以下、コンバータ装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、コンバータ装置の一例としてのコンバータ装置1Aの構成について図1を参照して説明する。このコンバータ装置1Aは、トランス2、一対の第1直流端子部3a,3b、一対の第1交流端子部4a,4b、一対の第2直流端子部5a,5b、一対の第2交流端子部6a,6b、スイッチング回路部7、直列整流素子部8、インダクタ9、第1直列回路部10、第2直列回路部11、LC共振回路12、および制御部13を備え、一対の第1直流端子部3a,3b間に入力される入力直流電圧Vin(本例では一例として、図1に示すように直流電源PSから出力される電圧であるものとする)を出力直流電圧Voutに変換して一対の第2直流端子部5a,5b間から出力(具体的には、第2直流端子部5a,5bに接続された負荷LDへ供給)可能に構成されている。
詳細には、トランス2は、本例では一例として、共通の磁気コア(図示せず)に形成されて、互いに磁気的に結合する2つの巻線(第1巻線2aおよび第2巻線2b)を備えている。一対の第1交流端子部4a,4bは、一対の第1接続ラインL1a,L1bを介して第1巻線2aに接続されている。また、本例では、LC共振回路12が、この第1接続ラインL1a,L1bに挿入接続されている。具体的には、本例では、LC共振回路12は、第1接続ラインL1aに挿入接続された共振キャパシタ12aと、第1接続ラインL1bに挿入接続された共振インダクタ12bとを備えて構成されている。このため、本例では、第1交流端子部4aは、共振キャパシタ12aが挿入接続された第1接続ラインL1aを介して第1巻線2aの一端に接続され、また第1交流端子部4bは、共振インダクタ12bが挿入接続された第1接続ラインL1bを介して第1巻線2aの他端に接続されている。なお、共振キャパシタ12aおよび共振インダクタ12bについては、この構成に代えて、図示はしないが、共振キャパシタ12aを第1接続ラインL1bに挿入接続し、共振インダクタ12bを第1接続ラインL1aに挿入接続する構成とすることもできる。
一対の第2交流端子部6a,6bは、一対の第2接続ラインL2a,L2bを介して第2巻線2bに接続されている。なお、本例ではLC共振回路12は、上記したように第1接続ラインL1a,L1bに挿入接続されているが、この構成に限定されるものではなく、第1接続ラインL1a,L1bおよび第2接続ラインL2a,L2bのうちの少なくとも一方に挿入接続されていればよい。
スイッチング回路部7は、一対の第1直流端子部3a,3bと一対の第1交流端子部4a,4bとの間に配設されて、入力直流電圧Vinを交流電圧V1に変換して第1交流端子部4a,4b間に出力する。本例では一例として、スイッチング回路部7は、ハーフブリッジスイッチング回路で構成されている。具体的には、スイッチング回路部7は、第1交流端子部4a,4bのうちの一方の第1交流端子部(本例では、第1交流端子部4a)で互いに接続されたスイッチ7aおよびスイッチ7bのスイッチ直列回路と、第1交流端子部4a,4bのうちの他方の第1交流端子部(本例では、第1交流端子部4b)で互いに接続されたキャパシタ7cおよびキャパシタ7dのキャパシタ直列回路とで構成されている。
また、このスイッチ直列回路の一方の端部(本例ではスイッチ7aのドレイン端子)は、一対の第1直流端子部3a,3bのうちの一方の第1直流端子部(本例では、第1直流端子部3a)に接続されている。また、このスイッチ直列回路の他方の端部(本例ではスイッチ7bのソース端子)は、一対の第1直流端子部3a,3bのうちの他方の第1直流端子部(本例では、第1直流端子部3b)に接続されている。また、上記のキャパシタ直列回路の一方の端部(本例ではキャパシタ7cの一端)は、第1直流端子部3aに接続され、キャパシタ直列回路の他方の端部(本例ではキャパシタ7dの他端。なお、キャパシタ7dの一端は、キャパシタ7cの他端と第1交流端子部4bで接続されている)は、第1直流端子部3bに接続されている。つまり、キャパシタ直列回路は、スイッチ直列回路に並列接続されている。
直列整流素子部8は、順方向を揃えて直列接続されて第1整流素子として機能するnチャネル型のFET8aおよび第2整流素子として機能するnチャネル型のFET8bで構成されている。本例では、各FET8a,8bは、互いの接続点(FET8aのソース端子とFET8bのドレイン端子)が一対の第2交流端子部6a,6bのうちの一方の第2交流端子部(本例では、第2交流端子部6b)に接続されている。また、各FET8a,8bは、後述するように同期整流動作するように駆動されて、ダイオードと同等の整流素子として機能する。また、直列整流素子部8は、電流出力端部(本例では、FET8aのドレイン端子(FET8a内のボディダイオードのカソード端子でもある))が第1電力ラインLp1を介して一対の第2直流端子部5a,5bのうちの一方の第2直流端子部(本例では、第2直流端子部5a)に接続され、かつ電流入力端部(本例では、FET8bのソース端子(FET8b内のボディダイオードのアノード端子でもある))が第2電力ラインLp2を介して一対の第2直流端子部5a,5bのうちの他方の第2直流端子部(本例では、第2直流端子部5b)に接続されている。なお、FET8aおよびFET8bは、上記のように整流素子としてそれぞれ機能するため、ボディダイオードと同じ極性の単体のダイオードでそれぞれ置き換えることもできる。
インダクタ9は、第1電力ラインLp1および第2電力ラインLp2のうちの少なくとも一方に挿入接続されている。本例では一例として、インダクタ9は、第1電力ラインLp1に挿入接続されているが、図示はしないが、第2電力ラインLp2に挿入接続される構成であってもよいし、第1電力ラインLp1および第2電力ラインLp2の双方に分けて挿入接続される構成であってもよい。なお、図示はしないが、出力直流電圧Voutを平滑するキャパシタを第2直流端子部5a,5b間に接続する構成を採用することもできる。
