(第1実施例)
第1実施例に係る暖房システム1について図面を参照して説明する。図1に示すように、第1実施例に係る暖房システム1は、ヒートポンプユニット2(以下、「HPユニット2」という)と、パネルヒーター6とを備えている。HPユニット2とパネルヒーター6の間には、第1温水循環路50が配置されている。また、暖房システム1は、制御装置101と、リモコン102とを備えている。
HPユニット2は、ヒートポンプ20を備えている。ヒートポンプ20は、冷媒循環路25と、空気熱交換器21と、圧縮機22と、流体熱交換器23と、膨張弁24とを備えている。また、ヒートポンプ20は、空気熱交換器21に外気を送るファン26を備えている。HPユニット2は、ヒートポンプ20の動作を制御する制御装置29(温度調節手段の一例)を備えている。
冷媒循環路25は、空気熱交換器21と、圧縮機22と、流体熱交換器23と、膨張弁24とを循環している。冷媒循環路25には冷媒が流れている。したがって、冷媒が、空気熱交換器21と、圧縮機22と、流体熱交換器23と、膨張弁24とを循環している。冷媒は、例えばHFC冷媒である。HFC冷媒は、例えばR32やR410Aである。
空気熱交換器21では、冷媒循環路25を流れる冷媒と外気との間で熱交換が行われる。冷媒循環路25を流れる冷媒が空気熱交換器21において外気の熱を吸収して蒸発する。圧縮機22は、気相状態の冷媒を圧縮して高温高圧する。加圧された冷媒が冷媒循環路25に送り出される。流体熱交換器23では、冷媒循環路25を流れる冷媒と第1温水循環路50を流れる水(熱媒の一例)との間で熱交換が行われる。冷媒循環路25を流れる冷媒が、流体熱交換器23において第1温水循環路50を流れる水に熱を放出して凝縮する。第1温水循環路50を流れる水が流体熱交換器23で冷媒の熱によって加熱される。膨張弁24は、液相状態の冷媒を断熱膨張させて低温低圧にする。減圧された冷媒が再び空気熱交換器21に送られる。以上のように、ヒートポンプ20は、冷媒を介して外気の熱を吸収して水を加熱する。ヒートポンプ20は、第1温水循環路50を流れている水の温度が所定の目標温度(例えば70℃)になるように水を加熱する。HPユニット2の制御装置29がヒートポンプ20の動作を制御して水の温度を調節する。
第1温水循環路50は、第1往路51(供給路の一例)と第1復路52を備えている。第1往路51の上流端部は、ヒートポンプ20の流体熱交換器23に接続されている。第1往路51の下流端部は、後述するパネルヒーター6のサーモスタットバルブ61を介してパネル60(放熱器の一例)に接続されている。第1温水循環路50の第1往路51は、ヒートポンプ20によって加熱された温水を、サーモスタットバルブ61を介してパネル60に供給する。また、第1温水循環路50の第1復路52の上流端部は、パネルヒーター6のパネル60に接続されている。第1復路52の下流端部は、ヒートポンプ20の流体熱交換器23に接続されている。第1温水循環路50の第1復路52は、パネル60で利用された温水をヒートポンプ20に流す。
第1温水循環路50の第1往路51には第1温度センサ31が設けられている。第1温度センサ31は、第1温水循環路50の第1往路51を流れている温水の温度を検出する。すなわち、第1温度センサ31は、ヒートポンプ20によって加熱された温水の温度を検出する。第1温度センサ31は、パネルヒーター6のパネル60に供給される前の温水の温度を検出する。
第1温水循環路50の第1復路52には第1流量センサ32と第1循環ポンプ33が設けられている。第1流量センサ32は、第1温水循環路50を流れている温水の流量を検出する。第1温水循環路50を流れている温水はパネルヒーター6のパネル60に供給される。したがって、第1流量センサ32は、第1温水循環路50を通じてパネル60に供給される温水の流量を検出する。第1循環ポンプ33は、第1温水循環路50を流れている温水を圧送する。第1循環ポンプ33の動作によってヒートポンプ20とパネル60の間で温水が循環する。また、第1温水循環路50の第1復路52には膨張タンク34が設けられている。膨張タンク34は、第1温水循環路50を流れている温水の体積が膨張したときに、膨張した温水の一部を収容する。
パネルヒーター6は、建物の室内201に配置されている。パネルヒーター6は、パネル60と、サーモスタットバルブ61とを備えている。パネル60は、第1温水循環路50の第1往路51を通じて供給される温水の熱によって室内201を暖房する。パネル60は、供給される温水の熱を放熱することによって室内201を暖房する。
