JP7014548B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
従来、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置で用いられる傾斜磁場コイルは、傾斜磁場を発生させるために流される電流や、傾斜磁場に起因して発生する渦電流によって発熱する。この熱を除去するため、一般的に、傾斜磁場コイルには、冷媒を流すための冷却管が設けられる。
特開2010-269136号公報 特開2011-010760号公報 特開2008-012118号公報
本発明が解決しようとする課題は、傾斜磁場コイルの発熱分布に応じて冷却箇所を最適化することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、傾斜磁場コイルと、第1の冷却管と、第2の冷却管と、切替部とを備える。傾斜磁場コイルは、被検体が配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。第1の冷却管は、前記傾斜磁場コイルを全体的に冷却する。第2の冷却管は、前記傾斜磁場コイルを局所的に冷却する。切替部は、前記第1の冷却管及び前記第2の冷却管それぞれに供給される冷媒の状態を切り替える。
図1は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成例を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルが有するXコイルの一例を示す図である。 図3は、第1の実施形態に係る傾斜磁場コイルが有するYコイルの一例を示す図である。 図4は、第1の実施形態に係るMRI装置が有する傾斜磁場コイルを冷却するための構成の一例を示す図である。 図5は、第1の実施形態に係る主冷却管の一例を示す図である。 図6は、第1の実施形態に係る局所冷却管の一例を示す図である。 図7は、第1の実施形態に係るMRI装置によって行われる傾斜磁場コイルの冷却に関する処理の処理手順を示すフローチャートである。 図8は、第2の実施形態に係る冷媒の流れの制御方法を示す図である。 図9は、第3の実施形態に係る局所冷却管の一例を示す図である。 図10は、第3の実施形態に係る局所冷却管の他の例を示す図である。 図11は、第3の実施形態に係る局所冷却管の他の例を示す図である。 図12は、第4の実施形態に係る局所冷却管の一例を示す図である。 図13は、第5の実施形態に係る主冷却管の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、本実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信回路5、受信コイル6、受信回路7、架台8、寝台9、入力インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路13~16を備える。
静磁場磁石1は、被検体Sが配置される撮像空間に静磁場を発生させる。具体的には、静磁場磁石1は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されており、円筒内の空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、略円筒状に形成された冷却容器と、当該冷却容器内に充填された冷却材(例えば、液体ヘリウム等)に浸漬された超伝導磁石等の磁石とを有している。ここで、例えば、静磁場磁石1は、永久磁石を用いて静磁場を発生させるものであってもよい。
傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置されており、被検体Sが配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる。具体的には、傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されており、円筒内の空間に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の各軸に沿った傾斜磁場を発生させる。ここで、X軸、Y軸及びZ軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、Z軸は、傾斜磁場コイル2の円筒の軸に一致し、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束に沿って設定される。また、X軸は、Z軸に直交する水平方向に沿って設定され、Y軸は、Z軸に直交する鉛直方向に沿って設定される。
より具体的には、傾斜磁場コイル2は、X軸、Y軸及びZ軸の各軸に対応する三つのコイル、即ち、Xコイル、Yコイル及びZコイルが積層されて形成されている。Xコイルは、サドル状に形成されたサドルコイルであり、X軸、即ち、傾斜磁場コイル2の円筒の軸に直交する水平方向に沿って、傾斜磁場を発生させる。また、Yコイルは、Xコイルと同様にサドルコイルであるが、Y軸、即ち、傾斜磁場コイル2の円筒の軸に直交する上下の方向に沿って、傾斜磁場を発生させる。また、Zコイルは、螺旋状に形成されたソレノイドコイルであり、Z軸、即ち、傾斜磁場コイル2の円筒の軸に沿って、傾斜磁場を発生させる。
図2は、第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2が有するXコイルの一例を示す図である。また、図3は、第1の実施形態に係る傾斜磁場コイル2が有するYコイルの一例を示す図である。
例えば、図2に示すように、Xコイル2Xは、傾斜磁場コイル2の円筒の軸を挟んで、水平方向の一方の側(図2における手前側)に配置された二つのコイルループと、他方の側(図2における奥側)に配置された二つのコイルループ(図示を省略)とを含んでいる。ここで、水平方向の一方の側に配置されたコイルループと、他方の側に配置されたコイルループとは、互いの中心が傾斜磁場コイル2の円筒の軸を挟んで水平方向に対向するように配置されている。そして、Xコイル2Xは、電流が流れた際に、対向するコイルループを貫く磁束が発生することによって、傾斜磁場コイル2の円筒の軸に直交する水平方向に沿った傾斜磁場を発生させるように構成されている。
一方、例えば、図3に示すように、Yコイル2Yは、傾斜磁場コイル2の円筒の軸を挟んで、鉛直方向の一方の側(図3における上側)に配置された二つのコイルループと、他方の側(図3における下側)に配置された二つのコイルループとを含んでいる。ここで、鉛直方向の一方の側に配置されたコイルループと、他方の側に配置されたコイルループとは、互いの中心が傾斜磁場コイル2の円筒の軸を挟んで鉛直方向に対向するように配置されている。そして、Yコイル2Yは、電流が流れた際に、対向するコイルループを貫く磁束が発生することによって、傾斜磁場コイル2の円筒の軸に直交する鉛直方向に沿った傾斜磁場を発生させるように構成されている。
ここで、例えば、傾斜磁場コイル2は、ASGC(Actively Shielded Gradient Coil)である。ASGCは、傾斜磁場を発生させるメインコイルと、漏洩磁場を打ち消すシールドコイルとを備える。シールドコイルは、メインコイルの周囲を囲むように配置され、漏洩磁場を打ち消すためのシールド用の磁場を発生させる。ASGCでは、メインコイル及びシールドコイルそれぞれが、上述したXコイル、Yコイル及びZコイルを有する。
図1に戻って、傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2が有するXコイル、Yコイル及びZコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、傾斜磁場コイル2の内側の空間に、X軸、Y軸及びZ軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させる。
このように、傾斜磁場電源3がX軸、Y軸及びZ軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることによって、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることができる。リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
