JP7011991B2 - 電力需要調整システムおよびその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電力需要調整システムおよびその方法に関し、特に電力系統で需要のピークカットを円滑かつ安定に実行する電力需要調整システムおよびその方法に関する。
電気は大量に貯めておくことが難しく、発電と消費が同時に行われる。このため発電所の事故や故障、猛暑や渇水などの異常気象、天候の急激な変動、景気変動などを原因とする需要増や供給力低下に備え、つねに電力供給力に余裕(以下、「供給余力」ともいう)をもたせておく必要がある。電力需要のピーク(以下、「ピーク需要」又は単に「ピーク」ともいう)に対し、どの程度の供給余力があるかを示す指標として電力供給予備率(以下、「供給予備率」又は「予備率」ともいう)が定義されている。この供給予備率は、供給力から予想最大需要を差し引いた値を、予想最大需要で割って算出する。供給予備率が高い数値であるほど供給余力があり、マイナスの場合には供給余力が不足していることを意味する。
電力需要は一定時間の平均値に対して所定範囲の変動率があることから、電力を安定供給するためには、供給予備率を変動率以上にする必要がある。これに対し、需要が供給力を上回った場合には電圧低下や周波数の乱れが生じ、深刻な電力不足に陥ると大規模停電を招きかねない。このため供給予備率が変動率を下回ると予想される場合、電力会社は計画停電の実施や大口需要家への使用制限を求め、工場などに対して電力使用制限令を発動することがある。
また、特許文献1に、需要予測の不確実性に対し、予備率確保の手段として、蓄電池の放電で確実にピークカットするという技術が開示されている。より具体的には、電力負荷の電力需要を示す需要実績情報と、気象条件を示す気象情報と、に基づいて、将来の所定の時間帯における電力負荷の需要予測値を算出する。算出された需要予測値と、蓄電池の定格出力と、に基づいて、将来の所定の時間帯において電力系統から電力負荷に供給される上限値を設定する。電力の実績値が上限値を超えると、差分に相当する電力を電力負荷へ放電するように蓄電池を制御する、というものである。つまり、過去の経験値に気象情報を加味しての予測制御である。
特開2017-22864
特許文献1に記載の技術、すなわち、電力系統から電力負荷に供給される電力のピークカットを確実に行う電力系統制御の技術には、3つの欠点がある。第1に、電力系統運用者が所有して管理されている蓄電池のみに対する充放電制御を前提としており、それ以外にも多数存在する蓄電池はピークカットのために融通できない点である。第2に、電力需要のピーク発生時刻に蓄電池を放電制御するが、その放電した分に相当する電力を充電する際、需給バランスの時間的変化を見計らって精密かつ緩慢に充電制御しない限り、ピーク発生時刻が別の時刻へシフトされるに過ぎないという結果を招く点である。第3に、蓄電池を放電して残量が少なくなることによる供給予備率の低下、つまり、当該蓄電池に依存して予備率確保する地域に対して停電リスクの増加を招くことを考慮していない点である。その結果、当該蓄電池の放電制御に伴って、それに依存する地域に電力供給不安をもたらすことが危惧される。なお、上述した供給予備率低下及びそれによる停電リスクにも近い不都合な事態として、当該蓄電池の目的機能が毀損された場合に、その目的機能に依存する地域住民に対する迷惑も考えられる。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電力系統で総供給量を増強することなく需要のピークカットを円滑かつ安定に実行することにより、供給不安を低減することが可能な電力需要調整システムを提供することにある。
上述課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上述の課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、電力系統と、該電力系統に接続された複数のバッテリと、前記電力系統で電力需要をピークカットするため前記バッテリに適宜充放電させる需要調整制御指令を与える電力需要調整サーバと、を備えた電力需要調整システムであって、前記電力需要調整サーバは、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である平常時電力需要情報を収集して記憶する需要実績記憶部と、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である制御時電力需要情報を生成して記憶する制御実績記憶部と、前記平常時電力需要情報と前記制御時電力需要情報との時刻別の電力需要の差分をピークカット能力として電力需要の抑制効果を示すプロファイル情報を前記バッテリ毎に生成するプロファイル処理部と、前記ピークカットするための所定時刻における電力需要制御量を決定するために複数の前記プロファイル情報の組合せに基づく制御パターンを生成する制御パターン生成部と、を備え、前記制御パターン生成部は、前記平常時電力需要情報に複数の前記プロファイル情報を加算した電力需要の大きさを所定時間帯で所定値以下に抑制する前記制御パターンを抽出し、該制御パターンに基づく前記需要調整制御指令により、前記複数のバッテリの中から何れかを制御対象に選択することを特徴とするものである。
また、本発明に係る電力需要調整システムにおいて、前記電力需要調整サーバは、前記需要調整制御指令を受けて放電した結果として前記バッテリ毎に予想される供給余力を毀損する供給余力毀損率、又は前記供給余力に依存する地域住民に対する供給不安レベルに応じた指標値を生成する供給不安評価部と、前記指標値を加算した値が小さくなるように前記制御対象を選択する不安最小候補選択部と、をさらに備え、前記バッテリが設置された地点毎の周辺住民が被る不利益の程度を指標化して示される社会的影響が小さくなるように制御対象となる前記バッテリを選択することが好ましい。さらに、本発明に係る電力需要調整システムにおいて、前記電力系統は、末端の需要家に引き込まれる電圧と同レベルの低圧配電線によるものとしても良い。
また、本発明の他の一例を挙げるならば、電力系統で電力需要のピークカットのため、前記電力系統に接続されたバッテリに適宜充放電させる需要調整制御指令が、電力需要調整サーバにおいて実行される電力需要調整方法であって、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である平常時電力需要情報と、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である制御時電力需要情報との時刻別の電力需要の差分をピークカット能力として電力需要の抑制効果を示すプロファイル情報を前記バッテリ毎に生成するプロファイル情報生成ステップと、前記ピークカットするための所定時刻における電力需要制御量を決定するために複数の前記プロファイル情報の組合せに基づく制御パターンを生成する制御パターン生成ステップと、前記需要調整制御指令は、前記制御パターンに基づいて、前記複数のバッテリの中から何れかを制御対象に選択するとともに、前記平常時電力需要情報に前記複数のプロファイル情報を加算した電力需要の大きさを所定時間帯で所定値以下に抑制する需要調整制御ステップと、を有し、前記プロファイル情報生成ステップでは、電力需要の差分を算出するために、調整後の電力需要情報を取得する制御実績処理ステップと、未調整の需要実績処理ステップと、を順不同に適宜繰り返し実行し、前記制御実績処理ステップでは、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である制御時電力需要情報を生成して記憶し、前記需要実績処理ステップでは、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である平常時電力需要情報を収集して記憶する、ことを特徴とするものである。
