以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の実施形態を説明する。各実施形態において先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る流路切替装置1の概略構成について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、第1実施形態に係る流路切替装置1は、流体回路としての熱媒体回路50の一部を構成しており、後述するように、熱媒体回路50における流路構成を切り替える。
第1実施形態に係る熱媒体回路50は、走行用の駆動力をモータジェネレータから得る電気自動車に搭載されている。熱媒体回路50は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行うと共に、温度調整対象である車載機器(例えば、発熱機器54)の温度調整を行う際に利用される。つまり、第1実施形態に係る熱媒体回路50は、電気自動車において、車載機器の温度調整機能付きの車両用空調装置の一部を構成している。
第1実施形態における熱媒体回路50では、作動時に発熱する発熱機器54を温度調整の対象としている。発熱機器54には、複数の構成機器が含まれている。発熱機器54の構成機器としては、具体的に、モータジェネレータ、電力制御ユニット(所謂、PCU)、先進運転支援システム(所謂、ADAS)用の制御装置等を挙げることができる。
モータジェネレータは、電力を供給されることによって走行用の駆動力を出力し、車両の減速時等には回生電力を発生させる。PCUは、各車載機器へ供給される電力を適切に制御するために変圧器、周波数変換器等を一体化させたものである。
図1に示すように、第1実施形態に係る流路切替装置1には、熱媒体回路50の構成機器が接続されている。具体的には、流路切替装置1には、熱媒体配管を介して、ヒータコア51、水-冷媒熱交換器52、加熱装置53、発熱機器54、ラジエータ55、第1水ポンプ56a、第2水ポンプ56bが接続されている。
そして、流路切替装置1は、図2に示すように、第1層側蓋部材20と、本体部材5と、第2層側蓋部材25と、駆動部30を有している。流路切替装置1において、第1層側蓋部材20、本体部材5、第2層側蓋部材25、駆動部30の順番で、積層方向Lに従って積層配置されている。
図1、図2に示すように、第1実施形態に係る流路切替装置1において、本体部材5は、合成樹脂によって直方体を為すブロック状に形成されている。そして、本体部材5の一面(図2中の上面)側には、一面側が開放された溝状の第1層側流路11が形成されている。
第1層側流路11は、図2、図7等に示すように、本体部材5の一面に対して第1層側蓋部材20を接合することで、熱媒体回路50の熱媒体が流通する管路として機能する。従って、本体部材5における一面側を構成する部分は、第1層側流路形成部10を構成する。
そして、本体部材5の一面の裏側に位置する他面(図2中の下面)側には、他面側が開放された溝状の第2層側流路16が形成されている。第2層側流路16は、図2、図7に示すように、本体部材5の他面に対して第2層側蓋部材25等を接合することで、熱媒体回路50の熱媒体が流通する熱媒体通路として機能する。従って、本体部材5における他面側を構成する部分は、第2層側流路形成部15を構成する。
又、第2層側流路16の内部には、複数の弁体部73が配置されている。第1実施形態においては、後述する第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bの弁体部73が第2層側流路16の内部に配置されている。各弁体部73は、第1層側流路11及び第2層側流路16における熱媒体の流れを切り替え、熱媒体回路50の流路構成を変更する。
尚、本体部材5には、一面側と他面側を貫通するように形成された連通部が予め定められた複数の箇所に形成されている。この連通部は、第1層側流路11と第2層側流路16の間を熱媒体の流通可能に接続しており、後述する第1連通部40a、第2連通部40b等を含んでいる。
図2に示すように、本体部材5の側面には、熱媒体回路50の熱媒体配管が接続される複数の接続口が形成されている。第1実施形態に係る流路切替装置1は、第1接続口35a~第10接続口35jを有しており、熱媒体配管を介して、熱媒体回路50の構成機器が接続される。
図2に示すように、第1層側蓋部材20は、合成樹脂製の板状部材であり、本体部材5の一面側と同じサイズに形成されている。第1層側蓋部材20は、本体部材5の一面(図2における本体部材5の上面)に対して、振動溶着やレーザー溶着等によって接合されて密閉される。これにより、溝状の第1層側流路11における開放部分が第1層側蓋部材20によって閉塞される為、第1層側流路11は、熱媒体が流通する管路として機能する。
そして、第2層側蓋部材25は、第1層側蓋部材20と同様に、合成樹脂製の板状部材である。第2層側蓋部材25は、本体部材5の他面(図2における本体部材5の下面)に対して、振動溶着やレーザー溶着等によって接合されて密閉される。これにより、溝状の第2層側流路16における開放部分が第2層側蓋部材25によって閉塞される為、第2層側流路16は、熱媒体が流通する管路として機能する。
又、図2等に示すように、駆動部30は、ブロック状の本体部材5の他面側において、第2層側蓋部材25を介して配置されている。駆動部30は、電磁モータ32と、伝達機構33と、駆動制御部34をケーシング31の内部に収容して構成されている。ケーシング31は、電磁モータ32、伝達機構33、駆動制御部34を、塵や水から保護する役割を果たす。
電磁モータ32は、電力供給によって駆動する駆動軸32aを有しており、各弁体部73の駆動源として機能する。駆動部30におけるケーシング31の内部において、電磁モータ32は、予め定められた位置となるように第2層側蓋部材25に対して取り付けられている。
そして、伝達機構33は、ギヤ33aを含むリンク機構であり、電磁モータ32で生じた駆動力を各弁体部73に伝達可能に構成されている。ギヤ33aは、弁体部73の回転軸74aの端部に配置されている。従って、ギヤ33aに対して電磁モータ32の駆動力が伝達されて回転することで、弁体部73を回転軸74a周りに回転させることができる。
又、伝達機構33は、リンク機構によって構成されている為、各弁体部73に対する駆動力の伝達態様を適宜切り替えることができる。例えば、伝達機構33は、2つの弁体部73を連動させて作動させるように、駆動力を伝達することができる。又、伝達機構33は、2つの弁体部73の内、何れか一方に駆動力を伝達することも可能である。
そして、伝達機構33の各構成部品は、駆動部30におけるケーシング31の内部において、それぞれに予め定められた位置となるように第2層側蓋部材25に対して取り付けられている。
駆動制御部34は、流路切替装置1の動作を制御する為の電子制御ユニットである。具体的には、駆動制御部34は、マイクロコントローラを有しており、図示しない制御装置からの制御信号に従って、電磁モータ32及び伝達機構33の作動を制御する。
次に、第1実施形態における第1層側流路11及び第2層側流路16の構成について、図3~図5を参照しつつ説明する。上述したように、熱媒体回路50は、熱媒体としての冷却水を循環させる熱媒体循環回路である。第1実施形態では、車室内の空調及び車載機器の冷却を行う為に、後述するように熱媒体回路50の流路構成を切り替えている。熱媒体回路50を循環する熱媒体として、非圧縮性流体であるエチレングリコール水溶液が採用されている。
図1等に示すように、第1接続口35aには、熱媒体配管を介して、第1水ポンプ56aの吸入口が接続されている。ここで、第1接続口35aは、図4に示すように、第1層側流路11の一端部を構成している。
第1水ポンプ56aは、図示しない制御装置から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。第1水ポンプ56aの吐出口は、熱媒体配管を介して、水-冷媒熱交換器52における熱媒体通路52bの熱媒体入口に接続されている。従って、第1水ポンプ56aは、熱媒体を水-冷媒熱交換器52の熱媒体通路52bへ向けて圧送する。
水-冷媒熱交換器52は、熱媒体回路50の構成機器であると同時に、冷凍サイクル90の構成機器の1つである。水-冷媒熱交換器52は、冷凍サイクル90の冷媒を流通させる冷媒通路52aと、熱媒体回路50の熱媒体を流通させる熱媒体通路52bを有している。
