく、前記Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射し、
    前記Ce3+付活橙色蛍光体に直接照射された前記レーザー光の散乱光を、前記Eu2+付活赤色蛍光体に照射し、
    前記Eu 2+ 付活赤色蛍光体は、前記Ce 3+ 付活橙色蛍光体を直接照射する前記レーザー光の光軸上に配置されていない、発光装置。
  2. 前記Ce3+付活橙色蛍光体はガーネット型の結晶構造を持つ、請求項に記載の発光装置。
  3. 前記Eu2+付活赤色蛍光体は窒化物系化合物である、請求項1又2に記載の発光装置。
  4. 出力光は、第一の光成分と第二の光成分と第三の光成分とを含み、
    前記第一の光成分は前記青色光源が放つ前記レーザー光であり、前記第二の光成分は前記Ce3+付活橙色蛍光体が放つ蛍光成分であり、前記第三の光成分は前記Eu2+付活赤色蛍光体が放つ蛍光成分である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置。
  5. 前記第二の光成分と前記第三の光成分との混合成分からなる蛍光スペクトルは、600nmを超え640nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ、請求項に記載の発光装置。
  6. 前記出力光は、480nm以上580nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ第四の光成分をさらに含む、請求項4又は5に記載の発光装置。
  7. 前記出力光は白色光である、請求項に記載の発光装置。
  8. 前記第四の光成分は蛍光体が放つ蛍光であり、
    前記第四の光成分を放つ蛍光体は、前記レーザー光を吸収して前記第四の光成分に変換する、請求項6又は7に記載の発光装置。
  9. 前記第四の光成分を放つ蛍光体は、Ce3+付活蛍光体であり、かつ、前記Ce3+付活橙色蛍光体を直接照射するレーザー光の光軸上に配置されている、請求項に記載の発光装置。
  10. 前記第四の光成分を放つ蛍光体は、前記Ce3+付活橙色蛍光体を直接照射する前記レーザー光の光軸上に配置されていない、請求項に記載の発光装置。
  11. 前記Ce3+付活橙色蛍光体は、無機化合物のみからなる波長変換体を構成する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発光装置。
  12. 出力光は照明光として利用される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発光装置。
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