以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法における各工程、各工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態の説明において、略半分、略水平のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略水平とは、完全に水平であることを意味するだけでなく、実質的に水平である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
(実施の形態)
まず、蓄電装置1の構成について、説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。以下の図においても、同様である。
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置1は、例えば自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体のエンジン始動用バッテリーとして用いられる。また、蓄電装置1は、単独(単体)で外部負荷に給電可能、または、単独(単体)で外部電源から充電可能なものである。つまり、電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車などの動力用電源として複数の電池モジュール(蓄電装置)を接続してケースに収容し電池パックとする構成もあるが、本実施の形態における蓄電装置1は、このような構成とは異なるものである。なお、外部負荷または外部電源に応じて、複数の蓄電装置1を電気的に連結して電池パックを構成することにしてもよい。
ここで、図1及び図2に示すように、蓄電装置1は、第一外装体11と第二外装体12とからなる外装体10、及び、外装体10内方に収容される蓄電ユニット20と保持部材30とバスバー41、42とサーミスタ50等を備えている。
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、蓄電ユニット20、保持部材30、バスバー41、42及びサーミスタ50の外方に配置され、この蓄電ユニット20等を所定の位置に配置し、蓄電ユニット20等を衝撃などから保護する。また、外装体10は、例えばポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により構成されている。外装体10は、これにより、蓄電ユニット20等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
ここで、外装体10は、外装体10の蓋体を構成する第一外装体11と、外装体10の本体を構成する第二外装体12とを有している。第一外装体11は、第二外装体12の開口を閉塞する扁平な矩形状のカバー部材であり、正極外部端子13と負極外部端子14とが設けられている。蓄電装置1は、この正極外部端子13と負極外部端子14とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。また、第二外装体12は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングであり、蓄電ユニット20、保持部材30、バスバー41、42及びサーミスタ50等を収容する。
なお、第一外装体11と第二外装体12とは、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
また、第一外装体11の内方には、回路基板やリレーなどの電気機器が配置されているが、当該電気機器の図示は省略する。つまり、第一外装体11は、上下方向(Z軸方向)に2つの部材に分離可能に構成されており、当該2つの部材の間に、当該電気機器が配置されている。これにより、電気機器は、衝撃などから保護されるとともに、外部の金属部材などに接触することが回避される。
なお、当該回路基板には、例えば、配線によって後述の蓄電ユニット20内の蓄電素子100に接続され、当該蓄電素子100の充電状態や放電状態、電圧値、電流値、温度などの各種情報を取得し、監視し、制御したり、リレーのオン、オフを制御したり、他の機器と通信を行ったりするための制御回路が設けられている。ここで、上記の蓄電素子100の温度とは、サーミスタ50を用いて得られる温度である。つまり、制御回路は、蓄電素子100に当接して設けられたサーミスタ50と配線(リード線)を介して接続されており、サーミスタ50から伝達される情報(抵抗値)を温度に変換することによって蓄電素子100の温度を取得する。詳細については、後述する。
蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100(本実施の形態では、12個の蓄電素子100)と複数のバスバー200とを有しており、第一外装体11に設けられた正極外部端子13と負極外部端子14とに電気的に接続される。つまり、複数の蓄電素子100のうちのいずれかの蓄電素子100の正極端子が、バスバー200を介して、正極外部端子13と電気的に接続される。また、複数の蓄電素子100のうちのいずれかの蓄電素子100の負極端子が、バスバー200を介して、負極外部端子14と電気的に接続される。
また、蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100が縦置きになった状態でX軸方向に並べられて、第二外装体12内に配置される。そして、蓄電ユニット20は、上方から第一外装体11が被せられて、外装体10の内方に収容される。なお、蓄電ユニット20の詳細な構成の説明については、後述する。
保持部材30は、バスバー41、42や、その他リレーなどの電装部品、配線類等(図示せず)を保持し、当該バスバー41、42等と他の部材との絶縁、及び、当該バスバー41、42等の位置規制を行うことができる電装品トレーである。特に、保持部材30は、バスバー41、42を、蓄電ユニット20内のバスバー200、正極外部端子13及び負極外部端子14に対して位置決めする。
具体的には、保持部材30は、蓄電ユニット20の上方(Z軸方向プラス側)に載置され、蓄電ユニット20に対して位置決めされる。また、保持部材30上に、バスバー41、42が載置されて位置決めされる。また、保持部材30上に、第一外装体11が配置される。これにより、バスバー41、42は、蓄電ユニット20内のバスバー200と、第一外装体11に設けられた正極外部端子13及び負極外部端子14とに対して位置決めされる。