第1直列回路部10は、直列接続された第1スイッチとしてのスイッチ10aおよび第1キャパシタとしてのキャパシタ10bで構成されている。本例では一例として、スイッチ10aはnチャネル型のFETで構成されて、スイッチ10aのドレイン端子とキャパシタ10bの一方の端子とが接続されている。また、第1直列回路部10は、一方の端部(本例ではスイッチ10aのソース端子)が直列整流素子部8の電流出力端部に接続されると共に、他方の端部(本例ではキャパシタ10bの他方の端子)が一対の第2交流端子部6a,6bのうちの他方の第2交流端子部(本例では、第2交流端子部6a)に接続されている。なお、第1直列回路部10は、この構成に代えて、直列整流素子部8の電流出力端部側にキャパシタ10bを配設し、かつ第2交流端子部6a側にスイッチ10aを同じ向きで配設した構成であってもよい。
第2直列回路部11は、直列接続された第2スイッチとしてのスイッチ11aおよび第2キャパシタとしてのキャパシタ11bで構成されている。本例では一例として、スイッチ11aはnチャネル型のFETで構成されて、スイッチ11aのソース端子とキャパシタ11bの一方の端子とが接続されている。また、第2直列回路部11は、一方の端部(本例ではキャパシタ11bの他方の端子)が他方の第2交流端子部6aに接続されると共に、他方の端部(本例ではスイッチ11aのドレイン端子)が直列整流素子部8の電流入力端部に接続されている。なお、第2直列回路部11は、この構成に代えて、第2交流端子部6a側にスイッチ11aを同じ向きで配設し、かつ直列整流素子部8の電流入力端部側にキャパシタ11bを配設した構成であってもよい。
LC共振回路12は、一例として第1接続ラインL1a,L1bに挿入接続されているが、この構成に限定されるものではなく、第1接続ラインL1a,L1bおよび第2接続ラインL2a,L2bのうちの少なくとも1つに挿入接続されていればよい。
制御部13は、各スイッチ10a,11aおよび同期整流駆動するFET8a,8bに対して駆動信号S1,S2,S3,S4をそれぞれ出力することにより、またスイッチング回路部7の各スイッチ7a,7bに対して駆動信号S11,S12をそれぞれ出力する(オンデューティ0.5で出力する)ことにより、各スイッチ10a,11a、各FET8a,8b、および各スイッチ7a,7bに対するスイッチング制御を実行する。本例では、各スイッチ7a,7b,10a,11aは上記のようにFETで構成され、また直列整流素子部8の各整流素子もFET8a,8bで構成されているため、制御部13は、各スイッチ7a,7b,10a,11a、およびFET8a,8bに対する適切な駆動回路(図示せず)を備えて、スイッチ7a,7b,10a,11aを構成する各FETおよび各FET8a,8bのゲート・ソース間に、各駆動信号S11,S12,S1,S2,S3,S4をソース端子の電位を基準とする正極性の電圧信号として出力するものとする。また、駆動信号S11,S12については、図示はしないが、デッドタイムが設けられているものとする。
次に、コンバータ装置1Aの動作について図1~図6を参照して説明する。
制御部13は、各駆動信号S11,S12,S1~S4を、図2に示す期間T1から期間T4までの出力状態を1サイクルとして、各スイッチ10a,11a,7a,7bおよびFET8a,8bに繰り返し出力する。なお、図2中の「ON」、「OFF」は、駆動信号S11,S12,S1,S2,S3,S4に対応する各スイッチ10a,11a,7a,7bおよびFET8a,8bのON・OFF状態を示している。以下、各期間T1,T2,T3,T4に分けて動作を説明する。なお、FET8a,8bについては、対応する駆動信号S3,S4によって駆動されることにより、この1サイクル全体を通して上記したように整流素子(ダイオード)として機能するため、以下の動作説明においては、ダイオード8a,8bといい、個々についての詳細な説明は省略し、図3~図6中では、ダイオードのシンボルで表記するものとする。
まず、期間T1では、図2に示すように駆動信号S11がゼロボルト(ゲート閾値電圧未満の電圧の一例)から正電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)に切り替えられることにより、図2,3に示すように、スイッチ7aは、OFF状態からON状態に移行する。また、図2に示すように駆動信号S1,S12が正電圧からゼロボルトに切り替えられることにより、図2,3に示すように、スイッチ10a,7bは、ON状態からOFF状態に移行する。また、図2に示すように他の駆動信号S2は正電圧に維持されることから、図2,3に示すように、スイッチ11aはON状態を継続する。つまり、スイッチ7aがON状態で、かつスイッチ7bがOFF状態のときに、スイッチ10aがOFF状態で、かつスイッチ11aがON状態になる。
この場合、第1巻線2a側(第1直流端子部3a,3b側)の回路では、直流電源PS(入力直流電圧Vin)からON状態のスイッチ7a、共振キャパシタ12a、第1巻線2a、共振インダクタ12bおよびキャパシタ7dを経由して直流電源PSに戻る電流経路が形成されて、この電流経路に電流Iaが流れる。これにより、キャパシタ7dが充電される(キャパシタ7dにエネルギーが蓄積される)。また、キャパシタ7cからON状態のスイッチ7a、共振キャパシタ12a、第1巻線2aおよび共振インダクタ12bを経由してキャパシタ7cに戻る電流経路も形成される。このため、期間T3,T4において後述するようにしてキャパシタ7cに蓄積されたエネルギーが放出されることにより、この電流経路に電流Ibが図3において矢印で示す向きで流れる。
また、この2つの電流経路にはLC共振回路12(共振キャパシタ12aおよび共振インダクタ12b)が含まれていることから、電流Ia,Ibの各波形は図示はしないが、共振波形(正弦波状の波形)となる。また、これにより、各電流Ia,Ibが同じ向きで同時に流れるスイッチ7aおよび第1巻線2aでの電流(合成電流(Ia+Ib))の波形も図2に示すように、共振波形(正弦波状の波形)となる。また、第1巻線2aにこの向きで合成電流(Ia+Ib)が流れるため、第2巻線2bには、ダイオード8a,8bの接続点(第2交流端子部6b)に対して各直列回路部10,11の接続点(第2交流端子部6a)が高電位となる電圧(誘起電圧V2)が誘起する。