サーモスタットバルブ61は、温度設定部62を備えている。暖房システム1のユーザが、サーモスタットバルブ61の温度設定部62によって室温を設定することができる。温度設定部62は、例えばダイアル式の構成である。暖房システム1のユーザは、温度設定部62のダイアルの数字を変更することによって室温を変更することができる。
サーモスタットバルブ61は、暖房される室内201の温度に応じて、パネル60に供給される温水の流量を調節する。サーモスタットバルブ61が温水の流量を調節することによって、パネルヒーター6に供給される温水の流量に応じた熱量で室内201が暖房されて室内201の温度が調節される。サーモスタットバルブ61は、室内201の温度が上がった場合は、パネル60に供給される温水の流量を少なくする。また、サーモスタットバルブ61は、室内201の温度が下がった場合は、パネル60に供給される温水の流量を多くする。サーモスタットバルブ61は、室内201の温度に応じて膨張又は収縮する感温体を備えている。室内201の温度が上がると感温体が膨張してサーモスタットバルブ61の開度が小さくなる。これによって、パネル60に供給される温水の流量が少なくなる。また、室内201の温度が下がると感温体が収縮してサーモスタットバルブ61の開度が大きくなる。これによって、パネル60に供給される温水の流量が多くなる。パネル60に供給される温水の流量が調節されることによって、室内201の温度が設定された室温になるように調節される。サーモスタットバルブ61は、例えば、室内201の温度が20°であるときに開度が50%になるように構成されている。また、例えば、室内201の温度が温度設定部62によって設定された温度であるときにサーモスタットバルブ61の開度が50%になる構成であってもよい。
制御装置101は、CPUとメモリ等を備えている。制御装置101のメモリには様々な情報が記憶されている。例えば、第1温水循環路50に設けられている第1流量センサ32によって過去に検出された温水の流量がメモリに記憶されている。例えば、過去の1週間の間に第1流量センサ32によって検出された温水の流量の全記録がメモリに記憶されている。リモコン102は、暖房システム1のユーザが様々な情報を入力できるように構成されている。なお、制御装置101が実行する処理については後述する。
次に、第1実施例に係る暖房システム1の動作について説明する。この暖房システム1では、暖房運転が実行される。暖房運転は、例えば暖房システム1のユーザが暖房システム1のスイッチのオンにすると開始される。また、暖房システム1のユーザは、サーモスタットバルブ61の温度設定部62によって暖房運転における室内温度を設定する。
暖房運転が開始されるとヒートポンプ20が始動する。ヒートポンプ20は、第1温水循環路50を流れている水を加熱する。ヒートポンプ20の流体熱交換器23において、第1温水循環路50を流れている水が加熱される。第1温水循環路50を流れている水の温度は、第1温水循環路50の第1往路51に設けられている第1温度センサ31によって検出されている。ヒートポンプ20は、第1温度センサ31によって検出される温度が目標温度になるように水を加熱する。暖房運転が開始された直後の目標温度は、例えば70℃に設定されている。
ヒートポンプ20によって加熱された水(温水)は、第1温水循環路50の第1往路51を通じてパネルヒーター6のパネル60に供給される。第1往路51を流れる温水は、サーモスタットバルブ61を介してパネル60に供給される。パネル60では、第1往路51を通じて供給された温水の熱が放熱される。パネル60で放熱された熱によって、パネル60が配置されている室内201が暖房される。温水の熱が室内201の暖房に利用される。
パネル60で熱が放熱された温水は、第1温水循環路50の第1復路52を通じてヒートポンプ20に戻される。第1復路52によってヒートポンプ20に戻された温水は、再びヒートポンプ20によって加熱される。