また、保持部材30は、サーミスタ50を保持する機能も有している。具体的には、保持部材30には開口部が形成されており、当該開口部にサーミスタ50を挿入して、サーミスタ50を蓄電素子100に対して位置決めし、かつ、蓄電素子100に対して押圧した状態で固定する。つまり、保持部材30は、蓄電素子100に対向して配置され、サーミスタ50と係合し、かつ、サーミスタ50を蓄電素子100に向けて付勢する第一部材としての機能も有している。このサーミスタ50が保持部材30に取り付けられる構成の詳細な説明については、後述する。
なお、保持部材30は、例えばPC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により形成されているが、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもかまわない。
バスバー41、42は、蓄電ユニット20内のバスバー200と、第一外装体11に設けられた正極外部端子13及び負極外部端子14とを電気的に接続する。つまり、バスバー41は、蓄電ユニット20内の一端に配置されたバスバー200と正極外部端子13とを電気的に接続する導電性の部材であり、バスバー42は、蓄電ユニット20内の他端に配置されたバスバー200と負極外部端子14とを電気的に接続する導電性の部材である。
なお、バスバー41、42は、導電性の部材として、例えば銅で形成されているが、バスバー41、42の材質は特に限定されない。また、バスバー41、42は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
サーミスタ50は、保持部材30に対して交差する向きに配置されて、蓄電素子100に対して取り付けられる温度センサである。つまり、サーミスタ50は、蓄電素子100の蓋部に押圧された状態で取り付けられて、蓄電素子100の温度を計測する。本実施の形態では、4つの蓄電素子100に対して4つのサーミスタ50が配置されているが、サーミスタ50の個数は特に限定されない。
具体的には、サーミスタ50は、保持部材30に取り付けられた後に、保持部材30が蓄電素子100に対して取り付けられることで、蓄電素子100に対して位置決めされ、かつ、蓄電素子100に押圧されて配置される。なお、サーミスタ50が温度を計測する原理については、従来のサーミスタと同様であるため、詳細な説明は省略する。また、サーミスタ50の構成の詳細な説明、及び、サーミスタ50が蓄電素子100に対して取り付けられる構成の詳細な説明については、後述する。
次に、蓄電ユニット20の構成について、詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る蓄電ユニット20を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
同図に示すように、蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100と、複数のバスバー200と、複数のスペーサ300と、一対の挟持部材400と、複数の拘束部材500と、バスバーフレーム600と、遮熱プレート700とを備えている。
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な矩形状を有しており、スペーサ300に隣接して配置されている。つまり、複数の蓄電素子100のそれぞれが、複数のスペーサ300のそれぞれと交互に配置され、X軸方向に並べられている。本実施の形態では、12個の蓄電素子100が11個のスペーサ300と交互に隣接して配置されている。なお、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
また、同図に示すように、蓄電素子100は、容器110、正極端子120及び負極端子130を備えている。なお、容器110内方には、電極体(発電要素)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、また、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
容器110は、金属からなる矩形筒状で底を備える容器本体と、当該容器本体の開口を閉塞する金属製の蓋部とで構成されている。また、容器110は、電極体等を内部に収容後、蓋部と容器本体とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。このように、容器110は、同図のZ軸方向プラス側に蓋部、X軸方向両側の側面に長側面、Y軸方向両側の側面に短側面、Z軸方向マイナス側に底面を有する直方体形状の容器である。なお、容器110の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
正極端子120は、正極集電体を介して、電極体の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子130は、負極集電体を介して、電極体の負極に電気的に接続された電極端子であり、いずれも容器110の蓋部に取り付けられている。つまり、正極端子120及び負極端子130は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。本実施の形態では、蓄電素子100は、正極端子120及び負極端子130を上方に向けた状態で配置されている。
バスバー200は、蓄電ユニット20内の複数の蓄電素子100のそれぞれと電気的に接続されるバスバーである。つまり、バスバー200は、複数の蓄電素子100が有するそれぞれの電極端子と電気的に接続される導電性の部材であり、当該複数の蓄電素子100が有するいずれかの電極端子同士を電気的に接続する。具体的には、バスバー200は、複数の蓄電素子100が有するそれぞれの電極端子の表面上に配置され、当該電極端子に接続(接合)される。
本実施の形態では、5枚のバスバー200が配置されており、12個の蓄電素子100は、当該5枚のバスバー200によって、並列に接続された3つずつの蓄電素子100の組が、4組直列に接続された構成となっている。また、端部に配置されるバスバー200は、上述のバスバー41、42と接続され、これによって、正極外部端子13及び負極外部端子14と電気的に接続される。
