以下に図面を参照して、本発明にかかる電子時計の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(実施の形態1にかかる電子時計によるステップモータの回転子の位置決め)
図1は、実施の形態1にかかる電子時計によるステップモータの回転子の位置決めの一例を示す図である。図1に示す第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120のそれぞれは、実施の形態1にかかる電子時計がステップモータ(ステッピングモータ)へ入力するパルス(所定パルス)である。
ロータ位置130は、実施の形態1にかかる電子時計のステップモータのロータ(回転子)の位置方向である。実施の形態1にかかる電子時計は、ロータの位置方向(ロータ位置130)に応じて情報を表示する。位置方向とは、たとえばあるロータの状態を基準として、その基準からロータがいずれの方向にどれだけ回転したか(回転角)を示す。したがって、たとえば位置方向=0[°]および位置方向=360[°]は、ロータの向きは同じであるが互いに異なる位置方向である。
ロータ位置130の「0」~「5」は、ロータの180[°]ごとの安定位置方向を示している。安定位置方向は、ステップモータにパルスが入力されていない場合にロータが停止する位置方向である。「0」~「5」のうち、大きい数字から小さい数字へ向かう方向をロータの逆転方向(第1方向)とし、小さい数字から大きい数字へ向かう方向をロータの正転方向(第2方向)とする。
逆転側停止位置140は、ロータの逆転方向の回転範囲を制限するストッパにより、ロータがそれ以上は逆転側に回転できない位置である。図1に示す例では、逆転側停止位置140は「0」と「1」の間のうち「0」に近い位置である。
第1補正逆転パルス110は、ロータを逆転方向に1ステップ回転させるパルスである。たとえば、第1補正逆転パルス110は、パルス111~113および補正パルス111aを含む。パルス111は負極性のパルスである。パルス112は、パルス111の後のパルスであってパルス111と逆極性(正極性)のパルスである。パルス113は、パルス112の後のパルスであってパルス112と逆極性(負極性)のパルスである。また、図1に示す例では、パルス113は、幅が狭い複数のパルスにより実現されている。これにより、パルス113の消費電力が抑制できる。
補正パルス111aは、パルス111の前のパルスであって、パルス111の幅以上の幅かつパルス111と同極性(負極性)のパルスである。また、補正パルス111aは、パルス111との間に一定時間の間隔を有する。この一定時間は、たとえば、補正パルス111aにより回転したロータが停止するまでに要する時間である。また、補正パルス111aの強度は、たとえばパルス111の強度と同程度、またはパルス111の強度より高くすることができる。補正パルス111aの強度をパルス111の強度より高い強度とすることにより、動作のバラツキによる影響を受けにくくすることができる。
第2補正逆転パルス120は、第1補正逆転パルス110の極性を逆にしたパルスであって、ロータを逆転方向に1ステップ回転させるパルスである。第2補正逆転パルス120は、パルス121~123および補正パルス121aを含む。パルス121、パルス122、パルス123および補正パルス121aは、それぞれパルス111、パルス112、パルス113および補正パルス111aの極性を逆にしたパルスである。
たとえば、第1補正逆転パルス110は、ロータ位置130が「0」、「2」または「4」である場合はロータ位置130に対して逆位相パルスとなりロータを回転させないが、ロータ位置130が「1」、「3」または「5」である場合はロータ位置130に対して同位相パルスとなりロータを1ステップだけ逆転方向に回転させる。一方、第2補正逆転パルス120は、ロータ位置130が「0」、「2」または「4」である場合はロータ位置130に対して同位相パルスとなりロータを1ステップだけ逆転方向に回転させるが、ロータ位置130が「1」、「3」または「5」である場合はロータ位置130に対して逆位相パルスとなりロータを回転させない。したがって、第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120をステップモータに交互に入力することで、ロータ位置130を1ステップずつ逆転方向に移動させることができる。
ロータ状態101は、ロータ位置130が「3」である場合にステップモータへ第1補正逆転パルス110を入力した状態を示している。この場合は、ロータが1ステップだけ逆転方向に回転してロータ位置130が「2」になる。ロータ状態102は、ロータ位置130が「2」である場合にステップモータへ第2補正逆転パルス120を入力した状態を示している。この場合は、ロータが1ステップだけ逆転方向に回転してロータ位置130が「1」になる。
ロータ状態103は、ロータ位置130が「1」である場合にステップモータへ第1補正逆転パルス110を入力した状態を示している。この場合は、ロータが1ステップだけ逆転方向に回転しようとするがストッパにより止まり、ロータ位置130が逆転側停止位置140に接する。ロータ状態104は、ロータ位置130が逆転側停止位置140に接している場合にステップモータへ第2補正逆転パルス120を入力した状態を示している。この場合は、ロータが正転方向に回転してロータ位置130が「1」になる。
仮に、第1補正逆転パルス110から補正パルス111aを省いた逆転パルスと、第2補正逆転パルス120から補正パルス121aを省いた逆転パルスと、を交互にステップモータへ入力すると、ロータ状態101~103は同様の動作になるが、ロータ状態104においてロータが正転方向に2ステップ以上回転してロータ位置130が「3」になってしまう。このため、この場合は、十分な数の逆転パルスをステップモータへ入力しても、ロータ位置130が逆転側停止位置140の付近に移動するとは限らない。
これは、逆転側停止位置140とロータの安定位置方向との関係により、ロータ状態103のように逆転パルスによってロータ位置130が逆転側停止位置140に接した状態で停止し得ることに起因する。そして、逆転側停止位置140とロータの安定位置方向との関係は、電子時計の製造時にランダムに決まる。たとえば、仮に逆転側停止位置140が「0」と「1」の間のうち「1」に近い位置であれば、ロータ状態103においてロータ位置130は「1」に移動するためこのような問題は生じない。
これに対して、実施の形態1にかかる電子時計は、逆転側停止位置140とロータの安定位置方向との関係によらず、十分な数の第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120をステップモータへ入力することで、ロータ位置130を逆転側停止位置140の付近に移動させることができる。このため、ステップモータのロータの位置決めを正確に行うことができる。ステップモータのロータの位置決めを正確に行うことで、ロータの回転に応じた情報の表示を正確に行うことができる。
ただし、実施の形態1にかかる電子時計がステップモータへ入力するパルスは、これに限らず、たとえば、ロータの逆転方向の回転がストッパにより少なくとも1回止められるまでロータを逆転方向に回転させるパルス群であって少なくとも末尾に第1補正逆転パルス110または第2補正逆転パルス120を含むパルス群であればよい。これにより、ロータ位置130を逆転側停止位置140の付近に移動させることができる。
また、実施の形態1にかかる電子時計は、このようなパルス群をステップモータへ入力した後に、ロータを正転方向に1ステップ回転させるパルスを所定数だけステップモータへ入力してもよい。これにより、ロータ位置130を任意の安定位置方向に移動させることができる。
つぎに、第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120に含まれる各パルスの具体例について説明する。たとえば、パルス111,121の各パルス幅は1~1.5[ms]程度とし、パルス112,122の各パルス幅は2~2.5[ms]程度とすることができる。また、パルス113に含まれる各パルスの幅は、たとえば合計で10[ms]程度とすることができる。また、パルス123に含まれる各パルスの幅は、たとえば合計で10[ms]程度とすることができる。
また、補正パルス111a,121aの各パルス幅は、たとえばパルス111,121の各パルス幅と同じ1~1.5[ms]程度、またはそれより長い2[ms]程度とすることができる。また、補正パルス111aとパルス111との間の一定時間の間隔は、たとえば2~3[ms]程度、またはそれ以上の長さの間隔とすることができる。また、補正パルス121aとパルス121との間の一定時間の間隔は、たとえば2~3[ms]程度、またはそれ以上の長さの間隔とすることができる。
また、第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120を交互に入力する場合の各補正逆転パルスの間の間隔は、たとえば18[ms]程度とすることができる。また、たとえば、第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120に含まれる各パルスのうち、正極性のパルスの電圧は1.5[V]程度とし、負極性のパルスの電圧は-1.5[V]程度とすることができる。ただし、各パルスの幅、間隔、電圧等は、これらに限らず、ステップモータの特性等に応じて適宜変更することができる。