また、本発明に係る電力需要調整方法において、前記制御パターン生成ステップは、該需要調整制御指令を受けて放電した結果として前記バッテリ毎に予想される供給余力を毀損する供給余力毀損率、又は前記供給余力に依存する地域住民に対する供給不安レベルに応じた指標値を生成する供給不安評価ステップと、前記指標値を加算した値が小さくなるように前記制御対象を選択する不安最小候補選択ステップと、をさらに有し、前記バッテリが設置された地点毎の周辺住民が被る不利益の程度を指標化して示される社会的影響が小さくなるように制御対象となるバッテリを選択することが好ましい。
上述の電力需要調整システム及び電力需要調整方法は、バッテリ毎に、需要制御した場合に他の時間に現れる電力需要変化に対するプロファイル(抑制効果)を有する。そのプロファイル(抑制効果)に対し、需要制御に伴う供給不安レベルの大きさを紐付ける。例えば、電力系統のある地域で過負荷が発生し電力需要抑制しなければならない場合を想定する。この場合は、過負荷が発生する時刻を含む、広い範囲の時間帯で系統問題が発生しないように上述のプロファイル(抑制効果)を組合せる。そして、プロファイルの組合せのうちから、それぞれに紐づく供給不安レベルの合算値が最小となるプロファイルの組合せを選ぶことで制御対象のホームバッテリを選択する。
本発明によれば、電力系統で総供給量を増強することなく需要のピークカットを円滑かつ安定に実行することにより、供給不安を低減することが可能な電力需要調整システムを提供できる。上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る電力需要調整システム(以下、「本システム」ともいう)の全体構成を示すブロック図である。 本システムの需要実績データベース(以下、「需要実績DB」ともいう)の記録内容を示すテーブルである。 本システムの制御実績データベース(以下、「制御実績DB」ともいう)の記録内容を示すテーブルである。 本システムの需要家特性学習部の学習手順を説明するためのフローチャートである。 図4に示した2通りの電力需要計算の手順をより詳しく説明する図であり、(a)は制御時電力需要変化計算、(b)は非制御電力需要実績計算をそれぞれ示している。 本システムの需要予測データベース(以下、「需要予測DB」ともいう)の記録内容を示すテーブルである。 本システムのプロファイルデータベース(以下、「プロファイルDB」ともいう)の記録内容を示すテーブルである。 本システムの制御時電力需要の変化を示すグラフであり、(a)は機器A1、(b)は機器B1、をそれぞれ示している。 本システムの制御パターン(プロファイルの組合せ)出力を得る手順を示すフローチャートである。 本システムで電力需要予測にプロファイル(抑制効果)分を加算したグラフである。 本システムの供給不安評価部による評価手順を示すフローチャートである。 本システムの供給不安レベルデータベース(以下、「供給不安DB」ともいう)の記録内容を示すテーブルである。 本システムの不安最小候補選択部の選択手順を示すフローチャートである。
[定義]
はじめに、用語を定義しておく。一般的に、電力系統(系統)とは、発電設備、送電設備、変電設備、配電設備、といった電力の生産から消費まで、あるいは電力需給調整設備としてホームバッテリのように充放電を行う設備まで含めた全体をいう。また、狭義の電力系統として、送配電ネットワークのみを指すこともあるが、その場合、変電所の変圧器から出力された母線を指すものと定義する。その母線とは、発電所や変電所で、電源から全電流を受け、外線に供給する幹線をいう。以下、適宜に「母線」又は「幹線」と表記して特定する。
また、電力会社には、同時同量を常に達成する義務がある。この同時同量とは、使う電気と作る電気を同じに調整することをいう。そのため、電力会社は、電気の使用量を予測しながら、発電量の調整を行うことにより、電気の安定した利用を実現する。また、電力供給安定化のため、電気事業者による電力系統制御が行われている。一般的な電力系統制御とは、電力供給設備としての水火力発電所と、電力需給調整設備としての蓄電池又は揚水発電所と、を交えた設備群に対し、電圧・周波数等を安定化させる制御、負荷を経済的に配分するピークカットの制御、及びそれらにまつわる管理等をいう。なお、ここでいう電力系統制御とは、概ね1つの変電所から出力される電力で賄われる地域内の電気設備に対するピークカットのために行う電力需要調整をいう。
特に、ここでいう電力需要調整とは、電力系統で総供給量を増強することなく需要のピークカットを円滑かつ安定に実行することにより、供給不安を低減することをいう。この電力需要調整は、その機能を有する電気事業者により行われていたが、必ずしも既存の電力会社のみに限定するものではなく、それに必要な権能を有する公益機関が実行主体となっても良い。その実行主体は、電力需給のひっぱく度、緊急性、結果の重大性に応じて国営、又は政府管掌とする場合もある。
本発明に係る電力需要調整システム(本システム)は、電力の供給増加が困難な事情を含む環境において、より経済的かつ安定化を図るプログラムを実行可能なコンピュータによる制御機能を備えている。ただし、本システムの機能範囲に計画停電は原則として含めない。計画停電は、大規模停電が予想される有事に、それを回避すべく発動される電力使用制限令の最たるものであり、その実行主体はコンピュータでなく人である。これに対し、本システムは、有事でなく、平時に確実な無停電状態を維持するとともに、電力の安定供給を図るための日常管理に好適なコンピュータ装置及びそれを用いた制御方法を提供するものである。
なお、心理的な「供給不安」、数値的な「予備率低下」と、心理的かつ量的な「停電リスク」とは、同一方向の意味を有するものと定義する。これらの逆は、「安定供給」、「予備率確保」、及び「無停電化」である。また、一般的な「無停電化」について、携帯電話基地局に対する個別のバックアップ電源装置が典型例に挙げられるが、ここでいう「無停電化」は、概ね1つの変電所により出力される電力で需要が賄われる地域全体への対策を意味する。なお、後述する不利益な社会的影響とは、バッテリに依存する地域で、当該バッテリの目的機能が毀損したことによる迷惑のほか、当該バッテリの残量が少なくなることによる地域の停電リスク等をいう。
また、地域によっては、特別に重要視される空港、鉄道、消防・警察その他の行政施設のほか、携帯電話基地局、病院、放送局、工場、民家等が混在する。これら各種施設は、それらの重要度に応じてバックアップ電源装置等を各自で備えていることも多い。また、鉄道会社や製鉄会社では電力会社に匹敵する大規模発電所を自前で所有し、地域の電力系統に連系している場合もある。
このような大規模発電所については、電力会社の所有及びその直接管理にも匹敵するので、本システムの制御対象外とする。本システムは、蓄電池式バックアップ電源装置、特にホームバッテリを主な制御対象とする。ここでいうホームバッテリは、家庭用、又は小規模施設で経済的かつ安定化を目的としたバックアップ電源装置と定義する。また、近い将来、電気自動車に内蔵された駆動用バッテリもホームバッテリと同列に位置づけることが可能になると予想される。
また、上述した各種施設の重要度に基づく優先順位の付け方について、有事と平時で優先順位が逆転することも多い。その点について、本システムでは、平時の優先順位のみを考慮する。したがって、本システムでは、有事にピークカットするために、民家への電力供給を止めて、重要施設に電力を優先配分するようなことは想定外とする。ここでいう有事とは計画停電を実施する事態をいう。
[本発明の前提技術]