なお、バスバー200は、導電性の部材として、例えばアルミニウムで形成されているが、バスバー200の材質は特に限定されない。また、バスバー200は、全てが同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのバスバーが異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。また、バスバー200の数や、並列に接続される蓄電素子100の数、直列に接続される蓄電素子100の組数などは、上記に限定されない。
スペーサ300は、蓄電素子100の側方(X軸方向プラス側またはマイナス側)に配置される、当該蓄電素子100と他の部材とを絶縁する板状部材である。例えば、スペーサ300は、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂により形成されている。つまり、スペーサ300は、隣り合う2つの蓄電素子100の間に配置され、当該2つの蓄電素子100間を絶縁する。本実施の形態では、12個の蓄電素子100のそれぞれの蓄電素子100の間に、11枚のスペーサ300が配置されている。なお、スペーサ300は、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもよく、また、全てが同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのスペーサが異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
また、スペーサ300は、蓄電素子100の正面側または背面側の略半分(X軸方向に2つに分けた場合の略半分)を覆うように、形成されている。つまり、スペーサ300の正面側または背面側の両面(X軸方向の両面)には凹部が形成されており、当該凹部に上記の蓄電素子100の略半分が挿入される。このような構成により、蓄電素子100の側方のスペーサ300が、蓄電素子100のほとんどの部分を覆うこととなるので、スペーサ300によって、蓄電素子100と他の導電性部材との間の絶縁性を向上させることができている。なお、スペーサ300は、サーミスタ50が蓄電素子100に当接できるように、蓄電素子100のサーミスタ50が位置する部分は覆わないように形成されている。
また、スペーサ300は、上方に突出し、後述の保持部材30の側方係合部37と係合するスペーサ突出部310を有している。つまり、スペーサ突出部310は、蓄電素子100と保持部材30との間に配置され、第二係合部としての側方係合部37と係合する第二部材の機能を有している。ここで、側方係合部37は第二係合部の一例であり、スペーサ突出部310は第二部材の一例である。このスペーサ突出部310と側方係合部37との係合についての詳細な説明は、後述する。
挟持部材400及び拘束部材500は、蓄電素子100の電極体の積層方向において、蓄電素子100を外方から圧迫する部材である。つまり、挟持部材400及び拘束部材500は、複数の蓄電素子100を当該積層方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を両側から圧迫する。なお、蓄電素子100の電極体の積層方向とは、電極体の正極、負極及びセパレータが積層される方向であり、複数の蓄電素子100の並び方向(X軸方向)と同じ方向である。つまり、複数の蓄電素子100は、当該積層方向に配列されている。
具体的には、挟持部材400は、複数の蓄電素子100のX軸方向両側に配置された平板状部材(エンドプレート)であり、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300を、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300の並び方向(X軸方向)の両側から挟み込んで保持する。挟持部材400は、強度の観点等から、例えば鋼やステンレス等の金属製(導電性)の部材で形成されているが、これに限定されず、例えば強度の高い絶縁性の部材で形成されていてもよい。なお、挟持部材400が導電性の部材で形成されている場合には、挟持部材400と蓄電素子100との間の絶縁性を確保するために、挟持部材400と蓄電素子100との間に、スペーサ300と同様の絶縁性の部材が配置される。
拘束部材500は、両端が挟持部材400に取り付けられて、複数の蓄電素子100を拘束する長尺状かつ平板状の部材(拘束バー)である。つまり、拘束部材500は、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300を跨ぐように配置され、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300に対してこれらの並び方向(X軸方向)における拘束力を付与する。
本実施の形態では、複数の蓄電素子100の両側方(Y軸方向両側)に2つの拘束部材500が配置されており、当該2つの拘束部材500で当該複数の蓄電素子100を当該両側方から挟み込んで拘束する。なお、拘束部材500は、挟持部材400と同様に、例えば鋼やステンレス等の金属製の部材で形成されているのが好ましいが、金属以外の部材で形成されていてもかまわない。
バスバーフレーム600は、バスバー200と他の部材との絶縁、及び、バスバー200の位置規制を行うことができる部材である。特に、バスバーフレーム600は、バスバー200を、蓄電ユニット20内の複数の蓄電素子100に対して位置決めする。
具体的には、バスバーフレーム600は、複数の蓄電素子100の上方(Z軸方向プラス側)に載置され、複数の蓄電素子100に対して位置決めされる。また、バスバーフレーム600上には、バスバー200が載置されて位置決めされる。これにより、バスバー200は、複数の蓄電素子100に対して位置決めされ、そして、バスバーフレーム600に形成された貫通孔であるバスバー用開口部610を介して、当該複数の蓄電素子100が有するそれぞれの電極端子に接合される。
また、バスバーフレーム600には、4つのサーミスタ50が挿入される貫通孔である2つのサーミスタ用開口部620と2つのサーミスタ用開口部630とが形成されている。つまり、2つのサーミスタ50(後述のサーミスタ50a)が2つのサーミスタ用開口部620に挿入され、残りの2つのサーミスタ50(後述のサーミスタ50b)が2つのサーミスタ用開口部630に挿入されて、蓄電素子100の容器110の蓋部に当接する。また、バスバーフレーム600には、後述の保持部材30の側方係合部37が挿入される係合部用開口部640も形成されている。
ここで、バスバーフレーム600は、蓄電素子100と保持部材30との間に配置され、後述の保持部材30の第二係合部としての下側係合部35と係合する第二部材の機能を有している。つまり、下側係合部35は第二係合部の一例であり、バスバーフレーム600は第二部材の一例である。サーミスタ用開口部620、サーミスタ用開口部630及び係合部用開口部640についての詳細な構成の説明は、後述する。