一方、第2巻線2b側(第2直流端子部5a,5b側)の回路では、スイッチ10aがOFF状態に移行することにより、期間T3,T4において後述するようにしてON状態のスイッチ10aを経由して実行されていたキャパシタ10bに対する充電(キャパシタ10bにおける第2巻線2b側の端子の電位を基準として、キャパシタ10bにおける直列整流素子部8の電流出力端部側の端子の電位が高電位となる充電)が停止される。また、期間T4において後述する電流Ijがインダクタ9に流れることによってインダクタ9に蓄積されていたエネルギーが放出されることにより、図3に示すように、インダクタ9から負荷LD、ダイオード8bおよびダイオード8aを経由してインダクタ9に戻る電流経路に電流Icが流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。
また、上記したように、第1巻線2aへの電流(Ia+Ib)の流入に起因して、第2交流端子部6bに対して第2交流端子部6aが高電位となる誘起電圧V2が第2巻線2bに誘起する。このため、第2巻線2b側の回路では、スイッチ11aがON状態に移行していることにより、第2巻線2bからキャパシタ11b、ON状態のスイッチ11aおよびダイオード8bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路が形成されて、上記の極性の誘起電圧V2(第2巻線2bから出力されるエネルギー)に基づき、図3に示すように、この電流経路に矢印で示す向きに電流Idが流れる。これにより、キャパシタ11bは、キャパシタ11bにおける直列整流素子部8の電流入力端部側の端子の電位を基準として、キャパシタ11bにおける第2巻線2b側の端子の電位が高電位となるように充電される(キャパシタ11bにエネルギーが蓄積される)。
このように、期間T1では、第1巻線2a側の回路は、キャパシタ7cから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づき、第1巻線2aに合成電流(Ia+Ib)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7dを充電する動作とを実行する。また、第2巻線2b側の回路は、インダクタ9から放出されるエネルギーに基づいて、負荷LDに電流Icを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)動作と、第2巻線2bに上記の極性で誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ11bを充電する動作とを第1動作として実行する。
次いで、期間T2では、図2に示すように、駆動信号S1がゼロボルトから正電圧に切り替わることにより、図2,4に示すように、スイッチ10aがOFF状態からON状態に移行する。なお、他の各スイッチ7a,7b,11aは、対応する駆動信号が期間T1のときと同じであることから、期間T1のときのON・OFF状態を継続する。つまり、スイッチ7aがON状態を、スイッチ7bがOFF状態を継続しているときに、スイッチ10a,11aが共にON状態になる。
この場合、第1巻線2a側の回路では、図4に示すように、各スイッチ7a,7bが期間T1のときのON・OFF状態を継続することから、期間T1のときと同じ電流経路が継続して形成される。このため、第1巻線2aに合成電流(Ia+Ib)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7dを充電する動作とが継続される。
一方、第2巻線2b側の回路では、図4に示すように、期間T1のときと同極性で第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2に基づき、第2巻線2bからキャパシタ11b、スイッチ11aおよびダイオード8bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路に電流Idが継続して流れて、キャパシタ11bへの充電が継続される。また、スイッチ10aがON状態に移行することにより、キャパシタ10bからスイッチ10a、インダクタ9、負荷LD、ON状態のスイッチ11aおよびキャパシタ11bを経由してキャパシタ10bに戻る新たな電流経路が形成される。これにより、キャパシタ10bに蓄積されていたエネルギーに基づき、この新たな電流経路に電流Ieが矢印の向きに流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。また、電流Ieがインダクタ9に流れることにより、インダクタ9にエネルギーが蓄積される。なお、これら2つの電流経路が重なる第2直列回路部11(スイッチ11aおよびキャパシタ11b)には、電流Id,Ieが逆向きで流れるため、電流Id,Ieの合成電流(Ie-Id)がスイッチ11aに流れる。
このように、期間T2では、第1巻線2a側の回路は、キャパシタ7cから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づいて、第1巻線2aに合成電流(Ia+Ib)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7dを充電する動作とを継続して実行する。また、第2巻線2b側の回路は、第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ11bを充電する動作を継続すると共に、キャパシタ10bから放出されるエネルギーに基づき、負荷LDに電流Ieを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)と共に、インダクタ9にエネルギーを蓄積する動作を第2動作として実行する。
続いて、期間T3では、図2に示すように駆動信号S12がゼロボルトから正電圧に切り替えられることにより、図2,5に示すように、スイッチ7bは、OFF状態からON状態に移行する。また、図2に示すように駆動信号S2,S11が正電圧からゼロボルトに切り替えられることにより、図2,5に示すように、スイッチ11a,7aは、ON状態からOFF状態に移行する。また、図2に示すように他の駆動信号S1は正電圧に維持されることから、図2,5に示すように、スイッチ10aはON状態を継続する。つまり、スイッチ7aがOFF状態で、かつスイッチ7bがON状態のとき(期間T1,T2とは逆の状態のとき)に、スイッチ10aがON状態で、かつスイッチ11aがOFF状態になる。