これらの傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳され、MR(Magnetic Resonance(磁気共鳴))信号に空間的な位置情報を付与するために用いられる。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、MR信号にリードアウト方向に沿った位置情報を付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、MR信号に位相エンコード方向の位置情報を付与する。また、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させることで、MR信号にスライス方向に沿った位置情報を付与する。
送信コイル4は、傾斜磁場コイル2の内側に配置されており、被検体Sが配置される撮像空間にRF(Radio Frequency)磁場を印加する。具体的には、送信コイル4は、中空の略円筒状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されており、送信回路5から出力されるRFパルス信号に基づいて、円筒内の空間にRF磁場を印加する。
送信回路5は、ラーモア周波数に対応するRFパルス信号を送信コイル4に出力する。
受信コイル6は、被検体Sから発せられるMR信号を受信するRFコイルである。例えば、受信コイル6は、送信コイル4の内側に配置された被検体Sに装着され、送信コイル4によって印加されるRF磁場の影響で被検体Sから発せられるMR信号を受信する。そして、受信コイル6は、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。例えば、受信コイル6には、撮像対象の部位ごとに専用のコイルが用いられる。ここで、専用のコイルとは、例えば、頭部用の受信コイル、頚部用の受信コイル、肩用の受信コイル、胸部用の受信コイル、腹部用の受信コイル、下肢用の受信コイル、脊椎用の受信コイル等である。
受信回路7は、受信コイル6から出力されるMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路14に出力する。
なお、ここでは、送信コイル4がRF磁場を印加し、受信コイル6がMR信号を受信する場合の例を説明するが、各RFコイルの形態はこれに限られない。例えば、送信コイル4が、MR信号を受信する受信機能をさらに有してもよいし、受信コイル6が、RF磁場を印加する送信機能をさらに有していてもよい。送信コイル4が受信機能を有している場合は、受信回路7は、送信コイル4によって受信されたMR信号からもMR信号データを生成する。また、受信コイル6が送信機能を有する場合は、送信回路5は、受信コイル6にもRFパルス信号を出力する。
架台8は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び送信コイル4を収容している。具体的には、架台8は、円筒状に形成された中空のボアBを有しており、ボアBを囲むように静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2及び送信コイル4を配置した状態で、それぞれを収容している。ここで、架台8が有するボアBの内側の空間が、被検体Sの撮像が行われる際に被検体Sが配置される撮像空間となる。
寝台9は、被検体Sが載置される天板9aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、架台8におけるボアBの内側へ天板9aを挿入する。例えば、寝台9は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置されている。
入力インタフェース10は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース10は、処理回路16に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路へと出力する。例えば、入力インタフェース10は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、及び音声入力インタフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース10は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース10の例に含まれる。
ディスプレイ11は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、処理回路16に接続されており、処理回路16から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ11は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶回路12は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路12は、MR信号データや画像データを記憶する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路13は、寝台制御機能13aを有する。例えば、処理回路13は、プロセッサによって実現される。寝台制御機能13aは、寝台9に接続され、制御用の電気信号を寝台9へ出力することで、寝台9の動作を制御する。例えば、寝台制御機能13aは、入力インタフェース10を介して、天板9aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板9aを移動するように、寝台9が有する天板9aの駆動機構を動作させる。
処理回路14は、実行機能14aを有する。実行機能14aは、処理回路16から出力されるシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信回路5及び受信回路7を駆動することで、MR信号データのデータ収集を行う。ここで、シーケンス実行データは、MR信号データを収集するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。具体的には、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給される電流の強さ、送信回路5が送信コイル4に供給するRFパルス信号の強さや供給タイミング、受信回路7がMR信号を検出する検出タイミング等を定義した情報である。例えば、処理回路14は、プロセッサによって実現される。
また、実行機能14aは、各種パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路7からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路12に記憶させる。なお、実行機能14aによって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路12に記憶される。
処理回路15は、画像生成機能15aを有する。画像生成機能15aは、記憶回路12に記憶されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、画像生成機能15aは、実行機能14aによって記憶回路12に記憶されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理、即ち、フーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、画像生成機能15aは、生成した画像の画像データを記憶回路12に記憶させる。例えば、処理回路15は、プロセッサによって実現される。
処理回路16は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、処理回路16は、入力インタフェース10を介して操作者からパルスシーケンスに関する各種パラメータの入力を受け付け、受け付けた各種パラメータの入力値に基づいて撮像条件を設定する。また、処理回路16は、撮像条件に基づいてシーケンス実行データを生成し、当該シーケンス実行データを処理回路14に送信することで、各種のパルスシーケンスを実行する。また、例えば、処理回路16は、操作者から要求された画像の画像データを記憶回路12から読み出し、読み出した画像をディスプレイ11に出力する。例えば、処理回路16は、プロセッサによって実現される。