水-冷媒熱交換器52は、伝熱性に優れる同種の金属(第1実施形態では、アルミニウム合金)で形成されており、各構成部材は、ロウ付け接合によって一体化されている。これにより、冷媒通路52aを流通する冷媒と熱媒体通路52bを流通する熱媒体は、互いに熱交換することができる。
尚、水-冷媒熱交換器52は、冷凍サイクル90のサイクル構成を変更することによって、放熱器(いわゆる、水冷コンデンサ)として機能する場合と、吸熱器(いわゆる、チラー)として機能する場合とに切り替えられる。
例えば、冷凍サイクル90のサイクル構成を切り替えて、冷凍サイクル90の高圧冷媒が冷媒通路52aを流通する場合には、高圧冷媒の熱を熱媒体通路52bの熱媒体へ放熱させる放熱器として機能する。この場合、水-冷媒熱交換器52は、高圧冷媒の熱で熱媒体を加熱することができる。
一方、冷凍サイクル90の低圧冷媒が冷媒通路52aを流通するように、サイクル構成を切り替えた場合には、熱媒体通路52bを流通する熱媒体の熱を低圧冷媒に吸熱させる吸熱器として機能する。この場合、水-冷媒熱交換器52は、低圧冷媒を冷熱源として、熱媒体を冷却することができる。
そして、水-冷媒熱交換器52の熱媒体出口側には、熱媒体配管を介して、第2接続口35bが接続されている。第2接続口35bは、図4に示すように、第1層側流路11の一端部を構成している。
第1層側流路11の一端部を構成する第3接続口35cには、加熱装置53が接続されている。加熱装置53は、加熱用通路及び発熱部を有しており、図示しない制御装置から供給される電力によって、ヒータコア51へ流入する熱媒体を加熱する。加熱装置53の発熱量は、制御装置からの電力を制御することで任意に調整することができる。
加熱装置53の加熱用通路は、熱媒体を流通させる通路である。発熱部は、電力を供給されることによって、加熱用通路を流通する熱媒体を加熱する。発熱部としては、具体的に、PTC素子やニクロム線を採用することができる。
加熱装置53における加熱用通路の出口側には、熱媒体配管を介して、ヒータコア51の熱媒体入口側が接続されている。ヒータコア51は、図示しない室内送風機から送風された送風空気と熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。
ヒータコア51は、水-冷媒熱交換器52や加熱装置53等によって加熱された熱媒体の有する熱を熱源として送風空気を加熱することができる。ヒータコア51は、電気自動車に搭載された室内空調ユニットのケーシング内において、冷凍サイクル90を構成する室内蒸発器の下流側に配置されている。ヒータコア51の熱媒体出口側には、熱媒体配管を介して、第4接続口35dが接続されている。第4接続口35dは、第2層側流路16の一端部を構成する。
図4に示すように、第5接続口35eは、第1層側流路11の一端部を構成している。第5接続口35eには、熱媒体配管を介して、発熱機器54の熱媒体通路54aが接続されている。発熱機器54の熱媒体通路54aは、発熱機器54の外殻を形成するハウジング部或いはケースの内部等に形成されている。
発熱機器54の熱媒体通路54aは、熱媒体を流通させることで発熱機器54の温度を調整する為の熱媒体通路である。換言すると、発熱機器54の熱媒体通路54aは、熱媒体回路50を循環する熱媒体との熱交換によって、発熱機器54の温度調整を行う温度調整部として機能する。
発熱機器54における熱媒体通路54aの他端側には、熱媒体配管を介して、第6接続口35fが接続されている。第6接続口35fは、第1層側流路11の一端部を構成している。
図4に示すように、第7接続口35gは、第1層側流路11の一端部を構成している。第7接続口35gには、熱媒体配管を介して、第2水ポンプ56bの吸入口が接続されている。第2水ポンプ56bは、熱媒体回路50を循環させる為に熱媒体を圧送する電動ポンプである。第2水ポンプ56bの基本的構成は、第1水ポンプ56aと同様である。第2水ポンプ56bの吐出口側には、熱媒体配管を介して、第8接続口35hが接続されている。第8接続口35hは、第1層側流路11の一端部を構成している。
そして、第9接続口35iには、熱媒体配管を介して、ラジエータ55の熱媒体流入出口の一方側が接続されている。第9接続口35iは、第2層側流路16の一端部である。ラジエータ55は、内部を流通する熱媒体と外気とを熱交換させる熱交換器である。従って、ラジエータ55は、内部を通過する熱媒体の熱を外気に放熱する。
ラジエータ55は、駆動装置室内の前方側に配置されている。この為、ラジエータ55を、室外熱交換器と一体的に構成することも可能である。ラジエータ55の熱媒体流入出口の他方側には、熱媒体配管を介して、第10接続口35jが接続されている。第10接続口35jは、第1層側流路11の一端部を構成する。
図3、図4に示すように、第2接続口35bから伸びる第1層側流路11は、第3接続口35cから伸びる第1層側流路11及び第1熱媒体逆止弁60aの流出口から伸びる第1層側流路11と接続され、第1接続部80aを構成している。
そして、図3、図5に示すように、第4接続口35dから伸びる第2層側流路16は、第1熱媒体三方弁70aの流入口側が接続されている。第1熱媒体三方弁70aは、ヒータコア51から流出した熱媒体のうち、流出口の一方側から流出させる熱媒体流量と、流出口の他方側から流出させる熱媒体流量との流量比を調整可能な三方式の流量調整弁である。第1熱媒体三方弁70aは、図示しない制御装置によって駆動部30を制御することでその作動が制御される。
更に、第1熱媒体三方弁70aは、ヒータコア51から流出した熱媒体の全流量を、二つの流出口の何れか一方へ流出させることができる。これにより、第1熱媒体三方弁70aは、熱媒体回路50の流路構成を切り替えることができる。
第1熱媒体三方弁70aの流入口から流入した熱媒体は、第1熱媒体三方弁70a内部を流出口へ向かう過程で、連通路を通過して、第2層側流路16から第1層側流路11へ流出する。
第1熱媒体三方弁70aの流出口の一方側から伸びる第1層側流路11は、他の3つの第1層側流路11に接続され、第2接続部80bを構成する。図3に示すように、第2接続部80bは、第1熱媒体三方弁70aの流出口の一方側の第1層側流路11、第1熱媒体逆止弁60aの流入口側の第1層側流路11、第3熱媒体逆止弁60cの流出口側の第1層側流路11及び第1接続口35a側の第1層側流路11にて構成される。
図3、図4に示すように、第1熱媒体逆止弁60aは、熱媒体が第2接続部80b側から第1接続部80a側へ流れることを許容し、第1接続部80a側から第2接続部80b側へ流れることを禁止する。
そして、第1熱媒体三方弁70aの流出口の他方側から伸びる第1層側流路11は、第5接続口35eから伸びる第1層側流路11及び第1連通部40aが形成された第1層側流路11に接続され、第4接続部80dを構成する。
ここで、第1連通部40aは、ブロック状の本体部材5を積層方向Lに貫通するように形成されており、第1層側流路11と第2層側流路16とを連通している。従って、第1連通部40aを介して、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、熱媒体が流通する。
図3、図5に示すように、第1連通部40aを通過した熱媒体は、第2層側流路16を介して、第2熱媒体三方弁70bの流入口に到達する。第2熱媒体三方弁70bは、第4接続部80dから流入する熱媒体の内、流出口の一方側から流出させる熱媒体流量と、流出口の他方側から流出させる熱媒体流量との流量比を調整可能な三方式の流量調整弁である。第2熱媒体三方弁70bの基本的構成は、第1熱媒体三方弁70aと同様である。
第2熱媒体三方弁70bの流入口から流入した熱媒体は、第2熱媒体三方弁70b内部を流出口へ向かう過程で、連通路を通過して、第2層側流路16から第1層側流路11へ流出する。
第2熱媒体三方弁70bの流出口の一方側から伸びる第1層側流路11の端部には、第2連通部40bが形成されている。従って、第2熱媒体三方弁70bの流出口の一方から流出した熱媒体は、第2連通部40bを介して、第1層側流路11から第2層側流路16へ流出する。図5に示すように、第2連通部40bから伸びる第2層側流路16には、第9接続口35iが形成されている。
そして、第2熱媒体三方弁70bの流出口の他方側から伸びる第1層側流路11は、第7接続口35gから伸びる第1層側流路11及び第10接続口35jから伸びる第1層側流路11に接続され、第3接続部80cを構成する。
図3、図4に示すように、第8接続口35hから伸びる第1層側流路11は、第2熱媒体逆止弁60bの流入口側が接続されている。又、第6接続口35fから伸びる第1層側流路11は、第2熱媒体逆止弁60bの流出口から伸びる第1層側流路11及び第3熱媒体逆止弁60cの流入口から伸びる第1層側流路11に接続され、第5接続部80eを構成する。