電力使用制限令の目的とする電力供給安定化、すなわち、予備率確保の手段として、電力売買契約等を工夫することでも、ある程度の対策となる。例えば、デマンドリスポンス(Demand Response、以下、「DR」ともいう)が知られている。このDRとは、「時間帯別に電気料金設定を行う」、「ピーク時に使用を控えた消費者に対価を支払う」等の方法で、電力の使用抑制を促すことにより、ピーク時の電力消費を抑えて、電力の安定供給を図る仕組みをいう。
また、予備率確保の手段として、電力系統の要所に適宜容量の蓄電池を設置することも有効である。現状では、一般的な電力利用料金(電気料)に対し、蓄電池は高価なので多くの場合は電力会社が所有している。しかし、今後は蓄電池の低価格化が進むと見込まれており、電力会社以外の需要家でも、そこでの電力需要に応じた容量の蓄電池を購入し易くなる。その結果、電力需給調整設備として、電力会社以外の小規模需な電気事業者のほか、需要家が所有する蓄電池その他について合計すると、電力系統に接続される総容量が増加する傾向にある。
一方、携帯電話基地局毎のバックアップ電源装置は、予備率確保でなく通信維持を目的として設置を義務付けられたものである。これに類するものとして、エレベータ保安用バッテリもある。これは、旧式のエレベータにおいて、停電時のかご内に乗員が閉じ込められる、という致命的弱点を解決するためのものである。すなわち、新式のエレベータは、エレベータ保安用バッテリを備え、これが平常時に満充電状態で維持されており、停電時の閉じ込め解消に必要十分な容量の電源を確保している。
これにより、新式のエレベータは、停電時に、かご内の照明や連絡部を維持しつつ、最寄り階までかごを昇降させて停止し、扉を開けて動作を完了する。これら一連の動作を完了させるに足りるエネルギーが、エレベータ保安用バッテリに確保されている。これら携帯電話基地局のバックアップ電源装置やエレベータ保安用の蓄電池は、インフラ維持の観点から多目的に電力を融通する自由度が少ないものの、ホームバッテリの一種と位置づけて、本システムによる充放電制御の対象に加えることも考えられる。ただし、後述するように、個々のホームバッテリの目的機能に依存する人が、その目的機能を毀損された場合の不安をどの程度に重み付けて評価するかによっては取り扱いが異なる。その評価に応じて制御方法を変えることとなる。
このように、電力系統制御のピークカットに活用可能な電力需給調整設備としてのホームバッテリは、その数とともに総容量が増加する見通しである。ただし、ホームバッテリは個人所有であり、その所有者が充放電を管理するため、従来は電力会社の管理対象外であった。これに対し、社会全体に存在する個人所有のホームバッテリをDRのように外部から運転状態を間接的に制御できる仕組みも開発されつつある。なお、交流の商用電力系統に直流の蓄電池を連系する場合、不図示の交直(AC/DC)変換手段、及び電圧変換手段を介在させることが不可欠であることはいうまでもなく自明なので、記載が無くとも記載されているものとみなし得る。
また、スマートグリッド(smart grid)が、電力の流れを供給・需要の両側から制御し、最適化できる次世代送電網として、近年普及しつつある。このスマートグリッドは、事業所や工場など、限られた範囲でエネルギー供給源から末端消費部分を通信網で管理することにより、設備とエネルギー消費の両面から効率化することが期待されている。
一方、スマートグリッドの技術に関連し、電力会社が一般家庭の受電口に配設し、無線送信デバイスを付設して適宜に電力需要情報を収集できる電力計(以下、「スマートメータ」ともいう)が普及している。このスマートメータによれば、無人で自動検針できるばかりか、各需要家が望めば自宅等のパーソナルコンピュータ(以下「PC」ともいう)により、グラフ化された需要情報を表示して見ることも可能である。例えば、昨日以前の指定された一日分需要グラフ、一か月分需要グラフ、一年分需要グラフ、昨年同月との比較グラフ、月別電気料金グラフ、等を需要家のPC操作に応じて切り替え表示できる。
このように、スマートメータと組み合わされたサーバならば、電気使用量が簡単にデータ化されるので、リアルタイムで電気の使用量(kW/h)を把握できる。どの時間帯に、何の目的で電気を使用しているのか、また、どの季節のどの時間帯に電気をよく使うか、または使わないかも可視化して理解することができる。つまり、電気使用の傾向も分析しやすくなる。電気の使用の傾向が分かれば、節電対応も容易になるので省エネに寄与するところが大きい。電気料金メニュー(契約)の変更に対する判断も容易になる。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る電力需要調整システム(本システム)について説明する。
[実施例]
図1は本システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本システムは、電力系統1、変圧器(電力供給設備)2、需要家3、ホームバッテリ(以下、単に「バッテリ」ともいう)4、スマートメータ(電力計)5、及び電力需要調整サーバ(以下、単に「サーバ」ともいう)6により構成されている。なお、サーバをコンピュータと読み替えても構わない。
電力系統1は、電力供給設備として一つの変電所の変圧器2の母線から出力される電流を、その変圧器2の出力で賄われる地域に電力を供給するために、母線や幹線から枝分かれした支線により構成される。この電力系統1の上流には、同一周波数のサービスエリア全体に対する電力供給を安定化するように、図示を省略した複数の発電所が系統連系して高圧線ネットワーク(送電網)を形成している。
変圧器2は、主要な需要エリアに配設された変電所、及びその変圧器である。その変圧器2の出力端子に接続された母線、幹線及びそこから枝分かれした支線を介して各需要家3a,3b(まとめて3)まで送配電される。なお、変圧器2は、電力供給設備の一例に過ぎず、これを「需要エリア内、又はその付近に配設された(小規模な)発電設備」と読み替えても良い。
さらに、変圧器2について、変電所に設置された大規模なものに限定することなく、より小範囲な地域に配電する柱上変圧器まで想定することもできる。その場合の電力系統1は、高電圧を送電する本来の定義から逸脱し、末端の需要家に引き込まれる電圧と同レベルの低圧配電線とする。1つの柱上変圧器から配電される需要家3は、小規模店舗店や一般家庭が10件程度だとしても、それぞれにホームバッテリ4、及びそれに相当する電気自動車が接続されている場合、本システム及び本方法の効果が一層高められる。すなわち、1つの柱上変圧器等から配電される規模は小さいので、その小さな範囲の電力総需要に対し、個々のホームバッテリ4の容量が影響力を及ぼし易いため、より高い実効性の有るピークカット対応が期待できる。
各需要家3a,3bには、それぞれホームバッテリ4a,4b(まとめて4)及びスマートメータ5a,5b(まとめて5)が配設されている。これらのホームバッテリ4及びスマートメータ5は、電力事業者の所有するサーバ6に通信経路を介して接続されている。また、ホームバッテリ4は、スマートメータ5を経由して電力系統1との間で電力を授受することが可能である。このホームバッテリ4は、電力需給調整設備としての蓄電池であるものとする。
なお、ホームバッテリ4の典型例は、一般家庭にルーフトップのソーラーパネルと併設され、日中にソーラーパネルの発電した電力により充電しておき、夜間にその家庭に電力を供給するものである。ここで例示するホームバッテリ4a,4bは、ソーラーパネルの有無やその発電状況とは概ね無関係に電力系統1との間で電力を授受する機能を有する。この電力授受部は、サーバ6からの指令によって制御を受ける。