ここで、上述したMRI装置100の各構成要素は、例えば、撮影室200と、操作室300とに分けて設置される。撮影室200は、シールドルームであり、室外で発生する電磁波ノイズから室内の空間を遮蔽するとともに、室内で発生する電磁波ノイズが室外に漏れるのを防ぐ。具体的には、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、送信コイル4、受信コイル6、架台8、及び寝台9が撮影室200に設置され、傾斜磁場電源3、送信回路5、受信回路7、入力インタフェース10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路13~16が操作室300に設置される。
以上、本実施形態に係るMRI装置100の全体的な構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係るMRI装置100は、傾斜磁場コイル2を冷却するための構成を有している。そして、本実施形態では、MRI装置100は、傾斜磁場コイル2の発熱分布に応じて冷却箇所を最適化することができるように構成されている。
具体的には、MRI装置100は、第1の冷却管と、第2の冷却管と、切替部とを備えている。第1の冷却管は、傾斜磁場コイル2を全体的に冷却し、第2の冷却管は、傾斜磁場コイル2を局所的に冷却する。そして、切替部は、第1の冷却管及び第2の冷却管それぞれに供給される冷媒の状態を切り替える。また、MRI装置100は、冷媒の流量又は温度を変化させる冷却部をさらに備えている。
図4は、第1の実施形態に係るMRI装置100が有する傾斜磁場コイル2を冷却するための構成の一例を示す図である。なお、図4では、説明の便宜上、図1に示したMRI装置100の構成要素のうち、傾斜磁場コイル2及び処理回路16以外の構成については、図示を省略している。
例えば、図4に示すように、MRI装置100は、主冷却管30と、局所冷却管40と、主温度センサ50と、局所温度センサ60と、冷却装置70と、切替装置80とを備えている。ここで、例えば、切替装置80は撮影室200に設置され、冷却装置70は屋外に設置される。なお、本実施形態における主冷却管30は、第1の冷却管の一例である。また、本実施形態における局所冷却管40は、第2の冷却管の一例である。また、本実施形態における冷却装置70は、冷却部の一例である。また、本実施形態における切替装置80は、切替部の一例である。
主冷却管30は、傾斜磁場コイル2を全体的に冷却する。
図5は、第1の実施形態に係る主冷却管30の一例を示す図である。例えば、図5に示すように、主冷却管30は、螺旋状に形成されており、傾斜磁場コイル2の円筒形状に沿って、傾斜磁場コイル2の略全体にわたって設けられている。ここで、例えば、主冷却管30は、傾斜磁場コイル2の中でXコイル、Yコイル及びZコイルの周囲に各コイルの位置を固定するために充填された樹脂に埋設されている。
例えば、主冷却管30は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図5における左側)に冷媒の流入口を有し、他端側(図5における右側)に冷媒の流出口を有している。そして、主冷却管30は、流入口から流入した冷媒を傾斜磁場コイル2の中で螺旋状の経路に沿って流通させた後に、流出口から排出するように配管されている。
なお、図5では、主冷却管30が、螺旋状に形成された一本の冷却管で構成される場合の例を示しているが、実施形態はこれに限られない。例えば、主冷却管30は、それぞれ螺旋状に形成された複数本の冷却管を並列に配置して構成されていてもよい。また、図5では、主冷却管30が、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に冷媒の流入口を有し、他端側に冷媒の流出口を有する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、主冷却管30は、冷媒の流入口及び流出口の両方が、傾斜磁場コイル2の軸方向の同一端側に配置されるように構成されていてもよい。また、傾斜磁場コイル2がASGCである場合には、主冷却管30は、メインコイル及びシールドコイルのそれぞれに設けられていてもよい。
局所冷却管40は、傾斜磁場コイル2を局所的に冷却する。
具体的には、局所冷却管40は、傾斜磁場コイル2の中で他の箇所と比べて発熱量が多くなる箇所を局所的に冷却する。例えば、局所冷却管40は、傾斜磁場コイル2における磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されている。また、局所冷却管40は、傾斜磁場コイル2の端部から磁束の鎖交が多くなる箇所までの間は直線的に配管されている。
一般的に、サドルコイルでは、コイルループの中心部分で磁束の鎖交が最も多くなり、その結果、コイルループの中心部分で発熱量が多くなると考えられる。そこで、本実施形態では、局所冷却管40は、Xコイル2X及びYコイル2Yそれぞれが有するコイルループの中心部分で密になるように配管されている。
図6は、第1の実施形態に係る局所冷却管40の一例を示す図である。なお、図6では、説明の便宜上、傾斜磁場コイル2に含まれるXコイル2X及びYコイル2Yそれぞれについて、傾斜磁場コイル2の軸に対して水平方向又は鉛直方向の同じ側に配置された二つのコイルループを模擬的に示している。
例えば、図6に示すように、局所冷却管40は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図6における左側)に配置された第1の局所冷却管41と、他端側(図6における右側)に配置された第2の局所冷却管42とを含んでいる。ここで、例えば、第1の局所冷却管41及び第2の局所冷却管42は、傾斜磁場コイル2の中でXコイル、Yコイル及びZコイルの周囲に各コイルの位置を固定するために充填された樹脂に埋設されている。
第1の局所冷却管41は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に冷媒の流入口及び流出口を有している。そして、第1の局所冷却管41は、流入口から流入した冷媒を、Xコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置されたコイルループの付近、及び、Yコイル2Yに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置されたコイルループの付近の順に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている。
ここで、第1の局所冷却管41は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端から各コイルループの中心までの間は直線的に配管されており、各コイルループの中心付近では、コイルループの中心から外側に向かって徐々に広がる渦状に配管されている。即ち、第1の局所冷却管41は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側において、磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されている。
一方、第2の局所冷却管42は、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に冷媒の流入口及び流出口を有している。そして、第2の局所冷却管42は、流入口から流入した冷媒を、Xコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に配置されたコイルループの付近、及び、Yコイル2Yに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に配置されたコイルループの付近の順に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている。