(実施の形態1にかかる電子時計の外観)
図2は、実施の形態1にかかる電子時計の外観の一例を示す図である。図2に示すように、実施の形態1にかかる電子時計200は、外装(時計ケース)である胴内に、文字板210と、時針221、分針222および秒針223と、小窓230と、扇表示針241と、を備える。また、電子時計200は、胴の側面に、電子時計200のユーザが種々の操作を行うための操作部としてリューズ250(竜頭)を備える。
時針221、分針222および秒針223は、文字板210に対する相対的な位置によって時刻を表示する指針である。また、たとえば秒針223は、時刻とは異なる情報の表示にも用いられてもよい。小窓230は、たとえば日や曜日を表示する。
また、電子時計200は、太陽などの光エネルギーを動力源とする太陽電池時計であってもよい。たとえば、文字板210の裏側には太陽電池が配置され、電子時計200の表側から入光した光により太陽電池において発電がなされる。そのため、文字板210はある程度光線を透過する材質で形成される。太陽電池によって発電された電力は二次電池に蓄積され、二次電池に蓄積された電力は電子時計200の電源として使用される。
扇表示針241は、電子時計200が備えるステップモータのロータの回転に応じて駆動され、文字板210に表記された目盛242に対する相対的な位置によって情報を表示する表示部である。一例としては、扇表示針241は、上述の二次電池の充電量(電池残量)を表示する。扇表示針241の駆動機構については後述する(たとえば図3,図4参照)。
また、電子時計200の胴には、文字板210を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が取り付けられている。また、電子時計200における風防の反対側には胴に裏蓋が取り付けられている。
図2に示した電子時計200の外観は一例であり、電子時計200の外観は、これに限らない。たとえば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、リューズ250等のユーザ操作部の有無、数、配置、形状等も任意に変更することができる。また、プッシュボタンなどの操作部を設けてもよい。また、指針として時針221、分針222、秒針223の3本を備える構成に限らず、たとえば秒針223を省略してもよい。または、各種の表示を行う指針等を追加したりしてもよい。
(実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の駆動機構)
図3は、実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の駆動機構の一例を示す下面図である。図3において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図3は、扇表示針241の駆動機構を、電子時計200の裏蓋側(下面側)から見た様子を示している。たとえば、図3において、扇表示針241の反時計回りの回転を正転とし、扇表示針241の時計回りの回転を逆転とする。
実施の形態1にかかる電子時計200は、扇表示針241の駆動機構として、たとえば、図3に示すように、ステップモータ310と、中間車321,322と、表示車330と、ストッパレバー340と、逆転側ストッパピン351と、正転側ストッパピン352と、を備える輪列構造である。
ステップモータ310は、入力される駆動パルスの電力に同期して動作するパルスモータである。ステップモータ310には、段差式やノッチ式など各種のステップモータを用いることができる。たとえば、ステップモータ310は、ロータ311と、ステータ312と、コイル部313と、歯車314と、を含む。
ロータ311(回転子)は、軸を有し回転する。たとえば、ロータ311は、径方向にN極およびS極に着磁された円板状の永久磁石を有する。ステータ312は、ロータ311と相互作用して回転モーメントを発生させる固定子である。たとえば、ステータ312は軟磁性材により成る。コイル部313は、ステップモータ310の外部から入力される駆動パルスが流れるコイルを有する。
コイル部313に駆動パルスが入力されていない場合は、ステータ312は励磁されず、ロータ311は所定の位置方向で停止する。このロータ311の所定の位置方向を安定位置方向と称する。ロータ311の安定位置方向は、一例としては、ロータ311のとりえる位置方向において180[°]ごとに存在する。
コイル部313に所定の駆動パルスが入力されると、ステータ312が励磁され、ロータ311が回転する。ロータ311が回転すると、ロータ311の軸に設けられた歯車314が回転する。中間車321は、歯車314の回転に応じて回転する歯車である。中間車322は、中間車321の回転に応じて回転する歯車である。
表示車330は、中間車322の回転に応じて回転する歯車である。また、表示車330の回転軸331には扇表示針241およびストッパレバー340が設けられている。したがって、扇表示針241およびストッパレバー340は、表示車330とともに回転する。
たとえば、ロータ311が下面側からみて時計回りで回転すると、中間車321が反時計回りに回転し、中間車322が時計回りに回転し、表示車330が反時計回りに回転することにより、扇表示針241が反時計回り(正転方向)に回転する。一方、ロータ311が下面側からみて反時計回りに回転すると、中間車321が時計回りに回転し、中間車322が反時計回りに回転し、表示車330が時計回りに回転することにより、扇表示針241が時計回り(逆転方向)に回転する。
逆転側ストッパピン351および正転側ストッパピン352は、ストッパレバー340に干渉することにより、扇表示針241、表示車330およびストッパレバー340の回転を制限し、それによってロータ311の回転を制限するストッパである。図3に示す例では、ストッパレバー340が逆転側ストッパピン351に当たっており、扇表示針241、表示車330およびストッパレバー340は、これ以上は逆転方向(時計回り)に回転しない。
(実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の移動)
図4は、実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の移動の一例を示す下面図である。図4において、図3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図4においては、図3に示した状態から、ロータ311を下面側からみて時計回り(図4において時計回り)で回転させることにより扇表示針241を正転方向(下面側からみて反時計回り)に回転させ、ストッパレバー340が正転側ストッパピン352に当たった状態を示している。この状態においては、扇表示針241、表示車330およびストッパレバー340は、これ以上は正転方向(反時計回り)に回転しない。
(実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の基準位置方向)
図5は、実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の基準位置方向の一例を示す上面図である。図5に示す回転軸331は、図3,図4に示した表示車330の回転軸331である。図5に示す正転方向501(図5において時計回り)は、回転軸331を中心とする扇表示針241の回転の正転方向である。
図5に示す目盛242a~242dは、図2に示した目盛242に含まれる各目盛である。一例としては、目盛242a~242dは、電子時計200の電池残量を示す目盛である。この場合に、たとえば、図2等に示した扇表示針241は、電池残量が最も多い状態においては目盛242aを指し、電池残量が2番目に多い状態においては目盛242bを指し、電池残量が3番目に多い状態においては目盛242cを指し、電池残量が最も少ない状態においては目盛242dを指す。
図5に示す例では、扇表示針241は、回転軸331を中心として回転角=120[°]の範囲で回転可能である。また、扇表示針241は、情報の表示のために、回転可能な回転角=120[°]の範囲のうち回転角=90[°]の範囲で回転する。
また、扇表示針241は、1ステップごとに回転角=6[°]だけ回転する。1ステップとは、たとえばロータ311を現在の安定位置方向と隣接する安定位置方向に移動させるステップモータ310の動作単位である。たとえば、扇表示針241は、ロータ311が180[°]回転するごとに6[°]だけ回転する。
逆転側停止位置521は、扇表示針241を正転方向501と反対の逆転方向に十分に回転させることにより、図3に示したようにストッパレバー340が逆転側ストッパピン351に当たったときの扇表示針241の位置である。正転側停止位置522は、扇表示針241を正転方向501に十分に回転させることにより、図4に示したようにストッパレバー340が正転側ストッパピン352に当たったときの扇表示針241の位置である。