一方、通信経路は、スマートメータ5が計測した消費電力について、そのリアルタイム情報をサーバ6に情報提供する。スマートメータ5は、例えば、5分おきに携帯電話の無線通信ネットワーク経由で情報提供する。電力系統1、各需要家3、ホームバッテリ4、スマートメータ5、及びサーバ6により上述のスマートグリッドが形成されている。このスマートグリッドでは、エネルギー供給源から末端消費部分を通信網で管理することにより、電力の流れを需要供給の双方にとって経済的に有利なように最適制御し、設備とエネルギー消費の両面から効率化する。このスマートグリッドは、ピークカットも主目的の一つである。
サーバ6は、需要実績DB(本発明でいう「需要実績記憶部」)7、制御実績DB(本発明でいう「制御実績記憶部」)8、需要家特性学習部9、需要予測DB10、プロファイルDB11、電力需要調整量取得部12、プロファイル組合せ部(本発明でいう「制御パターン生成部」)13、供給不安評価部14、供給不安DB15、及び、不安最小候補選択部16、を備えて構成されたコンピュータである。なお、上述のプロファイルは、抑制効果と読み替えても良い。
需要実績DB7には、スマートメータ5が計測した消費電力のリアルタイム情報が記録される。制御実績DB8には、ホームバッテリ4毎の電力需要抑制指令の時刻と抑制量の情報が記録される。需要家特性学習部9は、需要実績DB7と制御実績DB8とを参照し、ホームバッテリ4へ電力需要抑制指令を発動しない場合の電力需要を予測するとともに、電力需要抑制指示を発動した場合に、発動しない場合と比較して、電力需要がどの程度変化するかという時系列の電力需要変化量を作成する。このように、需要家特性学習部9で、抑制の前後を比較して得られたホームバッテリ4毎の変化量をプロファイル(抑制効果)という。
需要予測DB10は、電力需要の予測値が記録される。この需要予測DB10には、需要家特性学習部9が生成する予測値のうち、需要抑制制御を発動しない場合の予測値が記録される。プロファイル(抑制効果)DB11には、需要家特性学習部9により生成されたプロファイル(抑制効果)の事例が記録される。電力需要調整量取得部12は、電力需要調整量について、何らかの意図、人工知能等による知性、あるいはソフトウェアの処理により、時と場合に応じて適切に生成された制御用のパラメータを取得する機能である。
電力需要調整量は、季節や日付を含む時刻情報と、地域の気象情報と、地域の行事関連情報と、景気情報と、地域に求められる電力需要抑制量の情報、電力会社から公表される予備率情報、その他により生成される。例えば「午前3時にYkW抑制してください」といった形式である。電力需要調整量は、例えば変圧器2が過負荷であれば、過負荷解消のための電力需要抑制量である。また、電力需要調整量の情報は、デマンドレスポンスアグリゲータやVPP(Virtual Power Plant)アグリゲータからの要請でも良い。さらに、電力小売事業者が販売計画や同時同量を守るための電力需要調整の要請であっても良い。
プロファイル組合せ部13は、プロファイルDB11から複数の抑制効果の事例を抽出し、それぞれをランダムに組合せる。そして、需要予測DB10から取得する電力需要予測情報に後述する制御パターンに示された抑制効果の事例を組合せて得られた情報を加算する。加算後の時系列の電力需要の全時間帯において、以下の第1ピークカット及び第2ピークカットの条件を満たしているか否かを確認する。
第1ピークカットは、電力需要調整量取得部12により得られた電力需要調整量の適用時刻において、必要な量の電力需要を抑制できている機能を意味する。つまり、ピークカットが、円滑かつ安定に実行されることにより、供給不安を低減する機能である。
第2ピークカットは、電力需要調整量の適用時刻以降の時間帯で、電力需要が上限値を越えない機能を意味する。すなわち、ピークを単に時間シフトされるだけでなく、ピーク値を適用時刻で目標値まで低減できたならば、適用時外に再発させない機能である。
第2ピークカットの趣旨について、蓄電池を例に説明する。蓄電池の充電をある時刻で抑制すると、充電抑制した分を別の時間帯で賄う必要が生じる。従って第1ピークカットで電力需要抑制の適用時刻では必要量を抑制できたとしても、別の時間帯で電力需要が増加するために過負荷の問題が発生するリスクがある。そこで第2ピークカットを設けて、電力需要抑制適用時刻だけではなく、その後の時間帯でも過負荷が発生しないように配慮した。
プロファイル組合せ部13では、上述の第1ピークカット及び第2ピークカットの条件を満たすように抑制効果の事例を組合せて制御パターンを生成する。この制御パターン(プロファイルの組合せ)の生成において、抑制効果の事例として、複数のプロファイルが抽出される。これらはプロファイル組合せ部13から供給不安評価部14へと送り込まれる。なお、プロファイル組合せ部13による処理は、図9を用いて後述する。
供給不安評価部14は、電力需要抑制により生じる供給不安の大きさを制御パターン別に評価する。供給不安レベルはホームバッテリ4毎に定められており、その値が供給不安DB15に格納されている。供給不安レベルの値を決めるには、例えば「もし、バッテリ4Xが需要抑制指令を受けて停止したならば、あなたの生活にどの程度不便が生じるか」といったアンケート調査を地域住民に実施し、その回答から生成することが考えられる。つまり、自分の生活に影響があるという住民が多いほど、供給不安レベルの値は大きくなる。
供給不安レベルは、上述したホームバッテリ4毎の停電不安をどの程度に重み付けて評価するかによって、本システムの制御パターンを最適に設定するための数値である。供給不安レベルのアンケート調査について、以下に示す第1例、第2例、を用いて説明する。第1例として、ある集合住宅で数年前に更新されて最新式となったエレベータに付設されたエレベータ保安用バッテリ4aについて、その目的とする機能が毀損される不安をどの程度に重み付けて評価するかを住民にアンケート調査した。その結果、停電時に閉じ込め防止の保安機能を毀損されることへの不安が大きく、電力系統1のピークカットの目的で融通を許容する限度は、既定の蓄電容量の20%に限定すべしとの結論である。
すなわち、マンションエレベータで停電時のかご内に閉じ込められる事故を回避する目的機能を毀損する目的毀損率20%までなら許容されたとする。この場合の目的毀損率を供給不安レベルに換算すると(100-20)%=80%との結論である。その原因は、更新前の旧式のエレベータにおいて、停電時に数時間に及ぶ閉じ込め事故があり、その複数の被害者による悲惨な体験談が周知されているためである。
また、少し位なら電力系統1のピークカットに融通しても構わないとの理由は以下の2点である。第1に、エレベータ保安用バッテリ4aが、本来の保安機能を電力系統1のピークカットに融通することで、その地域の停電を防ぐことに寄与できるならば、保安機能の必要性も下がるので、ある程度まで協力したほうが得策と思われている点である。第2に、エレベータ保安用バッテリ4aは、もとより数倍の安全率を見込まれて設計されていることが住民に開示されている点である。
つぎに、第2例として、携帯電話基地局毎のバックアップ電源装置を例示する。携帯電話基地局は、停電して機能を喪失すると、それに依存している携帯電話の通信品質は当然に劣化し、基地局相互を補完するオーバーラップ局がなければ通話不能となる。これに対し、停電しても法で定められた時間の50%だけの停電保障で足りる、といったアンケート調査の結果が得られたならば、蓄電容量の50%をピークカットの目的で融通しても構わないことになる。
供給不安評価部14は、プロファイル組合せ部13から受信した制御パターンのそれぞれについて供給不安レベルを計算する。そして、制御パターン、すなわちプロファイルの組合せ毎に供給不安レベルの値を紐付けて不安最小候補選択部16へ送信する。不安最小候補選択部16は、供給不安評価部14から受信した制御パターンについて、供給不安レベルの合算値が最小である制御パターンを需要抑制する需要家の組合せとして選択し、これを出力部17へ送信する。