暖房運転では、サーモスタットバルブ61が、暖房される室内201の温度に応じて、パネル60に供給される温水の流量を調節する。例えば、暖房運転が開始された直後では室内201の温度がまだ低いので、サーモスタットバルブ61の開度が比較的大きくなり、パネル60に供給される温水の流量が比較的多くなる。一方、暖房運転が開始されてからある程度の時間が経過した段階では、パネル60によって室内201が暖房されることによって室内201の温度が高くなっているので、サーモスタットバルブ61の開度が比較的小さくなり、パネル60に供給される温水の流量が比較的少なくなる。サーモスタットバルブ61は、室内201の温度が上がった場合は、開度を小さくして、パネル60に供給される温水の流量を少なくする。また、サーモスタットバルブ61は、室内201の温度が下がった場合は、開度を大きくして、パネル60に供給される温水の流量を多くする。パネル60に供給される温水の流量は、第1復路52に設けられている第1流量センサ32によって検出されている。
次に、第1実施例に係る暖房システム1で実行される処理について説明する。上記の暖房システム1では、図2に示すように、温度調節処理が実行される。温度調節処理は、上記の暖房運転が開始されると同時に開始される。温度調節処理のS11では、制御装置101が、第1温水循環路50に設けられている第1流量センサ32によって検出される流量が所定の第1流量L1より少ない状態が所定の第1期間T1以上継続したか否かを判断する。所定の第1流量L1は特に限定されるものではない。例えば、所定の第1流量L1は、過去に第1流量センサ32によって検出された温水の最大流量に基づいて設定されている。例えば、過去に第1流量センサ32によって検出された温水の最大流量が20L/minであった場合、所定の第1流量L1は、その最大流量(20L/min)の80%の流量(16L/min)に設定されている。過去に第1流量センサ32によって検出された温水の流量は、制御装置101のメモリに記憶されている。制御装置101は、メモリに記憶されている温水の最大流量に基づいて所定の第1流量L1を設定する。なお、所定の第1流量L1は、過去の温水の流量とは関係無く設定されていてもよい。
S11における所定の第1期間T1は特に限定されるものではない。所定の第1期間T1は例えば10分である。第1流量センサ32によって検出される流量が所定の第1流量L1より少なくなると、タイマーが始動する。タイマーによって期間が計測される。制御装置101は、タイマーによって計測された期間と所定の第1期間T1とを比較する。
S11で第1流量センサ32の検出流量が所定の第1流量L1より少ない状態が所定の第1期間T1以上継続した場合は、制御装置101がYESと判断してS12に進む。一方、第1流量センサ32の検出流量が所定の第1流量L1より少ない状態が所定の第1期間T1以上継続していない場合は、制御装置101がS11でNOと判断してS21に進む。より詳細には、第1流量センサ32の検出流量が所定の第1流量L1より多い場合は、制御装置101がS11でNOと判断する。また、第1流量センサ32の検出流量が所定の第1流量L1より少ない場合であっても、その状態が第1期間T1以上継続しない場合は、制御装置101がS11でNOと判断する。
続いてS12では、制御装置101が、パネルヒーター6のパネル60に供給される温水の温度を下げる処理を実行する。具体的には、制御装置101が、ヒートポンプ20における目標温度を下げる。制御装置101は、HPユニット2の制御装置29に制御情報を送信して、ヒートポンプ20における目標温度を例えば5℃下げる。したがって、新たな目標温度が例えば65℃(=70℃-5℃)に設定される。目標温度が下げられると、ヒートポンプ20は、第1温水循環路50の第1往路51に設けられている第1温度センサ31によって検出される温水の温度が下げられた目標温度(例えば65℃)になるように温水を加熱する。ヒートポンプ20によって加熱された温水は、第1往路51を通じてパネル60に供給される。パネル60に供給された温水の熱によって室内201が暖房される。したがって、S12で温度が下げられた温水の熱によって室内201が暖房される。
続いてS13では、制御装置101が、上記のS11で期間を計測するために用いたタイマーをリセットする。制御装置101は、S13が終了するとS11に戻る。