この場合、第1巻線2a側の回路では、スイッチ7aがOFF状態に移行することにより、直流電源PS(入力直流電圧Vin)からキャパシタ7c、共振インダクタ12b、第1巻線2a、共振キャパシタ12a、およびON状態のスイッチ7bを経由して直流電源PSに戻る電流経路が形成されて、この電流経路に電流Ifが流れる。これにより、キャパシタ7cが充電される(キャパシタ7cにエネルギーが蓄積される)。
また、スイッチ7bがON状態に移行することにより、キャパシタ7dから共振インダクタ12b、第1巻線2a、共振キャパシタ12a、およびON状態のスイッチ7bを経由してキャパシタ7dに戻る電流経路も形成される。このため、期間T1,T2においてキャパシタ7dに蓄積されたエネルギーが放出されることにより、この電流経路に電流Igが図5において矢印で示す向きで流れる。
また、この2つの電流経路にはLC共振回路12が含まれていることから、電流If,Igの各波形は図示はしないが、共振波形(正弦波状の波形)となる。また、これにより、各電流If,Igが同じ向きで同時に流れるスイッチ7bおよび第1巻線2aでの電流(合成電流(If+Ig))も図2に示すように、共振波形(正弦波状の波形)となる。また、第1巻線2aにこの向きで合成電流(If+Ig)が流れるため、第2巻線2bには、第2交流端子部6aに対して第2交流端子部6bが高電位となる電圧(誘起電圧V2)が誘起する。
一方、第2巻線2b側の回路では、スイッチ11aがOFF状態に移行する(ターンオフする)ことにより、期間T1,T2においてON状態のスイッチ11aを経由して実行されていたキャパシタ11bに対する充電(キャパシタ11bにおける直列整流素子部8の電流入力端部側の端子の電位を基準として、キャパシタ11bにおける第2巻線2b側の端子の電位が高電位となる充電)が停止される。
また、期間T2において電流Ieがインダクタ9に流れることによってインダクタ9に蓄積されていたエネルギーが放出されることにより、図5に示すように、インダクタ9から負荷LD、ダイオード8bおよびダイオード8aを経由してインダクタ9に戻る電流経路に電流Icが流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。
また、上記したように、第1巻線2aへの電流(If+Ig)の流入に起因して、第2交流端子部6aに対して第2交流端子部6bが高電位となる誘起電圧V2が第2巻線2bに誘起する。このため、第2巻線2b側の回路では、スイッチ10aがON状態に移行していることにより、第2巻線2bからダイオード8a、ON状態のスイッチ11aおよびキャパシタ10bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路が形成されて、上記の極性の誘起電圧V2(第2巻線2bから出力されるエネルギー)に基づき、図5に示すように、この電流経路に矢印で示す向きに電流Ihが流れる。これにより、キャパシタ10bは、キャパシタ10bにおける第2巻線2b側の端子の電位を基準として、キャパシタ10bにおける直列整流素子部8の電流出力端部側の端子の電位が高電位となるように充電される(キャパシタ10bにエネルギーが蓄積される)。
このように、期間T3では、第1巻線2a側の回路は、キャパシタ7dから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づき、第1巻線2aに合成電流(If+Ig)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7cを充電する動作とを実行する。また、第2巻線2b側の回路は、インダクタ9から放出されるエネルギーに基づいて、負荷LDに電流Icを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)動作と、第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ10bを充電する動作とを第3動作として実行する。
次いで、期間T4では、図2に示すように、駆動信号S2がゼロボルトから正電圧に切り替わることにより、図2,6に示すように、スイッチ11aがOFF状態からON状態に移行する。なお、他の各スイッチは、対応する駆動信号が期間T3のときと同じであることから、期間T3のときのON・OFF状態を継続する。つまり、スイッチ7aがOFF状態を、スイッチ7bがON状態を継続しているときに、スイッチ10a,11aが共にON状態になる。
この場合、第1巻線2a側の回路では、図6に示すように、各スイッチ7a,7bが期間T3のときのON・OFF状態を継続することから、期間T3のときと同じ電流経路が継続して形成される。このため、第1巻線2aに合成電流(If+Ig)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7cを充電する動作とが継続される。
一方、第2巻線2b側の回路では、図6に示すように、期間T3のときと同極性で第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2に基づき、第2巻線2bからダイオード8a、ON状態のスイッチ10aおよびキャパシタ10bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路に電流Ihが継続して流れて、キャパシタ10bへの充電が継続される。また、スイッチ11aがON状態に移行することにより、キャパシタ11bからキャパシタ10b、ON状態のスイッチ10a、インダクタ9、負荷LDおよびON状態のスイッチ11aを経由してキャパシタ11bに戻る新たな電流経路が形成される。これにより、キャパシタ11bに蓄積されていたエネルギーに基づき、この新たな電流経路に電流Ijが流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。また、電流Ijがインダクタ9に流れることにより、インダクタ9にエネルギーが蓄積される。なお、これら2つの電流経路が重なる第1直列回路部10(スイッチ10aおよびキャパシタ10b)には、電流Ih,Ijが逆向きで流れるため、電流Ih,Ijの合成電流(Ih-Ij)がスイッチ10aに流れる。