ここで、第2の局所冷却管42は、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端から各コイルループの中心までの間は直線的に配管されており、各コイルループの中心付近では、コイルループの中心から外側に向かって徐々に広がる渦状に配管されている。即ち、第2の局所冷却管42は、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側において、磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されている。
このように、第1の局所冷却管41及び第2の局所冷却管42が、それぞれ、傾斜磁場コイル2における磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されることによって、傾斜磁場コイル2内で他の箇所と比べて大きく発熱する箇所を重点的に冷却できるようになる。
主温度センサ50は、傾斜磁場コイル2における全体的な温度を計測する。
例えば、主温度センサ50は、主冷却管30の流出口又は流出口の付近に設置されており、主冷却管30から流出する冷媒の温度を計測する。または、主温度センサ50は、傾斜磁場コイル2に発生する平均的な温度を示す箇所に設置され、当該箇所の温度を計測してもよい。または、主温度センサ50は、傾斜磁場コイル2における複数箇所の温度を検出し、検出した温度の平均値を傾斜磁場コイル2における全体的な温度として計測してもよい。
局所温度センサ60は、傾斜磁場コイル2における局所的な温度を計測する。
例えば、局所温度センサ60は、局所冷却管40の流出口又は流出口の付近に設置されており、局所冷却管40から流出する冷媒の温度を計測する。または、局所温度センサ60は、局所冷却管40が密に配置される箇所の温度を計測してもよい。即ち、その場合には、局所温度センサ60は、傾斜磁場コイル2の中で他の箇所と比べて発熱量が多くなる箇所の温度を計測することになる。例えば、局所冷却管40は、傾斜磁場コイル2における磁束の鎖交が多くなる箇所の温度を計測する。例えば、局所冷却管40は、Xコイル2X及びYコイル2Yそれぞれが有するコイルループの中心付近の温度を計測する。
冷却装置70は、主冷却管30及び局所冷却管40に供給される冷媒の流量を変化させる。
具体的には、冷却装置70は、切替装置80を介して、主冷却管30及び局所冷却管40に冷媒(例えば、冷却水等)を供給する。そして、冷却装置70は、処理回路16から送信される制御信号に基づいて、主冷却管30及び局所冷却管40に供給される冷媒の流量を変化させる。
本実施形態では、冷却装置70は、撮像条件に基づいて、主冷却管30及び局所冷却管40に供給される冷媒の流量を変化させる。また、本実施形態では、冷却装置70は、傾斜磁場コイル2の温度に基づいて、主冷却管30及び局所冷却管40に供給される冷媒の流量を変化させる。
切替装置80は、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の状態を切り替える。
具体的には、切替装置80は、冷却装置70から供給される冷媒を主冷却管30及び局所冷却管40に配給する。そして、切替装置80は、処理回路16から送信される制御信号に基づいて、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の状態を切り替える。
本実施形態では、切替装置80は、撮像条件に基づいて、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替える。また、本実施形態では、切替装置80は、傾斜磁場コイル2の温度に基づいて、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替える。
ここで、本実施形態では、上述した冷却装置70及び切替装置80を制御するために、処理回路16が、撮像条件制御機能16aと、信号処理機能16bとを有している。なお、本実施形態における撮像条件制御機能16aは、撮像条件制御部の一例である。また、本実施形態における信号処理機能16bは、信号処理部の一例である。ここで、本明細書における撮像条件制御部及び信号処理部は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。
撮像条件制御機能16aは、撮像条件に基づいて、撮像が開始される前に、冷却装置70及び切替装置80を制御する。
具体的には、撮像条件制御機能16aは、操作者から受け付けた各種パラメータの入力値に基づいて撮像条件を設定する。そして、撮像条件制御機能16aは、設定した撮像条件に基づいて、冷却装置70によって供給される冷媒の流量と、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合とを決定する。
例えば、撮像条件制御機能16aは、撮像条件に基づいて、撮像中に傾斜磁場コイル2に生じる全体的な発熱量と、局所的な発熱量とを予測する。一例として、例えば、EPI(Echo Planar Imaging)のように、極性が反対のリードアウト傾斜磁場を交互に繰り返し印加する撮像や、DWI(Diffusion Weighted Imaging)で用いられるMPG(Motion Probing Gradient)パルスのように、異なる方向の傾斜磁場を交互に繰り返し印加する撮像が行われる場合には、他の撮像法による撮像と比べて、撮像中にXコイルやYコイルの発熱量が多くなると考えられる。このように、撮像中にXコイル又はYコイルの発熱量が多くなると想定される撮像条件が設定された場合には、撮像条件制御機能16aは、撮像中に傾斜磁場コイル2に生じる局所的な発熱量が、全体的な発熱量と比べて多くなると予測する。
その後、撮像条件制御機能16aは、予測した全体的な発熱量及び局所的な発熱量に基づいて、撮像中における傾斜磁場コイル2の全体的な温度及び局所的な温度がそれぞれ所定の温度となるように、冷却装置70によって供給される冷媒の流量と、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合とを決定する。
そして、撮像条件制御機能16aは、撮像が開始される前に、決定した冷媒の流量を示す制御信号を冷却装置70に送信し、また、決定した冷媒の流量割合を示す制御信号を切替装置80に送信する。
信号処理機能16bは、傾斜磁場コイル2の温度に基づいて、撮像中に、冷却装置70及び切替装置80を制御する。
具体的には、信号処理機能16bは、撮像中に、主温度センサ50によって計測された温度と、局所温度センサ60によって計測された温度とに基づいて、傾斜磁場コイル2の全体的な温度及び局所的な温度を監視する。そして、信号処理機能16bは、傾斜磁場コイル2の全体的な温度及び局所的な温度に基づいて、リアルタイムに、冷却装置70によって供給される冷媒の流量と、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合とを切り替える。
例えば、信号処理機能16bは、主温度センサ50によって計測された温度と、局所温度センサ60によって計測された温度とに基づいて、撮像中における傾斜磁場コイル2の全体的な温度及び局所的な温度がそれぞれ所定の温度となるように、冷却装置70によって供給される冷媒の流量と、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合とを決定する。
例えば、信号処理機能16bは、主温度センサ50によって計測された温度、及び、局所温度センサ60によって計測された温度がそれぞれ所定の温度より高い場合には、冷却装置70によって供給される冷媒の流量を増加させる。逆に、主温度センサ50によって計測された温度、及び、局所温度センサ60によって計測された温度がそれぞれ所定の温度より低い場合には、信号処理機能16bは、冷却装置70によって供給される冷媒の流量を減少させる。
また、例えば、信号処理機能16bは、局所温度センサ60によって計測された温度が主温度センサ50によって計測された温度より高い場合には、主冷却管30と比べて局所冷却管40に流れる冷媒の量が多くなるように、切替装置80によって局所冷却管40に供給される冷媒の流量割合を増加させる。逆に、主温度センサ50によって計測された温度が局所温度センサ60によって計測された温度より高い場合には、信号処理機能16bは、局所冷却管40と比べて主冷却管30に流れる冷媒の量が多くなるように、切替装置80によって主冷却管30に供給される冷媒の流量割合を増加させる。