すなわち、図3,図4に示した逆転側ストッパピン351および正転側ストッパピン352は、扇表示針241の回転可能な範囲が、扇表示針241の90[°]の表示範囲を含み、かつ扇表示針241が周辺の外装部材に接触しない範囲になるように配置される。図5に示す例では、扇表示針241の回転可能な範囲が120[°]の範囲になるように逆転側ストッパピン351および正転側ストッパピン352が配置される。
ここで、回転軸331に対する扇表示針241の方向の調整の一例について説明する。図5に示す例では、回転軸331を120[°]回転させるために要するステップモータ310のステップ数は120/6=20ステップである。このため、たとえば回転軸331に対して扇表示針241を取り付けていない状態で、ステップモータ310に逆転パルスを20ステップ以上入力することにより、ストッパレバー340が逆転側ストッパピン351に当たるまで回転軸331が逆転方向に回転する。
つぎに、ステップモータ310に正転パルスを2ステップだけ入力することにより、回転軸331は正転方向501に6×2=12[°]だけ回転する。この状態で、目盛242aの中心を指すように(図5の水平右方向に向くように)扇表示針241を回転軸331に取り付ける。このときの扇表示針241の位置を基準位置方向531とする。
この方法により扇表示針241を回転軸331に取り付けることにより、扇表示針241がどの位置にあっても、ステップモータ310に逆転パルスを20ステップ以上入力し、ついでステップモータ310に正転パルスを2ステップだけ入力すれば、扇表示針241を基準位置方向531に確実に移動させることができる。
このようにステップモータ310に逆転パルスを繰り返し入力してストッパレバー340が逆転側ストッパピン351に当たるまで扇表示針241を逆転方向に回転させ、その後に正転パルスをステップモータ310へ所定数(図5に示す例では2ステップ)だけ入力する動作を基準位置確定動作と称する。ただし、たとえば扇表示針241の基準位置方向を逆転側停止位置521と同じ方向にする場合は、基準位置確定動作は正転パルスを入力する動作を含まなくてもよい。
(実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の移動)
図6は、実施の形態1にかかる電子時計の扇表示針の移動の一例を示す図である。図6において、図2,図5に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図6に示す指示状態601~606は、扇表示針241の各指示状態を示している。ステップモータ310に逆転パルスを20ステップ以上入力すると、指示状態601のように、扇表示針241は図5に示した逆転側停止位置521に移動する。
指示状態601において、ステップモータ310に正転パルスを2ステップだけ入力すると、扇表示針241が図5に示した正転方向501に6×2=12[°]だけ回転する。これにより、指示状態602のように、扇表示針241は目盛242aの中心を指す位置(図5に示した基準位置方向531)に移動する。
指示状態602において、ステップモータ310に正転パルスを5ステップだけ入力すると、扇表示針241が正転方向501に6×5=30[°]だけ回転する。これにより、指示状態603のように、扇表示針241は目盛242bの中心を指す。
指示状態603において、ステップモータ310に正転パルスを5ステップだけ入力すると、扇表示針241が正転方向501に6×5=30[°]だけ回転する。これにより、指示状態604のように、扇表示針241は目盛242cの中心を指す。
指示状態604において、ステップモータ310に正転パルスを5ステップだけ入力すると、扇表示針241が正転方向501に6×5=30[°]だけ回転する。これにより、指示状態605のように、扇表示針241は目盛242dの中心を指す。
指示状態605において、ステップモータ310に正転パルスを3ステップ以上入力すると、ストッパレバー340が正転側ストッパピン352に当たるまで回転軸331が正転方向501に回転する。これにより、指示状態606のように、扇表示針241は図5に示した正転側停止位置522に移動する。なお、電子時計200においては、扇表示針241を正転側停止位置522に移動させる制御は行われなくてもよい。
上述した基準位置確定動作は、たとえば、ステップモータ310に逆転パルスを20ステップ以上入力して指示状態601とし、つぎにステップモータ310に正転パルスを2ステップだけ入力して指示状態602とする動作である。これにより、基準位置確定動作の前に扇表示針241がいずれの指示状態であっても、目盛242aの中心を指す位置(基準位置方向531)に扇表示針241を正確に移動させることができる。
ただし、基準位置確定動作は、これに限らない。たとえば、基準位置確定動作は、ステップモータ310に逆転パルスを20ステップ以上入力して指示状態601とする動作であってもよい。これにより、基準位置確定動作の前に扇表示針241がいずれの指示状態であっても逆転側停止位置521に扇表示針241を正確に移動させることができる。
または、基準位置確定動作は、ステップモータ310に逆転パルスを20ステップ以上入力して指示状態601とし、つぎにステップモータ310に正転パルスを2+5×Nステップ(N=2,3,4)だけ入力して指示状態603~605のいずれかとする動作であってもよい。また、基準位置確定動作は、逆転パルスにより指示状態601としてから所定数の正転パルスを入力する動作に限らず、正転パルスにより指示状態606としてから所定数の逆転パルスを入力する動作であってもよい。
(実施の形態1にかかる補正パルスを含まない逆転パルスによるロータの正常動作)
図7は、実施の形態1にかかる補正パルスを含まない逆転パルスによるロータの正常動作の一例を示す図である。図7において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図7においては、ステップモータ310へ駆動パルスが入力されずにロータ311が安定位置方向に停止している状態において、図1に示した第1補正逆転パルス110と異なる第1逆転パルス710をステップモータ310に入力する場合について説明する。
第1逆転パルス710は、図1に示したパルス111、パルス112およびパルス113を含み、図1に示した補正パルス111aを含まない1ステップの逆転パルスである。第1逆転パルス710のうち、実線で示す部分はステップモータ310へ入力中の部分を示し、点線で示す部分はステップモータ310へ入力中でない部分を示す。
図7に示すロータ311の磁極方向720は、ステップモータ310のロータ311の磁極の方向を示す。たとえば、磁極方向720の矢印が指す方向がロータ311のN極であり、磁極方向720の矢印が指す方向の反対がロータ311のS極である。
たとえば、ステップモータ310へ負極性のパルスが入力されると、ステップモータ310のステータ312のうち、図7においてロータ311の右側の部分がN極になり、図7においてロータ311の左側の部分がS極になる。また、ステップモータ310へ正極性のパルスが入力されると、ステップモータ310のステータ312のうち、図7においてロータ311の右側の部分がS極になり、図7においてロータ311の左側の部分がN極になる。
ロータ状態701は、ステップモータ310に駆動パルスを入力していない状態である。この状態においては、ステータ312は励磁されず、ロータ311は安定位置方向で停止する。この時のロータ位置130が「1」であるとする。また、逆転側停止位置140は「0」より逆転方向側にあるとする。
ロータ状態702は、ロータ状態701の後に、ステップモータ310へパルス111を入力した状態である。この時点においては、ロータ311が正転方向(図7における反時計回り)に少し回転する。ただし、このパルス111は弱いパルスであり、ロータ位置130は「2」には到達しない。これにより、ロータ311を逆転方向に回転させるために、ロータ311を少し正転方向に回転させて反動をつけることができる。
ロータ状態703は、ロータ状態702の後に、ステップモータ310へパルス112を入力した状態である。この時点においては、ロータ311が逆転方向に回転し、ロータ位置130は「0」と「1」の間になる。
ロータ状態704は、ロータ状態703の後に、ステップモータ310へパルス113を入力した状態である。この時点においては、ロータ311がさらに逆転方向に回転し、ロータ位置130は「0」になる。これにより、ロータ311は、ロータ状態701から逆転方向に1ステップ(180[°])だけ回転したことになる。
図7に示したように、ロータ311がロータ状態701の安定位置方向に停止している状態でステップモータ310にパルス111を入力することにより、ロータ311が正転方向に少し回転する。そして、その直後にステップモータ310にパルス112を入力することにより、ロータ311が逆転方向に引きつけられる。そして、ロータ311が逆転方向に引きつけられたタイミングでステップモータ310にパルス113を入力することにより、ロータ311を元の安定位置方向から逆転方向に1ステップ(180[°])だけ移動した安定位置方向まで回転させることができる。