そして、第2熱媒体逆止弁60bは、熱媒体が第8接続口35h側から第5接続部80eへ流れることを許容し、第5接続部80e側から第8接続口35h側へ流れることを禁止する。又、第3熱媒体逆止弁60cは、熱媒体が第5接続部80e側から第2接続部80b側へ流れることを許容し、第2接続部80b側から第5接続部80e側へ流れることを禁止する。
尚、第1熱媒体三方弁70a、第2熱媒体三方弁70b、第1熱媒体逆止弁60a、第2熱媒体逆止弁60b及び第3熱媒体逆止弁60cの具体的な構成については、後に図面を参照しつつ説明する。
第1実施形態に係る流路切替装置1によれば、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bの動作を制御することで、熱媒体回路50の流路構成を様々な態様に切り替えることができる。
例えば、流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a→水-冷媒熱交換器52→加熱装置53→ヒータコア51→第1熱媒体三方弁70a→発熱機器54→第3熱媒体逆止弁60c→第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。
この流路構成の熱媒体回路50によれば、発熱機器54の廃熱で加熱された熱媒体をヒータコア51に流入させることができるので、発熱機器54の廃熱を利用した車室内の暖房を実現することができる。
又、流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a→水-冷媒熱交換器52→加熱装置53→ヒータコア51→第1熱媒体三方弁70a→発熱機器54→第3熱媒体逆止弁60c→第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。同時に、第2水ポンプ56b→第2熱媒体逆止弁60b→第3熱媒体逆止弁60c→第1水ポンプ56a→水-冷媒熱交換器52→加熱装置53→ヒータコア51→第1熱媒体三方弁70a→第2熱媒体三方弁70b→ラジエータ55→第2水ポンプ56bの順で熱媒体を循環させる。
これにより、発熱機器54を経由する熱媒体の流れに対して、ヒータコア51を経由する熱媒体の循環経路と、ラジエータ55を経由する熱媒体の循環経路を並列に構成することができる。従って、この流路構成の熱媒体回路50によれば、発熱機器54の廃熱を利用した車室内暖房を行いつつ、余剰熱を外気に放熱させることができる。
更に、流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a→水-冷媒熱交換器52→加熱装置53→ヒータコア51→第1熱媒体三方弁70a→第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。同時に、第2水ポンプ56b→第2熱媒体逆止弁60b→発熱機器54→第2熱媒体三方弁70b→ラジエータ55→第2水ポンプ56bの順で熱媒体を循環させる。
この構成の熱媒体回路50によれば、水-冷媒熱交換器52及びヒータコア51を経由する熱媒体の循環経路と、発熱機器54及びラジエータ55を循環する熱媒体の循環経路を独立して形成することができる。この結果、熱媒体回路50は、冷凍サイクル90による車室内暖房を行いつつ、外気放熱によって発熱機器54を冷却することができる。
次に、流路切替装置1における第2層側蓋部材25等について、図面を参照して説明する。上述したように、本体部材5の他面側には、第2層側蓋部材25が取り付けられている。図6に示すように、第2層側蓋部材25は、第2層側流路16のうち、第1熱媒体三方弁70aを含む第2層側流路16及び、第2熱媒体三方弁70bを含む第2層側流路16を密閉するように取り付けられている。
又、本体部材の他面側には、固定蓋28が取り付けられている。固定蓋28は、第2層側流路16のうち、第9接続口35iに接続された第2層側流路16を密閉するように取り付けられている。
本体部材5の他面側には、第2層側蓋部材25と固定蓋28が取り付けられている為、流路切替装置1における流路の漏れ検査を行う際に、固定蓋28を接合させたまま、第2層側蓋部材25を取り外すことも可能となる。これにより、漏れ検査の作業負担を軽減することができる。
図6に示すように、第2層側蓋部材25には、複数の貫通孔26が第2層側蓋部材25を厚み方向に貫通するように形成されている。複数の貫通孔26は、第2層側流路16における第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bに対して、積層方向Lに並ぶように形成されている。
各貫通孔26は、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bにおける弁体部73の回転軸74aによって、それぞれ貫通される。これにより、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bの回転軸74aの端部が、駆動部30の内部に到達する為、各弁体部73に対して、電磁モータ32で生じた駆動力を伝達することができる。
そして、図6に示すように、第2層側蓋部材25には、複数の位置決めピン27が形成されている。各位置決めピン27は、本体部材5の他面に向かって突出するように形成されている。
一方、本体部材5の他面には、複数の位置決め凹部17が形成されている。各位置決め凹部17は、本体部材5の他面を積層方向Lへ窪ませたものであり、第2層側蓋部材25における位置決めピン27の位置に対応して配置されている。
本体部材5の他面に対して第2層側蓋部材25を取り付ける際に、各位置決めピン27は、それぞれ位置決め凹部17と嵌合する。この位置決め凹部17と位置決めピン27の嵌合によって、第2層側蓋部材25は、本体部材5の他面における予め定められた位置に位置決めされる。即ち、位置決め凹部17及び位置決めピン27は位置決め部として機能する。
ここで、第2層側蓋部材25には、上述したように複数の貫通孔26が形成されており、弁体部73の回転軸74aによって貫通される。この為、本体部材5の他面に対する第2層側蓋部材25の位置がずれてしまうと、回転軸74aが貫通孔26と干渉して、弁体部73の動作を妨げてしまうことが考えられる。
この点、位置決め凹部17及び位置決めピン27の協働によって、本体部材5と第2層側蓋部材25が適切な位置関係で接合することができる為、貫通孔26が回転軸74aと干渉することはなく、弁体部73の円滑な動作を担保することができる。
続いて、流路切替装置1における第1熱媒体逆止弁60a等の構成及び取付について、図7、図8を参照して説明する。上述したように、第1実施形態に係る流路切替装置1では、第1熱媒体逆止弁60a、第2熱媒体逆止弁60b及び第3熱媒体逆止弁60cが取り付けられている。以下の説明では、特に必要のない場合には、第1熱媒体逆止弁60a~第3熱媒体逆止弁60cの総称として、熱媒体逆止弁60と呼ぶ場合がある。
図3に示すように、第1熱媒体逆止弁60a、第2熱媒体逆止弁60b及び第3熱媒体逆止弁60cは、第2接続口35bから第8接続口35hを接続するように直線状に伸びる第1層側流路11に配置されている。
即ち、第1熱媒体逆止弁60a、第2熱媒体逆止弁60b及び第3熱媒体逆止弁60cは、同一直線状の第1層側流路11内に形成された複数の流路抵抗部12を利用して、予め定められた位置にそれぞれ取り付けられている。従って、流路抵抗部12は、第1熱媒体逆止弁60a等の機能部品を、第1層側流路11内に保持している。
ここで、第1熱媒体逆止弁60a等を含む熱媒体逆止弁60の構成について、図7を参照して説明する。図7、図8に示すように、熱媒体逆止弁60は、円筒形状の弁体ケース61の内部に、球状弁体62を収容して構成されている。円筒形状の弁体ケース61の内部は、熱媒体が通過する管路を構成している。
そして、弁体ケース61の熱媒体入口側には、流路穴61aが形成されている。図6に示すように、流路穴61aは、弁体ケース61の熱媒体出口の内径及び球状弁体62の外径よりも小径に形成されている。流路穴61aは、熱媒体が熱媒体出口側から流入した場合に、球状弁体62が着座する弁座を構成する。
弁体ケース61の熱媒体出口側には、規制ピン63が配置されている。規制ピン63は、棒状に形成されており、弁体ケース61における熱媒体流れ方向に交差するように配置されている。規制ピン63は、球状弁体62と当接することで、弁体ケース61内部における球状弁体62の移動範囲を規制する。