続いて、上記のS11でNOと判断した後のS21では、制御装置101が、第1温水循環路50に設けられている第1流量センサ32によって検出される流量が所定の第2流量L2より多い状態が所定の第2期間T2以上継続したか否かを判断する。所定の第2流量L2は特に限定されるものではない。例えば、所定の第2流量L2は、過去に第1流量センサ32によって検出された温水の最大流量に基づいて設定されている。例えば、過去の1週間の間に第1流量センサ32によって検出された温水の最大流量が20L/minであった場合、所定の第2流量L2は、その最大流量(20L/min)の90%の流量(例えば18L/min)に設定されている。過去に第1流量センサ32によって検出された温水の流量は、制御装置101のメモリに記憶されている。制御装置101は、メモリに記憶されている温水の最大流量の90%の流量を所定の第2流量L2として設定する。S21における第2流量L2は、上記のS11における第1流量L1より多い流量である。なお、所定の第2流量L2は、過去の温水の流量とは関係無く設定されていてもよい。
S21における所定の第2期間T2は特に限定されるものではない。所定の第2期間T2は例えば1時間である。第1流量センサ32によって検出される流量が所定の第2流量L2より少なくなると、タイマーが始動する。タイマーによって期間が計測される。制御装置101は、タイマーによって計測された期間と所定の第2期間T2とを比較する。S21における第2期間T2は、上記のS11における第1期間T1より長い期間である。
S21で第1流量センサ32の検出流量が所定の第2流量L2より多い状態が所定の第2期間T2以上継続した場合は、制御装置101がYESと判断してS22に進む。一方、第1流量センサ32の検出流量が所定の第2流量L2より多い状態が所定の第2期間T2以上継続していない場合は、制御装置101がS21でNOと判断して上記のS11に戻る。より詳細には、第1流量センサ32の検出流量が所定の第2流量L2より少ない場合は、制御装置101がS21でNOと判断する。また、第1流量センサ32の検出流量が所定の第2流量L2より多い場合であっても、その状態が第2期間T2以上継続しない場合は、制御装置101がS21でNOと判断する。
続いてS22では、制御装置101が、パネル60に供給される温水の温度を上げる処理を実行する。具体的には、制御装置101が、ヒートポンプ20における目標温度を上げる。制御装置101は、ヒートポンプ20における目標温度を例えば5℃上げる。したがって、新たな目標温度が例えば70℃(=65℃+5℃)に設定される。目標温度が上げられると、ヒートポンプ20は、第1温水循環路50の第1往路51に設けられている第1温度センサ31によって検出される温水の温度が上げられた目標温度(例えば70℃)になるように温水を加熱する。ヒートポンプ20によって加熱された温水は、第1往路51を通じてパネル60に供給される。パネル60に供給された温水の熱によって室内201が暖房される。したがって、S22で温度が上げられた温水の熱によって室内201が暖房される。
続いてS23では、制御装置101が、上記のS21で期間を計測するために用いたタイマーをリセットする。制御装置101は、S23が終了するとS11に戻る。
以上、第1実施例に係る暖房システム1について説明した。上記の説明から明らかなように、暖房システム1は、水(温水)を加熱するヒートポンプ20と、温水の熱を放熱して室内201を暖房するパネル60と、ヒートポンプ20によって加熱された温水をパネル60に供給する第1温水循環路50の第1往路51と、第1往路51を通じてパネル60に供給される温水の流量を調節するサーモスタットバルブ61と、を備えている。サーモスタットバルブ61は、パネル60によって暖房される室内201の温度に応じて、パネル60に供給される温水の流量を調節する。また、暖房システム1は、第1往路51を通じてパネル60に供給される温水の流量を検出する第1流量センサ32と、パネル60に供給される温水の温度を調節するHPユニット2の制御装置29と、制御装置101と、を備えている。制御装置101は、第1流量センサ32によって検出される温水の流量が所定の第1流量L1より少ない状態が所定の第1期間T1以上継続した場合は(S11でYES)、パネル60に供給される温水の温度を下げる処理を実行する(S12)。HPユニット2の制御装置29が、ヒートポンプ20における目標温度を下げる。