なお、ロータ311が位置する安定位置方向がロータ状態701と180[°]異なっていた場合、すなわち磁極方向720がロータ状態701の反対方向であった場合は、第1逆転パルス710は逆位相のパルスとなり、第1逆転パルス710をステップモータ310へ入力してもロータ311は回転しない。
この場合は、第1逆転パルス710の極性を反対にした逆転パルス(たとえば図10に示す第2逆転パルス1010)をステップモータ310へ入力することで、ロータ311を元の安定位置方向から逆転方向に1ステップだけ移動した安定位置方向まで回転させることができる。したがって、第1逆転パルス710と、第1逆転パルス710の極性を反対にした逆転パルスと、を交互にステップモータ310へ入力することで、ロータ311を連続して逆転方向に回転させることができる。
逆位相のパルスは、たとえば、そのときの磁極方向720のN極の近くにステータ312のS極を生じさせ、そのときの磁極方向720のS極の近くにステータ312のN極を生じさせることにより、ロータ位置130を移動させない極性のパルスである。正位相のパルスは、たとえば、そのときの磁極方向720のN極の近くにステータ312のN極を生じさせ、そのときの磁極方向720のS極の近くにステータ312のS極を生じさせることにより、ロータ位置130を回転させる極性のパルスである。
(実施の形態1にかかる補正パルスを含まない逆転パルスによるロータの異常動作)
図8は、実施の形態1にかかる補正パルスを含まない逆転パルスによるロータの異常動作の一例を示す図である。図8において、図7に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示すロータ状態801は、逆転側停止位置140が「1」と「2」の間のうち「2」より「1」に近い位置にあり、ステップモータ310へ駆動パルスが入力されておらず、ロータ位置130が逆転側停止位置140の正転方向側に接している状態である。図8においては、このロータ状態801において第1逆転パルス710をステップモータ310に入力する場合について説明する。
ロータ状態801においては、ロータ位置130は「2」より「1」に近いため、ロータ位置130は、磁力により逆転方向に「1」まで移動しようとするが、逆転側停止位置140に接しているためそれ以上は移動しない。すなわち、このときのロータ311の磁力的な安定位置方向は「1」に対応する位置方向であるが、ストッパレバー340が逆転側ストッパピン351に当たることによりロータ311はそれ以上回転しない。
ロータ状態802は、ロータ状態801の後に、ステップモータ310へパルス111を入力した状態である。上述したようにパルス111は弱いパルスであるが、図8に示す例では、図7に示したロータ状態701よりもロータ311が正転方向に元々ずれていたことにより、ロータ311が正転方向に次の安定位置方向まで回転し、ロータ位置130は「2」になる。
ロータ状態803は、ロータ状態802の後に、ステップモータ310へパルス112を入力した状態である。この時点では、ロータ状態802でロータ311が正転方向に回転した勢いで、パルス112によりロータ311がさらに正転方向に1ステップ(180[°])だけ回転し、ロータ位置130は「3」になる。
ロータ状態804は、ロータ状態803の後に、ステップモータ310へパルス113を入力した状態である。この時点では、ロータ状態803でロータ311が正転方向に回転した勢いで、パルス113によりロータ311がさらに正転方向に1ステップ(180[°])だけ回転し、ロータ位置130は「4」になる。
このように、図8に示した例では、図7に示した例と同じ第1逆転パルス710をステップモータ310に入力しているにも関わらず、ロータ311が正転方向に2ステップ以上回転してしまう不具合が発生する。このため、図8に示した例では、たとえば第1逆転パルス710のみを繰り返しステップモータ310へ入力しても、ロータ位置130を逆転側停止位置140の付近に移動させることができない場合があり、図5,図6等で説明した基準位置確定動作を正確に行うことが困難である。
(実施の形態1にかかる補正パルスを含む逆転パルスによるロータの動作)
図9は、実施の形態1にかかる補正パルスを含む逆転パルスによるロータの動作の一例を示す図である。図9において、図7,図8に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図9においては、図8に示したロータ状態801において、補正パルス111aを含む第1補正逆転パルス110をステップモータ310へ入力する場合について説明する。
ロータ状態901は、ロータ状態801の後に、ステップモータ310へ補正パルス111aを入力した状態である。補正パルス111aは、パルス111と同様に弱いパルスであるが、図9に示す例では、図7に示した例よりもロータ311が正転方向に元々ずれていたことにより、ロータ311が正転方向に次の安定位置方向へ回転、すなわちロータ位置130が「2」へ移動する。また、電子時計200は、ステップモータ310に補正パルス111aを入力した後に、一定時間、ステップモータ310にパルスを入力しない。これにより、ロータ位置130は「2」で停止する。
ロータ状態902は、ロータ状態901の後に、ステップモータ310へパルス111を入力した状態である。この時点では、パルス111は逆位相のパルスになるため、ロータ位置130は「2」のままである。
ロータ状態903は、ロータ状態902の後に、ステップモータ310へパルス112を入力した状態である。この時点でパルス112は正位相の正転パルスであるが、反動がついていないロータ311を1ステップ回転させる力はなく、ロータ位置130は「2」のままである。
ロータ状態904は、ロータ状態903の後に、ステップモータ310へパルス113を入力した状態である。この時点では、パルス113は逆位相のパルスになるため、ロータ位置130は「2」のままである。
図9に示したように、ロータ位置130が逆転側停止位置140に接している状態でステップモータ310へ第1補正逆転パルス110を入力することで、ロータ位置130を「2」に移動させることができる。
また、たとえばロータ位置130が「2」である状態でステップモータ310へ第1補正逆転パルス110を入力すると、ロータ位置130が逆転側停止位置140に接した状態になる。すなわち、この場合の補正パルス111aはロータ311を正転方向に1ステップ回転させる力はなく、ロータ位置130は「2」に戻る。そして、補正パルス111aの後に第1逆転パルス710を入力すると、ロータ311が逆転方向に回転するが、ロータ311はロータ位置130が逆転側停止位置140に接した状態で停止する。
また、たとえばロータ位置130が「3」である状態でステップモータ310へ第1補正逆転パルス110を入力すると、ロータ位置130が「2」に移動する。すなわち、この場合の補正パルス111aはロータ311を正転方向に1ステップ回転させる力はなく、ロータ位置130は「3」に戻る。そして、補正パルス111aの後に第1逆転パルス710を入力すると、ロータ311が逆転方向に1ステップだけ回転し、ロータ位置130は「2」になる。また、ロータ位置130が「4」である状態でステップモータ310へ第1補正逆転パルス110を入力した場合も同様に、ロータ位置130が1ステップだけ逆転方向に移動し、ロータ位置130は「3」になる。
(実施の形態1にかかる基準位置確定パルスに含まれる各パルス)
図10は、実施の形態1にかかる基準位置確定パルスに含まれる各パルスの一例を示す図である。図10において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1にかかる電子時計200が基準位置確定動作を行う際に使用する基準位置確定パルスには、たとえば、図10に示す、第1逆転パルス710と、第2逆転パルス1010と、第1補正逆転パルス110と、第2補正逆転パルス120と、第1正転パルス1020と、第2正転パルス1030と、が含まれる。
第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010のそれぞれは、安定位置方向にあるロータ311を、ストッパレバー340が逆転側ストッパピン351に当たらない場合に逆転方向に1ステップ回転させるパルスであって、補正パルスを含まない。第2逆転パルス1010は、第1逆転パルス710の正極および負極を逆にしたパルスである。
第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120のそれぞれは、安定位置方向にあるロータ311を、ストッパレバー340が逆転側ストッパピン351に当たらない場合に逆転方向に1ステップ回転させるパルスであって、補正パルスを含む。第2補正逆転パルス120は、第1補正逆転パルス110の正極および負極を逆にしたパルスである。
第1正転パルス1020および第2正転パルス1030のそれぞれは、安定位置方向にあるロータ311を、ストッパレバー340が正転側ストッパピン352に当たらない場合に正転方向に1ステップ回転させるパルスである。第2正転パルス1030は、第1正転パルス1020の正極および負極を逆にしたパルスである。