このように構成された第1熱媒体逆止弁60a等の熱媒体逆止弁60は、第1層側流路11に形成された流路抵抗部12によって、第1層側流路11内に取り付けられる。図7、図8に示すように、流路抵抗部12は、溝状に形成された第1層側流路11を横断するように壁状に形成されており、保持穴12aを有している。
保持穴12aは、流路抵抗部12を厚み方向に貫通して形成されている。即ち、流路抵抗部12は、第1層側流路11の流路断面積を縮小するように変化させたことで、第1層側流路11を流れる熱媒体の流路抵抗を増大させている。
そして、保持穴12aの内径は、弁体ケース61の外径よりもやや大きく形成されている。従って、図8に示すように、熱媒体逆止弁60は、第1層側流路11の伸びる方向に沿って移動させることで、流路抵抗部12の保持穴12aに取り付けられる。従って、流路抵抗部12は、機能部品としての熱媒体逆止弁60を保持している。
図7に示すように、弁体ケース61の外周面と保持穴12aの内壁面の間には、シール部材64が配置されている。シール部材64は、いわゆるOリングによって構成されており、弁体ケース61の外周面と保持穴12aの内壁面の間における熱媒体の漏れを防止している。
このように構成された熱媒体逆止弁60を流路抵抗部12に対して取り付けることで、流路切替装置1における第1熱媒体逆止弁60a~第3熱媒体逆止弁60cとして機能させている。
図7に示す例によれば、第8接続口35h側から第2接続口35b側へ向かって熱媒体が流れる場合、各熱媒体逆止弁60における弁体ケース61の内部において、球状弁体62が熱媒体の流れに従って、熱媒体出口側へ移動する。
これにより、熱媒体逆止弁60における流路穴61aが開放され、第8接続口35h側から第2接続口35b側へ向かう熱媒体の流れが許容される。この時、球状弁体62は、規制ピン63と当接して熱媒体出口側への移動が制限される為、弁体ケース61から外部へ流出することはない。
一方、第2接続口35b側から第8接続口35h側へ向かって熱媒体が流れる場合、各熱媒体逆止弁60における弁体ケース61の内部において、球状弁体62が熱媒体の流れに従って、熱媒体入口側へ移動して、流路穴61aに対して着座する。これにより、熱媒体逆止弁60の流路穴61aが球状弁体62によって閉塞され、第2接続口35b側から第8接続口35h側へ向かう熱媒体の流れが禁止される。
図8に示すように、流路抵抗部12には、接合面12bが形成される。流路抵抗部12の接合面12bは、第1層側流路11を横断するように、本体部材5の一面側の表面を接続して構成される。そして、図7に示すように、本体部材5の一面側に第1層側蓋部材20を取り付けた場合に、接合面12bは第1層側蓋部材20の表面に当接する。
この為、流路切替装置1によれば、本体部材5に対して第1層側蓋部材20をレーザー溶着等で接合する場合に、流路抵抗部12の接合面12bを介して接合できる。これにより、流路切替装置1では、複数の接合面12bを利用することで、本体部材5に対する第1層側蓋部材20の接合強度を向上させることができる。
又、接合面12bは本体部材5の一面側の表面を接続して形成されている為、レーザー溶着等を採用した場合に、焦点距離等の設定変更を最小限にとどめることができ、連続的な接合作業を行うことができる。
次に、流路切替装置1における第1熱媒体三方弁70a等の構成について、図面を参照して説明する。上述したように、第1実施形態に係る流路切替装置1では、第1熱媒体三方弁70aと、第2熱媒体三方弁70bが取り付けられている。
以下の説明では、特に必要のない場合には、第1熱媒体三方弁70a、第2熱媒体三方弁70bの総称として、熱媒体三方弁70と呼ぶ場合がある。又、図9に示す図は、熱媒体三方弁70の基本的な構成を示す為の説明図であり、第1熱媒体三方弁70a、第2熱媒体三方弁70bの具体的構成とは相違している。
図10に示すように、熱媒体三方弁70は、熱媒体流入口72から流入する熱媒体の内、第1熱媒体流出口76から流出させる熱媒体流量と、第2熱媒体流出口77から流出させる熱媒体流量との流量比を調整可能な三方式の流量調整弁である。
第1熱媒体三方弁70aにおいては、第4接続口35dから伸びる第2層側流路16が熱媒体流入口72に相当している。そして、第2接続部80bへ伸びる第1層側流路11及び第4接続部80dへ伸びる第1層側流路11は、第1熱媒体流出口76及び第2熱媒体流出口77に相当している。
そして、第2熱媒体三方弁70bの場合、第1連通部40aから伸びる第2層側流路16が熱媒体流入口72に相当している。そして、第2連通部40bへ伸びる第1層側流路11及び第3接続部80cへ伸びる第1層側流路11は、第1熱媒体流出口76及び第2熱媒体流出口77に相当している。
図9、図10に示すように、熱媒体三方弁70は、積層方向Lへ伸びる管状に形成されている。従って、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bにおいては、第2層側流路16と第1層側流路11とを積層方向Lに連通する連通路が本体部71に相当する。
そして、本体部71の内部には、弁体部73が配置されている。弁体部73は、駆動ディスク74と、固定ディスク75によって構成されている。固定ディスク75は、本体部71を積層方向Lに分断するように配置されており、第1連通路75a及び第2連通路75bを有している。
第1連通路75aは、固定ディスク75をその厚み方向に貫通しており、熱媒体流入口72側の空間と第1熱媒体流出口76側の空間とを連通している。第2連通路75bは、第1連通路75aに隣接する位置で、固定ディスク75をその厚み方向に貫通している。第2連通路75bは、熱媒体流入口72側の空間と第2熱媒体流出口77側の空間と連通している。
尚、本体部71の内部において、第1熱媒体流出口76側の空間と第2熱媒体流出口77側の空間は区画されている。従って、第1連通路75a及び第2連通路75bを介することなく、第1熱媒体流出口76側の空間と第2熱媒体流出口77側の空間の間で熱媒体の流出入が起こることはない。
駆動ディスク74は、固定ディスク75における熱媒体流入口72側の表面に沿って配置されており、略扇形状の板状に形成されている。駆動ディスク74は、少なくとも第1連通路75a及び第2連通路75bの何れか一方を閉塞可能なサイズに形成されている。そして、駆動ディスク74は、弁体部73を構成する回転軸74aに固定されている。
従って、駆動ディスク74は、回転軸74aの回転に伴って、固定ディスク75の表面をスライド移動する。上述したように、回転軸74aは、第2層側蓋部材25の貫通孔26を介して、駆動部30内に到達している。駆動部30内における回転軸74aには、伝達機構33を構成するギヤ33aが固定されている。従って、駆動ディスク74は、駆動部30の電磁モータ32の作動に伴って、固定ディスク75の表面をスライド移動する。
即ち、熱媒体三方弁70は、駆動部30の作動制御によって、固定ディスク75に対する駆動ディスク74の位置を変更することができる。これにより、熱媒体三方弁70は、第1熱媒体流出口76から流出させる熱媒体流量と、第2熱媒体流出口77から流出させる熱媒体流量との流量比を調整できる。
続いて、図11~図14を参照して、熱媒体三方弁70における流量比の調整について説明する。以下の説明においては、第1連通路75aの開度を第1開度Oaといい、第2連通路75bの開度を第2開度Obという。
図11に示す場合、駆動ディスク74は、第2連通路75bを全閉しており、第1連通路75aは全開状態になっている。換言すると、第1開度Oaが100%であり、第2開度Obが0%である状態を示している。この場合、熱媒体三方弁70は、熱媒体流入口72から流入した熱媒体の全流量を、第1熱媒体流出口76から流出させる状態になる。
この図11に示す状態から、駆動ディスク74を徐々に所定方向(図11中、時計回り方向)にスライド移動させていくと、駆動ディスク74は、第1連通路75a側へ進出していき、第2連通路75bから離れていく。
即ち、この動作を行った場合、熱媒体三方弁70は、図14に示すように、第2開度Obを増加させるに伴って、第1開度Oaを減少させていく。これにより、熱媒体三方弁70は、第1熱媒体流出口76及び第2熱媒体流出口77における熱媒体の流量比を調整することができる。
そして、図12に示すように、駆動ディスク74が第1連通路75aを全閉すると、第2連通路75bは全開状態となる。即ち、第1開度Oaが0%で、第2開度Obが100%である状態になる。この場合、熱媒体三方弁70は、熱媒体流入口72から流入した熱媒体の全流量を、第2熱媒体流出口77から流出させる状態になる。