このように、期間T4では、第1巻線2a側の回路は、キャパシタ7dから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づいて、第1巻線2aに合成電流(If+Ig)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7cを充電する動作とを継続して実行する。また、第2巻線2b側の回路は、第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ10bを充電する動作を継続すると共に、キャパシタ11bから放出されるエネルギーに基づき、負荷LDに電流Ijを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)と共に、インダクタ9にエネルギーを蓄積する動作を第4動作として実行する。
これにより、期間T1から期間T4で構成される1サイクルが完了する。
また、出力直流電圧Voutは、下記の式で表される。なお、nは、第1巻線2a(巻数Np)と第2巻線2b(巻数Ns)の巻数比(Ns/Np)であり、Dは、スイッチ10a,11aのオンデューティであるものとする。
Vout=n×Vin×(2×D-1)
この式から明らかなように、コンバータ装置1Aは、nの値にもよるが、基本的にオンデューティDを、0.5≦D<1の範囲内の値にすることで、出力直流電圧Voutが入力直流電圧Vinよりも小さくなるBuck型(降圧型)コンバータとして機能する。また、この式から明らかなように、コンバータ装置1Aでは、各スイッチ7a,7b,10a,11aのスイッチング周波数を変化させることなく、上記のスイッチ10a,11aについてのオンデューティDを変化させることで、出力直流電圧Voutを制御すること(具体的には、ゼロボルトに至るまでの範囲内の任意の電圧に制御すること)が可能になっている。
このように、このコンバータ装置1Aでは、第1巻線2a側の回路は、入力直流電圧Vinを交流電圧V1に変換して第1交流端子部4a,4bに出力するスイッチング回路部7を備えて構成されると共に、第2巻線2b側の回路は、第2巻線2b、第2直流端子部5a,5b、第2交流端子部6a,6b、直列整流素子部8、インダクタ9、第1直列回路部10および第2直列回路部11を備えて、これらが図1に示すように接続されて構成されている。また、LC共振回路12が、第1巻線2aと第1交流端子部4a,4bとの間に挿入接続されている。
したがって、このコンバータ装置1Aによれば、従来技術で説明した2ステージ型コンバータにおいて必須となっている降圧回路が不要な1ステージ型として構成されているため、この降圧回路のスイッチで発生していたスイッチング損失を無くすことができる。また、このコンバータ装置1Aによれば、第2巻線2b側の回路を構成する各スイッチ10a,11aが制御部13から供給される駆動信号S1,S2によってソフトスイッチング動作を達成し得るような駆動が容易なことから、コンバータ装置1A全体としての損失を低減させることができる。また、このコンバータ装置1Aによれば、第2巻線2b側の回路を構成する各スイッチ10a,11aが制御部13から供給される駆動信号S1,S2で駆動されることにより、第2巻線2b側の回路が、各期間T1,T2,T3,T4において上記の第1動作~第4動作を実行するため、各スイッチ7a,7b,10a,11aのスイッチング周波数を変化させることなく(一定としつつ)、スイッチ10a,11aのオンデューティを変化させることで出力直流電圧Voutを制御すること(具体的には、ゼロボルトに至るまでの範囲内の任意の電圧に制御すること)ができる。これにより、スイッチング周波数を変化させて出力直流電圧Voutを制御する構成のコンバータ装置での課題を解消しつつ、過電流時の出力電圧制御も容易に行うことができる結果、出力短絡時に過大電流が発生するのを回避することができる。
なお、スイッチング回路部7をハーフブリッジスイッチング回路で構成する例を挙げて説明したが、スイッチング回路部7は、この例に限定されるものではない。例えば、図7に示すスイッチング回路部15のように、スイッチング回路部7におけるキャパシタ7c,7dに代えて、スイッチ7e,7f(スイッチ7a,7bと同じnチャネル型のFET)を配設したフルブリッジスイッチング回路で構成することもできる。この場合、図7に示すように、スイッチ7fは、スイッチ7aと同じ駆動信号S11で駆動されて、期間T1,T2においては、スイッチ7aと共にON状態に移行し、期間T3,T4においては、スイッチ7aと共にOFF状態に移行する。また、スイッチ7eは、スイッチ7bと同じ駆動信号S12で駆動されて、期間T1,T2においては、スイッチ7bと共にOFF状態に移行し、期間T3,T4においては、スイッチ7bと共にON状態に移行する。
したがって、コンバータ装置1Aは、このスイッチング回路部15を備えた構成においても、第2巻線2b側の回路が各期間T1~T4において上記した第1動作~第4動作を実行することにより、スイッチング回路部7を備えた構成と同様の効果を奏することができる。
また、スイッチング回路部7は、図8に示すスイッチング回路部16ように、スイッチング回路部7におけるキャパシタ7cを削除したシングルエンドプッシュプル回路で構成することもできる。この場合、図8に示すように、スイッチ7aは駆動信号S11で駆動されて、期間T1,T2においてはON状態に移行し、期間T3,T4においてはOFF状態に移行する。また、スイッチ7bは駆動信号S12で駆動されて、期間T1,T2においてはOFF状態に移行し、期間T3,T4においてはON状態に移行する。したがって、コンバータ装置1Aは、このスイッチング回路部16を備えた構成においても、第2巻線2b側の回路が各期間T1~T4において上記した第1動作~第4動作を実行することにより、スイッチング回路部7を備えた構成と同様の効果を奏することができる。なお、後述するコンバータ装置1Bにおいても、第1巻線2a側の回路において、スイッチング回路部7,15,16のうちのいずれを採用してもよい。
なお、第2巻線2b側の回路については、コンバータ装置1Aで採用した上記の構成に限定されるものではなく、例えば、図9に示すコンバータ装置1Bで採用する後述の回路とすることもできる。以下、このコンバータ装置1Bについて、図9~図14を参照して説明する。なお、コンバータ装置1Aと同じ構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