パネル60に供給される温水の流量が第1流量L1より少ない状態が継続した場合は(S11でYES)、室内201の温度が高い状況である。そこで、この場合は、制御装置101が、パネル60に供給される温水の温度を下げる処理を実行する(S12)。この処理によってパネル60に供給される温水の温度が下がると、結果的に、パネル60で熱が放熱された後(ヒートポンプ20によって加熱される前)の温水の温度が下がることになる。温水を加熱するヒートポンプ20では、加熱前の温水の温度が低いほど単位時間あたりの消費電力が少なくなり効率が良くなる。そのため、上記のように室内201の温度が高い場合は、パネル60に供給される温水の温度を下げることによって、ヒートポンプ20に戻される温水の温度を下げることができ、ヒートポンプ20によって温水を効率良く加熱することができる。また、パネル60に供給される温水の温度が下がると、サーモスタットバルブ61の動作によってパネル60に供給される温水の流量が多くなることがあるが、温水の流量が多くなったとしても、温水の温度が下がることによってヒートポンプ20の効率が良くなる。そのため、暖房システム1全体としての効率が良くなる。
また、上記の第1流量L1は、過去に第1流量センサ32によって検出された温水の最大流量に基づいて設定されている。暖房システム1が設置される建物の状況は様々であるため、暖房システム1が設置される建物の状況によって、同じ暖房システム1であってもパネル60に供給される温水の流量が違うことがある。例えば、暖房システム1が設置される建物における配管の長さや太さ等の違いによって、パネル60に供給される温水の流量が違ってくる。したがって、暖房システム1が出荷されるときに第1流量L1を一律で設定しておくことが難しくなる。そこで、上記の構成では、過去の最大流量に基づいて第1流量L1が設定されている。この構成によれば、暖房システム1が設置される建物の状況に応じて第1流量L1を設定することができる。例えば、建物における配管の長さや太さ等に起因して室内201を暖房するために大きな流量が必要な状況では、過去の温水の最大流量が大きくなるので、それに応じた第1流量L1を設定することができる。
また、上記の構成では、HPユニット2の制御装置29が、ヒートポンプ20が水を加熱するときの目標温度を調節することによって、パネル60に供給される温水の温度を調節している。この構成によれば、ヒートポンプ20における目標温度が下がるので、ヒートポンプ20における単位時間あたりの消費電力が更に少なくなり、効率が更に良くなる。したがって、室内201を更に効率良く暖房することができる。
また、制御装置101は、HPユニット2の制御装置29によってパネル60に供給される温水の温度を下げた場合であって、第1流量センサ32によって検出される温水の流量が第1流量L1より多い所定の第2流量L2より多い状態が所定の第2期間T2以上継続した場合は(S21でYES)、HPユニット2の制御装置29によってパネル60に供給される温水の温度を上げる処理を実行する(S22)。パネル60に供給される温水の流量が第2流量L2より多い状態が継続した場合は、室内201の温度が低い状況である。そこで、この場合は、制御装置101が、パネル60に供給される温水の温度を上げる処理を実行する。これによって、室内201を暖房するために十分な温度の温水をパネル60に供給することができる。
以上、第1実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
(第2実施例)
第2実施例に係る暖房システム1について図面を参照して説明する。図3に示すように、第2実施例に係る暖房システム1は、タンクユニット4を更に備えている。HPユニット2とタンクユニット4の間には、第1温水循環路50が配置されている。タンクユニット4とパネルヒーター6の間には、第2温水循環路70が配置されている。
タンクユニット4は、タンク40を備えている。タンク40は、ヒートポンプ20によって加熱された水(温水)を貯えている。タンク40は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク40内には満水まで水が貯えられている。タンク40内では、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成されている。