このように、熱媒体三方弁70の構成を有する第1熱媒体三方弁70a、第2熱媒体三方弁70bは、流出口の一方側から流出する熱媒体流量と、流出口の他方側から流出する熱媒体流量を調整することができる。又、熱媒体三方弁70は、二つの流出口の内、何れか一方側から熱媒体を流出させることができる。
従って、第1実施形態に係る流路切替装置1によれば、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bの弁体部73の動作を制御することによって、熱媒体回路50の流路構成を適宜切り替えることができる。
尚、この構成の熱媒体三方弁70によれば、図13に示すように、第1連通路75a及び第2連通路75bの何れか一方を全開状態としたままで、何れか他方の開度を増減させることができる。この図13のような状態とした場合でも、熱媒体三方弁70は、流出口の一方側から流出する熱媒体流量と、流出口の他方側から流出する熱媒体流量を調整することができる。
そして、流路切替装置1においては、第1層側流路11及び第2層側流路16にて、互いに近接して配置される流路の間には、断熱部13を形成される。例えば、図15に示すように、本体部材5の一面側において、2つの第1層側流路11の間には、溝状の断熱部13が形成されている。
断熱部13は、第1層側流路11及び第2層側流路16から独立して形成されており、熱媒体が流入することはない。従って、断熱部13の内部は空気で満たされている為、断熱部13は、2つの第1層側流路11の間における熱移動を妨げることができる。これにより、断熱部13は、近接して配置された流路の間における熱伝達の影響を抑えることができ、熱媒体回路50における各構成機器を適切に利用することができる。
そして、断熱部13は、近接して配置される流路の一方を低温の熱媒体が流通し、他方を高温の熱媒体が流通する位置に配置されることが望ましい。近接して配置される流路を流通する熱媒体について、それぞれ適切な温度を維持することができる為である。
以上説明したように、第1実施形態に係る流路切替装置1によれば、図2、図7等に示すように、本体部材5の第1層側流路形成部10、第2層側流路形成部15及び駆動部30が積層方向Lに積層配置されている。この為、流路切替装置1によれば、熱媒体回路50の流路構成を切り替える為の配管、継手及び弁の機能を集約することができ、よりコンパクトな構成を実現することができる。
更に、本体部材5の第1層側流路形成部10、第2層側流路形成部15及び駆動部30が積層方向Lに積層配置することで、図5に示すように、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bの弁体部73を近接した位置に配置できる。この為、流路切替装置1によれば、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bに対してそれぞれモータ等の駆動源を配置する場合に比べて、コンパクトで軽量な構成で、熱媒体回路50の流路構成の切替を実現することができる。
図7に示すように、第1層側流路形成部10は、ブロック状の本体部材5の一面側に溝状の第1層側流路11を形成して構成され、第2層側流路形成部15は、本体部材5の他面側に溝状の第2層側流路16を形成して構成されている。
そして、本体部材5の一面側は、第1層側蓋部材20によって密閉され、本体部材5の他面側は、第2層側蓋部材25によって密閉されている。これにより、流路切替装置1は、第1層側流路形成部10及び第2層側流路形成部15を確実に積層配置することができ、コンパクトで軽量な構成を実現することができる。
更に、図7に示すように、第2接続口35bから第8接続口35hを接続するように直線状に伸びる第1層側流路11には、流路抵抗部12が形成されている。流路抵抗部12の接合面12bは、第1層側流路11を横断するように本体部材5の表面を接続しており、第1層側蓋部材20と接合される。
これにより、流路切替装置1は、流路抵抗部12の接合面12bを利用して、第1層側蓋部材20を本体部材5に接合することができるので、本体部材5と第1層側蓋部材20の接合強度を向上させることができる。
又、流路抵抗部12の保持穴12aによって、熱媒体回路50の機能部品である熱媒体逆止弁60が保持されている。この為、流路抵抗部12は、熱媒体回路50における流路抵抗の調整、本体部材5に対する第1層側蓋部材20の接合強度の向上、熱媒体回路50における熱媒体逆止弁60の保持といった多様な役割を果たす。
更に、図7等に示すように、同一直線状の第1層側流路11の内部には、複数の流路抵抗部12が配置されている。各流路抵抗部12の保持穴12aには、第1熱媒体逆止弁60a、第2熱媒体逆止弁60b、第3熱媒体逆止弁60cが機能部品として取り付けられている。各流路抵抗部12の接合面12bは、それぞれ、第1層側蓋部材20に対して接合されている。
これにより、直線状の第1層側流路11において、接合面12bによる接合部分を複数配置することができるので、短い間隔で接合面12bによる接合部分を設けることができ、直線状の流路部分における接合強度を向上させることができる。
図6に示すように、第2層側蓋部材25には、複数の貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bにおける弁体部73の回転軸74aによって貫通される。更に、図2に示すように、第2層側蓋部材25には、各弁体部73の駆動源としての電磁モータ32と、伝達機構33が取り付けられている。
これにより、貫通孔26を貫通する回転軸74aと、伝達機構33及び電磁モータ32の位置関係を精度よく定めることができるので、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bにおける弁体部73を確実に動作させることができる。
又、図5に示すように、第2層側流路形成部15には、複数の位置決め凹部17が形成されており、第2層側蓋部材25には、複数の位置決めピン27が形成されている。各位置決め凹部17に対して、各位置決めピン27を嵌合させることで、本体部材5に対して第2層側蓋部材25を予め定められた位置に位置決めして接合することができる。
これにより、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bの弁体部73における回転軸74aと、第2層側蓋部材25の貫通孔26の位置を精度よく合わせることができ、回転軸74aと貫通孔26が干渉することを抑制することができる。即ち、流路切替装置1は、弁体部73の円滑な動作を担保することができる。
図15に示すように、第1層側流路11及び第2層側流路16にて、互いに近接して配置される流路の間には、断熱部13を形成される。断熱部13は、2つの第1層側流路11の間における熱移動を妨げる。
従って、流路切替装置1は、断熱部13によって、近接して配置された流路の間における熱伝達の影響を抑えることができる。これにより、流路切替装置1によれば、各流路を流れる熱媒体の温度を適切に保つことができるので、熱媒体回路50における各構成機器を適切に利用することができる。
図9~図14に示すように、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bにおける弁体部73は、第1連通路75a及び第2連通路75bへ流入する熱媒体の流量を調整可能に配置されている。そして、図14に示すように、弁体部73の駆動ディスク74は、第1連通路75a及び第2連通路75bの内、一方の開度を増加させるに伴って、他方の開度を減少させる。
従って、流路切替装置1によれば、第1熱媒体三方弁70a及び第2熱媒体三方弁70bの作動を制御することで、熱媒体回路50の流路構成を多様な構成に切り替えることができる。これにより、熱媒体回路50は、車室内空調及び、発熱機器54等の車載機器の温度調整について、多様な態様で実現することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る流路切替装置1について、図16~図19を参照して説明する。第2実施形態に係る流路切替装置1は、上述した第1実施形態と同様に、熱媒体回路50の一部を構成している。
そして、第2実施形態に係る流路切替装置1は、第1実施形態と同様に、第1層側流路形成部10、第2層側流路形成部15、駆動部30がこの順に積層方向Lへ積層配置された構成である。
第2実施形態においても、本体部材5の一面側には、第1層側流路11が形成されており、第1層側流路形成部10を構成している。本体部材5の一面側には、第1層側蓋部材20が接合されて、第1層側流路11が密閉される。