(実施の形態1にかかる基準位置確定パルス)
図11は、実施の形態1にかかる基準位置確定パルスの一例を示す図である。図11において、図10に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1にかかる電子時計200は、基準位置確定動作を行う際に、たとえば図11に示す基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力する。基準位置確定パルス1100は、逆転パルス群1101、補正逆転パルス群1102および正転パルス群1103を含む。
逆転パルス群1101は、基準位置確定パルス1100の最初に含まれるパルス群であって、ストッパレバー340を逆転側ストッパピン351に当てるパルス群である。たとえば、逆転パルス群1101は、直前のロータ311の位置方向に関わらず、ストッパレバー340を逆転側ストッパピン351に少なくとも1回当てるために十分な数の第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010を交互に含む。また、逆転パルス群1101は、ロータ311の回転の失敗等を考慮した余裕分も含めた数の第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010を含んでもよい。図11に示す例では、逆転パルス群1101は、少なくとも末尾に、第1逆転パルス710、第2逆転パルス1010、第1逆転パルス710、第2逆転パルス1010をこの順で含む。
逆転パルス群1101の最初の逆転パルスの位相、すなわち逆転パルス群1101の最初の逆転パルスが第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010のいずれであるかは、たとえば予め設定されている。
または、逆転パルス群1101の最初の逆転パルスの位相は、基準位置確定パルス1100の直前にステップモータ310へ入力されたパルスに対して逆極性のパルスであってもよい。たとえば、電子時計200は、ステップモータ310へ基準位置確定パルス1100を入力する直前にステップモータ310へ入力したパルスを記憶しておく。そして、電子時計200は、記憶した直前のパルスが第1逆転パルス710や第1正転パルス1020である場合は逆転パルス群1101の最初のパルスを第2逆転パルス1010とし、記憶した直前のパルスが第2逆転パルス1010や第2正転パルス1030である場合は逆転パルス群1101の最初のパルスを第1逆転パルス710とする。
補正逆転パルス群1102は、逆転パルス群1101に続くパルス群であって、ロータ311の位置方向を補正するパルス群である。たとえば、補正逆転パルス群1102は、第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120を交互に含む。図11に示す例では、補正逆転パルス群1102は、第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120をこの順で1回ずつ含む。
補正逆転パルス群1102の最初の補正逆転パルスの位相は、たとえば予め設定されている。この場合は、補正逆転パルス群1102に含まれる補正逆転パルスは3つ以上とする(たとえば図12,図13,図14,図15を参照)。
または、補正逆転パルス群1102の最初の補正逆転パルスの位相は、電子時計200がステップモータ310へ補正逆転パルス群1102を入力する直前にステップモータ310へ入力したパルスに対して逆極性のパルスであってもよい。たとえば、電子時計200は、直前にステップモータ310へ入力した逆転パルス群1101の最後のパルスの位相を記憶しておく。そして、電子時計200は、記憶した直前のパルスが第1逆転パルス710である場合は補正逆転パルス群1102の最初のパルスを第2補正逆転パルス120とし、記憶した直前のパルスが第2逆転パルス1010である場合は補正逆転パルス群1102の最初のパルスを第1補正逆転パルス110とする。
このように補正逆転パルス群1102の最初のパルスの位相を直前のパルスの位相に連動させる場合は、補正逆転パルス群1102は、直前のパルスの位相に応じて、補正逆転パルス群1102に含まれる補正逆転パルスの数を切り替える。たとえば、電子時計200は、直前のパルスが第2逆転パルス1010である場合は、補正逆転パルス群1102として、第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120の順にステップモータ310へ入力する(たとえば図16,図17,図18,図19のステップ1201~1215を参照)。また、電子時計200は、直前のパルスが第1逆転パルス710である場合は、補正逆転パルス群1102として、第2補正逆転パルス120、第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120の順にステップモータ310へ入力する(たとえば図16,図17,図18,図19のステップ1221~1235を参照)。
補正逆転パルス群1102に含まれる補正逆転パルスの数を2個と3個で切り替える構成について説明したが、電子時計200は、補正逆転パルス群1102に含まれる補正逆転パルスの数を、3個と4個、4個と5個等で切り替えてもよい。
正転パルス群1103は、補正逆転パルス群1102に続くパルス群であって、ロータ311を所定の基準位置方向まで正転方向に回転させるパルス群である。たとえば、正転パルス群1103は、第1正転パルス1020および第2正転パルス1030を交互に含む。図11に示す例では、正転パルス群1103は、第1正転パルス1020、第2正転パルス1030をこの順で1回ずつ含む。
正転パルス群1103の最初の正転パルスの位相および正転パルス群1103に含まれる正転パルスの数は、たとえば予め設定されている。
図11に示したように、電子時計200は、逆転パルス群1101として第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010をロータ311の逆転方向の回転がストッパにより少なくとも1回止められるまで繰り返しステップモータ310へ入力した後に、補正逆転パルス群1102として第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120をステップモータ310へ入力することで、基準位置方向のズレを回避することができる。
これにより、たとえば逆転パルス群1101および補正逆転パルス群1102に第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120のみを用いる場合と比べて、逆転パルス群1101においては補正パルス111a,121aを含まない第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010を用いるため、消費電力を抑制することができる。
ここで、第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010のそれぞれは、ロータ311を逆転方向に1ステップ回転させる駆動パルスであって、図10に示すように、第4パルス(パルス111,121)と、第4パルスの後の第4パルスと逆極性の第5パルス(パルス112,122)と、第5パルスの後の第5パルスと逆極性の第6パルス(パルス113,123)と、を有し、第4パルスの前の第4パルスと同極性の補正パルス(補正パルス111a,121a)を有さない駆動パルスである。
(実施の形態1にかかる基準位置確定パルスによる基準位置確定動作)
図12および図13は、実施の形態1にかかる基準位置確定パルスによる基準位置確定動作の具体例1を示す図である。図12,図13において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図12,図13に示す例では、ロータ位置130として「0」~「6」があり、逆転側停止位置140は「0」と「1」の間のうち「0」に近い位置である。
また、図12,図13に示す例では、直前のパルスの位相と連動する7個の逆転パルスを逆転パルス群1101に含め、最初の位相が固定の3個の補正逆転パルスを補正逆転パルス群1102に含め、最初の位相が固定の4個の正転パルスを正転パルス群1103に含めた基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力する場合について説明する。逆転パルス群1101に含まれ直前のパルスの位相と連動する7個の逆転パルスとは、最初のパルスの位相が直前のパルスに対して逆極性のパルスである7個の逆転パルスである。
図12に示すステップ1201は、ステップモータ310へ基準位置確定パルス1100を入力する前の段階を示している。ステップ1202~1208は、基準位置確定パルス1100の逆転パルス群1101として、それぞれ第2逆転パルス1010、第1逆転パルス710、第2逆転パルス1010、第1逆転パルス710、第2逆転パルス1010、第1逆転パルス710、第2逆転パルス1010をステップモータ310へ入力した段階を示している。