出力部17は、不安最小候補選択部16から受信した制御パターン(プロファイルの組合せ)に紐付けられているホームバッテリに対し、制御時刻と需要抑制制御量を指令する。需要抑制制御量は、各抑制効果の制御適用時刻における電力需要抑制量と同じ値とする。指令情報は制御対象のホームバッテリ4へ伝えられるのみならず、制御実績DB8に記録される。また、出力部17は電力需要抑制指令に伴う電力需要の変化の見通しを示した帳票やグラフ(図10参照)を、本システムのオペレータ等に対し、画像出力や印刷出力する。以下、各部についてより詳しく説明する。
図2は本システムの需要実績DB7の記録内容を示すテーブルである。需要実績DB7のテーブルの一例である。日時、バッテリ4ID毎に、電力需要の計測値が記録される。これらの情報は、スマートメータ5が計測したものである。例えば、2018年4月1日の午前0時0分に、機器ID_A1の機器では、電力需要の計測値が、D_A1_0000(kW/h)である。これらの情報は、需要家特性の学習に用いられる。なお、機器ID_A1の機器は、図1に示すホームバッテリ4aと読み替えても良い。同様に後述する機器ID_B1の機器は、図1に示すホームバッテリ4bと読み替えても良い。
図3は本システムの制御実績DB8の記録内容を示すテーブルである。制御実績DB8のテーブルの一例である。これには、需要制御した対象日時と、制御対象のホームバッテリの機器ID、電力需要の制御量が記録される。これらの情報は、出力部17から出力されたものである。すなわち、図3では、2018年1月1日の午前3時には、機器ID_A1の需要家機器に対してCD_A1_0300(kW/h)という大きさの需要抑制指令があった。また、同日同時刻に、機器ID_B1の需要家機器に対してCD_B1_0300(kW/h)という大きさの需要抑制指令があったことも意味している。これらの情報も、需要家特性の学習に用いられる。
図4は本システムの需要家特性学習部9の学習手順を説明するためのフローチャートである。なお、図4のステップS1~ステップS15に示す需要家特性の学習とは、本発明でいう「プロファイル生成ステップ」を意味する。ここでは、電力需要(kW/h)の平均値を得るための一定時間、すなわち分母を6時間に設定する(図5参照)。図4に示すように、ステップS1では、未処理の機器IDを1つ選択する。ステップS2では、未処理の時刻を1つ選択する。
ステップS3では、適用時刻と機器IDをキーとして、需要実績DB7から需要実績データを6時間分収集する。ステップS4では、適用時刻と機器IDをキーとして、制御実績DB8を参照し、制御実績DB8から制御実績を収集する。このとき、適用時刻が過去の需要抑制制御の実行時刻から一定時間、すなわち6時間以内のものであるか否かを判定し、6時間以内の制御実績データを収集する。
なお、制御時刻について、以下に例示するように取り扱う。ステップS3にて需要実績DB7から取得した機器ID_A1のデータが2018年1月1日の午前5時のものであり、ステップS4にて制御実績DB8に同じ機器について同日の午前3時に需要抑制したデータがあれば、ここでは午前3時を制御時刻とする。
つぎに、ステップS5にて非制御時の電力需要を計算する。ステップS5の方法は、ステップS3で収集した需要実績のうちから、ステップS4で制御適用時刻から一定時間以内ではないと判定されたデータを抽出し、これらの平均値を取って計算する。具体的には、ステップS3にて需要実績DB7から取得した機器ID_A1のデータが2018年1月1日の午前5時のものであり、ステップS4にて制御実績DB8に同じ機器について同日の午前3時に需要抑制したデータがあれば、午前5時のデータは需要抑制制御から一定時間以内のものであると判定する。つぎに、ステップS6では、S5での計算値、すなわち、非制御時の電力需要の実績値を需要予測DB10に記録する。
ステップS7では、未処理の制御時刻を1つ選択する。ステップS8では、未処理の制御量を1つ選択する。ステップS9で制御時の電力需要を計算する。ステップS10では、電力需要抑制の制御を実行した結果、電力需要が非制御時に対して、抑制された効果による変化量を計算する。このとき、電力需要の変化の大きさは、後述するステップS5で計算した非制御電力需要実績値から、ステップS10で計算した制御時電力需要の値を差し引いて計算する。ステップS11では、ステップS10で計算した制御時電力需要変化値の6時間平均値をプロファイルDB11へ格納する。
つぎに、ステップS12では、電力需要抑制量を全て取得するようにループを実行する。その電力需要抑制量について、提示された制御パターン(プロファイルの組合せ)の数だけ全てを取得し終われば(S12でYes)ステップS13へ進むが、ステップS12でNoならステップS8へ戻って、ステップS8~S11の処理を繰り返す。なお、ステップS12において、電力需要抑制量の値は1kW刻みに設定する等、適宜幅を持たせても良い。ステップS13では、同じ制御時刻の制御実績データが複数あり、相互に電力需要抑制量が異なっていれば(S13でNo)、全制御時刻分の電力需要抑制量を全て取得するように、ステップS7へ戻って上述のステップS7~S12の処理を繰り返すようにループを実行する。全制御時刻分の全てを取得し終われば(S13でYes)ステップS14へ進む。
それから、ステップS14のループでは、ステップS2~S6の処理について、ステップS13のループに係るステップS7~S12の処理と同じ制御時刻でループを実行する。その全ての時刻分について処理が完了すれば(S14でYes)ステップS15へ進み、機器IDのループを実行する。このとき、機器IDは需要実績DB7(図2)の機器IDを参照する。機器IDの全てについて処理が完了すれば(S15でYes)終了する。一方、ステップS14でNoならば、ステップS2へ戻って上述のステップS2~S13の処理を繰り返すようにループを実行する。同様に、ステップS15でNoならば、ステップS1へ戻って上述のステップS1~S14の処理を繰り返すようにループを実行する。
図5は、図4に示した2通りの電力需要計算の手順をより詳しく説明する図であり、(a)は制御時電力需要変化計算ステップS10、(b)は非制御電力需要実績計算ステップS5をそれぞれ示している。図5(a)に示すように、制御時電力需要変化計算ステップS10は、制御時電力需要変化値の6時間平均値を1時間おきに算出する。現在t1で得られた値は、6時間前からの概ね連続的な計測値を6時間平均した値であり、それより1時間ずつ古い6時間平均値が、需要実績DB7(図2)に記録されている。
また、図5(b)に示すように、非制御電力需要実績計算ステップS5は、非制御時電力需要変化値の6時間平均値を1時間おきに算出する。現在t1で得られた値は、6時間前からの概ね連続的な計測値を6時間平均した値であり、それより1時間ずつ古い6時間平均値が、制御要実績DB8(図3)に記録されている。
図6は本システムの需要予測DB10の記録内容を示すテーブルである。図6に示すように、機器ID、時刻に対し、ステップS5で生成した非制御時の電力需要の値を「予測電力需要」欄に記録する。すなわち、機器ID_A1の午前3時の予測電力需要(すなわち非制御時の電力需要の平均値)はPD_A1_0300(kW/h)という値であることを示している。
図7は本システムのプロファイルDB11の記録内容を示すテーブルである。ここでは、機器ID、電力需要抑制が実施された制御時刻、制御量(kW/h)、需要データの時刻、制御時の電力需要変化(kW/h)を記録する。図4のステップS10で得た制御時電力需要変化計算値は、図7に示すプロファイルDB11の「制御時電力需要変化(kW/h)」にデータ変換して記憶される。これらのテーブルに格納されるデータを時系列グラフに表示して図8に示す。