そして、本体部材5の他面側には、第2層側流路16が形成されており、第2層側流路形成部15を構成している。本体部材5の他面側には、第2層側蓋部材25が接合されて、第2層側流路16が密閉されている。
第2実施形態に係る流路切替装置1は、第1層側流路11及び第2層側流路16の構成及び弁体部73等の配置を除いて、その基本的な構成は、第1実施形態と同一である。従って、第2実施形態における同一の構成については、再度の説明は省略する。
第2実施形態に係る熱媒体回路50は、上述した第1実施形態に係る構成機器に加えて、温度調整の対象機器として、バッテリ57を有している。第2実施形態に係る熱媒体回路50は、電気自動車における車室内の空調と、車載機器(例えば、発熱機器54)の温度調整に加えて、バッテリ57の温度調整を行う際に利用される。
第2実施形態に係る流路切替装置1は、第1実施形態と同様に、本体部材5の側面に複数の接続口を有している。図16に示すように、第2実施形態に係る流路切替装置1は、第1実施形態と同様の第1接続口35a~第10接続口35jに加えて、第11接続口35kと第12接続口35lを有している。
第1接続口35a~第10接続口35jには、上述した第1実施形態と同様に、熱媒体回路50における各構成機器が、熱媒体配管を介して接続されている。各接続口と構成機器との対応関係は、基本的に第1実施形態と同様である。
第11接続口35k及び第12接続口35lは、熱媒体配管を介して、バッテリ57の熱媒体通路57aに接続されている。バッテリ57は、モータジェネレータ等へ供給される電力を蓄える二次電池(例えば、リチウムイオン電池)である。バッテリ57は、複数の電池セルを直列或いは並列に接続することによって形成された組電池である。バッテリ57は、充放電時に発熱する。
バッテリ57の熱媒体通路57aは、熱媒体を流通させることによって、バッテリ57の温度調整を行う為の熱媒体通路であり、機器用熱交換部を構成している。即ち、バッテリ57の熱媒体通路57aは、熱媒体回路50の熱媒体が流出入可能に接続されている。
バッテリ57の熱媒体通路57aは、水-冷媒熱交換器52にて冷却された熱媒体が流通した場合、低温の熱媒体を冷熱源としてバッテリ57を冷却する冷却部として機能する。又、バッテリ57の熱媒体通路57aは、高温の熱媒体が流通した場合、高温の熱媒体を熱源としてバッテリ57を温める加熱部として機能する。
そして、バッテリ57の熱媒体通路57aは、バッテリ57の専用ケースに形成されている。バッテリ57の熱媒体通路57aの通路構成は、専用ケースの内部で複数の通路を並列的に接続した通路構成となっている。
これにより、熱媒体通路57aは、バッテリ57の全域において、熱媒体との熱交換を均等に行うことができる。例えば、熱媒体通路57aは、全ての電池セルの有する熱を均等に吸熱して、全ての電池セルを均等に冷却できるように形成されている。
更に、第2実施形態に係る流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成を切り替える為の構成として、第3熱媒体三方弁70cと、熱媒体開閉弁78を有している。第3熱媒体三方弁70cは、上述した第1熱媒体三方弁70a、第2熱媒体三方弁70bと同様に、三方式の流量調整弁によって構成されている。
そして、熱媒体開閉弁78は、熱媒体回路50における流路を開閉する開閉弁であり、熱媒体三方弁70と同様に、弁体部73を有している。熱媒体開閉弁78の弁体部73において、固定ディスク75には、第1連通路75aと同様に構成された一つの連通路が形成されている。駆動ディスク74によって連通路を開閉することで、熱媒体開閉弁78における開閉動作が実現される。
続いて、第2実施形態における第1層側流路11及び第2層側流路16の構成について、図17~図19を参照しつつ説明する。
第2実施形態に係る第1接続口35aと第2接続口35bの間には、熱媒体配管を介して、第1水ポンプ56a及び水-冷媒熱交換器52の熱媒体通路52bが接続されている。図18に示すように、第1接続口35aは、第1層側流路11の一端部を構成している。一方、第2接続口35bは、図19に示すように、第2層側流路16の一端部を構成している。
そして、第3接続口35cと第4接続口35dの間には、熱媒体配管を介して、加熱装置53及びヒータコア51が接続されている。図18、図19に示すように、第3接続口35cは、第1層側流路11の一端部を構成しており、第4接続口35dは、第2層側流路16の一端部を構成している。
又、第5接続口35eと第6接続口35fの間には、熱媒体配管を介して、発熱機器54の熱媒体通路54aが接続されている。図18に示すように、第5接続口35eは、第1層側流路11の一端部を構成している。一方、第6接続口35fは、図19に示すように、第2層側流路16の一端部を構成している。
図17に示すように、第7接続口35gと第8接続口35hの間には、熱媒体配管を介して、第2水ポンプ56bが接続されている。図18に示すように、第7接続口35g、第8接続口35hは、それぞれ、第1層側流路11の一端部を構成している。
又、第9接続口35iと第10接続口35jの間には、熱媒体配管を介して、ラジエータ55が接続されている。図19に示すように、第9接続口35iは、第2層側流路16の一端部を構成している。一方、第10接続口35jは、図18に示すように、第1層側流路11の一端部を構成している。
そして、上述したように、第11接続口35kと第12接続口35lの間には、熱媒体配管を介して、バッテリ57の熱媒体通路57aが接続されている。図18に示すように、第11接続口35kは、第1層側流路11の一端部を構成している。そして、第12接続口35lは、図19に示すように、第2層側流路16の一端部を構成している。
第2実施形態に係る第1層側流路形成部10において、第1接続口35aから伸びる第1層側流路11は、第4熱媒体逆止弁60dの流出口から伸びる第1層側流路11と接続されている。そして、第1接続口35aと第4熱媒体逆止弁60dの流出口の間の第1層側流路11には、第6連通部40fが形成されている。
ここで、図17~図19に示すように、第6連通部40fは、後述する第5連通部40eから伸びる第2層側流路16と、第1層側流路11を連通しており、第6接続部80fを構成している。
そして、図19に示すように、第4接続口35dから伸びる第2層側流路16は、第1熱媒体三方弁70aの流入口に接続されている。第1熱媒体三方弁70aの流入口から流入した熱媒体は、第1熱媒体三方弁70a内部を流出口へ向かう過程で、連通路を通過して、第2層側流路16から第1層側流路11へ流出する。
第1熱媒体三方弁70aの流出口の一方から伸びる第1層側流路11は、第1熱媒体逆止弁60aの流入口から伸びる第1層側流路11、第2熱媒体逆止弁60bの流出口から伸びる第1層側流路11及び、第5連通部40eから伸びる第1層側流路11に接続される。第1熱媒体三方弁70aの流出口の一方から伸びる第1層側流路11は、他の3つの第1層側流路11と接続されることで、第2接続部80bを構成する。
第5連通部40eは、第1層側流路11と第2層側流路16の間を、積層方向Lに連通している。この為、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、第5連通部40eを介した熱媒体の流通が生じる。
図19に示すように、第5連通部40eから伸びる第2層側流路16は、その端部に第6連通部40fを有している。従って、第5連通部40e、第6連通部40fを介することで、第6接続部80fを含む第1層側流路11と、第2接続部80bを含む第1層側流路11との間における熱媒体の流通を担保することができる。
そして、第1熱媒体三方弁70aの流出口の他方から伸びる第1層側流路11は、第5接続口35eから伸びる第1層側流路11及び第1連通部40aから伸びる第1層側流路11に接続され、第4接続部80dを構成する。
上述したように、第1連通部40aでは、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、熱媒体が流通する。図19に示すように、第1連通部40aから伸びる第2層側流路16は、第2熱媒体三方弁70bの流入口に接続されている。第2熱媒体三方弁70bの流入口から流入した熱媒体は、第2熱媒体三方弁70b内部を流出口へ向かう過程で、連通路を通過して、第2層側流路16から第1層側流路11へ流出する。
第2熱媒体三方弁70bの流出口の一方側から伸びる第1層側流路11は、第7接続口35gから伸びる第1層側流路11及び第10接続口35jから伸びる第1層側流路11に接続され、第3接続部80cを構成する。