なお、バスバーフレーム600は、例えばPC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により形成されているが、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもかまわない。ただし、本実施の形態においては、バスバーフレーム600は、保持部材30を蓄電素子100に対して固定する機能を確保するために、比較的剛性の高い材質(保持部材30よりも剛性の高い材質)で形成されているのが好ましい。
遮熱プレート700は、蓄電素子100の安全弁の排気の流路の内方に配置される断熱性を有する板状の部材である。具体的には、遮熱プレート700は、蓄電素子100の安全弁の上方に位置するように、バスバーフレーム600の上方に配置される。つまり、遮熱プレート700は、異常時等に蓄電素子100の安全弁からガスが排出された場合に、蓄電ユニット20の上方に配置される回路基板等の電気機器を当該ガスの熱から保護する。なお、遮熱プレート700は、本実施の形態では、熱伝導性の低いステンレスなどの金属材料で形成されているが、これに限定されず、耐熱性が高く熱伝導性の低い材料であればよく、例えばガラス繊維で強化されたPPSやPBT等の樹脂、あるいはセラミック等で形成されていてもかまわない。
以上のように構成された蓄電装置1において、サーミスタ50が蓄電素子100に対して取り付けられる構成について、以下に詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係るサーミスタ50が蓄電素子100に対して取り付けられる構成を示す斜視図である。具体的には、同図は、蓄電素子100とスペーサ300とバスバーフレーム600と保持部材30とサーミスタ50との位置関係を説明するための図である。
同図に示すように、Y軸方向マイナス側の2つのサーミスタ50(以降、サーミスタ50aともいう)は、保持部材30の2つのサーミスタ取付部30aの開口部と、バスバーフレーム600の2つのサーミスタ用開口部620とに挿入されて、蓄電素子100に対して取り付けられる。ここで、サーミスタ用開口部620は、略矩形状の貫通孔であり、サーミスタ用開口部620の内方に向けて突出するように2つの第二付勢部621が設けられている。
2つの第二付勢部621は、X軸方向に対向して設けられた一対の突出部であり、後述の保持部材30の下側係合部35と係合し、下側係合部35を蓄電素子100に向けて付勢する。つまり、サーミスタ用開口部620の内方には、下側係合部35との係合箇所を挟む位置、つまり、第二付勢部621を挟む位置(第二付勢部621のY軸方向両側)に、サーミスタ50aが挿入される開口部に繋がる2つの空隙622が設けられている。このような構成により、第二付勢部621は、サーミスタ50aを蓄電素子100に向けて付勢する。この第二付勢部621がサーミスタ50aを蓄電素子100に向けて付勢する構成についての詳細な説明は、後述する。
また、Y軸方向プラス側の2つのサーミスタ50(以降、サーミスタ50bともいう)は、保持部材30の2つのサーミスタ取付部30bの開口部と、バスバーフレーム600の2つのサーミスタ用開口部630とに挿入されて、蓄電素子100に対して取り付けられる。ここで、サーミスタ用開口部630は、略矩形状の貫通孔である。
また、バスバーフレーム600の係合部用開口部640には、後述の保持部材30の側方係合部37が挿入され、挿入された側方係合部37は、スペーサ300のスペーサ突出部310と係合する。この側方係合部37がスペーサ突出部310と係合する構成についての詳細な説明は、後述する。
以上により、サーミスタ50(サーミスタ50a、50b)のそれぞれは、取り付けられたそれぞれの蓄電素子100の温度を計測することができる。なお、サーミスタ50の個数は、上記には限定されず、温度を計測したい蓄電素子100の個数や蓄電素子100の温度計測位置などによって適宜決定される。
次に、サーミスタ50の構成、及び、保持部材30のサーミスタ取付部30a、30bの構成について、詳細に説明する。まず、サーミスタ50の構成について、詳細に説明する。図5は、本発明の実施の形態に係るサーミスタ50の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、サーミスタ50は、サーミスタ50の本体である柱部51と、柱部51を覆うカバー部材52とを有している。また、柱部51の上部には、リード線53が接続されている。
柱部51は、サーミスタ素子本体を内蔵した角柱形状の部位である。具体的には、柱部51の外殻は、例えばアルミニウムで形成されており、柱部51の内方に当該サーミスタ素子本体が収容され、樹脂が注入されて、当該サーミスタ素子本体が埋設されている。なお、柱部51の形状は、角柱形状には限定されず、円柱形状、円錐形状、角錐形状などであってもかまわない。また、柱部51内方への当該サーミスタ素子本体の収容方法についても、限定されず、従来の構成等が適宜選択される。
また、リード線53は、柱部51内方の当該サーミスタ素子本体に接続されて、柱部51の上部から突出して延びている。つまり、リード線53は、一端が柱部51に接続され、他端が第一外装体11内方に配置された回路基板に接続されるケーブルであり、当該サーミスタ素子本体の抵抗値を当該回路基板に伝達する。つまり、サーミスタ素子本体は、温度に対応して抵抗値が変化する電気抵抗素子であり、蓄電素子100の温度に応じた当該サーミスタ素子本体の抵抗値が当該回路基板に伝達され、当該回路基板は、取得した抵抗値を温度に変換する。なお、同図では、リード線53の一端が柱部51に接続されている構成を示し、リード線53の他端が回路基板に接続されている構成は省略しているが、当該他端は当該回路基板に直接接続されていてもよいし、他の配線を介して接続されていてもよい。
カバー部材52は、柱部51の4面(X軸方向マイナス側、Y軸方向両側、Z軸方向マイナス側)を覆う矩形状の部材であり、柱部51を保護するカバーである。カバー部材52は、例えばアルミニウムなどで形成されている。また、カバー部材52は、上部に、外方(Y軸方向両側)に突出した一対の平板状のサーミスタ突出部52aを有し、下部に、柱部51の下面(Z軸方向マイナス側の面)を覆う底面部52bを有している。
なお、サーミスタ突出部52aの形状及び個数は上記には限定されない。また、本実施の形態では、サーミスタ突出部52aは、カバー部材52と一体に形成されているが、別体で形成されていてもかまわない。