まず、コンバータ装置1Bの構成について図9を参照して説明する。このコンバータ装置1Bは、トランス2、一対の第1直流端子部3a,3b、一対の第1交流端子部4a,4b、一対の第2直流端子部5a,5b、一対の第2交流端子部6a,6b、スイッチング回路部7,15,16のうちのいずれか(同図では一例として、スイッチング回路部7)、第1直列整流素子部としての直列整流素子部8、インダクタ9、第2直列整流素子部としての直列整流素子部17、第1スイッチとしてのスイッチ10a、第2スイッチとしてのスイッチ11a、キャパシタ18、LC共振回路12、および制御部13を備え、一対の第1直流端子部3a,3b間に入力される入力直流電圧Vinを出力直流電圧Voutに変換して一対の第2直流端子部5a,5b間から出力(具体的には、第2直流端子部5a,5bに接続された負荷LDへ供給)可能に構成されている。
直列整流素子部17は、順方向を揃えて直列接続されると共に、互いの接続点が一対の第2交流端子部6a,6bのうちの他方の第2交流端子部(本例では、第2交流端子部6a)に接続された第3整流素子として機能するnチャネル型のFET17aおよび第4整流素子として機能するnチャネル型のFET17bで構成されている。各FET17a,17bは、互いの接続点(FET17aのソース端子とFET17bのドレイン端子)が第2交流端子部6aに接続されている。また、各FET17a,17bは、後述するように同期整流動作するように駆動されて、ダイオードと同等の整流素子として機能する。なお、FET17aおよびFET17bは、このように整流素子としてそれぞれ機能するため、ボディダイオードと同じ極性の単体のダイオードでそれぞれ置き換えることもできる。したがって、以下では、理解の容易のため、FET17aおよびFET17bは、以下ではダイオード17aおよびダイオード17bともいい、図11~図14中では、FET8a,8bと同様にダイオードのシンボルで表記するものとする。
スイッチ10aは、直列整流素子部8の電流出力端部(本例では、FET8aのドレイン端子)と、直列整流素子部17の電流出力端部(本例では、FET17aのドレイン端子(FET17a内のボディダイオードのカソード端子でもある))との間に接続されている。本例ではスイッチ10aは、nチャネル型のFETで構成されて、そのソース端子が直列整流素子部8の電流出力端部に接続され、そのドレイン端子が直列整流素子部17の電流出力端部に接続されることで、直列整流素子部8,17の各電流出力端部間に接続されている。
スイッチ11aは、直列整流素子部8の電流入力端部(本例では、FET8bのソース端子)と、直列整流素子部17の電流入力端部(本例では、FET17bのソース端子(FET17b内のボディダイオードのアノード端子でもある))との間に接続されている。本例ではスイッチ11aは、nチャネル型のFETで構成されて、そのドレイン端子が直列整流素子部8の電流入力端部に接続され、そのソース端子が直列整流素子部17の電流入力端部に接続されることで、直列整流素子部8,17の各電流入力端部間に接続されている。
キャパシタ18は、直列整流素子部17に並列接続されている。
制御部13は、各スイッチ10a,11aおよび同期整流駆動するFET8a,8b,17a,17bに対して駆動信号S1,S2,S3,S4,S5,S6をそれぞれ出力することにより、またスイッチング回路部7の各スイッチ7a,7bに対して駆動信号S11,S12をそれぞれ出力する(オンデューティ0.5で出力する)ことにより、各スイッチ10a,11a、各FET8a,8b,17a,17b、および各スイッチ7a,7bに対するスイッチング制御を実行する。本例では、各スイッチ7a,7b,10a,11aは上記のようにFETで構成され、また直列整流素子部8,17の各整流素子もFET8a,8b,17a,17bで構成されているため、制御部13は、各スイッチ7a,7b,10a,11aおよびFET8a,8b,17a,17bに対する適切な駆動回路(図示せず)を備えて、スイッチ7a,7b,10a,11aを構成する各FETおよび各FET8a,8b,17a,17bのゲート・ソース間に、各駆動信号S11,S12,S1,S2,S3,S4,S5,S6をソース端子の電位を基準とする正極性の電圧信号として出力するものとする。
次に、コンバータ装置1Bの動作について図9~図14を参照して説明する。
制御部13は、各駆動信号S11,S12,S1~S6を、図10に示す期間T1から期間T4までの出力状態を1サイクルとして、各スイッチ10a,11a,7a,7bおよびFET8a,8b,17a,17bに繰り返し出力する。なお、図10中の「ON」、「OFF」は、駆動信号S11,S12,S1,S2,S3,S4,S5,S6に対応する各スイッチ10a,11a,7a,7bおよびFET8a,8b,17a,17bのON・OFF状態を示している。以下、各期間T1,T2,T3,T4に分けて動作を説明する。なお、FET8a,8b,17a,17bについては、対応する駆動信号S3,S4,S5,S6によって駆動されることにより、この1サイクル全体を通して上記したように整流素子(ダイオード)として機能するため、以下の動作説明においてはダイオード8a,8b,17a,17bといい、個々についての詳細な説明は省略する。また、コンバータ装置1Bの第1巻線2a側の回路は、コンバータ装置1Aの第1巻線2a側の回路と構成が同一である。また、各期間T1,T2,T3,T4における各駆動信号S11,S12のタイミングもコンバータ装置1Aと同一である。これにより、コンバータ装置1Bの第1巻線2a側の回路は、各期間T1,T2,T3,T4においてコンバータ装置1Aの第1巻線2a側の回路と同じ動作を実行するため、コンバータ装置1Bの第1巻線2a側の回路の動作については詳細な説明を省略し、第2巻線2b側の回路の動作を主として説明する。
まず、期間T1では、第1巻線2a側の回路は、コンバータ装置1Aと同様に、キャパシタ7cから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づき、第1巻線2aに合成電流(Ia+Ib)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7dを充電する動作とを実行する。この第1巻線2aへの電流(Ia+Ib)の流入に起因して、図11に示すように、第2交流端子部6bに対して第2交流端子部6aが高電位となる誘起電圧V2が第2巻線2bに誘起する。