そして、信号処理機能16bは、リアルタイムに、決定した冷媒の流量を示す制御信号を冷却装置70に送信し、また、決定した冷媒の流量割合を示す制御信号を切替装置80に送信することで、冷媒の流量及び流量割合を切り替える。なお、ここでいうリアルタイムとは、厳密に即時でなくてもよく、許容可能な範囲内のタイムラグを含んでいてもよいし、所定の時間間隔ごとのタイミングであってもよい。
このように、信号処理機能16bが、傾斜磁場コイル2の温度が所定の温度となるように、冷却装置70によって供給される冷媒の流量、及び、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合を調整して最適化することによって、傾斜磁場コイル2を効率よく冷却できるとともに、冷却に必要な電力等を節約できるようになる。
ここで、例えば、上述した撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bによって行なわれる各処理の処理手順は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12に記憶されている。処理回路16は、記憶回路12からプログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路16は、図2の処理回路16内に示された各機能を有することとなる。
なお、図2では、処理回路16が有する撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bが単一の処理回路16によって実現される場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路16を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することによって各機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路16が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。例えば、信号処理機能16bは、撮影室に設置された処理基板に実装された処理回路が有していてもよい。
また、上述した第1の実施形態では、単一の記憶回路12が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路16は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
図7は、第1の実施形態に係るMRI装置100によって行われる傾斜磁場コイル2の冷却に関する処理の処理手順を示すフローチャートである。例えば、図7に示すように、本実施形態に係るMRI装置100では、撮像条件制御機能16aが、操作者から受け付けた各種パラメータの入力値に基づいて撮像条件を設定する(ステップS101)。
そして、撮像条件制御機能16aは、設定した撮像条件に基づいて、冷却装置70によって供給される冷媒の流量を決定する(ステップS102)。また、撮像条件制御機能16aは、設定した撮像条件に基づいて、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合を決定する(ステップS103)。
そして、撮像が開始された後に(ステップS104,Yes)、信号処理機能16bが、傾斜磁場コイル2の温度に基づいて、冷却装置70によって供給される冷媒の流量を切り替える(ステップS105)。また、信号処理機能16bは、傾斜磁場コイル2の温度に基づいて、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替える(ステップS106)。
その後、信号処理機能16bは、撮像が終了するまでの間は(ステップS107,No)、ステップS105及びS106の処理を繰り返し実行する。
ここで、ステップS101~S103の処理は、例えば、処理回路16が撮像条件制御機能16aに対応する所定のプログラムを記憶回路12から呼び出して実行することにより実現される。また、ステップS104~S107の処理は、例えば、処理回路16が信号処理機能16bに対応する所定のプログラムを記憶回路12から呼び出して実行することにより実現される。
なお、図7において、撮像条件制御機能16aが冷媒の流量を決定する処理(ステップS102)、及び、冷媒の流量割合を決定する処理(ステップS103)については、実行順序が逆になってもよいし、並行して実行されてもよい。また、信号処理機能16bが冷媒の流量を切り替える処理(ステップS105)、及び、冷媒の流量割合を切り替える処理(ステップS106)についても、実行順序が逆になってもよいし、並行して実行されてもよい。
上述したように、第1の実施形態では、主冷却管30が、傾斜磁場コイル2を全体的に冷却し、局所冷却管40が、傾斜磁場コイル2を局所的に冷却する。そして、切替装置80が、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の状態を切り替える。したがって、第1の実施形態によれば、傾斜磁場コイルの発熱分布に応じて冷却箇所を最適化することができる。
一般的に、傾斜磁場コイル2において、発熱するコイルは撮像条件に依存するため、傾斜磁場コイル2内で発熱箇所に偏りが生じると考えられる。そのため、例えば、冷却管を傾斜磁場コイル2の周方向に螺旋状に設置して傾斜磁場コイル2全体を冷却するようにしても、傾斜磁場コイル2内で温度勾配が発生することになる。
これに対し、第1の実施形態によれば、傾斜磁場コイル2内で他の箇所と比べて大きく発熱する箇所を重点的に冷却することができるため、傾斜磁場コイル2の温度勾配を低減させることが可能になる。この結果、冷却効率が向上し、傾斜磁場コイル2の耐用年数を増加させることができる。また、傾斜磁場コイル2の温度が下がることで、画質を向上させることができる。さらに、温度に厳しい条件で撮像条件を組むことができるようになり、これまでは不可能だった撮像が可能になる。
なお、上述した第1の実施形態では、冷却装置70が、主冷却管30及び局所冷却管40に供給される冷媒の流量を変化させる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
例えば、冷却装置70は、流量を変化させる代わりに、冷媒の温度を変化させてもよい。または、冷却装置70は、流量及び温度の両方を変化させてもよい。その場合には、処理回路16の信号処理機能16bが、主温度センサ50によって計測された温度、及び、局所温度センサ60によって計測された温度がそれぞれ所定の温度より高い場合に、冷却装置70によって供給される冷媒の温度を低下させる。逆に、主温度センサ50によって計測された温度、及び、局所温度センサ60によって計測された温度がそれぞれ所定の温度より低い場合には、信号処理機能16bは、冷却装置70によって供給される冷媒の温度を上昇させる。
または、冷却装置70は、流量を変化させる代わりに、冷媒の流速を変化させてもよい。その場合には、処理回路16の信号処理機能16bが、主温度センサ50によって計測された温度、及び、局所温度センサ60によって計測された温度がそれぞれ所定の温度より高い場合に、冷却装置70によって供給される冷媒の流速を増加させる。逆に、主温度センサ50によって計測された温度、及び、局所温度センサ60によって計測された温度がそれぞれ所定の温度より低い場合には、信号処理機能16bは、冷却装置70によって供給される冷媒の流速を減少させる。
以上、第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態は、MRI装置100が有する構成要素の一部を適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、第1の実施形態に係る変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下に示す実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、第1の実施形態又は他の実施形態と共通する内容については詳細な説明を省略する。
(第2の実施形態)