そして、第2熱媒体三方弁70bの流出口の他方側から伸びる第1層側流路11は、その端部に第2連通部40bを有している。第2連通部40bでは、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、熱媒体が流通する。図19に示すように、第2連通部40bから伸びる第2層側流路16は、第9接続口35iまで伸びている。
そして、第2連通部40bと第9接続口35iの間には、第3連通部40cが形成されている。第3連通部40cでは、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、熱媒体が流通する。第3連通部40cから伸びる第1層側流路11は、熱媒体開閉弁78の流入出口の一方側に接続されている。熱媒体開閉弁78において、流入出口の一方側から他方側へ流通する過程で、熱媒体は、第1層側流路11と第2層側流路16の間で流出入する。
図18に示すように、第3接続口35cから延びる第1層側流路11は、第1熱媒体逆止弁60aの流出口から伸びる第1層側流路11と、第3熱媒体三方弁70cの流出口の一方から伸びる第1層側流路11に接続され、第1接続部80aを構成している。
第2接続口35bから伸びる第2層側流路16は、第3熱媒体三方弁70cの流入口に接続されている。第3熱媒体三方弁70cの流入口から流入した熱媒体は、第3熱媒体三方弁70c内部を流出口へ向かう過程で、連通路を通過して、第2層側流路16から第1層側流路11へ流出する。
上述したように、第3熱媒体三方弁70cの流出口の一方から伸びる第1層側流路11は、第1接続部80aに接続されている。図18に示すように、第3熱媒体三方弁70cの流出口の他方から伸びる第1層側流路11は、第11接続口35kから伸びる第1層側流路11及び第5熱媒体逆止弁60eの流出口から伸びる第1層側流路11に接続され、第8接続部80hを構成している。
そして、第8接続口35hから伸びる第1層側流路11は、第2熱媒体逆止弁60bの流入口から伸びる第1層側流路11及び第5熱媒体逆止弁60eの流入口から伸びる第1層側流路11に接続され、第10接続部80jを構成している。
図19に示すように、第6接続口35fから伸びる第2層側流路16は、その端部に第4連通部40dを有している。第4連通部40dでは、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、熱媒体が流通する。
ここで、第4連通部40dは、図18に示すように、第1熱媒体逆止弁60aの流出口と第3熱媒体逆止弁60cの流入口を接続する第1層側流路11の内部に配置されている。従って、第4連通部40dは、第1熱媒体逆止弁60aの流出口から伸びる第1層側流路11、第3熱媒体逆止弁60cの流入口から伸びる第1層側流路11及び第6接続口35fから伸びる第2層側流路16を接続しており、第5接続部80eを構成している。
図19に示すように、第12接続口35lから伸びる第2層側流路16は、熱媒体開閉弁の流入出口の他方側から伸びる第2層側流路16及び第7連通部40gから伸びる第2層側流路16に接続され、第7接続部80gを構成する。従って、第12接続口35lから伸びる第2層側流路16は、熱媒体開閉弁78を介して、第3連通部40cから伸びる第1層側流路11と接続されている。
そして、第7連通部40gでは、第1層側流路11と第2層側流路16の間で、熱媒体が流通する。第7連通部40gから伸びる第1層側流路11は、第4熱媒体逆止弁60dの流入口に接続されている。
第2実施形態に係る流路切替装置1によれば、熱媒体回路50の流路構成を切り替えることによって、車室内の空調と、発熱機器54の温度調整と、バッテリ57の温度調整を行うことができる。
例えば、第2実施形態に係る流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a→水-冷媒熱交換器52→第3熱媒体三方弁70c→バッテリ57→第4熱媒体逆止弁60d→第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。同時に、第2水ポンプ56b→第2熱媒体逆止弁60b→発熱機器54→第2熱媒体三方弁70b→ラジエータ55→第2水ポンプ56bの順で熱媒体を循環させる。
この流路構成の熱媒体回路50によれば、冷凍サイクル90を冷熱源とするバッテリ57の冷却を行いつつ、発熱機器54の廃熱を外気に放熱することができる。即ち、バッテリ57の温度調整と、発熱機器54の温度調整をそれぞれ独立して、並列的に実行することができる。
第2実施形態に係る流路切替装置1によれば、上述した熱媒体回路50の回路構成において、第2水ポンプ56bによる熱媒体の循環経路を更に切り替えることができる。第2水ポンプ56b→第2熱媒体逆止弁60b→第3熱媒体三方弁70c→第1熱媒体逆止弁60a→加熱装置53→ヒータコア51→第1熱媒体三方弁70a→第2熱媒体三方弁70b→ラジエータ55→第2水ポンプ56bの順で熱媒体を循環させる。
この構成によれば、冷凍サイクル90によるバッテリ57の冷却と、発熱機器54の廃熱を用いた車室内暖房と、発熱機器54の廃熱に係る余剰熱の外気放熱を並列的に行うことができる。
又、第2実施形態に係る流路切替装置1は、熱媒体回路50の流路構成として、第1水ポンプ56a→水-冷媒熱交換器52→加熱装置53→ヒータコア51→第1熱媒体三方弁70a→発熱機器54→第3熱媒体逆止弁60c→第1水ポンプ56aの順で熱媒体を循環させる。同時に、第2水ポンプ56b→第5熱媒体逆止弁60e→バッテリ57→熱媒体開閉弁78→ラジエータ55→第2水ポンプ56bの順で熱媒体を循環させる。
これにより、この流路構成の熱媒体回路50によれば、発熱機器54の廃熱及び冷凍サイクル90を利用した車室内空調と、外気放熱によるバッテリ57の冷却とを並列的に実行することができる。
以上説明したように、第2実施形態に係る流路切替装置1によれば、熱媒体回路50の機能としてバッテリ57の温度調整を追加した場合であっても、上述した第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る流路切替装置1について、図20~図21を参照して説明する。第3実施形態に係る流路切替装置1は、上述した実施形態と同様に、熱媒体回路50の一部を構成している。
そして、第3実施形態に係る流路切替装置1は、熱媒体回路50の構成を含めて、基本的に、第1実施形態と同様に構成されている。第3実施形態における相違点は、流路抵抗部12の構成及び第1熱媒体逆止弁60a~第3熱媒体逆止弁60cの構成である。従って、第3実施形態における同一の構成については、再度の説明は省略して、相違点について詳細に説明する。
図20は、第3実施形態に係る流路切替装置1において、第2接続口35bから第8接続口35hを接続するように直線状に伸びる第1層側流路11に沿った断面の断面図である。第3実施形態においても、第2接続口35bと第8接続口35hを接続する直線状の第1層側流路11の内部には、複数の流路抵抗部12が配置されている。
各流路抵抗部12は、第1実施形態と同様に、溝状に形成された第1層側流路11を横断するように壁状に形成されており、保持穴12aを有している。保持穴12aは、流路抵抗部12を厚み方向に貫通して形成されている。即ち、流路抵抗部12は、第1層側流路11の流路断面積を縮小するように変化させたことで、第1層側流路11を流れる熱媒体の流路抵抗を増大させている。
第3実施形態において、保持穴12aの内径は、第1熱媒体逆止弁60a~第3熱媒体逆止弁60cの弁体を構成する球状弁体62の外径よりも小さく形成されている。図20に示すように、各球状弁体62は、それぞれ流路抵抗部12よりも第2接続口35b側に配置されており、第1層側流路11を通過する熱媒体の流れに従って移動可能に構成されている。
そして、各球状弁体62の位置よりも第2接続口35b側には、規制片63a及び規制突部63bが相互に対向するように形成されている。図20、図21に示すように、規制片63aは、第1層側蓋部材20から第1層側流路11内に向かって突出するように形成されている。
一方、規制突部63bは、溝状の第1層側流路11における底面から、第1層側流路11における開放部分に向かって突出している。規制片63a及び規制突部63bは、第1層側流路11における流路幅を球状弁体62の外径よりも小さくするように配置されている。つまり、規制片63a及び規制突部63bは、第1実施形態における熱媒体逆止弁60の規制ピン63と同様に作用する。