第1温水循環路50の第1往路51の下流端部は、タンク40の上部に接続されている。第1往路51は、ヒートポンプ20によって加熱された温水をタンク40に供給する。また、第1温水循環路50の第1復路52の上流端部は、タンク40の下部に接続されている。第1復路52は、タンク40に貯えられている温水をヒートポンプ20に流す。第1温水循環路50の第1復路52には第1循環ポンプ33が設けられている。第1循環ポンプ33は、第1温水循環路50を流れている温水を圧送する。第1循環ポンプ33の動作によってヒートポンプ20とタンク40の間で温水が循環する。
第2温水循環路70は、第2往路71(供給路の他の一例)と第2復路72を備えている。第2往路71の上流端部は、タンク40の上部に接続されている。第2往路71の下流端部は、パネルヒーター6のサーモスタットバルブ61を介してパネル60に接続されている。第2温水循環路70の第2往路71は、タンク40に貯えられている温水を、サーモスタットバルブ61を介してパネル60に供給する。また、第2温水循環路70の第2復路72の上流端部は、パネルヒーター6のパネル60に接続されている。第2復路72の下流端部は、タンク40の下部に接続されている。第2温水循環路70の第2復路72は、パネル60で熱が利用された温水をタンク40に戻す。
第2温水循環路70の第2往路71と第2復路72の間には分配路73が配置されている。分配路73の上流端部は、後述する分配弁85(温度調節手段の他の一例)を介して第2復路72に接続されている。分配路73の下流端部は、合流部74において第2往路71に接続されている。第2復路72を流れている温水の一部が分配路73に分配される。分配路73は、第2復路72を流れている温水の一部を第2往路71に流す。第2復路72を流れている温水の他の一部はタンク40に戻される。分配路73を流れた温水は、合流部74において、第2往路71を流れている温水と合流する。
第2温水循環路70の第2復路72と分配路73が接続されている部分には分配弁85が設けられている。分配弁85は、第2復路72を流れている温水の一部を分配路73に分配する。分配弁85は、分配割合を調節して分配路73に温水を分配する。分配弁85は、制御装置101から受信する分配割合情報に基づいて分配割合を調節する。
第2温水循環路70の第2復路72を流れている温水は、パネルヒーター6のパネル60によって熱が利用された後の温水である。したがって、第2温水循環路70の第2復路72を流れている温水の温度は、第2往路71を流れている温水の温度より低い。そのため、第2復路72から分配路73に分配される温水の温度は、第2往路71を流れている温水の温度より低い。その結果、第2復路72から分配路73に分配された温水が第2往路71を流れている温水に合流すると、第2往路71を流れている温水の温度が下がる。すなわち、合流部74より下流側の第2往路71を流れる温水の温度が、合流部74より上流側の第2往路71を流れる温水の温度より低くなる。第2復路72から分配路73に分配される温水の流量が多くなると、合流部74より下流側の第2往路71を流れている温水の温度が更に下がる。分配弁85が分配路73に温水を分配するときの分配割合を調節することによって、合流部74より下流側の第2往路71を流れる温水の温度が調節される。パネルヒーター6のパネル60に供給される温水の温度が分配弁85によって調節される。
第2温水循環路70の第2往路71には第2温度センサ81が設けられている。第2温度センサ81は、第2温水循環路70の第2往路71を流れている温水の温度を検出する。第2温度センサ81は、合流部74より下流側の第2往路71に設けられている。第2温度センサ81は、第2往路71を流れている温水と分配路73を流れている温水とが合流した後の温水の温度を検出する。第2温度センサ81は、パネルヒーター6のパネル60に供給される前の温水の温度を検出する。
第2温水循環路70の第2復路72には第2流量センサ82と第2循環ポンプ83が設けられている。第2流量センサ82は、分配弁85より上流側における第2復路72に設けられている。第2流量センサ82は、分配弁85より上流側の第2復路72を流れている温水の流量を検出する。分配弁85より上流側の第2復路72を流れている温水の流量は、第2往路71を通じてパネル60に供給される温水の流量と同じ流量である。よって、第2流量センサ82は、パネル60に供給される温水の流量を間接的に検出する。第2循環ポンプ83は、第2温水循環路70を流れている温水を圧送する。第2循環ポンプ83の動作によってタンク40とパネル60の間で温水が循環する。パネル60は、第2温水循環路70の第2往路71を通じて供給される温水の熱によって室内201を暖房する。