次に、保持部材30のサーミスタ取付部30aの構成について、詳細に説明する。図6A及び図6Bは、本発明の実施の形態に係る保持部材30のサーミスタ取付部30aの構成を拡大して示す拡大斜視図である。具体的には、図6Aは、図4に示されたサーミスタ取付部30aを上方から見た場合の拡大斜視図であり、図6Bは、当該サーミスタ取付部30aを下方から見た場合の拡大斜視図である。
これらの図に示すように、保持部材30のサーミスタ取付部30aは、本体部31と、センサ挿入部32と、第一付勢部33と、上側係合部34とを有している。本実施の形態では、本体部31、センサ挿入部32、第一付勢部33及び上側係合部34は、一体化されて形成されているが、いずれかの部位が別体となって形成されていてもかまわない。
本体部31は、サーミスタ取付部30aのベースとなる部分であり、Z軸方向プラス側に上面31aを有し、Z軸方向マイナス側に下面31bを有する平板状の部位である。
センサ挿入部32は、サーミスタ50が挿入される部位であり、本体部31を貫通し、本体部31の下面31bから、下方に向けて突出して形成された略角筒形状の部位である。つまり、センサ挿入部32には、サーミスタ50が挿入される矩形状の開口部32aが形成されている。
開口部32aは、サーミスタ50が挿入される挿入経路を形成する部位であり、当該挿入経路を囲うセンサ挿入部32の内壁面で構成される部位である。開口部32aは、センサ挿入部32の上端から下端までに亘って、サーミスタ50のカバー部材52の外形に対応する形状(カバー部材52の外形よりも少し大きい形状)を有している。なお、開口部32aは、サーミスタ50が挿入(通過)可能な形状であればよく、上記の形状には限定されない。
また、センサ挿入部32は、下側係合部35と、側方突出部36とを有している。本実施の形態では、下側係合部35及び側方突出部36は、センサ挿入部32と一体化されて形成されているが、センサ挿入部32と別体で形成されていてもかまわない。
下側係合部35は、センサ挿入部32の側方から突出した突出部であり、蓄電素子100とバスバーフレーム600との間に配置されて、バスバーフレーム600と係合する。具体的には、下側係合部35は、センサ挿入部32のX軸方向両側の側面の中央部分から外方に向けて突出した一対の三角柱形状の突出部であり、上面が略水平面となっている。これにより、下側係合部35は、当該上面がバスバーフレーム600と係合する。この下側係合部35がバスバーフレーム600と係合する構成についての詳細な説明は、後述する。
側方突出部36は、下側係合部35の両側方から突出した突出部である。具体的には、側方突出部36は、センサ挿入部32のX軸方向両側の側面のY軸方向両端から外方に向けて突出した二対の三角柱形状の突出部である。センサ挿入部32がバスバーフレーム600のサーミスタ用開口部620に挿入される際に、この側方突出部36が、バスバーフレーム600の第二付勢部621の両側の空隙622内に挿入される。
上側係合部34は、サーミスタ50と係合する部位である。具体的には、上側係合部34は、蓄電素子100とでサーミスタ50を挟む位置に配置され、サーミスタ50と係合する。つまり、上側係合部34は、第一付勢部33の先端部分に形成された板状の部位であり、サーミスタ50の上面(サーミスタ突出部52aの上面)と係合し、蓄電素子100とでサーミスタ50を全体的に挟み込む。なお、上側係合部34は、第一係合部の一例である。
第一付勢部33は、サーミスタ50を蓄電素子100に向けて付勢する部位であり、上側係合部34に接続されて配置されている。具体的には、第一付勢部33は、一端が本体部31に接続され、他端が上側係合部34に接続された、本体部31から上側係合部34まで湾曲して延びる板状の部位である。つまり、第一付勢部33は、本体部31からセンサ挿入部32に向けて延び、かつ、上方(Z軸方向プラス側)へ向けて湾曲して延び、さらに、下方(Z軸方向マイナス側)へ向けて湾曲して延びる逆U字の形状を有している。この構成により、第一付勢部33は、弾性を有する部位となっている。つまり、第一付勢部33は、センサ挿入部32にサーミスタ50が挿入されて、サーミスタ50が上方へ移動した場合に、サーミスタ50を下方へ押し戻す付勢力を与える。
次に、保持部材30のサーミスタ取付部30bの構成について、詳細に説明する。図7A及び図7Bは、本発明の実施の形態に係る保持部材30のサーミスタ取付部30bの構成を拡大して示す拡大斜視図である。具体的には、図7Aは、図4に示されたサーミスタ取付部30bを上方から見た場合の拡大斜視図であり、図7Bは、当該サーミスタ取付部30bを下方から見た場合の拡大斜視図である。
これらの図に示すように、サーミスタ取付部30bは、上述のサーミスタ取付部30aのセンサ挿入部32が有する下側係合部35に代えて、側方係合部37を有している。なお、その他のサーミスタ取付部30bが有する構成については、サーミスタ取付部30aが有する構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
側方係合部37は、センサ挿入部32の側方に配置され、本体部31から下方に向けて突出した突出部であり、蓄電素子100とバスバーフレーム600との間に配置されて、スペーサ300と係合する。本実施の形態では、側方係合部37は、本体部31と一体化されて形成されているが、本体部31と別体で形成されていてもかまわない。
具体的には、側方係合部37は、本体部31の下面31bから下方(Z軸方向マイナス側)に向けて突出した一対の突出部である。また、側方係合部37は、先端部が、Y軸方向プラス側に突出した略三角柱形状の部位となっており、当該先端部の上面が略水平面となっている。これにより、側方係合部37は、当該上面がスペーサ300のスペーサ突出部310と係合する。この側方係合部37がスペーサ突出部310と係合する構成についての詳細な説明は、後述する。
次に、蓄電装置1を製造する際に、サーミスタ50(サーミスタ50a、50b)を蓄電素子100に対して取り付ける方法について、詳細に説明する。
図8は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1の製造方法を示すフローチャートである。具体的には、同図は、蓄電装置1の製造方法のうち、サーミスタ50を蓄電素子100に対して取り付ける方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、第一挿入工程として、サーミスタ50を、保持部材30のサーミスタ取付部30aの開口部32aに挿入する(S102)。この第一挿入工程について、以下に詳細に説明する。