従って、球状弁体62は、規制片63a及び規制突部63bから流路抵抗部12までの範囲で、第1層側流路11の内部を移動可能に収容されている。この為、図20に示す例によれば、第8接続口35h側から第2接続口35b側へ向かって熱媒体が流れる場合、球状弁体62が熱媒体の流れに従って、規制片63a及び規制突部63bの側へ移動する。
この場合、球状弁体62の移動に伴って、流路抵抗部12の保持穴12aが開放される。更に、図21に示すように、規制片63a及び規制突部63b側で球状弁体62にて、第1層側流路11の流路が閉塞されることはない為、第8接続口35h側から第2接続口35b側へ向かう熱媒体の流れが許容される。
この時、球状弁体62は、規制片63a又は規制突部63bと当接して、熱媒体の流れに伴う移動が制限される為、第1層側流路11における所定の範囲から外部へ流出することはない。
一方、第2接続口35b側から第8接続口35h側へ向かって熱媒体が流れる場合、規制片63a及び規制突部63bを通過した熱媒体は、流路抵抗部12の保持穴12aに向かって流れる。この時、球状弁体62が熱媒体の流れに従って、保持穴12aへ向かって移動して着座する。つまり、流路抵抗部12の保持穴12aが球状弁体62によって閉塞され、第2接続口35b側から第8接続口35h側へ向かう熱媒体の流れが禁止される。
つまり、第3実施形態における第1熱媒体逆止弁60a~第3熱媒体逆止弁60cは、流路抵抗部12から規制片63a及び規制突部63bまでの第1層側流路11と、球状弁体62によって構成される。これにより、第1実施形態における熱媒体逆止弁60と同様の機能を発揮させつつ、よりコンパクトな構成とすることができる。
換言すると、流路抵抗部12から規制片63a及び規制突部63bまでの第1層側流路11は、第1実施形態における弁体ケース61に相当する。規制片63a及び規制突部63bは、第1実施形態における規制ピン63に相当する。そして、流路抵抗部12の保持穴12aは、第1実施形態における流路穴61aであり、球状弁体62が着座する弁座を構成する。つまり、流路抵抗部12は、機能部品としての球状弁体62を保持している。
そして、図20に示すように、第3実施形態に係る流路抵抗部12においても、接合面12bが形成される。流路抵抗部12の接合面12bは、第1層側流路11を横断するように、本体部材5の一面側の表面を接続して構成される。そして、図20に示すように、本体部材5の一面側に第1層側蓋部材20を取り付けた場合に、接合面12bは第1層側蓋部材20の表面に当接する。
この為、流路切替装置1によれば、本体部材5に対して第1層側蓋部材20をレーザー溶着等で接合する場合に、流路抵抗部12の接合面12bを介して接合できる。これにより、流路切替装置1では、複数の接合面12bを利用することで、本体部材5に対する第1層側蓋部材20の接合強度を向上させることができる。
又、接合面12bは本体部材5の一面側の表面を接続して形成されている為、レーザー溶着等を採用した場合に、焦点距離等の設定変更を最小限にとどめることができ、連続的な接合作業を行うことができる。
以上説明したように、第3実施形態に係る流路切替装置1によれば、流路抵抗部12及び第1熱媒体逆止弁60a等の構成を変更した場合であっても、上述した第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
尚、第3実施形態においては、第1実施形態に係る流路切替装置1に適用した場合について説明したが、この態様に限定されるものではない。即ち、第3実施形態における流路抵抗部12及び第1熱媒体逆止弁60a等の構成を、第2実施形態に係る流路切替装置1に適用することも可能である。
又、第3実施形態では、球状弁体62の移動範囲を規制する構成として、第1層側蓋部材20の規制片63aと、本体部材5である第1層側流路11側に形成された規制突部63bを用いていたが、この態様に限定されるものではない。規制片63aと規制突部63bの何れか一方を用いる構成を採用することも可能である。又、規制突部63bの突出方向は、第1層側流路11の開放側である必要はなく、球状弁体62の移動を制限することができれば、第1層側流路11の内壁面から底面に平行に突出する構成としても良い。
(他の実施形態)
本開示は上述した実施形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述した実施形態においては、流路切替装置1における本体部材5の一面側を第1層側流路形成部10とし、他面側を第2層側流路形成部15としていたが、この態様に限定されるものではない。第1層側流路形成部10及び第2層側流路形成部15をそれぞれ別の部材として構成することも可能である。又、第1層側流路形成部10の第1層側流路11と、第2層側流路形成部15の第2層側流路16の何れか一方について、複数の熱媒体配管で構成することも可能である。
(2)又、上述した実施形態においては、第1層側流路11及び第2層側流路16を本体部材5の表面に溝状に形成していたが、この態様に限定されるものではない。積層配置される第1層側流路形成部10及び第2層側流路形成部15に対して、それぞれ第1層側流路11、第2層側流路16が形成されていればよく、第1層側流路11等の形成方法は適宜変更することができる。
(3)そして、上述した実施形態においては、図7、図9等に示すように、平板状の第1層側蓋部材20、第2層側蓋部材25としていたが、これに限定されるものではない。第1層側蓋部材20及び第2層側蓋部材25について、本体部材5に対向する面を加工してもよい。
例えば、第1層側蓋部材20における本体部材5に対向する面に、第1層側流路11と同じパターンで形成された凹部を設けても良い。蓋部材側の凹部と本体部材5側の溝形状によって、第1層側流路等の流路面積を確保することができると共に、蓋部材としての強度を向上させることができる。
(4)又、上述した実施形態においては、図5に示すように、本体部材5の他面側に形成された位置決め凹部17と、第2層側蓋部材25に形成された位置決めピン27とを協働させて、位置決め部として機能させていたが、この態様に限定されるものではない。
例えば、第2層側流路形成部15に位置決めピンを設け、第2層側蓋部材25に位置決め凹部を設けても良い。更に、ピンと凹部の組み合わせに限定されるものではなく、その構成の形状的特徴から第2層側流路形成部15と第2層側蓋部材25とを位置決めすることができれば、リブと溝など種々の態様を採用することができる。
(5)そして、上述した実施形態においては、第1層側流路11及び第2層側流路16の内、近接して配置される流路の間に断熱部13を設けていたが、図15に示す態様に限定されるものではない。例えば、熱媒体三方弁70において、第1連通路75aから第1熱媒体流出口76まで伸びる流路と、第2連通路75bから第2熱媒体流出口77まで伸びる流路の間に、断熱部13を形成しても良い。
(6)又、上述した実施形態では、本開示に係る流路切替装置1を、車載機器冷却機能付きの車両用空調装置における熱媒体回路50に適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。
本開示に係る流路切替装置1は、車両用の熱媒体回路に限定されることなく、定置型の空調装置等の熱媒体回路に適用してもよい。例えば、サーバ(コンピュータ)の温度を適切に調整しつつ、サーバが収容される室内の空調を行うサーバ冷却機能付きの空調装置等の熱媒体回路に適用してもよい。
(7)そして、上述した実施形態では、流路切替装置1における複数の弁体部73として、第1熱媒体三方弁70a、第2熱媒体三方弁70b、第3熱媒体三方弁70c、熱媒体開閉弁78の弁体部73を採用していたが、これに限定されるものではない。熱媒体回路50における流路構成を切り替えることができれば、複数の開閉弁の組み合わせ等の他の構成を採用することができる。
(8)又、上述した実施形態では、熱媒体回路50の熱媒体として、エチレングリコール水溶液を採用した例を説明したが、熱媒体はこれに限定されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、或いはナノ流体等を含む溶液、不凍液等を、熱媒体として採用することができる。
(9)そして、上述した実施形態では、流路抵抗部12に保持穴12aを形成し、第1層側流路11の流路断面積を縮小するように変化させていたが、この態様に限定されるものではない。流路断面積を変化させることで、熱媒体の流路抵抗を増大させることができれば、種々の態様を採用することができる。例えば、流路断面積を急拡大することで、拡大した部分に熱媒体の渦を発生させ、流路抵抗を増大させてもよい。