図8は本システムの制御時電力需要の変化を示すグラフであり、(a)は機器A1、(b)は機器B1、をそれぞれ示している。これらは、プロファイルDB11に格納される制御時電力需要変化のデータを時系列表示したイメージである。(a)は機器ID_A1の機器の制御時電力需要変化の一例である。本機器は、3時に需要抑制指令を受け、dD_A1_0300_0300(kW/h)の規模で電力需要を抑制した。
その後、需要抑制した分の電力需要を賄うために、需要抑制指令が解除された4時以降に、dD_A1_0300_0400、dD_A1_0300_0500と、制御時電力需要変化が現れている。(b)は機器ID_B1の機器の制御時電力需要変化の一例である。
同じく3時に需要抑制指令を受け、dD_B1_0300_0300(kW/h)の規模で電力需要を抑制した。その後、需要抑制した分の電力需要を賄うために、需要抑制指令場解除された4時以降に、dD_B1_0300_0400、dD_B1_0300_0500と、制御時電力需要変化が現れている。
図9は本システムの制御パターン(図1のプロファイル組合せ部13による)出力を得る手順を示すフローチャートである。なお、図9のステップS21~S29全体から最終的に示されるプロファイルの組合せ出力は、本発明でいう「需要調整制御指令」を意味する。図9のステップS21では、必要電力需要調整量を取得する。これは、電力需要調整量取得部12で得られる情報である。電力需要調整量は、時刻情報と、地域としての電力需要抑制量の情報で構成されている。例えば「午前3時にYkW抑制してください(図10参照)」といった形式である。電力需要調整量は、図1の変圧器2が過負荷であれば、その過負荷を解消するための電力需要抑制量である。過負荷を解消しなければ、不図示の過電流遮断機等の保安機能が作動するので、変圧器2の出力で賄われる地域は停電する。
また、電力需要調整量の情報は、デマンドレスポンスアグリゲータやVPP(Virtual
Power Plant)アグリゲータからの要請でも良い。さらに、電力小売事業者が販売計画同時同量を守るための電力需要調整の要請であっても良い。ステップS22では需要予測情報を取得する。このステップS22では、需要予測DB10を参照し、ステップS21で取得した必要電力需要調整量を確保する時刻(すなわち制御適用時刻)から一定時間の需要予測情報を取得する。
ステップS23ではプロファイル(抑制効果)データを取得する。ステップS21で取得した電力需要調整量を確保する時刻(すなわち制御適用時刻)と同じ時刻に制御したプロファイルデータをプロファイルDB11から抽出して制御に反映させる。ステップS24では、ステップS23で抽出したプロファイルデータの様々な組合せを生成する。ステップS25では、プロファイル(抑制効果)の未組合せを1つ選択する。
例えば、ステップS21で取得した電力需要調整量を確保する時刻が3時であれば、プロファイルDB11を参照して、制御時刻が3時の抑制効果(図10参照)を複数抽出し、抽出した抑制効果の様々な組合せを生成する。ステップS26では、需要予測に組合せた抑制効果の時刻毎の電力需要の変化を加算する。例えば、4時の需要予測は(図6参照)、次式
〔数1〕
Σ(PD_A1_0400+PD_B1_004+・・・) ……(1)
のように表すことができる。
つまり、需要予測DB10を参照し、4時の需要実績を合算して求める。つぎに、制御パターンの電力需要の変化を加算する。制御パターンが、機器ID_A1とB1の組合せであった場合、4時の抑制効果の電力需要の変化の大きさは(図7参照)、次式
〔数2〕
dD_A1_0300_0400 + dD_B1_0300_0400 ……(2)
となる。
そこで、(1)式の需要予測に(2)式のA1とB1が需要要請制御した場合の需要変化を足して、次式
〔数3〕
Σ(PD_A1_0400+PD_B1_004+・・・)
+dD_A1_0300_0400 + dD_B1_0300_0400 ……(3)
のように計算する。
つぎのステップS27は過負荷発生の確認である。つまり、以下の(3)式で計算した値が電力需要の上限値と比較して大きいか小さいかを判定する。ステップS28は、ステップS24で生成したプロファイルの組合せ、すなわち制御パターン毎のループ処理である。図9の説明の途中であるが、図10を用いて本システムによる処理結果についての時系列変化をグラフ表示する。
図10は本システムで電力需要予測にプロファイル(抑制効果)分を加算したグラフである。これは、太線で示した需要予測に対し、A1とB1の電力需要予測にプロファイル(抑制効果)分を加算している。加算したことにより、需要予測の太線が水平の破線で示す上限レベル以下に平準化されて凹凸が減少した状態が得られている。時刻3時に機器A1,B1から放電して電力系統1のピークカットで融通した電力(図10のハッチング部分)を、時刻4~7時に電力系統1機器からA1,B1を充電することで返還している。
その結果、時刻3時ではプロファイル(抑制効果)分を加算した後の電力需要は上限値以下となり、それ以降の時刻においても電力需要を越えるところはない。このようなケースでは「過負荷なし」と判定する。一方で、何れかの時刻で過負荷、すなわち、需要予測にプロファイル(抑制効果)分を加算した結果が上限値を超える場合には「過負荷あり」と判定する。ステップS29では、ステップS21~S28までの処理を通じて、過負荷が発生しない制御パターンを供給不安評価部14へ出力する。
図11は本システムの供給不安評価部14による評価手順を示すフローチャートである。図11に示すように、ステップS31では、プロファイル(抑制効果)の未組合せを1つ選択する。ステップS32では、未処理の機器IDを1つ選択する。ステップS33では、供給不安DB15を参照し、着目する機器の供給不安レベルを取得する。供給不安レベルとは、あるバッテリ4の電力需要を制御することにより、バッテリ4の目的機能に依存する地域住民に与える影響の大きさを数値化したものである。ステップS34では、ステップS33で機器毎に取得した供給不安レベルの値を合算する。ステップS35では、後にステップS36で着目するプロファイルの組合せ、すなわち、制御パターンの各抑制効果に紐付けられている機器IDでループする。ステップS36では、プロファイル組合せ部13から受け取る制御パターン毎にループする。
ステップS37では、供給不安レベルの合算値を制御パターンと紐付けて不安最小候補選択部16へ出力する。供給不安レベルの値を決めるには、例えば「バッテリXが需要抑制指令を受けて停止したとすると、あなたの生活にどの程度不便が生じるか」といったアンケート調査を地域住民に実施し、その回答から生成することが考えられる。つまり、自分の生活に影響があるという住民が多いほど、供給不安レベルの値は大きくなる。アンケート調査の質問形式によれば、心理的側面をある程度数値化することも可能である。
図12は本システムの供給不安DB15の記録内容を示すテーブルである。供給不安DB15のテーブルの一例である。機器ID、電力需要を制御する時間帯毎に、供給不安レベルが設定されている。例えば、供給不安レベルが小さければ1であり、供給不安が大きくなるにつれて供給不安レベルの値が大きくなる。この供給不安レベルの値は、本発明でいう「指標値」であり、それを得る手順が「指標化」である。
図13は本システムの不安最小候補選択部16の選択手順を示すフローチャートである。ステップS41にて、供給不安評価部14から受信することにより、制御パターンと、それに紐付けられている供給不安レベルの合算値を取得する。ステップS42にて、ステップS41で取得した制御パターンの中から、供給不安レベルの合算値が最小にする制御パターンを選択する。