図9は、本発明の実施の形態に係るサーミスタ50(サーミスタ50a)を保持部材30のサーミスタ取付部30aの開口部32aに挿入する第一挿入工程を示す斜視図である。具体的には、同図の(a)は、サーミスタ50をサーミスタ取付部30aの開口部32aに挿入する前の状態を示した斜視図であり、同図の(b)は、サーミスタ50をサーミスタ取付部30aの開口部32aに挿入した後の状態を示した斜視図である。
また、図10は、本発明の実施の形態に係るサーミスタ50(サーミスタ50a)を保持部材30のサーミスタ取付部30aの開口部32aに挿入する第一挿入工程を示す断面図である。具体的には、同図の(a)は、第一挿入工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みYZ平面に平行な面における断面図で示した図である。また、同図の(b)は、第一挿入工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みXZ平面に平行な面における断面図で示した図である。
これらの図に示すように、第一挿入工程においては、サーミスタ50を、保持部材30に対して交差する向きに配置して、保持部材30のサーミスタ取付部30aの上方から、センサ挿入部32の開口部32aに沿ってサーミスタ50のカバー部材52を挿入する。
具体的には、まず、センサ挿入部32の開口部32aにサーミスタ50のカバー部材52を挿入していくと、サーミスタ50の一対のサーミスタ突出部52aが、保持部材30の一対の上側係合部34の間に配置される。そして、さらに、サーミスタ50を押し込んで挿入していくと、一対の上側係合部34が離れるように保持部材30が弾性変形し、一対のサーミスタ突出部52aが下方へ移動していく。これにより、一対のサーミスタ突出部52aは、一対の上側係合部34とセンサ挿入部32との間に移動し、センサ挿入部32上に載置される。
図8に戻り、次に、第二挿入工程として、サーミスタ50及び保持部材30を、バスバーフレーム600のサーミスタ用開口部620に挿入する(S104)。この第二挿入工程について、以下に詳細に説明する。
図11は、本発明の実施の形態に係るサーミスタ50(サーミスタ50a)及び保持部材30を、バスバーフレーム600のサーミスタ用開口部620に挿入する第二挿入工程を示す断面図である。具体的には、同図の(a)は、第二挿入工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みYZ平面に平行な面における断面図で示した図である。また、同図の(b)は、第二挿入工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みXZ平面に平行な面における断面図で示した図である。
同図に示すように、第二挿入工程においては、サーミスタ50が保持部材30のサーミスタ取付部30aの開口部32aに挿入された状態で、サーミスタ50及び保持部材30を、バスバーフレーム600の上方から、バスバーフレーム600のサーミスタ用開口部620に沿って挿入する。
具体的には、サーミスタ用開口部620に、サーミスタ50のカバー部材52及び保持部材30のセンサ挿入部32を挿入していくと、センサ挿入部32の下側係合部35の下部が、バスバーフレーム600の第二付勢部621の上部に当接する。
図8に戻り、次に、第一係合工程として、保持部材30の上側係合部34を、サーミスタ50と係合させる(S106)。この第一係合工程について、以下に詳細に説明する。
図12は、本発明の実施の形態に係る保持部材30の上側係合部34を、サーミスタ50(サーミスタ50a)と係合させる第一係合工程を示す断面図である。具体的には、同図の(a)は、第一係合工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みYZ平面に平行な面における断面図で示した図である。また、同図の(b)は、第一係合工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みXZ平面に平行な面における断面図で示した図である。
同図に示すように、第一係合工程においては、サーミスタ50及び保持部材30を、バスバーフレーム600のサーミスタ用開口部620にさらに挿入することで、保持部材30の上側係合部34をサーミスタ50と係合させる。
具体的には、図11に示した状態から、サーミスタ50のカバー部材52及び保持部材30のセンサ挿入部32を、サーミスタ用開口部620に沿ってさらに挿入していく。これにより、センサ挿入部32は、下側係合部35が第二付勢部621と当接しているため、下側係合部35が第二付勢部621の先端部を押し下げるとともに、センサ挿入部32が保持部材30に対して持ち上がる。これにより、サーミスタ50の一対のサーミスタ突出部52aが、保持部材30の上側係合部34と係合する。
なお、サーミスタ用開口部620の内方には、第二付勢部621の下側係合部35との係合箇所(第二付勢部621の先端部)を挟む位置に、サーミスタ50が挿入される開口部に繋がる2つの空隙622が設けられている。このため、第二付勢部621の先端部は、下側係合部35によって容易に押し下げられる。
図8に戻り、次に、第二係合工程として、保持部材30の上側係合部34を、サーミスタ50と係合させる(S108)。この第二係合工程について、以下に詳細に説明する。
図13は、本発明の実施の形態に係る保持部材30の下側係合部35を、バスバーフレーム600と係合させる第二係合工程を示す断面図である。具体的には、同図の(a)は、第二係合工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みYZ平面に平行な面における断面図で示した図である。また、同図の(b)は、第二係合工程を、サーミスタ取付部30aの中心軸を含みXZ平面に平行な面における断面図で示した図である。
同図に示すように、第二係合工程においては、サーミスタ50及び保持部材30を、バスバーフレーム600のサーミスタ用開口部620にさらに挿入することで、保持部材30の下側係合部35を、バスバーフレーム600と係合させる。
具体的には、図12に示した状態から、サーミスタ50のカバー部材52及び保持部材30のセンサ挿入部32を、サーミスタ用開口部620に沿ってさらに挿入していく。これにより、センサ挿入部32の下側係合部35が、バスバーフレーム600の第二付勢部621の下方に入り込み、下側係合部35の上面と第二付勢部621の下面とが係合する。