第2巻線2b側の回路では、スイッチ11aがON状態のときに、スイッチ10aがON状態からOFF状態に移行することにより、第2巻線2bからダイオード17a、キャパシタ18、ON状態のスイッチ11aおよびダイオード8bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路が形成される。このため、上記の極性の誘起電圧V2(第2巻線2bから出力されるエネルギー)に基づき、図11に示すように、この電流経路に矢印で示す向きに電流Idが流れる。これにより、キャパシタ18は、キャパシタ18における直列整流素子部17の電流入力端部側の端子の電位を基準として、キャパシタ18における直列整流素子部17の電流出力端部側の端子の電位が高電位となるように充電される(キャパシタ18にエネルギーが蓄積される)。また、コンバータ装置1Aと同様に、期間T4において電流Ijがインダクタ9に流れることによってインダクタ9に蓄積されていたエネルギーが放出されることにより、図11に示すように、インダクタ9から負荷LD、ダイオード8bおよびダイオード8aを経由してインダクタ9に戻る電流経路に電流Icが流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。
このように、期間T1では、第2巻線2b側の回路は、インダクタ9から放出されるエネルギーに基づいて、負荷LDに電流Icを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)動作と、第2巻線2bに上記の極性で誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ18を充電する動作とを第1動作として実行する。
次いで、期間T2では、第1巻線2a側の回路は、コンバータ装置1Aと同様に、キャパシタ7cから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づいて、第1巻線2aに合成電流(Ia+Ib)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7dを充電する動作とを継続して実行する。したがって、図12に示すように、第2交流端子部6bに対して第2交流端子部6aが高電位となる誘起電圧V2が第2巻線2bに継続して誘起する。
第2巻線2b側の回路では、スイッチ11aがON状態を継続しているため、図12に示すように、期間T1のときと同極性で第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2に基づき、第2巻線2bからダイオード17a、キャパシタ18、ON状態のスイッチ11aおよびダイオード8bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路に電流Idが継続して流れて、キャパシタ18への充電が継続される。また、スイッチ10aがOFF状態からON状態に移行することにより、キャパシタ18からON状態のスイッチ10a、インダクタ9、負荷LDおよびON状態のスイッチ11aを経由してキャパシタ18に戻る新たな電流経路が形成される。これにより、キャパシタ18に蓄積されていたエネルギーに基づき、この新たな電流経路に電流Ieが矢印の向きに流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。また、電流Ieがインダクタ9に流れることにより、インダクタ9にエネルギーが蓄積される。
また、これら2つの電流経路が重なるスイッチ11aには、電流Id,Ieが逆向きで流れるため、電流Id,Ieの合成電流(Ie-Id)が流れる。
このように、期間T2では、第2巻線2b側の回路は、第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ18を充電する動作を継続すると共に、キャパシタ18から放出されるエネルギーに基づき、負荷LDに電流Ieを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)と共に、インダクタ9にエネルギーを蓄積する動作を第2動作として実行する。
続いて、期間T3では、第1巻線2a側の回路は、コンバータ装置1Aと同様に、キャパシタ7dから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づき、第1巻線2aに合成電流(If+Ig)を、合成電流(Ia+Ib)とは逆向きで供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7cを充電する動作とを実行する。したがって、図13に示すように、第2交流端子部6aに対して第2交流端子部6bが高電位となる誘起電圧V2が第2巻線2bに誘起する。
第2巻線2b側の回路では、スイッチ10aがON状態のときに、スイッチ11aがON状態からOFF状態に移行することにより、第2巻線2bからダイオード8a、ON状態のスイッチ10a、キャパシタ18およびダイオード17bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路が形成される。このため、上記の極性の誘起電圧V2(第2巻線2bから出力されるエネルギー)に基づき、図13に示すように、この電流経路に矢印で示す向きに電流Ihが流れる。これにより、キャパシタ18は、キャパシタ18における直列整流素子部17の電流入力端部側の端子の電位を基準として、キャパシタ18における直列整流素子部17の電流出力端部側の端子の電位が高電位となるように(期間T1のときと同じ極性に)充電される(キャパシタ18にエネルギーが蓄積される)。また、期間T2において電流Ieがインダクタ9に流れることによってインダクタ9に蓄積されていたエネルギーが放出されることにより、図13に示すように、インダクタ9から負荷LD、ダイオード8bおよびダイオード8aを経由してインダクタ9に戻る電流経路に電流Icが流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。