ステップ1203~1204におけるロータ位置遷移130a、ステップ1205~1206におけるロータ位置遷移130b、ステップ1207~1208におけるロータ位置遷移130aおよびロータ位置遷移130cの動作は、図8を用いて説明した異常動作によるものである。
ステップ1209~1211は、基準位置確定パルス1100の補正逆転パルス群1102として、それぞれ第2補正逆転パルス120、第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120をステップモータ310へ入力した段階を示している。ステップ1212~1215は、基準位置確定パルス1100の正転パルス群1103として、それぞれ第1正転パルス1020、第2正転パルス1030、第1正転パルス1020、第2正転パルス1030をステップモータ310へ入力した段階を示している。
ステップ1201~1215のロータ位置遷移130a~130cは、それぞれステップ1201においてロータ位置130が「2」、「4」、「6」であった場合のロータ位置130の遷移を示している。ロータ位置遷移130a~130cに示すように、基準位置確定パルス1100を入力する前にロータ位置130が「2」、「4」および「6」であった場合はいずれも、正転パルス群1103を入力する直前のステップ1211においてロータ位置130が「1」となる。したがって、いずれの場合も、ステップ1212~1215における正転パルス群1103の入力により、逆転側停止位置140から数えて5つ目の安定位置方向(「5」)にロータ位置130を移動させることができる。
図13に示すステップ1221は、ステップ1201と同様に、ステップモータ310へ基準位置確定パルス1100を入力する前の段階を示している。ステップ1222~1235は、それぞれステップ1202~1215と同様の基準位置確定パルス1100の各パルスをステップモータ310へ入力した段階を示している。
ステップ1221~1235のロータ位置遷移130d~130fは、それぞれステップ1221においてロータ位置130が「1」、「3」、「5」であった場合のロータ位置130の遷移を示している。ロータ位置遷移130d~130fに示すように、基準位置確定パルス1100を入力する前にロータ位置130が「1」、「3」および「5」であった場合はいずれも、正転パルス群1103を入力する直前のステップ1231においてロータ位置130が「1」となる。このため、いずれの場合も、ステップ1232~1235における正転パルス群1103の入力により、逆転側停止位置140から数えて5つ目の安定位置方向(「5」)にロータ位置130を移動させることができる。
したがって、逆転側停止位置140が「0」と「1」の間のうち「0」に近い位置である電子時計200の個体については、基準位置確定パルス1100を入力する前のロータ位置130に関わらず、上述の基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力することで、逆転側停止位置140から数えて5つ目の安定位置方向にロータ位置130を移動させることができる。
なお、ステップ1201~1215とステップ1221~1235とで異なる基準位置確定パルスを入力する場合について説明したが、ステップ1201~1215の基準位置確定パルスとステップ1221~1235の基準位置確定パルスとを入れ替えても同様に、逆転側停止位置140から数えて5つ目の安定位置方向にロータ位置130を移動させることができる。
図14および図15は、実施の形態1にかかる基準位置確定パルスによる基準位置確定動作の具体例2を示す図である。図14,図15において、図12,図13に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図14,図15に示す例において、図12,図13に示した例と異なる部分について説明する。図14,図15に示す例では、逆転側停止位置140が「1」と「2」の間のうち「1」に近い位置である。
この場合は、図14,図15のロータ位置遷移130a~130fに示すように、基準位置確定パルス1100を入力する前のロータ位置130に関わらず、正転パルス群1103を入力する直前においてロータ位置130が逆転側停止位置140に接する。このため、いずれの場合も、正転パルス群1103の入力により、逆転側停止位置140から数えて4つ目の安定位置方向(「5」)にロータ位置130を移動させることができる。
したがって、逆転側停止位置140が「1」と「2」の間のうち「1」に近い位置である電子時計200の個体については、基準位置確定パルス1100を入力する前のロータ位置130がいずれであっても、上述の基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力することで、逆転側停止位置140から数えて4つ目の安定位置方向にロータ位置130を移動させることができる。
図12~図15に示したように、ストッパレバー340を逆転側ストッパピン351に少なくとも1回当てる数の逆転パルスを含む逆転パルス群1101と、3個以上の補正逆転パルスを含む補正逆転パルス群1102と、所定数の正転パルスを含む正転パルス群1103と、からなる基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力することで、直前のロータ位置130に関わらず、逆転側停止位置140から数えて所定数目の安定位置方向(基準位置方向)にロータ位置130を移動させることができる。
図16および図17は、実施の形態1にかかる基準位置確定パルスによる基準位置確定動作の具体例3の一例を示す図である。図16,図17において、図12,図13に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図16,図17に示す例では、図12,図13に示した例に対して基準位置確定パルス1100が異なる場合について説明する。すなわち、電子時計200は、基準位置確定パルス1100のうち補正逆転パルス群1102の最初のパルスの位相および補正逆転パルス群1102に含まれる補正逆転パルスの数を、逆転パルス群1101の最後のパルスの位相に連動させる。
図16に示すステップ1201~1214の例では、補正逆転パルスの直前に入力される逆転パルスが第2逆転パルス1010である。この場合に、電子時計200は、補正逆転パルス群1102として第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120をこの順で入力する。
図16に示すステップ1209,1210は、基準位置確定パルス1100の補正逆転パルス群1102として、それぞれ第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120をステップモータ310へ入力した段階を示している。図16に示すステップ1211~1214は、基準位置確定パルス1100の正転パルス群1103として、それぞれ第1正転パルス1020、第2正転パルス1030、第1正転パルス1020、第2正転パルス1030をステップモータ310へ入力した段階を示している。
図16のロータ位置遷移130a~130cに示すように、基準位置確定パルス1100を入力する前にロータ位置130が「2」、「4」および「6」であったときはいずれも、正転パルス群1103を入力する直前のステップ1210においてロータ位置130が「1」になる。したがって、いずれの場合も、ステップ1211~1214による正転パルス群1103の入力により、逆転側停止位置140から数えて5つ目の安定位置方向(「5」)にロータ位置130を移動させることができる。
図17に示すステップ1221~1235の例では、補正逆転パルスの直前に入力される逆転パルスが第1逆転パルス710である。この場合に、電子時計200は、補正逆転パルス群1102として第2補正逆転パルス120、第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120をこの順で入力する。
図17に示すステップ1229~1231は、基準位置確定パルス1100の補正逆転パルス群1102として、それぞれ第2補正逆転パルス120、第1補正逆転パルス110、第2補正逆転パルス120をステップモータ310へ入力した段階を示している。図17に示すステップ1232~1235は、基準位置確定パルス1100の正転パルス群1103として、それぞれ第1正転パルス1020、第2正転パルス1030、第1正転パルス1020、第2正転パルス1030をステップモータ310へ入力した段階を示している。
図17のロータ位置遷移130d~130fに示すように、基準位置確定パルスを入力する前にロータ位置130が「1」、「3」および「5」であった場合はいずれも、正転パルス群1103を入力する直前のステップ1231においてロータ位置130が「1」になる。したがって、いずれの場合も、ステップ1232~1235による正転パルス群1103の入力により、逆転側停止位置140から数えて5つ目の安定位置方向(「5」)にロータ位置130を移動させることができる。