ステップS43では、ステップS42で選択した制御パターンについて、それぞれの抑制効果に紐付けられている需要家機器4への需要抑制量を需要抑制の指令内容として決定する。例えば、図8に示す、機器ID_A1とB1の制御パターンの場合の供給不安レベルの合算値が他の制御パターンの供給不安レベルの中で最小であったとすると、機器ID:A1への需要抑制の指令量をdD_A1_0300_0300とし、機器ID:B1への需要抑制の指令量をdD_B1_0300_0300と決める。
図1に戻り、出力部17で、不安最小候補選択部16から受信した制御パターンに紐付けられているホームバッテリ4に対し、制御時刻と需要抑制制御量を指令する。需要抑制制御量は、各抑制効果の制御適用時刻における電力需要抑制量と同じ値とする。指令情報は制御対象のホームバッテリ4へ指令されるのみならず、制御実績DB8に記録される。また、出力部17は電力需要抑制指令に伴う電力需要の変化の見通し(図10参照)をオペレータ等へ画像出力や印刷出力する。
以下、本システムの要点を特許請求の範囲の記載に対応付けて簡単に説明する。本システムは、電力系統1と、電力系統1に接続された複数のバッテリ4と、電力系統1で電力需要をピークカットするためバッテリ4に適宜充放電させる需要調整制御指令を与える電力需要調整サーバ6と、を備えて構成されている。電力需要調整サーバ6は、需要実績記憶部9,10と、制御実績記憶部7と、プロファイル処理部11と、制御パターン生成部13と、を備えている。なお、符号で特定された部位は他部と連携動作するので、特定部位には周辺部位も含まれる。
需要実績記憶部7は、バッテリ4が需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の電力需要の情報である平常時電力需要情報を収集して記憶する。制御実績記憶部7は、バッテリ4が需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の電力需要の情報である制御時電力需要情報を生成して記憶する。
プロファイル処理部11は、平常時電力需要情報と制御時電力需要情報との時刻別の電力需要の差分をピークカット能力として電力需要の抑制効果を示すプロファイル情報をバッテリ毎に生成する。制御パターン生成部13は、ピークカットするための所定時刻における電力需要制御量を決定するために複数のプロファイル情報の組合せに基づく制御パターンを生成する。
制御パターン生成部13は、生成された複数のプロファイル情報の組合せの中から、平常時電力需要情報に複数のプロファイル情報を加算した電力需要の大きさを所定時間帯で所定値以下に抑制する制御パターンを抽出する。電力需要調整サーバ6は、抽出された制御パターンに基づく需要調整制御指令により、複数のバッテリ4の中から何れかを制御対象に選択する。その結果、電力系統で総供給量を増強することなく需要のピークカットを円滑かつ安定に実行することにより、供給不安を低減する効果が得られる。
また、電力需要調整サーバ6は、供給不安評価部14と、不安最小候補選択部16と、をさらに備えている。供給不安評価部14は、需要調整制御指令を受けて放電した結果としてバッテリ毎に予想される供給余力を毀損する供給余力毀損率、又は供給余力に依存する地域住民に対する供給不安レベルに応じた指標値を生成する。不安最小候補選択部16は、指標値を加算した値が小さくなるように制御対象を選択する。これらによって、サーバ6は、バッテリ4が設置された地点毎の周辺住民が被る不利益の程度を指標化して示される社会的影響が小さくなるように制御対象となるバッテリ4を選択する。
その結果、需要抑制するバッテリ4を選択する際、電力需要制御に伴う供給不安レベルの情報と、電力需要制御により他の時間に現れる電力需要変化の情報を用いて、需要抑制適用時刻において必要抑制量を確保し、かつ、他の時間帯においても過負荷が発生せず、かつ、供給不安レベルが小さくなる需要家機器を選択する。その結果、需要抑制のために選択されたバッテリ4の目的機能が毀損された場合に、その目的機能に依存する地域住民に対する迷惑を少なくするように配慮した上で、電力系統1のピークカットが実行できる。
このような本システムにおいて、供給不安評価部14の一例として住民アンケートに基づく需要調整の結果、エレベータ保安用バッテリ4aが、マンションエレベータで停電時のかご内に閉じ込められる事故を回避する目的機能を毀損する目的毀損率20%までなら許容されたとする。この場合の目的毀損率を供給不安レベルに換算すると(100-20)%=80%とする。他の一例について、携帯電話基地局の無停電装置用バッテリ4bが、停電時の携帯電話中継機能確保の目的機能に依存する地域住民に対する供給不安レベルが50%であるとする。このような、供給不安レベルであることに応じてパラメータに重み付けする。
サーバ6は、不安最小候補選択部16を有するプログラムを実行し、重み付けられたパラメータを用いて、演算処理することにより、バッテリ4a,4b毎の供給不安レベルを加算した値が小さくなるように、制御対象を選択する。上述の例において、エレベータ保安用バッテリ4aは供給不安レベル80%であり、無停電装置用バッテリ4bの供給不安レベル50%より大きいので、制御対象として選択しないように制御される。その結果、本システムにおいて、社会的影響を考慮した電力系統1のピークカットを実行できる。
以下、本方法の要点を特許請求の範囲の記載に対応付けて簡単に説明する。本方法は、電力系統1で電力需要のピークカットのため、電力系統1に接続されたバッテリ4に適宜充放電させる需要調整制御指令が、電力需要調整サーバ1において実行される電力需要調整方法である。本方法は、プロファイル情報生成ステップ(図4)と、制御パターン生成ステップ(図9)と、需要調整制御ステップと、を有する。
プロファイル情報生成ステップ(図4)では、平常時電力需要情報と制御時電力需要情報との時刻別の電力需要の差分をピークカット能力として電力需要の抑制効果を示すプロファイル情報をバッテリ4毎に生成する。平常時電力需要情報は、バッテリ4が需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の電力需要の情報である。制御時電力需要情報は、バッテリ4が需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の電力需要の情報である。制御パターン生成ステップ(図9)では、ピークカットするための所定時刻における電力需要制御量を決定するために複数のプロファイル情報の組合せに基づく制御パターンを生成する。
需要調整制御ステップでは、この制御パターンに基づいて、複数のバッテリの中から何れかを制御対象に選択するとともに、平常時電力需要情報に複数のプロファイル情報を加算した電力需要の大きさを所定時間帯で所定値以下に抑制するように、需要調整制御指令を実行する。
なお、プロファイル情報生成ステップ(図4)では、電力需要の差分を算出するために、調整後の制御実績処理ステップ(S10)と、未調整の需要実績処理ステップ(S5)と、を順不同に適宜繰り返し実行する。制御実績処理ステップ(S10)では、バッテリ4が需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の電力需要の情報である制御時電力需要情報を生成して記憶する。また、需要実績処理ステップ(S5)では、バッテリ4が需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の電力需要の情報である平常時電力需要情報を収集して記憶する。
このような本方法によれば、本システムの作用効果と同様に、電力系統で総供給量を増強することなく需要のピークカットを円滑かつ安定に実行することにより、供給不安を低減する効果が得られる。