つまり、バスバーフレーム600の下方には蓄電素子100が配置されているため、下側係合部35は、蓄電素子100とバスバーフレーム600との間に配置されて、バスバーフレーム600と係合する。これにより、保持部材30が上方へ移動しようとしても、バスバーフレーム600の第二付勢部621によって、保持部材30が蓄電素子100に向けて付勢されるため、保持部材30の上方への移動が抑制される。
また、このとき、サーミスタ50のサーミスタ突出部52aが、保持部材30の上側係合部34と係合した状態、かつ、保持部材30の第一付勢部33によって、蓄電素子100に向けて付勢された状態となっている。これにより、サーミスタ50のカバー部材52の底面部52bが、蓄電素子100の上面に押圧された状態となる。つまり、上側係合部34は、サーミスタ突出部52aの上面と係合し、蓄電素子100とでサーミスタ50を全体的に挟み込む。このようにして、サーミスタ50を蓄電素子100に対して取り付けることができる。
なお、上記では、サーミスタ50を蓄電素子100に対して取り付ける方法として、サーミスタ50aを例示して説明したが、サーミスタ50bの場合は、サーミスタ50aの場合と少し異なる。このため、サーミスタ50bを蓄電素子100に対して取り付ける方法について、以下に、サーミスタ50aの場合と異なる内容を中心に説明する。
図14は、本発明の実施の形態に係る保持部材30の側方係合部37を、スペーサ300のスペーサ突出部310と係合させる工程を示す断面図である。なお、本工程は、図8における第二係合工程に相当する。
つまり、サーミスタ50bにおいても、サーミスタ50aにおける第一挿入工程と同様に、サーミスタ50bを保持部材30のサーミスタ取付部30bの開口部32aに挿入する第一挿入工程を有している。また、サーミスタ50aにおける第二挿入工程と同様に、サーミスタ50b及び保持部材30を、バスバーフレーム600のサーミスタ用開口部630に挿入する第二挿入工程を有している。また、サーミスタ50aにおける第一係合工程と同様に、サーミスタ取付部30bの上側係合部34を、サーミスタ50bと係合させる第一係合工程を有している。
そして、サーミスタ50bの第二係合工程においては、図14に示すように、バスバーフレーム600の係合部用開口部640に、保持部材30の側方係合部37が挿入され、挿入された側方係合部37は、スペーサ300のスペーサ突出部310と係合する。具体的には、スペーサ突出部310は、蓄電素子100と保持部材30との間に配置され、下面が、側方係合部37の上面と係合する。これにより、保持部材30が上方へ移動しようとしても、スペーサ300のスペーサ突出部310によって、保持部材30の上方への移動が抑制される。
また、サーミスタ50aと同様に、保持部材30の上側係合部34を、蓄電素子100とでサーミスタ50bを挟む位置に配置して、サーミスタ50bと係合させるとともに、保持部材30の第一付勢部33によって、サーミスタ50bを蓄電素子100に向けて付勢する。このようにして、サーミスタ50bを蓄電素子100に対して取り付けることができる。
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1によれば、蓄電素子100に対向する第一部材としての保持部材30は、蓄電素子100とでサーミスタ50を挟む位置に配置され、サーミスタ50と係合する第一係合部としての上側係合部34と、上側係合部34に接続され、サーミスタ50を蓄電素子100に向けて付勢する第一付勢部33とを有している。この構成により、保持部材30が、蓄電素子100とでサーミスタ50を挟み込むようにしてサーミスタ50と係合し、かつ、サーミスタ50を蓄電素子100に向けて付勢するため、サーミスタ50を複雑な構造にすることなく、サーミスタ50を蓄電素子100に対して容易に取り付けることができる。
また、上側係合部34は、サーミスタ50の上面と係合するため、サーミスタ50を単純な形状にすることができる。
また、保持部材30は、サーミスタ50が挿入されるセンサ挿入部32を有しているため、センサ挿入部32にサーミスタ50を挿入するという簡単な作業により、容易にサーミスタ50を蓄電素子100に対して取り付けることができる。
また、サーミスタ50aにおいては、センサ挿入部32は、第二部材としてのバスバーフレーム600と蓄電素子100との間に、バスバーフレーム600と係合する第二係合部としての下側係合部35を有している。このため、下側係合部35がバスバーフレーム600と係合することによって、保持部材30が浮き上がるのを抑制することができる。特に、センサ挿入部32が下側係合部35を有しているため、下側係合部35がサーミスタ50の近傍に配置されることとなり、保持部材30がサーミスタ50によって浮き上がるのを効果的に抑制することができる。
また、下側係合部35はセンサ挿入部32の側方から突出した突出部であるため、容易にバスバーフレーム600と係合させることができる。
また、バスバーフレーム600が有する第二付勢部621によって、下側係合部35を蓄電素子100に向けて付勢することで、保持部材30が浮き上がるのを抑制することができる。
また、バスバーフレーム600は、下側係合部35との係合箇所を挟む位置に2つの空隙622を有しているため、保持部材30をバスバーフレーム600に取り付ける際に、バスバーフレーム600の当該係合箇所を弾性変形させて、下側係合部35と係合させることができる。
また、サーミスタ50bにおいては、センサ挿入部32は、第二部材としてのスペーサ突出部310と蓄電素子100との間に、スペーサ突出部310と係合する第二係合部としての側方係合部37を有している。このため、側方係合部37がスペーサ突出部310と係合することによって、保持部材30が浮き上がるのを抑制することができる。
また、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1の製造方法によれば、蓄電素子100に対向する保持部材30の上側係合部34を、蓄電素子100とでサーミスタ50を挟む位置に配置してサーミスタ50と係合させるとともに、保持部材30の第一付勢部33によって、サーミスタ50を蓄電素子100に向けて付勢する。これにより、保持部材30が、蓄電素子100とでサーミスタ50を挟み込むようにしてサーミスタ50と係合し、かつ、サーミスタ50を蓄電素子100に向けて付勢するため、サーミスタ50を複雑な構造にすることなく、サーミスタ50を蓄電素子100に対して容易に取り付けることができる。