次に、第2実施例に係る暖房システム1の動作について説明する。上記の暖房システム1では、暖房運転が実行される。第2実施例に係る暖房システム1の暖房運転では、ヒートポンプ20によって加熱された水(温水)は、第1温水循環路50の第1往路51を通じてタンク40に供給される。ヒートポンプ20によって加熱された温水がタンク40に貯えられる。
タンク40に貯えられている温水は、第2温水循環路70の第2往路71を通じてパネルヒーター6のパネル60に供給される。第2往路71を流れる温水は、サーモスタットバルブ61を介してパネル60に供給される。パネル60では、第2往路71を通じて供給された温水の熱が放熱される。パネル60で放熱された熱によって、パネル60が配置されている室内201が暖房される。温水の熱が室内201の暖房に利用される。
パネル60で熱が放熱された温水は、第2温水循環路70の第2復路72を通じてタンク40に戻される。第2復路72によってタンク40に戻された温水は、再びタンク40に貯えられる。また、タンク40に貯えられている温水は、第1温水循環路50の第1復路52を通じてヒートポンプ20に戻される。第1復路52によってヒートポンプ20に戻された温水は、再びヒートポンプ20によって加熱される。
次に、第2実施例に係る暖房システム1で実行される処理について説明する。第2実施例に係る暖房システム1では、上記の第1実施例に係る暖房システム1と同様に、図2に示す温度調節処理が実行される。ただし、上記の第1実施例では、第1温水循環路50に設けられている第1流量センサ32がパネル60に供給される温水の流量を検出していたが、第2実施例では、第2温水循環路70に設けられている第2流量センサ82がパネル60に供給される温水の流量を検出している。そのため、図2に示す温度調節処理のS11及びS21では、第1実施例に係る第1流量センサ32が、第2実施例に係る第2流量センサ82に置き換えられる。
また、第2実施例におけるS12では、上記の第1実施例と同様に、制御装置101が、パネルヒーター6のパネル60に供給される温水の温度を下げる処理を実行する。ただし、第1実施例と第2実施例では、温水の温度を下げるための具体的な手段が異なる。第2実施例のS12では、制御装置101が、第2温水循環路70に設けられている分配弁85における分配割合を変更する。具体的には、制御装置101が、第2温水循環路70の第2復路72から分配路73に分配される温水の流量を多くするための分配割合情報を分配弁85に送信する。制御装置101は、第2温度センサ81によって検出される温水の温度が例えば5℃下がるような分配割合情報を分配弁85に送信する。分配弁85は、分配割合情報に基づいて分配割合を変更し、第2復路72から分配路73に分配される温水の流量を多くする。分配路73に分配された温水が合流部74で第2往路71を流れている温水に合流すると、第2往路71を流れている温水の温度が下がる。分配路73に分配される温水の流量が多くなると、流量が多くなる前と比較して、第2往路71を流れている温水の温度が下がる。例えば、分配割合が変更された後では、分配割合が変更される前と比較して、温水の温度が5℃下がる。合流部74より下流側の第2往路71を流れる温水の温度は、第2温度センサ81によって検出されている。温度が下がった後の温水は、第2往路71通じてパネル60に供給される。パネル60に供給された温水の熱によって室内201が暖房される。したがって、S22で温度が下がった後の温水の熱によって室内201が暖房される。
また、第2実施例におけるS22では、上記の第1実施例と同様に、制御装置101が、パネルヒーター6のパネル60に供給される温水の温度を上げる処理を実行する。ただし、第1実施例と第2実施例では、温水の温度を上げるための具体的な手段が異なる。第2実施例のS22では、制御装置101が、第2温水循環路70に設けられている分配弁85における分配割合を変更する。具体的には、制御装置101が、第2温水循環路70の第2復路72から分配路73に分配される温水の流量を少なくするための分配割合情報を分配弁85に送信する。制御装置101は、第2温度センサ81によって検出される温水の温度が例えば5℃上がるような分配割合情報を分配弁85に送信する。