したがって、逆転側停止位置140が「0」と「1」の間のうち「0」に近い位置である電子時計200の個体については、基準位置確定パルス1100を入力する前のロータ位置130に関わらず、上述の基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力することで、逆転側停止位置140から数えて5つ目の安定位置方向にロータ位置130を移動させることができる。
図18および図19は、実施の形態1にかかる基準位置確定パルスによる基準位置確定動作の具体例4を示す図である。図18,図19において、図16,図17に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図18,図19に示す例において、図16,図17に示した例と異なる部分について説明する。図18,図19に示す例では、逆転側停止位置140が「1」と「2」の間のうち「1」に近い位置である。
この場合は、図18,図19のロータ位置遷移130a~130fに示すように、基準位置確定パルス1100を入力する前のロータ位置130に関わらず、正転パルス群1103を入力する直前においてロータ位置130が逆転側停止位置140に接する。このため、いずれの場合も、正転パルス群1103の入力により、逆転側停止位置140から数えて4つ目の安定位置方向(「5」)にロータ位置130を移動させることができる。
したがって、逆転側停止位置140が「1」と「2」の間のうち「1」に近い位置である電子時計200の個体については、基準位置確定パルス1100を入力する前のロータ位置130がいずれであっても、上述の基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力することで、逆転側停止位置140から数えて4つ目の安定位置方向にロータ位置130を移動させることができる。
図16~図19に示したように、ストッパレバー340を逆転側ストッパピン351に少なくとも1回当てる数の逆転パルスを含む逆転パルス群1101と、逆転パルス群1101の最後の逆転パルスの位相に応じて位相および数が異なる補正逆転パルスを含む補正逆転パルス群1102と、所定数の正転パルスを含む正転パルス群1103と、からなる基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力することで、直前のロータ位置130に関わらず、逆転側停止位置140から数えて所定数目の安定位置方向(基準位置方向)にロータ位置130を移動させることができる。
逆転パルス群1101の最後の逆転パルスの位相に応じて位相および数が異なる補正逆転パルスを含む補正逆転パルス群1102とは、たとえば、最初の補正逆転パルスの位相が、逆転パルス群1101の最後の逆転パルスの位相に対して逆極性のパルスであり、逆転パルス群1101の最後の逆転パルスの位相に応じて偶奇が異なる数の逆転パルスを含む補正逆転パルス群1102である。
(実施の形態1にかかる基準位置確定パルスの他の例)
図20は、実施の形態1にかかる逆転パルスおよび補正逆転パルスを含む基準位置確定パルスの他の一例を示す図である。図20において、図11に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1にかかる電子時計200は、基準位置確定動作を行う際に、たとえば図20に示す基準位置確定パルス1100をステップモータ310へ入力してもよい。図20に示す基準位置確定パルス1100は、補正逆転パルス群1102および正転パルス群1103を含み、図11に示した逆転パルス群1101を含まない。
この場合に、補正逆転パルス群1102は、直前のロータ311の位置方向に関わらず、ストッパレバー340を逆転側ストッパピン351に少なくとも1回当てる数の補正逆転パルスを含む。補正逆転パルス群1102の最初の補正逆転パルスの位相、すなわち補正逆転パルス群1102の最初の補正逆転パルスが第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120のいずれであるかは、たとえば予め設定されている。
または、補正逆転パルス群1102の最初の補正逆転パルスの位相は、電子時計200がステップモータ310へ基準位置確定パルス1100を入力する直前にステップモータ310へ入力したパルスに対して逆位相のパルスであってもよい。また、補正逆転パルス群1102の最後の補正逆転パルスの位相は、一定の位相となるように制御される。
図20に示したように、電子時計200は、ロータ311の逆転方向の回転がストッパにより少なくとも1回止められるまで第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120を繰り返しステップモータ310へ入力してもよい。
(実施の形態1にかかる基準位置確定パルスに含まれる各パルスの他の例)
図21は、実施の形態1にかかる基準位置確定パルスに含まれる各パルスの他の一例を示す図である。図21において、図10に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1にかかる電子時計200が基準位置確定動作を行う際に使用する基準位置確定パルス1100には、たとえば図21に示す第1逆転パルス710と、第2逆転パルス1010と、第1補正逆転パルス110と、第2補正逆転パルス120と、第1正転パルス1020と、第2正転パルス1030と、が含まれる。
たとえば、第1補正逆転パルス110のパルス113は、短い複数のパルスではなく、図21に示すように長い1個のパルスによって実現されてもよい。同様に、第1逆転パルス710、第2逆転パルス1010および第2補正逆転パルス120におけるパルス113に対応するパルスは、短い複数のパルスではなく、図21に示すように長い1個のパルスによって実現されてもよい。
また、基準位置確定パルス1100において、図10に示したパルスと図21に示したパルスとを混在させてもよい。一例としては、図11に示した基準位置確定パルス1100において、逆転パルス群1101には図10に示した第1逆転パルス710および第2逆転パルス1010を用い、補正逆転パルス群1102には図21に示した第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120を用いてもよい。
(実施の形態1にかかる電子時計のハードウェア構成)
図22は、実施の形態1にかかる電子時計のハードウェア構成の一例を示す図である。図2等に示した電子時計200は、たとえば図22に示す電子時計200によって実現することができる。図22に示す電子時計200は、扇表示針241と、駆動機構2210と、太陽電池2221と、二次電池2222と、制御回路2230と、操作部2240と、を備える。駆動機構2210は、図3,図4に示した扇表示針241の駆動機構であってステップモータ310を含む。
太陽電池2221は、たとえば図2に示した文字板210の裏側に配置されている。そして、太陽電池2221は、電子時計200に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池2222に入力する。二次電池2222は、太陽電池2221によって発電された電力を蓄積する。そして、二次電池2222は、蓄積した電力を、制御回路2230などの電子時計200の各回路に対して入力する。二次電池2222は、一例としてはリチウムイオン電池等により実現することができる。
制御回路2230は、ROM2231と、RAM2232と、RTC2233と、パルス発生部2234と、制御部2235と、モータ駆動回路2236と、を含む。ROMはRead Only Memoryの略である。RAMはRandom Access Memory(ランダムアクセスメモリ)の略である。RTCはReal Time Clock(リアルタイムクロック)の略である。
ROM2231は、電子時計200を動作させる各種のプログラムやデータを記憶する補助メモリである。ROM2231は、たとえば磁気ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。RAM2232は、制御部2235のワークエリアとして使用され、制御部2235の処理対象となるデータが書き込まれるメインメモリである。
RTC2233は、電子時計200における計時に使用されるタイミング信号を供給する。たとえば、RTC2233は、電子時計200が備える水晶振動子を発振させてタイミング信号(基準信号)を生成し、生成したタイミング信号をパルス発生部2234および制御部2235へ入力する。
パルス発生部2234は、RTC2233から入力されたタイミング信号に基づいて、扇表示針241の駆動を制御するためのパルス列信号を生成する。このパルス列信号には、たとえば図11や図20に示した基準位置確定パルス1100を生成するためのパルス列信号が含まれる。
制御部2235は、ROM2231に記憶されたプログラムをRAM2232にロードして実行することにより各種の制御を行う。たとえば、制御部2235は、パルス発生部2234から入力されたパルス列信号に基づいてモータ駆動回路2236を制御することにより、扇表示針241の駆動を制御する。扇表示針241の駆動には、上述した基準位置確定動作や、扇表示針241による情報表示などが含まれる。制御部2235が基準位置確定動作を実行させるタイミングは、操作部2240からの指示を受け付けたタイミングや定期的なタイミング等、任意のタイミングとすることができる。制御回路2230は、たとえばマイクロコンピュータ等の情報処理装置により実現することができる。