例えば、上述した実施形態では、切替装置80が、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替える場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、切替装置80は、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替えてもよい。そこで、以下では、そのような場合の例を第2の実施形態として説明する。
本実施形態では、例えば、処理回路16の撮像条件制御機能16aが、撮像条件に基づいて、撮像が開始される前に、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。また、本実施形態では、例えば、処理回路16の信号処理機能16bが、傾斜磁場コイル2の温度に基づいて、撮像中に、切替装置80によって主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。
なお、本実施形態では、主温度センサ50が、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側の温度と、他端側の温度とをそれぞれ別に計測する。また、本実施形態では、局所温度センサ60が、Xコイル2Xに含まれる各コイルループの温度と、Yコイル2Yに含まれる各コイルループの温度とをそれぞれ別に計測する。
図8は、第2の実施形態に係る冷媒の流れの制御方法を示す図である。なお、図8では、説明の便宜上、図6と同様に、傾斜磁場コイル2に含まれるXコイル2X及びYコイル2Yそれぞれについて、傾斜磁場コイル2の軸に対して水平方向又は鉛直方向の同じ側に配置された二つのコイルループを模擬的に示している。
例えば、撮像条件制御機能16aは、撮像条件に基づいて、撮像中にXコイル2Xの温度がYコイル2Yの温度より高くなると想定される場合には、Xコイル2Xに含まれるコイルループの付近、及び、Yコイル2Yに含まれるコイルループの付近の順に冷媒が流れるように(図8に示す実線の矢印を参照)、切替装置80によって第1の局所冷却管41及び第2の局所冷却管42それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。逆に、撮像条件に基づいて、撮像中にYコイル2Yの温度がXコイル2Xの温度より高くなると想定される場合には、撮像条件制御機能16aは、Yコイル2Yに含まれるコイルループの付近、及び、Xコイル2Xに含まれるコイルループの付近の順に冷媒が流れるように(図8に示す破線の矢印を参照)、切替装置80によって第1の局所冷却管41及び第2の局所冷却管42それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。
また、例えば、信号処理機能16bは、撮像中に、局所温度センサ60によって計測されたXコイル2Xの温度がYコイル2Yの温度より高くなった場合には、Xコイル2Xに含まれるコイルループの付近、及び、Yコイル2Yに含まれるコイルループの付近の順に冷媒が流れるように(図8に示す実線の矢印を参照)、切替装置80によって第1の局所冷却管41及び第2の局所冷却管42それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。逆に、撮像中に、局所温度センサ60によって計測されたYコイル2Yの温度がXコイル2Xの温度より高くなった場合には、信号処理機能16bは、Yコイル2Yに含まれるコイルループの付近、及び、Xコイル2Xに含まれるコイルループの付近の順に冷媒が流れるように(図8に示す破線の矢印を参照)、切替装置80によって第1の局所冷却管41及び第2の局所冷却管42それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。
また、例えば、撮像条件制御機能16aは、撮像条件に基づいて、撮像中に傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側の温度が他端側の温度より高くなると想定される場合には、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側から他端側へ冷媒が流れるように、切替装置80によって主冷却管30に供給される冷媒の流れる向きを切り替える。逆に、撮像条件に基づいて、撮像中に傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側の温度が一端側の温度より高くなると想定される場合には、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側から一端側へ冷媒が流れるように、切替装置80によって主冷却管30に供給される冷媒の流れる向きを切り替える。
また、例えば、信号処理機能16bは、撮像中に、主温度センサ50によって計測された傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側の温度が他端側の温度より高くなった場合には、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側から他端側へ冷媒が流れるように、切替装置80によって主冷却管30に供給される冷媒の流れる向きを切り替える。逆に、撮像中に、主温度センサ50によって計測された傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側の温度が一端側の温度より高くなった場合には、信号処理機能16bは、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側から一端側へ冷媒が流れるように、切替装置80によって主冷却管30に供給される冷媒の流れる向きを切り替える。
このように、第2の実施形態では、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替えることによって、傾斜磁場コイル2内で発熱量が多くなる箇所に冷媒を流すことができるようになる。これにより、傾斜磁場コイル2の発熱箇所に偏りが発生した場合に、傾斜磁場コイル2内で温度が高くなる箇所により冷たい冷媒を流すことができるようになり、傾斜磁場コイル2の冷却効率をより向上させることができる。
(第3の実施形態)
また、上述した実施形態では、局所冷却管40が、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置された第1の局所冷却管41と、他端側に配置された第2の局所冷却管42とを含む場合の例を説明したが(例えば、図6及び8を参照)、実施形態はこれに限られない。そこで、以下では、局所冷却管40の構成に関する他の例を第3の実施形態として説明する。
図9は、第3の実施形態に係る局所冷却管の一例を示す図である。例えば、図9に示す例では、局所冷却管140は、傾斜磁場コイル2の軸方向の中心付近で交差するように配管された第1の局所冷却管141及び第2の局所冷却管142を含んでいる。
第1の局所冷却管141は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図9における左側)に冷媒の流入口を有し、他端側(図9における右側)に冷媒の流出口を有している。そして、第1の局所冷却管141は、流入口から流入した冷媒を、Xコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置されたコイルループの付近、及び、Yコイル2Yに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に配置されたコイルループの付近の順に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている(図9に示す実線の矢印を参照)。
一方、第2の局所冷却管142は、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側(図9における右側)に冷媒の流入口を有し、一端側(図9における左側)に冷媒の流出口を有している。そして、第2の局所冷却管142は、流入口から流入した冷媒を、Yコイル2Yに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に配置されたコイルループの付近、及び、Xコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置されたコイルループの付近の順に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている(図9に示す実線の矢印を参照)。