分配弁85は、分配割合情報に基づいて分配割合を変更し、第2復路72から分配路73に分配される温水の流量を少なくする。分配路73に分配される温水の流量が少なくなると、流量が少なくなる前と比較して、合流部74より下流側の第2往路71を流れている温水の温度が上がる。例えば、分配割合が変更された後では、分配割合が変更される前と比較して、温水の温度が5℃上がる。合流部74より下流側の第2往路71を流れる温水の温度は、第2温度センサ81によって検出されている。温度が上がった後の温水は、第2往路71通じてパネル60に供給される。パネル60に供給された温水の熱によって室内201が暖房される。したがって、S22で温度が上がった後の温水の熱によって室内201が暖房される。
以上、第2実施例に係る暖房システム1について説明した。上記の構成によれば、放熱器に供給される熱媒の温度を下げることによって、タンク40に戻される熱媒の温度を下げることができる。また、タンク40からヒートポンプ20に戻される熱媒の温度を下げることができる。そのため、第1実施例に係る暖房システム1と同様に、ヒートポンプ20によって熱媒を効率良く加熱することができる。
(第3実施例)
第3実施例に係る暖房システム1で実行される処理について説明する。第3実施例に係る暖房システム1では、図4に示すように、温度調節処理において、制御装置101が、上記のS21の処理に換えてS31の処理が実行してもよい。S31では、制御装置101が、現在の外気温度が所定の基準温度Cより低い状態が所定の第3期間T3以上継続したか否かを判断する。現在の外気温度は、建物の外に設置されている外気温度センサ(図示省略)によって検出されている。また、所定の基準温度Cは特に限定されるものではない。例えば、所定の基準温度Cは、制御装置101が上記のS12の処理を実行した時点での外気温度に基づいて設定されている。所定の基準温度Cは、例えばこの時点での外気温度より5℃低い温度に設定されている。また、所定の基準温度Cは、制御装置101が上記のS12の処理を実行した時点での外気温度とは関係無く設定されていてもよい。
S31における所定の第3期間T3は特に限定されるものではない。所定の第3期間T3は例えば5分である。現在の外気温度が所定の基準温度Cより低くなると、タイマーが始動する。タイマーによって期間が計測される。制御装置101は、タイマーによって計測された期間と所定の第3期間T3とを比較する。
S31で現在の外気温度が所定の基準温度Cより低い状態が所定の第3期間T3以上継続した場合は、制御装置101がYESと判断してS22に進む。一方、現在の外気温度が所定の基準温度Cより低い状態が所定の第3期間T3以上継続していない場合は、制御装置101がS31でNOと判断して上記のS11に戻る。
現在の外気温度が所定の基準温度Cより低い状態が継続した場合は、室内201の温度も低くなることが考えられる。そこで、この場合は、制御装置101が、パネル60に供給される温水の温度を上げる処理を実行する(S22)。これによって、室内201を暖房するために十分な温度の温水をパネル60に供給することができる。
(その他の実施例)
上記の実施例では、パネルヒーター6のパネル60が放熱器の一例であったが、放熱器の構成はこれに限定されるものではない。例えば、床暖房端末が放熱器の他の一例であってもよい。
上記の実施例では、パネルヒーター6のパネル60が1個であったが、パネル60の個数は特に限定されるものではない。すなわち、放熱器の個数は特に限定されるものではない。1個のヒートポンプ20に対して複数個のパネル60が存在していてもよい。
上記の実施例では、水(温水)が熱媒の一例であったが、水以外の熱媒が用いられてもよい。
上記の実施例では、第1流量L1が、過去に第1流量センサ32(または、第2流量センサ82)によって検出された温水の最大流量に基づいて設定されていた。この最大流量は、例えば、暖房システム1が設置されたときの試験的な運転において第1流量センサ32(または、第2流量センサ82)によって検出された温水の最大流量であってもよい。また、この最大流量は、例えば、建物における配管の長さや太さ等に基づいて計算によって算出された最大流量であってもよい。また、第1流量L1は、試験的に検出された最大流量、または、計算によって算出された最大流量の値に固定されていてもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。