さらに、制御パターン生成ステップ(図9)は、供給不安評価ステップ(S33,S41)と、不安最小候補選択ステップ(S42)と、を有する。供給不安評価ステップでは、需要調整制御指令を受けて放電した結果としてバッテリ4毎に予想される供給余力を毀損する供給余力毀損率、又は供給余力に依存する地域住民に対する供給不安レベルに応じた指標値を生成する(S33)。不安最小候補選択ステップ(S42)では、指標値を加算した値が小さくなるように制御対象を選択する。
このような手順により、バッテリ4が設置された地点毎の周辺住民が被る不利益の程度を指標化して示される社会的影響が小さくなるように制御対象となるバッテリ4を選択する。その結果、社会的影響が小さくなるようにしながら、電力系統1の電力需要制御を実行するので、それによる迷惑が少なくて済む。その作用効果も本システムと同様である。上述した不利益な社会的影響とは、バッテリ4に依存する地域で、当該バッテリの目的機能が毀損したことによる迷惑のほか、当該バッテリ4の残量が少なくなることによる地域の停電リスク等をいう。
電力系統は、末端の需要家に引き込まれる電圧と同レベルの低圧配電線であっても良い。その場合、本システム及び本方法の効果が一層高められる。すなわち、1つの柱上変圧器等から配電される規模は小さいので、その小さな範囲の電力総需要に対し、個々のホームバッテリ4の容量であっても影響力を及ぼし易くなる。その結果、より高い実効性の有るピークカット対応が期待できる。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、例示したホームバッテリ4は、ソーラーパネルに併設されたものに限定されない。
本発明は、発電所・変電所・送電線・配電線のほか、電力需給調整設備として蓄電池が接続された電力系統に対し、電力供給安定化のために電力系統制御を行う権能を有する電気事業者に採用される可能性がある。
1 電力系統
2 変圧器(電力供給設備)
3(3a,3b) 需要家
4(4a,4b) ホームバッテリ(バッテリ)
5(5a,5b) スマートメータ(電力計)
6 電力需要調整サーバ(コンピュータ)
7 需要実績DB
8 制御実績DB
9 需要家特性学習部
10 需要予測DB
11 プロファイル(抑制効果)DB
12 電力需要調整量取得部
13 プロファイル組合せ部(制御パターン生成部)
14 供給不安評価部
15 供給不安DB
16 不安最小候補選択部
17 出力部

Claims (6)

  1. 電力系統と、該電力系統に接続された複数のバッテリと、前記電力系統で電力需要をピークカットするため前記バッテリに適宜充放電させる需要調整制御指令を与える電力需要調整サーバと、を備えた電力需要調整システムであって、
    前記電力需要調整サーバは、
    前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である平常時電力需要情報を収集して記憶する需要実績記憶部と、
    前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である制御時電力需要情報を生成して記憶する制御実績記憶部と、
    前記平常時電力需要情報と前記制御時電力需要情報との時刻別の電力需要の差分をピークカット能力として電力需要の抑制効果を示すプロファイル情報を前記バッテリ毎に生成するプロファイル処理部と、
    前記ピークカットするための所定時刻における電力需要制御量を決定するために複数の前記プロファイル情報の組合せに基づく制御パターンを生成する制御パターン生成部と
    を備え、
    前記制御パターン生成部は、前記平常時電力需要情報に複数の前記プロファイル情報を加算した電力需要の大きさを所定時間帯で所定値以下に抑制する前記制御パターンを抽出し、該制御パターンに基づく前記需要調整制御指令により、前記複数のバッテリの中から何れかを制御対象に選択する
    ことを特徴とする電力需要調整システム。
  2. 前記電力需要調整サーバは、
    前記需要調整制御指令を受けて放電した結果として前記バッテリ毎に予想される供給余力を毀損する供給余力毀損率、又は前記供給余力に依存する地域住民に対する供給不安レベルに応じた指標値を生成する供給不安評価部と、
    前記指標値を加算した値が小さくなるように前記制御対象を選択する不安最小候補選択部と
    をさらに備え、
    前記バッテリが設置された地点毎の周辺住民が被る不利益の程度を指標化して示される社会的影響が小さくなるように制御対象となる前記バッテリを選択する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力需要調整システム。
  3. 前記電力系統は、末端の需要家に引き込まれる電圧と同レベルの低圧配電線によるものとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力需要調整システム。
  4. 電力系統で電力需要のピークカットのため、前記電力系統に接続されたバッテリに適宜充放電させる需要調整制御指令が、電力需要調整サーバにおいて実行される電力需要調整方法であって、
    前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である平常時電力需要情報と、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である制御時電力需要情報との時刻別の電力需要の差分をピークカット能力として電力需要の抑制効果を示すプロファイル情報を前記バッテリ毎に生成するプロファイル情報生成ステップと、
    前記ピークカットするための所定時刻における電力需要制御量を決定するために複数の前記プロファイル情報の組合せに基づく制御パターンを生成する制御パターン生成ステップと、
    前記需要調整制御指令は、前記制御パターンに基づいて、前記複数のバッテリの中から何れかを制御対象に選択するとともに、前記平常時電力需要情報に前記複数のプロファイル情報を加算した電力需要の大きさを所定時間帯で所定値以下に抑制する需要調整制御ステップと、
    を有し、
    前記プロファイル情報生成ステップでは、電力需要の差分を算出するために、調整後の電力需要情報を取得する制御実績処理ステップと、未調整の需要実績処理ステップと、を順不同に適宜繰り返し実行し、
    前記制御実績処理ステップでは、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けて動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である制御時電力需要情報を生成して記憶し、
    前記需要実績処理ステップでは、前記バッテリが前記需要調整制御指令を受けずに動作する場合における時刻別の前記電力需要の情報である平常時電力需要情報を収集して記憶する
    ことを特徴とする電力需要調整方法。
  5. 前記制御パターン生成ステップ、
    該需要調整制御指令を受けて放電した結果として前記バッテリ毎に予想される供給余力を毀損する供給余力毀損率、又は前記供給余力に依存する地域住民に対する供給不安レベルに応じた指標値を生成する供給不安評価ステップと、
    前記指標値を加算した値が小さくなるように前記制御対象を選択する不安最小候補選択ステップと、
    をさらに有し、
    前記バッテリが設置された地点毎の周辺住民が被る不利益の程度を指標化して示される社会的影響が小さくなるように制御対象となるバッテリを選択する
    ことを特徴とする請求項4に記載の電力需要調整方法。
  6. 前記電力系統は、末端の需要家に引き込まれる電圧と同レベルの低圧配電線であることを特徴とする請求項4又は5に記載の電力需要調整方法。
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