ここで、例えば、図9に示す例において、第2の実施形態のように、切替装置80が、局所冷却管40に供給される冷媒の流れる向きを切り替えてもよい。その場合には、撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bが、撮像中にXコイルの温度がYコイルの温度より高くなる場合に、Xコイル2Xに含まれるコイルループの付近、及び、Yコイル2Yに含まれるコイルループの付近の順に冷媒が流れるように(図9に示す実線の矢印を参照)、切替装置80によって第1の局所冷却管141及び第2の局所冷却管142それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。逆に、撮像中にYコイルの温度がXコイルの温度より高くなる場合には、撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bは、Yコイル2Yに含まれるコイルループの付近、及び、Xコイル2Xに含まれるコイルループの付近の順に冷媒が流れるように(図9に示す破線の矢印を参照)、切替装置80によって第1の局所冷却管141及び第2の局所冷却管142それぞれに供給される冷媒の流れる向きを切り替える。
このように、第3の実施形態でも、局所冷却管140に供給される冷媒の流れる向きを切り替えることによって、傾斜磁場コイル2内で発熱量が多くなる箇所に冷媒を流すことができるようになる。これにより、第2の実施形態と同様に、傾斜磁場コイル2の発熱箇所に偏りが発生した場合に、傾斜磁場コイル2内で温度が高くなる箇所により冷たい冷媒を流すことができるようになり、傾斜磁場コイル2の冷却効率をより向上させることができる。
図10及び11は、第3の実施形態に係る局所冷却管の他の例を示す図である。例えば、図10に示す例では、局所冷却管240は、Xコイル2Xに含まれる各コイルループの付近に別々に配管された第1の局所冷却管241及び第2の局所冷却管242と、Yコイル2Yに含まれる各コイルループの付近に別々に配管された第3の局所冷却管243及び第4の局所冷却管244とを含んでいる。
第1の局所冷却管241は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図10における左側)に冷媒の流入口及び流出口を有している。そして、第1の局所冷却管241は、流入口から流入した冷媒を、Xコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置されたコイルループの付近に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている(図10に示す実線の矢印を参照)。
また、第2の局所冷却管242は、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側(図10における右側)に冷媒の流入口及び流出口を有している。そして、第2の局所冷却管242は、流入口から流入した冷媒を、Xコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に配置されたコイルループの付近に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている(図10に示す実線の矢印を参照)。
一方、第3の局所冷却管243は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図10における左側)に冷媒の流入口及び流出口を有している。そして、第3の局所冷却管243は、流入口から流入した冷媒を、Yコイル2Yに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置されたコイルループの付近に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている(図10に示す破線の矢印を参照)。
また、第4の局所冷却管244は、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側(図10における右側)に冷媒の流入口及び流出口を有している。そして、第4の局所冷却管244は、流入口から流入した冷媒を、Yコイル2Yに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に配置されたコイルループの付近に流通させた後に、流出口から排出するように配管されている(図10に示す破線の矢印を参照)。
なお、例えば、図11に示すように、第1の局所冷却管241及び第3の局所冷却管243は、それぞれ、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側(図11における右側)に冷媒の流出口を有していてもよい。また、例えば、図11に示すように、第2の局所冷却管242及び第4の局所冷却管244は、それぞれ、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図11における左側)に冷媒の流出口を有していてもよい。
ここで、例えば、図10又は11に示す例において、切替装置80が、第1の局所冷却管241及び第2の局所冷却管242に供給される冷媒と、第3の局所冷却管243及び第4の局所冷却管244に供給される冷媒との流量割合を切り替えてもよい。その場合には、撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bが、撮像中にXコイルの温度がYコイルの温度より高くなる場合に、
第3の局所冷却管243及び第4の局所冷却管244と比べて第1の局所冷却管241及び第2の局所冷却管242に流れる冷媒の量が多くなるように(図10及び11に示す実線の矢印を参照)、切替装置80によって第1の局所冷却管241及び第2の局所冷却管242に供給される冷媒の流量割合を増加させる。逆に、撮像中にYコイルの温度がXコイルの温度より高くなる場合には、撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bは、第1の局所冷却管241及び第2の局所冷却管242と比べて第3の局所冷却管243及び第4の局所冷却管244に流れる冷媒の量が多くなるように、切替装置80によって第3の局所冷却管243及び第4の局所冷却管244に供給される冷媒(図10及び11に示す破線の矢印を参照)の流量割合を増加させる。
このように、第3の実施形態では、傾斜磁場コイル2に含まれる各コイルの発熱量に応じて、複数の局所冷却管それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替えることによって、傾斜磁場コイル2内で温度が大きく上昇する箇所を重点的に冷却することができる。これにより、傾斜磁場コイル2の冷却効率をより高めることができる。
(第4の実施形態)
また、上述した実施形態では、局所冷却管が、Xコイル2X及びYコイル2Yに含まれる各コイルループの中心付近で、コイルループの中心から外側に向かって徐々に広がる渦状に配管されている場合の例を説明したが(例えば、図6、8~11を参照)、実施形態はこれに限られない。そこで、以下では、局所冷却管の配管に関する他の例を第4の実施形態として説明する。
図12は、第4の実施形態に係る局所冷却管の一例を示す図である。なお、図12では、説明の便宜上、傾斜磁場コイル2に含まれる三つのコイルのうち、Xコイル2Xのみを示している。
例えば、図12に示すように、本実施形態に係る局所冷却管340は、第1の局所冷却管341と、第2の局所冷却管342とを含んでいる。
第1の局所冷却管341は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図12に示す左側)に冷媒の流入口を有し、他端側(図12に示す右側)に冷媒の流出口を有している。ここで、第1の局所冷却管341は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端からXコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側に配置されたコイルループの中心までの間は直線的に配管されており、当該コイルループの中心付近では、Xコイル2Xの周方向に沿って巻回する螺旋状に配管されている。即ち、第1の局所冷却管341は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側において、磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されている。