モータ駆動回路2236は、制御部2235からの制御に応じて、駆動機構2210に含まれるステップモータ310へ扇表示針241の駆動パルスを入力する。これにより、図3,図4に示した扇表示針241の駆動機構により扇表示針241が駆動される。
操作部2240は、ユーザによる操作を受け付けて、その操作内容を制御回路2230に対して入力する。操作部2240は、たとえば図2に示したリューズ250などにより実現することができる。
また、電子時計200は、さらに、図2に示した時針221、分針222、秒針223、小窓230などの表示部を備えていてもよい。この場合に、駆動機構2210およびモータ駆動回路2236には、時針221、分針222、秒針223、小窓230などの表示部のための駆動機構および駆動回路も含まれる。
このように、実施の形態1にかかる電子時計200は、回転子(ロータ311)を第1方向(逆転方向)に1ステップ回転させる所定パルス(第1補正逆転パルス110および第2補正逆転パルス120)であって、第1パルス(パルス111,121)と、第1パルスの後の第1パルスと逆極性の第2パルス(パルス112,122)と、第2パルスの後の第2パルスと逆極性の第3パルス(パルス113,123)と、第1パルスの前の、第1パルスの幅以上の幅かつ第1パルスと同極性の補正パルス(補正パルス111a,121a)と、を有する所定パルスをステップモータ310へ入力することができる。
これにより、回転子がストッパにより止まる位置方向と回転子の安定位置方向との関係によらず、回転子の位置を回転子がストッパにより止まる位置の付近に移動させることができる。このため、ステップモータの回転子の位置決めを正確に行うことができる。また、ステップモータの回転子の位置決めを正確に行うことで、回転子の回転に応じた情報の表示を正確に行うことができる。
(実施の形態2)
実施の形態2について、実施の形態1と異なる場合について説明する。実施の形態1においては図3,図4に示した駆動機構を有する扇表示針241の基準位置確定動作のための基準位置確定パルス1100について説明したが、本発明にかかる基準位置確定パルス1100を適用可能な表示部は、これに限らない。
たとえば、本発明にかかる基準位置確定パルス1100は、回転範囲がストッパで制限されたステップモータのロータの位置方向に応じて情報の表示を行う各種の表示部の基準位置確定動作に適用可能である。このような表示部として、たとえばレトログラードを用いたフライバック式の扇表示部がある。実施の形態2においては、本発明にかかる基準位置確定パルス1100を適用可能なレトログラードの構成について説明する。
(実施の形態2にかかる電子時計のフライバック式の扇表示部)
図23は、実施の形態2にかかる電子時計のフライバック式の扇表示部の一例を示す図である。実施の形態2にかかる電子時計200の文字板210には、たとえば図23に示す扇表示針2311および曜日表記2312が設けられる。扇表示針2311は、レトログラードにより駆動されるフライバック式の扇表示部である。扇表示針2311の駆動機構については後述する(たとえば図24~図27参照)。曜日表記2312は、文字板210に表記された曜日の表記であり「日」~「土」を含む。
日曜日においては、指示状態2301に示すように、扇表示針2311は曜日表記2312の「日」を指す。また、月曜日から金曜日においては、指示状態2302に示すように、扇表示針2311はそれぞれ曜日表記2312の「月」~「金」を指す。また、土曜日においては、指示状態2303に示すように、扇表示針2311は曜日表記2312の「土」を指す。そして、土曜日から日曜日に移行すると、指示状態2304に示すように、扇表示針2311はフライバック(一気に移動)して「日」を指す。
(実施の形態2にかかる電子時計の扇表示針の駆動機構)
図24~図27は、実施の形態2にかかる電子時計の扇表示針の駆動機構の一例を示す図である。図24~図27において、図23に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態2にかかる電子時計200は、扇表示針2311の駆動機構として、たとえば、図24~図27に示すように、中間車2410,2421と、スネルカム2422と、レバー部材2431と、部分歯車2432と、表示車2440と、レバー部材2450と、を備える。また、電子時計200は、扇表示針2311の駆動機構として、さらに、中間車2410を回転させるためのステップモータを備える。これらの駆動機構は、たとえば図22に示した駆動機構2210に含まれる。
中間車2410は、ステップモータのロータの回転に応じて回転する歯車である。中間車2421は、中間車2410の回転に応じて回転する歯車であって、スネルカム2422と一体となっている。したがって、スネルカム2422は中間車2421とともに回転する。
レバー部材2431は、スネルカム2422に沿って動作するレバーであって、部分歯車2432と一体となっている。したがって、部分歯車2432はレバー部材2431とともに回転する。表示車2440は、部分歯車2432の回転に応じて回転する歯車である。表示車2440の回転軸2441には、図23に示した扇表示針2311が取り付けられる。これにより、扇表示針2311は、表示車2440の回転に応じて回転する。
レバー部材2450は、図24において時計回りに回転するようにバネ等で付勢されている。また、レバー部材2450は、部分歯車を有し、時計回りの回転力を回転軸2441に与え続ける。ただしレバー部材2450の付勢の力は、ステップモータが回転軸2441を回転させる力よりは弱い。このため、ステップモータが回転軸2441を回転させている場合は、レバー部材2450は表示車2440の回転に応じて反時計回りに回転する。
図24は、扇表示針2311が、扇表示針2311が指示可能な方向のうち図24における最も反時計回り側の方向を指している状態を示している。図24に示した状態において、ステップモータのロータの回転に応じて中間車2410が反時計回りに回転すると、図25に示すように、中間車2421およびスネルカム2422が時計回りに回転する。その結果、スネルカム2422の傾斜に沿ってレバー部材2431が押され、レバー部材2431および部分歯車2432が反時計回りに回転する。これにより、表示車2440および扇表示針2311が時計回りに回転する。
図25に示した状態から中間車2410がさらに反時計回りに回転すると、同様の動作により、図26に示すように扇表示針2311がさらに時計回りに回転する。図26に示した状態から中間車2410がさらに反時計回りに回転すると、同様の動作により、図27に示すようにスネルカム2422の段差でスネルカム2422がレバー部材2431を押す力がなくなり、その結果、レバー部材2450が時計回りに回転しようとする力によって回転軸2441が急激に反時計回りに回転する。これにより、扇表示針2311が急激に反時計回りに回転し、図24に示した状態に戻る。
図24~図27に示したレトログラードの駆動機構により、ステップモータの一定方向に回転し続ける動きを、扇表示針2311の反復動作に変換することができる。このようなレトログラードの駆動機構を有する扇表示針2311においても、扇表示針2311を所定の基準位置方向に移動させる基準位置確定動作が行われる。
たとえば、中間車2421や扇表示針2311を図24等において時計回りに回転させるステップモータの駆動パルスを正転パルスとし、中間車2421や扇表示針2311を図24等において反時計回りに回転させるステップモータの駆動パルスを逆転パルスとする。
ステップモータに逆転パルスを十分な数だけ入力すると、スネルカム2422が反時計回りで回転し、図27に示した状態のようにスネルカム2422の段差にレバー部材2431が当たり、ステップモータは、それ以上は回転しなくなる。このように、レトログラードの駆動機構に含まれるステップモータは、逆転方向の回転がスネルカム2422およびレバー部材2431により制限されている。そして、図27に示した状態においてステップモータに正転パルスを所定数だけ入力すると、扇表示針2311を所定の基準位置方向に移動させることができる。
このようなレトログラードの駆動機構に含まれるステップモータにおける基準位置確定動作においても、たとえば図11や図20に示した基準位置確定パルス1100を用いることができる。ただし、基準位置確定パルス1100に含まれる各パルスの数や位相は、レトログラードの駆動機構の設計に応じて適宜変更される。
このように、実施の形態2にかかる電子時計200によれば、実施の形態1にかかる電子時計200と同様に、ステップモータの回転子の位置決めを正確に行うことができる。
電子時計200が腕時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。たとえば、電子時計200は、懐中時計、置き時計、掛け時計等の時計であってもよい。
以上説明したように、電子時計200によれば、ステップモータの回転子の位置決めを正確に行うことができる。