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。上記実施の形態では、サーミスタ50(サーミスタ50a、50b)は、角柱形状のカバー部材52を有していることとした。しかし、本変形例では、サーミスタは、円柱形状のカバー部材を有している。
図15Aは、本発明の実施の形態の変形例1に係るサーミスタ50c及び保持部材30のサーミスタ取付部30cの構成を示す斜視図であり、上記実施の形態における図9の(a)に対応する図である。また、図15Bは、本発明の実施の形態の変形例1に係る保持部材30のサーミスタ取付部30cを下方から見た場合の拡大斜視図であり、上記実施の形態における図6Bに対応する図である。
これらの図に示すように、サーミスタ50cは、上記実施の形態におけるサーミスタ50のカバー部材52に代えて、円柱形状のカバー部材54を有している。カバー部材54は、上記実施の形態におけるサーミスタ突出部52aに代えて、円盤形状のサーミスタ突出部54aを有している。また、保持部材30のサーミスタ取付部30cは、上記実施の形態におけるサーミスタ取付部30aのセンサ挿入部32に代えて、サーミスタ50cが挿入されるセンサ挿入部38を有している。つまり、センサ挿入部38には、上記実施の形態における開口部32aに代えて、カバー部材54が挿入される円形状の開口部38aが形成されている。なお、その他の構成については、上記実施の形態におけるサーミスタ50と同様のため、説明は省略する。
以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電装置においても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。上記実施の形態では、保持部材30は、一対の第一付勢部33及び一対の上側係合部34を有していることとした。しかし、本変形例では、保持部材30は、1つの第一付勢部及び1つの上側係合部しか有していない。
図16は、本発明の実施の形態の変形例2に係る保持部材30のサーミスタ取付部30dの構成を示す断面図であり、上記実施の形態における図13の(a)に対応する図である。
同図に示すように、保持部材30のサーミスタ取付部30dは、上記実施の形態における保持部材30のサーミスタ取付部30a、30bの一対の第一付勢部33及び一対の上側係合部34に代えて、1つの第一付勢部33a及び1つの上側係合部34aを有している。ここで、上側係合部34aは、サーミスタ50の上面の中央部分に係合しているが、上側係合部34aがサーミスタ50に係合する位置は、特に限定されない。なお、その他の構成については、上記実施の形態における保持部材30と同様のため、説明は省略する。
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電装置においても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電装置は、センサとしてサーミスタを備えており、サーミスタは蓄電素子100に対して取り付けられることとした。しかし、蓄電装置は、白金測温抵抗体などのサーミスタ以外の温度センサ、または、電圧や電流を検出するセンサなど温度センサ以外のセンサを備えており、当該センサがサーミスタと同じ構成及び方法によって蓄電素子100に対して取り付けられることにしてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、サーミスタは、蓄電素子100の上面に当接して配置されることにした。しかし、サーミスタは、蓄電素子100の温度を計測できる箇所であれは、どのような箇所に配置されてもよく、例えば、サーミスタは、蓄電素子100の電極端子(正極端子120または負極端子130)に接続されたバスバーに当接して配置されることにしてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、保持部材30は、図6A、図7A、図16などで説明したような構成の第一付勢部を有していることとした。しかし、第一付勢部の構成は、サーミスタを蓄電素子100に向けて付勢する構成であれば、特に限定されない。例えば、第一付勢部は、スプリング(バネ)や板バネのような弾性部材によって構成されていてもよいし、ゴムのような弾性を有する材質によって形成されていてもよい。バスバーフレーム600の第二付勢部621についても、同様である。
また、上記実施の形態及びその変形例では、保持部材30の上側係合部34は、サーミスタの上面と係合することとした。しかし、上側係合部34は、サーミスタの側面など、上面以外の部分と係合することにしてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、保持部材30は、センサ挿入部を有していることとした。しかし、保持部材30は、第一係合部(上側係合部)と第一付勢部とを有していればよく、センサ挿入部を有していない構成でもかまわない。また、第二部材(スペーサ300、バスバーフレーム600)が設けられていない構成でもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、第一部材としてバスバー41、42やサーミスタ等を保持する保持部材30を例示した。しかし、第一部材は、保持部材30には限定されず、蓄電素子100に対向して配置されている部材であればよい。つまり、第一部材は、保持部材30のようなバスバー41、42やサーミスタ等を保持する機能を有さない部材であってもよいし、バスバー41、42やサーミスタ等以外の部材を保持する機能を有する部材であってもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、第二部材としてスペーサ300及びバスバーフレーム600を例示した。しかし、第二部材は、蓄電素子100と第一部材との間に配置されて、第一部材と係合する構成を有する部材であれば、どのような部材であってもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電装置の製造方法において、サーミスタ50を保持部材30に取り付けてから、サーミスタ50及び保持部材30を蓄電素子100に対して取り付けることとした。しかし、保持部材30を蓄電素子100に対して取り付けてから、サーミスタ50を保持部材30に取り付けることにしてもよい。
また、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える保持部材30及びバスバーフレーム600としても実現することができる。