第2の局所冷却管342は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端側(図12に示す左側)に冷媒の流入口を有し、他端側(図12に示す右側)に冷媒の流出口を有している。ここで、第2の局所冷却管342は、傾斜磁場コイル2の軸方向の一端からXコイル2Xに含まれるコイルループのうちの傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側に配置されたコイルループの中心までの間は直線的に配管されており、当該コイルループの中心付近では、Xコイル2Xの周方向に沿って巻回する螺旋状に配管されている。即ち、第2の局所冷却管342は、傾斜磁場コイル2の軸方向の他端側において、磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されている。
なお、第1の局所冷却管341及び第2の局所冷却管342それぞれにおいて、冷媒の流入口と流出口とは逆になってもよい。
このように、第4の実施形態に係る局所冷却管340は、上述した実施形態で説明した局所冷却管と同様に、傾斜磁場コイル2における磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されることになる。したがって、第4の実施形態でも、傾斜磁場コイル2内で他の箇所と比べて大きく発熱する箇所を重点的に冷却できるようになる。
(第5の実施形態)
また、上述した実施形態では、切替装置80が、主冷却管30及び局所冷却管40それぞれに供給される冷媒の流量割合、又は、複数の局所冷却管それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替える場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、傾斜磁場コイル2に複数の主冷却管が設けられている場合には、切替装置80は、複数の主冷却管それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替えてもよい。
図13は、第5の実施形態に係る主冷却管の一例を示す図である。例えば、図13に示すように、本実施形態では、MRI装置100が、主冷却管430として、第1の主冷却管431と第2の主冷却管432とを備えている。
第1の主冷却管431は、傾斜磁場コイル2が有する三つのコイル(Xコイル、Yコイル及びZコイル)2X-Zの外周側に配管されている。また、第2の主冷却管432は、傾斜磁場コイル2が有する三つのコイル2X-Zの内周側に配管されている。
ここで、本実施形態では、主温度センサ50が、傾斜磁場コイル2に含まれる三つのコイルの中で最も外側に配置されているコイルの温度と、最も内側に配置されているコイルの温度とをそれぞれ別に計測する。
そして、本実施形態では、撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bが、撮像中に最も外側に配置されているコイルの温度が最も内側に配置されているコイルの温度より高くなる場合に、第2の主冷却管432と比べて第1の主冷却管431に流れる冷媒の量が多くなるように、切替装置80によって第1の主冷却管431に供給される冷媒の流量割合を増加させる。逆に、撮像中に最も内側に配置されているコイルの温度が最も外側に配置されているコイルの温度より高くなる場合には、撮像条件制御機能16a及び信号処理機能16bは、第1の主冷却管431と比べて第2の主冷却管432に流れる冷媒の量が多くなるように、切替装置80によって第2の主冷却管432に供給される冷媒の流量割合を増加させる。
このように、第5の実施形態では、傾斜磁場コイル2に含まれる各コイルの発熱量に応じて、複数の主冷却管それぞれに供給される冷媒の流量割合を切り替えることによって、傾斜磁場コイル2内で温度が大きく上昇する範囲を重点的に冷却することができる。これにより、傾斜磁場コイル2の冷却効率をさらに高めることができる。
なお、上述した各実施形態では、傾斜磁場コイル2が有する各コイルと冷却管とが別体で構成される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、傾斜磁場コイル2が有する各コイルと冷却管とが、一体に形成されていてもよい。具体的には、傾斜磁場コイル2が有する各コイルが中空の筒状に形成されており、筒の内側に冷媒を流通させる。その場合には、例えば、Zコイルが、主冷却管として機能し、Xコイル及びYコイルが、局所冷却管として機能することになる。
また、上述した各実施形態では、静磁場磁石1及び傾斜磁場コイル2が略円筒状に形成された、いわゆるトンネル型のMRI装置100について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、上述した実施形態で説明した傾斜磁場コイル2を冷却するための構成は、被検体Sが配置される撮像空間を挟んで対向するように一対の静磁場磁石及び一対の傾斜磁場コイルを配置した、いわゆるオープン型のMRI装置にも同様に適用することが可能である。
また、上述した各実施形態は、それぞれが個別に実施される場合に限られず、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
また、上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、傾斜磁場コイルの発熱分布に応じて冷却箇所を最適化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
2 傾斜磁場コイル
30 主冷却管
40 局所冷却管
50 主温度センサ
60 局所温度センサ
70 冷却装置
80 切替装置

Claims (7)

  1. 被検体が配置される撮像空間に傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、
    前記傾斜磁場コイルを全体的に冷却する第1の冷却管と、
    前記傾斜磁場コイルを局所的に冷却する第2の冷却管と、
    前記第1の冷却管及び前記第2の冷却管それぞれに供給される冷媒の状態を切り替える切替部と
    を備える、磁気共鳴イメージング装置。
  2. 前記第2の冷却管は、前記傾斜磁場コイルの中で他の箇所と比べて発熱量が多くなる箇所を局所的に冷却する、
    請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 前記切替部は、前記傾斜磁場コイルの温度に基づいて、前記冷媒の状態を切り替える、
    請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
  4. 前記切替部は、撮像条件に基づいて、前記冷媒の状態を切り替える、
    請求項1~3のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  5. 前記冷媒の流量又は温度を変化させる冷却部をさらに備える、
    請求項1~4のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  6. 前記第2の冷却管は、前記傾斜磁場コイルにおける磁束の鎖交が多くなる箇所で密になるように配管されている、
    請求項1~5のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
  7. 前記第2の冷却管は、前記傾斜磁場コイルの端部から前記磁束の鎖交が多くなる箇所までの間は直線的に配管されている、
    請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
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