このように、期間T3では、第2巻線2b側の回路は、インダクタ9から放出されるエネルギーに基づいて、負荷LDに電流Icを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)動作と、第2巻線2bに上記の極性で誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ18を充電する動作とを第3動作として実行する。
次いで、期間T4では、第1巻線2a側の回路は、コンバータ装置1Aと同様に、キャパシタ7dから放出されるエネルギーと入力直流電圧Vinからのエネルギーとに基づいて、第1巻線2aに合成電流(If+Ig)を供給する動作と、入力直流電圧Vinからのエネルギーでキャパシタ7cを充電する動作とを継続して実行する。したがって、図14に示すように、第2交流端子部6aに対して第2交流端子部6bが高電位となる誘起電圧V2が第2巻線2bに継続して誘起する。
第2巻線2b側の回路では、スイッチ10aがON状態を継続しているため、図14に示すように、期間T3のときと同極性で第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2に基づき、第2巻線2bからダイオード8a、ON状態のスイッチ10a、キャパシタ18およびダイオード17bを経由して第2巻線2bに戻る電流経路に電流Ihが継続して流れて、キャパシタ18への充電が継続される。また、スイッチ11aがOFF状態からON状態に移行することにより、キャパシタ18からON状態のスイッチ10a、インダクタ9、負荷LDおよびON状態のスイッチ11aを経由してキャパシタ18に戻る新たな電流経路が形成される。これにより、キャパシタ18に蓄積されていたエネルギーに基づき、この新たな電流経路に電流Ijが矢印の向きに流れる(負荷LDに出力直流電圧Voutが出力される)。また、電流Ijがインダクタ9に流れることにより、インダクタ9にエネルギーが蓄積される。
また、これら2つの電流経路が重なるスイッチ10aには、電流Ih,Ijが逆向きで流れるため、電流Ih,Ijの合成電流(Ih-Ij)が流れる。
このように、期間T4では、第2巻線2b側の回路は、第2巻線2bに誘起される誘起電圧V2(第2巻線2bからのエネルギー)でキャパシタ18を充電する動作を継続すると共に、キャパシタ18から放出されるエネルギーに基づき、負荷LDに電流Ijを供給する(出力直流電圧Voutを出力する)と共に、インダクタ9にエネルギーを蓄積する動作を第4動作として実行する。これにより、期間T1から期間T4で構成される1サイクルが完了する。
また、コンバータ装置1Bでの出力直流電圧Voutは、上記したコンバータ装置1Aでの出力直流電圧Voutと同一の式で表される。したがって、コンバータ装置1Bも、コンバータ装置1Aと同様にして、出力直流電圧Voutが入力直流電圧Vinよりも小さくなるBuck型(降圧型)コンバータとして機能すると共に、各スイッチ7a,7b,10a,11aのスイッチング周波数を変化させることなく、上記のスイッチ10a,11aについてのオンデューティDを変化させることで、出力直流電圧Voutを制御すること(具体的には、ゼロボルトに至るまでの範囲内の任意の電圧に制御すること)が可能になっている。
このコンバータ装置1Bにおいても、第1巻線2a側の回路は、入力直流電圧Vinを交流電圧V1に変換して第1交流端子部4a,4bに出力するスイッチング回路部7を備えて構成されると共に、第2巻線2b側の回路は、第2巻線2b、第2直流端子部5a,5b、第2交流端子部6a,6b、各直列整流素子部8,17、インダクタ9および各スイッチ10a,11aを備えて、これらが図9に示すように接続されて構成されている。また、LC共振回路12が、第1巻線2aと第1交流端子部4a,4bとの間に挿入接続されている。
したがって、このコンバータ装置1Bにおいても、従来技術で説明した2ステージ型コンバータにおいて必須となっている降圧回路が不要な1ステージ型として構成されているため、この降圧回路のスイッチで発生していたスイッチング損失を無くすことができる。また、このコンバータ装置1Bによれば、第2巻線2b側の回路を構成する各スイッチ10a,11aが制御部13から供給される駆動信号S1,S2によってソフトスイッチング動作を達成し得るような駆動が容易なことから、コンバータ装置1B全体としての損失を低減させることができる。また、このコンバータ装置1Bにおいても、第2巻線2b側の回路を構成する各スイッチ10a,11bが制御部13から供給される駆動信号S1,S2で駆動されることにより、第2巻線2b側の回路が、各期間T1,T2,T3,T4において上記の第1動作~第4動作を実行するため、各スイッチ7a,7b,10a,11aのスイッチング周波数を変化させることなく(一定としつつ)、スイッチ10a,11aのオンデューティを変化させることで出力直流電圧Voutを制御すること(具体的には、ゼロボルトに至るまでの範囲内の任意の電圧に制御すること)ができる。これにより、スイッチング周波数を変化させて出力直流電圧Voutを制御する構成のコンバータ装置での課題を解消しつつ、過電流時の出力電圧制御も容易に行うことができる結果、出力短絡時に過大電流が発生するのを回避することができる。さらに、このコンバータ装置1Bによれば、第2巻線2b側の回路を構成するためのキャパシタ(半導体素子で構成されるスイッチ10aなどと比較して、通常、その外形が極めて大きくなる電子部品)をキャパシタ18の1個で済ますことができることから、キャパシタ10b,11bの2個必要とするコンバータ装置1Aと比較して、電子部品を実装する回路基板、さらには装置自体を小型化することができる。
なお、上記のコンバータ装置1A,1Bでは、独立した構成要素としての共振キャパシタ12aと共振インダクタ12bとでLC共振回路12を構成したが、これに限定されるものではない。例えば、共振キャパシタ12aは、独立した構成要素として配設する構成に代えて、スイッチング回路部7,16に含まれているキャパシタ(キャパシタ7cやキャパシタ7d)や、第1直列回路部10のキャパシタ10bや、第2直列回路部11のキャパシタ11bで代用することもできる。また、共振インダクタ12bについても、独立した構成要素として配設する構成に代えて、トランス2の漏れインダクタンスで代用することもできる。